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沖本委員 もっとも、その外人登録の担当者の窓口がきちっと決まっているところは特に多いところに限りますから、そのほかのところは戸籍とか住民票とかを扱うところが兼任でやっておるわけですから、その辺、徹底するのはむずかしいという点もあるかもわかりませんけれ
ども、結局よって来るところは、
人権侵害なのかあるいは不徹底のために事件、問題を起こしてくるかということになりますから、こういうことのために逆に管理を受けている
人たちが
日本政府に対する不信なり、あるいは
入管行政に対して反感を持ったり不信を持ったりということのないようにしてもらわなければならないわけです。
そういうことで、指紋の問題そのほかありますが、警察庁もお見えですから、まず先に実際の実例についてお伺いいたします。
これは五十六年ごろの問題なんですが、いますぐ掌握していらっしゃるとは思いませんけれ
ども、被害を受けたという人の言い分なんです。「
昭和五十六年の五月十四日頃だと思います。八王子の梅原さんの法事の帰り、勝沼インターの所で乗せてくれた運転手がスピード違反でつかまりました。乗っていた私達も(私・母)警察の中に呼ばれ、国籍を聞かれたので朝鮮と答えました。登録をとっているかときかれましたが、」登録証を持っているかどうかということでしょうね。「甲府を立つ時冷蔵庫の上に置いてきてしまいました。」と言うと、そういうことで家に電話をして確認したわけですね。
それで、「勝沼インターの警察では調書を取られました。そして私達は警察の方に深くわびました。取り調べが終ったあと警察の方に、「また呼び出しがあると思いますのでそのときはきて下さい」と言われました。私は清く正しく生きてきたつもりがこれでとうとう前科者になったかと思ったら急に悲しみがこみ上げてきました。
八月の末だったと思います。塩山署から呼び出し状と電話がきました。塩山署では三時間の調書を取られました。その
内容は財産、家、貯金、結婚などいろいろと細く聞かれました。」それから、顔写真を撮られました。罪人扱いです。余りのことで涙がこぼれました。
それで、「私が警察の人に、「どうしてそんなことをするのですか」と抗議したら、警察の人は軽べつしたように私を見ながら「みんなこうしているんだ。仕方ないんだ」と冷たい口調で言いました」。それで、顔写真の後は足形を取り、両手全部の指紋を何回も取られ、身長まではかられた、こういうことをおっしゃっているわけなんです。
それから今度は、
逮捕されたのは、東京三多摩朝鮮第一初中級学校中学三年生の金日泰(十四歳)と李昌奇(同)の両君。「
人権じゅうりん行為だ」と両親や同地区在住の朝鮮
人たちは、東村山警察署へ激しく抗議した。
金日泰君が逮捕されたのは三月二十一日正午。金君が西武新宿線久米川駅前を自転車で通りかかったところ、駅前派出所勤務の警官がいきなり呼び止め「登録証を持っているか。みせろ」と呈示を求めた。
金君が携帯していないとわかるとその警官は、金君を派出所に連れ込み尋問したあと、パトカーを呼んで東村山警察署に連行した。金君は取り調べ室で家族や学校のことなど、およそ登録証不携帯問題と
関係のないことについて尋問された。そして警官は仕末書を書くよう要求したが、金君がそれを書かずにいると、警官が“仕末書”をつくり、金君に署名するよう強要した。そして一時間半の取り調べのあと、金君はやっと帰宅を許された。
この事実を知った両親は「自分の子が罪人扱いされた」と憤がいし、同胞
たちと連れだって久米川駅前派出所に抗議した。
同派出所では、東村山警察署の巡査部長が出てきて「その警官は交代で帰って、るすだ。明日の午後三時以降にでてくる」といったため、両親と同胞
たちはその翌日の午後四時に再び出向いた。しかし同派出所では前日と同じ返答がかえってくるのみで誠意ある回答が、得られなかった。
こういうことで、怒って
金君の両親と同胞
たちは、さらに二十三日、東村山警察署に直接出向き抗議した。ところが出てきた警備
課長はのらりくらりの態度に終始したあげく、警官二十人を動員して抗議団を署外に強制退去させた。
こういうことです。
それから、これは年がわかりませんが、
四月二十六日午後二時ごろ、埼玉県熊谷警察署管内中央派出所の巡査部長八木沢ら警官二人が市内の鎌倉町付近で一時停止の標識にしたがいバイクを止めた陳美香さん(二八)を呼び止め、ヘルメット不着用を注意しながら運転免許証の呈示を求めた。陳さんが
在日朝鮮人であることを知った八木沢は
外国人登録証の呈示を強要した。陳さんが「母親にあずけている。行ってもらってくる」というと「いっしょに母親のところまでいこう。いやなら中央交番まで登録証をもってこい」と約束させた。
事情を知った母親は陳さんのかわりに登録証を持って交番にかけつけた。ところが八木沢らは母親に対し「十四歳以上であれば常時携帯するのが義務だ。母親が持っておろうが誰が持っておろうが違反だ」と強圧的な態度をとった。母親が「十六歳といっても事実上十四歳前の登録証だし、携帯義務についても配慮すべきではないか」と
説明をし、本人の登録証を見せたにもかかわらず、八木沢らは受けあわず立件しようとした。
さらに八木沢は、急を知ってかけつけた陳さんの父親の登録証の国籍欄が「韓国」となっているのを見て「なんで韓国籍なのに朝鮮総聯を支持するのか」と警官としてあるまじき暴言をはいた。
だから、ここに事いてある記事の中には、
第一に、本来、
外国人登録証の呈示はあくまでも犯罪捜査のような「職務の執行」に際してのみ許されているが、今回の事件は運転免許証の呈示ですむにもかかわらず、
外国人登録証の呈示を求めるという職権乱用によってひきおこされた
というふうに見ているわけです。
それから、これは八〇年一月二十四日の、「教員を逮捕、拘留」した。これは茨城朝鮮初中高級学校の教員の李孝一さん。
李さんは東京での所用を終え、十九日午前一時半頃学校に帰るため自動車で首都高速道路西神田口の信号をわたろうとしたところ、信号が変わったので一旦停止した。そこへ覆面パトカーが近づき、信号無視だといったので、李さんが信号が変わったので停止しているとのべた。ところが、警官は一方的に運転免許証の提示を求めた。
警官は李さんが
在日朝鮮人であることを知るや、威丈高に
外国人登録証明書の提示を強要した。李さんは服を着替える際に登録証を移し忘れて所持していなかった。
それを知った警官は李さんを麹町警察署に連行し、取調べを行なった。ところが、警官は“信号無視”や
外国人登録証の不携帯とは何ら
関係のない、学校内の
状況や朝鮮総聯と学校の
関係などについてあれこれと訊問した。
李さんが
関係のないことには、答えられぬと拒否するや、警官は大声で「逮捕する」とおどしたすえ、逮捕、拘留した。
こういうことなんですね。
それから、これは八〇年三月二十日の「朝鮮時報」の記事ですが、
十三日午後六時ごろ、朝鮮大学校の学生A君が、自転車で同校から約三百メートル離れた電話ボックスに電話をかけに行く途中、パトカーの警察官に呼び止められた。
これは、A君が右側通行していたためだが、警察官はA君が朝大生であることを確認するや、語気を強めて「あれを見せてくれ」と
外国人登録証の呈示を強要した。
たまたま、登録証を持っていなかったA君が警察官に尋問されていた同六時四十分ごろ、ちょうどそこを通りかかった朝大生B君が事情を知り、警察官にA君の登録証を持ってくるから待っていてくれ、といって同校に戻った。
しかし、B君が引き返す前に警察官は不当にもA君を小平署に連行してしまった。
A君の話によると、同七時頃、小平署に着き、取り調べ室のような所で尋問を受けたが、「外出時間は何時から何時までか」「寄宿舎には何人いるのか」「授業単位はどのように取るのか」など朝鮮大学校の内部に関わることまで根ほり葉ほり問い質された。
ということで、
とくに今回の事件は、日常生活の範囲内で引き起されたものであり、しかも登録証をすぐ確認できたにもかかわらず、学生を警察署にむりやり連行したもので朝鮮大学校の学生に対する意図的な抑圧行為であると断ぜざるをえない
こういうふうに受け取っているわけですね。
いま申し上げたのは、一方的に向こう側が述べていることで、真相は私にはわからないわけですけれ
ども、結局こういうふうに受け取られておるということになり、皆述べているところは大なり小なりこういうことで、しばしばおふろへ行くとき持っていなかったというのが
質問の一番の大きな例にとられていますし、あるいはさっきも言ったように、免許証の提示のついでに国籍がわかると登録証を求められる、そこで皆トラブルを起こしているわけですね。
さっきも述べたとおり、大半が過失的な単なる不注意的な問題だということに当たるわけですね。しかし、それを持っていなかった場合には、いま言ったような形で立件されて、それで結局刑罰に問われていくという形をとっていく。その不携帯が全体の
登録法違反の五〇%を超えているという言い方をしているということになると、やはりこれは
考えざるを得ないということ。そういうことによって、特に反対側、調べられる方の側は、ここで非常な不信感を持っておるということにもなるし、それではその職務執行のために提示を求めている
人たちが、そこでやはり差別していろんな形で言動があるんじゃないかというふうに
考えるわけですけれど、警察庁の方はいまのことについてどういうふうにお
考えになっており、そういう問題の取り扱いについでどういうふうな徹底の仕方をしておられるかということですね。
人権を尊重して、普通の生活
状態の人の
人権を見るがごとく扱っておるのか、もうその時点から、いわゆる
外国人は犯罪者であるというような形のことで取り調べを行っておるのか、その辺、いかがなんですか。