○栗田
委員 そういう見方をしていらっしゃるのだと大変なんですが、この私大連盟の白書によりますと、五年間の中で五十三年度に次ぐ大きな額である、だから過去五年の中で二番目の大
赤字であるということを言っているわけですね。そしてその理由としては、
一つはやはり
助成が非常に減ったということ、これが理由になっておりますね。「これまでの
私学助成の推移をみると、その
助成は年々増加し、
昭和五十一年から五十三年までは毎年二〇%台の伸びを示し、」云々と書いてありまして、その「
私学の
財政危機に一抹の燭光を見出したものの、近年になると国の
財政事情からではあるが、
補助金の増加傾向は鈍化し、五十四年度から五十五年度では一〇%台に、五十六年度は八・八%に低下し、五十七年度政府
予算案では前年度と同額という、全く信じられない
状態となった。」、こういうふうに書いてありますから、いま出されているのは、これは五十五年の白書ですが、安定したとどうしておっしゃれるのか。
これで五十六年、五十七年度の白書が出てきた場合、恐らく大変な
状態になるのではないだろうかと私
どもは見ていますし、白書もそう言っています。その理由として、時間がありませんのでもう申し上げてしまいますが、
一つは
助成が減っているということ、それから
助成率が、
助成の伸びが減っている。
物価も上がっているのに、五十七年あたりは伸びがゼロですから、当然実質的に減ったことになりますし、それからもう
一つが、
私学の
収入の大きな
部分を占めているのは学生から徴収する授業料その他の学費ですが、それが限界に達したということが言われておりますね。実際親が支出できる額の限界に達してしまって、それ以上値上げをしたくても、値上げをすれば大幅に学生の数が減るという、そういうところに達しているということが言われているわけで、いま
私学助成をめぐる問題というのは実に大変なところに来ていると思います。
文部大臣あてにも、また総理あてなどにも、
私学助成をぜひふやしてほしいという
請願の署名などの数も非常にたくさん寄せられているはずですが、これは
私学の危機を、やはり
財政的な危機を実感している
関係者、父母、学生などの声だと私は思うのです。
二分の一に達成させるという予定でいましたのに、こういう
状態にいまなってきているということ、しかも
補助率が、経常費
補助に占める
補助率が一時三〇%を超えたことがありますが、いま三〇%を割りましたね。高専を含めて二八・九%、四年制大学だけで二九・二%、こうなってきているわけです。つまり三分の一
補助に満たない
状態にいまなったということですけれ
ども、私、時間がなくなりまして、これはたとえば、いま大学
局長おいでになっていらっしゃらないのですけれ
ども、大学
局長が「内外
教育」にお書きになっていらっしゃる巻頭言がございますが、三月三十日号、「高等
教育をめぐる論議」というのを書いていらっしゃるのですが、この中でも、「諸外国と対比しても、日本の場合は、高等
教育にかけている公費の割合は、いわば安上がりなものとなっているのである。したがって、長期的に見れば、高等
教育への公費の投入は、さらに増強すべきものである。」ということな
どもお書きになっていらっしゃる。
私学助成の精神から言いましても、その国公と私立の格差を是正するという、これは大きな意味になっていたと思いますが、この格差がますます広がっていくのではないかという
状態になっているわけです。
たとえ
財政再建という名の
もとに
行政改革が行われておりましても、この
私学助成をまた来年も再来年も伸ばさずにおくということは、日本の高等
教育にとって非常に重大な問題を引き起こすと思いますが、これに対して
大臣どんなふうに対処されていらっしゃるのか、お答えを伺いたいと思います。