○沖本委員 私は、きょうは法務局の問題、特に登記所に関しまして主として御質問をしていきたいと思います。
全法務の労働組合から私たちあてに、昨年は法務局の増員に関する要請、ことしは請願、こういう形で来ております。
請願の方の内容を読みますと、
法務局の登記、戸籍、国籍、供託、行政訴訟業務、及び
人権擁護事務は、適正、迅速になされてこそ、国民の財産と権利を守ることになりますが、業務量の増大に対して従業職員が全く不足し、業務の停滞、過誤、サービスの低下、職員の健康破壊など危機的状況に直面しています。
更正保護業務については、犯罪の多様化、特に少年犯罪の深刻化によって保護観察官の業務も複雑、高度化し、特に従来
裁判所において取り扱われていた短期交通保護事件が
昭和五十二年四月より
法務省に移されてからは業務の増大が著るしいものがあります。
また、出入国管理業務も、国際交流の活発化、航空機、船舶の大型化によって出入国者が増大し、特に成田空港の開設にともなって、入管業務も著るしく繁忙を極めています。
わたしたち全法務労働組合及び、勤労国民は、このような現状と、問題点を直視し、その改善策を探究するとき、
法務省の業務は、人的確保によること以外にはなく、定員職員に関して次の事項を憲法第十六条の趣旨に沿って請願します。
こういうことで、「法務局、更生保護官署、入国管理官署の定員職員を大幅に増員すること。」こういうことになり、この中の文の中にも細かくそういう問題が出ております。
“絶えない不動産をめぐるトラブル”
登記所の要員不足が大きな要因
「他人の土地で大儲け、権利証を偽造……」マイホーム時代の今日、不動産をめぐる紛争があとを絶ちません。
法務局、いわゆる登記所の業務量は、毎年急激に増えています。たとえば、最近十年間に、登記事件数は二億二千万件から四億九百二十七万件へと約二倍になっています。これに対して、職員の数はわずか一三%増にとどまっています。
もし、登記所の要員不足が充分に改善されていたならば、不動産をめぐるトラブルの多くは防げる問題です。
こういう
指摘もございます。
そこで、去年もらった要請につきましても、
特に登記業務においては、一九六〇年代の高度経済成長のなかで急増した後、現低成長下にあっても総合不況対策としての大型公共投資、
地域開発、住宅建設などにより、その伸びはおとろえようとしていません。最近一〇年間においても業務量は約二倍になっているにもかかわらず定員の増はわずか一五%にとどまっています。
また、わずかばかりの増員が、登記部門に吸収されざるを得ないため他の部門への増員は皆無の状況で、同和・公害問題など国民生活に重大なかかわりを持つ
人権擁護業務を始め、市・区・町・村の戸籍事務を
監督する立場にある戸籍事務などは、その機能を充分にはたし得ない実情にあります。
このような厳しい状況の下でも私
どもは、
法務行政に対する国民の期待に応えるため、なかには過労による中年職員の急死や、職業病の惹起をも返り見ず総力をあげて事務処理にあたっていますが、職員の絶対数が不足しているため一部
地域では業務の遅滞に抜本的対策がとれず、また、
地方公共団体・公社・
公団の職員、司法書士、土地家屋
調査士など年間約七〇万人以上の部外の人に半ば強制的な
応援を受けて、何とか業務を処理しているという変則的な状態に落ち入っています。
こういうことで、大幅の増員をやってもらいたいということでございます。
そこで、この面につきまして弁護士会の方でも、これはずいぶん前で一九七四年の「自由と正義」の十月号の中にあるわけですけれ
ども、大分前の辺から読んでみますが、
総論的に言うならば、法務局の形体、姿勢が官一方的で国民の立場を
考えた施策がとられていないということを痛感する。
飛びまして、
政府は中央官庁街と
地方官庁街を区別し、
地方官庁街を前記大手町に集結しようとしたが、東京法務局が、これらの合同庁舎に移転する
計画があることは一切知らされず、一番利用度の多い弁護士会が、この
計画案を知ったのは、合同庁舎が八分通り
完成した頃であった。あわてて
裁判所、
法務省に陳情を繰返し、弁護士会内に「三会合同供託課移転対策委員会」を設置して交渉を開始した
こういうところで、
遂に東京
地方裁判所刑事庁舎内の弁護士控室の一部を割愛することとはなったが、保証供託受入業務の一部を残置し、東京法務局から職員二名を派遣してくれることとなり、一応の問題解決となったことがあった。
東京法務局が、それまで本来の庁舎がなく、不便な間借り生活を続けていたことには同情の意を禁じ得ないが、庁舎の建設、移転、統合という重大事項について、国民を代弁する弁護士会の意見をも徴さず、ご
自分達のご都合だけで納得し、決行しようとしたことについては多大の抵抗を感ずるのであり、官の独善と言われても止むを得ないであろう。
こういう点もあるのですが、最近でも大阪の登記所で、中野の登記所あるいは東区の登記所についても知らされていなかったという点、これは以前にも御
指摘いたしました点があるわけですけれ
ども、そういうことと統合されてしまうということ、これはまた後で触れますが、同じようなことが
指摘されているわけです。
そして同じように、登記業務内容につきましても、
「登記・供託」
まず、第一に眼につくことは、人員配置の拙さである。
東京法務局管内で一五人庁以上が二一もあり乍ら、一〇人庁以下の庁舎が一〇もあることであり、二人庁、三、一人庁、三(特に一人庁は島部に多い)を数えるのである。横浜法務局管内では一五人庁以上二三、一〇人庁以下は九(三人庁、二、二人庁、二)、浦和法務局管内は一五人庁以上五、一〇人庁以下二四(三人庁、三、二人庁、二、一人庁、二)を数え、大都市集中がみられる。
関東周辺がこの通りであるのでは、他は推して知るべしである。これは法務局の定員不足ということも
考えられるが、それにしては「雇」を置いている庁舎もある。
国土開発等により都市部よりも郡部の方が仕事が多いであろうと想像されるのだが、意外の感が深いし、最少限一人庁ではなく三人庁程度の適正な人員配置が望ましい。しかし、都市部の職員は良く勉強もしている。一例を挙げれば、先般の新抵当権法が、とり沙汰される頃からグループに別れて勉強していたが一般的に言って、都市部の職員に、国民に接する態度が傲岸であり、郡部の方の職員が親切なのは何故だろうか。
次に、
申請様式の定型化されたことである。
これは少ない人員で事務の迅速処理のためには誠に良いことであり、国民にも必要記載事項が明瞭となって、大いに助かることである。しかし、不動産登記
申請は従来通り、右縦書きで、供託及び商業登記は左横書きとは、また、どうしたことであろう。
商業登記
申請に右縦書きで持参しても、窓口氏は通達訓令を口実に、絶対に受付けてくれない。どうせ定型化するなら、全部統一したらどんなものであろう。ただ、われわれ弁護士に言わせると
裁判所の記録点綴が右縦書きであるので、前記
申請書等を証拠として提出する場合、左横書きは、裏から読まなければならない不便がある。定型化する場合、ただ単に、時代の先取りをすれば良いというものではなく、こういうことも他官庁と連絡の上、配慮し、処置決定されるようにされたい。
更には、通達訓令の法律化である。
元来、通達訓令は法務局部内の事務統制のためのものであり、国民を拘束するいわれはないのである。国民を拘束するのは法律・条例等であるべき筈のところ、何んと、この通達訓令が、実際には法律以上の力をもって国民を拘束するのである。ということは、いくら国民が法律違反でないことを強調しても、法務局の職員が聞く耳をもたないからである。前記の商業登記
申請の左横書きなどは好個の例であり、結局、長いものには巻かれろと書き直してくる結果となるのである。
また、このように法律、条例、通達、訓令などに忠実かと思えば、他面、非常に投げやりな面も眼につく。例えば、登記事務には形式審査権のみで実質審査権はないとされているが、建物滅失の登記などは、現実に存在しないことを確認されれば滅失登記を職権で受理することも差支えないこととなっている。ところが仮りに
申請があっても勇気をもって、これをしようとしたことはないようである。これは左横書き以外の商業登記
申請を受付けないのと同様、自己の責任回避である。若し、抜かない宝刀なら返上仕ったらどうであろうか。更には、商業登記簿にも休眠会社や、絶滅会社が多々あり、いたづらに法務局職員の事務量をふやしており、逆に、一般会社では、このような形式のみの会社の売買が行われているやに聞いている。
このようなものの整理ができてくれば、どんなにかスッキリするだろうか。しかし、このような会社設立が行われたのは二〇年程前から、会社にしさえすれば大概のことは経費と認められるとの風潮があったからであり、税務署、国税庁の方針にも一片の責任はある筈であるので、東京でいえば法務局と国税庁は隣合わせなので研究会でも、もってみたらどうだろうか。
それから、
裁判資料としての諸登記簿謄本が不分明なことである。
これは原本が悪いのか、謄写機械が悪いのか、よく判らないが、
裁判官のなかには高令の方も多いし、読みづらいことだけは事実であり、従って内容の把握が困難である。機械が悪ければケチケチせずに交換したら良いし、原本が上手な筆記ならば暇な時期に徐々にタイプにでも印書して明瞭にしたらどうかと思うのである。
また、次に小さな問題ではあるが、登記
申請関係に、あえて補正日というのを設けているが、これは必要なのだろうかとの疑問を持っている。私は、若し、受付にベテランを配置して、その場で補正・訂正を厳格にすればどうなのだろうか。無駄な一日を空費しなくて済むものと思われる。
こういうふうな内容なんです。
これはずいぶん前で七四年のことですか、八年も前の内容で、これからは変わっているとは思いますけれ
ども、これと同じように、今度は去年の三月十六日の新聞ですけれ
ども、「核家族登記所走らす」「マイホームを建てると住宅取得
控除が認められるが、
申請に必要な登記簿謄抄本を交付したり、土地、建物などの登記を行う登記所がパンク寸前の状態に陥っている。このため、銀行の住宅ローン実行に必要な登記簿謄本を待っていたのでは二カ月近くもかかり、登記
申請受領書で間に合わすのは常識、といった登記所も。公務員定数削減のあおりで人員も増えず、東京ではパンク寸前の渋谷、板橋などの登記所が分割されることになった。」こういう記事なんですね。それで中身ですが、
全国で最も多くのマンションを管内(渋谷、目黒両区)に抱える東京法務局渋谷出張所。一日平均千数百人が訪れ、登記、謄本などの
申請件数は年間二百八十七万件(五十四年)。現庁舎が
完成した直後の四十年(同六十六万四千件)に比べるとざっと四・三倍。登記その他の
申請書類は十年間保存することになっているが、置き場所がなく所外に分散している有様。職員はこの間三十六人から三十九人へと三人しか増えていないため、病人も続出している。
悩みは首都圏各登記所とも同じ。昨年千葉県下で最も
申請件数の多かった千葉
地方法務局市川出張所の登記件数は十万三千件と十年前の約二倍。謄本、閲覧などの
申請件数は百四十万六千件と五年間で二倍以上の急増ぶり。同出張所は市川、鎌ケ谷両市と、東葛飾郡浦安町の三地区を管轄。浦安や市川市行徳地区などの埋め立て地では
日本住宅
公団や民間マンションの建設が目白押しで、職員二十九人では対応できずパートの主婦など十一人を書類整理などに使っているほど。大型マンションになると「一月
申請分の登記が今ごろようやく終わる」
これは去年の三月十六日の記事ですから、「今ごろようやく終わる」というのは、一月
申請分が「今ごろようやく終わる」。これは
(千葉
地方法務局)状態で、金融機関のローン実行は登記完了を待てず、窓口で受け取る登記
申請受領書を
もとに行われるケースも多いという。
こうした原因の第一は何といっても核家族化によるマンション急増。数十戸から千戸前後まであるマンションが一棟建つとこれに必ずローンがからみ所有権、抵当権設定などの登記簿はたちまち数倍にふくれあがる。マンションの土地部分は各戸の共有である上、一室を夫婦など数人で共有する場合もあるため、一人当たりの敷地の持ち分表記は複雑怪奇。都心部では二−三年で転売する傾向も強く、転売、相続を重ねるうちに目黒区下目黒のあるマンション(四十五年建設)のように「壱壱弐九七七壱八八壱〇分の五七五四九弐六壱」、つまり「百十二億九千七百七十一万八千八百十分の五千七百五十四万九千二百六十一」という持ち分表記も。この記入、
計算だけでも大仕事だ。「所有者すべて足せば原理的には一になるはずですが……」と職員は苦笑い。
こうした“核不動産化”が進む一方、土地・建物などいわゆる不動産が最近は担保などの形で企業金融の一翼を担い、動産並みにめまぐるしく流通し始めたことも大きい。また、所得税の住宅取得
控除、マイカーの車庫証明など登記簿謄抄本が必要な証明類も増える一方。
このため、
法務省ではパンク寸前の渋谷出張所管内から目黒区分を独立させ新たに今秋にも目黒出張所を作るほか、高島平などを抱える板橋出張所(板橋、豊島両区)も五十七年度までに分割する方針だ。
これが記事なんですけれ
ども、ここでさっきの大阪の登記所に触れますが、大阪の場合は分割じゃなくて統合になっているのですね。同じように大阪の中心なんですけれ
ども、その辺は言っただけでは——実際に具体的な問題、聞いてはおったのですけれ
ども、もう去年のことで忘れてしまいましたので、
先ほど思い出してこのことを加えたわけです。ですから、同じように表面だけで比べてみますと、東京は複雑になってきて分割しなければならない。大阪の場合は整理統合という形をとっているわけですね。
ついでに申し上げておきますけれ
ども、大阪の場合は、登記所でいわゆる司法書士であるとか必要業務をやっておる人が、その登記所の周辺の仕事をやっているわけですね。そこで食っているわけです。仕事をやっているわけですね。それを統合されてしまってよそへやられると、こっちは食えなくなってくる、そういう事態が起こっているわけですね。その
意味の反対もありますし、それから駐車場が少ないと車が置けないという意見もありますし、そういうことで非常に不満であるということ。それから、同じような統合していく大阪の登記所の面では、
法務省の職員の皆さんの中からも、登記所の職員の方からも不満を伺っておるわけなんで、あわせてついでに申し上げたのですけれ
ども、いま一応申し上げたことに対してお答えいただきたいのです。