○横山
委員 特許庁には先にお帰り願う関係もありますから、具体的事案について御意見を伺いたいと思います。
三菱商事に関連をする問題であります。概要を時間の関係上作文を読み上げますが、商標権の真実の
所有者に返還すべきであるという問題であります。商標の不正使用に関する問題であります。
タイホン印の商標は、元来台湾合同パイン、正式には台湾鳳梨股ふん有限公司が
創設した商標で、戦前は「合同」、戦後は「タイホン」とし、わが国にタイホン缶等を輸出し、長くなれ親しんだ周知の商標あるいは著名商標と言っても過言ではないほど有名な商標であります。したがって、この商標の真実唯一の
所有者が台湾合同パインであるという事実は、広く一般需要者に流布、認識されておりました。
しかるに、合同パインが日本において登録をまだしていないことを奇貨として、
昭和三十年ころからひそかに万光産業が登録を済ませ、その種類も手を変え品を変えて十数種類にも及び、後日これに気がついた合同パインが手も足も出ないように、多面的に連合商標として登録を積み重ねてまいりました。
かかる不必要なまでの他人の業務に係る商標を商標
所有者の許可なく登録することは、ひとり商標法第四条第一項第十号に違反するのみではなく、不正競争防止法の精神にも反するものであり、とうてい許されないと思います。万光産業は、明らかに後日台湾合同パインに対して不当な経済的
利益を要求するため、あらかじめ意図的にかかる登録を重ねてきたものと見て差し支えありません。現に万光産業の元社員が、将来合同パインに対しこの登録をネタに総代理店を認めさせるのだと申しております。
この不法登録に気がついた合同パインは、別紙のような確認書を三菱商事との間に交わし、商標権の返還を求めてまいりましたが、万光産業との
債権が消滅した今日になっても、いまだ三菱は返却してくれません。のみならず、万光の潜称商標権と三菱の質権とをそのまま温存しつつ、新たにタイ国にある三菱の工場の製品にこのタイホン印を張って輸出することをたくらんでいるのです。これは優良な台湾合同パインの外装を借りて粗悪な三菱のパインの品質を偽るもので、善意の需要家、消費者の
損害は実に甚大と言わざるを得ません。かくのごとく大手商社の優越的地位を利用して権利を侵害し、義務を履行しない態度は厳に糾弾さるべきであります。
いま出てまいりましたこの万光産業と合同パイン並びに三菱商事との関係を律するものとして、ここに確認書がございます。確認書を読み上げますと、「TPC買取りC/Qの件 (A)吾社保有C/Q全体比一八・六%のうち三一・〇五五五一%相当をTPC宛紐付けする。」等と書いてありまして、最後に、「タイホン商標権の件 当該商標権は万光産業に対する吾社」、これは三菱商事でありますが、「吾社
債権整理完了の際吾社よりTPC宛返却するものとし、その間吾社にて保管する。」これは三菱商事
株式会社食品マーケティング部の捺印がされております。
要するに、三菱商事はこの万光産業がつぶれかけのときに、この万光産業の持っている商標権を買い取ったのであります。合法的に行われているにいたしましても、結局はつぶれると思ったら脱兎のごとく商標権を取り上げて、つぶれた場合には一般
債権者があっというようなことなんであります。そして取り上げたものは、もし万光産業に対する
債権が整理完了の際には商標権を返すと言いながら、
債権が整理完了したにかかわらず三菱商事が返さない、こういうことが一点ありますし、万光産業がやりました台湾のこの
会社、タイホンですか、タイホンが日本に登録をしないように、したとしても防止するために、ここにございますけれども、十二項目の同じ品物のようなものであるにかかわらず、商標を十数種類特許庁に登録をして、もうこれ以上タイホン印の商標の申請は類似になるからとても特許庁が受け付けないというほどのやり方で、これは登録で見ますとこれだけの商標を設置をする、こういうきわめて陰険悪質なものなんでありますが、この種の事案について特許庁としてはどういうふうにお考えでございましょう。