○松浦(昭)
政府委員 お答え申し上げます。
先生幾つかおっしゃいましたので、区分けをしながら
お話を申し上げたいと思います。
まず第一に、経営の安定
対策でございます。
先生御
指摘のように、漁業の生産額に対しまして負債残高が非常に多くなっているという実情でございまして、しかもその内容を見ますると、最近における燃油の高騰に対しまして魚価が低迷しておるという
状況から、各漁業とも皆赤字の状態になっておるということは御
指摘のとおりでございます。このために従来から、固定化債務の整理のための漁業経営維持安定資金、あるいは燃油価格の高騰に伴います対応策としての漁業用燃油
対策の特別資金、あるいは国際規制の強化に伴いまして、これの対応策といたしまして、国際規制関連経営安定資金といったような諸資金を貸し出してまいったわけでございますが、御
指摘のように、このような応急の資金の手当てだけではとうてい対応できないという事態になっておることは事実でございます。
そこで、私
ども基本的に
考えてみますことは、
一つは、生産構造の再編成と申しますか、ただいま
大臣もお触れになりましたが、減船をも含んだ
基本的な生産構造の再編
対策ということを
考えなければならない時期になっているのではないかというふうに
考えまして、先ほどお触れになりました三百五十億の負債整理資金をこのような生産構造の再編に資するということで、漁業者の間の自主的、計画的な減船計画、あるいは合併等によりますところの経営の合理化というものを推進していきます際における必要な負債整理のための整理資金を今回設けたわけでございます。また、このほかに共補償資金の拡充といったようなこともやっております。また、特定企業生産構造再編推進事業のための二十億の資金も確保し、信用基金制度のファンドの樹立といったような諸般の金融
政策をこれに対応させて設けまして、構造的な再編成に備えることを
考えたわけでございます。
もとよりこのような制度を進めてまいるわけでございますが、一方におきまして、従来の資金につきましても、これは急遽一挙に返還するわけにはまいりませんので、従来の資金もそれ相応に供給してまいるという
考え方でございます。また同時に、このような危機的な経営の
状況に対応いたします
長期的な
政策としましては、やはりコストを下げていくということが非常に重要でございます。さような
意味で、省エネの徹底ということの対応策から、金融なりあるいは税制面での省エネの促進ということを図ってまいりたいというふうに
考えておる次第でございます。
次に、やや混同してお聞きいたしましたけれ
ども、お触れになりましたマグロの減船の問題、それから海まきの転換の問題、これを分けて御説明いたします。
まず、マグロの減船でございますが、カツオ・マグロ船につきましては釣獲率がきわめて低下しているし、また世界的な傾向でございますところの二百海里の設定によりまして、漁場も次第に狭まってまいっております。このような中におきまして、何と申しましても先ほどから申しておりますところの生産構造の再編成ということをマグロ・カツオ業界も実施していかなければいかぬという
状況になっておりまして、その中でまさに自主的なカツオ・マグロ業界の対応といたしまして、二割の減船を五十六年度及び五十七年度の二カ年間にわたりまして実施していこうということを
考えてまいっておるわけでございます。これは全く業界の自主的な動きでございます。
これに対応いたしまして、私
どもも共補償の資金の充実だとかあるいは五十七年度につきましては、負債整理資金の充実といったようなことでこれに対応してまいりたいというふうに
考えておるわけでございますけれ
ども、何分にも百六十五隻という大幅の減船をしていくということでございまして、そのための諸般の
対策というものが必要になってまいりますので、これに対しましては、
政府といたしましてもできるだけの支援をしてまいりたいというふうに
考えている次第でございます。
特に、お触れになりました漁業の離職者の雇用問題、これは非常に重要な問題であると私
どもも思っております。そこで運輸省及び労働省ともすでに協議をいたしておりまして、特に
漁業再建整備特別措置法の適用、それから雇用
対策法の適用ということを
考えておりまして、職業訓練なり就職指導なりあるいは職業転換給付金の支給といったようなことをすでに話し合っております。また特に今回は、離職者の発生を極力少なくするということがやはり
基本であろうというふうに
考えますので、労使間におきましてこの問題について十分に話し合ってもらって、特に漁船同盟と日鰹連あるいは全漁連の三者の間で、できるだけ離職者を少なくするということで話し合ってもらいたいということで、鋭意指導いたしている次第でございます。
次に、海まきの方でございますが、海まきにつきましては、
先生も先ほどお触れになりましたけれ
ども、昭和五十二年までは海まきの増隻は凍結されておりました。ところが近年に至りまして、特に海まきにつきましては周年操業が可能になったという技術的な開発もございましたが、一方、カツオ釣りの漁業につきましては燃油も高騰いたしましたし、また五十三年の大不況がございまして、カツオ釣り漁業の中から、むしろこのような経営不振を打開するためにはどうしても海まきへの転換を一部
考えなければならぬという気持ちも出てまいったわけでございます。もとより私
どもは、カツオの釣り漁の方を将来ともなくすなどということは
考えておりません。それはそれなりに生きていっていただかなければならぬと思っておりますが、やはり世界の
大勢というものを
考えてまいりますと、
アメリカなりあるいは韓国なりで相当の海まきの漁船をつくって太平洋に出しております。したがいまして、このようなことから、私
どもとしましては一方で減トンをして転換をしていくということを
考えながら、海まきの漁船を三十三隻までふやしていきたいというふうに
考えているわけでございます。ただ、この
政策は五十七年度まででございまして、それから先は当分の間増隻をするつもりはないのでございます。
以上でございます。