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上野政府委員 この
試験は大変競争率の高い、激甚な競争率のある大変な
試験でございます。そのことを私は軽視して申し上げたつもりはございません。やはり人間である以上、
一つの組織に入った以上責任のある地位に立ち、そしてより大きな権限を持ち、そして自分の日ごろ
考えます抱負経綸をたとえ限られた場であっても発揮していきたいという気持ち、これは人間の向上心の
一つでもございましょうが、それは大変大事なことでもあり、特にこういう
自衛隊というような組織においては、それなくしては成らない組織であると思います。したがいまして、幹部になる、昇任のいわば登竜門を何とか突破したいという、そういう向上心に基づきますこの
試験があり、それに多くの優秀な者が集まってくる。そこで切磋琢磨をして自分の少しでも高い目標に到達したいというこの気持ち、これは皆、恐らく大半の者が持っておるわけでございます。そして幹部になる。幹部になれば、当然そこでおのずから下士官、曹、士とは違って仕事ができるということでございますから、この
試験に受かりたいというその気持ちは、これは皆が持っておると思います。
先ほど待遇のことを申し上げました。私が申し上げたかったことは、では、今度の
試験の原因は待遇が格段によくなるからではないか、そういう疑念が当然生ずるわけでございますが、これは物の見方によりますが、数字に出る限り、そうではないのではないかということを
一つ申し上げたかったわけでございます。もちろん、幹部と曹、士との間の身分、権限の差は、これは歴然としてございます。
そこで、待遇を申し上げますと、停年まで勤務した場合、現在は准尉の停年も三尉の停年も曹長の停年も同じでございます。五十二歳でございます。来年でしたか、これから一歳延びまして五十三歳になりますけれ
ども、その停年まで勤めて五十二歳でやめた場合の平均の停年の際の号俸、これはいずれも二十八号俸ということになるわけでございますが、俸給月額にいたしまして、准尉の場合に三十二万二千六百円、三尉の場合は三十二万三千八百円、曹長の場合は三十一万六千四百円ということでございます。その差は、多く見るか少なく見るかというのは人によって違うと思いますけれ
ども、まあまあ一万円というほどの差があるかないかというところだと思います。
それから退職金でございますけれ
ども、退職金は、准尉の場合千八百六十万、三尉の場合に千八百七十万、曹長の場合に千八百万ということで、数十万円の差しかないということでございます。いま申し上げておりますのは、最初お断りしましたように平均の号俸でございますので、その点はお含みおきいただきたいと思います。
年金でございますが、准尉も三尉も二百三万……(
木下委員「余り差がないのをたくさん聞いても、そこに私の焦点はございませんから」と呼ぶ)ということでございます。
そこで問題は、今回のような
事件を起こしたのは、先ほど長官お触れになりましたように、まず
試験問題の管理、これが大変ずさんであったということ、これは否めない事実でございます。大体、ロッカーのかぎすらも自分で家に持って帰らない。あるいはそれが普通のロッカーであれば格別、
試験問題というような重要なものにつきまして、そのロッカーの管理、保管が大変不十分であったということにつきましては、これはもう弁解の余地がない。
それから、これを起こしました連中が組織的にやっておるということは、これはやや組織的とは言えると思うのです。数名の者が組みまして、
共謀、
共同正犯という、その起訴状にもございますような、そういうことでぐるになってやっておった。ただ、そのグループにこういうようなふらちなことをした者は限られておるようでございます。したがいまして、そういう一部悪質な連中、少数の者、限られた範囲の者が
試験問題を持ち出して限られた範囲の者に流しておったということ、その動機の最初のところをいろいろ問いただしてみましたところ、これは今後の
供述でいろいろ変わると思いますけれ
ども、最初はやはり自分の身内の者あるいは自分の部下で目をかけておった者が大変苦しんで
試験を受けておるから、これは少し教えてやろうかといういわば善意で、もちろんそのときには報酬等も、大きな金額も動いておらなかったようでございますけれ
ども、そういう善意の気持ちでやっておった。これが善意と言えるかどうか大変問題があるところでございますけれ
ども、そういうことで流しておった。それがだんだんとそこになれといいますか、そういうようなものが出てきて、
試験問題を今度は無差別に流そうとして、しかもそれで金をもうけようとして、それも相当大きな金額で金をもうけようとして、たちまちつかまったということでありまして、そこら辺で一体何を
考えてこんなことをやったのかよくわからないのでありますけれ
ども、大変愚かなことだと思いますけれ
ども、そういう愚かなことをやったとたんにいままでのことが全部発覚したということでございます。
お答えになっているかどうかわかりませんけれ
ども、現在われわれがつかんでおりますところはそういうことでございまして、これが組織的、計画的に長期間にわたって大変金も動いておって、いわばマフィアの組織みたいになっておったというようなことは現在のところ出てきておらないわけでございます。