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寺前委員 基本的に、率直に
指摘さしてもらいます。
年金というのは老後の問題、障害者の問題、それは非常に大きな政治の問題です。それですべてを
期待を持つ、政治があってよかったなあと言える性格のものです。中途半端な態度ではこの問題は許されない問題だ。私はあえてもう一度強く、生きる問題として
生活を守る問題としてもっと真剣に
考えていただきたいということを強調したいと思います。
第二番目に、昨年、
農林年金法の
改正によって遺族の範囲の見直しの問題が出ました。それまでは
組合員期間が十年以上である者の配偶者については無条件に遺族
年金が出ました。しかし、
組合員期間十年未満と同じように、十年以上である者の配偶者についても死亡した者との生計維持
関係が必要だというふうに去年の法
改正で変わったわけです。いままでならば当然遺族
年金をもらえていた人が、遺族
年金の受給資格がなくなるという事例が新しくここ一年の間に生まれてきたわけです。
私のところに来ている手紙の中にこういうのがあります。ことしの三月に
農協に勤続二十五年の女性の
職員が亡くなられました。四十四歳です。遺族を見るとお子さんが二人、十六歳と十二歳、入院中のおばあさん、そして
農協に勤めておられる御主人です。ところが、この御主人の年収というのが二百四十万強。そうすると、奥さんよりもだんなさんがたくさん収入があった。それが二百四十万強になっている。ですから、あなたはせっかくですけれ
どもお渡しするわけにはいきませんということになってくるわけです。奥さんと共稼ぎによって一家の生計を
確立しておったものです。その奥さんが亡くなっている。奥さんは万一のことを
考えて
年金というのをずっとかけてこられた。ところが途端に奥さんが亡くなって、収入が入らないだけではありません、遺族
年金もまた入らないという事態になってくるわけです。これは家庭にとっては非常に深刻な問題だと言わなければならぬ。地方公務員共済の場合には、
昭和五十六年でいうならば、だんなさんが五百四万までの収入の人だったらそういう場合でもめんどう見ましょうということになっておる。ことしの
法律の成立によると、五百二十八万までよろしいということになっている。そうすると、農林
年金との間には二倍の差がついておる。私は年収において五百二十八万といったって、それはそのくらいのめんどうを見なかったならば、夫婦共稼ぎで一家をなしている以上は、だめだろうと思うのです。同じように共済の制度でありながら、何でこういう配慮ができないのだろうか。二百四十万という金額を決めた時期はいつなんだ、
昭和四十八年というずっと前の時期ではありませんか。これだけの期間、同じ二百四十万のままでなぜ据え置いておかなければならないのか。私はひどい話だなと遺族の
立場に立つならば強く感ずるものです。これが一点です。
もう一点は、奥さんが亡くなられて、いまのところはだんなさんの収入があるかもしらないけれ
ども、数年たったらやめてしまうという事態になったときには、一層深刻になるのじゃないでしょうか。とするならば、その数年たった先に収入ががたんと落ちてくる段階のことを計算することも、また一方で
考えなければいかぬのじゃないだろうか。私は、そういう問題について、認定基準の運用という皆さんが出しておられる基準の内容を見せていただきました。第三条の一の(3)では「
組合員の所得を超える所得を有する者でも、
組合員の所得を超える所得を将来も継続して得られるという心証の得られない者」また(5)では「
組合員又は
組合員であった者が死亡した当時において、二百四十万円程度以上の恒常的な収入を有すると認められる者以外の者」は受給資格があるとされている。この項を
考えてみたら、運用の仕方によっては十分に配慮してめんどうを見ることができるというふうに思うのですが、たとえば、このだんなさんが三年たったらやめるということになったらどうなるのか、四年たったらどうなるのか、五年たったらどうなるのか、それはその人の家財道具一切、全体の財産を見て検討するというのか、そこはどういうふうにこの運用がされていくのだろうか。
私は、せっかくの
年金に
期待をかけているところの多くの勤労者の
立場を
考えるならば、最大限の運用というのはどういうふうになされるのかということを第二番目にお聞きをしたいと思うのです。まずそれだけやってもらいましょう。