○安藤委員 私もいろいろ聞いたり調べたりしたのですが、実際上ほとんどこの
制度が活用されていないらしいですね。そこで、
法律学者の中では、活用されていないということは遺憾な状況にあるんだというような意見を出しておられる人が相当ある、私も最近よく調べてみたのですが。だから、この
制度が活用されるように期待をしているというのが
商法学者の人たちの意見のようなんです。
そこで、こういうような
会社こそ、いま
民事局長がおっしゃったような内容の
会社じゃないかと思いますので、これから具体例を申し上げるのですが、まず田中角榮ファミリーの幽霊
会社の話です。
これはいろいろあります。新星企業だとかあるいは室町産業だとかあるいは東京ニューハウスだとか、新潟遊園だとか、越後道路サービスだとか、たくさんあるのですが、きょうは全部を取り上げる時間的な
余裕がありませんが、東京ニューハウス、現在、株式
会社新潟遊園というのですが、これがどういうようなことをやっているかということを具体的にお話ししますので、まさにこれは五十八条に該当するんだと思いますから、お聞きいただきたいと思うのです。
室町産業が田中角榮ファミリーの幽霊
会社だということは天下に隠れのない、公知の事実になっているほど有名な
会社ですが、この室町産業の本社は東京都新宿区市ケ谷本村町二十八の四にあります。詳しく言えば市ケ谷ニューハイツ五〇一号ですが、この同じ五〇一号に、これから問題にいたします株式
会社新潟遊園という
会社が本社を持っているわけなんです。この株式
会社新潟遊園という
会社は、東京ニューハウス株式
会社に後で言いますように吸収合併をされたのですが、ですから東京ニューハウスの
会社のことからちょっと説明をいたしますと、この東京ニューハウスというのは、
昭和三十六年八月二十九日設立をされて、その当時は銀座七丁目に本社があった。ところが、それからまさに田中角榮の本宅、東京都文京区目白台一の十九の十二、ここへ
昭和四十二年四月十二日に移転、そして四十八年八月一日に、いま言いました室町産業と同じ部員に
本店を移しておるわけです。そして現在は、新潟遊園を合併したその後で、
商号を東京ニューハウス株式
会社から今度は新しい株式
会社新潟遊園というふうにまた変更して、
本店はいま言ったところにあるわけです。
この東京ニューハウスというのは、田中角榮の
財産を法人名義にしておくための
会社で、目白の田中邸の約四〇%、九百五十坪、それから軽井沢にある田中角榮の別荘六千坪を持っておって、これを田中角榮に貸しているということになっているけれども、田中は一文も地代を払ったことがないという
会社です。
そして、この
会社は、きょう発売された週刊朝日によりますと、損益計算書、現在の新潟遊園がまだ東京ニューハウスと言っておったころのやつですが、これはこの
会社が宅建業法の免許を取得するに際して、直前の三年間の決算書類を提出しなければならぬというので、出したものなのです。これを見ますと、売上高、五十二年度ゼロ、五十三年度はちょっとあるのですが百万円、五十四年度またゼロ、そして印刷費も五十三年度、五十四年度はゼロ、光熱水道費、五十二年度ゼロ、五十四年度ゼロ、こういうような調子ですね。だから、光熱水道費もゼロ、売り上げもゼロ、ゼロというのが二年間あるというようなことからして、これは全く何も仕事をしていない幽霊
会社だとしか言いようがないと思うのです。それから、宅建業法の免許を東京都に申請したときに、役員だけ書いてあって従業員がゼロ、それで東京都の方から、これは一体どうなっているんだというので、注意をされたいわくつきの
会社なんです。
そして、これもマスコミの報道なんですが、現在は株式
会社新潟遊園という
会社に
商号変更しておるにもかかわらず、先ほど言いました市ケ谷ニューハイツ五〇一号には、室町産業株式
会社という看板と並んで東京ニューハウス株式
会社の看板がまだかかっているのです。だから、いかに名前なんかどうでもいい。
商号変更登記はちゃんとやっていますよ、株式
会社新潟遊園に。ところが、実際の看板は東京ニューハウスになっている。だから、どうでもいいというようなことからしても、これは幽霊
会社だとわかるのです。
マスコミの報道によりますと、ガスの
使用量の通知が郵便受けに挟まれていたが、
使用量は全くゼロだ。先ほどのあれと合うわけです。それからビルの管理人の話によれば、人はほとんどいません。新潟遊園あてで送金通知など来るときがあるが、郵便受けに差し込んでおくと、たまに男が来て郵便物を持っていく。そして、この代表取締役の桜井信一という人は、もちろん新潟に一人おって、従業員はなしで、一人でぼつぼつと遊園の仕事なんかをやっているということです。電話をしても全然通じないし、たまに電話がかかると、この東京ニューハウスあるいは新潟遊園と全く
関係ない人が、はあ何ですかというふうに応答するありさまだということです。
その合併のいきさつをちょっと言いますと、これは私は
登記簿謄本をちゃんと取り寄せてやったのですが、新潟市の万代一丁目六番一号、ここにあった新潟遊園を、
昭和五十六年の四月十三日に
登記しておりますが、この日に吸収合併をしておるわけです。だから、旧新潟遊園の閉鎖
登記は、それに合わせて解散の
登記をしております。それから、この四月十三日には新潟遊園を吸収合併しておりますから、
商号は東京ニューハウスなんです。そしてその六日後の四月十九日に、今度は株式
会社新潟遊園、合併された
会社の名前に
商号変更して
登記しておるわけですね。こういうようないきさつがあります。
そこで、問題の吸収合併なんですが、この新潟遊園という旧の
会社は、新潟市内にいわゆる新潟遊園という遊園地を持っておって、それを経営しておる
会社、その持っていた遊園地は、後で問題になりますが、七千七百坪、約二万五千四百十平米。で、この旧新潟遊園、これは浦浜開発という
会社がありまして、この
会社が一〇〇%株を持っている
会社なんですが、この浦浜開発というのが新潟交通と田中角榮が株を半分ずつ持っている
会社だ、こういうような
関係にあります。そして浦浜開発と旧新潟遊園、これは新潟交通の本社と
本店の位置が全く
一緒、三つ同じところにあるのです。こういう
会社なんです。
そして、この旧新潟遊園が新潟市内に持っておった土地を新潟市が公園の用地として買う話が持ち上がって、先ほど言いました二万五千四百十平米、この土地は約九億円、三・三平方メートル当たり約十二万円強で新潟市が買ったわけです。この
売買契約は旧新潟遊園との間に行われておったわけです。新潟市の方としては、九億円捻出するために、五十五年度の予算で、九億円のうち四億円をまず五十五年度に払うというふうに予算を通した。ですから、これは五十五年度中に四億円は支払うことができる状態にあった。残りの五億円はその年の十一月に支払うということになっておったのです。
ところが、そういう準備を新潟市がしておる間に、新潟交通の役員、これは先ほど言いました新潟交通と田中角榮が浦浜開発の株を半分ずつ持っておって、そしてその浦浜開発の一〇〇%子
会社が新潟遊園、こういう
関係にあって、マスコミの報道によりますと、旧新潟遊園の取締役会は新潟交通の常務取締役会の席上で行われておる。これもまたおかしいと思うのですが、こういうような
関係にあるわけです。だから、新潟交通の役員が、新潟市はもう支払う準備を——五十五年度中に予算を執行しないと、翌年度に回すとこれは大変なんです。議会に申し入れて特別の承諾を得なければなりません。にもかかわらず、支払いを五十六年度に延期してくれということを申し入れている。新潟市は困って、議会に特別にお願いして五十六年度に支払うように認めてもらった、こういういきさつまで行われておるのです。
そこで、先ほど言いました合併のときのことを思い出していただきたいのですが、
昭和五十六年の四月十三日合併、そして四月十九日に東京ニューハウスから株式
会社新潟遊園にまた社名を変更しておるというからくりがその間に行われたわけです。新潟市に対して四億円の支払いを待ってくれということを言っている間に合併の手続をして、新たな株式
会社新潟遊園に成りかわっている。だから、その
売買代金の四億円と後からの五億円、合計九億円はごっそりと新しい新潟遊園に入ったのですが、新潟市当局は、名前が
一緒だものですから、前の旧新潟遊園だと思っておって、そこへ払った。だから、口座も旧新潟遊園の口座に払い込まれておる。そして、桜井信一という代表取締役は前の旧新潟遊園の代表取締役でもあったのですが、新しい新潟遊園の代表取締役が二人になって、そのうちの一人です。で、旧新潟遊園の口座に振り込まれたその金を受け取って、そして東京の本社に送った、こういうようないきさつになっておるわけですね。大体わかりましたか。
ということになると、ここで二つの問題があると思うのです。
一つはまず
税金逃れ、脱税。といいますのは、公共団体に不動産を売った場合、これは
譲渡に伴う課税というものがなく、税法上の特典がありますね。売って、
売買代金が入ったその年の決算をして、利益が計上されておったらそれに対して課税になる、それが赤字決算であれば
税金は全くかからない、こういう特典があるのです。これをうまく東京ニューハウスは利用をしてやったわけですね。
旧新潟遊園は合併当時、債権債務は全くなしで、九億円入れば当然利益が計上できるわけですね。だから、これに対して課税ということが出てくるのですが、この東京ニューハウスは合併当時約十六億円の赤字を持っておって、そしてそのうち十三億八千三百四十六万円、これは田中角榮に対する未払金ということで赤字が計上されているのですね。これは前から私ども知っておりましたけれども、たまたまきょう発売されました週刊朝日の中の貸借対照表、この中に未払い金として同じ金額が計上されているのです。これが田中角榮に対する未払い金ということになって、赤字を抱えておるわけですよ。だから、九億円入ったって、それと差し引きすれば赤字の決算が出てくる。そして、先ほど言いましたように、税法上の特典を利用して、これは九億円土地を売って入ったけれども全く課税はされない。まさにこれは巧妙きわまる脱税、不法行為だと思うのですよ。大臣、よく聞いておってくださいよ。
しかも、この東京ニューハウス、いまの株式
会社新潟遊園は全くの幽霊
会社なんです。その幽霊
会社へすぽんとこれが入ってしまった。しかも
税金は課されない。一体これはどうなるのですか。これはとんでもない不法行為と言わなければならないと思うのです。しかも、これは新潟市が払ったお金ですから、市民の
税金ですよ。こういうような公園をつくるときには、御
承知のように都市公園法による国からの補助金が出ているのです。その補助金もそういうようなからくりで課税の対象にはならないし、幽霊
会社のふところへぽっと入った。言うまでもなく田中角榮のふところにぽっと入った。貸してあったというのですからね。
こういうからくりになっておるのですが、こういうような幽霊
会社、架空そして脱税という不法行為というのを、先ほど言いましたように、
会社の組織、それから責任者はだれか、そして、一定の公信力があるとおっしゃった
商業登記簿上にそのままちゃんと
会社として
登記しておくというようなことは許されていいのかどうかという問題なんです。法務大臣、どう思われますか。