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1982-08-04 第96回国会 衆議院 農林水産委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十七年八月四日(水曜日)     午前十時七分開議  出席委員    委員長 羽田  孜君    理事 加藤 紘一君 理事 亀井 善之君    理事 戸井田三郎君 理事 渡辺 省一君    理事 新盛 辰雄君 理事 松沢 俊昭君    理事 武田 一夫君 理事 稲富 稜人君       上草 義輝君    太田 誠一君       川田 正則君    木村 守男君       岸田 文武君    北口  博君       北村 義和君    久間 章生君       近藤 元次君    田名部匡省君       高橋 辰夫君    丹羽 兵助君       保利 耕輔君    三池  信君      三ツ林弥太郎君    山崎平八郎君       小川 国彦君    島田 琢郎君       田中 恒利君    竹内  猛君       日野 市朗君    安井 吉典君       吉浦 忠治君    神田  厚君       寺前  巖君    小杉  隆君  出席国務大臣         農林水産大臣  田澤 吉郎君  出席政府委員         外務省経済局長 深田  宏君         外務省経済局次         長       妹尾 正毅君         農林水産大臣官         房長      角道 謙一君         農林水産省経済         局長      佐野 宏哉君         農林水産省構造         改善局長    森実 孝郎君         農林水産省農蚕         園芸局長    小島 和義君         農林水産省畜産         局長      石川  弘君         農林水産技術会         議事務局長   岸  國平君         食糧庁長官   渡邊 五郎君         水産庁長官   松浦  昭君         通商産業政務次         官       原田昇左右君         通商産業省貿易         局長      福川 伸次君  委員外出席者         警察庁刑事局捜         査第二課長   森広 英一君         外務大臣官房外         務参事官    長谷川和年君         大蔵省理財局国         有財産審査課長 小林 靖典君         大蔵省銀行局保         険部保険第二課         長       田中  寿君         国税庁調査査察         部調査課長   平北 直巳君         運輸省船舶局検         査測度課長   石井 和也君         海上保安庁警備         救難部救難課長 藤原 康夫君         会計検査院事務         総局第五局上席         調査官     山口  豊君         参  考  人         (日本中央競馬         会常務理事)  近藤  充君         農林水産委員会         調査室長    小沼  勇君     ————————————— 委員の異動 七月三十日  辞任         補欠選任   寺前  巖君     野間 友一君 同日  辞任         補欠選任   野間 友一君     寺前  巖君 八月四日  辞任         補欠選任   北村 義和君     久間 章生君   阿部 昭吾君     石原健太郎君 同日  辞任         補欠選任   久間 章生君     北村 義和君   石原健太郎君     小杉  隆君 同日  辞任         補欠選任   小杉  隆君     阿部 昭吾君     ————————————— 七月十四日  昭和五十七年産生産者米価引き上げに関する  請願近藤元次紹介)(第四三九六号) 同月二十一日  農業基本政策確立及び昭和五十七年産米の政  府買価格に関する請願北口博紹介)(第  四五二三号)  食料農業基本政策確立及び要求米価実現に  関する請願外一件(井出一太郎紹介)(第四  五三九号)  同(小坂善太郎紹介)(第四五四〇号)  同外一件(羽田孜紹介)(第四五四一号)  同(小沢貞孝紹介)(第四五四六号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第四五四七号)  同(倉石忠雄紹介)(第四五四八号)  同(倉石忠雄紹介)(第四五七七号)  同(小坂善太郎紹介)(第四五七八号)  昭和五十七年産米価及び稲作農業生産性向上  に関する請願赤城宗徳紹介)(第四五七六  号) 同月二十九日  農業者年金基金制度改善に関する請願岡田利  春君紹介)(第四六一七号)  同(小林恒人紹介)(第四六一八号)  同外一件(島田琢郎紹介)(第四六一九号)  同(塚田庄平紹介)(第四六二〇号)  同(横路孝弘紹介)(第四六二一号)  同(五十嵐広三紹介)(第四七二五号)  同(池端清一紹介)(第四七四七号)  生産費所得補償方式による生産者米価実現  等に関する請願瀬崎博義紹介)(第四六二  二号)  同(寺前巖紹介)(第四六二三号)  同(野間友一紹介)(第四六二四号)  同(林百郎君紹介)(第四六二五号)  同(藤田スミ紹介)(第四六二六号)  同(蓑輪幸代紹介)(第四六二七号)  同(村上弘紹介)(第四六二八号)  同(山原健二郎紹介)(第四六二九号)  食料農業基本政策確立及び要求米価実現に  関する請願外三件(串原義直紹介)(第四六  三〇号)  同外一件(清水勇紹介)(第四六三一号)  同(下平正一紹介)(第四六三二号)  同外一件(中村茂紹介)(第四六三三号)  同(林百郎君紹介)(第四六三四号)  同外一件(林百郎君紹介)(第四六六八号)  昭和五十七年産米政府買価格引き上げに関  する請願小沢一郎紹介)(第四六五九号)  農林水産業改良普及事業体制維持強化に関す  る請願小沢一郎紹介)(第四六六〇号)  農畜産物輸入拡大阻止に関する請願小沢一  郎君紹介)(第四六六一号)  マツクイムシの防除に関する請願小沢一郎君  紹介)(第四六六二号)  農林業再建基本政策確立等に関する請願外五  件(串原義直紹介)(第四六六三号)  同外四件(清水勇紹介)(第四六六四号)  同(下平正一紹介)(第四六六五号)  同外三件(中村茂紹介)(第四六六六号)  昭和五十七年産米政府買価格引き上げ及び  食糧農業政策確立に関する請願串原義直  君紹介)(第四六六七号)  米作の減反拡大中止及び食管制度充実等に関  する請願(林百郎君紹介)(第四六九二号)  果汁の輸入自由化阻止及び輸入縮減に関する請  願(林百郎君紹介)(第四六九三号)  トマト関係品目輸入縮減等に関する請願(林  百郎君紹介)(第四六九四号)  昭和五十七年産米政府買価格に関する請願  (平沼赳夫紹介)(第四七二四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  繭糸価格安定法の一部を改正する法律案起草の  件  農林水産業振興に関する件  繭糸価格安定対策に関する件      ————◇—————
  2. 羽田孜

    羽田委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。亀井善之君。
  3. 亀井善之

    亀井(善)委員 大臣は、参議院の本会議の予定もあるようでございます。時間が限界があるわけでございますから、まず最初に、九州地方中心とする七月の豪雨、あるいはまた引き続き襲った台風十号によります農林水産業被害に対し、農林水産省はいろいろ対策を講じておられると思いますが、たとえば天災融資法発動であるとか、あるいは生鮮食料品確保等についてどのような対策をお持ちでありますか。特に、果実等につきましては大変な被害を受けておるわけでございます。  これにつきまして、大臣、ひとつ簡単にお答えをいただき、後ほどこの被害状況等につきまして事務当局より御説明をいただきたいと思います。
  4. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 九州地方中心とする七月の豪雨による農林水産業被害は、七月三十一日までの関係県からの報告によりますと、被害額は八百億円弱でございます。その主なものは、農地農用施設林地荒廃等であります。  また、八月二日に中部地方に上陸した台風十号は、広い地域にわたっての農産物被害がございました。この被害状況については、目下調査中でございます。また、農林水産省として、後で事務当局から説明いたしますが、被害状況に応じて適時適切な措置を講じておる次第でございます。  ただいまお話しの天災融資法発動につきましては、被害調査の結果を得次第、被害実態に即して適切な措置を講じたい、かように考えております。  生鮮食料品確保でございますが、これは、私、一番心配したところでございます。特に長崎市における生鮮食料状況は、道路が完全に閉鎖されました関係から一時非常に心配されましたけれども、その後順調な需給状況にあるようでございます。  いずれにしましても、集出荷団体及び小売店その他の団体といろいろ協力をしながら最善の努力を進めてまいりたい。問題は、野菜の産地の被害よりも、やはり交通ルートが非常に遮断されたということによる高値が予想されますものですから、それを一番心配しているわけでございます。東京都においてもいま非常に品不足のものが幾らかあるようでございまして、そのことが高値を予想されるような状況にございますので、それに対する対策も今後鋭意積極的に努力してまいりたいと考えております。  以上申し上げ、後ほど事務当局から御説明させます。
  5. 角道謙一

    角道政府委員 七月の豪雨台風十号の被害状況及びその対策について、補足的に御説明申し上げます。  まず第一に、七月の豪雨でございますが、被害状況といたしましては、九州地方中心といたしました七月中旬以降の梅雨前線豪雨によります農林水産業関係被害は、七月三十一日までの関係県報告によりますと、農業関係におきましては、農業用施設中心にいたしまして五百六十七億円、林業関係では二百十億円、水産関係では十一億円、合計七百八十八億円となっております。主な被害県は、長崎熊本、佐賀、大分北九州地方でございます。  私ども、この災害が生じました後、現地調査等を行ったわけでございますが、まず第一に、七月二十四日、農林水産省調査団といたしまして、林野庁の治山課長ほかを長崎県下に派遣しまして、現地調査を行ったわけでございます。  また、七月二十五日、松野国土庁長官を団長とする長崎県下への政府調査団に、当省からは構造改善局防災課長を参加させております。  七月二十四日から、災害査定官長崎熊本大分県下に派遣したところでございます。  また、食品流通局市場課長長崎県下に派遣をいたしまして、生鮮食料品確保について指導に当たらせたところでございます。  応急対策といたしましては、農地農業用施設等災害復旧につきましては、緊急地区応急工事及び被災個所復旧工事等につきまして現地指導を行うとともに、緊急地区査定前着工、緊急査定実施等指導しております。また、必要があれば査定設計書の作成の応援等準備をいたしているところでございます。  林業関係災害復旧につきましては、緊急を要するものにつきましては、事業主体準備が整い次第、緊急治山事業等によりまして早期復旧を図ることにいたしております。  生鮮食料品確保につきましては、先ほど大臣からもお話がございましたように、集出荷団体への要請等を行いますとともに、食品流通改善推進員等を動員いたしまして、巡回パトロール等実施を行ったところでございますが、現在のところ、生鮮食料品小売価格については、全体としては大きな変動はないように承知しております。  今後とも被害状況把握に努めまして、被害状況に応じ、農業共済金早期支払い被災農家に対する資金対策等、適時適切な対策を講じたいと考えております。  次に、台風十号でございますが、被害状況といたしましては、大型の台風十号が八月二日零時過ぎ渥美半島に上陸した後、中部地方の西部を通りまして日本海に抜けたところでございます。  この台風の接近及び通過に伴いまして、近畿地方東海地方関東地方北陸地方及び東北地方にかけまして、広範囲にわたりまして強い風があり、これらの地域農作物等被害が発生しております。  被害状況については目下調査中でございまして、具体的な被害金額についてはまだ把握しておりませんが、台風十号が強い風を伴ったために、農作物等の流失、冠水のほかに、果実落下野菜の倒伏あるいは損傷等被害が発生している模様でございます。また、農地農業用施設林地林道等にも被害が発生している模様でございます。  応急対策といたしまして、八月二日、農林水産省に、七月と八月の豪雨対処するため、関係部局から構成された災害対策連絡会議を設置したところでございます。  また、この被害状況把握災害対策指導のために、係官を現地に入るよう地方農政局指示をしております。  また、農作物等被害の軽減につきましては、以下のような指導を行っております。  まず、水稲につきましては、冠水した水田は速やかに排水に努める。また、排水後白葉枯れ病等の多発が懸念されておりますので、適切な防除に努める。追肥及び除草剤の使用は、草勢等に配慮し適切に行う。  次に、果樹につきましては、病害を防止するための薬剤散布を行う。あるいは、葉の損傷が著しい場合は、葉の活力に応じて摘果を行う。落下果実につきましては、極力加工向けに利用する。落下果実病害発生源にならないように、できるだけ早く処理をする。  また、野菜につきましては、草勢回復のため、整枝、施肥、病害虫防除排水徹底等技術指導を行っているところでございます。  その他、作目に応じまして適切な被害回復指導に現在努めておるところでございます。  今後とも、被害状況早期かつ的確な把握に努めまして、被害状況に応じまして適切な対策を速やかにとっていくという方針でおります。
  6. 亀井善之

    亀井(善)委員 まだまだ被害状況というものが把握されてない面があろうかと思います。この面につきましても、適切な措置を緊急にとっていただくよう、お願いを申し上げる次第でございます。  次に、いま農産物自由化等の問題、日米貿易摩擦の問題に関連をいたしまして、通称ブロック書簡、こういう問題について、新聞報道等で大きな問題にもなっておるわけでございますし、私ども、それを拝見して大変ショックを受けておるわけでございます。  そこで、通産省にまず最初にお伺いをしたいわけでございますが、今回の市場開放対策第二弾について、通産省はいかなる考え方で取り組んできたものか。特に農産物については、ブロック書簡通産省が仕組んだ、こううわさされているような新聞記事が大きな活字で出てくるわけでございます。この点につきまして、通産省考え方をひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  7. 原田昇左右

    原田(昇)政府委員 今回の新聞報道について、私ども大変遺憾なことだと思っております。  われわれは、農産物輸入自由化につきましては、関係国との友好関係に留意しながら、国内農産物需給動向を踏まえて、食糧安全保障の上で重要な役割りを果たしているわけでございますから、わが国農業の健全な発展と調和がとれた形で行われることが基本的に重要であると考えておるわけでございます。このような考えから、わが国農業の実情やこれまでの農産物市場開放措置関係国に十分説明しておりまして、大臣は、再三ブロックとかあるいはECの代表等との会談におきまして、日本農産物市場開放の困難であることをるる説明しながら対処をいたしてきたわけでございます。  われわれは、工業製品の思い切った関税の引き下げをやることによって、むしろ農産物市場開放の困難なところをカバーしようというようなつもりで対処をいたしたわけでございまして、それについて今回第二弾という形で決着をつけたわけですが、やはり事前十分根回しをしないでやりますと、第一弾のときのようにこちらの一方的な措置で向こうはただでいただいちゃうというようなことにもなりかねないわけでございますから、第二弾の際は事前に十分な根回しをしてやるというようなことで対処をいたしたというのが実態でございます。  結果をごらんになっていただけば十分おわかりだと思いますが、まず、農産物については、今回の措置はほとんど具体的な開放措置をやったわけではなくて、むしろ工業製品で大きくわれわれが市場開放を前進させたと言っていいのではないかと思います。それによってむしろ農産物の分をカバーしておるというように理解しておりますし、また、ブロック書簡の事実は全くないわけでございまして、われわれが自主的に総理談話も発表し、これを天下に公表した、こういうことになっているというように御理解いただきたいと思います。
  8. 亀井善之

    亀井(善)委員 安倍通産大臣農産物については大変むずかしいということをかねがねおっしゃっていることは、私も承知をしておるわけでございます。そういう面で、農産物問題等につきましては、ぜひ農林水産大臣、農水省が責任を持ってやっていただくことを、この機会になおさらにお願いを申し上げるわけでもございます。  時間が制限をされております。  新聞報道によることでございますが、農民の皆さん方農業団体皆さん方大変ショックを受け、心配をされ、これからどうなることかと不安を持っておるわけでございます。  そこで、ごく簡単にお答えをいただきたいわけでございますが、ブロック書簡内容、この問題につきましては、報道では三十四ページのものであるとか、いろいろ出ておるわけでございます。その内容と同時に、さらに、それに添付書類があった。それは、総理市場開放宣言、一つの声明案というものが添付されておったというようなことが報道されているわけでございますが、そういうものがあったのかどうか、その事実についてひとつ通産省からお伺いをしたいわけでございます。
  9. 福川伸次

    福川政府委員 お尋ねの件でございますが、いわゆるブロック書簡総理談話の一案が添付されておりましたことは事実でございます。  ブロック書簡全体は、パーソナル・アンド・コンフィデンシャル、こういうことに指定されているものでございますので、その内容につきまして詳細にコメントすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、いま先生御指摘の総理談話の案に関連したものにつきましては、総理談話を出すことを特に求めた、こういうことではございませんで、総理談話を出す場合には、輸入拡大でありますとか、いわゆる日本で盛られております輸入に関する諸施策の実効が上がるような指導を求めたということでございまして、特に総理談話を出すようにということを求めたものではございません。  もしブロック書簡全体のことについてということでありますれば、外務省の方からお答えさせていただくのが適当かと思います。
  10. 亀井善之

    亀井(善)委員 その件について、外務省にもひとつお伺いをしたいわけでございます。  そういう添付書類がつけられておった、こういうことがあるわけでございますが、特に他の国の総理大臣声明、そういうものを文案までつけて求めてくるということは、外交常識から考えてもちょっと異例のことではなかろうか、このようにも考えられるわけでございます。特にその声明を出すことを要請してきたものかどうか、この辺のことにつきまして外務省にお伺いしたいと思います。
  11. 深田宏

    深田政府委員 ただいま御質問の点でございますが、ブロック書簡と称されておりますものは、アメリカ側日本の自主的な市場開放の作業の過程におきまして何分の参考にしてほしいということで、アメリカ側考え中心に取りまとめて、正式の外交文書ということではございませんで、内々に複数関係大臣あてに出してまいったものでございます。したがいまして、そこに盛られております内容は、これを日本側に要求しておる、要望しておる、あるいはディクテイトしておる、そういうようなことではない、あくまでもアメリカ側の希望なり、そういうものを参考までにお知らせするものであるという説明を受けている次第でございます。
  12. 亀井善之

    亀井(善)委員 そこで、いろいろ報道の中に、外務省米国側に、ブロック書簡背景と申しますか、米国通商代表部を通じてこの問題の調査をした、こういうようなものもあるわけでございます。  そこで、まず通産省に、そういう総理声明案と申しますか、そういうものを渡したのかどうか、こういう問題についてお伺いをしたいわけでございます。  世間では、裏を見るとアメリカ通産省が一体になってやっているのではなかろうか、あるいは通産省が作成した文書書簡は一字一句違わない、こういうようなことも出ております。あるいは米国側に手渡した人もわかっている、このように、疑問がたくさんあるわけでございます。この問題について、まず通産省に、総理声明案と申しますか、そういうものを渡したのかどうか、この確認をいたしたいわけです。
  13. 福川伸次

    福川政府委員 総理談話につきましては、五月の六日、安倍通産大臣が、五月の連休を利用いたしまして中東を訪問いたしました御報告と、それから十一、十二に予定されておりました三極会議の打ち合わせを兼ねまして、官邸に総理官房長官をお訪ねをいたしましたが、その際に大筋の御了承を得たわけでございまして、その後、五月の七日に、アメリカ側からの三極の議題の問い合わせの一環といたしまして、その考え方の骨子を安倍通産大臣の御指示のもとに先方に電話にて通告をいたした次第でございます。  いま申し上げましたように、総理談話は五月の六日の時点で大筋了承を得ておるわけでございまして、私どもとして、特にアメリカ側に働きかけてその実現を仕組むというようなことはそもそも必要のないことでございます。私どもといたしましては、新聞、世上いろいろ報ぜられておりますように、私どもブロック書簡附属書として添付されておりますものを作成したとかあるいは仕組んだとか、私どもがその文書を渡したといったような事実はないわけでございます。  また、外務省におきましても、通産省がその文書を渡していない、こういう事実に関しまして、これを否定する事実を確認しているものではないというふうに私ども承知をいたしております。
  14. 亀井善之

    亀井(善)委員 そこで、外務省に今度はお伺いをしたいわけでございます。  いま通産省が、渡さない、こういうように否定をされているわけでございます。しかし、いろいろの新聞あるいは週刊誌記事等にも、米国通商代表部調査を依頼をした、こういうことが出ておるわけでございます。その結果につきましてもいろいろ報道されているわけでございますが、この調査の結果を外務省からひとつ説明していただきたいと思います。
  15. 深田宏

    深田政府委員 私どもといたしまして、アメリカ側に、この一連の書類が出てまいりました背景、これを内々問い合わせた次第でございます。特に、当時農産物交渉関係アメリカ側考え方がどうもはっきりしないという点がございましたので、その点を確認をいたすということが一番大きな点でございました。また、先ほどもちょっと御答弁申し上げましたように、このような書簡複数大臣に同時に出したというようなことも、ちょっとどういう経緯かなというようなことで問い合わせた次第でございます。また、その他、総理談話の件についても問い合わせをいたしました。  この問い合わせに対しましては、先方は、内々の問い合わせに対してこれまた内々に御説明をするということであるので、そのアメリカ側説明の詳細について公にするようなことはぜひ避けてほしいということを強く希望いたした次第でございまして、これは、先方に対する信義の問題もございますので、その詳細等についてこの公の場で申し上げるということは差し控えさせていただきたいと存じます。  ただ、一連の書類のおおよその性格につきましては、先ほど来御説明申し上げた次第でございます。
  16. 亀井善之

    亀井(善)委員 新聞報道によるわけでございますけれども、疑問に思われることがたくさんある。いま通産、外務省からそれぞれ説明があったわけでございますが、どうも通産、外務両省とも、日本政府内で若干の対立がということを印象づけられるような点もあるわけでございます。しかし、これからが交渉の大きな山場と申しますか、まだまだこれからの問題、特に農産物につきましては、牛肉、オレンジの問題等、十月以降の問題があるわけでございます。あるいはまた、最近この市場開放問題をめぐって、日米実務者協議と申しますか、監視のためにアメリカから日本に来ておるというような問題もあるわけでございます。そういう面で、今後の問題につきまして、やはり政府が一体になってやっていただかなければならない、このように考えるわけでございます。特に農産物交渉問題につきましては、今日まで農林省、農林水産大臣を初め関係の皆さんが大変真剣な努力をされ、その成果を上げておられるということは、私ども高く評価をするわけでもございますし、さらに、農業団体、農民の方々も今日までのその努力には敬意を払っておるところでございます。  いろいろこのような不安と申しますか、外務省通産省等の中でそのような問題があるということは、大変残念なことであるわけでございます。農産物の問題につきましては、これからもぜひひとつ農林水産大臣、農林省が主導権を握って、さらに通産、外務ともこれを支えて、日本の国の農業を守るために一層の努力をしていただきたい。特に消費者の方々につきましても、食糧は自国でできるものはできるだけ自国で生産をし、食糧の自給率を高めるということにつきましては、大変深い理解もちょうだいをしているわけでございます。  そういう面で、ぜひ今後ともこれらの問題につきまして政府一体になってやっていただきたいということを最後に要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
  17. 羽田孜

    羽田委員長 亀井善之君の質疑はこれで終わります。  次に、安井吉典君。
  18. 安井吉典

    ○安井委員 いわゆるブロック書簡問題について、私は七月十三日の米価問題の際ちょっと取り上げました。しかし、とても意を尽くせるような状況ではございませんでしたので、社会党として、七月三十日、飛鳥田委員長から鈴木総理への申し入れということで真相の解明を要求いたしました。それについて、昨日、池田官房副長官が私のところへお見えになって、党の申し入れに対する正式の報告であるということで内容の御説明をいただいたわけであります。  ただ、事実関係やらあるいは私どもが疑問として提起いたしました問題についてのお答えはありましたけれども、しかし、一番肝心のいわゆる書簡そのものを私どもの手に見せてもらわなければ疑問の解明はできないし、しかも、外務省と向こうとのいろいろな調査とかなんとかという中身については、外交交渉の問題だからお話しできません、こういうことで、相変わらずミステリーは残るわけであります。  この日米摩擦問題の一番初めのころ、アメリカ日本に対して劇的な対策を要求するという言葉があったのをいま思い出すわけですが、しかし、いまのブロック書簡をめぐる問題はまさにミステリアスドラマで、ミステリー劇のような気がしてならないわけであります。したがって、きのうの政府の正式の御報告ではありますけれども、どうもはっきりしない点について、この際、二、三伺っておきたいと思います。  このいわゆるブロック書簡に対する添付文書は、日本総理大臣日本市場開放宣言案というタイトルだというふうに伝えられておりますが、そのとおりですね。
  19. 深田宏

    深田政府委員 ただいま御質問のございました文書を仮に日本語に意訳してお答え申し上げますと、日本市場開放宣言の案というようなものでございます。
  20. 安井吉典

    ○安井委員 日本総理大臣の、という言葉は初めにないのですか。
  21. 深田宏

    深田政府委員 これは、先ほど御答弁申し上げましたように、日本側でいろいろ作業をしていく上での参考にしてほしいという前提で出てまいったものでございますが、日本市場開放宣言総理大臣による、ということでございます。
  22. 安井吉典

    ○安井委員 添付文書内容と政府が五月二十八日に出した談話はほとんど一致するというふうに聞いていますし、昨日の参議院の農林水産委員会でも、農水省の経済局長からそういう御説明もあったと聞いておりますが、そのとおりですか。
  23. 福川伸次

    福川政府委員 いまお尋ねのブロック書簡につきましては、附属文書を含めましてこれはパーソナル・アンド・コンフィデンシャルということになっておりますので、その内容について詳細にコメントすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、いま新聞等にいろいろ報ぜられておりますものによりましてそれを判断してみますると、日本輸入の拡大を求めたという基本の思想については類似をいたしておりますが、長さその他の点についてはかなり違っておるということを見受けられるように思うわけでございます。
  24. 安井吉典

    ○安井委員 通産省伺いますけれども日本総理大臣の宣言というか、談話の案文を手紙につけてくるというアメリカのやり方について、通産省はどうお考えなのですか。
  25. 福川伸次

    福川政府委員 私どもといたしましては、国際的な関係におきましていろいろな意見の交換あるいは文書のやりとり等が行われるわけでございますが、先ほど外務省からもそれに関連する御答弁がございましたけれども参考までにいろいろな意見を内々言ってくる、こういうことにつきましては、いろいろな形態があろうかと思うわけでございます。私どももそういう前例につきまして詳細承知いたしておるわけではございませんが、そういったいろいろな意見あるいは文書の交換ということはこれまでもいろいろな形であるわけでございまして、必ずしもそういうことはあり得ないことではないというふうに思っております。
  26. 安井吉典

    ○安井委員 通産省はかなり肯定的な見方をしておりますが、外務省はどうなんですか。私どもはこういうやり方は異常なものだ、異例なものだと思うのですが、あなたの方はどうお考えなのですか。
  27. 深田宏

    深田政府委員 先方としましては、あくまでも日本側参考に資したいという善意で出たものというふうに私どもは受けとめておりますけれども総理大臣の談話ということであれば、こういうことという文書を公式に出してくるということでございますとこれは若干異例ということになると思います。  ただ、今回の一連の文書は、パーソナル・アンド・コンフィデンシャルという前提で、内々に示してきたものであるというような点も考慮する必要があろうかと思います。しょっちゅうあることであるということでは全くないことは確かでございます。
  28. 安井吉典

    ○安井委員 農産物の問題でずいぶん農水省の経済局長は苦労しておるというわけでありますけれども、こういうやり方についてあなたはどうお考えですか。
  29. 佐野宏哉

    ○佐野(宏)政府委員 お答えいたします。  何しろ農林水産大臣ブロック書簡を受領した当事者ではございませんので、隣の省の大臣がお受け取りになった書簡について論評を加えることはいかがなものであろうかと存じますが、ただ、私は、五月二十八日付の総理談話はあくまでも総理御自身のお考えをお述べになったもので、ブロック書簡によって影響を受けたものでは全くないというふうに考えております。
  30. 安井吉典

    ○安井委員 大体口裏を合わせてここへ出てこられているのはわかりますけれども通産省がかなり肯定的な点について私は気になるわけです。だから、どうも仕掛け人は通産省じゃないかというふうに言われるのではないかと思います。三人のお話をちょっと分析してください。これはかなりニュアンスがありますよ。こういう外交のありようというものについて、あなた方は少し鈍感になり過ぎているのではないかと思う。新聞あるいは週刊誌によれば、どじ外務省であったり売国通産省であったりするわけです。これは、私が言うのじゃないですよ。そう書いてあるわけです。ですから、国民の方はもっと真剣にいろいろな問題を考えているのに、事態を少し軽々しく考え過ぎていると私は思わざるを得ないわけであります。これはもう大変な非礼であり、侮辱的なやり方であるということになるのではないかと私は思います。  こんなようなことで、一つの国の総理大臣にこういう談話を出しなさいということを向こうの役人が言ってよこすなどということは、許されていいのですか。あなたの方でアメリカに対して、レーガン大統領からこういうステートメントを発表してくださいとやれば、向こうはどう思いますか。そういう問題ではないかと私は思うわけであります。  きのうも池田副長官とも大分やり合ったわけでありますけれども、この中身は向こうへ何度も話をしていることだし、談話はこちらのイニシアでやったことだ、だからそう問題はない、こう言われるわけでありますが、こんなような事態を、いまお話しになったようなそんないいかげんな受けとめ方でやっていたら、これは将来大変なことになるのじゃないか。アメリカの属国になっちゃうじゃないですか。池田副長官は、アメリカもお粗末です、こう私に言いましたよ。少なくもあなた方はそういうお考えを持たないのですか。アメリカがそんなような形で問題を出してくる。日本総理大臣の談話を出してくださいぐらいならいいけれども、案文をつけてくる。しかも、その案文の英語の文章はどうも日本人が書いたように見えるし、それから、その附属文書の部分の書体は本文と大分違う。だから、だれかが別なところで書かれたのじゃないか、そういう疑惑もあるわけです。こういう点について解明できますか。
  31. 福川伸次

    福川政府委員 いま御指摘の点でございますけれども、まず、私が申し上げましたのは、そういう案文をパーソナル・アンド・コンフィデンシャルということでつけてくるのは必ずしもあり得ないことではない、こういうことを申し上げたわけでございますが、この総理の談話なるものは、先ほども御答弁申し上げましたように、五月六日の時点で総理大筋の御了解を得て、私どもとしては、今後の第二弾を、先ほど私どもの政務次官が御説明しましたような趣旨で何とか成功をさせたいということで、三極の議題の根回しの一環として通告をいたしたわけでございまして、いまのそういう先生の御指摘のような総理の談話ということがアメリカから求められたものではございませんし、また、このブロック書簡につきましても、先ほども御答弁申し上げましたように、政府がそういうものが出るということを求めたわけではありませんで、そういうものが出された場合にしかるべき指導を希望するということでございますので、私どもとしては、総理の談話を出せというふうなものとして受けとめておるわけではございません。  また、新聞報道等で、その作成の過程の諸手続につきましていろいろなことが報ぜられておりますが、私どもとしては、五月七日に先方に伝達をいたしました、それがああいうかっこうで出てまいりました先方の事情につきましては承知をいたしておりませんが、その総理の談話というのは、いま先生の御指摘のようなことで私どもから仕組んだりあるいは文書を渡したりしたものではございませんので、その点は御理解を賜りたいと思います。
  32. 安井吉典

    ○安井委員 外務省は、四月段階で総理の談話を第二弾に出すという方針をお決めになって、その中身までお決めになっていたのじゃないですか。新聞報道によりますと、大体第二弾というのは最初は五月の初めに出されることになっていましたね。そういう作業の中で、日本市場開放措置のこれからのあり方についての市場開放宣言を、外務省は四月十日までに原案を関係各省に出して、調整をしてまとめ上げていくという報道があります。きょう調べてみたらあるのですね、四月十日段階に。それが、あの第二弾がおくれたので、今度は大分状況が変わってきたと思いますが、その点はどうですか。
  33. 福川伸次

    福川政府委員 私どもとしては、田中通産大臣当時に輸入拡大ということを呼びかけるメッセージを出した経緯がございますが、その後さらに第二弾、非常に貿易摩擦が深刻化いたしていきます段階で、私ども省内にもかなり早い時点から、そういう構想は省内のアイデアといたしましてはございましたが、それはあくまでもアイデアでございまして、そういうかっこうでだんだんと練り上げていこうかという構想が私どもの省内でまとまって、作業が進んでまいりましたのは四月の末ごろからでございました。外務省の諸手続の点につきましては外務省の方からお答えさせていただくのが至当かと思いますが、私ども省内では、先ほど申しましたように、アイデアとしてはかなり早い段階からございましたが、そういった案文的なかっこうに練り上げてまいりましたのは四月の末ごろでなかったかと記憶いたしております。
  34. 安井吉典

    ○安井委員 外務省は。
  35. 深田宏

    深田政府委員 私どもの方では、総理談話の案を四月の時点で作成するというような作業はいたしておりません。  ただ、先生御指摘のように、第二弾取りまとめの時期としまして、できれば五月の初めごろということが考えられていたことは承知いたしております。
  36. 安井吉典

    ○安井委員 新聞報道があるいは違っているのかもしれませんけれどもね、ゆうべ調べてみると。じゃ、これは外務省じゃなしに通産省の間違いなのかもしれませんね。  それはそれとして、外務省がこの談話を出すという問題について、案文を手に入れて、具体的に通産省と話し合いに入ったのはいつからですか。
  37. 深田宏

    深田政府委員 通産省の方から総理談話の案文について具体的に御協議をいただきましたのは、五月の二十日過ぎだったように記憶いたしております。
  38. 安井吉典

    ○安井委員 二日ですか、二十日ですか。
  39. 深田宏

    深田政府委員 二十日でございます。
  40. 安井吉典

    ○安井委員 そうしますと、外務省というのは外交の中では常にかやの外なんですね。きのうの池田副長官の話でも、通産大臣はもう五月の初めから官房長官に話をしたり総理に話をしているのですよ。外務省は、あるいは農水省もさっぱりわからぬのかな。通産省だけがこんな大事な問題を独走しているのですか。それでいいのかどうかということをひとつ伺いましょう。
  41. 深田宏

    深田政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、具体的な案文そのものを私が通産省の担当局長から御協議にあずかりましたのは五月の二十日過ぎでございます。  ただ、こういう談話を発表してはどうかというようなことについていろいろな形での協議は、その以前、四月の末ないし五月の初めごろからいろいろな機会にあったように記憶いたしております。  なお、ただいまの先生の御指摘でございますけれども、この談話につきまして若干御疑念が生じておるということは、これ自体は事実として認めさせていただきますけれども、対米折衝の全体におきまして、外務省といたしましては、その立場の上で果たすべき役割りは十分果たしてまいったというふうに考えております。  また、先ほど御指摘がありましたブロック書簡について若干手続的に異例な点があったということにつきましては、五月の十一日及び五月の十七日に在米大使館を通じて先方にしかるべく指摘をしております。
  42. 安井吉典

    ○安井委員 もう少し詳しいいきさつを通産省から伺いたいのですが、時間が限られておりますので、また別の機会にいたしたいと思いますが、五月の七日に通産省アメリカ側三極会談に臨む通産大臣の発言の内容等についての問い合わせに対して答えをしている、そのときにこの問題についても話をした、こういうふうにきのう聞かされました。それはどういうかっこうでやったのですか。電話で話したのですか。それからまた、その談話の中身についてはどの程度話したのですか。
  43. 福川伸次

    福川政府委員 五月の七日の午前中に、先方から三極会議における議題ということのお問い合わせがございました。私ども大臣と御相談申し上げまして、大臣総理大筋了承ということの実践の一環といたしまして、その総理の談話の骨子についても議題にのせ、それを通報をしておくように、こういうことでございました。したがいまして、私どもとしては、実務担当者のレベルでそれを通告いたしたわけであります。  電話で通報いたしたものでございますので、それの十分な記録は残っておりませんので、正確には申し上げられませんが、大筋どもの方で通報をいたしました趣旨は、世界的な保護貿易主義が高まっている折から、自由貿易を守るためにわが国としても貢献をしていく必要があるということとか、さらに、これまでもわが国市場開放策をとっているけれども、今回もまた市場の開放の措置をとる。しかしながら、わが国市場が閉鎖的で外国製品や外国資本に差別的であるとの外国の誤解がまだぬぐい切れていないので、制度的な措置の域を超えまして、この域を超えましてという意味は、制度的な意味の改正ということではなくて、むしろ外国製品あるいは外国投資を歓迎する、こういう総理からの国内への呼びかけ、こういうことから日本の市場の閉鎖性ということの誤解をぬぐい去ろう、こういうような趣旨をおよそ話をいたしたわけでございます。  もちろん、この総理の談話は、私どもも外国製品という言葉を使っておりますことから御理解いただけますように、これは農業一次産品を指すものではなくて、工業製品を念頭に置いたものでございますし、呼びかけの対象も、行政に携わる者あるいは企業、こういうことで呼びかけておりますので、その辺からも御推察いただけますように、この点については、むしろ農業一次産品を除いた工業製品を念頭に置いたことでございますが、概要いま申し上げましたようなことを電話で連絡をいたした次第でございます。
  44. 安井吉典

    ○安井委員 通産省はずっと四月の初め以来段取りを続けて、外務省に話をしたのは大体五月の二十日ごろ。  農林水産省にはいつごろこういう形でやるというようなことを話をしましたか。これは、農林水産省側からお聞きしてもいいです。
  45. 福川伸次

    福川政府委員 先ほど政務次官がお答え申し上げましたように、私どもとしては、安倍大臣以下、農産物の自由化が……(安井委員「そんなことを聞いているのではない。時間がないから一つだけ答えてください。いつ話をしたのかということです」と呼ぶ)私どもとしては、これは主として先ほど申しましたように工業製品を対象といたしておりますので、これは談話を固めました五月の二十日前後ではなかったかと思っております。
  46. 安井吉典

    ○安井委員 農水省側は。
  47. 佐野宏哉

    ○佐野(宏)政府委員 お答えいたします。  私、総理談話が発表されます直前まで外国出張をいたしておりましたので、記憶は定かでないところがございますが、総理談話の最終の案文は、アメリカ出張から私が二十七日に帰国をしたときには、二十八日に発表された談話はまだ見せていただいておりませんでしたから、最終の形のものは本当の直前であったと思います。
  48. 安井吉典

    ○安井委員 いずれにしても、どうも通産省だけが勝手に、農民のことを考えてやったと繰り返し言われますね。ずいぶん農民のことをよく考えている通産省だなと、先ほどの御答弁を伺いますと思うのですけれども、それでいて農林水産省に全然連絡していないというのはおかしいじゃないですか。そんなのはあなた方の言葉だけじゃないですか。  そこで、外務省がワシントン大使館を通じてこの書簡の問題について調査をされたということも先ほどの御説明の中にもあったわけですが、この附属文書等の文書の形式だとか表現がおかしいというようなことも含めて調査されたのかどうか。  それから、調査はUSTRにもされたのか、どこにされたのか。国務省なのか、USTRなのか。その点も伺います。
  49. 深田宏

    深田政府委員 調査というか、問い合わせ、あるいはどういうことでこれが出てきたのかということを申し入れたわけでございますが、これは先方の所管官庁でございますUSTRに大使館の館員からいたしたわけでございます。先ほどお答えしましたように、五月十二日付の書簡でございまして、現地時間の五月十一日、東京時間の五月十二日に調査問い合わせをいたした次第でございます。  その対象としましては、先ほど来御答弁申し上げておりますように、これが出てきました背景承知したい。形式、内容それぞれについていろいろ私どもとしては疑念の点があったということで、問い合わせをしたということでございます。
  50. 安井吉典

    ○安井委員 その文書の表現についても疑問があったんですね。あるいはコピーのとり方等について。
  51. 深田宏

    深田政府委員 一連の文書の形式、内容について種々問い合わせをしたということでございまして、これ以上立ち入ったお答えは、先方の立場もございますので差し控えさしていただきたいと存じますが、私どもとしましては、いろいろ疑念の点、なるべく詳細に問い合わせたつもりでございます。
  52. 安井吉典

    ○安井委員 いろいろなことを、私の疑問のことも一緒に問い合わせしたような気がするのですけれども。  ところが、ワシントン三十日発の読売特派員の電報では、通産省がUSTRに文案を持ち込んだ事実はないということと、この件で在米日本大使館のだれも代表部に照会してきていないとUSTRが言ったという報道がありますね。これは、どちらが本当なんですか。
  53. 深田宏

    深田政府委員 在米大使館の者が問い合わせをいたしましたことについては報告を受けておりますので、これは事実でございます。  案文の点につきましては、先ほど来申し上げておりますように、問い合わせの詳細、先方説明の詳細については、先方の希望がございますし、お答え申し上げることは差し控えさしていただきたいと存じます。
  54. 安井吉典

    ○安井委員 その案文の調査内容を詳しく言えと、外交的な案件ですから私はそこまで要求するつもりはありませんけれども、ただ、伝えられる栗原審議官がこの文書を持っていって渡したという、そんな事実はありませんということなのか、あるいはそれは言えませんということなのか、少なくともそれぐらいは明確にされなければ、われわれは、国民全体は納得できませんよ。ところが、きのうの副長官のお話では、文書で渡したかどうかということについてイエスともノーとも申し上げることはできません、こういう答えなんです。それはどうなんですか。
  55. 深田宏

    深田政府委員 大変恐縮でございますけれども、私ども問い合わせをいたしました一番の主眼、先ほど申し上げましたように、最大の点は、農産物の問題について、当時の農水省は、私どもお手伝いしまして、アメリカ側といろいろな形でやりとりをしておりました。その経緯を必ずしも反映していなかったと思われましたので、その点について特に問い合わせをしたわけでございまして、私どもとしましては、いまの先生御質問の総理談話の案文の詳細というようなところについて一番重点を置いて問い合わせをしたということでは必ずしもございません。そのようなことで、先ほど来お答えいたしておりますのが先方の希望、立場というものに配慮を加えました上での最大のお答えであるということで御容赦いただきたいと存じます。
  56. 安井吉典

    ○安井委員 委員長、これじゃどうしようもないのですよ。一番大事なブロック書簡の中身が明らかにされなければ、これは水かけ論なんですよ。われわれ、それがなしに否定だけされている。それじゃ困ります。それから、いまの文書を渡したか渡さないかということについても、イエスもノーも言えないという。そんな中身で、それで納得しろなどということがどうしてできますか。これはどんなことがあったって了解できません。  それで、このことは後で理事会の中でもう少しこなしていただかなければ、私どもはこれ以上質問ができないということをひとつ申し上げておきたいと思います。  なお、時間がありませんので、日朝漁業協定のことだけちょっと一言伺っておきたいと思います。  六月三十日に漁業協定の期限切れで、その後、関係漁民の中では大変動揺が起きているのは御承知のとおりであります。そして、これへの対応が迫られている段階でありますので、一つは農林水産省から、それから一つは外務省からお答えを願いたいわけでありますが、関係漁民がどれくらいあって、どういう事態が生じているか、それについての補償というような必要はないのかということをひとつお話をいただきたいと思います。関係漁民の数が府県別にどうなっておるかというふうな実態についても、この際、お話し願いたいと思います。  それから第二番目には、なぜこういう事態が起きたのか。これは、こちらから招いた向こうの漁業代表団の入国を日本政府が認めなかったということ、ここに一番大きな原因があるわけであります。したがって、これからこれを打開するのにはどうすればいいのか。これは何しろ民間交渉ですから、日朝議員連盟が共和国側との話し合いを再開するということが先決になってくるわけでありますけれども、これを可能にするためには政府としてどうなさるのか。  これを農水、外務両省からお答えいただきたいと思います。
  57. 松浦昭

    ○松浦政府委員 まず、実態から申し上げます。  北朝鮮水域におきますわが国の漁船でございますが、五月から翌年の二月にかけましてイカ釣り漁業が、三月から六月にかけましてマス流し漁業、それからマスはえ縄漁業、九月から翌年の六月にかけましてベニズワイかごが出漁いたしております。  そこで、隻数で申し上げますと、昭和五十六年はやや実績が少なかったわけでございますが、五十五年でとりますると、操業隻数が千九百隻、漁獲量が四万二千トン、金額にして百二十億の水揚げでございまして、非常に重要な漁場でございます。  県別には、細かな資料が手元にございませんので、概括的に申し上げますと、北海道、青森、富山、石川、兵庫、鳥取、山口、長崎といったようなところの漁船が非常に多うございます。  そこで、このような操業の実績になっておるわけでございますけれども、六月の三十日に残念ながら暫定合意が切れたわけでございます。この漁業のうちで、マス流し網、それからマスはえ縄漁業は六月中に漁期を終了しておりまして、ベニズワイかごは七月及び八月は休漁ということになっております。  そこで、この民間暫定合意の期限切れに伴いまして問題となる漁船はイカ釣り漁船でございますが、この三十日の時点で約六十隻のイカ釣り漁船が当該水域に出漁しておりましたけれども、この漁船は一応整然と退去したわけでございます。ただ、その後におきまして三隻ほど当該水域に入りまして、北朝鮮側に拿捕されたという事実がございまして、これはまことに残念なことでございますが、この漁船につきましても、北朝鮮側が指示いたしました罰金を送金いたしておりまして、まだ釈放はされておりませんが、この問題につきましては解決がつくのだろうというふうに考えておる次第でございます。  なお、現在のイカ釣り漁船の状況は、沿海州のピョートル大帝湾の沖合い、これはソ連の二百海里であります。それから大和堆、北大和堆等の沖合い漁場のほかに、北海道、秋田県及び山陰沖の沿岸漁場を利用いたしておりますので、現在のところはこのイカ釣り漁船は比較的安定した漁獲を続けておるという状況でございます。したがいまして、現在のところ直ちに損害が生じているというふうには考えておらないわけでございますが、この協定が将来までなかなか合意ができないということになりますと、先ほど申しましたような非常に重要な水域でございますので、損害が残る可能性もございますので、さような事態を見きわめまして、今後の対応を考えてまいりたいと思っておるわけでございます。  なお、いずれにいたしましても、この水域につきましてはきわめて重要な水域であるということを申し上げたわけでございまして、従来まで民間レベルの話し合いによりまして安定的に操業ができたわけでございますが、残念ながら今回期限切れになりまして、漁船が一たん退去するという事態となっているわけでございます。  水産庁としましては、このような重要な漁場でございますし、また、目下のところはイカ釣り船だけでございますが、今後はベニズワイも操業いたす時期に入ってまいります。さらに、明年になりますとサケ、マスの漁船も操業を開始するということでございますので、一刻も早く協議を再開いたしまして、再び北朝鮮との間に合意を取りつけ、安定した操業ができることを強く希望しているところでございます。しかし、先生も御指摘のように、何分にも政府としては、国交のない国でございますので、直接に外交交渉を行うことができません。したがいまして、目下、民間漁業者あるいは北朝鮮側と御連絡がとれる方々にお願いをいたしまして、再交渉の糸口がつかめるように極力御努力をお願いいたしているところでございます。今後とも安定的な操業が確保されるよう、関係者と連絡をとりまして、側面的に私どもとしてはできるだけ協力をしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。  なお、入国の関係の御質問がございましたが、これは外務省お答えになると思います。
  58. 長谷川和年

    ○長谷川説明員 お答えします。  この問題を打開するには政府としてどういう措置をとったらいいかという先生の御質問でございますが、政府としては、当面、まず日朝双方の民間レベルで操業再開のために話し合いが行われることが肝要であると考えておりまして、関係者が引き続き努力されまして、早急に話し合いが開始されることを希望しております。  同時に、わが国と北朝鮮の間には現在国交がないような状態でございますので、政府として直接行い得ることは限りがございますが、日本海沿岸の零細漁民の方々の生活にかかわる問題でありますので、政府としましても、北朝鮮に対する基本的な政策、この範囲の中で側面的にできる限りの協力をしたいと考えております。
  59. 安井吉典

    ○安井委員 ちょっとおかしいのは、交渉団の入国がなければ話が進まないのですが、新しい入国の申し出に対して政府は認めますね、それだけ再開に御熱意をお持ちだとすれば。
  60. 長谷川和年

    ○長谷川説明員 お答えします。  この問題を話し合うための代表団の問題につきましては、その具体的な構成とかあるいは訪日の時期、こういった問題がはっきりした段階で検討する用意がある旨政府は明らかにしておりますが、そういった段階におきまして、法務省とも相談いたしましていろいろ検討したいと思います。
  61. 羽田孜

    羽田委員長 安井君の質疑の時間は終わりました。  次に、松沢俊昭君。
  62. 松沢俊昭

    ○松沢委員 先ほどから、安井委員の方からブロック書簡の問題を取り上げて政府側に対しまして問いただしておられるわけでございまするが、このブロック書簡、私がわかりましたのも先月の初め、朝日新聞の「食糧」という連載物の中に、七月五日ですか、ここに載っていたことによってわかったわけなんであります。やはり私たちが一番重要視しているのは、このようなことがあったとするならば日本の国家主権にかかわるところの問題だということで、実は重視をしておるわけなんであります。そういう立場で政府の方でもお答えをいただきたいと思うわけであります。  そこで、ここに出ておりますのは、「細かな品目にまでわたって市場開放を要求してきた本文ではなく、三枚の追記文書だった。」要するに、三枚の文書だ。そこに、外務省の方で疑問に思ったというのは「「輸出は善、輸入は悪という考え方からの脱却」を世界に向けて宣言するよう促し、英文の文案まで示してあった。米国の一属僚が日本の首相を指図するに等しい、主権国家間の外交常識を逸脱した行為である。」そして、「奇妙なことに、文の構成がやたら複雑で、時代がかった修飾語が目ざわりなほど多かった。」こういうことで、外務省アメリカ日本大使館に至急の調査指示したとなっておるわけですね。外務省、おられますが、そういうことで調査をされたということなんじゃないですか。  それからもう一つ、外務省の方でそれを担当されたというのは北米二課の首席事務官、これもきちっと出ているわけなんです。だから、話はきわめて具体的であるわけなんですよ。それを私もきのうも黒田さんがおいでになっていろいろ説明していただきましたけれども、もうここまでの段階へ参りますと、みんな口裏を合わせてしまって貝のような状態になっているということもわかっております。しかし、こういう具体的な記事が出ておる、これを外務省は全面的に否定されるのかどうか、これははっきりしてもらいたいと思うのです。
  63. 深田宏

    深田政府委員 お答え申し上げます。  先方に対する問い合わせに応じた際、先方の担当者はぜひこれは内々にしてほしいということで応答いたしたということは、るる申し上げておる次第でございます。  私どもとして、現時点、きょうの時点でこれを考えてみますと、通産省の方で、五月の七日とおっしゃったと思いますが、総理談話をお考えになった上で、総理の御了承も得られて、その内容、骨子はこういうものであるということをアメリカ側に電話をもって御連絡になったということでございました。私ども察するに、先方はそういう御連絡に基づいて、先ほど来御議論になっておられます総理談話骨子案というようなものを出してきたというふうに思われるわけでございます。
  64. 松沢俊昭

    ○松沢委員 私が聞いているのは、一体どういうことでどういう問い合わせをおやりになったのか、ということを聞いているわけなんだ。新聞では、私がいま読み上げましたようなそういう疑問があったので、そして北米二課の首席事務官がこれを担当しておった、そこでアメリカ日本大使館に対して至急調べてもらいたい、こういう指示をやった、こういうことなんですが、これはうそなのか本当なのかということを私は聞くわけなんです。
  65. 深田宏

    深田政府委員 お答え申し上げます。  御指摘の文書の中で「輸出は善、輸入は悪」云々、こういうところは私どもよく承知をいたしておりません。先ほど来お答え申し上げておりますが、ブロックさんの書簡に添付されて総理大臣談話の案がついておったということにつきましては、これはどういう経緯かということで先方問い合わせをいたしたことは事実でございます。
  66. 松沢俊昭

    ○松沢委員 それで、その結果、「三枚の追記は通産省が作成し、仕組んだものであることを米側が日本大使館員に白状した」こうなっている。これは本当かうそか。
  67. 深田宏

    深田政府委員 先方のこの点に対する説明内容につきましては、先方の立場もございますので、ここでお答え申し上げることは御容赦願いたいと存じております。  通産省の方でUSTRの方にどのように御連絡になったかということにつきましては、先ほど来通産省の方からの御答弁がございますので、それで御承知おきいただきたいと思います。
  68. 松沢俊昭

    ○松沢委員 通産省の方は、さっき電話で連絡したということなんだね。それから、いまあなたの御答弁としては、要するに三枚の追記文書、これをも問い合わせをやったんだ、こういうことなんですね。ですから、それについて、この新聞では、これは通産省がつくってそしてアメリカの方によこしたんだということをアメリカの方では白状している、こう言っているわけなんです。だから、それが本当であるとするならば大変重大な問題なんじゃないか。さっきから問題にしているのはそこなんですよ。独立国家が主権を侵されるようなことがあってはならぬじゃないか、これがいま国会での問題点なんでありまして、貿易の自由化の問題につきましていろいろな意見というのは日本の国内にもあります。その是非をわれわれは論じているわけではないのでありまして、アメリカ日本関係通産省アメリカとの関係、これがこのような状態であるとするならば、国家主権の侵害になるじゃないか。だから、そのとき向こうの方は何と答えたか、白状したのかしないのか、この点はっきりしてもらわない限りにおいては、これは国会で審議はできないでしょう。だから、あなた方は国会審議を妨害するということになるんじゃないですか。もっとそういう点をはっきりしてもらわなければならぬと思います。どうですか、委員長。これは、はっきりしてもらわなければしょうがないですよ。
  69. 原田昇左右

    原田(昇)政府委員 いま御質問は、ブロック書簡を仕組んでそして日本の主権を侵害したんじゃないか、こういう御趣旨だと思いますけれども、全く事実に反します。総理談話というのはこちらが自主的に作成したものでございまして、すでに五月六日に総理及び内閣の了承を得て、総理談話を出すということでこちらの方は決まっておるわけでございます。その後ブロック書簡というものが出てまいったわけでございますけれども、それはすでに出されることが決まっておることを向こうが単に言ってきたにすぎないのでありまして、何も当省が、通産省ブロック書簡に添付されている総理談話を米側にわざわざ届けて日本にこれを出させるように働きかける必要が何にもない話ではないかと思います。  それからもう一つ申し上げますと、これはパーソナル・コンフィデンシャル・レターということでございますので、内容の詳細に立ち至ることは差し控えたいと思いますけれども、私の聞いておることでは、ブロック書簡というものの添付書類というのは、日本がこういう趣旨でお出しになるんなら国内の行政措置をしっかりやってくれというように書いてあると私は了解しております。  それからなお、念のため申し上げておきますと、総理談話というのは外国製品及び外国投資を歓迎するという内容のものであり、しかも、これを行政庁並びに民間企業に呼びかけておるわけでございまして、農産物を対象にしたものでは全然ありません。その点、ぜひ誤解のないように御了解いただきたいと思います。
  70. 松沢俊昭

    ○松沢委員 私は、ここで総理大臣の談話も実はもらっております。ですから、要するに、その談話と書簡というのがどういうふうなつながりになっているかということは、本当はその書簡を見せてもらわぬとわからぬわけなんですね。ところが、その書簡を出してくれということで、きのうも参議院でわが党の委員の方から追及があったわけでありますけれども、これを出すという確たるところの御返答は政府の方からいただいておらぬわけなんであります。ですから、いま国家の主権が侵害されているかいないかというところの重要な問題でありますので、皆さんは、いや、そんなことをアメリカブロックからやってもらわなくともいいような状態になっているんだから、私たちの方としては頼む必要もないんだ、こういうお話でありますけれども、やはりわれわれの方としては、この新聞記事というのがうそであるとするならば非常に幸いな話なんでありますけれども、これが本当であるということになれば大変なことなんじゃないか。だから、そういう意味から言って、やはり真相の究明というのをやるためにも、そういうふうにして皆さんが強調されるのであるならば、書簡というものを出してもらった方がいいんじゃないかと思うのです。どうですか。
  71. 深田宏

    深田政府委員 文書については後ほどお答えしますが、先ほど先生の方から主権侵害というようなことに御言及になられたわけでございます。  ただ、私ども思いますのに、第一に、市場開放措置、第二弾の措置につきましては、日本政府が自主的に決定をいたしたわけでございます。第二に、先方は内々の意見ということで、あくまでも参考にしてほしいということでこの文書を出しておるわけでございまして、こうしろということを指示するような形で出しておるわけでは全くございません。それから第三に、先ほど来の御説明にございますように、通産省の方から大方の考え方を電話連絡をなさったということでございますので、それを先方が基礎にしておるということであれば、ますます主権侵害というような議論は出てこないわけではなかろうかというふうに私どもとしては考えております。  文書そのものが、るる申し上げておりますように御親展、御直披という形の非公式なものでございますので、これを公にするということは差し控える必要があろうかと思います。端的に申しまして、アメリカ側の立場を考えてみましても、文書の中にいろいろ目いっぱいアメリカの希望が盛り込まれておったということでございますと、現実に日本側がとりました措置との間の差がアメリカ国内で問題になるということは十分考えられるわけでございますから、そのような意味からも、先方がそもそも御親展ということで出してきた書類をここで公にするということは、やはり相手のこともございますので差し控えるべきではなかろうか、このように考える次第でございます。
  72. 松沢俊昭

    ○松沢委員 文書は出せない、それから問い合わせたところの内容は明らかにするわけにはいかぬ、こういうことですね。そうして、日本新聞、朝日だけではございませんで、いわゆる全国紙、それから日本農業新聞、そういうところに全部これは出ているわけですね。だから、文書は公開ができない、それから問い合わせたところの内容は発表するわけにはいかぬと言われるが、これがされなかったならば、これをうそだと否定するわけには私たちはいかぬでしょう。国民の疑惑というものを解明することが国会でできないということになるじゃないですか。国民の疑惑を解明することができないような状態に政府側がやっているということなのですね。だから、こういう回答でございました、文書内容はこうでありました、だからこの新聞内容は違っているということになれば、国民は疑惑を解明してもらった、こうなると思うのですよ。肝心かなめの解明しなければならぬということを、それは要するにしゃべるわけにはいきません、見せるわけにはいきません、こういうことは国会審議を妨害するということなんですよ。  委員長、これはこれ以上追及してみようがないわけなんです。だから、明らかにできるのかできないのか、もっと明らかにしてもらわなければなりませんから、これは一たん中断して、そして各党で相談して政府側と折衝するというふうにしてもらわなければ、これ以上の追及はできないと思うのです。
  73. 羽田孜

    羽田委員長 ただいま松沢君からお申し出の件につきましては、理事会の方で後ほど論議をしたいと思います。  どうぞ続けてください。
  74. 松沢俊昭

    ○松沢委員 それじゃ、その問題は一たん中断いたしまして、次の問題に移りたいと思います。  最初に、ことしの四月八日、私はこの委員会におきまして、新潟県の土地改良問題につきまして質問をやりましたが、その際、調査をいまやっている最中だからもう少し待ってくれ、そういう答弁でございました。その後、その問題はどのようにして処理されたか、これを一点お伺いしたいと思います。
  75. 森実孝郎

    森実政府委員 ただいま御指摘の点は、白根郷の地盤沈下対策事業にかかわる農地転用その他の問題についての御指摘と理解いたします。  この件につきましては、私ども調査をいたしたところでございますが、今回の事案から判断いたしますに、農地法上の農地転用許可を要しない公共事業の施行に伴う廃土処理等に関しまして、一時転用であるか恒久転用であるかということが不分明なことから、取り扱い上の混乱を招いたということは否定できない点であろうと思います。こういった点で、七月三十日付をもちまして、全国に対して次のような局長通達を出しております。  一つは、廃土処理に当たってはできるだけ農地を避けるとともに、やむを得ず農地を使用する場合にも一時転用を原則とする。第二に、諸般の状況からやむを得ず恒久転用する場合には、事前農地転用許可を担当する部局と協議し、その承認を得ておくという行政運用方針を出しております。三番目は、農業委員会の非農地証明の発行については、現地調査の励行、議事録の整備等、事務処理体制を整備することという通達を出したわけでございます。  さらに、新潟県に対しましては、去る七月三十日に、北陸農政局長より、新潟県の農地部長を呼びまして口頭で次のような指示を行っております。  一つは、県の発行した証明書や白根市の農業委員会現地確認書類の整備保存等の手続面で不十分な点が見受けられたこと、また、このために各般にわたる誤解や混乱を招いたことを指摘いたしまして、今後は構造改善局長通達に従いまして、手続及び事務執行面で慎重に取り扱われたいという旨を明確に指示しております。  以上でございます。
  76. 松沢俊昭

    ○松沢委員 了解いたしました。  次に、ことしの米価決定をめぐってのいろいろの問題点を御質問したいと思います。  まず、政府と自民党側は大分長く攻防戦を展開されて、結果的におきましては一・一%の引き上げという決定がなされたわけでございます。しかし、この一・一%というのは、私たちの食糧管理法の解釈からすると、どうも生産費及び所得を補償するといういままでの方式からいっても、これはやはり問題があるのじゃないか、こういうふうに実は考えておりますので、三条には、生産費と物価その他の経済事情を参酌して米穀の再生産を確保するというふうに決めなさいということになっているわけでありますが、今回の一・一%の値上げというのはそういう法律から反した決め方なんじゃないか、こんなぐあいに私は理解しておりますが、この点はどうお考えになっていますか。
  77. 渡邊五郎

    ○渡邊(五)政府委員 ただいま御指摘のように、今回、政府買い入れ価格一・一%の引き上げがあうたわけでございますが、米の過剰基調その他厳しい状況のもとで新しい方向へ米づくりも重点を志向するということが必要だという合意のもとに、その方向に一歩踏み出そうとする農家の生産意欲に配慮して決定したという経緯で決定いたしたわけでございます。  御指摘の点は、食管法第三条第二項の規定によります生産費及び物価その他の経済事情を参酌して決定すべきという点にかかることと存じますが、この規定から、当然賃金なり物価が上昇したらそれに伴いまして機械的に米価を引き上げるということには問題があろうかと思います。需給事情等経済事情を参酌いたしまして、これらの要素を全体として考えていくという方式をとるべきだろう。そして、米穀の再生産を確保することを旨として米価を定める。本年の米価もこうした考え方に基づいて私どもとしては決定したものでございまして、食管法違反というようなことにはならないと私ども考えております。
  78. 松沢俊昭

    ○松沢委員 米の値段は食管法に基づいて決まることになります。それから、過剰だとか過剰でないということは、別に水田再編対策事業という事業をやって減反をやっているわけでしょう。だから、米は過剰ぎみだということになれば減反でやっているわけだから、価格で抑えつけるという考え方というのはおかしいと思いますし、また、食管法のたてまえからしてそれは抑えるわけにいかぬじゃないか、こんなぐあいに実は考えているわけなんです。  それから、ついでですから聞きますが、一・一%上がったということになると、一俵百九十五円上がった、こうなるわけだ。ところが、自主流通米の流通促進奨励金は一俵六百円になっておったわけですね。これを今度は二百円にするということになりますから、四百円政府は金を浮かせたことになるわけです。その金を浮かせたのとそれから政府米に百九十五円上乗せしたのとの開きというのは、私の計算からすると三十五億円開いている。つまり、上げた上げたと言いながら、去年と比較すると生産農家から三十五億円奪い取ってしまったんだという結果になると思うのですが、そうなれば、全体的には一・一%の引き上げにはならぬじゃないか。どうですか。
  79. 渡邊五郎

    ○渡邊(五)政府委員 米価の決定につきまして、先ほど申しましたように需給事情等経済事情は参酌してまいるべき事項だと思いますし、これまでもそうした考慮を払いつつ適正な米価決定をしてまいったわけでございます。  後段御指摘の、一・一%に伴いまして財政負担の増加額は百五十三億、流通促進奨励金の単価の引き下げに伴います財政負担軽減額は百八十八億になります。  ただ、この点について申し上げますと、政府米については私ども抑制的に努めるという考え方から最終的に一・一%ということになりましたが、これに伴います生産者手取りは当然一俵当たり百九十五円の増加になるわけでございます。同時に、今回の米価決定におきまして自主流通米の助成制度につきましての見直しをするということは当初から私ども申し上げてまいったわけでございまして、流通促進奨励金の単価の引き下げもいたしたわけでございますが、すでに本年四月の売り渡し価格引き上げ、四月から消費者米価、売り渡し価格段階で一俵約六百五十円程度の引き上げがございまして、これに伴います逆ざやの減少に伴う部分が実は大部分でございまして、この引き上げに伴いまして自主流通米の価格もこの出来秋からは引き上げられると見られております。したがって、私どもはこれによりまして農家手取りが減るというふうには思っておりません。基本的には少なくとも生産者手取りが政府米と同程度増加するだろう、むしろ生産者よりも消費者なり流通段階の方にまいろうか、このように考えております。
  80. 松沢俊昭

    ○松沢委員 それはなかなかうまい考え方だと思うのですね。三十五億円減らしても相場は上がっているだろう、こういう話なんだから、虫のいい話ですね。私はそう思いますよ。三十五億円去年よりも減らして、いや、農家手取りの方はもっとよけいになりますよなんて、それはあなた、人をばかにした話だと思うのだな。  そこで、そういうやり方というものは、私、若干疑問に思うのでありますけれども、良質米地帯というのは政府からめんどうを見てもらわぬ、これはあべこべなんですね。良質米地帯でないところはわりあいと財政的な援助がよけいになっていく、良質米地帯の方は財政的には厳しくなっていく、こういう理屈なんですか。要するに、そういう米の対策というのは正しいんですか、どうですか。
  81. 渡邊五郎

    ○渡邊(五)政府委員 自主流通米の問題につきましては、近年におきます政府米の売買逆ざやが逐年縮小されてきておりますことと、自主流通米の価格もここ一、二年非常に堅調でございます。したがいまして、五十五、六年産につきましてはこの流通量も大幅に増加いたしまして、現在四割程度までまいってきておるわけでございます。こうした事情を踏まえまして、流通促進奨励金の単価を流通の実態に合わせて削減を図ったわけでございます。先ほど申しましたような売り渡し価格引き上げに伴います逆ざやとの調整も図る。そうした部分が大部分でございますし、やはり自主流通米はそれなりの市場の評価を通じまして流通してまいるわけでございまして、最近の流通の実態からいたしましても、この程度の奨励金の削減は、農家手取りに及ぼします影響はきわめて少ないものと考えて今回実施したわけでございまして、この間の事情は御理解いただきたいと存じます。
  82. 松沢俊昭

    ○松沢委員 その次に、米価決定と同時に構造政策六項目、これを発表になりましたね。そこには、生産対策においての生産コストの低減を目指すということ、それから中核農家の経営規模の拡大を図るため農地の流動化と集積を促進する、それから新農業構造改善事業の新たな対策を発足させる、第三次の土地改良計画を発足させる、土地改良資金の貸付限度の引き上げを行う、品種改良、生産性向上のための技術の促進をやる、これがいわゆる六項目ということになるわけですね。  それで、これは大臣に聞きますけれども大臣も米価決定劇の際におきましてはなかなか頑強にがんばっておられたわけなんでありますが、結果的には一・一というところで決着がついたということになりますけれども、来年からは米価に関する限りの価格政策というのはやはり放棄して構造政策一本で進む、そういう考え方でこの六項目というのが出されたのでしょうか。どうですか、その点は。
  83. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 今年度米価を決定するに当たって、米価審議会の意見を聞いて、さらに各方面の意見等を聞いて一・一%アップになったのでございます。その間に、最近の米の需給関係あるいはまたわが国の財政の状況、あるいは米作の経営の面から見ての構造的な問題等考えますと、確かに価格問題は重要でございますけれども、同時に、日本農業の構造的な面をより一層積極的に変えていかなければ日本農業の未来がないのじゃないかという議論がいろいろ取り交わされた結果、今回、六項目にわたる条件を付して米価を決定いたしたわけでございまして、私は、将来ともやはり価格問題は価格問題として一つの価値を持っております、と同時に、日本農業にとっては構造的な面をもっと真剣に、もっときめ細かく考えていかなければならない時期に来ているということを申し上げているのでございまして、来年どうするかという問題をいま議論しているわけじゃないのでございますから、その点、御理解いただきたいと思います。
  84. 松沢俊昭

    ○松沢委員 それじゃ、要するに、価格政策は価格政策なりにやはり重要だということなのであって、それは放棄したわけではないという確認で結構ですね。  それから、もう一つの問題は米価審議会です。  二十五人の構成になっておりますけれども、今回の場合におきましては、御承知のように生産者側委員五人が退場するという前代未聞の状態になったわけでございます。退場というより辞任ですから、これは前代未聞であります。  そこで、私考えまするに、二十五人を、公益側、生産者側、消費者側となれば、民主的構成となれば八、八、八ぐらいに持っていくのが常識的なのじゃないか、こう思いますが、米価審議会についていろいろと意見も各界から出ておりますけれども大臣はこの米価審議会の構成だとか今後の運営のあり方等についてどのようにお考えになっているか、お伺いしたいと思うのです。
  85. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 今回、米審に米価の諮問をいたした折に、ただいま御指摘のように五名の委員が辞表を提出して退場したわけでございます。結果的には意見を取りまとめた、これは実質的に答申でございますよという意見をちょうだいいたしたわけでございますけれども、米価審議会の権威の面から言ってまことに残念な問題だと思うのでございまして、今後、米価審議会の権威をいかに高めるかということが大きな課題として残されたわけでございます。  いま御指摘のように、じゃ、米価審議会の運営をどうするのだというお話、しかも、いま、生産者側、中立側あるいは消費者側から均等に委員を出してはどうだろうかという御提案でございますが、そのことも確かに一つの大きな参考になりましょうけれども、御承知のように、米価審議会の規定によりますと、学識経験者から委員を任命するとなっておるのでございまして、決して生産者だとかあるいは中立だとか消費者側だということで委員を任命してはおりません。ですけれども、何かおれは生産者側なのだという意識の強い方もあるようでございますが、私は、本来の米価審議会委員としての役割り委員としての本来の使命を果たしていただくならば、ことさらにいまこれを変える必要はないのじゃないだろうか、問題は、米価審議会の委員としての自覚、それから使命に徹するか徹しないかという問題じゃなかろうかと思います。今後、松沢委員の御提案もございますので、さらに検討はしてまいりますものの、私はそういう考えを持っておるのでございます。
  86. 松沢俊昭

    ○松沢委員 時間が参りましたので、これでやめますけれども、米価審議会は、確かに大臣御指摘のように全部学識経験者ということになりますけれども、さて、実際に審議をやる過程におきまして、やはり生産者村、消費者村、中立村という村ができていることもまた間違いないわけなのでありますから、そういう点を十分お考えの上、やはり民主的な構成、運営をやるように御努力をいただきたいということを希望申し上げまして、終わります。
  87. 羽田孜

    羽田委員長 次に、日野市朗君。
  88. 日野市朗

    ○日野委員 国際捕鯨取締条約に基づく国際捕鯨委員会が終わりまして、日本からの代表の方々は非常に苦労をなさったと思います。非常に厳しい状況の中で本当に健闘されたことをまず御慰労申し上げたいというふうに私は思っているわけであります。  ところが、かなりひどい国際会議だったらしゅうございまして、これはわが国のマスコミからも、それから捕鯨関係者からも、その内容の厳しさもさることながら、会議のあり方そのものについてもかなり厳しい批判が沸き起こっているようであります。  日本は国際捕鯨取締条約に加盟をいたしまして、これからもこの条約の拘束を受けていく立場にあるわけでありますが、まず、今回のこの捕鯨委員会会議の持たれ方などについて、わが国としてどういうことをこれから考えていかなければならないのか、この国際捕鯨委員会を正常化さしていく方向に向けてどういう努力をしなければならないと考えておられるか、まず伺いたいと思います。
  89. 松浦昭

    ○松浦政府委員 今回のIWCの会議におきましては、代表団の大変な御努力とまた捕鯨国の相互の協力にもかかわりませず、三年間の猶予期間はついておりますが、商業捕鯨を禁止する提案が、賛成二十五、反対七、棄権五、欠席二ということで、必要な四分の三を超える多数を獲得いたして可決されたことは、まことに残念であると思っておるわけでございます。  この間の討議の状況を見てみますと、一つには、従来までほとんど捕鯨とは関係のない国々が次々と参加をしてまいりました。しかも、その中には、われわれの非常になじみの薄い国々も急に会議開催後も参加してくるといったような、加入の面につきましていろいろ考えさせられる点があったということもございますし、また、反捕鯨団体の運動が会議そのものを非常に撹乱するといったような状況もあったやに聞いております。さらにまた、科学的な根拠というもとにおきましてこの捕鯨の決定が行われるべきでありますところを、さようなことにつきましては十分な討論も行われず、このような条件つきモラトリアムが通りましたことは非常に遺憾とするところでございまして、私どもといたしましては、今後このような会議の持たれ方というものにつきましては大きな疑念を持っておるところでございます。  さような点から、この会議の正常化につきまして、今後とも各国と十分に話し合い、また、その協力を求めましてIWCが正常な機能を発揮してもらうように努力をしてまいらなければならぬというふうに考える次第でございます。
  90. 日野市朗

    ○日野委員 巷間伝えられるところによりますと、この会議についてはアメリカの態度が非常に強く反映したというように言われております。また、レーガン大統領がこの会議に向けていろいろの談話を発表するということなどもあったようでありまして、こういうアメリカの態度というものを私たちはもっときちんと分析をしなければならないのではないかというふうに考えるわけですが、この会議を通じて米国の態度というものはいかなるものであったのか。特に、水産関係新聞等のコメントを見てみますと、欧米、特にアメリカに対する非常に厳しい論調がかなり見られているわけでありますが、この辺についてはいかがお考えになっておられましょうか。
  91. 松浦昭

    ○松浦政府委員 先ほど先生がレーガン大統領が書簡を発したのではないかということでございますけれども、これは去年の総会でございまして、ことしは発出しておりません。ただ、今回の会議におきましては、アメリカといたしましては基本的にはモラトリアムに賛成というたてまえでございまして、そのようなたてまえをとり続けたということは事実でございます。  また、特にアメリカとヨーロッパにおきますところの反捕鯨団体の動きというものが非常に活発でございまして、これらが新しい国々も加盟させまして、この決議案を科学的な討議を経ずして数の力で可決をするという状況でございます。さような点で、私どもとしましては、このような決議のされ方というものを十分考えまして今後の対応策をとっていかなければいかぬというふうに考えている次第でございます。
  92. 日野市朗

    ○日野委員 アメリカの態度というものが今度の会議においては一応トーンダウンをしたというか、従来よりも冷静な態度に変わってきたというふうに見てよろしいのかどうか、そこらの分析をひとつ伺いたいと思いますし、また、この反捕鯨団体の動きというものは、環境保護という大きな目標、それから資源保護という大きな目標からいって科学的にどうもわれわれとしても賛同しかねるような強い意見を述べて、そして捕鯨とは全く関係のない国々にまで働きかけていった。事の是非は別として、それがやはり非常に大きな力を持ってしまったということが今度の会議に反映をされたのだろうと思うのですが、こういうことのないように、アメリカ、ヨーロッパ諸国といったところともっと冷静な話し合いを展開をしていく、進めていくということがどうしても必要ではないかというふうに、私、思っているのです。そういう話し合いをこれから続けていくことが可能なのか、そしてそういうことをやっていく覚悟がおありなのかどうか、その辺を伺いたいのです。
  93. 松浦昭

    ○松浦政府委員 アメリカとの関係につきましても、実は私ども昨年の総会の結果を見まして非常に危機感を持っておったわけでございまして、さような意味から何回かアメリカとの接触も行い、また、行政のベースではいろいろな話し合いも行ってきたところでございます。しかしながら、アメリカそのものとしてはやはりモラトリアムというものが一つの国是であるという点から、今回もこのモラトリアムに賛成の立場をとったという経緯であろうと思います。  しかし、今後の問題といたしましては、当然これらのモラトリアムに賛成に回りました国々につきましても、わが国の立場をさらに一層強力に理解を求めて働きかけるということが必要でございます。その中でも、特に米国につきましては、従来まで長い間培われてきました漁業の関係もございますし、さらにまた、最近におきましては、ジョイントベンチャーその他を通じました漁業関係をさらに緊密にしている関係にございます。かような良好な漁業関係の維持というものもあわせまして、わが国の捕鯨の継続あるいはIWCの正常化といったような問題につきまして米国の理解を求めるということが非常に重要でありますし、また、その他の国々についても同様な理解を求めていくということが重要であろうと思います。特に、米国につきましてはパックウッド・マグナソン修正法という非常に大きな問題がございますので、実は現在井上海洋漁業部長が日米漁業協定の改定交渉のために訪米いたしておりますが、その際に、捕鯨問題につきましても先方と種々話し合いを行うように指示をして出したところでございます。
  94. 日野市朗

    ○日野委員 そういった主要国もさることながら、私などもこのモラトリアムに賛成をした国々の名前をずっと見て、本当にこんな国が何で捕鯨問題に顔を出してくるのかと非常に疑問を感ずるような国も実はございます。しかし、今日の国際社会では、一国一票というようなたてまえをとってまいりますと、こういう国との関係もやはりきちんとしておかなければならぬのだという感想を、私、非常に深くいたします。  また、今度このモラトリアムに賛成をした国でも、いままでわが国の経済援助等を通じてかなりの関係を持っている国も実はあるわけでございまして、こういうところに対するわが国の国益を守るためのもっと有機的な働きかけといいますか、各省庁がきちんと連絡をとっての働きかけが少し足りなかったのではないかというような感想を、私、持つところでございますが、そこらについては水産庁としてはいかがお考えになっておられますか。
  95. 松浦昭

    ○松浦政府委員 確かに昨年の総会以降八カ国の新しい国々が加盟をいたしてまいっておりまして、IWCの条約の規定上はこれらの国々は当然その権利を持つということで、加入を阻止するわけにはまいらないという状況にあるわけでございます。  ただ、これらの国々につきましても、今回の総会に向けましてかなりの国々にいろいろと接触もし、わが方の立場も十分に話をしていただきまして、そのような対応策はとってまいったわけでございますが、何分にも、たとえばベリーズとかあるいはアンチグア・バーブーダといったような国々はわれわれとしても非常になじみの薄い国でもございますし、さらにまた開会後に急に入ってきたというようなこともございまして、その辺のところを十分な説得ができなかったという問題はあろうかというふうに思います。特に、これらの国々は反捕鯨団体の非常に強い働きかけによりまして急に加盟をいたしてまいった次第でもございますし、その発言も非常に急進的なものであったということは事実であるわけでございます。  そこで、将来の問題といたしまして、これらの国々に対しましても経済援助あるいは技術援助といったようなことを通じまして働きかけをしていくことは考えられるわけでございますが、捕鯨問題を前面に押し出しまして、それとのバーゲンというような形で経済協力なり技術協力なりをするということは、これは、やはり経済協力あるいは技術協力のたてまえから申しまして、あるいは先方の反応といったような面から申しまして、直接にこれを結びつけるということは必ずしも適当でない場合もあるのではないかというふうに考えるわけでございます。しかしながら、漁業面も含めまして経済協力あるいは技術協力を通じまして先方の国々との友好関係を深め、その結果捕鯨の問題にも理解を深めていただくということは非常に重要であると考えるわけでございます。先般、総理及び田澤農林水産大臣がブラジル及びペルーに行かれまして十分な話し合いをし、また、捕鯨の問題についても説明をなすっていただいたわけでございますが、現に両国ともわが方と同一の歩調で最後までこのモラトリアムには反対をしてくれたという経緯もございます。  さような点も十分考え合わせまして、今後ともこれらの国々に対する捕鯨についてのわが国考え方をさらに十分説明してまいりたいというふうに考える次第であります。
  96. 日野市朗

    ○日野委員 非常な努力はしたわけでありますが、結果を見ればどうもやはりわが国の見通しの甘さというようなものはあったろうと思います。いろいろな小さな国であっても、こういう国際会議の場、国際条約の場などで物を言うのは、やはりトータルな国と国との関係であると思いますので、そういうトータルな関係というものをわが国などは多方面から大事にしていかなければならないだろうというふうに思います。  それで、一つ、中国が棄権に回ったということが、私はどうもある大事な問題を内在しているのじゃないかというふうに思うのですが、これは、たとえば教科書問題というようなものがこの関係に影を落としたのではないかというようなコメントをなさる方もおいでになるわけですが、この点はいかがだったでしょう。
  97. 松浦昭

    ○松浦政府委員 中国に対しましては、会議前におきまして田澤農林水産大臣が直接駐日の中国大使に対しまして協力要請を行いましたし、また、私自身も肖さんという農牧漁業部の副部長、これは次官に当たられる方でございますが、この方に書簡で協力もお願いするといったようなことで、いろいろな努力もいたしました。また、会議開催中にも、中国におられる鹿取大使から中国外交部あるいは農牧漁業部に対しまして強力に協力を求めるということで、最後まで努力をいたしたわけでございまして、さような努力の結果棄権に回ったということでございます。  ただ、中国側が申しておりますのは、私どもはぜひわれわれの立場に賛成してほしいということまでお願いしてあったわけでございますけれども、その点につきましては、総体的な対外関係を考慮して、商業捕鯨禁止の提案の採択に当たっては棄権の態度をとったというのが中国側の考えであるというふうに聞いております。
  98. 日野市朗

    ○日野委員 直接にそういった話し合いの中で教科書問題というようなことは出てまいりませんか。
  99. 松浦昭

    ○松浦政府委員 それは全く聞いておりません。
  100. 日野市朗

    ○日野委員 そういうこれからの会議をきちんと乗り切れるだけの力量をぜひともつけていただきたいというふうに思います。  そして、この会議の結果、三年間の期限つきの、三年間まず捕鯨をやって、それからモラトリアムに入るということになったわけであります。これはやはり非常に大きな衝撃をわが国の業界それから労働者の人たちに対して与えておりますし、これはこれからの日本の捕鯨、古来からずっとわが国の漁業として大きな比重を占めてきた捕鯨について大きな衝撃を与えておりますし、これからの漁業の将来、捕鯨の将来ということに大きな暗い影を落としているわけですね。  大体、捕鯨の技術というのは一朝一夕に成ったものじゃないのでありまして、非常に高度な技術を集積されてきた一つの漁業の形態と見てよかろうかというふうに思うのですが、こういった技術とか設備とか、そういったものが、モラトリアムを食うと、これはずっと長い間かけて集積してきたものが一挙に解体をしてしまうというようなおそれがあると思うのですが、そこらについては、いまのうちからきちんとした対策を講じておかないと、まだ三年間の猶予期間があるということで悠長に構えているようなわけにもなかなかまいらないのではないかというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  101. 松浦昭

    ○松浦政府委員 今回、三年間の猶予期間つきではございますが、商業捕鯨の禁止が可決されたわけでございまして、この可決の過程につきましては先ほどから御質問に対してお答えをいたした次第でございますが、本来鯨資源の適当な保存を図りながら捕鯨産業の秩序ある発展を図るために締結された国際捕鯨取締条約の目的及び精神とこの決議とは、私どもとしては相入れないというふうに考えるわけでございます。また、科学的な討議も経ないで、単に数の力だけで決められたということはまことに遺憾であるというふうに考えるわけでございます。  わが国としましては、伝統的な慣習としまして鯨を完全利用してきた国でございますし、また、条約に加盟して以来、長年にわたりまして鯨資源に対する科学調査に協力し、あるいは捕鯨委員会の活動に対しても常に貢献をしてきた国でございまして、かような決定が行われましたことはまことに残念であると言わざるを得ないわけでございます。  そこで、今後の対策ということでございますが、ことしにつきましては、南半球のミンク鯨三千二百二十三・五頭、それから太平洋のマッコウ鯨、これは非常に問題になった資源でございますが、これにつきましても約半分近くの四百五十頭ということで枠が決まってまいりましたので、当面の捕鯨はできるわけでございますが、問題は、ただいま先生御指摘の三年後でございます。この点につきましては、今後の対応策につきまして業界等の関係者とも十分協議しますし、また、関係国とも話し合いまして、異議申し立てを含めまして十分に検討したいというふうに考えております。
  102. 日野市朗

    ○日野委員 異議申し立てを含めてこれからの検討というふうにいまおっしゃったわけでありますが、異議申し立ての話が出ましたので、この問題について伺っておきます。  先ほども長官がちょっとお触れになりましたが、特に心配される点はアメリカ関係法令であろうかと思います。パックウッド・マグナソン修正法は、国際捕鯨取締条約の効果を減殺するような漁業活動、貿易または捕獲を行ったものについての漁獲割り当てを削減する、こういう内容になっているわけでございますが、この異議の申し立てについてまでパックウッド・マグナソン修正法が発動するということはないというふうに、これは素直に読めば読める、解釈できるのではないかというふうに私は考えているのですが、水産庁のお考えはどうでしょうか。異議の申し立てそのものは漁業活動には入らない、貿易または捕獲というような行為には入らないというふうに私なんかは読んで、異議の申し立てについてはこの罰則の適用というようなことまでは行くはずはないだろうというふうに思いますが、水産庁の見通しはいかがでございますか。
  103. 松浦昭

    ○松浦政府委員 仮にわが国が異議の申し立てを行いました場合に、パックウッド・マグナソン修正法が直ちに発動されるかどうかということでございますが、この点につきましては、国際捕鯨取締条約の効果を減殺するような捕獲活動等を行った場合ということがその条件でございますので、文面から申しますと、実際の捕獲活動等の漁獲活動が行われているわけではないわけでございますから、その点は直ちにかかることはないのではないかという解釈も成り立ち得るのではないかと思います。  ただ、これはあくまでも先方の法律でございまして、先方に解釈権がございますので、そのような点も含めまして、実は井上部長を現在アメリカにやっておりまして、先方といろいろなわが方の立場の説明あるいはその他の点につきましての話し合いを行わせているという状況でございます。
  104. 日野市朗

    ○日野委員 それから、ペリー修正法などについても、これは同じように考えてもよろしかろうかと思いますが、こういったアメリカ関係の法令の解釈のそご、または政治的な動きによって、その異議の申し立てにまでクレームがつくようなことのないように、ひとつ万全の対応をしていただきたいものだというふうに思います。  また、これは先ほど長官もおっしゃったように、特にスケトウ漁などでは、ジョイントベンチャーによる日米間の漁業協力というようなものも進んでおりますし、そういう点を考えて、アメリカ側の理解を得るという手段をとっていただいた上で、私は異議の申し立てばぜひともやっていただきたい、こういう政治的な決断をやっていただきたい。そして、異議の申し立てを行って、三年間の期間が終わった後に完全にモラトリアムに入るというようなことのないような最大の努力をしていただきたいというふうに思うのですが、この努力についてはどうでしょう。大臣の方からひとつ伺いたいと思います。
  105. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 実はIWC総会の前に、先ほど水産庁長官からも報告がありましたが、私は、まず西ドイツの農林大臣にお会いした折にこの点お願いをしました。また、中国の駐日大使にもこれをお願いしました。さらに、総理とともにペルー、ブラジルへ参りました折にも、ペルーの大統領にも水産大臣にも、あるいはブラジルの大統領にも、さらには農林大臣にもお願いいたしました。結果、ペルーあるいはブラジル等は賛成していただいたのでございますが、西ドイツはかなり賛成の態度をとっておったのでございますけれども、EC全体でやはりモラトリアム賛成という意向ですので、私ひとり孤立するのもこの際忍びないというようなことから、この態度をやはり反対に回ったようでございます。中国はいろいろな環境の中で棄権になったということは、私は非常に評価してよろしいと思うのでございます。また、アメリカに対しても、私はボルドリッジ商務長官に対して、書簡ではございますけれども、この点をお願いいたしましたところ、やはりいろいろなむずかしい問題はあるけれども日本側の意向は十分聞いて交渉には応じましょうという態度の回答をいただいたのでございます。私はまたオーストラリアに参った折にも、今回議題外であるけれども、提案というのじゃございませんけれども、IWCの結果が日本にとっては非常に遺憾な結果が出たのでありますが、オーストラリアの意向はいかがでございましょうかと聞きましたところ、オーストラリアはやはりこのモラトリアムに賛成であるという態度を明らかにしておりました。その後、シドニーの日本領事館に六名ほどのいわゆる捕鯨反対のデモがあったということも聞きまして、オーストラリアはこの商業捕鯨に対する反対の意思がかなり強いということを感じたわけでございます。  私は、全体を見て、今回最終的に四カ国ぐらいが新たに加盟したことにこのモラトリアムが決定された大きな原因があろうと思うのでございますが、国際捕鯨取締条約の目的あるいは精神というものをもっと各国に説明をし、理解をいただくことが第一であろうと思うのでございます。一方、鯨に対する環境の面からも、あるいは保護育成の面からも、これは非常に強い世界的な世論があるわけでございますので、この世論に対してどういうような対応をするかということは大きい問題だと思うのです。恐らく反対している、あるいはモラトリアムに賛成している国々は捕鯨国じゃございませんので、単に鯨の育成だとか保護政策に対して賛成な態度なんでございますから、こういうことと国際捕鯨取締条約というものをはっきり認識させることが将来一番重要じゃないだろうかと思います。  私は、今後そういう点に十分注意を払いながら、また、アメリカとの関係もできるだけ積極的に話し合いを進めながら、捕鯨が将来とも存続できるような形にしてまいるように努力をいたしたい、かように考えておりますので、御理解をいただきたいと思います。
  106. 日野市朗

    ○日野委員 異議の申し立ての方向についてはどうですか。
  107. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 異議申し立てについては、これは、アメリカとの関係でいま日野委員御指摘のようなこの法の解釈問題というのは非常に微妙な問題がございますが、私たちは異議申し立ても含めてこれから検討してまいりたいと考えております。
  108. 日野市朗

    ○日野委員 いま、大臣のいろいろな各方面を配慮しての御発言があったわけですが、鈴木総理も参議院なんかの委員会におきまして、捕鯨業の保護育成については従来にも増して努力をしてまいりたい、このように答弁をしておられるわけであります。今回の捕鯨委員会が終わって、その結果をも踏まえて、従来にも増して保護育成のために努力をしてまいる、こういうお考えは毫も変わらぬというふうに伺ってよろしゅうございましょうか。
  109. 松浦昭

    ○松浦政府委員 結果の御報告も官邸に御連絡を申し上げたわけでございますが、総理のお気持ちは恐らく変わらないものというふうに考えております。前にも増してとおっしゃっておられますのは、このような非常に厳しい環境の中にあっても、なおかつ前にも増してわれわれに努力をするようにということでおっしゃっておられるのだろうというふうに考えるわけでございまして、私どもの方針で、ただいま大臣がまさに的確に御説明されました方針によりまして、今後ともこの問題に対処してまいりたいというふうに考える次第でございます。
  110. 日野市朗

    ○日野委員 この国際会議が終わってから、私、業界の方やそれからその関連の労働者の方々の意見をも聞いてみたわけであります。三年間の余裕があるとはいうものの、みんなかなり不安感を感じているわけでございます。そして、この人たちが一様に言うことは、もう自分たちはほかには何にもやれないのだということでございます。つまり、捕鯨の設備、それから捕鯨の技術というようなものは、これは他になかなか転用ができるものではないということでございまして、こういった人たちはみんないずれももうこれからも捕鯨を続けるしかないのだということでありまして、捕鯨という生活手段を奪われるということになりますと、これは自分たちの生存の道はないというようなことまで言われるわけであります。こういう人たちに対して十分にこたえるというだけの覚悟はぜひともしていただきたいと思います。いかがでございましょう。できれば大臣からひとつお願いをしたいのですが。
  111. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 実はいま水産庁長官の答弁にもありましたように、この総会の後、鈴木総理ともお会いしまして、今後の対策等についていろいろ意見を承ったのでございますが、それに対しては、総理としては、やはり日本の捕鯨に対する問題というのは非常に大きい、これを中心にして生計を立てている人がたくさんおるのであるから、これに対しては今後とも積極的に捕鯨ができる状況をつくっていかなければならない。ただ、問題は、やはりアメリカとの関係を円満な形で進めていかなければ将来にかえって禍根を残すことになるから、そういう点は注意しなさいということは言われましたものの、これまで以上に積極的に捕鯨についてはより一層の対策を進めていくべきであるという考えでございますので、私といたしましても、ただいま御指摘のように捕鯨以外に漁労の道のない方々でございますので、旧来にも増して捕鯨問題について積極的に取り組んで、期待にこたえるように努力をいたしたいと考えております。
  112. 日野市朗

    ○日野委員 私もいろいろ調べてみて、実は日本の捕鯨は昔日の面影はないということは私もよくわかります。しかし、直接従事しておられる方々、それに関連するいろいろな産業の方々、これの数は少なくなったとはいえ、日本の捕鯨というものが、これからの食糧対策食糧戦略をも踏まえて国の側で十分な配慮をすべき部門であるということは間違いないと思います。確かに、人数が減ってまいりますと政治的な圧力なども衰えて、ややもすると軽く見られがちでありますけれども、万が一にもそのようなことのないようにぜひともお願いをいたしたいと思います。これからいろいろな捕鯨の技術問題、漁場の問題、それから、場合によっては失業の問題等出てまいります。これについてはぜひとも前向きの姿勢をお願いをしたい。よろしゅうございますか。
  113. 松浦昭

    ○松浦政府委員 ただいま大臣から御答弁されたとおりでございまして、そのような方向で最善の努力を尽くしたいと考える次第でございます。
  114. 日野市朗

    ○日野委員 最後に、もしこの捕鯨問題に手を抜くようなことがあったら承知しませんぞということを一言申し上げて、質問を終わります。     —————————————
  115. 羽田孜

    羽田委員長 次に、小川君の質疑に入るわけでありますけれども、この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  農林水産業振興に関する件について、本日、小川国彦君の質疑に際し、日本中央競馬会常務理事近藤充君を参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  116. 羽田孜

    羽田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  117. 羽田孜

    羽田委員長 質疑を続行いたします。小川国彦君。
  118. 小川国彦

    ○小川(国)委員 農水省の畜産局においては、中央競馬会並びにその関連団体に対するいろいろな指導を適切に行ってこられているというふうに考えるわけでありますが、いろいろと問題が続出しているということから、当農水委員会の中でもこういった問題の究明は徹底的になされるべき必要があるんじゃないか、こういうふうに感じている次第であります。  最初にちょっとお伺いしたいのですが、日本全国各地に社団法人で馬主協会というのがつくられておるわけでありますが、これに対しましては、たとえば社団法人中山馬主協会というのに対しては、昭和五十六年度で競走協力金というので一千三百八十万九千四百円、こういう金が競馬会から補助金として出ているということでございますが、これは事実かどうか。最初に、畜産局なり中央競馬会から御答弁をいただきたい。
  119. 石川弘

    ○石川(弘)政府委員 いま先生御指摘の金額自身は、私、手元で確認をいたしておりませんので、調べた上でお知らせいたしたいと思います。  この法人の監督権限につきましては、御承知のように、かつては農林大臣が直接管理監督いたしておりましたけれども昭和四十年以降、都道府県単位のこの種の法人につきましては管理監督権を都道府県知事さんにお渡ししておるという事実がございますが、金を流すという面につきましては、競馬会等の金が流れているということでございますれば、当然これは競馬会の行動を通じて私ども指導あるいは助成をするということはあろうかと思います。
  120. 小川国彦

    ○小川(国)委員 中央競馬会の方、いらっしゃっておりますが、この馬主協会に競走協力金というような助成金が出ている、こういうことについては御存じでいらっしゃいますか。
  121. 近藤充

    近藤参考人 お答えいたします。  私どもの競走事業費の中に競走協力金という項目がございまして、これは、競走に出走いたしました一着から三着までの馬主の所属します馬主協会に、賞金という形で交付いたしております。
  122. 小川国彦

    ○小川(国)委員 実は中山の馬主協会にその金が出ているわけでございますが、いま畜産局長お答えのように、こういう国からの金が、特殊法人の金が流れているということになれば、当然その団体の行政のあり方についても監督が行われなければならないんじゃないかというふうに思うのですが、最近、実は千葉県の中山馬主協会をめぐって国有地の払い下げの大変な問題が起こっているわけです。  これは、実は昨年、昭和五十六年二月二十七日に千葉県印旛郡富里村十倉というところにあります国有地十町五畝二十三歩、これが大蔵省財産から社団法人中山馬主協会へ移転登記がなされたわけです。  内訳は、運動馬場が三町六反二畝四歩、それから放牧地ということで六町四反三畝十九歩ということで、時価にして十億は下らないだろうというふうに推定される膨大な国有財産が社団法人中山馬主協会に移転登記がされた。  ところが、それから二週間とたたない昭和五十六年三月十三日には、この中山馬主協会から、日本中央競馬会馬主連合会顧問で、中山馬主協会の顧問で元会長である中村勝五郎氏が個人財産としてこれを移転登記するということがなされているわけであります。  その理由としては、大蔵省は、昭和二十五年九月十五日に大蔵省と中山馬主協会の間に当該土地の売買契約があって、その当時四十万二千四百七十円という金が中山馬主協会から払い込まれていた。そういう昭和二十五年の契約書があったので、それに基づいて昨年移転登記をした、こういうことなんです。  ところが、この昭和二十年代には全国的に自作農創設維持が進められておって、この三里塚あるいは富里における国有地というものも、その大半が周辺の農民あるいはまた沖縄からの移住者あるいは海外からの引き揚げ者、そういう人たちに食糧増産ということで農地として解放されたわけなんです。ところが、この十町歩の牧場用地についてだけは、当時、農水省の畜産局長が副申書まで添えまして、これは周辺の軽種馬の生産、育成に従事する人の運動場ということで、ぜひこれは解放しないで残してほしい、こういうような副申書が出されたがゆえに、これは解放農地から免れて牧場用地ということで残ってきたのです。  ところが、それがこの三十年間どういう使用実態であったかというと、実質的には中山馬主協会の所有ではなくて、中村勝五郎という馬主協会元会長個人の扶桑牧場という名目で中身は実際には運営されてきた、こういう実態にあるわけなんです。これは、本来なら国有地は当然農民に解放されるべきものが、こうした馬の改良、育成のためということで、社団法人である中山馬主協会であるがゆえに除外されて、そこに売買契約書が組まれたと思うのです。しかるに、それを三十年も国有地のまま放置しておいて、昨年になって突如これが中山馬主協会に払い下げられて、二週間後には個人名義に移転登記になる。大変な疑惑を感ぜざるを得ないわけでありますが、これは、農水省の方も当時畜産局長が副申書を添えているのです。  こういう経過について、農水省としてこういう事実をお聞きになっているかどうか、その点をまず。
  123. 石川弘

    ○石川(弘)政府委員 先生からそういう御質疑の御通知がございまして、私どもも当時の事情を調査をいたしております。いま先生おっしゃいましたような事情のようでございますが、当時、宮内庁の財産が物納をされましたものにつきまして、旧日本競馬会、これは国営に移す以前の競馬会でございますが、競馬会が実質的にそこで競走馬の休養とかなんとかをやらしていたという事実がございまして、そういうのが、当初の事情としては何か旧日本競馬会が取得すればいいというお話があったようでございますけれども、競馬会は解散して国有になった。実質的に使っている中山の馬主協会が、払い下げを受けてそこで競走馬の休養だとかあるいは調教といったものをやりたいということで払い下げ申請がありまして、そのようなことにつきまして、当時の畜産局長名をもちまして、関東財務局長あてにそういう目的に使用させたいからよろしくお取り計らいを願いたいという副申を添えているようでございます。  その後の扱いにつきましては、私どもまだ全体の方々の御意見を聞くまでに至っておりませんけれども、二十五年が払い下げでございますが、昭和三十年に中山馬主協会の中で、その馬場といいますか、土地を、当時の所有者でありました、当時の協会長でもあります中村勝五郎氏に代物弁済として渡すんだというようなことを決めておる。いま先生おっしゃいました登記等の問題につきましては、これはそもそもの表示の登記さえなかったようでございまして、先生おっしゃいましたような最近時点において、そもそも国有であったという表示登記から始めまして、各種の移転登記が行われたというような事実のようでございます。
  124. 小川国彦

    ○小川(国)委員 大蔵省が、管財局が参っていると思いますからお伺いしますけれども、大蔵省管財局の言い分によれば、これは昭和二十五年当時の売買契約書があった、しかも四十万円という金を受け取っている、ですから移転登記をせざるを得なかったということなんですが、そうすると、なぜ三十年間もこれをほっておいたかということなんです。これは、ほっておけば国有地ですから税金は一切かからないわけなんです。ですから、この中村勝五郎氏は、昨年移転登記になるまでは実質上三十年近く自分の扶桑牧場ということで、そこで営業行為、営利行為をやって収益を上げてきたと思うのです。ところが、税金は国有地ですから一銭もかかってこないということで、これは国が脱税行為のお手伝いをしていることになりはしないかというふうにも考えるわけなんです。  大蔵省の管財では、この土地を払い下げる、去年の段階で最終的な払い下げ行為が移転登記によって完了したと思うのですが、その時点で現地が一体どうなっているのか、社団法人中山馬主協会が、ちゃんと名義人が名義のとおりそれを使用しているのかどうか、実態はどうなっているのか、その一部には建設会社の建物まで建って、第三者に転貸か転売かわかりませんが、そういう状況にもなっている、そういう現地調査はなすったかどうか。時間がございませんから、現地調査をやったかどうか、昨年の移転登記の段階で大蔵省の管財としてどういう調査をされたかということをひとつ聞かしていただきたい。
  125. 小林靖典

    小林説明員 五十六年当時の件につきまして現地調査をやったかどうかという点でございますけれども、私ども、この点につきましてはまだ確認はしておりません。ただ、二十五年に売買契約がなされたということもありまして、確かに当初の利用計画どおりに利用されたかどうかということは問題でございますけれども、買い主から登記の要求がありますれば、私どもとしてそれに応じざるを得なかったという事情にございますので、御理解願いたいと思います。
  126. 小川国彦

    ○小川(国)委員 これは理解できないですよ。大蔵省が国民の財産である国有地を払い下げするときには、少なくとも当初の売買契約がなされて、金が払い込まれる。しかし、その移転登記までの間に三十年もほっぽっておくというのは一体どういうことなのか。これは、周辺の農民に言わせれば、農地解放を逃れるために、表向きは社団法人中山馬主協会への払い下げということにしておけば、それは法人の財産だから周りから手がつけられないということで、解放農地にはならない。解放農地にさせないために、だれがどう頼んで、だれが引き受けてやったかわかりませんが、わざわざこれを国有地のままでほっておいた。そして三十年たって、そろそろ時効じゃないか、世の中に出していってもいいじゃないかということで、昨年そういうことがなされたということなんです。  そうすると、大蔵省は、一方では臨調で、行政改革で、大変な歳入欠陥があるから、国も自治体もどんどん税金を上げなければならない。ところが、ここは国有地ですから、実質的には扶桑牧場という個人の牧場が三十年間そこで営業していたんですが、税金は一銭も納めてないんですね。これは、早く言えば、大蔵省が脱税のお手伝いをしていたということになってしまうわけですね。固定資産税を一銭も払っておりませんね。これはどういうことになるんですか。
  127. 小林靖典

    小林説明員 確かに先生御指摘のとおり、固定資産税が納付されてなかったという点につきましては、私どもも残念に思っているわけでございますけれども、なぜ登記がおくれたかという点で申しますと、これは故意にやったものではないということをまず申し上げたいと思うわけでございます。  昭和二十五年当時は大量の物納財産の処分が行われておりましたし、また、この土地の付近一帯につきましては、農地の払い下げがなされていた関係もありまして、登記簿の整理が予定されていたわけでございます。こういった関係から、中山馬主協会への登記も繰り延べられたのではないかというふうに考えられます。  ただ、その後、その登記未済のまま日時が経過したわけでございますが、私ども、四十年代にも登記未済案件がないか、そういう調査をやったわけでございますけれども、そのときもこの件は発見されなかったものでございますので、私ども、故意に登記を怠ったという点はございませんので、この点はぜひ御理解願いたいと思います。
  128. 小川国彦

    ○小川(国)委員 これは理解できないですね。そういうことになれば、国有財産の払い下げを受けた人は、全部それを個人の名義にしないで、大蔵省の、国の財産にしておけば税金を払わなくて済むということになるのですよ。みんなそういうことになっちゃうのですよ。三十年間も税金を払わないで過ごしてきたのは、皆さんが四十年代に、当時未済調査をやったんだけれどもその中からおっこちていたんだ。だけれども、三十年も意識的におっこちていたやつを、昨年のときに、現地調査をするなり、それから税金はどうなっているんだというくらいの調査は当然やってから国は移転登記すべきでしょう。  大体、大蔵省というのはそういう国有財産の払い下げはかなり厳しくやっていると思うのですよ。厳しくやっている大蔵省がこんな三十年も置いて、国税庁の人がいると思うのですが、こういう場合の税金はどうなるのでございますか。これは払わなくて済むということになるのでございますか。
  129. 平北直巳

    ○平北説明員 固定資産税に関しましては地方税でございますので、自治省の方からお答えがあろうかと思います。
  130. 小川国彦

    ○小川(国)委員 国税庁の方でも税金のことはわかっているはずなんで、ここへまた自治省をわざわざ呼ばなければ回答できないようなことでは大変情けない話なんですが、これは笑って済ませられる問題じゃないというふうに私は思うのですね。三十年かけた犯罪のにおいがするわけですよ。  一つには、わざわざ移転登記をしないで、農水省が推薦した社団法人中山馬主協会のいわゆる育成場ということのたてまえでおけば、これは農地解放は免れる。それから、国有地のままほうっておけば税金はかからないで済む。やはり悪いことは三十年たってもわかってくるわけで、これはこのまま許すことができないと思うのです。このことについては、農水省も、当時、当然これを残してほしいという副申書、昭和二十五年六月の当時の畜産局長は山根東明さんという方だそうでございますが、これはいまの局長さんから何代前の局長さんになるかわかりませんが、ともかく副申書を添えて、社団法人中山馬主協会で使わせてやってくれという副申書を出しているのですね。副申書を出したからには、それが目的どおり使われているかどうかということについては農水省もやはり責任があると思うのですね。  ですから、この問題については、そういう十億も超える財産がたてまえと全く違う個人のところに移転登記がなされたという事態は非常に重大な事態であって、これは、大蔵省の方でもこれをもとへ戻す、あるいは農水省もそれを一緒に検討する、こういうことで、これが納得のいく形にならないと、国有財産の処分をめぐって農水省と大蔵省が非常に不明朗なものを残すということになりかねませんので、この点について実情を調査してこれに対処する方針をひとつお示しいただきたい、こう思うのですが、いかがでございますか。
  131. 石川弘

    ○石川(弘)政府委員 私、短い時間で調べた限りで申し上げますと、御承知のように、牧場ではございますが、馬場の真ん中は農地として解放いたしておりまして、牧場に附属する部分というのと分かれております。したがいまして、少なくとも牧場の通路の中側は農地として解放しているようでございますので、当時、農地解放を逃れるというような趣旨は私はなかったのではなかろうかと思います。  むしろ、先生も御不審で、私どもも非常に登記がおくれたというようなことで不審に思っておりますが、調べてみますと、そもそも宮内庁財産から大蔵に渡りまして使っておりまして、その移転をする前の表示登記でございますが、その土地の登記をすること自身が五十何年までおくれておりますので、先ほど国有財産の方からもお話があったように、そういう面でいろいろな調査の中で発見がおくれたのではないかなという気がするわけでございます。何しろ、これは関係者の多くの方からお聞きした話じゃないものでございますので、事態をよく調べてみようと思っております。  ただ、売買自身につきましては、二十五年に有効に成立をしているのではなかろうか、むしろ売買が成立した後のいわば対抗要件になるわけでございますが、そういう登記の手続に遅延があったのではなかろうかな、そのように私は現段階では考えておりますが、関係者からさらに事情をよく聞いてみたいと思っております。
  132. 小川国彦

    ○小川(国)委員 畜産局長はここ数日の御勉強だからあれだと思いますが、私は、これは大変な数の関係者から聞いているし、現場も何度も見ましたし、それから、現実にこれは周辺は全部解放農地です。その真ん中にぽこんと馬場と六町歩の放牧場が残されている。これはまさに牧場なんですね。それは、それだけ大きな八百町歩に上る国有地が農民に解放されたど真ん中にこれが残されたというのは異常な事態なんです。なぜ異常なのかというのは、それが本来解放になるべきなのに、農林省畜産局の副申書もあって、そういう社団法人の中山馬主協会の馬の育成場ということで残したいということだから免れたと私は思うのですよ。それは、農水省も中村勝五郎氏個人の私有財産をふやすためにやったことではないと思うのです。いかがですか、それは。
  133. 石川弘

    ○石川(弘)政府委員 まさしく中山の馬主協会の方々が使われる、そういう育成場ということで副申を書いたわけでございます。それから後、先ほどちょっと申しましたように、三十年に、そのときの中山馬主協会の内部で、その土地について代物弁済をするのだというようなことがあったようでございます。しかし、私どもが二十六年当時副申を書きました趣旨といたしましては、その土地の所有権がどう行くということよりも、そこの馬場でそういう育成がなされることが望ましいということで副申したものだと思っております。
  134. 小川国彦

    ○小川(国)委員 それがそのとおり使われなかった。農林省もだまされた、こういうことになるんですよね。ですから、私は、いま局長も調べてみるということでございますから、これについては調べていただきたいと思う。  それから、私はきょう時間がございませんので、先ほどの大蔵省の管財の答弁は納得できません。昭和二十五年の契約書一通をもって、移転登記をするのに現地調査を一度もせずに、三十年間もほうっておいて脱税のお手伝いをしてきた、結果的にそういうことなんです。農地解放逃れと脱税と、この二つが大蔵省内部で行われてきたということは許せないので、これについては改めて私はどういう処理をしたかということを伺いたいと思いますが、現地調査をなすってそれを報告してもらいたいということを、これは委員長を通じて要望しておきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  135. 羽田孜

    羽田委員長 小川君からいまそのような申し出がありますけれども、これについては、今後十分な調査を進めるように私の方からもお願いしておきます。
  136. 小川国彦

    ○小川(国)委員 次に、私は競走馬の輸入の問題についてただしたいと思います。  これについては、先般来大変な疑惑が残されたまま灰色決着というような状況にあって、私どもは、これは国会の決算委員会で問題にされたことでありますが、農水省関係所管の農林水産委員会としては、この問題が灰色決着なんというようなことではなくて、きれいな決着を見るようにこの問題の解決はすべき任務がある、こういうふうに考えるわけであります。  そこで伺いたいのでありますが、競走馬の輸入が野沢組と藤井治商事の二社になったわけであります。二社になったいきさつは大体皆さんの方から聞いていて、その両社が専門であるからということなんですが、この両社になってから競走馬の入札というのはずっと行われていたのでしょうか。購入形式は入札という形で通してこられたのかどうかです。
  137. 近藤充

    近藤参考人 お答えします。  先生も御承知かと思いますけれども、種馬を外国から輸入いたします際には、日本におきましての商社に、私どもの方、あるいは今回の問題になりましたハンザダンサ一号の場合には軽種馬協会の方から選定を委託いたしましたので、軽種馬協会の方で商社を指定いたしまして、その商社が購入のためのあっせんをするという形をとっております。したがいまして、いま先生がおっしゃったような競売と申しますか、競りと申しますか、そういう形をとっているわけではございませんで、日本側の商社が現地の商社と業務提携をいたしまして、外国に赴きまして現地で個々の馬を見まして、この馬は、いま申し上げましたように外国の現地の商社が推薦をしました馬でございますが、そういう馬を見まして、その血統なり、あるいは成績なり馬格なり、そういうものを見まして最終的に買う馬を決定するというふうな形になっております。
  138. 小川国彦

    ○小川(国)委員 先日の決算委員会の議事録を読みますと、七月七日の議事録では、今泉参考人は「ハンザダンサー百二十五万ドル、グレートコントラクター百三十五万ドル、プルアウト百四十五万ドル、以上の価格を、開封した結果認めまして、購買馬は、価格の点、血統、馬格、競走成績等を参照し、最適と認めたハンザダンサー号と決定いたしました。」ということなんですよ。そうすると、まさにこれは入札ですね。三つの札を入れて、一番安い馬を買っているわけなんです。ですから、そういう入札形式でこれは行われたと判断をせざるを得ないのですが、そうではなかったのですか。
  139. 近藤充

    近藤参考人 いま先生御指摘のように、前回の決算委員会で今泉参考人からそういう御説明をいたしたわけでございますが、本来、種馬を買います際には、いま申し上げましたように、現地で数頭あるいは場合によっては数十頭の馬を見まして、その中から、従来の実績から申しますと三頭なり二頭なり、数頭に候補馬をしぼりまして、そのしぼりました馬につきまして、すでに馬格なり血統なり、あるいはその馬の成績なりはわかっておりますので、最終的にそのしぼりました数頭につきまして価格の呈示を求めるわけでございます。  したがいまして、ハンザダンサ一号の場合には、たまたま三頭選ばれた中の一頭で、しかも価格が最低であったということではございますが、必ずしも価格が最低だからその馬にしたということではございません。結果的にはハンザダンサー号の場合にはそうなりましたけれども、私ども聞いておりますのは、それぞれの馬の馬格なり血統なり成績なりを見まして、いわゆる価格とその馬の格と申しますか、比較をいたしまして、この馬ならば、この値段ならば十分購買に値するかどうか、そこを最終的に決めるのが購買員の鑑定と申しますか、目ききと申しますか、それによって決めるわけでございまして、たまたま結果的には最低の価格になりましたけれども、一応、いま申し上げましたように、馬の価格とその馬の成績なり血統なり馬格なりというものを比較いたしまして、どの馬が一番適当かというふうに決めていると聞いております。
  140. 小川国彦

    ○小川(国)委員 そうすると、入札ではない。結論的に言うと、入札じゃなくて関係商社の談合で決めてもらう、こういうことですか。
  141. 近藤充

    近藤参考人 談合ということではございませんで、このハンザダンサー号の場合にも、購買員である今泉参考人とそれから私どもの方から田口という職員が参りまして、立会をいたしまして、そしてよく相談をいたしまして、この馬が値段から見て一番適当であると判断をいたしまして決めたということでございます。
  142. 小川国彦

    ○小川(国)委員 私ただしたいのは、このハンザダンサーだけじゃないんですよ。その後、おたくの方が五十年ごろから、オランテとかリンデントリー、五十四年にはロイヤルスキー、同じくラインゴールド、五十五年はジャッジャー、同じくアンズプリテンダー、五十六年にウォロー、ノノアルコ、サンデイクリークと、これを全部買っているのですが、この買っている馬は、皆さんから私ども報告していただいた文書によると、たとえば五十年のオランテはフランスから野沢組が取り扱った、同じくリンデントリーはフランスから藤井治商事が取り扱った、五十二年のハンザダンサーはアメリカから藤井治商事、五十四年のラインゴールドはアイルランドから藤井治商事、ロイヤルスキーはアメリカから野沢組、こういうふうに、皆さんの方から言うのは、みんな取り扱いに日本商社があって、外国の商社名が出て報告をされているのですよ、農水省の方から出していただいたこの資料によれば。一頭の馬を買うときには、日本の商社名があって、外国の商社名があって、そして購入しているというたてまえになっているのです。ところが、実際の買い方を見ると、契約の中身には野沢組が買った馬の方に藤井治商事が入っているし、外国の商社がBBA一社かと思ったらそこにもう一社入っているという形で、一頭の馬が国内一社、外国一社じゃないのですよ。国内二社も入っておるし、外国二社も入ってその売買確認書なんというものがつくられているのです。そうすると、これはみんな談合で、一頭の馬を買うのに二社ずつみんなそれぞれの馬に関係会社が入っているのですよ。これは、どう見ても適正、公正な形で決められたのじゃなくて、日本側の馬の輸入商社と外国の馬の輸出商社が集まって談合で決めた。  私どもが入手した売買確認書を見ますと、日本の商社が二社、外国の商社が三社、全部署名しているのですよ。それから、軽種馬協会の行った役員、田口課長もそこに判をついているのですよ。五十六年の三頭の馬の輸入の売買確認書に田口課長がサインをした文書も私のところにあるのですよ。そうすると、競馬会から行った人が談合の書面にみんな判こを押しているようなもので、三頭の馬を買ったのに、農水省の書類だと別々の系統で買ったようになっているのですが、文書で見ると全部入っているのですよ。一体これはどういうわけなんですか。私はめちゃくちゃな馬の買い方じゃないかというふうに指摘したいのですが、ひとつ簡潔に答えてください。
  143. 近藤充

    近藤参考人 ただいま先生御指摘の文書は、購買員が売買と申しますか、この馬にというふうなことを決めた後、買うための条件なりあるいはその他の項目につきまして一応文書にいたしまして、そしていま申し上げました日本側の商社あるいは私どもの田口という職員でございますが、サインをいたしましたのは、あくまでも立会、立会人という形でサインをしたわけでございます。お互いにこれで買うことあるいは売ることを確認をしようというための文書でございまして、いま先生御指摘のように日本側が二社が一緒になって、あるいは現地の商社が一緒になって談合するという形ではございません。いままで私どもが調べたところによりますと、日本側の商社はそれぞれ藤井商事あるいは野沢組という形でありますけれども、それが現地で両社が談合をしてというふうな形でもございませんで、あくまでも日本側の商社は現地の商社とそれぞれ業務提携をいたしまして、さっき申し上げましたように、それぞれ現地の商社の推薦をしました馬を見て回るわけでございます。そうしまして、最終的にさっき申し上げましたように数頭にしぼりまして、値段の呈示を求めて、そして値段が適当かどうかを判断して売買を決める。その際に、昨年の場合には三頭を買ったわけでございますが、それぞれの馬につきまして、それまでいろいろ参画をしました者が立会者あるいは契約者というふうな形でサインをしたというものでございます。
  144. 小川国彦

    ○小川(国)委員 そうしますと、五十六年のノノアルコは藤井治商事が取り扱ってキース・フリーマンが向こうの商社ということになっているのですが、これにはBBAは入っていませんか。
  145. 近藤充

    近藤参考人 いま現在私どもでその辺のことを含めまして調査をいたしておりますが、現地では、たとえばいま先生御指摘の馬につきましては、場合によってはBBAとキース・フリーマンとが提携をしまして、そうしてやる。私ども、実はいま五十年以降の馬を調査を進めておるわけでございますが、その段階で若干わかりましたのは、たとえばイギリスの場合ですとBBAとキース・フリーマン、それからフランスの場合ですとゴドルフィン・ダーレイ会社とフライング・フォックスという二社それぞれございますけれども、そういうBBAの推薦した馬あるいはキース・フリーマンの推薦した馬というものがございますが、たまたま先生御指摘の馬の場合は、BBAとキース・フリーマンと両方から現地から推薦があったというふうな事情もございます。
  146. 小川国彦

    ○小川(国)委員 両方から推薦があっただけじゃなくて、売買確認書に両方の社名がサインされたんですよ。そういう文書を、私、持っているのですよ。だから、あなたの方はいま調査中ということで逃げていますが、ウォローの方も野沢組が入れた、サンディクリークも野沢組、ノノアルコが藤井治商事、こう言っているのですが、このどれもに両方の社名が入っているし、それからキース・フリーマンじゃなくてBBAも入っている。そうすると、複数以上の商社が日本でも入っているし、向こうでも、ヨーロッパでも入っている。こういうことは、日本と向こうと、欧米と合作の大談合だというふうに見ざるを得ないのです。  これは、あなたの方で何と言われようと、ずっと見ると、たとえばキース・フリーマンから買ったサンデイクリークを調べると、その最後のところにはBBAと一緒にという文句がついているんですよ、みんな。イン アソシエーションウイズザ BBAと書いてあるし、みんなそれぞれキース・フリーマンから買った方の文書にはBBAが一緒にやっていると書いてあるし、BBAのやった方にはキース・フリーマンと一緒にやった、こう書いてあるのです。請求書にそう書いてあるのだから、これは間違いなく向こうは両社合体でやったという事実を裏づけている。  それから、売買を決めた確認書には、日本の二社と向こうの二社と、それから軽種馬協会とそれから田口課長と、全部なんですよ。これは、明らかにこの三頭は国際的談合でやってきたと言わざるを得ないんですね。この点は、あなたは調査中ということなんだから、私はもう時間が来ましたのであれなんですが、最後に警察庁と会計検査院に。  この疑惑はいままで一頭だけが表面化しているけれども、五十六年だけで見れば六億から四億、四億ですから十五億の馬の購入だし、国民一人当たりの税金から見ると、大変な数の勤労者が納める税金にもなるわけです、この十五億という金は。それがこういう国際的談合みたいなことでやられてきているというのを放置していいのかという率直な気持ちを私どもは持っているので、警察庁当局や会計検査院はこの実態をともに究明する責務を持っていると私は思うのですが、その点、どのような取り組みになっているか、ひとつお答えをいただきたい。
  147. 森広英一

    森広説明員 先般の委員会におきまして刑事局長の方から調査をすることを申し上げておりますけれども、ただいま伺いましたいろいろな問題も含めまして、幅広く必要な調査をいたすというふうに考えております。
  148. 山口豊

    ○山口会計検査院説明員 私ども、先月二十六日から三十日までの五日間、一応本部検査を実施いたしまして、その際には、五十六年度分のほかに関連の購入についてもあわせ調査を行っているわけでございます。現在、その調査の結果については部内で取りまとめ中でございますが、先ほど来の先生御指摘の趣旨等を十分参考にして努力してまいりたいと思っております。
  149. 小川国彦

    ○小川(国)委員 最後に、農水大臣に。  これだけ関係者がいろいろ問題を起こしているわけですが、いままで中央競馬会から、馬主、五十年以降の十頭の馬の生産者に問い合わせをしたところが、実質的な回答はなし、幾らで馬を売りましたかという生産者の回答なしという状況で、依然これは全体がやぶの中なんですね。これは、農水省のいろいろな政府機関としてもこの真相究明に当然当たるべき問題だと考えますが、大臣の所見をひとつ最後に伺います。
  150. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 農林水産省としても、この問題についてはできるだけ真相究明のために努力をしてまいりたいと考えております。
  151. 小川国彦

    ○小川(国)委員 終わります。
  152. 羽田孜

    羽田委員長 午後二時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後一時十五分休憩      ————◇—————     午後二時一分開議
  153. 亀井善之

    亀井(善)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。吉浦忠治君。
  154. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 私は、前々から質問をいたしておりました遊漁者の問題につきまして、この遊漁者遭難救助費の漁業者負担等についていろいろ問題が起こってきておりますので、まとめてお尋ねをいたしたいと思うわけでございます。  遊漁者の数の増大に伴いまして、遊漁者の遭難事故も多発をしている現状でございまして、このような事故が発生した場合に、海上保安庁等からの出動依頼がなくても、漁業者等は好意でこの救助に向かっておるわけでありまして、費用の負担はほとんどの場合この漁業者が負担しているのが現状であります。そうなりますと、救助された遊漁者の中には、救助されては大変迷惑だというふうな顔をされる方もあるわけであります。漁業者の場合は、無料奉仕の習慣、漁民同士という考え方がありまして、きょうは他人であってもあすは自分もそうなるかもわからないというふうな精神がありますが、漁業者と遊漁者との関連を見ますと、常に一方通行で、遊漁者の増大とともにこの事故の多発によって漁業者の負担が増大しているというのが現状だというふうに思うわけでございます。  昨年の十一月に三重県の熊野灘沖の岩場で遭難事故が発生したときも、その負担が問題になったわけでありまして、こういう問題が今後かなり起こってくるというふうに思うわけでございます。  山岳遭難の場合には、遭難者が出動を要請した場合にはその費用を負担するというふうになっているわけでございますけれども、現行法を見てまいりますと、生命に関する問題の場合には無料であるというふうな形で、なかなかむずかしい問題がたくさんあるだろうと思いますが、限られた時間でございますので、簡潔にお答えをいただきたいと思うわけでございます。  質問の第一点は、イギリス等では人命救助について適当な金額を補給する海事基金制度というふうなものがございますけれどもわが国の場合、この実態はどうなっているのか。また、これは検討すべきではないかというふうに考えますけれども、まず最初に、この点お答えをいただきたいと思います。
  155. 藤原康夫

    ○藤原説明員 ただいま先生御指摘のとおり、イギリスにおきましては人命救助について基金制度がございますが、わが国におきましては、相互扶助的なものといたしまして、都道府県単位のものは一部で存在しているわけですけれども、全国的な基金制度は現在ございません。
  156. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 ぜひこれは検討していただきたい。よろしくお願いいたしたいと思うのです。  日本に現在あるものでは、水難救護法というものを見てまいりますと、水難発生の場合には市町村長が中心になって救助活動を行っているわけでありまして、その費用も市町村長が救助された者からその納付を受けるという形をとっているわけですが、足りない場合は国庫から補給するというふうになっているわけです。また、救護が成功しなかった場合には、その費用は国庫から支給するというふうにされています。  そこで、この規定は遊漁者の救護についても適用されると考えるが、どうかという点が第一点でございます。  第二点は、この法律がほとんど動いていないというふうに聞いておりますけれども実態はどうなのか。  第三点は、それであるとすれば、そのネックはどこにあるか、改善の必要はないかどうか。  この三点を要約してお答えいただきたいと思います。
  157. 藤原康夫

    ○藤原説明員 第一点でございますが、水難救護法は遭難船舶を対象にしておりますので、遊漁者がその遭難船舶に乗船しておるという場合には、その船舶について一般的に適用がございます。  それから、水難救護法が余り用いられないということですが、その実態というお尋ねでございますが、先生も御承知のとおり、水難救護法は市町村長が遭難船舶救護の主体として行う場合に適用されるということになっております。ただ、現実には、海難事故が発生いたしますと海上保安庁が主体になって処理しておるのが現状でございますので、市町村長が主体となって行っておる海難救助の実例というのは近年はございません。  水難救護法は救助というもののほかにまだいろいろと規定がございますけれども、たとえば第二条に基づく報告件数とか、あるいは十条に基づく船難報告書の提出件数、これなどにつきましては、これは五十五年の数字でございますが、前者は千六十件、後者は七十二件というようなことになっております。  それから、水難救護法が適用されていないとしたらそのネックはどういうところにあるかというようなお尋ねでございますが、先ほども申しましたとおり、市町村長が主体となって救助活動をしたときに適用されるということでございますので、現在はその運用されている事例はないということでございます。その改善につきましては、いろいろむずかしい問題があるわけですけれども、現在のところ、別に法律上不都合があるということではございませんので、一応現状のままやっておるということでございます。
  158. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 海上保安庁の管轄になると思いますけれども、水難救済会というものがあるわけでございますが、全国に約四百カ所救難所があるわけです。この場合には、おおむね漁協長がその所長を兼任しているというふうなことになっておりますが、これは、民間団体の給付によって賄われているようであります。その実態はどうなのかというのが第一点のお尋ねでございます。その中に国及び遊漁者等の団体からの出資はないのかどうかという点も含めてお答えをいただきたいと思います。  続いて、この救済会からは、遊漁者の遭難のために出動した場合どの程度の出動費を出しておるのか。用船料等も含めてお答えをいただきたいと思います。また、この会を充実するお考えはないのかどうか、それも含めてお答えをいただきたいと思います。
  159. 藤原康夫

    ○藤原説明員 水難救済会の運営資金というようなお尋ねでございますが、現在、水難救済会は、会員の会費とか日本船舶振興会とか漁船保険中央会とか水産団体などからの補助金あるいは助成金、それから郵政省のお年玉つき年賀はがきなどに付加されておる給付金、それから青い羽根募金、あるいは水難救済会の支部の方では都道府県の市町村からの助成金とかいうようなもので運用されております。遊漁者の団体からのというお話でございますが、これにつきましては、特に現在はございません。  それから出動手当のお話でございますが、水難救済会の救助員が救難所長の命によって出た場合ということでございますが、現在は一人一件二千五百円支給されております。  以上でございます。
  160. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 時間がないから余り突っ込んでお尋ねすることができませんけれども、この会を、大変安上がりじゃないかなというふうな点で、充実するお考えはないかどうかも含めて検討をしていただきたいと思うわけでございます。  続いて、釣りに関する保険についてお伺いをしたいと思います。  この保険はいろいろございますけれども、遊漁者自身が加入する保険と釣り舟がその搭乗者について加入する保険の二種類があるわけでありますが、両方とも任意保険でありまして、遊漁者が直接加入する保険の場合、その加入率が大変低いというふうに考えられるわけです。  最初にも触れましたけれども、遊漁者が遭難した場合、自分自身の危険はもちろんのこと、漁民等の他人に迷惑をかけるのでありますから、自動車の強制賠償保険のように義務加入する方法はお考えにならないのかどうか。  それから、加入促進のための方法として、釣り具店で釣り具等を買うときに、釣り具そのものに遭難保険がついているというふうな方法で加入させるお考えはないのかどうか。この点を簡潔にお答えいただきたいと思います。
  161. 田中寿

    田中説明員 お答え申し上げます。  先生の御案内のとおり、任意保険といたしまして釣り保険があるわけでございます。この釣り保険は四つの事故をてん補いたしておりまして、そのうちの一つに救助費用があるわけでございます。  さて、先生はこれを強制保険にできないかという御指摘でございますが、強制保険に関しましては、自賠責あるいは原子力損害、油濁等、事故が発生をした場合の被害が非常にはなはだしいとか、あるいは危険性が伴うとか、こういう意味での社会的ニーズがきわめて高いものでございます。この釣りにつきましては、そういう面で果たしてどうだろうかというような問題があろうかと思います。  それから、釣り具販売の際に、いわば保険相当分を何らか織り込むような形でできないだろうかというお話でございますが、釣り具と申しましてもいろいろ態様がございますし、釣り具で釣りをする人の態様がいろいろございますので、そういう形で物に対して一律に保険を掛けることでやるということにつきましては、やはり公平不公平の問題もあろうかと思います。  それから、任意保険でございまして、これは、基本的には、付保するかどうかはひとえにいわば釣り人の意思に係るわけでございますけれども、一応保険会社といたしましては、しかるべく、釣りの愛好誌その他を通じましてPR等をやっているというふうに伺っております。
  162. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 保険金額についてお尋ねをしますけれども、種々調べてみましたが、捜索救助費の場合にほぼ百万円が限度のようでございまして、これでは遭難救助のための費用には足りないのじゃないかというふうに考えますけれども、この点のお考えは。
  163. 田中寿

    田中説明員 先生の御指摘のとおり、釣り保険に関しましてはセットで組んでございますが、救助費用に関しましては五十万と百万の二本立てでございます。  百万を増額するかどうかということにつきましては、しかるべくそういうニーズがあって、保険会社の方がそれで受けるということであれば、それはそれで一つの方向だと思っております。  ただ、この海難救助の場合の捜索費用につきましては、いろいろ警戒警報が出ているにもかかわらず出向くというようなことがございまして、いわば保険だけで対応するということにはおのずから限度があるというふうに考えております。
  164. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 釣り舟が入る保険についてでありますけれども、ノリコーの場合に、保険事故として救助費あるいは捜索費が入っていないようでありますが、これを充実または強化する場合の指導方針というものをどういうふうにお考えなのか、お尋ねをしたいと思います。
  165. 松浦昭

    ○松浦政府委員 全国水産業協同組合共済会がいわゆるノリコー保険を行っておりまして、その中に遊漁船共済というのがございまして、遊漁船の所有者または管理者を共済契約者としまして、遊漁船の搭乗者である被共済者が不慮の事故により死亡または傷害を受けた場合に共済金を払うという制度がございますが、御指摘のように、遊漁船の搭乗者の救助費までてん補の対象にしていないところでございます。  しかしながら、これをてん補の対象といたしますことにつきましては、共済会が自主的に行っている事業でございますので、特段に制度的な制約があるわけでもなく、もっぱら保険設計上、危険の分散あるいは保険経営の上で必要とされるだけの加入が見込めるかどうかといったような観点から判断されるべき問題であろうと考えます。したがいまして、せっかくの先生の御指摘もございますので、同会に検討させてみたいというように思います。
  166. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 遊漁の問題の最後になりますけれども、長官、私は、遊漁法という、仮称でございますが、この法的なものをぜひ検討していただきたいと思います。  各地における遊漁者をめぐる問題がいま大変生じているときでございますし、また、大ぜいの遊漁者と生活をかけた漁業者との調整が必要になってきている段階でございまして、たとえば鹿児島県では、国に先立って行政として遊漁者のルールというものをつくったというふうなことでございますし、秩序ある遊漁の確保と漁業の発展のために、遊漁に関する制度を確立することが必要であるというふうに私は前々から申し上げているわけですが、こういう点についてどういうお考えをお持ちなのか。
  167. 松浦昭

    ○松浦政府委員 わが国における遊漁の人口が二千万を超えるような大きな人口になりまして、私ども水産庁の行政の立場からも、先生の御指摘のように、漁業者との調整といったような問題が出てきているわけでございます。  現在のところ、水産庁としましては、県段階で漁場利用調整協議会といったようなものを設置しまして、遊漁者の代表も参加していただきまして、遊漁と漁業の調整を図ったり、あるいは釣り場の造成等につきまして国庫補助をしたり、あるいは遊漁団体が行う漁場利用知識の普及活動事業に助成するといったような仕事をやっているわけでございますが、よく考えてみますと、これから先の日本の漁業の振興を図りますためには、特に海外の漁場の制約等も強まってくる中で、わが国周辺の漁場を重視していくということが非常に重要であると思います。  その際に最も着目される漁業が、いわゆるとる漁業からつくる漁業ということで、栽培漁業の発展ということが非常に重視されるわけでございますが、その場合には、当然、放流をした場合に、その放流者とそれをとる人との間の調整ということが非常に重要になってくるというように思われますし、これらの制度的な拡充ということが必要になってくるというふうに考えておる次第でございます。  このような角度から、漁業者間の調整ということはもちろんでございますが、遊漁者が増加し、あるいは遊漁船の隻数が非常に増加し、また性能が上昇するということになってまいりますと、この漁業者と遊漁者の調整ということも、栽培漁業の観点から非常に必要であるというように考えるわけでございます。このようなことから、現在、漁場管理制度研究会というのをつくっておりまして、遊漁者と漁業者の漁場調整も含めまして、新しい漁場管理制度のあり方について研究しているところでございまして、なるべく早い時期にこの結論を得たいというように考えております。この結論を踏まえまして今後の対策を立案できるように、目下鋭意検討中でございます。
  168. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 最近密漁件数というものが増加の一途をたどっておりまして、サケ、マス、アワビ、サザエ、その他いろいろな種類のものが密漁されている中に、組織的、計画的に密漁しているという向きがあります。いわゆる無線機を使い、高速船を使用して、しかも、これが力ずくで海をわが物顔に暴れ回っているというような、昔で言えば海賊船と言っていいかもしれませんが、そういう名前を挙げていいかどうかわかりませんけれども、資金源にしながら、それを利用しているという向きがあるわけであります。この実態について、海上保安庁あるいは水産庁はどのようにとらえていらっしゃるのか。できるのならば、これはできない問題かもしれませんが、密漁の現場、とった現物をどのようなルートで現金化しているのか、これがわかればこの密漁者をなくすることができるでしょうけれども、こういうふうなさかのぼった追跡調査等の手だてをしながらも、これは解決をしなければならない問題だというふうに思っておるわけでございます。  まず、この実態をどのようにとらえていらっしゃるのか、お答えいただきたいと思います。
  169. 藤原康夫

    ○藤原説明員 最近における密漁の実態という御質問でございますが、ただいま先生が御指摘になりましたとおり、大変最近の密漁は悪質化しておるというふうにわれわれも考えております。最近三年間の密漁の検挙実績といたしましては、五十四年が二千七百八十六件、五十五年は二千四百三十件、五十六年は二千五百六十二件、このようになっております。
  170. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 件数だけでなくて、これにどのような取り組みをなさるのか。大変むずかしい問題ですけれども、海上保安庁でこれから進められる密漁船に対する取り締まりの方向というものはどういうふうに持っていらっしゃるのか。
  171. 藤原康夫

    ○藤原説明員 取り締まりの今後の方策というようなことでございますが、海上保安庁といたしましては、ただいまちょっと申し上げました密漁の実態にかんがみまして、漁業協同組合を通じましての法令の施行指導とか、あるいは漁船の立入検査を通じての防犯指導を徹底するとともに、水産庁や都道府県の監視船あるいは取り締まり船とも連携をいたしまして、虞犯海域における巡視船艇、航空機による哨戒、それから積極的な情報収集をしてまいりまして、強力に取り締まっておりまして、今後ともそういうふうにしていきたいと考えております。
  172. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 次は、私ども党の方で山口県の漁業の実態調査に参りました折に、二、三の地元要望がございましたので、それも踏まえまして質問を申し上げたいと思います。  まず最初に、運輸省にお尋ねをしたいと思うのですけれども、漁船にかかわる船舶検査の問題について、船舶の検査に関して安全確保の重要性は十分認識をしておりますが、最近における技術水準の向上にかんがみまして、漁業者の費用負担の軽減を図る観点から質問をいたしたいわけでございます。  第一点は、定期検査の時期を延長できないものかどうか。細かいことは時間がございませんので申し上げませんが、第二番目に、中間検査の廃止または検査内容の簡素化を図っていただきたい、こういう要望がございますが、この点についてお答えをいただきたいと思います。
  173. 石井和也

    ○石井説明員 御説明いたします。  検査は、安全確保の観点から、構造、設備等が十分であるかを確認するために定期的に実施しているものでございますが、毎年の漁船の事故が多数発生し、また、多くの人命が失われていること、また、一九七七年の漁船安全条約におきましても国際的な合意として同様の検査制度が定められているというようなことから判断いたしまして、漁船の中間検査を廃止することや定期検査の期間を延長することは適当でないと考えております。  ただし、先生御指摘のように、最近の技術の進歩に伴う信頼性の向上等を考慮いたしまして、安全確保に支障のない範囲内において、合理化が可能なものにつきましては検査の内容を見直していくということを考えております。
  174. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 これも要望があった点でございますけれども、フグはえ縄漁業の大臣承認制への移行についてということでございます。  東シナ海や黄海の漁場においてフグはえ縄が行われておりますが、これは県も業界も強く要望している問題でありまして、中国、韓国、それから北鮮と呼んでいいかどうかはわかりませんが、北朝鮮等の関係の深い国際漁場の違反を防止して、秩序を確立するように早急に実施していただきたいという強い要望がございます。  また、資源も減少している中で漁獲高は年々減少し、反面、燃油等の高騰によって漁業経営が大変に苦しくなっているので、制度化に当たり漁業者の負担が生じないように特に配慮していただきたいという要望とともに、水産庁は、この資源保護を図るために、制度化の前提として漁業者相互の共補償による減船を要求することも考えていただきたいということも含めまして、この点どういうふうにお考えなのか、お答えをいただきたいと思います。
  175. 松浦昭

    ○松浦政府委員 ただいま先生御指摘のように、山口、福岡、佐賀、長崎等のフグのはえ縄漁業を行っている漁船が、自由漁業で東海、黄海で操業しているわけでありますが、特に中国近海で日中協定の違反といったような事件もございましたので、操業秩序の維持という観点あるいは資源保護の観点から、大臣承認制にしてほしいという御要望がございます。  私の方としましては、大臣承認制にいたしますためには、漁業法の規定がございまして、一つは、漁業調整上必要であるかどうか、もう一つは、資源の繁殖、保護という観点から大臣承認制ということにするかどうかという観点で検討いたしておるわけでございますが、フグのはえ縄漁業は漁業調整という面では余り理由がないと思います。そこで、先生御指摘のように、確かに資源が大分問題になっておりますので、資源保護という観点から承認制に移行させるということは考えられるということでございます。  ところが、このフグはえ縄漁船は、この数年間非常に隻数が増加いたしておりまして、一隻当たりの漁獲量も下落の一途をたどっておるということでございますので、このような資源保護という観点から大臣承認制をしくということであれば、当然この隻数を減ずるというようなことで資源保護に当たってほしいというのが私どもの気持ちでございまして、そのような観点から、実は山口県あるいは同県のフグはえ縄業界に伝えまして、隻数をしぼることを前提に大臣承認制に移行するかどうかということを問い合わせているところでございまして、関係者の話し合いが今後約一年程度かかるかというふうに考えておりますが、その結果を十分見守りまして措置をいたしたいと思っております。
  176. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 最後に、日朝民間漁業協定についてお尋ねを外務省にいたしたいと思いますが、去る六月三十日に期限切れとなりました日朝民間漁業協定の継続実施についても、関係漁業者から切実な要望がなされているわけであります。  これも、山口県に私参りましたときに強い要望がございまして、これが継続できないとなれば、全国的に九百隻からの漁船と年間一万三千トンという漁獲量に及ぶ規模で、漁業者を初め、あるいは関連加工業者及び流通業者にまで壊滅的な打撃を加えることになるわけであります。そして、まさにイカ釣り漁業はいまが最盛期であり、また、九月からはベニズワイ等の操業が始まるという段階でございます。  この協定は、言うまでもなく民間協定ということでありますが、この問題が暗礁に乗り上げた発端というのは、この協定の継続延長のための交渉を行うということでわが国を訪れようとした北朝鮮の代表団の団長の入国をわが外務省が拒否したという点にあるわけでありまして、こうした現在の関係漁業者の窮状を酌んでいただいて、ぜひとも事態の早期打開に向けて政府も積極的に対応していただきたいと思うわけでございます。  外務省の見解をお尋ねをいたしたいと思います。
  177. 長谷川和年

    ○長谷川説明員 お答えします。  政府としましては、当面まず日朝双方の民間レベルで操業再開のために話し合いが行われることが肝要であると考えております。そのために関係者が引き続き努力され、早急に話し合いが開始されることを希望しております。  しかし、わが国と北朝鮮の間には国交がないものですから、政府として直接行い得ることにも限度がございますし、したがって、本件につきましては、日本海沿岸の零細漁民の方々、こういった方々の生活にかかわる問題でもありますので、政府としましても、北朝鮮に対する基本的政策の範囲内において側面的にできる限りの協力をしたいと考えております。  先生御指摘の漁業問題を話すための代表団の問題でございますけれども、その具体的な構成とかあるいは訪日の時期等が示された時点で検討する用意がある旨政府が明らかにしておりますので、現段階でこれ以上コメントすることは差し控えさせていただきたいと存じます。
  178. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 終わります。
  179. 亀井善之

    亀井(善)委員長代理 次に、武田一夫君。
  180. 武田一夫

    ○武田委員 まず最初に、午前中からいろいろ問題になりましたブロック書簡なるものについてちょっとお尋ねしたいのです。  われわれは新聞等でいろいろと伺っておるところを判断の材料にしているのですが、言われるように通産省農産物輸入自由化のプッシュのために相当動いたというような事実、これは午前中の話を聞いていますと何だかさっぱりわからぬわけです。しかし、新聞を見ますと、非常に生々しい具体的な事実をつづっているわけです。たとえば「ブロック書簡を見て、がくぜんとした。それが国内からと知って、思わずこれが独立国家か、と疑った」と政府のある高官は語ったとか、あるいはまた「通産が作成した文章と書簡は一字一句違わない」、それから「米側に手渡した人もわかっている」、通産省内にもそういう証言をしている人がいるとか、あるいはまた「政府首脳、米側関係筋、ワシントン筋等から得た証言によると「市場開放第二弾を前に、通産省から米政府高官に働きかけがあり、こんな内容でどうか、との文案が示された。それをブロック書簡として、大臣名だけ変え同文で出した」」というような、いろいろとそういうわれわれが読むと生々しい様子があるのです。  こうした新聞の記事というのは本当に実際果たして事実なのかどうかということを私は通産省外務省にまずお尋ねをして、こうしたことがまずはっきりしないと、今後、十月、十一月に行われる外交交渉の中におけるいわゆる日米の会議がございます。オレンジも牛肉もあるわけですから、それに相当悪影響を及ぼすのではないかと思うだけに、ここではっきりしたものをわれわれ国民の前に示すのが大事じゃなかろうか、こういうふうに思いますので、この点につきまして各関係省庁の御見解をお聞きしたいと思うのですが、いかがでございますか。
  181. 福川伸次

    福川政府委員 お尋ねの件に関しましては、私どもといたしましては、まず第一点に、今回工業製品中心にいたしまして大幅な関税の引き下げを行う、こういうことで安倍大臣の御指示のもとで工業製品の自由化に努力をいたしたわけでございます。その一環といたしまして、工業製品を対象にいたしまして製品輸入の促進、投資の促進、これを総理から呼びかけるということは一つの方法ではないかということで、関係省庁とも最終的には御相談をいたしまして、五月二十八日の総理談話に相なったわけでございます。  そのいきさつにつきまして、いま先生御指摘のような点がいろいろ新聞で報ぜられておりますが、私どもといたしましては、その点については、まず五月の六日に安倍通産大臣総理官房長官をお訪ねいたしまして、こういった考えはどうだろう、こういうことを御進言申し上げ、大筋の御了解を得て、今度は第一弾と異なりぜひ成功させねばならないので、しかるべく根回しを、こういうことになりまして、五月の七日に私どもから、五月の十一、十二に予定されておりました三極会合の議題の問い合わせの際に、その回答の一部としてこれを通報をいたした次第でございます。それがブロック書簡の附属文書としてつくられましたものにどのようなプロセスをたどったかは、これは先方のことですので、私どもとしては承知をいたしておりませんが、私どもといたしましては、それはあくまでも総理了承を得た上で先方に通告したという点が、ぜひ御理解を賜りたい点でございます。  また、先方から参りましたブロック書簡、これは親展秘ということでございますので、内容に立ち至ることは差し控えさせていただきますが、その点に関しましては、これも総理の談話を出せというような強い要請があったわけではございませんで、午前中も私ども原田政務次官からお答え申し上げましたように、それは総理が談話を出されるということを前提にいたしまして、その効果をあらしめるようなしかるべき行政指導を希望するということでございまして、私どもとしては、いささかも主権の侵害になるような経緯はないというふうに理解をいたしておる次第でございます。
  182. 深田宏

    深田政府委員 外務省といたしましてぜひ御理解賜りたいと存じますのは、農産物市場開放問題全般につきまして、私どもといたしましては、農林水産省当局と従来十分な協議を行って、その上に立ってわが国農業の実情というものを十分踏まえた対外折衝を行ってまいった次第でございまして、この点につきましては今後においても同様でございます。この点をまず明確にお答え申し上げさせていただきたいと存じます。  ただいま御指摘のブロック通商代表の書簡につきましては、いろいろ議事がもう進んでおりますけれども、かいつまんで申しますと、五月の十一日付ということで、外務大臣を含む複数の閣僚にあてて出てまいりました。御親展ということでございました関係もありまして、内容の詳細は省かせていただきますけれども、主として日本側が当時検討しておりました市場開放策につきまして、アメリカ側の希望、考え方というものを内々に日本側参考ということで知らせてきたというたぐいのものでございます。  ただ、その内容につきまして、農産物の交渉の経緯等、あるいは先ほど御指摘のありました総理大臣談話の案がついておった。私ども外務省といたしましては、先方はどういう考えかということを説明を求めたいという点がございましたので、それらについては直ちに問い合わせをいたしました。また、先方が若干手続的に不思議な点がありました。このことにつきましては、先方の注意を喚起いたした次第でございます。
  183. 武田一夫

    ○武田委員 この追記文書に関して電話で連絡をとった、こういうことが言われていますが、やはりこの問題については、農林水産省というのが一番この問題を深刻な問題として受けとめていたわけですから、そういうときに、こういうようなことを連絡をとるのだということなどについて、農林水産省の意見なんかも通産省は聞いたのでしょうか。あるいは、外務省はそういうことをいまよく農林水産省と連携をとりながら進めていると言うのですが、通産省の場合なんかどうなんでしょうか。その点、ちょっと問題だと思うのですが。
  184. 福川伸次

    福川政府委員 私どもも、この第二次開放策の点につきましては、農水省、外務省、経済企画庁、関係省庁といろいろ密接な連携をとりながらやっておったわけであります。この総理の談話に関しましては、ここに書いてあります案によりますと、念頭に置いておりますのは工業製品を対象に考えておるわけでございまして、農産物の一次産品というものを対象にしているわけでございません。  そこで書いておりますことは、第一点として、呼びかけをいたしております輸入の拡大あるいは投資の拡大ということは、製品輸入という言葉を使っておりますことからもおわかりいただけますように、これは工業製品を念頭に置いたものでございます。また、呼びかける先も、行政に携わる者及び民間企業、こういう表現を使ってございまして、特に農産品の需要者であります個人、消費者を呼びかけの対象にいたしておるわけではございません。  さらにまた、これをより自由化しようということよりも、現在の制度の中で非常に日本の市場の閉鎖性、これはいろいろなことを言われております。流通機構の問題でありますとか、あるいは系列取引の問題でございますとか、いろいろ言われておりますが、そういった一般的な市場の閉鎖性といったような疑念が持たれておる。こういうことから、輸出は善で輸入は悪だ、こういう思想ではなくて、もっと製品輸入あるいは投資の受け入れをしていこう、こういう呼びかけをいたしておる、こういうわけでございますので、これは、そういうことからも、私どもとしては特に農産一次産品を対象といたしたものでない案で構想をいたしたつもりでございます。これももちろん国内に対する呼びかけでございます。したがいまして、アメリカの了解を得るとか了解を得ないとか、ましてや先方からとやかく言われるべき筋合いのものでは一切ございません。  そういうことでございますので、もちろん開放策全般につきましては、関係省庁と十分連絡をいたしておりますが、いまのような経緯がございました。この段階ではまだ骨子の段階でございますので、うまく評価を受けるような根回しというような事前の段階でございましたので、私どもとしては、総理の御了承、御内諾を得まして、安倍大臣の御指示先方に通告いたしたわけでありますが、これがさらに国内で成案化いたしております段階では、関係省庁とも十分御相談をいたしまして、経済企画庁を座長にいたしました形でこの総理の案が練り上げられていった、こういう経緯でございます。
  185. 武田一夫

    ○武田委員 ここで農林水産省に聞きますけれども、今回は書簡にしてもさっぱり知らないでいた。いろいろな状況も余り知らされなかったように私は思うのですが、これは関係ないと言いながら、国の重要な問題の中で、いわゆる一番の問題を抱えている農林水産省がつんぼ桟敷に置かれているというのは、われわれにとってはちょっと耐えられないことでございますが、農林水産省としてはこういう事態をどういうふうに受けとめておるかということです。  これは国家的な大きな問題ですから、各省庁の協力の中に、たとえそれが自分たちの部門は入っていなくても、お互いの意見交換なり情報がわかるような間柄でないと、信頼関係もきちっと結ばれていかないのじゃないか。まして挙国一致でやらなければならないという重要な問題が、こうしたことでいま問題になるということも私は非常に心外なわけでありますが、そういうことに対して、今後もこういうことがあれば非常に心配ですので、そういうことに対する受けとめと、今後これはどういうふうに対処していくかということを、一言、大臣から聞いておきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  186. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 今回のブロック書簡については、農林水産大臣あてのものじゃなかったわけでございます。しかしながら、外務省からその内容について私の方に連絡はございましたので、私たちは、これまでも残存輸入制限品目についてはわが国の基幹をなす作目であり、あるいはまた地域による重要品目でございますので、たとえ段階的といえども自由化をするわけにまいらぬという強い姿勢で参っております。したがいまして、ブロック書簡の言及している、いわゆる農林水産物に言及している部分については、直ちに外務省を通じて私たちの考え方を申し入れをいたしました。  そこで、ちょうどこの当時の状況は、武田委員承知のように、対外経済摩擦そのものは、昨年の十二月に対外経済閣僚会議を開きまして、五項目にわたる対外経済対策を決定して、それに基づいて市場開放を初めとする対策を進めてまいりましたわけでございまして、すでに第一弾対策を決定して、第二弾対策をも検討しなければならないという折、農林水産省としては三月に日米貿易小委員会を開きまして、それ以来作業部会をずっと開いてまいったわけでございます。  作業部会では、御承知のようにアメリカが完全自由化でなければならないということで、私たちはそれには応ずるわけにいかぬというので、そうしますと、アメリカはガットの協議にゆだねるしか道はないというようなことに相なりまして、じゃ、そういうことにしようと言いましたが、アメリカ側からは、御承知のように仕切り直しをしようということで、ジュネーブ協議というものを持つようになった。その後に第二弾対策の協議というものに入るわけでございますが、そういう中でも、私たちはあくまでも外務省通産省とも連絡をとりながらも、農産物の協議については農林水産省が協議をしているのであるから、私たちが窓口である。ですから、これは尊重してもらいたい。この交渉が妥結しない限り第二弾対策は策定するわけにまいらぬという強い姿勢で当時参って、幸いにしてベルサイユ・サミット前に日米間の農産物協議が調いまして、第二弾対策をつくり上げることができたというのが事実でございます。  したがいまして、いろいろ言われておりますけれども、私たちとしては、農林水産省考えていることに相反するいわゆるアメリカの要請に対しては、それに対して強くわが方の考え方を申し入れをし、そして外務省あるいは通産省とも連絡をとりながら、現に農産物の交渉は私たちがやっているのだから私たちに任してくださいということで、農林水産省を窓口としてこれまで協議を進めてまいった、交渉を進めてまいった。今後も、私たちは、外交交渉でございますから、もちろん外務省とは密接な連絡をとってまいりますけれども農産物の交渉については、農林水産省が責任を持って窓口でこれを処理するという態度で進んでまいりたいと考えております。
  187. 武田一夫

    ○武田委員 これは、言われているところ、どうも外務省通産省との中の対外的な問題に対する縄張り争いみたいなものがあるのじゃないかということを言われていますね。この間、新聞でも、外務省が、通産省が五月七日電話で骨子を伝えたことは事前に知らされずに非常に残念であるということで、何か通産省の一方的な内通行為に不満を持っているというようなことも書かれているわけですね。前から外交交渉の一元化、二元化とかいうような問題で、何かお互いに先陣争いをすることの一つの弊害というのがこういう形で出てきたんじゃないかということなども言われておるのです。そうしたことが事実でないとするならば、今回この事実が、こうしたいろいろなブロック書簡問題等が、間違いなく真相はこうなんだということで、これはこの際、各省庁の協力のもとに、話し合いのもとに、やはり国民の前に、われわれの前にはっきりしていただかないと、また、していただいて、そして、今後わが国としてはかくかくしかじかな立場で日米の外交交渉なりあるいは農産物の協議等に臨むんだという姿勢を示していってほしい、私はこういうふうに思うのですが、各省庁の皆さん方のお考えを最後にひとつお聞きします。  これは、今後こんなことでいつまでも国内でごたごたしておりますと、私は大変日本にとってはマイナスだと思うのです。それでなくても、やはり日本というものはいろいろなところから標的にねらわれているわけですから。  きょうは捕鯨の問題も質問しようと思ったのですが、時間がないので、来週の十一日に委員会もありますから、そのとき質問いたしますが、いずれにしても、外交という問題については、日本は相当これから苦労しなくてはならない。しかしながら、この問題は、日本の存在というものにとっては、農産物ばかりでなく工業製品にしても、すべての問題に対して非常に大事な問題だけに、これはしっかりとした方向性というか、そういうものをここで私はお聞きしておきたい、こういうふうに思います。それで質問を終わります。
  188. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 先ほど申し上げましたように、対外経済摩擦解消の問題はわが国にとって重要な案件でございますので、昨年の暮れに対外経済閣僚会議を開いて、そこで五項目にわたる対外経済対策を決めたわけです。ですから、これを基本にして進めているわけでございますから、今後貿易に関するいろいろな問題については、対外経済閣僚会議で話すことが一番必要なんですね。ここで合意を見る、それぞれの省庁の考え方をここで忌憚なく発表をいたしまして、そこで合意を見るということが私は一番だと思うのでございます。  そういう点では、今後も私は対外経済閣僚会議中心にして各省庁が対外経済対策について合意を見て、そして対外的な対策を立案する、作業を進めるということが一番だと思いますので、今後、そういう線に沿うて進めてまいりたいと考えております。
  189. 福川伸次

    福川政府委員 この総理談話の件につきましては、先ほどその呼びかけの対象あるいは内容等について触れましたので、繰り返すことは避けさせていただきますが、今後の問題に関しましては、委員も御指摘のとおりに、対外関係はそれぞれ関係各省が協調し、一体となって取り進めるべきことは、御指摘を待つまでもございません。ただいま農林水産大臣から御発言がございましたように、関係閣僚の間で十分意思疎通をしていただくということも政府部内の最高機関として大変必要なことでございますし、また、事務当局といたしましても、私どもとしても従来政府全体の意思決定ということについては努力してきたつもりでございますが、対外関係におきましては、それぞれの立場立場で協調して努力するように、なお私どもとしても一層努力したいと思っております。  農産物貿易に関しましては、農林省を中心にいたしまして、通商関係を所管いたします私ども、さらには外交関係外務省関係省庁協調して臨むべきことは申すまでもございませんで、農林省を中心にいたしまして、私どもも十分協調していく所存でございます。
  190. 深田宏

    深田政府委員 外務省といたしましても、対外関係につきましての責任官庁という立場から、諸般の事項につきまして、それぞれ関係の国内官庁の当局と十分に協議、連絡をいたしまして、万遺漏なきを期したいというふうに考えております。
  191. 武田一夫

    ○武田委員 終わります。
  192. 亀井善之

    亀井(善)委員長代理 次に、神田厚君。
  193. 神田厚

    ○神田委員 私も、最初ブロック書簡の問題について、各党から本日御質問があったようでありますが、農林省及び通産、外務の両省に質問をしたいと思っております。  大臣最初にお尋ねしたいのでありますが、大臣は率直に、今回のこのブロック書簡及び添付文書をお読みになってどういうふうにお感じになりましたか。
  194. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 私は、これまでも常に申し上げておりますように、農林水産省としては、農産物市場開放については、なかなかいまの農業の現状からいって、直ちに、にわかに応ずるわけにまいらない。したがいまして、残存輸入制限品目については、わが国農業の基幹をなす品目でもあり、その地域の重要な品目でもございますので、段階的な自由化といえどもこれは手を染めるわけにいかない。したがいまして、そういう主張を常にしてまいったわけでございますが、たまたまブロック書簡の中にそういう指摘がございましたので、いままでもアメリカから常にそういう要請があったのですけれども、たまたまそういう要請に対して、私は、あくまでもわが国農業実態あるいは市場開放状況等を理解していただくために、わが方の申し入れを強くいたしたということが実態でございます。
  195. 神田厚

    ○神田委員 そういう中でブロック書簡というものが示されまして、いわゆる添付文書が同時に示された。その中で、私はいろいろ問題があると思うのでありますが、農林大臣としましては、この書簡の中身について、内容についてはどういうふうにお考えになっていますか。
  196. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 内容については、先ほど申し上げましたように、わが国農業の置かれた現状からいいまして、これには応ずるわけにいかないということでございますので、私はその旨を外務省を通じて申し入れをしたというのが実態でございます。
  197. 神田厚

    ○神田委員 このブロック書簡の出所が問題になっておりますが、通産省のいろいろな働きかけがこういう形になったんだというふうなことが言われておりますが、通産省の中では、この問題について部内の調査を行ったのかどうか、その辺はいかがでありますか。
  198. 福川伸次

    福川政府委員 私どもこの一連の経緯を把握しております限りでは、五月の六日に、安倍通産大臣が五月五日まで中東を歴訪いたしておりましたが、その御報告と、それから五月の十一、十二日にいわゆる三極会合と言われます会合がございまして、それに臨むための考え方を御相談すべく官邸にお伺いをいたしました。その際、この総理の呼びかけというようなことをするのはいかがであろうか。これも先ほど来申し上げておりますように、製品の輸入あるいは投資の拡大といったようなことを、従来とかく日本は、輸出は善で輸入は悪というようなイメージがあるというふうに外国からとられておりますので、そういったイメージを払拭すべく総理から呼びかけていただくのはいかがだろうかという点を安倍大臣から総理に御相談を申し上げ、大筋の御了承を得たわけでございまして、その翌七日になりまして、三極会合の議題の打ち合わせをいたします電話連絡の際に、安倍大臣の御指示によりまして、この総理の製品輸入、投資の拡大といった呼びかけについても議題にいたしたい。また、あわせその概要を通報をいたしたわけでございます。  それで、先ほど来申し上げておりますように、すでに五月六日の時点でその方針は総理に御了承を得ていただいておるわけでございまして、私どもとして、特にアメリカから働きかけてもらうという必要性はない点は御理解をいただけるのではなかろうかというふうに思っております。また、要点を向こうに通告をいたしたわけでございまして、それがどのような過程であのような文書になっているかは、先方のことでございますので、私どもとしては想像の域を出ませんが、少なくとも向こうからの話が、総理の談話を出してくれといったような要請があるというようなものではございませんで、そういうような総理の所感が出る場合には、それが効果あらしめるようなしかるべき行政指導をするという希望を述べたものにとどまっておるわけでございまして、私どもとしては、特にそれが主権の侵害になるといったような事態にはなっていないというふうに思っております。私どもとしては、五月七日に総理の御方針で働きかけたわけでございまして、特に文書を当方が、通産省がその附属文書を作成したとかあるいは仕組んだ、こういうことはないということを申し上げたい次第でございます。  特に、私どもとしては、工業製品中心にいろいろ関税引き下げ、輸入促進等の努力を払っていったわけでございまして、今回ぜひその第二次のパッケージは成功させたい、こういうことから、いま申し上げましたような呼びかけにも至った経緯について御理解がいただければ幸いでございます。
  199. 神田厚

    ○神田委員 どうも事実関係がはっきりしないのですね。通産省の中で、たとえば渡米をしていろいろこの問題について下相談をしたり何かしているというようなことは言われておりますけれども、出されてきたものはあるわけでありますから、それをよく精読すれば、その出したところが一体どこなのかということは明らかであるわけですね。ですから、たとえば電話で話をしたとか、こういうようなことでこのブロック書簡というものをつくられたというふうに言われておるのですが、通産省としては、そういうことについての部内の調査なり、あるいはどういう経緯でそれが出されたかということについては、そういう現物としてそれが出てきたことについてどういうふうにお考えでありますか、推測をしておりますか。
  200. 福川伸次

    福川政府委員 私どもでも、いろいろな機会に、アメリカ側とその所管物資の点につきまして、あるいは輸入のビジネス慣行等の問題につきまして協議をいたしております。現に、四月にもそのような機会がございました。しかし、いま私ども把握しておりますところによりますれば、そういった時期には、たとえば皮革あるいはハイテクノロジー、その他紙パルプあるいはソーダ灰といったような所管物資にかかります輸入の問題に関しましてアメリカ側といろいろ交渉はいたしましたが、その際に総理談話の手はずを整えたりあるいは原案を米側に渡したという事実はございません。まして、農産物市場開放問題について米側と話したこともございません。  私どもとしては、先ほど申しましたように、五月七日に先方からの問い合わせの回答という形で、総理の談話も三極の議題に上げたい、そのときの大筋の話はかくかくしかじかということを連絡いたしたわけでございます。それが向こうから附属文書という形になってきたわけでございましょうが、この点につきましては、これはあくまでも先方のことでございますから、推測の域を出ませんが、あえて推測をいたしますれば、私どもとして御連絡いたしました骨子を中心にいたしまして、アメリカ側においてそれを文書の形に、あるいはアメリカ側考えもそこに入ったかとは思いますが、それを文書の形として添付されてきたのではないか。これはあくまでも想像でございますので、その域を出ませんけれども、あえて申し上げればそういう経緯になっているのではなかろうかと思っております。
  201. 神田厚

    ○神田委員 外務省の方でも、こういう問題についてどういう形でこれが出されてきたのか、外交ルート等で米国政府に対しまして問い合わせその他いたしましたか。
  202. 深田宏

    深田政府委員 ただいま御質問の点につきましては、私どもといたしましても、書簡受領後非常にすぐの時点で、アメリカ側に、どういう背景のもとに書簡及びその別添も含みますが、こういうものが出てきたかということを問い合わせた次第でございます。  その際、先方が具体的にどういう答えをしたかということは、先方がこれは内々にお話しするのだからということで言っております関係もありまして、そのこと自体については、先方に対する信義の関係もございまして、私どもからいま申し上げるわけにはいかないわけでございますが、ただいま通産省の担当局長から御答弁がありましたように、五月七日に通産省の方から総理談話の骨子をアメリカ側に電話で御連絡になっておられたとおっしゃいましたが、御連絡になっておられたということから、そういうものがアメリカ側によって取り入れられたということであろうという御推察、一般にはそういうようなことであろうかと存じます。  アメリカ側といたしましては、先ほど来いろいろ御答弁がございましたように、こういうものを日本側に押しつけるとか、そういう意図で持ち出したものではないということは説明をいたしております。この点につきましては触れることは差しさわりがないと存じますが、あくまでも日本側でもしそういうことをお考えになっておられる、お考えになっておられるということはいまの電話の連絡で先方承知しておったわけでございまして、そういうことであれば、これはどうだろうということであったものであろうと存じます。
  203. 神田厚

    ○神田委員 そういうことですと、通産省としてはこの鈴木内閣総理大臣の談話というものについてその骨子を伝えたというわけでありますが、それを伝えるに当たっては、農林水産省と調整はされたわけでありますか。
  204. 福川伸次

    福川政府委員 この総理談話につきましては、その表現から御理解いただけますように、輸出は善で輸入は悪であるといったようなイメージがまだ日本に残っておるというような外国の印象がございますことにかんがみまして、製品輸入あるいは投資を歓迎するような形での呼びかけをいたしたわけでございます。  そこで書いてありますものは、農産一次産品を対象にいたしたものではございません。この第二次の市場開放パッケージにつきましては、安倍大臣も、農産物の自由化にいろいろ御尽力はいただくとしてもむずかしい点があるということで、ひとつ工業製品でそこを十分にやらなければいかぬという御指示がございまして、私どもとしても、二百品目に上る関税の引き下げ等の措置を講じたわけであります。あわせ、そういった海外におきます日本市場の閉鎖性ということを解くための呼びかけということでございまして、念頭に工業製品を置いておったわけでございます。  したがいまして、呼びかける先も、その総理の所感にもございますように、行政に携わる者あるいは民間企業、こういうところに対する呼びかけでございまして、農産物の最終需要者たる消費者に対する呼びかけではございません。民間企業に対する呼びかけ、こういうことでございまして、私どもとしては、国内に対します行政に携わる者あるいは民間企業、こういうことで想定をいたしたものでございますので、この総理所感ということにつきまして、電話で通報いたします前に、農林水産省とは特にこの案文については調整はいたしておりません。その理由は、いま申し上げたとおりでございます。もちろん、いろいろな貿易パッケージの全体的につきましては、農林省、外務省、経済企画庁等とも、広い立場でいろいろな相談はいたしております。
  205. 神田厚

    ○神田委員 やはりその辺のところに問題があるのですね。市場開放問題は、日本が、政府が挙げて協力しながらこれを推進をしていかなければならない問題であるにもかかわらず、通産省だけがこういう話をアメリカの方に伝えておいてやっていくというようなこと自体に、やはり非常な問題があるというふうにわれわれは感じるわけであります。  それで、いま両省の話を聞いていても、このブロック書簡そのものについての真相究明、そういう努力がなされていないという問題が一つあります。もう一つは、この書簡の持っている意味について、農水省はこれをもっと深刻に受けとめて、積極的にこの問題の解決を図るべきだというふうに考えるわけでありますが、特に農林大臣は、閣議等におきまして、この問題について農林水産省の立場を明確に見解を示しながら、通産、外務両省に対しまして、このブロック書簡の問題の処理について農林水産省としての考え方について話をしておくべきだというふうに考えるわけでありますが、その点はいかがでありますか。
  206. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 私は、関係閣僚会議におきましても、また閣議においても、問題がこの市場開放に話題が及びますと、農林水産省の現状というものを常に訴えてまいったわけでございまして、もちろん基本的には、わが国のこの自由貿易主義というものは基本になっておりますけれども、そういう自由貿易主義の中でも農産物はやはり特に考えていただかなければならない面がございますよということを常に主張してまいっているわけでございます。このブロック書簡そのものは私はお話し申し上げませんけれども、これの内容等については、常に閣議においても、あるいは対外経済閣僚会議においても、農林水産省実態を申し述べているということは事実でございます。
  207. 神田厚

    ○神田委員 大臣が常に農業を守る立場から閣議において御発言をなさっていることは、私ども報道で聞いておりますが、問題は、このブロック書簡の問題一つとりましても、こういうものが出されてくる背景というものは非常に重要なんでありますから、それらについて、いかにしてこのブロック書簡というものが出されてきたかということについて、しかも、日本の同じ政府の他の省から、その根源といいますか、そういう考え方の大もとといいますか、そういうものが農林水産省の知らないうちにアメリカに伝えられて、それが出てきているという問題であるならば、私は、やはりブロック書簡の持っている意味というものをもう少し大臣自身も深刻に受けとめていただきまして、閣議におきまして、この問題の真相究明その他について、通産、外務両省に対しましてきちんと話をしていただきたい、こういうふうに思うのでありますが、いかがでありますか。
  208. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 私は、さきに申し上げましたように、対外経済対策については関係閣僚会議で各省庁が合意すべきものだと思うのです。その間に、関係閣僚会議では、それぞれ省庁の主張を積極的に申し入れをして、それで結論的には合意を得るということは必要だ、それを踏まえて、やはり個々の交渉についてはそれぞれの省庁で責任を持ってやるべきだと思うのです。  今回、先ほどもお答え申し上げましたが、三月の日米貿易小委員会、これはもちろん外務省が主体で進めておりますけれども中心はやはり農産物の交渉でございますので、農林水産省が責任を持って進めてまいったわけでございます。その後の作業部会あるいは農産物協議等についても農水省が責任を持ってそれを進める、外務省なりあるいは通産省は農水省が交渉しているその面については外から積極的に援助するという形が、私は正しい外交交渉だと思うのでございます。そのように私はいままでも進めてまいりました。今後も私はそれを進めていこう、進めてまいらなければならないということを考えておりますので、こういう点は機会あるごとに主張し、それを貫きたい、こう考えております。
  209. 神田厚

    ○神田委員 ですから、このブロック書簡そのものについて、関係省庁に対しまして注意を喚起するとか、大臣の農林省としての立場を明確に申し上げておくとか、そういうことをしていただきたいと思うのであります。あらゆる機会ということでありますから、閣議もそうでありましょうし、関係閣僚会議もそうでありましょうし、そういうところで今回やはりこれは決着をつけなければいけない問題ですから、そういう意味では、ブロック書簡そのものについて真相究明のために大臣は積極的に発言をしていただきたい、こう思うのでありますが、いかがでありますか。
  210. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 関係閣僚会議等において、機会を得ましたならば発言をいたしたいと考えております。
  211. 神田厚

    ○神田委員 この問題は、そういうことで、いまだに真相究明が不十分だということで、大臣中心にしましてひとつ政治的な形でなお真相究明のために努力をしていただきたいということを要望しておきまして、次の質問に移っていきます。  臨調答申の問題でございますが、基本答申が出されまして、その中で、農林水産関係につきましてはきわめて厳しい内容になっているようであります。  そこで、時間がありませんので、二、三その中で御質問を申し上げたいのでありますが、一つは、水田利用再編対策の問題であります。三期対策、五十九年度以降においては転作奨励金依存から脱却せよというふうに書いてありますけれども、政府はどういう方針でこれに対処するのか。それまでの間に奨励金の体系を見直すことがあるのかどうか。また、転作の定着化ということが非常に言われておりますけれども、これも非常に不十分であります。転作作物の生産性向上のことも含めまして、定着化のめどというものをどの辺に置いておるのか、この辺をちょっとお聞かせいただきたい。
  212. 小島和義

    ○小島政府委員 お答え申し上げます。  御指摘ございましたように、臨時行政調査会では、「転作奨励金依存からの早期脱却を図る。このため、第三期対策においてこれを具体化する。」という旨の答申が出されております。同じようなことは、実は一昨年の農政審議会におきましても、「転作奨励金への依存から次第に脱却し得る営農が定着するように努めていく必要がある。」こういう御指摘をいただいておるわけでございます。  水田利用再編対策につきましては、従来から奨励金に依存しない転作営農の確立を期するということを基本的な考え方にいたしまして、これまでもその推進を図ってまいったところでございます。しかしながら、灌漑農業を基本的な体質としておりますわが国農業を、一遍に奨励金なしで転作物が十分に生産できる、こういうところまで持っていきますためには、米と転作物との収益性の格差の問題でありますとか、転作作物についての技術水準の問題とか、いろいろむずかしい問題が多うございまして、奨励金依存からの脱却を早期に行うということは口で言うほど簡単ではないわけでございまして、なおしばらくの期間を要するものと考えておるわけでございます。  そういう意味におきまして、今後とも転作条件整備のための諸対策につきましては総合的に推進いたしてまいりまして、奨励金依存からの脱却に向かって努力を進めてまいるつもりでございますが、この脱却の時期をいつごろまでということを的確に申し上げることは非常にむずかしいと思っております。  ただ、第三期対策におきましては、今回の臨調の答申また農政審の答申等含めまして、第二期の転作の状況、それから米需給の状況、転作の定着化の度合いなどを総合的に勘案いたしまして、奨励補助金の水準及び体系につきましてはその枠組みを新たな見地から検討してまいる、かようにいたしたいと思っております。
  213. 神田厚

    ○神田委員 時間がございませんので、そのことについていろいろ御質問する余裕がありませんが、奨励金問題は非常に大事な問題でありますから、ひとつ慎重に対処をしていただきたいと思うわけであります。  ところで、食管制度の問題の中で、生産者米価の問題について、生産者米価は中核農家を基準として生産抑制的に定めよ、こういうふうな答申が出ております。米価問題は、今年度も御案内のように大変いろいろと問題がありました。その中で、まず第一番に考えなくてはならないことは、今回の生産者米価の決定に当たりまして、米審の会議におきまして生産者側委員が辞表を提出して退場をする、無答申になったというような事情がございますが、このことは、米価審議会のあり方そのものに対しまして非常に多くの問題を投げかけていると思っております。  そこで、まず第一に大臣にお伺いしたいのは、米審のこの不正常な状況に対しまして、この米審の正常化をどういうふうに進めようとするのか、その点はいかがでありますか。
  214. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 新米価を決定するに当たっては、神田委員承知のように、米価審議会の議を経て米価を決定するということに相なっております。したがいまして、米価審議会がやはり正常で、しかも権威あるものでなければならないというのは、申し上げるまでもないのでございます。  しかしながら、今回御指摘のように五人の委員が辞表を提出して退場した。その結果、形式的にはこの答申はできませんでしたけれども、意見の取りまとめが実質的な答申としてまとめられたわけでございまして、それを私たちは参考にしながら最終的な米価を決定したのでございます。  しかし、御指摘のようにこの米価審議会がこのままの状態では権威ある米価審議会とは言えないものですから、やはり米価審議会の本来の姿に立ち返らなければならない。それは、御承知のように米価審議会の委員は学識経験者から任命するということに相なっているわけでございますので、各種の団体、各界の代表じゃないわけなんでして、それぞれ知識をお持ちの方ということでございますので、背景を余りに心配して、背景のために退場しなければならないという、意見を述べることのできない人は、やはり私は委員としての本来の使命を果たしている人じゃないと思うのでございます。したがいまして、委員各位がそれぞれに米価審議会委員として、それはもちろん背景はあるでしょうけれども、私はこれを主張し、米価審議会の現状はこうだということで、米価審議会においての委員としての正しい主張をし、米価審議会の委員としての使命を達成することが、私は一番米価審議会を権威づけるものである、こう考えますので、そういう自覚を私はお願いをいたしているような次第でございます。
  215. 神田厚

    ○神田委員 ですから、米審の正常化に対しまして大臣としてはどういうふうに進めるのか。さらに、ことしの生産者米価は一・一%政治加算ということでありますが、実質的に五年間米価が切り下げられるという状況の中で、米審で生産者代表が、自分たちの意見がもうほとんど通らないような雰囲気だ、こういうようなことで、米審におること自体がやはり今回の場合は問題だったということで退場したわけでありますけれども、その辺のところで、米審の改組の問題と正常化の問題について、簡単にひとつお答え願いたいと思います。
  216. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 この点については、いま武田米審会長ともいろいろ協議をしながら、米審の委員の方々のいろいろな意見等も聞きながら、鋭意努力をしているところでございます。
  217. 神田厚

    ○神田委員 終わります。
  218. 亀井善之

    亀井(善)委員長代理 次に、稲富稜人君
  219. 稲富稜人

    ○稲富委員 私は、きょうは時間がありませんので、ただ一つの問題にしぼって御質問したいと思っておりますが、ただ、いま神田君の米審の問題に対する質問に関連いたしまして、大臣に一言お尋ねしたいと思うのでございます。  大臣は、米価審議会というものを権威あるものにしなくちゃいけないと言われる。そのとおりでございます。しかしながら、今日まで米価審議会を権威のないものにしてきたことは、従来やってきた米価決定のその方法にあると思うのです。いままで、御承知のとおり政府が米価審議会へ諮問をする、米価審議会の答申に基づいて政府がこれを決定することになっておる。それを、米価審議会の答申があって、与党と政府との間で話をつけて、そこに握り金を出す、こういうような権威のないやり方をすること自体が米価審議会の権威をなくしていったと思う。  この点から、私は、政府がこの際反省して、米価審議会に権威を持たせるためには、従来のこの米価決定の方式というものを改めて、米価審議会に諮問する前にもっと十分なる検討をしてから諮問をする、そうして米価審議会の答申を得て政府決定をする、こういうような態度をとることが必要であると考えますが、これに対して一言だけ決意を承りたい。
  220. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 確かに、諮問をいたしまして、その答申を得て米価を決定することでございますので、そういう意味では、答申をそのまま踏襲しなければならないのか、あるいは答申を得てから他のいろんな情勢を勘案しながら決定しなければならないのかということは、私は農林大臣考え方だと思うのでございますので、そういう点は農林大臣に御一任を願いたいと思うのでございます。しかし、決して米価審議会の答申を全く踏みにじるというようなことはこれまでもしていないと私は考えます。
  221. 稲富稜人

    ○稲富委員 米価審議会の答申を待って大臣が決定すべきじゃない、政府が決定すべきなんです。それを、いままでは米価審議会の答申を待って、与党との間で協議された、こういうことが米価審議会の権威を失墜した大きな原因である。この反省の上に立って、今後米価審議会の権威を保つためには、ひとつ政府として再検討をお願いしたい、これが私の気持ちでございますので、そういうことでひとつ今後処していただきたいということを希望申し上げたいと思います。  私、きょう御質問いたしますのは、ただ一点の問題でございます。  これは、すでに政府では御承知であると思いますが、最近、果樹苗木に対するウイルス病というものが非常に発生いたしております。しかも、これが非常に広範囲でありまして、特に柑橘類あるいはブドウ、リンゴ、さらには野菜にまで及んでいるというような状態であります。このままこれを放置いたしましたならば、わが国の果樹農業に大きな影響を及ぼすと思うのでございます。しかも、この原因というものが非常に複雑でありますので、この点に対してどういうような対処をされ、どういうような研究をされておるのか、ウイルス病というものの性質がどういうものであるか、どういう検討をされておるのであるか、この点をまず政府に承りたいと思うのでございます。
  222. 岸國平

    ○岸政府委員 お答えいたします。  ウィルス病というのはどういうものか、まず最初に申し上げたいと思いますが、ウィルスと申しますのは、人間の場合にもそうでございますが、病原体の一つの大きなグループの名前でございまして、植物におきましても大変重要な病原体でございます。これは、簡単に申し上げますと、千倍を限度とするような普通の光学顕微鏡では見えないような、大変小さな病原体であります。電子顕微鏡を使わなければ見えないようなものであるということが一つでございます。  それからまた、伝染をいたしますのに、ほかのバクテリアでございますとかかびでございますとかは、自分から植物に入っていって病気を起こすということができるわけでございますが、このウイルス病の場合には、虫によって運ばれますとか、あるいは傷があるところから入りますとか、種子伝染をいたしますとか、そういうふうな伝染をするというような性質がございまして、このウイルス病にかかりますと、植物の場合には葉にモザイクが生じましたり、それから植物が矮化をいたしましたり、ブドウのようなものでございますと果実の品質が劣化いたしましたり、そういうふうな性質を持っておりまして、いま申し上げましたような性質がございますので、防除が非常に困難であるという性格がございます。  それからまた、先ほど先生の御指摘にもございましたように、果樹の場合には苗木で広がりますので、苗木にウイルスが入っているということが大変伝播の原因になるわけでございまして、私ども研究の上でも、このウイルス病の防除対策といたしましては、農薬をまいて防ぐということができませんので、アブラムシの防除のための農薬をまいて間接的に防ぎますとか、あるいは果樹の場合でございますと、最初から無病の、ウイルスを持っていない苗木をつくるとか、そういうことに努力をいたします。そのためには、研究を進めまして、いろいろな種類のウイルスがありますけれども、そのウィルスを防ぐためにはどういう手段を講じたらいいかというふうな研究を日夜続けているわけでございまして、このウイルスの研究につきましては、国におきまして植物ウイルス研究所が中心となりまして、そのほか果樹でありますとか野菜でありますとか、そういったものを担当いたしております試験場並びにそれぞれの都道府県の試験場等々と協力をいたしまして、ウイルスの種類あるいは性質の究明と同時に、防除のための研究を続けております。  その結果といたしましていろいろなことがすでにわかっておりまして、果樹におきましても、苗木を健全に育てるためにはこういうふうに検定をしてウイルスが入ってないということをはっきりさせてからそれを増植するというような手段についても、いろいろ実用的な結果も出ている。  大体以上のようなところが、研究の現状と、それからまた先ほどのウイルスの性質等についての御説明でございます。
  223. 稲富稜人

    ○稲富委員 いま発見されているウイルスに対しましても、十五種類あるということを承っております。しかも、これが全然苗木ではわからない。これは、果樹生産業者が苗木をつくる、これが実がなって初めてウイルスにかかっているということがわかってくる。そうしますと、野菜ですと一年でございますけれども、果樹でございますから何年間か生育してようやく実がなったところでウイルスにかかっておったという問題が起こってくる。それで被害も非常に大きいし、苗木業者に対しては、悪い苗を持ってきたから損害をどうしてくれるのかという問題が起こってくる。しかも、いまおっしゃったように研究がむずかしい。何とか早くこれに対する政府としての対策を講ずる必要があるのじゃないか、こういう点を考えます。それの対策考えながらこれに対する指導に当たるということ、これに対してどれほどの考えを持っておられるか、考えを承りたいと思います。
  224. 小島和義

    ○小島政府委員 お答え申し上げます。  ウイルス病の弊害は、栄養繁殖の植物においてその影響がきわめて大きいわけでございます。御承知のように、親の持っておりますものが子供にもそのまま伝わるということでございます。特に、永年性の植物の場合には、それが苗木の段階において的確にわからぬままに農家の圃場に入っていくということによりまして、数年たった時点で病気のものであったということが判明をしてくるということになりますので、苗木段階におけるウィルスフリーということを確認するということがこの対策の要点であろうと思います。  したがいまして、現時点におきましては、国の植物防疫所におきまして、都道府県が育成、管理しております果樹の母樹がございますが、それについてはウイルス病検定を実施をいたしております。県が持っております母樹が果樹の苗木の繁殖の大もとでございますので、これは特にそういうことをいたしておるわけでございます。  また、一部の苗木につきましては、ウイルスに汚染しております場合でも、一定の高温のもとにおいて一定期間これを栽培いたしますとウイルスが抜ける、死滅する、こういうことが経験的にわかっておりまして、そのためのウイルス無病化施設というものを県に対して設置を補助をいたしておるわけでございます。  また、農協等の段階におきましては、ウイルスの汚染を防止するための管理施設ということで、これは網室でございますが、虫の媒介によってウイルスに感染することを防止いたしております。  また、ウイルスにかかっております苗木を早期に診断をする対策といたしまして、ある種のウイルスにつきましては、それを判定するための抗血清を製造することに成功をいたしておりまして、現在、日本植物防疫協会を通じましてそれらの抗血清を一括製造して都道府県等に配付をいたしております。これは、病気を治す薬ではございませんで、この血清を使いますと、苗木の段階、つまり実がなるはるか前の段階でウイルスにかかっておるかどうかを見分けることができる、こういう性質の物質でございまして、ただいままでのところ三種類ほどの製造、配付をいたしておりますが、そのほかのウイルスにつきましても逐次検討を深めまして、製造に成功いたしますればそういう抗血清の製造、配付もさらに広げていきたい、かように考えているわけでございます。
  225. 稲富稜人

    ○稲富委員 時間がありません。私の持ち時間が来ましたので、結論でございますが、いま申しましたように、苗木の生産者がウイルスにかかった苗木ということを知らないうちに果樹生産者に配付いたしますと、それがウイルスにかかっておったということで、生産者から苗木業者に対して損害賠償を要求してくるという問題も起こります。御承知のとおり、果樹に対しては果樹共済がありますけれども、こういう問題は共済の前例もないのでございまして、これに対して苗木業者がどういう対処をするかということが一つの問題でございます。  さらに、いま御答弁がありましたように、ウイルスというものは非常にわかりにくい問題でございますから、これに対しては、国といたしましても十分なる研究期間、十分なる処置をとることが非常に必要じゃないかと私は思う。もちろん地方の県等の試験場等でもいろいろやっておるようでございますけれども、これでは不十分であるということを聞きますので、これに対しては国が積極的にウイルス対策というものを樹立する、しかも防除を強化するということが非常に必要であると思うのでございますが、この点に対しては、ひとつ大臣として、国の農政の一環としての果樹農業を守るという意味から、十分なる決意を持って当たっていただきたいということを特に希望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。御答弁をお願いします。
  226. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 先ほど来すでに答弁をいたしておりますが、植物ウイルス研究については非常にむずかしゅうございますけれども農林水産省としては積極的に努力を払っております。果樹は期間がかかります関係から、特に注意が必要でございます。御指摘のように、苗木生産者に対するいろいろな問題等もございますけれども、今後ウィルスの研究、対策指導の面に一層積極的な姿勢で取り組みたい、かように考えます。
  227. 稲富稜人

    ○稲富委員 どうもありがとうございました。以上で終わります。
  228. 亀井善之

    亀井(善)委員長代理 次に、寺前巖君。
  229. 寺前巖

    寺前委員 わずかな時間でございますので、要領よくお答えをいただきたいと思います。  まず、ブロック書簡のことを聞きたいと思うのです。  ブロック書簡背景というのは、日米貿易の交渉、特に市場開放第二弾を通じて農産物の残存制限品目について自由化せよという内容をめぐってのことであったと思うのです。  そこで、ちょっと外務省にお聞きをいたしたいのですが、問題になっておる総理声明、あの内容はちょっと横に置いておいたとして、総理声明という形でもって今日の市場開放第二弾についてやってくれという要求というのはアメリカの側の要求でなかったんだろうか。交渉の経過を通じてどういうふうに見られるのかをお聞きしたいと思うのです。  私、振り返って新聞をずっと見てみたんです。そうすると、三月十二日の読売を見ますと、マクドナルドUSTR次席が単独会見をやっていますが、市場開放声明を要請するということがそこに報道で出ています。それから三月の二十何日ですか、ごろを見ますと、これは毎日新聞に出ているのですが、日米政府筋の話として、アメリカ日本の商慣行など構造問題改革を含めた三段階にわたる摩擦解消の実行計画を総理声明の形で発表するよう要求をする。また、二十五日の毎日を見ますと、商務長官がインタビューで、実行計画をつくって日米貿易小委員会で、こういう話をやる。     〔亀井(善)委員長代理退席、委員長着席〕  こうずっと振り返ってみますと、総理声明でもって市場開放宣言をやれという話が、三月、四月段階にずっと一連出てきているように思うのです。日本総理声明というのを五月の末に自主的に出したというよりも、むしろ向こう側からはっきりとしたそういう計画を示すべきだということが強く言われておったのではないかと思うのですが、その間の事情はいかがですか。
  230. 深田宏

    深田政府委員 三月の時点の事情についてお尋ねがございました。  日米貿易小委員会が三月にございました。その前後のことであろうかと存じますが、私、記憶をいたしております限りでは、市場開放について総理大臣の談話を出せということを先方が公式に発言をしたということはございません。  ただ、三月九日、十日の貿易小委員会の際に、アメリカ側から、日本政府が対日直接投資の問題についてこれを積極的に歓迎するということを政府として公式に表明してはどうかということを言った経緯がございますが、これはいまお尋ねの点とは若干別問題であろうかと存じます。
  231. 寺前巖

    寺前委員 向こうの幹部の諸君が単独インタビューなどでかなりこういうことを言っているんですから、強く向こうの意向が日本の政府機関にも影響しておっただろう。特に通産省は、商務長官が発言をしたりしているところに見られますように、あるいはUSTRの次席が発言しているようなところを見ますと、かなりいろいろな連絡などおやりになっていることでしょうから、このアメリカの要求に着目をして、これに対する対応ということで打って出られたんだろうということは想像するにかたくないわけです。特に貿易摩擦の焦点が農業の分野においての自由化ということと工業の分野への焦点ということを考えると、通産省の諸君たちが何か手を打ったんじゃないだろうかということを世間の人が疑惑を持つというのは、私は当然であろうと思うのです。そういう状況の中で今日のこの問題が出てきたと思うのです。  通産省は、当時ブロック書簡が問題になったときに、もう一度新聞を振り返ってみますと、安倍通産大臣が、七月の二十一日ですか、そういう事実は絶対にあり得ない、調査を行う考えもないという発言をやっています。ところが、その後の事情を見ていますと、今度は通産省で起草していた首相談話の骨子を電話で米通商代表部、USTRに通報したというようなことが出てくる。初めは全面否定しておったと思っておったら、何か電話で話をしておったらしい、いろいろ連絡があったらしいということを認めざるを得なくなってくるということになってくると、いよいよもってこれは一体どういうことになっているんだ、本当にアメリカを使って、いま問題になっている貿易摩擦について、工業分野を守るために農業分野に打撃を与えるというような意図を持った策動をやったのではないかということを、一層疑惑を国民の間に広げていると思うのです。  そこで、私は農水省に聞きたいと思うのですが、こういう一連の電話で通報するとか、それまでいろいろな接触があった、そういう過程の中で骨子を示したというこの事実について、農水省として知っていたのかどうか。問題の焦点は、市場開放の第二弾として農産物の自由化が問題にされているときに、農水省にその相談なしに通報されておったとするならば、やはり事は重大だと思うのですが、大臣、どうなんですか。
  232. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 先ほど申し上げましたが、ブロック書簡のあて名は農林大臣じゃございません。しかし、外務省からの連絡で農林水産物に言及している分については理解できましたので、それについては私たちが常に主張しているものと相反するものでございますので、外務省を通じて直ちに私たちの考え方を申し入れをしたのでございます。  その後の交渉に当たっては、寺前委員承知のように、農林水産省が窓口で責任を持って農産物の交渉を妥結し、第二弾対策が策定されたという結果に相なったわけでございます。
  233. 寺前巖

    寺前委員 いや、私の聞いているのは、事前に通報をしておったということの内容について、農水省としてはどうなんだ。
  234. 佐野宏哉

    ○佐野(宏)政府委員 総理談話の案について、米側に事前に通報するという話については、私ども承知しておりませんでした。
  235. 寺前巖

    寺前委員 だから、私はますますもって疑惑が深まるということになってきたんだろうと思うのです、経過から見ますと。  そこで、通産省にお聞きをしたいと思うのですが、どうなんですか。案文を電話で知らしたというんですが、要するに、向こうに骨子、案文が書き取れるように示さなかったら、向こうも検討しようがないということになるんでしょうが、そういうふうにやったわけですね。
  236. 原田昇左右

    原田(昇)政府委員 寺前委員のいまの御質問にお答えする前に、先ほど来、何か通産省がそそのかして農産物市場開放アメリカから大いにやらせたんじゃないか、こういうようなお話でございますので、その点についてまず誤解を解いておく必要があろうと思いまして、私、あえて御答弁申し上げるわけでございます。  まず、農産物市場開放問題は、御承知のように農民の生活にも非常に影響があり、また、われわれは農業団体から本当に切実な意見の御開陳をいただいております。そして、これが非常に政治問題だということも認識しておるわけでございまして、通産大臣は、相手のUSTR代表のブロック、また商務長官のボルドリッジ、あるいは一月に出かけましたときにレーガン大統領、副大統領並びにヘイグ国務長官、こういった方々とお会いした際、日本アメリカ農産物の最大のお客さんだということと、日本の農民は欧米にも農産物の貿易については輸入制限の措置が行われておるということを十分知っておるのだ、そして天然条件とか国土の条件から言ってこれは工業製品のようなぐあいにはいかないという困難性を繰り返し繰り返し言っておられまして、この点は十分ひとつ御理解をいただきたいと思います。  その上で、むしろ通産省としては農業市場開放というのは非常に困難だという認識のもとに、工業製品で今度の貿易摩擦の決着をつけるべきじゃないか。そこで、工業製品の大幅な関税の引き下げとか、あるいは関税をゼロにするとかということを思い切ってやったわけでございまして、九十六品目について工業製品の関税をゼロにする、あるいは百二十品目余りについて関税の大幅な引き下げをやるという措置を決定して、そしてこれを今度の第二弾としてぶつけたわけでございます。その点をひとつ十分御理解をいただいておきたいと思うのです。  われわれは、むしろ工業製品の大幅な関税の引き下げ等の措置によって市場開放に大いに前向きに持っていくことによって、農産物市場開放の困難性についてカバーしようというような考えでやったわけでございます。同時にまた、総理大臣の談話についても、工業製品に限定して話をしておるわけでございまして、これは農産物を含んでおるわけではないということもぜひひとつ御理解をいただきたいし、また、これはもちろん日本政府が全く独自に判断をし、これを作成したものでございまして、何ら外圧によってやったものではないということでございます。  以上のことを御理解の上、御議論をいただきたい、こういう意味で御答弁申し上げた次第でございます。  先ほどの御質問の趣旨は、政府委員から御答弁申し上げます。
  237. 福川伸次

    福川政府委員 五月七日に通報いたしたやり方についてのお尋ねでございますが、五月七日に、五月十一日から予定されております三極の会合の議題の問い合わせの一環といたしまして、今後、その三極会合の際には、総理の国民への談話と申しますか、それも議題にいたしたい、またあわせ、その骨子は大体こんなものであろうということを担当者レベルで通告をいたしたわけでありますが、主たる説得と申しましょうか、向こうの理解を求める工作は、安倍大臣御自身、三極会合のところでやられたわけでございます。  そのときの伝え方がどうであったかということでございますが、その骨子を読み上げ、連絡をいたしておるわけでございますから、そのときの言い方と申しますのは、大体書き取られるようなことで話を伝えていると思いますし、また、先方からもクラリフィケーションと申しましょうか、疑問点についての問い合わせといったようなやりとりがあわせ電話で行われております。
  238. 寺前巖

    寺前委員 そこで、それを出された内容と、向こう側が添付してきたところの文書との間には、差異はあるのですか、ないのですか。
  239. 福川伸次

    福川政府委員 まず、私どもから通報をどのようにしたかということでございますが、また、向こうから参りましたブロック書簡につきましては、先ほど来外務省等からもお話がございますように、先方から親展秘ということでございますので、それとの対比は差し控えさせていただきますが、概略私どもの方から言いました趣旨は、世界的に保護主義が高まっている折から、日本としては自由貿易を守っていく、こういうために貢献をしていく必要があるというポイント、また、そのために日本といたしまして市場開放措置をとってきておりますけれども、今回も工業製品の関税等を中心にした市場開放措置をとる。さらにまた、わが国の市場が閉鎖的で外国製品や外国資本に差別的であるとの誤解がまだあるというようなことでございますので、そういうようなことがないように誤解を解くということを申し上げておるわけでございまして、そのブロック書簡との対比の点につきましては、親展秘ということになっておりますので、その対比は差し控えさせていただきたいと思います。
  240. 寺前巖

    寺前委員 違うものか同じものか、どっちなんやということが答えられないというのは、一体どういうことなんです。何かぐあいが悪いの。あなたたちが意向を事前に言うたと言うているのでしょう。意向を言うたことに対して、その意向を組み入れたものが出てきておるのかどうかと聞いている。それが言えないということは、一体どういうことになっているの。何で言えないの。
  241. 福川伸次

    福川政府委員 先ほどから申し上げておりますように、ブロック書簡に添付されておりますのは秘ということでございます点は御理解賜りたいと思いますが、私どもとしては、いま申し上げましたように製品輸入あるいは海外投資の歓迎、こういうことの趣旨を根幹として申しているわけでございまして、いろいろまたブロック書簡附属書簡については新聞等にも報ぜられておりますが、それとの対比で見ます限りにおいては、それは大体いま申し上げました製品輸入あるいは海外投資を歓迎しよう、そういう趣旨におきましては大筋同様のラインになっておるように思っております。
  242. 寺前巖

    寺前委員 簡単に答えていただきたいと最初に断ってあるがな。よく聞いておいてよ。  ところが、もう世間に出てきた書類というのは、こういうものだというのが出てしまっている。それが合うておるか合うておらぬか、そんなことはいまここで私はとやかく言いませんけれども、それを読みますと、中にこういうことが書いてある。「これらの方策は、日本国内のいくつかの産業分野に衝撃を与えるが、日本は、自由貿易体制の恩恵を受けている以上、避けられないことだ。」こういうふうにその総理声明の中に書いてあるというのだな。そうすると、幾つかの産業分野というのは何を指すの。
  243. 福川伸次

    福川政府委員 いま御指摘の点で、新聞で言われておりますが、いま私申し上げましたのは、製品輸入あるいは海外投資の歓迎ということについては大筋変わりないということを申し上げました。いま先生が御指摘のようなくだりの点につきましては、私どもとしては承知をいたしておりません。
  244. 寺前巖

    寺前委員 客観的に言ったら、どう見たって市場開放の第二弾、自由化が問題になっていたときなんだ。そういうときに、もしもこういうような趣旨のことを向こうに言っておるとするならば、第一に、相談にあずかっていなかったという問題が一つあった。しかも、中身としてそういう内容があったとするならば、ますますもって遺憾なことだと言わざるを得ない。  そこで、その次に聞きますが、それじゃ、こういう文書を通産大臣なり他の幾人かの大臣が受け取った。総理大臣声明案なるものがついている。受け取ったときに、とんでもないものを出してきたというふうに通産省は見たのか。大体これで話がついたなと見たのか。どういうふうに受け取ったときに感じられたのです。
  245. 福川伸次

    福川政府委員 私どもといたしましては、どういうかっこうでその附属文書ができましたかは、先方がいたしたことでございますので、想像の域を出ないわけでございますが、そのところは、先ほど来の御審議でもいろいろ述べられておりますように、この総理談話そのものを、ここで総理談話をこういうかっこうで出してくれというような要請があったわけではございませんで、そういう総理談話が出る場合には実効のあるようにしかるべき行政指導をしてもらうことの希望の表明が書かれておるわけでございまして、こういう総理談話を出してくれといったような要請、くだりはございません。したがって、私どもの方としては、いろいろな形で、これは先ほど来外務省からも御答弁がございますように、いろいろ内々に参考までに言ってきたことでございまして、なおかつ総理の談話を出せということではないわけでございますので、アメリカのそういったいろんな意見の表明という形で受け取ったわけでございます。
  246. 寺前巖

    寺前委員 向こうの手紙に総理のそういう談話がついている。一体これは何だろうかとだれだって思うじゃないの、思わないの。そしたら、それは何です。日本総理大臣の談話だったら、一体それについておる談話は何のためについているの。おかしなものがついているなとあなたは思わなかった、どうです。不思議な話ですよ。日本総理大臣の談話案を向こうの人からもらう。あなた、何ともない、どうですか。
  247. 福川伸次

    福川政府委員 私どもといたしましては、先ほど申しましたように、その骨子を通報をいたしたわけでございます。また、向こうから返ってまいっておりますブロック書簡におきましても、その総理談話をこういう形で出してくれということを書いてあるわけではございませんので、いろいろそういう談話が出る場合には、その実効の上がるような行政措置をしてくれ、こういうことのくだりでございましたわけで、付されております談話は参考に付されておった、こういうふうに私どもは受けとめたわけであります。
  248. 寺前巖

    寺前委員 外務省に聞きますが、それについてきた文書参考にしてくれ、日本総理大臣談話を、おまえさんのところはこれを参考にしてくれとアメリカからもらって、あなたはおかしいと思いませんか。
  249. 深田宏

    深田政府委員 ブロック書簡は、別添とあわせましてパーソナル・アンド・コンフィデンシャルということで参ったものでございます。そういう性格のものでございますけれども、その中に総理大臣の談話の案がついておったということにつきましては、私どもといたしましては奇異に感じまして、直ちにアメリカ側にどういう事情でこれがついておったのかということを照会いたした次第でございます。
  250. 寺前巖

    寺前委員 それで、照会して納得できましたか。どういうふうに納得しましたか。
  251. 深田宏

    深田政府委員 先方説明は、日本側でもしそういうことをお考えであるとすればということで、御参考までに内々お伝えしたものであるということでございました。  ただ、私どもとしましては、手続的にもいろいろ不自然であるというふうに存じましたので、先方の注意を喚起いたした次第でございます。
  252. 寺前巖

    寺前委員 もし日本側でお考えならば、そうしたら内々これでどうですかと、こんななめられた話、外務省、こんなことあたりまえと思っているのですか。いままでもこんなことをやっておった例があるのですか。ちょっと聞かせてください。
  253. 深田宏

    深田政府委員 ただいまお答えしたとおりでございまして、私どもとしましては、これは大変例のないようなことであると存じましたので、先方にその背景問い合わせ、かつ、先方にこういう手続的について問題があるじゃないかということを注意はいたしたわけでございます。  ただ、冒頭申しましたように、このブロック書簡そのものが公式の外交文書として出てきたというたぐいのものではございませんで、内々の参考のための文書であるということではございます。
  254. 寺前巖

    寺前委員 ちょっと大臣にお聞きしますが、これは公式の文書ではない。公式の文書でないにしたって、同じ文書を各大臣あてに、いろんな大臣に配っておるのだ。外交ルートだったら一本でぱっと来るべきものだろうに、いろんな大臣に渡す。これ自身もおかしい。そこへ持ってきて、総理大臣の談話なるものを向こう側からこれでどうですかと持ってくる。これもおかしな話だ。しかも、話題の中心になっておるのは、当時市場開放第二弾云々の残存農産物が話題になっておったときだ。  そこで、これは内々の手紙だと言うけれども、五月十八日の新聞を見ると、今度は櫻内外務大臣は、この書簡に答えるということで向こうに書簡を出したということが報道されているわけだ。内々の話かもしらぬけれども、また、こっちも内々の話かもしらぬけれども書簡を出して事実上の交渉をやっているのと違いますか。そのときに、先ほど大臣がおっしゃった、第二弾として農産物の自由化というのはできませんという書簡を向こうに櫻内外務大臣を通じて渡したのでしょう。違うのですか。私はそういうふうに聞いていますよ。
  255. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 いま寺前委員御指摘のとおりでございまして、先ほど申し上げましたように、このブロック書簡のあて名が農林大臣じゃないので、農林水産物に言及した分だけを私たちは問題にしまして、それを外務大臣に、これは私たちの意向と反するから申し入れをしますよということにして、以後ずっと農産物交渉を私たちの責任で進めてきたというのが実態でございます。
  256. 寺前巖

    寺前委員 そうしたら、あれは内々の文書だから、向こうから総理大臣の談話なるものがついてきて参考にされておっても、これはこのままだ。だけれども書簡本文については、そんなこと聞いていられるかと言って、外務大臣を通じてだあっと言わせたというのでしょう。そうしたら、事は公式になっているじゃありませんか。公式になっているというような重大な問題なんですよ、非公式であろうと何であろうと。だから、日本総理大臣談話なるものを、これを参考にせいと言われて、はいわかりましたと言ってそのままに置いてあるということは、事は重大だと私は思う。私はこの処理の仕方というのは問題だと思うが、大臣、どうですか。
  257. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 これまでもアメリカから、たとえば農産物の問題についてはいろんな要請があるわけですよ。これは、非公式の形でも出てきています。しかし、あくまで私たちはそういうものを参考にしながら農産物交渉に当たるということでございますので、そういういろんな問題を抱えながら、私たちは主張するところは主張するということでございますから、そういう点は参考として私たちは交渉に当たっているということを御理解願いたい。
  258. 寺前巖

    寺前委員 私は、このままで済ませておけませんね。日本総理大臣の談話なるものをアメリカの方から突きつけられて、それで参考にしてくださいと言われて引き下がれますか。なめたことするなと怒って私はあたりまえだと思いますよ。私は、これは再検討してほしい。このままで日本の行政が進んでいく、日本の外交交渉がこれで進んでいくのだ、私は重大だと思いますよ。これははっきりと再検討を要求しますし、それから、さっきも、当委員会理事会で真相を究明してほしいということを申し入れようという話も出たのです。そういう方向ですべての党の代表が言っているのです。私は、このことについてもう一度閣議で検討されたいと強く要請して、この問題を一応きょうのところは終わっておきます。  あと、少し残った時間に、私は、当面起こっている問題について四、五点聞きたいと思うので、ひとつお答えをいただきたい。  臨調との関係をまずお聞きをしたいと思うのです。  臨調答申を読んでみますと、いっぱいいやなことが書かれております。その典型がえさ米にも出てきていると思うのです。  えさ米について、臨調内部にも一定の積極論が前にはあって、第一部会報告作成の過程で浮いたり消えたりしておりました。中野臨調専門委員の私案を見ますと、飼料用と主食用以外の用途開発と価格形成等の仕組みを検討し、できればその実施を図るということがその中身にありました。これが、臨調事務局のコメントで、臨調で前向きに取り上げるのは適当でないということで消える。しかしまた、部会報告の素案の段階になると、中野私案と同趣旨の項目が出てくる。結局、また報告から消える。こういうふうに、臨調の中でも上がったり下がったり、浮き沈みをしておるのがこのえさ米の問題です。この前、米価のときでしたが、大臣にお会いしたときに、大臣は共補償などいろいろな形でこれについて検討しなければならぬなというようなお話をしておられたわけですけれども、私は、臨調の中でも浮き沈みするように、これはやはり日本の今日の段階において重要な課題だと思うのです。だから、私は、えさ米を施策として積極的に打って出るということを直ちにやられる必要があるのじゃないかということについても、大臣の見解を聞きたいと思います。
  259. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 えさ米については、この委員会でも何回か答弁しておるのでございますが、御承知のように、品種を定着させるためにはかなりの期間がかかるということが第一でございますし、また、食用のお米とえさ米はやはり区別をしていかなければならないという問題、さらに、価格をどうしたらよろしいかという問題がございます。しかし、そういう問題について、水田利用再編対策としては、また転作作物としては非常に重要な問題でございますので、私たちは、できるだけ早い機会にそれらの問題を処理して実現を見たいというのがただいまの心境でございます。  したがいまして、価格の問題についても、いわゆる共補償という形がいいのか、あるいはまた他の農協等のお世話をいただくのがよろしいのか、あるいはまた農林水産省としてどういう価格を示すのがよろしいのかというような問題をこれから検討してまいらなければならないと思うのでございます。  問題は、このえさ米と同時に、もう一つの考え方としては、えさ米という特定のものではなくして、現に生産されたものの質の上下によって、そこで米の多様化を図った方がよろしいのじゃないかというような考え方もあるわけでございまして、そういうことともいろいろあわせ検討して、できるだけ早い機会に実現をいたしたいと考えております。
  260. 寺前巖

    寺前委員 次に、臨調の中で出てきておる問題として、零細補助金の整理という問題があります。  昭和四十二年段階では、都道府県に対する補助金の基準額は五十万円、市町村は五万円でした。ところが、五十五年になりますと都道府県が五百万円になり、市町村は五十万円というふうになっております。十五年前と比べると二十倍、十三年前の十倍、そういうように補助金の基準額がずいぶん引き上がってきておるわけですが、今度の臨調の動きを見ますと、都道府県段階で十二費目、市町村段階で二費目がそれ以下だということで打ち切りというのか、そういうことになりそうだ。しかも、その内容を見ると指導推進費ということになっている。施設をつくったりあるいは人間を置いておっても指導推進費というものが削られていくということになってくると、一体補助金というものは何でもかんでも切っていいということにはならぬじゃないか。こういう問題に対してどういう対応をされるつもりなのか。臨調の検討というものは私は不十分だというふうに思うのですが、いかがですか。
  261. 角道謙一

    角道政府委員 お答えを申し上げます。  零細補助金の基準額につきましては、いま御指摘のとおり、臨調の方からは都道府県につきましては一千万円以上、市町村につきましては百万円以上というように考えられておるわけでございますが、これはあくまで原則を示したものと私どもは受け取っております。  農林水産省関係では、いま御指摘のとおり都道府県関係では十二項目、市町村関係では二項目ございますが、これにつきましても非常に重要な補助金もございますので、従来、私どもできる限り補助事務の簡素化、合理化という観点からもこの零細補助金の整理統合はやってきたわけでございますが、現在残っております十二項目あるいは市町村関係二項目につきましては、個別にもう少し検討しながら大蔵省あるいは行管等とも話し合いをいたしまして、重要なものについてはなお存続を図っていきたいと考えております。
  262. 寺前巖

    寺前委員 次に、臨調答申でもう一つ重要なことは、逆ざや解消という問題が出てきます。こういうことになってくると、消費者米価の引き上げというのがおっつけこれまたすぐに問題になってくるだろう。私は、消費者米価の問題というのは国民生活全体にかかわる問題ですから、単純に逆ざや解消ということでこれを見てはならないのじゃないだろうかという意見を持ちます。そこで、消費者米価の値上げについてどういう見解を大臣はお持ちになるのか、これが一つです。  それから、きのうも米消費の議員連盟が行われておったわけですが、米消費拡大の分野の話題として、学校給食の問題が非常に重要な位置を占めております。昭和六十年代の初期の段階には週三回の米飯給食をやるようにしようではないかという方向で農水省としても文部省としても打ち合わせをされて、ずっと今日まで指導をしてこられたと思うのです。ところが、これを進めていこうと思うと、従来の米に対するところの学校給食は特別に安く渡すという措置をしておられました。こういうものがなくなってくるということになると、この目標が削られることになると思うのです。去年は牛乳の分野で若干削られるという問題がありました。今度はまた米の分野にも広がってくるのではないだろうか。だから、そういう意味で、米も牛乳も、学校給食という分野から考えてもこれはそういうことにならないように、ぜひ補助金の確保をいままでどおりやっていただきたいということを私は意見として持つのですが、この二点についての大臣の所信を聞きたいと思います。
  263. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 逆ざや解消について、私たちはやはりそのために努力をしてまいらなければいけない。売買逆ざやについてはもちろんでございますが、コスト逆ざやについても、今後、その緩和のためにできるだけ努力をしていかなければならないと考えております。  また、消費者米価については、まだその基本的な考え方もまとまっておりません。今後の課題としてこれから検討してまいりたいと思っております。  また、米飯奨励の問題でございますが、これは、本来なら国民運動的な立場で米飯普及をしていく状況にあると私は思うのでございますが、そのためにも、やはり学校給食の持つ役割りというのは非常に大きいと思いますので、いま御指摘の点は十分考慮して、今後ともこの予算措置については努力をしてまいりたい、かように考えております。
  264. 寺前巖

    寺前委員 それじゃ、最後に、先ほどせっかく災害の御提起がございました。引き続き農水省としてもよく調査をされて、万遺漏なきようにひとつやっていただきたい。  きょうも、朝、テレビを見ておりましたら、大都市におけるところの野菜の集荷状況が非常に悪くなってきておる。値段もずっと上がってきておる。これは数日にして交通機関が解消すれば改善されるのだろうという希望的観測もまた情報として流れておりましたが、こういう問題について、十分に、国民生活にかかわる問題でもありますので、万遺漏なきような処置をとっていただきたいというのが要望の一つです。もしも孤立をしているようなところが引き続きあるのだったらどういうふうにされるのか、そこのところもひとつお聞きをしたい。これが一つです。  それからもう一つは、今回の災害で、例の青田刈りをしているところの方はむしろ助かって、そしてそうでないところが水につかった。それをちょっと振りかえをやってもらうというようなことによって、減反政策の協力をひとつ配慮願いたいというような要望が部分的に出てきているわけです。こういう問題に対してどういうふうにお考えをお持ちなのか。  それからもう一つは、ずいぶん山地災害問題が起こりました。従来の予算枠では対応が困難であるという問題が出ているのです。これについてお考えをいただきたい。特に、農地復旧十アール当たりの限度額の撤廃という問題なども出ているわけでございまして、私は、細部はまたの機会にさせてもらうということにして、そういう問題が出てきているので、心配の向きに対していま言える話があったら言っていただいたらありがたいというふうに思います。
  265. 角道謙一

    角道政府委員 生鮮食料品の問題につきましては、レタス、キャベツ等野菜の一部に値上がりしておるものがあることは事実でございますが、これは主として道路状況によるものが多いと考えておりますので、道路の復旧等ができ上がりますれば漸次価格は鎮静してくるものと考えております。また、水害あるいは道路等によりまして交通途絶しているところにつきましては、生鮮食料品の配送等につきまして何らかの方法で各県と連絡をとりながら、万全を期したいと考えております。  それから、その次の青刈りの問題でございますけれども、稲の青刈りにつきましては、当初から市町村長に計画を出しまして、その青刈りの問題につきましては計画のもとに特定をしているということがございます。また、この青刈りででき上がりました青刈りのものにつきましては、自家の飼料用として使用する、あるいは畜産農家の間で供給契約を結ぶというように要件を課しておりますし、また、刈り取りの段階におきましても糊熟期前市町村職員が立ち会うという要件を課しておりますので、これにつきましては、現在の段階では私どもとしては振りかえは困難であるというように考えております。  それから第三番目の山の問題でございますが、復旧対策といたしましては、私ども本年度緊急治山事業として一応の予算枠を持っておりますが、これによりまして、人家、公共施設等に被害を与えるおそれのあるものにつきましては、緊急治山事業ということで対処をしたいと考えております。また、人家の裏山等で発生した小規模な災害につきましては、激甚災に指定された場合には林地崩壊防止事業ということで処理をしたいと考えておりますし、また、その他の場合には小規模山地災害対策事業で緊急個所は対処したいと考えております。また、予算上いろいろ問題があります場合には、さらに予備費等必要な場合には大蔵省と協議をして対処したいと考えております。
  266. 寺前巖

    寺前委員 どうもありがとうございました。
  267. 羽田孜

    羽田委員長 以上で寺前君の質疑は終わります。      ————◇—————
  268. 羽田孜

    羽田委員長 この際、繭糸価格安定法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。  本件につきましては、先般来理事会におきまして御協議をいただいたところでありますが、本日その協議が調い、草案がまとまりましたので、その内容につきまして、便宜、委員長から御説明申し上げます。  本案の第一は、蚕糸砂糖類価格安定事業団が保有する国産糸について、新規用途等生糸、絹需要の増進に資するための売り渡しの道を開く特例を設けたことであります。  第二は、事業団が保有する輸入糸についても、国産糸の場合と同様に、新規用途等生糸需要の増進に資するための売り渡しの道を開くこととしたことであります。  なお、これと関連して、従来、輸入糸について現行法の運用として行ってきたいわゆる一般売り渡し及び実需者売り渡しを法律上明確に位置づけることとしたことであります。  第三は、事業団の保有する輸入糸を糸価安定のために売り渡す場合に、コスト価格以下では売れないこととされていたことの例外を設けることとしたことであります。  以上がその内容でありますが、そのしさいにつきましては、お手元に配付してありますので、案文により御承知願いたいと存じます。
  269. 羽田孜

    羽田委員長 本起草案につきまして別に発言の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  お諮りいたします。  お手元に配付いたしております繭糸価格安定法の一部を改正する法律案の草案を本委員会の成案と決定し、これを委員会提出の法律案といたしたいと存じますが、これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  270. 羽田孜

    羽田委員長 起立総員。よって、本案は委員会提出の法律案とすることに決定いたしました。  なお、ただいま決定いたしました本案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  271. 羽田孜

    羽田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  272. 羽田孜

    羽田委員長 この際、亀井善之君外五名から、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党及び新自由クラブ・民主連合の共同提案による繭糸価格安定対策に関する件について決議されたいとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。竹内猛君。
  273. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党及び新自由クラブ・民主連合を代表して、繭糸価格安定対策に関する決議案の趣旨を御説明申し上げます。  わが国の伝統的民族産業である蚕糸、絹業を取り巻く情勢は、絹需要の大幅減退、海外からの生糸、絹製品の輸入圧力、糸価の長期低迷等を背景として、蚕糸砂糖類価格安定事業団の在庫が異常に累積する等きわめて厳しい事態に立ち至っております。  こうした事態に対処し、当農林水産委員会では、絹の需要増進に資するため、絹の新規用途開発等に対して事業団在庫糸を活用する道を開くことなどを内容とした繭糸価格安定法の一部改正を、全会一致をもって委員会提出の法律案とすることに決したところであります。  しかしながら、今回の改正法は、その具体的運用を政府にゆだねていることから、その運用に当たっては、立法者としての意思を明確にしておく必要があります。  こうした観点から、理事会の合意に基づき、各党代表による懇談会が設けられ、改正法の運用基準等につき、政府を交え、鋭意協議を行ってきたところであります。  協議事項の主要な内容は、新規用途開発等の範囲、事業団在庫糸の売り渡し方法、事業運営に当たっての公正確保等の問題であります。  その結果、改正法の運用基準等として、次の事項をまとめ、これを委員会の決議として提案することとした次第であります。  以下、案文を朗読いたします。     繭糸価格安定対策に関する件(案)   最近の蚕糸・絹業をめぐる情勢は、絹需要の減退、海外からの生糸・絹製品の輸入圧力、蚕糸砂糖類価格安定事業団在庫の異常累積等誠に厳しい事態に直面している。   よって政府は、今回の繭糸価格安定法の一部改正に伴い、改正法の運用に関し、左記事項に十分留意して、蚕糸・絹業の維持安定に遺憾なきを期すべきである。       記  一 改正法による生糸の売渡しに当たっては、一元輸入措置を含む繭糸価格安定制度が基準糸価維持を本制度の基本としていることにかんがみ、いやしくも糸価に悪影響を及ぼすことのないようその適正な運用を図ること。  二 いわゆる実需者売渡しが法制化されることに伴い、その実施に当たっては、糸価の動向及び絹業の安定に十分配慮して適正に行うこと。  三 新規用途等の売渡しに当たっては、その内容が多岐にわたることにかんがみ、事業団に関係業界、学識経験者等による審査機構を設置する等の措置を講じて厳正かつ公平な運営を期すること。  四 事業団在庫の適正化を図るため、改正法に基づく絹需要の増進と併せ、生糸・絹製品の輸入については、極力その抑制に努めること。  五 六十五年長期見通しに沿った生産性の高い養蚕経営を確立するため、生産団地の育成、土地基盤の整備等実効ある生産対策を総合的に実施すること。   右決議する。  以上でありますが、何とぞ全委員の御賛同を賜わりますよう、お願い申し上げます。
  274. 羽田孜

    羽田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  本動議に対し、別に発言の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  亀井善之君外五名提出の動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  275. 羽田孜

    羽田委員長 起立総員。よって、本動議のごとく決しました。  この際、ただいまの決議につきまして、田澤農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。田澤農林水産大臣
  276. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上、善処するよう努めてまいりたいと存じます。
  277. 羽田孜

    羽田委員長 ただいまの決議について、議長に対する報告及び関係当局への参考送付等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  278. 羽田孜

    羽田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、来る十一日水曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十四分散会