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有島委員 この道を開いていただいてから十年になるわけですけれども、じゃあその
実績ですけれども、これも余り時間がないのだけれども、大分進んできておるということはまあ間違いない。しかし幾つか問題点がございまして、どういうところで進んではいるが、どういったところでは進んでいないというところがあるわけです。
これは
大臣も目を通していただきたいと思っているのですけれども、一つには公立大学、ここではほとんど
実施されておらないし、それから学校規則の改正もまだなかなか進んでおらぬというような
実態がございます。それから、外国との間の単位の互換、これは順調に進んでいるというか、どんどん進めていっていい形であろうかと思うのですけれども、もう一つ国立ですけれども、国立の中で
実施しておるのが九十三校中九校であるということになっているわけです。
それで、その他問題でございますけれども、私が
考えておりますことは、一つには従来の伝統的なといいますか、やや閉鎖的な大学当局のお
考えもあろうかと思います。しかし、単位の互換を進めなければならないというような必然性ですね。特徴がある研究をやっておるというようなことですね。さっき温泉のことも出た。温泉に関してはわが大学に来いというような——現実にいま
国立大学の中でよく進んでおりますのは地球物理学と地震学と気象学ですか、というような分野であろうかと聞いておりますけれども、これなんかはもうそれぞれに機械を備えなければならぬ、人員が必要である、これを各校に配置するわけにもいかぬというような事情がある。それぞれ特徴のある配置をすることができる。できるし、そうしなければならぬという、これからの問題ですからね。だから、単位の互換が進んでいるか進んでいないかということの裏には、何か画一的な指導が行き届いてしまってなかなか特徴のある学問研究が進みにくいというようなそういう従来の大学の体質というものが背後にあろうかと思うのですね。そういった点についてもこれは今後の大きな
検討課題にしていただきたい、これが一つです。
それからもう一つは、この中でもって高等
教育の構造の柔軟化、流動化、弾力化というふうな
言葉が出てくるわけですけれども、これは裏を返して、裏目に出て何となくだらしがなくなってきちゃうということでは困ると思うのですね。私どもが単位の互換を大いに進めていかなければならぬというのは、一つには各大学における特徴ある学問研究を進めるという意味がございました。もう一つは、今度は
学習者側にとっても、多様な需要に備えられるということもあるわけですけれども、大学における
教育の質を高めていく、大学に入ったら四年いれば出られるのだというようなことではなしに、平たく言えば、入るのはだれでも入れるけれども、出るということについては一つのキャリアを持たなければ出してあげませんよというような、ここで言うと卒業資格の問題ですか、設置基準の
言葉で言えば「卒業の要件」ということですね。それでその中に、いわゆるゼミナールのような形式ですね、五人でも十人でもいい、そうした小単位の
学習形態というものを各大学でもって確保すべきではないか。現実にもうゼミナールもちゃんとやっているところはたくさんあるわけでございますけれども、やらぬところというか、あるいはそれが必修科目にもなっておらないというようなことがたくさんあります。
それから単純計算でまいりますと、私立大学の法文科系というようなところは教授の数が足りないというようなことを言われている面もございますけれども、個別的によく見ますと、可能なんですね。それでやはり一人の青年が、あるいは
学習者、学究者が一年ないしは数年にわたってある研究者、学者のもとに一つの研究なり
学習をするということの意味合いの重大さというものが今後ますます重くなってくるのじゃないかと思うわけです。いろいろな情報は、さっきも情報化
社会ということを言われました、情報としては、何も大学だけが情報の独占ということではない世の中になっているわけです。その中で大学が大学として本当に次の
時代の研究者をつくっていかなければならぬというような、人と人とのつながりといいますか、通り一遍でない一つのつながりというもの、これはこれから
学校教育全般に大きな問題となっていこうと思いますけれども、いままで自明であったことが今後は相当意識をされて、それに集中して、そこに配慮を加えていかなければならないところであろうかと思うのですね。単位の互換ということがこのようにだんだん広がっちゃうと、次のことはどうしても少人数の
教育あるいは
学級編制というものを卒業の条件のところまでに入れるべきではないかということなんですよ。
ちょっと
説明がわかりにくい面があるかもしれぬけれども、これをひとつ配慮をしていただきたい、早急に本当は実現してもらいたいというところであります。
大臣からお答えをいただいて、私の質問を終わります。