○松浦
政府委員 まず、
実態から申し上げます。
北朝鮮水域におきます
わが国の漁船でございますが、五月から翌年の二月にかけましてイカ釣り漁業が、三月から六月にかけましてマス流し漁業、それからマスはえ縄漁業、九月から翌年の六月にかけましてベニズワイかごが出漁いたしております。
そこで、隻数で申し上げますと、
昭和五十六年はやや実績が少なかったわけでございますが、五十五年でとりますると、操業隻数が千九百隻、漁獲量が四万二千トン、金額にして百二十億の水揚げでございまして、非常に重要な漁場でございます。
県別には、細かな資料が手元にございませんので、概括的に申し上げますと、北海道、青森、富山、石川、兵庫、鳥取、山口、
長崎といったようなところの漁船が非常に多うございます。
そこで、このような操業の実績になっておるわけでございますけれ
ども、六月の三十日に残念ながら暫定合意が切れたわけでございます。この漁業のうちで、マス流し網、それからマスはえ縄漁業は六月中に漁期を終了しておりまして、ベニズワイかごは七月及び八月は休漁ということになっております。
そこで、この民間暫定合意の期限切れに伴いまして問題となる漁船はイカ釣り漁船でございますが、この三十日の時点で約六十隻のイカ釣り漁船が当該水域に出漁しておりましたけれ
ども、この漁船は一応整然と退去したわけでございます。ただ、その後におきまして三隻ほど当該水域に入りまして、北朝鮮側に拿捕されたという事実がございまして、これはまことに残念なことでございますが、この漁船につきましても、北朝鮮側が
指示いたしました罰金を送金いたしておりまして、まだ釈放はされておりませんが、この問題につきましては解決がつくのだろうというふうに
考えておる次第でございます。
なお、現在のイカ釣り漁船の
状況は、沿海州のピョートル大帝湾の沖合い、これはソ連の二百海里であります。それから大和堆、北大和堆等の沖合い漁場のほかに、北海道、秋田県及び山陰沖の沿岸漁場を利用いたしておりますので、現在のところはこのイカ釣り漁船は比較的安定した漁獲を続けておるという
状況でございます。したがいまして、現在のところ直ちに損害が生じているというふうには
考えておらないわけでございますが、この協定が将来までなかなか合意ができないということになりますと、先ほど申しましたような非常に重要な水域でございますので、損害が残る可能性もございますので、さような事態を見きわめまして、今後の対応を
考えてまいりたいと思っておるわけでございます。
なお、いずれにいたしましても、この水域につきましてはきわめて重要な水域であるということを申し上げたわけでございまして、従来まで民間レベルの話し合いによりまして安定的に操業ができたわけでございますが、残念ながら今回期限切れになりまして、漁船が一たん退去するという事態となっているわけでございます。
水産庁としましては、このような重要な漁場でございますし、また、目下のところはイカ釣り船だけでございますが、今後はベニズワイも操業いたす時期に入ってまいります。さらに、明年になりますとサケ、マスの漁船も操業を開始するということでございますので、一刻も早く協議を再開いたしまして、再び北朝鮮との間に合意を取りつけ、安定した操業ができることを強く希望しているところでございます。しかし、先生も御指摘のように、何分にも政府としては、国交のない国でございますので、直接に外交交渉を行うことができません。したがいまして、目下、民間漁業者あるいは北朝鮮側と御連絡がとれる方々に
お願いをいたしまして、再交渉の糸口がつかめるように極力御努力を
お願いいたしているところでございます。今後とも安定的な操業が
確保されるよう、
関係者と連絡をとりまして、側面的に私
どもとしてはできるだけ協力をしてまいりたいというふうに
考えておる次第でございます。
なお、入国の
関係の御質問がございましたが、これは
外務省が
お答えになると思います。