○林(百)
委員 私は、まず
法務大臣の政治姿勢について
お尋ねしたいと思います。
あなたの
所信表明の中には、
検察庁は常に「
国民の
信頼と
期待にこたえるよう、誠心誠意、その職責を尽くしてまいりたいと存じます」と、こう書いてあるわけであります。それから念のために、あなたが統轄している
検察官に対する、修習生に対する教育の要綱を見てみますと、こういうことが言われておるわけであります。「
検察官は、常に視野を広め、識見を高めることに努めるとともに、健全な
国民感情を正しくつかみ、
国民から深い
信頼を得るよう絶えず謙虚な反省を行わなくてはならない。」ということを
検察官に常に修習生のころから言っているわけですね。
そこで、情実入学というか、入学に対するあなたのあっせんというか、どういうことですか。この問題ですが、いま日本の国の教育の全般的な秩序というものは、上級学校へ入学する場合には、やはり点数を中心にして、原則にして、もちろんその人柄だとかなんとかということも考慮はいたしますけれ
ども、原則は点数なんですよ。だからこそみんなが必死になって勉強をしているわけなんです。いまちょうど入学の時期でございますし、そういうときあなたが、そういうペーパーテストだけでは教育は成り立たないんだ、総合的な人格形成やいろいろの点を
考えなきゃならないということで、あなたがああいう青山学院へ推薦をして、そのことのために合格点を取った者が不合格にされてしまって、あなた方が推薦した者が逆に入っている。そういうことが果たして
国民の
信頼をかち得る法務当局の総帥としてのあなたの
立場に適当なものであるかどうかということですね。
たとえば、昭和五十三年度の青山学院の高等部の入学を見ますと、男は百九十五点、女子は二百三十二点なければならないのです。ところが、福田さんが推薦した人は百十四点なんです。一たんはこれは不合格になったけれ
ども、福田さんの推薦だということで、二百三十二点のところを百十四点で入学させているわけです。あなたが推薦したCという学生は、男は百九十二点以上が合格点なのに、Cという男の人は、あなたの親戚とかここにちょっと書いてありますけれ
ども、それはあなたの個人的な問題ですから、後であなたの説明も結構私聞くつもりですが、百九十二点以上なのが百七十八点。はなはだしいのは、Mという人は、百九十二点合格なのが、
坂田道太氏の推薦によって百七十三点で入学しているのです。
こういうことは、あなたの
予算委員会また昨日のあなたの教育に対する、前文部
大臣ですから教育に対する一定の見解を持っておるのは当然だと思いますが、あなたのおっしゃることは、それは教育評論家としてそういうことをやるということは結構でございますか、いまの日本の国の入学の基本的な体系というものは、やはり合格点を取る、それによって正々堂々と入学するということじゃないでしょうか。
それをあなたが青山学院へ紹介状を出す、福田さんが紹介状を出して、二百三十二点なければならないのが百十四点で合格している。そのために正常な点数を取った人がそれだけ外されちゃうわけなんですから、そんなことが、
大臣の資格を持っている人は二重丸で、二百三十二点のところを百十四点でも合格できるのだよということがわかったら、それはいま非行問題だとかいろいろなことが言われますけれ
ども、まじめに勉強する気になりますか。うちのお父さんは福田さんと、あるいは
坂田さんとよく知っているんだから、なあに勉強なんかしなくたって、
坂田さんから紹介状
一つ出してもらえばいいよということになったら、どうなりますか。だから、私はいろいろは言いませんけれ
ども、あなたはこういうことを再びやるべきでない。そういうようなお約束をここでしていただけますか。
これは青山学院の大木院長も、点数がはなはだ低い者を合格させたということはまずい、こういうことはこれからやめます、そう言っているわけですね。それから、あなたと同僚の文部
大臣も、これは記者会見で言っているのですが、私学だということで情実入学は不明朗だ、あってはならないことだ、私学としては仕方がないという
考えは困る、こう言って、大学当局も謝り、文部
大臣も謝っているのに、あなたはこれに対して、法の秩序を守る、
国民の
信頼をかち得なければならないという
検察の最高の地位にあられるあなたは、再びこういうことはしない。あなたが推薦したことが、学校の内部ではこういうことになって、二百何十点も要るのが百十四点ぐらいで合格して、合格した人はそのために落とされているということを
考えた場合に、なおこういうことをお続けになりますか、どうですか。