○阿部(昭)委員 そこで
一つの私の意見を申し上げたいのでありますが、たとえばいまわれわれの地方農村の中でどういう人
たちが一番しっかりした暮らし方をやれるようになってきておるかということになると、
先ほどお話しの中核
農家じゃないのです。つまり専業
農家はいまや
東北方面では非常に容易ならざる状態にある。この皆さんがたとえば農協などの中心をなしておるわけです。農協の貯貸率などはどんどん悪化を続けております。農村でどういう皆さんが比較的しっかりし始めておるかということになると、
農業じゃないのです。息子がいいところに勤めておる、嫁さんがいいところに勤めておる、こういう皆さんのことを私は第一種安定兼業層、こう呼んでおるのですが、こういう皆さんがわりとしっかりし出して、専業
農家と不安定兼業層というのが非常に容易ならざる
事態に直面しつつある。特に専業
農家、中核
農家などというのはいまどんどん落ち込んできておるのです。それが、農協の貯貸率がこの一、二年間急激に悪化をするという
状況にあらわれておるのですね。したがって、私は、いま
農政審が言っておるあれも、何をなそうとしておるかということになると残念ながらまだまだ鮮明ではないと思っております。
自給力向上、
自給率は、と言うのですけれども、たとえばえさやその他は全部
輸入ですね。そこで、そのえさで生産されたる肉は、これは自給ですね。そういう
関係。
そこで、将来第三期減反というのはどこまで行くのか。これを全部
水田以外のものに変われと言っても、麦をやる、
大豆をやるといっても、膨大な基盤整備をやらなければ簡単にいかないでしょう。そうすると、たとえば
一つの提案として、飼料用の稲、相当多収穫
品種なども
技術的には
開発され始めておる。しかも相当早刈りのものも出てきておりますね。これを表作でやる。裏作ではたとえば、われわれの地域でも相当雪の深いところは限界がありますけれども、裏作では飼料用の麦などをやらす。これは夏場と違って裏作麦をやる場合は全部水を引き払っておりますから、その期間はわりとやれるわけであります。その表と裏を組ましてどういう
状況になるのかということなどを私どもいま実験的に相当の地域でやっております。
農林省は、飼料用稲なんというのはだめと、こう言う。最近、去年の何月ごろかに試験栽培についてある種の風穴があけられた。将来七十万ないし八十万の減反を本当にやろうというならば、蔬菜や園芸をやるとそっちが全部市場パンクですね。それから
畜産といっても相当の限界が来始めてきておる。果樹なども限界ですね。そうすると、いまの
水田のままでいこうということになると、飼料用の水稲なんというもので相当多収穫のものが出てきている。しかも、それで裏作もやれるということになったら、組み合わしてどういうことになるのかといったようなことも実際問題としては相当
検討に値する
課題だ。私はいま実験的に方々やってみてそういう実感を得ておるのであります。
農林省は、どういうのか知らぬが、どうも飼料用稲なんというものが広がってきてなんということになると厄介なことになるなという感覚が強いようでありますけれども、
農林省の中では特に
畜産当局にその傾向が相当強いようであります。私は、
日本の
農業の中では
東北なども相当重要な中心的な地域だと思っておるのであります。そこに基盤を持って政治的に今日まで来られた
大臣でありますから、
先ほどお約束いただきました密度の濃いというところに何点か、ははあ
田澤農政、いままで
農林省ずっと全部縦割りで延長してきておるものをそのまま踏襲ではなくて、このあたり本当に密度の濃いことをやろうとしておるなということの中に、そんなに全部がらっと一遍に変わるわけにいかないでしょうが、何点かこれだというものをぜひ出していただきたい。
たとえば飼料用稲なんというのも
検討に値するテーマではないか。もう
一つ言えば、たとえばいま細々としたものはいろいろあるんでありますけれども、五十年たたなければ伐期の来ない山、この山に五十年間投資のできる農山村の皆さんは少ないのであります。若い皆さんは五十年先のことのためになんということをやれる
状況にはない。山をやるとすれば、うんと金のかかるのはせいぜい植え込んでから十五年、二十年間ですよ。したがって、山が五十年して伐期が来て皆伐する、そのときに精算払いしてもよろしいという
意味で、二十年間の山の経営にうんと金のかかる時期に、この山が五十年後に仮に一億円の生産を生むという場合には、前もって前半の二十年間くらいに五千万くらいを長期低利のもので、伐期のときに精算払いするような枠の資金をうんと拡大するとかなんとかやはり幾つかの——いま農村の青年は
農業はみんな崩壊しつつあると思っていますよ。こういう皆さんに本当にある種のやる気を起こさしめるに足るような密度の濃いものをぜひお出しをいただきたい。
まだまだ幾つか提案あるのですけれども、時間が来ましたので、ぜひ
大臣から、そういう幾つかの、ああこれが
田澤農政のポイントなんだなというものをぜひお出しをいただきたいと思います。