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田澤国務大臣 松くい虫の
被害は、いま御
指摘のように北海道、青森、秋田以外の全国土に及んでおるわけでございまして、しかも松は、桜あるいはまた梅、竹と同様
日本を代表する木でもあり、非常にめでたい木でもございますので、私たちは何としてもこの松を国土から失いたくない。それが
日本を代表する
一つの景色となり、
日本を象徴する国土になっているわけでございますから、そういう
意味で松がだんだん枯れていくことには本当にさびしさを感じるわけでございます。しかも、松くい虫の
被害木がそのまま林立しているということは非常に醜い現象でございますので、私は、何としてもこれの
対策を抜本的に
考えなければならぬということで
改正法案をお願いしているわけでございます。確かに、五十二年の
法律が制定された後
被害が非常に大きく出たのでございまして、いま
林野庁の専門家の間では、やはり
異常気象が松くい虫を大きくさせた
原因だ、こう言っているわけでございますが、しかし、何かそれだけではないような気もいたします。しかし、しからばどこに大きな
原因があるのかというと、それ
自体がいまの研究の
段階ではなかなか把握できない。
そこで、五十三年、四年に、
水田さん御
指摘のように、なぜその当時もっと抜本的な
対策をしなかったか、また
法改正もその折またやったらどうなんだという御
指摘でございますが、これは五十三年ではその
対策として予備費の使用によって伐
倒駆除の
拡大をやったわけなんです。それから、そのほか治山事業の
実施を五十五年にその
対策をも含めて進めてみたり、
林業改善資金の活用を五十五年以降やってみたり、いろいろな
対策は進めてきたわけなんです。ところが、いまの研究の
段階では、五十三年の
異常気象というものが大きな
原因となって、その後年々その
拡大をするという
状況になっている。これは、もちろん樹勢その他いろいろの面に
影響を与えていると思います。ですから、今回の改正を通じて、これまでの経験を通して、総合的な
対策を
考えまして、先ほど申し上げましたいわゆる
日本列島から松が枯れる姿をなくしていくということに重点を置いて進めていかなければならないと
考えております。
そこで、確かに過去において
林野庁、農林省は胸を張って何年間にこれが
防除できるということを申し上げたと思うのでございますが、その当時の技術の
状況、その当時の判断ではこれが最高だ、このことによって撲滅はできるというような
考え方で進められたと思うのでございますが、先ほど来、
林野庁長官から答弁さしておりますとおり、
異常気象によるいろいろな
変化が今日このような
被害の
拡大を見ているということなのでございますので、私たちは決してその責任を逃れるわけではございませんけれ
ども、その過去のいろいろな経験を生かして今後の
対策に万全を期してみたい、かように
考えているわけでございますので、いろいろな点でまた御
協力をいただかなければならないと思います。
私たちとしては、先ほど申し上げましたように、五十三年、五十四年にはそれなりの
対策を進めてきた。しかし、それ以上の
被害が出てきたということは、結局言うと、松くい虫の
対策の戦いに負けた。しかし、努力はしたんだということですね。それで、敵も
理解できたし、自分の方も
反省することはできた。それを基礎にしながらこの
法改正を進めて、その撲滅のために努力をしたいということでございますので、どうかその点御
理解いただきたいと思うのでございます。