○石川(弘)
政府委員 最初に
先生御
指摘の第一次ショック、第二次ショックの見方でございますが、
先生御
指摘のように、一次ショックのときはみんな物の値段にかぶせてしまえということで、最終的には製品
価格にかぶせられたわけでございます。かぶせた結果が大変な
生産の増強を生みながら、実は、消費がそれほど伸びなくなった、その結果、せっかく
価格転嫁はできたのでございますが、
価格転嫁した品物がよけいつくられたけれ
ども、それが最終消費につながらなかった。その結果が、残念ながら御
承知のような乳製品あるいは市乳の市場においても
生産を抑制的に扱わなければ最終消費者の口に入れてもらえなかった。そこが一次ショックの場合の利点でありましたと同時に、私
どもとしては反省せざるを得なかった点でございます。
結局、第二次ショックと言われています最近の中で、物の値段が上がってくる。農家の方も一生懸命合理的に
生産したものを、合理的に
生産したものならば
それなりの値段で消費してもらいたいわけでございますが、結果的には、乳製品は安定指標
価格を下回ったり、市乳に至りましては五十三年をピークにして、平均的に言いましてもかなりの
程度の値下がりをしている。そのことが回り回って農家の方の所得を上げないような仕組みにしてしまっている。こういう仕組みを
定着いたしますれば、いかに農家の方が一生懸命
生産されても、そのものが市中の消費として最終消費者がそれを受け入れてくれないという形では大変なことになるわけでございまして、そこが
生産調整に御協力いただいて、結果的には、量をコントロールして値段をようやく最近の
時点で、いまから四、五年前の
水準のところまで取り戻しつつあるというのが
現状ではなかろうかと思います。御
指摘の数字のように、そういう中で交易条件はどうしても悪く出てまいります。それはやはりそういうことをして
価格を取り戻す条件をいまつくっているということではなかろうかと思っております。
それから、いま
先生がおっしゃいました五十六年度における市乳、五十六年から五十七年にかけて、生乳なりあるいはそういう酪農製品の需給をどう見るかということでございますが、私も先ほど申し上げましたように、事柄は明るい方向へ向かっているという
認識では
先生と同様でございます。ただ、本来、明るい方向に向かってきているのであればもう少し——たとえば、安定指標
価格の面で、安定指標
価格がバターが一〇〇のままとまって動かない。これなんかにつきましても、先ほどの消費者との関係がございます。特にバター等の場合、競合いたしますマーガリン等の競合商品がございまして、需給がタイトになってきたからといってむちゃな値上げをすればまた売れなくなってしまうのではないかというおそれがあるとか、
先生が先ほどおっしゃいました乳製品の中でいま最も伸びておりますソフトな製品、ソフトチーズもそうですし、それからヨーグルトのような製品も伸びているわけでございますが、こういうものとて非常に
価格に敏感な商品です。たとえば、最近御
承知のように、牛肉、豚肉の消費の場合でもそうなんですが、値段が強含みになりますと消費が停滞してしまう。値段が安定的になると消費が伸びるというようなぐあいで、われわれの胃袋の二千五百カロリーの限界の中でいろいろと商品が代替しますものですから、需要が強含みになったということが即
価格に全面的に転嫁できないというところが、最近における最大の悩みでございます。しかし、
先生いま御
指摘のように、この数年間の非常に条件の悪かった時代に比べますれば、乳製品——市乳はまだそこまでは申し上げられませんが、乳製品については条件が比較的改善されつつあるのではないかという気持ちでございます。
それから、そういうことから
考えれば、五十五年の算式じゃない算式で算定すべきではないかという御提言でございます。これにつきましては、まだ私
ども算定方式を最終的に定めて計算をいたしておるわけではございませんが、あの算定方式の中でいろいろ可変的要素がありますものは、御
承知のように労働費をどう評価するかとかあるいは自分の資本利子をどう評価するとかあるいは自己の所有地をどう評価するか、いわば、いずれも現実に払われている金額ではございませんけれ
ども、それを他のたとえば、労働費でございますと工場の労賃と評価がえをする、自己の資本利子につきましては一体どれくらいの利回りを
考えたらいいかということで評価がえをするという手法のところが、
先生の御
指摘の可変的な部分でございます。こういう問題につきましては、全体のあの法律に定めております生乳の需要とかあるいは
生産の
状況その他の
経済状況を勘案しろと言っております。それから、酪農
生産の合理化を促進するような
考え方で算定しろと法律で命じておるわけでございますから、そういう法律の定めております範囲の中でどういう数字を使うかということにつきまして、これは私
どもも案をつくりますし、そういうことについて畜産
振興審議会で御
意見をいただいて、そういう御
意見を尊重しながら、そういう御
意見を聞きながら、私
どもの算定を進めていくというのが
基本的な態度でございます。