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1982-02-10 第96回国会 衆議院 農林水産委員会 第2号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
五十七年二月十日(水曜日) 午後零時三十三分
開議
出席委員
委員長
羽田
孜君
理事
加藤 紘一君
理事
亀井 善之君
理事
戸井田三郎
君
理事
渡辺 省一君
理事
新盛 辰雄君
理事
武田 一夫君 太田 誠一君 川田 正則君 木村 守男君 北口 博君 北村 義和君 近藤 元次君 佐藤 隆君 三池 信君
三ツ林弥太郎
君
山崎平八郎
君 小川 国彦君
串原
義直
君 田中
恒利
君 日野 市朗君 吉浦 忠治君
神田
厚君 藤田 スミ君 阿部 昭吾君
出席国務大臣
農林水産大臣
田澤
吉郎君
出席政府委員
農林水産政務次
官
玉沢徳一郎
君
農林水産大臣官
房長
角道
謙一君
農林水産大臣官
房総務審議官
関谷 俊作君
農林水産大臣官
房審議官
大坪 敏男君
農林水産大臣官
房予算課長
京谷 昭夫君
農林水産省構造
改善局長
森実
孝郎君
農林水産省農蚕
園芸局長
小島 和義君
農林水産省畜産
局長
石川 弘君
農林水産省食品
流通局長
渡邊
文雄君
農林水産技術会
議事務局長
岸
國平
君
食糧庁長官
渡邊
五郎君
林野庁長官
秋山 智英君
水産庁長官
松浦 昭君
委員外
の
出席者
農林水産委員会
調査室長
小沼 勇君
—————————————
委員
の異動 二月九日
辞任
補欠選任
神田
厚君
竹本
孫一
君 同日
辞任
補欠選任
竹本
孫一
君
神田
厚君
—————————————
一月二十六日
外国農産物
の
輸入削減
に関する
請願
(
串原義直
君
紹介
)(第一一八号) 二月四日 第六次
治山事業
五カ年
計画
の
早期決定
に関する
請願
(
小沢一郎
君
紹介
)(第三五五号)
木材需給
の
安定等
に関する
請願
(
小沢一郎
君紹 介)(第三五六号) 増産ふすま
用小麦
の
増枠
に関する
請願
(
小沢一
郎君
紹介
)(第三五七号)
食糧自給率
の
向上
及び
農畜産物
の
輸入規制
に関 する
請願
(
小沢一郎
君
紹介
)(第三五八号) は本
委員会
に付託された。
—————————————
本日の
会議
に付した
案件
農林水産業
の
振興
に関する件(
農林水産業
の基 本
施策
) ————◇—————
羽田孜
1
○
羽田委員長
これより
会議
を開きます。
農林水産業
の
振興
に関する件について
調査
を進めます。 この際、
田澤農林水産大臣
から、
農林水産業
の
基本施策
について発言を求められておりますので、これを許します。
田澤農林水産大臣
。
田澤吉郎
2
○
田澤国務大臣
農林水産委員会
の開催に当たりまして、私の所信の一端を申し上げます。
わが国経済社会
は、
先進諸国
がインフレの進行、景気の停滞等の問題を抱える中にあって、安定した
経済成長
を維持し、物価も落ちついた動きを示すなど相対的には順調な発展をたどっておりますが、調和ある
対外経済関係
の形成、
財政再建
、内需の拡大など多くの課題を抱えております。 こうした状況の中にあって、引き続き
経済社会
の発展と
国民生活
の安定を図っていくためには、
国民生活
にとって最も基礎的な物資である食料の
安定供給
を初め、健全な
地域社会
の形成、国土・
自然環境
の保全などの重要な役割りを担う
農林水産業
について、その着実な発展を図ることが不可欠であります。 特に、世界の
食料需給
には
不安定要素
が多く、中長期的には楽観を許さないものがあり、また、今後、資源・エネルギーの制約の強まり、
高齢化社会
の到来、生きがいやゆとりを求める国民の志向の強まりが見込まれる中で、自然の
物質循環
に基礎を置き、経営者として
創意工夫
の発揮ができるという特質を持つ
農林水産業
は、
わが国経済社会
の安定と
安全保障
のため一層大きな役割りを果たすことが期待されます。 翻って、今日の
わが国農林水産業
をめぐる内外の状況を見ますと、
食料消費
や
木材需要
の伸び悩み、
土地利用型農業部門
の
規模拡大
や
林業生産活動
の停滞、就業者の高齢化の進行、
農村社会
における連帯感の希薄化、
燃油価格
の上昇による
漁業経営
問題などに加え、米国、
EC諸国等
からの
市場開放要求
の強まりなどその環境は一段と厳しいものとなっております。 このような状況にかんがみ、私は、
農林水産業
に課せられた役割りが着実かつ効率的に果たされることを基本とし、「八〇年代の農政の
基本方向
」と「農産物の需要と生産の
長期見通し
」を踏まえ、
長期的展望
に立つで、各般の施策の積極的な展開に努め、総合的な
食料自給力
の
維持強化
と
国民生活
の安定を図ってまいる所存であります。 そこで、昭和五十七年度の主要な
農林水産施策
について申し上げます。 まず、農業の振興について申し上げます。 第一は、生産性の向上を図ることであります。 今後、内外の厳しい諸情勢の中で、食料の
安定供給
と農家の所得を確保していくためには、農業の生産性の向上を図り、その体質を強化することが肝要であります。このため、これに必要な各般の施策の積極的な展開に努めていく所存であります。 生産性の向上を図る上で重要なことは、まず、
生産対策
について地域の自主性と活力を基盤としてこれを総合的に推進することであります。このため、従来各
作目ごと
に行われてきた
生産対策
を総合的、有機的に実施できるよう、新たに、新
地域農業生産総合振興対策
、
畜産総合対策
を実施してまいります。 これとともに、
構造政策
につきましては、特に、
土地利用型部門
を中心に、技術や
経営能力
がすぐれ、高い生産性を有する
中核農家
や
生産集団
の育成を図るとともに、これらを中心とした
地域農業生産体制
の整備を図ることが必要であります。このため、
農用地利用増進法
を軸に、
構造政策
の展開を図ることを基本とし、
地域農業振興
のための
総合推進方策
の策定、
農用地利用増進特別対策事業
や新
農業構造改善事業
の推進、
農地流動化奨励金
の交付等の事業を実施するとともに、
農村青少年
に対する
研修教育等
の推進を通じ、
農業後継者
の
育成確保
に努めてまいります。 また、農業の体質を強化する上で、技術の開発・普及、情報の整備は欠くことのできないものであり、
土地利用型農業
に関する技術の総合化、
バイオテクノロジー手法
の活用等による
革新技術
の
開発推進
と新技術の実用化を進めるとともに、
普及事業
の改善・充実、
各種統計情報
の迅速かつ的確な提供に努めてまいります。 さらに、
農業生産基盤
の整備につきましては、
排水対策等水田
の汎用化のための事業、
畑作振興
のための事業等に重点を置きつつ、
新規事業
を極力抑制することにより、
継続事業
の着実な推進と
事業効果
の
早期発現
に努めてまいります。 第二は、需要の動向に応じた
農業生産
の再編成を進めることであります。 地域の実態に即しつつ、過剰なものから、小麦、大豆、飼料作物等不足するものへ需要の動向に応じて
農業生産
の再編成を推進することは、総合的な
食料自給力
の
維持強化
を図る上で重要な課題であります。
水田利用再編
第二期対策の初年度である昭和五十六年度は、目標を上回る成果を上げることができたところでありますが、昭和五十七年度におきましては、一昨年の全国的な冷害と、これに引き続く昨年の東北、北海道を中心とした不作という実情等を考慮して、
転作等目標面積
を前年度と同様とし、対策の着実かつ円滑な推進を図ることとしておりますので、
関係各位
の一層の御尽力をお願いいたしたいと存じます。 また、米の
需給均衡
の回復を図るためには、これとあわせて、
米等わが国
の風土に適した食料を中心とする
日本型食生活
の定着を図ることが重要であります。このため、わが国の食生活の栄養面でのよさや、
水田農業
として発展してきた
わが国農業
の特質などについて、国民の理解を得るよう努めるとともに、
日本型食生活
の
定着促進
に資すること等を基本として、米、牛乳、果実、
水産物等
の
消費拡大
を図ってまいりたいと存じます。 第三は、活力に満ちた心の触れ合う
農山漁村
を建設することであります。 申すまでもなく、
農山漁村
は、
農林水産業
の生産の場であるとともに、
農林漁業者
の生活の場であり、
わが国経済社会
の
安定基盤
として重要な役割りを果たしております。兼業化や混住化の進展、高齢化の進行等により、住民の連帯感の希薄化や村機能の低下の傾向が見られる今日、
地域住民
の連帯感を確立し、心の触れ合う
農山漁村社会
を建設するとともに、
農林漁業者
の
定住条件
を整備することは、
構造政策
の推進や
食料自給力
の
維持強化
を図る上で、一層重要となってきております。 このため、
地域社会づくり
についての住民の
合意形成
を促進するとともに、
中小都市
に比べても
整備水準
の低い
生活環境
を
生産基盤
と一体的に整備するほか、
就業機会
の増大や
農業者年金制度
の充実等を図ってまいります。 第四は、
農産物価格
の安定と
食品産業
の振興を図ることであります。
価格政策
は、
農産物価格
の過度の変動を防止し、
農業所得
と
消費者家計
の安定を図るとともに、価格の持つ
需給調整機能
を通じて農産物の生産と消費を望ましい方向へ誘導するというきわめて重要な役割りを果たしております。このため、
構造政策
、
生産対策等
の各般の施策の展開とあわせて、農産物の特性に応じ、
価格安定制度
の適正な運用に努めていく所存であります。 また、消費者の
食料需要
の多様化に伴い、流通、加工等を包摂する
食品産業
は、国民に食料を安定的に供給する上で農業と並ぶ重要な役割りを果たしております。したがって、
食料消費
の動向に対応して安定した価格で良質、安全な食品を供給するためには、その生産性の向上と体質の強化を図ることが必要であります。このため、中長期の展望に立った
食品産業政策
の課題について検討を進めるとともに、
食品工業
の
技術水準
の向上、
卸売市場
の
計画的整備
、小売業の
近代化等
の施策を総合的に推進してまいる所存であります。 なお、国民に対する食料の
安定供給
を図る上で重要な役割りを果たしております
食糧管理制度
につきましては、昨年、その制度の基本は維持しつつ、過剰、不足、いかなる
需給事情
にも的確に対応できるような仕組みとするよう、
食糧管理法
の改正が行われたところであります。今後、その適切な運営を図ることにより、国民の信頼と支持に基づく恒久的な制度として定着するよう努めてまいりたいと考えております。 以上申し上げました各般の施策のほか、食料の
安定供給
の観点から、輸入の
安定的確保
に努めるとともに、
農産物等
の
備蓄対策
の推進を図ります。 また、
開発途上国等
における
農業開発
の重要性にかんがみ、
農業開発協力
を一層推進することとし、引き続き
協力推進
に必要な情報の収集、整備等を行うとともに、
国際協力事業団等
を通じて技術と資金の両面にわたる協力を進めるほか、
協力案件
の増大、大規模化に対応するため、新たに
農用地開発公団
の活用を図ってまいります。 このほか、
農業災害補償制度
の円滑な運営、
金融制度
の充実等を図ることとしております。 次に、林業の振興について申し上げます。 林業については、
住宅建設
の落ち込みを背景とする
木材需要
の低迷、
林業経営諸費
の増高、
林業労働力
の
高齢化等
からその
生産活動
が停滞するとともに、
木材産業
においても業況が著しい不振にあるなど、厳しい情勢にあります。このような状況に対処して、わが国の貴重な資源である
森林資源
を整備し、国土の
保全等森林
の有する
公益的機能
の
高度発揮
、
木材等林産物
の
安定供給
、活力ある山村の育成等を図ることは、緊要な課題となっております。 このため、造林、
林道等林業生産基盤
の整備を進めるほか、新たに第六次
治山事業
五カ年計画を策定し、
治山事業
の計画的な推進を図るとともに、松くい虫対策について、被害木の伐倒とあわせて破砕、焼却等を行う
防除方法
を新たに加えるなど、その
総合的推進
を図ってまいります。 また、山村における
定住条件
の整備を進めるため、
地域林業者等
の創意と工夫を生かした
林産集落
の
振興対策
を新たに実施するほか、新
林業構造改善事業
、林業の担い手の
育成確保等
を推進してまいります。 さらに、
木材産業
における不況の
深刻化等
に対処し、
木材産業
の
再編整備
を図るため、製材業及び
合板製造業
における過剰設備の廃棄、
生産方式
の
合理化等
を促進する事業を新たに実施することとしております。 なお、
国有林野事業
につきましては、引き続き
経営改善
を計画的に推進する考えであります。 次に、水産業の振興について申し上げます。 水産業は、海洋新秩序のもとでの各国の
規制強化
、
燃油価格
の上昇、
水産物需要
の停滞等の厳しい事態に直面しております。このような状況に対処し、
動物性たん白質
の供給源として重要な地位を占めている水産物の
安定供給
を図るとともに
わが国水産業
を発展させていくためには、困難な状況にある
漁業経営
の立て直しを図るとともに、「つくり育てる漁業」を育成し、
わが国周辺水域
の
水産資源
の
維持培養
とその
高度利用
を進めるほか、
遠洋漁場
の確保に努めることが肝要であります。 このため、
漁業経営
をめぐる厳しい情勢に対処して
漁業生産構造
の
再編整備
を推進することとし、その手段としての減船等を円滑に遂行する上で必要な
漁業者等
の
負債整理
のための
長期低利資金
を設けるなど
経営安定対策
を強化するとともに、漁業における
省エネルギー化
を促進してまいります。また、新たに第七次
漁港整備長期計画
及び第二次
沿岸漁場整備開発計画
を策定し、
漁業生産基盤
の整備を進め、
わが国周辺水域
の漁業の振興を図るとともに、
漁業交渉
、
漁業協力等漁業外交面
での努力を粘り強く展開してまいる所存であります。 このほか、
漁業災害補償制度
について、
加入要件
の緩和、
義務加入対象範囲
の拡大等の改善を行うとともに、
漁業共済団体
の健全な運営を確保するため、
累積事業不足金対策
を実施してまいります。 これら
農林水産施策
を推進するため、昭和五十七年度
予算編成
におきましては、きわめて厳しい
財政事情
のもとで、
臨時行政調査会
の第一次答申等を踏まえ、行政の効率化を図りつつ、必要な予算の確保を図ったところであります。 また、施策の展開に伴い必要となる法制の整備につきましても、目下、鋭意法律案の作成を進めているところでありますので、よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。 最後に、緊要な課題となっております
対外経済摩擦
の問題について一言申し上げます。 私は、貿易の
拡大均衡
という方向は
わが国経済社会
の発展を図る上で重要なものであると受けとめており、この観点に立って、
東京ラウンド
の合意に基づく関税率の
段階的引き下げ
について、昭和五十七年度に一律二年分前倒し実施するとともに、
輸入検査手続等
についても可能なものの改善を図ることとしたところであります。
対外経済摩擦
の解消は、基本的には
国際経済
の再活性化、内需の拡大等の総合的な見地から解決を図っていくべき性格のものであり、また、
農産物等
の市場の開放には限界があります。 私は、
市場開放
の要請につきましては、わが国の
農産物等
の市場はすでに相当開放され、その輸入量は膨大なものとなっていること、また、残された
輸入制限品目
は、
わが国農業
の基幹をなす作物、地域的に重要な作物、
沿岸漁業等
の振興上重要な品目に限られ、自由化がむずかしいものばかりであることから、
国内農業
、水産業の健全な発展との調和を図るという
基本方針
のもとに、慎重に対処していく考えであります。 以上、所信の一端を申し上げましたが、私は、
わが国農林水産業
の発展とそれに携わる方々に明るい希望を持っていただけるよう、全力を傾けてまいる覚悟であります。
委員各位
におかれましては、
農林水産行政推進
のため、今後とも一層の御支援、御協力を賜りますよう切にお願い申し上げる次第であります。(拍手)
羽田孜
3
○
羽田委員長
次に、
昭和
五十七年度
農林水産関係予算
について説明を聴取いたします。
玉沢農林水産政務次官
。
玉沢徳一郎
4
○
玉沢政府委員
昭和五十七年度
農林水産関係予算
について、その概要を御説明申し上げます。 昭和五十七年度
一般会計
における
農林水産関係予算
の総額は、総理府など他
省庁所管分
を含めて三兆七千十億円で、対前年比〇・二%、八十五億円の増加となっております。 本
予算
におきましては、
財政再建
と
行政改革
の
推進
の方向に即し、
予算
のより重点的かつ適切な配分、
補助金等
の統合・
メニュー化等
を図りつつ、
農林水産行政
を着実に展開するよう努めたところであります。 以下、
予算
の
重点事項
について御説明いたします。 第一に、
生産性
の
向上
を
基本
とした
地域農業
を展開するための
予算
について申し上げます。
需要
の動向に応じた
農業生産
の再編成を行いつつ、
農業
の
生産性
の
向上
を図るためには、
地域
の
自主性
と活力を基盤とした総合的な
生産対策等
を
推進
する必要があります。 このため、従来各
作目ごと
に行われてきた
生産対策等
を統合・メニュー化し、
耕種部門
につきましては新
地域農業生産総合振興対策
として、
畜産部門
につきましては
畜産総合対策
として実施することとし、
生産性
の
向上
の
促進等
を図ることとしております。 また、
中核農家
や
生産集団
を育成し、これらを中心とした
地域農業生産体制
の
整備
を図るため、
農村地域農政総合推進事業
を引き続き
推進
するとともに、
地域ぐるみ
で
農業
の
再編整備
が図られるよう、
地域農業再編整備資金
の拡充を図ることとし、七百億円の
貸付枠
を予定しております。 さらに、
中核農家
の
経営規模
の
拡大等農業構造
の
改善
を促進するため、
農用地利用増進事業
に積極的に取り組もうとする地区において、
作付地
の
集団化
、農作業の
効率化
、
農用地
の
利用関係
の
改善等
を図る
農用地利用増進特別対策事業
について八十一億円を計上するとともに、新
農業構造改善事業
、
農地保有合理化促進対策等
を引き続き
推進
することとしております。 第二に、
食料
の
安定供給
、
農業
の
生産性
の
向上等
を図るために必要な
農業技術
の
開発
を
長期的視点
に立って積極的に
推進
するとともに、新
技術
の
普及指導
、
統計情報
の
整備
に努めることとしております。 このため、
細胞融合
、
核移植等
により新生物、新品種を創出するための
技術開発
に着手するとともに、
転換畑作技術
の
高度化
、超多
収作物
の
開発等
を
推進
するほか、畜産新
技術
、
省エネルギー技術等
の
実用化
の促進に努めることとしております。 また、
普及事業
をさらに効果的、効率的に
推進
するため、
地域
への一層の密着を主眼とした指導、
情報活動
の
充実等
を内容とした新
普及システム推進事業
を新たに実施することとしております。 さらに、
地域統計情報
を含め、
生産
、流通、
消費
の各分野にわたる
統計情報
の
整備
に努めるとともに、
統計情報ネットワーク
の
整備等
を通じその活用を図ることとしております。 第三に、
農業生産基盤
の
整備
であります。
農業生産
の
基礎的条件
である
農業生産基盤
の
整備
につきましては、
需要
の動向に即した
農業生産
の再
編成等現下
の
農業
を取り巻く諸情勢に対応して、
排水対策等水田
の
汎用化
のための
事業
、
畑作振興
のための
事業等
に重点を置いて
推進
することとし、前年度とほぼ同額の八千九百九十七億円を計上しております。 なお、
事業
の実施に当たっては、今日の厳しい
財政事情
のもとで
事業効果
の
早期発現
を期するため、
新規事業
を極力抑制し、
継続事業
の着実な
推進
を図ることとしております。 第四に、
農業生産対策等
につきましては、
地域
の特性を踏まえつつ、
需要
の動向に応じて実施することが肝要であり、
水田利用再編対策
につきましては、第二期の枠組みのもとで着実かつ的確に実施することとし、
奨励補助金等
として三千五百億円を計上しております。 また、麦、大豆、果樹、
野菜等
の
農産物
につきましては、
生産性
の
向上
を一層促進するため、先ほど申し上げました新
地域農業生産総合振興対策
を実施することとし、六百二十八億円を計上しております。
畜産部門
につきましては、
地域
の特性を反映させつつ、
生産
から流通、
消費
に至る
各種事業
が総合的に実施できるよべ
畜産総合対策
を実施することとし、三百五十二億円を計上しております。 なお、これらの
生産対策等
とあわせて、
各種農産物
の
価格
の安定、
飼料穀物
、大豆の
備蓄量
の
確保等
を図ることとしております。 第五に、
農林漁業
を基盤とする住みよい
農山漁村
を建設するため、
生産基盤
と
生活基盤
の一体的な
整備
を
推進
するとともに、
地域住民
の福祉の
向上
に努めることとしております。 このため、
地域
の特性に応じた住民の自主的な
共同活動
を
推進
するとともに、
農村総合整備事業
、
農村地域定住促進対策事業
、第三期
山村振興農林漁業対策事業等
の
推進
を図るほか、
農業者年金
の
充実等
に努めることとしております。 第六に、
食料品
に対する
需要
の
多様化
に対応して、
農産物等
を適正な
価格
で安定的に供給するため、
生産対策
、
価格対策等
とあわせて、
食品産業対策
、
流通消費対策
の
充実
に努めることとしております。 このため、
食品産業
の一層の
近代化
を進めることとし、
中長期
の展望に立った
食品産業政策
の課題について検討を進めるとともに、
食品産業
の
技術水準
の
向上
を図ることとしております。 また、
卸売市場
の
計画的整備
、
小売業
の
近代化
、
流通情報
の
活用等
により
食品流通
の
効率化
を
推進
するとともに、
JAS制度
の
充実
、
食生活改善
のための
消費者
の啓発に努めることとしております。 さらに、
国民
の
栄養バランス
の保持、総合的な
食料自給力
の
維持等
の観点から、
米等わが国
の風土に適した
基本食料
を中心とした
日本型食生活
の
定着促進
を図ることとしております。 第七に、
開発途上国等
における
農業開発
の
重要性
にかんがみ、
農業開発協力
を一層
推進
することとしております。 このため、
国際協力事業団等
を通じた調査一指導、資金の
融通等
を行うとともに、最近の
協力案件
の増大、大
規模化等
に対応して、
農用地開発公団
の活用を図ることとしております。 以上申し上げましたほか、
農業金融
の
充実
、
農業災害補償制度
の円滑な
運営等
により、
農業経営
の安定を図ることとしております。 第八に、森林・
林業施策
に関する
予算
について申し上げます。
林業
につきましては、
国内林業
の
振興
と森林の
公益的機能
の発揮とを調和させつつ、森林・
林業施策
を
推進
することとしております。 まず、林道及び
造林事業
につきましては、一千二百五十一億円を計上し、
林業生産基盤
の
整備
を進めるとともに、
治山事業
につきましては、新たに第六次
治山事業
五カ年計画を策定し、その
計画的推進
を図ることとしております。 また、
木材不況
の
深刻化等
に対処して新たに
木材産業
の
再編整備
を図るための
低利融資
を行うことを目的とした
基金造成等
の措置を講ずるとともに、林家の
定住促進
のため
特用林産振興
を主体とした総合的な
集落振興対策
を
推進
することとしております。 さらに、
間伐対策
の
充実
を図るほか、松くい
虫対策
につきましては、新たに
被害木
の特別伐倒駆除を実施する等により、総合的、計画的な
対策
を講ずることとしております。 このほか、新
林業構造改善事業
、
林業
の
担い手対策
、
木材需給
の
安定対策等
の
推進
を図ることとしております。 第九に、
水産業
の
振興
に関する
予算
について申し上げます。
水産業
につきましては二百海里時代の
本格的到来
、
燃油価格
の
上昇等
の厳しい情勢に対処して、
わが国水産業
の
振興
と
水産物
の
安定供給
を確保する必要があります。 このため、
漁業生産構造
の
再編整備
を
推進
することとし、新たに
長期低利
の
負債整理資金
を設ける等
漁業経営安定対策
を拡充することとしております。 次に、
わが国周辺水域
の
漁業
の
振興
を図るため、沿岸
漁業
構造
改善
事業
、栽培
漁業
振興対策
等を引き続き実施するほか、新たに第二次
沿岸漁場整備開発計画
を策定する等沿岸漁場
整備
開発
事業
の
推進
を図ることとしております。 また、漁港施設につきましては、新たに第七次
漁港整備長期計画
を策定してその
整備
を促進することとし、五十七年度は一千六百五十三億円を計上しております。 さらに、
水産物
の鮮度等を表示し、これを
消費
段階において保証するシステムの
開発等
水産物
の
消費拡大
と流通
改善
対策
を
推進
するとともに、引き続き
水産物
の
価格
安定
対策
を講ずることとしております。 このほか、
漁業災害補償制度
について対象の
拡大等
を図るとともに、
漁業
共済
事業
に係る不足金
対策
を講ずることとしております。 次に、特別会計
予算
について御説明いたします。 まず、食糧管理特別会計につきましては、米の
消費拡大
やモチ米の需給安定を図るほか、本年四月から米の政府売渡
価格
の改定措置を講ずる等
食糧管理制度
の運営の
改善
に努めることとし、
一般会計
から調整勘定への繰入額を四千九百八十億円に減額したところであります。 また、五十四年度から計画的に実施している過剰米の処分に要する経費として、
一般会計
から国内米管理勘定へ一千四百二十一億円を繰り入れることとしております。
国有林野事業
特別会計につきましては、
国有林野事業
の
経営改善
を計画的に
推進
することとし、
事業
運営の
改善
合理化等
の自主的努力とあわせて、国有林野における造林、林道
事業
に対する
一般会計
からの繰り入れを行うほか、財政投融資資金の導入の拡大を図ることとしております。 このほか、
農業
共済再保険等の各特別会計につきましても、それぞれ所要の
予算
を計上しております。 最後に、財政投融資計画につきましては、
農林漁業
金融公庫等による総額八千四百九億円の資金運用部資金等の借り入れを予定しております。 これをもちまして、昭和五十七年度
農林水産関係予算
の概要の説明を終わります。(拍手)
羽田孜
5
○
羽田委員長
以上で説明は終わりました。 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後一時十分散会