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新村委員 財政によらない
最終需要の最も早い有効な方法は所得政策じゃないかと思うのです。ところが、
政府は別にその先頭には立っていらっしゃらないと思いますけれ
ども、財界では何か、厳しい
状況の中だから春闘も抑えるのだ、賃上げも抑えるのだということで、そういう空気が支配的なようでありますけれ
ども、こういう
考え方はまさに後ろ向きの
考え方でありますし、ことしの賃上げなんかももう少し奮発をすれば
日本経済の
活力にはかなりプラスになったんじゃないかと思うのですが、そういう点、非常に残念でございます。
政府が賃上げを指導する、露骨に指導するわけにはいかぬと思いますが、そういう点もひとつ念頭に置いていただきたいと思います。
時間がありませんので次の問題に入りまして、地価の問題でありますが、
物価全般としては卸売
物価、消費者
物価ともに鎮静をいたしております。これについては大変結構なことでありますけれ
ども、その中で地価だけが必ずしも鎮静をしていない、むしろ高騰の傾向が見られるということがあるわけです。
最近国土庁で発表した全国土地公示価格、それに基づく上昇率を見ますと、平均して
住宅地が八・三でありますけれ
ども、これは平均でありまして、高いところは二けた台がざらであります。特に大都市圏、東京圏は軒並み二けたであります。それと、国土庁が行った
調査というのは必ずしも実勢を反映していないというふうに
考えるわけでありまして、たとえばこれは
新聞社の
調査でありますが、選定の場所をかえておるというのですね。選定地がえをやっておるということは、図的にとは言いませんけれ
ども、こういうことをしますと地価高騰の本当の姿が出ないということが
考えられるわけです。
そこで、地価の選定の地点をかえたということも考慮に含めながら、これは
新聞社の
調査ですけれ
ども、首都圏、武蔵野、小金井、三鷹、国立というようなところを調べてみますと、三年間で宅地は全部二倍以上になっておる、こういう事実があるわけです。こういうことについて、これは大変重大な問題でありまして、
物価鎮静の中で地価だけが高騰するということは、いわゆる社会正義の上から言っても許されないことでありますし、土地政策は
物価問題の基本に据えられるべき問題でありますので、この点、特に企画庁においても念頭に置いていただきたいわけです。
消費者
物価については五十一年以来ずっと一けた、五十一年が九・三、五十二年が八・一、五十三年が三・八、五十四年が三・六というふうに、非常に好調にきておるわけです。五十五年はちょっと上がっておりますが、五十六年も二けたになることはまずない、一けたの下の方だということで非常に結構なわけでありますが、その中で地価だけが上がっておるということは非常に問題であります。
そこで
建設省にお伺いしたいのですが、この地価高騰ということは都市計画法の
運営と密接な
関係があると思うのです。
政府においては、都市計画法の抜本的な改正によって、十年くらい前ですか、主要な都市計画法施行地を市街化区域と調整区域とに分けて、それで有効な土地の使用ということを企図されたようでありますけれ
ども、いまや都市計画法が地価上昇の
一つの要因をなしているのではないか、こういうことが
考えられるわけです。それと同時に、この地価高騰が
住宅建設を大きく阻害しているということが言えると思います。
たとえば、地価はいま申し上げたようにかなり急速に上昇しております。これは
不況も手伝っておりますけれ
ども、
不況だけではなくて、これがむしろ
不況をつくり出しておるということも言えます。五十二年から五十三年というふうに、逐年
住宅建設の戸数が大幅に落ち込んでおるわけですね。五十三年が百五十四万、五十四年が百四十九万、五十五年が百二十六万、五十六年が百十五万というふうに急速に落ち込んでおるわけでありまして、これは
不況のために落ち込んでおるということも言えますけれ
ども、また落ち込んでいることが
不況をつくっているということも言えるわけでありまして、相互
規定的な
関係にあると思うのです。そういう
関係で、この土地政策がいまや
マイナスに作用しているというふうな見方ができるわけでありますけれ
ども、まず
大臣からその点についての御見解と、それから、都市計画法がいまや所期の目的を達してない、地価上昇の
一つの要因をつくっているのではないかということについての
建設省の御見解を伺いたいと思います。