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島田委員 構造政策、構造政策とおっしゃいますが、私がいま申し上げた点で御理解がいただいていないようであります。
農林省おっしゃるように、構造改善のイロハと言われる
経営拡大にも取り組んだのです。二ヘクタールからのここ三年間における
経営拡大をやったんです。しかし、やったら
所得が落ち込んだじゃないですか。構造政策、構造政策ともうばかの
一つ覚えみたいに
政府はおっしゃいますけれども、それがどんな結果をもたらしているかということは、このわずか三年間の
数字で明らかじゃないですか。私はそれが言いたくて、先ほど
数字を細かに挙げたのであります。
しかも、
農業の純
生産部分で、それでは
生産性がどのように高まっているのかということを見てみましたら、労働の分野においては、確かに十時間
当たりで見ましても、五十三年には一万二千五百円でありましたのが五十五年には一万五千円と、労働の
生産性は高まりました。まじめにやったからであります。ところが、土地と特に固定資本においては大変回転率が悪い。これで構造政策一本やりが正しいと言えるかどうか。たとえば千円
当たりの固定資本で見ますと、五十三年は一千九十二円でありましたものが五十五年には八百七十八円と、非常に効率の悪
いものになっているのです。
経営の規模を拡大しました。まじめに一生懸命労働も投下しました。しかし、大事な資本の回転率はこのとおりであります。つまり、投下資本の回収というのは、
農業経営というものの持っております体質からいいましても、そんなに簡単に短時間で回収できるものでないということであります。
そうだとしますと、その回収を早める手だては何かといえば、やはり大事なのは
価格ではないですか。
価格がどうあるかによってこの回転率が高まってまいります。投下した労働に対する報酬が正当に得られます。それは
経営を維持し、生活を守ることができるということになるのであります。
北海道の
農家経済がこんなに落ち込むということを引き上げていく作用でいま大事なのは
価格だということが言える、私はこう思うのです。
この点の御
認識が、どうも私と
大臣とでは違うようであります。あなたは、親分がやめられたからといって動転しているのじゃありますまいな。まともに私の話を聞いていただきたい。現職の農林
大臣である限りは責任があるのであります。しかも、あなたの手で
最後の
畑作三品の
価格決定が行われるでしょう。これは
農家にとっては、あなた自身が依然生殺与奪の権を持っているということなんでありますから、無責任にお考えいただいては困ると私は思う。ぜひ真剣にひとつお聞き願いたい。
そこで、長いやりとりをしておりますと時間だけ過ぎ去っていきますから、さて、それじゃ
てん菜はことしの場合どうか。すでに
パリティで
決めるというお考えでありますから、
パリティが一体幾らかというのは大変重要な
価格算定の
基本になるわけです。一・五三%と
説明されております。そうすると、一体どれくらいになるのかというのもおよそ見当のつく話であります。ところが、昨年、一昨年から
生産性向上反映方式というまことにわけのわからぬ方式を持ち出してまいりまして、まじめな
北海道の
農家の
努力に水をかけるような
価格決定が行われてまいりました。私はきわめて遺憾だと思う。昨年なんか大変なことでした。それでも四・六%上げたんだからありがたく思え、こう言われておりますが、ちっともありがたくないばかりか、ますます大変な
状態に追い込むという結果にしかならなかった。ことしは物価がそれだけ総合
パリティにおいても下がったということをこの
数字があらわしているのでありますが、私は、この際、
統計について大変深い疑問を持っておる一人であります。
おとりになっている
統計が誤っていると申し上げているのではありません。
統計情報部が出されました
数字は、これはあらゆるデータをもとにして出されたのでありますから、信憑性のきわめて高
いものだというふうに理解するのが常識というものでありましょう。しかし、政治は、それだけで進めていっては現場の
農家の感覚と狂う場合があります。物価も同じであります。総理府は物価はいま上がっていない、こう言って
説明しても、買い物かごを下げてお店に買いに行っている奥さん方の生活実感としては、ちっとも下がっていない、こうおっしゃる。だとすれば、政治はどこに尺度を当てて進めていくべきか。
統計なのか、国民生活の実感のところに目安、目標を置いて
対策を進めていくのか、どっちをとるのか、これが政治の大事な進め方だと私は思う。幾ら物価は下がった、
農業用諸資材もこのように下がっております、こう言ったって、実際手に持って農薬をまき、肥料をまき、農機具を使う
農家にしてみればちっとも下がっていないという実感がある限り、それをフォローしてやるのが政治というものではないでしょうか。奥さん方の物価高に対する生活感覚を鎮静化させていくというのが政治ではないか。
統計だ
統計だ、
統計の
数字がこうなっていると言ったって、国民生活は大変だというのにそこのところにちっとも目を向けようとしなかったら、これは政治ではない。これと同じことが
農家の場合にも言えるのではないか。しかし、この論議をやりますと時間が長くなりますから、そういう大事な政治の
姿勢というものがそこにあるべきではないかという点だけ、きょうは
指摘しておきたいのであります。
さて、いろいろ巷間伝わっております話によりますと、昨年と同じ
生産性向上反映方式をとろうというお考えのようであります。私は、ことしはそれをおやめ願いたい。なぜなら、ことしは、先ほども申し上げましたように大変天気がよかった。
農家の
努力もありました。先ほど
局長の御
報告によって明らかなように、珍しく
史上最高の
収量をいまや
てん菜は得ようといたしております。すでに収穫が始まっております。
砂糖も大変糖分がよ
いものであるというのが一般的な常識でありましょう。ことしは、水
ビートだなんて幾ら言ったってそんなものは通らぬ話でありまして、現実にいい
ビートができました。
砂糖のたくさんだまった
ビートがいま圃場から掘り出されつつあります。だとしたら、
農業の食糧政策の大事なもう
一つの柱は、よ
いものをつくったら正当に買い上げる、あるいは正当に
価格が保証されるというのが常識でしょう。い
いものがとれた、値段は下げる、これは私は社会通念の上から言えば常識に反すると思うのであります。せめて一・五三%という
パリティが正常に
農家のふところに入ってくる、
価格に反映するということが大事である。そしてまた、ことしはそれができる年だと私は断定いたしております。
食品流通局当局の現在までの作業のお進めの段階の経過を御
説明願えれば、この際伺っておきたい、こう思います。