運営者
Bitlet
姉妹サービス
kokalog - 国会
yonalog - 47都道府県議会
nisalog - 東京23区議会
serelog - 政令指定都市議会
hokkaidolog - 北海道内市区町村議会
aomorilog - 青森県内市区町村議会
iwatelog - 岩手県内市区町村議会
miyagilog - 宮城県内市区町村議会
akitalog - 秋田県内市区町村議会
yamagatalog - 山形県内市区町村議会
fukushimalog - 福島県内市区町村議会
ibarakilog - 茨城県内市区町村議会
tochigilog - 栃木県内市区町村議会
gunmalog - 群馬県内市区町村議会
saitamalog - 埼玉県内市区町村議会
chibalog - 千葉県内市区町村議会
tokyolog - 東京都内市区町村議会
kanagawalog - 神奈川県内市区町村議会
nigatalog - 新潟県内市区町村議会
toyamalog - 富山県内市区町村議会
ishikawalog - 石川県内市区町村議会
fukuilog - 福井県内市区町村議会
yamanashilog - 山梨県内市区町村議会
naganolog - 長野県内市区町村議会
gifulog - 岐阜県内市区町村議会
sizuokalog - 静岡県内市区町村議会
aichilog - 愛知県内市区町村議会
mielog - 三重県内市区町村議会
shigalog - 滋賀県内市区町村議会
kyotolog - 京都府内市区町村議会
osakalog - 大阪府内市区町村議会
hyogolog - 兵庫県内市区町村議会
naralog - 奈良県内市区町村議会
wakayamalog - 和歌山県内市区町村議会
tottorilog - 鳥取県内市区町村議会
shimanelog - 島根県内市区町村議会
okayamalog - 岡山県内市区町村議会
hiroshimalog - 広島県内市区町村議会
yamaguchilog - 山口県内市区町村議会
tokushimalog - 徳島県内市区町村議会
kagawalog - 香川県内市区町村議会
ehimelog - 愛媛県内市区町村議会
kochilog - 高知県内市区町村議会
fukuokalog - 福岡県内市区町村議会
sagalog - 佐賀県内市区町村議会
nagasakilog - 長崎県内市区町村議会
kumamotolog - 熊本県内市区町村議会
oitalog - 大分県内市区町村議会
miyazakilog - 宮崎県内市区町村議会
kagoshimalog - 鹿児島県内市区町村議会
okinawalog - 沖縄県内市区町村議会
使い方
FAQ
このサイトについて
|
login
×
kokalog - 国会議事録検索
1982-07-13 第96回国会 衆議院 農林水産委員会 第23号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
五十七年七月十三日(火曜日) 午前十一時十七分
開議
出席委員
委員長
羽田
孜君
理事
加藤 紘一君
理事
亀井 善之君
理事
戸井田三郎
君
理事
渡辺 省一君
理事
新盛 辰雄君
理事
松沢 俊昭君
理事
稲富
稜人君
上草
義輝君 太田 誠一君
川田
正則
君 木村 守男君 岸田 文武君 北口 博君 北村 義和君 近藤 元次君 佐藤 隆君 志賀 節君
田名部匡省
君 高橋 辰夫君 保利
耕輔君
三池 信君
三ツ林弥太郎
君
山崎平八郎
君 小川 国彦君 串原 義直君
島田
琢郎
君 田中
恒利
君 竹内 猛君 安井
吉典
君
渡部
行雄
君 神田 厚君 寺前 巖君 藤田 スミ君 阿部 昭吾君
出席国務大臣
農林水産大臣
田澤
吉郎
君
出席政府委員
農林水産政務次
官
玉沢徳一郎
君
農林水産大臣官
房長
角道
謙一君
農林水産省構造
改善局長
森実
孝郎君
農林水産省農蚕
園芸局長
小島 和義君
食糧庁次長
中山
昇君
委員外
の
出席者
大蔵省主計局主
計官 千野 忠男君
農林水産省経済
局統計情報部長
関 英二君
建設省河川局開
発課長
広瀬 利雄君
農林水産委員会
調査室長
小沼 勇君 ――
―――――――――――
委員
の異動 七月十三日
辞任
補欠選任
島田
琢郎
君
渡部
行雄
君
日野
市朗
君
小野
信一
君 同日
辞任
補欠選任
小野
信一
君
日野
市朗
君
渡部
行雄
君
島田
琢郎
君 ――
―――――――――――
七月一日
農家経営
の救済に関する
請願
(
新村勝雄
君紹 介)(第四一四五号)
農業
に対する
各種補助金
の一律
削減反対等
に関 する
請願
(
土井たか子
君
紹介
)(第四一四六 号) 同(
武部文
君
紹介
)(第四二五〇号)
食糧自給率
の向上に関する
請願
(
横山利秋
君紹 介)(第四二〇五号) は本
委員会
に付託された。 ――
―――――――――――
六月三十日
九州西方海域
における
韓国漁船
の
操業規制
に関 する
陳情書外
一件 (第二九七号) チチュウカイミバエの
侵入防止対策
の
強化
に関 する
陳情書
(第二九八号)
林業振興
に関する
陳情書
(第二九九号)
食糧管理制度
の
拡充
に関する
陳情書
(第三〇〇号)
農林漁業金融公庫
における
土地改良資金
の貸付
限度額
の
引き上げ
に関する
陳情書
(第三〇 一号)
農林漁業対策
の
拡充推進
に関する
陳情書
(第三〇二号) 農山村の
生産基盤
及び
環境整備
の促進に関する
陳情書
(第三〇三号)
農業経営安定対策
に関する
陳情書
(第三〇四号)
水田利用再編対策
の
充実強化
に関する
陳情書外
二件 (第三〇五号)
農畜産物
の
輸入自由化反対等
に関する
陳情書外
四十七件 (第三〇六号) は本
委員会
に参考送付された。 ――
―――――――――――
本日の
会議
に付した案件
農林水産業
の
振興
に関する件(
昭和
五十七
年産
米穀
の
政府買
入
価格等
) ――――◇―――――
羽田孜
1
○
羽田委員長
これより
会議
を開きます。 この際、一言申し上げます。 先刻来、公明党・
国民会議
の
所属委員
に
出席
を要請しておりますが、いまだに御
出席
がありません。
理事会
の
協議
に基づき、やむを得ず議事を進めます。
農林水産業
の
振興
に関する件について
調査
を進めます。 この際、
昭和
五十七
年産米穀
の
政府買い入れ価格
の
米価審議会
への
諮問
及び
昭和
五十六
年産米生産費統計調査
結果について
政府
から
説明
を聴取いたします。
中山食糧庁次長
。
中山昇
2
○
中山政府委員
それでは、
昭和
五十七
年産米
の
政府買い入れ価格
の
諮問
について御
説明
を申し上げます。 「
諮問
」につきましてまず朗読申し上げます。(発言する者あり)
羽田孜
3
○
羽田委員長
ちょっと
速記
をとめてください。 〔
速記中止
〕
羽田孜
4
○
羽田委員長
再開します。
中山食糧庁次長
。
中山昇
5
○
中山政府委員
昭和
五十七
年産米
の
政府買い入れ価格
の
諮問
について御
説明
を申し上げます。 まず、「
諮問
」と「
諮問
についての
説明
」を朗読いたします。 諮 問
昭和
五十七
年産米穀
の
政府買
入
価格
について、
米穀
の
需給
の
均衡
を図るための
対策
が行われている
需給事情
に即応して
生産費
及び
所得
を考慮して
決定
することにつき、
米価審議会
の
意見
を求める。
昭和
五十七年七月十三日
農林水産大臣
田澤
吉郎
次に、「
諮問
についての
説明
」でございます。
米穀
の
政府買
入
価格
は、
食糧管理法
第三条第二項の規定により、
生産費
及び
物価
その他の
経済事情
を参酌し、
米穀
の再
生産
の確保を図ることを旨として定めることになっており、その
算定
については、
昭和
三十五年以降
生産費
及び
所得補償方式
により行ってきたところであります。
米穀
の
政府買
入
価格
につきましては、
昭和
五十三
年産
以降その
水準
を据え置く等近年の
米穀
の
需給事情
を考慮した
決定
を行ってきたところであります。また、一方で
水田利用再編対策
及び
米消費拡大対策
を中心とする
各種施策
を通じて
米需給
の
均衡
を回復するための
努力
が続けられております。 しかしながら、最近の
米需給
の
実情
は、昨年及び一昨年の
冷害等
の
影響
による米の減産にもかかわらず、
基調
としては、米の
生産力
が高い
水準
にある一方で
米消費
の減退がなお引き続いており、
過剰傾向
は強まってきております。また、米の
管理
に係わる
財政運営
も、
国家財政
が深刻な
状況
にある中で、極めて困難な局面に直面しております。 今後の米の
管理
におきましては、以上のような
事情
に対処し、
米需給
の
均衡
の回復に一層努めるとともに、各般の面にわたり
合理化努力
を強めていく必要があるものと
考え
られます。 一方、最近の
稲作経営
の
実情
をみますと、
稲作
の
生産性
及び
収益性
において
作付規模
により大きな差がみられるようになってきております 一方、
兼業化
の
進展等
に伴い、
稲作所得
に
収入
の多くを依存しないような
農家
が増えてきているという
状況
にあります。 本
年産米穀
の
政府買
入
価格
につきましては、以上の
事情
にかんがみ、
現下
の
米穀
の
需給事情
に即応し、
生産費
及び
所得補償方式
により
算定
することとしてはどうかということであります。 次に、「
昭和
五十七
年産米穀
の
政府買
入
価格
の
試算
」について御
説明
を申し上げます。 まず、この
算定
の基本的な
考え方
といたしましては、従来
どおり生産費
及び
所得補償方式
によることといたしまして、
対象農家
の
平均生産費
につきまして、
物財
、
雇用労働費等
実際に支払う
費用
につきましては、
生産費調査
結果を最近の時点まで
物価修正
をいたしますとともに、
自家労働部分
につきましては
都市均衡労賃
で
評価
がえをし、この
評価
がえ
生産費
を
平均
単収で除して、求める
価格
、いわゆる庭先での米の
価格
でございますが、これを
算出
いたします。なお、
都市均衡労賃等算定要素
の
とり方
につきましては、前年と同様の
やり方
によっているところでございます。 次に、
対象農家
の
とり方
につきましては、従来と異なり、二通りの
考え方
をとって
算定
をいたしております。 「
昭和
五十七
年産米穀
の
政府買
入
価格
の
試算
」という資料をごらんいただきたいと思いますが、その一ページの上から六行目くらいのところに(1)というのがございます。 これは、「
対象農家
を
生産費
の低いものからのその
累積生産数量比率
が
価格決定年
の
米穀
の
需給事情
を
基礎
として定める
比率
になるまでのものとした値」でございまして、従来から、
米価算定
に
当たり
ましては、
生産費
の全体の
平均
ではございませんで、
需給事情
を反映して、コストの安いものから順に並べまして、その
累積数量
が一定の
比率
になるところまでのものをとってきておるところでございます。 この
比率
といたしましては、従来は実績出回り
数量
に対する必要出回り
数量
、具体的に申しますと
予約限度数量
でございますが、この
比率
をとって
算定
をしてきました。ただ、この従来とってまいりました
やり方
によりますと、
生産調整
が所期のとおり行われますと、出回り量と
必要量
との
割合
が同じということになりまして、
比率
が一となりまして、結果的には、米の
生産調整
をやっておりますという潜在的な
需給ギャップ
が
拡大
をしていきまして、さらにその
生産調整
を
強化
していかなければならないというような
事情
が
米価算定
に
当たり
まして全く反映をされないというような問題があるわけでございます。したがいまして、最近のように潜在的な
需給
の
ギャップ
というのが
拡大
をしておりまして
生産調整
を強めねばならないというような
状況
のもとでは、そこで適切な
米価
の
算定
を行いますためには、この
比率
として
潜在需給ギャップ
をそのまま反映させる必要があります。 その場合にどういう
指標
をとるかということでございますが、この
指標
といたしましては、
潜在生産量
に対する総
需要量
の
比率
、本年はこれをとることといたしたわけでございます。五十七
年産米
に即して申し上げますと、
潜在生産量
は千三百七十五万トンでございます。これに対しまして、総
需要量
は、二十五万トンの
在庫積み増し
を加えますと、千五十五万トンに二十五万トンを足しまして千八十万トンになるということでございますので、この
比率
七九%というのをとっております。 こうした
考え方
によります
算定値
は、求める
価格
に
運搬賃
を加えましたいわゆる
政府
の
指定倉庫渡し
の
価格
になるわけでございますが、
基準価格
で六十キログラム
当たり
一万七千四百七十八円ということになりまして、昨年に比べまして
基準価格
で九円の
引き下げ
、率にいたしまして〇・一%の減というようなことになるわけでございます。 次に、
算定
の(2)でございますが、
算定
の(2)は「
対象農家
を、
水稲作付面積
一ヘクタール以上のものとした値」でございます。 最近の
稲作経営
の
実情
を見ますと、
稲作
の
生産性
及び
収益性
におきまして、
作付規模
によりまして非常に大きな差が見られるようになってきておりますし、また一方、
兼業
の
進展等
に伴いまして
稲作所得
に
収入
の多くを依存しないというような
農家
がふえてきております。 たとえば、
水稲
の
作付規模
が一ヘクタール
未満
の層では、
農家
総
所得
に占める
稲作所得
の
割合
というのが
稲作
の
単一経営
で見ましても一割に満たないとか、あるいは
農外所得
だけで
家計費
を賄えるというような
状況
にございますし、また、
生産費
の面でも、一ヘクタール
未満
の層といいますのは、
農家
が外へ支払ういろいろな
費用
でございますが、支払った
地代
でございますとか支払った利子を加えましたものでも
米価水準
を上回っておりますが、そういうことにもかかわりませず
生産
が継続されておるという
状況
にございます。 また、
農地
の
権利移動
の面で見ましても、一ヘクタール
未満層
というのが
農地
の出し手となっておりまして、こういうことからいきますと、
作付規模
が一ヘクタール
未満
の
規模
の
農家
といいますものは、
米価
に対する
関係
の度合いにおきまして一ヘクタール
規模
以上の
農家
に比べまして薄いのではないかというふうに
考え
る次第であります。 したがいまして、このような
稲作経営
の実態から見ますと、
現下
の
過剰基調
のもとで補償すべき合理的な
価格
の
水準
を求めるに
当たり
ましては、これら一ヘクタール
未満
の
農家
を
算定
の
対象
から除外して得られる
水準
というのを求めることがより合理的であると
考え
たものでございます。 こうした
考え方
でいたしますと、
水稲作付規模
一ヘクタール以上の
農家
をとり
算定
をいたしますと、
基準価格
で六十キログラム
当たり
一万七千十円ということになりまして、昨年に比べ四百七十七円の
引き下げ
、二・七%という
引き下げ率
になるわけでございます。 以上の二つの
算定値
と、それから昨年の
基準価格
が一万七千四百八十七円でございましたので、これらを勘案いたしまして、
基準米価
は前年と同額の一万七千四百八十七円といたしたというのが
政府試算
の内容でございます。 それから、この
基準価格
の案に基づきまして、
ウルチ玄米
一−五類、一−二等
平均
、
包装込み生産者手取り価格
、いわゆる
基本米価
というのを
算出
をいたしますと、これが二ページの3というところでございまして、それの一番
最後
にございますように、いわゆる
基本米価
が一万七千七百五十七円ということになりまして、これは昨年の一万七千七百五十六円に比べて一円の相違がございまして、一円の
引き上げ
となっておりますが、これは
包装代
が前年から一円上がったことによるものでございます。類別、
等級別
の
価格
は、三ページにございますように、これは五十六
年産
と全く同様でございます。なお、
算出
の細かい
基礎
につきましては、前年の
やり方
と同じでございますので、省略をさせていただきます。
最後
に、後ろから二ページを見ていただきますと、「過去の
米価
と諸
要素
との
関係
からする
試算
」というのがございます。これは、過去におきます
米価決定
の
要素
といたしまして、過去の
物価
なり
賃金
あるいは
生産性
や
需給事情
の
変化
と
決定
されました
米価
との
関係
を計数的に求めまして、この
関係式
から本年の
米価水準
を
試算
したものでございます。
生産者米価
を
決定
する場合に考慮すべき
要素
といたしましては、
物価
なりあるいは
賃金
なり、そういうものの
変化
のほかに、
生産性
の
指標
としての単収、それから
需給事情
、潜在的な
需給ギャップ
というものがございますので、これらをとりまして、この
関係式
を使いまして、本年の
物価
の
値上がり
あるいは
賃金
の
値上がり
、単収の
動向
、それから
潜在需給ギャップ
を入れて計算をいたしますと、2のところにございますように、本年の
米価
の
理論値
は昨年の
決定米価
よりも〇・七%
引き下げ
となるということに相なるわけでございます。これは検討ということで、
検証材料
ということで出したわけでございまして、これから見る限り、さきの
試算
の
価格
といいますものはおおむね妥当な
水準
ではなかろうかというふうに思うわけでございます。 以上で
説明
を終わります。
羽田孜
6
○
羽田委員長
次に、
関統計情報部長
。
関英二
7
○
関説明員
五十六
年産米
の
生産費
について御
説明
いたします。 五十六
年産米
の
生産費
につきましては、十アール
当たり平均生産費
で十六万五千九百九十一円、七千九百五十六円の対前年
上昇
でございまして、率にして五%でございます。六十キログラム
当たり生産費
につきましては二万三百七十八円でございまして、対前年九百八十七円、率にして五・一%の
上昇
でございます。 米の
生産費
の
費目別構成比
を見てみますと、
労働費
と
農機具費
、
肥料費
、
賃借料
及び
料金
、この四
費目
を加えますと八二%になっております。さらに、これに
農業薬剤費
、
光熱動力費
を加えますと九〇%、九割を占めております。 これらの
主要費目
の
動向
につきまして御
説明
いたしますと、まず四〇・五%を占めます
労働費
でございますが、五万五千七十五円でございまして、対前年二千三百九十四円、四・五%の
上昇
でございます。これは、十アール
当たり労働
時間は六十三・九時間と、対前年〇・八%
減少
をしたのでございますが、
労賃単価
が五・八%アップしたために、四・五%の
上昇
ということになったわけでございます。 それから
農機具費
につきましては三万八千八十円で、前年を五・一%上回りました。これは、主として自
脱型コンバイン
、
乗用トラクター
、
動力田植え機
などの
装備率
のアップなり、更新時に大型なり高性能の
機械
を入れるという
傾向
がございまして、それに伴う
償却費
の
増加
でございます。 それから
肥料費
につきましては一万八百十六円で、前年を一四・三%上回っております。この
生産費
の
調査期間
は一月から十二月まででございますが、
水稲
の
生産
に使用する
肥料
の購入時期というのはおおむね一月から五月ぐらいまでが普通でございます。その
期間
、
肥料価格
がかなり高騰をしておりまして、
物価
、
賃金調査
の結果によりますと二〇%
強価格
が
上昇
しておるのでございますが、一方、
施用量
の
減少
ということがございまして一四・三%の
上昇
ということになったわけでございます。 それから
賃借料
及び
料金
につきましては七千四百七円で、前年を八・二%上回っております。これは、
田植え
なり収穫、
調製段階
の
ライスセンター
、カントリーエレベーターというものの
作業委託
が
増加
したことと
賃借料
及び
料金
の
単価
が
上昇
した結果でございます。 それから
農業薬剤費
につきましては六千六百六円で、前年を八・六%上回っております。これは、主としまして農薬の
価格
が
上昇
した結果、それから多少
施用量
も
増加
をいたしております。 それから
光熱動力費
でございますが、四千二百三十五円で、前年を一三・九%上回っております。これは、
燃料価格
の
上昇
に加えまして、
田植え機
なりバインダー、
トラクター
のような
機械
の
装備台数
の
増加
によるところの
使用量
の
増加
の、両方の結果でございます。 それから
地代
は二万八千八百三十五円でございまして、前年を四・九%上回っております。 それから
水稲作
の
収益性
につきましては、十アール
当たり
粗
収益
は十五万四千七百九円で、前年を二・六%、金額にして三千九百七十六円上回っております。これは、主とした理由といたしましては
自主流通米
のウエートの高まりということでございます。十アール
当たり所得
、すなわち粗
収益
から
物財費等
を控除した額でございますが、これは七万二千八百二十一円でございまして、前年を一・四%下回るということの結果になっております。 以上、米の
生産費
の結果について御
説明
いたしました。
羽田孜
8
○
羽田委員長
以上で
説明
は終わりました。 —————————————
羽田孜
9
○
羽田委員長
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。
川田正則
君。
川田正則
10
○
川田委員
限られた時間でございますので、率直に申し上げたいと思います。 自民党の農振協、
農村振興議員協議会
というのがございます。
会員数
は二百数十名で、いまこの時期でありますだけに、非常に活発に行動しているわけでありますが、先般、その
会議
をやっておりました席で、先輩のある
議員
の方が、今回の
米価
というのはわれわれ
政治家
に対して
政治
とは一体何かを問われているきわめて大変なときに来ているよ、そういう発言をされたわけであります。私は、それを聞いておりまして非常に感銘を受けたわけでありますけれ
ども
、
大臣
もこの時期になりまして何度も
陳情
を聞かれていると思いますし、もう耳にたこができているかもしれませんが、今回の
要求米価
というのは、
御存じ
のように、農民の
皆さん
にとりましては本当にぎりぎりの線だと私
ども理解
をしております。従来でありますと、長年続いてまいりました
生産費所得補償方式
によって
算定
をする。これも
御存じ
のように、今回もその式でいきますと二九・二%、約三〇%になんなんとする
要求米価
になりますものを、単に
物価
と
労賃
の最近の一年間の
スライド
を見て四・三七、そういうぎりぎりの線で
要求
をしてきていたわけであります。 したがって、それを受けた私
ども
も本当に背水の陣で、これだけは何としても通してやらなければだめだ、そうしなければこれからの
日本農政
にもう大変な食い違いが出てくるのではなかろうかということでいままで
協議
をし、相当早くから行動を起こしておりました。
大臣
も
御存じ
のように、
大臣
のところにも
陳情
に上がりましたし、
大蔵大臣
、
鈴木総理
、党三役、くまなく回りました。きょうまた昼から回るわけでありますけれ
ども
、そういったときに、
けさ諮問案
は
据え置き
ということであります。そういうことについて、私
ども
も
けさ
から非常に紛糾した
会議
を重ねてまいりました。
農林大臣
も
政治家
でございます。非常に失礼な物の言い方でありますけれ
ども
、いま
大臣
でなかったら、私は恐らく
大臣
は私
ども
の先頭にたってがんばってくれているだろうというふうに
考え
ているわけでありますが、
諮問
が
据え置き
となった
段階
で、私は
農林水産大臣
のお
考え
というものをまずお聞きしたいと思うわけであります。
田澤吉郎
11
○
田澤国務大臣
生産者団体
の
要求米価
、これについては、ただいま
川田委員
から御指摘がありましたように、確かにこれまでの
生産費所得補償方式
をこちらに棚上げしまして、そして
賃金
と
物価
の
スライド方式
で
算定
された
要求
をしたということは、それなりに
一つ
の大きな
評価
はしてよろしいと思うのです。 ただ、それだけで
米価
を
決定
するのはいささか問題があるだろう、こう思いまして、私
たち
としては、いま米をめぐる
事情
をいろいろ検討した結果、結論的に言いますと
据え置き
の
諮問
をせざるを得なかったわけでございますが、その第一は、
川田委員
御
承知
のように、去年まで二カ年凶作に遭いました。しかし、それは本質的な米の
需給
にそんなに
影響
は与えなかったということ、そして、むしろ潜在的な
生産力
というものが非常に成長いたしておりまして、逆に
需要
が非常に停滞しているということで、依然として米は
過剰基調
にあるということが第一でございます。 それからもう
一つ
は、
財政再建
、いわゆる
財政
が非常に厳しい、ゼロシーリングと言われている中での米のいわゆる
管理費
の問題をどうするかという大きい課題があるわけでございますが、その中で私
たち
がいま抱えておるのが
過剰米
の処理問題でございます。これもかなり進行いたしております。それから
水田利用再編対策
、この
費用
も六十年がピークでございますので、これもかなり高まってまいります。そういう中で、米のいわゆる
管理費
を
財政
の中でつくり上げていくとすれば、大変むずかしい問題でございますので、私
たち
はできるだけ米の
需給
のバランスをとる、そして合理的な経費の
節減
を図って
管理費
の
節減
を図りたいという
考え
。 もう
一つ
は、これは
川田委員
御
承知
のように、
米作
のいわゆる
経営
の面からでございますが、いま
米作
の
生産性
だとかあるいは
収益性
というものが
作付規模
によって非常に差があるということなんですね。それで、一方では
兼業化
されることによりまして、
稲作所得
の
収入
というものの
農家所得
に占める率というのが非常に低くなってきているというような
状況
もございます。 そういうようなことを勘案いたしまして、そして米の
需給
を配慮しながら、三十五年以来採用してまいりました
生産費所得補償方式
を採用して、その上で計算した結果でございますので、私も
政治家
として、いま
農家
の
実情
あるいはこの米の
価格
をめぐるいろいろな問題についてはわからぬわけではございませんけれ
ども
、私は冷静に見て、冷静に判断してこれが妥当なものと思いまして
諮問
をいたしているような
状況
でございますので、
川田委員
の温かい御
理解
をお願い申し上げる次第でございます。
川田正則
12
○
川田委員
お気持ちとしてはわからないわけでもございませんけれ
ども
、やはり与党としても、本当にその辺は私はわかりません。特に
けさ
問題になりましたのは、
算定方式
のことであります。いままで、去年の場合特にそうでありますけれ
ども
、前年度と同様にして
算定
をしなければ、これはもう
農家
の
人たち
に
不信感
を与えるだけだということで昨年は終わったわけでありますけれ
ども
、今年もまた違う
方式
でやる、このことについては党内でも非常に強い
不信感
がございます。仮に去年と同様にやったとすると、
けさ
も発表になりましたけれ
ども
、九・四%上げるということになる。それがまた
据え置き
ということについては、とても納得できないし、
農家
の
皆さん
にも
説明
がつかない。 そしてまた、もう
一つ
強く
意見
として出ましたことは、これは
やり方
によって、最初に
据え置き
と決めてしまえば、後はもう
逆算方式
でどういう
算定
の
方式
もつくれるのではなかろうか。これに対してもきわめて強い不満が出たわけであります。ですから、私は強くそのことを感じると同時に、こういうことで日本のこれからの農政というのが果たしていいのかどうなのか、非常に疑問に思います。 ちょうど
生産調整
を始めたころでございますけれ
ども
、私の大先輩の方がいみじくもおっしゃいました。
生産調整
による土の荒廃というのは時間とお金をかければもとに戻るかもしれぬけれ
ども
、農民の心の荒廃というのは幾ら時間をかけたり金をかけても治るものでないぞということを言われたことを思い出すわけでありますが、私は、
米価
のこのいまの大事なときに、農民の
皆さん
の心を荒廃させてしまうような
やり方
はうまくないのではないか、そういうことを強く感ずるわけであります。 〔
委員長
退席、亀井(善)
委員長
代理着席〕 それから、もう時間がありませんので、もう
一つ
言わなければなりませんのは、
政府
の一部で経済の原則ということを言われます。お米が過剰だから、余るから
価格
を下げなければならぬという理由はどうしても納得がいきません。仮に企業にたとえてみましても、たとえば赤字でどうにもならない大変な国鉄のような場合に、赤字であっても、ほかの三公社五現業、あれと同じようにベースアップをしなければならぬのは、私は庶民的な感情からいきましても、どうも経済の原則にそちらの方がむしろ当てはまらないのではなかろうかという気がしてならないわけでございます。 そんなことで、一部では公務員のベースアップと
農家
のこの
米価
とは趣旨が違う、性格が違うという
意見
もあるようでありますけれ
ども
、私
ども
は、素直に
考え
てみた場合に、どうしても違うものとは思えないわけであります。ですから、今回
米価
が上がらなければ、これはもうそちらの方に
影響
することも当然でありますし、また、
最後
までがんばるわけでありますけれ
ども
、うまくいかない場合は
米価
を決める時期をおくらせてもやむを得ないのではないかという
意見
も相当強くあるわけであります。しかし、きょう米審が始まった第一日目でありますから、その経緯というものは十分見守っていかなければならないわけでありますけれ
ども
、今回はとにかく自由民主党としても背水の陣で、ぎりぎりの線で農民の
皆さん
の心を荒れ果てさせないためにもがんばる決意でございます。 同時に、与党のあり方についても今回ずいぶん反省をされまして、従来の与党というのはどうも
政府
を守ることばかりに固執をしていた嫌いがあるようでありますけれ
ども
、それはそうではなくて、むしろ
政府
の進むべき方向に過ちのないように持っていくということが本当の与党のあり方だろうと確信をするわけでありまして、
最後
まで私
ども
もがんばります。もうお答えは結構でございますが、どうか
農林水産大臣
も
最後
までがんばっていただきたいと思います。 時間が参りましたので、これで終わりにいたします。
亀井善之
13
○亀井(善)
委員長
代理 次に、安井
吉典
君。
安井吉典
14
○安井
委員
先ほど
食糧庁次長
から御
説明
のありました内容について、初めに二、三お尋ねをしてまいりたいと思います。 昨年の
方式
で
試算
した場合はどういう数字になるのか。それから、一昨年の
方式
で計算したらどういうことになるのか。すぐお答え願えればすぐ、あるいは時間がかかれば後でも結構です。
中山昇
15
○
中山政府委員
昨年の
米価算定
と同様の
やり方
で計算いたしました場合は九・四%の
引き上げ
になるということでございます。 一昨年の
方式
につきましては、ただいまちょっと手元にございませんので、後ほどお答えさせていただきたいと思います。
安井吉典
16
○安井
委員
ありますか。
中山昇
17
○
中山政府委員
一昨年の買い入れ
価格
の
試算
の方法と同様の方法によりまして
算定
をいたしますと、二〇・六%の
引き上げ
に相なります。
安井吉典
18
○安井
委員
それから、一ヘクタール
未満
の
農家
の
生産費
は算入していないわけでありますが、念のため、全
水稲作
付
農家
の数と
算定
に入った一ヘクタール以上の
農家
の数、その
比率
をちょっと教えてください。
中山昇
19
○
中山政府委員
水田の全
農家
の数は約二百六十万戸でございます。それから、一ヘクタール
未満
の販売戸数のシェアは、五十六
年産
でございますと七九%の戸数になっておるわけでございます。それから、販売量で見ますと約四割でございます。
安井吉典
20
○安井
委員
中核
農家
を主として
考え
ていくという方針を初めお持ちだったようでありますが、一ヘクタールというのを中核
農家
というふうに
考え
ておられるわけですか。
中山昇
21
○
中山政府委員
先ほど
諮問
の
説明
のときに申し上げましたように、私
ども
一ヘクタール以上のものをもちまして中核
農家
というふうには
考え
ておりません。私
ども
米価
を
算定
いたします場合に、
米価
に応じまして
生産
が継続をされるということが、一ヘクタール
未満
の層でございますと、
米価
のいかんを問わず、
生産費
のいかんを問わずその
生産
が継続をされるというようなことがございますので、そういう層はやはり
米価算定
の場合には
基礎
とするのに適当ではないのではないかということで除外をしたということだけでございまして、一ヘクタール以上の
水稲作
付
農家
がそのまま中核的な
農家
というふうに私
ども
考え
てこういう
算定
をしたわけではございません。
安井吉典
22
○安井
委員
いまお話がございましたが、この第一の
方式
にしても第二の
方式
にしても、単に
米価
を据え置くための逆算で出された式だとしか思えないわけであります。あとのその他のファクターは大体いままでと同じようなかっこうでやっているようですね、私も時間がありませんからまだ全部見ておりませんけれ
ども
。ただ、従来までと同じような
方式
なんだが、
対象農家
というのを限定することによって
米価
を下げようという、その意図だけが働いた
逆算方式
だと言ってもいいのではないかと私は思います。 だから、この
方式
は一ヘクタールでも一・二ヘクタールでも何でもいいんですよ、あなたの方は。ただ現在よりも下がった数字が出さえすればいいんですよ。もうそういう意図が働いているんだと私は思わざるを得ないわけです。中核
農家
ということを念頭に置いてやったという、そういう理論的根拠があればまた別ですよ。そうじゃないんじゃないですか。ただ一ヘクタールぐらいにしたらいまのこの数字のように計算が四百七十七円下がるのだ。そこが目安でやったにすぎない。あるいはまた、その一
方式
のうちの七九%の数字の出し方だって、どうもそういう気がしてならないわけであります。
大臣
、いずれにしてもこれは毎年毎年算式が変わって、去年の
方式
でやれば九一四%アップ、おととしのでやれば二〇・六%アップ、ことしはまた算式を変えて
引き下げ
。こんなばかげた
やり方
を繰り返している限り、農政に対する農民の不信は高まるばかりではないかと思います。どうですか。
田澤吉郎
23
○
田澤国務大臣
川田委員
にお答えしたのを繰り返すのでございますが、御
承知
のように、米が
過剰基調
にあるということ、あるいは
財政
の面が非常に厳しいということ、その中で
水田利用再編対策
だとか
過剰米
の処理をしていかなければならない。さらには、いま御指摘になりましたが、
農家
、
稲作経営
の実態はやはり
作付規模
によってかなりその
生産性
だとかあるいは
収益性
というものに
変化
がある。ことに、
兼業化
が進むに従って、いわゆる
稲作所得
の
収入
が、それで支えられている
農家
というものは必ずしも多い
状況
じゃないというような
状況
をも判断いたしまして、それで今回この
算定方式
を決めたわけでございますが、安井
委員
御
承知
のように、食管法によりますと
生産費
及び
物価
その他の経済的
事情
を参酌して
米穀
の再
生産
を確保することを旨とするということになっているわけでございますので、基本的には具体的な計算
方式
というのはない。具体的にはあらわれていないわけでございます。しかし、三十五年度以来いわゆる
生産費所得補償方式
というものはそのときの米の
事情
を参酌しながらそれぞれ進められてきているわけでございますので、そういう点では、これまでのこの
生産費所得補償方式
を基本として
算定
されたものだということを御
理解
いただきたい。 問題は、いま日本
農業
の置かれている現状というのは、もちろん
価格
も重要な
要素
でございますけれ
ども
、それと同時に、もう
一つ
は、いわゆる食管法を堅持しながら、あるいはまた
水田利用再編対策
を基本とした
生産調整
を進めながら、いかに国民のニーズにこたえる政策をつくり上げて、たくましい日本
農業
をつくるかということにあると私は思いますので、そういう点に力を入れた
一つ
の
方式
であるということを御
理解
いただきたいと思うのでございます。
安井吉典
24
○安井
委員
算式の細かな問題についてまだ時間があればと思ったのですが、何しろ短い割り当てですから、後でまた質問が続くと思いますから、私は細かく触れませんが、
大臣
がいま御答弁になって、ずいぶんいろいろなことを勘案したとおっしゃるが、
一つ
大事な点を言い忘れてはいませんかと私は言いたいわけであります。 それは、たとえば
生産費
の問題です。 先ほど統計情報部の方から御
説明
がありましたね、
生産費調査
。昨年の米の
平均生産費
は二万三百七十八円ですよ。同じこの席で、統計
調査
の方では去年はこれだけかかりました、二万円以上ですよ、こう言いながら、出てきた
米価
は去年と同じ、
据え置き
ですよ。これでだれが納得しますか。特に最近の
状況
から言いますと、三ヘクタール以上の大きな
農家
を含めて、米の
生産費
は全部現行
米価
を上回っていますよ。こんな異常なかっこうが今日出てきました。昔は大
規模
農家
は余裕があったのですが、去年からみんな
価格
よりも
生産費
が高いという
状況
があらわれているじゃないですか。こういう大事な点の勘案をお忘れになっているのではないか。 特に、
稲作
の
収益性
はどんどん下がるばかり。十アール
当たり
五十三年度九万二千円台から、五十六
年産米
では七万三千円台に下がっていますね。
所得
率は五〇%を切って、四七%というのが去年の数字であります。
稲作
農家
の
所得
にいたしましても、五十二年度は一千万円ぐらいあったものが、その半分に減ってきています。とりわけそのことは中核
農家
への打撃が大きいということではないかと思います。零細
農家
の方を切ってしまえば中核
農家
が助かるんだという論理は、実は当たっていないのですよ。中核
農家
の方が先にまいってきているという
状況
があるじゃないですか。だから、若い後継者がどんどん農村を去っていく。 私の地元の農民連盟の青年部の諸君が毎年
生産費調査
をやっているわけで、その若い諸君がこれからさらに営農を推し進めよう、そういうような気持ちで毎年の
生産費調査
ではじき出した数字からは、六十キロ
当たり
二万五千二百八十五円はなければやれません、こういう数字が出てきているという実態も、私は
一つ
つけ加えて申し上げておきたいと思います。 こういう状態が農村の購買力を
減少
させて、今日景気が後退し、内需の
拡大
が必要だ、こういうところにまた
据え置き
という形。
据え置き
というのは、去年と同額じゃないのですよ。去年よりも諸
物価
の
値上がり
だけは実質
所得
が下がったということですから、これは大変なことなんです。あなたはいま
据え置き
と出したけれ
ども
、実際は
農家
の人は下がったとしか意識しないわけですよ。だから、これは今日の景気の
状況
にマイナス
要素
になることも間違いないと思うわけであります。 さらに、
大臣
は食管法の三条に基づいて、こう言われますけれ
ども
、あの条文をずっと
最後
まで読んでごらんなさい。
生産費
とか
物価
その他の
経済事情
を参酌して、そういうような中で、
最後
に「
米穀
ノ再
生産
ヲ確保スルコトヲ旨トシテ」こう書いてありますよ。すべての問題を処理して、そして再
生産
の確保を旨として決めるというのですよ。だとすれば、私が言ったような
生産費
や
所得
状況
、そういうようなものを無視した決め方というのは、これはまさに食管法違反ではないですか。私はそうとしか言いようがありません。どうですか。
田澤吉郎
25
○
田澤国務大臣
先ほど申し上げましたように、
農家
の
稲作
の
経営
の面から
考え
てみますと、安井
議員
御
承知
のように、
生産性
だとか
収益性
というものはその
作付規模
によって非常に差ができているということは御
理解
いただけると思うのです。しかも、
兼業
農家
というのは全体のかなりの部分、七〇%を占めるようになってきている現状ということを
考え
ますと、これからの
農業
というものを本当に活気あるものにしていくためには、食管法を維持しながら、堅持しながら食管制度というものを堅持してまいらなければなりませんけれ
ども
、同時に、いま、
価格
よりも、将来
農業
が安定しなければならない、将来の安定のために
努力
をしていかなければならない非常に重要なときにあろうと私は思いますので、そういう点で、私は、いまこそ
農業
にとって一番重要な時期じゃないだろうか、かように
考え
ますのでこういう
算定方式
にいたしたわけでございまして、決して再
生産
というものをこっちに置いて計算したというわけじゃございません。常にその点も配慮しながらしているということを御
理解
いただきたいと思うのでございます。
安井吉典
26
○安井
委員
再
生産
を配慮してないからこういう数字が出るので、配慮していたらこんな数字にならないですよ。 それじゃ伺いますけれ
ども
、今度のこの
生産費調査
の中でもはっきり書いてありますよ。
農機具費
は五・一%アップ、
肥料
代は一四・三%アップ、
農業薬剤費
は八・六%アップ、ガソリン代などの
光熱動力費
は一二・九%アップ。さっき部長が
説明
しました。これだけ上がっているじゃないですか。そして
農家
のふところに入るお金は同じだということになったら、これはおかしいじゃないですか。 じゃ、
据え置き
なら、少なくも
物財
費、こういったようなものは去年よりも上げない、あるいは下げますというお約束ができますか。
田澤吉郎
27
○
田澤国務大臣
物財
費その他については、私はできるだけ抑制をしてまいるという方向に
努力
をいたします。
安井吉典
28
○安井
委員
何か具体的な方策はありますか。
小島和義
29
○小島
政府
委員
農業
資材につきましては、農産物
価格
のように私
ども
は直接
価格
を
決定
するという立場にはないわけでございます。ただ、御
承知
のように、
肥料
、農薬、
農業
機械
等の
価格
につきましては、最大のユーザー団体でありますところの全農が各メーカーと取り決めます
価格
が市場の支配的な
価格
になっているという
実情
にございます。したがいまして、
価格
取り決めに
当たり
ましては、特定の
肥料
につきましては行政関与の道はございますけれ
ども
、そのほかのものにつきましても、
生産者団体
に対する指導を通じまして極力抑制するようにいたしたいと思います。 また、
肥料
などの
生産
所管の行政機関であります通産省に対しても、企業の体質
強化
、合理化を通じましてできるだけ
生産
企業がコストを低くいたしまして
農業
に供給できるように要請してまいりたいと思っておるわけでございます。 五十六年度の
生産費
につきましては、御
承知
のように五十四年、五十五年が第二次石油ショックでございまして、石油の
価格
が三倍近くまで
値上がり
した時期でございます。
肥料
、農薬とも原材料及びエネルギー源としまして石油に大変多くを依存いたしております中で極力抑制に努めまして、
肥料
の方は一五%前後の
値上がり
になりましたが、農薬等につきましては八%前後ということで、極力抑制いたしました結果、このような
価格
水準
に相なっておるわけでございます。幸いにいたしまして石油の
価格
水準
も落ちついてまいりましたので、今後はこのような事態を繰り返すことはなかろう、かように
考え
ております。
安井吉典
30
○安井
委員
余り頼りになるようなお答えではないようでありますけれ
ども
、しかし、これはやってもらわなければいけませんね。できるだけひとつやってもらわなければいかぬが、しかし、どうもそんな頼りにならないようなお答えがあるから
据え置き
でもいいなどという論理にはなりませんよ、これはどう
考え
ても。 もう
一つ
、ちょっと伺っておきたいのは、
自主流通米
に対する助成金、これはもっと後の時期で普通は決めているのですけれ
ども
、今度は決めてしまって、それは
引き下げ
る方向でやりたい、こういう御意向を農林水産省はお持ちだという話が伝わっておりますが、いかがですか。
中山昇
31
○
中山政府委員
自主流通米
につきましては、これまで
政府
米に非常な売買逆ざやが存在をしておるということでございましたので、自主流通が
政府
米に比べましてハンディキャップを持っておるということがございました。そこで、その円滑な流通を確保するという趣旨で、各種の奨励金を出しまして助成をいたしたわけでございます。最近は、こういう助成の効果もございまして、全体の量の中の四割近くが自主流通へ流れるというようなことになってきたわけでございます。 この自主流通の助成の取り扱いでございますけれ
ども
、良質米奨励措置というようなものの
拡充
もございまして、この自主流通助成の金額、
財政
負担額というのは五十六年度の見込みで約千四百億を超えるような額ということになっておりますし、また、
政府
米の売買逆ざやというものも漸次縮小をいたしてまいりましたので、だんだんと
政府
米の
財政
負担と
自主流通米
の
財政
負担とが接近をしてまいりまして、場合によりますと自主流通の方がむしろ
財政
負担がかかるというような
状況
もないでもないわけでございます。 また、それとともに、先ほ
ども
生産費
の
調査
のときにお触れになりましたけれ
ども
、
自主流通米
の取引
価格
あるいは
生産
者の手取り
価格
というものもまた
上昇
を来しておりまして、こういうような
状況
を
考え
ますと、五十七
年産米
の自主流通助成につきましては、自主流通のこういうような実態やあるいは
政府
米の
財政
負担との
関係
その他を踏まえまして、自主流通制度というのがこれから健全な発展を図るように、そういう見地でひとつ初心に立ち返りまして検討をする、見直しをする必要があるのではないかというふうに
考え
ておる次第でございます。
安井吉典
32
○安井
委員
この問題は、いまのようなお答えは大変重大な結果を呼ぶと思います。私は、後の質問もありますから、これは私
ども
の後の
委員
に譲ります。 そこで、次に、
米価
の問題に対して外部からさまざまな圧力がかかっている問題について、二、三取り上げてみたいと思います。
一つ
は、臨時行政
調査
会が第一部会報告の中で「重要行政施策の在り方」として農政の問題を取り上げ、いま七月末を目指して取りまとめ作業が行われているわけでありますが、恐らくこの第一部会報告と同じようなかっこうで結論が出るのじゃないかと伝えられております。 たとえば、食管制度の問題については、このままでいけばもうほとんど食管制度はその機能を失うのではないかとさえ思われるような中身になっています。売買逆ざやの問題もまた去年に引き続いて書いていますけれ
ども
、売買逆ざやだって、一ころかなりあったのが最近はぐっと減っていますよね。それにもかかわらず、またなくせと言う。これは、なくなってしまえば食管制度はいらないのですからね。あるいはまた、
自主流通米
の問題は、いまの御
説明
も大体この線に沿っているような気がするのですけれ
ども
、助成の縮減合理化を図り、量的な
拡大
を図れとあったり、中核
農家
のコストと
所得
を基準とする方向で
米価
を決めなさいとか、何かこう先ほど来の食糧庁あるいは
農林水産大臣
の
説明
は、大体臨調の方針でやっているのかとさえ思わざるを得ないような中身になっているわけであります。 そのほかいろいろありますけれ
ども
、こういうようなものを農林水産省は容認してこれからの
米価
を初め農政に対応していこうというおつもりなんですか。
大臣
、どうですか。
田澤吉郎
33
○
田澤国務大臣
第二臨調の基本答申はこれから出てまいることになりますが、私
たち
はできるだけそれは尊重していかなければならないというのが内閣としての方針でございます。しかしながら、ただいま御指摘のように、いわゆる食管制度について私
たち
は堅持していかなければいけない。逆ざやはある程度解消してまいらなければなりませんけれ
ども
、いわゆるコスト逆ざやというのは、食管制度がある限りこれは堅持してまいらなければならない、かように
考え
ております。 また、
農業
は過保護だというような
考え方
等もいろいろ指摘しておりますが、私は、
農業
の持ついわゆる体質から、これまでいろんな補助金、奨励金等で政策を進めてきたこの体質はやはり急激に変えるわけにはまいらない
状況
にございますので、そういう点では、私
たち
の主張はできるだけ主張して今後の農政に大きな前進をもたらしたい、かように
考え
ております。
安井吉典
34
○安井
委員
前進する答申ならいいのですけれ
ども
、後退の中身がかなり多いものですから、私は心配しているわけであります。
大臣
もいろんな
大臣
がおられるけれ
ども
、臨調の答申に徹底的に抵抗する構えを見せております
大臣
もいますね。ひとつ
農業
や農民にマイナスになるような答申には、やはり
農林水産大臣
はきちっと反対なら反対と対応してもらわなければならぬと思いますが、重ねて、どうですか。
田澤吉郎
35
○
田澤国務大臣
農政の基本を守るために、農林水産省としての主張はあくまでも主張してまいりたいと
考え
ております。
安井吉典
36
○安井
委員
それはもっとがんばってくださいよ。 それからもう
一つ
は、外からの圧力として、農産物の輸入自由化のアメリカやEC等からの強要とでも言うべきものがあります。この間うちのやりとりは、農林水産物については一応かすり傷程度で過ぎて、しかし十月以降に問題は持ち越されているということであります。ですから、それをきちっとはねのけなければ日本の
農業
や農民の将来はないのだと私は思わざるを得ないわけであります。 ところで、七月五日付の朝日の記事で食糧問題の企画記事があり、これは十一面に載っているものですから私も気がつかないで、きのう言われて初めて読んでみますと、これはかなり大事な問題ではないかと思うわけであります。 その内容は、五月のOECD閣僚
理事会
に
出席
したアメリカのブロック通商代表、この人から櫻内外務
大臣
に書簡が渡されました。その書簡の中には、農産物は一部でも自由化せよという内容を含めて細かな品目にわたって市場開放
要求
をするという長文の本文があり、そして追って書きでは、自由化第二弾を発表するときには、日本
政府
は鈴木首相の宣言文もつけなさい、その中では日本の姿勢を世界に宣言する、つまり「輸出は善、輸入は悪という
考え方
からの脱却」ということを世界に宣言してください、こう書いてある手紙であります。ほかの国、アメリカの官僚から日本の総理
大臣
にこうしてくださいという内容まで含めた、その案文まで加えた手紙というのは、私は問題だと思うわけであります。 しかも、もっと問題なのは、このブロック書簡というのは、実は日本の通産省がこの案文をつくった。これは、どうも官
房長
やらあるいは局の次長やらの発案だというのでありますけれ
ども
、ブロック書簡の内容を通産省でつくって、それを通産省で英訳をして、女の通訳官だそうですけれ
ども
、そして栗原審議官がアメリカに行ってUSTRの幹部と会って極秘裏に手はずを進めてきたものだ、こういうわけであります。アメリカから来るのもおかしいけれ
ども
、しかし、それをつくったのが日本の通産省の官僚で、向こうにやって、こういう手紙を日本の外務省の方におまえさんの方から出しなさい、そうすればいまの貿易摩擦の問題はうまくいきますよ、根回しというのはこういうのですかね。 貿易摩擦を解消するためには農産物の自由化さえすればいいんだと通産官僚は骨の髄まで
考え
ているのかもしれませんけれ
ども
、自分だけで
考え
ているならまだましですが、それをアメリカに根回しをして手紙をよこさせるなどという、そういうあり方を許しておいていいのかということですよ。これは、日本の主権国家のあり方についてのきわめて重大な問題になるのではないかと私は思いますから、別な機会に取り上げなければならないと思います。しかし、きょうは
大臣
に対して、このようなあり方は私は許されないと思うのだが、
大臣
はどうお
考え
なのか。そして、この点については、農林水産省としても、私の方もちゃんとしますけれ
ども
、やはりきちっとお調べおきをいただきたいと思います。どうですか。
田澤吉郎
37
○
田澤国務大臣
三月の日米貿易小
委員会
以来数回にわたって日米間の農産物の
協議
を進めたのでございまして、その間にいろいろな問題がございました。しかし、最終的に五月二十八日、農林水産省が窓口で
協議
を進め、窓口で結論を得て、第二弾
対策
のための合意が成り立ったということは高く
評価
してよろしいと私は思うのです。 いま御指摘のような新聞等を私も見ました。それは、かつては外務省あるいは通産省がそれぞれの意向でアメリカにアプローチしたこともあったかもしれません。しかし、いまの
段階
では、日米農産物交渉については農林水産省が窓口で、農林水産省が責任を持って交渉に当たるということに相なっておりますので、その点、御
理解
いただきたいと思うのでございます。 今後、私
たち
は、十月の牛肉、柑橘を含めて、他の農産物の
協議
を進めてまいりますけれ
ども
、アメリカから自由化の要請はあるかもしれません。しかし、私
たち
は、日本の
農業
の発展を維持するため、あるいは食糧安全保障の面から、あくまでも日本の
農林水産業
の実態を
説明
する、あるいはまたいままで農産物市場開放の措置はずいぶんやっておりますので、それを
説明
いたしまして、
理解
を得て、そして自由化に手を染めずに措置ができるように
努力
をいたしたい。しかも、先ほど申し上げましたように、農産物についての交渉はあくまでも農林水産省の責任においてこれを交渉し、結論を得るということでいままでもまいりましたし、今後もまいりたい、かように
考え
ております。
安井吉典
38
○安井
委員
この問題についても、ひとつちゃんとお調べおきいただきたいと思います。 そしてまた、この中にもありますけれ
ども
、たとえば「国際化に対応した
農業
問題懇談会」の席で、ソニーの井深名誉会長は、
農業
はむしろそっくり東南アジアへ移した方がいい。日本の
農業
はやめてしまえばいいというわけですね。競争力を失ったものを国内に抱え込んでおくことは国民的な損失である、計算すると、
農家
には農産物をつくってもらうより金を渡して遊んでいてもらった方が得だ、大体
農業
と工業とでは単位面積
当たり
の
生産性
で千五百倍もの大きな開きがあると発言している。それはそうかもしれませんね。しかし、このような発言があって、これが財界の底流なのですよ。その財界の底流が臨調にもそのままずっといっている。つまり、いまの農産物の自由化
要求
と臨調の答申とはそこでつながっているのですよ、日本の経済界の基本的な
考え方
で。私は、そのことを明確にしない限り、
農業
をしっかり守る道というのは開かれないのではないかと思うわけであります。 時間が大分なくなってまいりましたから、この問題は一応そういう指摘だけにとどめておきますけれ
ども
、
農業
をめぐる外からと内からとの圧力に対していかに耐えてそれを切り抜けていくかということが最大の問題だということを、ひとつ
農林水産大臣
以下農林水産省の幹部の
皆さん
は肝に銘じておいていただきたいと思います。 あと、備蓄の問題だとかいろいろありますけれ
ども
、備蓄のことだけちょっと聞いておきます。 農林水産省の
説明
によりますと、五十八
米穀
年度への持ち越しは、ことしずっとやってきて供給量千百二十万トン、
需要量
千六十万トンで、差し引けば六十万トンは来年に回すことができる、こういう御
説明
を聞きました。さあ、その六十万トンというのは
政府
米なのか
自主流通米
なのか、それとも
農家
手持ち米なのか。これは合計ですからね。それはどれでお
考え
なんですか。その点を伺います。
中山昇
39
○
中山政府委員
本年の米の
需給
につきましては、先生御指摘のように、昨年の十一月一日の持ち越しが九十一万トンでございまして、国内の
生産
量が千二十六万トン、
需要量
が五十七
米穀
年度で約千六十万トンということでございますから、ことしの十月末に約六十万トンの持ち越し量があるということになるわけでございます。九十一万トンと申しますのは
政府
の在庫でございまするけれ
ども
、これは恐らく六十万トンと申します本
米穀
年度末の在庫も
政府
で持ち越せることになるのではないかというふうに思っておるわけでございます。
安井吉典
40
○安井
委員
それにしても、月
需要量
は六十万トンから六十五万トン要るのでしょう。そうすると、持ち越し一カ月あるかなしかというようなことでは、二百万トン備蓄などというかつての計画もありましたけれ
ども
、たとえそれに届かなくたって、そんなので大丈夫なのかということをみんな心配するわけですよ。どうですか。
中山昇
41
○
中山政府委員
ただいま申し上げました約六十万トンの備蓄と申しますのは、
政府
米の持ち越しということになりますと、一カ月間の
政府
米の
需要量
というのは約三十万トンでございます。したがいまして、そのほかに自主流通があるわけでございますから、自主流通を除きました
政府
米の
需要量
一カ月
当たり
約三十万トンということからいたしますと、二カ月分の古米の持ち越しがあるということになるわけでございます。 さらに、今
年産米
につきましては、五十五、五十六年と二年続きました不作の
影響
等を配慮いたしまして四万六千ヘクタール転作目標面積を減らしましたことによりまして、ことし平年作でございますれば、来
米穀
年度末の来年十月三十日には約九十万トン程度の持ち越しができるというふうに
考え
ておるわけでございまして、そういうことからいたしましても、本年の米の
需給
には私
ども
心配を持っておりません。
安井吉典
42
○安井
委員
備蓄の問題はどうですか。
中山昇
43
○
中山政府委員
備蓄ということにつきましては、ただいま農政審議会でも御議論をいただいているところでございますが、私
ども
、従来、先生おっしゃいましたような約二百万トンの回転備蓄というようなことを
考え
たことがございます。また、現実に一昨年の古米の売却量は約百七十八万トン程度でございましたから、その程度の備蓄を持ってそれを翌
米穀
年度に食べさしたということはあるわけでございますけれ
ども
、一昨年のような非常な不作の年は別といたしまして、持ち越しました備蓄を全部回転をいたしまして翌
米穀
年度で消費をするということになりますと、古米の消費量が新米の消費量に比べまして非常に大きくなるということから、消費者の納得もなかなか得られないというようなことがございまして、回転備蓄の
方式
というのについてはいろいろ問題があるのではないかというふうに
考え
ておるわけでございます。 このほかに、棚上げ備蓄と申しまして、一定の量の備蓄をいたしておきましたものを、低温保管をいたしまして二年なり三年なり
たち
ましてから原材料の用途に供して処理をしていくというような方法も
考え
られるわけでございますけれ
ども
、いずれにいたしましても、現在の非常な
需給
のアンバランス、過剰のもとにおきまして備蓄のための量をふやすということになりますと、それが
生産調整
に及ぼす
影響
というのは非常に懸念をいたすわけでございます。
生産調整
あるいは
需給
の
均衡
化ということに
影響
を与えないようなことで、新しい備蓄の方法について鋭意検討いたしているところでございます。
安井吉典
44
○安井
委員
あと、
農家
の負債
対策
の問題も取り上げたかったわけですが、ちょっと時間が足りなくなりましたので、これは別な機会にしたいと思います。 私は、きょうのこの
米価
についての集中審議の結末として、ここで全体で
米価
の問題に対する決議をするということが必要ではないかと思います。
理事会
の中でも提案をしているところでありますが、野党は全体同じ
意見
になっています。問題は自民党だと私は思っておったのですが、さっきの
川田委員
の質問の
状況
から言えば、自民党の方も
据え置き
は反対である、
据え置き
で反対ということは
引き上げ
ということでありますから、去年もおととしも決議は不成立に終わりましたけれ
ども
、ことしはどうもできそうな気がするわけであります。これは自民党からお答えを願うわけにもいかぬので、ひとつ
委員長
においてきちっとお取りまとめをいただきたいと思いますが、どうですか。
亀井善之
45
○亀井(善)
委員長
代理 後ほど
理事会
におきまして
協議
をさせていただきたいと思います。
安井吉典
46
○安井
委員
最後
に、
農林水産大臣
に申し上げておきたいわけでありますが、私、後半でいろんな問題を取り上げましたけれ
ども
、前半で申し上げましたことしの
諮問
米価
のあり方というのはどの道からいったって筋の通らないものであって、単なる
財政
技術論あるいはまた米過剰を恐れる、米過剰というのも
財政
的な問題なんですけれ
ども
、
財政
の問題が大事だということは私
ども
もわかりますが、それによって農民の生活を崩すということはどうしてもわれわれは認めるわけにはまいりません。したがって、これは
米価審議会
の方でもいろいろ問題が提起されているのではないかと思いますが、こういう筋の通らないものはもう一度引っ込めて新たに
諮問
をし直すという必要があるのではないかと思います。私はそのことを
要求
したいと思いますが、どうですか。
田澤吉郎
47
○
田澤国務大臣
先ほど申し上げましたように、食管法には
米価決定
に際しては
生産費
及び
物価
その他の
経済事情
を配慮して、さらに穀物の再
生産
を旨とするという条項がございまして、しかも、具体的ないわゆる
算定方式
が示されていないわけでございます。 そこで、三十五年以来採用されておりました
生産費所得補償方式
、これにただいままでのいろんな
事情
を勘案して
算定
いたしたわけでございますので、私
たち
としてはこれが妥当な
諮問
案であると
考え
ておりますので、撤回する意思はございません。
安井吉典
48
○安井
委員
食管法はなるほど
生産費
所得
補償の
方式
と書いてありますけれ
ども
、
生産費
所得
補償と名前がつけば何でもいいというわけではないわけですよ。
最後
のとどめの言葉、再
生産
を旨とするというのが大切なんです。このいまの
諮問
が再
生産
を果たすようなものだとは私
ども
は絶対に
考え
られません。 重ねて出直し、再提出を
要求
して、終わります。
亀井善之
49
○亀井(善)
委員長
代理 次に、稲富
稜人君
。
稲富稜人
50
○稲富
委員
私の質問時間はわずか十三分でございますので、小さいことはほっておきまして、本年度の
米価決定
の問題を中心といたしまして、大局的な問題につきまして
大臣
にお尋ねしたい、かように
考え
ております。 先刻から
大臣
の御答弁を聞いておりますと、今年度の
米価決定
に当たって
諮問
された要旨というものは、将来の日本
農業
というものを健全にしていく、こういうことを含んで
諮問
をしたんだ、こういうことも強く主張されておるのであります。 そこで、私はここで
大臣
に特にお聞きしたいと思うことは、一体
政府
は将来の日本
農業
というものをどういうような形、位置づけでいこうとしているのか、この点をひとつ率直に承りたいと思うのでございます。
田澤吉郎
51
○
田澤国務大臣
わが国
農業
は非常に厳しい環境にあります。そういう中で、やはり食糧の安定供給、さらには地域の就労の場、さらには国土あるいは自然の環境の保全という役割りを果たしてまいらなければならない。そのためには、何としても
生産性
の向上が一番重要なんでございます。 そこで、
生産性
を向上するに当たっても、やはり食糧の安全保障という観点から、国内で
生産
できるものはできるだけ国内で賄うという基本ですね。それからもう
一つ
は、やはり国民の
需要
の
動向
に従ったいわゆる
農業
の再編成を行わなければいかぬ。ですから、お米が過剰になっている現象というのは、戦後起きた現象でございます。それは、生活様式が変わった、そのことによって食糧の嗜好が変わってまいりまして、国民全体が米よりもパンあるいは肉、野菜に移行してきているわけですね。このことを、これはだれが悪いから何とかしなさいと言ったってなかなか否定できないものでございまして、私
たち
は米飯の消費
拡大
のために最善を尽くしておりますけれ
ども
、国民のニーズは米飯の消費
拡大
というものに、なかなかその方向に行っていない。だとすれば、国民のニーズに従って
農業
の再編成をしていかなければならない。そういう基本に立って進めるとすれば、やはり
水田利用再編対策
という、
一つ
の
生産調整
という面でここにある一定の補助金を与えて、そこで新しい
農業
をつくろうという決意でいまいるわけでございます。それを基本にして基盤整備をする、あるいは技術開発をする、
経営
規模
を
拡大
する、あるいは先ほど来お話しの
農業
資材を安定供給するという、いろんな
要素
をそこに集中して、日本の新しい
農業
の姿をつくりたい、かように
考え
ているわけでございます。 特に、私は
価格
の面で今回こういう
諮問
をいたしたのは、確かに
農家
の方々は苦しいです、厳しゅうございます。しかし、いま厳しいけれ
ども
、将来の
農業
のためにいろんな客観情勢を勘案し、日本
農業
を
理解
してもらうためにある程度
農家
の方が負担をしていただいて、将来のためにいま本当に新しい農政をつくらなければならないときだ、こう私は
考え
ますがゆえに申し上げておるのでございます。第二種
兼業
だとか老齢化している日本のいまの
農業
の現状を見ますと、もっと活力ある若い人が思い切って飛び込んで新しい
農業
が盛り上がるような形にしたいというのが私の願いでございます。
稲富稜人
52
○稲富
委員
私の持ち時間は十三分でございますから、
大臣
の答弁の方が長うございますので、質問の時間がなくなります。 それで、いま
大臣
もおっしゃったように、
農業
の基本というものは、国民にいかに食糧を安全に供給するか、ここに重大な使命があると私は思うのです。ところが、御
承知
のとおり、現在日本の食糧の自給率というものは低下しております。国会では、二年前に
食糧自給率
強化
に関する決議をいたしました。衆参両院ともに食糧の自給率向上に対する安全保障の立場から決議いたしましたけれ
ども
、その実、食糧の自給率は低下いたしております。この事実はどこにあると御認識になっているか、まずこの点を承りたい。
田澤吉郎
53
○
田澤国務大臣
これは、先生、私から御
説明
申し上げるまでもありません。私
たち
の国は豊葦原の瑞穂の国でございますから、お米が、
稲作
が一番よろしいのですよ。ところが、最近はお米が余って、そして大体自給できるものは果樹、肉、野菜でございますが、あと小麦、トウモロコシ、大豆は輸入に依存しなければならないという現状、これは食生活から来ていることなんです。私
たち
は、これを解消するためには、何としても先ほど申し上げましたいわゆる
水田利用再編対策
を大きく活用して、これで定着し、集団化していかなければならない、かように
考え
ているわけでございますので、この体質を何としても直していかなければいけない、こう思うのでございます。
稲富稜人
54
○稲富
委員
いま
大臣
もおっしゃったように、食糧というものを確保していかなければいけない。それがために、日本人といたしまして食糧を最も大きく担うものは
米作
でございます。この
米作
をどう持っていくかということも非常に重大な問題であると思うわけでございます。この点に対して、
米作
というものがもっと伸びなければいけないのじゃないか。いまではいろんな
関係
上減反等をやられておりますけれ
ども
、これでいいのであるか、こういうことに対してはどうお
考え
になっているか、承りたい。
田澤吉郎
55
○
田澤国務大臣
米作
については、わが国としては当然に進めなければならない、一番適した作物でございますから。さらに、自然環境の面から言っても国土保全の面から言っても、水田の役割りというのは非常に大きいのです。水資源あるいは災害、そういう点から言って、また豊かな土壌をつくるという面から言っても、水田の役割りというのは非常に大きいわけでございますから、水田、特に
稲作
というものの価値は非常に高いのでございますので、これの奨励のために私
たち
も
努力
をしていかなければならない、かように
考え
ます。
稲富稜人
56
○稲富
委員
大臣
も
米作
の必要というものを非常に認識していらっしゃるということは、非常に結構なことであります。 それで、われわれが
考え
なくちゃいけないことは、しからば
米作
というものを非常に安定化するためには、決めるものは
米価
の問題なんです。
米価
がどう
決定
するかということが、
米作
の発展にも非常に
影響
することであります。そういう点から、本年度の
米価
に対しましても、私
たち
はやはり農民が希望を持って
米作
に従事し得るようなことをするために、まず
価格
問題を片づけなければいけないと思うのでございます。 もう時間がありませんので、簡単に結論から申し上げますが、ところが
政府
は、本年度の
要求米価
に対しても
据え置き
をなされたということ、しかも、先刻から御
説明
を聞いておりますと、食管法に基づいて
米価決定
をやられたということは御
説明
のとおりでございます。ところが、その食管法の解釈の仕方ですね。御
承知
のとおり、食管法の第三条には「
生産費
及
物価
其ノ他ノ
経済事情
」とある。
生産費
、
物価
が主体である。ところが、
生産費
、
物価
が大事でなければいけないけれ
ども
、その他の
経済事情
を先に参酌されている。
経済事情
を先に参酌しながら
米価
の
算定
というものをだんだん少なくするような、いわゆる
据え置き
にするということに合わせるような
算定方式
をとられているということ、これでいいのであるかということであります。この点、私
たち
は非常に
考え
なくちゃいけないことなんです。 たとえば、昨年の
米価
でもそうでございましょう。御
承知
のとおり、
政府
から発表されております五十六年度の六十キロ
当たり
の米の
平均生産費
は、二万三百七十八円ということを発表されております。ところが、実際決められたものは一万七千四百八十七円なんです。これを決めるときは
生産費
を補償するということで決められたかもしらぬけれ
ども
、やはり
平均生産費
は非常に上がっているのですよ。この点から言うと、その
米価
を
決定
したときはどういう
算定
をされたか。いま言うように、
経済事情
のみを
考え
てやられるからこういうような安い
算定
をされた。ところが、事実において、結果においては五十六年度は六十キロに対して二万三百七十八円
生産費
がかかっているんだと農林省が発表されているのです。 これでいいのであるか。農民から見ましては非常に不満でしょう。やはり何を
生産
するにいたしましても、
生産
する者には
生産
した報酬というものが払われなければ
生産
されません。
生産費
にも満たないような
価格
で
決定
するということは、再
生産
を促すことにはならないということになってくる。口では再
生産
をなせるような
価格
に
決定
すると言いながら、
生産費
を償わないような
価格
で
決定
するということは、これは
価格
決定
に対して大きな間違いがあったということなんです。本年もそれと同じようなことになると思うのでございますが、これに対してはどういうような解釈をしていらっしゃるか、承りたいと思います。
田澤吉郎
57
○
田澤国務大臣
繰り返すことになりますけれ
ども
、食管法では、
生産費
及び
物価
その他の
経済事情
を勘案してとあります。しかも、これまでもそのときどきのいわゆる米をめぐる
事情
を勘案しながら
生産費所得補償方式
というものを進めてまいったわけでございますので、今回も、米をめぐる諸
事情
というのは非常に厳しい、そういう中で
米価
を決めるに当たっては、もちろん
生産費
あるいは再
生産
というものは十分念頭に置きながら、その
事情
というものをよく
考え
ながら
米価
というものを
決定
しなければならない、私はそういう意味で今回この
諮問
案をお願いしているわけでございまして、決して
農家
の方々の再
生産
を大きく抑圧するというような意欲でやっているものじゃないということだけは御
理解
いただきたいと思うのです。
稲富稜人
58
○稲富
委員
もちろん
大臣
の気持ちはそうでございましょう。そうでないとおっしゃったら大きな問題でございます。 問題は、いま申しますように、
据え置き
にするということを前提として逆算したような
算定方式
をやられますと、ことしもその
算定方式
でやられているでございましょう。そうすると、その結果は
生産費
をも償わないような、来年の計算だってそうなってくるのですよ。こういうような矛盾が生じてくる。 それで、これに対しては率直に
生産費
は幾らかかるのだということを言う。
生産費
をなるべく下げるような逆算した計算ではなくして、正直に、
物価
も上がるであろうということを基準にして、今年度の
算定
によって
生産費
はこれほどかかるのだ、本来から言うならば次期
生産
を確保するためには食管法の定めるところにおいてこれこれの値段で
政府
は買い上げるべきである、しかしながら
経済事情
を参酌してこれだけでがまんをしてもらおう、これで
政府
が
諮問
するのだとおっしゃれば、農民は
政府
に米を売るために非常な犠牲を払っているのだということを一般の国民も
理解
すると思うのです。ところがそれは言わないで、本年は農民は
要求
する方も非常に遠慮をした
価格
を出しているのに、
政府
は依然として
据え置き
だ、
物価
は上がったけれ
ども
据え置き
だとおっしゃる。そうすると、一般国民から言うと、いかにも農民が無理な
要求
をやっているような感じを与える。これに対して、農民に対する過保護であるというような言葉も出てくるのです。しかも、
最後
にはわずかばかりのつかみ銭で、与党のおかげでこれだけもらいましたということで片づけてごまかしてしまう。これが
農業
の基本を誤る結果になると私は思う。 本当に
生産費
はこれほどかかるのだ、しかしながら農民にはがまんをしてもらうのだ、
経済事情
その他の
事情
があるからこれでがまんしてください、こういうことをこの
米価決定
に当たって
政府
は率直に言ってやるわけにはいかないか。これくらいの誠意を持ってやらなければ、農民は
生産
する意欲も希望もなくなるのです。初めからおまえ
たち
の言うのはだめだ、無理なんだでは
生産
意欲はわきませんよ。農民も本当にそれだけ
生産費
がかかっておりましょう、しかし国の
経済事情
はかくかくの
事情
だからこれでがまんしてもらいたいと言えば、農民は納得しますよ。なぜこれをおやりにならないのか。そうすることが農民が
生産
意欲を持つことであり、
農業
に希望を持つゆえんもそこにあると私は思うのです。これをやらないから農民はだんだん
農業
というものに希望をなくしていくのです。私は、これは
米価決定
に対しても非常に必要なことである、かように
考え
ます。こういうことに対してどういうようにお
考え
か。
農林大臣
は
農業
を思い、農民のことは十分に知っていらっしゃるから、率直に
農林大臣
の気持ちを承りたいと思うのでございます。
田澤吉郎
59
○
田澤国務大臣
私、いま
考え
ておるのでございますが、いまお米を
生産
する
人たち
に本当に意欲を燃やしていただくのは一体何なのか。もちろん
米価
というものは高いほどよろしゅうございましょうけれ
ども
、国際
価格
その他を
考え
ますと、日本は単に日本として世界の中で孤立しているわけにいかぬ
状況
にございます。そういうようなことも配慮いたしますと、やはり
生産性
を向上してできるだけコストの安い米をつくるということは、これは単に第二臨調が言ったとか経団連が言ったということではなくして、
農家
みずからが新しい
農業
のためにコストの安いお米をつくるという意欲がなければ日本
農業
の確立はないと私は思うのでございます。そういう意味で、将来ともこの
米価
は据えおくことによって大きな負担になるでございましょう。しかし、このことによって
農家
の方が、消費者、国民全体が
理解
して、
農業
振興
のための諸施策を思い切ってやりなさいというような雰囲気をつくることが、むしろ新しい
農業
をつくるための土台であろうと私は
考え
ますので、今回はあえて
据え置き
の
諮問
をいたしたような
状況
でございます。こういう点も、稲富先生、ひとつ御
理解
をいただきたいと思うのでございます。
稲富稜人
60
○稲富
委員
時間が来ましたから、結論に入ります。 私は、本当に農民が希望を持つようにするのならば、こういうことをするから農民は希望を持ちなさい、ただしこれに対しては
生産
コストが下がるような方法をやりなさい、国としてもそういう希望に対してはできるだけ応じましょうということで、農民に対する強力な指導力あるいは協力を
政府
みずからがやって
生産
コストを下げるという方法をやっていかなければならないと思うのだが、それはやらないで、できた米は安くさせて買い上げればいいのだ、これでは農民が希望をなくすのです。これは、日本の農政においては非常に必要なことであると私は思う。希望を与えながら国策に沿うような
価格
でやっていくということ、これが農政の最も必要なものだ、かように私は
考え
ます。 現に、本日のこの
米価
に対しましても、
据え置き
だということに対して農民は失望いたしておりますよ。そういう点から、いま
農林大臣
がおっしゃるように、本当に農民を思い、日本の農村を思うような気持ちであるならば、ことしの
米価審議会
に対する
諮問
は実はこういうことでやったのだ、間違っておるかわからぬ、将来
考え
るのだ、こういうようなことまではっきりして
農林大臣
が対処されるということが農民が
政府
を信頼するゆえんであり、また
農林大臣
を信頼するゆえんであり、ひいては農民が
生産
に意欲を持つゆえんであると私は思うのです。これがなくしてただ抑えつ
けさ
えすればいいのだというようなことでは、農村の発展なり農民に希望を持たせることは決してできないと私は思うのです。 この点に対して、ひとつ
農林大臣
は心を新たにして農民
対策
というものを
考え
ていただきたい、こういうことを私は強く要望いたして、さらに、今回の
諮問
米価
はそういう点からやはり
考え
るべきものである、そのままではなくして
考え
るべき必要があるということは
農林大臣
も十分
考え
て処していただきたい、このことを
最後
にお尋ねし、
大臣
のこれに対する
考え方
を率直に承りまして、私の質問を終わります。
田澤吉郎
61
○
田澤国務大臣
先ほど来申し上げておりますが、いま
農業
の置かれている現状というのは非常に厳しいと私は思うのです。私も
農業
をやっている一員でございますが、私の部落は二百戸の部落でございます。昔は二百戸の人が全部
農業
をやっておりました。いまは
農業
をやっている人が半分よりいなくなっているのです。
兼業
農家
です、混住化です、老齢化です。こういう中で
農業
をどうしなければいけないかということは、しかも、米の
需要
がだんだん落ちてくるという中で大きな転換を必要とする。その大きな転換は悩みですよ、苦労ですよ。汗をかかなければできないと私は思う。 私は、そういう意味で今回の
米価
は
農家
の経済からいっても非常に厳しい、また現状も厳しゅうございましょうけれ
ども
、その中から新しいものを国民の
理解
の中でつくっていくということがいま一番重要なときだと思いますから、あえてお願いをいたしているのでございますので、先生の温かい御
理解
をさらにお願いいたします。
稲富稜人
62
○稲富
委員
一言だけ。実は私は、
農林大臣
が
農業
の問題に
関係
していらっしゃる、非常に造詣が深いということを知っておるだけに、従来の
農林大臣
と違って、農民もあなたに対する期待は非常に大きかったのですよ。今回の
米価決定
において、その
農林大臣
の意思がここに注がれるであろうということを全国の農民は期待をしていた。ところが、今回の
据え置き
米価
に対して
農林大臣
に対する期待外れがあるということは、逆に農民は
農業
の将来に失望するということになるのです。それだけに、
農林大臣
の使命は大きいわけでございます。あなたに期待をし、あなたを信頼しておるだけに、農民のこれに対する希望がなくなるので、その点、
農林大臣
は非常に責任があると思います。そのことを十分
考え
ながら、農民の期待に反しないような農政、そういう
対策
をやっていただきたいということを強く
農林大臣
に要望いたしまして、私の質問を終わります。
亀井善之
63
○亀井(善)
委員長
代理 次に、藤田スミ君。 〔亀井(善)
委員長
代理退席、
委員長
着席〕
藤田スミ
64
○藤田(ス)
委員
けさ
、この「
昭和
五十七
年産米穀
の
政府買
入
価格
の
試算
」というのをいただいたわけですが、その「
基準価格
」のところに(1)、(2)、(3)として、特に
算定
1、
算定
2と二本立てにして、それで出してきた
試算
と三番目の「前年の
基準価格
」とを並べてあって、つまりそれを勘案して決めるということなのですが、結論は
据え置き
ということになっているわけですね。私は、これ自身、数字合わせとか
逆算方式
だとか先ほどから言われておりますが、全く
理解
に苦しむわけです。昨年も
算定
要素
を大幅に改悪して、本来一一・七%の
引き上げ
になるものをゼロにした。そして、引き続いてことしもさらに改悪をして、九・四%になるはずのものをゼロにした。先ほど御
説明
の農水省の統計情報部の資料を見ましても、五十六年度の
生産費
は明らかに五・一%
引き上げ
られていて、六十キロ
当たり
二万三百七十八円かかるのだというふうに言われておりながら、こういうふうな五年も連続した
据え置き
という決められ方は全く納得がいかないわけです。 私は、
大臣
が以前から夢のある
農業
をと言われ、先ほどからも
農業
に将来あれということで非常にりっぱな御発言がありますけれ
ども
、しかし、果たしてこれで
農業
に夢が持てるだろうか、どういった夢を持てと言われるのか、そう言いたくなりますし、冷静に判断をしてこの
諮問
の内容を決めたのだと先ほど
大臣
の御発言にありました。私は、冷静に判断をしてという
大臣
のお言葉を聞きながら、冷酷に判断されたというふうに言葉をかえなければいけないなと
考え
たわけです。 そこで、私は最初に、この
諮問
は撤回をしていただきたいということを申し上げたいと思います。 それからもう
一つ
、この中で
潜在需給ギャップ
という大変耳なれのしない言葉がありまして、
生産調整
なかりせばということを前提にして
生産
量を使っているわけですが、この
やり方
は、第一に、事実上は強制転作であって、農民には米をつくる自由というものがあるのでしょうか。現在はないのでしょう。そういうことを全く無視したものである。それと同時に、もう一回開き直って、これでは、
米価
は転作がないという仮定の上で計算されるものなんだから、転作はやらない、米は自由につくってもらってもいいということになっていくのかというふうに聞きたくなるわけです。水田利用の再編
対策
にまじめに農民の
皆さん
は
努力
をしてこられました。それを全く否定するようなこういう
やり方
に納得がいきません。 同時に、
潜在需給ギャップ
の問題で二番目の問題は、この論法でいけば、転作が続く限り
米価
は将来とも抑制されていくというふうにならざるを得ないのではなかろうか。それは、あの
方式
の中で、
政府
の見通しでは米の
需要
は今後とも減り続ける。ところが、面積
当たり
の収量の方は今後とも上がり続けていくわけですから、転作は続いても面積
当たり
の収量は上がって、一方、米の
需要
は今後とも減っていくとなると、結局、
米価
は将来にわたって抑制され続けていく状態にならざるを得ないのではないかと
考え
ますが、この二点、お伺いをしたいわけです。
田澤吉郎
65
○
田澤国務大臣
今回の
諮問
案は、先ほど来御
説明
申し上げておりますとおり、米の
過剰基調
、さらにはまた
財政
が非常に厳しい中で、私
たち
はこれまで進めてまいりました
水田利用再編対策
だとかあるいは
過剰米
の処理その他を進めてまいらなければいけない、また、
農家
の
経営
の面から見ても、最近は
作付規模
によって非常に大きな
変化
が
生産性
においても
収益性
においてもある、こういう点を勘案しながらつくられた
諮問
案でございますので、撤回する意思はないということを申し上げます。 また、潜在
生産力
の問題についても、いまの
農業
の実態というのは潜在的な
生産力
が非常に強くて、それで
需要
が非常に落ちている。たとえば潜在的な
生産
は千三百七十五万トン、それに対して
需要
は千八十万トンでございますから、その間の
ギャップ
を一応
考え
て
米価
の基本的な
考え方
にしてみても意義がないわけじゃない。むしろ大きな、正しい
米価決定
の
一つ
の
要素
になるのじゃないかということでこれを提示しているわけでございますので、そういう点もひとつ御
理解
をいただきたいと思います。
藤田スミ
66
○藤田(ス)
委員
現実的に対応してこうなったんだというふうにおっしゃっていらっしゃるわけですが、昨年までの
生産
量というのはこれは現実ですから、きわめて現実的だと私は思うのです。しかし、今度取り入れられたのはあくまでも架空でしょう。
生産調整
なかりせば、こうくるわけですから、架空の話を置いて、それで数字をはじいていくという
やり方
は全く納得できません。 もう一点ですが、都府県では一ヘクタール以上の
農家
はわずかに一四・五%ですが、なぜ一ヘクタール以下の
農家
の
生産費
を償わなくてもよいというのか、その理由が全くわからないわけです。しかも、五十五年度で見ますと、結果としては一・五ヘクタール以下の
農家
は
生産費
を償っていない、そういう資料もございます。実際そういうことなんですが、一ヘクタール以上の
平均
では、もっと大
規模
の
農家
がむしろ
生産費
も償えないというような
状況
になっていくのではなかろうか。そういう点では、
諮問
した
米価
で一体何ヘクタール層の
生産費
がカバーされるというふうにお
考え
なのか、この点が一点です。 時間がありませんので、続けます。 もう一点は、五十六年度の、前の
生産費
で言うと、家族の労働報酬は一日
当たり
四千六百七十四円、つまり一時間
当たり
で五百八十四円二十五銭なんです。これは、昨年の
米価算定
に当たって九百四十八円八十九銭を補償するはずであったことからすれば、わずか六一・六%にすぎないわけです。これは、町へ行ったらせいぜいパートタイマーくらいの
水準
にすぎないわけです。この上、さらにことし
据え置き
になりますと、先ほどでは千二円七十九銭という数字が出されておりましたけれ
ども
、実際にはもっと労働報酬が低くなっていくのじゃなかろうか。農民の汗に報いていく
労賃
というものをこういうふうに低くしてもいいというのは一体どういう
考え
に基づいてのことなのか、ここのところがよくわからないわけです。
中山昇
67
○
中山政府委員
ただいま、
米価
を
算定
する場合に一ヘクタール
未満
の層を落としたことについてどういうことであろうか、そういうお尋ねだろうと思います。 私、先ほど御
説明
申し上げましたように、一ヘクタール
未満
の層と申しますのは
農家
総
所得
の中に占めます
稲作所得
の
割合
も一割に満たないというようなものでございまして、また、
農外所得
だけで
家計費
を賄っているというような
状況
にございますし、また、
生産費
の面でも一ヘクタール
未満
の層といいますのは
経営
の外部に支払いますいろいろな
費用
、それにさらに支払いました
地代
、支払いました利子、それらを全部支払いました後で、そういたしましたときに、その総額が
米価水準
よりも上にある、いわばコストを償っていない、そういうことにあるにもかかわりませず
生産
が続けられておるというような
状況
でございます。 それから、
農地
の
権利移動
の面から申しましても
農地
の出し手になっておるというようなことでございまして、こういう層と申しますのは、それ以上の
規模
のものに比べて
米価
に対する
関係
の度合いというものは非常に少ないということがございます。 現在、水田利用再編ということで
生産調整
をやっております場合に、いかなる
米価水準
を設定したらよろしいかというものを
考え
ますときに、何でもかんでも、非常に高い
生産費
をかけている
農家
まで償うようなことをというわけにはまいらぬというふうに思うわけでございまして、そういう面からいたしますと、こういう一ヘクタール
未満
の層というのは
米価算定
の場合に除外をして
考え
る方が、
生産調整
ということをやって、非常に過剰な
需給
のもとにある場合の
価格
の
水準
としては適当なのではないかというふうに
考え
てやっているわけでございます。 その結果といたしまして、決められた
米価
で、先生のお話のような、恐らく第二次
生産費
でございましょうけれ
ども
、そういうものを償わない
農家
が出てくるというのは、それはしようがないことだというふうに私は思っております。と申しますのは、
生産費
というのは、個々の
農家
にとりまして非常に高いものから安いものまでいろいろある、その中でどの
農家
までをことしあるいは昨年の
米価
でカバーをしていけばよろしいかというのは、
米価水準
は、そういう
生産費
だけではなくて、そのときどきの
需給事情
なりあるいは
物価
、
賃金
の
動向
なり、その上で決められるものでございますから、何といいましても物の値段でございますから、すべての
農家
の
生産費
を補償しなければならないというふうには私
ども
は
考え
ておらないわけでございます。 そういうことからいたしますと、やはり一定の
米価
を決めた以上は、それによって適切な
作付規模
、たとえばことしで言えば一ヘクタール以上の
農家
のようなものが
米価
で
生産費
を賄えるというようなことに結果的になってくるのはやむを得ないことではないかというふうに思っております。
藤田スミ
68
○藤田(ス)
委員
労働報酬の問題は。
中山昇
69
○
中山政府委員
したがいまして、家族労働報酬と申しますのは、一時間
当たり
の家族労働報酬あるいは一戸
当たり
の家族労働報酬に従いましても、これは
収益
から
費用
を差し引いたその残渣として出てまいるわけでございますので、
米価
を決めて粗
収益
が決まり、その残渣としての家族労働報酬が結果的にどうなるかということに相なるわけでございます。 その際に、いろいろな
経営
によりまして、その家族労働報酬が一定の
米価
を決めました際に相違が出てきて、あるいは非常に小さな額になるという
生産
者が出てくるということは、それはやむを得ないことではないかというふうに思っておる次第でございます。
藤田スミ
70
○藤田(ス)
委員
時間がありませんので、また午後やっていきたいと思いますが、ずいぶん乱暴な話だと思うのです。結果的にそうなるのは仕方がないということで、結局、大半の
農家
が
農業
をやっていくにもやっていけなくなる。先ほどから、
農業
はもっと活気のあるものにしていきたい、そして将来安定させていきたいとどんなに力説されていても、これではもう
農業
をやっていけない。若い者が飛びつけるようなはずがありませんよ。せっかくこういう資料の中に何ぼ労働報酬の
価格
が書かれていても、結果的に相違が出てきたら仕方がないんだというのではどうにもならないわけです。こういうことでは日本の食糧問題というのは本当に憂えなければならない、私はむしろ消費者の一人として、そのことを深刻に
考え
ざるを得ません。 きょうのこの
諮問
はもう一度改めて再
諮問
していただきたい、撤回していただきたいということを
最後
にもう一度申し上げまして、終わりたいと思います。
羽田孜
71
○
羽田委員長
午後二時から再開することとし、この際、休憩いたします。 午後一時十五分休憩 ————◇————— 午後二時一分
開議
羽田孜
72
○
羽田委員長
休憩前に引き続き
会議
を開きます。 質疑を続行いたします。太田誠一君。
太田誠一
73
○太田
委員
本日、
米価
の
政府
諮問
案が発表されまして、私
ども
農家
の現状を憂える国
会議
員といたしましてはまことに不満足な
諮問
案が出されたわけでございます。この
米価
の
算定
に
当たり
まして、どういうお
考え
でこのような
米価決定
をされたか、広くわが国の農政全体から見た玉沢政務次官の御所見を賜りたいと思います。
玉沢徳一郎
74
○玉沢
政府
委員
今回の
米価決定
に
当たり
ましては、まず最初に米の
需給
関係
というものを見ますと、昨年、一昨年の冷害にもかかわりませず、米の
生産力
というものは依然として高い状態にある。一方、米の消費の方を見ますときわめてこれが減退をしておるという、きわめて米の過剰状態が引き続き存在をいたしておるということでございます。さらにはまた、米の過剰状態を解消をする、あるいは食管における赤字の問題等、
財政
問題を
考え
てまいりますと、これからの
財政
事情
におきましては、マイナスシーリングも予想されるなど
財政
事情
もきわめて厳しい
状況
にあるわけでございます。こうした
状況
に対処しまして、
均衡
ある
需給
関係
を維持していく、こうしたことも
一つ
大きな観点に立っておるわけでございます。さらにはまた、
農家
の現状を見ましても、二種
兼業
あるいは
兼業化
というものが相当進行しておるわけでございまして、
稲作
における
所得
の問題等につきましてもいろいろな
段階
がある。 こうしたことを
米価算定
に
当たり
まして諸
要素
の中に取り入れまして、そして今回の
諮問
、こういうことに相なったわけでございます。
太田誠一
75
○太田
委員
ことしの
政府
の
米価算定
の幾つかの根拠が、
昭和
五十七
年産米
価の
政府試算
、ここに三つ書いてありまして、
一つ
は、
対象農家
を、
生産費
の低いものからのその
累積生産数量比率
が五十七年の
需給事情
を
基礎
として定める
比率
になるまでのものとしたということですが、これはいわゆる
必要量
生産費
補償
方式
であるというふうに
理解
をいたしております。
必要量
生産費
補償
方式
というのは、これはいわば
一つ
の供給曲線みたいなものを
考え
ているわけでありまして、供給曲線を
考え
て
必要量
までの
数量
をとって、その
最後
のところで、七九%ということでありますから、潜在的な
生産
量に比べると
必要量
というのは実際には七九%しかないということでありますから、七九%をとって、七九%目のところで打ち切って全体の
平均
費用
を出すという
算定
の仕方をするわけであります。 ところが、これが供給曲線であるということになりますと、この供給曲線は実は七九%までの
平均
をとったらいけないわけでありまして、七九%目でとらなければいけないということになるわけであります。そうしなければ理論的に言うと
必要量
は確保できないということになるわけでありますけれ
ども
、その辺はどういうふうにお
考え
になっておられるのでしょうか。
中山昇
76
○
中山政府委員
先生のお尋ねは、七九%という
生産費
のところでいわゆる限界
生産費
をとって、それで
米価
を
算定
したらよろしいのではないか、こういうお尋ねではないかというふうに思うわけでございます。 私
ども
の
試算
におきましては、七九%までの
生産費
農家
の全体の
平均
の
平均生産費
をもって
算定
をいたしておるわけでございますが、なぜ限界
生産費
でとらなかったかと申しますと、昔、
米価
の
算定
におきましても限界
生産費
的な
考え方
で
算定
をしたことがございますが、そのときは米の
需給事情
がいまと変わりまして非常な逼迫の
状況
でございまして、
平均生産費
をもってしては米の供給が確保できないというような
事情
があったからでございます。現在のように非常な過剰でございまして、先ほど来申し上げておりますように、非常な多額の
財政
負担をしてまで転作を行わなければならないという
状況
のもとで、限界
生産費
をもって
米価
を決めるということは非常に高い
米価水準
を形成することになりまして、そういうことは現在の米をめぐる
需給
状況
その他から見て適切でないのではないかというふうに
考え
ておる次第でございます。
太田誠一
77
○太田
委員
ちょっと技術的な話に入り過ぎて恐縮でありますけれ
ども
、もう一回重ねてお尋ねいたします。 この
必要量
生産費
所得
方式
というのはあくまでも
必要量
なんですから、どこまでを確保するかということであります。つまり、これ自体が
需要
供給の
関係
というものを考慮して
必要量
という言葉をここで使っているわけであります。いまの答弁というのは、これは去年までのように全体の
生産費
の
平均
をとるという
算定
の仕方から
必要量
生産費所得補償方式
にことし切りかえたことの
説明
になるわけであって、
必要量
所得補償方式
の中で限界
費用
をとらずに
平均
費用
をとるということが正当化される理屈だというふうには
理解
ができないわけであります。 私は、いまおっしゃった、この限界
費用
をとるということになると非常に高く
米価
が出てくるということはわかりますけれ
ども
、そういう論理は首尾一貫をしていないということは間違いがないわけであります。普通の、通常の供給曲線というものをかいて、そして供給曲線というのは一般にはこれは限界
生産費
に等しいものとして並べていくわけです。そうすると、供給曲線のあるところまで必要であるという
需要
の方をここで決めると、供給曲線のあるところでもって、七九%なら七九%で決まるわけであります。そうしたら、そのときの
生産費
というのは限界
生産費
でなければならないわけであります。ですから、理屈からいいますと、これは限界
費用
でとらなければいけないということになるわけでありますけれ
ども
、そうすると、いまおっしゃったように高目の
米価
に決まるということになるわけです。 ですから、
米価
の
算定方式
について余りいろいろなことをされ過ぎるのではないか。従来の
米価
の
決定
、毎年毎年
算定方式
が変わっております。変わるたびにいろいろな
説明
をしていかれるわけですけれ
ども
、特にことし、かつて使われた
必要量
生産費
所得
方式
というものをまたほこりを払って持ち出してこられた。この
方式
においても、やはり
需給事情
を勘案をしてこういうふうに決めたということも、論理的にはまた
一つ
の矛盾に突き当たるのではないかというふうに思うわけですけれ
ども
、いかがでしょう。
中山昇
78
○
中山政府委員
昨年も
必要量
生産費
方式
で
米価
を
算定
したということについては変わりはないわけでございますが、ただいま先生御指摘のように、限界
生産費
で
価格
が決まるというのは、まさに一般の自由市場経済ではそのとおりだろうと思います。 私
ども
の
米価算定
に
当たり
まして限界
生産費
をとらないもう
一つ
の理由に、
生産費
及び
所得補償方式
ということでございまして、
生産費
だけではなくて、そのほかに家族労働部分につきまして
都市均衡労賃
と
評価
がえをするということで、いわば
所得
を付与している部分があるわけでございます。そういうところがございますと、そういうものを含めました供給曲線というのは、これは架空のものでございまして、現実の
生産費
曲線、供給曲線とはちょっと異なるものである。そこで、それにさらにそういう
所得
付与をしましたような
生産費
の供給曲線の求められまする限界
生産費
で
価格
を決めるというのは、これはどうも現在の
米価
の
決定
の仕方としては適切でないのではないかというふうに
考え
ている次第でございます。
太田誠一
79
○太田
委員
いまの御答弁はよくわからないのですけれ
ども
、余り深くこういう話に入ってもなんだと思いますので、もう
一つ
、今度の
米価
の
決定
に当たって大きくウエートを置いて考慮されたのは、ただいま政務次官からもお話がありましたとおり、
一つ
は
需給事情
であって、もう
一つ
は
財政
事情
であるというふうに
説明
をされるわけであります。 五十八年度予算についてはいざ知らず、本年ここで
決定
を求められている
米価
というのは、五十七年度予算において考慮をされることになると思うわけでありまして、五十七年度予算においては、この
政府
の
諮問
案どおりに
米価
は
引き上げ
ないという前提で予算が
決定
をされておるわけでございます。ただ、ここで私
ども
少しこれはどうかなと思う部分があるわけでありまして、それは、
過剰米
処理の
費用
というものが、五十六年度予算に比べまして五十七年度予算というのは、倍にはなりませんけれ
ども
、ほぼ倍近い急増をしているわけであります。それはまた、従来の
過剰米
処理の
方式
というものは、七年間にわたって分散をして計上していくという
やり方
にのっとっているわけでありますけれ
ども
、短
期間
の間にこういうある特定の食管会計に絡む
費用
項目が急増するという
やり方
が、農政、農林省の予算全体の
考え方
からして、あるいは農政の継続性という
考え方
からしていかがなものかという気がするわけでありますが、そこはどうでしょうか。
中山昇
80
○
中山政府委員
先生のお尋ね、
過剰米
処理に伴います
費用
についての食管会計における処理の仕方のお尋ねでございます。
過剰米
処理につきましては、
御存じ
のように、五十
年産
から五十三
年産米
までの
過剰米
につきましておおむね五年間に処理をするということで、一遍に処理をいたしますと、それに伴います
財政
負担というものは、えさ用なり加工用なり輸出用に充てるということになりますと、大変巨額の、一兆何千億、二兆何千億という巨額の
費用
がかかるわけでございます。それを一遍にある年度だけに補てんをするということになりますと、これは特別会計としても非常に問題があるということで、先生御指摘のように、七年間に繰り延べ処理をするということにいたしたわけでございます。 この
過剰米
の処理に伴う損失がただいまふえておるという先生の御指摘でございますが、これは、実は五十四年に処理をいたしたもの、それから五十五年に処理をいたしたもの、五十六年に処理をいたしたものと、過去のものがだんだんと累増してくるということに伴いましてふえてきているわけでございまして、もし一遍に
過剰米
処理の損失を計上するということになればもっと巨額の額に相なるということになりまして、食管特別会計の編成上も問題になる、こういうふうに
考え
ている次第でございます。
太田誠一
81
○太田
委員
私がいま申し上げておりましたのは、ことしから急に急増する。これは、ちょっと数字を詳しく覚えておりませんけれ
ども
、千四百億ぐらいにことしからなる。去年までが七百何十億か八百億くらいだと思うのですが、急増するということは、これはいわば去年の消費者
米価
を上げたことによる売買逆ざやというものが縮小した分がここに充当されるというような形になると思うのですけれ
ども
、このように急に
過剰米
処理の
費用
をここに急増しないで、ここを何とか調整してなだらかなものにすることはできないだろうか、なだらかなものにすることができれば、そこからまた
米価
を
引き上げ
るための財源を見つけることができるのではないかというふうな印象を持っておるということでございます。
中山昇
82
○
中山政府委員
先生お尋ねのように、
過剰米
処理の損失を長く繰り延べいたしますと、その年の食管特別会計の繰り入れ額を平準化することは、それは可能であると思っているわけでございます。 ただ、一方におきまして、
過剰米
処理を非常に長期にわたってやるということになりますと、
過剰米
を保管しているための金利なりあるいは保管料なりというものの増高を来すということがございます。したがいまして、全体としての
過剰米
処理の損失額、約二兆二千億とか言っている額がこれまたふえてくるということになりまして、
過剰米
の処理を繰り延べたからといって、食管特別会計全体として、長い
期間
で見まして必ずしも会計が楽になるということではないというふうに
考え
ておりますので、
過剰米
の処理につきましてはやはり計画的な処理をし、計画的な繰り入れをする方がよろしいのではないかと
考え
ている次第でございます。
太田誠一
83
○太田
委員
時間がありませんので、ただいま私が申し上げたことをもう一回確認いたしまして、この質問を終わりますけれ
ども
、いまのは五十七年度予算の話をしているわけでありますから、五十八年度予算がマイナスシーリングになるとかなんとかいうことは、これはことしの
米価
を
決定
する場合には
関係
のない話だというふうに
理解
をいたしております。したがって、この
過剰米
処理の方で少し調整をすれば、
米価
を
引き上げ
る財源がここに出てくるのではないかということを先ほどから私は指摘をいたしておるわけでございます。これはしかし御検討いただくことにいたしまして、次に移りたいと思います。 ただいま、福岡県を中心といたしまして、北部九州一帯が気象台設置以来の干害といいますか、干ばつに見舞われているところでございまして、この件につきまして若干質問をさせていただきます。 六月以降の降雨量は、
昭和
九年に四十八・六ミリという、大変少ない、最小降雨量の記録がありましたけれ
ども
、これを上回って、四十五ミリのわずかな降雨量になっているわけでありまして、河川は極度に流下量が
減少
して、ため池の貯水量も刻々
減少
しつつあるという状態であります。福岡県においては六月二十九日に渇水
対策
本部を設けて、かつて五十三年、四年前に同じような干ばつに見舞われたときと同じような
対策
をとろうとしているわけでございます。 私も五日ほど前に地元の地域で現地を視察してまいりましたけれ
ども
、それぞれの場所で
農家
の方々が、川からポンプで水を揚げ、そして水を揚げたものが次のたんぼに移っていかないためにまたそこからポンプで水を揚げて、さらに用水から離れたたんぼに水を引いていくというふうなことをして、まことに悲壮な
状況
にあるわけであります。私が見ました河川は、三本の河川を見ましたけれ
ども
、そのうち二本は完全にかれておりまして、川底を掘り返して地下水をそこから確保しているというふうな
状況
でございます。この二、三日の間に若干雨が降りまして、ただいまの
段階
では情勢はかなり好転していると思いますけれ
ども
、しかしそれにもかかわらず、今日に至るまでの、この五月から六月にかけての干ばつの被害、あるいは干ばつに対処していろいろなことをやった
農家
の方々にかなりの負担がかかってきているわけでございます。 これにつきまして、ただいま
田植え
の予定面積のうち、七月五日現在で
田植え
がまだできていないところが四百六十七・九ヘクタール、全く不可能であるところは二百九十五・九ヘクタール。そしてまた、
田植え
をしたところにおきましても、黒く乾燥している黒乾面積というのが四千八百三十八ヘクタール、全体の
田植え
予定面積の八・一%でありまして、白乾、白く乾燥しているところが百八十四・六ヘクタール。そしてまた、塩害が起こっております。塩害は、海の近くの、特に福岡市のようなところでありますけれ
ども
、海の近くに行きますと用水の中にだんだん外から塩分が浸透をしてきて、知らずに塩分を含んだ水をたんぼに使ってしまう。あるいは井戸を掘って、どんどん深く掘っていくと下から塩分の濃い水が出てきて、それをまた知らずに使ってしまうというふうなことが頻発をしているわけであります。 こういう
状況
にありまして、五十三年度のときには、地方自治体の
農家
に対する救済策を国が背後からバックアップをする形をとっていただいたわけでありますけれ
ども
、ことしはどうであろうかということを現地では心配をいたしているところでございます。五十三年度にどういうふうな形でもって救済あるいは補助金といいますか、そういう措置をとっていただいたのか、再度ここで確認をさしていただきたいと思います。
森実孝郎
84
○
森実
政府
委員
五十三年度におきましては、全国的に梅雨
期間
が非常に短くて、長期にわたって降水量が少なかった。この異常干ばつのために、各地域におきまして自主的に井戸の掘削や揚水機の設置等の事業が行われた経過がございます。干ばつが非常に長期でかつ全国的な
規模
である、また、多数の府県がこれに対して県単の助成を行ったという経過がございますので、いわゆる臨時特例的な干害の応急
対策
事業を予備費から支出して実施した経過がございます。 その内容は、
関係
県二十九県でございまして、
対象
面積は約七万七千ヘクタール、総事業費六十五億円というふうになっております。
太田誠一
85
○太田
委員
五十三年度には、合計しまして井戸を千百五十八本掘ったわけでありまして、そしてポンプを四千七十七台設置したということでございます。そして五十七年度、ことしに至りまして、福岡気象台始まって以来の降雨量の少なさというものにかんがみて、五十三年度に設置した分に加えまして、すでに新設をいたしております。井戸は四百七十六本追加をして掘っております。ポンプは一千四十三台を追加して新設をいたしております。 このような現況にありまして、県の方はさらにまたこれに加えて、確定をしているかどうかはまだ定かではありませんけれ
ども
、ポンプに使用するための油代というふうなものも補助をするというところに来ているわけでございます。今後の気象の
状況
の推移というものを見守らなければならないということは事実としてあるわけでございますけれ
ども
、すでに現在の
段階
でもって巨額の負担がそれぞれの
農家
にかかってきているという現実を踏まえていただきまして、今後温情ある措置をおとりいただきますことを、この席をかりましてお願いをいたす次第でございます。 国からのバックアップということにつきましては、以上で質問を終わらしていただきます。 これに加えまして、すでに干ばつの
状況
というのが一月程度続いておりますので、今後
田植え
がおくれていることに対する
対策
、あるいは稲の生育に今後
影響
が出てくるというふうに思われるわけでありますけれ
ども
、いもち病の発生あるいはさまざまな害虫の発生に対して
農家
がそれぞれの立場で対応していかなければいけないわけでありまして、これに対して農林省として何か指導をしておられるかどうか、そこをお伺いいたしたいと思います。
小島和義
86
○小島
政府
委員
まず、ことしの空梅雨によります
田植え
についての
影響
でございますけれ
ども
、七月十二日現在で、九州管内で約七百二十ヘクタール、まだ
田植え
の済んでないところがございます。同様に、雨量の少ない中国四国農政局管内で約四百五十ヘクタールの
田植え
が済んでないところがございます。いずれも管内の作付予定面積全体から眺めますと〇・三ないし〇・二%ということで、全体の中ではそれほど多いものではございませんけれ
ども
、そういう
状況
に相なっております。 九州の管内につきましては、七月十一日以来の雨によりまして、水不足によって
田植え
がおくれているという
事情
は解消するものというふうに
考え
ておりますが、中国四国農政局管内におきましては一部もうすでに
田植え
の適期を失しているというところがございまして、別な作物を植えつけなければならないという事態も出ておるように聞いております。 これまでとっております
対策
でございますけれ
ども
、県及び農政局で保有いたしておりますポンプの貸し付け等によりまして用水を確保する、あるいは先ほどお話ございましたような、水を順番に使用するというふうなかっこうで水利を調整いたしておりますところ、さらに節水栽培、さらに
田植え
がおくれました場合の予備苗の確保、苗の再仕立てといった、被害を最小限にとどめる
対策
もとっておるわけでございます。 また、野菜等につきましては、こういう乾いている時期におきましてはアブラムシ類あるいはハダニ類等が発生しやすい
状況
にございますので、病害虫の適期防除ということに心がけておるわけでございます。 おくれて
田植え
をいたしましたところの今後の
稲作
でございますけれ
ども
、過去の経験等に照らしますれば、今後の気象
状況
の推移によりましては多少のおくれは十分取り戻せるというぐあいに
考え
ておりますが、一部の地域のようにもうすでにこれから
田植え
をしたのでは時期おくれであるというところにつきましては、かわります作物の作付を指導するということによりまして、できるだけ
農家
全体の被害が最小限にとどまるように指導してまいりたいと思っております。
太田誠一
87
○太田
委員
いま取り上げておりますのは応急の
対策
でありますけれ
ども
、日本のいろいろなところには渇水に対して大変弱い体質を持った地域があるわけでございまして、特に九州北部においては五十三年も大変な渇水に見舞われた。今回また渇水を経験しているところでありますけれ
ども
、長い目で見て新しい水源というものを確保しておく必要があると思うわけでございます。この意味におきまして、大分前から計画があって、しかもなかなか完成しない筑後大ぜきというものがあるわけでありまして、筑後大ぜきは福岡市の都市用水を確保するについては大きな力になるということが言われておりますけれ
ども
、
農業
用水の確保というのは、この筑後大ぜき完成後大丈夫なのでしょうか、どうでしょうか。
森実孝郎
88
○
森実
政府
委員
御指摘の筑後川下流流域の筑後大ぜき事業、これに関連いたします一連の土地改良事業は、この低平地におきます用水の安定供給という視点から私
ども
非常に重要な問題であろうというように思っております。 御案内のように、この筑後大ぜきの事業というのは複合的な目的を持った事業でございまして、治水と河川の流水機能の正常化ということと、それからただいまも御指摘がございました水道用水を中心にした新規用水の確保、さらに
農業
自体の立場で
考え
ましても、土地改良事業の取水の安定と同時に、一部新規の水源造成の役割りを果たしているわけでございまして、これに連携いたしまして、基本的な導水路というものにつきましては、ことしから公団事業で実施すると同時に、また国営、県営、団体営等の水路の整備を進めているところでございます。 なかなか予算情勢も厳しい
状況
がございましたし、さらに一部補償問題等で難航した経過もございますが、はっきり申し上げると、現時点でかなりのめどがついてきたと思います。これからの予算措置を通じまして、補正も含めて、そういった問題も含めて事業の促進を図ることが必要だろうと思っておりますし、また、事業の実施に
当たり
ましては、
農業
用水の取水の安定、それから排水の改良ということに重点を置いて、これからさらに具体的な計画を仕上げてまいりたいと思っております。
太田誠一
89
○太田
委員
ありがとうございました。 もう
一つ
、建設省、ただいま筑後大ぜきの問題についてはお伺いをいたしましたけれ
ども
、渇水時における建設省の
対策
として、経年貯留ダムというものを今後つくっていこうという計画があるように伺っておりますけれ
ども
、今後どういう順序で経年貯留ダムをつくっていくのか。そしてまた、そういう水道に対する
対策
の中で、
農業
用水についてもこれは
考え
ていただかなければならないわけでありますけれ
ども
、この辺のところを建設省からお伺いをいたしたいと思います。
広瀬利雄
90
○広瀬
説明
員 お答え申し上げます。 渇水ダムあるいは経年貯留ダムというダムの建設の順序等についてお尋ねでございますが、私
ども
建設省といたしましては、鋭意水問題に取り組んでおります。 たとえば、福岡県内の水問題にかかわるダム工事といたしまして、現在われわれ建設省直轄事業としましては、遠賀川河口ぜき、耶馬渓ダム、それから水資源開発公団事業となりますけれ
ども
、筑後大ぜき。それから県の補助多目的ダム事業としましては、犬鳴ダム、伊良原ダム、福智山ダム、それから那珂川・御笠川総合開発、鳴淵及び猪野ダム等の事業を執行しておりますが、これらの事業はすべて治水に
関係
いたしまして、そのほか新規の都市用水並びに既得の沿岸の
農業
用水の取水が安定的に行われるように、いわゆるわれわれ不特定補給という表現で言っておりますが、不特定補給を目的として事業を実施しておるわけでございます。 それで、私
ども
は、今回の渇水に際しまして、この五日になりますが、九州地建に渇水
対策
本部を設置して、
関係
利水者の水利調整を円滑に行って、それで合理的な水使用の推進が図れるように、連絡調整をしているわけでございます。しかしながら、水
需要
、水供給を
考え
ますと、何はともあれダムを建設することが最善最良の道でございまして、先ほど申し上げましたように、私
ども
のダム事業を誠心誠意遂行していく
考え
でございます。 そこで、お尋ねの経年貯留ダム、渇水ダムということになるわけでございますが、私
ども
の
考え方
といたしましては、通常の水
需給
に関しましては、私
ども
現在行っておりますような目的の多目的ダム等の水資源開発施設を建設するということをまず第一番目に置いているわけでございまして、先生お尋ねの渇水
対策
ダムといいますのは、五十三年等の異常渇水のときにも、生活用水でいきますと生活に必要不可欠の水、そういうものを目的として水を備蓄していこう、こういう発想のものでございます。 それで、お尋ねのように
農業
用水も
対象
の中に入るかということでございますが、私
ども
、異常渇水ダムをどのような構想でどのようにつくっていったらいいかということを現在検討中でございます。ちょっとさかのぼりますが、実は四年ほど前から大蔵省の方に同種のものを
要求
しているわけでございますけれ
ども
、なかなか私
ども
の方の主張が認められませんで、残念ながら見送りになっているわけでございますが、本年また北部九州は異常渇水でございますので、また心を新たにいたしまして、地元の方々等と御相談をして水資源開発に推進してまいりたい、かように思っておるわけでございます。
太田誠一
91
○太田
委員
どうもありがとうございました。
羽田孜
92
○
羽田委員長
太田君の質疑はこれで終わりました。 新盛辰雄君。
新盛辰雄
93
○新盛
委員
まず大蔵省にお伺いをしておきたいと思います。 今回の
米価
の
決定
をきょう米審の方で引き続いてやっているわけでありますが、
財政
上非常に厳しい、こうした理由によってマイナスシーリングというのも出てきたわけですが、今回の
米価決定
に当たっての、大蔵省がこれまで言われてきた
財政
的なという
事情
について、冒頭お聞かせをいただきたいと思うのです。
千野忠男
94
○千野
説明
員
財政
事情
でございますが、御
承知
のように、最近の
経済事情
を反映しました税収の落ち込みとか、あるいはもともとオイルショック以降の何年間かにわたる
財政
支出の
増加
とそして税収の落ち込み、こういったものの結果、いま非常に苦しい
状況
にあることは
御存じ
のとおりでございます。そういう
状況
のもとで、五十八年度予算につきましては、すでに御
承知
のように、マイナスシーリングというようないままでにない厳しい枠を概算
要求
に設定をいたしておるところでございます。 こういう中で、今後どのようにわが国
農業
の発展のために必要な経費を効率的に支出していくか、この辺がわれわれの最大の関心事でございます。
新盛辰雄
95
○新盛
委員
とするならば、農民の切実な
要求
として
米価
の
要求
が出されておりますし、また、生所
方式
と言われる食管法に基づく正規の手続を経て、当然、
要求
がされてきているわけであります。
財政
的な全体的
状況
が変わった。防衛とかエネルギーとか一連の科学技術の問題等は別枠にしてありますけれ
ども
、
農業
を守っていくためには、この
財政
的な
事情
、たとえば臨調
米価
と言われている昨今の
事情
であります。それだけに、奨励金のカットをする、抑制をする、あるいはまたそれぞれの補助金、こうしたことについても切り詰めていこう、そういう趣旨になっているようでありますが、一体この辺はどういうようにお
考え
ですか。
千野忠男
96
○千野
説明
員 このような
財政
事情
のもとでございますので、農政のみならず、全般にわたって厳しい見直しが必要になると思うのでございます。農政の分野におきましても、限られた財源を最も効率的に使うということになりますと、たとえば
米価
でございますが、これはわれわれ必ずしも
財政
事情
からだけ申し上げておるわけではございませんけれ
ども
、米の深刻な構造的な過剰の
状況
、それからそれに対処するためにこれまで
生産調整
などによりまして巨額の
財政
資金を投入してきた事実、そういうような
状況
の中で
考え
ますと、従来以上に厳しさといいますか、慎重さを持って対応せざるを得ないというふうに
財政
当局としては
考え
ておるわけでございます。 また、先ほどお話も出ました奨励金、たとえば
自主流通米
の奨励金でございますけれ
ども
、これにつきましても、実態を見ますと、
昭和
四十四年度に制度が始まりまして以来助成の額がどんどんふえまして、
自主流通米
の
比率
も大体四割ぐらいにまで来た。ここで
農家
の
自主流通米
の手取りなどを
考え
た場合に、果たして現在のような助成の
水準
が本当に必要なのかどうか、その辺は見直しをしなければならぬだろう、こういうふうなことで、
米価
、それからいま申し上げた
自主流通米
の助成、いずれも
一つ
の例でございますけれ
ども
、全般にわたって効率的な使い方をいままで以上に
考え
ていかなければならぬのではないか、かように思っております。
新盛辰雄
97
○新盛
委員
いま以上に
考え
られるということは、結果的には圧縮をするとか補助金をカットしていくとかということを指しているのですか。
千野忠男
98
○千野
説明
員
生産者米価
につきましては、農林水産省が所管官庁として責任を持って
米価審議会
に
諮問
をし、
米価審議会
の審議を経て
政府
が
決定
するということになっておるわけでございますが、
財政
当局といたしましても、その審議の過程で
財政
当局の立場からの
意見
はいままでいろいろ申し上げてきておるわけでございます。 〔
委員長
退席、加藤(紘)
委員長
代理着席〕 いろいろと議論はございましたけれ
ども
、
けさ
米価審議会
に
農林水産大臣
から具体的に
諮問
されたということでございまして、
諮問
された
米価
の案というものは、いままで
政府
の中で非常に真剣な議論を重ねてきた結果でございますので、われわれとしてはこれが最善のものである、かように
考え
ております。 また、先ほどの
自主流通米
の奨励金でございますが、これにつきましては、私
ども
はこれから農林省といろいろ御
協議
を申し上げて決めていかなければならない問題でございます。たとえば、流通促進奨励金というような売買逆ざやの一部を見るという奨励金につきましては、現在の売買逆ざやが非常に小さなところまで縮小されてきておりますし、流通の実態から
考え
ますと、もはやこれはやめてもよろしいのではないか。あるいは良質米奨励金につきましては、これも現在の良質米の出回り
状況
あるいは取引
価格
の
状況
などを
考え
ますと、奨励金の
単価
をかなり圧縮してもよろしいのではないかといったようなことで、農林省に御相談をしておることは事実でございます。
新盛辰雄
99
○新盛
委員
財政
的な理由ということが今回の
米価
を
決定
するに当たってきわめて高いウエートを持っておるわけですね。そういう面で、食管法に基づく
生産費
及び
所得補償方式
という従来の計算の中では、もう先ほどから議論されておりますように、現実四・三七%という
要求
もございますけれ
ども
、
生産費
自体でも五%の
上昇
を見せている。あるいは、九%という数字も現実に計算をしてみれば出てくる。そのことが
財政
的理由でもってなかなか実現できない。逆ざやの問題もありますけれ
ども
、年々解消されているのではないかと思うのです。 また、奨励金の問題についても、法律で決めて自主流通を奨励させていくという中で出てきましたけれ
ども
、四〇%云々という話もありますが、もし実際にこれをやめていけばどうなるか。不正規流通の
関係
が生まれてきますし、かえって
財政
的な混乱を起こすのではないかというので、大蔵省に対して削減反対の強い声が上がっていることは事実です。 このことを踏まえて、大蔵省としてはどう
考え
ているか、明確にお答えいただきたいと思うのです。
千野忠男
100
○千野
説明
員 まず
生産者米価
でございますが、
生産者米価
の取り扱いにつきましては、
食糧管理法
の規定に従って
決定
をするということでございますので、
生産費
及び
物価
その他の
経済事情
を参酌して
米価審議会
の議を経て適正に
決定
するということでございます。その場合に、
生産費
及び
物価
その他の
経済事情
という言葉の中には、当然
財政
事情
もあるし、
需給事情
もございます。そういったことも参酌しながら検討していくということであろうかと思います。 したがいまして、私
ども
は必ずしも
財政
の立場からだけ申し上げているというわけではございません。現在の米の構造的な過剰という
需給事情
、それからそれに基づいていままで三千五百億円もかけて行っている
生産調整
、こういうものを一方で
考え
ながら、かつまた、
需要
の
動向
に即した
生産
の再編成をどういうふうにしていくのかといったような農政の面の見地からも
考え
てまいりますと、こういう
状況
の中でぎりぎり
けさ
のような
諮問
になるのじゃないか、こういうふうに思っておるわけであります。 次に、
自主流通米
の助成でございますが、これは、おっしゃるように、自主流通が
財政
援助の効果もありましていままで伸びてきた、これを一遍に切ってしまったら混乱が生ずるではないか、そういう懸念、もちろん一遍に切った場合にそういうことがあるかもしれないということは、われわれも十分
考え
なければいかぬことかと思います。ただ、現在の
自主流通米
の
農家
の手取り
価格
と
政府
米の手取り
価格
といったような、いわゆる
自主流通米
の
生産
者メリットの大きさというようなものの実態を
考え
ますと、たとえば良質米奨励金、現在A1の部分で千八百五十円というようなものでございますが、果たしてこれが一部切れないものであるかどうか、これは十分検討していいものではないか、こういうふうに思うわけでございます。いずれにしましても、この辺は農林水産省とこれからよく相談をさせていただきたいと思います。
新盛辰雄
101
○新盛
委員
きれいごとを言ってもらっては困るのですが、現実問題として、大蔵省には今回の
米価
に当たっては
引き下げ
ろという
意見
があったのでしょう。そういうことに私
ども
は非常に不満を持っておるわけです。
財政
的な理由ということについて、三千五百億円、確かに奨励金の
関係
では
水田利用再編対策
としてこれは生まれたことでございますし、また、そのことによって今日の第二期
対策
が進捗していると思うのです。しかし、もうこれ以上
財政
的に云々というのなら、これは後ほど農林省の方に聞くわけですが、転作は
考え
る必要はない、もうこれ以上
水田利用再編対策
はやるべきじゃない、こういうことになってくるわけです。その点については、大蔵省に聞いてみたってしようがないですが、金を減らす、あるいは
引き下げ
るという前提に立って、初めに
据え置き
あり、あるいはまた
引き下げ
あり得る、こういう
理解
の仕方は納得できないのです。 だから、そのことについては、政務次官が来ておられるようですが、まずお答えいただいて、大蔵の方からもその面についての答えをいただきたいと思います。
中山昇
102
○
中山政府委員
本
年産米
の
生産者米価
の
決定
につきましては、
けさ
ほど御
説明
を申し上げましたように、
現下
の米をめぐるいろいろな情勢、特に
生産調整
を大幅にやらねばならないという
需給事情
、あるいはただいま大蔵省の方からお話のございましたような
財政
事情
その他もろもろのことを勘案いたしまして、本
年産米
については昨
年産米
の
政府買い入れ価格
どおり据え置くことにいたした次第でございます。
新盛辰雄
103
○新盛
委員
あなた、食糧庁におられるのでしょう。次長でしょう。あなたが大蔵省のようなことを言っておったって困るのですよ。
生産
者
農家
がどう
考え
ているかということをすぐ敏感に受けてこれからの政策を決めなければならないのが、私が言っているように初めに
据え置き
ありき、それを前提にした議論なら、逆ざやがどうのこうのじゃないのです。今回の
米価
の
諮問
をされている中身は、理屈を合わせる、いわゆる
据え置き
にするがゆえに理屈を合わせる、そういう
やり方
でしょう。そういうことで、果たしてこの米審の結論ということは、これからどうなるかわかりませんけれ
ども
、出てくるあれはないですよ。 それで、大蔵省、もう一度これだけは確かめておきますが、系統の
皆さん
方からも
要求
されておりますし、それぞれわれわれも
生産費所得補償方式
を中心にして、これは法律で決められているのですから、それで
算出
をしてほしいという
意見
を持っているのです。それの出た金額というのは、巷間伝えられているように人勧だとかあるいは仲裁裁定とか、そういうものと絡めてこれは
考え
るべきだという
意見
な
ども
あります。しかし、異質のものではあるのですが、大蔵省はこれについてはどういう見解を持っていますか。
千野忠男
104
○千野
説明
員
米価
だけではございません、
米価
を初めとして各種の農産物
価格
、これに関する政策の運用につきましては、
生産費
などのほかに
需給事情
とか
生産性
向上の
状況
とか、あるいは
需要
に応じた
農業
生産
の再編成、こういったようなことを総合勘案して行われなければならないと
考え
ております。したがいまして、
米価
と給与というものは必ずしも同列に論じ得ないと思います。 ただ、いずれの
決定
に
当たり
ましても、
現下
の厳しい
財政
事情
というものは十分に考慮されるべきものと
考え
ております。
新盛辰雄
105
○新盛
委員
それはどういうことですか。
現下
の情勢において考慮されるべきことだということは、これからの推移
状況
がいろいろあるのでしょうが、
財政
担当者としてどう見るかということを申し上げたのです、性格の問題ですから。そういうことも考慮するということは、結局は連動である、
米価
と仲裁あるいは公務員の給与というものは連動である、こういう
理解
ですか、そうでないのか、明確にしてください。
千野忠男
106
○千野
説明
員
米価
は物の
価格
でございますから、
生産性
の
状況
とか
需給
の
状況
とか、あるいは農政の方向をいろいろ
考え
ながら決めるものでございます。そうしてまた、給与の方は、たとえば公務員給与の取り扱いにつきましては、人事院勧告がどうなるのか、仮に人事院勧告が出たとすれば、その
段階
で厳しい
財政
事情
など諸般の
事情
を総合的に勘案して判断することになります。また、仲裁裁定につきましては、国会に議決案件として付議しているところでございます。したがいまして、この取り扱いについては国会の判断を待つことになるわけでございます。 そういうことで、
米価
と公務員給与等とは、これは同列に論ずることはできないと思いますが、いずれにいたしましても、これらの
決定
に
当たり
ましては、現在の厳しい
財政
事情
等は十分に考慮されるべきであると
考え
ております。
新盛辰雄
107
○新盛
委員
米価
の問題、
算定
基礎
のことについて質問をいたしますが、この
算定
の因子となるべき中核
農家
、これは一体どういう内容のものですか。
中山昇
108
○
中山政府委員
けさ
ほど
政府試算
の
説明
のときに申し上げましたように、私
ども
今回の
米価
の
試算
をいたしました際に、必ずしも中核
農家
というものをあらかじめ想定をいたしましてそれで
米価
を
決定
したということではございません。従来から申しておりますように、米の
価格
の
算定
に
当たり
まして、一ヘクタール以下の層と申しますのは最近
農外所得
でもって家計を賄っているというような
事情
にございますし、また、そういう
農家
が
米価
のいかんにかかわらず米の
生産
を続けておるというようなこともございます。 それからまた、こういう一ヘクタール以下の層と申しまするものは、
農地
の貸し借りをいたしますときの貸し手の方になるというようなこともございまして、こういう一ヘクタール以下の層というものが
米価
と余り
関係
のあるような
状況
にないということがございますので、
米価
を
算定
いたします
平均生産費
をとる場合の
対象
の
農家
から外して物を
考え
ていったらどうかということで
算定
をしておるわけでございまして、必ずしも一ヘクタール以上の
農家
層が中核
農家
であるというふうに決めておるわけではございません。
新盛辰雄
109
○新盛
委員
この中核
農家
というものの定義の問題は、いま御
説明
のあった内容だとすれば、一体中核
農家
の生活
状況
、いわゆる
所得
、可処分
所得
は幾らになるのか、この辺のことも、一般の勤労者の統計をとる場合にも、四人家族で幾ら、こういうようになるわけですが、中核
農家
の生活基準、そういうものについて数値を出しておられますか。
中山昇
110
○
中山政府委員
先ほど来御
説明
申し上げておりますように、私
ども
今回の
米価
の
算定
で中核
農家
というものを特にとらまえまして
価格
決定
をいたしているわけではございませんので、中核
農家
について幾ら幾らの額の
所得
を補償するというふうには
考え
ておるわけではございません。 ただ、私
ども
申し上げておりますのは、一ヘクタール以上の
生産
農家
の
平均生産費
をとりまして、その場合には家族労働につきまして
都市均衡労賃
が補償されるような
算定
をいたしているということでございます。
新盛辰雄
111
○新盛
委員
農林省は
農家
をしぼり込んで、
算定
基礎
の中に、言うなら
据え置き
が前提ですから、数字を合わせていくためにしぼり込んでいくんだということは、
一つ
の流れとして持っておられると思うんですよ。そうでなければこういう計算にはならない。
物財
費とか
労働費
の
上昇
というのは、きょう発表されました統計情報部の五十六
年産米
生産費
の中に明確に出ているんです。だから、こういう
状況
にあるならば、確かに食管法の第三条第二項の厳正なる基準に当てはめるとするなら、当然ここに数字が出てくるはずなんですね。
農家
をしぼり込んでいるから、計算の
基礎
がどうも不明確になってくる。そういうしぼり込もうという流れを
御存じ
なんでしょう。これは、農林省の方でそういうことにしていこうということで、一ヘクタール
農家
、中核、それ
未満
はだめ。しかし、七〇%、八〇%に近いと言われているこういう
皆さん
の
状況
について、やはり把握をしなければならないわけでしょう。どうですか。
中山昇
112
○
中山政府委員
けさ
ほど来申し上げておりますように、この一ヘクタール以上の層をとりまして
必要量
生産費
というようなことを
考え
ておりますのは、現在のように米の
需給
が非常に過剰でございまして、そういう
状況
のもとで、たとえば非常に高い
生産費
がかかる
農家
まで含めてこの
米価
の
算定
の
基礎
になる
生産費
を計算して、その上で
米価
を
算定
をするということはいささか問題があろうかと
考え
ておるわけでございます。その意味におきまして、先ほどお示しをいたしました
算定方式
の1というものにつきましては、いままでの
必要量
の見方のときの
生産調整
をやった結果として出てきました
比率
を用いておりますと、結果的に
生産
量、出回り量と
必要量
、
需要量
とが同じになるということでございますると、幾ら
生産調整
をやっておりましてもそういう
需給事情
が
米価
に反映をされてこない。そういうことでございますると、やはりそれは
米価
の
算定
としては適切ではないのではないか。いつまでたっても過剰という問題が反映されずに、あるいは
米価
が上がって
生産
刺激的になりましてさらに過剰を累積をする、そういうおそれもないわけではないというふうなことがございます。したがいまして、私
ども
現在
生産調整
をやっているという実態に即しまして、潜在的な
需給ギャップ
というものを反映をさせた
米価算定
というのが現時点では合理的なのではないかというふうに
考え
まして、今回のような
算定
の方法をとったわけでございます。
新盛辰雄
113
○新盛
委員
どうも納得できません。同じところを言っておってもしようがないのですが、これからの問題でありますから、米の
需給
見通しについて質問しておきます。
けさ
ほどの質疑応答の中では、新しい備蓄
方式
を
考え
ていかなければならない、こういう
状況
報告がありました。低温保管だとかあるいは棚上げなどの
需給
対策
、こうしたことについて、
需給
にアンバランスがあるからそうなるんだ、
政府
が計算したところでは来年度持ち越しは六十万トンである、こういうふうに言っておるわけであります。しかし、六十万トンと言えば、一カ月の国民の消費が五、六十万トンなんですから、消えてしまうのですね。ところが、
政府
米は三十万トンだ、これは一カ月分ぐらいだ、また九十万トンぐらい将来は出るであろう、何かごろごろと坂道を車が転がっていくような話の仕方でございます。 昨年度内のあれですが、
需給
の見通しの中で、いま
政府
の買い入れでは四百七十万トン。ところが、これは食糧庁が出している資料の中にあるんですが、現実は三百五十四万トンしかない。ところが、逆に
自主流通米
は二百九十万トンの予定に対して三百二十万トン、これはどんどん増大をしている。こうした中における全量
管理
というのがこの
一つ
の大きな点になるわけです。だから、この全量
管理
を崩していくかのごとき
状況
でこの備蓄の問題ということも
考え
なければいけない。この備蓄は、実は二百万トンの回転備蓄をどうするか。しかも、国会では自給率、備蓄の決議がございます。だから、こうしたことを踏まえていま新しい備蓄
方式
を
考え
なきゃならない。しかし、私は、五十四年から五十三年米、古々々米というんでしょうか、これらの消化の内容を見ましても、非常時における備蓄、こうしたものと飼料に回すもの、三百十万トンぐらい、こう言っているのだそうですが、こうしたことは、もはやこれから、米過剰、
過剰基調
にあるという
説明
が大半
財政
事情
と絡んで出てきているのですけれ
ども
、そうはいかないのじゃないか。現実、実は米は不足しているのじゃないか。 食糧庁は、これは示達をしたのかどうかわかりませんが、私の地元鹿児島では、食糧事務所が農協の倉庫を全部あけて余り米は出してくれ、供出をしてくれという。これは全国的だろうと思いますが、悉皆
調査
というのか、そういうことまでしなければならない現状である。だから、こうしたことについて、米が余っている、
過剰基調
であるということは、どうしても国民は納得できないのじゃないかと思うのです。こうして、米づくりをさせないために、水田利用再編成を徹底的に推し進めるために、逆にそういうふうな面において
政府
は隠しているのじゃないかということも言われているのですが、一体これはどういうことなんですか。
中山昇
114
○
中山政府委員
米の
需給事情
と備蓄についてのお尋ねでございます。 米につきまして、昨
年産米
につきましては千二十六万トンの
生産
でございまして、昨年の十月末に約九十一万トンの
政府
の在庫がございました。これに対しまして、昨年の十一月からことしの十月までの
需要量
は約千六十万トンでございまするので、ことしの十月末の持ち越しは、先生御指摘のように六十万トン程度になるということでございます。この持ち越し量につきましては、先ほ
ども
御答弁申し上げましたように、
政府
米の一カ月の
需要量
というのは三十万トン程度でございまするので、これで大体二カ月分の持ち越しになろうかということでございます。 本
年産米
につきましては、昨年、一昨年と不作が続いたというふうなこともございまして、米の
生産調整
につきまして、転作等目標面積を四万六千ヘクタール軽減をいたしまして、
生産
量を二十五万トン相当程度
増加
をする。平年の作柄でございますれば、来年の十月末には九十万トン程度の供給余力を持つということになりまするので、仮にことし不作であったとしても、特に
需給
上心配はないというふうな
状況
にあるわけでございます。 それから、備蓄の話と絡みまして、いま集荷に非常に力を注いでいるのではないかというお尋ねでございます。 私
ども
、米につきましては先年お願いをいたしました新しい
食糧管理法
に基づきまして、全量
政府
が
管理
をするという大原則のもとに、
自主流通米
も
政府
米もあわせまして
政府
が
管理
をしていくという方針で臨んでおるわけでございます。したがいまして、国民が必要とする米は確実に正規の流通ルートに乗せるということでやっておるわけでございまして、もし先生御指摘のように一部の地域におきまして余り米の集荷をするというふうなことがやられておるということでございますれば、これは、いま申し上げましたような食糧
管理
の立場から、全量
政府
が
管理
をしていくという上でできるだけ不正規な流通ルートに乗せることなく、余り米でございましても全部その正規のルートに乗せるというようなことをやっておるわけでございまして、私
ども
米が足りないからそういうことをやっておるという
状況
にあるわけではございません。
新盛辰雄
115
○新盛
委員
最後
に、この
水田利用再編対策
の問題で、これまで六十七万七千ヘクタール、今度四万六千ヘクタール例の
冷害等
で差し控えられたとおっしゃっているのですが、三千五百億に当たる膨大な利用再編
対策
の奨励金等が出ているわけで、そこに着眼をして、
財政
的な問題と絡めてきている。この水田利用再編は、もはや転作していく中でもたんぼはもう非常に荒れてしまっている。このまま推移していくと日本の
農業
は壊滅をするというふうにも言われているわけです。そういう
実情
からいきますと、えさ米などのこれからの利用
拡大
は大きくなるであろう。加工用米もそうでありますが、そういうことについて、これまで何回も主張してきたのでありますが、これからの
対策
をどういうふうに
考え
ているのか。 それとまた、将来の
農家
が魅力ある
農業
へ、そういうような面の
生産
意欲をかき立てるものは何か。後継者の問題でもあるわけです。水田利用再編成でどんどんつぶされていってしまって、変わるものも定かではない。そうして荒廃の中に犯されている中核
農家
、先ほどの
説明
では、これはだんだん消えてなくなる運命である。
農業
は結局日本からなくなる、こういうことにつながっていくわけですから、三期
対策
はもうやめなさい。もはや二期
対策
の今日の条件の中で、米が過剰であるという理由についても非常に薄弱である。だから、そうしたことのいわゆる食糧
管理
、ある意味では総合的な食糧
管理
をやらなければならないという新しい農政への位置づけがだんだん大きくなりつつあるのですね。 そういうことに対して、これからどういうふうに展望をお持ちになるのか。これはぜひ政務次官にもお答えをいただきたいと思いますが、まさしく
米価
をめぐる問題から、全体的にはいまや
農業
の危機、この
要求
が入れられなければもはや生活への展望も何もないという切実な要望が出されているし、行動も起こっております。それにこたえて、きょういま米審にかかっているそうでありますが、再
諮問
をする気はないのか、そのことを申し上げて、ぜひ御回答いただきたいと思うのです。
小島和義
116
○小島
政府
委員
米につきましては、国民の基本的な食糧でございますし、また、
農業
生産
のうち約三割を占めておる、
農家経営
にとっても重要な作物でございます。したがいまして、今後とも
必要量
を安定的につくっていくという観点から米に関する政策は進めるべきもの、かように
考え
ておるわけでございますが、過去におきましても大変な過剰をつくりまして、そのために大変膨大な
国家財政
負担を必要としたという経緯もございます。そういうことを踏まえまして、三たびそのような時代をつくり出すまいということで、今日の
水田利用再編対策
を進めておるわけでございます。 第三期
対策
不要というふうな御
意見
もございましたけれ
ども
、私
ども
は、これまでやってまいりました
対策
を踏まえて、さらに今後の米の
需給事情
、転作の定着化の動き、こういうものを踏まえながら、第三期の
対策
というものも進めていかなきゃならないというふうに
考え
ておるわけでございます。
玉沢徳一郎
117
○玉沢
政府
委員
米の
水田利用再編対策
でございますが、要するに、つくった米が全量消費をされれば何も転作をする必要はないと思いますし、過剰
対策
に二兆二千億円も七年もかけて払う必要はないわけでございます。したがいまして、まず第一に、農林省としまして消費
拡大
に御協力をいただくということにいたしておるわけでございます。しかしながら、どうしても消費が供給、
生産
体制に合わない、
過剰基調
が続けられていくということでありますれば、これは転作等におきましても農民の
皆さん
にお願いをしなければならぬ、こういう
事情
にあるわけでございます。 その体制におきまして、なおそれが定着をするような基盤づくりというものは進めていかなければならぬのではないか。つまり、
規模
を
拡大
すれば小麦におきましても大豆におきましても十分
所得
は得られる、こういう側面がもう
一つ
あると思います。 また、米の問題におきましても、現在の
価格
におきましても、たとえば
規模
を
拡大
しまして、五町歩以上というような
規模
において耕作していくことができるという環境が整備されてまいりますならば、
農家
の将来におきましては大変明るい展望があると私は思うわけでございます。したがいまして、農用地利用増進事業を通じまして
規模
の
拡大
等にも努めておるわけでございますし、その方向もいま逐年増大をいたしてきておるわけでございます。 また、
価格
ばかりではなくして、構造改善あるいは土地利用基盤の体制等を通じまして、
生産性
の向上により一層の
努力
を重ねていく、これが大事ではないか、このように
考え
ておる次第であります。
新盛辰雄
118
○新盛
委員
終わります。 〔加藤(紘)
委員長
代理退席、
委員長
着席〕
羽田孜
119
○
羽田委員長
新盛君の質疑は終わります。串原義直君。
串原義直
120
○串原
委員
五十六
年産米
の
生産費
の数字が出ました。それによりますと、六十キロ
当たり
二万三百七十八円。これは、よほど大
規模
な
農家
でも
米価
を上回ったところの
生産費
になるのではないか。 この
生産費
から計算いたしますと、現行の
米価
で
生産費
と
所得
の補償される
農家
規模
は何ヘクタール以上になると計算されていらっしゃるか、教えてもらいたい。
中山昇
121
○
中山政府委員
お尋ねのように、五十六
年産米
の
生産費
が統計情報部の方から発表になりまして、六十キログラム
当たり
の第二次
生産費
では、二・五ヘクタールから一二ヘクタールの層を除きまして、
生産費
の方が
米価
を上回っているというような
状況
でございます。ただ、この第二次
生産費
の中には、いろいろ議論のございます自己資本利子でございますとか自作地
地代
でございますとかというふうなものが入っておりますので、それを除きました第一次
生産費
で見てみますと、〇・五ヘクタール
未満
の層を除きまして、すべての層で
米価
の方が
生産費
を上回っておるというふうな
状況
にあるわけでございます。 もし先生が、五十六
年産米
の
生産費
につきまして
経営
規模
別に
物価修正
をいたし、それから
自家労働部分
について
都市均衡労賃
で
評価
がえをして、一体どれくらいの層をカバーしているのであるかというふうなお尋ねであるといたしますと、五十六
年産米
の
生産費
、
所得
を補償する
経営
規模
というふうなものを私
ども
ただいま手元で計算をしたようなものはございませんので、お答えできないわけでございます。
串原義直
122
○串原
委員
それは、あなた、無責任な答弁だな。冗談じゃない。食糧庁、あなたのところで出した資料に載っているじゃないか。私の計算するところ、私の見るところでは、この第二次
生産費
で勘定に合う
農家経営
規模
というと二町歩以上ということになるんだ。そうじゃないですか。見当つけてないなんて、冗談じゃない。
中山昇
123
○
中山政府委員
単純に
経営
規模
でどれくらいかということでございますと、ただいま先生が御指摘になりましたとおりでございます。
串原義直
124
○串原
委員
だから、私はそれを聞いたんですよ。それをすっと、あなた、返事すればいいんだ。 したがって、私の聞きたいのは、二ヘクタールくらい以上でないと赤字の
米価
である、逆に言うとそういうことになりますね。でありますから、逆に言うと今回の
諮問
米価
は
据え置き
である。
据え置き
にした。したがって、二ヘクタール以下の
農家経営
規模
の
皆さん
は米づくりは赤字なんだ。これを認めるわけですか。どうです。
中山昇
125
○
中山政府委員
五十六
年産米
の
生産費
につきましては、五十六年が
御存じ
のような不作というような
状況
もございまして、多少
生産費
は平年よりかかっておるのではないかというふうに思うわけではございますが、確かにお尋ねのように二ヘクタール以下の層の方は
米価
が
生産費
を下回っておるというふうなことは事実でございます。 ただ、その場合に、先生おっしゃっております
生産費
というのは第二次
生産費
でございまして、その中には、
経営
外に支払うもの以外に自己資本なり自作地の
地代
なりというのが入った
生産費
である。そこの部分が多少
米価
によって額が大きくなったり小さくなったりしているということはあろうかと思います。
串原義直
126
○串原
委員
つまり、それは若干の解説であっ ずばり申し上げますならば、二ヘクタール以下の
米作
農家
は、金額はわかりませんけれ
ども
赤字になるんだ、こういう結果が明らかになったわけですよ。これを私は重大な事項として確認をして、次の質問に移りたいと思っているわけであります。 そこで、
けさ
ほど解説をしてくださいました「五十七
年産米穀
の
政府買
入
価格
の
試算
」があります。これは、時間がないからそれぞれ詳しく質問はできませんが、一ページの第(2)、
算定
2のところは「
対象農家
を、
水稲作付面積
一ヘクタール以上のものとした値」ということになっているわけでありますが、これは、私は実は重大だと思っているのです。 つまり、
一つ
確認をしておきたいのでありますが、これまでは、小
規模
農家
を除外したといたしましても、大体五俵
未満
の
農家
を除外したにすぎなかった。ところが、この
算定
には除外
規模
を大幅に
引き上げ
て一ヘクタール、つまり、これは
平均
でいろいろだからわかりませんが、おおよそ九十俵ぐらい、百俵のところもあるでしょうが、八十五俵のところもあるでしょうけれ
ども
、一ヘクタール九十俵程度に
農家経営
規模
を
引き上げ
た、こういうことであるというふうに私は
理解
するのですけれ
ども
、どうですか。
中山昇
127
○
中山政府委員
ちょっと先生の御質問の御趣旨が私よく
理解
をできなかったわけでございますけれ
ども
、今回の
米価算定
におきまして一ヘクタール以上というようなことで
算定
をいたしました趣旨は、先ほど来申し上げておりますように、そういう一ヘクタール
未満
の
農家
を全く除外をして
考え
る、政策の
対象
外に
考え
るということではなくて、
米価算定
のときに
当たり
まして、こういう過剰の中で非常に
生産費
のかかる
農家
まで入れて
米価
を
算定
するのは適切でないということで
考え
て
算定
をしたわけでございます。 そういうことでございまするから、これはもう私
ども
いままで
米価算定
に
当たり
まして、販売
農家
の中で、たとえば五俵以上の販売
農家
の
生産費
をとるというふうなことをいたしたこともございますし、そういうのと同じような意味におきまして、やはり現在の米をめぐる
事情
の中で適切と思われる
生産
農家
を
対象
として
生産費
を計算をしていくというのが適切ではないかというふうに
考え
てやっておる次第でございます。
串原義直
128
○串原
委員
つまり、いままでも小さな
規模
の
農家
、五俵、六俵という
経営
の小さな
農家
は除外していましたね、計算の場合。それは五、六俵のところを除外していたにすぎなかった。今度は、私が
考え
るとおよそ九十俵前後
生産
をする
農家
まで除外
対象
を
引き上げ
た、こういうふうになってきているわけですから、私の申し上げたいことは、一ヘクタール
未満
農家
といえ
ども
稲作
の
所得
を
家計費
に充てているわけですよ。
農家経営
に大きく寄与させているわけですね。したがって、その
農家
の存在を無視することにつながらないか。いま
一つ
は、先ほ
ども
どなたかの答弁にございましたが、一ヘクタール
未満
の
農家
が日本の米の総
生産
のおよそ四〇%を担っている、こういう話がございましたが、その大きな役割りを担っている
農家
の立場をも無視することにつながらないか、こういうことを聞いているわけなんです。いかがです。
中山昇
129
○
中山政府委員
ただいま一ヘクタール
未満
の
農家
で米の
生産
のうちの約四割を占めておるということは事実でございます。そういう
農家
が現実にあって、その
農家
のおかげで国民の必要とする食糧が供給をされておるということを、私、否定をするつもりはさらさらございません。 ただ、私、先ほど来申し上げておりますのは、現在のように非常に米が過剰で、そういう中にありまして
生産調整
をやらなければならないというふうな
事情
が一方でございます。その中で米の
価格
水準
というのを決めようとしておるわけでございますが、そのときに一体どんなに高い
生産費
のものでも算入をして
平均
値を出して、それで
生産費
として計算をしていくという方法があろうかと思いまするけれ
ども
、やはりそういう道というのは現在の
事情
のもとでは適切でないんではないか。 また、一ヘクタール
未満
の層と申しまするものが、現在、おっしゃるように
経営
の外にいろいろ
費用
をかけておるわけでございます。農機具でございますとか、薬剤でございますとか、あるいは、それに支払い
地代
なり支払い利子をかけましたり、そういういろいろなかかった
費用
を全部足しますと
米価
よりも上回っておる。にもかかわらず、
生産
は継続をされておるというような
状況
でございます。と申しますことは、逆に言えば、そういう
農家
層というのは
米価水準
に余り直接的に
関係
を持たないのではないか、関心を持たないのではないかというようなことも
考え
られるわけでございますし、また、そういう層では
農外所得
だけで
家計費
が十分賄えるというような
状況
もあるわけでございますので、そのような一ヘクタール
未満
の層というような比較的
生産費
の高い
農家
まで入れて計算をするということは、やはり
米価
の
算定
として現在では適切でないのではないかというふうに
考え
るわけでございます。(「その認識はおかしい」と呼び、その他発言する者あり)
串原義直
130
○串原
委員
まさにいまの答弁、認識は誤りだと私は思う。いま
委員
のほとんどの
皆さん
から、その認識は誤りだという指摘があった。私も全くそうだと思う。このことだけで時間をとることはできないのはまことに残念ですが、このことは後で質問される
皆さん
に譲っていきたいと思いますけれ
ども
、全く認識が違っている。極端な表現を申し上げますならば、その認識はとんでもない話だ、私はこう思っているわけです。 そこで、
大臣
がいないから、私は次官に
大臣
のかわりにお聞きをいたしますけれ
ども
、ことしは
諮問
米価
は
据え置き
であった。去年の
算定方式
でやると九・四%上がるはずだ。おととしの
算定方式
でやりますと二〇・六%の
米価
値上げになるわけでございます。こういうわけですね。ところが、
据え置き
諮問
をなさった。これは、言われるところの全く逆算の
米価
である。どんなに解説をしても、この資料の数字を入れていただいてみても、どんなふうに言われても逆算
米価
である、農民の期待にこたえないものである、再
生産
に見合う
米価
でないと言えるわけである、こういうふうに私は断ぜざるを得ないわけですね。つまり、食管法という法律によって
米価
を決めていかなければならぬわけでありますが、私は、法を守らない立場での
諮問
米価
である、こう言いたいわけですよ。つまり、もっと言うならば、適切な表現じゃないかしれぬけれ
ども
、何かごまかされた感じのする
米価
である、こんな感じがするわけであります。 したがいまして、五年もこんなかっこうで続いてきたということに対する農民の不満に対して、あなた、
政治家
としてこの席でぴしゃっと明確な御答弁を願いたい。
玉沢徳一郎
131
○玉沢
政府
委員
先生ただいま御指摘のように、
価格
を
決定
するに
当たり
ましては、食管法第三条二項によって生所
方式
ということに相なっておるわけでございますが、しかし、その
算定方式
そのものは決して固定をしておらないということはお認めをいただけると思うのであります。つまり、もししからば食管法がないということを想定をした場合におきまして、一年間
生産
をし供給をしております一千万トン前後の米、これに対しまして六百万トンの米が余ったということを想定して、
需要
と供給の
関係
だけで
米価
が決まるということにいたした場合におきましては、これは
米価
が大暴落をする。しかも、過剰な六百万トンというものに対しまして二兆二千億円という巨大な
政府
の資金を投入しないで放置した場合におきましては、私は大変な事態が
考え
られると思うわけでございます。 しかしながら、食管制度というものはなぜいいかといいますと、これは、不測な事態が生じましても
平均
的に国民にお米を供給する、過剰な事態になってもそれ以上の大変な大混乱になることを防いでいる、こういう観点に立って、単なる
需給
関係
だけではなくして、やはり
農家
そのものも現在の状態の中において
生産
を続行していくことができる。こういう観点に立っての食管制度というものの存在があるということを申し上げたいと思うわけでございます。 したがいまして、私は、
価格
の点におきましても、上げればそれは
農家
の
皆さん
にも大変喜んでいただけるかと思うわけでございます。しかし、
政治家
としまして判断をした場合におきましては、ことしの十月はアメリカとの
関係
において農産物の自由化の問題、いままで一生懸命
努力
をしてまいったわけでございますが、外国との交渉をする場合におきまして、もし日本の国内において
意見
が二つも三つも分かれて、アメリカの米が安いんだからどんどん輸入しろというようなこと、きょうも社会党の
委員
の方から
政府
の答えが統一しないんじゃないかということがありましたが、
一つ
の交渉において足元からはっきりまとまらない、こういうようなことがあったならば、
政治家
として自由化から守るということについてもきわめて困難な
状況
にあるということも率直に申し上げておかなければならぬと思うわけでございます。したがいまして、われわれとしましては、食管制度を通じまして今日の米の
生産
体制を維持していく、同時に、日本の
農業
の根幹でありますところの主要食糧品は日本の農民の手によって確保する、そのためには貿易の自由化に対しても断固として闘う、こういうことを明確に申し上げまして、答弁にさせていただきます。
串原義直
132
○串原
委員
次官、自由化の問題等につきましては、私はまた改めた機会に譲りたいと思っています。 もう一度、次官、聞きますけれ
ども
、私の申し上げたいのは、
米価算定
方式
が余りにも御都合主義ではないか、そういうことを言っているのですよ。つまり、去年の
算定方式
でことしの
米価
を計算すると九・四%上がるというのですね。おととしの
算定方式
でやりますと二〇・六%上がるはずでございます。それが、ことしはまた
算定方式
を変えて
据え置き
になりましたということでは、
算定方式
というのはあるのかないのか、霧みたいな話だということに実はなりかねないわけですね。したがって、
算定方式
というものが定まっていない。御都合主義と言われてもやむを得ないようなかっこうで、
算定方式
がこういう文章になってくるということを、
政治家
の次官としてはいいことだなと思わないでしょうということを私は聞いているのですよ。いかがです。
玉沢徳一郎
133
○玉沢
政府
委員
確かに
算定方式
というものが常に正しく、正しくというよりも、つまり
一つ
の
方式
でだれにもすぐびんとわかる、こういうことで終始をしていけば、先生のおっしゃるとおりに、私もそれが一番いいと思います。 しかしながら、要するに、
需要
と供給のアンバランスが依然として存在をしておる。しかも、国内の
財政
事情
がきわめて逼圧をしてきている。マイナスシーリングということになってまいりますと、農林省全体の予算ということを
考え
てみましても、この
米価
及び米だけが
農業
政策のすべてではない、こういうことも総合的に判断せざるを得ないわけでございまして、そういう観点から、今回いろいろな条件を加味いたしまして
決定
したのが
諮問
案である、こういうことを申し上げたいと存じます。
串原義直
134
○串原
委員
いま一度次官に伺います。 次官の言わんとすることも、私、わからないわけではない。したがって、私の言わんとすることは、
需要
供給ということもある。ないとは言いません。あるでしょう。しかし、基本的なレール、汽車で言うならばレールと私は申し上げますが、レールである
算定方式
がそのたびにぐらぐらしている。一体千葉へ行くのか埼玉へ行くのかわからないというような、ちょっとそういう言い方では極端かもしれませんね。しかし、それにしても四、五年たったらとんでもない方向へ行っちゃったというかっこうになりかねないようなことでは困る。特別なことがあれば別といたしまして、通常、
需要
供給のことは別に処理をする方法を
考え
るとしても、通常な
段階
である限り、おおよそのレールというものは、こういう
算定方式
でいくべきだというレールというものはそう変わってはいけない、こう私は思う。そのレールの上を走る列車は、特急の場合もあるし、特急でない各駅停車もあるでしょう。レールはそんなに変わってはいけませんよ、こう思うのです。だから、そういう
方式
をそろそろ
考え
ていく時期に来ているのではないか。次官、どうです。
玉沢徳一郎
135
○玉沢
政府
委員
基本としましては生所
方式
ということになっておるわけでございますが、今回の
米価
におきましても、決してその基本を外れたものであるという認識は持たないわけでございます。その
方式
を貫きながら、なおかつ諸情勢を勘案をして
決定
をした、こういうことでございます。
串原義直
136
○串原
委員
生所
方式
を勘案しながらといっても、たったおととしの計算
方式
をことし当てはめたら二一%の格差ができるなんという話は、次官、とてもぐあいのよろしい
算定方式
とはどうも言いがたい。もう少しわかりやすい、
生産
者も納得のできるようなスマートな
算定方式
というものをレールとして確立しておくべきではないか、こう思うのですよ。生所
方式
というものを全然加味してないと私は言っておるのじゃないですよ。そうではあろうけれ
ども
、その上になおかつこんなに年とともに変わってしまっては困るじゃないか。もうちょっと信頼のできるようなかっこうで、これは法によって決めるわけですから、信頼のできる方向で
算定方式
を明確にする時期に来ているのではないか。ぴしゃっと決まるというわけじゃないでしょうけれ
ども
、その方向を模索すべきだと私は思います。次官にそれを聞いておるわけです。
玉沢徳一郎
137
○玉沢
政府
委員
数学の公式は
一つ
でありますけれ
ども
、いろいろな諸情勢というものが経済の中にはあるわけでございますので、
一つ
の固定した
方式
というものはできるだけ模索するといたしましても、最善なものに対して
努力
するということは確かに必要でありますけれ
ども
、今回の
諮問
米価
におきましても決して軌道を外れたものではない、こういうことを申し上げたいと存じます。
串原義直
138
○串原
委員
したがって、私は全然脱線したものだという立場を言っておるのじゃない。そうではなくて、生所
方式
という立場を堅持しつつもと言いながら、こんなかっこうで、さっきから繰り返しておりますように、去年、おととしと比較すると大変なことになっている。こういうかっこうにならないものを、生所
方式
という枠をきちっとしておきながらも、その中で年とともにずいぶん大きな格差のできるような
算定方式
でないものを模索すべきではないか。そういうことを検討する時期に来たのではありませんか。次官、こういうことを私は申し上げておるわけです。同感でしょう。いかがですか。
玉沢徳一郎
139
○玉沢
政府
委員
基本方針も確かにそうだと思いますけれ
ども
、そのためには、米の過剰の状態、こういうものが解消されていって、
生産
と供給というものがバランスをとる。それから同時に、
財政
におきましてもそういうものが許される、こういう
事情
が加味されなければ、安定した恒久的な
方式
というものが確立することはなかなかむずかしいではないか、こう思うわけです。
串原義直
140
○串原
委員
このことだけで時間をとったのではちょっと困りますから、私は、そろそろ年とともに
算定方式
が違うということでないものをぜひ模索する
努力
をされるように強く期待をしておきたいと思っているところでございます。 そこで、大蔵省に伺いますが、大蔵省は、
米価算定
に当たって、
財政
事情
等々の都合から
米価
を下げたらどうか、こういうことを強調されたと報道されているのですけれ
ども
、本当ですか。
千野忠男
141
○千野
説明
員
諮問
案が
けさ
提出されたわけでございますが、
諮問
案が農水省において検討されます過程におきまして、大蔵省も
財政
当局としての立場からいろいろと御
協議
にあずかりまして、それなりの御
意見
も申し述べてきたところでございます。 ただ、
政府
部内の検討の過程でどんなことを言ったかということは、一々申し上げることは差し控えさせていただきますけれ
ども
、
財政
当局といたしましては、先ほど来話が出ておりますような米の深刻な、構造的な
過剰基調
、それから、それに対処するために
生産調整
等に巨額の
財政
資金を投入してきたこと、それから、五十八年度予算に関して言えば、例のないマイナスシーリングというような厳しい
状況
に直面していること、こういったことをいろいろ勘案いたしますと、
生産者米価
の取り扱いにつきましては、これまで以上の厳しさ、慎重さを持って運用しなければならない、かような
考え方
を申し述べてきたところでございます。
串原義直
142
○串原
委員
そこで、大蔵省に続いて伺いますが、大蔵省は、
食糧管理制度
、食糧
管理
の政策、この基本をどのようにお
考え
になっていらっしゃるか、思っていることをすぱっと言ってもらいたい。食糧の自給率を向上させるということが一番大事なんですよ、そういうふうに私は思っているのです。大蔵省はどうですか。
千野忠男
143
○千野
説明
員 大正七年に米騒動がございました。その後、いまの食管法のずっと前身の法律がそういったいろいろな事態の反省に立ってつくられた。その後、いろいろ検討を重ね、経験を積みまして、現在のような食管法ができてきておるわけでございます。 その基本は、何と申し上げましても、主要食糧である米の安定供給ということでございます。したがいまして、私は、このような目的のために食管制度があるということは非常に大事なことである、かように思っております。 ただ、この食管制度の運用あるいは制度そのもののあり方につきましては、基本的な目的のためにどういうことが正しいのか、どういうような改善の余地があるのか、こういう観点から常に見直しを厳しくしていかなければならぬと
考え
ております。
串原義直
144
○串原
委員
実は、時間があればあと二、三大蔵省とも
意見
を交換したい、質問したいと思っていたのですが、時間がありませんから、先へ進みます。 私が大蔵省に
最後
に強く要請をしておきたいのは、とりわけ
米価
の問題については、食管法の趣旨、いま答弁の中にも若干含まれておりましたが、食糧政策をまず優先させる、そういうかっこうで農林省と連携をとりながら検討していくという姿勢を貫いてもらいたい。まず
財政
優先では困る。
財政
だけ心配していると食糧は大変なときが来る、私はこういう心配を持っている者の一人ですから、このことを強調させておいていただきたいと思います。次に移ります。 臨調の部会報告が過般ございました。それと関連して、
米価
について伺います。 臨調部会では食管制度と
米価
について幾つも触れておられまするけれ
ども
、まずその中で伺いたいのは、去年の第一次答申は農林省は忠実に実行されたようでありますけれ
ども
、ことしは臨調部会報告の内容を大きく言ってどんなぐあいに受けとめられているか、御答弁願えませんか。
中山昇
145
○
中山政府委員
けさ
ほ
ども
大臣
から御答弁がございましたように、臨調第一部会の部会報告が出ておるわけでございますが、その後、本
調査
会の答申を経て私
ども
最終的に
意見
を申し上げたいというふうに思うわけでございまするけれ
ども
、臨調の部会報告の中で、
食糧管理制度
関係
でいろいろな御指摘があるわけでございます。 その中で、
一つ
、
生産者米価
については、
生産
抑制的に定めていけというような御指摘、あるいは「中核
農家
のコストと
所得
を基準とする方向で改善を図る。」というような御指摘もございます。それから、売買逆ざやを早期に解消しろというような御指摘もございます。また、中長期的には
食糧管理制度
、現在の全量
管理
方式
の見直しを行えというような、いろいろな観点からの指摘がなされておるわけでございます。 私
ども
といたしましては、
食糧管理制度
につきまして、現在、新しい
食糧管理法
が改正されたばかりでございまして、その新
食糧管理法
に基づきます食糧
管理
を適切に運営をしていくという立場で、いろいろ御指摘がある中で、取り入れられるべきものは取り入れまするけれ
ども
、検討いたしまして取り入れられないものは取り入れないというつもりでございます。
串原義直
146
○串原
委員
いま御答弁がありましたように、日本の将来の食糧確保という立場から、信念と自信を持って、取り入れられないなと思ったら自信を持って進んでもらいたい。 これを注文しておいて、次の質問に移ります。 いまちょっと触れられましたけれ
ども
、売買逆ざやは早期に解消するようにという意味の提言が臨調からあるわけですね。といたしますと、この提言を受けるというようなかっこうで、ことしも消費者
米価
というのは
引き上げ
るということを、後半、検討されるのですか。
中山昇
147
○
中山政府委員
米の売買逆ざやにつきましては、物の値段といたしまして、買い入れ
価格
の方が売り渡し
価格
よりも高いという
状況
は適切なものではございませんので、売買逆ざやについては解消していくというような方向で従来から売り渡し
価格
、買い入れ
価格
の運営をいたしてきたわけでございます。 ただ、本年の米の
政府
の売り渡し
価格
をどうするかという点につきましては、全くまだ何も決めておらない
段階
でございます。
串原義直
148
○串原
委員
つまり、消費者
米価
については、いまのところ何も
考え
ていない、上げるということを
考え
ていない、こういうことでいいですか。
中山昇
149
○
中山政府委員
ただいま本
年産
の
生産者米価
につきまして御
諮問
を申し上げて、御討議をいただいている
段階
でございます。米の
政府
売り渡し
価格
をどうするかという点につきましては、食管
財政
全体の運営の合理化等々の問題とともに、これから先、米なり麦なりの買い入れ量がどういうふうになるか、あるいは外麦の
価格
がどうなるか、食糧
管理
をめぐりまする諸般の
事情
を見きわめた上でなければ
決定
をすることはできないというふうに思っておるわけでございまして、まだ
政府買い入れ価格
すら決まっていないいまの
段階
におきましては、上げるとも下げるとも全く
考え
ておりません。
串原義直
150
○串原
委員
つまり、
政府
の買い入れ
価格
の方は去年と同じにしたいと思います、こういうかっこうでいま
諮問
しているからね。そういう立場から、逆ざやを解消するということになりますと、消費者
米価
を上げるということになっていくのですか、こういう立場で聞いているわけですよ。確かにまだ
生産者米価
は決まっていません。けれ
ども
、去年と同じでいきます、いきたいのですよ、こう言われているので、その上に立った売買逆ざや解消ということになると、消費者
米価
はどうなるのですか、こう聞いているわけです。したがって、それはいまの
段階
では全然
考え
ていません、こういう
理解
でいいですか、こう聞いているのです。
中山昇
151
○
中山政府委員
現
段階
におきましては、本年の
政府
売り渡し
価格
をどうするかという点については
考え
ておりません。
串原義直
152
○串原
委員
売買逆ざやの問題について、もう
一つ
触れておきたいわけでございますが、食管法の存在というのは、実は逆ざやがあるところに大きな存在意義があると私は
理解
しているところでございます。逆ざやが全然ないんだということになりますと、食管法の存在意義那辺にありやということになるのではないか、こう思っているわけでございます。そういう意味で、売買逆ざやをなくして、コスト逆ざやまでなくしたら、どうもこれまた食管法の検討というような話になりかねない議論に発展すると
考え
ていますので、それに対する農林省の
考え方
を明確に承っておきたいと思うのです。
中山昇
153
○
中山政府委員
現在、
食糧管理法
におきまして、
政府
の買い入れ
価格
につきましては、
生産費
、
物価
その他の
経済事情
を参酌し
米穀
の再
生産
を確保することを旨として定める、それから
政府
の売り渡し
価格
につきましては、相同様に、消費者家計の安定を旨として定めるということになっておりまして、その結果として、現在、両
米価
の間にいわゆる売買逆ざやが生じておるということでございます。ただ、従来、
食糧管理法
を運営をいたしておりまして、売買逆ざやがなかったという
状況
もございまして、買い入れ
価格
、売り渡し
価格
、それぞれのルールに基づきまして
決定
をいたしました結果、売買逆ざやが存在したり存在しなかったりというようなことになるわけでございます。 したがいまして、両
米価
をこういう食管法の規定に従いまして
決定
したからといって、直ちにそれが売買逆ざやの存在を前提とするものであるというふうには私
ども
考え
ておるわけではございません。売買逆ざやにつきましては、先ほど来申し上げておりますように、買い入れ
価格
の方が売り渡し
価格
よりも高いというようなことでございますと、物の値段のあり方としてどうも不自然であるということでございますので、これは解消に努める必要がある、そういうふうに
考え
ておりますけれ
ども
、先生の御指摘がありましたようなコスト逆ざやというようなことになりますると、これは食糧
管理
全般に相当
影響
を及ぼしまして、この場合につきましては、売買逆ざやの解消という問題とは逆に、相当慎重な検討を要するのではないかというふうに
考え
ておる次第でございます。
串原義直
154
○串原
委員
そういたしますと、売買逆ざやについては情勢が変わることもあり得るけれ
ども
、コスト逆ざやというものについてはなかなかそんなわけにはいかない、食管法の精神、存在意義からいって、むしろあって当然といいますか、そんな売買逆ざやを解消するような
考え方
とは別に
考え
ていかなければならぬ、こういう
理解
でいいわけですね。
中山昇
155
○
中山政府委員
先生おっしゃいますように、売買逆ざやの解消という問題とコスト逆ざやの解消という問題の間には相当性格的に違いがございまして、売買逆ざやの解消の方はともかくといたしまして、コスト逆ざやの解消ということになりますと、私
ども
これを軽々にやるわけにはいかぬだろう、食糧
管理
全般に及ぼす
影響
を十分慎重に検討した上でないと簡単には踏み切れないのではないかというふうに
考え
ておる次第でございます。
串原義直
156
○串原
委員
次の質問に移ります。
自主流通米
助成についてでございますが、これは臨調でも指摘をいたしておりますけれ
ども
、
自主流通米
の助成を圧縮する、縮小するということになりますならば、ついこの間
決定
をいたしました食管法改正の際に、売買逆ざやと流通経費を
政府
が負担している中で
自主流通米
が流通するというハンディキャップがあるため、今後とも適正な助成措置は継続する必要がある、こういうふうに言われてあの際食管法の議決等々もあったというふうに私は
理解
をしているわけであります。そういたしますと、
自主流通米
助成をこの際圧縮していくということになると、食管法審議の際の立場と矛盾してくるのじゃないか。これが質問の第一。 それからいま
一つ
は、もし自流米助成の縮小を図ったとするならば、同じ質の米の流通でありますならば、
政府
米の方が有利になる、これは当然のことだというふうに思っているわけでありますが、そういう方向になっていって
自主流通米
の流通に支障が出てくるのではないか。これが二つ目。 そうなるとすると、ことに私の心配いたしますのは、Bランク米はかなり値崩れになるのではないか、こういうことも憂慮するわけであります。したがって、これは、経過もずっとあったわけでありまして、
自主流通米
助成についても軽々に取り扱うべき筋のものではない、こう私は判断するのですけれ
ども
、いかがでしょうか。
中山昇
157
○
中山政府委員
自主流通米
の助成につきましては、
自主流通米
助成を始めましたときにありました売買逆ざやというものに比べまして最近は非常に売買逆ざやが縮小をいたしてまいりまして、一類銘柄というようなものを見てまいりますと、むしろ売買逆ざやがなくなってきておるというような
状況
もございます。自主流通助成を始めましたときは、自主流通の方にも相当のハンディキャップがございますので、その円滑な流通を確保する上でどうしても必要な
財政
措置はとらざるを得ないであろうということでやってきたわけでございまするけれ
ども
、最近のように自主流通の
割合
も全流通量の中の四割近くにもなってきておるというような
状況
もございますし、
自主流通米
の建て値も最近上がっておるというような
状況
からいたしますと、自主流通助成についてもう一度見直しをする必要はあるのではないかというふうに
考え
ている次第でございます。 ただ、御指摘のように、
自主流通米
の助成をなくしました場合に、それが現実の自主流通の円滑な流通に混乱を生ずるというようなことがあってはならないのでございまして、そういうような点も十分
考え
ながら、自主流通制度といいますものが健全に発達をいたしまして、
政府
米とあわせまして、
自主流通米
と一緒になりまして、米という食糧の供給の確保ができるようにするというのが今回の
食糧管理法
改正の趣旨でもございましたから、したがいまして、自主流通助成というものにつきましては、そういう意味合いも込めまして慎重に検討してまいりたいというふうに思っておる次第でございます。
串原義直
158
○串原
委員
自主流通米
助成がなくなるなんということはとてもとても許されることではありませんが、いずれにしても、いま答弁のように、いろんな種類もありますから、いささか検討をする時期に来ていると
考え
ている、見直しといいますか、検討をする時期に来ていると思うけれ
ども
、それはまさに、従来と同じように、あるいはより以上に健全な自流米の流通、これが行われるために検討する、こういう
理解
でいいわけですね。一部どこかで
自主流通米
を減らそうというような報道が幾日か前にございましたが、そういう立場ではなくて、自流米の健全な流通を促進をしていくために検討をする、こういうふうにいまの答弁を
理解
してよろしいか。どうですか。
中山昇
159
○
中山政府委員
自主流通米
につきましては、全体の
政府
が
管理
すべき
米穀
の中で四割近くなってきたというような
状況
がございまして、もし
政府
米の
割合
というものがどんどんと減ってまいりまして、
自主流通米
の方がどんどん大きくなりまして、過半を
自主流通米
が占めるというようなことになりますと、これはまた食糧
管理
、全量
管理
という面からいたしましていろいろ問題も生じてくるというようなこともあわせ
考え
なければいけないというふうには思いまするけれ
ども
、この助成措置の一部に伝えられているような削減というようなことを
考え
ます場合でも、円滑な自主流通に非常に支障を来す、自主流通がどんどん減っていくということになっては、これはまた問題が残るかと思うわけでございまして、いずれにいたしましても、そういうことのないように、
自主流通米
に関する助成を始めましたときの本来の姿を十分
考え
た上で、今後におきまする自主流通助成というものを
考え
てまいりたいというふうに思っておる次第でございます。
串原義直
160
○串原
委員
時間が参りまして、まことに恐縮ですけれ
ども
、
最後
に、次官、一言。 何かこのところ、アメリカあたりで米が
生産
をされて、政策を誤るならば大変なことになるがごとき報道も伝わっている。どんな事態になろうとも米だけは国内で自給をする、輸入をしない、ぴしっとしていくべきだと思うわけでございますが、あなたに責任者として農林省の
考え方
をきちっと聞いておきたい。
玉沢徳一郎
161
○玉沢
政府
委員
農林水産省は、
大臣
が
けさ
ほどから決意を申し述べておりますように、主要農産物につきましては日本の農民の手によって確保する、このことを絶対守っていく、こういう決意でございます。したがって、米の問題につきましてもあくまでも自給体制を確立する、このことは決して変わっておりませんので、今後とも御協力のほどをお願い申し上げます。
串原義直
162
○串原
委員
終わります。
羽田孜
163
○
羽田委員長
串原君の質疑は終了いたしました。 神田厚君。
神田厚
164
○神田
委員
米価
の集中審議が行われているわけでありますが、
委員長
にちょっと注目をしていただきたいのは、自民党の筆頭
理事
さんはおりますけれ
ども
、自民党の
出席
が非常に悪い。これは
米価
の集中審議ですから、やはりもうちょっと
出席
を熱心にやってもらわないと困ると思うのですがね。決議に対しても後ろ向きだし、そういう意味では、ちょっと困りますから、もう少し熱心に取り組んでいただきますようにお願いをしたいと思っております。 ところで、食糧庁の方に御質問を申し上げます。 全中を初めとする統一
要求米価
は四・三七%、きわめて控え目な
要求
をしているわけであります。そういう中で、われわれは、
政府
が今回出されました
諮問
は
据え置き
諮問
、こういう形で
米価
が
決定
されますと、実質五年間にわたりまして
据え置き
がされるわけでありまして、きわめて遺憾であります。そういう中で、
政府
が今回も
米価
の
算定方式
の変更をしたわけでありますが、
算定方式
変更の根拠をひとつ御
説明
を願いたいと思います。
中山昇
165
○
中山政府委員
けさ
ほど来お答え申し上げておりますように、今回の
米価算定
に
当たり
ましても、
生産費
及び
所得補償方式
という
方式
を変更をいたしたわけではございません。その中で、
生産費
及び
所得補償方式
によりながら、
対象
となる
生産費
農家
の
とり方
のところを、最近におきます米をめぐりますいろいろな
事情
を踏まえまして、従来と異なるものを採用をしたということでございます。
神田厚
166
○神田
委員
そうすると、昨年と比べて具体的にどのところをどういうふうに変更して、なぜそういう変更をしたのか、理由をはっきりとお答えいただきたい。
中山昇
167
○
中山政府委員
けさ
ほど来
政府試算
について御
説明
申し上げておりますように、今年の
政府試算
の内容につきましては、
対象
となる
生産費
の
とり方
、このところの変更をいたしただけでございまして、そのほかの計算についてはすべて昨年と同様の
方式
でやっておるということでございます。
試算
のところで(1)と(2)と二つとりまして、いわゆる
対象農家
というものをとります場合に、先ほど来申し上げておりますように、最近におきます
需給
の
過剰基調
というものがございまして、大量の
需給
調整、
生産調整
をやっていなければならないという
事情
が的確に反映されますように、この
生産費
の
対象農家
の
とり方
を改めたというのが第一の
方式
の
やり方
でございます。 それから第二の
方式
の
やり方
と申しますのも、やはり最近の
稲作
の実態を見てまいりますと、一ヘクタール
未満層
と一ヘクタール以上層の間では、
稲作
と申しましても相当の差がある。一ヘクタール
未満層
というのは、
家計費
を賄うのに
農外所得
でやっておるというような実態にもございますし、また、支払っておる
生産費
が
米価水準
を上回っておるにもかかわらず
生産
が継続されておるというようなこともございまして、こういう一ヘクタール以下の層というのは
米価
に対する
関係
の度合いが、それ以上の
農家
と比べてどうもやや違うのではないか、こういうような
状況
がございますので、一ヘクタール
未満
の層を
生産費
の
算定
に
当たり
ます
対象農家
に入れないというようなことをやったわけでございます。 そういうようなことで、最近の
需給
なりあるいは
稲作
の
状況
なり一般的な米をめぐります情勢をより的確に反映するために、こういうような
算出
をいたしたわけでございます。
神田厚
168
○神田
委員
説明
を聞いていても、昨年からことしにかけて、なぜこういう形で変えなければならないかという必然的な
考え方
はない。米の
需給
関係
の問題や、そういうことが問題であるならば、当然昨年においてもこういう問題は指摘をされていてもいいわけでありますけれ
ども
、やはり年々
諮問
米価
の
据え置き
に合わせて逆算
米価
をつくっているということであると言わざるを得ないわけでありまして、現在、米審会場におきましては、
生産
者代表が再
諮問
を
要求
をして中断をされているようでありますが、われわれといたしましても、これから後、再
諮問
を
要求
をして、
農林大臣
に対する申し入れその他を行うつもりでありますけれ
ども
、
算定方式
そのものがやはり非常に問題であるということを指摘をしておきたいと思うわけであります。こういうことをやっていたのでは、いつまでたったってこれはだめですよ。 政務次官にお聞きするのですが、政務次官も
米作
の中心のところにいるわけでありますが、実質五年間
米価
が据え置かれている
農家
の
状況
を見て、どういうふうにお
考え
でありますか。私は、先日も秋田に行ってまいりました。あるいは青森へ行ってまいりました。そして聞く声は、
米価
がこれだけ据え置かれて、しかも不作続きのために、地方経済が非常にまいっている、そして
農家
は本当にもうどうしようもない
状況
だ、こういうことを切々と訴えられておる。政務次官も同じ米の
生産
地域から選出をされている国
会議
員として、その辺のところをどういうふうにお
考え
でありますか。
玉沢徳一郎
169
○玉沢
政府
委員
できることでありますならば、
米価
を上げて
農家
の
皆さん
にも喜んでいただきたい。しかしながら、先ほど来から述べておりますように、米の
過剰基調
の現状にございまして、どうしてもその
財政
負担というものは
拡大
をしていく、こういう
状況
にありますと、つまり多額なる食管の赤字とかそういうものにおきまして、やはり納税者という立場からも相当の批判が出てくるでありましょうし、全体というものを
考え
ました場合には、今回のような形で
諮問
をするということに相なったわけでございます。
神田厚
170
○神田
委員
それは、そういうふうになったのはわかっているけれ
ども
、次官としてはどう思うのだということを聞いているわけです。 この四年間にしましても、いわゆる勤労者の
所得
は三〇%近く上がっている。それから、
物価
にしろ二十数%だ。こういう中で、
生産者米価
だけわずかな値上げでがまんせざるを得ないという
状況
は、やはり政権政党と
政府
の責任ですよ。そういう意味では、
農家
をこれだけ追い詰めたのは
政府
、政権政党の責任だということを強く自覚をしていただかなければ困ると思っております。 ところで、食管の問題に移りますけれ
ども
、いま食糧庁の方からいろいろ
考え方
が示されておりますが、まず第一に、これは何度も言われていますけれ
ども
、食管の中において、食管の根幹を守るという気持ちがあるのかどうか、食糧庁からひとつ御答弁いただきたい。
中山昇
171
○
中山政府委員
私
ども
といたしましては、
自主流通米
も含めまして、国民の必要とする米を国が責任を持って
管理
をすることによりまして、
生産
者に対しましても、また消費者に対しましても、国民の基本である食糧を適正に
管理
をしていくということは非常に重要なことだと
考え
ております。 このような制度の基本というのは、過剰あるいは不足、いかなる食糧事態のもとでもこういう制度が必要であろうと私
ども
考え
ておりまして、この制度が的確にその役割りを果たし得るように、従来から、昨年
食糧管理法
を改正したわけでございますけれ
ども
、今回のこの新
食糧管理法
のもとで、国民に対する米の安定供給が確保されますように、この新しい
食糧管理制度
を適切に運用して、国民の負託にこたえたいと思っている次第でございます。
神田厚
172
○神田
委員
つまり、食管の根幹というものについては今後もきちんと守っていく、そういうふうなお
考え
でありますか。
中山昇
173
○
中山政府委員
昨年改正をいたしました
食糧管理法
に基づきまして、現在の
食糧管理制度
、根幹も枝葉もあるかもしれません、両方とも堅持をいたしてまいりたいと思っている次第でございます。
神田厚
174
○神田
委員
根幹も枝葉も全部堅持をするということであるならば、
価格
の問題は食管の根幹になるのか枝葉になるのかわかりませんけれ
ども
、この
価格
問題についても、当然食管法の精神にのっとってきちんと守っていくということでありますね。
中山昇
175
○
中山政府委員
先生御指摘のとおり、
食糧管理法
の規定に従いまして
政府
の買い入れ
価格
も
政府
の売り渡し
価格
も
決定
をいたしておるところでございますし、今後ともそういたしてまいりたいと思っている次第でございます。
神田厚
176
○神田
委員
そういうことでありますと、先ほど議論になりましたけれ
ども
、食管法の第三条に、
生産者米価
は再
生産
を確保することを旨としてこれを定めるというふうに決められておりますね。その点についてはどういうふうにお
考え
になりますか。
中山昇
177
○
中山政府委員
食糧管理法
の第一二条には、
政府
の買入れ
価格
は
生産費
、
物価
その他の
経済事情
を参酌し
米穀
の再
生産
を確保することを旨として定めるというふうに規定をされておりまして、私
ども
、この規定に従って
価格
決定
をいたしてまいりたいと思っている次第でございます。
神田厚
178
○神田
委員
それでは、農林省の方から発表されました、
生産費
が昨年度に比べて五・一%上がっている、こういう
状況
から
考え
まして、ことしの
試算
米価
によりますと、日本の
農家
の何%が再
生産
を確保できる数字になるでありましょうか。
中山昇
179
○
中山政府委員
お尋ねのように、ことしの
米価
でことしの
生産費
をどれくらいカバーしておるかということになりますと、まだ五十七
年産米
の
生産費
が出ておりませんので、五十六
年産米
の
生産費
と
米価
の
関係
で申し上げますと、第二次
生産費
で見ますと、五十六
年産
では、
米価
が一八%の
農家
の
生産費
をカバーいたしておるというようなことになっておるわけでございます。これは第二次
生産費
でございます。
神田厚
180
○神田
委員
私
ども
の
調査
では、約四〇%の
農家
は、この
試算
米価
のいわゆる
生産費
の問題からしますと、
生産費
を下回るといいますか、大変問題があるというように
考え
ておりますが、いま、第二次
生産費
で一八%というふうなお答えでありますが、それで間違いありませんか。
中山昇
181
○
中山政府委員
先生御指摘の四〇%とおっしゃいますのは、一ヘクタール以下の
農家
の
生産費
が
米価
を上回っておるということだ、そのように
理解
いたしております。
神田厚
182
○神田
委員
そういう
状況
であれば、いわゆる食管の精神であります再
生産
を確保することができる
米価
だとはわれわれは
考え
ていないわけでありますが、その辺はどういうふうに
考え
ておるわけですか。
中山昇
183
○
中山政府委員
米穀
の再
生産
の確保という趣旨でございますけれ
ども
、この再
生産
の確保ということは、すべての
農家
の
生産費
の全部を
価格
で償うというようなことを意味しているものではないと私
ども
考え
ておるわけでございまして、確かに
生産費
が
米価
を上回る
農家
というのが相当な数に上っていることは事実でございますけれ
ども
、実態的には、こういうような
米価水準
のもとでもこれらの
農家
は
稲作
を継続しておりますし、国民の必要とする米の再
生産
に現在のところ支障がないというようなことでございますし、さらにまた、大幅な
生産調整
をやらなければならないというような実態にあるわけでございまして、五十六
年産米
の
米価水準
というものが米の再
生産
の確保を図れなかったというようなことには私
ども
考え
ておらない次第でございます。
神田厚
184
○神田
委員
どうも食糧庁の言っていることはよくわからないのでありますが、全体的に米の再
生産
が確保されればいいというふうな観点に立つのか。少なくともわれわれとしましては、個々の
農家
の問題を取り上げて、
農家
経済その他の
関係
の中で再
生産
が確保できるような形にならなければいけないのではないかというようなことを思っているわけでありますが、いま話を聞いておりますと、こういう形になりますと、
規模
の小さい
農家
というのはどんどん切り捨てられていってしまう
状況
だということで、大変心配をしているのでありますが、食糧庁、農林省の方針としては、そういう小
規模
な
農家
というのはやはりなくなってもいいという
考え方
を持っているのですか。
中山昇
185
○
中山政府委員
私
ども
、
米価
を決めますときに、米の
生産
農家
の
生産費
を一体どういうふうに
考え
るかというようなことも非常に重要なファクターであると
考え
ているわけでございます。
生産
事情
と申しますか、
生産費
と申しますか、それが重要なファクターであるということを否定いたすわけではございません。ただ、それとともに、
経済事情
と申しますか、
需給事情
と申しますか、そういうものも十分勘案した上で
米価水準
というのは決めなければならないであろうと思っているわけでございます。 私
ども
、一ヘクタール以上の
生産費
農家
を
対象農家
として今回の
試算
米価
の
算定
をいたしたわけでございますけれ
ども
、その趣旨は、一ヘクタール以下の層をこれから切り捨てるとか切り捨てないとか、そういうふうなことを
考え
ているわけではございませんで、
生産費
の低い順から並べまして、やはりこういう
過剰基調
のもとで、非常に大きな過剰があるというもとで
米価
を決めます場合には、一ヘクタール
未満層
のような比較的
米価
に関心が特に深くないというような層のものまで入れ込みまして、高い
生産費
を
基礎
として
価格
を計算をしていくというようなことは適切ではないのではないかというふうに
考え
て、今回の
算定
をしたわけでございます。
神田厚
186
○神田
委員
米価
に余り
関係
ないと言いますけれ
ども
、それは相対的な
評価
でありますから、
説明
にならないと思うのであります。結局、こういうふうな形でとっていっても、最終的には
米価
を長年据え置いていくというような
状況
でありますと、同時に、中核
農家
と言われている
農家
もまいってしまっているというのが現状であるわけでありまして、政務次官にお尋ねしますけれ
ども
、食管を堅持をする、食管の幹も枝も堅持をするんだということであるならば、これはやはり
農家
が再
生産
を確保できるような
米価
を決めなければいけないんだ。少なくとも、五年も連続実質
据え置き
のような
米価決定
をしておきながら食管の根幹が守れるというような論理は、これはきわめて矛盾をした論理だというふうに思うわけでありますが、その点、食管についての
考え方
と
米価
についての
考え方
はどうでありますか。 〔
委員長
退席、加藤(紘)
委員長
代理着席〕
玉沢徳一郎
187
○玉沢
政府
委員
食管制度の持つ意義といいますものは、米が不足の場合におきましても過剰な場合におきましても再
生産
を確保する、こういう趣旨にあるということは、先ほど来から申し述べてきたところでございます。 さて、そこで今後の問題でございますが、やはり日本の
米作
農家
における最大の問題点といいますのは、全体の七七%が二種
兼業
農家
である。ということは、約一町歩以下の
農家
が大体七〇%ぐらいで、同じ数字になるわけでございますが、つまり、
経営
規模
が小さいことにおきましては、十分それで生活をしていくことができない。しからばどうするか。やはりこれは
経営
規模
を
拡大
をする、そしてそのもとで専業
農家
というものが発展をしていくという道を探っていくことが大事ではないか。 したがいまして、
農地
三法等の国会成立に伴いまして、農用地利用増進事業も推進をいたしておるわけでございますし、
農地
の流動化というものも逐次進んでおるわけでございますから、こうした
規模
の
拡大
。
農業
団体におきましても、たとえば東日本におきましては五ヘクタール、西日本においては三ヘクタールというものを
一つ
の専業
農家
の基準として今後目指していくんだ、そういう目標もあるわけでございます。したがいまして、土地の基盤の整備ももちろんでありますし、構造政策も同時に進行をすべきであると
考え
ておるわけでございますが、
規模
の
拡大
も重要である、こういうことを申し上げたいと存じます。
神田厚
188
○神田
委員
規模
拡大
はもちろんできればいいことでありますが、なかなかむずかしいわけですね。ただ、
規模
が
拡大
されればそれじゃ理想的な
農業
ができるのかというと、決してそればかりで言えるわけではありませんし、要するに、現在でも、
昭和
四十年には六万八千名もいた後継者がすでに六千人、これもだんだん切るような形になってくると言われている。こういう中で、なぜ
農家
に担い手がいなくなってしまったのか、あるいは
農業
就業者が高齢化しているのか、こういうことは
農業
に対する未来の展望がないからだということであるわけでありまして、そういう
状況
の中で、やはりこの際、私
ども
はきょうの
大臣
の答弁等も聞いておりますと、こういう
米価
を
政府
がとり続けることが日本の
農業
の体質
強化
につながるんだという暴論を吐いているようであります。 そういうことを
考え
てみますと、一体農林省は日本の農政についてどういうことを
考え
ているんだろうか。つまり、こういうふうに
米価
を据え置いていくことが日本の
農業
の将来のためにいいんだというような答弁を午前中にずっとしていた。こういうことでは、根本的にやはり
農業
に対する
考え方
が違うというふうに私は思っております。したがって、これから第三期の転作問題やあるいは臨調の提唱しております
自主流通米
助成、良質米奨励等の奨励金の削減等の問題が具体的に出てくるわけでありますが、そういうふうなことをしてしまって一体日本の
農業
は本当に大丈夫なんだろうか、
稲作
をこれまでこういう形で追い込んできて、さらに日本の
農業
の中心である
稲作
に対するはっきりした具体的な展望もなくして、中途半端な農政をこういうふうな形で続けていっていいんだろうかという反省をやはり持ってこなければならないのではないかと思っているわけであります。 時間もありませんので、
最後
に、第三期のいわゆる減反に対する問題、それから米の
需給
問題に対しましては、
一つ
は、消費
拡大
の
努力
なくして非常に消極的ないわゆる
需要
見通しをしていることについては、これは変えなければならない。その
需要
見通しをしていく中では、やはり精いっぱいの消費
拡大
の運動を並行しながらこれをやっていかなければ、ますます
農業
縮小の論理に陥ってしまうわけでありますから、そういう点では、これに対する
努力
が非常に足らないのではないか。 さらには、転作等の問題につきましても、これをこのまま行いますれば
農家
はますます
農業
に対する展望を見失っていってしまう。そして、いまや休耕補償なんということはもう国民から
理解
をされません。休耕補償ではなくて、転作に対する補償をきちんとしていく中でやはり過渡的な
稲作
農業
を救っていくという道をとらなければならないわけでありますが、その辺のところについての
考え方
と、それから臨調が提唱している
自主流通米
の助成の削減あるいは良質米奨励金の削減の問題、これについて農林省としてはどういうふうにして対応していくのか。 この三点をお聞かせいただきまして、質問を終わります。
小島和義
189
○小島
政府
委員
水田利用再編対策
の今後の進め方、課題につきまして、私からお答え申し上げまして、あとの問題は他の方からお答えいただきます。 ただいまの
米需給
が潜在的に
過剰基調
を深めております中で、米の過剰を回避いたしまして、自給力向上のためにもつと必要な作物をつくっていくということは、今後の農政の
一つ
の大きな柱でございます。全国各地、非常にむずかしい
状況
の中で御苦労して取り組んでいただいておるわけでございますから、そういう
状況
を踏まえまして、また、今後の米の
需給
がどうなるか、転作の定着化の
動向
がどうかということを十分に勘案いたしまして、第三期の
対策
につきましても真剣に検討し、取り組んでまいりたい、かように
考え
ております。
中山昇
190
○
中山政府委員
自主流通米
に対します助成につきましては、先ほど来お答え申し上げておりますように、臨調の報告のあるなしにかかわりませず、
自主流通米
は総流通量の四割近くを占めるに至っておりますこと、また、
政府
米の売買逆ざやが非常に縮小してまいりましたこと等々の
事情
を
考え
ながら、
自主流通米
が
政府
米とあわせて
政府
の
管理
する
米穀
として適正な流通ができますような観点に立ちまして、もう一度自主流通助成の見直しをいたしたいというふうに
考え
ている次第でございます。 それから、先生御指摘の米の消費の問題でございまするけれ
ども
、確かに長期見通しにおきまして今後とも
需要
が減るというふうな見通しをいたしたわけでございますが、これにつきましては、私
ども
決して消費
拡大
の
努力
をしないというわけではございませんで、消費
拡大
のためのいろいろな施策、
努力
をいたした上で、どうも客観的にこういうふうになるのではないかということで見通したわけでございます。先生御指摘のように、米の消費
拡大
というのは非常に重要な問題でございまして、食用、飯として食べる以外の用途も含めまして、これから先なお消費
拡大
には
努力
をいたしてまいりたいというふうに
考え
ておる次第でございます。
加藤紘一
191
○加藤(紘)
委員長
代理 次に、藤田スミ君。
藤田スミ
192
○藤田(ス)
委員
午前中の御答弁の中でも、午後の中でも、一ヘクタール以下を切り捨てて、私はそういうふうに言いたいのですが、それがベターであるかのような御答弁が一貫しておりました。しかし、たとえば大阪に例をとってみますと、
稲作
農家
というのは四万二千四百四十二戸ございますが、その中で、一ヘクタール以上層というのは〇・九%なんです。三百八十二戸。その三百八十二戸の
生産費
だけを
対象
にするということになるわけですね。これは、京都の場合を見ましても、
稲作
農家
は五万八千三百十六戸ありますが、一ヘクタール以上で見ますと四・五%、戸数でわずか二千八百七十三戸です。だから、九五・五%というのは、これは結局どうなってもいいというふうに言っていらっしゃると
考え
ざるを得ないわけです。また、一ヘクタール以下層というのは、
生産費
のうち支払い
費用
の方が
米価
を上回ってしまっている、すなわち絶対的な赤字を抱えて
生産
を続けているわけなんですが、だから無視してもよいというふうになっていくのでしょうか。けれ
ども
、一体だれが今日これほどの赤字を一ヘクタール
未満
の
人たち
に押しつけてきたのかというと、結局そのことは、ほかならぬ
政府
が
米価
を
据え置き
、実質
引き下げ
をやってきてそういう状態をつくってきたんじゃないでしょうか。
大臣
は盛んに、将来の明るい未来のために、こういう言葉を使われて、
生産性
の向上のためにいま農民はがまんをしてくれというように強調されたわけですが、これは、私は二重のごまかしに過ぎないというふうに思うわけです。
生産性
向上というけれ
ども
、
米価
の抑制、
引き下げ
は、
生産性
向上の担い手になるべき、そういう階層の
経営
こそ直撃していくのではなかろうか。もちろん下も大変ですが、しかし、上の方も大変になるのじゃなかろうか。そういう点で、一ヘクタール以上層の
農家
だけを基準とすることについての
影響
を、どこまで慎重な検討をされての上なのか、このことについてまずお伺いをしたいと思います。
中山昇
193
○
中山政府委員
先生御指摘のように、一ヘクタール
未満
の階層の
農家
というのが全体の
農家
の中で非常に数が多いということも事実でございます。ただ、私、今朝来申し上げておりますように、一ヘクタール
未満
の
農家
層と申しますのは、一ヘクタール以上の
農家
層と比べまして
稲作
に対する依存度というのは非常に少ないということでございまして、一ヘクタール
未満
の
農家
層
所得
の中に占めます
稲作所得
の
割合
というのは六ないし六%以下というような
状況
になっておりまして、
家計費
を
農外所得
で賄っておるというのが実態でございます。そういうような
稲作
農家
の
実情
からいたしまして、本
年産米
の
政府買い入れ価格
を決めます
米価水準
といたしましては、
生産費
を安い方から並べましてとる、その
最後
のところということになりますと、どうしてもそういう
農家
まで入れることは、こういう米の
需給
が過剰である
基調
のもとではいささかいかがなものかということで、こういう措置をとっておる次第でございます。 先生おっしゃいますように、一ヘクタール以上の
農家
につきましても、累年にわたります
米価
の
据え置き
ということで、確かに
経営
的にはやや問題を生じておると申しますか、昨年、一昨年と不作でございました
関係
もございまして、いろいろとむずかしい
状況
が出てきておるということまで否定をいたすつもりは、私、さらさらございませんけれ
ども
、一ヘクタール以上の層のところまでの
平均
の
生産費
をとりまして
米価
の
算定
をしておくということをいたしますれば、やはりこれから先の国民の必要とする米を十分確保できるような
米価水準
でもあるというふうに私
ども
考え
ておる次第でございます。
藤田スミ
194
○藤田(ス)
委員
私の申し上げているのは、そういうことで結局
米価
を抑制していくことが自己矛盾を持っていくのじゃなかろうかということを申し上げているわけです。 ここに私は農水省の
農業
総合研究所の須永芳顕さんという方が「
農業
総合研究」という雑誌の八二年一月号に載せられた論文を持っていますが、ここで非常におもしろい
試算
をしているわけですね。仮に
米価
が三〇%低下したとして、そのことに対する
影響
は「例えば五ヘクタールの
水稲
単作専業
農家
の場合には、
米価
が三〇%低下すると
稲作所得
は四五〜五〇%も
減少
し(
農家
の性格上もともと
稲作
以外の
農業
所得
や
農外所得
が著しく少ないので)、
農家
経済が破綻の危機に直面することは必定である。」こう書いているわけです。だから、私は、こういうふうに一ヘクタール
未満
を切り捨てるというようなときに、それ以上に対してもそれ以下に対しても、
農業
に対して、
農家
に対してどういう
影響
が出てくるのかということをどこまで慎重に検討されたのかということを言いたいわけです。 これは、臨調が、中核
農家
育成のためにと言い、そのために
価格
抑制策をと、こう言っているわけですが、実は中核
農家
の
経営
そのものを最初に直撃するという自己矛盾を示している。この
試算
はそういうことを示しているというふうに
考え
ます。農水省も臨調に対して同じような
説明
をしているというふうにも聞いてはおりますけれ
ども
、一体この中核
農家
基準の
米価
ということに対してどういう見解を持っていらっしゃるのか。どういう検討をされておられるのか。
中山昇
195
○
中山政府委員
今朝来申し上げておりますように、
稲作
中核
農家
というものを想定をいたしまして私
ども
本
年産
の
米価
を
算定
をしているということではございませんで、たとえば災害を非常に受けた
農家
を外すのと同じように、私
ども
、一ヘクタール以下の層と一ヘクタール以上の層と比べてみますと、
米価
に対する関連の度合いというもの、あるいは
兼業
で家計を賄っておるとか、そういう違いがございますので、そういう層はやはり
米価算定
の
基礎
に算入をしていかない方がいいのではないか、
生産費
の安い方から順番に並べていきます場合に、そこの層まで入れて
米価
を
算定
するということは、非常に高い
米価水準
になってしまいまして、それは現在の過剰のもとでは適切ではないのではないかというふうに
考え
ておるところでございます。 それから、御指摘のような
米価
を三割も
引き下げ
るというような前提のお話でございますと、それは相当の
影響
が
農家
経済にある、あるいは
稲作
農家
にあるという、それは当然のことだというふうに私
考え
まするけれ
ども
、こういうことで計算をいたしましてやはり昨年並みの
米価水準
というものが
算出
をされたわけでございまして、今後
物価
なりあるいは
賃金
なりがどの程度動くかということもございましょうけれ
ども
、こういうことであれば、
稲作
農家
、特に専業的な
農家
に対しましてそう大きな打撃を与えるというようなことは、私
ども
考え
ておらない次第でございます。
藤田スミ
196
○藤田(ス)
委員
私の尋ねていることにまともに答えていらっしゃらないわけなんです。結局、それほどに十分に検討をされないで今度の
諮問
のこのいろいろの数字が出てきたというふうに
考え
ざるを得ませんし、
政府
の目的とすることも結局みずからの
やり方
の中で破綻をしていくであろう、私はそういうふうに思います。 次の問題に移りますが、やみ米業者の取り締まりについてお伺いをしたいわけです。 昨年の食管法の改正の際に強調されたのは、守れる食管制度にするということだったと思うわけです。つまり、
米穀
通帳などが一億総違反というような状態を法律上でなくして、だれもが守れる制度にしていこうというのが
一つ
のポイントでした。そのかわりに、やみ米流通、不正規流通については法改正によって取り締まりを行っていきたい、こういうことで、そういう問題が起こったときにも、単に都道府県に任せないで、農水省、食糧事務所も力を入れていきたいということもまた言われていたところです。 ところで、食糧庁長官は昨年の十月十二日に「
米穀
の不正規流通防止について」という通達を出されています。さらに、三月二十七日にも通達を出して、「無許可販売業者に対して講ずる措置」として、
一つ
は、警告書の交付、出頭を求めて厳重注意、誓約書の提出指示、無許可販売の即時中止のための指導、二番目には、反復して大量の不正規流通を行っている業者に対しては、名称の公表、警察への告発、こういう手順を踏んで取り締まりをやっていくのだというふうなことになっているわけなんですが、昨年十月、最初の通達を出されてからもはや九カ月
たち
ました。再通達が出てからも、もう三月半たっているわけです。やみ業者は依然として後を絶っていないというふうに思うのですが、指導に従わない悪質業者の氏名の公表や警察への告発は何件に上っているか、お伺いをします。
中山昇
197
○
中山政府委員
昨年の
食糧管理法
の改正に伴いまして、
米穀
の流通業務に携わる者につきましては、販売業者につきましては許可制度を施行いたしたわけでございます。この趣旨は、
米穀
につきましてはやはりそういう特定のルートを通じて国民に供給するのが適切ではないかということでこういう改正をいたしたわけでございまして、それ以来、私
ども
といたしましては、不正規流通というものができる限りなくなるように行政指導を強めている次第でございます。 不正規流通でございまするから、それを営む者があるわけでございまするし、それに対します指導といたしましては、厳正にやっておるつもりでございまするけれ
ども
、先生御指摘のように、昨年の十月以来半年ばかりの年月を経過いたしまして、まず最初に私
ども
といたしますれば中止の指導をやる、その上で、なかなか中止に従わない者、販売中止をしない者につきまして、いま先生おっしゃいましたような氏名の公表あるいは警察への告発というような手続を順次やっていくということでございまするけれ
ども
、当初に比べまして大体三分の二はその不正規流通を私
ども
の指導に従いまして中止をしたというような結果になっておるわけでございます。 なお、これから先告発をする者がどれぐらいあるか、いままでにどれだけ告発する者があったかというお尋ねでございますが、私
ども
といたしましては、やはり行政指導でできる限りこれについては不正規流通をなくすようにさらに指導をいたしました上で、それからどうしても必要なものについては告発をいたすつもりにいたしておりますので、いまのところ警察に告発をしたものはまだございません。
藤田スミ
198
○藤田(ス)
委員
私は、それが非常に甘い姿勢だと思うわけです。 先日、杉並区のお米屋さんの御案内で、やみ販売の実態というのを見てきたわけです。 新宿区に本社を置いている丸正食品というチェーン店なんですが、この食品スーパーが、東京、神奈川、埼玉三県にまたがって六十五店の支店を持っています。そこでは、やみ米を堂々と売っているわけですね。その中の
一つ
の、杉並区永福一丁目三十八の九というところにあります丸正食品永福町店は、入口を入ってすぐ、レジの前で売っているわけです。非常に目立ったところに置いているのです。月に何と二千五百キロ売っているというのですが、この丸正食品から一二百メートルと離れていないところに正規のお米屋さんがありまして、そこはもう息子さんを後継ぎにして非常に積極的な商売をしているのですが、丸正食品ができたために売り上げは半分くらいに落ちたということで嘆いておられます。 もう
一つ
行きましたところが、また驚きました。杉並区の方南にあります丸正方南綜合店というところなんですが、これは、正規のお米屋さんの一軒置いて隣に丸正食品があって、そして、何とその丸正食品の運び込んでくる米のトラックがその正規のお米屋さんの家の前へとまって、そこから丸正へ運んでいくというようなとんでもない
やり方
なんです。それで、やはり三割方売り上げが落ちているということでした。 両方とも、米屋さんの抗議だとか区役所あるいは東京都の注意に対して、本店の方の指導で米を売っているのだからおれには
関係
がないのだと、反省の色さえ示そうとしないわけです。永福町店の方は月に二回、朝市といって大変な売り出しをやるのですが、そこにも積んでいるわけです。 こういうふうな、無法状態と言うのでしょうか、これは、通達で言う、この指導の措置にもかかわらずなお反復して大量の不正規流通を行っている無登録販売業者、特に悪質な者そのものではないですか。どうしてこの氏名の公表だとかあるいは警察への告発ということを行わないのか。こういうところに対しては一体どういう措置をとられるつもりなのか。そちらの方に写真もこの広告もお渡ししていますので、六十五店がどこにあって、どういう状態かということは具体的に
御存じ
のはずです。できるだけ簡単に御答弁をお願いします。
中山昇
199
○
中山政府委員
先生御指摘の丸正チェーン商事という無許可販売業者があるということは私
ども
承知
をいたしておりまして、ただいま、
関係
をいたします東京都あるいは東京食糧事務所、埼玉食糧事務所相互に連絡をとりながら口頭指導を一回いたしましたし、さらに、五月三十一日に知事名で警告書の発出をいたしました。これで警告に従わないというようなことでございますれば、今後さらに強い措置をとりたいというふうに思って、
関係
の都なりあるいは食糧事務所を指導いたすことにしております。
藤田スミ
200
○藤田(ス)
委員
そういう措置が甘いということを米屋さんの
皆さん
も言っておられるわけです。先ほど、七割近くの不正規流通を扱っている商店は中止をしたということですが、米屋さんに言わしたら、七割の販売店はなるほど減ったかもしれないけれ
ども
、七割の不正規流通米が残っている、こういうふうに大きいところが残っていると言っておられるわけです。 私も行って、なるほどそのとおりだというふうに思いました。チェーン店が六十五店もあって、しかも三県にまたがって、店長は雇われ店長で、本社の指示でやっているわけですから、どこから何を言ってこられても、それより本社の指示の方が大事なわけです。 しかも、この丸正食品に米を卸しているのは武蔵糧穀、これも私、米の袋を全部点検してきましたが、ここのしか入っていませんね。武蔵糧穀です。武蔵糧穀で、この丸正が売っている米の袋にも全部そういうことを書いてあって、この武蔵糧穀というのは一体どういうところなんだろうといろいろ調べてみましたら、これは埼玉県の業者で、やみ米商、通称そういうふうに言われますが、正式には関東普通外米雑穀商業協同組合、こういう名前ですが、そこの組合員で、農水省がくず米扱いの業者として認めている、そういう業者なんですね。しかも、このくず米業者は、「取り締まりにもめげず」「意気軒高」と、これは
米穀
新聞なんですが、ここにこんなふうに書いているわけです。 六月二十四日付の報道なんですが、この中で、埼玉の業者ですね、私は多分これが武蔵糧穀かなというふうにも思うのですが、「命がけで商売やっているのだ。」つまり、やみ米の商売をやっているのだ。「無許可業者の組合を作ろう、という動きもある。」
政府
の指導によって「人の引いたあとへ攻めて行くのだ。罰金は支払う。群馬へも攻め込む。」こういうふうにこの記事の中で堂々と言っているわけです。 こういうふうになりますと、いつまでもこういう状態を放置しておきますと、本当に食管制度が有名無実のものになってしまうでしょうし、しかも、改正前の食管法では取り締まることができないからこそ法改正をやったわけでありまして、この丸正本社と武蔵糧穀に対してはもっと本気になって指導、氏名の公表、告発の措置ということをとっていかなければ、逆に
政府
がなめられてしまって、そしてどうにもならなくなる。本当に大もとを断ち切っていく気がおありなのかどうか、もう一度御答弁を願いたいわけです。
中山昇
201
○
中山政府委員
不正規販売業者の取り締まりにつきましては、事実を確認をいたしました上で厳正なる処置をとりたい、かように存じています。
藤田スミ
202
○藤田(ス)
委員
最後
になりましたので、もう一問だけお願いをいたします。 精米流通研究会というのが四月から検討を開始しているとお伺いしておりますが、これは一体何を検討し、そしていつごろ結果を出して、その結論をどう扱っていこうというお
考え
なのか、お伺いをしておきたいわけです。 気になりますのは、研究会の中で標準
価格
米の存廃が
一つ
のテーマになっていると聞いております。これも五月二十七日の
米穀
新聞は「単品販売をやめて、ブレンド販売とする。ついで、標準
価格
米も廃止という方向のようだ。」こういうふうに報道をしているわけですが、どういう検討
状況
なのか。 昨年五月、食管法改正案の審議の中で、当時の食糧庁長官は、将来にわたって標準
価格
米を絶対的にこのままに継続するのかどうかということについては検討の余地があるけれ
ども
、標準
価格
米が一般消費者の間に定着してきているというような
事情
も
考え
て、当面この制度を存続していく
考え
である、こういうふうに言っていらっしゃるわけです。 私は、標準
価格
米の制度というのは単なる消費者の問題ではなしに、むしろ米の全量と
価格
を
管理
していくという制度の根幹にかかわる問題であるというふうに
考え
ております。特に、五十四年十二月の米審では、この標準
価格
米については、銘柄米の混入など、その品質の改善を図るべきである、そういう
意見
さえ出されていたわけでありまして、味をどんどん落としておいて、その結果売れなくなったから廃止するということではなしに、品質の改善も含めて、消費者に役立つ制度として在続されていくような姿勢をとっていくべきではなかろうかと
考え
ます。
中山昇
203
○
中山政府委員
精米流通研究会は、私
ども
がこれから先消費者の
需要
に応じました品質の精米の供給のあり方をどういうふうにしたらよろしいのかということで、
米価審議会
におきましてもしばしば精米の流通のあり方について御
意見
がございましたので、ひとつ庁内において勉強をいたそうということで、四月以来やっているわけでございます。 そのテーマの
一つ
に標準
価格
米の問題もございまするけれ
ども
、私
ども
といたしますると、昨年の十二月に
米価審議会
におきましても、標準
価格
米についてはその存廃も含め抜本的な検討を加えるべきであるというような御指摘もございまして、私
ども
、一体これから先の精米流通のあり方、これから先良質米の
需要
が一方で非常に強いということとあわせまして、良質米の供給というのには、おのずから産地の制約もございまして限りがあるというようなことからいたしまして、一体どういうような供給のあり方をしたらいいのかという点について検討いたしているわけでございます。
藤田スミ
204
○藤田(ス)
委員
時間が参りましたので、これで終わりますが、それはあくまでも参考の検討というふうに聞いておいてよろしゅうございますね。そこで方針を決めていくということではございませんね。
中山昇
205
○
中山政府委員
精米の流通の問題につきましては、食糧庁が責任を持って
決定
をするということでございますので、この研究会でいろいろ御
意見
を伺いながら私
ども
で最終的な
決定
をいたしたいと思っておる次第でございます。
藤田スミ
206
○藤田(ス)
委員
終わります。
加藤紘一
207
○加藤(紘)
委員長
代理 次に、阿部昭吾君。
阿部昭吾
208
○阿部(昭)
委員
いままで各
委員
から、今度の
米価
に関する質疑がいろんな角度から出ました。したがって、私は、若干ただしてみたいと思うのでありますが、大蔵省。 実は、私、第三世界、開発途上国のいろんな
皆さん
と最近お話をする機会がございました。 〔加藤(紘)
委員長
代理退席、
委員長
着席〕 この
皆さん
が、日本はいまや世界でダントツに穀物を輸入する国である。そのために、第三世界は御案内のように飢餓と栄養失調に苦しんでいる。日本がどんどん世界の穀物市場に群を抜いて買いに出るというような事態になりましてから、第三世界の側ではなかなか食糧困難で苦しんでおるわけですが、金はなし、いろんな条件はない、従来のようにアメリカ大陸その他からどんどん食べ物を送ってもらえるという状態はますます困難になってきた。日本は世界で有数の先進国家ではないか。工業は確かにもうかる。
農業
、食糧農産品というのは、これはもうからぬ。だから、そっちの方はどんどん縮小して、彼らは日本で減反政策をやっておるなどということには大変なショックを受けておるようであります。したがって、この第三世界の側から言わせると、先進国日本はせめてヨーロッパのEC諸国ぐらいの穀物、農産品の自給のための
努力
をやるのが当然ではないか、こういう批判が第三世界側から非常に強い。これは、私は非常に強烈な印象でありました。 確かに、いま
財政
が容易でない
事情
もまさにそのとおりであります。しかし、この日本
農業
というのは、率直に言って、この狭い国土に、耕地
比率
も非常に低い。この中での
農業
生産
というのは、率直に言って、コスト主義だけでは行き切れないハンディを負っておることは、これは条件として残念ながら、この単位面積
当たり
の収穫を上げておるという意味では、日本の
稲作
農業
などというのは大変なものではないか。しかし、それだけにまたコストの面でもやはり大変なんですね。 したがって、そういう意味で
考え
ますと、今度の
米価
をめぐるいろいろな情勢、私も国際相場の四倍という
米価
がどこまでもウナギ登り、どこまで行ってもいいなどという、そんな単純な
考え方
は持っておりません。おりませんが、よく
物価
は安定しておると言われるのでありますけれ
ども
、
物価
安定の内容を私なりにいろいろ吟味をしてみると、生鮮食料品が最近は非常に安定しておるわけです。生鮮食料品というものは、大体
農業
と漁業の
関係
のものが主であります。この方の側が必要とする
生産
資材その他は、全般的に言うと、生鮮食料品の
価格
安定とはうらはらに、じりじりとこの近年ずっと上がってきておることも事実なんです。したがって、この事実は、端的に言えば、農協などの組合員の金の流れを見ると、預貸率がどんどん悪化をしてきておるこの姿の中に端的にあらわれておるのですね。しかし、
財政
で何ぼでも突っ込めばいいのだというほど私は単純ではありません。 しかし、農林省の側は、
中山
次長、申しわけないけれ
ども
、私が、モチ米は近年どのような流れになっておるか、ちょっと資料を出してくれと言ったら、その資料は残念ながらございません、はっきりしたものが出ません、こう言うのですね。近年は輸入だけでも相当のものを入れておるわけですよ。したがって、転換とか転作とかいろいろなことをやらすというならば、さっき次長は、少なくとも米に関する限りは完全自給で、農林省はこれを根幹としていくと言っておきながら、モチ米な
ども
最近
需要
が相当あるというのならば、どんどんモチ米の作付をきちっとした指導をやってやらせるということがなければいかぬのだろうと思うのですよ。そういうこともない。 したがって、私は第三世界の話を先ほど申し上げましたけれ
ども
、このままでいくと、やはり他産業従事者の
賃金
などはずっと上がっていっておるし、
物価
も依然としてずっと上がっておるのです。しかし、
米価
だけは、
過剰基調
があるというなら過剰にならぬようにする手は、きのうきょう過剰が始まったのじゃないので、やる気になれば何ぼでもあるのであります。だから、やはりそこには的確なものがなければならぬのでありますが、私は、農林省の政策も
政府
全般の政策もここに的確なものはちっともはまってきておらぬだろうと思うのです。 そういう中で、大蔵省あたりは日本
農業
というものに対するどういう基本認識を持っておられるのか。構わぬ、経済合理主義で突っ切っちゃえという認識を持っておられるのか。その辺のところの基本認識についてちょっとお聞きしたい。そうでないと、もうかるからこのまま工業は突っ走るよ、
農業
のようなものはもうからぬところだから経済合理主義でじりじりと縮小さしていくよ、これだけで行ったら、第三世界やその他で苦しんでおる国々から日本という民族国家の基本姿勢を問われ始めておるというのが、実は私の
考え方
であります。大蔵省と私
ども
とでは相当違うのかどうか、お聞きしておきたいのであります。
千野忠男
209
○千野
説明
員 非常に大所高所の、また広範な御質問でございますので、答え方がなかなかむずかしいのでございますが、
農林水産業
についての基本的な認識いかんということにしぼって申し上げれば、私
ども
は日本の
農林水産業
というものは決して容易な環境のもとにない、非常に厳しい
状況
のもとにあると
考え
ております。 まず、
農業
でございますが、
農業
については、御
承知
のような
需給事情
が農産物についていろいろ問題がございまして、どちらかというと
過剰傾向
がございます。
生産性
の面でも、土地の狭さというものが非常に基本的な制約になっておりますので、土地に依存をしないもの、たとえば施設園芸でありますとか、あるいは鶏であるとか豚であるとかといったようなものについては、国際競争力の非常にあるようなりっぱな
水準
になっておるわけでありますけれ
ども
、土地依存型の
農業
については、何といいましてもほかの国と比べまして土地の狭さの制約のもとでなかなか
生産性
が上がらない。これをどういうふうにしたらいいかという、基本的な非常にむずかしい問題がございます。 林業、水産業については省略をいたしますが、そういうところで、一体これからどういうふうにしていくのか。私は、基本的にはやはり
農業
というものは国の政策の中でも最もベーシックなものである、これがしっかりしていないと、国の独立というものも国民の社会生活の安定、平和というものもなかなかあり得ない、だから、
農業
はしっかり守っていかなければいかぬと思っております。 ただ、先ほど申し上げましたような土地条件の制約その他があるものですから、国内で自給を十分できるものと、なかなか国内で自給できないものとがございます。自給できるものについてはもっと力を入れてしっかりとつくっていく、自給がなかなかしにくいものについては安定的な輸入を図る、結局そういうことで
考え
ざるを得ないのだろうと思っております。
阿部昭吾
210
○阿部(昭)
委員
政務次官、私は、
田澤
農水
大臣
が所信表明を行われたそのときに、
田澤
農政というのは何であるのかはっきりさせてもらいたいと言った。それは政策ですからずっと前からの継続性が必要だろうと思うのです。しかしながら、今度の
田澤
農水
大臣
というのは、一体日本
農業
をどういうふうにしようとするのか、どこが従来の所信表明と今度の
大臣
とは違うのか、はっきりさせてくれと言ったら、この国会が終わるまでの間には必ず出すようにいたしますと言っておるのですが、まだちっとも……。
田澤
農相は依然として五年
据え置き
、
物価
も
賃金
も何もみんな上がっていくという中で、これを安易に抑え込もうとする姿勢みたいであります、今度の
諮問
を見ると。どこが変わろうとしておるのか、ちっとも明らかでない。したがって、これはぜひお約束どおり、国会が終わるまでの間に、
田澤
農政はこれだというものをやはりきちっと出してもらわなければいかぬということを政務次官に希望しておきます。 それから、いま第二期の減反、転作がどこに定着しておるか。いま冷害や何かの
関係
もあって、六十四万七千、この中でも、私は現場ですから、ずっといろいろな意味で、しさいに、この転作をどこに定着させるのかというので、目を光らせていろいろな議論をしておる。転作は残念ながら余り定着をしておりませんね。したがって、私の認識では、この定着がもし先ほどの大蔵省の頭の大変すごく切れるお役人の方の御答弁のように、施設園芸ならいいとおっしゃる。みんな施設園芸をやったら、野菜の方の市場がパンクしますね。果樹にみんな六十四万七千かわってしまえと言ったら、果樹の方はいまでも市場は限界に来ておるので、パンクしますわ。したがって、水田再編だ、水田再編だというて莫大な金を突っ込んできた。きたけれ
ども
、定着はしておらぬのですよ。これもやはりどうやって本当に定着をさせるのか、ここのところにいくならば、
政治
の総力を挙げて、ここのところは必ず責任を持つよというものが出てこなければならぬはずだろう。それが
政治
というものじゃないか。 たとえば算式な
ども
ずるずるといつでも変えていく。だから、いま農民が求めておるのは、ここしんぼうしろというならば、せつないけれ
ども
耐えましょう。しかしながら、農政というものはちっとも先行きに対する責任がないじゃないか。いまもきつい。いまもみんな限界に来ておるわけです。私の地域などは良質米地帯で、このあたりでいい米をつくれ、つくれば何とかなるよ、何とかするよという話で、銘柄米だか
自主流通米
だか始まってきたんですよ。今度はそいつはあるところまで来たらはしごを外しますよ、こうですね。これでは、やはり
政治
ですから相互間に一定の信頼
関係
というものがなければ、残念ながら
農業
はじりじりと後退せざるを得なくなっていく。第三世界の側からの批判も、一面においては、そうばかばかりいるわけじゃないので、やはり冷静に日本を見詰めておるわけですよ。そういう意味で、もっときっちりしたことをやらないといけないんじゃないかというふうに私は思うのです。 たとえば、モチ米などどういう
需給
関係
になっておるか資料を出せと言ったら、そんな資料はちょっと整ったのはありません、こう言うのですね。そして、少なくとも米に関する限りは全部自給をやるんですとさっき
中山
次長は胸を張った答弁をされましたけれ
ども
、調べてみると、輸入だって、ここ近年十何万トンも輸入しておるわけだ。だから、私はやはりここには一貫性がないと思うんだ。政権政党として、また
政府
として、ここにはやはりしっかりした決まるものがなければいけないんじゃないかと私は思うのですね。行き
当たり
ばったりというんじゃ、これはかなわぬだろうと思うのです。そういう意味で、ぜひひとつ基本的な
考え方
を明らかにしてもらわなければいかぬと思うのです。
玉沢徳一郎
211
○玉沢
政府
委員
田澤
農林大臣
の姿勢いかん、こういうことでございますが、政務次官でございますけれ
ども
、基本的な問題につきまして申し述べさせていただきたいと存じます。 まず、世界の飢餓状態に対処するために日本が外国から農産物を買わないで自給しろという御議論でございますが、私は、これは若干問題があると思います。と申しますのは、むしろ後進国の国々は、日本にもっと農産物を買ってくれという
要求
の方がはるかに強いんじゃないかと思うのですよ。日本が自給をしますと、現在買っておるものも買わなくなる、こういう問題もあるわけでございます。だから、私はそういう点を、食糧を輸入する問題あるいは国内で自給する問題、これはやはりきちっと分けて論じていかなければならぬと思うのであります。 したがいまして、まず第一に、主要農産物につきましてはできるだけ自給体制をとっていく、この方針は絶対変わっておらないわけでございます。しかして、日本の国内におきまして、三十七万平方キロの中におきまして畜産も酪農も同時に
振興
していく、こういうことになってまいりますと飼料穀物が足りなくなる。現在、アメリカ等の国々から二千万トン近いものを買っておるわけでございますが、これを全部国内で自給するということになりますと八百八十万町歩の面積が必要である。こういうものはとても手当ができない。したがいまして、これは輸入せざるを得ない。したがいまして、主要食糧品につきましては国内の自給体制というものをできるだけ一生懸命
努力
をしていく、こういうことでございますから、アメリカ等から
要求
されておりますところの二十二品目の農産物の自由化に対しましては、断固としてこれはアメリカの
理解
を求めまして自由化させないということで
努力
をしてきておるわけでございますので、この根幹は御
理解
をいただけると思うわけでございます。 したがいまして、今後のことでございますが、米の問題等におきましても自給体制をとっていく。しかしながら、国内の食生活等の
変化
もございまして、米の
生産
に見合った消費というものが
拡大
されない。消費の
拡大
に全力を挙げておるわけでございますけれ
ども
、なかなかそれが進んでおらない。こういう問題に直面しながら、
需給
関係
を何とかバランスをとるようにしまして食管制度を堅持しながら進めていく、こういうところに現在の大きな問題点があると思うわけでございます。したがいまして、こういう方針は今後とも堅持をしていく、こういうことを申し上げておきたいと存じます。
阿部昭吾
212
○阿部(昭)
委員
政務次官、声は大きいけれ
ども
、ちょっとすれ違ってしまっているんだな。開発途上国だって、食べ物で余り困ってない国、困っておる国、いろいろあるんですよ。こういう国々の中で、いま五億とも言われ、六億とも言われる飢餓と栄養失調の人々がいます。しかし、さらにもっと広く十億を超える、このくらいの人々が食糧の問題で苦しんでおるのです。日本のような先進国が世界の穀物市場でもう群を抜いてどんどん買いあさるために、いま困難に直面しておる国々は、金はないし、なかなか食糧が回ってこないようになってきた。先進国日本はそれなりの
努力
をもっとすべきだ。自給率を上げる
努力
をすべきだ。
農業
はもうからぬかもしれないけれ
ども
、もうかることだけやって、もうからぬことから手を抜くようなことをやってはいかぬ、こういう批判が第三世界の側から、特に飢餓と空腹で苦しんでおる国々から日本に向けられておる
一つ
の批判なんです。この批判に対してこたえなければならぬのじゃないか。 そこで、いまの二千万トンに近い、麦、大豆を含めると三千万トンになんなんとする飼料穀物の輸入、これは世界でダントツなんですよ。コストの面ではいろいろあるんですよ。あるんですが、私はやはりそれなりの
努力
はしなければいけない問題点だと思うのです。もちろん
生産
者の側も、コストなんかどうなってもいいやというわけにはいかぬと思う。裏作と表作の組み立て方をどのようにするとか、いろんな
努力
が必要です。それにしても、政策的な整合性のある組み立てば、いままでの長い間の政権党、
政府
の政策では残念ながら十分だとは言えない。この反省の上に立って進められなければならぬだろうと私は思うのです。その意味で言うと、今度の
米価
な
ども
非常にイージーゴーイングな、しようがないや、投げやりなものじゃないかというような感じが私はいたします。 時間が来ましたから、政務次官、それだけ、もう一遍大きい声で御答弁を願いたいと思います。
玉沢徳一郎
213
○玉沢
政府
委員
世界の飢餓状態をいかに救うかという問題で、ちょっと議論があるようでございます。 私は、先般、
農林大臣
のかわりに世界食糧
理事会
閣僚会合に
出席
をしてまいりましたが、後進国の国々も含めまして、先進国が食糧の輸入に対して障壁を設けておるということに対しまして相当の批判があったということを踏まえて私は言っておるわけでございます。したがいまして、日本が自給して穀物を買わなくなればその分は後進国の国々に回っていくという議論は賛成しがたいということを申し述べておるわけでございます。むしろ後進国の国々の飢餓状態を救うためには、ただ外国からの食糧援助ということを待つのではなく、自分みずからの
努力
によって、そういう飢餓状態の国々はそれぞれの国の可能性を持っておるわけでございますから、食糧
生産
の可能性に対して挑戦をできるように、自分の力で自分の国の飢餓状態を救えるような、そういう自主
努力
を日本として大いに応援をしていくべきである、こういうことを主張し、また、日本もそのための開発援助に対しましては莫大な経済協力資金を用意をして応援をしておる、こういう事実は率直に認めていただいてよろしいんではないかと思うわけでございます。 なおまた、食糧の問題でございますけれ
ども
、食管制度の持つ意義といいますのは、国民の消費が一千万トン、しかしながら、それに六割近い六百万トンの
過剰米
が出た。もし食管制度というものがなくなった場合におきましては、本来の
需要
と供給という点だけで
価格
が決まるということになりますと、この過剰な状態というものは全く絶望的な状態に陥るだろう。しかしながら、食管制度があるために、六百万トンになんなんとする
過剰米
の処理は、長年の時間をかけまして、二兆二千億円の資金を投入しましてこれを買い支えておる、こういう
努力
も食管制度を堅持しながらやっておるんだ、こういう面は積極的に
評価
すべきだと私は
考え
ておるわけでございます。 同時にまた、今回の問題につきましても、これは決して値下げをしたんではありませんで、諸般の
事情
をよく検討しまして
諮問
案を出した、こういうことを強調いたしておる次第でございます。
阿部昭吾
214
○阿部(昭)
委員
時間が来ました。ちょっとすれ違っていますので、改めての機会にまたお聞きをしたいと思います。
羽田孜
215
○
羽田委員長
阿部君の質疑はこれで終わりました。 新盛辰雄君。
新盛辰雄
216
○新盛
委員
最後
の質問になりましたが、これまで本日の衆議院
農林水産委員会
は、
昭和
五十七
年産
生産者米価
決定
にかかわる問題で審議をしてまいりました。 そこで、日本社会党、公明党・
国民会議
、民社党・国民連合、日本共産党、新自由クラブ・民主連合の五党は、かねがね相談をして、共同提案として、
昭和
五十七
年産
生産者米価
に関する件のいわゆる決議案を
理事会
に提案をし、話し合ってまいりましたが、遺憾ながら自由民主党だけが反対をされ、これの決議を行うに至りませんでしたので、私の方からこの案文を朗読をしてみたいと思います。
昭和
五十七
年産
生産者米価
決定
に関する件(案)
政府
は、本日
米価審議会
に対し、本
年産
生産者米価
の
据え置き
諮問
を行った。 この
諮問
米価
は、
物財
費、
労働費
等
生産費
の
上昇
を正当に
評価
しておらず、
生産
農民の切実な要望を無視したものである。 この
据え置き
諮問
の背景とされる米
生産
の
過剰基調
論については、
米需給
の現状が二ケ年連続の冷災害下において、
政府
需給
を極めて窮屈なものとしており、また
財政
負担の増大論についても
昭和
五十三年以来の
生産者米価
の抑制や五十一年以来の売買逆ザヤの解消等により年々軽減されており、米の国際比価論を含め、
政府
の指摘する理由はいずれも納得し難いものがある。 よって、
政府
は、本
年産米
価の
決定
に当たっては、これらの
事情
を十分に斟酌し、
食糧管理法
第三条第二項の厳正な運用を図り、
生産費
及び
所得
が十分に補償され、米の再
生産
が確保されるよう適正な
水準
に
生産者米価
を
引き上げ
るべきである。 右決議する。 以上の決議案は実は不発に終わったわけですが、本
委員会
を厳しく見守っております
稲作
生産
農家
の切実な願いであるこの
米価
引き上げ
要求
を満たすことを
考え
合わせてまいりますならば、野党側が提案をいたしましたこの決議案について、
農林水産政務次
官のお
考え
を率直にお聞かせいただきたいと思います。
玉沢徳一郎
217
○玉沢
政府
委員
ただいまお述べいただきました御
意見
につきましては、本日の
委員会
におきましても種々御論議のあったところでございますが、現在、
米価審議会
で審議が続行されておりますので、その答申を得て適正に
決定
してまいりたいと存ずる次第であります。
新盛辰雄
218
○新盛
委員
きょうは、いずれにしても米審の方で論議が交わされておるわけですが、私
ども
これまで議論をしてまいりましたこの
状況
の中では、まことに不可解な
据え置き
諮問
である。したがって、こうしたことについては、やはり食管法に基づいて、ぜひとも
生産
者
農家
の意欲をわき立たせるように、これから農政の問題を含めてぜひともこの
引き上げ
の方についてがんばっていかなければならぬ。これは
政府
の方が腹を決めるわけですけれ
ども
、
政治
加算などというきわめて不測の
状況
が生まれないように、やはり
基本米価
を
引き上げ
る、このことについてぜひとも
政府
、そしてまた反対をされました自民党側の方でももう一回再考慮いただいて善処していただきますよう要望して、質問を終わります。(拍手)
羽田孜
219
○
羽田委員長
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時二十五分散会