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島田委員 農家経済を判定する上で最も大事なのがこの交易条件だということで、少しそのことに時間をかけたのでありますが、数字的に否定なさるいわれはないんですね。それは、私はいま
農業白書をもとにして質問しているのです。私がつくり上げた数字じゃないのであります。
たとえば、
農業用資材の推移で
農業白書がいろいろ調べておりますこの附属統計表というもの、これも
農林省統計情報部がお出しになっているものでありますが、これによりますと、最近の
農業経費率が大変高まっている。
古くは四十年の比較でひとつ見てまいりますと、四十年当時は四二・八%が経費率ですね。ところが、それが五十年代に入りましてから五〇%を超えるという状態でありまして、五十五年度では六〇・七%が経費率です。裏返して言えば所得率がそれだけ減った、こういうことになるわけです。そういう状況に
農家経済がありますということを
農業白書で告白なさっているわけですね。
そういう前提をきちっと踏まえて、
農家経済を守るという
立場で
農林省が諸般の
行政の執行に当たっていただきませんと、国際情勢が厳しいあるいは国内的な財政再建、行革だ、いろいろなことを言われていて、そこだけに気をとられておりますと、やがて角を矯めて牛を殺すのたぐいで、
農家経済がもたなくなってしまうという危険性が私は十分予感されるのであります。すでにそういう状態が始まっているということを私は数字的に
指摘をしたわけであります。
ですから、据え置きというような
考え方は、やがては
農林省自身が
考えておられるいわゆる中核
農家さえもだめにしてしまう、こういうことになりかねませんから、価格決定に当たってはこの点を十分
認識の中に置かれて決定をしていただきたい、こう思うのです。
ちなみに、私がちょっと調べました数字を御参考までに出しておきたいと思います。一番わかりやすいのは、米価でお話をする方が一般の
皆さん方にはわかりやすいでしょう。こういう
農家経済といいますか、
農家の経営を維持していく上で大事だということは、
一つは価格
政策であり、もう
一つはコストを下げるために
農業用諸資材をできるだけ低廉に供給を受けること、この二つしかないと思うのです、大きく言えば。それはほかにもいろいろありますけれ
ども。価格据え置きということになれば、われわれの要求としてはそれじゃ肥料や農機具やそのほかの資材というようなものはうんと安くしてもらわなければ困りますよ、こういうことになります。そこを頭に置いてちょっと計算をしてみたのであります。
たとえば、米の価格は御存じのとおり一万七千七百五十六円でありますが、これをそのままにして、そして交易条件を一〇〇に持っていくためにはどういうふうにしていかなければならぬかといいますれば、
農業用資材の主要な部分を占める肥料とか機械というものをまず大幅に下げていくということを
考えないといけないわけです。ですから、そういう点を
考えに置いて試算をしてまいりますと、肥料の値段は少なくともいまの値段を一六・五%下げていかなくちゃいけません。現行価格、いまのお話は米価であります。米価の現在の水準で経営のバランスをとるとしたら一六・五%の肥料の値下げが必要であります。
同じようにトラクターもこうした計算に基づいて試算をしてみますと、やはりこれも一三・六%くらいの値下げをしていかなくちゃなりません。逆に、トラクターや肥料を下げることができないのだったら、その分米価を上げなければいまの
農家経済はもたないということになる、交易条件を
考えに入れてやっていくとすれば。
そういうことでありますから、私はこの価格決定に当たって、こうした条件というものを整備するということをまず念頭に置き、それを
最初にしっかりした計算の根拠に置いて計算をしていきませんと、据え置きのところだけやられて、あと当然経営を維持していくための必要な条件はなおざりにされるのでは
農家経済はたまったものではない。経営は維持できないばかりか破綻を来すということになってしまうわけであります。
ちなみに、いま決められようとしております麦について五十三年から五十六年までの傾向を見てみますと、
政府が決めております買い入れ価格で肥料の高度化成一袋二十キロを仮に買うとしたらその割合はどうなるのかというと、五十三年には一五・六%部分で肥料一袋が買えました。それが五十六年度には一七・六%出さないと肥料一袋買えない。上がってないと言うけれ
どもこういうふうに上がってきている。
硫安は五十三年当時麦一俵の六・三%で一袋が買えたのですが、五十六年には約八%、七・九%というふうに、非常に麦の価格と肥料の価格との差が縮まってきたということです。それからトラクターでいいますと、これも三十五馬力を
考えておりますが、これでやりますと、五十三年が二百一倍でありましたが五十六年には二百五倍と、こう広がっているわけですね。
こういう試算は
農業経営をやっていく上では大変大事な点でありますから、こういう点なんかも十分
農業経営といいますか、たとえば、麦づくりをやる場合の経営でどういう状況になっていくか、こういう推移というのを一度
政府は
政府で私のやったような試算方式で検討していただきたいものだと思うのです。
そういう点はぜひひとつ後ほどまた時間をとって、私が幾つか試算をいたしましたものを問題提起として
農家経済の維持向上のために必要ないわゆる手だての
一つとして検討させていただきたいと思いますが、きょうはもう時間があと五分しかなくなってしまいました。こうした問題は相当時間をかけませんと
お互いが
理解するところにはいかぬのかもしれませんが、したがってこの次の
機会に譲らざるを得ませんが、この際どうしても聞いておきたいことが二、三点あります。
麦価の決定で、昨年以来大変話題になっておりますが、等外上麦の買い上げの問題について
政府部内においていろいろ検討がされているやに聞いております。これについて今後どのようにお
考えになっているのか、その辺のところをこの際聞いておきたいと思うのですが、私は、等外上にしろ、等外という言葉を使うものだからこれはなかなかイメージが悪いのでありますが、必要なら四等という位置づけをしたっていいのじゃないか、こう思うのですね。それで、これはあくまでも食用に供し得ることが可能な麦なんですから、あえてそれをえさ用やほかに向けるというようなことを
考えに置いてこの規格を変更されるということはおかしいのではないか、私はこういう
立場に立って等外上麦の規格の変更に当たってはこれをやるべきではないという
考え方を従来持っているのであります。
とりわけ、ビール麦なんかもそのあれに入るのでありますが、ビール麦なんかは契約栽培で約二十万トンぐらいが実需者のところに渡っておりまして、実際には三十万トンぐらいつくられておりますから、十万トン以上のものがビール用以外に向けられるというようなことになっているわけであります。この辺のところも相当問題を持っているわけでありまして、特に、昨年の麦価米審においてはそれらに対処するために麦芽製造能力を高めなければいけないというような建議、答申もなされているわけですから、こういう点を十分改善を図っていく、あるいは
行政上の推進を図っていくということが必要だ、こう
考えておりますが、とりあえずは等外上麦をことしはどうされるお
考えなのか、そこを
一つ聞いておきたい。
それからついでに、もう時間がなくなってしまいましたから一分ほどでお答えいただかなければなりませんが、品種改良が大変おくれていると言われておりますが、試験研究機関では実質的には「ちほく」という、北見二十四号と言われたものが昨年優良品種に指定されまして、これが実需者からも一般の方からも大変期待されている品種であるということで、鋭意この品種の開発がなされてきた。その御苦労に対して私は
評価をしたい。
ただ問題は、それを早く一般化して現在のホロシリやあるいはそのほかの在来の麦と交代をさせて、そして大いに生産の
振興を図るということに寄与してもらいたい、こう思うのです。その手だてについてはいまのままでいきますとなかなか一般化するのには年数がかかると思うので、これを促進してほしいと
考えているのですが、この二点についてお聞かせ願いたいと思います。