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金子(み)
委員 お話はよくわかりましたが、私の方からも要請をしておきたいことがあります。余り
公共料金は抑制を厳しくするとツケが返ってくるというような御発言がありました。しかし、それでもやはり、
民営の場合と
公営の場合との違いというのは基本的に違っているというふうに考えられます。
公営の場合には厳しく指導されるということですけれ
ども、何となくそこに違いが出てきて、緩やかなものがそこにひそんでいるのじゃないかなという感じもあるわけです。ですから、厳しくなさるという発言、
言葉では厳しくとおっしゃっておられますけれ
ども、それがどの程度になされるものかということに疑問を持つわけなんです。しかしこれから先の問題、いままでの五年間は、石油ショックの後抑制をしたから、そのツケがいま返ってきてそういう
数字になっているのだというふうに言っておられるのだと思うのですけれ
ども、これから先のことを考えて、ここでどういうふうにしたらいいかということが私は行政の妙だと思います。ですから、抑制の仕方あるいは抑制の程度あるいは手段
方法等いろいろあると思いますけれ
ども、それを的確になさって、何年か先にツケが回るようなかっこうにするのは困ると思いますけれ
ども、このままにしておいたらますます
公私の格差はひどくなっていくのじゃないかという懸念も見えてまいってきておりますから、その辺をよく考えて、
国民生活が脅かされることがないように、少なくともこの逆の形がつくられることのないように、ぜひその点は厳しく的確に指導していただきたいということを強く要請しておきたいと思います。
それから、やはり
公共料金の問題でございます。先ほどから
公共料金のいろいろな例を挙げてきたわけですが、いろいろな項目で問題はあります。しかし中でも一番、私は
数字を見ていて、これは大変だな、こういうことになっているのは驚いた、何とかしなければならないのじゃないだろうかというふうに思いつきましたのは、ほかのものに比べて大変に突出して大きな
数字を示しているもの、すなわち
公共料金の
値上げのひどさですね、それがあるのが、何かと申しましたら
教育の費用なんです。
教育の費用というものは、
家計の中で考えてみても、ほかのものと比べて、たとえば被服なんかの場合だったら、去年買ったからことしは倹約をしようとか、あるいはもう少しこれは使えるから新しいのに買いかえないで節約をしましょうとか、こういうことができると思うのですけれ
ども、
教育費ばかりは節約もできないし、まけてもらうこともできないし、
家計に赤字が出ても
教育費だけは支払わなければならないという、大変絶対的な性格があるわけですね。ですから、これは大変な問題だと思うのです。
そこで、
教育費がどんなふうになっているかということなんですが、改めてああそうかというふうに思う
数字なんでちょっと申し上げてみようかと思いますけれ
ども、今度は四十八年からずっと五十五年まで八年間ながめてみました。そうしましたら、四十八年から突然と言ってもいいくらいにぐっと出てくるわけでございます。これは
全国中分類
指数の中で調べてみたものでございますけれ
ども、
教育費というのはこの八年間に二けた
上昇です。ちょうど四十八年から二けたになるんですね。四十七年まではずっと一けたで来ていて、四十八年から二けたになっています。ずっと五十五年まで二けたになって、
数字がそこまで示されているわけです。ほかのものを見てみますと、二けたになっているものというのは同じときにないんですね。
教育費だけがこんなに突出してしまったということが言えると思うのです。その結果、私はいつも五十年から五十五年の五年間を取り上げているわけですが、その間に二・〇七倍の
上昇になっております。二〇七・五という
指数になるわけですけれ
ども、このときにこんなに高い
数字を持っておるものはほかにないんですね。これに続いているものというのは、強いて言うならば一七四・八の交通通信がその次に参りますけれ
ども、それでも二〇〇台にはなってない。ほかのものは全部一一八あるいは一三五というような
数字で、二〇七・五などという
数字が出ているのは
教育費だけしかないという問題がここに出てまいります。確かにこれは、悪い方から数えたらトップだというふうに言っていいんじゃないかしらと思います。
言い落としましたが、
総合平均が一三七・二のときですから、それに対して二〇七・五、最も高い
数字を示しているのは
教育費であるということがこれでわかるわけです。
この表の中に五十六年は出てないのですが、五十六年の
教育費の
上昇率は、ほかのもので見ますと七・五%ですから、今度はがたっと落ちるわけですね。さっき四十八年からずっと八年間二けたになっているということを申し上げましたが、それが五十六年に初めて一けたに落ちます。九年目にしてやっと一けたに落ちたということが言えると思います。
しかし、長い目で見てまいりますと
教育費というのは全体に高い。たとえば五十五年の八・七二倍というような
数字に比べて高いものは何があるかといって探してみましたら、食料の中にありまして、
教育が八・七二倍のとき生鮮魚介が一〇四五ですから一〇・四五倍と考えられますので、この方が確かに高いことは高いのですけれ
ども、それ以外にはこういう高い
数字はないんですね。そういうふうなぐあいで、こう見ても、一番悪いのでなくて二番目に悪い
数字だということは言えるかと思うわけなんですが、そんなふうに大変高く出てまいります。
同じ
教育費の問題を、今度は
家計の中に占める
割合として、先ほどの
公共料金の場合と同じように
教育だけを抜き出して眺めてみますと、交通費ですとか保険医療費とか被服とか家具とか、いろいろございますけれ
ども、そういうものと
比較して
家計の
調査というのを
東京都が出している
数字で眺めてみますと、四十八年から五十五年まで見てまいりますと、これもずっと二けたになっているわけです。ほかのものに比べてみますと確かに悪い
数字だということが言えるだろうと思います。
たとえば、四十八年の全世帯で見ますと二千八百七十二円、それがずっとだんだんふえてまいりまして、
最後には、五十五年には八千三百二十五円というふうになりますから、約三倍近く、二・八九倍ということでございまして、同じときにほかのものを探してみますと、そんなに物すごくふえたものというのは見つからないわけでございます。ですから、そういうふうなことから考えても、この
教育費が
家計の中に占める
割合は非常に大きなものがあるということが言えると思うのです。
公共料金そのものの
家計の中に占める
割合が、先ほど来申し上げておりますように非常に重くのしかかってきている、その中で、さらに具体的に取り上げてみました
教育費というのが、ほかのものに比べて大変に重くのしかかっているということが言えると思うのでございます。
そこで、さらに、この
教育費の問題を、先ほどの場合と同じように
公私の
比較を出してみたわけです。これを
大学で見た場合、
高校で見た場合、いろいろな見方があると思うのですけれ
ども、非常にはっきりしたものでひとつ
大学で見てみます。
大学生を家庭に持っている場合の問題です。これは五十五年十二月ですが、全世帯
平均が
教育費については六千四百七十五円、
消費支出に対して二・九%。そのときに、
私立大学に通う子供を持っている場合はその費用が三万八千八百四十円で、
消費支出に占める
割合が一一・七%。同じときに、国立
大学の場合はどうかといいますと二万三千五百十円、七・七%。
私立大学の方がはるかに高いということが言えると思います。これは
教育費そのものずばりなんですが、
教育関係費として関連する費用を含めて入れますと、全世帯の
平均が一万五千五十六円で、
消費支出に対して六・八%。このときに
私立大学は一五・七%、五万二千十四円かかっています。国立
大学は三万九千百七十四円で一二・八%。こういうふうに違ってまいります。ですから、
公私の違いというものがここにも出てきているということが言えるわけです。
さらに、それにもう
一つ、別のところの
調査がございますのを見てみますと、これは子供の
教育費に関するアンケート
調査というのを東海銀行の「すまいとくらしの相談室」というところがとっている
数字なんですが、これで見ますと、
幼稚園から
大学まで
私立と
公立とあるわけですけれ
ども、一々申し上げている時間がありませんからまとめの
数字だけを申し上げ、とにかく
私立と
公立の格差のひどさというものを申し上げようと思っているわけなんですけれ
ども、
幼稚園から
高校まで
私立と
公立と分けて
資料が出ていますが、たとえば
幼稚園ですと
公立の二・二倍、小
学校は七・七倍、中
学校が五・四倍、
高校が二・四倍、こういうふうな
教育費の結果が出ております。
さらに、今度は、子供の
幼稚園から
高校卒業までの十四年間にかかる費用というものはどういうものがあるかというのが示されていますが、これを見て、いまさらのようにびっくりするわけなんです。
公立だけのコースをたどった場合、
幼稚園も、小
学校も、中
学校も、
高校も、
公立だけをずっと通してきた場合は百三十二万八千円かかるというふうに示しております。ところが逆に、
私立だけを通してきた場合、四カ所ともずっと
私立で通してきた場合は六百九十八万六千円という
数字ですから、
公立だけの場合の五・三倍、大変に高い
数字になるわけです。こういうような
数字が示されて、
公私の差が非常に大きいということがよくわかるわけなんでございます。
私は、ここでもう少し例を出そうと思いましたけれ
ども、時間がありませんから例を省きまして、
最後のお尋ねにしたいと思うのですけれ
ども、
公私の格差ができている原因というのをまず
一つ知りたい。
それから、いま時間がないから申し上げませんでしたけれ
ども、都道府県別にこれを調べたものがあるわけです。
授業料、入学金、それからいろいろな施設拡充費その他を合わせた、都道府県別の
調査がございます。
数字を申し上げるのはまたの機会にいたしますが、都道府県別でも大変にアンバランスがあるのですね。物すごいアンバランスがあるので驚きました。
東京とか神奈川、あるいは大阪とか京都という大都会が高いというのが出ておるのは一応うなづけるようにも思えますけれ
ども、そのほかにも、たとえばこれは地域的な問題でもなさそうですが、関東とか関西とかいうことではなくて、北陸三県を比べてみて、富山、石川、福井と並んでいますのを見てみますと、富山も石川も大変に低いのです。ところが福井だけがずば抜けて高い、倍以上、こういうようなのが出てきます。これは北陸三県を
比較する理由もないかもしれませんけれ
ども、とにかくそのほかに二分の一、三分の一というように違ってくるのですが、このアンバランスがなぜあるのかという問題が
一つです。
それから、従来、
私立の費用を緩和するという目的で、私学振興財団を通して国庫
負担が行われているということも承知いたしておりますけれ
ども、それを緩和するために国庫
負担で交付されているにもかかわらず、
私立学校の
教育条件が大変に悪いということがまた別の
資料で非常にはっきりと出てきております。
幾つも例がございますが、
一つだけ申し上げますと、
授業料は高い、入学金は高い、
教育に対する費用は
公立に比べて何倍も高い、しかも国庫
負担をもらっている、それにもかかわらず、学生一人当たりの
教育費は
公立が百七十四万一千三百七十八円、これは一九七九年でございますが、それに対して、
私立は六十三万三千七百七円しか学生一人当たりの費用を使っていない。これはどうしても腑に落ちないのです。これでは国庫
負担で交付している理由がないじゃないかと言いたくなるぐらいに私は感じているわけです。そして、教師一人に対する学生の数も大変多い。こういうふうに
教育条件が大変悪いのですが、この辺をどういうふうに考えられるか。文部省のどなたに御答弁いただいたらいいのかよくわかりませんが、四人来ていらっしゃるのですが、どちらでしょうか。その点をひとつ、おかしいじゃないかという疑問を解いていただきたい。