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1982-04-15 第96回国会 衆議院 内閣委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十七年四月十五日(木曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 石井  一君    理事 愛野興一郎君 理事 佐藤 信二君    理事 田名部匡省君 理事 山崎  拓君    理事 上田 卓三君 理事 渡部 行雄君    理事 市川 雄一君 理事 小沢 貞孝君       狩野 明男君    亀井 善之君       川崎 二郎君    倉成  正君       塚原 俊平君    細田 吉藏君       堀内 光雄君    宮崎 茂一君       岩垂寿喜男君    横山 利秋君       坂井 弘一君    木下敬之助君       中路 雅弘君    渡辺  貢君       楢崎弥之助君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      中曽根康弘君  出席政府委員         内閣法制局第二         部長      関   守君         人事院事務総局         職員局長    金井 八郎君         内閣総理大臣官         房管理室長   海老原義彦君         臨時行政調査会         事務局次長   佐々木晴夫君         臨時行政調査会         事務局首席調査         員       山本 貞雄君         行政管理庁行政         管理局長    佐倉  尚君         行政管理庁行政         監察局長    中  庄二君         国土庁長官官房         長       福島 量一君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 永光 洋一君         運輸省自動車局         整備部長    宇野 則義君  委員外出席者         総理府人事局参         事官      橋本 顕信君         公正取引委員会         事務局経済部国         際課長     奈須 俊和君         公正取引委員会         事務局取引部流         通対策室長   山田 昭雄君         警察庁刑事局保         安部防犯課長  佐野 国臣君         警察庁交通局交         通企画課長   福島 静雄君         警察庁交通局運         転免許課長   越智 俊典君         防衛施設庁総務         部会計課長   平   晃君         環境庁大気保全         局自動車公害課         長       松波 正壽君         外務大臣官房領         事移住部旅券課         長       有地 一昭君         大蔵省理財局管         理課長     澤島 政夫君         厚生省環境衛生         局指導課長   田中 治彦君         厚生省環境衛生         局食品衛生課長 寺松  尚君         厚生省薬務局企         画課長     黒木 武弘君         農林水産省畜産         局衛生課長   緒方 宗雄君         農林水産省食品         流通局消費経済         課長      鈴木 久司君         通商産業省貿易         局輸出課長   伊藤 敬一君         通商産業省貿易         局輸入課長   横山 太蔵君         通商産業省貿易         局検査デザイン         課長      落田  実君         通商産業省立地         公害局保安課長 谷   仁君         通商産業省機械         情報産業局電子         政策課長    岡松壮三郎君         通商産業省機械         情報産業局車両         課長      柴田 幹夫君         資源エネルギー         庁長官官房省エ         ネルギー対策課         長       梅沢  泉君         資源エネルギー         庁石油部流通課         長       長田 英機君         資源エネルギー         庁公益事業部開         発課長     渡辺 光夫君         資源エネルギー         庁公益事業部火         力課長     廣瀬 定康君         資源エネルギー         庁公益事業部原         子力発電安全審         査課長     逢坂 国一君         特許庁審査第二         部調整課長   梅田  勝君         中小企業庁長官         官房総務課長  宇田川治宣君         郵政省電気通信         政策局データ通         信課長     江川 晃正君         建設省都市局区         画整理課長   依田 和夫君         建設省住宅局住         宅・都市整備公         団監理官    末沢 善勝君         会計検査院事務         総局第二局審議         官       竹尾  勉君         日本国有鉄道理         事       竹内 哲夫君         内閣委員会調査         室長      山口  一君     ————————————— 委員の異動 四月十五日  辞任         補欠選任   矢山 有作君     横山 利秋君   榊  利夫君     渡辺  貢君 同日  辞任         補欠選任   横山 利秋君     矢山 有作君   渡辺  貢君     榊  利夫君     ————————————— 四月十五日  沖縄県における駐留軍用地等の返還及び駐留軍  用地跡地等の利用の促進に関する特別措置法案  (上原康助君外八名提出衆法第一五号)  公務員の賃金抑制定員削減中止に関する請願  (中島武敏紹介)(第二一五八号)  国民生活を守る制度の後退する行政改革反対に  関する請願中島武敏紹介)(第二一五九  号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会に関する件  行政事務簡素合理化に伴う関係法律整理及  び適用対象消滅等による法律廃止に関する  法律案内閣提出第七二号)      ————◇—————
  2. 石井一

    石井委員長 これより会議開きます。  行政事務簡素合理化に伴う関係法律整理及び適用対象消滅等による法律廃止に関する法律案議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木下敬之助君。
  3. 木下敬之助

    木下委員 ただいまから、議題となっております行政に関する法律案について質問を行うわけでございますが、中曽根長官は少しおくれられるとのことでございますので、まず、この法律案重要部分のもととなった臨時行政調査会の第二次答申についてお聞きいたしたいと思います。  今回の答申はどのような点に重点を置き、どういった考え方で出されたものでしょうか、お答えいただきたいと思います。
  4. 山本貞雄

    山本(貞)政府委員 お答えいたします。  先生承知のように、臨時行政調査会では、昨年の七月に五十七年度の予算編成問題につきまして第一次答申をいたしました後、九月から本来の臨時行政調査会の使命でございます中長期的な観点からの行政制度、運営に関しまして基本的な、抜本的な行政改革案をつくるということで、実はいま作業をしている最中でございます。しかしながら、その場合、許認可等整理合理化の問題につきましては国民要請も非常に強いわけでございます。また、どちらかといいますと、個別的な改善方策というものが立てやすいわけでございますので、そういった要請の強いものにつきまして改善方策結論を得られましたものにつきましては、今回はとりあえず順次そういったものを取り上げまして、たとえば車検とか免許とか、そういった二十四事項につきまして当面の改革案として提言したわけでございます。  なお、その他の問題につきましては、御承知のように許認可は約一万件もあるわけでございまして、大体各界の改善要望というのが二、三千件出ているわけでございます。そういったものを参考にいたしまして、本格的な許認可整理合理化方策基本答申より後おくれますが、最終的答申までにひとつ体系的に取り上げてみたい、そういったことでとりあえず当面の事項答申した次第でございます。
  5. 木下敬之助

    木下委員 その点はわかりました。  臨調でどのような審議がなされたのか、議事録等が公開されていないのが非常に残念なのですが、今回の第二次答申を受けてこのような法案が出てきておりますが、答申のすべてが盛られているわけではないと思います。この第二次答申について今回の法案に盛られたもの、省令等対応するもの、または臨調の方針に沿った解決が図られていないもの等、いろいろな政府対応がなされていると思います。また、今回の法案には、行政事務簡素合理化に伴う法律整理に関する従来からの懸案事項や許可、認可等整理計画関係事項も盛られているようですが、このように政府みずから考える行革臨調答申によるもののほかに、たくさんの国民からの要望があると思います。経団連が昨年十二月に取りまとめた許認可等改善に関する要望等は、民間の声をよく聞いてまとめられたものでありますので、こういったものを参考にしながら、今回の法案中身または今回の法案から外れたもの等につきまして、個別に質問をさせていだたきたいと思います。  まず、運転免許証更新という問題についてお尋ねいたしますが、臨調答申は、免許更新については国民負担軽減見地から手続簡素化のための措置を講じる。免許証有効期間見直し現行三年ですね、これについては、専門的観点から検討する。当面、長期間無事故違反優良運転者に対するメリット制導入可否についても検討するとありますが、まず臨調ではどのような論議が行われたのか。国民負担軽減をもっと図る思い切った答申を期待していたのではないかとも思うのですが、中身について教えていただきたいと思います。
  6. 山本貞雄

    山本(貞)政府委員 運転免許の件でございますが、先生おっしゃいますように、この問題は大きく二つございまして、一つは、更新手続簡素合理化でございます。これにつきましては、御承知のように相当抜本的な簡素合理化方策を提言しておるわけでございます。  次に、免許更新期間の問題でございますが、御承知のようにアメリカにおきましては車社会というものが非常に成熟しておりまして、たとえば人口の八三%が免許証を持っている。したがいまして、家庭におきましてたとえばおじいさんとか父親、母親あるいは兄、姉といったものがいわば車の安全運転教育を行う、あるいは学校で行う、社会で行う、非常にそういった安全運転教育が行われるわけでございますが、日本社会の場合は、相当車社会成熟はいたしておりますが、まだまだ若い人が中心でございまして、どちらかといいますと免許更新時期における講習安全運転教育の中心的な場になっておるわけでございます。したがいまして、いろいろ検討したわけでございますが、この車社会成熟に伴う学校家庭における安全運転教育の普及がどの程度進んだか、そういう実態を踏まえ、また交通安全の確保といったような専門的な事項につきましても十分配慮いたしまして、このあり方につきましてはひとつ専門的な観点から検討する必要があるということで提言いたしまして、警察庁の方でもこれを受けられまして、二月からそういった専門的な検討体制を発足しておられるようでございます。  さらに当面の問題といたしまして、長期間無事故違反の優良な運転者に対しましては、たとえば現在の三年ということじゃなしに、もう少し延ばすといったメリット制導入して、それを延長するためのいわば突破口として、ひとつこれも専門的な観点から御検討いただいた方がいいのではないか、そういった趣旨で御答申をいたしたわけでございます。
  7. 木下敬之助

    木下委員 そういった趣旨を踏まえまして、政府としてはどういう対応をなさるつもりか、いつまでにどんな形で検討して結論を出すような予定なのか、お聞かせいただきたいと思います。  まず、国際的に見てもちょっと開きがあり過ぎると思うのですよ。先ほど言われたような、日本車社会として成熟してないといい、若い人が多いといったとしても、イギリスでは七十歳までが更新不要、西ドイツは更新不要、フランスは普通はやはり終身更新不要という状況を見ましたときに、余りにも開きがあるのじゃないか。どういった検討をし、いつまでに結論を出すつもりか、お聞きいたしたいと思います。
  8. 越智俊典

    越智説明員 警察庁立場からお答えいたしたいと思います。  私ども、第二次臨時行政調査会答申を踏まえまして、この免許の問題につきましては、国民負担を軽減するという観点から更新手続簡素合理化、それから講習あり方につきましては大幅な改善を図りつつあるところでございます。  具体的に申し上げますと、臨調二次答申にも掲げられておりますけれども、日曜日にも免許更新の窓口を開く、あるいは手続をとったその日に免許証を渡す即日交付を推進する、あるいは郵送で免許証を交付する、さらに優良な三年間無事故違反運転者に対しては講習を思い切って簡素化しましょう、こういうふうな施策を打ち出しまして、免許更新にまつわる国民負担というものを大幅に軽減しておるどころでございます。  有効期間の問題でございますけれども有効期間につきましては、現在の更新制度が年間約四十万人の身体的な運転適性適格者を発見、排除していること、さらに三年間の交通状況変化とかあるいは交通関係法令改正点等を三年に一度はドライバーに周知徹底する必要があるということ、さらには違反をしあるいは行政処分を免れているような悪質な運転者効果的に排除していく必要がある、こういう道路交通の安全と秩序を確保する上でこの更新制度というのは大きく機能しておりまして、現在の更新制度というものは、わが国のこの十年間の事故減少にも大きく寄与したものと考えております。  諸外国との比較でございますけれども、確かに先生指摘のように、ヨーロッパの国々は原則として終身免許更新制度を持っておりません。ただアメリカは、州によって異なりますけれども、大体二年、三年、四年の更新制度を持っております。欧米とわが国車当たり事故率を比べてみますと、日本アメリカはかなり低いわけですけれどもヨーロッパフランス、ドイツ、イギリスは、日本とかアメリカ事故率の大体倍ぐらいになっております。そのような状況もございまして、この更新問題というのはそういう点も考慮しながら判断しなければいけないもの、さらには、先ほど臨調の方の議論の紹介がございましたけれども日本車社会成熟度というものがまだまだ未成熟段階にある。現在、交通事故状況は再び増加の傾向を示しておりますので、こういう状況下におきましては現行制度を維持することが適当であると私ども判断しております。  しかしながら、二月十日の第二次臨時行政調査会答申におきまして、有効期間見直しについて専門的な観点から検討すべきであるという指摘がなされております。私ども部内にも委員会を設けまして、さらに学識経験者から成る研究会を設けまして、この問題につきましては専門的な観点から、交通工学あるいは運転心理学、医学の面もありましょうし、各種の専門学識経験者を集めた委員会におきまして今後検討を続けていきたいと考えている次第でございます。
  9. 木下敬之助

    木下委員 その事故状況等もわかりましたが、免許更新の三年であるのがいい、幾らであるのがいい、それが直接事故関係あるかどうかというのはまだはっきりはしないと思いますので、よりいろいろな調査をされてやっていただいたらと思いますが、いま専門的観点からというのをそういうふうに受けとめて、学識経験者等を含めた検討委員会をつくられたということで、それはいつごろまでにその結論を出すめどでやられるのですか。
  10. 越智俊典

    越智説明員 具体的な委員会のスケジュールというのは決まっておりませんけれども、何分にもこの問題というのはきわめて専門的、複雑な問題かなり実証的なデータ等もいろいろ収集しなければいけないということで、かなり期間がかかるのではないかと考えております。  ただ、私どもこの作業臨調指摘もございますので、できるだけピッチを上げて進めてまいりたいと考えております。
  11. 木下敬之助

    木下委員 それでは二点目の、当面の検討課題とされた優良運転者に対するメリット制導入、これは臨調答申では導入可否についても検討するという表現のようですけれども、もう可否を問うている段階ではなくて、導入するんだという方向で実際に結論を急がれる時期に来ているのではないかという判断を私はしているのですが、この問題についてどういうふうにお取り組みなさるおつもりでしょうか。
  12. 越智俊典

    越智説明員 答申にもございますように、長期間無事故違反者についてもメリット制導入についても、その可否について同様な観点から検討すべきであるという指摘がなされておりますので、私ども、先ほど申しました専門的な委員会の中においてこの問題も含めて検討してまいるつもりでございます。  ただ、免許証更新制度の持っておる一つの機能としまして、身体的なチェックの問題がございます。身体的な変化というものは無事故違反者、長期間優良運転者であってもなくても変わらないという一つの事実がございます。したがいまして、この身体的なチェックの面において長期間無事故違反者とそうでない者を区別すべき理由というのがなかなか見つけにくいというような面もございます。そういうことで、メリット制というものを長期間無事故違反者について更新期間の特別な延長を図るということにつきましてはいろいろな問題がございますけれども答申趣旨を踏まえまして、先ほどから申し上げております専門的な委員会の中で、この問題についてはより先にまず検討すべき課題として取り組んでまいりたいと思っております。
  13. 木下敬之助

    木下委員 専門的で時間がかかるという判断、それもそのとおりでしょうが、一応めどを持って、その時点で考えられる範囲の最大限の専門的見地からの検討の結果というのをそのときそのときで発表されてしかるべきだと思いますので、よろしく今後の推進方をお願いいたしたいと思います。  次に、一般旅券の発給という問題についてお聞きいたしたいと思います。  臨調は「代理申請範囲を拡大して本人身元を確実に保証できる代理人による申請を認める。」と答申し、その例として「兄弟夫婦等近親者等」「修学旅行の場合身元確認のできる、団体責任者」を挙げているようですが、今回の改正では兄弟夫婦というのについては入っていると思いますけれども、その後の修学旅行の場合等の団体責任者に関してはどういう扱いをなさるおつもりでしょうか。
  14. 有地一昭

    有地説明員 木下先生の御質問に対してお答え申し上げます。  今回の臨調答申につきましてはすべてこれを実施するということで検討してまいりまして、そのうちで法律改正を要する部分運用によって実施できる部分と両方ございまして、それで、いまおっしゃいました配偶者または二親等内の親族、これにつきましては、たとえやむを得ざる事情がなくても代理申請を認めるということで今度の法律に第一項として明記したわけでございます。  それから先生指摘修学旅行につきましては、やむを得ざる事情があるかどうかということで検討いたしました結果、学生たちはすべて自分で出頭しなければいけないということになりますと学業に大きな支障があると認められますので、申請者出頭がやむを得ない理由により困難であると認めるという項目に該当するということで、今回の改正案の二項、その他「申請者の指定した者(申請者出頭がやむを得ない理由により困難であると国内においては都道府県知事が、国外においては領事官が認める場合に限る。)」この項に該当できるということでこのように措置した次第でございます。そして、その旨は都道府県に対しても通達するということにしております。
  15. 木下敬之助

    木下委員 ちょっと細かいことになりますけれども、いまの、学業の妨げになる、これはやむを得ざるというので修学旅行のときは認めるけれども、個人一人一人のときは認めないのですか。運用について詳しいことを全部聞いても仕方ないけれども余り運用に任せ過ぎて大幅な勝手なことをするというのも、われわれ国会で審議する立場としては納得いきかねるのです。
  16. 有地一昭

    有地説明員 これは従来も真にやむを得ない理由があるというふうに都道府県知事が認めた場合は代理申請を認めております。したがいまして、個々の例につきましても、実際に本人出頭は困難であろう、そして申請者代理申請した人の身元が確実であり、かつ申請者との関係もはっきりしているという場合には、その代理申請を認めてきたわけでございます。したがいまして、修学旅行の場合も以前から現行法で認めれば認められたわけでございます。ただ、都道府県に対する通達にそういうことがはっきり言ってなかったものですから、今回は、それを真にやむを得ない理由があるというふうに認めるということを都道府県通達をすることで措置したいと思っております。したがいまして、いまの個々の場合につきましては、都道府県知事が認定すればそれは真にやむを得ない理由があるものとして代理申請を認めるということが可能かと思います。
  17. 木下敬之助

    木下委員 では、もう一つだけ、細かい点ですけれども聞かしてください。配偶者とか二親等内、こういったことの身元確認はどんな形でやるのですか。
  18. 有地一昭

    有地説明員 これは、基本的には戸籍謄本あるいは戸籍抄本でその親族関係がはっきりする。そこでまず二親等以内の親族であるということの確認ができると思います。それからもう一つは、申請者身元が確実であるということ。それから、代理申請をしました二親等以内の親族身元が確実である。その三つの認定が必要になるかと思いますが、御質問の二親等以内の親族関係につきましては、戸籍確認するということにしております。
  19. 木下敬之助

    木下委員 もう一つだけ、細かいことで恐縮なんですけれども配偶者というのは、法律でこういうふうに書いているが、これは内縁は含むのですか、含まないのですか。
  20. 有地一昭

    有地説明員 内縁は含みません。
  21. 木下敬之助

    木下委員 結構でございます。ありがとうございました。  長官、お見えになられたようでございますので、個別の質問は後に回しまして、まず、行政改革の基本的な問題について幾つか質問をさせていただきたいと思います。  行政改革、つまり行政簡素化していくということは、行政にとってはあたりまえの、毎日考え、毎日行動しなければならないことだと思います。しかし、第二次臨調を設置し、行革について諮問したことには、赤字国債依存からの脱却、財政再建という目的があったと思いますが、昨年の行革法実質財政への影響の規模や今回の法案規模等を見ましても、行革による財政再建の道を順調に進んでいるようにはとても思えないわけであります。  そこでまず、長官は、今回の法案の成立による人減らし効果、また財政への金額的な効果についてはどのくらいの数字を見通しておられるのか、お答えいただきたいと思います。     〔委員長退席佐藤(信)委員長代理着席
  22. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 昨年の七月十日の答申を受けまして、諸般の政策をやりました。その前後に、昨年は概算要求についていわゆるゼロシーリングというものをやり、これで、中期財政展望でふやすべきと一応想定された中で二兆四千億円ほどカットしておるわけです。つまり、増額を抑制しておる。そのほか、昨年の臨時国会におきまして特別の法案を御審議願いまして、補助金のカット等々を行いました。五十七年度予算で、大体それらが三千百億円程度に及ぶと思います。これらの効果のほかに、やはり各省庁において行革精神というものがだんだんしみてきて、むだをやめ、増員を抑制するという効果も出てきておると思います。特に人員の問題につきまして、本年度は千四百三十四名ネットの削減をやっておりまして、人件費が一人四百万と計算してもかなりのネットの減があるわけでございます。  それから、民間の側におきましては、今回の許認可の問題等で、たとえば車検の問題を初回三年に延期いたしましたが、運輸省の推測によりますと、五年間で約八千五百億円ほどユーザーは助かるという数字を聞いております。あるいは狂犬病の予防注射を半年延ばしましたが、ペットの犬を持っているうちが全部で三百二十万くらいある。一回について千五百円くらい取られるらしいです。それでやりますと、犬を持っている方々の経費が約五十億円節減される。持っていった場合には千五百円ですが、お医者さんに往診してもらうと三千円くらい取られるらしいです。そういういろいろなことを考えますと、やはりかなりの額が節減されてきているのではないかと思います。
  23. 木下敬之助

    木下委員 五十七年度予算、今回の法案だけに限ると、どんなふうに考えておられますか。
  24. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 第二次答申法案化の実施によって、人減らしといいますか金減らしといいますか、どの程度財政再建に寄与すると言えるかという御質問でございます。  この許認可等行政事務簡素合理化効果としまして、国民負担の軽減あるいは民間活力の助長など、いま大臣から申し上げましたような合理化の効果があるわけでございますけれども、コスト節減が図られることはあると考えておりますが、それが全体としてどれくらいのコストになるかということはなかなか算定がむずかしゅうございまして、私どもも数字として現在はっきり把握はしておらない状態でございます。
  25. 木下敬之助

    木下委員 そんな大きな数字での規模ではないと認識しておるのですが、長官、それで財政再建への道を順調に来ているのかということですね。特に税収不足二兆円以上となる見通しが出てきた現在、財政再建の計画も大きく狂ってきたのじゃないかと思う。今後の行革について、臨調に対してどういう期待を持っているのか、臨調答申の実行による行政経費の節減は、財政へのどれくらいの負担減を期待しておられるのか、お聞きいたしたい。
  26. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 これは七月答申でどういう答申が出てくるか、それらの内容によりまして中身がだんだん出てくると思いますが、単年度で計算することは非常にむずかしい。いろいろ政府関係機関、その補助金等を削減するにいたしましても、一年間でばっさり切るというわけにはいかぬし、また、人員を整理する場合には退職金がその分だけ要るということもありまして、そのプラス・マイナスを考えると、単年度ではどの程度出てくるか、いまのところ案の内容が確定しておりませんから、推察することはまだ非常にむずかしいと思います。
  27. 木下敬之助

    木下委員 その財政再建を出発点として臨調に依頼していった。そういった中でどんなものが出てくるかわからないけれども臨調を設置してそういう御審議をお願いする、諮問していくときに、期待というものがあると思うのです。いずれ五十八年度の予算編成がされていかなければならない。いまから考えていかなければならないときに、期待というものがあると思うのですが、どういった規模のものを期待されておるかとお聞きしているのですが、全く白紙でございますか。
  28. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 まだ全く白紙であります。
  29. 木下敬之助

    木下委員 長官が白紙のお気持ちというか、そういう言葉しかいま言われないのはわかりますけれども国民としましては、この臨調が設置されたときの経緯その他をずっと追っかけてきますと、当然臨調答申を盛り込んでいくことによって財政が再建されていくのだ、こういう期待を持っているわけです。やはりみんながどんな気持ちで期待しているのか、また、その期待にどのくらいの規模でこたえようとしているのか、こういったものがいま明らかにされる時期ではないかと私は思っているわけです。臨調の方はどういう考えを持っておりますか。五十八年度に間に合うようにどのくらいの財政負担減できるものと考えて、七月に答申されるおつもりでしょうか。
  30. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 五十六年度予算の財政状況がどういうふうに推移しているか、そのデータもまだ確定的に出ておりません。そういうデータが五十七年度の運営に非常に影響してくるわけでございまして、そういうデータも全くまだわかりません。したがいまして、そういう諸条件が出て財政当局の所見をよく聞いた上で、また財政当局側の希望なり方針もよくわれわれが討議したその上でそういう判定と行動が出てくると思うので、まだその時期ではないと思っています。
  31. 木下敬之助

    木下委員 臨調のお答えを聞く前に長官のお答えですから、私の方の考えを申させていただきたいと思いますが、予算審議のときにも、見通しとしては五十六年の歳入欠陥がその前提として大いに言われながら、現段階ではそれは考えられないということであれだけの予算審議をしたわけです。後から考えると非常に空論のような予算審議を費やしたのではないかと反省しているわけです。いままた、ここまで来た段階でも先手をとってその状況に備える論議がなされない。皆さんはいいかもわかりません。ある程度の資料をいただきながら、その中で表に出せるものはこれだけだけれども、頭の中ではいろいろなことを考えておられるかもしれない。私たち野党は、国民の負託をもらってここに来て真剣な討議をしたいというときに、資料は出せない、出てからしか話せないでは半年、一年いつもおくれるじゃないですか。それでは私たちは国民の負託にこたえることができないと思うわけです。ですから、この問題についてはもう少し現在考え得る範囲の推測を含めた論議があっていいのではないかと私は思います。長官からそこについて明快な答えをいただけるとは思っておりませんが、私なりの考えを申し上げさせていただきました。臨調から、どう考えているか、お答えをいただきたいと思います。
  32. 山本貞雄

    山本(貞)政府委員 ただいま中曽根大臣からお答えがございましたとおりでございまして、先ほど申し上げましたように、昨年の七月に五十七年度問題について第一次答申を出しました以降は、九月から臨調の本来の課題でございます行政制度、運営の基本的な事項について、中長期的な観点からの抜本的な行革問題とただいまもっぱら取り組んでおる段階でございます。
  33. 木下敬之助

    木下委員 中身については出てきた段階でまたさせていただきますが、できるだけ論議の途中経過等も公開できるものは公開して早目に知らせていただきたいということをお願いしたいと思います。  臨調行政改革の理念に関する部会報告原案をまとめ、当初方針どおり増税なき財政再建と五十九年度までに赤字国債依存からの脱却という二本柱を確認しているようですが、このことは行革による財政再建だと考えますが、長官は、こういった臨調の考えをどういうふうに受けとめておられますか。
  34. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 両々相まって行われているものだろうと思います。しかし、私が前から申し上げますように、臨時行政調査会設置法を考えてみると、これは行政制度及びその運営の基本事項に関することを改革する、そういうことが書いてありまして、行政制度ということは、立法、司法、行政の中で立法と司法を除くこと、議会や裁判所以外のことは全部行政でありますから、防衛も福祉も教育も財政も入るわけであります。財政はその一部でありまして、財政改革のために行政改革をやるのではない、行政改革の結果財政が恩恵を受ける、そういう筋だと思っております。しかし、実際は財政によって簡素にして効率的な政府をつくるというかんぬきが入れられるわけで、そういう意味において、財政窮乏の状態は行革を進め触発していく大きな役目を果たしている、そう考えております。
  35. 木下敬之助

    木下委員 その辺の論議になるとどっちが先なのか、鶏と卵のような感じを受けるのですが、財政再建をどうやるのかというふうな規模の問題等を聞いていきますと臨調、それじゃ臨調によって全部するのかと言うとそうじゃない、臨調はそれでして、財政再建が目的でそのためにやるのではない、こういうふうに言われますと、どうなっていくのか国民として非常に不安を感じるものであります。  四月十二日の新聞で臨調第三部会長の亀井氏が「その時々の景気政策などは政府が考えてやればいい。我々は行革財政再建の案を出してくれと頼まれているのだから出してやればいい」と土光会長の考え方を述べて、また「景気対策に臨調は配慮する必要ない。」と述べておるようですが、この臨調の考え方について長官はどう思われますか。長官の期待どおりの考え方なのですか。
  36. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 一般論としては当然の考えであるだろうと思います。そのときどきの経済政策、景気対策というようなものは政府行政権の範囲内で責任をしょってやっているわけで、国民経済運営に関する問題でございます。臨調はもっと中長期の国の、政府あり方というものに取り組んでおるわけでございますから、おのずとそういう差はあると思います。
  37. 木下敬之助

    木下委員 その差は私もそのとおりだと思うのですけれども、そういう言い方をするにしては、一体景気対策をどうするのか、これからの経済見通しをどうやっていくのかという話のときに、臨調に期待しているものが大き過ぎるような気がするのです。財政再建を目的として——財政再建臨調だけでなくて、われわれ国民すべてが一緒になって財政再建をしようとしているときに、景気対策なしに実現できるとは全く思えないわけです。臨調から見ると景気対策は政府がやればいいと言われているようですけれども、どういう景気対策の手段を考えてこの選択は政府がすればいいと思っているのか、その辺の臨調の論議等を聞かせていただければありがたいのです。
  38. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 それは財政当局なり経済企画庁当局が国民経済をにらんでお考えになっておやりになる。それについてわれわれがいろいろ意見を聞かれた場合には、われわれの意見も言います。     〔佐藤(信)委員長代理退席、委員長着席〕
  39. 木下敬之助

    木下委員 景気対策に関して臨調の考えはそういう状況だというのはわかりましたけれども国民の期待からいうと、選択の最終的な決定は政府の方にあるとしても、こんなことがあるといったふうなことは臨調で考えられるべきではないか、出されていいのじゃないかという感じがするのですが、臨調としてはその景気対策を軽く見ているというか、どうして余り触れられないのでしょうか。
  40. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 決して軽く見ているわけではありません。これは税収を生む、自然増収を生んで国民の税負担を軽くするという点では重大な問題でありますからわれわれも重大関心を持っていますけれども、それは第一義的に臨調の仕事ではない、政府財政当局やら経済運営当局の仕事であると言っておるのであります。
  41. 木下敬之助

    木下委員 国民臨調に対する期待というのは本当に幅広いものだと思いますので、臨調の方へこれからのいろいろな考えのまとめを期待いたしたいと思います。  新聞報道によりますと、五十八年度予算について臨調は、マイナスシーリングの実施を柱とした特別の意見書を七月の基本答申の際提示する方針を固めたとされていますが、長官はマイナスシーリングについてどういうふうに考えられますか。
  42. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 先ほど来申し上げましたように、データも何もないいまのような状況でそういうものを決められるはずがないので、その新聞の記事は誤解に基づく記事である。まだ全然そんなところは着手もしないし考えてもいない、そういう状態であります。
  43. 木下敬之助

    木下委員 いまの御答弁は、臨調の中の一員というか、臨調立場でお答えいただいたわけですか。
  44. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 臨調のいまの運営状況の報告を私ときどき受けております。その報告によりますれば、ゼロシーリングとかマイナスシーリングとか、そんなものにまだ考えも及んでおりませんし、タッチした事実も全くない、そういう状態であります。
  45. 木下敬之助

    木下委員 長官のおっしゃり方を見ていますとどうもその辺が、臨調はこうであるというふうに言われておりますけれども臨調で方針を固めたという客観的な報道でございますから、長官としてはそういう報道は聞いてないと言われるのなら私もそういう状況かというふうに思うのですが、そういう事実はないと言われるのは、どういう根拠、どういう考え方から言われるのでしょうか。
  46. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 臨調の動向につきましていま国民の皆さんが非常に重大な御関心をお持ちになっていただくことはありがたいきわみでありまして、そういう意味で新聞やらジャーナリズムも最大限のエネルギーを傾注いたしまして臨調の記事を書こうと努力されておる。これも非常にわれわれは歓迎しておるところでございますが、ややもすれば必ずしも正確でない記事が最近非常に多いようです。国民の関心が高まれば高まるだけ新聞は早く報道しようというふうに競争しておるように思います。大いに競争してもらうことは結構ですが、中身はできるだけ真実のものを御報道願うようにしたい。  いまのマイナスシーリングとかなんとかというような問題はまだ全く着手もしていない。資料もないところに着手できるはずはないのであります。こういう財政運営の問題は第一義的には政府の仕事なのでありまして、そっちのいろいろな条件やら行動というものが出てこないで、臨調だけが独走してそういうようなことがあるということは、あり得べからざることなのでもございます。
  47. 木下敬之助

    木下委員 長官は、結局長官のところに報告がないからそういうふうに判断しているのだ、私はそうとしかとれません。臨調自身がどうあるのか、こういう検討がなされたのかというのは、別次元の話であろうというふうに解釈いたしております。個別の行革による財政への負担減の積み重ねが結果としてマイナスシーリングとあらわれるというのと、マイナスシーリングが先に出てくるというのでは大きな違いがあると考えます。行政経費の節減と事業規模の縮小は別々に考えられるべきで、国民行革への期待は経費の節減による財政再建であって、事業規模の縮小によるものが国民の期待ではないというふうに思うのです。そういった意味で、先ほどからいろいろと話を聞いてきまして、国民臨調に対する期待と臨調の考え、また臨調に対する政府の期待、そんなものが変化してきているのじゃないかというふうに考えるのですが、政府臨調に対する期待というのは変わってきているのじゃないですか。その点は長官はどういうふうにお考えですか。
  48. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 政府は、臨調設立当時から非常に大きな期待をかけてやっておりまして、その答申についてはいままでは最大限に尊重して、これを速やかに実施に移す、そういう政策決定を行ってきているので、その大きな期待はいまでももちろん変わっておりません。
  49. 木下敬之助

    木下委員 その大きな期待と、細かい点に触れる臨調の性格づけみたいなもの、まして、先ほど長官は否定されましたが、ああいった意見書を出した場合、その意見書の性格はどうなるのか。臨調自身の性格、臨調の出してくるものの性格というように、だんだん細かな論議が必要となってくるのではないかと考えております。  私は、国民臨調に期待し行政改革に期待しているものは、一つには、民間の活力が最大限に活用できるような状況にできるだけいろいろな規制というものを外していく方向にあり、一つには、地方分権を進めて、より地方に合った行政にしていくことであると考えております。今回の法案は、一歩前進とはいいながら、残念にも氷山の一角が見直されたにすぎず、きわめて不満足なものであると言えると思います。そういった点の指摘も兼ねて個別の質問を続けたいと考えますが、もうちょっと長官の考えをお聞きいたしたい点がございます。  先ほどの臨調行革の理念に関する報告の中に、昨年七月の臨調第一次答申に対し政府対応が甘かったと指摘し、まだ実現されていない第一次答申指摘事項は速やかに実施せよと原案にあるやに報道されていますが、この点について長官はどう考えられ、どういう対処をなさるおつもりでしょうか。
  50. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 第一次答申につきましては政府も大いに点検をいたしまして、その重要な問題についてはこれを速やかに政策に移すように努力したつもりでございます。しかし、個別的な問題等につきましては、必ずしもまだ全部やったという状態でもございませんし、あるいは懸案になっている問題もあります。国民健康保険の負担の問題だとか、あるいはそのほかそういう個別的な問題についてはペンディングの問題もございます。そういう点につきまして臨調の皆さんが御指摘になっているので、われわれはその点については大いに深い関心を持って今後政策を進めていかなければならぬと思っています。
  51. 木下敬之助

    木下委員 臨調答申がそのままそっくりとは思いませんから、政府として臨調の考えと違う点等あればその点をはっきり〜答えを出して、この答申に盛られたものについては現在の段階で下せるだけの結論を出しながら前に進んでいただきたいと思います。  臨調との関係はこのくらいにしまして、今回の法案についてお聞きいたしたいと思います。  一括にした理由についてお伺いいたします。
  52. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 従来もこの種の法案は一括にした先例がございます。大体同じような性質、同じような目標を持っている場合に、これを一括して上程して御審議をいただいたということでございます。  昨年の臨時国会におきまして行革関連特例法を提出いたしましたが、これも、各省庁がいろいろ分担している仕事もその性格あるいは目的等が一致しておった。特に七月答申ということで一括して出された。政府は七月答申を最大限に尊重してやるという約束をしておる。そういう関係もございまして、行革関連法案行革という言葉がそこで出てきているわけでございまして、そういう考えに立って行ったものでございます。
  53. 木下敬之助

    木下委員 私も、行革のような広い範囲にわたるものはすべてを個別に審議することなどとてもできないことですし、行革の精神からいってもできるだけ一括であることが望ましいと考えます。  しかしながら、この法案の中で、単なる手続簡素合理化にとどまらず、実質的な制度の変更を目的としているものに、公衆法改正部分があると思います。行革に関する第二次答申の中で法改正を必要とするもののうち、車検等の実質改正を目的とする道路運送車両法の改正は単独立法になり、また、郵政省所管のものでも市民ラジオへの免許廃止を含む電波法改正も単独立法とされています。なぜこのデータ通信に係る公衆法改正だけが行政簡素合理化法案の中に組み込まれたのか。本来単独立法にして、守秘義務等に係る罰則の整備等も行うべきではなかったか、こういうふうに思うのですが……。
  54. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 データ通信の問題がこの一括法に入っているのはなぜかというお話でございます。  この一括法の趣旨は、臨調第二次答申及びかねてから検討されておりました許認可整理計画等に基づき実施される行政改革の推進のための現段階における当面の措置であるということ、それから許可認可等行政事務簡素合理化を図ることを目的としているというわけでございます。  それでデータ通信の問題でございますが、今回の予定されております一部改正は、臨時行政調査会の第二次答申に基づいているものである、データ通信回線利用の自由化等の提言に対処するものであるという点、それから、その内容がいずれも規制の緩和、廃止等であるということ、これは行政事務簡素化を図るということに通じております。究極の目的がそこにあるということで、国民との関係において行政全体の合理化を図っていくということでございます。それで、本一括法案趣旨、目的を共通にしているということで、データ通信のものは一括にさせていただいたわけでございます。  車検の問題あるいは市民ラジオの問題、これをなぜ一括にしなかったかというお話でございますが、車検の問題は、今回の期間の延期等を取り扱うにつきまして運輸技術審議会等の御答申も得まして、種々技術的専門的な問題があり、それから市民ラジオ等につきましては、電波法の改正が、そのほかの項目、たとえば在外公館の相互主義による電波の発信を許可するような問題あるいは船員における無線資格の取得の問題等もございましたので、そちらとして法案を出すということになりましたので、この二つは別途の法案ということにさせていただいた次第でございます。
  55. 木下敬之助

    木下委員 データ通信に関しては、完全な行政改革というか、事務の簡素化だけじゃないものが含まれていると思います。許可制だったものを許可かなくてもできるようにするというのは行革でしょうけれども、全く許可のなかったものに許可をするようになるというのは全然別の次元の話であろうと思います。そういったもの等もありまして、幸いにして行革法全体も賛成でありこの問題も賛成であればいいですけれども行革というような国民が期待を抱いているこんな問題にそうじゃない論議のものが入ると、法案の賛否等を決めるときに非常に問題が起こると思うのです。やはり私はこのデータ通信に関するものは外すべきだったのじゃないか、こういうふうに思います。  先ほどちょっと触れましたから、守秘義務等にかかわる罰則の整備等も行うべきではなかったか、こういう考え方があるのですが、この辺郵政省、通産省はどういうふうに考えておられますか。
  56. 江川晃正

    ○江川説明員 今回整備しようといたしました通信の秘密に関する罰則規定は、従来法文上明確ではなかった部分がございます。端的に申し上げますと、公衆電気通信業務に従事していた者の守秘義務に対する加重罰の適用などでございますが、今回それを明確にしようということでやったわけです。しかし、公衆法の一部改正を一括法案で扱うという政府方針を踏まえまして罰則規定に係る改正は今回見送ることとしたわけでございますが、いま申し上げましたような不明確な点につきましては現在解釈で補っているところでございますが、現在同様解釈で進めていくということで当面はこれによって対処し得ると考えております。  しかし、通信の秘密の確保というのは国民の基本的人権に直接かかわりのある重要な課題でございますから、このための罰則については極力明確にしていこうと考えておりまして、早期に法律を整備していきたい、そう考えております。
  57. 木下敬之助

    木下委員 いまお聞きになったような点等も、これは別の単独の立法にすれば十分な審議ができたと思いますので、遺憾であるというふうに申し上げられると思います。一貫したやり方を望みます。車検に関する部分や市民ラジオについても、やはりあれはこうしてこれはこうしなかったという誤解は免れないのじゃないかと思いますし、これは特に今後もいろいろありますから、今後は特別なものを一緒にするようなやり方は無理があるので、ぜひ慎重にやられることを期待いたします。  それでは個別の問題に入りますが、民間からのいろいろな許認可廃止期間の延長、また輸出入の検査の合理化についての要望について、民間が自分の方の負担軽減、民間の利益を図ろうとしているのであって行革の意義は薄いという発言を、いろいろな論議をしている中で耳にしたのですね。私は、民間の活力を活用することにより景気を浮揚させていくなど、民間の負担を軽くさせることのできる行政改革というのは大変重要な行革であると思っているわけですが、長官のお考えをお聞きいたしたいと思います。徹底してないのではないかと思うので、念のためにお聞きするわけでございます。
  58. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 行革の大きな目的の一つに、民間の活力を大いに回復させ、またこれを拡張するという考え方がございまして、そのために許認可等を制限し、抑制し、廃止し、そして民間に自由奔放に活躍させる、そういう趣旨があるのでございまして、その点全く同感でございます。
  59. 木下敬之助

    木下委員 ですから、民間が自分たちの利益のためにいろいろな要望をしている、こういうふうな感覚でとらえるようなことのないようにしていただきたいと思います。今回の改革にあらわれなかった氷山の残っている部分についての一層の努力を期待いたします。  それではまた、個別なものに入らしていただきたいと思います。  まず、輸入の手続、検査についてお聞きいたします。経団連通商対策委員会が五十六年十二月八日に取りまとめた「輸出入手続・検査等の改善に関する見解」を踏まえて、政府の対処方針をお聞きいたします。  各港にある各省出先機関手続の一元化について、現在日本へ輸入される貨物の中でいわゆる他法令関係の貨物の輸入通関手続は、それぞれの省庁の港湾の出先機関ごと、たとえば食品衛生監視員事務所、植物検疫所というふうに、それぞれの申請用紙の記入、提出を行うことになっています。これら輸入通関に必要な申請、許可のための手続を港湾に設置する一つの代表出先機関において処理することができれば、人員的、時間的なむだの節約ははかり知れないものがあると考えられます。このために共通申請書の作成、共通事務処理機関の設置等の措置を講ずることができるのではないかと考えるのですが、厚生省、農林省にお答えをいただきたいと思います。
  60. 寺松尚

    寺松説明員 お答えいたします。  いま先生指摘の件でございますが、御承知のように輸入食品と申しますのに対します依存度というものは非常に高くなっておりまして、年間の消費量の大体四割ぐらいに達してございます。したがいまして、輸入食品の検査というのは非常に重要な問題になっているわけでございます。ちょっと現状を申し上げますと、十六海空港におきまして、五十六人の食品衛生監視員、これは国の職員でございますが、これを配置いたしまして対応しておるわけでございます。  輸入食品の検査と申しますのは、これも先生承知でございますけれども、たとえばいま御指摘の事例を出されましたけれども、やはりそういうものとは専門技術性が異なっておりまして、いわゆる医学でございますとかあるいは獣医学あるいは薬学というふうな専門性が高いものでございますので、なかなか同一に考えるのは困難ではないかと考えております。特に、それぞれ他法令でございますけれども、目的でございますとかあるいは検査の内容でございますとか検査の対象、そういうふうなものが異なっておりますので、なかなか統合、一元化というのはむずかしいのじゃないか。  ただ、実は今回御審議いただいております一括整理法案におきまして、先生の御指摘にぴたりではございませんけれども、検疫所との統合一元化を図るべくお願いをいたしておるわけでございます。
  61. 緒方宗雄

    ○緒方説明員 ただいまの厚生省とほぼ同じ事情でございますが、内容的な問題におきましては、たとえば港湾の合同庁舎等に事務所を設置いたしまして、相互に連携を図るとかというふうな措置もとっておりますし、今後とも関係の機関と協議して簡素化に努めてまいりたいと思っております。
  62. 木下敬之助

    木下委員 両省そういう考えですが、行管庁はどういうふうに考えておられますか。
  63. 中庄二

    ○中政府委員 御指摘事項は第一次の臨調答申にもございまして、まずハードの面では、一番便利なのは合同庁舎をつくることではないか。同じ中に入れば、まずは第一番目に便利になる。  二番目がいわばソフトの問題でございますが、申請書類等の問題解決のために必要な機関ごとに港湾関係の連絡の協議会というのをつくってまいりましたが、情勢の変化がございますのでまだまだ十分ではないかと思いますが、今度の臨調答申趣旨等も踏まえまして推進を図ってまいりたいというふうに考えております。
  64. 木下敬之助

    木下委員 いろいろな考えの違う省庁の間をとって実現に向かうのが行管庁の務めであろうかと思われますので、今後の御精進といいますか検討をよろしくお願いいたします。  二番目に、輸入に係る各種報告書の重複の廃止、一本化という問題についてお聞きいたします。  輸入の実態を早期に把握するため、輸入報告書により輸入統計を作成しているが、輸入報告書の提出時期と貨物の通関時期とにそれほど大幅なずれがないため、輸入報告書は先行指標としての意義が薄く、通関統計のみの集計で輸入動向把握としては十分ではないかとも考えられます。また、輸入報告書を廃止することにより、輸入業者、銀行、官庁の大幅な事務の合理化が図れるとの考え方もありますが、政府はどのように考えておられるでしょうか。
  65. 横山太蔵

    横山説明員 お答え申し上げます。  先生いま御質問の輸入報告書の件でございますが、これは一義的には先生指摘のような統計目的のためにとっておるものではございませんで、外為法第十二条によりまして、輸入業者が支払を行いますときに、その支払いにかかわります取引が、国内産業保護でございますとか特殊決済の規制でございますとか、いろいろな理由から輸入承認が別途必要なものであるかどうかということを確認をしなければならないということになっております。この確認は銀行が行うように義務づけられておるわけでございます。その銀行が確認を行います手段といたしまして、輸入報告書というものを提出させましてその確認を行うという体系をとっておるわけでございます。  たまたまこの輸入報告書を提出していただきます時期がある程度通関に先立った時期でございますので、私どもは事後的にその数字を集計いたしまして輸入報告統計というものを作成はいたしておりますが、私ども一義的には、この外為法十二条に基づきます為替銀行が行います確認行為のために必要な手続として設けておるところでございますので、こういった手続が先ほど申しましたような目的から必要なために、これを簡略化することはむずかしいのではないかと考えております。
  66. 木下敬之助

    木下委員 こういう要望は現場からの要望でございますので、この際原点に返って意義を見直していただきたいと思います。廃止できないとしても、できるだけの簡素化をしていくという姿勢で取り組んでいただきたいと思います。  輸出手続、検査についてお尋ねいたします。  臨調答申には、現在の「輸出検査対象百八十七品目のおおむね三分の一を目途に、整理・縮小」とありますが、いつまでに結論を出すのか。また、合格率何%以上になれば指定貨物から外すという何か基準でもあるのか。農水省、通産省にお答えをいただきたいと思います。
  67. 落田実

    ○落田説明員 お答えいたします。  まず何年ぐらいというお話でございますが、大体数年間かかって段階的に実施をいたしたいと存じております。  それから、どういう合格率になるかというお話でございますが、これにつきましては、不合格率が一%というのを一応目安に原則として考えていきたいと思っております。
  68. 鈴木久司

    ○鈴木説明員 御質問のございました、いつまでに削除するのかということでございますけれども関係業界ともよく打ち合わせをした上でできるだけ早く対応してまいりたいと思っておりますけれども、基本的には、比較的問題が少ないものから順次、数年がかりで対応してまいりたいというように思っております。  それから削除の目安でございますけれども、基本的にはただいま通産省の方からお話がございましたような観点対応してまいりたいというように思っております。なお、その際には、農林物資の特殊性というものを十分加味してまいりたいというように思っております。  以上でございます。
  69. 木下敬之助

    木下委員 できるだけ早く結論を出していただきたいと思います。  答申には「検査手数料の適正化等の合理化措置を講ずる。」というのもあります。現在、政府機関の手数料が民間の指定検査機関に比べかなり低いという実情ではないかと思うのですが、民間の負担が増すことにもなりかねない検査手数料の適正化については、臨調ではどういうふうに考えておられますか。
  70. 山本貞雄

    山本(貞)政府委員 検査手数料の件でございますが、御承知のように政府の検査機関で行っております検査手数料というのはかなり安いものがあるわけでございます。それはやはり物によるわけでございまして、そういった安いということが、同時にそういった検査自体を民間の検査機関に移行するということを困難ならしめておる要因の一つでもあるわけでございます。したがいまして、そういったさまざまな実態を把握の上、総合的に判断して適正な検査手数料に上げるべきものは上げる。また、そういったことでそれぞれ実態に即してひとつ政府において御判断いただきたいという趣旨でございます。
  71. 木下敬之助

    木下委員 その答申を受けて、政府の方はどういうふうに対処なさるおつもりでしょう。
  72. 落田実

    ○落田説明員 お答えいたします。  国の手数料につきましては、いま臨調の方からも話がございましたように大変低くなってございますが、ただ一方、国の所管をしている品目というのは、また非常に中小零細企業が多い分野でもございます。したがいまして、両者を兼ね合わせまして総合的に、先生の御趣旨も体しまして検討をしてまいりたいと存じております。
  73. 木下敬之助

    木下委員 それでは次に、輸出承認手続簡素化についてお伺いいたします。  民間企業は、輸出承認申請並びに建造許可申請の双方とも、わずかな改善は幾度も図られてきたものの、現状は急激な技術革新や経済情勢の変動に追従できず形骸化し、むしろ実務を阻害しているとして、早急な抜本的改善を期待しています。  その改善措置として、すべての許認可はまず実態に即して届け出制に改め、ネガティブリスト方式で規制基準事項を明確化する。その上で業務をコンピューター化して、届け出は申請者からコンピューターデータとして受理する。このネガティブリストでチェックして、抵触すればその申請者を召喚してその事項を精査する方が現実的であり、また建設的であるという意見が寄せられております。これで関係省庁すべて書類の山から解放され、受付業務、統計業務、管理監督業務はすべて即時可能となって迅速化される。これに伴って判断業務に携わる役人以外は不要となり、大幅な人員削減が可能である。  すばらしい提言でございますが、政府は輸出承認手続簡素化に関しどのように対処していくのか。こういった民間の意見に対する見解をあわせて問いたいと思います。
  74. 伊藤敬一

    ○伊藤説明員 お答えいたします。  貿易立国でありますわが日本といたしましては当然のことでございますが、諸外国の事情にも配慮いたしつつ、輸出を着実に伸ばしていく必要があることは当然でございます。先生指摘の輸出手続簡素化、これはもう輸出関係の貿易業者、メーカー、いろいろな方々の御便宜を当然図っていく、これは日ごろから私ども最も大事なことであると常々意を用いているところでございます。  御指摘の輸出承認手続でございますが、現在、外国為替及び外国貿易管理法に基づきます輸出貿易管理令、これで特定の品目につきまして承認制にかからしめておるところでございます。そこに挙げられております貨物、これはたとえば武器輸出の関係でございますとかココム等国際約束に基づきます物等々でございまして、要するに、私ども外為法の趣旨で自由貿易原則をとっております。その中で、必要最小限のものに限ってそういう物を輸出貿易管理令に特掲し、これらについて承認手続をやっておる、こういうことでございます。したがいまして、そこに挙げられております物につきましてはきわめて慎重な管理を必要とするものばかりでございまして、届け出制にすることは物の性質上適当ではない、かように考えております。  それから、業務のコンピューター利用についてでございますが、審査業務に必要な添付書類、これは仕向け地それから契約等々によりましてきわめて多種多様でございます。したがいまして、多種多様なためこのマニュアル化がむずかしいといった問題がございますのでいま直ちにコンピューター化するということは困難でございますが、いずれ研究を進めてまいりたいと思っております。  それから、御指摘の中で輸出貿易管理令の規制方法、これは私ども従来からネガティブリストをもちろん採用しておるわけでございまして、そのネガティブリストも本当に外為法の精神からいって必要最小限なものに限って特掲してやっておる、こういうことでございます。かつ、そこにあります物の規制基準につきましても、逐次官報、公報等に掲載をいたしまして民間の便宜に供しておるというものでございます。  いずれにいたしましても、先生指摘趣旨を受けまして、私どもこれまでもやってきておりますが、今後ともなるべく各方面の意見を多様に幅広くお聞きいたしまして、輸出手続簡素化の実を上げてまいりたい、かように考えております。
  75. 木下敬之助

    木下委員 コンピューターの技術の目覚ましい進歩の今日でございますので、相当柔軟な姿勢でいろんなものを考えられたらいいと思います。特に許認可を届け出制にしてチェックできるまでの期間も、コンピューターを使えば非常に短くなるわけですから、かつての届け出制とそういったコンピューターを利用した場合の届け出制というのは別の考え方ができるのではないかと思いますので、どうかこの新法をできるだけ取り入れて、最先端で民間が自由にやれるように図っていただきたいと思います。  次に、輸出報告書の見直しという問題についてお聞きいたします。  五十五年十二月の貿管令の大改定で輸出貨物代金の回収義務が廃止され、これに伴い輸出申告書、銀行認証ですね、これが廃止された。しかし、令の改定後、輸出通関時に従来の輸出申告書よりさらに詳細な内容を要求する輸出報告書の提出が義務づけられた。輸出報告書は最終的には通産省と大蔵省へ回付され、それぞれ統計資料とされるが、輸出統計としては伝統的な大蔵省の輸出統計がある。  通産省は大蔵省の輸出統計を効果的に活用し、輸出報告書を廃止すべきであり、輸出報告書の廃止による役所、民間企業の時間コストの削減は膨大であり、輸出報告書廃止による国家的利益ははかり知れないとの意見があります。こういう経団連から出したものの意見を聞かれて、政府はどういうふうに思われますか。
  76. 伊藤敬一

    ○伊藤説明員 お答えいたします。  先生指摘の輸出報告書についてでございますが、外為法に基づきます輸出貿易管理令、その第七条の規定によりまして、当該輸出が法令の規定に従っているかどうか、つまり、輸出承認手続等を経て輸出された物が正規のきちっとした手続、法令にのっとって行われておるかどうか、要するに事後的にチェックいたしますいわゆる事後審査のために活用されておるものでございます。     〔委員長退席佐藤(信)委員長代理着席〕  その輸出報告書を廃止することになりますと、決済方法の規制、たとえば特殊決済等々につきましての規制をやっておるわけでございますが、そういった決済方法の規制でございますとか、あるいは武器輸出その他特定の物の輸出のチェック、これを事後的にチェックいたしますいわゆる事後審査ができなくなることになってしまいますので、私どもは、その廃止は適当ではないのではないか、かように考えております。  いずれにいたしましても、私ども今後ともいろんな方面の御意見をなるべく謙虚にお聞きして、少しでもこの輸出手続簡素化の実を上げまして、貿易摩擦等々の問題はございますけれども貿易立国としてやっていかなければいけないわけでございますから、輸出の健全な伸長を図っていくということで努力してまいりたい、かように考えております。
  77. 木下敬之助

    木下委員 民間の意見を謙虚に聞いていただけるそうで、期待をいたしております。  次に、電源立地の推進という問題についてお聞きいたしたいと思います。  電源開発立地に係る関連許認可について、石油代替エネルギーの開発が急がれています最近のエネルギー情勢下において、この中心的課題ともいうべき原子力発電立地のリードタイムの長期化が目立っていると思います。長期化の背景には原子力発電の安全性に対する地元住民の不安、地域振興ビジョンの欠如に加え、電源開発立地に係る関連許認可の遅延が大きく影響していることは事実であると思います。  今回の臨調答申において、国民経済的見地から対応を要するものとしてこの問題を取り上げ、迅速化の方向を打ち出したことをわが党は率直に評価しておるものであります。改善措置は今後の運用にゆだねられているが、政府の具体的対処方針について質問をいたしたいと思います。  電源開発調整審議会、電調審、これに上程する以前の事前審査にかかわる各種許認可手続については、計画が確定していないことを理由に地元情勢に左右され、調査の円滑な実施が行われない傾向があったと思いますが、政府は今後どのような改善措置を講ずるおつもりでしょうか。
  78. 渡辺光夫

    渡辺説明員 ただいま先生からお話のございましたように、わが国のエネルギー基盤を強固にするという一つの大きな政策といたしまして、いま石油に依存しない電源立地を進めるということをいたしておるわけでございます。ただ現実には、大きな発電所をつくります際に、その関係いたします地元の方々の御理解と御協力を得ながら進めていくということが一番大事なことになっております。それで、いま御指摘のございましたように、電源開発調整審議会で政府の計画として正式に決定いたします前にいろいろな調査があるわけでございまして、この調査に当たりましてもやはり地元の方々に十分御理解あるいは御協力をいただいてやっていく、こういうことが肝心なわけでございます。したがいまして、その調査に必要な関連の許認可も幾つかあるわけでございますが、そういう許認可に当たりましても、地元の方々のお考えをよくお聞きしながら円滑に進めていくということに努めているわけでございます。私どもといたしましては、実際のそういう電源の計画があります地点ごとに関係行政機関ともよく連絡をとりながら、できるだけ円滑にしていくようにいろいろな努力をしている最中でございます。
  79. 木下敬之助

    木下委員 非常に重要な問題ですから相当慎重にやらなければならないことはわかりますが、大変膨大ないろいろな手続が要りますし、その上に、はっきりとした手順になっていないような部分があるのではないかと思うわけです。特に許認可申請を受理したり処分を行うに当たって、相互に他の行政機関による関連許認可申請の受理や処分を前提とするいわゆるもたれ合いを断ち切ることが肝要であると思います。あちらの許可を先にもらってこいと言うからそこへ行くと、向こうの方の許可を先にもらってこいと言われる、その辺の手順を明確にしていないので、そこでじっととまってしまうという状況です。これは全くのむだでございますので、どこかで順序をはっきりさせていく必要があるのではないかと思いますが、政府はこのもたれ合いという問題をどう考えてどう対処されるおつもりでしょうか。
  80. 渡辺光夫

    渡辺説明員 ただいま先生からお話がございましたように、発電所一つつくりますのに非常に多くの関連法規が出てまいります。これは地点によりましてその数がいろいろ違ってくるわけでございますが、いずれにいたしましても、発電所の建設そのものから始まりまして土地利用の関係の各種の法令でございますとか、そういうものがたくさんあるわけでございます。先生のおっしゃいますように、そのたくさんあるのを相手が終わったらこちらもやるというようなことで一々やってまいりますと、どうしてもその許認可手続のために多くの時間をとられてしまうということになるわけでございます。私どもいま臨調の方からももたれ合いをなくすようにという御指摘をいただいておりますので、そういうあちらが終わったらこちらがやるというようなやり方ではなくて、電源開発調整審議会が終わりました後には関係するところは一斉に審査をしていただくというようなことで、関係の各省といまいろいろと協議をさせていただいているところでございます。
  81. 木下敬之助

    木下委員 その協議の結論を早急に出せるようにしていただきたいと思います。  また、許認可先別項目数を見ると、自治体の行う許認可件数か相当数に上っております。国は新規立地点の自治体に対し、許認可を遅滞なく進められるような体制を整備するようどのような指導あるいは助成を行うつもりでしょうか。  行革ということで国のやっていることを自治体に移譲することによって、先に進むものと、かえって混乱するもの、いろいろあると思いますが、目標としては行政簡素化して手早く進められるような体制にするということでございますから、この点の指導、助成というのはぜひ必要と思いますので、お答えいただきたいと思います。
  82. 渡辺光夫

    渡辺説明員 いま先生からお話がございましたように、実際の許認可は国がやっておるものもございますが、地方公共団体にその運用がゆだねられているというようなものもかなり多くなっておるわけでございます。したがいまして、各地点ごとの実情を踏まえながらできるだけ円滑に手続を進めていくというためには、国と地方とが連携を密にいたしまして、その間の食い違いや、あるいは先ほど申しましたもたれ合いのようなことがないようにしていく必要があるわけでございます。私ども、中央で関係の各省庁と御相談をしますと同時に、その結果につきましては地方の実際に法令を運用されているところにも十分指導していくことが必要と考えておりますので、今後とも関係各省の御協力も得ながら地方自治体に対する指導を十分やってまいりたいと考えております。
  83. 木下敬之助

    木下委員 このほか、計画が電調審の議を経て政府の電源開発基本計画の一部として決定された場合には、各種手続の審査及び処分を迅速に行うように答申されているようですが、政府は、今後これらの改善措置を講ずるに当たり、リードタイムを何年くらい短縮することを目指して進めるおつもりか、お聞かせいただきたいと思います。
  84. 渡辺光夫

    渡辺説明員 先ほど申しましたように発電所に関連します手続が非常に多岐にわたっておりまして、一概に何年というようなことに必ずしもなっておらない面もございますし、それから場所によりまして手続の数も違ってくるというようなこともございますのでなかなかむずかしいわけでございますが、一応政府といたしましては、たとえば原子力発電所について申し上げますと、二年程度を目標にその短縮化を図ってまいりたいということで現在努力している最中でございます。
  85. 木下敬之助

    木下委員 できるだけ短くする方向でやっていただきたいと思います。  次に、原子力の安全審査についてお伺いいたします。  現在、すべてのユニットについて全項目安全審査を行っているが、同一サイトに同一型式、同一出力のユニットを増設する場合などは、先行号基における地盤等、自然条件や設計の安全性に関する審査結果を活用すれば大幅な短縮化が可能と考えられるわけですが、政府の見解と今後の対処方針をお伺いいたします。
  86. 逢坂国一

    ○逢坂説明員 申すまでもないことでございますが、原子力発電の推進に当たりましては、安全の確保につきまして万全を期すということが最も重要なことでございますし、また国民の理解を得るためにも重要なことであるというふうに私どもも思っておりまして、安全審査につきましては、私どもは厳正にやっておるところでございます。  ところで、御指摘の先行炉におきます安全審査の結果の活用ということにつきましては、現在すでに各地点の実績というものを十分反映しているつもりでございます。ただ、同一の型式でありましてもその置かれる場所の自然条件が違いますし、地質、地盤その他変わりますし、それから前回の先行炉以降起こったいろいろな社会的な事象というものも変わるわけでございますので、どうしてもその施設に応じた安全設計なりあるいは立地条件なりというものを十分審査しなければならないということになって、勢い時間がかかるという実情でございます。  また審査官につきましても、専門の方を置いたらというか、審査の専門家をずっと長く置いてというような御要望もいろいろございますが、現在すでに審査官としては専門官がおります。ただ、行政官であります以上ある程度の異動は避けることができないという実情もこれまた事実でございます。そこで私どもといたしましては、従来から原子力発電につきましての技術顧問という制度がございます。これは、大学の教授、助教授の方、研究所の主任研究員の方にお願いしておるわけでございますが、そちらの方々の専門的知識を活用していくということでございます。  いずれにいたしましても、私どもは厳正に行うと同時に、もちろんリードタイムの短縮ということについても十分心を配してまいりたいというように思っております。
  87. 木下敬之助

    木下委員 原子力について万全を期すというのはもう当然のことでございますが、科学の裏づけがあれば万全であると思いますので、科学的に万全であるということを期しながら、重なることのないように、できるだけ前に進めるという姿勢も持っていただきたいと思います。また、その審査官等の増強や行政審査制度等もぜひ考慮してやっていただきたいと思います。  次に、原子力発電の立地の推進に関連して、原子力発電の運営効率化についてもお聞きいたしたいと思います。  原子力発電所の稼働率向上は、省石油ばかりでなく、原子力への国民の信頼を高める上からも非常に重要であると考えます。稼働率を左右する原子力発電所の定期検査期間はもっと短縮化する余地があるのではないかと考えるわけです。たとえば定検中にしばしば発見されるトラブルの改修工事について見ると、軽微なものは認可を必要とせず届け出によることとされていますが、届け出の三十日後でないと修理できないとなっています。このため、場合によって届け出だけでよい軽微な工事の方が認可を要する重要な改修工事よりも多くの日数を要することがあるというような不合理が見られると思います。このような場合、実態に即した運用はできないのだろうか。  また、定検の一般的なやり方にしても、短縮化を進めるためには国の検査範囲を、実績を科学的に見て必要最小限度のものに限定化していくことができるのではないか、こういう案も一案ではないかと思うのですが、この問題に対する政府の対処方針をお聞きいたしたいと思います。
  88. 逢坂国一

    ○逢坂説明員 御指摘の工事の開始の三十日前に届け出る制度でございますが、これは、現在電気事業法四十二条第一項というのがございまして、工事に当たりまして認可を要するものは非常に重要なものですが、それ以外でも、比較的重要なものといいますかある程度重要なものは、事前届け出制度にするということになっています。  ただ、この三十日という期間について御要望があるわけでございますが、この三十日と申しますのは、私どもがこの間に審査をして、必要があれば改善命令を出さなければいけないということでございまして、私どもとしては審査に必要な最小限の期間というようにいまのところ考えております。これは他の保安法規、たとえば工場立地法その他の法律と比べても、そちらの方は九十日ということでございますので、私どもの三十日というのは決して長くはないというように思っております。  ところで、ではその三十日の問で、定期検査で非常に支障があるのは不合理ではないかというのが御指摘でございますけれども、これも実際に私どもは調べてみましたが、具体的に定検が長くなったという例も聞いておりませんので、いまのところ特段支障がないのではないかというふうに考えております。  それから定期検査でございますが、これにつきましては御指摘のとおりでございますけれども、原子力発電所の安全に万全を期すという観点から、どうしても原子力発電所は、年に一遍主要な施設は国の定期検査にかからしめているわけでございます。これの検査につきましては、今後、民間の検査機関の活用とか、こういう定期検査に当たりましての標準仕様の作成とか、そういう観点で合理化を図っていくということを検討してまいりたいと思っております。
  89. 木下敬之助

    木下委員 その三十日のことはいまのところ支障はないと言われておりますが、こういうふうな適用の仕方によっては不合理となるのではないかという指摘でございますので、今後の運用でそういう不合理の起らないように考えていただきたいし、また、不合理が起こるようでしたら、ぜひこの提言のことを思い出していただきたいと思います。また、安全性の問題は万全を期すということですが、先ほども申しましたが、あくまでも科学的に考えて安全と思われることは進めていく、こういう結論で積極的に推進を図っていただきたいと思います。  続きまして、エネルギー行政改善についてお聞きいたしたいと思っています。  エネルギーの長期安定確保のためには、民間の活力を最大限に活用することを基本にエネルギー対策を推進することが不可欠であると考えますが、現状では、数多くの政府規制に対し経団連など民間企業サイドから簡素化が求められており、同時にそのことは、行政の減量化を推進する観点からも見直されるべき課題と考えております。以下、民間企業の立場を踏まえ、エネルギー行政に係る政府の規制について質問をいたします。  まず、石油製品の生産、流通、価格に対しては、多くの許認可、届け出、報告義務が課せられています。民間の要望の一例を挙げますと、石油業法に基づき、毎年度、石油供給計画の告示後一カ月以内に、石油精製業者は石油製品供給計画を通商産業大臣へ提出することが義務付けられている。同時に、通産省指導により同計画の総括表(電算集計様式)も添付している。業法様式の供給計画は作成が手間取る割りには利用価値が乏しいので廃止されて、これにかえて先ほど申した総括表を正式に採用していただけないか、こういう要望のようです。ちなみに、そこで前回提出した資料の枚数はB4で百四十枚、また総括表でB4で十五枚、こういうふうな例を挙げておられます。  また、石油製品販売業は石油業法第十三条ないし十五条により種々届け出義務がある。しかるに、承継手続等の基準を欠くほか、変更届け出についても画一的で不備な点が多い。その結果、系列店に対する遵守指導も徹底を欠くうらみがある。承継手続を制定するほか、法人代表者、主たる事務所の名称及び所在地等の変更については一括届け出——現在の指導では傘下全事業所ことの個別届け出となっております。この一括届け出を認める等簡素化により届け出事務の合理化を図ることとされたい。  こういった二つの大きな要望が出ておりますが、この要望に対する政府の対処方針をお聞きします。
  90. 長田英機

    ○長田説明員 お答え申し上げます。  石油は国民経済あるいは社会を支える重要な物資でございまして、これは御案内のとおり、国際情勢で非常に不安定な動きをする性質のものでもございます。さらにまた、国際社会におきまして、国際的な需給の安定を図るためにいろいろな国際協力をやらなければいけないというような事情もございまして、やはり石油行政といたしましては、最小限の介入というものは必要である、こういうふうに考えているわけでございます。  ただし、今後の石油政策の基本的方向としましては、この石油の安定供給を図るために支障が生ずるような場合を除きまして極力誘導的な措置にとどまるということで、個別の介入については漸進的にこれを縮小していく、こういうふうに考えているわけでございます。  現在、石油業法によりまして、たとえば石油供給計画を定め、生産計画の提出ということで届け出を求めたりしておりますけれども、こういうような制度もこういう石油の安定供給を確保するという観点からでございまして、私どもとしては必要な措置であると考えているわけでございますが、いずれにせよ、石油製品の生産、流通、価格、こういう面についてはいま申し上げました行政の基本的方向に沿ってるる考えて検討してまいりたい、こう思っているわけでございます。  それからなお、先生指摘ございました、特に石油製品販売業の件でございますが、この石油製品販売業は、石油の安定供給ということを考えてみまする場合に、直接消費者と接触している事業でございまして、たとえば石油が非常に詰まってくるような緊急事態を考えますと、その安定的な供給を確保するという意味でその実態というものを私どもとしては十分に常時把握しておく必要がある、こういう点からも私どもとしてやっているわけでございますけれども、何分とも、先生指摘のとおり届け出件数も非常に膨大になってきております。こういう点も考えまして、この届け出業務というものの実態を踏まえ、手続あり方については検討を進めていきたい、こういうふうに考えております。
  91. 木下敬之助

    木下委員 特にエネルギーに対する問題は重要でございますので、積極的なお取り組みを期待いたします。  次に、省エネルギー管理の合理化についてお聞きをいたします。  産業界はエネルギー高価格時代に適切に対応すべく省エネルギーに努力し、世界に誇り得る成果を上げている。一方、法規制面を見ると、エネルギー使用合理化法で、年一回膨大な量のエネルギー管理状況報告書の提出が義務づけられていますが、これは内容的には統計法によるエネルギー消費動態統計調査月に一回、エネルギー消費構造統計調査年一回と、ほぼ同一であり重複しているので、その調整簡素化を図ることはできないのでしょうか。また、モーターの効率運転とか変圧器の並列運転等がエネルギー管理状況報告書の項目にあるが、現実には、現状の変圧器、モーター等の効率、鈍損、負荷損等の資料がなく便益計算ができないとして、国ではむしろそれらのガイドブックを作成し配付するとともに、メーカーにはそれらを表示するよう指導すべきであるというのが民間の声でありますが、この件に関して政府はどうお考えでしょうか。
  92. 梅沢泉

    ○梅沢説明員 お答え申し上げます。  先生指摘の報告聴取の件でございますが、本報告書はエネルギーの使用の合理化に関する法律第二十五条の二項に基づきまして、同法律が定めております判断基準の達成状況を把握するための調査でございまして、その内容につきましては判断基準に関係のあるものが中心でございまして、御指摘のようなエネルギー消費統計とは異にするわけでございます。また、先生、年に一回義務づけているとおっしゃいましたが、実際は判断基準にのっとって各事業者がエネルギー管理をやっているかどうかを把握するために必要に応じてやる調査でございますので、定期的に行うものとはなっておりません。  それで、御指摘の内容の重複の点については、確かに一部ではございますが、ございまして、われわれもこれについては回避すべしという判断に立ちまして、目下所要の手続を進めております。具体的に申し上げますと、先生おっしゃった消費統計につきましては、統計法によりましてこれを他に流用するときには行政管理庁の承認が必要になっておりますので、現在承認の申請中になっております。  また、調査の内容につきましての御指摘でございますが、御指摘の点もっともな点が多々ございますので、次回調査を行うに際しましては、十分先生の御意向を体して検討してまいりたいと思っております。
  93. 木下敬之助

    木下委員 前向きな検討をよろしくお願いいたします。  電気エネルギー管理士の免状は国家試験合格者及びこれと同等以上の学識経験を有すると認定された者に交付されることになっていますが、現状、試験の内容は必要実務とかけ離れた難解なものであるため、合格者の確保に大変苦労しているというのが実情であります。  一方、電気事業法に基づく電気主任技術者は、工場における電気エネルギー管理の実務を担当し、必要な学識経験を有していると考えられるので、少なくとも第二種電気主任技術者以上の者は実務経験証明をもって電気エネルギー管理士免状を交付するよう要望する、こういった要望が出されておるようですが、政府はどのようにお考えでしょう。
  94. 梅沢泉

    ○梅沢説明員 お答えいたします。  先生指摘の、エネルギー管理士の中の電気関係のエネルギー管理士を電気主任技術者第二種の取得者についてはそのまま認めるべきではないかというような御指摘だと思います。  御案内のとおり、エネルギー管理士としてわれわれが期待しております任務につきましては、電気設備が常に高効率で利用できるような状態に維持管理することが主眼でございまして、電気主任技術者という、電気工作物の保安監督を目的とした任務とはおのずから差があろうかと思います。したがいまして、その電気主任技術者の二種を持っている者に自動的にエネルギー管理士の資格を与えることはわれわれとしてはいかがかと思っておりますが、ただし、電気主任技術者にもそれ相当の資質がございますことは十分承知しておりますので、現状におきましては、研修を行うに当たりまして、その電気主任技術者の資格を持っている者については自動的に資格を与えておりますと同時に、研修内容につきましても、その一部については電気主任技術者の資格を持っている者について免除をする規定となっております。  それから、試験がむずかし過ぎるのじゃないかという御指摘もございますが、われわれとしては、エネルギー使用合理化を図る上において必要十分な知見を持つレベルを設定いたしておりまして学識経験者三十名から成る試験委員会において内容について検討しているわけでございます。ただ、試験内容についてむずかしいという声も聞かれるのは事実でございまして、われわれとしても何とかこの充足率を高めるべくいろいろと努力しております。五十六年度からは、通常試験それから一般研修のほかに特別研修という制度を設けまして充足率を高めておりまして、現在約九五%程度にいっておりますので、十分ではないにしても、今後ともこの方面の努力を続けてまいりたいと思っております。
  95. 木下敬之助

    木下委員 前向きな検討をどうぞよろしくお願いいたします。  次に、製鉄所においては、エネルギー使用の節減を目的とした小規模な省エネルギー発電、廃エネルギーを回収利用したような発電、こういった設備が数多く施設され、今後ますます増加することが予想されています。これらの発電設備の主たる目的は、電力供給よりも省エネルギーにあって、供給責務を持たない小規模設備がほとんどであります。したがって、そのような設備につきましては、一、許認可手続の簡略化、二、技術基準の適用除外、例外措置等の積極的採用、三、定期検査期間の延長等、こういった措置を講ずるのも一案だと考えますが、政府はどうお考えになりますか。
  96. 廣瀬定康

    ○廣瀬説明員 現在、わが国には自家用発電設備として千三百万キロワットほどございます。これは全発電設備の一割でございますが、この千三百万キロワットの自家用発電設備のうち五ないし六%が先生指摘の廃熱利用といいますか、鉄鋼を主体といたしまして、ごみあるいはセメントその他等から出てきます廃熱を利用しまして発電を行っております。このように、わが国の場合、こういうような現状にも見られますように鉄鋼を初めといたしましてエネルギー原単位を極力低減していくということの実効は着々と上がっているわけでございまして、そういったことをも含めましてわが国としては省エネルギーあるいはエネルギーの効率的利用を進めていくことは必要であり、また進めていかなければいけないということは、私どもも同じように考えております。  ただ、省エネルギーを進めていくという、そういったような自家用発電設備でありましても、保安確保上必要な事項につきまして、特段の事由がない限り規制の緩和を無条件で行うということは必ずしも適当ではないと思われます。しかしながら、先ほども先生からお話がございましたように、非常なエネルギー高価格時代に入っておりますというようなことで、省エネルギー化あるいはエネルギーの効率的利用を進めていくことは必須のことでございますので、私どもといたしましては、御指摘の保安規制の緩和につきましては、保安という課題を確保しつつ既設設備の運用実態あるいは利用される技術の定着状況をもあわせ考えまして、たとえば基準等に反映する等逐次合理化を図るような方向で検討してまいりたいと思います。
  97. 木下敬之助

    木下委員 それでは、どうぞよろしく御検討をお願いいたします。  時間も大分迫ってまいりましたが、最後に、先ほど一度問題になりましたデータ通信の問題について、その中身について質問させていただきたいと思います。  郵政省はVAN業について、付加価値通信業に関する特別立法の措置を行い、これを公認する予定であったように聞いていますが、どういういきさつで公衆法改正による規制緩和に落ちついたのでしょうか。
  98. 江川晃正

    ○江川説明員 先生いま御指摘のとおり、郵政省といたしましては、産業界とか学界とか各界からの要望を踏まえまして、また電気通信政策懇談会で出された意見というようなものも受けまして、今回二つの法律を用意したところでございます。  一つは、御指摘のありましたように高度通信サービスと称しておりますが、それを行うことができるような制度をつくろう、その制度の中で、それを利用するユーザーの利益の保護とか通信の秘密の確保等について所要の措置を講ずるための付加価値データ電送業務に関する法律案というのが一本。もう一本は、現在使われております各種のデータ通信、平たい言葉で申し上げますと使い勝手をよくすると申しましょうか、そういう視点に立ちまして共同使用の範囲の拡大など所要の改正のための公衆電気通信法の改正という、この二本を用意したところでございます。  この二本の案で政府部内の調整を進めてまいりましたが、臨調から許認可整理答申というのが二月十日に出されまして、それを受けまして、政府としても答申を最大限尊重する、速やかに所要の施策を実施に移す旨の閣議決定が行われた。これが二月十九日でございますが、こういう状況の中で、調整がついていない付加価値データ電送業務に関する法律案先生のお言葉で申しますといわゆるVAN法と申しましょうか、それにつきましては、今回提出期限が迫ったという時間的制約もございましたので、今後継続的に検討するということにいたしまして、今国会への提出を見送りました。大方の合意が得られておりますデータ処理のためのデータ通信回線利用制度の整備ということにつきまして、今回公衆電気通信法の一部改正ということで提案しているところでございます。  新しい高度通信サービスにつきましては、早期の実現を目指して精力的に引き続き検討してまいりたい、そう考えております。
  99. 木下敬之助

    木下委員 中途コンピューターでのメッセージスイッチングを共同使用の場合に認め、また他人使用でも同様のこととするとされていますが、メッセージ交換の定義をどのようにするのか。またどこで書くのかという点。  それから、中小企業者のために他人使用の規制を特に緩め、一定の条件のもとに、基本的公衆電気通信を除いての電信電話的利用を認めることとされていますが、中小企業者の範囲やその一定の条件とは何かということを省令ではどのように扱うのか。たとえば中小企業者の範囲は中小企業基本法に従った範囲でするのか。  次に、公衆回線から特定回線に行き、また公衆回線という、こういう公−特−公の接続を個別認可で認めることとされていますが、それが第二電電公社的に使われるのではないか、それでいいのか、もしくはそういったおそれはどのようにチェックするのか、こういった点についてお答えをいただきたいと思います。簡単にお願いします。
  100. 江川晃正

    ○江川説明員 メッセージスイッチングの定義でございますが、この言葉は現在の法律の上では書かれてございません。ただ、それと同義的に使っておりますのが公衆電気通信法施行規則の中にございます。次のように言っております。「内容を変更することなく情報を媒介する電子計算機の本体の使用」ということで、これを現在禁止しているという仕組みになっております。われわれ検討作業中でございますが、いずれにいたしましても今回この定義を使用することになろうと考えております。  それを書く場所でございますが、共同使用というものにつきましては省令の中に、それから他人使用というものにつきましては、郵政大臣が電電公社に対して認可をいたします基準というのがございます。認可基準、こう申しておりますが、その認可基準の中に書き込むということになろうと考えておるところでございます。  それから中小企業者のための問題でございますが、今回中小企業で業務上緊密な関係にある者に対して他人の通信の媒体を認めるという措置を暫定的にとることとしたわけでございますが、これは先ほど申し上げましたように、VANに関する新法が継続検討となった。それで、大方の賛同、合意を得ております公衆法改正部分、それについての調整作業に入ったわけでございますが、その過程で実は、自分でコンピューターを保有できない者、これを中小企業と称したわけでございますが、そのための他人使用で何らかの措置をしてほしいという強い要望が出たところでございます。そこで高度通信サービスの制度ができるまでの間、一定の条件でこの要望にこたえることとしたというのがいきさつでございますので、このような経緯を踏まえまして、認められる範囲とか条件とかにつきましては、その通信秩序の維持とかあるいは本格的な制度との整合性というような点にも十分配意しつつ、ただいま先生指摘ございました中小企業の範囲ということにつきましても鋭意検討を進めているところでございます。  三点目の、公−特−公の接続という点でございまして、おっしゃいますように、第二電電公社というものができることを許容するものではもちろんございません。そこで、公−特−公の接続といいますのは、実は今回初めてこれを行おうとする施策でございます。そこで個別認可にしているわけでございますが、今回初めて行うということと、急速な技術進歩によって何が出てくるかわからないというのがこの世界の実情でございますから個別認可で見るわけですが、ではどこを見るのかと申し上げますと、公衆電気通信業務に支障を及ぼさないかどうかという点について見てまいろう。より具体的に申し上げますと、端的に言えば、電信電話になっていないか、それからいわゆる料金などでいうクリームスキミング、いいとこ取りと申しましょうかあるいは不当なといいますか、大きな料金減脱、減脱という言葉はきついかもしまれせんが、料金減脱にならないかとか、あるいは他人の通信の媒介にならないかという点について総合的にチェック判断してまいりたい、そう考えております。
  101. 木下敬之助

    木下委員 時間がありませんから最後に、こういう今回の改正案で述べられておることは、法律改正による部分は今回のデータ通信自由化の一部分であり、ほとんどは省令改正にゆだねられていると思います。その省令改正について基本方針を伺って論じたいところでございますが、時間もありませんし、これをこういった一括法案の中に入れたということに先ほども遺憾の意を表明させていただきましたが、どうしてもこれは審議が十分にならないというふうに考えております。  最後に、この省令中心の規制のあり方は、技術的進歩に柔軟に対応するためには必要だとしても、問題がある。もっとはっきり明確に書いていくべきではないか、議論を尽くして書いていくべきじゃないかと思うのですが、この点に関する考えと、今後の課題として、より自由化の方向が求められているし、自由化していくべきだと私は考えますが、郵政省はどういうふうに考えていますか。また、この問題について通産省がどういうふうに考えておるかもお聞かせいただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
  102. 江川晃正

    ○江川説明員 省令をつくっていく場合の基本的な考え方ということについてお答え申し上げたいと思います。  二つあろうかと思います。一つは内容をどうするのか、もう一つはその定め方をどうするのかということだろうと思います。  内容につきましては、時間もございませんから概括的に申し上げますと、データ処理のための回線利用につきましては、公衆電気通信業務に支障を及ぼさないという範囲で最大限自由にしていくという内容で書いていきたい、そのように考えております。  それから、その定め方ですが、最も大事なポイントの一つといいますのは、回線を利用しようとする人にとって、その省令を見ればできるかできないかがわかるいわば判断の物差しが明確に書かれることだろう、そう考えております。省令を作成するに当たりましては、ネガリストで書けというような声も要望としてあるのは実はわれわれ承知しているところでございますが、大事なことは、それを見たらわかるという明確さということだろうと考えておりまして、ネガを否定するものではもちろんありませんが、より明確な省令を書こうという視点で対応してまいりたいと思っております。  また、省令で書くということについての問題がありはしないかという点についての将来郵政省の考え方というのもあろうかと思います。省令というものが、端的に申し上げますと一省限りでつくれるというもので、ややもすると密室的になりがちだという心配、御批判はあろうかと思います。先生おっしゃいますように、この世界のこの問題につきまして省令で定めていくということは、国民の利益を擁護するという視点からいきますとかえって弾力的でよろしいという点はそのとおりだと思いますが、いま申し上げましたようなその反面持つ密室性というものにつきましては、利用者等の意見もできるだけ十分に聞くという対応によってこの省令づくりに当たってまいりたい、そのように考えている次第でございます。
  103. 岡松壮三郎

    ○岡松説明員 通産省といたしましては、データ通信回線問題に対する取り組み方といたしまして、次のように考えておるわけでございます。  まず、わが国のような資源制約のある国がこれを克服して、活力ある産業、ゆとりのある社会をつくり上げていくためには、情報化の促進がきわめて重要であると考えておるわけでございます。そのためには、情報化の基盤の整備として、その一環といたしましてデータ通信回線の利用の自由化を図っていくということが必要であると考えておるわけでございます。ユーザーといたしましても、現在の制度は四十六年度に改正が行われたままになっておりまして、その後大きな見直しがなかったわけでございますが、時代の要請にこたえられるように自由化を進めてほしいという要望がかねがね出されておったところでございます。今回の自由化措置は、臨調答申にございます、国の規制を極力排除して民間の創意と工夫が最大限生かされるようにという答申を最大限に尊重してつくったわけでございまして、本措置によってユーザーの要望はかなりの程度満たし得ると私どもは考えております。  この法案を見ますと、先生指摘のように具体的な中身は省令以下に委任されておるわけでございまして、これによって自由化の範囲が必ずしも明確に読み取れないわけでございますけれども、先ほど郵政省の課長からも御説明申し上げましたように、何しろ技術進歩の激しい分野でございますので、やはり省令以下という形で対応していくのがふさわしいのではないかと考えておる次第でございます。  省令以下を決めるに当たりまして、今後郵政省、行政管理庁、通産省、三省庁間で十分相談、調整をして決めていくということになっておるわけでございまして、先ほど先生の御質問にございましたメッセージスイッチングの問題、中小企業の問題、その範囲をどうするかということも含めまして、今後具体的な内容は十分相談をし合っていくということでございますので、この過程で臨調答申趣旨あるいはユーザーの要望、さらには情報化社会の実現という目的に沿ってこれが生かされるように私どもとして努力してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  104. 木下敬之助

    木下委員 三省庁間よく話し合って、意見の食い違いがないように、そして時代の要請にこたえて今後の方針と運用をされることを期待いたしております。  たくさんの省庁の方々、長時間お待たせして、時間がなくなってしまいまして大変申しわけありません。私としましては、レクチュアいただいた内容については十分利用させていただきますし、また、私の考え等もお伝え申し上げた分についてはよろしく御検討をお願いいたしたいと思います。ありがとうございました。
  105. 佐藤信二

    佐藤(信)委員長代理 午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十九分休憩      ————◇—————     午後一時五分開議
  106. 石井一

    石井委員長 休憩前に引き続き会議開きます。  質疑を続行いたします。小沢貞孝君。
  107. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 木下質問に関連して、わずかな時間ですが質問をさせていただきます。  まず第一に、行管庁長官にお尋ねをいたしますが、第二次臨調は来年の三月で任期が切れるわけであります。私は、後で時間があったら申し上げたいと思いますが、いまの進みぐあいから見て、この広範な行政改革をやろうとする場合に、とうてい任期内では満足すべき答申ができ得ないのではないか。いやもっと積極的に言えば、いままで臨調はすでに大変問題を提起してきていただいておるわけですが、ことしの七月の答申の後六カ月ばかり残されている中で、いま問題提起されているだけの問題についてもとうてい不可能ではないか、こういうように考えるわけです。  私は、行政というのはいつも臨調的な態度で見直しを続けていかなければ、役人というのはどうしても自分の縄張りばかり広げようという本能を持っていますから、将来にわたって臨調が常に半年に一遍、一年に一遍答申をする、こういうことが将来も存続されてしかるべきではなかろうか、こういうように考えます。その場合に、土光さんお年寄りですから委員長はかわってもらってもいいが、第二次臨調的なものを、第三次と銘打ってもよろしい、ほかの形でもよろしいのですが、将来とも存続した方がいいのではなかろうかと思いますが、行管庁長官の御感想をお伺いしたいわけです。
  108. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 臨時行政調査会は、昨年三月設置以来、非常に精力的に活躍をしていただきまして、またそのおかげで国民の皆様やジャーナリズムの皆さんの多大の関心を引き起こしまして、行革をここまで推進してくる原動力になりました功績は絶大であると思っております。  普通の審議会の活動量から見ますと、臨調はすでに十年分くらいの審議会の仕事をおやりになっておりますし、これからも委員会は四、五月は週二回、六、七月は週三回委員会を開いていただく。大体普通の審議会は一年に何回開くとか、せいぜいあっても一月に一回開くぐらいが関の山でございますが、とにかく週三回も委員会を開くという委員会はほかには例がございません。このように熱心にやっていただいておることについて非常に感謝の念にたえないところであり、国民の皆さんも多大の評価をしていらっしゃると思っております。  小沢さんのような御議論が出てくることもなるほどと、お聞きしてよく理解できますが、法律でちゃんと来年の三月までで終期が来るということでございますから、これはこれで終わりを告げべきものである。その後のことは、臨調が自分が生み出し政府に与えた考え方をどう実行していくか、臨調自体が、その政策を実現するためにどういう方策がいいかみずからお考えになって、また案をお出しになるべきものであろう。この前の第一次臨時行政調査会のときには、やはり第一次臨時行政調査会の発意において行政監理委員会を設置せよということで、監理委員会がずっと続いて監視と推進を続けてまいりました。恐らく何らかのこういう措置が必要であると思いますが、いずれもこれらは、臨時行政調査会がどういう考えを持たれるか、それを見守って措置していきたいと思っております。
  109. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 中曽根長官の評価と同じように、私たち民社党も臨調の活動については高く評価をしておるわけであります。この間も、党内で佐々木委員長委員長とする行革の対処についての委員会をつくったわけですが、ちょうど行革が第一部会、第二部会、第三、第四部会と分かれていると同じように、それぞれ三役クラスの部会長をつくって、言うなら大局的にバックアップするような体制をつくろう、こういうことでつくっておるわけであります。  ただ、私、全体的に見た場合には、これは私どこから入ってきた資料かは知りませんが、「備考欄「A」は、基本答申(七月)に盛り込むもの」こうなっておりますが、第一部会の「行政改革の理念」はAで七月答申、「重要行政施策の在り方」もAで七月答申、こういうことが予定されておって、第一部会は後に回るものがなさそうであります。ただ、第二部会の方は、Aに属するものが三項目でBに属するものは六項目、こういうわけですから、七月答申以降に残されるものが六項目もあるというような状態にすでになっております。第三部会はAが二、Bが二、第四部会はAが四、Bが二。  こういうことで七月答申以降に残されるであろうBという項目が、いま臨調検討されているだけでもこれだけのものが後に残るわけですが、私はもっと大局から言うならば、臨調がいま取り上げる以外にも、これは当然いままで臨調がこういうふうに活動してきていただいたから、たとえば新しい時代に沿うためには私個人としては道州制の方がいいのではなかろうか。府県と弱体市町村が二重行政になっていますから、基礎的自治体というものをきちんとつくり上げて、県がなくて道州、こういうような形になることが昔と違って交通通信手段の発達した時代においては適合するのではなかろうか。一部、全国商工会議所かどこかあたりでそういう案もあるようでありますが、ついぞそういう問題には触れずじまい。  そういうように考えると、ここまで臨調が盛り上げてきたいろいろの改革ムード、これは来年三月までで消えてしまったのでは余りにも問題がたくさん残される、こういうように考えます。そこで私はこれはたって希望でありますが、第三次の答申が七月ごろできて、秋の臨時国会ごろにそれをやらなければ来年三月以降のことは発足できませんから、これはひとつ希望としてその点は申し上げておきます。  ただ、ここにこういうのがあるわけです。第二部会の一の六に「臨調以後の行政改革推進体制」という臨調の第二部会が検討する項目があるわけです。この項目は、いま長官が言われるように、第一次の臨調の後、監察委員会だか監理委員会というものが生まれて、それが設置されましたが、場合によってはそういうことを想定してここに言っているのか、あるいは私が最初から申し上げているように、適当な時期に第三次を発足させるというようなことまで考えて、ここにテーマとして挙がっているのか、その辺を私はお尋ねをしたいと思うわけです。
  110. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 これは臨調がお決めになることでございますから、われわれが容喙すべきことではございません。しかし、七月答申あるいは来年三月答申に至るまでかなり膨大な、重大な事項答申される予定でございまして、それをこなして法案化し、また実際に改革をし遂げていくためには相当の年月もかかりますし、その間に紆余曲折もあるだろうと思いますし、またその間に新しい問題が幾つも惹起してきますし、また新しい問題を見つけて改革を進めなければならぬという場合も当然想像されます。したがいまして、何らかのそれを監視し推進する発想が必要であると私も感じて、その点は全く同感でございますが、現在こういう法律があって終期が決まっている以上はこれで終結をする、その後のことは新たなる観点に立って、そしてさらにいろいろな考慮を加えておやりになったらいかがであろうか、私はそのように感じております。
  111. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 私の考え方を希望だけにとどめさしていただきます。  次に、この七月答申の中で国民が注目していることは、何といっても三公社の経営形態はいかにあるべきか、このことが実は問われていると思います。端的に申し上げて、この機会でなければ三公社の経営形態を変える機会はないのではないか。公社発足以来何年になりますか、それぞれ違うでありましょうけれども、見直す絶好の機会だ、こういうようにわれわれは考えるわけであります。どうも、役人は特にそうでありますが、どんな人もみんな保守的ですから、いままでの形態を変えるということには大変な抵抗があると思いますが、実際に臨調が今度生まれたその最大の使命はそこにかかっているように考えるわけです。  いままで新聞報道だけでは、専売公社はどうだ、電電公社はどうだ、国鉄はどうだ、先ほど来質問もあったりして、まだ答申が出てみなければわからないことだと思いますが、臨調が実際に三公社の経営形態についてどういう論議をしているか、今度はどうしても変えよう、こういう意思を持っているか、その辺、これは国民注視の的だと思いますので、御答弁いただければありがたいと思います。
  112. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 三公社及び特殊法人の問題は第四部会で取り上げられておりますが、これは今次改革の大眼目であるだろうと考え、臨調の皆さんもその点では非常に真剣にいま討議して案をおつくりになっていらっしゃいます。私も全く同感でありまして、この機会に思い切った改革をしなければならぬときである、このように考えております。
  113. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 私が三公社を見ている限りにおいては、電電は黒字であります。専売も大いに税金を納めておるわけですから、国鉄とは経営状態が違うわけで、違うから、うんと黒字だから経営形態変更については総裁なりなんなりいろいろの意見を出しているようで、たとえば電電の真藤総裁も改革案について一案、二案、三案ですか、報道の限りですが、積極的に出しているようでありますし、専売の泉総裁はこれまた消極的であろうと大局的であろうと出しているのではないか、こういうように考えますが、国鉄の方からはそういうものが、検討の資料あるいは経営形態変更を含めての方針あるいはこの機会に徹底的な改革をやろうというような方針が出されておるでしょうか。これは事務当局でも結構です。
  114. 佐々木晴夫

    ○佐々木政府委員 いま先生指摘のとおり、三公社につきましてはただいま第四部会で検討いたしておるわけでありますが、端的に先生の御質問にお答えするとしますと、専売公社並びに電電公社につきましては、いわば今後の経営形態のあり方につきましての、たとえば公社制度を残す場合、それから特殊会社化した場合、それから民営化した場合といったようなことにつきまして、主観を交えない客観的な一つ検討結果、勉強結果がすでに臨時行政調査会第四部会の方に提出をされておるわけであります。  それに対しまして、国鉄につきましてはただいままでそういう具体的な検討結果というふうなものは出されておりません。ただ、国鉄の間でそうしたような議論が行われてないかということになりますと、実は第四部会はすでにもう五十一回にわたる九月以来の審議結果を持っておるわけでありますが、その間に、たとえば国鉄当局との間に小グループでもって種々の意思疎通の機会を持っております。いまの国鉄の諸問題点につきましては、第四部会としても重々承知をいたしておるということが言えようかと思います。  また、あわせて付言をさしていただきますと、国鉄の問題はまず現在の赤字、それから採算性、こうしたものについてどう対処するかということが第一義的に一応考えられるべきものである、そういう観点から、いわば個別な具体策をただいま審議をいたしております。たとえばほかの形態に移るとしましても、そうしたような個別的な具体方策というようなことを早々にとらなければ国鉄問題は解決しないという認識でございます。したがいまして、個別の緊急に行うべき措置、こうしたものをまず第四部会として当然打ち出す。あわせまして、今後の経営形態のあり方につきましても臨調独自にいろいろと議論をしてまいる、このような構えでいま進んでおるところであります。
  115. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 わかりました。  私は、この際、国鉄もお見えになっておりますし、監督官庁の運輸省もお見えになっておりますので、改めて振り返ってみてどういうように御反省なさっているかをお尋ねしたいわけであります。  国鉄が赤字に転落したのは昭和三十九年、それ以来、昭和四十四年の再建計画から五回にわたる再建計画がすべて失敗に帰した。その理由は一体どこにあるだろうか。細かい理由は山ほどあるであろうと思いますけれども、その理由は一体どこにあるか。その理由の分析がなくては新しい再建計画はできないわけですから、これは運輸省並びに国鉄当局にお尋ねをしたいわけです。
  116. 永光洋一

    ○永光政府委員 国鉄は、御承知のように昭和三十九年に赤字を生じまして、その後再建計画を三回つくりまして、いずれも中途で挫折をしておるわけです。  この原因は、一般的に考えられますのは、輸送構造が非常に変わってきたということで、どうしてもモータリゼーションなり航空の発達ということから非常に独占的地位を失いました。特に貨物輸送分野においての停滞が著しいということ、あるいはこれに対する国鉄の合理化なり近代化というものがなかなか進まなかったということがありましょうし、さらに適時適切な運賃の改定というものができなかった面もありましょうし、あるいは最近になりまして、人的な構成のゆがみといいましょうか、退職金なり年金問題が非常に顕在化してきたというような問題があると思います。  したがって、一昨年再建法を通し、去年五月に経営改善計画を、後のない計画として三十五万体制を基盤とするところの改善計画をつくりますときには、こういう過去の計画がうまくいかなかった点を反省し、経緯を踏まえて、たとえば輸送需要についても従来のような展望じゃなく、非常に厳しい情勢を踏まえながら想定し、あるいは構造的な欠損等についてもしかるべく、国鉄が自力で努力できる分野とそういう構造的な問題とに分けて議論をし、等々、従来の経緯を踏まえながら新しい計画をつくって、現在その計画の達成に全力を挙げておる、こういうことでございます。
  117. 竹内哲夫

    ○竹内説明員 ただいま運輸省から御答弁のあったとおりでございますが、一番大きな問題といたしましては、やはり輸送量をかなり過大に見ておったという点があったかと思います。四十四年の第一次再建計画以降大変に国の高度成長の時期にぶつかっておりまして、国鉄の再建計画も国の諸計画と整合性を持った計画としてつくられたわけでございますが、御承知のような輸送構造の変化あるいは物価、人件費の大変な上昇というものがございまして、そういう点で当初の計画数値と実績との間に非常に大きな乖離を生じてまいったということではないかと思います。  一方、運賃改定につきましては、四十四年以降四十九年十月ごろまで、諸般の状況によりまして全部の改定が行われなかったというようなこともあり、その後、それを挽回するために五割値上げというものがございました。その結果また、旅客あるいは荷主さんが大変に国鉄を離れるという問題がございまして、そういうところから計画の見直しを行わなければならなかったというようなことが原因かと思っております。
  118. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 この原因をそういうように分析しているのと私の分析とは違いますから、それは後で申し上げますが、五十六年度は、当初の計画が七千三百億の補助金で九千億の赤字であったが、この間の補正や最近の発表によれば一兆一千億の赤字。これはいいわけですな。それから五十七年度予算については、補助金は七千三百億、同じであるが、赤字はさらにふえて一兆四千億前後の赤字、こういうことになってきた。それはいいわけですね。その赤字は解消すべき方法はないわけですし、補助金はもうもらってしまったもの。五十六年度の赤字は九千億から一兆一千億と、二千億ふえました。五十七年度予算においては、五十六年度の補正予算よりはさらに三千億赤字になって、一兆四千億の赤字になる。  こういうことになると、この赤字は負担のしようがないですから、どういう形をとるにしてもいずれは全部国民負担になる。言いかえるならば、五十六年度は七千三百億の補助金と、さらに将来の国民負担一兆一千億、合計国民負担は一兆八千三百億。五十七年度の予算においては、七千三百億と一兆四千億ですから二兆一千三百億。これは、いまか将来か、みんな国民負担になる。このことを、一億人の国民一人当たりで割ってみれば、赤ん坊からお年寄りまで平均して五十六年度においては約一万九千円、五十七年度においては二万一千何がし。これはみんな国民の税金か何かで賄わなければならない。——数字はこれでいいでしょうかね。  いま一つ、累積赤字というものも、十六兆とか十八兆と言われるけれども、あと一、二年、少したてば大体二十兆くらいの借金が国鉄に残る。このことも同様に計算をしてみると、国民一人当たり二十万円。五人家族であるならば、国民一軒当たり百万円。こういう膨大な赤字を国鉄はつくり出してきた。現状はそういうことだ。数字が合っているか、そのとおりでいいか、これは運輸省でも国鉄でもいいですから御答弁いただきたい。
  119. 竹内哲夫

    ○竹内説明員 先生おっしゃいましたような数字につきましては、先生のおっしゃるとおりであろうかと思います。  ただ、私どもが考えておりますのは、これらの赤字の中で、国鉄みずからが改善していかなければならない部分と国鉄の努力ではどうしても解決し得ない部分、この二つがあると考えておりまして、現在赤字になっておる部分がございますけれども、たとえば幹線につきましては六十年には収支均衡させたい、また東北・上越新幹線につきましても建設のための利子負担が大変に大きいわけでございますけれども、これは時間がたてば回収できるものであると考えておりまして、どうしても解決し得ない部分というのが、地方交通線の問題であるとか特定年金あるいは特定退職金と申しておりますような部分につきまして、六十年時点で結果的には先生がおっしゃったような赤字が出るあるいは借入金をしなければならないというような事情にあるわけでございます。
  120. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 いま竹内常務の言うことを私もわかっておってさっきの数字を御承認をいただいたわけです。反省の問題についてはまだ私は言いたいことがありますが、第五次までの計画をやった結果は、今日の時点においてはいま御答弁いただいたり私の方から申し上げたとおりの結果であります。そういう反省の上に立って今次、五十五年から六十年でしょうか経営改善計画、私はこれを今後第六次計画と申し上げて質問をいたしますが、そういうものを提起いたしましたが、これは計画どおりいっているか、第六次も失敗と認めるか、いまだ国鉄当局が第六次は失敗であるという宣言も出してありませんけれども、それをお尋ねをしたいわけです。というのは、この計画をつくる前後の昨年は、最初は七千三百億の補助金で九千億の赤字が一兆一千億、二千億ふえたわけであります。そしてさらにまた、五十七年度においては赤字がそれよりふえて一兆四千億になろうとしているけれども、去年つくった第六次計画どおりにいっているのかいないのか。  どうしてそういう質問をするかというと、屋山太郎さんが書いた文芸春秋四月号九十四ページに「「三十五万人」というのは、これなら国鉄労組もとことん反対はしまいという政治的な数のようだ。最初に「三十五万人ありき」である。その証拠に人員の削減計画だけは年次計画があるが、それに伴う損益勘定は、初年度と最終年度があるだけで、途中の年次計画は一切ない。一体このような長期計画が他にあるだろうか。」そこで「臨調は当初「年次計画は国鉄の金庫の奥深く、しまい込んであるはずだ。ただ労組の反撥を恐れて公表しないだけだ」と考えた。そこで“特使”を送って、こっそり見せて貰いに行ったところ、ほんとになにもないとわかって唖然としたという話がある。」  私も勉強が足りないので、第六次改善計画は年次別に収支がどうなるかということをまだ検討してなかったのだが、この文芸春秋を読んだら、途中における損益計画は何もない、こう言われるので、五十六年の当初赤字九千億が一兆一千億になりました、五十七年度は一兆四千億の赤字になりますと言っても、これは計画どおりにいっているのか最初からそごを来しているのかということがわれわれには判断ができないわけであります。  そこで立案者に、去年つくったばかりの第六次経営改善計画は予定どおりにいっているか、いっていないとするならばまたまた間違いでございましたということを、きょうはこの席で国民の前に言明していただきたい、こういうふうに思う。
  121. 竹内哲夫

    ○竹内説明員 先生指摘がございました国鉄の経営改善計画が年次別にそれぞれ数字を持っておって、それとの乖離がどうなっているのかということかと思いますが、私ども、六十年という時点で国鉄がどういうふうな姿になるかという目標を設定いたしてございます。これにつきましてはそれぞれの数値をもって作成しておるわけでございますけれども、お話のございました途中年次がどうなるのかという点につきましては、私どもある程度の試算的なものはしておりますけれども、それぞれの年次におきましてこうなる、こうなる、こうなるという確定したものを持ってはおりません。これは私どもといたしましては、最終的に六十年の目標に対しましてこれを実現するために、社会経済的なさまざまな変動要因があると考えておりまして、その変動要因があればその都度これに対応して目標へ持っていくべきものであろうと考えておりまして、そういう意味で、それぞれの年次の六十年と同じような数値を持っていないと言っておるわけでございます。  それと、すでに経営改善計画が破綻をしておるのではないのかという御指摘でございますけれども、私どもといたしましては、ただいま六十年の目標に対しましてすでに経営改善計画が破綻をしているというふうには考えておりません。おおむね予定の線に従って、このままでいけば六十年には達成できるのではなかろうかと考えております。要員計画にいたしましても資産売却にいたしましても、予定どおりまいっております。  ただ、私どものこれまでの経緯から見ますと、収入面におきまして、旅客につきましては問題はないと考えておりますが、貨物収入におきましてかなりの落ち込みを来してございます。これは、それによって六十年までに実施すべき諸施策をすでに今年度に実施したいと考えておりますし、さらにそれ以上のいろいろな進度化の施策を講じまして、終局の六十年の姿といたしましては予定の線へ持っていくことができるのではないかと考えておりますので、この経営改善計画がすでに破綻しておるのではないか、食い違っておるのではないかという点については、そういうことは考えてございません。
  122. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 六十年のときに竹内さんが国鉄にいるかどうかわからぬから、そのときになればまたあれは失敗だった、こう言われても大変困るわけで、いまの時点で私は失敗と見るし、おたくは六十年になったら大丈夫と見るし、そうするなら去年、ことし、年次別にこういう状態こういう数字だからいま予定どおりいっています、こういう証明をいまここでしてもらわない限りは失敗である、私はこう言わざるを得ないわけです。終わりの年の六十年の目標までには何とかいくでしょう、こう言うだけで、去年つくってことしもう失敗しているんだ、こう私には見えるから、いや失敗していない、小沢貞孝の言うことは間違っている、こういう数字でこういう年次計画だから正しいのだとここで証明をしてもらわないと、数字の上で証明をしてもらわないと、第六次計画も従来と同じようにまたまた失敗であった、こういう結果になることは火を見るよりも明らかなのです。早々から失敗でありました、こういうようにここで言明してもらえないならば、ちゃんと数字で納得するようにここで説明していただきたい。
  123. 竹内哲夫

    ○竹内説明員 五十六年度の当初予算に対しまして、前回補正をいただきました点では約千二百億の食い違いが出ておりまして、この補正をいただいたわけでございます。その内容の一つは、先ほど申し上げました貨物収入の減少というものが非常に大きいということでございます。それから仲裁裁定等の実施によります部分、この二つが大きいわけでございますけれども社会経済情勢の変化もございまして、当初私どもが考えておりましたような仲裁等の人件費の伸び率が当初計画を若干下回っておるというようなこともございまして、究極的には改善計画が破綻をしたというような数値にはなってございませんで、私どもは、これは五十七年度以降で十分挽回もできますし、数値的にもそう大きな食い違いはないのではないかというふうに考えております。
  124. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 その答弁で納得できないので先ほど来言っているのです。貨物が減少したのあるいは何だのという言いわけを私は聞いているわけじゃない。五十六年度の当初予算は約九千億の赤字だったが、補正のとき二千億ふえたじゃないか、五十七年度の予算ではさらに赤字が一兆四千億にもなったじゃないか、これは第六次経営改善計画の中に含まれた最初の予定どおりの数字か、その数字で示してそういう赤字になっていく予定であると言うならば、私はなるほど計画どおりだと思うし、違っているならここで間違いましたと言明せよ、こう言っているわけです。数字で納得させてもらわない限り失敗であるという断定を下すぞ、こう私は言っているわけです。
  125. 竹内哲夫

    ○竹内説明員 数字的には、ただいま申し上げましたように、また先生からお話のございましたように、予算上の数字と実績との間では若干の乖離が出ているということは事実でございます。ただ、これは私どもは十分今後改善できる数字だと思っておりますし、また現にそのために諸計画を前倒しをして実施する等の施策を講ずることによって、六十年の数値を変更する必要もございませんし、到達可能であるというふうに考えておるわけでございます。
  126. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 私はそれでも納得しません。第六次再建計画の年次別の損益勘定、そういうものを提示してもらって、それと五十六年度予算は最初九千億の赤字、今度は一兆一千億になりました、五十七年度は一兆四千億の赤字が出ます、こういうものもどういうように挽回できるかというその数字で示してもらわない限り、私は納得できない。ここでそれを納得さしてもらえないならば、第七次計画もまたうそである、第六次計画もまた国民をごまかすための再建計画であったというように私は断定せざるを得ないわけであります。皆さんによって、昭和四十四年から第一次、第二次、第三次、第四次、第五次まで、これによって再建をやります、これによって再建をやります、それが全部うそであったということが証明された。第六次もまた、私がいま質問している限りでは、それがうそであるということが証明されつつあるわけです。  これは委員長にあとお願いをいたしますが、私は二十二日にまた質問をするわけですから、いま、後半に挽回するとか貨物は減少があったとか、言いわけは聞くわけだけれども、私はその数字ではこれはまたまた失敗でありましたとここで頭を下げる必要があると思いますが、なかなか下げないところを見ると、今度は国鉄総裁に二十二日の質問のときには来てもらって、その数字のもとで私は質問をしたいと思います。その件は二十二日に数字でもって答弁をしていただきたい。  そこで私はさらに続けたいと思いますが、第一次から第五次まで失敗をいたしました。一体これはだれが責任を負うか。いまだ私はだれが責任をとりましたということは聞かない。いま一つ、いままで五回にわたる再建計画が失敗したという反省の中には、輸送構造が変わったとかいろいろの原因を挙げているけれども、最も重要な原因を落としている。労使関係の乱れというものが合理化や近代化を進め得なかった最大の原因である。その一番大切な反省材料というものを運輸省からも国鉄からも先ほど聞くことができなかったわけです。そういう過去の反省がなければ、いま立っている第六次の再建計画だってできようはずがない。案の定、いま数字で私に説明はできなかったわけです。一体この過去の責任はだれが負うか。監督すべき運輸省が負うのか、国鉄総裁が負うのか。いま御答弁をいただいておる竹内常務なり役員がすべて負うのか。だれが一体負うか。出処進退、責任というものを明らかにしなければならないはずだと思いますが、どうです。
  127. 永光洋一

    ○永光政府委員 再建計画につきまして、先ほどの国鉄の説明に若干つけ加えさしていただきたいと思います。  先生から、赤字が非常に膨大に出ておるので、この現状を五十六年度の予算あるいは五十七年度の予算を見て果たして改善計画どおりいっておるのかという御質問がございまして、数字的にというお話でございますが、まず六十年度の経営改善計画の目標と申しますのが、いわゆる新幹線等の資本費を除きまして幹線では収支均衡をさせる。しかし、地方交通線問題あるいはいわゆる人的の構造的な年金、退職金の特定問題、こういうものを含めますと、御承知と思いますけれども、現在の改善計画で三十五万人の合理化をいたしましても九千九百億、約一兆の赤字ということになっておるわけでございまして、現時点において確かに先生おっしゃいますように五十七年度予算で一兆三千八百億、その中で東北等を除きますと一兆一千六百億ということでございますので、そういう意味では一兆一千六百億と九千九百億というものを対比するということになると思いますが、したがって、六十年の非常にマクロ的な収支の目標ということにアプローチし、それによって国鉄の経営基盤を確立して、六十年以降新たなる健全経営をスタートするという意味での六十年幹線黒字という目標に何とか近づけようとして努力しておるわけでございまして、その間、確かにおっしゃいますようになおまだ開きがございます。貨物の落ち込みという問題がございまして、特にそのあたりが非常に大きな問題でございますので、六十年までに達成しようとした貨物の合理化計画というものを今年度は前倒しでやっていこう、したがって貨物については多少予定したよりも洋服がだぶついておったので、中身が少し薄くなったので早目に切り詰めていこうというようなことで、したがって、六十年までの計画期間中にそういう六十年度のマクロの目標を目指して適切にそのときどきに対応しながらこの六十年度目標を達成したい、こういうふうに考えておるわけでございます。  従来の再建計画が挫折したことにつきましては、責任という問題がございますが、六次につきましてはまだわれわれとしても最大限の努力をしてやっていきたいということでございますので、五次までの計画ということにつきましてはいままで御答弁申し上げましたようにいろいろな理由があると思います、確かにおっしゃいますようにそういう労使間の問題職場規律の問題ということが非常に問題としてあると思いますが、これは昨年経営改善計画をつくりますときに、お読みいただければそこが根底であって、労使一体となってこの経営改善計画を進めていこうということで非常に決意を新たに表明しておりまして、そういう意味では過去の経緯というものを十分踏まえてこの計画をつくった、こういうふうに御理解願いたいと思います。
  128. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 端的に質問をすると、当初予算のときは九千億の赤字だったが五十六年では一兆一千億になりました、赤字が一兆一千億になるような計画になっていたかどうか、こういうことです。最初は九千億であった。そうすると、当初予算のときには計画よりも二千億ばかりちゃんと上積みをしてもうかるような予算を組まれたわけですか。いまの答弁は、そういうことを踏まえて終わりへ行けばいいと言うけれども、終わりが信用できないのだ、過去五回で。だから数字で示してもらいたい。その数字によって私はまた質問をいたします、こう言っているわけですから、どうぞ数字で示していただきたい。それは委員長からもお願いをいたします。
  129. 石井一

    石井委員長 はい。
  130. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 そこで、だれが責任を負うべきかということについて御答弁がないわけです。先ほどもお尋ねすれば、電電公社は真藤総裁がいろいろな案を持ってこういうように改善をしていく方法があるという答弁を、答弁というか答申というか知りませんが、積極的に臨調に出している。五回も過去失敗をして、私が見るところ第六次のいまやっている計画はまた失敗である。こういうときにだれも責任はとらない。国民要望でできた臨調に対して、こういう改善計画がある、そういうことも出していない。一体これが許されるかどうか。運輸大臣でなければ答弁ができなければ、どうぞ私の質問について運輸大臣からひとつ文書で持ってきていただきたい。二十二日にそれをもとに質問をする。それから、国鉄総裁が責任をとらないというならばどういう理由でとらないか。なぜ臨調に対して積極的に、こういう案があります、ああいう案があります、もうわれわれは失敗し続けてきたからまないたのコイであります、どのように料理していただいても結構です、こう言うこともまた臨調に対する答申なり審議参考になると思う。  にもかかわらず、これはきょうの読売新聞を見て私はショックを受けたわけですが、何だか先般来自民党の運輸部会の中で、君、やめたまえと高木総裁は言われた。新聞だけで真偽のほどはわかりません。きょうの新聞の中にも「国民の不満は爆発寸前。閣僚が名指しで国鉄総裁の辞任を迫った」、飛ばしますが、去る六日の自民党総務会で森山欽司元運輸相は「国鉄当局は経営権、管理権をなくしている。高木君はこれまで何をしてきたんだ。責任をとって欲しい」、閣議後の記者会見で国土庁長官松野さんは「国鉄は故下山総裁のように命がけでやる人がトップに立てば再建できる。高木君ではそれができない」、こういうように閣僚の中からも公然と言われているわけです。  私は、何も総裁ばかりじゃない、役員もみんなそうだと思います。常務もそうだと思う。これは一切責任を総裁に負わせておいて役員は平然とした顔をしていることは私はおかしいと思う。だから、どうしても出てこいと言うのに出てこれないと言うから、しようがない、総裁の心境は後で総裁に行き会って、それはどうぞ文書で私に答弁をしていただきたい。この時点における竹内常務、役員としての責任はどういうようにとったらいいか、私は竹内さんの心境をお尋ねしたい。
  131. 竹内哲夫

    ○竹内説明員 その前に、先生から臨調との関係についてということでちょっとお話がございましたが、私ども臨調に対しましては、私どもの持っておりますデータにつきましては御要望にこたえてその都度提出し、お目通しを願っておるところでございます。  国鉄といたしましては、やはり一昨年国会で御承認をいただきました国鉄経営再建促進特別措置法、これに基づきまして昨年の五月経営改善計画を大臣から御承認をいただきまして、五十六年度はその初年度であったわけでございます。私どもは当面この経営改善計画を何としてでも達成するということがまずもって一番大事なことであろう、改善計画の中でも今度の計画は後のない計画ということで申し上げておるわけでございまして、私どももそのつもりでございます。国鉄の経営改善計画の成否に関しましては、もう総裁はもとよりでございますけれども、私も常務理事の一人といたしましてこの責任というのは十二分に痛感しているわけでございますし、また持っておるものでございます。
  132. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 言いわけが多いわけですが、いま竹内常務自身としては責任を痛感をしておる、こう言われるから、ひとつそれをきちっと国民の前に明らかにするようにしていただきたい、こう思います。  さらに、国鉄総裁がいればいいわけですが、四月十四日、きのうもまた、「第二次臨時行政調査会の七月答申で最大の焦点となる国鉄改革論議が大詰めを迎えているが、高木国鉄総裁が、十四日、日本記者クラブで講演し、臨調審議を批判した。同総裁の発言は、「国鉄に、とっては職員の気質をどうするかが問題で、分割とか民営化については職員が生活に不安を持つことになり、そういう議論が活発なのは、むしろマイナスだ」」こういうぐあいに言っておりますし、先ほどの文芸春秋の「国鉄労使「国賊」論」の中には「東京新聞紙上では田村案に対して加藤部会長が激しく反論。一方、高木国鉄総裁は「臨調は国鉄のことなど何もわかっていない」と分割・民営論に反駁するなど、「三十五万人体制」か「分割・民営」かをめぐる議論は白熱化してきた。」  これは、いままでの経営が国鉄総裁高木さんのもとでやってきて、そして成功してきたというならばこういう言葉が出てきてしかるべきだと思いますが、責任をとってもらわなければならない国鉄総裁がこういうことを言っておることを許しておけるか、こういうことであります。まないたの上のコイでございます、どうぞどのように料理してもらっても結構でございます、私が就任して以来七年、失敗をしてまいりました、反省をいたします、そういう答申をするのもまた臨調に対する国鉄総裁としての態度でなければならない。国鉄は国家なり、かつて私はそうであったと思います。確かにそう、文教の方でやるべき学割をやったり、あっちの方の福祉関係の人の割引もやったり、また、国鉄は国家なりという立場で経営をしてきましたが、国鉄は屋山君の言っているようにまさに「国鉄労使「国賊」論」、こういう状態にまで酷評されているときに、何で臨調に対してかくのごとき発言ができるか。これは運輸大臣、政府が任命権があるわけですから、本人がやめるか政府がやめさせるか、いずれか以外にもうこの段階においてはないと思います。運輸大臣から聞いて、次回答弁をしていただきたい。国鉄総裁いないから、これはよく総裁から聞いて、文書でなるべく早く持ってきてもらいたい。  政府としては、一体この国鉄総裁をいま何と見ているか。これは行管庁直接じゃないと思いますが、私は臨調が国鉄総裁によってばかにされているのじゃないか、こう見るわけです。どうでしょう。
  133. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私はいままで議論を拝聴しておりましたが、小沢さんのお言葉やお考えが国民の真の声を代弁しているのではないか、その国民の真の声を国鉄当局も運輸省当局もよく耳を澄まして聞く必要がある、こう思っています。  それで、国鉄をどうするか、今次行政改革の最大眼目の一つであると私心得ておりますが、いろいろな理屈をいま話し合ったようでございますけれども、結局、事業は人なりだと私は思うのです。これは、民業であろうが官業であろうが事業は人なりで、労使が一体になって、本当に国家のためを思い国鉄のためを思って動き出さなければ、どんな機構改革をしても何してもだめだ、魂の入らぬことはだめなんだ、そう私は思うのです。  そういうことで、どういうふうにして改革するか。ブラ勤だとかポカ休だとか言われておる。いま第六次改革とかいう目標が定められまして一生懸命これはおやりになっているわけで、それはその努力は私も多といたしますが、しかしその基礎には、ポカ休とかブラ勤というものがそのまま見過ごされてその基礎ができておるのではないかという疑問もありますね。臨調の方面においては、いまのような改革案自体がなまぬるい、甘っちょろい、民間の経営陣から考えればこれは改革案などとは言えないものだというのが臨調筋の声であり、これはやはり民間経営者の真の声ではないかと思うのです。そういうことを見ると、結局労使が国家の財産を食いつぶしつつあるのではないか、これまた臨調筋の声であり、いまの「「国賊」論」の中にもそれは書いてありますね。そういうことを考えてみますと、これは事態を深刻に労使とも考えなければならぬときだ。それを本気になって思い切った大改革をやるというところへ進んでいかぬと、いまおっしゃったようにまないたのコイじゃありませんが、このままじゃ済まぬぞ、国民が許さぬぞ、税金出している人は勘弁しないぞ、そういう瀬戸際まで国鉄は追い詰められてきておる、その自覚が労使になければいかぬ。  結局は、職場の荒廃というようなものあるいは経営権というものが確立していなくて、何か妥協で、もみ手で物が済んでいくというような形がその貨物の問題をおくらせたり、あるいはそのほか職場のいろんな規律の乱れも起こっているし、経営者の方も、貨物の問題ではモータリゼーションにおくれてしまった、改革を行う力をどんな理由によってか失っておった、そういうこともあると思うのですね。その間に、よく言われておりますように、やはり過剰闘争というようなこともあるのじゃないでしょうか。また経営者の方も、ラインの人たちは、よく言われていることだけれども自己保身が中心であって、まあ二年勤めれば次はどこかに移れる、この辺はまあまあでうまく組合と話し合っていけばこの次はどこかへ行ける、そういうような根性がびまんすれば国鉄はだめになるに決まっておるわけです。  そこで問題は、本当に魂の入った改革がスタートするかどうか。私は、国鉄の中にも相当それを心配している人が、経営者の中にも労働者の中にもいると思うのです。いままで荒廃した職場やそういう惨状を呈した会社の状況を見ますと、たとえば日産自動車の大ストの後のあの立て直し、読売新聞の場合、東芝の場合、あるいはそのほかあらゆる大きな争議等を見ますと、結局は会社がぶっつぶれそうになってだめだという瀬戸際まできて労使が目覚めて、そして労働組合の中でも心ある者が本当に立ち上がってそれを立て直す、真心をもって立て直す勢力が出てきて、また経営者の中にも刷新しなければだめだという人が出てきて立ち上がって、それがしつかり手を握り合って運命共同体意識を持ったときに、みんなその会社は立て直っておるわけですよ。私は、国鉄も相当その瀬戸際まできておって、そういう本当の自覚が労使の中に起こるかどうかということが基本であって、その基本をどうして引き起こすかということが大事なことだ、その基本ができれば合理化案も簡素化案も進んでいくと思うし、国民からそれでしっかりやれという激励の声もかかってくる、そう感じておるのであります。
  134. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 時間が参りましたので……。  私は中曽根長官のお考えのとおりだと思います。それに対してまだ国鉄当局、運輸省の態度もはっきりしておりません。これは二十二日にまた改めて質問を続けたいと思います。きょうは終わります。
  135. 石井一

    石井委員長 中路雅弘君。
  136. 中路雅弘

    ○中路委員 最初に、法案提出のやり方といいますか、そういう問題について一、二問御質問します。  今度一本の法律案で、廃止法律だけでも三百二十本に上るわけです。それを一括して処理するという法案ですが、過去にこうした例はどういったのがあるか、ちょっと調べてみましたけれども、昭和二十七年にポツダム命令で四十五件を処理した際に、これは大蔵省関係の諸命令の措置に関する法律案で四十一件、連合国財産の返還関連法案で四件処理するというように、やはり所管別、問題別に区分して提案をされております。また、昭和三十九年に三百八十七本の法令廃止と多数の法律改正を行った際も、一本の法律案で処理しないでやはり関係法律、こうしたものを織り込んでそれぞれの法律を処理しているわけです。今回は廃止法律三百二十本を含めて一部改正の対象法律が三十五本の多数ありますから、全体としては三百五十五本の法律を一括して廃止改正しようとするもので、これまでこうした法案の処理のやり方はなかったわけです。沖縄の関係の、四十六年の復帰に伴う法律が一括改正で九十二本というのがいままで最大のものですが、それでもこの法案の三分の一以下ということです。こうした法案の出し方は、国会の審議権を制約するというふうに考えるわけです。そういう面では妥当じゃない。長官のお考え、いかがですか。
  137. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 国会の審議権を侵害するというようなことは大それたことで、そういうことは毛頭考えておりません。  三百二十のものは前から提出を考え、また提出したこともある法案でございまして、実効性を喪失した法律で置いておくこと自体が有害無益である、そういう性格のものであります。残りのものは今次行政改革において二月十日の答申指摘されたものの実現化、それから行政管理庁が昨年十二月の閣議決定で整理するあるいはこれを自由化するということで取り扱うことにしたもの等々でございまして、これを一括して、大体性格が似た内容を持っておりますから法案として提出した次第なのであります。
  138. 中路雅弘

    ○中路委員 いま性格が似たということでもお話がありましたけれども、たとえばデータ通信の問題ですが、これは新しい情報化時代を切り開くものとして大変各方面から注目されているわけです。この回線利用のあり方については、自由化するかあるいは政府の規制のもとに置くか、各国でも真剣に議論されている問題ですし、わが国でも電電公社のあり方問題との関連を含めて、今後の電気通信行政あり方の根幹にかかわる問題であると思うのです。  このデーター通信そのものについては改めて同僚議員が次回に御質問いたしますけれども、こういうデーター通信の回線利用を原則自由化するというような内容を持ったものも法律廃止などとともに一括処理するというやり方は、容認できないと思うわけですが、重ねてお伺いしたいと思います。
  139. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 ただいまお話しのデータ通信の問題でございますが、この一括法案の中で考えておりますのは、公衆電気通信法の一部を改正するわけでございますが、四つばかりの項目がございます。  たとえば、特定通信回線の共同使用の際、二人以上の者の共同使用に係る特定通信回線の契約の申し込み、これはいままで個別認可でございましたが、これを廃止すること。あるいはやはり共同使用関係でございますけれども、電子計算機等の共同使用の制限がございましたが、これも廃止する。あるいは他人使用の問題で、他人の設置する電子計算機等との接続の関係でございますが、この接続を、これは一定の条件のもとにということでございますけれども、これも認めてなかったのを認めるようにする。あるいは相互接続、公衆電気通信回線と特定通信回線との相互接続の問題でございますが、こういうものを個別認可を不要にするというようなことで、言ってみれば通信回線の自由化でございまして、いままでありましたもろもろの認可等を撤廃していくということで、規制の廃止ないし緩和ということでこの一括法の趣旨、目的に合致するということで一括法に一緒に入れさせていただいたわけでございます。
  140. 中路雅弘

    ○中路委員 私は、データ通信、こうした問題についてはやはり所管の逓信委員会、こういうところで独立して審議すべきものだということを重ねて主張しておきたいと思うのです。  いまおっしゃったように、今回のこの廃止法律が実効性の喪失した法律だというお話がありますけれども、いま存在している中で、後で関連して幾つかお尋ねしますが、たとえば公務員の分限や休暇などを定めた太政官布告あるいは太政官の達ですね、これでいまでもやられている。またおびただしい数に上る戦時勅令や、後でお尋ねしますが特別調達資金設置令、これも法律として有効だということでもたしたわけですが、こうしたポツダム政令などの規定で当然もっと整序しなければいけない問題あるいは廃止をしなければいけない問題、こういった問題が数多く残されていると私は思うわけです。  その中で幾つかの問題について、関連してこれからお尋ねしていきたいと思います。     〔委員長退席、愛野委員長代理着席〕  最初に、この法律廃止法の中にある問題との関連ですが、一つは台湾銀行補助法の廃止というのがあります。これに関連して、台湾銀行や朝鮮銀行などが戦後、その特殊清算の過程で零細な在外預送金者らの預送金を十分の一から百分の一に切り下げて払い戻し、その残余財産で日貿信、日本貿易信用や日本不動産銀行などの第二会社を設立した問題ですね。この事件は、この換算率を定めた昭和二十九年の閉鎖機関令改正が合憲か違憲かを中心にいま各地裁や高裁、最高裁で争われている問題ですので、裁判で争点になっている問題や判決内容にかかわる問題の言及は避けまして、一、二点その周辺の問題についてお尋ねしておきたいと思います。  この二十九年の閉鎖機関令改正以前に在外預送金を一対一の等価で払い戻す旨の法令等が制定されていたにもかかわらず、これを行わさなかったという政府の責任の問題と関連してですが、一つは、台湾銀行や朝鮮銀行などの活動停止とその特殊清算を命じたGHQの覚書ですね、この覚書を見ますと、その中に「予め許可ある場合を除き」という条件がつけられていたわけですが、当時大蔵省令は一切の例外を認めずに一律に支払いを停止しました。これは御質問しませんけれども、このGHQの覚書の「予め許可ある場合」の中には当然在外預送金が含まれていたはずだと私は考えます。これは指摘をしておきたい。  もう一つ、昭和二十二年八月十二日の大蔵、外務、商工、司法などによる合同省令第一号の第一条、第二条を見ますと、在外預送金のうち内地向け送金の支払いの道がこれで開かれたとこの合同省令は読むべきだというふうに思いますが、大蔵省のお考えをお聞きしておきたいと思います。
  141. 澤島政夫

    ○澤島説明員 お答えいたします。  ただいま先生のおっしゃいました二十二年八月十二日の件でございますが、この省令によりまして、本邦を履行地とします国内債権については弁済の対象となっておりました。外地店舗から内地の店舗に仕向けられます送金為替につきましては、その当時、閉鎖機関の債務の弁済等に関する命令第四条第一項によります債権の指定について、これは昭和二十二年十一月十七日付の共同告示一号でございますが、この四号、つまり本邦以外の地域において発生した原因に基づき生じた債権ということによりまして、国内債権に該当いたしませんでした。したがいまして、弁済の対象とならなかったわけでございます。
  142. 中路雅弘

    ○中路委員 この省令の第一条、第二条を見ますと、閉鎖機関である朝鮮銀行や台湾銀行の特殊清算人らが債権者に告示しなければならないということも出ていますけれども、こうしたことも全くやられなかったという点は改めて指摘しておきたいと思うのです。  もう一点ですが、在外預金についても、これは昭和二十五年十二月二十六日の閉鎖機関令改正ですが、特にこの問題の解説をしています大蔵省の管財局が閉鎖機関監理委員会と共同で出している「閉鎖機関の現況」と題するパンフレットを見てみましても、これは在外預金も昭和二十五年の法改正で支払いの道が開かれたということを示しているものだと思いますが、いかがですか。
  143. 澤島政夫

    ○澤島説明員 昭和二十五年十二月二十六日の閉鎖機関令の改正におきましては、これは昭和二十五年十一月三日付の連合国最高司令官からの覚書、先ほど先生のおっしゃいました閉鎖機関の清算から生じました残余収益に関します覚書でございますけれども、これを実施するため、これは閉鎖機関の清算を促進する意味もございましたが、閉鎖機関の清算方式を変更いたしまして、履行地主義から店舗主義というかっこうに改めたものでございます。つまり、本邦内の店舗の債務でありますれば履行地あるいは発生地のいかんにかかわりませず支払うということになりました。これは外地、内地の債権をすべて平等に取り扱おうということが主な内容でございました。  ただいま先生の御指摘のございました在外預送金につきましては、引き続いて特殊清算の対象外ということになったわけでございます。
  144. 中路雅弘

    ○中路委員 いまの問題は裁判でも争われている問題ですから、きょうはお考えを確かめておくということだけにとどめたいと思います。  次に問題は別ですが、総理府と人事院にお聞きしたいと思います。  先ほどお話ししましたように、国家公務員の分限や休暇などについては明治時代の命令が今日なお生き続けているわけです。たとえば年末年始の休暇を定めた明治六年の太政官布告二号、あるいは父母の祭日に休暇を与えることを定めた明治六年の太政官達の三一八号、服務紀律を定めた明治二十年の勅令三九号、分限を定めた明治三十二年の勅令六二号などがそれぞれあるわけです。こうした命令は近代的な公務員制度にふさわしい規定の整備を図るべきではないかというふうに考えますが、人事院、総理府それぞれの御見解をお聞きしたいと思います。
  145. 金井八郎

    ○金井政府委員 御指摘の旧命令でございますけれども、その内容といたします休暇の問題あるいは分限の問題につきましては、現在いずれも法律あるいは人事院規則をもって運営されているところでございます。  なお、人事院といたしましては、昭和二十八年の七月に一般職の国家公務員の給与準則等を定める法律の案を国会、内閣に提出したところでございますが、その中で勤務時間、これは休憩を含みます、それから休日、休暇、こういう問題につきましての立法化を要請しているところでございますけれども、成立を見るに至らなかった経緯がございます。  そこで人事院といたしましては、勤務時間につきましては現在一般職の職員の給与に関する法律の中で規定しておりますけれども、休暇につきましては人事院規則で従前の例によるものを踏襲して定めておるところでございますので、実情に合うように新しい休暇制度についての立案を現在鋭意検討中でございます。もちろん、休暇は職員の勤務条件の主要事項でございますので、その基礎的な事項につきましては法律をもって定めるべきものというふうに考えております。
  146. 橋本顕信

    ○橋本説明員 御指摘の官吏服務紀律でございますが、これは昭和二十二年の十二月三十一日限りで形式的にはその効力を失っております。ただ、国家公務員法の規定が適用されるまでの間の暫定措置ということで、昭和二十三年一月一日以降他の法令とともに、法律で別段の定めがなされない限り従前の例によるという措置がなされまして、その従前の例の中に官吏服務紀律が内容的に生きているということでございます。その後、国家公務員法が昭和二十三年の七月一日から適用になりまして、一般職の公務員につきましては一応この従前の例から外れたわけでございます。  それから特別職につきましても、たとえば国会職員あるいは裁判所の職員などにつきましてはそれぞれ法的規制がなされましたので、これもこの従前の例から外れるということで、現在この従前の例によることの対象になっている職と申しますのは、国務大臣ですとか政務次官、あるいは官内庁の侍従といったきわめて限られた職にすぎないことになっているわけでございます。これらの職につきましても法律、政令をもって別段の定めをいたしますと、その限りにおいて従前の例によらない、すなわち官吏服務紀律の規制もないことになるのでございますけれども、これらの限られた特殊の職につきましていま服務に関する規制を定めなければならないかどうか、つまり別段の定めをする必要があるかどうかということについては、なお慎重な検討を要するところであろうかと考えております。
  147. 中路雅弘

    ○中路委員 こうした休息の一形態である休憩や休暇に関する基準というのは憲法二十七条によって法律で定めるということになっていますし、現行の一般職給与法では「人事院の権限」として、「休暇に関する制度調査研究して、その適当と認める改定を国会及び内閣に同時に勧告をすること。」ということが規定されています。そういう点で休憩の基準だとか休暇の基準というのは、いまの職員の既得権を侵害しないということを前提にして必要な立法措置をできるだけ早く検討すべきであると思います。先ほども人事院からお話がありましたが、最後にもう一度この問題でお考えを聞いておきたいと思います。
  148. 金井八郎

    ○金井政府委員 御指摘のとおり、現行給与法に休暇制度についての人事院の調査研究、その改定の勧告という規定がございます。私どもは従来まで、休暇制度についての法制面、内容面にわたりまして検討を続けてきておりまして、なるべく早い機会に休暇制度法律をもって制定していただくように勧告したいということで現在作業を進めておるところでございます。その際に、現在の給与法の中で勤務時間、休日等を定めておりますけれども、これを将来どういうふうに持っていくかということにつきましても現在全体的な見直しを進めておりますので、その際にもあわせて検討したいというふうに思っております。
  149. 中路雅弘

    ○中路委員 次に、別の問題ですが、先ほど触れましたポツダム政令の関連の中の一つですが、ポツダム政令のうち、昭和二十七年三月三十一日公布の法律四十三号で、同年四月二十八日以後も「法律としての効力を有するものとする。」とされました特別調達資金設置令についてお尋ねしたいと思うのです。  この法律は、駐留軍関係のいろいろな管理、従業員に要する経費の支払いを円滑に処理するための資金として設けられたものですが、同設置令は「法律としての効力を有するものとする。」とされたもので、実質的には制定当時の政令のまま今日に至っているわけです。  昭和四十七年八月十日の参議院決算委員会会議録を読んでみますと、政府は資金発足後間もない昭和二十七年に、七十五億円の資金、この法律で決められました積み立てた資金から、七十一億円を取り崩しています。この間の経緯について、いまの議事録で国会答弁を見ますと、二十七年四月に法律百七十四号によって駐留軍従業員の身分が国家公務員から国の雇用者に切りかえられたために、切りかえ以前の期間に係る退職手当七十一億円余りを、昭和二十六年六月八日の退職手当支給に関する閣議了解及び二十八年の法律五十五号に基づいて特別調達資金から支弁したと説明をされているわけですが、ここで言います二十八年の法律五十五号というのは、二十七年の法律百七十四号の附則で被用者の退職手当等を規定している条項に関連して、その施行期日を昭和二十八年七月十日からと規定したものです。  ここで問題だと思いますのは、いまの法律は二十八年七月十日以後退職金を支給する根拠を与えたにすぎないわけなんで、退職手当を特別調達資金から支給する、この資金を取り崩す根拠になったのは、いま言いました二十六年六月六日の閣議了解事項ということになっているわけです。閣議了解が行われた二十六年六月八日というのは、この資金が二十七年の法律四十三号で法定の資金とされる以前であって、退職手当が支給されることになった二十八年七月十日は、同資金が法定の資金になって以後の時期なわけです。つまり退職金の支給は、法定の資金を何ら法的な根拠もなしに閣議了解で取り崩したということになるわけです。  まず、会計検査院にお聞きしますけれども、会計の処理の上からいってもこの点は不当事項として問題にもなると思いますが、法的な根拠なしに法定の資金を取り崩すということについてどのようにお考えですか。
  150. 竹尾勉

    ○竹尾会計検査院説明員 お答えいたします。  政府の方で持別調達資金から駐留軍関係従業員の退職手当を支払う、こういうお決めをなされたことにつきましては、種々事情があるかとは存じております。  ただ、私どもといたしましては、特別調達資金と申しますのは、駐留軍関係従業員のための経費の支払いを円滑にするために設置されたものでございまして、この中から退職金を支払ったということにつきましては、設置目的に違反しているとは思っておりません。
  151. 中路雅弘

    ○中路委員 会計処理上、いまどういう扱いになっているのか、貸借対照表ではどういうような処理になっているのか、その点と関連してお伺いしたいと思います。
  152. 竹尾勉

    ○竹尾会計検査院説明員 この経理についてでございますが、私どもは、特にこの資金のために指定をいたしまして国庫金の運用計算書を徴してございます。それによって検査をし、実地検査の際、諸帳簿あるいは諸計表を検査しているわけでございますが、最終的には、資金受払決定計算書、こういうものを施設庁の方でおつくりになるわけでございますが、その点を検査してございます。  貸借対照表というお話でございますが、これは非公式に私ども承知いたしてございます。したがいましてその中身につきましては、私ども、非公式に承知いたしておるものでございますので——ただ、こういうことはびほう的に申し上げてもいかがかと思いますが、凍結した退職金といたしまして七十一億が計上されてございます。  以上でございます。
  153. 中路雅弘

    ○中路委員 凍結されたものになっているというお話ですが、円滑にするためというのは、政府が一般会計から支弁して、そしてアメリカ側から払われた際に一般会計へ繰り入れるということも含めてこの資金が積み立てられているわけですね、七十五億というのは。法律によって積み立てられている資金、これを閣議了解で取り崩すということも、私は、これ自身が非常に違法な行為だと思いますが、その資金を復元するために一般会計から支弁した。今度は管理費を積み立ててこれに充当するということが言われています。この議事録を見ますと、資金額七十五億に復元するまで管理費を一般会計に繰り入れないで積み立てて、七十五億を超えた分は一般会計に繰り入れるという答弁をされているわけですね。この点でも、私は大変問題があると思います。  それで、その後調べてみますと、この一般会計から支弁される管理費というのは毎年ふえる一方で、また、一般会計への繰り入ればわずかしか行われないでいるわけです。参議院で議論された当時の昭和二十六年から四十五年度までの数字が出ていますが、一般会計からの支弁が約百七十四億円、一般会計への繰り入れが九十六億円ということになっていますが、その後五十五年度末まで、この管理費の一般会計からの支弁及びこの資金から一般会計への繰り入れば、年度になりますと時間がかかりますから、総額でどのようになっているのか、また、この資金の内容と運用の概況を施設庁からお伺いしたいと思います。
  154. 平晃

    ○平説明員 お答えいたします。  まず、管理費が一般会計の歳出予算に計上されまして執行して、そのうち日米間の協議を経まして合意した分について後ほど米側から償還されるという仕組みになっております。したがいまして、管理に要する事務経費 一般会計で支弁しました事務経費がすべて償還の対象になるわけではございません。その中には、日本政府独自の施策に基づく事務経費もあるわけでございます。  御質問の過去の数字をトータルで申し上げますと、この種の管理経費につきましては、五十三年度以降は日本政府の全額負担ということで、米軍からの償還の問題はなくなりました。したがいまして、五十二年度までの全額で申し上げますと、一般会計で支弁しました労務管理委託費が約三百十億円でございます。それから、米側から償還されました管理費、これが二百十六億円でございます。したがいまして、このうち、また一般会計へ繰り入れた繰入額が約百四十六億円。したがって、現在繰り入れ未済となっているのは約七十億円ございます。
  155. 中路雅弘

    ○中路委員 いまお話しの繰り入れ未済になっている中身は、どういう中身ですか。
  156. 平晃

    ○平説明員 中身は、米側から償還された管理費でございます。管理費を資金に受け入れまして、これは資金令に基づきますと、時期は明示してございませんが一般会計へ繰り入れるという形になっておりますけれども、一般会計に繰り入れる場合に、調達資金そのものの資金繰り等を勘案いたしまして、資金令が目的としております米軍、駐留軍労務者の関係事務が整々と円滑に行われますように資金繰り等を勘案しながら繰り入れているわけでございまして、繰り入れ未済のものについては、資金として運用しているわけでございます。
  157. 中路雅弘

    ○中路委員 私がお聞きしたところでは、日本の方が払っておいて、米側と話し合いがつかない、そういう意味での未処理の部分でも二十六億か二十七億あるということをお聞きしているのですが、この点いかがですか。
  158. 平晃

    ○平説明員 以前に私どもの担当者が先生のところに御説明に上がった際には、受払決定計算書の内容を御説明したと思います。  受払決定計算書の中には、米側に対して償還額を請求いたしましたうち、償還済みのものが幾ら、償還未済になっているものが幾らという形で計算書には表示されているわけでございます。したがいまして、その二十五億とおっしゃるのは、償還要求はしたけれどもまだ償還されない手続中のものが約二十六億数千万円ございます。そのことをおっしゃっているのじゃないかと思いますけれども、これにつきましては、手続が進み次第償還されることになっている額でございます。
  159. 中路雅弘

    ○中路委員 私は、この特別調達資金の問題は大変重要な問題だと思うのですが、全く内容が国会にも報告されていない。この特別調達資金令そのものが、最初お話ししましたように、ポツダム政令に基づいて出たのをそのまま法律として有効だということにされたわけですから、この特別調達資金設置令の中には他のいろいろの資金と同じような国会等に報告すべき規定がないわけですね。現在の憲法は、その八十三条で財政国会主義といいますか、財政処理の根本原則を定めてあります。第九十条で収支決算と決算検査の国会への提出を義務づけているわけですし、九十一条で国会と国民への財政状況の報告も義務づけているわけですが、この特別調達資金については、幾らの額を支弁する、あとは幾ら一般会計へ繰り入れられたと言うだけで、その中身については全くどんぶり勘定といいますか、国会にはやみの資金みたいになっているという状態なわけですが、この資金の運用でこういうことが行われる最大の原因の問題は、やはりこうしたポツダム政令がそのまま引き継がれていくという中で、国会に報告する義務もない、他のいろいろの資金と比べてもこういう点では全く違った扱いになっているということです。財政法第四十四条に基づいて他の資金については国会にも報告されているわけですが、当然この資金にも適用されるべきだと思いますが、こうした点については、ひとつ法制局からも御意見をお聞きしておきたいと思います。
  160. 関守

    ○関(守)政府委員 ただいま先生の御指摘ございましたように、この特別調達資金につきましては、財政法第四十四条の「特別の資金」ということにされておりまして、歳入歳出外で経理されるという性格のものになっているわけでございます。  そこで、この資金につきましては、財政法四十四条ではそういうものについてはすべて国会に報告せよという規定はございませんで、そういう特別の資金として経理するという道があるわけでございまして、それに該当するものとして、いまお話しのポツダム政令から法律としての効力を持つようになりました特別調達資金設置令でございますか、それによってなされておるわけでございます。恐らくは、この資金の目的がいわば立てかえ払い的な回転資金としての性格を持っているということで、そういう国会への報告ということもなされない形になっているのではなかろうかと思います。
  161. 中路雅弘

    ○中路委員 先ほどお話ししましたように、現在の憲法は、こうした収支決算、決算検査の国会への報告を明らかに義務づけているわけですから、この設置令で、中身について全く国会にも報告されない、決算委員会にも——聞きましたら決算委員会でも報告されていないという問題です。たとえば、日本側が払って、アメリカ側はそんなのは払う必要がないということで紛争中のものもあるということを聞いていますけれども、こうした点は私は会計監査の点でも、検査院の法律でも三十六条で法令、制度等について意見の表示または改善処置を要求する権限を検査院は付与されているわけですから、なぜこうした規定に基づいて意見表示や改善処置の要求をされないのか。また、この特別調達資金令について、資金の受払決定計算書を国会に提出しないということになっている点については他の資金と比べても全く均衡をとれないわけですから、現在の制度のもとで不当な事態であることは事実なわけなので、その点について私は会計検査院の御意見、それから、やはり憲法で定められた決算を国会に報告するという義務からいって違反するのではないかという点で、もう一度法制局の御意見、両方にお聞きしたと思います。
  162. 平晃

    ○平説明員 この点につきまして、最初に私どもの方からお答えいたしたいと思います。  まず、特別調達資金は、特別調達資金設置令に基づいて設置されました資金でありまして、駐留米軍等に雇用されている従業員の賃金等の支払いやその他退職金等、まず日本政府が支払い、後で米国政府から償還されるまでの間、一時的に立てかえ払いをするというための資金でございます。したがいまして、その資金の性格が消費的な性格は持っていない、また運用を目的とする資金とも異なって単なる回転資金である、その費消の状況なり運用状況について決算を行う実益がなく、また、回転資金の性格上、年度区分を超越して運営されるものであるから決算手続もなじまないというようなことで、おっしゃったような形の制度になっているのではないか、このように考えております。
  163. 中路雅弘

    ○中路委員 私聞いているのは、この資金だけが収支決算や決算検査ですね、財政状況等が国会に報告されない。この資金設置令が国会への報告を義務づける規定を設けていないというわけですが、これはやはり、そういう資金の性格はわかりますけれども、しかし、どういうふうに運用されているのか、そういう点については当然私は国会に報告すべきものだと思うのですね。しかも、さっきは回転する資金だとおっしゃったのですが、その回転していく資金から、先ほどお話ししたように退職金はそこから取り崩してしまって、そしてあと一般会計から支弁されるもので埋めていく、埋めていくまでは戻さないという運用もされているわけですが、これは先ほど言いました昭和四十七年八月十日の決算委員会で、こうした問題については当時の二階堂官房長官検討するという答弁もされているわけです。この点はやはりこの設置令そのものの持っている、報告を義務づけていないという不備な点があると私は思うのですが、改めてもう一度、会計検査院それから法制局に御意見をお聞きしておきたいと思うのです。やはりこれは、厳格に言えば、いまの憲法の定めから言えば、この設置令に明確な不備な点があるということが言えるのじゃないですか。
  164. 竹尾勉

    ○竹尾会計検査院説明員 先生指摘のとおり、この特別調達資金設置の経緯におきまして手続的あるいは形式的にあるいは不備な点があったか、さらに退職金を支払うことによりまして資金を取り崩した結果になっておる、さらにその埋め合わせをしておられるというようなことでございまして、片や国会には資金の受払決定計算書が提出されていない、こういうことでございますので、ほかの資金との権衡がとれていないのではないか、そのように私どもは考えておるわけでございます。  しかし、私ども、この退職金の支払い等につきまして国損が生じたというようなことも見当たってございませんし、また、資金管理の面あるいは余裕が出た資金の運用のルーズな面、こういうようなものを再三吟味してまいったわけでございますけれども、さらに先ほど先生が御指摘になりました二十六億の問題等、これは相手国のあることでございますので慎重に取り扱わなければいけないというようなこともございまして、国損というような立場から物を申す事態には立ち至っていない、このように考えておりまして、三十六条の発動ということは目下のところは考えてございません。したがいまして、国会へ決定計算書を提出するあるいはしないというような問題につきましては、純粋な法律制度の問題、こういうふうに理解しておりますので、よろしく国会あるいは所管庁の皆様方の慎重な御審議と御判断を御期待する、こういうふうに考えてございます。
  165. 関守

    ○関(守)政府委員 お答え申し上げます。  この資金の性格につきましては、先ほどもお答え申し上げましたように、それから防衛施設庁の方からもその性格についてはお話がございましたけれども、これが収支決算の対象になってないということにつきましては、先ほど先生も御指摘のございました財政法上で四十四条という規定を設けまして、これが先ほど先生のおっしゃいました財政処理を国会で議決していくという原則を具体化した条文の一つであろうと思いますけれども、そこでその中に歳入歳出外のものとしてのそういう資金を置くことができるということになっておりまして、それについて、先ほど申しましたような性格から特にその計算書についての国会提出は義務づけられていないということになっているという事情でございますので、憲法上問題があるというふうには考えておりません。
  166. 中路雅弘

    ○中路委員 先ほど会計検査院も、純然たる法律問題であるので国会または関係省庁の御審議ということを答弁で言われていますけれども、私は、防衛施設庁にこの問題の終わりに要請したいのですが、この資金設置令の出発がポツダム政令という日本の憲法を超越するところでつくられた、しかもそれがそのまま法律として有効だということで引き継がれてきたわけですから、この法律そのものに問題があると思うのです。その設置令の規定の整序が行われるまでの間、特別調達資金については、その収支決算、貸借対照表等資金全体の運営を明らかにする計算書類は、その間、当然国会に報告すべきだと考えますが、施設庁、いかがですか。
  167. 平晃

    ○平説明員 先ほどもお答え申し上げましたとおり、この回転資金が決算になじまない性格のものであるということで決算報告という形は出てまいらないわけでございますが、資金全体の流れ、どういう受け払いを行っているかということにつきましては、資金設置令の施行令で毎年度ごとに受払決定計算書をつくりなさいということになっております。したがいまして、毎年度ごとに資金の流れを計算書につくりまして、大蔵大臣と会計検査院に毎年送付しておるということでございます。
  168. 中路雅弘

    ○中路委員 もう一度念を押しますけれども、私がお話ししているのは、大蔵省にそういう報告を出されているというだけでなくて、こうした決算、財政については国会に報告するということが義務づけられているわけですから、当然国会に報告すべきじゃないかということをお尋ねしているのです。大蔵省に出しているという話を聞いているわけじゃない。
  169. 平晃

    ○平説明員 その点につきましては検討いたしてみたいと思います。
  170. 中路雅弘

    ○中路委員 これは、憲法あるいは財政法に基づいた他の資金との関係でも、当然国会にこの中身は報告すべきだというふうに私は強く要求をしておきたいと思います。  ちょっと時間をとりましたので、先へ進みますが、これは質問の中にちょっと織り込ましていただきますが、昨日陳情を受けた問題なので、この法案の中にも独禁法の改正に関連した問題があります。あと関連で同僚議員が質問しますが、この独禁法の規制の問題と関連した問題なので、御質問しておきたいのですが、三月三十一日付で公正取引委員会に、神奈川県の電機商業組合から、約千名ほど組合員がおられるそうですが、陳情書が出ております。その問題について二、三お尋ねしておきたいのです。  いわゆる家庭電気製品の地域小売店が、メーカーのいわゆるテリトリー制のために問屋を選択する権利を奪われている。それとともに、量販店への卸価格と地域の小売店の卸価格とに大きな開きがあって、地域の小売店が、量販店とはとうてい太刀打ちできないという状況にあるという訴えなわけですが、詳しいチラシや資料等、価格表等もいただいておりますけれども、簡単にお話ししますと、地域の小売店と量販店へのメーカーからの卸価格の実態は全く大変な違いがあるんですね。  ナショナルの場合ですが、メーカーが明らかにしている標準価格に対して、品物によって、テレビ、ビデオ少し違いますが、小売店の方は大体仕切り価格七四%から七六%、しかし大型の量販店では大体五〇%から六二%、標準価格の半値のもあるわけです。中には、地域小売店の仕切り価格よりも低い価格で売られているという状況が、チラシ等を見てもはっきりわかるわけですが、このように仕入れ価格が余りにも著しい場合、一般の地域小売店がとうてい量販店に太刀打ちできませんから、この神奈川県の電機商業組合からも訴えがありますように、転廃業が相次いでいる。この年間だけでも五十軒以上転廃業しなければいけないということが出ています。  その上、大型量販店がいわゆる即売会等を行う際に協賛金をメーカーより受けるとか、あるいはメーカーより派遣されるいま問題になっているヘルパーと言われる販売員によって、地域の小売店との取引条件の格差が一層大きくなっているということが訴えられていますが、この陳情について最初にお聞きしますが、公正取引委員会はどういうふうに対処なされていますか。
  171. 山田昭雄

    ○山田説明員 お答えいたします。  御指摘の陳情書につきましては、私どもこれを受けておりまして、現在検討しておるところでございます。家電業界につきましては、私ども公正取引委員会といたしましても、従来より種々の流通実態調査等を行っておりまして、その調査結果に基づきまして所要の措置を講じているところでございます。  いまいろいろ御指摘がございましたけれども、いわゆる量販店とそれに一般小売店との仕入れ価格の差ということにつきましても実態調査をいたしましたが、取引数量あるいは取引条件との関係、あるいは系列一般小売店に対してはそれなりのリベートが支払われているということもございまして、なかなかむずかしい問題もございます。しかしながら、この仕入れの格差の問題の一つといたしまして、先ほど御指摘ございました量販小売店に対しまして店頭の販売員を派遣するいわゆるヘルパーという問題につきましては、現在調査を進めておるところでございまして、その調査の結果を検討いたしまして、必要があれば所要の措置を講じていきたい、このように考えております。
  172. 中路雅弘

    ○中路委員 きのうもお話を聞いたのですが、地域小売店が、政府も推奨している形で共同仕入れを行うために、組合による共同仕入れのための量販ルートと言われる量販店向けの、たとえば松下電器の系列であれば横浜ナショナル商事に取引の申し入れを行うと、拒絶されている。これのテープもあるわけですが、こうしたことは、私は独禁法上の不公正な取引に当然該当するのではないかと思います。  また、電機商業組合が指摘しているように、神奈川県内で地域店について、たとえばナショナルの場合は神奈川中ナショナル家電の販売会社、同様に東、南と販売会社があって、それぞれ県内の地域割りを行っています。その管轄の地域の小売店は、他のところの取引を事実上拒否されているわけです。これはテリトリー制であって、一地域に一販売会社ということになればクローズドテリトリー制になるのではないかと思いますし、いま五十五年の独占禁止法研究会の報告においてもこのクローズドテリトリー制については原則として違法と判断されるものであるという指摘も出ているわけですが、この点で、先ほどお話ししました卸価格の非常な差別価格問題とあわせて調査をすべきではないかというふうに考えます。  独禁法の関係の不公正な取引方法の第四番目にあります「正当な理由がないのに、地域または相手方により差別的な対価をもって、物資、資金その他の経済上の利益を供給し、または供給を受けること。」ということがありますから、当然この不公正な取引にも該当するのではないかと思いますので、改めてこの問題については公正取引委員会としても調査をしていただきたい。また、関係者が具体的な資料等を持って申告もあるだろうと思いますので、このことを特に要請をしておきたいと思いますが、いかがですか。
  173. 山田昭雄

    ○山田説明員 先生からただいま共同仕入れの問題あるいはテリトリー制の問題、種々御指摘がございましたが、家電の共同仕入れ、小売店が共同して仕入れを行うというような問題につきましては、いろいろ御指摘もございまして、私ども調査したことがございます。     〔愛野委員長代理退席、委員長着席〕 ただ、小売店が共同して仕入れると申しましても、通常の配送等は直接小売店に参りましたり、あるいは代金の支払い等も共同仕入れ機構自体がやるということではなくして、そういうような問題もございまして代金の決済、回収あるいは配送の手続あるいは仕入れ数量がまとまっているかどうかというような点につきまして当事者で折り合いがつかないというケースも非常に多うございます。そういうことで、共同仕入れが現在余り広く行われていないということも事実でございます。  この共同の仕入れにつきまして、取引を拒否するということは不当な取引拒否に当たるかどうかということでございますが、一方、売る側にとりましても、これは取引の自由あるいは販売先の自由ということもございまして、その辺の兼ね合いもございましてなかなかむずかしい問題もございます。  しかしながら、いずれにいたしましても先生指摘のこのような幾つかの問題点につきましては、家電業界は非常に流通の系列化等も行われておりますし、また産業といたしましても、市場構造といたしましても寡占業界でもございますので、引き続き私どもといたしましては十分注視をいたしまして、調査を継続してまいりたいと思っております。
  174. 中路雅弘

    ○中路委員 これは後で、具体的な資料等も私もいただいていますが、持ってまた御相談に上がるかと思いますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。  あと私の時間三十分くらいですので、関連できょう三十分ばかり同僚議員が入りますので、もとの許認可関係に戻るわけです。  今度は規制の緩和のことで幾つか法案がありますが、国民立場から言えば、規制をさらにきちっとしなければいけない問題もいま多く出ているわけです。新たに規制を導入する場合に、特に私は公正、民主、公開を原則としたチェックができるような必要なシステムの導入検討さるべきだと思いますが、こうした点と関連して、きょうは具体的な問題でひとつお尋ねしたいのですが、これは大型ディーゼル車のNOxの規制問題についてお尋ねしたいと思います。  大型ディーゼル車の排ガス、特にNOxの規制について五十四年、五十五年、五十六年度の各規制の基準及び審査基準がどうなっているのかということ。この審査基準は環境庁の中公審の大気部会の技術評価検討委員会指摘に基づいたものと言われていますけれども、この評価検討委員会がディーゼル乗用車についてガソリン車同様の総量規制導入検討するよう指摘していますが、これまでどういうような検討をしてきたのか。本当に簡潔でいいのですが、最初に運輸省、環境庁にお尋ねしたいと思います。
  175. 宇野則義

    ○宇野政府委員 お答えいたします。  これからの規制等につきましては環境庁の方から御説明があろうかと思いますが、これまでの経緯、それから審査基準の概況について御説明申し上げたいと思います。  大型ディーゼル車の排出ガスにつきましては、四十九年以来規制を行っておるわけでございます。その後逐次その強化を図ってまいっておりまして、現在では五十二年十二月の中央公害対策審議会の答申を踏まえたところの大気汚染防止法に基づく環境庁告示を受けまして運輸省が規制をいたしておりますが、その中で、窒素酸化物を重点に規制しておるわけでございます。  現在、いま申し上げました中公審答申の中の第一段階の規制といたしまして、五十四年四月からいわゆる五十四年規制を実施しておるところでございますが、この答申にもありますところの第二段階の規制につきましては、副室式のディーゼル車につきましては、五十七年の十月、本年の十月から五十七年規制を実施いたすことにいたしております。     〔委員長退席佐藤(信)委員長代理着席〕 それから直接噴射式のディーゼル車につきましては、来年五十八年の八月から五十八年規制を実施することといたしておるわけでございます。  それから次に、測定法の関係で、審査基準の関係でございますけれども、この審査に当たりましては、ディーゼルシックスモード法という測定方法を実施いたしておるわけでございますが、これはわかりやすく言いますと、原動機の負荷及び回転数等六通りの組み合わせで、運行する場合に近い形の状態をつくり出しまして、その際に排出される一酸化炭素、炭化水素及び窒素酸化物の濃度を測定することにいたしておるわけでございます。  若干細かくなりますけれども、そのシックスモードについて申し上げますならば、原動機を無負荷運転している状態、これが一つございます。それから二番目に、原動機を最高出力時の回転数の四〇%の回転数で、しかも全負荷運転をしている状態でテストをいたします。それから三番目に、原動機を最高出力時の回転数の四〇%の回転数で、負荷が全負荷の二五%という状態で排ガスのチェックをいたします。四番目には、原動機を最高出力時の回転数の六〇%の回転数で、全負荷運転をしている状態でチェックをいたします。それから五番目には、原動機を最高出力時の回転数の六〇%の回転数で、その負荷は全負荷の二五%にした状態でチェックをいたします。それから六番目には、原動機を最高出力時の回転数の八〇%まで上げまして、その負荷を全負荷の七五%にした状態でチェックをする、この六種類のチェックをいたしておるわけでございます。その結果、規制基準に適合しているかどうかということをチェックをいたしておるわけでございます。
  176. 松波正壽

    ○松波説明員 お答えいたします。  先生の御質問は、ディーゼル乗用車の今後の規制強化、重量規制方式によるものがどうなっておるか、こういう点かと思いますので、その点についてお答えをさせていただきたいと思います。  ディーゼル乗用車につきましては、先ほども説明がありましたが、中央公害対策審議会の五十二年十二月の答申の中で、第一段階、第二段階と規制を強化してまいりましたけれども、さらに将来規制といたしまして次のようなことをしなさいということで、当時の五十二年十二月の中央公害対策審議会の専門委員会報告の中におきまして、ディーゼル乗用車につきましては、「今後の技術開発の状況、保有台数の動向等によっては試験方法も含め、トラック等とは別に規制する必要がある。」こういうような御指摘がされておりまして、この報告の趣旨に基づきまして、先ほど先生が御指摘されました自動車公害防止技術評価検討会の先生方によりまして、ディーゼル乗用車の排出ガスレベルやあるいは技術開発の状況につきましていろいろ検討を行ってまいったわけでございますが、その結果を踏まえまして、昨年ではございますけれども、最近非常にディーゼル乗用車の保有台数がふえてまいりましたこと、あるいはその排出ガス低減技術に大変進歩が見られましたこと、こういうような観点から、ディーゼル乗用車につきまして、従来は濃度規制方式を採用していわゆるPPM規制をやってまいったわけでございますが、重量表示によりますいわゆるグラム・パー・キロメートル、こういうような単位で規制をすべきだということで、NOx等につきまして二段階に分けて目標値を掲げたのでございます。これが去年でございます。  したがいまして、環境庁といたしましては、こういうような御報告をいただきましたので、これを許容限度設定目標値といたしまして、去年五月に設定をいたしまして、これをもとに早期達成を図るため、技術開発を一層促進するよう現在自動車公害防止技術評価検討会の場におきましていろいろ技術評価を行っておる、その技術開発の促進を図って、なるべく早い時期に規制ができるよう現在努力をしているところでございます。
  177. 中路雅弘

    ○中路委員 いま測定方法でシックスモード規制ということをお話しになりましたが、きょうはこの点について関連してお尋ねしたいのです。六ポイントによるこの審査基準ですが、これは全くいましり抜けになっているんじゃないかという、きょうは実例を挙げての質問です。  このポイントの直近だけ電子制御装直で噴射のタイミングをおくらして、六つのポイントだけは審査基準をクリアして、他はNOxがたれ流しになるようなエンジンをいま使った大型ディーゼル車を量産しているメーカーがあります。このため、この車は馬力も燃費も落ちていない。こうした電子制御装置をつければ、六つのポイントだけ審査基準を満足するエンジンをつくることは今日のわが国の技術水準でも可能だということを各メーカーの技術者も言っているわけです。  五十四年度のNOx規制適合の大型ディーゼル車メーカーのうち、こうした電子制御装置、ETコントロール装置と称しておりますが、これを使用しているのはどこかということと、使用している車名と車種及びこれらの生産台数はどれぐらいになっているか、運輸省にお尋ねします。
  178. 宇野則義

    ○宇野政府委員 ただいま先生具体的に御指摘のETコントロール、油圧式燃料噴射時期加減装置と申しますが、この装置をつけておる車は、日野自動車工業の車でございます。原動機の型式はEKの一〇〇という車でございまして、俗に車両の型式といたしましてはFN二七、二八系といったような車が出ておるわけであります。昨年の五十六年四月から生産を開始いたしまして、ことしの三月までにこの装置をつけております車は約二千五百台ほど市場に出ておる状態でございます。
  179. 中路雅弘

    ○中路委員 いまお話しのように、この自動車は日野のカーゴトラック、十トン系のうちの型式がFN二七と二八だけなわけです。生産台数、正確に言いますと年間二千四百九十五台になります。先ほどお話ししましたように、この日野のETコントロール装置が、審査基準の六ポイントの直近だけタイミングをおくらしてNOx規制をクリアするために発明されたもので、現在特許の出願中であるということは、メーカーの内部では広くいま知られていることです。  特許庁にお聞きしますけれども、日野と一心同体である三輪精機が出願者になって、五十四年にエンジン燃料噴射装置自動制御システムを、それから五十五年に回転角の制御装置をそれぞれ特許出願しています。出願の公開番号は、五十四の一一三七二八と五十五の一二八六二八ですが、両件ともまだ出願公告に至っていないわけですが、出願公開はもう済んでいるわけです。これらのシステム装置はどういうものか。これを採用すれば審査基準のポイントを直近だけタイミングをおくらせることができると思うわけですが、特許庁の方にまずお尋ねしたいと思います。
  180. 梅田勝

    ○梅田説明員 それでは御説明させていただきます。  先生指摘の、これは特許願番号で申し上げますと、昭和五十三年特許願第二〇六六四号、公開番号で申し上げますと、昭和五十四年の一一三七二八号でございますが、この発明はディーゼルエンジンの排ガス中の有害成分を少なくするということを目的といたしました発明でございます。  それで、従来の技術では、エンジンへの燃料噴射時期をエンジンの回転数だけで一応それを測定いたしまして、それによって制御するという方法でございましたが、この発明の場合は、エンジンの回転数だけではなくて、たとえばエンジンの負荷の問題だとかあるいはエンジンの温度あるいはエンジンの吸排気温度などを測定いたしまして、マイクロコンピューターを使いまして最適な燃料噴射時期を制御し、かつ排ガス中の有害成分を少なくできるようにした、こういう技術内容のものでございます。  それから先生指摘のもう一件でございますが、これは昭和五十四年特許願第三五六七六号、公開番号で申し上げますと、昭和五十五年の一二八六二八号でございます。これはこのような燃料噴射時期を制御するために使います一種の部品のようなものでございまして、基本的には先ほど申し上げました制御機構というものの一部に使うという内容でございます。
  181. 中路雅弘

    ○中路委員 日野のETコントロールというのは、いまお話しになったこれらのシステムと装置を採用したものなんです。各メーカーの関係者に私はちょっと電話を入れて聞きましたところ、メーカー内部でいま大問題になっている。馬力は価格に直結するわけなので、日野だけにこんなやり方をさせておいたら死活問題だ、日野方式でわれわれもやればこれからどんな規制をされてもこわくないなどということを語っているわけですけれども、運輸省にこうした事実関係を調べるように要請しておきましたが、その結果はどうですか。
  182. 宇野則義

    ○宇野政府委員 先ほど申し上げましたFN二七、二八系についておりますETコントロールの問題でございますけれども、従来この大型車等の排ガス規制の強化を続けてまいっておるわけでございます。  これまで大型車につきましては、世界的な傾向でございますけれども、重量当たりの出力向上、大きなエンジンをつけていきたい、大きな馬力を出せるような車をつくりたいという流れが一時期あったわけでございます。現在では、出力向上という馬力アップよりも燃費の改善ということが世界的な傾向として自動車メーカー、生産者の間での競争になっておるわけでございます。     〔佐藤(信)委員長代理退席、委員長着席〕 御指摘の日野自動車のこのETコントロール装置は、そういう時代を先取りすべく主として燃費向上を目的として装着されておるというふうに私ども承知しておるわけでございまして、自動車関係者の中では、この大型トラックに電子制御方式のコントロールシステムを採用したのはこの日野自動車が最初であるということは承知いたしております。  メーカーの間では、ただいま先生指摘のように、このこと自体が話題になっているようでございますが、排出ガスの問題について云々という件については私ども承知いたしておりません。
  183. 中路雅弘

    ○中路委員 幾つかのメーカーやユーザーユニオンなどが実際に走っている日野のこのETコントロールをつけた大型ディーゼル車のNOx測定を行った結果、回転数を徐々に上げていくと、審査基準の六つのポイントのところではタイミングがおくれて審査基準をクリアするわけですが、その他のポイントではたれ流しになっている。実際の走行時には、この六つのポイントは瞬時に通過して、この六つのポイントについてもたれ流しになるということが明らかになっています。資料も出てきているわけです。運輸省ではこの六つのポイントだけでなく、他のポイントや実際走行時のNOxの濃度を測定していると思いますが、その測定データというのはあるわけですか。測定はされているのですか。
  184. 宇野則義

    ○宇野政府委員 自動車のエンジンのコントロールにつきましては、主として燃料噴射量あるいはその噴射時期をコントロールするわけでございますが、先生いま御指摘のような状態で極端な制御というものは、実際の車につきましては、商品性の問題からいいましてかなりそういう現実はないんではないかというふうに感じておるわけでございます。と申しますのは、現在六点のチェックをいたしておりますけれども、このところだけの制御でそのほかは全然考慮していないというような制御ということになりますと、車のコントロール自体が非常にぎくしゃくしてまいるわけでございまして、電子制御ではございますけれども、やはりエンジンそのものはスムーズな回転を続けていかなければいかぬ、あるいはギアを入れましても車速はスムーズに変化しなければいかぬ、こういうような状態になるわけでございまして、非常に極端な制御というものは現実的にはむずかしいと私どもは考えておるわけでございます。  それから、現在シックスモードを実施いたしておるわけでございますけれども先生承知のように車はいろいろな走り方をいたします。したがいまして、すべての地域あるいはすべての走行状態に合致するようなモードというものは実は考えられないわけでございます。そのために、現在実施しておりますシックスモードは、これらの走行地域あるいは走行ルート、走行時間帯、交通事情等を十分調査した上で、大気汚染が特に問題になるような代表的な市街地走行、これを反映したものとして、先ほど御説明いたしました六つのステップのチェックをするということになっておるわけでございます。そういうところから、私どもの車の審査に際しましては、この六点の数値しか持っておりません。
  185. 中路雅弘

    ○中路委員 私がいま言いました、六つのポイントだけではなくてその他のポイントや走行時のNOxの測定はされているのかと聞きましたら、六つのポイントだけだというお話なんで、測定していないということは大変問題だと思うのです。  いまお話ししましたように、ユーザーや関係者が現実に測定して、私が言ったような結果も出ているわけです。いわばNOxのたれ流しのために開発されたETコントロール装置ということも言えるわけなんで、このNOx濃度がどうなっているかということを、実際に走っているものを使って、六つのポイント以外のポイントを実際に走行している状態で測定して、その結果を、これだけいま問題になってきておるわけですから、明らかにすべきだと思うのですが、いかがですか。
  186. 宇野則義

    ○宇野政府委員 排ガスの測定は車の走った状態で測定するわけでございますけれども、実際チェックするに際しましては、膨大な試験施設、それから測定分析器等が要るわけでございまして、現在、町を走った状態をそのままチェックしながら測定することは困難でなかろうかというふうに考えております。
  187. 中路雅弘

    ○中路委員 私はこれはぜひやっていただきたいと思うのですね。NOx濃度はともかく、この六つのポイントでタイミングがおくれるようになっているということはタイミングライトを使って調べれば整備工場などでもわかるわけですし、こういうことを含めて改めて測定をやるべきだと思います。  もう一度後でお尋ねしますが、先ほど特許庁に出願をされているというものは、いまこうした点でETコントロールに採用されたシステム装置というものはNOx濃度の点で大変問題があるものですし、特許法の第三十二条でも公衆の衛生を害するおそれがある発明は特許を受けられないということにもなっているわけですから、まだ両件は出願公告がされておらないで審査請求も行われていないので、審査請求が行われた場合は、いまこうした問題が背景にあるわけですから十分厳正な審査を行うとともに、いまのこうした調査をこれからぜひやってもらいたいと思うのです。その状況まで出願公告は行うべきでないと考えますが、いかがですか。
  188. 梅田勝

    ○梅田説明員 お答えいたします。  先生指摘のように、この二件の出願につきましてはまだ審査請求が出ておりません。そういう次第でございますので、特許法の定めによりまして審査請求を待って審査するということでございますので、いまのところ審査を行ってないわけでございますけれども、これらの出願につきまして審査請求がなされたという場合には、その段階で特許法の定めるところに従いまして厳正な審査をやらしていただきたい、こういうふうに存ずる次第でございます。
  189. 中路雅弘

    ○中路委員 環境庁にも強く要請しておきたいのですが、いまの審査基準をやはり見直すべきではないかと思うわけです。環境庁としてもこのNOxのたれ流しの実態をやはり調査をする必要がありますし、関係機関にも場合によっては調査を依頼して、その結果に基づいて現行のNOx規制のやり方が妥当であるかどうかという技術的な評価検討を行うべきであると思いますが、環境庁のお考えも聞いておきたいと思います。
  190. 松波正壽

    ○松波説明員 お答えいたします。  ディーゼル車の排出ガス規制の問題につきまして、一般的に基本になりますところの走行モード、いわゆる許容限度の設定に当たりますところの基本の試験サイクルにつきましては、先ほどもいろいろ話が出ておりましたが、わが方といたしましては、中公審の自動車公害専門委員会の報告の中におきまして、基本的な話で恐縮でございますが、自動車排出ガスによる大気汚染の著しい大都市におきますところの自動車の走行実態を反映し、かつその再現性を兼ね備えておる必要があるとしておりまして、現在われわれの方のディーゼル車の排出ガス規制に用いられておりますところのディーゼル自動車用シックスモードによる測定法と申しますのは、いまのような基本的な特性を備えたものでございまして、この測定法を用いましてディーゼル車の自動車排出ガスの量の許容限度を定めまして規制の強化を図ってきておるところでございますが、環境庁といたしましては、自動車排出ガスによります大気の汚染の防止をはかるため、今後とも大気汚染防止法に基づきますところの許容限度の確保に必要な措置を講じられますよう運輸省に働きかけてまいりたい、かように考えております。
  191. 中路雅弘

    ○中路委員 時間も終わりに近づいておりますので、この点で運輸省にも環境庁にももう一度強くお願いしておきたいのですが、いまのシックスモード規制というのが、先ほどお話ししましたように、新しい電子制御装置というのでつけられますと、実際に噴射のタイミングをおくらしてこの六つのポイントだけでは審査基準をクリアするけれども、全体としてはこれはそうした審査基準に当たらない、しり抜けになってしまうということが関係者でもいま大問題になっているところですから、この問題での、先ほど運輸省にも要請しました走行時の測定を含めましてこの審査基準については改めて検討していただく。この審査基準を抜けるような、クリアするような装置が出てくるということになれば、やはり大問題だと思うのですね、公害問題としても。このことを最後にもう一度強く要請をしておきたいと思います。  あと三十分ほど同僚議員の質問がありますので、私の時間は五分ぐらいですから最後にもとへ戻りまして、長官がおられますから一問。  これは強く要請もし、御質問もしたいのですが、最近、臨調基本答申に向けての各部会の素案が、新聞報道ですが相次いで出されております。これらの一連の報道を通じて見過ごせないのは、軍拡優先を中心にした総合安保体制づくりあるいは危機管理体制づくりを基本答申の根幹に据えようとされているわけです。また、内調や公安調査庁などの強化や内閣レベルにおける有事対応態勢の検討ということも目指しておられるわけですが、臨調の事務局が部会討議用に配付したものを見ますと、たとえば「総合安全保障関係検討視点」というこの文書では、「わが国の総合安保については危機予防的な面もさることながら、危機準備的な面での対応が不十分なのではないか。」とか、あるいは「現行の総合安全保障関係閣僚会議、国防会議の機能運営に改善すべき問題」があるとか、この閣僚会議だけではなくて「法律に根拠を置く新たな組織を検討する必要」があるとか、「国防会議の「国家総合安全保障会議」への改組」の問題、こうしたことも提起をされていますし、「総合安全保障政策と担当官庁の一例」という、やはり臨調の事務局が出した文書を見ますと、テーマの中に「国民の「愛国心」の養成」「自衛力の整備」「民間防衛」「危機管理体制の整備のための各種施策」「緊急時の食糧生産体制の準備」「各種国内体制の動員」等が出ています。  こういう点になりますと、私はまさにこの行革というのは軍拡の行革ではないかということも思うわけですが、私がこうした主張をするだけではなくて、一例を挙げますと、最近の四月三日の毎日新聞に「臨調原案に見る危険な兆候」という題で社説が出ています。その中で、いま出てきている素案というのは、   臨調の原案とは思えないほどの文言である。   指摘したいのは、第一に、防衛という国の基本方針やその計画に立ち入ること自体、行革を本務とする臨調の使命を逸脱したのではないかという点である。他の政策言及とのバランスも著しく欠けている。   第二は、第一次答申の際にも見られたが、社会保障面での「自助努力」の強調にうかがえるように、行政の介入を縮小し、場合によっては社会的弱者へのしわ寄せによっても、この面では「小さな政府」を志向していると見られるのに対し、防衛に関しては、逆の方向を示しているように見られる点である。   防衛力整備を聖域化するどころか、これを促進させようとするというのでは、「小さな政府」とは結局、国民生活を犠牲にしながら、軍事面で「大きな政府」をめざすための意図であったか、とも受け取れるからである。 という、これは毎日新聞の社説ですが、一般新聞の社説にも出ているところです。  私はこういう点で、これは毎日の社説にも出ていますが、これは臨調の言われているいわゆる行政改革というものから逸脱した点だと思いますし、臨調がこうしたことを検討するということは大変問題だと思うのですが、行政管理庁長官としてのお考えをお聞きしたいと思う。
  192. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 臨調審議範囲には聖域がないと前から申し上げておりまして、臨時行政調査会設置法第二条に基づいて、国の制度及び運営の基本的部面にわたって調査審議が進められているものと思います。  いろいろなことが新聞に書かれておりますが、まだ必ずしも決まったものではございません。いろいろな思いつき、メモ等の資料があるいは散見されるということがあり得ると思いますが、それらは討議を経て部会なり委員会で決めたというものではないのでありまして、途中でそういうものが出てきて誤解を与えることは、はなはだ遺憾千万であります。  やはり臨調は新しい時代の政府を目指しまして、ぜい肉を切って、そして簡素にして効率的な政府をつくり、しかも国際的にもあるいは真の福祉の充実したりっぱな国につくり上げていきたいという理念を持って進めており、国政全般のバランスを考えてやっておる。足らざるは補い、出過ぎているものは引っ込める、国際的スタンダードで見て恥ずかしくない国にする、そういう考えが基本にあると思いますが、私は妥当であると思っております。
  193. 中路雅弘

    ○中路委員 私は時間なので終わりますが、五十六年度の税収不足もすでに二兆円を超すという見通しも出てきているわけです。臨調が進められている、国民生活に犠牲をしわ寄せして軍拡を進めていく、こういった道が破産してきているということは事実であらわれているわけですし、鈴木首相の責任問題も論議をされているところです。先ほど強調しましたけれども臨調がこうした方向を進むということは、大変危険な道を歩もうとしているわけですし、そういう点ではこうしたことの検討をやめるべきだということを再度強く強調して、あと三十分、同僚の渡辺議員に質問を続けさせていただきます。
  194. 石井一

    石井委員長 渡辺貢君。
  195. 渡辺貢

    渡辺(貢)委員 行政整理簡素化等に関する法律案に関連して、若干の問題について関連の質問をいたしたいと思います。  初めに独禁法第六条に関連してでございますけれども、昭和四十九年十二月に国連の経済社会理事会に多国籍企業委員会が設立されまして、多国籍企業の国際経済における役割りと開発に与える影響等が検討されているようでありますが、その中で、多国籍企業の競争的な活動の問題についても検討の対象になっていると聞いております。公取の方からの説明をいただきたいと思います。
  196. 奈須俊和

    ○奈須説明員 お答えいたします。  ただいま先生指摘のとおり、多国籍企業の活動が世界経済の発展なり後進国の発展に弊害を及ぼすことがないように留意しようじゃないかということで、OECD、国連等でさまざまな議論が行われております。
  197. 渡辺貢

    渡辺(貢)委員 そういう議論が行われているわけでありますけれども、いわゆる南北問題、先進国と開発途上国との間のさまざまな矛盾が現在顕在化をいたしておりまして、その解決ということで、国連貿易開発会議、UNCTADの発足が見られるわけでありますが、特にわが国の場合、貿易立国、また平和国家を内外に鮮明にいたしておりますが、こういう点を見たときに、わが国の市場が、国際カルテルの市場支配やあるいは不公正取引を是正させるだけではなくて、貿易相手国の経済支配や撹乱行為にもわが国自身として慎重に対処していかなければならない。これは独禁法の国際協定、契約等の中身であるというふうにも考えるわけでありますけれども、その点についての御見解、いかがでしょうか。
  198. 奈須俊和

    ○奈須説明員 公正取引委員会としましては、独禁法の運用を通じまして企業の競争制限的な行為というものを監視し、規制しているわけでございます。そういうふうな観点から、法律の目的に従いまして、といいますのは、日本の市場におけるそういうカルテル行為といいますか、不公正な取引方法なり不当な取引制限、そういったことが行われないように十分措置するというような行政を行っております。
  199. 渡辺貢

    渡辺(貢)委員 法六条はまさにそのことを明記しているわけでありまして、それぞれの項目についての取引についてそういう立場からの届け出が今日までされているわけでありますが、今回の改正に当たって、その届け出の範囲国際的協定または契約についてのその範囲公正取引委員会の規則で定めるということがありますけれども、いま検討されている法改正に伴ってのその範囲を規則で定める場合に、現在まで届け出の対象になっておりましたプラント輸出入契約あるいは役務契約等についてはどういうふうに考えていらっしゃるか。
  200. 奈須俊和

    ○奈須説明員 今度の法改正に伴いまして届け出を必要とする国際契約、これはただいま御指摘のように、公正取引委員会規則で定めることにしたいというふうに考えております。  現在、この公正取引委員会規則にどういうものを付するかということについては慎重に検討中でございますが、基本的には、契約または協定の性格とか、それから私どもが従来からこの国際契約の届け出を受けまして審査をしてきたそういう運用経験を踏まえまして、独禁法に違反するという法律上の問題が起こるおそれが少ないというふうな種類の国際契約については、届け出の対象外というふうにしたいと考えております。  たとえば、これから引き続き届け出を求めるというたぐいの契約としましては、現在のところ五つほどのグループを考えておりまして、第一は技術提携を内容とするもの、第二は継続的な売買を内容とするもの、第三は合弁事業を内容とするもの、それから第四としまして商標権、著作権の使用許諾を内容とするもの、それからそのほか共同購入、共同販売契約、輸出入を制限する協定といったものを考えております。  いま御指摘ございましたプラント輸出入契約につきましては、これは特定のプラントを輸出あるいは輸入するという個別かつ具体的、さらに一回限りの取引であるという側面に着目いたしまして、その限りで届け出の対象外としてはどうかなと考えております。ただ、これはそういった性格を有するプラント輸出契約というものだけでありまして、このプラント輸出契約に伴って継続的な技術提携関係を結ぶということが附帯する場合には、これは先ほど申し上げました第一のグループ、すなわち技術提携ということで届け出が必要になるというふうな規則にしたいということを考えております。
  201. 渡辺貢

    渡辺(貢)委員 プラント輸出入契約が届け出の対象から外されるというふうな趣旨のお話でありますけれども、プラント輸出入の場合には、一回限りという契約もありますけれども、かなりリードタイムが長いわけですね。長期間にわたるわけでありますから、一般的な商取引とは若干性質を異にすると思うのです。それから同時に、プラントの場合ですと、その中身としては、包括的な契約の中に技術提携的な要素、そういうものが非常に強いわけであります。ですから、一般的にプラント輸出入契約については届け出から除外をするということになると、現在でも不公正取引として一番多いものが技術提携の問題でありまして、昭和五十四年度、五十五年度それぞれ百五十件というふうにトップにあるわけですね。ですから、包括的な契約でその中身を見ないで外してしまうということになりますと、逆にその面から不公正な取引が助長されてしまうというふうに考えますので、これは法の改正に伴う規則の制定や運用に当たっても相当慎重に扱っていく必要があるというふうに思いますので、答弁をお願いしたいと思います。
  202. 奈須俊和

    ○奈須説明員 規則を制定するに際しましては、基本的な法律の目的と申しましょうか、不公正な取引方法または不当な取引制限というふうな問題が生ずることのないような方向で、そういうことを確保して規則を制定したいというふうに現在検討中でございます。  たとえばプラント輸出入というふうなことにつきましても、御指摘のようにそれ全体をというようなことには必ずしもなりませんで、先生の御指摘のありましたような問題点のないように十分慎重に記載する、そういう明確な規則をつくるというふうな方向で検討さしていただきたいと思っております。
  203. 渡辺貢

    渡辺(貢)委員 とりわけ今日、貿易摩擦の問題など国際的な批判も受けておりますし、十分慎重な対応を求めておきたいと思います。  次に、通産省のエネ庁にお尋ねをしたいと思うのですが、電源立地の問題であります。これは法の改正ではなくて運用面ということでありますけれども、幾つかその問題に関連してお尋ねをしたいと思うのです。  一つは、昭和五十四年にエネルギーの長期需給見通しを策定されて、六十五年の到達目標、それぞれ石炭火力あるいは石油火力また原子力発電というふうに策定をしていらっしゃると思いますが、大体昭和五十五年に比べて六十五年、それぞれいま指摘した三つの火力について何十%、何百%になるのか、その点が一つ。  それから、現在石油の需給が若干緩んでいるということなどあるいは省エネの効果も上がったということで、修正についての検討、下方修正ではないかというふうに言われているわけでありますけれども、どういう角度からその修正についての検討がされているか。  この二点について答弁いただきたいと思います。
  204. 渡辺光夫

    渡辺説明員 最近のエネルギー事情、いま先生指摘ございましたようにいろいろな情勢変化が起こっております。したがいまして通産省といたしましても、従来ございました長期エネルギーの需給見通しについての見直しを、昨年の六月以降総合エネルギー調査会の需給部会に企画専門委員会というものを設けまして、お願いしてきているところでございます。  現在までのこの専門委員会におきます議論のポイントといたしましては、昭和六十五年度にエネルギー需要が七億キロリットルというのが現在の目標でございますが、これを相当程度引き下げることを目指す。それから二番目といたしまして、石油代替エネルギーの供給につきましては可能な限りその増加に努めていく。それから三番目といたしまして、エネルギー政策が非常に長期的な観点を踏まえながら行っていく必要があるということにかんがみまして、昭和七十五年度つまり西暦二〇〇〇年のエネルギー需給の基本的な構造を展望してみる、こういうようなことを議論されているわけでございます。  お尋ねのございましたどのくらいになるかという点につきましては、現在まだ検討中の段階でございまして、確たる数値を申し上げる状況にはございません。原子力でございますとかあるいは石炭火力などの電源開発の規模などにつきましても、この検討の中の一環として行われておりますので、現段階ではまだ申し上げることはむずかしいわけでございますが、考え方といたしましては、先ほども申しましたように石油代替エネルギーの開発導入を積極的に図る、この観点から電気事業におきましても石油代替電源の多様化を図っていくということが重要である、こういう議論になっておるわけでございます。
  205. 渡辺貢

    渡辺(貢)委員 まだ修正の数値は明確ではないということでありますけれども、全体として石油代替ということで、原子力発電などが目標としてはきわめて高い数値になるであろうというふうに考えられますが、昭和六十五年度を展望した場合でも約五千三百万キロワットというふうになっているわけですね、現在の倍以上ということで。とてもそれはむずかしいのではないか、三千万台ではないか、こういう御意見もあるわけであります。  そこで、第二点の問題でありますが、今日までの電源開発立地に係るリードタイムが長期化するという点で、今度の臨調答申やあるいは運用の面でこのリードタイムが長いということが問題になっているわけであります。しかし逆に臨調答申を見ると、その長期化という主な要因の中には、地元の調整が遅延をしている。とりわけ「原子力発電所の安全性に対する不安等に帰因する地元情勢によるところが大きいと考えられる。」こういう指摘があるわけなんです。ですから、手続簡素化ということはある意味では必要かもわかりませんけれども、根本的には、こうした新しく設置する地域における安全性の確保、環境の保全、これを第一義的に確立をし、ここに全力を傾注していく、そうして周辺の自治体の努力とも相まって整備を行っていくなど、そういう姿勢が大事だと思うわけですが、この点についてはどのようにお考えでしょうか。
  206. 渡辺光夫

    渡辺説明員 最近の発電所、原子力を含めまして大変リードタイムが長くなってきております。この要因はいろいろあるわけでございますが、やはり一番大事な点は、先生のお話にもございましたように、地元と十分なお話し合いをしながら進めていく必要がある、その中で地元の方々とのお話し合いにいろんな時間が必要になってきておる、そういう面でリードタイムが長くなるという面もございます。それから、発電所自身が大きくなってくると工事の期間も長くなってくるというようなこともございます。それに加えまして、一つの発電所をつくりますときに、いろんな形での許認可手続が関与しておりますので、この許認可手続に関連してもどうしてもおくれることがあるということも、リードタイムを長くする一つの要因であるというふうに考えております。  ただ、先生の御指摘ございましたように、やはり一番大事な点は、地元の方々に十分御理解をいただく、その前提としての安全性の確保でございますとか環境の保全でございますとか、そういうことには万全を期していくということが全体としてリードタイムを短くしていく最も肝心の点でございますので、そういう点には十分心がけていきたいと思っておるわけでございます。ただ、行政手続だけの面でも若干そういうリードタイムを長くする要因が残されておるという認識に立ちまして、この面でも一層円滑化に努めていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  207. 渡辺貢

    渡辺(貢)委員 リードタイムの長いという問題の中の一因として手続簡素化という点を挙げられているわけでありますが、いまの答弁の中でも、たとえば日本列島周辺見ましても、今日まで、比較的五年ないし六年という短期間に立地ができた。ある意味では比較的安易なといいますか容易な地点ですね。そして規模も二十万キロあるいは三十万キロというくらいでありましたけれども、だんだんこれがよい立地のところが少なくなってきて、困難なところに、今度はしかも百万とか二百万とか、そういう大型のものをつくらなければいけない、こういう要因が一つ背景にあると思うのですね。それから、原発でも二十数年たって、そしてかなりいろいろ事故が起きてきている、そういう不安が必ずしも解消されていない、こういう点もございますし、あるいは浜岡の原発の問題など、地層、地盤を見た場合に、大地震が来れば液状化するのではないか、こういう不安もある。ですから、ここをやはりしっかりと押さえていきませんと住民の皆さんの御理解を得ることができない。安全性が第一だということでありますので、手続簡素化ということでこの基本的な問題がおろそかにならないように、その点を特に指摘をしておきたいと思います。  次に、高圧ガス取締法の一部改正、これは第十四条を中心にした改正の問題でありますけれども、この点についてお尋ねをいたしたいと思います。  昭和五十年に高圧ガス取締法の改正、さらに石油コンビナート等災害防止法の制定が行われるなど、石油コンビナートへの防災安全対策は一段と強化されてきたというふうに言われているわけでありますが、そこで通産省、昭和五十年以降今日まで高取法に基づく報告のあった事故件数と、さらにその中で人的被害があった事故件数と死傷者の数について、五十年度以降今日までどれほどになっているか御説明をいただきたいと思うのです。
  208. 谷仁

    ○谷説明員 御説明申し上げます。  高圧ガス取締法関係のコンビナート事故は、昭和五十年一月以降現在まで五十四件でございまして、そのうち人的被害のあったものが十六件、うち死亡者の出ましたものが四件でございます。
  209. 渡辺貢

    渡辺(貢)委員 ちょっといまの数字は違っているのじゃないですか、死亡者が出たのが四件というのは。この間の鹿島のコンビナートだけで四件ですよ。四名の方が亡くなっているわけです。四件というのは件数ですけれども、人数を私は言っているのです。  時間がないから通産省からいただいた資料で私申し上げますけれども、死亡者の数が八名、重傷が十一名、軽傷が三十五名なんですね。鹿島と水島コンビナートでの事故だけでも五名の労働者が亡くなり、六名が重傷を負っているという状況であります。件数もかなり多い現状でありますが、ここに経団連月報の三月号があるのですけれども、この中で「許認可行政を考える」という特集が組まれておりまして、日本石油精製株式会社取締役の山口氏が「安全と保安関係許認可および行政改革」という表題で書いているのですが、この中にこういう記述があるのですよ。「もはや、コンビナート地域における設備、人員の面での強化は完全に近いものになっており、数年来、災害の発生は絶無に近い状況を維持しているのである。」だから、全体としてこの許認可を緩和しろ、こういうことを要求しているわけでありますが、いま触れました五十年以降の災害の実態を見たときに、皆無に近いという見解になるのかどうか、この点について通産省の見解を示していただきたいと思います。
  210. 谷仁

    ○谷説明員 数年来災害の発生は絶無に近い状況を維持しているという御意見があることは私どもも聞いておりますけれども、先ほど御説明申し上げましたように、昭和五十年以降高圧ガス取締法関係のコンビナート事故は五十四件ございます。うち人的被害のあったものが十六件発生しているわけでございます。  こういう状況を踏まえまして、コンビナートにつきましては従来から高圧ガス取締法及び石油コンビナート等災害防止法に基づきまして事故防止のための特段の保安、防災措置を講じさせているところでございまして、通産省としては今後ともこの両法律の適切な運用によりまして安全の確保に万全を期してまいりたい、かように考えております。
  211. 渡辺貢

    渡辺(貢)委員 いまの御見解によりますと、経団連月報三月号に記されている山口さんの御見解とは現状の認識について相当大きな違いがあるというふうに私も答弁を聞いたわけであります。は、こうした山口氏などの見解がそのまま経団連の行政改革についての、つまり許認可整理の問題として提起をされて、それが今度の高圧ガス取締法第十四条を中心にした改正につながっているのではないか、こういう懸念をいたすわけであります。  特にその中で、軽微なものは認可の必要がないということでありますが、鹿島の問題を見ましても、軽微であるというふうに言われていた。コンビナート等防災法に基づく保安規則あるいは通産省の高圧ガス取締法に基づく技術基準、こういうものは全部クリアしているのだ、万全だというふうに企業の方は言っていたわけですけれども、その万全と言われていた部分の違うところで事故が起きている。つまり、そこは軽微な場所だというところで事故が起きているわけであります。これは商工委員会の私の質問に神谷立地公害局長が答弁しているわけでありますが、こうなると、軽微という概念もどこで軽微というラインを引くのか、どういうふうにそういう問題について安全性を担保するのかという基準が非常に不鮮明になってしまう。  現在でも大変事故の要因がある。全国で八十のコンビナートがあるわけでありますから、そういう点で法改正に伴うそうした事態が起こらないように、法改正はむしろ逆行するのではないかと私は考えるわけですけれども、この点についてのお考えをもう一度お尋ねをいたしたいと思います。
  212. 谷仁

    ○谷説明員 現行高圧ガス取締法におきましては、製造施設等の変更工事が行われました場合には、施設等の態様が許可のときの態様と異なることになるということで保安に関連した技術上の基準に違反する可能性が生じますので、変更の工事を許可または届け出に係らしめることにしております。先生質問のございました軽微な変更という点につきましては、私どもはその変更によって保安上全く支障が生じないという概念であるというふうに考えております。
  213. 渡辺貢

    渡辺(貢)委員 保安上絶対に事故は起こらない、軽微だというその概念が、事故を起こす要因だということですね。これはどこのコンビナートでも、五十数件の内容等いろいろお話を承ってみてもそういう部分で起きているということでありますから、この点は十分腰を据えて取り組んでいっていただきたいということを申し上げたいと思います。  最後に、中曽根行政管理庁長官にお尋ねをいたしたいと思うのですが、いま幾つかの問題について指摘をいたしました。効率的な行政、簡素な行政を行っていく、もちろんこれは必要でありましょう。しかし大前提になるのは、国民の生命や財産を守っていく、また環境を保持していくという国民立場に立つ行政が前提であると思うのです。とりわけこうした危険物を取り扱っていくあるいは原発など電源立地の場合には、そうしたことが優先されなければならない。行革の理念の中にもそこがきちっと入っているというふうに私は思うわけでありますけれども、最後にそうした点について大臣の御所見を承って、質問を終わりたいと思います。
  214. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 行革を行います臨調の理念の中にも、充実した福祉政策という考えは基本にございます。充実という意味の中には活力あるという面もございますし、あるいは公平、バランスというような感覚ももちろん入っております。そういう意味におきまして、国のあり方の中に人間の生きている姿を守っていく、そういうことは政府として当然あるべきことでございまして、そういうような政策につきましても十分心がけて進むべきものと考えております。
  215. 石井一

  216. 横山利秋

    横山委員 昨年の行革国会で長官と一問一答をいたしましたことがいま思い出されてくるわけであります。まず最初に、その私とあなたとのやりとりの中で思い出しますあなたがおっしゃったことを、もう一度確認をしたいと思うのでありますが、多分私の記憶に間違いなくんば、情報公開法は次の国会に提出したいという意見を述べられておると思います。ところが、ここにある行革の主要検討課題を見ますと、「行政情報の公開と管理、行政手続」はずいぶん後ろの方にあるような、最重点でないような気がするわけであります。一体本気でかかっておられるのであろうか。私も昨年、ややあなた方のお気持ちが十分ではないのではないかということで質問したところ、思いがけなくもあなたは大変勇気ある態度を示されたので、ああそうですか、それは結構ですという気持ちでありました。  まず、情報公開法はあなたの方の作業順序のどんな地位にあるのですか。いつ出されるのですか。
  217. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 前にお答えいたしましたときに、次の国会に出すということは断言しなかったつもりでございます。できるだけ早く提出いたしたいと申し上げたつもりでおります。  情報公開につきましては、行管庁といたしましても前から関心もあり、またOECDやそのほかとの関係もございまして、研究を進めてまいっております。たまたま臨時行政調査会が発足いたしたものでございますから、そちらでもお取り上げ願って審議を進めて、両々相まってやりたいということも国会で答弁申し上げておる次第であります。  最近、地方の公共団体で、たとえば山形県の金山町とか神奈川県であるとか、情報公開に対する関心と施策が非常に進んでまいりまして、いろいろな反応を呼んでおります。これらの先例もよく見きわめながら、われわれは間違いがないりっぱなものにしていきたいと思って、それらも検討しつつやっておる状態でございます。
  218. 横山利秋

    横山委員 念のために、お気持ちの尺度をはかるために伺いたいのでありますが、あなたは機密保護法とのバランスを考えていらっしゃるようなことはないのでしょうね。機密保護法と情報公開法とのバランスをお考えになっているのではないでしょうね。いかがでございましょう。
  219. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 機密保護法ということを私は考えたことはありません。プライバシー保護ということは言っておるわけです。これは情報公開とうらはらになっている問題で、一面において検討を進めておるわけであります。
  220. 横山利秋

    横山委員 わかりました。  次に、オンブズマンについてポイントを伺います。  オンブズマンについて昨年のあなたと私のやりとりは、問題になりますのはたった一点だったと思うのです。それは、国会に附属してオンブズマンを置くか、行管の所管内でオンブズマンを置くか、その点についてあなたは、行管の所管内で、国会の同意は得てもいいのだけれども所管内に置くというような意見を開陳されたように記憶しております。そうであるとするならば、いろいろ事務的な問題はあるけれども、オンブズマンについてあなたが本気で必要であるとするならば、これはそうむずかしいことではないのにかかわらず、どうもオンブズマンが表へ上がってこないような気がするのでありますが、準備はどうなっておりますか。
  221. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 オンブズマンにつきましても、研究調査団を派遣したりいろいろ努力もしており、また野党各党の案も拝見しておるところですが、横山さんと私の相違は、いまお示しのとおり国会の中に置くか行政部内に置くかということで意見が食い違っております。  オンブズマン制度というのは、みんな各国の伝統やら国情に応じて生まれてきたものでございまして、国会に置くという制度をとっておる国は、比較的に民情を酌み取る機関がうまくできていない、行政的にもできていないし、あるいは国会議員の活動からもできていないという国が多いようでございます。たとえばスウェーデンのような場合は、国会議員がほとんどそういう活動もしていないし、政府にもそういう機構がございません。したがいまして国会が任命するオンブズマンが活躍しているということです。  日本の場合には国会議員がオンブズマン以上に働いておるわけで、選挙区の陳情やら苦情というのはほとんど国会に持ってきて政府にぶつけたりして、監督も厳重にやっておるわけであります。また、行政管理庁は全国に数千の行政相談員を持ちまして、市区町村にそれぞれそれを受け付ける場所もあり、最近は苦情処理の一一〇番もつくりまして、かなりの電話が入ってきたりしておる。そういう面から見ると、いわゆるオンブズマンのねらっていることの先進国は日本じゃないかと思うのであります。だから何も外国のまねばかりする必要はない。われわれの方にいいものがあるのだ。だがしかし、外国がどういうことをやってどういう長所を持っているかということは謙虚に勉強もしてみよう、日本の国情といかにうまく調和してその理想を生かしていくかということでいま検討を加えておるというのが実情でございます。
  222. 横山利秋

    横山委員 第三に、過ぐる国会で、法案の中で、内閣総理大臣または国務大臣が特例適用期間において給与の一部に相当する額を国庫に返納する場合には、当該返納による国庫への寄附については公職選挙法百九十九条の二の規定は適用しないものとするという問題についてやりとりしたことを記憶をしています。  私は、総理以下閣僚がいかにも麗々しく法律で、おれが返納したら公選法は適用しないというようなみみっちい問題、私はあえてみみっちいと言うのですけれども、みみっちいことをやらずに、政治家の資産公開法をすべきだ。私だってあなただって歳費だけで政治活動をやっているわけじゃない。生活全部を含めて歳費だけでやっているわけじゃないはずです。それが不正になってはいかぬけれども、正々堂々とやっているはずですね。そうだとすれば、歳費の一部を返納するといういかにもかっこうのいいことを言わないで、資産公開法を国会で通して、そして政治家が裸になって国民の中に全経済生活、自分の政治生活の中の経済面を明らかにしなければ何の意味もないではないか、こうやり合ったところであります。しかしそうはいっても、それじゃ法律案は一体どういうことをするのか、あなた方、寄附するのですかと言ったら、寄附しますと言われた。寄附されましたか。
  223. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 法律の命ずるところに従って処理しておると思っております。
  224. 横山利秋

    横山委員 おかしなことをおっしゃるね。この法律の命ずるところというのは、あなたが給与の一部に相当する額を国庫に返納するときはと書いてある。あなたは返納したの、しないの。
  225. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 施行は四月一日からでございますから、したがいまして、確認はしておりませんが、やっておるものと思います。法律の命ずるという意味は、手続の問題を言っておるのであります。
  226. 横山利秋

    横山委員 これはあなた個人の問題ですよ。法律の解釈の問題じゃないですよ。総理大臣以下閣僚が国庫に給与の一部を出した場合には、これは公職選挙法の適用はしないと言っているのだが、四月一日からもう施行されたとして、あなたはこれをやる意思があるのかないのかといって聞いている。あなた個人に聞いている。
  227. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 やる意思はもちろんあるのですが、まだ給料日が来てないのでもらってないのです。
  228. 横山利秋

    横山委員 失礼なことを言いなさんな。ばかにしなさんな。これは法律ですよ。法律の、行革の重要な第七の柱ですよ。だから私は聞いたのです。そんなみみっちいことをする必要はないと私は言った。そうしたら、総理大臣以下あなたも、政府みずからその範を示す、こう言ったじゃないですか。範を示すつもりがあるのかないのかと聞いている。失礼なことを言いなさんな。
  229. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 もちろんやる意思があり、やるつもりでおります。
  230. 横山利秋

    横山委員 あなた、これは忘れているんじゃないの、実際の話は。総理大臣も忘れているんじゃないの。こういうようなことを新聞に広告して宣伝して、総理大臣以下各閣僚はみんな給与の一部を返納するから、国家公務員もあるいはまた国民の皆さんも行革に賛成してもらいたいという範を示すつもりでやったんでしょう。閣議で決まったんでしょう。それを、きょうは四月の何日ですか、きょうの答弁で、やるつもりでありますということではだめですよ。この法案が上がるまでに閣議を開いて、この法案による返納をするのかせぬのか、実行するのかせぬのか、返事をしてもらいたい。
  231. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 これは、ああいう法律をつくって内閣としての決意、政治家としての決意を示しました。やはり行革につきましては国務大臣が率先してやらなければならぬ、そういう考えに基づいてやっておるのでございまして、もちろんこれは誠実に実行するつもりでおります。
  232. 横山利秋

    横山委員 私は、この法律案が通過するまでに、政府が本当にやる気があるのかどうか、あかしが欲しいと言っているのですよ、二十二日までに。総理大臣も忘れているでしょう。あなただって、こんなにやかましく私が言って、そうかそんなことがあったか、おれも給料寄附せにやならぬかと思い出したんじゃないですか。そしてどうも、私の問いに対して、それはやらなければいかぬな、どのくらい出そうかというお気持ちなんじゃないですか。この点はきわめて重要な行革のうたい文句になったことですし、放置することは許しませんぜ。あなたは個人であると同時に行管長官である。全閣僚に、法律を履行しろ、国民の約束を履行しろと言う義務があるのですよ。行管の大黒柱として総理以下各閣僚にお伝えを願い、そして二十二日ごろ、本法案が上がるまでに、どうなさるか御返事がいただきたいと思います。
  233. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 もちろん誠実に実行いたします。
  234. 横山利秋

    横山委員 誠実に実行というのは、私の問いに答えて言っていらっしゃるのですか。この法案が上がるまでにお答えがいただけるのですか、いただけないのですか。
  235. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 誠実に実行するというお答えをいたします。
  236. 横山利秋

    横山委員 だれが聞いたって、ああ、やらぬつもりがあるのだな、いつか適当なときにまあかっこうだけつけようかと、そう思いますよ。やらぬつもりが半分、まあ自分一人ではいかぬので相談してみようかと思うのが半分、それではまじめな答えとは言えませんね。  委員長にお願いしたいのです。お聞きのとおりでございます。これは去年の国会で本当に大宣伝になって、鈴木さん初め、中曽根さん初めみんな自分たちの給料を出すそうだ、それじゃ政府はやる気があるのだな、こういう問題なんですよ。私は、こんなばかなことはやめろ、こんなことよりも正式に資産公開法を出せ、私どもが出しているからそれに賛成しろと言っている問題です。いま長官のお話では、私の質問にまじめに答えていないんじゃありませんか。委員長の善処をお願いしたい。
  237. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私は誠実に実行すると申し上げておるのでありまして、(横山委員「いつまでに」と呼ぶ)それはいまおっしゃった二十二日までというお話でございますから、二十二日までにそれの手続はもちろんいたします。私、もうしているんではないかと思いますが、確認してみます。
  238. 横山利秋

    横山委員 それを早う言ってもらわなければならぬ。委員長にまで文句を言わぬでもいいものを。  その次に、やはりあなたとやりとりした官僚制度の問題です。あのとき、あなたと私と本当に意見が合ったのですね。いまの行政改革は、いろいろな機構いじりや何かやったって、日本の官僚制度、官庁制度の一番の根本は、世間から非難されているものは、一つは権威主義である、役所はいばる。一つは学閥学歴主義である、実力主義がうまくいかない、作動しない。一つは陳情主義である、まあ私ども陳情を受ける人間なんでありますが、陳情すれば何とかなる、力の政治力ですね。一つ通達主義である、お役所の通達というのは山ほどある。そこまで言ったらあなたが、全く同感だ、横山さん、もう一つありますよ、縄張り主義だ。全くあなたと意見が一致しました。一体、官僚制度についてあなたはどうメスを入れられたのですか。
  239. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 日本の官僚制度は、国際比較で見ますとフランスと並んでわりあいに優秀である、かなり評価は高いようです。非常に先見性もあるし、また誠実であるし、比較的に廉直である、そういう評価はあります。私は確かにそういう点はあると思っております。  しかしながら、これは国のあり方と申しますか明治以来の伝統というものがございまして、日本は発展途上国で外国に追いつこうと一生懸命やってきたものですが、追いつくためには、あの当時の情勢では国が指導力を持たなければできない。こういうわけで中央集権的になり、指導力を持ってやるということになるから、許可、認可が中心になる。そうして地方はなえてくる。どうしても中央に集中してくる。そういうふうになると縦割り行政というふうにどうしてもなりまして、結局縄張りというものにもなる。その背景にあるのが官尊民卑主義である、そういうことになってくる。明治政府のときは特にそういうふうな風潮になったわけです。  そこで、ある意味においてはその力もあって日本はこれだけ隆々として、約百年ぐらいで西欧に追いつき追い越したわけですが、今日の時代になりますと、もはやそれが害をなしてきている。さっき横山先生が申された諸条件みんな害にもなってきているわけです。この辺で取っ払って、新しい観点で、あるいは分権の力を強くするとかあるいは縄張りをやめさせるとか官尊民卑をやめるとか、そういうような改革を加えるときにまさに来た。今度の臨調にはそういう歴史的使命があると考えておるわけであります。
  240. 横山利秋

    横山委員 全く同感なんですが、私の聞いているのは、それがどこから手がつけられたかという具体的な方法について、おやりになっていることを御紹介願いたい、こう言っているのです。一般論として行革はそういう目標に近づくだろうというのでなくして、たとえば学歴偏重主義をどうやってやるか、東大中心をどうやってやるか、役人がいばるのをどうやってとめるかというような具体的なアプローチをどうなさるおつもりですか。
  241. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 昨年七月出しました第一次答申の総論の部分にも大体そういう理念は書いております。それから、次の七月に出そうとしておる行革の理念につきましても、いまそういう方向で執筆が急がれていると聞いております。  そういうような考え方に立ちまして第一部会から第四部会までいろいろな作業が進められておりますが、いますでにわれわれがここで御審議願っておる許認可廃止、解放の問題、これらもその一つでございますし、あるいはさらにいろいろな、中央省庁あるいは中央と地方との機能分担、あるいは国のやる仕事と民間がやる仕事との限界、つまり特殊法人の問題国営と民営との関係、そういうような問題、あるいは三公社五現業にわたる改革、これらは大体そういう理念に基づいていろいろな施策がいま検討されておるところであります。
  242. 横山利秋

    横山委員 ここに行革の理念ありますけれども、あなたの言ってること書いてないですよ。官僚制度の欠陥を指摘していること一つもないですよ。それから私がいままで聞いてきた政治の清潔、そういうことも何も書いてないですよ。あなたの後で言ったことは書いてあるけれども、官僚制度はこういう欠陥があるという、是正のアプローチは何も書いてない。これは指摘するにとどめておきますけれども、この行革の理念、素案を議論なさるならばお話と内容とが違いますということを指摘しておきます。     〔委員長退席、愛野委員長代理着席〕  次に中小企業問題についてちょっとお伺いいたしますが、床屋、酒屋、たばこ屋、薬剤師、ふろ屋、何々というふうに許可制度で開業している者あるいはそこにおる者、床屋は資格がなくてはだめだとかなんとか個人の資格を云々している者、そういう者が昨年から今日に至るまで大変騒ぎました。いまにみんな取っ払ってしまうという話があるわけです。  どこで聞いたらいいかな、まず中曽根さんに聞きましょうか。そういう中小企業の営業の許認可、個人資格の許認可試験、そういう広範な問題を手直しする、取っ払うというお気持ちがあるのですか。
  243. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 この問題は第一次臨調のときから指摘されておる部分で、美容とか理容とかあるいは酒の販売とか、いろいろな問題があの当時からすでに指摘されて、それで臨時行政調査会が終わってからは行管に監理委員会ができまして、その指揮のもとにいろいろ調査を進めて監察も行ってきたところで、大体資料はそろいまして、いまの第二次臨調においてこれをどういうふうにお取り上げになるか、われわれは注意して見ておるところなのでございます。
  244. 横山利秋

    横山委員 行管が、私もある局を調べましたところ、全国全部とは言わぬですけれども、床屋さんの実態を調べたというのですね。何を調べたんだと言うたら、もし床屋はだれでもやれるということになったらどうなるかね、どう思うかねというような調査項目を含んでおったらしい。そこで床屋はびっくりこいちゃって、全国署名運動をやった。それで与党のところへ駆けずり込んだ。よっしゃ、おれの目の黒いうちはそんなことはさせぬということになった。そこへ政治資金が関係していったかどうかわかりませんけれども、床屋ばかりじゃないですよ。そういう傾向が最近あるわけです。ところが厚生大臣は、環境衛生その他の問題についてそんなことは絶対ない、こう言っているわけです。厚生省どうなんですか。
  245. 田中治彦

    ○田中説明員 お答えいたします。  理容業に係ります現在の規制等の制度につきましては、理容業という国民の日常生活に密着する仕事が衛生的にかつ安全に実施されるということによりまして国民の公衆衛生の維持増進に寄与しようというようなものでございます。したがいまして、理容師の業務独占としての理容師免許制度とかあるいは理容所におきます衛生的措置の確保等、現行制度につきましては今後ともこれを維持する必要があるというように私どもは考えておるところでございます。
  246. 横山利秋

    横山委員 行管は調査でおどかす。いま長官もおっしゃるように、取っ払うかもしれぬよというような暗示をなさる。各役所はそんなことは絶対ないと言う。そこのところに、中小企業があわててしまって全国的な運動をやるとかなんとかかんとかということで、金がつきまとう問題になっていくということの私は一例をちょっとつかんでいるのだけれども、これは本当に余り感心したことではないのですよ。それが表に出てくれば、役所でも政治家でもけりがつきそうな問題になっておるわけですよ。  だから長官、何ですか、あなたはいま言葉を濁していらっしゃるけれども、この種の中小企業の、資格がなければあるいは許可がなければ開業もできない、何も仕事もできないという今日の制度について、手をつけるというあなたの決心ですか、どうなんですか、もう一遍伺います。
  247. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 これはいま臨調が所掌しておりまして、許認可に関する分科会も設けて、たしか川島広守さんが主査でやっておる問題でございまして、われわれがいまここでとやかく先走った考えを言うのは避けなければならぬ情勢にあると思っておるのです。
  248. 横山利秋

    横山委員 とにかくこの種の問題は、それはたばこ屋はそんなものわざわざ専売公社の許認可にせぬだって、ちゃんとたばこの代金を専売公社に払えばだれがやったっていいじゃないか、現金引きかえでやっているじゃないかとか、あるいは酒屋だって庫出し課税じゃないか、こんなものは何で税務署がえらい気張って、税務署長がいばって、おまえのところはいい、おまえのところは悪いと、そんな必要がどこにあるかと、やれば議論はあるわけです。けれども行革と中小企業という視野から考えますと、中小企業に対して千波万波を呼ぶ影響がきわめて強いと思います。  中小企業庁来てますか。中小企業庁は、この種の問題についてどういうように対処しておられるか。
  249. 宇田川治宣

    ○宇田川説明員 許認可行政見直しという問題につきましては、先ほど行政管理庁長官がお答えになりましたように、現在、臨時行政調査会で御検討中のことというふうに考えております。  一般的に私どもといたしましては、中小企業庁関係許認可行政につきましては、中小企業者に対する事務の簡素化あるいは合理化という面で、中小企業者のためにできるだけのことを考えていきたいというふうに思っておりますが、一方、先生の御指摘になるように、許認可見直しの結果、中小企業者にいろんな影響を及ぼすあるいは経営上問題になるというようなことになりました場合には、今後臨時行政調査会がどのような結論をお出しになり、その結果によりましてそれぞれ所管業種の中小企業の方々にどの程度のどういう内容の影響が及ぶかということによりまして、これまた個別的、具体的に検討した上でなければ何とも申せませんけれども、現在私どもが準備いたしておりますたとえば中小企業近代化促進法であるとかその他の関係法律を適宜適切に運用するということで、結論か出た後で必要に応じて関係省庁とも御協議の上で対処してまいりたい、そういうふうに考えておるところでございます。
  250. 横山利秋

    横山委員 車検の問題は運輸委員会できのう自民党が勝手に採決をしたようでありますが、この車検の問題が及ぼす影響というものがずいぶん議論されました。運輸省は、今回の車検の問題から生ずる中小企業の転廃業や補償の問題について、どう対処しておりますか。
  251. 宇野則義

    ○宇野政府委員 ただいま車検問題を含みます道路運送車両法の一部を改正する法律につきまして国会で御審議をいただいておるわけでございますが、この案によりますと自動車整備業が影響を受けるということになるわけでございますが、現在私どもが試算しております額、規模でいいますと、保有車両が現在のような状態で増加をしていくということを一つ前提といたします、それから、法案の中に織り込んでおりますけれども、定期点検の六カ月点検整備を初回だけ廃止する、それから以降非常に簡素化をしていくということから六カ月点検の整備料金がかなり安くなるであろう、こういう前提で試算いたしますと、整備業に与えます影響といたしましては、制度がスタートしてから二年目に大きな谷がくると考えております。額で言いますと、二千七百億円程度の影響が出るのではないかというふうに考えております。また、五年間の累計で試算いたしますと、約八千五百億円程度の影響が出てくるだろうというふうに考えております。ただいま申し上げました数字は全国一本にいたしましたマクロの数字でございまして、個々の企業につきましては、地域あるいはその事業者が扱っております取り扱い車種等によって個別には影響がまた違ってくるというふうに考えておるわけでございます。  このように、今回の法律改正によりまして影響を受けると予想される整備事業者の問題につきましては、さきの運輸技術審議会の答申の中でも指摘されておるのでございますけれども一つは業界自身の自助努力というものも必要でございますが、国としても所要の措置について適切な配慮が必要であるというふうに指摘を受けておるわけでございます。  それで対策の方でございますけれども、現在整備業界がその近代化、合理化を図るために実施しております中小企業近代化促進法に基づきます構造改善事業というものをフルに活用いたしまして、整備事業者の自助努力を主体に対策を引き続いて推進したいということが一つございます。それから、ただいま申し上げましたように需要の減少ということか起こってくるわけでございますが、その際の大きな問題点といたしましては、運転資金の確保ということが問題になろうかと思いますし、また、企業集約を進める過程におきまして設備資金の借り入れといった問題が出てこようかと思います。こういう運転資金の確保あるいは設備資金の借り入れにかかわるところの債務保証等のために業界の自助努力を主体に国が適切な措置をとる必要性があるんではないかということで現在検討しておる最中でございます。  このような諸施策を講すれば制度改正が事業に与える影響はかなり緩和されるのではないかというふうに考えておるわけでございまして、どの程度具体的に、幾つの工場がどうなるかということにつきましては具体的に申し上げられないわけでございますけれども、万が一この影響を大きくかぶって転廃業を余儀なくされるような状態になるとすれば、その時点におきましては中小企業事業転換対策臨時措置法及び雇用保険法等に基づきますところの助成策を検討しておるわけでございまして、それぞれ関係の省庁がございますが、これらとも打ち合わせをすでに進めております。このために、その事態が生じました段階でこれらの法律に基づきますところの業種指定等々ができるように、いま準備を進めておる段階でございます。
  252. 横山利秋

    横山委員 そうして行革と中小企業という問題がこれからかなりじわじわと私は問題になっていくと思うのです。中小企業にとりましては、行革によって役所へ届け出るものが少なくなったとか、あるいは自分でやれるということが結構なことだとか、そういう側面があることは否定しません。否定しませんけれども行革によって業界混乱が起こる、そして転廃業が起こるというような問題については必ずしも長官もそれを願っておるわけではなかろうと私は思う。仮に万々が一それが必要なことがあったとして、やむを得ない場合には最善のその救済措置というものがなければ行革は成功しない、私はこういうことは意見として申し上げておきます。  その次は、長官、ここに新聞があります。ちょっとだれかこれを長官に見せてください。  日本人というのはかっこうをつけたいものですから、何でも看板が欲しいというわけで何々士、何々士、こういうわけであります。     〔愛野委員長代理退席、委員長着席〕 私は自転車組立士でありますと自転車屋の小僧が言うようになった。自転車屋といったら四、五人しかおらぬですよ。自転車組立士でありますと言ったら、そばにおる若いやつが、おれは自転車保安士である、こう言うのですね。これはどういうことかというと、結局警察庁と通産省とが大げんかして縄張り争いやって、おれの方へ所管よこせ、おれの方へ所管よこせ、それならおまえの方は組立士だ、おれの方は保安士だ、こういうわけだ。まことに一体どうかと調べてみたら、法律に根拠を置かないのですよ。行政指導でつくっておるのです。けしからぬ。それで若い自転車屋から試験料千円か二千円取っているでしょう。それをどこがやっているか。それは自転車の団体でしょう。自転車の団体へだれが座るか、警察か通産省の天下りですよ。うまいことできておるですね。いわゆる士職、法律によるものと行政指導でつくるものと、今度もう一つそれにありますのが民間が勝手につくっているもの、たくさんありますが、交通損害保険士とかあるいは不動産経営士、そういうのがある。  この前、新聞に広告が出ておった。広告を見たら、土曜日の午後四時間ぐらい行けば、三万円ぐらい出せば、そこで参議院議員の自民党の某氏の講演さえ聞けば額をくれて、そしてそれは何々士と、経営管理士ぐらいのものの免状をくれる。こういうことなので、余りではないかというわけで、自民党の某参議院議員に法務委員会を通じて、どうなんですか、それはあなたのためによくないですよと言ってやめてもらった。そういう看板を使っておるわけですね。そういうようなことが実に多いわけなんです。  その自転車組立士と自転車保安士、警察庁と通産省、何か言い分ありますか。
  253. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その前に、先ほど給与の問題で御質問がありまして、いま内閣で調べさせましたら、国務大臣は特別職で給与を上げなかったそうです。つまり、給与法改定を国務大臣は行わなかった、したがって、この前、昨年どおりでくぎづけになっておりますので、寄附すべき対象がない。そういうわけで寄附する必要もないし、凍結のままで推移している、そういうことだそうでございますので、改めて御報告申し上げます。
  254. 横山利秋

    横山委員 そうおっしゃるだろうと私は思いましたよ。あなたは最初からそういう答弁をされるだろうと思った。どこにそんなことが書いてあるか。寄附の対象となるべきものがないとどこに書いてありますか。「給与の一部に相当する額を国庫に返納する」ときはと書いてあるだけで、ベースアップしたときに、ベースアップがあったらその分をと何も書いてないですよ。詭弁を弄しなさんな。
  255. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 速記録を調べてみますと、鈴木総理大臣は、もし給与が上がった場合にその上がった分を寄附いたします、そう明らかに申し上げております。
  256. 横山利秋

    横山委員 総理大臣がそう言ったことを知っていますよ。知っていますけれども、私はそれに同意したわけじゃなし、賛成したわけじゃない。私の言い分は法律どおりにやりなさいということなんです。ベースアップがなかったらやりませんよと書いてないですよ。勝手な解釈しては困る。あなたがそう言ったって、法律は生きたんですから、これが宣伝されているのですから、これを国民に、この第七にこういうことが書いてあるけれども、ベースアップがないからやらぬでもいいんだ、そんな理屈が通りますかね。委員長、これはけんかですわ。先ほど言われたように、行革でこういうことが決まった、先ほどは内閣委員会で二十二日までに返事をすると言われた、実行すると言われた、改めていやベースアップがなかったからこれはさようならだ、それには私は納得しないというままにしておきます。  では、さっきの続き、自転車組立士か保安士か。
  257. 柴田幹夫

    ○柴田説明員 お答えいたします。  自転車の組み立てでございますけれども、これは非常に特殊な産業でございまして、先生承知のとおり、メーカーあるいは製造卸というのがございまして、七分組みという形でメーカーから全国にございます三万五千店の小売店に出されるわけでございます。また、自転車と申しますのは国民の非常に身近な足でございまして、今日五千万台、要するに二人に一台の割合で普及しておるわけでございます。したがいまして、その安全性ということが非常に重要でございまして、こういった観点から二十九年からこれは業界の自主的な制度でやってまいったわけでございますけれども、今日、自転車の普及率の向上あるいは安全性の重要度といったような観点から、業界の御要請あるいは消費者の要請がございまして、これを通産大臣が認定いたしました団体、車両検査協会というのがございますが、そこが認定制度をやっていくということで発足をいたしまして、自転車小売店に勤めておりますそういった方々の安全あるいは保安といったものに対する意識の向上にも役立っておりますし、またわれわれといたしましては、消費者の安全といった観点にも非常に役立っておる制度であると考えておる次第でございます。
  258. 横山利秋

    横山委員 法律に根拠を持っているのかね。
  259. 柴田幹夫

    ○柴田説明員 法律ではございませんで、通産大臣が告示によってやっております。
  260. 横山利秋

    横山委員 法律に根拠ないじゃない。保安士。
  261. 福島量一

    福島説明員 警察庁からお答え申し上げます。  先生、保安士という御指摘でございましたが、これは自転車安全整備士という名称でございます。この自転車安全整備士は、自転車の交通安全を確保するために自転車利用者の方々の求めに応じまして普通自転車について必要な点検整備を行い、その点検整備を行った自転車には点検整備済証のマークを張る、さらに、その機会を利用いたしまして、自転車利用者に対して自転車の交通ルール、正しい乗り方等の自転車の安全な利用の仕方について指導、助言をするということを業務とするものでございます。自転車の交通事故防止につきまして大変重要な役割りを果たしておるというふうに考えておるところでございます。
  262. 横山利秋

    横山委員 長官どうですか、いまのやりとりを聞いておって。いかに役人が自分の縄張りでかっこうつけようとしておるかということがわかるでしょう。それは私も自転車屋とは仲よしですよ。横山さん、何やら試験があるでよ、小僧やらんならぬがやということなんですよ。重要なことでしょうよ、組み立ても保安も。だけれども、ちいっとえらあないかと私は思うのです。しかも、法律に根拠よらないのです。しかも通産省と警察庁がけんかして、片っ方は組立士だ、片っ方は何だと。同じ人間なんですよ。若い衆。それでどうするんだよ、試験は別々かと言ったら一緒にやっております、よう言えたものだと私は思うのであります。  建設省、今度また法律によらざる区画整理士ですか、行政指導していますね。これはまた法律によらざる、建設省の指導によってそういう士ができるのです。そして、聞きますけれども、これは区画整理するときにはその区画整理士によらなければ区画整理してはいかぬのですか。そうではないのでしょう。——わかってる、わかってる。もうちょっと座ってなさい。そうではないと言うに決まってると私は思う。独占業務ではない。けれども、土地改良なんかは意見を聞かなければならないんですね。土地改良、あなた知らぬかもしれぬ、農林省関係だ。結局、独占業務でないけれども行政指導なり事実関係として区画整理士を事実上の独占業務にするきらいがあるのではないか、ねらいがあるのではないか、そういうふうに指導しようとしているのではないかと思うのですが、どうですか。
  263. 依田和夫

    ○依田説明員 お答えいたします。  ただいまの区画整理士、これは仮称でございますが、区画整理士と区画整理事業の関係におきまして、区画整理事業を実施する際に区画整理士の意見聴取を義務づけるとか、そういった事務の繁雑化になることは考えておりません。
  264. 横山利秋

    横山委員 事実上の話……。
  265. 依田和夫

    ○依田説明員 考えておりません。
  266. 横山利秋

    横山委員 よく聞いておきますよ。私は、こういう士をつくることに反対なんです。もうどんどん行政指導によってつくる、民間が勝手につくる、そういうような傾向に反対なんです。ですから、区画整理士も私は歓迎しない。しかも行政指導でつくるのだったら、きちんと法律に根拠を置いてつくれ。その区画整理士や自転車保安士が役所の陰の行政指導で天下りのポストのためにやっていくというようなことは許しがたい。どうしても必要なら、なぜ法律に根拠を置いて、法律上区画整理士ときちんと書かないかと言いたいのです。  そういうような傾向について、長官、どう思いますか。私はむしろ士職の名称使用制限に関する法律案でもつくりたいと思っているのです。勝手にあっちこっちで士、士、士と名前をつけて、それによって天下りや誇大宣伝や——ここに公報があります。不動産経営管理士の業務資格認定に関する請願、これが公報に載ったのです。載ったらいかにも、もうすぐあしたから法律化するかのごとき宣伝が行われている。麗々しく宣伝ビラの中に国会請願、近く立法、そういうことにまで利用されておるのですよ。そういう傾向についてどう思いますか。
  267. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 繁雑な紛らわしいことはやめた方がいいと思います。
  268. 横山利秋

    横山委員 やめるならやめるようにしてもらわなければいかぬ。あなたに、各省につまらぬことをやるなと号令をかけてもらわなければならぬ。やってくれますか。
  269. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 これはわれわれが号令をかけて果たしてやめさせられるものでしょうか。各省がみんな、運輸省とかあるいは建設省とか通産省とか、おのおのが業界を指導しておるわけでございますけれども、各省がその監督しておる業界についてそういうふうに勧告してもらう、そういう形で、めたらやたら紛らわしいものがふえることは自粛してもらう、そういうことが穏当ではないかと思っております。
  270. 横山利秋

    横山委員 これはあなたそう言うけれども、行管の長官として、いまや去年からことしにかけて、中曽根長官といえば行革に関する八方にらみをしておる人で、総理大臣候補だなんて言われているんだから、あなた、各閣僚に行革の意向に反するようなこんな傾向は自粛してもらいたいと言ってもらわなければいかぬのですよ。それは注文しておきますよ。  その次に、公益法人の問題なんです。ここに公益法人六法というのがあるのです。ずっと見てみました。まず質問しますけれども、許可認可等臨時措置法というのはまだ生きておるのですか。だれか知りませんか。
  271. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 生きていると思います。
  272. 横山利秋

    横山委員 この許可認可等臨時措置法によって各省の施行規則がずっと決まっておるわけですね。そして、その次には各省の公益法人の設立及び監督に関する規則がずっと決まっておる。これは一冊あるのですよ、つまらぬことに。  私はかねてから、公益法人について勝手ばらばらにやって、しかも、例は悪いけれども運輸省と何々協会とか、みんな天下りでツーツーで、そして汚職があるんだから、この縁を断ち切らなければいかぬ、そのためには公益法人の監査についてしっかりやれと言ったら、総理府が机とコーヒーとお菓子を出して、三年前ですか監査基準をつくった。それで、それは結構だ、それを徹底してやらせろ、しばらく指導期間中でございます、指導期間一、二年終わったらそれを法制化しろ、そして会計の規則、それからそういうようなお手盛り協会が多いから外部の公認会計士の監査を必須義務として受けるようにしろ、そういうことを言ってあるのです。総理府は、その点についてどうなっておりますか。
  273. 海老原義彦

    ○海老原政府委員 お答え申し上げます。  まず、公益法人の会計基準の現在の適用状況でございますけれども、各省庁が所管しております公益法人につきまして、昨年の九月、公益法人監督事務連絡協議会におきまして調査いたしました結果を申し上げますと、平均の適用率は約八四%でございまして、前回五十四年九月に調査いたしましたときに七一%でございますので、かなり向上しておるという状況でございます。  この公益法人監督事務連絡協議会におきましては、五十二年の三月に公益法人会計基準に関する申し合わせを行いまして、それ以来その適用の徹底に努めてまいったところでございますが、この協議会は、先生よく御存じのとおり、公益法人の監督事務の各省庁における統一的な改善を図るということを目的としているわけでございまして、いわば運用改善のための協議会でございますので、法制化という方向の検討はしていないのが実情でございます。  それから、もう一つ先生のお尋ねがございました公認会計士の監査の問題でございますが、これも同じく昨年の調査で実情を申し上げますと、大体三三%ほどの法人におきまして公認会計士が関与しておるような状況になっておりまして、大規模な法人ほど関与の状況が高くなっておる現状でございます。協議会といたしましては、今後とも公益法人会計の適正化に努めてまいる所存でございます。
  274. 横山利秋

    横山委員 会計基準ができて八十何%も適用してきたというならば、それはもう馴致されたから、それを必須義務として法律化しろ。それから認可基準にしたところで、各省がみんな決めておる。やや統一的な感じはせぬではないけれども、それにしたって各省が何で自分のところだけの所管に関する公益法人の設立及び監督に関する省令をばらばらにつくらなければならぬか。一体何で、たとえば法務省関係許可認可等臨時措置令施行規則というようなものをやらなければならぬか。だからこの種の公益法人については、たとえば公益法人組織法というようなものがあって、認可基準をきちんと統一的にすること、会計基準もいまあるような八〇%適用されているものを法律の中へ入れること、それから、どうも汚職やいろいろなものが続発しておるから、外部の会計監査人、これを必置義務にすること等々をきちんとやれと私は言っているのですよ。これはいまやっていないというのじゃなくて、私はやれと言っているのです。どうなんですか。
  275. 海老原義彦

    ○海老原政府委員 先生よく御存じのとおり、公益法人に関しましての基本法は民法でございまして、各主務官庁はこれに基づきまして設立あるいはその他の監督等の事務を行っておるわけでございます。  この民法の公益法人に関する部分をどういうふうに手直ししたらよろしいか、あるいはそれにかわって公益法人組織法というものをつくれという御趣旨かと思いますけれども、従来の政府答弁にもございましたように、民法を所管しております法務省としては、現在この民法が公益法人に関するいわば基本法であるというふうに考えておるわけでございまして、民法の改正ということになりますと、私どもの方で検討をしますというようなことを申し上げられる筋合いにございませんので、御容赦いただきたいと思います。  なお、運用の問題といたしまして、先ほど来申し上げております公益法人監督事務連絡協議会、これは各省庁の担当者の会議でございますけれども、ここにおきまして、先生先ほどからお示しのとおりいろいろな基準をつくりまして、一つずつ運用の統一、改善を図っておるというようなことが現在の実情でございます。
  276. 横山利秋

    横山委員 あなたの方にかねて言っているのだけれども、その気のないものをどうしようもないという気はするのだが、大体あなたではそういう裁断ができないかもしれぬけれども、しかし私は公益法人の現状、数々の問題点を考えますときに、百尺竿頭一歩を進めて、公益法人の健全化を図る政治的な手段というものが必要だ、こう言っているのですよ。あなたは何か起こったって、あれは運輸省だ、あれは建設省だ、おれの所管じゃない、それで済むけれども、しかしいやしくも、とにかく会計基準をつくってその内容についてかなり通暁しておるならば、ちゃんと総理府長官に言っておきなさいよ、私の言ったことを。  この公益法人、またそれらについて私がもう一つの問題点としておりますのは、政治家が役職員にずっと並んでおることであります。長官、これはどう考えますか。私は建設省だけ仮に例を引きますが、建設電気技術協会会長参議院議員山内一郎。日本交通計画協会会長坂野重信、理事は細田吉藏、谷川和穗、相沢英之。それから全日本建設技術協会会長山内一郎、顧問は多いので省略します。国際建設技術協会会長山内一郎。それから国土政策研究会理事伊東正義、佐藤一郎、上條勝久、山内一郎。これは読み出したら時間がないので省略をいたしますが、まあ顧問までどうこうとは必ずしも言いませんけれども政府の監督下にある公益法人に政治家がいろいろ、自分が責任を持って場合によれば補助金ももらう、これは国会議員としての職務もあることでありますから、少なくともこの種の公益法人について、国会議員が重要な会長なり副会長なり理事なり、そういう役職をするということについては自粛させたらどうですか。
  277. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 公益法人は、公益と書いてありますように、世の中のためになるためにつくっておる、私益法人と違う、そういう意味で公職者がその関係の役員、顧問等になることは必ずしも否定さるべきものではない。しかし、役職を利用してどうこうするということはよくないと思います。
  278. 横山利秋

    横山委員 しかし、結局は補助金をもらうということなんですよ。かつて中小企業中央会に政治家が入っておった。中小企業からごうごうたる非難があった。あるいは都道府県知事が会長になっておった。都道府県知事は、自分で補助金を出すという立場でしょう。そうすると、今度は会長として自分に要求する立場でしょう。それはおかしいじゃありませんか。知事が一番はっきりするのですね。市長だってそうです。けれども会議員だって、やはり建設委員会で建設省に対してああこう言う立場、職務権限もある程度持っている立場ですね。それが今度は向こうに行って補助金をよこせ、こういうかっこうになるじゃありませんか。やはり国会議員としての地位というものが公正かつ清潔に、主張すべきことは主張してもいいけれども、こういう団体の利益を代表する——結局は利益です。公益法人といったって補助金をもらわなければいかぬ、役所の監督をこうこうしてもらわなければいかぬ、やはりそういう相反する立場というものがあるじゃありませんか。政治の清潔を確保するためにも自粛をさせるべきだと思うのですが、もう一回返事してください。
  279. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 さっき申し上げましたように、紛らわしいことや煩瑣なことはできるだけ簡素化した方がいい、そう思います。ただ、一概に否定すべきものではない。そういうような、国会議員ともあろう者がそういう役職等につくときには、よほど自粛自戒して、誤解を受けないように、戒めてやらなければならぬと思います。
  280. 横山利秋

    横山委員 警察庁に伺いますが、けさほど来運転免許更新の問題が出ていました。今度の行革の諸問題で、利害相対立する立場から国民なり中小企業の中でおれは賛成、おれは反対という人はある。けれども運転免許の延長についてはみんな賛成なんです。三年を五年にする、ああ結構なことだと言っている。ひとり猛反対したのが警察庁です。自分の商売に反すると思われたか知らぬけれども、あらゆる努力をして反対された。それで結局は、けさほどだったか、その日に更新をやりますからとか郵送もやりますとか優良運転手には何かメリットを出しますとか、こういうようなことにくにゃくにゃっとなってきた。私も二十年にわたるオーナーです。幸いにも無事故だけれども、私は優良の中へ入るかもしれぬけれども、この運転免許の問題は自分の身体に関する自分の問題です。それを何かけさほど話を聞いてみると、いや書きかえに来たときに何かチェックできる、こういうお気持ちのようだ。あの免許場へ行ってごらんなさいよ。担当者が、あ、横山が来た、あいつ何か悪いことをやっておりゃせぬだろうかとか、そんな暇があるものかね。何を言ってるんだと私は言いたいのですよ。三年を五年にすることを国民全部賛成ですよ。警察だけが反対しているのです。これは長官、この辺のところは、断固としてこんなものは延長しろと号令をかけてくださいよ。
  281. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 臨調のあの答申の中にも、優良ドライバー等についてはメリットシステムを与えるようにして、ともかく窓は開いておけ、そういうことでその点は将来考慮さるべき問題であろう。ともかく警察庁はどういうふうなサービスの向上をやるか、その実績をしばらく見て、その上でいま申し上げたような窓を開くということもありますし、また、自動車やあるいは運転技術の進歩等々、機械化等々、安全装置の発達等々を考えてみて、その進歩に応じて制度の改革もまた前進させていくべきである、そう考えております。
  282. 横山利秋

    横山委員 まあ国民は大体知っておりますよ。アメリカヨーロッパの違いも知っております。大体これは宣伝されたものだからね。そうかね、一生涯運転免許終身免許か、ああそれはそうだわなと言う人が多いのです。それはそうだわ、それはあたりまえのことだわど言うておるのです。  警察庁にお伺いしますが、優良運転手というのはどういう人ですか。事故をやった者が不良であって、あとはみんな普通じゃないのですか。何をもって優良というのですか。だれが点数をつけるのですか。
  283. 越智俊典

    越智説明員 お答えいたします。  優良運転者という言葉はいろいろな使い方があるかと思いますけれども、今回私たちが優良運転者に対する優遇措置として更新時の講習簡素化しようとしておるその優良運転者とは、更新の前三年間に事故違反もしてない人を優良運転者というふうに考えております。
  284. 横山利秋

    横山委員 三年間無事故の人は優良、そういうことですね。それは優良じゃない、普通だよ。優良という言葉があなたの言うように三年間無事故だったということにきちんとなっておるならあえてそうは言わないけれども、優良という言葉は何か裁量権が警察にあるような気がしてしようがないのですよ。優良というのはやめなさいよ。三年間無事故の者は五年間延長するとか十年延長するとか終身延長するとか、どうするのですか。三年間無事故の人はどうなるのですか。
  285. 越智俊典

    越智説明員 今回の免許手続改善策の中で考えております優良運転者に対する対策は、免許更新時の講習簡素化するもので、一般の更新時の講習というのは約二時間の座学といいますか講話をやっておるわけですけれども、この講話を聞かないで、資料等の配布で講習を済ませよう、優良運転者の方、三年間無事故違反という方たちで、そういう安全な運転をやっている方ですので、講話の中で必要以上に説教調な講話というものを聞かすということは必要ないのではないか、資料の配布等で済まそうということでございます。
  286. 横山利秋

    横山委員 時間の関係でずばり答えてくれぬか。  三年間無事故で私がきょう行くわね。そうすると、おまえさん三年間無事故だといったらこの次は五年間になるのかね。そういうことじゃないの。講話だけか。
  287. 越智俊典

    越智説明員 今回考えておりますのは、更新の際に優良運転者の方は講話を聞かなくて資料の配布だけにとどめる、そういうことですので、いままでですと更新手続で二時間程度かかっておったわけですけれども、二十分程度の更新手続で済むということでございます。  優良運転者につきましての更新期間を延ばすという問題につきましては、今回の臨調答申の中にも専門的な見地から検討すべきであるという指摘がなされておりますので、これにつきましては、今後そういう委員会等を中心に検討してまいりたいというふうに思っております。     〔委員長退席、愛野委員長代理着席
  288. 横山利秋

    横山委員 当てが外れたわ。講話を二時間かかるのを二十分ぐらいでいいだけか。それがメリットかね。そういうインチキを警察がしてはいかぬ。いかにも優良運転手だなんて大きな看板を上げていて、羊頭を掲げて狗肉を売るというのはそういうことだ。三年間無事故だったら五年にするとか、それなら話はわかる。そうでなくて、講話聞かぬでもいいからどうぞお帰りください、そんなあほうなことを言うて、それをうたい文句にしておる。言語道断ですよ。私は、終身でもいいけれども、せいぜい五年間にしろと言っているのですから、本件は少なくとも警察庁の猛烈な抵抗に屈服した。国民はすべてこれを望んでおる。この更新のときが、更新することによって事故防止になるという保証は何もないですよ。けさほどあなただったか、得々として言っておったけれども、そうではない。これは強く私は意見を表明しておきます。  次に、省庁統廃合です。  社会党も野党も、国土庁を廃止しろと言っているのです。省庁統廃合は大臣おやりになるのですか。
  289. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 中央省庁の再編検討につきましては、臨調第二部会におきましていませっかく検討努力中でございます。
  290. 横山利秋

    横山委員 行管というところはどういうところか知らぬけれども、あなたけさほどだったか、新聞もまじめに伝えてくれるけれども、ときには間違いがあるとおっしゃいました。その間違いの一つかもしれぬけれども、去年の九月二十六日の朝日新聞ですが、「行政管理庁は二十五日までに、日本住宅公団の機構、運営に関する抜本的改革案をまとめた。」あろうことかあるまいことか、私の中部支社は廃止で九州支社も廃止だ。名古屋方面はびっくりこいちゃって、九州もそうだと思うけれども、びっくりこいちゃったら、そんなことは建設省は考えておりません、こういうわけです。こういうこの新聞に類する問題、行政管理庁が抜本的改革案をまとめた等々のことは、一体どう考えたらいいのですか。これはまず事実であるかないか。事実でないとするならば、なんでこんなことが出ていくのか。行管として仕事はどういうふうになっているのか。それを聞きたい。
  291. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 行管としましては、公的住宅の供給について監察を実施しております。公的住宅の中には、府県、市町村、それから住宅公社等でやる分もございますし、それから、いままで住宅公団がやっておった、いまは住宅・都市整備公団になりましたが、その分もありますし、それから労働省関係の雇用促進事業団がやっているのもございます。こういうものにつきまして、いま、どの程度の能率性があるか、むだはないか、機構はどうであるかということを見ております。よく指摘されるのは岐阜県のどこかの市でありましたか、相当数の空き家を住宅公団がつくって入居者がいない、そういうような問題もありまして、議員からも指摘があって、そういうことも監察しておるところでございます。  何か新聞に名古屋と北九州福岡の支社を廃止するとかなんとかという記事が出たそうでありますが、いまのところ、それが決まったということはありません。しかし、全般的に見て、かつての住宅公団というものは、よほど厳重に監察して改革しないと、第二の国鉄になる危険性があると思っております。
  292. 横山利秋

    横山委員 建設省、どうなんですか。
  293. 末沢善勝

    ○末沢説明員 お答え申し上げます。  公的住宅の建設及び管理に関する行政監察が昨年来行政管理庁によって進められておることにつきましては先生も御存じのとおりでございまして、現在のところ、行政管理庁が調査されました膨大な事実につきまして、担当者レベルにおきましてこれを照合、確認しておる段階でございます。  ところで、新聞に出ておるような、地域の限定と申しますか、中部支社、九州支社の廃止というふうな点につきましては、建設省といたしましては、こういう両地域におきましても自力では最低居住水準を確保できない階層が少なからず存在いたしておりますし、また良質なストックも不足しておるという現状でございます。したがいまして、今後とも需要動向を十分に勘案いたしまして、適切な立地選定を行った上で、これらの地域におきましても公団住宅の適確な供給を図っていく必要があると考えております。
  294. 横山利秋

    横山委員 時間がございませんので、許認可の基本について少し伺いたいと思うのであります。  国なり地方自治体が許可し認可するということは、一体どういうことなのか。国が許可したということは、要するに国が保証した、これは営業してもよろしいあるいはこの薬は使ってもよろしいという保証をしたということなんだと思いますね。保証をした以上は保証人にも責任があるのは当然だと思いますが、長官は、許認可の意味と許認可したことの責任についてどうお考えになりますか。
  295. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 一般的に許認可という問題は、私らが学校で教わったのは、禁止されていることを解除する、それが許認可であって、解除されたことをどういうふうにやるかという点については、許可された方が実行する責任もある。しかし、最近におきましては、薬やそのほかの問題につきましていろいろ議論があるようであります。
  296. 横山利秋

    横山委員 いろいろな判決が出ておりますね。たとえばクロロキン薬害訴訟であります。この薬害訴訟の判決を見ますと、国も責任がある。  読売の社説を引用した方が話が早いと思うのですが、「抗マラリア剤として、ドイツで開発されたこの薬は、わが国では昭和三十年に発売が開始され、三十六年前後から腎臓病の特効薬として大量に製造、販売された。ところが、外国では、わが国での発売をはるかにさかのぼる昭和二十三年、すでに副作用が知られ、三十三年には角膜症との、三十四年には重い網膜症との因果関係がほぼ確立されていた。三十七年には、わが国でも副作用症例が報告されている。にもかかわらず、厚生省がこの薬を劇薬、要指示薬としたのは四十二年、製造中止は、ようやく四十九年のことであった。重大な怠慢が悲劇を招いた。この裁判で、原告は勝訴したが、なお控訴するという。」  一方、カネミ判決では、これは国の監視責任を問うていません。いませんけれども、その要点として、行政庁が食品衛生法上の権限をどのように行使するかは一応は当該行政庁の裁量にゆだねられているが、一、国民の生命、身体等に対する危険が切迫し、二、行政庁において右危険の発生を知り、または容易に知り得べき状態にあり、三、たやすく権限を行使することができ、四、権限の行使が危険回避のために有効である、にもかかわらず、行政庁が権限を行使しない場合には違法と考えるということが出ておるわけであります。     〔愛野委員長代理退席、委員長着席〕  私は、許認可というものが、何から何まで許認可をした国の責任を問え、必ずしもこう言うわけではありません。許認可にも幾つかのベースがある。一つは、生命と健康に関する、人間の安全に関するべースであり、第二番目には、社会政策的な立場から許認可をしている場合がある。第三番目には、経済政策上の立場からやっておるものがあると思うのです。その中で、人間の生命、健康、安全、こういう問題についてはやはり国が厳重な審査を薬事法なりいろいろなことによってやっておる以上、それについての国家責任というものは当然国が受けなければならないのではないか。これを、いつまでも法務省の訟務局が、いや国は責任はない、国は責任はないと言っておるということはもうだめだ。飛騨川の転落事故で道路の補修が十分でなかったという判決が出て、ついにあれは国ものんだわけでありますが、そういうような許認可に伴う国の責任というものがあるんだ。それを、重大な懈怠をした、あるいは故意に、故意というものは余りないと思うのでありますけれども、過失によってこれが行われなかったという場合に、進んで国としては責任をとる、そのかわり許認可はしっかりやるというシステムが確立をされなければならぬのではないか。そうなりますと、許認可を何から何まで、もう猫が転がっておるようなことでも許認可だ、そういうような許認可の仕事をふやしていくということは、問題の所在をあいまいにする。だから、許認可はしぼる。しぼって、しかもその中で生命、健康、安全に関する問題については国はきちんと責任をとる、こうすべきだと思うのですが、長官、どう思いますか。
  297. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 責任論の問題は法的解釈の問題であり、また訴訟事件になっている等の問題は、これは裁判当局が判定すべき問題であると思いますので、私たちは口を差し挾むべきものではないと思っております。  ただ一般に許認可の問題につきましては、できるだけ許認可を減らしていこう、そして簡素にして効率的な政府をつくろう、民間の活力を倍増しよう、そういう考えで、一般的には許認可をできるだけ減らしていく、そういう方針で進んでいきたいと思っております。
  298. 横山利秋

    横山委員 何か大臣らしくない、逃げなさるのですが、判決にまたなければならぬといったって、判決はもう出ているのですよ。判決が出て、それに対する対応が求められておるのですよ。このクロロキンだけは負けた、しかしほかのものではけんかするということでは済まなくなっているのです。判決の要旨の中に明白に言われておるように、事例として証左されているような問題があるわけですから、クロロキンの薬害は、腎臓病等の治療薬として使用されたが、その副作用で失明に至り視力障害を起こした問題なのですよ。そういう生命、健康に重大な問題を起こしておるその種の問題について、国が責任を——判決が一つ一つ出れば、もう仕方がないじゃなくてそれに対応する立場というものがなくてはならぬ。厚生省はどうなんですか。
  299. 黒木武弘

    ○黒木説明員 薬事法の承認に伴う国の責任についてのお尋ねでございますけれども、薬事法は沿革的に見てもあるいは規定上から見ても取り締まり法規であるというふうに私どもは考えておりまして、したがいまして同法に基づく承認を受けました医薬品によって事故が発生した場合には、第一義的には製造者の責任あるいは医療機関が責任を負うべきものと考えております。  しかしながら、先生指摘のように人の生命にかかわる非常に重要な医薬品でございますので、昭和五十四年の薬事法改正に見られますように、厚生大臣が承認等を行うに当たりましては安全性の確保に十分配慮すべき重大な責務を私どもは負っておるということでございます。したがいまして、医薬品の安全対策につきましては、承認に当たりまして非常に厳重厳格な審査を実施する、あるいは承認後におきましても再審査をする、さらにまた医学、薬学の進歩に対応いたしまして見直しを行うというような形で、医薬品の安全対策につきましては積極的に最大の注意を払いながら取り組んでおるわけでございます。  さらに、医薬品について被害が発生いたしました場合、それが医薬品の適正な使用にかかわらず医薬品の持ちます副作用ということで発生いたしました場合には、別途医薬品被害救済基金というものを創設いたしておりまして、そこで被害者の救済に当たるという措置を講じておるところでございます。
  300. 横山利秋

    横山委員 あの判決は、   厚生大臣は、昭和四十年六月中に被告製薬会社に対し、てんかん、腎疾患の適応排除を命ずべきであったし、エリテマトーデス、関節リウマチの適応に関してはク網膜症の警告、指示の措置を講ずるよう命ずべきであったのに、いずれもこれを怠った。   厚生大臣には右職務上の義務違反につき故意があったとは認められないが、過失があったことは明らかであるから、国は、原告ら患者のうち昭和四十年六月より前に重篤なク網膜症に罹患し、又はそれまでにクロロキン製剤の服用を終えていた者を除く七十九人の患者とその一部の家族に対し損害賠償責任がある。 明白に言っているわけですね。この判決に対して一体どうお考えになってどう処置をされているのですか。
  301. 黒木武弘

    ○黒木説明員 クロロキン判決におきます国の責任でございますが、先生いま御指摘のように、去る二月一日の東京地方裁判所で言い渡されました判決では、国の損害賠償責任が認められたわけでございます。しかし国といたしましては、先ほど私答弁いたしましたように、薬事法上の国の責任のあり方について疑義があるということで、現在控訴いたしまして上級審の判断を仰いでおるということでございます。
  302. 横山利秋

    横山委員 そういう態度がよくないのです。これほど明白に判決の中で厚生省のありようについて具体的に指示され、具体的にこれは間違いだということを指摘されておる。結果としての賠償責任がない、あるということ以前に、あなたの方はそういう具体的事実について認めておるわけなんです。そういうことは認める、過失は認めるけれども賠償責任はないと言う言い分なのか、それとも事実関係についても誤りがあるという意見なのか。そこのところ、時間がないから指摘だけしておきますが、ともあれ私が言わんとすることは、この種の問題について、許認可についていろいろとジャンルがあるけれども、特に生命、健康、安全に関する許認可の問題については国は責任がありますよ、これからまだ続出いたしますよ、そういうことを警告をし、政府がそういうことについての行政の態度、事前予防の態度、それが起こった場合の過失責任ということについて明白にし、その対応措置をとっておく必要があるということを申し上げておきます。  今度は逆に、軽い許認可の問題について申します。  パチンコ、マージャンの営業許可を警察庁は六カ月を一年にしましたね。これは今度は行革でこういうことになっている。六カ月を一年にする。いまごろ戦後の混乱期じゃあるまいし、パチンコなんてものは数千万円から数億かけなければ営業ができないですね。一定の社会的な地位を持っておる。戦後と違って暴力団とも完全に絶縁しておるし、警察庁としてはパチンコ業界に対して十分な注意もしておる。なかなかいい意味での監督行政が行われておると私は思っておる方なんであります。マージャン屋はこのごろははやらぬ。御家庭マージャンがあるものだからマージャン屋はつぶれておるやつが多いのです。しかしそういうパチンコ、マージャンをいままで六カ月で営業許可を更新しておるということもおかしなことだと私は思うのであります。それを一年にした。何とけちなことをするものか。何で警察はいい顔したいのか。これを二年か三年にしたらどうなんですか。どういう被害があると思われるか。  それから、その次にパチンコの機械です。私は名古屋だもので、パチンコの生産地ですからよく知っているんだけれども、パチンコのバケツいっぱいで大騒ぎしたことがありましたね。あれは警察が許可したんですよ。勝手にやったんじゃないですよ。バケツいっぱいのパチンコ機械を警察がいいと言った。いいと言ってやったらバケツいっぱい、うわっとなっちゃった。あわてて、これはあかんということになった。それがあかんになって、今度はあつものにこりてなますを吹くような結果になっておるわけです。  それで、一つの機械を開発する。開発するとその機械を警察庁に持っていきますね。警察庁はこれはいい、悪い、けれどもおれの認可権じゃない、県知事だ。大体いいと思うが儀式として県知事に回してくれ。全国四十六都道府県を回って、この機械いいですか、この機械いいですか。同じ機械だ。同じ機械を、地方自治法の立場があるから、警察庁が実質はいいと言っても形式的には県知事に言ってくれ。県庁の防犯課へこの機械を持っていってだあっと回る。その間に宣伝はせんならんわ、旅費は要るわ、お菓子は出さんならんわということで、一つの機械を開発して認可を得るのに数千万円かかるそうですよ。これは本当の話だ。そんなにかかるものかいと私は言ったのですが、いやそれは横山さん、宣伝もせんならぬ、警察庁で一遍でやってくれればいいものを全国回るとなれば、そんなもの旅費から何から何まで、一人で行くから機械を持って走らんならぬ、えらいことだぜ、こう言うわけですね。それで私は警察庁に、ちょっといいじゃないか、警察庁が警視庁も含んで近県のやつも入れて審査委員会でもつくって、そこで折り紙つけたらそれで各県パスするようにしたらどうだ、こう言っておるわけです。  警察は、さっきの免許証の問題でもそうだけれども、この種の許可、免許について、ちょっといばり過ぎるんじゃないかと私は思う。どうなんですか。
  303. 佐野国臣

    ○佐野説明員 風俗営業法上、遊技機器としてとらえておりますのにマージャンとパチンコなどがございますが、マージャンの例で言いますと、どちらかと言いますとかけマージャンというような言葉も連想されるような場面もございます。そういったことから、この種の遊戯行為は射幸性とかあるいは賭博性という観点から申しますとやや問題がある遊びであるということでございます。そういう観点から、この種の業者に対しましては警察上不適格者をなるべく早い機会に排除すべきであるという観点一つあります。  それと同時にもう一つは、戦後いろいろ話題になりましたが、徴税の確保というような観点からこれの更新期間を定めておったわけでございます。その期間の問題、御参考までに申し上げますと、ここ数年間業者の出入りというものは逐年減りつつはございますが、しかし、他の風俗営業と比較いたしますと、二倍から三倍ぐらい業者の出入りが多いようでございます。そんな点を勘案いたしまして、現在の半年を一年程度にいたしますれば、大体不適格者排除のチャンスなりあるいは徴税確保上支障がないであろうというふうなことから、とりあえず一年という形では踏み切ってございます。ただ、それ以上延ばすことにつきましては、いま申しましたように非常に業者の出入りがはなはだしいという問題がございますので、ただいま御指摘がありましたような点も十分念頭に置いて今後の問題として対応してまいりたい、かように考えております。  それから、機械の入れかえに関しまして、時間がかかるあるいは負担が多いというふうな問題でございますが、これは警察法のたてまえあるいは自治法のたてまえから、どうしても各都道府県あるいは公安委員会が自主的に判断すべきものという形になっておりますので、最終的にはその制度範囲内で動かざるを得ないというふうに私ども考えておりますが、ただ、先生指摘がございましたように、実態的に東京あるいは警察庁で認定したものにつきましては、他の都道府県におかれましてもそれに準じた取り扱いができるはずであるということで、時期の早めることあるいはいろいろな審査の資料の要求、そういったものにつきましては、極力省力化するよう指導いたしてございます。現在機械の承認、入れかえのためにとっております資料といたしましては三、四点でございますが、これはページ数にしますとB5判で二十五ページ程度のものでございます。ただ、時期的に長いという点の御指摘があったのですが、この点につきましては、許可申請以前の段階でいろいろ御相談がある、あるいは開発途上でのいろいろ御相談とか、そういったものもあろうかと思いますが、そういった時点で多少煩瑣な面もあるいはあろうかと思いますが、その点はただいま御指摘がございました点を十分念頭に置きまして府県を指導してまいりたい、かように考えております。
  304. 横山利秋

    横山委員 この間ちょっと聞いたら、警察庁で、申請があったものを大学出のいい若い衆がパチンコをやっているんだな。そんなもったいないこと国家的損失だというんだ。どんどん入ってくるそれを、これでどうだろうかといって警察庁の内部で、どこでやっているか知らぬけれども、大学出のいい若い衆が毎日毎日これをやっておる。哀れと思えホトトギスだ。それを今度は、警察庁ばかりじゃないですよ、各県の防犯で、持ってきた機械をこうやってやっているんだな。バケツいっぱいになるかならぬか、やっている。そんなことは、それは射幸心をそそるというけれども、競輪や競馬とパチンコと比べてごらんなさいよ。どっちがどうなんだ一体。パチンコぐらいは庶民の喜びじゃないか。バケツいっぱい、そんなに出やしないよ。あのときでもわしもやってみたけれどもちっとも出なかった。一万回やって一遍ぐらいだよ、バケツいっぱいは。ところが、バケツいっぱいになったものだからわあっと人気が上がって、そうしておいてあかん。だれが一体認可した。警察庁が認可したんじゃないか。自分で認可しておいて、バケツいっぱいになったらあわててこれはあかん。それで後はあつものにこりてなますを吹くだ。そんな自分のチョンボを人に押しつけて、バケツいっぱいの機械がもうかるというわけで、うわっとバケツいっぱいになったら、後からもうあかぬぞ。その製品パー。実際警察庁、国家責任だ。そういうメーカーに賠償してやりなさい。  それで二十五ページだとおっしゃるけれども、二十五ページどころじゃないよ。あなたの言うように前相談から何からあると、それを百部ぐらいつくらにゃならぬわ。防犯へ一つ持っていくわけじゃないですよ。あの人にもこの人にも頼まにゃならぬ。その資料の編集やら何かやって、一つの機械をやるのに数千万円だそうですよ。えらいことだなと私は言った。パチンコ屋はなかなか開発意欲がありまして、花をこうやってみたり下でやってみたりああやってみたり、一遍に開くようにするかどうか、本当に研究開発意欲は大したものだ。これは私も感心したわ。感心したが、むしろあなたの方は困っておるかもしれぬわな。今度はこれでどうですか、今度はこれでと。そいつを大学出が毎日毎日やっておる。かわいそうだよ。それはやめさせてやってくれと私は言うたんですよ。パチンコのようなものを全国の都道府県警察庁のいい人たちが、幾らでも間に合う人が、パチンコのこの機械はいいか悪いか、毎日毎日それに明け暮れておるなんてかわいそうじゃありませんか。庶民の慰安じゃないですか。バケツいっぱいそんなだれでも出るわけじゃないですよ。もうちょっと物の考え方の尺度を変えたらどうですか。もうちょっといい答弁をしなさいよ。あんなパチンコ毎日やっておるような若い衆を、もっといいところで思い切り仕事をさせなさいよ、かわいそうに。
  305. 佐野国臣

    ○佐野説明員 ただいま御指摘があった点は十分私ども念頭に置いて対応してまいりたい、かように考えております。
  306. 横山利秋

    横山委員 これほど言ったんだから少しはおきゅうが効いたと思うのだけれども、ひとつ警察も本来の治安やそういうところにもう少し目を向けてもらって、あんなパチンコや風俗営業で余りいい顔を、いい顔と言うと悪いけれども、そんな細かいことまで余り言わぬようにしてやったらどうだということを長官に言ってちょうだい。  さて、締めくくりに中曽根さんにお伺いをするわけですが、いまの不況、いまの行革、いまの自然増収減、そういうことで非常に政治的に、私ども国民の皆さんに説明するときに前途を予測しておるわけなんです。自民党の中でも御存じのように、政府の中でも御存じのように、行革最優先か、それともいまの不況は何とかしなければならぬのかという点について意見の多少の相違があるようですね。あなたが行革の最高責任者として采配を振るっておられるのだから、あなたは行革中心だ、途中で変節はしないとおっしゃるかもしれぬけれども、いま戦後三番目ですよ、中小企業倒産。中小企業の全部の倒産が三番目ですよ。  そして不況だからというわけで、この間政府が公共事業前倒しを上半期七五から、さらに進んで七七、八まで前倒しをやるというのですね。そうすると、あと下半期は公共事業二七%くらいしか予算がないわけですね。二七%くらいで済まぬのですから、どうしたって補正予算を組まなければならぬ。補正予算を組むには、増税かあるいは公債かということになることは火を見るよりも明らかなんです。本当にこの不況はいま深刻ですよ。国際摩擦になって百姓もびっくりこいちゃって、二十三日には東京で大集会やると言っていますね。お百姓ばかりでなくて、中小企業ばかりでなくて、勤労者だって、春闘は終わったけれども、あれで所得がふえたとは言いがたい。そういう不況感というものはちまたに横溢しておるわけです。  今度行革を進めていけば、どうしたって単に役所ばかりでなくて民間だって、あなたのお気持ちをそんたくして官民ともに機構の縮小をしたりいろいろなことをするということになる。それが行革デフレを一層——行革デフレと言うとあなたは気に入らぬかもしれぬけれども行革というのはインフレ要素でないんですから、デフレ要素なんですから、そういうことをさらに深刻化するということは、もうどうしようもないのです。だから、行政管理庁長官であると同時に閣僚の一人として、いまの不況と行革、いまの不況をどういうふうに解決すべきであろうかという点については、長官としてはなかなか言えぬかもしれぬけれども、閣僚の一人としてはあなただって腹の中でお考えになっていることがあるだろうと思う。それを率直に聞かしてもらいたい。
  307. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 行革最優先でこの国民的な期待にこたえなければならぬと思っております。もちろん景気の問題も政治としておろそかにしてはならぬことで、さればこそ公共事業の前倒し等々もやっておるわけであります。これらの財政の推移を見て、財政当局は財政当局としての考えをまとめてわれわれのところに言ってくるかもしれませんが、われわれといたしましては、ともかくこの機会に行革を思い切って断行して、身軽な政府になって減税のもとを生む。  いまこういうふうに不況状態になってきているというのは、行革が原因じゃないのです。世界経済の情勢とかあるいは石油危機の余波でこういう状態になっておるのであって、行革はこれからやろうというときなのであります。したがいまして、行革の責めに負わすべきものではない。むしろこの際思い切って減量して、国鉄あたりの改革もやって、七千億円も一般会計から金が注がれているのが要らなくなればそれを減税にも回し得ることにもなるので、やはり行革は景気のもとである、行革は減税のもとである。それが本当の減税だ。  借金をして減税するというのは、見せかけの減税と言われまじきものにもなります。いままでの例を見ましても、確かに景気回復には役立ってきていますが、それと同時にツケもまたでかくなってきている。そしてこれはみんな国民負担になってきている。そういう現実もまた考える必要があるので、われわれといたしましては、ともかくいま胃潰瘍を治すので断食しようというのですから、その前に重湯だ、おかゆだという話をして断食を鈍らしてはならぬ。断食をやるときには断じてやらなければいかぬ、そう思っておるのであります。
  308. 横山利秋

    横山委員 公共事業の前倒しもやっているのだからとおっしゃる。私はそれはいいと思うのですよ。だけれども、公共事業の前倒しをやれば後の方が足らぬことははっきりわかっておるんだ。前倒しをやって上半期に景気が回復するという展望があるなら、二七、八%の公共事業予算でも下半期心配しないのですよ。お互いに政治家ですから、もう予算も通過したことだから、一体下半期はどうなるのだろうと心配しますわ。心配すればどうしたって公共事業——公共事業の仕事は山ほどあるのです。銭がないだけだ。銭はどこからつくるかということになれば、増税か公債発行だということになる。  あなたは行革が不況克服だ、減税のもとだといま思いがけなくもそういうことをおっしゃったが、それはちょっと話がおかしいと思うのですよ。行革は何といったってデフレ要因ではあるけれども——それはあなたの言うように行革がデフレを招いたのではないということは私も知っています。けれども、周囲の不況要因を行革はさらに推進する役割りをしているということは間違いのないことでしょう。それはあなたにすれば、断食をするときにはやらにゃあかぬ、そういうような気持ちもわからぬではない。断食してみんなが死ぬわけじゃないんだけれども、落ちこぼれが出て一人、二人と、どんどん死んでしまう。倒産が続出する。国民の不況感、いらいらしてくるという点についてはあなたも政治家としてお考えをなさにゃいかぬ。だから、行革はやる、しかし不況はこう解決するべきだ、この両方をあなたがここで御説明になるなら私は納得できるのです。不況の克服についての何らのあれもなくて、行革、断食だけは断固とやると言うことは、行政管理庁長官としてならわかるけれども、総理大臣候補の発言ではないと私は思う。
  309. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いまも申し上げましたように、政治家としては不況の問題も考えなければならぬ、そういうことを申し上げておるので、考えなくていいということではない。しかし、何といっても国民の皆さんがこれだけ決心をして、そうして未曽有の盛り上がりで、ジャーナリズムもほとんど例外なく支持してくだすっているというのは、よほど国の状態を心配して、そういって盛り上がってきておるのでありまして、このありがたい気持ちに対してわれわれは十分おこたえしなければならない、そう思っておるのであります。
  310. 横山利秋

    横山委員 終わりますけれども行革だけが国の最優先された最終目標であると私思いませんよ。行革は手段にすぎないですよ。あなたの話を聞いていると、何か行革が国のすべてで、しかも最終目標であるかのごとく聞こえるけれども、私はあなたの後輩になるかもしれぬけれども、お互いに政治をやっていれば、みんなが豊かに明るく暮らすということが政治の目標でしょう。政府だけが黒字になって国民が飢えて、それでいいのですか。国民はいま不況で塗炭の苦しみじゃありませんか。極端に言えば、政府が何ぼ赤字だって国民が喜んでいれば、それでいいじゃないですか。何かあなたが思い詰めている気持ちはわかるけれども行革だけがすべてだと言われたんでは私も納得できませんよ。行革をやりながら、おれとしては閣僚の一人として不況についてこういう考えがあるんだ、行革と不況克服とは両立できる手段があるんだ、こういう方法をやればいいんだということをおっしゃるなら私も納得できるんですが、いかがですか。
  311. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 行革なくして景気なし、行革なくして減税なしというのは、いまの正しい基本的態度であるだろうと思っています。いまの問題につきましては政府としてもいろいろ対策を講じておりまして、財政や経済の推移を見ていろいろ考えていくものである、そう考えております。
  312. 横山利秋

    横山委員 大変不満ではございますけれども、時間が参りましたので終わることにいたしたいと思います。      ————◇—————
  313. 石井一

    石井委員長 この際、連合審査会開会に関する件についてお諮りいたします。  本委員会において審査中の行政事務簡素合理化に伴う関係法律整理及び適用対象消滅等による法律廃止に関する法律案について、逓信委員会から連合審査会開会の申し入れがありましたならば、これを受諾することといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  314. 石井一

    石井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、連合審査会の開会日時につきましては、委員長間で協議の上決定いたし、公報をもってお知らせすることといたしますので、さよう御了承願います。  次回は、来る二十日火曜日開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十八分散会