○島田
委員 チチュウカイミバエは種ではありませんけれ
ども、こういうものも国境を越えて入ってくるわけですね。だから、それと同じぐらいの検査体制を持ってないと、あの草、本当に大変なんですよ。簡単に申し上げていますけれ
ども、小麦だって何だって全滅してしまうのですから。こんなのが入ってくるということを水際できちっと監視ができないというのは不安ですね。これはぜひ御検討いただきたい、こう思います。
それから、価値判断という問題が
一つありますが、その範疇に入る問題でもありますけれ
ども、やはり
要求は多様性を持っていますね。それは単に増収とかあるいは大量性があるとかいったものの範囲を超える。たとえば、小麦のお話をいたしますと、昨今はずいぶんたくさんの小麦がつくられるようになってきました。まだまだ
目標にはほど遠いのでありますけれ
ども、それにしても、一ころのことを考えますと、国内では大変な小麦が作付をされる。
北海道へ行きますと、麦だらけぐらいの、春先の青々とした大地は広がっているわけでありますが、これも秋まき小麦ですと一年がかりでつくって、いざ収穫というときになりまして、われわれが一番
心配しているような不順な天候がやってまいりますと、これは一遍に一年間の苦労が流れてしまう、つまり、穂発芽という問題が
一つあります。それで小麦をつくっている多くの
農家の期待は、少しぐらいの雨にたたかれたからといって、立ったまま発芽するようなこういうものは何とか品種的に改良されてしかるべきではないか。ところが、国内では抗穂発芽性の小麦の品種の
開発はおくれている、こういう感じがしております。
一つの品種の
開発をやり、それを一般に普及させていくということになれば、一年や二年ではなかなか完成しない話でありますが、これは急がれる対策の
一つだ、こういうふうに思うのですね。
技術会議の事務
局長の方で、この対策について具体的に何かおありなら、ぜひこの際聞かしていただきたいと思っております。
ちなみに、そういう品種の
開発に対して、生産者も昨年から一俵当たり五十円という金を拠出いたしまして、そして私のところの北見の
北海道立の
農業試験場でありますが、ここでは試験場も一部拡張して、小麦のこうした抗穂発芽性の品種
開発のために、生産者もひとつ一緒になってやろうじゃないか、こういうことで始まりました。大変私
どもこれに期待をかけているのであります。もちろん、こう申し上げましても、私は、
技術屋さんと言われる裏方さんでがんばっておられる試験場の
技術員の皆さん方の
努力は、本当に頭の下がる思いであります。報われないところで一生懸命汗を流して一生の仕事としてこれに取り組んでおられる、こういうことでありますから、生産者の側もこれに十分の理解を示して、われわれからも多少でも金を出して、ひとつ一緒になってやろうじゃないか、これは私自身は大変いいことだ、こう思っておりまして、そのことによって十年かかるものが七年か六年ぐらいで完成して、一般に普及できるようになればわれわれも助かる話ですから、このことについて私は大変この
努力を多としているところでありますけれ
ども、こういう問題が
一つございますね。
北海道の話ばかりして悪いのでありますけれ
ども、ビートにつきましても、やはりできるだけ糖分の多い品種を
開発していくというのは、砂糖をつくるのが目的でございますから、こういう種の
開発についてももっともっと力を入れていかなければならない。この部面は非常に残念ながらおくれているような気がいたします。それから、バレイショにつきましても、先ほどちょっとお話し申し上げた、そうした雑草と一緒になって、困った問題として、ここ数年来から騒ぎになっておりますのが、バレイショ畑を
中心にしたシスト線虫の蔓延であります。これも
農林省は相当力を入れてくれました。そのことは私は敬意を表しておきたいと思います。これは土壌に薬を灌注方式で注射して、シスト線虫を退治するということでありますけれ
ども、とても
北海道の
面積は広いですから、これだけでは対応できない。幸い西ドイツにこうしたシスト線虫に強い品種としてツニカというバレイショがあると聞いている。私
どもは早くその種芋を輸入しまして、そしてこれを一般化するように
努力してほしい、こういうことで
農林省にも何回かこの話をしたことがございます。確かに、ツニカの新しい品種としての
開発に
農林省も力を入れていることはこれも認めるのでありますけれ
ども、なかなかこれも百年河清を待つようなもどかしさがありまして、そのうちにシスト線虫はどんどんどんどん圃場に広がっている。こういうことで思わない大金をここに突っ込んで退治にいま全力を挙げていますが、余り効果が上がっているとは言えない。上がっていないとは言いませんけれ
ども、どうも
心配な状態である。また、米につきましては、えさ米の品種
開発ということを私
どもは言って、アルボリオの問題を取り上げて何回もここでえさ米を認知してほしいというようなお話をすると、これも脱粒性があってどうも品種として定着させこれを一般化させるというのにはもう
一つ踏み切れないものがあるというお答えしか返ってこないのでありますけれ
ども、こうやって挙げてまいりますと、新しい
要求に対して的確に対応していくという品種の
開発というのが大変いま急がれるのではないか、こう考えているのです。
具体的には、いまの四つか五つだけしか挙げませんけれ
ども、すべてやっぱりそういうふうに
要求の多様性に対応してこれに的確に応じていくという
技術開発、品種
開発というのが大変期待されるし、望まれる、こういうことでございます。私は皆さんの
努力を多としながらも、この辺についてもう少し促進するという立場と、それから、試験場では相当の成績を上げておるということは私は
承知しています。たとえば、小麦につきましても驚異的な単収を上げるような品種ができ上がっていることも事実であります。しかし、それが残念ながら、一般化されているかとなりますと、なかなかまだ
農家では、特別な百人に一人か二百人に一戸の
農家はことし十俵を上げたなんというところはありますけれ
ども、大半は統計に載っておりますような低い単収であります。そういたしますと、皆さん方の
技術開発のところでは大変な進歩を遂げておるのにそれが一般化しないというのはやっぱり問題があるのではないか、せっかくそれだけの世界に冠たる
技術の
開発と品種の改良が進んでいるのであれば、それを何としても一般
農家にも普及していくような、そこのつながりというところをもう少し力を入れなければいかぬのじゃないか、あわせてそんな感じを私は強く持っていますので、お考えをお聞かせ願いたいと思います。