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武部委員 この
委員会で、きょうで三回目でございますが、景気の動向について同僚の
皆さんから、いろいろと長官の所信表明に関連をして
質問がございました。私も時間をいただきまして、きょうはその問題を中心に
政府の見解をお伺いいたしたいと思います。
昨年の十月から十二月期にかけて、
わが国の
経済が実績として初めて
マイナス〇・九、こういう記録を実はつくったのであります。これまで、国内需要が低迷しておる中で輸出は大体順調に行われてきた。しかし、御承知のようにいま
貿易摩擦でごたごたが起きてきた、あるいはヨーロッパ通貨に対して円高が起きてきた、さらにはEC諸国に向けて輸出が次第に落ち込んできた、特に去年の下期において、ECに対する
数字を見ると前年同期で二二・二、こういう非常に高い落ち込みを見たのであります。このように
わが国の
経済が非常に好調であったということは、輸出、これが
わが国の
経済を引っ張ってきた、こういうふうに見てよかろうと思うのですが、先ほど申し上げましたようにECの輸出の鈍化、あるいは
アメリカ向けの輸出も減ってきた。ことし二月の新しい統計の通関
ベースによりますと、前年同月比で二月が三・七%の減、輸出ダウンが相変わらず続いておるのでありますが、そうなると一体五十六年度の四・一%、この成長はもはや夢だ、こういうふうに言わざるを得ないと思います。五十六年度の四・一%が現実に達成できないということになれば、いま問題になっておる五十七年度の五・二%、このもの自体が五十六年度の四・一%というものを前提としたものだ、こういうふうに見なければなりませんからこれも達成できない、こういうことになるのではないかと思われるわけです。
御承知のように
税収も非常に落ち込んで、五十九年度に赤字国債ゼロ、こういう鈴木内閣の
国民に対する公約、政治生命をかけると言われておるこういう財政再建も破綻するんじゃないか、こういうふうになるわけですが、こうした中で、いま春闘がいよいよこれから本格の場を迎えるわけですが、勤労者の
状況を見れば、何回かここでお話があったように、累進課税でどんどん税金はふえる、社会保険料もふえる、こうして可処分所得は二年連続して
マイナス、こういう
状況になって、勤労者自体の生活が非常に落ち込んできておる、こういうことになっているわけです。
一方、
経済摩擦で特に
アメリカからは門戸開放を強いられる、こういう
状況でございまして、これを解決する道は、長官が何遍も言っておられるように内需の拡大だ、こういうことを言っておられるわけですが、私は今後も、この内需の拡大というのは
わが国の最も緊急な政策課題だ、このように思います。
こうした立場に立ってこれから
質問をするわけですが、きょうこれから
政府に
質問をいたします問題は、主として財政政策によるところの景気浮揚策、それから
賃金のあり方、もう一点は
公共料金の問題、この三点にしぼって
質問をいたしたいと思います。
そこで、
最初の方は私どもの見解を若干述べまして、長官のお考え方を聞きたいのでありますが、五十六年度の
実質経済成長率、先ほどこれを四・一と言いましたけれども、これは不可能だ、仮にこれを三%になったというふうにいたしますと、私の計算によれば一-三月期はGNPは二・三%でなければ三%にならぬのであります。達成できぬのであります。一-三月期が二・三というGNPということになりますれば、これは年率にして実に九・五%、年率九・五というのは瞬間風速にとっても大変な
数字であります。いまの
経済情勢の中で、
経済指標をそれぞれ見てもこれは全く夢のような話だ、このように思わなければなりません。
そこで仮に二・五%成長、三%はこれもまた無理だ、二・五%成長ということになりますと、
名目は七%の
名目でございましたが、これが四・三くらいに落ちることになります。大体この
数字は、私どもの計算では当たらずとも遠からずの
数字だろう、こういうふうに思うのです。そうなれば、これは
名目ですでに二・七ポイントも下回ることになるわけです。GNPに計算をいたしますと、五十六年のGNP見込みは二百五十五兆であります。正確には二百五十五兆八千億、こういうことになっております。したがって、二・七ポイントも下回るということになりますとこれは大体六兆九千億円に当たるのです。約七兆円ですね。この七兆から資本の減耗分、いわゆる減価償却を差し引きした場合に、これを
国民所得に直しますと五兆六千二百四十億にもなるのです。計算方式は言いませんが、これだけ
国民所得が減ることになるのです。四・一はとても不可能、三も不可能、そうして大体二・五、二・五と見てもこれだけ
国民所得が減る、こういう
数字になるのですが、これを一億人で割ると大体一人五万円、五万円以上の
国民所得が減るということになるのです。
この
国民所得に対して租税の負担率はどうかというと、五十六年度で国税一六、地方税が八・六、合計二四・六です。したがって五十六年度の
税収不足は国税で約九千億、地方税で五千億、合計して約一兆四千億円、この間新聞に出ておったのとちょうど合いますが、きのう大蔵
大臣は一兆五千億、いや、それよりも多くて二兆に近いかもしらぬというようなことを言っておったようでありますが、こういうふうに、五十六年度の成長がダウンをした結果、
税収不足は一兆四千億以上あるいは二兆になるかもしれぬ、こういうことになっておるわけです。
そこで、大蔵省に
最初にお聞きをいたしますが、ことしの二月に五十六年度の補正予算が国会を通過いたしました。五十六年度の国債の追加発行六千三百億、そのうち赤字国債三千七百五十億、これは問題になりましたけれども、認められたわけです。さらに一兆円以上の歳入欠陥が避けられない、一兆どころか一兆五千億を超えるかもしらぬ、こういう事態になった、こういう
状況の中で一体大蔵省はどういうふうにこれを措置されようと思っておられるか、これを
最初にお伺いしたい。