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1982-03-25 第96回国会 衆議院 内閣委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十七年三月二十五日(木曜日)     午前十一時四十二分開議  出席委員    委員長 石井  一君    理事 愛野興一郎君 理事 佐藤 信二君    理事 田名部匡省君 理事 山崎  拓君    理事 上田 卓三君 理事 渡部 行雄君    理事 市川 雄一君       麻生 太郎君    上草 義輝君       小渡 三郎君    狩野 明男君       亀井 善之君    北川 石松君       塚原 俊平君    吹田  愰君       細田 吉藏君    宮崎 茂一君       渡辺 秀央君    阿部喜男君       井上 一成君    上原 康助君       角屋堅次郎君    矢山 有作君       坂井 弘一君    木下敬之助君       榊  利夫君    中路 雅弘君       楢崎弥之助君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 箕輪  登君  出席政府委員         内閣官房長官 池田 行彦君         行政管理庁行政         管理局長    佐倉  尚君         通商産業省機械         情報産業局次長 石井 賢吾君         郵政大臣官房長 澤田 茂生君         郵政大臣官房経         理部長     奥山 雄材君         郵政省郵務局長 魚津 茂晴君         郵政省貯金局長 鴨 光一郎君         郵政省簡易保険         局長      小山 森也君         郵政省電気通信         政策局長    守住 有信君         郵政省電波監理         局長      田中眞三郎君         郵政省人事局長 奥田 量三君  委員外出席者         臨時行政調査会         事務局主任調査         員       田中 一昭君         法務省人権擁護         局総務課長   寺西 輝泰君         通商産業省機械         情報産業局電子         政策課長    岡松壯三郎君         内閣委員会調査         室長      山口  一君     ――――――――――――― 委員の異動 三月二十五日  辞任         補欠選任   有馬 元治君     北川 石松君   倉成  正君     渡辺 秀央君   田村  元君     麻生 太郎君   岩垂寿喜男君     阿部喜男君   永末 英一君     木下敬之助君 同日  辞任         補欠選任   麻生 太郎君     田村  元君   北川 石松君     有馬 元治君   渡辺 秀央君     倉成  正君   阿部喜男君     井上 一成君 同日  辞任         補欠選任   井上 一成君     岩垂寿喜男君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  郵政省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一二号)      ――――◇―――――
  2. 石井一

    石井委員長 これより会議を開きます。  この際、池田内閣官房長官から発言を求められておりますので、これを許します。池田内閣官房長官
  3. 池田行彦

    池田政府委員 三公社現業労働者期末手当に関します政府考え方について御説明させていただきます。  本件に関します政府考え方は、昨日行われました与野党国会対策委員長会談におきまして、自由民主党国会対策委員長を通じて示されたところでございます。  すなわち、まず第一に、いままで質問に答えて「公共部門に対する厳しい国民世論現下の厳しい財政事情、従来の慣行等を考慮すると、政府としては、三公社現業期末手当についても国家公務員に準じて何らかの抑制措置がとられるのが望ましいと考えている。」との考えを述べたことはある。  二、しかし、期末手当労使交渉で決められるべきものであるので、政府労使交渉に口をはさむつもりはない。  三、なお、第九十五臨時国会における与野党国対委員長間の折衝の経緯については、政府としても承知しているが、その際にも明らかにされたとおり、従来の慣行を尊重するという政府考えは現在も変わりはない。  以上でございます。  巷間いろいろな発言があるやに伝えられておりますが、政府考え方は、ただいまも申し述べましたとおり、期末手当の問題は労使交渉を通じて決められるべきものである、このように考えております。      ――――◇―――――
  4. 石井一

    石井委員長 郵政省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  趣旨説明を求めます。郵政大臣箕輪登君。     ―――――――――――――  郵政省設置法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  5. 箕輪登

    箕輪国務大臣 郵政省設置法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  この法律案は、近年における電気通信重要性の増大にかんがみ、電気通信行政の一層公平かつ能率的な運営を図るため、郵政省附属機関として置かれている審議会組織について所要改正を行おうとするものであります。  電気通信は、近年におけるわが国社会情報化の進展に伴い、国民生活及び国民経済に大きな影響を及ぼすようになり、これに対応して電気通信行政分野におきましても広範かつ複雑な課題が山積するに至っております。  このような情勢のもとに、長期的かつ総合的な視点に立って、広く国民の英知を反映しつつ行政を推進するために、電気通信行政に関する調査審議機関充実強化を図ることが喫緊の課題となっていることにかんがみ、もっぱら電気通信行政に関する事項調査審議する電気通信審議会設置しようとするものであります。  なお、電気通信審議会設置するに際しましては、現下の厳しい行財政事情にもかんがみ、既存の審議会の合理的再編成によることとし、郵政審議会改組するとともに、有線放送審議会を廃止することといたしております。  その他、所要の規定の整備を行うこととしております。  この法律施行期日は、昭和五十七年十月一日といたしております。  以上が、この法律案を提出いたしました理由及びその内容概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  6. 石井一

    石井委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     ―――――――――――――
  7. 石井一

    石井委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上原康助君。
  8. 上原康助

    上原委員 まず、法案内容についてお尋ねする前に、先ほど池田官房長官から三公社現業に対する年度手当支給についての政府の御見解が述べられましたが、これとの関連で、いまの官房長官の述べられた御見解は、政府統一見解といいますか、確たる御見解だと受けとめていいかどうか、もう一度確認をしておきたいと思います。
  9. 池田行彦

    池田政府委員 そのようにお受け取りいただいて結構でございます。
  10. 上原康助

    上原委員 そういたしますと、先ほども、巷間いろいろの話も漏れ伝わっておるがというような言い分でしたかと思うのですが、昨日ですか、内閣審議官室石川審議官が御発言をしております。引用するまでもないと思うのですが、重要な問題でありますので改めてお尋ねをしておきたいのですが、「本日の国会対策委員長会談において期末手当に関し、自主交渉で決められるべきものとの考え方が示され、組合側は、これを受けて労使交渉でなんでも決めればよいと受けとめているようであるが、政府考えは、同会談で配布したメモにあるとおり、国家公務員に準じて何らかの抑制措置がとられるのが望ましいとの、これまでの基本的な考えに何ら変りはありません。」このことは打ち消したということでよろしいですね。
  11. 池田行彦

    池田政府委員 政府見解先ほど申し述べましたとおりでございます。
  12. 上原康助

    上原委員 ですから、この発言というものは否定された、なかったものとして受けとめてよいということと、労使自主交渉で決めるということに政府は介入する考えはない、このことを改めて明らかにしていただきたいと思います。
  13. 池田行彦

    池田政府委員 政府見解先ほど申し述べたとおりでございますし、また、労使自主交渉を通じて決せられるべき筋合いのものであると私ども承知しておるわけでございます。
  14. 上原康助

    上原委員 そこで、せっかく国対委員長会談で申し合わせて政府としても介入するつもりはないと言いながら、一方においてはそういう発言をするということは、やはり問題を解決していくためのプラスにはならないですね。そういう意味先ほどの副長官答弁はまだ納得いきがたい面も若干ありますけれども、ぜひひとつ早急にこの問題が解決できるように、特段の御配慮を要求をしておきたいと思います。  そこで、いま政府からそういう御見解があったので改めてお尋ねするまでもないかと思うのですが、郵政大臣は、御承知のように郵政電電所管大臣でございます。また、先ほどもございましたけれども、せっかく昨年の仲裁裁定を完全実施するということが約束をされ、すでに新賃金ベースに基づいて、夏期、年末手当支給されたのも御案内のとおりであります。  そういうことと、もう一つは、最も肝心な点はやはり労使関係だと思うのですね。今日いろいろ言われております問題等考えても、労使の健全な維持発展というものがいかに大切かということは指摘をするまでもないと思うのです。せっかく郵政当局と全逓との関係正常化をして、いろいろな面で健全な方向に労使関係あるいは業務の遂行がなされているという今日、この年度手当をめぐって労使関係がうまくいかないとなると、単なる郵政組合との関係じゃなくして、国民的立場から考えても多大な損失を招きかねない大きな要因があると思うのです。そういう面からしても、担当大臣としては、労使交渉でということは、要するに新賃金ベースに基づいて速やかに年度手当支給できる措置を講ずる意欲を示されてしかるべきじゃないかと思うのですが、郵政大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  15. 箕輪登

    箕輪国務大臣 私は郵政事業を所管しております。また、郵政事業三十一万の職員、それから所管している電電公社三十三万の職員、これはもうほとんどが人手による事業をやっているわけでございまして、労使関係の安定というものはもう申すまでもございません、これは一番重要なことであります。  ただいまの年度手当につきましても、本年一月二十日に組合から要求書が提出されております。ただいま慎重に検討中でございますが、省としては、その事業の業績などを勘案し、関係当局と協議の上、従来の慣行に従い、労使自主交渉によってできるだけ早期に円満に解決を図りたい、こう考えているところでございます。
  16. 上原康助

    上原委員 お立場はわかりますし、またお考えになっておられることもある程度推測できる感じもしますが、しかし事は大変せっぱ詰まっているのですね。  御承知のように郵政関係施設というものは、日本列島津々浦々に、離島を含めて大変広範囲にまたがっていることはもう指摘をするまでもございません。そういう面からしますと、二十六日ごろまでに決定を見ないと、この年度内支給というのが大変むずかしい。そういう意味関係者もいろいろ御努力をなさっておると思うのです。したがって、いまの大臣の御見解というものは、そういうことも十分考慮に入れて郵政電電公社を含めた早期決着郵政当局としては図っていく、そのように理解をしてよろしいか、もう少し歯切れよくお答えをいただきたいと思うのです。
  17. 箕輪登

    箕輪国務大臣 大体理解できるような気もするという上原先生のお言葉でございます。そのように私も理解しておりますので……。
  18. 上原康助

    上原委員 まあ力のある郵政大臣ですので期待をしていますから、ひとつ関係者期待を無にしないようにといいますか、何といっても郵政事業にしましても電電事業にしましても、この人間関係労使関係というものが大切だということは先ほどお述べになりましたので、そういう面でぜひひとつ早急な解決を図るように、改めて強くこの点については御要望申し上げておきたいと思います。  そこで、先ほど法案趣旨説明がなされたわけですが、まず最初にお尋ねしたいことは、今回、郵政審議会改組し、さらに有線放送審議会を廃止して、新しく電気通信審議会設置するということになっているわけです。いろいろ理由についても御説明がありましたが、その内容は逐次お尋ねをすることといたしまして、電気通信審議会設置をせざるを得なかった経過といいますか、あるいはまた設置をするまでの経緯について御説明をいただきたいと思います。
  19. 澤田茂生

    澤田(茂)政府委員 お答え申し上げます。  電気通信審議会設置するに至った経緯等でございますが、電気通信審議会設置に当たりましては、さきの電気通信政策局を当委員会でお認めをいただいたわけでございますが、その際に附帯決議がございまして、審議会のようなものを設けまして、電気通信政策というものの万全を期するようにという附帯決議をいただいたわけでございますし、また国会の当委員会における御審議等におかれましてもそういう御質問がございまして、郵政大臣の方からそういったものについて十分配慮してまいるというようなことの御答弁を申し上げているところでございます。  なお、電気通信政策局が発足いたしまして、電気通信政策についての課題あるいは将来問題等につきまして郵政大臣私的諮問機関として懇談会を設けまして、そこにお諮りをしたことがございます。その中の提言におきましても、こういうような審議会というものを設けまして、今後ますます重要性を増してくる電気通信あり方について、政策目標というものを的確にかつ幅広く長期的な視野に立って検討すると同時に、行政あり方についても公平かつ能率的な運営を図るようにという御提言をいただいたところでございまして、そういったもろもろの事情状況というものを踏まえまして、今日あるいはこれから将来にわたる電気通信行政あり方というものに万全を期するように審議会設置を御提案申し上げているところでございます。
  20. 上原康助

    上原委員 私はそういった経過については少しばかりこう眺めてみたのですが、そうしますと、従来の郵政審議会では十分電気通信関係業務についてあるいはまた情報化社会に向けての万全の措置がとり得にくい面があって、新しい審議会設置必要性が出てきた。これはおっしゃいますように、政策局設置のときにもいろいろ議論をした経緯もございます。  そこで、従来の郵政審議会の中で電気通信部会というのがあったわけですね。そこでは、電気通信事業に関してのどういう事項審議されておったのか、どのくらいの回数でどういう問題が主に従来は審議されておったのか、まずその点をもう少し明らかにしておいていただきたいと思います。
  21. 澤田茂生

    澤田(茂)政府委員 郵政審議会は、郵政事業郵便あるいは郵便貯金あるいは簡易保険、年金という三事業重要事項について御審議をいただいているほかに、ただいま問題になっております電気通信行政についても御審議をいただいているわけでございまして、部会構成といたしましては、郵便部会、それから貯金部会あるいは保険部会のほかに、電気通信部会というものを設けておりまして、ここにおきまして電気通信関係のことにつきましてもいろいろ御審議をいただいているわけでございます。  たとえば、五十六年度におきましては公衆電気通信役務料金認可等につきましていろいろ御審議をいただいております。さらに、電子計算機利用高度化計画案というようなことについてもいろいろ御審議をいただいているわけであります。そのほか、認可料金以外にも公衆電気通信役務の主な料金等についても御審議をいただくということを通例にいたしているところでございますが、国内以外にも、国際通話料金というようなことについても御審議をいただくというようなことを電気通信部会では行っているところでございます。
  22. 上原康助

    上原委員 そこで一つは、今回は電気通信行政部門を一元化していくためにこの審議会設置されることになろうかと思うのですが、その性格なり役割り、任務についてはまたお尋ねをしていきますけれども郵政審議会そのものは若干規模が縮小されるわけですね、今回の改組によって。  そこで、これも確かめておきたいわけですが、郵政事業分野というか業務については、この改組によっていささかの支障もない、こういうふうにお考えなのか、その点はどうなのか明らかにしておいていただきたいと思います。
  23. 澤田茂生

    澤田(茂)政府委員 今回の組織改正によりまして、郵政審議会郵政省所掌事務のうちもっぱら郵政事業にかかわる分野のみを調査審議するということになるわけでございますが、この改組に当たりまして、全体としての委員定数の増加というものを抑制しなければならないという現下の厳しい行財政事情というものがございまして、従来の郵政審議会委員に比しまして、新しい改組された郵政審議会委員というものは、定数がある程度縮減するということはやむを得ないというふうに考えております。しかし、このことが審議会弱体化または形骸化につながるということがあってはならないと思いますし、改組後の郵政審議会につきましては、委員及び専門委員適任者選任とか、あるいは部会の有効的な活用というようなことを十分配慮いたしまして、従来同様、郵政事業についての重要な課題についての十分な調査審議をお願いをすることを期待をいたしているところでございます。
  24. 上原康助

    上原委員 行政管理庁おいでだと思うのですが、ちょっとだけ確かめておきたいのです。  私はこの審議会必要性あるいは設置に反対という立場お尋ねをするつもりはありませんが、ただ問題は、最近いろいろ行政改革の問題が大変後ろ向きになりはしないかという懸念が持たれております。そこで、先ほど申し上げましたように、確かにスクラップ・アンド・ビルドには間違いないのですね。しかし、五十五年十二月二十九日の閣議決定、すなわち「今後における行政改革の推進について」という中の第四ですか、「審議会等制度改善及び整理合理化」という項目がございます。もちろんここでも、統廃合あるいは委員構成改善等整理合理化を図るという理念というか基調というのがあるわけですが、それにしてもさっきもありましたように、五十五年には経理局をなくして経理部にして、電気通信政策局というものを設置をした。今回はまた、電気通信審議会というものを設置をする。郵政省には大変好意的なような感じもするわけですね。そこいらのいきさつはどうなのか。  われわれ社会党は従来から、国民のニーズあるいは必要性のあるものについては、新しい審議会であろうが機関であろうが設置をすべきであるという一つの基本的な考え方は持つにしても、これからいろいろの行政改革にかかわる問題等審議をしていく過程で、行管見解も聞いておかなければいけないと思いますので、その点を明らかにしておいていただきたいと思います。
  25. 佐倉尚

    佐倉政府委員 いまの先生お話でございますけれども、特にこの電気通信審議会設置に当たりまして私ども考えましたことは、先生お話にもございますように、スクラップ・アンド・ビルドの原則というものはやはり堅持する必要があるのではないかというふうに考えたわけでございます。  それで、この電気通信審議会設置を私どもが認めました要点は、一つは、先ほど郵政大臣あるいは郵政省当局の方からお話のございました電気通信行政の変化というものが基本にあるというふうに考えられます。これは言うならば、いろいろ電気通信分野において回線の自由化等の要請もございますし、そういうものへの民間の参入あるいは国際化への対応といったような問題が山積しているということが一つでございます。  それから一方、郵政審議会との関係でございますけれども郵政審議会におきましては確かに電気通信部会というところで電気通信に関する御審議があったということも、先ほど郵政省官房長の方からお話がございました。これにつきましては、郵政審議会の方は、この際、郵政現業と申しますか三事業、すなわち郵便貯金保険というものに専化することが適当ではないかというふうに考えたわけでございます。それが第二点目でございます。  それから、電気通信審議会必要性というものは先ほどからの話でおわかりいただけると思いますけれども先生よく御承知と思いますけれども電気通信というものが現在言うならば転換期にあり、非常に重要な問題である。国民経済社会発展について、それに対応する行政というものをどういうふうにやっていくかという点につきましても、この電気通信というものが非常に重要なポイントになってくるのではないか。それをさらに長期的展望のもとに総合的な政策を確立していくということが必要であろうというふうに考えたわけで、電気通信重要事項に関しまして調査審議をする機関としまして電気通信審議会を設けるということを認めたいというふうに考えたわけでございます。
  26. 上原康助

    上原委員 いろいろ理屈は成り立つわけですが、スクラップ・アンド・ビルドとは言っても何か若干割り切れなさも感じないわけでもないということを申し添えておきたいと思います。  そこで、有線放送審議会というのはどういう仕事をしておったのですか。年間どのくらい審議事項があって、どのくらいの役割りをこの審議会は果たしておったのか、それも念のためにお聞かせをいただきたいと思います。
  27. 澤田茂生

    澤田(茂)政府委員 有線放送審議会でございますが、当審議会は、有線放送行政重要性にかんがみまして、その公正を確保するということのために設置されたものでございます。有線テレビジョン放送施設設置許可に係る審議などを鋭意行っていただきまして、現在まで重要な役割りを果たしているわけでございます。  審議状況でございますが、五十六年度におきましては十三回の開催、三十三件の諮問について御審議をいただいたところでございます。
  28. 上原康助

    上原委員 重要性という面では、これもなくしてはいけないということにもなるわけですね、皆さんからすると。しかしこれは廃止をする。もちろん電気通信審議会の中で、その部会ですか、を設けておやりになるということですが、やりくりしなければ新しいのが設置できないということではわかります。そういうやり方については、行管の方もまあしようがないやというお立場のような感じがするし、郵政省の方も、経緯があるのだからどうしても設置をというような感じもしないわけではありません。しかし、私たちもそのことを否定しているわけじゃありませんので、これ以上は触れません。  そこで、趣旨説明の中にもありますけれども、「電気通信重要性」とは具体的に一体どういうことを指しているのか。重要性と言ったら、重要でないものはないよね、表現の上では。重要だと言うと何でもそう見えたりするのだ、玉虫色に見えたりして。  それともう一つは、「電気通信行政の公平かつ能率的な運営を図る」という具体的な中身はどういうものを指しているのか、この点などもぜひ明らかにしていただきたいと思います。
  29. 澤田茂生

    澤田(茂)政府委員 審議会設置理由といたしております「電気通信重要性」ということについて具体的にというお話でございます。  最近、情報化時代ということが言われているわけでありますけれども、近年、企業活動はもとより、社会生活の各分野において情報の果たす役割りというものが一段と重要性を増しつつあるわけでございます。これに伴いまして、情報伝達の手段としての電気通信、これは電信電話を中心にいたしまして国民生活の中に深く浸透いたしているところでございます。特に最近ではデータ通信発展というものが著しいものがございまして、データ通信は、緊急医療分野あるいは環境保全あるいは金融サービス、また生鮮食料品の流通等々、国民生活の各分野で重要な情報通信システムとして利用されているわけでございます。さらに今後の状態というものを眺めてみますと、衛星通信あるいは光通信等の新しい通信メディアというようなものの実用化、さらにはファクシミリ通信、それから画像通信等の新しい通信サービスの導入が予定をされておりまして、国民生活電気通信は一層不可分なものとなりつつあるわけでございます。このような状況にかんがみまして、電気通信重要性が今後とも増大していくものというふうに認識をいたしているところでございます。  続いて「電気通信行政の公平かつ能率的な運営」という点でございますけれども、「電気通信行政の公平かつ能率的な運営」を図るということは、近年における電気通信技術の著しい発展に伴って新しい通信メディアが生まれつつあること、また、電気通信というものが国民生活の中に広く普及することによって、電気通信行政あり方国民に大きな影響を及ぼすということはただいま御説明をしたところでございますけれども、この電気通信行政の企画、立案に際しまして各種の専門知識を導入するため、専門家の方々からの御提言をいただきまして、これを行政施策に反映することによりましてその円滑な運営を図るとともに、重要な行政処分その他行政運用に際しましては、広く国民各層の意見を聞くことによってその公正な執行を確保することができる、またこういう必要性があるというふうに考えているところでございます。
  30. 上原康助

    上原委員 ここで、大臣にちょっと御見解を聞いておきたいのです。  いままで若干やりとりをいたしました。また、いまも電気通信行政重要性あるいは公平かつ効率的な運営ということについての御説明もありましたが、逓信委員会での今国会における郵政大臣の所信表明の中でも、随所にそういうことが指摘をされておりますね。「電気通信は、近年におけるその役割りの増大と多様化の進展等に伴い、経済、産業、社会、文化等の広い分野において、広範かつ複雑な課題が生起しております。」いまおっしゃったデータ通信の自由化の問題、あるいはここでも「電気通信行政重要性の増大にかんがみ、電気通信行政の一層公平かつ能率的な運営を図るため、既存の審議会の再編成により、」云々、こういうふうになっておるわけですね。  所管大臣としては、そういう情報化社会あるいは多様化していく電気通信事業についてどういうふうに御認識で、どういうふうに国民期待にこたえていこうとしておられるのか、改めて御所見をお聞かせいただきたいと思います。
  31. 箕輪登

    箕輪国務大臣 ただいまも先生がおっしゃったように、電気通信は、近年におけるその役割りの増大あるいは多様化の進展等に伴って、経済、産業、社会、文化などの広い分野に大きな影響を及ぼすようになってまいりました。これに対応して、電気通信行政分野においても、いまお話のありましたデータ通信あるいは画像通信等々の新しい通信手段が出てまいったのであります。電電公社の資材調達問題に見られたようなわが国の国際化の進展に伴い発生した諸問題など、広範かつ複雑な課題が同時に山積いたしております。  このような情勢のもとで、電気通信行政の一層の充実を図るために一昨年電気通信政策局設置を当委員会においてお認めいただいたところでありますが、今後の行政運営に際しては、電気通信の諸問題について長期的な視点に立って広く国民のコンセンサスを得つつ解決に当たるなどの対応が不可欠であるとの見地から、もっぱら電気通信行政に関する事項調査審議する電気通信審議会設置することによって、国民生活に及ぼす影響の大きいこの電気通信行政の公平かつ能率的な運営に遺憾なきを期したい、こう考えているところでございます。
  32. 上原康助

    上原委員 確かに、従来の郵政審議会のいわゆる郵政事業電気通信業務重要性あるいは業務の多様化、量の拡大、そういう面からすると、いまおっしゃいましたように専門的立場でそれを調査研究をし国民のコンセンサスを得ながらやっていくという必要性については、私は共通する面があると思うのです。それはおっしゃるとおりだと思います。  そうしますと、せっかくできるこの審議会の性格、役割りが問題になってくると思うのです。これについてはどのような構想をお持ちなのか、またどういうふうに今後運用をしていかれようとなさるのか、その点が定かにされておりませんので、ひとつ御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  33. 澤田茂生

    澤田(茂)政府委員 電気通信審議会の性格、役割り等でございますが、これは先ほど来御説明申し上げておることと重複するかと思いますが、電気通信の近年における役割りの増大、多様化、こういったことに関連をいたしまして電気通信分野におけるいろいろ山積をいたしております問題の解決のためにも、審議会におきまして各般の御意見をいただき、電気通信政策の策定あるいは各施策の展開に万全を期していきたいということでございます。かつ、電気通信行政の公平かつ能率的な遂行のためにも資してまいりたいということが電気通信審議会役割りと性格ということに相なろうかと思うわけでございます。そういったことを踏まえた調査審議機関ということになるわけであります。  この運営等につきましては、詳細につきましては政令で定めることといたしておるところでございますけれども、現在考えておりますところのものは、所掌事務といたしましては、電気通信に関する事務に関する重要な事項調査審議し建議するということになろうかと思います。委員定数は約二十人以内ということでございます。正規の委員のほかに臨時委員あるいは専門委員というものも置くことができるというふうにいたしたいと思っておりますし、委員につきましては学識経験者のうちから郵政大臣が任命をするということにいたしたい。  なお、細部につきましては審議会御自身でお決めをいただくことになるわけでありますけれども、十分な機能の発揮されることを期待をいたしまして、私どもといたしましても十分な調査審議のためのお手伝いをさせていただこう、こういうふうに考えているところでございます。
  34. 上原康助

    上原委員 新しく設置されることになります電気通信審議会は二十人以内で構成をする。そうしますと、現在の郵政審議会の員数、構成員はどうなっているのか。それと有線放送審議会、この二つを合わせた員数が従来からの郵政審議会電気通信審議会委員の上限にあるいはなろうかと思うのですが、そこいらの関係についても明らかにしておいていただきたいと思います。
  35. 澤田茂生

    澤田(茂)政府委員 委員定数二十名以内ということにいたしておるところでございますけれども郵政審議会の現在委員をしていただいている方で電気通信部会に所属しておられる先生方がございます。さらに有線放送審議会の方で委員をしていただいている先生方、この有線放送審議会先生方は七名でございますが、この七名と郵政審議会委員先生方、現在三十八名でございます。  トータル四十五名の先生方を、新しい郵政審議会の方は二十五名、新たにできます電気通信審議会の方は二十名という構成になるわけでありますが、現在それぞれ御活躍をいただいております審議会先生をどちらの審議会先生としてお願いをいたしますかどうか、この点につきましては、今後先生方の中に委員の任期の来られる方々もかなりいらっしゃるわけでございますし、新たなる角度でその先生方にもお願いするということもございましょう。また新たなる角度で、広い立場からの先生方に改めてお願いをするということもあろうかと思いますが、今後それぞれの審議会の目的に沿いまして十分な委員のお願いをさせていただきたい、こういうふうに考えているところでございます。
  36. 上原康助

    上原委員 そこで、審議会委員の任命権者は所管大臣になる、これは通常のあり方ですね。いま盛んに重要性あるいは公平かつ効率的ということを強調なさいました。問題は、そういう審議会にし運営をしていくには、それなりの人材を確保といいますか、構成員にならなければいけないと思うのですね。そういう観点からしますと、もちろんその構成は、専門的な知識をお持ちの方々、あるいは社会的に電気通信事業に明るいといいますか貢献、関与をしてきた方々が一応想定されるのが常識かと思うのですね。あるいは、私のような素人はよくわかりませんけれども、最近は人間工学的な立場でいろいろ通信衛星を含めて考えていかなければいかぬ。そういった、より高度の技術者といいますか専門的な分野の代表になろうかと思うのです。  あわせて、先ほど大臣も強調なさいましたが、この電気通信業務全般の国民的コンセンサスを得、そのニーズ、期待にこたえていくには、やはり私は電気通信業務全般について理解のある幅広い層からの委員選出というものが当然あってしかるべきだと思うのですね。利用者の立場なりあるいはその職場の環境なり、働いている職員の理解を得ている人々、当然そういった民主的構成運営をお考えになっておられると思うし、いま私が指摘をしたことについては恐らく反対ではない、いわゆる異なった意見をお持ちでないと思うのですが、そういう面は十分考慮なさって運営をしていかれると思うのですが、お聞かせをいただきたいと思います。  大事な点ですから、この件については大臣の御見解もお聞かせいただきたいと思います。
  37. 箕輪登

    箕輪国務大臣 委員の具体的な人選に当たりましては、電気通信行政あり方が経済、産業、社会あるいは文化など、広範な分野に大きな影響を及ぼすことも考えながら、広く各界の有識者を網羅して、審議会構成が真に国民を代表するのにふさわしいものとなるよう、先生の御意見なども十分配慮の中に入れて考えていきたいと考えております。
  38. 上原康助

    上原委員 ぜひひとつそういう御配慮をやるように、関係者の意見を聞くように特段の御配慮を重ねて要望しておきたいと思います。  そこで、次に電気通信業務重要性との関連で、先ほどちょっと大臣あるいは官房長の方からもお話がありましたが、今後の電気通信事業の将来展望と国際化の動向をどう見ておられるのかということですね。電気通信政策局をつくって設置をして、恐らくそういう面をいろいろ御検討なさったと思うのです。昨年の八月に出された「八〇年代の電気通信政策あり方」これは政策懇談会提言のようですが、そういう中でもいろいろと触れられております。そういう国際化の件については、わが国はどういうふうに対処していかれようとするのか。  二点目に国民経済とのかかわりで先ほどもありましたが、やはり通信主権というか、いろんな問題が起きてきていますね。技術面が余り高度化するとそれを悪用する面も出てくる。メリットも多いけれどもデメリットも出てきている。たとえばオンラインの悪用問題あるいはその他にもあったかとも思うのです。そういう点。一方においては非常に発達、進展していく、それの国民生活にプラスになる、利益をもたらすというだけではなくして、その弊害もまた出てくる。当然防止策ということも考えなければいけない問題ですね。こういう面はどうしていかれようとするのか。  もう一点はプライバシー保護の確立の問題ですね。これはせんだっての電気通信政策局設置するときの議論でも本委員会で岩垂先生なり私も若干触れたのですが、プライバシー保護の問題については相当議論を重ねてまいりました。あのときも郵政省行政管理庁、総理府で三者協議をして、積極的にプライバシー保護法の制定を含めてやっていくんだということを御答弁をしておられます。ここいらのことについてはこの二カ年間どのように御検討なされ、今後どういう見通しがあるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  39. 守住有信

    守住政府委員 いま先生の方から、今後の展望を踏まえまして非常に大事な点について各般にわたってお触れになりましたが、まず第一の今後の電気通信の動向、国際化、国際性ということについて申し上げたいと思うわけでございます。  わが国は貿易立国で国際交流が活発化しておりますのに伴いまして、国際通信というのがまず量的にも非常に著しい伸びを示しております。量的に見ましても、国際電話につきましては最近十年間に毎年二〇%以上というふうな程度の伸びを、これはいろいろ国際間の景気の影響等もございますけれども、平均しますと年三〇%程度の伸びを示しておりまして、今後も相当な需要の伸びが予測されております。  それからまた、その通信手段につきましても、国際的な通信衛星、インテルサットあるいは船舶系の移動通信等のインマルサット、そういうふうなもの、あるいは国際間の海底ケーブルというようなものでの整備、国際間の緊密な連携というものが要請をされております。  それからもう一つは、今度は質の面でございますけれども、国際通信の分野におきましてもデータ通信等々の新しいサービスの展開が見られておりまして、この面からも非常に変容が著しい。したがいまして、国際間の通信でございますので、国際諸外国が一致しまして、いわゆるITUという国連の専門機関の場を通じましてこの国際の標準化というものに向かいまして、これは電電公社、KDD、郵政省を含めまして大いに貢献をしておるところでございます。  それからさらには、新しい通信サービスあるいは技術の進展というのが先進諸国でどんどん起こってまいりますと、今度は発展途上国との間のそういう技術協力、技術移転等々が重要な使命になってくる、こういうことでございます。特にまた、わが国の電電公社は先端技術を持っておりますので、たとえば日米の調達問題にもあらわれましたけれども、今後そういう先進諸国の先端技術との間に、わが国の誇る技術同士が共同研究開発という形で一つの協調を図りながら、一方ではわが国の国益を守りながら協調を図っていく。もちろん、単にこれはアメリカ、EC諸国だけではございませんで、日中間の職員の交流、技術交流等々、あるいはASEAN諸国等々に対しましても重要な使命でありますし、電電公社も最近国際局というものを設けましてこの方面にも積極的に対応していこう、こういう動きもあるわけでございます。そういう関係、アメリカ、EC諸国あるいは中国を初めいろいろな発展途上国との国際協力関係がある、このように認識をいたしております。  それからもう一つは、おっしゃいましたような通信主権と申しますか、これが非常に重要なテーマである。ITUの憲章と申しますか条約の前文でも、世界の各国はそれぞれの国の通信主権というものを踏まえまして、これに留意しながら、しかし国際通信というものは相互に自由な流通ができなければならない、こういう理念が掲げられておりますけれども、私どももその通信主権、国益というものを踏まえながら自由な情報流通というものに向かって努力をしていきたい、このように考えておる次第でございます。  それからまたもう一つ、いわゆるオンライン化に伴います情報の盗用、悪用という問題あるいはプライバシーの問題等々出ておるわけでございまして、こういうデータ通信が社会にシステム化になりますと、一方では非常に便益がございますけれども先生指摘のように陰の部分と申しますか脆弱性と申しますか、こういうものを秘めておりますので、私どもといたしましては、たとえて申しますとデータ通信一つの暗号化と申しますか、そういうデータ、情報通信の中を流れますところの情報の暗号化へ向かっての研究開発というものにも取り組んでおりますし、あるいはまた、いろいろ地震あるいは人為的災害等々が起こりました場合に、この社会のシステムとなっておるデータ通信の世界がこれは一たん停止いたしますと物すごい影響力を持つ問題でございますので、これの総合安全対策といたしましての一つのバックアップシステムというふうな発想での技術開発というものにも取り組んでおる次第でございます。  あるいはまた、いろいろこの通信の世界で通信の秘密を守る。それぞれ民間の業務が今後通信の世界に参入してくるわけでございますので、それが単に罰則の整備だけでなくて、いわゆる人的、物的あるいはその組織体の管理体制という問題に対しましても私ども行政的にも対応して注意を喚起していかなければならぬ、こういう立場におるというふうにいま考えておる次第でございます。  いろいろな諸点、非常に大事な点を先生から御指摘いただきましたけれども、私どももそういうものを踏まえて、またこの審議会というものの貴重な幅広い御提言、御意見等も受けながら、今後に向かって取り組んでいきたい、このように考えておる次第でございます。(上原委員「プライバシーは」と呼ぶ)  プライバシーも、情報というのは印刷情報から始まりましていろいろな世界に情報はあるわけでございますが、私ども通信主管庁といたしましては、その中で通信に利用されるデータ、これはプライバシーも含めますし、国家的プライバシーもございましょうし、企業的プライバシーもございましょうし、基本は個人のプライバシー、こういう角度で、その通信の中を走るものが何であれ通信の秘密を守る、その保護体制ということで取り組んでいく次第でございます。  なお、先生指摘のように広くは政府全体の情報というふうな意味で、データバンクの問題等も含めまして行政管理庁等との関連もあろうかと思いますし、コンピューターという角度ではまた通産省という角度もあろうと思いますけれども政府部内でも連携をとりながら、私どもは、プライバシーも含めまして、特に通信の秘密を守るという立場から取り組んでいきたいと考えておる次第でございます。
  40. 上原康助

    上原委員 私の方もまとめて三点ばかり一緒にお尋ねしたのでいろいろお答えがあったのですが、ぜひ電気通信業務の将来展望ということも十分踏まえて、国際化社会における通信業務を十分遂行できるようにやっていただきたいということと、そういうことをやるにもやはりこの種の業務に携わる方々の協力なくしてはいかない面が多いわけですから、そういう点をより大事にしていただきたいということです。  ちょっと話が前後して申しわけないのですが、先ほど審議会構成のところはお尋ねしまして、これは政令を定めるということでしたが、現在郵政審議会令がございますね、これと大体似たようなものをお考えなのか。本来ですと政令の案くらい示していただけばわれわれとしてもなお審議しやすいのですが、これは郵政省だけではないけれども、役所は法律をつくって政令は後でくっつけていくという手法をとっているからなかなかそうも言えないかもしれませんが、その政令の中身はどのように考えておられるのか。少なくともこの郵政審議会令で定めている事項を下回るというか、後退するものではないと考えるのですが、それでいいのかということです。  もう一つ、大事な点を落とすところでしたが、審議会への諮問事項というものは一体どういうもの、があるのかということですね。  たとえば第四章の雑則ですか、「電気通信審議会への諮問」、第二十六条の二「郵政大臣は、次の各号の一に該当する場合には、電気通信審議会諮問しなければならない。ただし、電気通信審議会が軽微な事項と認めるものについては、この限りでない。」これがよくわからないというか、仮に郵政大臣がこれは重要な事項なので諮問したい、審議会で御検討いただきたいと言っても審議会が、いや、こんなのは軽微なことだから郵政省で勝手におやりなさいとは言わぬと思うのだが、そこらの関係はどうなるのか、この「軽微な事項と認めるもの」の範囲というのは一体どうなのか。下手をすると、郵政大臣が少し悪賢い人なら、体面上一遍諮問はするけれどもあなたの方で軽微なことだということで突っ返してくれよ、あとはおれが適当にやるよ、勘ぐればこういうことにもなりかねない。箕輪大臣はそういうことはなさらぬと思うのだが、どうもそこらがはっきりしないですね。  ですから、この諮問事項というものはやはり法律でこれこれときちっとうたうべきだと私は思う。この点は先ほどの私の質問とのつなぎでしたが、落としていましたので、改めて明らかにしていただきたいと思うのです。
  41. 澤田茂生

    澤田(茂)政府委員 まず第一点の審議会に関する政令の件について御説明を申し上げたいと思います。  先ほどもちょっと触れさせていただいたところでございますが、所掌事務については、電気通信に関する事務、電波及び放送の規律に関する重要な事項調査審議し、建議するということでございます。そのほか組織については委員定数二十人以内、それから委員のほか臨時委員及び専門委員を置くことができるということ、あるいは委員、臨時委員専門委員は学識経験者のうちから郵政大臣が任命するというようなこと、それから委員の任期、これについても三年ということを考えております。なお、部会設置あるいは審議会の庶務等についてでございますが、内容は現在ございます郵政審議会令とほぼ同一のものというふうに御理解いただきたいと思うところでございます。  なお、電気通信審議会審議事項についてでございますが、主なものといたしましては、従来から有線テレビジョン放送法により有線放送審議会諮問することとされております有線テレビジョン放送に関する重要事項でございます。次は、従来から郵政審議会諮問をいたしてまいりました公衆電気通信料金の認可に関する事項、そのほか電気通信政策の基本方針あるいは長期的推進計画及び電気通信技術の開発、普及に関する重要事項等について御審議をいただく予定でございます。  なお、有線テレビジョン放送関係の必要的諮問事項について電気通信審議会が軽微と認めたものは諮問をしなくてもよいという改正点についてのお尋ねでございますけれども電気通信審議会所掌事務は、有線放送に関する事項に限らず、広く電気通信行政、これは電波及び放送の規律に関するものを除いた分野電気通信行政でございます。この全般に関する事項調査審議するということでございまして、審議会の円滑かつ効率的な運営に資するために、有線テレビジョン放送関係の必要的諮問事項のうち審議会御自身で軽微と認めたものについては付議を省略することができるということにさせていただいたわけでございまして、これはあくまでも審議会御自身で御判断をいただくものについての措置ということでございます。  なお、いままで長年にわたりまして有線テレビジョンの放送関係についての御諮問をいたしてまいったわけでございまして、そういった経緯から見ましてこのようなものはというようなものがございまして、そういったものについて軽微であるという御判断をいただければ、それについての必要的諮問という形なしに行うという判断をいただくことは差し支えないのではなかろうかということで御提案をさせていただいたところでございます。
  42. 上原康助

    上原委員 そうしますと、いま私が指摘をしたこの二十六条の二の悪用みたいなことはあり得ないと見ていいのかということと、いま御説明がありましたが、基本的には、従来郵政審議会電気通信部会電気通信にかかわる重要な事項をいろいろ審議されておった。しかし、今度は部会ではなくしてより充実した専門の審議会になるわけですから、その意味では従来の部会でやったもの以上の業務量なりいろいろ出てくると思うのですが、その関係。それから、それとは変わった運営の仕方というものがあるのかどうか、ここももう少し明確にしておいていただきたいと思います。
  43. 澤田茂生

    澤田(茂)政府委員 有線テレビジョン放送関係諮問事項についての軽微な事項につきましては、これを悪用するというようなつもりは毛頭ございませんし、審議会での御判断にお願いをするということでございます。  なお、審議会の運用の問題に関してでございますけれども電気通信審議会所掌事務は、いま先生からもお話ございましたように、郵政審議会電気通信部会で行っておりましたものと、有線テレビジョン放送法についての有線放送に関する分野でございますけれども、この運用につきましては、部会設置ということができるように審議会令で定めたいと思っております。どのような部会を置くかについては、審議会等ができましてから審議会等とも御相談をさせていただかねばならない事項だと思っておりますけれども、有線テレビジョンに関する部会というものは必要であろうと思いますし、さらにその他の電気通信分野につきましてもどういう項目についてどういう部会を置くか、また恒常的な部会以外に臨時的に、ある特別の問題に限って特別部会を設けて御審議をいただくというような運用の仕方もあろうかと思いますが、それぞれのテーマに即した十分な御審議がいただけるように十分配慮をしてまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  44. 上原康助

    上原委員 当然サブコミッティーみたいなものが、これだけの審議会ですから必要になるであろうとは思ったのですが。  そうしますとこれ、委員は二十名、その事務所掌をやるいろんなものがまた必要になってきますね。そういうものはどういうふうになさるのですか。全体の機構というものはどのくらいのものになるのか、予算はどうなるのか、そこいらも少しお示しをしておいていただきたいと思います。
  45. 澤田茂生

    澤田(茂)政府委員 審議会に関しまして、予算につきましては十月からということになっておりまして、本年度は三百万円ということを予定をいたしております。  なお、審議会全体の構成といたしましては、委員は二十名以内ということでございますが、そのほかに専門委員をお願いいたしたい、こういうふうに考えております。ただ、庶務の関係につきましては、大臣官房に審理課というのがございまして、その他の審議会についての庶務をいたしているところがございますので、そこであわせて庶務をやらせるということで、この電気通信審議会ができることによって新たなる庶務部門というものを設置したりふやすということは考えておりません。
  46. 上原康助

    上原委員 専門委員の方を含めてこの構成をどうするか、性格をどうするか、役割りをどうするかということでさっきいろいろ要望も申し上げたし、また御答弁もありましたので、その趣旨をよく生かしていただきたいことを要望申し上げておきたいと思います。  次にこの法案との関連で、法案とは全部関連するのですが最後に、電気通信政策局設置をされ、これまで二年になっているわけですが、当時この政策局を設置するというのは、電気通信事業重要性あるいはもっと効率的、公正な運営を図るというようなことが強調をされました。では設置をされた後、電気通信事業の経営基盤の強化といいますか、あるいは健全性というものが、よりできるような政策立案がなされたのかどうかということが一つ。  さらにいま一点は、経営の自主性の問題、これはいろいろ議論があろうかと思います。これは大臣の方からも、公社の経営形態の問題についていろいろなことが言われているわけですが、この点については私たちは職員団体なり関係者の意向というものを尊重すべきであるという立場をとるわけです。これについてはどういうお考えなのか、政策局の設置によってそういう面がより健全発展をしていく、自主的、民主的運営ができるという方向性が出てきたのか、見通しはどうなのか、この点もお聞かせをいただきたいと思います。
  47. 守住有信

    守住政府委員 先生承知のように、現行の公社制度というのは、公衆電気通信事業など高い公共性を確保しながら効率的な運営を行うということのために採用されたものでございまして、事業の公共性あるいは財政民主主義等の観点から国会政府による一定の関与が行われておりますけれども、また公社法の中で、予算の弾力条項とか経費の流用などの弾力的な運営が認められておるところでございます。公社としても、いろいろ経営基盤の確立に、増収あるいは経費の節約両面にわたりまして努力をしていただいておるところでございますし、また、新しい総裁を迎えまして、たとえば月次決算方式の導入などによりましていろいろな成果が上がっておる、こういうふうに見ておるところでございます。  また、そういう成果の還元と申しますか、そういう意味合いにおきましても、先ほど一時金の支給ということで私どももこれに対応していったところでございます。私どもといたしましては、現行の仕組みの中で公社が主体的に判断して、できる限り合理的、効率的な事業運営を行えるよう配意をしていきたい。また、その中で、公社内部におきましても一層の活性化が出てくるということを期待をしておるという次第でございます。  ただ、いまお尋ねのような経営形態の論議も世上いろいろ出ておるところでございますが、やはり公衆電気通信事業の持つ高い公共性、代替性のない公共性でございますし、さらにはまた、一方では効率性も発揮していかなければなりませんし、一方、巨大な独占性という問題もあるわけでございますので、こういう点についても広く国家的な、国民的な見地から私どもは対処対応していかなければならぬ、このように考えておる次第でございます。
  48. 上原康助

    上原委員 経営形態問題については、せんだっても逓信委員会でも議論が若干あったようですから、大臣の御所見をあえてお求めいたしませんが、先ほど申し上げたようなことを御留意いただきたいと思います。  そこで、若干まだございますけれども、あと私、ぜひお尋ねしなければいけない問題もありますので進みますが、大臣にこの点だけはちょっと御見解を聞いておきたいと思うのです。  せんだって放送の多様化に関する調査研究会議が報告書を出しておられます。報告書は、衛星放送から――いま放送衛星の打ち上げをやろうという計画があるようですが、この報告書によると、どうも事実上民放関係を排除する可能性がないのかという懸念が持たれているということ、衛星放送の事業体も一本化といいますか、そういうのを目指しておるような、単一事業体に全チャンネルを独占させようという含みを持った提言だというふうに受けとめられております。また一方では、衛星放送の財源としての有料テレビ方式を打ち出そうとしている。こういう面は、国民の側からするといろいろな問題が出てくる可能性があると思うのですね。もちろん、今後いろいろの角度から御検討は進められていくと思うのですが、現段階で、この報告書に対して郵政大臣としてはどういう御見解を持っておられるのか、できましたらお示しをいただきたいと思うのです。
  49. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 大臣のお答えの前に、事務的なことについてちょっとお答えいたしたいと思います。  まず、この提言の中にあります衛星放送をやる際の事業主体についての考え方でございますが、報告書は、事業主体については広く国民各層の参加を求め、社会的に信頼性のある公正な事業主体が必要であるというふうにお述べになっております。また事業主体については、複数による場合と単一による場合と二つにつきまして検討する必要があるという旨の御提言を受けているというふうに理解しております。したがいまして、事業主体のあり方につきましては、今後報告書の趣旨を踏まえて多角的に検討してまいりたい。ただ、民放を事実上排除しているというふうに単純には私ども受け取っておりません。  それから、ペイテレビといいますか、有料放送についての考え方でございますが、衛星放送は非常に金のかかる問題がございますので、その辺についての考え方でございますが、地上放送との調和を考慮しながら当面はBS3の段階での事業主体について検討する、それから、財源の一つとして有料方式についてなお検討してもらいたい、そういう御提言をいただいておるということでございます。  この報告書を受けて、どのように郵政省が受けとめているか、大臣の方から……。
  50. 箕輪登

    箕輪国務大臣 先般、放送の多様化に関する調査研究会議から報告書を受けておりまして、この報告書は、今後の放送行政課題について貴重な御意見をいただいたのであります。  この報告書に述べられている事項のうちテレビジョン多重放送については、すでに先取りのようなことになりましたが、放送法の改正案として今国会に提出いたしておるところでございます。  なお、放送衛星その他の課題についても、今後この報告書の趣旨を十分参酌して検討を進めていきたい、こう考えております。
  51. 上原康助

    上原委員 なかなか慎重のようですが、そうならざるを得ない面が多いと思いますね。  次に、沖繩の電話とか通信関係について若干お尋ねをさせていただきたいと思います。  せんだって、ことしの一月でしたか、郵政大臣は沖繩を御視察なされ、わざわざ南大東まで足を運ばれた。その労に深く敬意を表したいと思います。そのときにいろいろお感じになったと思うのですが、郵政大臣がせっかく南大東まで足を運ばれたというのは、単なる離島の視察というだけの問題ではなかったのじゃなかろうか、私はよい面からそういう印象を受けたわけですが、そのときに、那覇市での記者会見の折にいろいろ御感想を述べて、郵政関係電電を含めてですが、「各施設ともよくやっていると感じたが、まだまだいろいろな問題があり、今後の郵政業務の中で考えていかなければならない」。  まだまだいろいろな問題があり、今後の郵政業務の中で考えていこうという、この大臣の実際にごらんになった沖繩の郵政関係業務電気通信業務を含めて、今後どうしていかなければいけないということをお気づきになったと思うので、まずそこいらから大臣の率直な御印象をお聞かせをいただいて、四、五点ばかりお尋ねをさせていただきたいと思うのです。
  52. 箕輪登

    箕輪国務大臣 沖繩の復帰十年でありますが、郵政の面でも少し立ちおくれているようなことがなかったかな。たとえば、あの際も沖繩で申し上げたのでありますが、電話の積滞であります。これなんかも何とかして本土並みに積滞のないような事情にしたい、こういうことも考えました。そこであの際、この三月の末までには積滞を解消したいということを申し述べたわけであります。大体この問題については、三月の末で約束どおり積滞は解消する、こういうことでございます。  特にまた、今後においても本土並みに、たとえば電話の申し込みをすると大体二週間ないし三週間ぐらいで取りつけができるわけでございますが、そういう方向で電電公社を督励していかなければならないというようなこと等々、沖繩を早く本土並みにしたいなということで、これからも努力をしていきたい、私はこういうことを申し上げたつもりでおります。
  53. 上原康助

    上原委員 積滞問題については、時間があれば具体的にお尋ねしますが、それと同時に、もう一つ大臣は大事な点をおっしゃっておられるのです。  本土-沖繩間の大型郵便物を航空機に切りかえる。これは五月十五日以降、復帰十年を記念してということなのか、具体的にはどうなさるのか。その場合の料金体系は、もちろん郵便物ですから、これは郵政省が担当すると思うのですが、どうなのか。  また、那覇を起点にして、周辺の離島がたくさんございますね、宮古、八重山、久米島、南北大東あるいはその他の離島等についても、航空輸送が可能なところはやっていくということを明らかにしておられるわけですが、その場合の県民負担というものは私はどうかと思うのだが、そこいらの点はぼけているのですね。もう少し内容等をぜひ明らかにしていただきたいと思うのです。
  54. 箕輪登

    箕輪国務大臣 お答えいたします。  料金体系は従来と全く同じであります。従来、東京を起点にして考えますと、船で大型郵便物は送っていたのでありますけれども、これを飛行機で送ろう、こういうことでありまして、離島に対しても同じような措置をとるつもりでおります。
  55. 上原康助

    上原委員 もう一つは、テレビ局の新設というか増局というかを、慎重な言い回しですが――いま民放が御承知のように二局あります。これは経済性の問題あるいは人口、いわゆる受信者といいますか需要者の容量、そういう面をいろいろ考えなければいかないと思うのですが、若干ふやすような御発言をしたのじゃないかということで、一部に懸念が持たれているのですね。ここの真意ももう少し明らかにしていただかないと、せっかくいろいろいい方向におやりになろうとしているのに、懸念を持たれてもいかないのじゃないかという感じもするのですが、この点については率直のところどういうお考えなんですか。
  56. 箕輪登

    箕輪国務大臣 上原先生承知のとおり、民放は全部スポンサーつきなんです。したがって、私どもは将来を展望しながら、ひとつ多局化をやっていきたいなという考えは持っているのであります。けれども、その県内における経済、それがやはり主体でございまして、経済の弱いところとか小さな県だとかいうことになりますと、これは、民放をふやしていきたいという気持ちは持っていても、その民放が成り立たない。それで、もう一局ふやそう、もう二局ふやそうと考えることによって、既存の民放がそれに影響を受けるわけです。スポンサーはたくさんいませんので、そのスポンサーが新しい局に取られてしまうと古くからやっている局まで影響を受ける。いろいろなそういう県内の経済性というものをよく見て、また将来の経済性の方向などを見きわめながら慎重に免許をしていこう、こういう考えでございまして、全体としては各県にふやしていこうという気持ちはございますけれども、その経済性の問題で沖繩も慎重に検討しなければならないという趣旨のことを私は申し上げたつもりでおります。     〔委員長退席、愛野委員長代理着席〕
  57. 上原康助

    上原委員 その点はわかりました。慎重な対応が必要じゃないか、私も専門ではありませんから個人的にそう思っておるところで、また、そういった県民の意見が現段階では強いように受けとめておりますことを申し添えておきたいと思います。  そこで、だんだん時間も迫ってまいりましたので、たくさん準備してあるのですが、そう欲張るわけにもいかないような感じもしますので、はしょりますが、南北大東へのテレビ放送の問題、私はこれは何回か取り上げてきて、NHKさんの御配慮で若干改善をされた面もありますけれども大臣も行かれていろいろお感じになったと思うのです。五十七年度というともうすぐですよ。五十八年の二月に通信衛星を打ち上げるのですか。それが五十九年の二月に、たしか放送衛星本体じゃないのかな、これは。それまではもういまのような状況しかできないのか。もう少し離島苦解消という面で改善措置をやらなければいかないと私は思うのですが、その点は本当に、私もそう頻繁には行く機会はございませんが、何回か足を運んで、向こうの小中学校なり老人の方々が大変この点は熱望というよりも本当に渇望していらっしゃいます。そのことは大臣も篤と御陳情を受けたと思うのですが、何か新しい解決方策でもお考えなのか。ぜひひとつ前向きに御検討をいただきたいと思うのですが、いかがでしょう。
  58. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 南北大東へのテレビ中継でございますけれども先生御存じのとおり、沖繩本島からかなりの距離にありまして、中継回線がないという現実にございます。そういう関係から同時放送はできておりませんし、NHKはまだ放送試験局というような段階で、わずか一日二時間程度の放映にしぼられておるというところでございまして、先ほど先生お話しになりましたように、五十六年四月以降NHKはわずかにニュースを十五分程度ふやすというような努力もしておるわけでございます。何分にもNHKの要員事情あるいは、ビデオテープでいま送っておるわけですけれども、それの作製の問題、あるいは航空機によるそういう素材の輸送というような、積載量の制限等もあるそうでございまして、非常に困難なわけでございます。  それから、いま先生申されました、通信衛星が少し早いんじゃないかという、このCS2によるテレビ中継の方法等検討いたしましたけれども、CS2の現在の目的あるいは通信容量と申しますか、そういう点から、南北大東島向けの難視聴解消に使うのはきわめて困難だと申さざるを得ない。そうしたわけでございまして、結局やはり基本的な解決といたしましては五十八年度、実際は五十九年の二月でございますけれども、その予定の放送衛星でございますか、それまでは何とかごしんぼう、お待ち願わざるを得ないというのが、心苦しいわけですけれども、現状でございます。
  59. 上原康助

    上原委員 大臣、それはNHKさんにだけ任しておってはいかないですね。せっかく向こうまで足を運んだ以上は、何かそういう面でやらにゃいかぬというお気持ちはなかったのですか。それを実現するということで行かれたと私は聞いたのですが、そうでなかったのですか。
  60. 箕輪登

    箕輪国務大臣 できれば実現したいと思うのでありますが、そのことを理由にして参ったのではございません。いま局長から答弁いたしましたように、五十九年二月の放送衛星打ち上げまでお待ちいただきたい。何とか早くしたいと思うけれども、NHKの事情もあります。これから要員をふやさなければいけないとか、そうすると金がかかる。NHKの財政も非常に逼迫いたしております。そういう事情もあり、また南西航空の飛行機の積載量ですが、あれも限度だというのです。ですから、ビデオを撮って送るにも送れない。NHKに無理をさせても、ビデオをつくっても、それを送ることもできないという事情でございますので、私は南大東島に行って島民の方々に、もう二年待ってください、二年たつと難視聴は解決しますということでお願いをして帰ってまいりました。
  61. 上原康助

    上原委員 地理的条件のせいでやむを得ない面もあろうかと思うのですが、そうしますと、われわれの立場からすると、NHKさんにだけそういった負担をかける、あるいは離島のテレビ放映をやるということに若干疑問を感ずるわけです。それこそ、やはり国の離島政策という立場でいろいろ助成措置を講ずべきだと私は思う。  これは何も沖繩の離島だけに限りませんね。日本全体、そういう難視聴地域なり、あるいはまだテレビ放映の恩恵にあずからない地域だってあるわけだから、そこいらについてやはり郵政省としてもう少し政策的位置づけというものをおやりにならぬといかぬじゃないでしょうか。これだけ情報化して、あしたから春の甲子園も始まる。ああいうのだって離島の子供たちは見ることができないですよ。青少年に及ぼす、教育上あるいは心理的、人間形成の上において私は大きな損失だと思う。そこを離島なるがゆえにしようがない、我慢しなさいという政治のあり方あるいは郵政電気通信事業あり方というものは、改善してしかるべきだというのがわれわれの考え方なんで、ひとつそういうこともぜひ御参考にしていただきたいと思うのですね。  そうしますと、五十九年のこの衛星打ち上げというのは間違いないのですか、それは延びることはございませんか。失敗――失敗なんと言うと怒られるかもしれませんが、そんなおそれはないのかどうか、本当に二年待てば、いま大臣おっしゃったようにその夢が期待がかなえられるのかどうか、その点ももう少し明確にしていただきたいと思うのですね。
  62. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 放送衛星の実用の本機でございますが、先ほど申し上げましたように、五十八年度の冬季、五十九年二月予定ということで本機を打ち上げる。六十年度には予備機も打ち上げる。そういう計画で五十五年度以来開発を進めてまいっており、今日までのところ順調に準備が進んでおる、そのように私ども報告を受けておる次第でございます。
  63. 上原康助

    上原委員 それ以上延びたりあるいはまただめでしたというようなことがないように、この点は念には念を入れてひとつ実現をしていただきたいと思います。  それともう一点は、これもテレビ関係なんですが、御承知のようにいま那覇から先島への民放中継回線はないのですね。同時に、NHKの現地からの上りというのもないですね。那覇を中継としてやっている。これもたびたび何とかやってもらいたい、開発庁なり関係省庁に対しても県なり関係者からいろいろ要請がなされていると思うのです。  要するに問題は、中継回線費用が約八千万円くらいかかる、私の聞いておる面では。しかし、RBCさんにしてもOTVさんにしても、年間の収益というものが合わせて約六千万程度。とてもじゃないが、これだけの投資を二局でやってはそういう先島の皆さんへの民放放映の設備投資というのはできぬ。そこを何とかやってもらえないのか。  調べてみますと、国の助成補助の特例としては、たしか東北の民放に東北開発公庫の方から融資がなされていますね。奄美の方も奄美振興開発計画の一環として国が助成措置をやっている。こういう面からしますと、これなどはもう少し関係者なり県なりとお話をしてできる相談じゃなかろうかという感じもするのですが、ここいらの解決していきたいという御計画があるのかどうか。また、いまもし現段階でまだそれほど協議がされていないとしますと、本土にだって前例があるわけですから、それを参考にしてこれから早急にその実現に向けた何らかの対策措置を講じていただきたいと思うのですが、いかがでしょう。
  64. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 先島地区の民放の問題及びNHKについても上りの回線がないではないかというようなことでございますが、先島地区にテレビ電波を見ていただくためには、七局ばかりが必要かというふうに考えております。その建設費。それから大きな問題は、いま上り回線がないというようなお話もございましたけれども、番組電送のための海底ケーブルの回線料の問題がございます。これは毎年度必要とするというようなことで、現在の民放二社の経営状況を見ますと、現時点では大変困難だ、御指摘のとおりでございます。  それに対する国庫補助でございますけれども、制度面、財政面で問題がある。特に制度面と申しますのは、仮に運営費を国庫補助とするというような考え方につきましては、毎年要る経常支出であるということで補助の対象にはなじまない面があるやに聞いております。かなりの経費がかかるというようなことで、いま御指摘のように沖繩の奄美につきましてはこれと似たような面があったのは私も承知しておりますが、いずれにいたしましても、民放二社自体につきましても、先島地区の難視聴解消の問題は自分たちの課題でもあるというように当事者から私どもも聞いておる次第でございまして、今後の両社の経営状態あるいは国の施策の上で、先島については、距離は四百数十キロあるように伺っていますけれども、何とか適切な指導と申しますか方向へ努力をしてまいりたい、このように考えております。
  65. 上原康助

    上原委員 大分時間が経過しているようですから、あと一点で締めますが、これは大臣、やはり政治の話ですね。あなた西銘さんとも親しいのだから、どうですか、この程度のことは、あなたが郵政大臣の間にそこらはよく相談なさって解決していただいたらどうですか。ひとつお考えあるんじゃないですか。こういうのは、事務当局でただ事務的にいろいろさせてもこれは無理ですよ。どうでしょう。
  66. 箕輪登

    箕輪国務大臣 西銘知事と私は大変親しい友人でございますから、相談は幾らでもできるのでありますが、中継局をつくるのには建設費で大体一社当たり四、五億円はかかるのです。運営費は回線料一社当たり年間八千万円かかるのです。保守維持費関係で一社当たり年間五千万円以上かかるのであります。こういうような状況から考えてみて、なかなか容易でないなあという感じがいたしまして、御相談はいたしますが、慎重な検討をしなければならないのではなかろうか、こう考えております。
  67. 上原康助

    上原委員 何か防衛問題をやったときはえらいばりばりお話をしておったのに、郵政の話になると慎重で、ちっとも口もあかないじゃないですか、郵政大臣は。  それだけいろいろ費用がかかるというのはわかります。そういうこともこれは一挙にはできないと思いますから、漸次解決の方向に御相談するとして、それができなければ、やはりNHKの上りの回線くらいは早目にやるということはやっていただきたいと思うのですが、その点はどうなんですか、局長
  68. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 ただいま資料を持っておりませんけれども、上り回線のため、これは恐らく取材上、先島、宮古なり石垣なりあるいは西表におけるニュースその他を、沖繩を初めとして本土の私どもに見せていただけるという意味での上り回線ということかと思いますけれども、その辺につきましてはいま現在、上り下りあわせて交信するわけだと思いますが、ちょっと現在の電電公社の設備能力がどうなっておりますか、私承知しておりませんので、もしかすると片一方の一方回線だけだと、新しく海底ケーブルを敷設しなければならぬというような問題が出てくるかと思います。ちょっとまた後刻調べまして、先生の方にお答えを差し上げたいというふうに思うわけです。もし設備的に上りがあるわけですと、ただ単にNHKの回線料、現在下りを持っておるわけですけれども、上りは、その倍であるということだけで尽きようかというふうに考えております。
  69. 上原康助

    上原委員 それはお調べになって、また解決するようにしていただきたいと思います。  最後に、若干電話料金の問題でお尋ねしておきたいのですが、これも私はたびたび取り上げたりしまして、やっと昨年の八月に幾分改定を見ましたね、遠距離電話料金が。現在でも非常に高い。一対六十倍。いまは七百五十キロ以上は三分間通話で昼間は七百二十円から六百円になっているんですがね。夜間が四百五十円から三百六十円、深夜間が二百四十円、これは本当に私は不公平の最たるものだと思うのですね、遠距離電話については。もっと改善する必要があるということ。  さらに、沖繩の場合ですと、沖繩県内においても格差があるんだ。みんな、さっきのテレビも見えない、電話料も非常に高い。那覇を起点としますと四百五十円ですが、これはもうやがて東京-那覇間並みですよ。那覇と南北大東は四百五十円、那覇と宮古は三百五十円、那覇から八重山、大東は実に東京から大阪へ電話するのと同じなんですね。宮古へは名古屋へ電話するのと同じなんです。  こういうようなことで、たとえば東京二十三区ですと、二十三区は十円でいくわけでしょう。青梅市とか奥多摩あたりは三分問で九十円ですよ。これだけ離島の皆さんは、さっきの話でもありますけれども、いろんな面で不便を感じておって、かつ負担は大きいんだよ。だから僕はいつか冗談で、いまごろ十円玉でぽんぽん電話かけるのは日本ぐらいだという話もしましたけれども、これは上げろとは言いませんが、しかし実際問題としてこんなにべらぼうに高い遠距離電話料金というのは、国際的に見ても日本が一番上位ですね。大臣こういう面は、電電公社もうかっているんじゃないですか。もうかり過ぎて、四千八百億も国に取られているんだ。こんなの国民に還元したらどうなんだ。  こういう面で、きょうは細かい点はよしますけれども、長距離電話料金の改定問題、沖繩県内における地域格差の問題、離島のことは、やはり私は早急にもう一遍再検討する必要があると思うのですが、いかがでしょう。
  70. 箕輪登

    箕輪国務大臣 わが国の電話料金の体系を見ますと、確かに御指摘のとおり遠距離は諸外国に比べて高くなっております。ところが近距離通話の方はどうかといいますと、諸外国に比べて二分の一ないし三分の一であります。全体の電話料金体系の見直しをやらなければならない必要性があるわけであります。     〔愛野委員長代理退席、委員長着席〕  私は先般来、特に沖繩から帰ってきてから、電電公社の真藤総裁にも何とかしてひとつ、料金体系の見直しをいま検討中でございますが、その中で沖繩の離島、この電話料金をもっともっと安くなるような方向で御検討をいただきたい。遠距離は全部おしなべて同じなんですけれども、沖繩だけではないんでありまして、ほかもみんなそういう料金体系でやっておりますけれども、特に沖繩は気の毒である。これは非常に高いと私も考えますので、真藤総裁にもそのことを伝えて、検討中でございますから、その検討の中で沖繩は特に考えてやってくれぬかということをお願いしているところでございます。
  71. 上原康助

    上原委員 もうこれで終えますが、あと福祉電話の問題などもありまして、これも私が五十五年のこの委員会で取り上げた。お約束したとおりにいってないのですね、確約なさったように。後でまた厚生省と公社と相談をして、この問題はもう少し解決するようにしていただきたいのですがね。  そこで、そういうお考えを持っている。それじゃ、この電気通信審議会ができた、恐らく設置されるはずですから、まず初めに遠距離電話料金諮問したらどうですかね、仕事初めに。その中で早目に答申を求めていまのことはおやりになる。その決意ございますね。決意あると言ったら、これで私は質問を終えます。
  72. 守住有信

    守住政府委員 わが国の国内の電話料金、国際の問題もございますけれども、国内の電話料金につきまして御指摘のような点がいろいろ矛盾がある、あるいは情勢に合わなくなっておるということでございます。  したがいまして、私どもとしましては、この国内公衆電気通信サービスに係る基本的料金の設定、改定ということで、料金決定原則の問題もございます。公衆法の第一条には、「合理的な料金」ということだけしか実は書いてないわけでございまして、そういう決定原則の決め方の問題から、その料金体系、いま御指摘のような遠距離、近距離あるいはグループ料金等々の問題もございますので、この審議会にも当然にまたお諮りもし、電電公社等も入れましてこれについて取り組んでいかなければならない、このように考えておる次第でございます。
  73. 上原康助

    上原委員 これで終えますが、最後に大臣、きょうこの法案との関係あるいは今後の電気通信事業にかかわる、私は詳しいことは知りませんが、若干調べていろいろ問題提起をしながらお尋ねをいたしました。これに対して誠意ある御答弁もありましたけれども、やはり非常に重要な役割り、また国民期待も大きいと思うのです。同時にまた、大変細かいサービス業も担当しておられるということで窓口が非常に広いし、それだけにまたいろいろな弊害というものもある。したがって、われわれがここで提起をする問題あるいはこの面はこうしていただきたいと言うことについては、単に委員会で時間の範囲内でやりとりして終わったということでなくして、どうかぜひ誠意をもってこれにこたえていただきたい、いまの電話料金の問題につきましても、あるいはテレビの難視聴地域解消の問題等々。そういう意味で、最後に大臣の御所見を承って、質問を終えたいと思います。
  74. 箕輪登

    箕輪国務大臣 きょうは大変示唆に富む御提言等がございました。各般にわたる問題について御質問があり、また御提言があったわけでありますが、十分誠意をもって先生のきょうの御提言等については検討していきたい、こう存じます。
  75. 上原康助

    上原委員 どうもありがとうございました。
  76. 石井一

    石井委員長 午後二時に再開することとし、この際、休憩いたします。     午後一時三十九分休憩      ――――◇―――――     午後二時三分開議
  77. 石井一

    石井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。市川雄一君。
  78. 市川雄一

    ○市川委員 最初に郵政省設置法について御質問をしたいと思います。  今回新たに設置をされる予定の電気通信審議会について、定員の数とメンバーの構成、あるいは会長人事の選考基準あるいは選出方法、主たる審議内容、あるいは郵政審議会のうち、電気通信部会を除く他の三部会とダブっているメンバーもおりますが、今後それはどうなるのか、まずその点について伺いたいと思います。
  79. 澤田茂生

    澤田(茂)政府委員 電気通信審議会組織所掌事務、それから委員その他の職員についてでございますが、郵政省設置法第十九条第二項において政令で定めるということにいたしておるところでございますが、その概要について申し上げますと、委員定数は二十人以内、委員の任命は郵政大臣が行うことといたしたいと考えております。  具体的人選に当たりましては、電気通信行政あり方が経済、産業、社会、文化等広範な分野に大きな影響を及ぼすことにかんがみまして、広く各界の有識者を網羅いたしまして、審議会構成が真に国民を代表するにふさわしいものとなるように十分配意したいと考えているところでございます。  会長の選考基準、選出方法等についてでございますが、現行の郵政審議会等の例にならって、委員の互選とすることといたしたい、こういうふうに考えております。これによりまして会長にふさわしい人が選出されることを期待いたしているところでございます。  なお郵政審議会につきましては、その改組に伴いまして委員数の縮減を図ることといたしておるところでございますが、一部の委員につきましては郵政審議会から電気通信審議会に移っていただく、あるいは一部の委員につきましては両審議会を兼ねていただくというようなことも起こり得るかと思っておりますが、なお具体的な選任等につきましては、郵政審議会委員先生方の中にはこの秋に任期の満了される方もかなりいらっしゃるわけでございます。その辺のところもにらみながら、選考に当たりまして十分留意をさせていただきたい、こういうように考えているところでございます。  電気通信審議会審議事項についてでございますが、電気通信に関する事務、これは電波及び放送の規律に関するものを除いたものでございますが、こういったものを除いた電気通信に関するものについての重要な事項調査審議していただくという予定にいたしておりまして、主なものといたしましては、従来から有線テレビジョン放送法により有線放送審議会諮問することとされております有線テレビジョン放送に関する重要事項、これが必要的諮問事項になるわけでございますが、そのほか従来から郵政審議会諮問をしてまいりました公衆電気通信料金の認可に関する事項等のほかに、電気通信政策の基本方針あるいは長期的推進計画、さらに電気通信技術の開発、普及に関する重要事項等について御審議をいただく予定といたしております。
  80. 市川雄一

    ○市川委員 今回の機構改正について、郵政省はどこの提言を受けてこの機構改正をおやりになるのですか。
  81. 澤田茂生

    澤田(茂)政府委員 電気通信政策局設置について当内閣委員会において御審議をいただきました第九十一回通常国会におきまして、衆参両議院の内閣委員会情報通信に関する政策審議機関設置について附帯決議をいただいておるところでございます。  さらにはその附帯決議趣旨を踏まえまして、電気通信政策局の発足後、一九八〇年代におけるわが国の電気通信制度、政策等に関しまして、その課題と展望を明らかにすることを目的にいたしまして各界の方々に御参集をいただきまして、郵政大臣の私的懇談会といたしまして電気通信懇談会を設けて御議論をいただいたことがございますが、昨年夏、同懇談会からも電気通信行政に関する政策審議機関というものを拡充強化すべきであるという御提言をいただいたところでございます。  こういう御示唆をいただきまして今日御提案を申し上げております電気通信審議会設置をお願い申し上げているところでございます。
  82. 市川雄一

    ○市川委員 もうちょっと端的に答えていただけませんか、大体わかっておりますので。どこの提言、ここですと、答えはこれで結構なんです。趣旨説明までは聞いてないわけですから。  郵政審議会の中に電気通信部会がありますが、たとえば昭和五十三年及び昭和五十四年、この二年間この部会は開催されておりますか。
  83. 澤田茂生

    澤田(茂)政府委員 五十六年度につきましても、公衆電気通信役務料金の認可あるいは電子計算機利用高度化計画案等につきましていろいろ御審議をいただいております。ちょっとただいまのところ回数につきましての資料を持ち合わせておりませんが、十数回の回数に及ぶであろうと思っておりますが、なお調べまして御報告をさせていただきたいと思います。
  84. 市川雄一

    ○市川委員 これはちゃんと質問通告してあるのですよ。ずいぶん誠意がないじゃありませんか。ちゃんと質問通告してあるんだから。しかも、五十三年と五十四年の二年間はこの部会が開かれているのかどうかということを、きのうちゃんと通告してあるわけだよね。それはいいです。  要するに私の言いたいことは、せっかくこういう郵政審議会があって部会があるのに、その部会を活用してないんじゃないかということを申し上げたいわけですよ。本来なら、この電気通信部会で検討されて、この電気通信部会というあり方ではどうもうまくいかないのでこの際新しい電気通信審議会をつくってくれ、こういう議論が出てくるはずなんですよ。余り活用されてないんじゃないですか、これは。  そうすると、それで大臣の私的ないわゆる諮問機関をつくって、その諮問を受けて今回の機構改正をやろうとなさっているわけですが、新しくつくった電気通信審議会もまた同じように名存実亡になってしまうんじゃないですか、そういう考えだと。その辺はどうなんですか、そういうことはないのですか。
  85. 守住有信

    守住政府委員 お答え申し上げます。  現在、御承知のように電気通信部会でやっておりますし、その中では、私が参りまして政策局ができましてからでも、思い出しますと、日米の資材調達問題あるいは納付金問題あるいは遠距離料金の引き下げあるいはまたKDD料金の引き下げ等々につきまして、この電気通信部会と御相談、御審議を経た上でやってまいったわけでございますが、さらに今後の問題として、個別の問題だけでなくてもっと長期的な、政策的な展望を踏まえたところのテーマというものが、政策問題あるいは技術問題、あるいは利用者との接点での利用制度の問題あるいは料金問題等々あるというふうに踏まえておりまして、郵政審議会郵政事業という重要なものを持っておるわけでございますが、また、電気通信の世界というのが非常に専門性、国際性その他の面から異質なものも持っておるというふうなことで、電気通信に関します専門の審議会ということを私的懇談会でも提言を受けた次第でございまして、私ども国会の御意思あるいはまたそういう私的懇談会提言等々も踏まえまして、この電気通信審議会、まさしく専門の審議会でございますので、電電公社やKDDともどもこれについての積極的な活用と申しますか、御意見、御提言を受けて今後の電気通信行政発展のために誤りなきを期してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  86. 市川雄一

    ○市川委員 またその問題は後で、具体的な問題と絡んでいまの答弁趣旨をお聞きしたいと思います。  ちょっとテーマが変わりますが、これからの質問と関連がありますのでお伺いいたしますが、コンピューターの犯罪防止という問題をお聞きしたいと思います。  最近、コンピューターを悪用する犯罪が非常に続発をして、大きな社会問題になっています。特にことしの二月十六日、電電公社職員データ通信を悪用して、銀行カードを盗用して逮捕されたという事件があり、国民に大きなショックを与えましたが、郵政省として今回のこういう犯罪についてどういう受けとめ方をされているのか。あるいは電電公社の巨大な独占企業、その独占にあぐらをかいて、そういうところから起きてきた緩みではないのか、そんな気もするのですが、そういう点について郵政省はどんな受けとめ方をされているのか。  それから、このコンピューターの犯罪防止について、今後郵政省としてどういう取り組みをされていくのか、この点をお伺いしておきたいと思います。
  87. 守住有信

    守住政府委員 御指摘のように、北海道で起きました電電公社職員による通信の秘密侵害及び窃盗事件でございますけれども、この事件につきましては、私ども通信主管庁としても、電電公社自体ももちろんでございますけれども、大きなショックを受けたわけでございます。  これは特に私どもの受けとめ方としましては、公衆電気通信事業そのものに従事しておる職員の内部から起こったということが一番重大な点ではないか。他人の通信の媒介、独占を付与されて、しかも高い公共性で、公共企業体の公社職員という身分、義務を持っておる者の中で起こったということの点が一番のショックを受けた点でございます。  郵政省といたしましては、電電公社に対しまして直ちに、事件の概要、それからさらに、特に公社の保守管理体制、秘密を守るべき部門につきましての保守管理体制、それから再犯防止対策あるいは本事件に対する具体的措置、単にこれが窃盗という問題だけでなくて、公衆電気通信法第五条に定めます、憲法からまいっております通信の秘密の侵害であるということから、五条違反としての告訴も行うべきであるというふうな点も含めましての本事件に対する措置等について指示をいたしましたり調査報告も求めますとともに、本件の措置につきましては電電公社において厳正に対処して、再びこのような事件を起こすことのないような万全な体制、これは現在、電電公社におきましても副総裁を長としますハード面、ソフト面、管理体制面等々に及びましての再検討が行われておりますけれども、そういう体制の整備というものを指示したところでございます。  郵政省といたしまして、データの保護、プライバシーの保護、通信の秘密、こういう角度で、今後データ通信もいろいろ高度に多彩に発展するわけでございますけれども、このデータ情報の中には国家機密、企業秘密あるいは基本的な個人のプライバシーというふうな個人情報等が含まれておることを考えますと、電電公社はもちろんでございます、公部門としてもちろんでございますけれども、将来登場が予想されております民間のいわゆる高度情報通信事業者と申しますか、これは議論があるところでございますが、その面につきましても、通信の秘密保護の体制を含めまして、このような信頼性、安全性ということについて私どもとしても十分慎重な対応、検討が必要である、このように考えておる次第でございます。
  88. 市川雄一

    ○市川委員 そこで、データ通信についてお伺いしたいのですが、最近通産省と郵政省の意見の対立ですか、自由民主党の政務調査会長の裁定とか、あるいは新聞で最近各紙が社説でデータ通信の自由化という問題を取り上げているわけですが、わが国における最近の情報通信系の技術革新というのは御承知のように非常に目覚ましい。特にこのデータ通信の出現によって、情報処理、通信、放送、これらの組み合わせによって新しい高度の通信システムというものが技術的に実現可能になってきていると思うのです。そのため、現行の公衆電気通信法では対処できない部分がかなり生まれてきていると思うのです。したがって、いまこそ新たな情報通信政策の確立が必要だと思うのです。そういう観点に立ちまして、郵政省と通産省に御質問をしたいと思います。  まず郵政大臣データ通信の、高度通信システムの果たす役割り、これからの情報化社会の基礎になるものであると思うのですね。これは単に産業面で果たす役割りのみならず、広く教育とか医療とか学術とか行政とか交通とか、こういう分野でも非常に重要な役割りを果たすことが予想されておりますが、大臣としてどうでしょうか、このデータ通信の高度通信システムが果たす役割りをどういうふうに認識しておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  89. 箕輪登

    箕輪国務大臣 通信は、御承知のとおり社会、経済の神経系として重要な役割りを果たしておるものと考えます。  次に、データ通信など新しい通信については、通信技術とコンピューター技術が結びついて、おっしゃるとおり、単に経済、産業面の合理化、効率化に大きな役割りを果たすばかりではなしに、教育、学術などのほかに公害監視あるいは交通管制、救急医療等の社会システムにも重要な役割りを担うようになってきております。今後は、わが国の経済社会の多くの分野においてますます重要な役割りを果たすことになろうと考えております。
  90. 市川雄一

    ○市川委員 そこで、データ通信の著しい技術革新の果実と申しますか成果を、大企業のみならずやはり中小企業でも利用したいと思っていらっしゃると思うし、あるいはまた各家庭にも将来はその成果が利用されていくようになると思うのです。そういう意味で、データ通信の技術革新の成果が何か大資本、大企業だけに独占され利用されるのではなくて、各方面に潜在的にその利用について強い需要があると思うのです。こういう点についての御認識は恐らく私と同じだと思うのですが、どうですか、大臣
  91. 箕輪登

    箕輪国務大臣 市川先生と認識は同じであります。御指摘のとおり、データ通信は、今後社会の多くの分野での活用が期待されております。たとえば家庭でも、茶の間にいながらにしてお買い物情報だとか今晩のお料理情報だとかを得ることができるようになるだろうと思います。銀行の預金残高も調べることができる。こういうような需要は潜在的に広いのではないか。先生と認識は同じであります。  郵政省としても、データ通信の健全な発展と普及を図ることは、八〇年代のわが国経済社会発展にとって重要な課題であると考えております。そのために、たとえばデータを音声に変える技術の開発とか、制度的に言いますと回線利用制度の改善等いろいろな施策などを積極的に進めていかなければならないであろう、こう考えております。
  92. 市川雄一

    ○市川委員 そこまではいいのですが、ここから先が問題になるわけですね。ですから、データ通信が、今後技術革新がもっともっと進んでいき、八〇年代の日本の社会において、広い分野で非常に重要な役割りを果たす。しかもまた、それが大企業のみならず、中小企業あるいは各家庭まで便益を与えていく。そうなりますと、民間の創意工夫とかあるいは民間の持っておる活力を生かさなければならないと思うのです。民間の持っておる活力をそいだりあるいは民間の創意工夫が出てこないような電気通信政策では、いま大臣のおっしゃったことと相反すると私は思うのです。  したがいまして、そういうことを考えますと、直ちにいま踏み切れるかどうか、いろいろな経過措置が必要なのかどうか、そういうところは御議論の多いところでしょうが、大枠として、官が通信回線を独占する、これはいまの大臣の御認識と反してしまうのじゃないのか。やはり大枠としては自由化というものをしっかり決めて、そういう自由化の方向へ持っていく政策というかポリシーというものが郵政省にしっかりなければいけないと思うのですが、この点はどうですか。
  93. 箕輪登

    箕輪国務大臣 昭和四十六年以来、電電公社と民間企業が相並んでデータ通信サービスを提供してきているところでございます。電電公社の提供するものについては、全国的、公共的、技術先導的なものとするよう、従来から指導してきております。今後とも官民の分野調整について配意していきたい、こう考えております。  データ通信の回線利用については、大枠として、先生指摘のとおり、自由化に向かうべきものであると考えております。あわせて通信の秘密、コンピューター社会のもろさ、プライバシーの保護など、情報化社会のマイナス面にも目を向けなければなりません。こういう点を十分配意する必要があると考えながら、データ通信政策を推し進めていきたい、こう考えております。
  94. 市川雄一

    ○市川委員 大枠として自由化という大臣の御発言があったのですが、ぜひその方向を強く推進していただきたいと思うのです。  通産省の方、時間がないようですから、質問を簡略にしてお伺いします。  いま郵政省側の、データ通信の果たす八〇年代の役割りということをお聞きしたわけですが、通産省はその役割りについてどういう認識、評価をお持ちなのか。それから、データ通信の将来、大枠としては自由化ということを通産省はどういうように考えていらっしゃるのか。この点をお答えいただきたいと思います。
  95. 石井賢吾

    石井(賢)政府委員 通産省といたしましては、わが国が国際社会の主要な一員としての責任、国際的貢献を果たしながら、活力ある産業、経済に支えられて豊かな社会を実現していくのが八〇年代の課題であるというふうに考えておりまして、情報化の推進及びそれを担うデータ通信につきましての重要性は、先ほど郵政大臣のお答えにありましたとおり、私どもも今後そういった八〇年代の日本経済あるいは社会に課されました課題を達成するためにはきわめて必要なことであるというふうに認識いたしております。  あわせまして、そういった情報化の推進を図っていくためには、回線利用の自由化の幅をできるだけ大きくしていただいて、民間の活力、創意工夫をできるだけ発揮させることによって、先ほど課題達成に貢献でき、かつ、先ほど冒頭に申し上げましたような社会が実現できるような体制が組まれることを期待しておるわけでございます。
  96. 市川雄一

    ○市川委員 そこで大臣、どうも電電公社は何か回線利用の独占の既得権を守ろうとしている、放したがらない。民間参入を嫌う。八〇年代の情報化社会とか言われておる花形産業になりたいという願望が恐らく電電公社にはあるのだろうと思うのですよ。これは下手に自由化すると電話線の貸し線業者に電電公社は成り下がってしまう。したがって、何とか独占を維持しながら花形産業の主役にのし上がろう。また、それを郵政省がどうもかばうというか、天下り先の問題もあるのかどうか知りませんが、かばうという姿勢が続いておる感じがしてならない。  これは考えてみますと、単に一郵政省とか電電公社という問題じゃなくて、日本の社会がこれから国際化の中でどう生き延びていくかという、あるいは国際経済における競争力をどうつけていくかという、こうした非常に重要な問題だと思うのですね。ですからこれは、郵政省の枠の中の審議会で議論している限り、やはり郵政省電電公社考え方を優先したものから抜け出せないだろうと思うのですよ。そうじゃなくて、むしろこれは総理大臣に直結するような内閣としての審議会というのですか、そういうところで広い視野で検討すべきじゃないかと思うのですね。むしろ明治以来の電気通信法という古い法律ではなくて、新しい情報通信の基本法というのですか、さっき大臣がおっしゃったような官民の分野調整もはっきりして自由化の方へ持っていくというような、そういう基本を決める基本法というものを考えるときに来ているんじゃないかというふうに思うのですね。どうですか大臣、そういうことを郵政大臣としてというよりも、国務大臣としてそういう考え方で内閣で発言なさって推進するというふうなお考えはありませんか。
  97. 箕輪登

    箕輪国務大臣 このデータ通信という問題は、確かに将来に向かって非常に大きな問題であることは事実であります。したがって、郵政省でなくて内閣直結の、何といいますか審議会でもつくったらどうかというような御提案と存じますが、これから民間に開放される、私どもそう思っているのです。うんと民間もやっていただきたいと考えておりますが、高度の情報処理通信、これはやはり通信なんですね。通信である以上、通信の行政郵政省が国家行政組織上所管することになっております。  もう一つお話にありました、電電公社は未来の花形になろう、こういうことは私は一向感じておりませんし、聞いてもおりません。私どもが主張申し上げたいのは、通信である以上やはり公正なものでなければならないし、特にデータの中には国家機密もあります。総合安全上から見た機密もございますし、個人のプライバシーもあります。会社の機密もあります。そういうものを扱うのだから、私どもは大幅に自由化をしていきたいという考えは持っておりますけれども、そういう機密の保護、信頼性の確保というものだけはやはりかぶせておかなければなりませんよ、このことを主張しているだけであります。
  98. 市川雄一

    ○市川委員 その国家の機密、それはわかるのですよ。そこまで自由化しろということを言っているわけじゃないのです。ですから、さっき大臣もおっしゃったけれども、全国的、公共的、先導的技術の分野、この分野というのがどうもはっきりしないということと、本気でその分野をはっきり確立して、それ以外の分野はきちんと開放するという方針がどうもないように見受けられるわけですよ。  じゃ、郵政省電電公社でやっていると秘密が保護できるのかということですよ。さっき何で冒頭にコンピューターの犯罪のことを聞いたかというのは、そのことなんです。     〔委員長退席、愛野委員長代理着席〕 何か自由化のことを言うと、すぐ電電公社郵政省はプライバシーだとか機密だとか言うのですが、現実に郵政省職員の内部からこういう犯罪が起きているじゃありませんか。だから、郵政省なり電電公社職員だと機密が守られて、民間に自由化すると機密が守られないということはないんじゃないですか。電電公社職員の内部にもう事実起きているじゃありませんか。皆さんが言う、電電公社が持っていれば機密が守れますよなんというのは一発で崩れちゃった、この間の事件で。ですから、余りそれは通用しないんじゃないか。しかも、国家の機密やそういう機密の部分まで何も民間に任せろなんて、そういうことを言っているわけじゃない。それはいままでどおり電電公社がやっていればいいんですから。  それからもう一つは、通信通信とおっしゃるのですが、それはおっしゃるとおり通信なんですが、しかし、コンピューターというものと通信が結びついて起きてきた事態なんですよ、これは。単に通信だけじゃない。コンピューターの利用という問題があるのですよ。そのコンピューターも非常に最近は、昔は一台二億円もしたコンピューターが、いま一万五千円くらいの小型のコンピューターでもかつての二億円のコンピューターの機能を果たすくらい、コンピューターの技術が進歩したわけですよ。この進歩したコンピューターの技術を何とか利用したいと思っているわけですね。それを通信回線の利用形態という、通信ということでコンピューターの利用を妨げているわけじゃありませんか。ですから、何も自由化というのは公社から仕事を全部取り上げてしまおうということじゃないのです。通信とコンピューターはくっついているのですよ。コンピューターの利用を妨げないようにしてくれということをこちらは言っているわけですよ。その点はどうですか。
  99. 守住有信

    守住政府委員 四十六年からデータ通信の回線を民間にも利用できるようにしたわけでございますが、これはいわゆるデータ処理と申しますか、通産省ではオンライン情報処理とおっしゃるわけでございますが、そういう個々の企業のための給与計算とかあるいは在庫管理とか、そういう情報処理をして、またその顧客へ返すというふうな世界の問題でございます。したがいまして、これは通信には違いはありませんが、コンピューターの計算をしたり演算をしたり判断するという機能と一体になったものでございます。この世界につきましては、私ども大幅な自由化というものを考えておるわけでございます。  さらにこれからの新しい問題といたしましては、情報処理というよりも通信処理と申しますか、いわゆる個々のオンライン情報処理のネットワークが現在六千システムございますけれども、その中で、あるいはそれを越えましていろんなネットワークと結合していくような通信サービス、通信業というものの出現も期待されておる。そういう世界の問題につきましては、まさしく他人の通信を媒介し、業として行うという世界でございます。これはいままでは電電公社の独占でございました。ただ電電公社の場合に、公社の場合はいわゆる電信電話という基本的な、大衆を踏まえたサービスがございますが、さらにそれを乗り越えての高度通信サービスという分野につきましては、公正な競争条件のもとに分野調整も要り、かつそれ以前に、いわゆる電信電話との切り分けという問題もございます。  さらに通信の秘密の問題につきましては、まさしく情報処理の方の問題でなくて、広くいろんなシステムと結合した通信業の方の世界の問題になってまいりますと、この通信の秘密を守る体制というものの体制づくりが非常に大切になる。それがいわば前提条件であるということを私ども考えておる次第でございます。
  100. 市川雄一

    ○市川委員 そうすると、大臣、確認いたしますが、電電公社データ通信を行う場合、その範囲ですね、あくまでも公共的、全国的、先導的技術の範囲にはっきりその範囲というものを決めて、それ以外の分野はもう民間のデータ通信を積極的に活用する、こういうお考えなのですか、いまの時点で。確認しておきますが、どうですか。
  101. 箕輪登

    箕輪国務大臣 そのとおりであります。民間に自由化していきたい。  ただ、ここで先生一つ申し上げておきたいことは、先ほど質問にもございましたように、公社でもこういう犯罪が起きたじゃないか、札幌のキャッシュカードの問題だと思いますが、私どもはそれは非常に遺憾だと思うのです。公衆法で、コンピューターに入っているデータも必ず秘密を守らなければならないようになっているわけですよ。そして公社という形態の中で、たとえばコンピューターに入っているデータというものを盗まれないように完全に管理しているかどうか、公社という中でそれを管理するようになっているわけです。それが盗まれた。盗んだだけではない、それを利用して窃盗罪を働いた。これは本当に遺憾な問題なのです。  そこで、民間に開放する際に、公社では上にかぶせて秘密の保持などを守らせるようにしているのですけれども、さて民間の場合にそういうことを野放しでやらせていいかどうか、そこのところが他省庁との話のつかなかったところなのです。  自由化なのじゃないか、通信の回線とコンピューターが結びついて初めて通信になるのでしょうけれども、保管中のコンピューターの中に入っているデータは通信そのものではないのではないかという議論もあるかもしれません。しかし、公社でやっているデータ通信は、保管中のコンピューターのデータ、これも秘密の保持を厳正に守らせるようにしているのです。民間に開放する場合にそれ以上のものをかぶせようという考え方一つもありません。同じものをかぶせよう、そうした中で自由化を図っていこう、こういう考え方であることを改めて答弁させていただきます。
  102. 市川雄一

    ○市川委員 ですから、自由化されても通信の秘密というのは当然守られなければならないと思うのです。そういう通信の秘密が民間に渡すと守られないから自由化はだめなのだという、自由化にブレーキをかける議論にしないでもらいたいということです。それはいいですか。いままでどうもそういう感じがしたわけです。民間に任せてもいいのだけれども、任せると通信の秘密が守れないから公社が持っていた方がいいのだという形で自由化を阻害してきた、そういう議論に悪用しないでもらいたい。したがって、秘密を保全することが自由化の前提として必要だということはわかります。その点はどうですか。しつこいようですが、確認しておきたいと思います。
  103. 箕輪登

    箕輪国務大臣 それはそのとおりであります。秘密を守らせるということを条件にして自由化を阻害するようなことは、毛頭考えておりません。
  104. 市川雄一

    ○市川委員 本当は電電公社の方に聞くのが一番いいのでしょうが、郵政省にお伺いしておきたいのですが、電気通信の独占の必要性、何か独占論というのがいろいろな根拠があるようですが、たとえば自然独占とか技術的統一性を持たなければならないからとか、あるいはクリームスキミングというのですか、せっかく公社が苦労して引いた回線をつまみ食いしていいところだけ取られてしまう、そういうことが言われているようですが、こういう独占というものが電気通信に関して必要だという認識なのですか。それともこれからは、高度の通信利用のデータ通信なんというのは独占の時代は終わった、むしろ民間の活力を積極的に生かすのだ、こういう御認識なのですか。どうですか。
  105. 守住有信

    守住政府委員 まず最初に申し上げたいのは、独占という問題は、公衆電気通信の設備と申しますかネットワークと申しますかそれの独占、こういう意味でございまして、その利用につきましては、御承知のとおりデータ通信につきましては昭和四十六年以来民間企業もその回線を借りていろいろ利用はできる、こういうことでございます。  さて、そのネットワーク、設備の独占という問題でございますが、電信電話国民の基本的な電気通信サービスでございますが、これを中心としての公衆電気通信事業、あまねく公平にということで山間僻地、離島まで国民生活に必要なサービスを合理的な料金で公平に提供するという高度な公共性を持っておりますけれども、また先生指摘のように、これはネットワーク、総合通信でございますので、全国的な通信網が一つの技術的に統一されたシステムで構成される必要があるわけでございまして、これを技術的統一性とも称しておるわけでございますが、そのためには長い間、戦前からもございますが、戦後、復興期を経ましてその整備のための巨額な設備投資をやってまいりまして、ことしも一兆何千億というふうな投資を必要とするわけでございますけれども国民経済的な効率性という観点から二重投資の弊を避ける必要がある。これが俗に自然独占性などと称せられておりますけれども、そういう特質を有するということから、電電公社公社形態でございますけれども公社による事業の独占的運営ということが認められ、かつ保護され、かつ他面では義務がある、こういうことでございます。
  106. 市川雄一

    ○市川委員 それはわかったのですけれども、いまおっしゃったことは古い議論なんですよ。いまの時代に即応しなくなってしまったわけです。言えば切りがないけれども、そういう独占の時代は回線利用についてはもう終わった、自由化の方向がいいのだという認識になっているのですかと聞いているわけです。それはどうですか。
  107. 守住有信

    守住政府委員 いま申し上げましたように、そのハード面と申しますか設備、ネットワークということでは独占でございますが、その利用につきましては、特に基本的通信サービス、電信電話を除きましては、いろいろなデータ通信を中心としてその利用の自由化というものに向かってわれわれも認識しておる、こういうことでございます。
  108. 市川雄一

    ○市川委員 電信電話を除いてというのがくせ者で、電信電話がコンピューターとつながるわけですから。  電話の場合、発展初期においては規模の経済性という点から公社がやった、それは確かにいまおっしゃられたように効率的であったと思うのですよ。しかし、いまはマイクロウェーブとか衛星通信、そういう時代ですから、あえて公社がそういうものを独占する根拠というのはなくなりつつあると思うのです。また、技術の統一といっても技術の互換性があればいいのでしょう。それがいまは異なる技術と技術を接続することさえ可能になってきているわけですから、そういう技術の互換性があれば、別に公社が独占していなくても、民間でつくったものとそこに互換性がありまた接続が可能であれば、いまおっしゃられるような技術の統一性というものは別に自由化の妨げにはならないと思うのです。  回線の利用が自由化されている、自由化されているとおっしゃいますが、データ通信に関しては全然自由化されていないのじゃないですか。共同使用だ、他人使用だと素人にはややこしくて区別さえわからないようなものがあって、共同使用の場合はこうだ、他人使用はどうだと、かなり制約しているわけでしょう。ですから、そんなに自由化されていませんよ。  そこでお伺いしますが、電電公社が設備サービスをやっていますね。それは確かに利用は自由です。利用は自由ですが、これは赤字ですね。ここに郵政省からいただいた資料がございますが、五十二年度で五百三億、五十三年度で五百二十八億、五十四年度で五百一億、五十五年度で四百三十九億円、こういう赤字が出ています。これは赤字が一向に減りませんね。毎年毎年大体五百億前後の赤字が出ていますね。これの赤字の原因は何ですか。赤字の原因が何か、この赤字をなくせる見通しですかどうですか、その二点。
  109. 守住有信

    守住政府委員 お尋ねのように、電電公社データ通信の設備サービスというものを民間に提供して利用に供しておるわけでございます。お客様の要望に応じてやっておるわけでございますが、歴史的に見まして、技術先導的と申しますか、昔は大型のコンピューターを共同して多数の企業がお使いになる、こういう時代でございまして、そういう先導的な役割りを果たすための設備が、いまは分散処理の時代になっておりますけれども、それぞれの企業がみずからコンピューターをお持ちになって、電電公社の回線をお借りになって利用されるという分野がどんどん広がってまいりまして、DRESS、DEMOS等のお客も最初の想定より余り伸びない。技術革新の変化に伴います利用の実態がここにあるというふうにも見ております。  またさらに、これは行政管理庁の方の勧告でございますが、その運営の実態が、いわゆる地方の通信局、通信部や電話局の段階になりますと、このデータ通信分野の人たちと一般の保守や建設や営業等々の人たちが一緒に働いておりますので、そこの経理面が不分明であるとか、非常に保守要員等の数が民間に比べると多いという御指摘もあります。したがいまして、このデータ通信設備サービスの方の合理化、効率化につきまして行政管理庁からも指摘を受け、私どもも指導をしておるところでございますが、一応回線サービスと込みにすればとんとんになりますけれども、回線サービスは独占の方でございますので、設備サービスにつきましては五十九年度までの目標ということでこれが収支とんとんになるようにデータ本部、電電公社においても取り組んでもらうということに相なっておる次第でございます。
  110. 市川雄一

    ○市川委員 五十九年度に収支とんとんというのですけれども、独占で稼いだ回線サービスの方で埋め合わせてとんとんじゃ、これは困るのですよ。設備サービスも独立採算ということですか、その意味は。そうでないと、そんなのは意味ありませんよ。一方は、ほかの人はできないのだから、独占で稼いで黒字になるに決まっているのだから。肝心の設備サービスの部門は赤字で、この赤字はなくならないけれどもこっちの黒字で埋めますなんというのは、赤字を解消したことにならないわけです。五十九年度に設備サービスそれ自体の独立採算で赤字がなくなるのですか。そういう御答弁ですか。
  111. 守住有信

    守住政府委員 御指摘のように、いままでは回線サービスと込みのような物の考え方をしておりましたので、設備サービスだけを抜き出しまして、その設備サービスそれ自体で収支とんとんになるように電電公社において取り組む、こういうことでございます。
  112. 市川雄一

    ○市川委員 いまいろいろなことをおっしゃっていますけれども、官のメニューだけじゃだめなんですよ。幾らラーメンがおいしいといってもラーメンばかり食べているわけにはいかないわけで、やはり民間との競争というものは必要なのです。これはほっぽっておきますと、下手すると国鉄の二の舞になってくるのじゃないですか。競争がないとやはりどうしてもあぐらをかく、そういうことになると思うのです。  いままで自由化、自由化とおっしゃっていましたので、今度はもうちょっと具体的に。  今回、公衆電気通信法の改正案が、まだ委員会には付託されていないと思いますが、閣議で決められていますね。この改正案に沿って――いわゆる行革の方向とちょっと反するのじゃないかと私は思うし、また、いままですごい自由化、自由化という前向きの答弁をなすっていたけれども、どうも改正案では、暫定とは言うものの自由化とは相反する方向じゃないのかという疑問を感じておりますので、そういう観点で御質問したいと思うのです。  まず、共同使用について個別認可制を廃止する、こういうことでございますが、いままでは八項目の基準がございまして、この基準に適合しないものは個別認可で救済する、こういうことだったと思うのです。この個別認可を廃止してしまうということはどういうことなのか。もう基準を全くなくしちゃうという意味なのか、それとも基準に合わないものは一切だめだという意味なのか、その辺はどういうことですか。
  113. 守住有信

    守住政府委員 共同使用の問題でございますが、従来共同使用できるものの範囲を非常に一定の範囲に限っておって、個別認可もあった。今度は個別認可を廃止いたしまして、という意味は、業務上必要な通信を行う関係さえあれば――これは当然でございます。通信を行う必要があるからの共同利用でございますが、業務上必要な通信であればだれでも共同利用ができるというふうなことに大幅の緩和と申しますか、共同の使用の範囲は広がる、こういうことでございます。
  114. 市川雄一

    ○市川委員 ちょっと、ごまかさないでくださいよ。ちょっとおかしいじゃないですか。それじゃ基準はなくなるのですか。そうじゃないでしょう。新しい基準をつくるのでしょう。  改正案によれば、基準に適合する限り共同使用を認める、こうなっていますね。したがって、基準が残るわけでしょう。いままでは基準に合わないものは個別認可になっていたわけですよ。この基準が残る限り、基準に合わないものが出てくるわけでしょう。これは、いままでは個別認可で救済していたのが個別認可制を廃止するということは、基準に合わないものは切り捨てということになるのですかと聞いている。その点はどうですか。
  115. 守住有信

    守住政府委員 全く関係のない、通信をする必要もないような人のためのあれは基準が必要でございます。それで除外することが必要でございますが、個別認可も要らないという意味は、その共同利用関係の範囲の拡大によりまして一々個別認可の判断を必要としない、業務上通信の必要さえあればこれが個別認可も必要がないという方に範囲が広がる、こういうことでございます。
  116. 市川雄一

    ○市川委員 そうなりますと、さっき大幅に共同使用の範囲が広がるのだとおっしゃられましたね。いまの八項目の基準よりも、より緩和された基準になるということだと思うのです、おっしゃっている意味は。そのより緩和された基準というのは、もちろん改正案が通って政令か何かでお決めになるのだろうというふうに思いますが、それは基準が緩和されるのですね。緩和される基準というのは、いま腹案をお持ちですか、どうですか。
  117. 守住有信

    守住政府委員 この点は、法案を御審議いただいた後が慣例になりますけれども、私どもの物の考え方といたしましては、何度も御説明申し上げておりますように、業務上必要な通信であればだれでも共同できるようにしたい、こういう考え方でございます。
  118. 市川雄一

    ○市川委員 本当にそのとおりなのかどうかなんですけれども、たとえば基準は緩和される、緩和されるけれども基準は残る。その基準に、現在電話専用線を共同使用する場合の基準というのがありますね、この基準をこの改正案の緩和された基準になさろうとお考えではないのですか、どうですか。
  119. 守住有信

    守住政府委員 共同使用という点での基準では、そういう面はございません。
  120. 市川雄一

    ○市川委員 そうしますと、これは資本上のつながりとか業務上密接な関係とか、そういう条件はつかないわけですか。業種が違おうが、資本関係がなかろうが、要するに共同で回線を使いたいという人さえいれば許しますということですか。完全自由化ですか。
  121. 守住有信

    守住政府委員 先ほどお尋ねの電話の専用線の共同専用と同じようなものというのは、この共同使用を大幅に緩和した中のいわゆる緊密関係というもので私ども考えておる分野のことでございまして、一般的な共同使用の基準ということでは、先ほどもたびたび申し上げておりますけれども業務上必要な通信であればだれでも共同使用できる。  ただ、ここで業務上必要な関係と申しておりますのは、たとえばある共同利用で、ある方が一つの名義的なもので、通信の必要がないのにこれをほかの方と一緒にお使いになるということになれば、ここにクリームスキミングの問題が出てまいりますので、それは別問題でございますけれども業務上通信の必要があればみんな認めていく、こういう考え方でございます。
  122. 市川雄一

    ○市川委員 じゃ、その業務上必要な関係というのはどういう関係ですか。
  123. 守住有信

    守住政府委員 基本的な考え方は、たびたび申し上げておりますが、業務上必要な二人以上の者であれば何でも共同利用ができる、こういう考え方でございます。
  124. 市川雄一

    ○市川委員 その業務上必要なという関係が、たとえばこの電話の専用線を共同使用する基準では、「相互に業務上緊密な関係を有するため、その間の通信を必要とする二人以上の者であって、次のいずれかの基準に適合するもの。」こうなっているわけですね。それで、しかも二つの基準がここにあります。たとえば、「発行済株式総数又は出資総額の百分の十を超える株式又は出資の所有関係」があること、それからもう一つ業務上継続的な取引等」があること、こういう一つの基準に二つの条件がついている。また、二つ目の基準にも、「業務上継続的な取引等の関係があり、かつ、その業務に関し相当程度の依存度があること。」その「依存度」というのは、いずれか一方にとって相手方との取引額が自己の取引総額の百分の二十以上を占めている、こういうことがついているわけです。  ですから、共同使用に当たってこういう条件を付さないわけですか。すると何か、業務上の関係というものを規制する基準を持つわけでしょう。それとも全く、私たち二人は業務上に通信をとる必要があるのですということを言えば、それで通してしまうということですか。どうですか、その点は。
  125. 守住有信

    守住政府委員 いまの点は、共同使用の方はいわゆるデータ処理、オンライン情報処理のための自由な使用、こういうことでございますが、それは大幅な自由化をやる。  いま御指摘になりました電話の共同専用ということにつきましては、その大きな範囲の中でいわゆる緊密関係ということで、これは単にいわゆるデータ処理だけでなくて電信電話的利用も認めるという分野の方を、電話の共同線の利用の緊密関係というものの制度的な考え方をそこに導入しようということでございますので、共同使用の関係というデータ処理のためのものは大幅に自由化になりまして、その中のごく一部、いわゆる電信電話的利用を認めようという分野が共同緊密関係というもので、いまお示しになりましたような部分の考え方を援用しよう、こういうことでございます。
  126. 市川雄一

    ○市川委員 ところが、その電信電話的な使用というのは、いわゆるメッセージスイッチングのことだろうと思うのですね。じゃ、そのメッセージスイッチングに当たる部分をこの基準でやろうということですか。共同使用の中のメッセージスイッチングに当たる部分はこの基準を適用しますよということの意味ですね。
  127. 守住有信

    守住政府委員 お尋ね、御指摘のとおりでございます。
  128. 市川雄一

    ○市川委員 それはわかっているのですよ、わかって聞いているのですから。  そこで、そのメッセージスイッチングがこういうことになりますと、こういう基準がついてしまいますと、これは実際問題は共同使用の自由化ということにならないわけですね。  たとえば、カルピスの会社が、ある九州のお客さんから一千本のカルピスを注文された。それを在庫管理する倉庫業者に連絡する、倉庫業者が運輸業者に連絡する、そうすると運輸業者がそのま客に届ける。これは言ってみれば、一千本なら一千本の注文というメッセージがただぴんぴんぴんと行くだけなんですね。コンピューターは通るが、情報が変更されないでそのまま行ってしまうわけでしょう。そちらでは、それはだめだというわけでしょう。幾らコンピューターを通過しても、コンピューターに一回蓄積されるか、コンピューターの処理があって情報が変更されたものが相手側に届くのでなければ、メッセージスイッチングで、それは電信電話的な利用だからだめだというのが郵政省考えだと思うのですよ。しかし、いまの産業の実態から言えば、そういう活用方法が多いわけですよ。その一番活用方法の多いところを、電信電話的な使い方だからだめなんだ。自由化はしましたが、いま私が申し上げたような、こういう基準を設ける。これは中小企業なんか全然シャットアウトですよ、この基準では。  だから、共同使用の自由化、自由化と言うけれども、結局は、資本的な関係が残るじゃありませんか。メッセージスイッチングが自由化の一番阻害要因になっているのですよ。その一番阻害要因になっている部分を、またこういう条件をつけちゃうわけですから、幾ら共同使用が自由になりましたと言っても、こういうメッセージスイッチングを含めた高度通信を利用しようとする中小企業におきましては、こういう関係がつくれないわけです。利用できないということじゃありませんか。これじゃ本当の自由化にならないじゃありませんか。それを言っているのです。どうなんですか、その辺のお考えは。
  129. 守住有信

    守住政府委員 いま御指摘になりました点がまさしく、私どもが他人の通信の媒介を業として行うといういままでの電電公社の完全独占の分野を一定の前提条件のもとに道を開こうといたしましたけれども政府部内の意見の調整がつきませんで、また時間的余裕もなくて今回断念せざるを得なかったいわゆる新しい高度通信サービスの分野の問題である、このように私どもはとらえておる次第でございまして、この問題がどうしても調整がつかなかった分野の問題でございます。     〔愛野委員長代理退席、委員長着席〕
  130. 市川雄一

    ○市川委員 調整がつかなかったのじゃなくて、どうも――まあ、それはそれでわかりました。  要するに、ですから、共同使用は大幅に自由化しましたと言うけれども、いままで一番自由化の阻害要因になっていたメッセージスイッチング、この部分にまたこういう二つの基準、しかも二つの基準の中にまた二つの条件が合わさったものがかぶされちゃうわけですから、実際問題としては締め出しなんですよ。やはり限られた人しか使えない。それもややこしいわけです、この基準というのは。これじゃ何にも自由化にならないのですよ、大臣、これは自由化、自由化と言うけれども。こういう条件で使える人なんて、ごく限られてしまいますよ。そういう認識をしっかり持ってもらいたい。これをもって自由化だなんて、僕はとんでもないと思うのです。  次に、他人使用についてお伺いします。  自由民主党政務調査会会長田中六助氏の五十七年三月十五日の通産省と郵政省の裁定ですか、この文書があるわけですが、この裁定を通産省も郵政省も受け入れたと思うのです。  ここに、たとえば、要旨ですが、「業務上緊密な関係にある中小企業者のために使用されるものに限り、一定の条件の下に、他人の通信の媒介を認めるよう措置すること。」こうありますが、ここで言う業務上の緊密な関係、これは何か具体的にはっきりした基準があるのかないのか。それから「一定の条件の下に」こうなっていますが、この「一定の条件の下に」というのは、一体どういう条件を想定されておられるのか。この二点を郵政省、それから通産省、両方にお聞きしたいと思います。
  131. 守住有信

    守住政府委員 共同緊密関係と申しますのは、電話の専用線の緊密関係と同じように考えておる次第でございます。  「一定の条件」につきましては、やはりこれが通信の問題通信秩序と関係する問題でございますので、一定のチェックは必要ではないか、こういう考え方のもとに、またその範囲の問題もございますので、この点につきましては電電公社と早急な調整を図って検討しながら決めてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  132. 岡松壯三郎

    ○岡松説明員 お答え申し上げます。  「業務上緊密な関係」につきましては、郵政省から受けております説明は、先ほど先生が引用された点でございますが、電話の共同使用の緊密関係の場合と同じく、法律六十六条にあらわれている「業務上緊密な関係」がここにも適用されるというふうに説明を受けておりまして、さよう了解いたしております。  それから「一定の条件」という点につきましては、この範囲についてまだ手続とそれから通信の範囲が残っておるわけでございますが、これにつきましては今回のその行政改革の精神、それにのっとって手続は決められるものというふうに考えておりますし、また通信の範囲につきましては公社との調整を踏まえて検討ということでございまして、この点につきましては郵政省行政管理庁、通産省三省庁間で十分相談、調整が行われるもの、そのように了解いたしております。まだ具体的な中身は決まっておりません。
  133. 市川雄一

    ○市川委員 通産省も余りここで郵政省とけんかはしたくないのでしょうが、もうちょっと通産省らしい答弁をしてほしかったのです。  要するに、共同使用についてさっき申し上げました。いま他人使用についても聞いているのですが、この他人使用の業務上緊密な関係というこの基準は、いまの御答弁だとやはり電話の共同専用契約締結基準になるとおっしゃっていましたね。やはりこの基準がまた非常にやかましい基準ですね。大臣、何で自由化なさるのに、こういう百分の十を超える株式または出資の所有関係、いわゆる資本のつながりですね、資本のつながりがなければいけないとか、取引の依存関係が百分の二十をいずれか一方が占めているとか、そういう取引の依存関係とか資本の関係があれば自由に使って結構ですよ、なければだめですよという――回線の利用についてコンピューターの技術革新の成果を利用しようとしておるわけですよ。日本を活力ある社会にしようとするわけでしょう。それに当たって、何でそういう資本の関係がなければいけない、取引の関係がなければいけない、ある人はいい、ない人はだめだ、これは何にも合理的、論理的な基準じゃないじゃありませんか。何でこういう基準を設けてこうやって阻害しなければならないのですか。
  134. 守住有信

    守住政府委員 電話の専用線という問題でございます。それを援用しておるわけでございますが、電話の専用線を共同で利用する場合には、御承知のとおり業務上緊密な関係を有することが必要というふうに相なっております。この業務上緊密な関係というものを定めるに当たりましては、その事業の目的、内容あるいは具体的な取引関係は社会通念に基づいて判断する必要があるということのために、具体的な基準として共同利用する利用者の資本関係及び取引関係を用いたものでございます。  これは、本来電話の専用線というものが、その専用線の利用者が原則本人ということでございますけれども、本人に近い関係、いわば準本人というふうな物のとらえ方をしておりまして、準本人ともいうべき者にも専用線の共同利用を認めるために「業務上緊密な関係」、こういうことを概念として用いておる次第でございます。  今回の法改正におきまして、データ通信の方につきましても、その共同使用におきまして業務上緊密な関係があれば電信電話的利用も認めるということからのものでございます。
  135. 市川雄一

    ○市川委員 ですから、基本の本質部分においては自由化していないんですよ。電話的使用というのは本人、身内という考え方でしょう。この基準は、そういう販売会社と製造会社とかあるいは緊密に依存関係がある、ある資本系列とかある商売の系列とか、そういう身内の者に限ってメッセージスイッチングを含めた自由化を認めようということであって、結局その発想がこれは単独形態の変形なんです、言ってみれば。ある大きな会社がある、その中ではいいですよと認めてきたものを、その会社がたまたま営業政策上販売会社と製造会社に分かれたとか、そういうものはいいんだ。ですから、単独形態の変形を認めているにすぎないんであって、こんなものは何も自由化じゃないじゃありませんか。こんな古い考え方では、八〇年代の、さっき大臣のおっしゃったような活力は日本の社会から生まれてきませんよ。それを申し上げておきたいと思うのです。  もう一つ重要な問題をお聞きしたいのですが、この田中裁定では、「本措置は、他人使用の回線利用全体の新たな在り方につき結論を得るまでの間の臨時暫定のものとする。」さらに「政府は、他人使用の回線利用全体の自由化の在り方につき、早急に結論を得るよう努力されたい。」こうあるのですが、これはいつごろまでにここで言う他人使用の回線利用全体の自由化のあり方についての結論が得られるのか、これをお聞きしたいと思います。
  136. 守住有信

    守住政府委員 御指摘の他人使用の回線利用全体の自由化のあり方につきましては、何度も申し上げておりますように、公衆電気通信秩序の関連、通信の秘密や信頼性の確保等、そういう通信秩序が維持されることを前提といたしまして鋭意検討を行いまして、できるだけ早期、私どもとしては次期通常国会までを目途としたいという気持ちでおるわけでございますが、早期に結論を得たいというふうに考えておる次第でございます。
  137. 市川雄一

    ○市川委員 もう一つ、今回のこの田中裁定並びに改正法案では、高度通信サービスの一つであるメールボックスサービスというものを認めるお考えなのかどうなのか。それはどうですか。
  138. 守住有信

    守住政府委員 この通信の範囲につきましては、電電公社との十分な協議ということを前提にいたしておりますので、電電公社とも十分協議をしながらこれについて今後検討してまいりたい、このように考えておる次第ございます。
  139. 市川雄一

    ○市川委員 臨時調査会第二次答申の中で、次のような指摘をしておるわけですね。「必要最小限度の規制範囲を明定するため、ネガティブリスト方式を用いる。」第二臨調の答申ではこうなっておるわけですね。しかし今回行管庁が国会に提出した行政事務の簡素合理化に伴う関係法律の整理及び適用対象の消滅等による法律の廃止に関する法律案というこの法律案の中に、いわゆるいまの改正案が入っているわけですが、この電気通信に関する改正案では依然として従来のポジティブリスト方式を用いようとしているわけですが、これは臨調の方針と異なるんじゃないですか。その点はどうですか。
  140. 守住有信

    守住政府委員 こういう共同使用の郵政省令だとかいろいろな基準につきまして現在検討中でございますけれども、ネガティブリストで書くべきだというふうな意見、声があることは承知はいたしております。  ただこういう問題に当たってより大切なことは、やはりその判断の物差しというものを明確にするということが一番大切だというふうに考えておりまして、この意味で言いますとネガかポジかというのは非常に立法技術上の問題というふうな面にもなってまいるわけでございまして、より明確な方法によるのが妥当ではないか、このように考えておるわけでございます。  データ処理のためのデータ通信回線利用ということにつきましてのいろいろな省令なり基準なりの書き方の問題でございますけれども、より明確な物差しをつくっていこう、こういう精神で推進していこう、こう考えておる次第でございます。
  141. 市川雄一

    ○市川委員 ネガとポジの本質的な差は、そんな明確な方針があるかどうかの差でもあるかもしれませんが、そうじゃないと思うのですね。ネガティブというのは、最低これはだめです、だめなものをはっきり明示する、それ以外は全部自由です、これがネガの本質だと僕は思うのですね。ポジは、これはいいよ、これはいいよ、あとはやっていいのだかやってはいけないのだかわからないという、非常にあいまいさが残る。それを見抜いているからこそ、臨調はネガティブ方式にしろということを言っているわけでして、そういう明確な方針はポジティブじゃ出てこないと思うのですよ。もうあれこれと全部規定しなければならない。行政の簡素化に全然逆行すると思うのですよ。  それから、臨調では「データ通信回線の利用については、不特定多数を相手にもっぱらメッセージスイッチングを行うシステムを除き自由にする。」こう書いてあるのです。こういう方向性とも逆行するんじゃないですか。どうですかそれは、逆行しませんか。
  142. 守住有信

    守住政府委員 先ほどのネガの問題、なるべくネガで書きたいというふうな気持ちで取り組んでおるわけでございますが、何せこの世界は技術の進歩というのが非常に激しいと申しますか、いろいろな新しいメディアとか新しい通信サービスあるいは通信処理等々が出てまいります。そういう場合に、いまの時点でここですぱっと割り切っていいものかどうかという面もあるわけでございます。しかしその精神は、ネガというふうな考え方で、より明確な物差しをつくっていかなければならない、このように考えておる次第でございます。  それからもう一つお尋ねの、これは全体論だろうと思うわけでございますが、今回の第二次答申につきましては、政府全体といたしましても郵政省といたしましても、基本的な通信秩序、通信政策とのかかわりもございますけれども、この答申を最大限尊重していきますし、なお残された問題いろいろお尋ねがございましたが、これにつきましては継続して取り組んでまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  143. 市川雄一

    ○市川委員 ソ連の社会なんかでは、八百万種類の価格を国家計画委員会決定している。ですから、一つの商品の価格を決定するのに十年かかってしまう。十年かけて価格を検討していますからうまくいかないわけですよ。要するに同じことなんですよ。何か許認可で抑え込もうったって、技術はどんどん変化してしまう。その法律ができたときには現実が全然変わってしまう。ですから、最低限のことをしっかり押さえたらあとは自由化する、民間の活力をもっと活用する、このくらいの気持ちがなかったらデータ通信なんというのはだめだと思うのです。アメリカをもうちょっと見たらいいと思うのです。何もアメリカのまねをしろということを言うのじゃなくて、アメリカはかなり大担に自由化したでしょう。  そこで、時間も迫ってきていますので、メッセージスイッチングについて具体的にお伺いしたいと思うのです。どうもこのメッセージスイッチングというのは、電信電話的な通信回線の利用ということで、ある場合はいい、ある場合はだめだ、こう言っては失礼ですが、非常に郵政省とか電電公社の恣意的な判断というのが入り込む余地がある。みんな困ってしまうわけですね。  そこで一つ具体例をお聞きしますが、数字で一一〇と入力して、電算機が翻訳して端末にかたかなで「ドロボウ」と出てきた、これはメッセージスイッチングですか、どうですか。
  144. 守住有信

    守住政府委員 いまのお話の例でございますけれども、それがどのようなものか具体的なイメージがなかなかわかないわけでございますけれども、(市川委員「数字がかたかなに変わったのが、メッセージスイッチングになるのかならないのかと聞いている」と呼ぶ)そこだけを抜き出しましたものでは、われわれとしてもなかなか判断しにくい。実際のシステムの中でというふうに考えておる次第でございますが、ただ現実的、技術的という角度でいろいろ御指摘の線も勉強させていただいたわけでございますが、いわゆる通信処理の中でメディア変換というのがございますけれども、タイプライター型端末から入力いたしまして、その入力された情報内容が全く変更されなくてファクシミリ端末に出力されるというようなもの、これはやはり通信を行うための通信処理というふうに私どもはとらえておるということでございます。
  145. 市川雄一

    ○市川委員 だから聞いているのですよ。一一〇で入れたものが電算機を通ったら「ドロボウ」で出てきたのは、メッセージスイッチングかどうかと聞いているのです。答えてくださいよ。
  146. 守住有信

    守住政府委員 お互いの約束事でのことだろうかと思うわけでございますが、一つの通信規約と申しますか、したがいましてこれはメッセージスイッチングになるのではないか、このように考えております。
  147. 市川雄一

    ○市川委員 こうやって数字で入れたものがかたかなで出てくる、明らかに電算機が翻訳という処理をやっているわけでしょう。それを認めないわけですよ、電話的に使っているのだと。こういうことじゃ、そんな発想は因循こそくですよ。  それからもう一つお伺いしますが、たとえば証券番号五四〇四と入力した、電算機を通って出てきたらかたかな漢字で「A鋼管会社」と出た、これはどうですか。これもだめですか。
  148. 守住有信

    守住政府委員 そういう例等々につきましては、さらに御指摘のようなものも踏まえまして、その部分だけ実際の仕組み、システムで今後通産省とも十分詰めていきたい、このように考えておる次第でございます。
  149. 市川雄一

    ○市川委員 要するに、現場ではこういうことが困っているわけだ。メッセージスイッチングはいけませんと言いながら、メッセージスイッチングのはっきりした定義をあなた方が持ってないのじゃありませんか。それで全体のシステムだシステムだと、何かわかりづらい大きな分野に巻き込んで、けちつけるわけでしょう。だから、質問通告も十分にやっているのだし、検討してはっきり答えてくださいよ。  通信回線があって、コンピューターがあって、五四〇四で入れたらこっちの方に「A鋼管」で出た。数字がかたかななり漢字に変わった、これもメッセージスイッチングなのかどうなのかと聞いているわけだ。さっきはメッセージスイッチングですと言ったのですが、いろんな種類があるわけですよ。こういうものを一々郵政省で許可してくれるのかどうか、電電公社でいいのかどうか考えながら、共同使用許可になるのかどうなのか、許可にならなかったらどうしよう、こんな状態に置いているわけですよ。だから、許可にならないのだったら、莫大な投資したってだめなんですからやらないですよ。こういうことで実際苦しめているわけだ、自由化、自由化と言いながら。  ですから、それじゃ現実にはどう処理しているのですか。数字で入ったものが電算機で翻訳されてかたかなや漢字であらわれてくる、これはメッセージスイッチングである、こういう定義で現実のいまの行政では処理しているのですか、それはどうですか。
  150. 守住有信

    守住政府委員 コンピューターの方でいろいろな情報を処理加工して出ていく場合は情報処理、データ処理というふうにとらえているわけでございますが、内容を変更することなくそれがコンピューターの蓄積交換機能によって電送されるというものは規制を要する通信である、このように考えておる次第でございます。
  151. 市川雄一

    ○市川委員 ですから、そういうところに何でしがみつかなければならないのか、それがぼくにはわからないのですよ。  これは大臣、どうですか。こんなことでは、八〇年代の情報化社会、活力だなんて成りませんよ。こういうことまでうるさく、認可するかしないかなんてことに口を挟んでいるようじゃ、これじゃ全く窮屈な社会をつくろうとするものじゃありませんか。  五十五年度の通信白書には「情報通信事業者の育成」ということをうたっておるわけですよ。この中で何と言っているかというと、「この事業は今後の我が国発展の重要な担い手であることから、積極的に育成していくことが必要であり、市場環境の整備等を含め、長期的ビジョンに立った総合的育成策を展開しなければならない。」こう五十五年度の通信白書ではうたった。五十六年度の通信白書ではこの部分を落とした。作為的なのか、一回言ったからいいということなのか。こういう御認識はいまでもあるのですかどうですか。大臣、どうですか。通信白書でこういうことをうたっておるわけです。
  152. 守住有信

    守住政府委員 私ども、民間の情報処理業と申しますか、コンピューターと通信とを結合した計算センターの世界でございますが、それに対しましても大きな関心を持っておりますし、さらにこれが新しい通信サービス業、高度通信サービス業への発展ということをこいねがうために、電電公社との公正な競争条件への環境整備だとかあるいは公衆電気通信秩序の維持の観点からの分野調整等々を踏まえながら、こういう世界についての振興発展というものを政策課題としても考えていかなければならぬ、このように考えておる次第でございます。
  153. 市川雄一

    ○市川委員 時間が来ていますので、大臣に最後に総括してお伺いしたいのですが、たとえばアメリカなんかでは、バリュー・アデッド・ネットワーク、VANと通称言われておりますが、こういうものも含めて自由化されているわけです。アメリカを例に申し上げますと、もう御承知かと思いますが、その発展段階を見ますと、電話回線、マイクロウエーブ、付加価値通信、衛星通信、ディジタル通信、こういういろいろな形態がありますが、それぞれの分野に競争原理を導入して民間の活力を生かしている。したがって、新しい需要が掘り起こされて、料金が非常に安くなっているとか、いろいろなメリットが生まれておるわけですが、日本では営業的なことはすべて電電公社と国際電電が独占しておる。営業的なことはですよ。まして、いま共同使用とか他人使用に関したって、しちめんどうくさい規定をたくさんつくろうとしているわけですよ。  私は、電電公社をなくしたいと言っておるわけじゃなくて、電電公社データ通信部門について公平な土俵を設定して、そしてその土俵の上で、自由競争を前提として電電公社データ通信サービスをやる、しかし同時に民間もやる。何も、民間に有利で電電公社に不利な条件をつくれということを言っているわけじゃない。全く同じ条件を認めてあげて競争させる、そういう方向を目指すのがこれからの八〇年代を見た場合のデータ通信政策の本来のあり方だと私は思うのですが、その点について大臣の御見解を承って、質問を終わりたいと思います。
  154. 箕輪登

    箕輪国務大臣 いわゆるVAN、電電公社の回線にコンピューターを接続し付加価値をつけた新しい通信サービスについては、一定の規制のもとに民間企業の参入を認めていきたい、電電公社との間で公正な競争が行われるようにすべきであると私も考えております。この制度づくりのための法律の制定についてただいま検討を続けているところであります。次の国会までにはつくりたい。残念ながら、今回は政府部内で調整がつきませんでしたので継続検討となったことは先生も御承知のとおりであります。しかし、各界の専門家の意見も徴しながら、できるだけ早く政府部内の調整を済ませて、この制度の創設を図りたいと考えております。  つけ加えて申し上げますと、先ほどから先生は、それじゃ自由化じゃないのじゃないか、ああでもない、こうでもないというへ理屈をつけているというお話でございましたけれども、やはりいままで独占でやっておった通信業を民間にも許すことになるわけでございますから、だれにでもかれにでも自由化で規制なしにやるということにはならないと思うのです。  たとえば、先生もお持ちでしょう、私も持っているのですけれども、車です。私は車を持っているから、同じ車じゃないか、おれの車もトヨタだよ、その車を持っているやつがハイタクをやりたい、トラックを持っているやつがおれもハイタクをやりたい、これを規制なしに野放しに認可するということだけはやはりできないのであります。そういう観点から、ある一定の規制のもとにこの新しいVANも認めていこう、こういう考えであることをつけ加えて御説明させていただきます。
  155. 市川雄一

    ○市川委員 いま大臣が例を持ち出されましたけれども、あえて申し上げるのですが、言ってみれば郵政省なり電電公社というのは道路をつくればいいと思うのですよ。公共的、全国的に道路をつくったわけでしょう。これは、早い話が、その道路を走るトラックの量についても郵政省電電公社のトラックを使わなければいかぬということを言っているようなものなのです。そうじゃないのですよ。電電公社なり郵政省は道路をつくったのだから、トラックを走らせてはいかぬとは言っていないのだ、走らせてもいいけれども、トラック事業まで独占しようなどという考えはおやめなさい、民間のトラック業者を育てなさいということを言っているわけです。  それから付加価値通信についても、一定の規制というのは当然必要なのでしょうが、電電公社に有利で民間に不利だという規制では意味がないので、ぼくが言っているのは、一定の規制はいいですよ、そのかわり電電公社もその規制に服する、同じ条件で、同じ土俵で競争させる方向を考えておられるのですか。それなら話はわかるのですけれども、それが何か電電公社の独占的優位性というものを残しながら一定の条件で民間を認めよう、これじゃ認めたことにならない。やはり最終的には同じ土俵でどうぞ、ある一定の規制は受けるけれども両方が同じ土俵で競争するのだ、趣旨はこういうことですか。
  156. 箕輪登

    箕輪国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、この分野における民間の参入は認めるべきだ、私も同じ考えであります。  電電公社がいままで行っていた。競争相手ができるわけです。その競争相手と公平な競争をしてもらおう、それにはやはりルールも同じでなければなりません。電電公社にかぶせている規制は同じように民間にもかぶせなければならない。同じ土俵じゃないでしょうか。そこで公正な競争をやってもらおう、民間の活力も出してもらおう、こういう考えであります。
  157. 市川雄一

    ○市川委員 わかりました。  多少質問が残りましたが、また行革法案に関連しておりますので、以上で終わります。
  158. 石井一

    石井委員長 次に、上田卓三君。
  159. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 郵政省質問する前に、午前中わが党の上原委員から御質問ありましたように、三公社現業期末手当の問題につきまして、きのう政府は自民党の国対委員長を通じて労使の問題には介入しない、こういう回答であったようでございますが、その後、夜分内閣審議室長の石川さんがそれを否定するような発言があり、いま国対でもお話し合いをしておるようでございます。そういう関連もございましてその部分の質問については留保させていただきまして、委員長の方に十分御理解いただきたい、このように思っております。  さて、今回かかっておりますところの設置法でございますが、まず電気通信審議会設置に対する基本的な立場をお聞かせいただきたいし、同時に、この電気通信重要性情報化社会における果たす役割り、こういうものになろうかと思うわけでありますが、そういう基本的な問題についてまず大臣からお答えをいただきたい、このように思います。
  160. 澤田茂生

    澤田(茂)政府委員 電気通信審議会設置についての御質問でございますが、電気通信の近年における役割りの増大と多様化の進展に伴いまして、経済、産業、社会、文化等広い分野に大きな影響を及ぼすようになっておりまして、これに対応いたしまして電気通信行政分野においても、データ通信あるいは画像通信等新しい通信手段の出現、また電電公社の資材調達問題等に見られるような、わが国の国際化の進展に伴いまして発生いたしました諸問題で広範かつ複雑な課題が山積をしているわけでございます。  こういうような情勢のもとで、今後の電気通信発展期待する国民の要請にこたえまして総合的な電気通信政策の策定及び各施策の展開を図るためには、電気通信の諸問題について長期的視点に立って広く国民のコンセンサスを得つつ解決に当たるなどの対応が不可欠となっております。このために、もっぱら電気通信行政に関する事項調査審議いただく電気通信審議会設置していただきたいということでお願いをしているところでございます。  なお、電気通信審議会設置するに当たりましては、現下の厳しい行財政事情にもかんがみまして、既存の審議会の合理的再編成によることといたしまして、郵政審議会改組するとともに有線放送審議会を廃止して、当審議会設置をお願いをしているというところでございます。
  161. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 電気通信審議会の任務というものを具体的に説明をしてもらいたいし、同時に、現状の隘路をどのように克服するのか、そういう点についてお答えいただきたいと思います。
  162. 澤田茂生

    澤田(茂)政府委員 電気通信審議会についての任務等についてでございますけれども電気通信につきましては、ただいま申し上げましたように近年における電気通信役割りというのが大変増大をいたしてまいりましたし、多様化をしてきておる。そうして、それを反映いたしまして電気通信行政分野においてもいろいろな問題が出ているわけでございます。こういうような情勢のもとで、今後の電気通信発展期待する国民の要請にこたえまして総合的な電気通信政策の策定、それから各施策の展開というものを図り、公平かつ能率的な行政を行うための電気通信行政の諸課題について長期的視点に立って調査審議する機関としての電気通信審議会役割りというものに大いに期待をいたしているところでございます。  なお、現在郵政審議会電気通信部会というところで電気通信行政についての御審議をいただいているところでございますけれども電気通信行政重要性の増大にかんがみまして、また片方郵政審議会で行っております他の三部会郵便貯金保険という郵政固有の三事業についての審議をいただいているわけでございますが、これらについての問題も重要な問題が多くなってまいりまして、御審議をいただくという点についても大変重点的な問題になってきつつあるわけでございます。これらについては、片方では郵政事業についての専担としての郵政審議会、また電気通信につきましては電気通信の専担としての審議会というものが望ましいということで、郵政審議会については若干縮小改組という点はございますけれどもスクラップ・アンド・ビルドというものを踏まえながら電気通信審議会設置を図っていただきまして、両者の一層の充実した行政あるいは事業運営に資したいということでお願いを申し上げておるところでございます。
  163. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 電気通信事業の将来展望、それと国際化の動向というものについてどのようにお考えでしょうか。
  164. 守住有信

    守住政府委員 官房長からお話し申し上げましたように、いままでの電気通信部会、利用者との接点の、特に料金の問題、もちろん有線テレビジョン放送の問題もございます。これは有線の方の世界でございますので、それのCATVの有線施設の許可という問題もあわせてこの電気通信専門の審議会で取り組んでいこう。特にいま御指摘の、いままではどちらかというとそういう利用者との接点の料金問題等々がございましたが、さらに八〇年代を踏まえましての新しいメディアというものが技術の進歩とともにどんどん開発されております。データ通信の問題もその一つでございますし、さらには衛星通信とかいろいろな、多元的な、多様な、高度な問題が出てくる。  それからさらに国際化というお尋ねの点でございますけれども、国際通信につきましても、質的に見ても量的に見ても非常な進展を見ておりますし、またその中で国際間のデータ通信発展、こういう問題もございます。あるいはまた先進諸国との間の共同研究開発体制と申しますか、そういう分野の問題もあれば、発展途上国に対する技術協力にさらに力を入れていくというふうな長期的展望のもとにおける行政の取り組みという問題も多々あるわけでございまして、そのような展望あるいは国際化への動向を踏まえての御審議等々をいただき御提言をいただこう、このように考えておる次第でございます。
  165. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 審議会構成について一体どのような見解を持っておるのか、詳しく説明していただきたいと思います。
  166. 澤田茂生

    澤田(茂)政府委員 電気通信審議会構成等についてでございますが、政令で内容等については定めるということに設置法上なっているわけでございますが、私ども現在考えておりますところは、委員定数は二十名以内という予定をいたしております。なお、委員の任命等については郵政大臣が行うということになるわけでございますが、専門委員あるいは臨時委員という方々の任命もできるようにしてまいりたいし、なお審議会運営に当たりましては、部会等の構成というものについても配慮をしてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。  なお、委員の方々につきましては、広く各界の有識者を網羅して、審議会構成が真に国民を代表するにふさわしいものになるよう十分配慮をしてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  167. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 委員構成については、やはり専門的といいますか、あるいは社会的、人間工学的等、あるいは本当に理解のある民主的な幅の広い層から構成することが大事ではないか、このように思っておりますので、最後に大臣からそういう構成について決意を述べていただきたい、このように思います。
  168. 箕輪登

    箕輪国務大臣 委員の具体的な人選に当たりましては、電気通信行政あり方が経済、産業、社会、文化など広範な分野に大きな影響を及ぼすことにかんがみまして、広く各界の有識者を網羅し、審議会構成が真に国民を代表するにふさわしいものとなるよう、十分配意いたしたいと存じております。
  169. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 あと幾つかの関連質問に移りたい、このように思います。  最近、民間の宅配便が非常に伸びてきておりまして、マスコミでは宅配戦争ではないか、こういうような表現も使われておるようでございます。このように民間サービスが普及したことによって、小包郵便にも少なからず影響がある、このように思われるわけでございまして、一昨年の十月に小包郵便料金改定を行ったと聞いておるわけでございますが、その後の小包郵便物の利用状況はどうなっておるのか御説明いただきたい、このように思います。
  170. 魚津茂晴

    ○魚津政府委員 ただいま先生仰せのとおり、五十五年十月から料金改定を小包についてはさせていただいたわけでございます。十月以降の引き受け物数が減少してまいりまして、五十五年十月から五十六年三月まで、前年度に比べまして一八・八%減少いたしまして、五十五年度一年通算しますと、七・七%減少したということに相なっているわけでございます。  ところで、本年度五十六年度でございますが、四月から一月までの数字を私ども持っているわけでございますが、それによりますと前年の同期に比べまして一六・二%の減少、こういうのが実情でございます。
  171. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 小包料金の改定後の物数の減少が大変大きい、このように考えるわけでありますが、料金改定の影響ばかりではなかろう、このように考えるわけであります。やはりその背景には民間宅配便が進出したことも影響しておる、このように思われるわけでありますが、この小包郵便物数の減少をどのように分析されておるのか、お答えいただきたいと思います。
  172. 魚津茂晴

    ○魚津政府委員 従来、小包郵便の利用状況につきましては、料金改定がありますと約二年程度は小包の物数は減ってくるというのが実態でございました。しかしながら、その場合にはその後回復をするという推移をたどるわけでございます。しかしながら、ただいま先生お話にもございましたが、最近、民間の運送業者が小型物件の輸送分野に著しく進出して、これら民間のサービスと一部競合する面が生じているというようなことになると、単に料金値上げだけの理由ではこの厳しい現実というのは説明できないと思います。ということで、民間の宅配便の進出ということが小包の事情を著しく厳しいものにしている、こういうふうに私ども分析をしているところでございます。
  173. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 それに関連して、小包郵便の収支は、現状はどうなっておりますか。
  174. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 お答え申し上げます。  小包郵便物の収支状況でございますが、先ほど先生が御指摘になりましたように、昭和五十五年の十月一日をもちまして料金の改定をいたしました結果、五十五年度の原価計算で申し上げますと、前年に比べまして若干収支は好転しております。現在時点で一番新しい収支状況を申し上げますと、昭和五十五年度における小包関係の総原価が一千二百七十五億円、総収入が九百五億円でございまして、差し引き三百七十億円の赤字となっております。ただいま申し上げましたように、前年度に比較いたしますと赤字幅は百二十一億円減少しておりますけれども、依然として赤字で、収支相償うには至っておりません。  この理由でございますけれども先ほど郵務局長が申し上げましたように、宅配便との競合関係、あるいは小包料金郵便法三十一条によりまして国鉄の小荷物運賃や物価の状況等を参酌して決めることになっているといったような事情から、必ずしもコストに見合った料金が設定されないといったような事情にございます。  しかしながら、小包郵便物はいずれにいたしましても高度の公共性を有している事業でございますし、国民生活にとりましても必要不可欠なものでございますので、今後ともそのサービスを十全ならしめていきたい、かように考える次第でございます。
  175. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 いまのお答えにもありますように、小包郵便というのはいわゆる民間の宅配便と違って、やはり交通の不便な遠隔地とかあるいは離島とか、そのように住民生活上欠くことのできないものではなかろうか、このように考えておるわけでありまして、そういう意味で全国津々浦々に配達網があってきわめて公共性が高い、こういうように考えざるを得ないと思うわけであります。  一部に小包郵便を廃止して民間に任せろという意見があるように聞いておるのですが、私、これは絶対間違いであり反対と考えておるわけでありますが、その点についてどのように考えておるのか、お答えいただきたい、このように思います。
  176. 魚津茂晴

    ○魚津政府委員 小包が赤字である、そのことが郵便全体の赤字という要素になるんじゃないか、民間で一方で小型物件の輸送ということに進出する現状からしますと、この際にそういう赤字の部門をなくしたらどうだという御意見というのは、先生のただいまのお話にもございましたとおり、私どももそういう意見のあることは承知いたしております。  しかしながら、これも先生のいまのお話に出ているわけでございますが、現在民間の業者によるサービスエリアというものを私ども考えてみますと、人口では大体五分の四を民間のサービスエリアではカバーはしているわけでございますが、市町村の数という点からみますと、大体二分の一しかカバーはしておりません。     〔委員長退席、愛野委員長代理着席〕 言ってみれば、採算のとれる地域を民間の業者がサービスエリアとする、こういう現状でございます。したがいまして、私ども郵便局の窓口が二万三千ございますということと、全国をその配達網として完全にカバーをしている現状からいたしますと、今後とも小包というものについては郵便から落とすということは絶対しないで、小包の需要を拡大する、そして小包に要する経費を節減するという形で努力をしていかなければならないということが、私ども小包部門における将来展望と心構えというふうに考えているところでございます。
  177. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 小包郵便については、サービスを改善するなど需要の喚起を図ることが非常に大事ではないかというふうに私は思っておるわけでありまして、そういう点で経営上改善すべきいろいろな点があるだろうというふうに思うわけでありますが、そういう点について具体的にどのようにお考えでしょうか。
  178. 魚津茂晴

    ○魚津政府委員 私どもの小包の需要喚起策ということでそのいわばモデルになるのは、まず民間のサービスの実態でございます。民間のサービスというのは、現在は郵便小包に比べましてスピードが速いという点が一般的でございます。それから料金ということになりますと、重さとか送達する距離によってどちらが安いということは必ずしも言えないと思います。それから取り集めのサービスですね、ピックアップサービスというような点も、民間の業者のサービスとして私ども検討しなければならない点だと思っております。  そこで、小包の需要喚起のために現在私ども具体的にいろいろ検討をしているところでございます。その中身についてはいまの時期にこの場ではちょっと差し控えさせていただきたいと思いますが、考え方といたしましては、国民のニーズのうちのスピード指向という点が何といっても大きいと思いますので、そのスピード指向にこたえるサービス改善、それから郵便のサービスの特性、郵便でなくてはできないというようなサービスを考えながら目下具体的に作業を進めているところでございます。
  179. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 サービスの向上とか改善あるいは経営の改善等を図ることは非常に大事だと思いますが、それが同時に働く人の超過負担といいますか、そういう圧迫にならないように十分配慮してもらいたい、このように思います。  次に、ことしの六月から公共料金等の自動払い込み制度を実施するということでありまして、郵便局でそういうことが扱ってもらえるならば非常に助かる、便利になるということで国民の評判も非常にいいのではないかと、私も全面的に賛成であるわけであります。  特に新聞等でも、これは投書欄でありますけれども、三月十一日の毎日新聞では「今でも銀行の自動払い込み制度はありますが、あまり銀行に縁のない、郵便局のわずかな貯金だけが頼りのサラリーマンにとって、郵便局は近所づき合いのような気安さがあります。」こういうようなことも述べておるようですし、また十八日付の朝日には「特に農村では、身近に利用が出来て便利になり、大変うれしいことです。それなのに、民業は「ルール違反と反対運動を展開していく構え」と、ただならぬ雲行きです。庶民の暮らしが便利になることなのに、どうして邪魔をするのですか。」こういうように問いかけております。  銀行協会などにおいても何か商売がたきと言わぬばかりに反対抗議をしているというようなことも聞いておるわけでありますが、これに対する郵政省としての決意というのですか、そういうものを大臣からひとつお答えいただきたい、このように思います。
  180. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 大臣からお答えいたします前に、事務当局からの御説明をさせていただきたいと思います。  いま先生指摘のように、新聞投書等にもございますことは私ども承知をいたしておりますが、郵便貯金につきましては、いわゆる個人金融の基幹的な存在であるという自覚のもとに国民の皆様に対するサービスをいろいろな形で提供してまいっております。この六月からは公共料金等の自動払い込みを実施するということにいたしておりますが、これも国民の皆様の強い要望におこたえしようということで、実は昭和四十八年から為替貯金のオンライン化計画を立ててそれを推進してまいりました中で、まだしばらく先でございますが、この五月になりますと全国の郵便局の中で七〇%、利用していただける人口の比率では約八〇%に達する方々にサービスが提供できるという状態になってまいっておるわけでございます。  これまでも、このオンライン化のメリットを生かしました、たとえば既存のサービスの改善を初めとしまして総合通帳といったサービスの改善に努めてきたわけでございますが、今回、お支払いをいただく方の通常貯金から、料金を受け取る側のいわば収納事業者と申しますか、その郵便振替口座に継続的に自動払い込みの取り扱いをしようということを考えたところでございます。  これも昨年十二月の新聞社の調査によりまして、いまの段階では国民の皆様方からの御希望の一番強いものというふうに私ども承知をいたしておるものでございますが、ただいま先生の御質問にございました民間金融機関からのいろいろな意見というものも私ども承知はいたしております。これに対する考え方でございますが、先ほど申しましたように昭和四十八年以来オンライン化を計画してきて、それの普及がかなりな程度に達したという状態を踏まえ、なおかつ、これまで実施をしてきております通常郵便貯金の払い戻しと郵便振替の払い込みサービスの二つの組み合わせ、これは現行法の枠の中で郵政省令、つまり郵政大臣の権限の中で措置ができるというものでございます。そういうことでこの六月からの実施を予定いたしておるものでございます。  御承知のように、昨年三大臣合意というものが行われまして、預金金利の決定等についての金融懇問題につきましての決着がついたわけでございます。われわれといたしましてはいま申し上げましたようなことのサービス改善を行っていこうということで、同時にこれは、郵政省といたしましても事業の合理化、効率化の観点から、いわゆるエレクトロニクス時代の個人金融サービスにふさわしいサービスということで、できるだけ皆様方に御利用をいただこうということで対処しているところでございます。
  181. 箕輪登

    箕輪国務大臣 ただいま局長からお話ししたとおりでございますけれども先生御心配の銀行協会等のお話がございましたが、これは、ただいま局長説明した昨年九月三十日の、郵貯戦争の結末、三大臣の合意、あれに反するものではございません。先生も大変期待をされて御発言をされておりましたが、六月一日からは実施したい、こう考えております。特に銀行等においては、民間金融機関は十年も前から始めていることでございます。ただ、銀行のあるところはいいが、銀行の支店のないようなところ、そこには郵便局がございますので、このオンラインシステムを活用して、自動払い込みは六月一日から実施したい、こう考えております。
  182. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 ぜひともそのようにお願いしたいと思います。  そこで郵便貯金の件でございますが、特に最近の郵便貯金の増加というのですか、減っているのじゃないかと思うのですが、その状況をお聞かせいただきたいし、減少している、不振であれば、その原因は一体どこにあると考えているのか、お答えいただきたいと思います。
  183. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 郵便貯金の近年の増加状況でございますが、五十三年度以降、五十五年度の一時的な急増という状態を除きまして、御指摘のように伸び悩みの状況にございます。五十六年度、本年度の増加状況は、二月末の数字で申し上げますと、いわゆる窓口での、お預かりしたものとお支払いをしたものとの差としての純増加額とわれわれが申しております数字が三兆四千九百三十九億円でございまして、これは前年度の同期実績に対しまして五六%でございます。なお、元加利子を加えました総増加額では、同じく二月末現在の数字が七兆六千三百八十三億円でございまして、これも前年度同期実績に対しまして八三%という伸び悩みの状態にございます。  この伸び悩みの要因といたしましては、郵便貯金は御承知のように個人の利用が大部分を占めておりますので、家計というものと非常に密接なつながりがございます。その家計の可処分所得の伸び率というものが現在の経済の安定成長という状況のもとで低下をしてきているというのが伸び悩みの原因の一つでございます。  もう一つは、住宅ローンとか進学ローンといった各種の消費者ローンの残高が年々増大をしてきております。これの返済の負担が大きくなってきているということが、反面の貯蓄の伸び悩みに影響しているというのがございます。  それから三番目には、金利選好の高まりということがございまして、個人の金融資産選択が非常に多様化してきている、また、それに対応した有利な商品が開発されてきているといったことが、ただいま申し上げましたような五十六年度状況の原因であろうかというふうにわれわれは分析をしているところでございます。
  184. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 いずれにしても、景気が芳しくないというのですか、景気の後退というのですか、そういうものに影響するところが多い、このように理解していいのではないかと思うのですが、その点どうですか。
  185. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 やはり基本的には、日本の経済成長、そして家計の可処分所得との関連といったことが大きな要素であることは、いま先生の御指摘のとおりでございます。
  186. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 経済の問題については郵政省に言ってもどうかと思いますけれども大臣がいま退席されておるのであれですけれども、やはり閣僚の一人として、貿易摩擦の問題あるいはアメリカの高金利政策もありますが、同時にやはり、国内の景気のてこ入れといいますか、需要の喚起、内需の拡大、こういうことがぜひとも大事ではないか、そのことが郵便貯金に反映してくる、私はこういうように理解をするものであります。  さて、テレビなどを見ておりますと二カ国語放送というのがあるわけですが、特に、文字多重放送というのですか、全国の聾唖者が、テレビを見ても何もわからないということで、文字多重放送の実現を大変要望されておるのではないか、こういうように思うわけでございます。  放送法等の一部改正案が国会に提出されておるわけでございますが、その見通しというのですか、あるいは実用化計画というのですか、そういうものが一体どうなっておるのか、詳しく説明をいただきたい、このように思います。
  187. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 文字多重放送でございますが、先生がただいまおっしゃいましたとおり、テレビ画面に関連いたしまして、二行程度の字幕をスーパーする、そういうことも可能でございまして、特に聴力障害者のためにはきわめて有効であり、福音的なものであると考えているわけでございます。  郵政省は、こうした技術開発の成果というものはできる限り早急に社会に還元すべきだ、そういう考え方のもとに、実用化のために、まず省としての受け皿、法律的な手当てをするということで、目下、放送法等の一部改正案の中にいま言った趣旨を盛り込みまして提出しているところでございます。  そうして、私どもとしてそういう形での受け皿をつくると同時に、この実現のためには、やはり送り手の放送事業者、また、それを受ける場合にはアダプターというものが必要でございますが、メーカーの開発、低廉なアダプターの早期の市場への進出と申しますか、そうした意味において、関係の業界あるいは放送事業者にもその点の詰めというものを急いでもらっておるというところでございます。
  188. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 あとの質問はぜひ大臣がおる場でやりたいと思いますので、すぐお見えになると思っておりますので、少し中断させていただきたいと思います。  大臣は北海道の御出身であるわけですから、いわゆる同和問題というものに認識が少ないのじゃないか、こういうふうに思っておるわけでありますが、特に、同和対策事業特別措置法が、十年が切れて後三年延長され、そしてこの三月三十一日に、その三年延長された法律が時限切れになる。こういうことから、先般、内閣委員会そして本会議で、新しい法律ということで、地域改善対策特別措置法が可決決定されたことは大臣も御存じのことだろう、こういうふうに思うのですが、実は大臣、全国の郵便局の中、たとえばトイレとかエレベーターの中で、本当に聞くにたえないというより見るにたえない、はらわたの煮え返るような悪質な差別落書きが後を絶ってないのですね。そんな実情を大臣は御存じなのかどうか。  それだけじゃないのですね。いわゆる差別郵便物というのですか、封書の物もたくさんあるわけですが、私は本人の了解を得て六通のはがきを持ってきているのですが、特にはがきの場合は人の目に触れますね。確かに郵便局員の方は表を見てもいいけれども裏を見てはいかぬというようなこともあるようには聞いておるのだけれども、それでは実際裏を全然見てないのかというと、やはりどうしても目に触れるという場合があるのではないか、こういうように思うのですね。  私は、具体的な差別用語あるいは賤称用語は、国会の場ですからここでは触れませんが、これにちょっと目を通していただきたいと思うのですが、本当に読む気がなくてもぱっと、ちらっと、目立つように書いてありますからね。普通の文字の中にその用語があるのじゃなしに、特に差別はがきの場合は裏じゃなしに表にわざわざ赤で書いて、これは一体何だろうというように見れるようなものになっている場合が多いのですね。  このはがき、これは年賀はがきなんですね。それじゃそれをお正月に出しているのかというと、そうじゃなしに十一月に出して、それも同じ内容の物をしつこく六枚出しているのです。そうして差別はがきの場合の特徴は、発信人は確かに住所と名前は書いてあるのだけれども、そこにはその人間がいないのですよ。当然私のところへも来ているし、その他これに関係する人々のところへもそういうものが来ておるわけでございまして、ちょっと一回これを大臣に見ていただきたいと思います。  そこで、ずばり言って、このような差別はがきというものについてどのように郵政省として把握されておるのか。裏を見てはならぬということだけれども、実際現場の郵便局員の告発というのですか、訴えというのですか、幾ら何でもわしはこんなものよう配達せぬという形で上司に相談している部分があるわけでありますが、そういう点について、いま大臣ちょっと見ていただいておりますので、だれか局長の方から、そういう実態の把握についてどうしているのか、まずお答えいただきたい、このように思います。
  189. 魚津茂晴

    ○魚津政府委員 郵便物の記載内容等を調査する場合、郵便物の検閲の禁止、通信の秘密の確保について十分配意しなければならない点もございまして、現在までまとめた形でお答えするには残念ながら至っておりません。私ども、いま申し上げた配意すべき点に十分気を配りながら、早急に件数について取りまとめを行うことにいたしたいということで対処しているところでございます。
  190. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 この差別はがきを発見した場合、それはどういう取り扱いをしていますか。
  191. 魚津茂晴

    ○魚津政府委員 差別文言を記載したはがきを発見する場合、郵便の取り扱いの工程の中でいろいろの場面がございますが、一番問題になりますのは、配達段階で発見したということに限定して申し上げますと、私ども従来からこのようなはがきが発見されたという場合の対処方については、関係の課長会議を本省等でやった場合に指導はしてきていたところでございますが、その指導に間違いのない統一性を与えるというような趣旨で、昨年の十月に通達を出しまして対処方法について明らかにしたところでございます。  いま、配達部門についてそういう発見をした場合の具体的な方法でございますが、まずこれを受取人に持っていく人を管理者にしているという点が特例的な措置として一つございます。それから、郵便はいかなる場合でも受領を拒否する自由はございますけれども、その差別はがきについて、管理者が受取人のお宅に参りまして、こういうようなはがきなんだけれども、あなたはお受け取りになりますかどうかというような意思確認をするというようなことが、特例的な措置として具体的に指導しているところでございます。
  192. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 そういう通達を出して徹底をしているというお話ですが、現状はそういうことをしている局は少なくて、そうでない場合の方が多いのではないか。そういう意味では徹底がされていない、もっと強化していただきたい、私はこういうように思うのです。  これは大臣、聞いていただきたいのですが、同和問題、いわゆる部落問題について、われわれも一生懸命それなりの一定の教育活動もしたりして自覚的な人間のところへ、この問題の解決のために努力しているような人たちの家へこういう郵便物が来るという場合、それは当然はらわたの煮え返るような憤りはあるとはいうものの、それの一定の心構えというか、それはあるわけです、現実にある厳しい部落差別というものをよく知っておりますから。しかし、やはりはがきですから、家族の人間がすぐ見ますね。そうすると、小さな子供の目にもとまりますし、中にはいわゆる同和地区と言われている地域に住まないで、おじいさんの代あるいはそれ以前にでも一般の社会に住んでいる、こういうような場合、本人はいざ知らず、子供たちは何にも知らない、隣近所も何も知らない、時たま玄関先にそのはがきがあったために、そこの人が部落の人であるというようなショッキングな、そのことによって結婚の問題に発展したり、また、就職の問題とかあるいは村八分というのですか、隣近所からつまはじきにされるとか、そのことで子供が家出するとか自殺するとか、そういう非常に悲しい出来事が全国でたくさんあるのですが、これはひとつ大臣にそういうことについての一般的な御感想を聞きたいということと、同時に、たとえば爆発物というのがありますね、爆発物ということがわかっていて、これは届ける間に爆発したら大変だということにもなるだろうし、局に置いておいても問題だということで、やはりそういうものについては配送しないというようなこともあるのじゃないか、こういうふうに思っているのですが、そういう意味で、こういうものを受け取っても配達しないということをぜひともしていただきたい、こういうふうに私は思うのですが、まず大臣から感想も含めてお答えいただいて、あと事務方でこの問題について、法的な問題もあろうかと思いますが、御説明いただきましたら非常にありがたい、このように思います。
  193. 箕輪登

    箕輪国務大臣 ただいま先生がお示しいただいたいわゆる差別はがき、拝見いたしました。まことに遺憾なことであり、私も本当にふんまんにたえません。同和問題の解決は、国及び地方公共団体の責務であり、同時に国民課題である、こういう認識のもとに、この問題解決のために郵政省も努力はしてまいったところでございます。しかし、このような悪質な差別文書が発生している、その実態を見せていただきまして、本当にふんまんにたえない。まことに遺憾なことであると考えるところでございます。  昭和四十年の同和対策審議会答申に述べられておりますように、同和問題は人類普遍の原理である人間の自由と平等に関する問題でございますし、日本国憲法によって保障された基本的人権にかかわる課題であると考えます。したがって、その早急な解決こそ国の責任であり、同時に国民的な課題であると私は考えております。  また、いまの御質問にありました、もうはっきりわかっているようなこのような差別はがき、その集配については担当の局長から答弁させたいと存じます。
  194. 魚津茂晴

    ○魚津政府委員 差別文言を記載した郵便の取り扱いという現状は、先ほど先生の御質問に答えた次第でございまして、そのことからさらに先生のただいまのお話というのは、そういったものを取り扱わないということにすべきじゃないかというお話かと私いま承る次第でございますが、これを私ども取り扱わないということになりますと、郵便法上の問題として当然根拠を付さなくてはならないと思います。  そこで、現在の郵便法の取り扱いで、郵便としては取り扱わない、出してはいけないというものはすでに法律としては定められております。これはいわゆる郵便禁制品という概念でございまして、この郵便禁制品というのは、先生先ほどお話にも部分的に出ておりまして、十分御承知のところであるわけでございますが、後の問題を考える場合に必要だと思いますのでちょっと簡単にその趣旨について御説明をいたしたいと思います。  この郵便禁制品というのは、二つの理由から現在の法律で定めをしているわけでございます。その一つは、社会的に移動頒布を許されているものでございましても、これが郵便物として差し出されると他の郵便物等に危害を及ぼすおそれのあるものを郵便利用から排除しようとする趣旨のものが一つございます。これが爆発物だとか劇薬だとか毒薬等という一つの側面でございます。  いま一つは、他の法令で移動頒布を許されないものは、事業の公共性からしてこの郵便利用から排除しようとする趣旨一つございます。現実には麻薬でございますとか、まあ、たとえがいいかどうかわかりませんが、わいせつ図書なんかこれに該当するわけでございます。  したがいまして、いま仰せの差別はがきを郵便禁制品というような概念でとらえまして、それを法律上明白にするというためには、他の法令によってこのようなものの移動頒布を禁止する旨の立法措置が現在の郵便法体系の中からは必要になってくるだろう、こういうふうに考えるわけでございます。  そこで、では、その他の法律によって立法上禁止をするというようなことを考えるべきじゃないかということに話はなってくると思いますが、この点につきましては、私ども郵便法の問題ですから、郵政省そのものの問題であると同時に、法務省の御意見なんかもいろいろと伺っているところでございます。  そこで法務省の見解は、また私どももそういう一面があってむずかしいという気がするわけでございますが、憲法第二十一条の言論、通信の自由、それから第三十一条の罪刑法定主義との関連もございまして、現在までのところ、合理的かつ有効な規制措置を見出しがたい状況にあるというのが法務省の見解でございまして、私ども先ほど先生の御提言と申しますか、お話にございました全面的に引き受けない、取り扱わないということは、今後の問題としてなお検討するにしましても、現状におきましてはなかなかむずかしいんじゃないだろうか、こういうふうに考えて、またもとに戻りますが、特例的な具体的な配達部門における留意点を徹底をさせて、この国の責務、国民課題にこたえたい、こういうふうに思って対処しているところでございます。
  195. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 納得できませんね。  これは凶器ですよね。人を殺すのですからね。だから、まあ爆発物と同じだとは言わないが、本当にいま人権問題が大きく、国際人権規約も批准されて非常に、人権外交という言葉もあるぐらい、この部落差別の問題だけじゃなしに、今度内閣にかかるところの不快用語ですか、こういう言葉もなくそうじゃないか、言葉だけではなしにそういう実態的な差別もなくしていこうじゃないかということで、かなり大きな問題になっておるわけであります。そこで、いわゆる郵便禁制品の扱いをしようと思えば新しい法律が要るのじゃないか。法律をつくらなければならないということになれば、これは当然郵政省が十分音頭を取って、これはあなた方の課題としても内閣提出の法律がたくさんあるのですから、これはやらにゃいかぬというように思うのです。  私はここに資料を持っているのですが、昭和五十五年の四月五日付で大阪西局の局長職員に対して声明を出しているのです。その中でこういうことを書いております。「郵便物としては、郵便法の精神にのっとり正当料金を支払っている限り、あまねく公平の原則からその郵便物を運送し配達することを拒否できるものではないが、だからといって郵便物の運送を媒介として差別をバラマク郵便を多数の職員の目にふれながら配達先まで運送されること自体は差別を助長することになる。そこで郵便禁制品のごとく運送配達そのものを拒否する以外に方法はないので、郵政局に対し」近畿郵政局です。「郵政局に対し当局の実態を報告すると共に引受と同時にその運送までもしないよう意見具申したところであります。」こういうことでありますから、近畿郵政局から本省へはこの意見具申はされているはずだ、こういうように思うので、その点がどう扱われておるのか。  この上申書の中で、一、二という項目があって、その一番には「差別用語が郵便物あて名部分に記載されてあるものについては、これを郵便物として取扱いしないこと。」これは省令の改正でいける、こういうように書いています。それから二番目には「上記一項の措置がなされるまでの間、当該郵便物の取扱いについて、文書により各局を指導されること。」こういうことになっておるわけでありますが、このはがきの表書きの方の差別問題については省令でできる、こういうように局長さんは解釈しているようです。その点については本省ではどのように考えておられるのですか。
  196. 魚津茂晴

    ○魚津政府委員 この禁制品というのは郵便法の第十四条で定めておりますが、そのほかに第十五条に「省令による差出の禁止」という見出しの条文がございます。恐らくこの条文を大阪西の局長さんが念頭に置かれましてその意見を述べられたものと思いますが、十五条では「郵政大臣は、郵便業務に従事する者又は他の郵便物に対する傷害又は損害を避けるため必要があると認めるときは、省令で物を指定して、その物を郵便物として差し出すことを禁止することができる。」この条文でございます。     〔愛野委員長代理退席、委員長着席〕 具体的に現在この省令として定めておりますのは、郵便規則の第五条で「人に危害を与えるおそれのある動物(学校又は試験所から差し出され、又はこれにあてるものを除く。)は、郵便法第十五条の規定に基づいて、これを郵便物として差し出すことを禁止する。」こういう郵便輸送の禁止という条文でございますが、そこでいま先生仰せのとおり、五十五年の四月十二日付で大阪西郵便局長から意見書が出されたということは、郵政局を通じて私ども十分承知をしておるところでございます。  この点につきましては、先ほどの御質問に対しまして私お答えしたところでございますが、この禁制品あるいは十五条の省令による禁止ということは、現在のところなかなかむずかしいのじゃないか。そのむずかしい理由は、先ほど説明した理由によってなかなかむずかしいのじゃないかというふうにわれわれ解しておるところでございます。
  197. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 いずれにしても、これは差出人の名前と住所はありますが、それは架空なんですよ。確かに料金は切手を張ってあるということにはなるのだろうけれども、こういうような責任の持てない不確かな、そういう差別はがきで、相手に対してドスを突きつけるような恐怖を与える人道上ゆゆしき問題。  大臣先ほど同和対策審議会の答申を引用されて、人類普遍の原理である自由と平等に関する問題であり、基本的人権の問題である、こういうふうに述べられておるのです。だから、これはやはり国民課題あるいは国の責任ということが明らかになっておるわけで、差別は罪悪ですよ。だから私はそれは省令で、何も拡大解釈しなくたっていけるのじゃないかというように思うのだけれども、実際そんな差出人もわからぬようなものを配達しなければならない義務はあるのですか。一般常識論で一回考えてください。どうですか。
  198. 魚津茂晴

    ○魚津政府委員 差出人が書かれてない郵便物、それから差出人が書かれてあっても実在しない郵便物、こういったものであっても、郵便法上の郵便物として取り扱いをし、配達をしなければならない、これが法律による郵便業務の執行でございます。
  199. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 これは大臣一回答えてください。ちょっと感想的なものでも結構ですから。
  200. 箕輪登

    箕輪国務大臣 私も初めて聞きましたが、これは重要な問題だと思います。したがって、ただいま局長答弁をしましたけれども、現状ではこうだということであって、これは将来の問題として、先生質問趣旨を十分踏まえながら、検討をさせます。
  201. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 これは、たとえば結婚話があるとするでしょう。そうしたら、僕ら差別事件追及しておったら、俗な言葉で言ったら三角関係になったときに、自分が結婚したいために、あなたがいまつき合いしている人間は何々の出身ですよ、実はそうでないのにそういうことを告げ口する場合もあるのです。その場合は社会的に問題になりますが、いま言うそういう差別はがきであれば、これは相手はわかりません。受け取った人間は、わしが結婚しようと思っている相手はそんな人間かというようなことになる場合もあるのですよ。わかりますか。それは、私はそうではありませんとか、どうでありますとか、だれに弁解するのですか。だから、これは何も部落の人たちだけの、同和だけの問題というふうに簡単に思っていただく必要ないと思うのです。あるいは部落問題だけじゃなしに、たとえば、全然関係ないのだけれども、どこどこのA子さんのお母さんは元水商売しておったとか、いや、体を売っておったとか、どうのこうのとか、そんなことまで実際この中にはあったでしょう。私は具体的なことは言いませんけれども、公園でどうのこうのというようなことも書いてあるでしょう。だから、私はそういう意味でぜひともこの問題について、大臣、ひとつ前向きで善処方をお願いしたい。私初めてだというお言葉ですから、これ以上大臣からは強く答えを引き出しませんが、ぜひとも大臣の就任中にこの問題についての、一定の法的なものも含めて、あるいは省令でできるなら省令でできるものも含めて、ひとつ検討していただきたい、このことを要望しておきます。  そこで、西局で、たとえば五十五年四月から八月まで五カ月間で差別はがきが二十二通あるのです。これは西だけじゃなしに全国各地にあるのではないか、こういうふうに私は思っておるのです。恐らく局員もあるいは引受局も、配達局も全然知らないままで通過しているものもありましょうし、それは何通あるか、一々それを調べるということになってくるとこれは大きな問題だと思うのですが、少なくとも、何らかの方法でわかったものの全国の件数は報告できますか。
  202. 魚津茂晴

    ○魚津政府委員 先生の最初の御質問にございましたのですが、現在取りまとめた数字は持っておりませんが、できるだけ早い機会に数字を取りまとめて先生にも申し上げたい、こういうふうに思っております。
  203. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 それでは件数については取りまとめて報告していただけますね。それでは、件数についてそういう形で了解しましょう。  しかし現物については、たとえば相手のところへだれかが、局長であるか課長であるかわかりませんが、私はけしからぬと思うが、こういうのが来ているのだけれども受け取りますかというように行くんですね。受け取らないということになれば局へ持ち帰って、三カ月間ですか、置いておいて、そして廃棄処分しているんじゃないか、こういうように思うのですが、私は、はがきであっても、差別文書はやはり差別事犯として、人権侵犯の問題でありますから、これは法務局に報告すべきではないか。件数だけじゃなしにこういう中身について、やはり侵犯事件として、相手がわからぬという場合であってもやはり事実があるわけですから、あるいはあて先の人間が事実存在する場合も幾つかの例としてあるわけですから、そういう点は法務省に報告をされますか、どうですか。していますか。
  204. 魚津茂晴

    ○魚津政府委員 私ども差別はがきを根絶するということで、郵政省がなし得る側面で最大限努力をするということの意思表示として先ほど大臣も御答弁になったとおりでございまして、ただ現実に、ではいま何をなし得るのか、いままでなしてきたことのほかに今後何をなし得るのかというような点を考えてみますと、いま先生の仰せになった、法務局あるいは広い意味での人権擁護機関、こういったところに差別はがきの通数、ただ、人権擁護機関への報告といいましても具体的にどういう人からどういう人へということはもちろん別の観点からの制約もございましてできないと思いますが、差別事象の一つの形態としての差別はがきの通数でございますこの通数を法務局等の機関に報告をしまして、啓蒙を図っていくことによってこのようなはがきが差し出されないようになるようにしてまいりたいということで、今後の私どもの方針として、報告をわれわれがまとめると同時に、それぞれの段階でそういう人権擁護機関に報告をしていきたい、こういうふうに考えております。
  205. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 法務省の方お見えのようですので、法務省が過去、郵政省の方からこういうような差別はがき、封書等について、あるいは落書きも含めて、郵政関係で起こっている一切のそういう事犯というのですか、そういうものの報告を受けたことがあるのか、あるいはこういう問題についてどのように法務省として考えておるのか、お答えいただきたいと思います。
  206. 寺西輝泰

    ○寺西説明員 法務省が郵便局から、差別はがきの事件があるということで具体的に事件の申告を受けたという例はございません。差別はがきの事件は、主として受取人から、人権侵害である、あるいは受取人から話を聞かれた運動団体あるいは地方自治体から、人権侵害の事件であるということで申告がなされているのが実情でございます。  法務局のサイドでは、そのような申告がございますと、これは重大な人権侵害を起こすものでございますから、一生懸命努力いたしまして差出人等を探すのでありますけれども先ほど先生お話しのとおり、差出人は仮名を使う、住所も実在しないということで、そういう点で調査の行き詰まりというのがございますけれども、一般啓発の中にそういう問題を含めて、今後こういう問題が出ないようにということで、啓発の段階でそれらの問題を取り入れて努力しているところでございます。
  207. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 まだまだ質問したいのですが、時間の関係もありますし、また、許認可を初めとする行革関連の法律でも郵政省は入っているのじゃないかと考えておりますので、そこでもさらに詳しく質問したいと思いますが、二点ほど大臣からちょっとお答えいただきたいのです。  一つは、地域改善対策特別措置法が十八日の内閣委員会で可決決定されたときに、きょうおられます佐藤信二同和小委員長に各党を代表して総理府長官質問していただいて、たくさんな確認事項をいただいておるわけでございまして、その中では、法律の名称には同和という文字はなくなったが、この法律は、目的、趣旨は、旧法というのですか同和対策事業特別措置法と同じである、同和対策であるということを言明されておるわけであります。それから、差別をする意図であるならば別だが、そうでない場合は同和行政とか同和教育とかあるいは同和問題とかという形で、慣用句というのですか、そういう言葉として定着しておるわけです。  そういう点で、たとえば市町村とか府県においても、同和対策室とか同和対策部とか、そういう名称をつけた課、部があるわけでございまして、たとえば私の知っている近畿郵政局でも同和対策室というのがおありでございます。特にあなた方の方では、職員さんがたくさんおられて同和研修ということ、不徹底なところも熱心なところもあるのでその点はひとつ今後気をつけていただきたいのですが、いずれにしてもこの問題を啓発していくときに、同和という言葉がなかったら部落問題と言っていただいた方が私らの立場ではいいのですけれども、そうするとまた行政としてもちょっとお困りではないかと思うのです。恐らく同和教育とか同和問題という形で講師を呼んできてもそう言うだろうし、また皆さん方が局長さんとかそこらが職員を集めて話をするときも、いわゆる同和問題という形で話はされるのではないか。地域改善対策のあの問題と言ったって何のことやらよくわかりませんし、いわんや同和対策室がその名称を変更されたら何の室か何の地区かわからぬという形になりかねないので、同和対策室としてそのまま使っているところはぜひともひとつそういう形でお認め願えれば非常にありがたいということが一点。  それから去年の十二月に桑野参事官が同和地区視察をされておるのですね。大体各大臣、他の省の大臣は大抵地区視察をされて見聞を広めていただいているのですが、郵政省に限っては過去その例がないわけでございまして、桑野さんが行かれたときは、大臣が忙しいからということで同和地区視察をしていただいたのでありますが、やはり実態の把握ということもあって、新任の大臣ではございますけれども国会が明ければぜひともひとつ、大臣をやめられても一国会議員としてあるいは党の重要な幹部として御活躍されるわけでございますので、ぜひともこういう機会に地区視察をして勉強していただきたい、このように思いますので、この二点について大臣からお答えいただきたいと思います。
  208. 箕輪登

    箕輪国務大臣 第一点目についてお答えをいたします。  同和対策室等の名称は別段変える必要がないと私も考えます。  第二点目についてお答えをいたします。  できるだけその機会をつくり、ぜひ行ってみたい、こう私は考えております。
  209. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 ありがとうございます。  質問を終わります。
  210. 石井一

    石井委員長 次に、中路雅弘君。
  211. 中路雅弘

    ○中路委員 最初に法案に関連して一、二問お聞きしていきたいと思います。  郵政省は、逓信省が昭和二十四年に郵政省電気通信省に分離されて以降もっぱら郵政行政に重点を置いて、電気通信省が電電公社へ改編されて以降も、電気通信行政を扱う審議機関郵政審議会の一部会という位置づけをされてきたわけですが、今回の改正は、電気通信行政重要性にかんがみてこれを郵政省の基幹行政一つとして位置づけるという見地から行われたと考えるわけですが、最初にこの点についての御見解をお聞きしておきたいと思います。
  212. 澤田茂生

    澤田(茂)政府委員 郵政省は、逓信省の昔から通信主管庁ということで一貫して通信行政あるいは通信事業というものを根幹に置いてやってきたところでございますが、電気通信は近年その役割りの増大と多様化の進展等に伴いまして、経済、産業、社会、文化と広い分野に大きな影響を及ぼすようになりまして、これに対応いたしまして電気通信行政分野においても、データ通信、画像通信等新しい通信手段の出現あるいは電電公社の資材調達等に見られるようなわが国の国際化の進展に伴いまして発生いたしました諸問題等、広範かつ複雑な課題が山積いたしているところでございます。  こういうような情勢のもとで、電気通信行政の一層の充実を図るために、一昨年電気通信政策局設置を当委員会においてお認めをいただいたところでございますが、今後の電気通信行政運営に際しまして、電気通信の諸問題について長期的な視点に立って広く国民のコンセンサスを得つつ解決に当たるなどの対応が不可欠であるということから、もっぱら電気通信行政に関する事項調査審議する電気通信審議会設置することによりまして、国民生活に及ぼす影響の大きい電気通信行政の公平かつ能率的運営に遺憾なきを期したいと考えているところでございます。
  213. 中路雅弘

    ○中路委員 電気通信行政は、いまおっしゃったように八〇年代以降の重要な行政分野一つでありますし、今度の法案提案理由説明でも述べられていますように、長期的なかつ総合的な視野に立って、広く国民の意見と今度の審議会での各界の専門的な知識を反映しながら推進していく必要があると思いますが、この電気通信審議会委員構成運営についてもこうした方向で行う必要があると考えます。特に運営については広く国民と専門家に開かれたものにすべきであると考えていますが、いまお考えになっています審議会委員構成運営についてどのようにお考えになっているか、お聞きしたいと思います。
  214. 澤田茂生

    澤田(茂)政府委員 先生のただいまお話しのとおりでございまして、委員構成等につきましての考え方は、いま仰せられたとおりそういったことを踏まえて十分やってまいりたいと思うわけでございます。  構成といたしましては委員二十名以内というふうに考えておりますが、当審議会設置趣旨が、先ほど申し上げましたように、電気通信行政の重要課題について総合的かつ専門的な見地から部外の有識者に審議をしていただき、そういうことによって広く国民のコンセンサスを得つつ、今後の行政運営を図ってまいりたいというところにございますので、具体的な人選に当たりましては広く各界の有識者、専門家を網羅いたしまして、審議会構成が真に国民を代表するにふさわしいものになるよう十分配意をしてまいりたいと思うところでございますし、なお一層の運営の効率的な取り運びという観点から、部会設置あるいは専門委員の方々を委嘱して、そういった方々にもいろいろ調査審議についてのお力添えをいただくということなどをいろいろと考えてまいりたい、こういうふうに思っているところでございます。
  215. 中路雅弘

    ○中路委員 もう一問お聞きしておきますが、郵政審議会の会長はいま土光臨調会長がついておられるわけですが、土光氏は報道を見ますと行革に専念するために臨調会長以外のあらゆる役職を辞任すると伝えられていますが、郵政審議会の会長について土光氏から、今後たとえば辞任したいとか、そういった意向は伝えられているわけですか。
  216. 澤田茂生

    澤田(茂)政府委員 今日までのところ郵政審議会会長を辞任したいという御意向は伺っていないところでございます。私どもといたしましては、土光会長の郵政審議会会長としての任期、本年十月までございますので、それまでの間は引き続きお願いをいたしたいと考えておるところでございます。
  217. 中路雅弘

    ○中路委員 この審議会設置と関連して、この機会に臨調の審議について御説明をしていただきたいと思いますが、この問題は質疑で私たちの方からまた論議をするということじゃなくて、いろいろ報道機関等で部会での審議経過内容が報道されていますので、その点について正確に一度説明を聞いておきたいという趣旨から御質問をしたいということでございますが、臨調の方お見えになっていますか。  最初に、今度設置されます電気通信審議会、これは電気通信行政あり方調査審議するために設けられるというわけですが、この分野についてすでに臨調の第四部会を中心に調査審議が行われているわけです。また、このほか、臨調第四部会では郵政行政についてもそのあり方を検討されています。  そこで、最初概括して、第四部会における調査審議経過概要と、七月に予定されています答申、来年三月の最終答申ですか、それに向けていまどういう内容が盛り込まれようとしているのか、三点に分けてまとめて御報告をいただきたいのです。一つ電電公社郵政事業の問題、もう一つ電電郵政以外の二公社現業の問題、三番目にその他の特殊法人等、認可法人なんかも含むわけですが、この三つの分野に区分して概括を説明していただきたいと思います。
  218. 田中一昭

    田中説明員 お答えいたします。  第四部会の事務を担当しておるわけでございますが、第四部会は、御承知のとおりいわゆる官業と民業の役割り分担ということが中心でございまして、したがって、中身は三公社現業、その他政府直営事業、それからいまおっしゃった特殊法人、認可法人も含みますが、等々、こういう法人のあり方あるいは合理化方策を調査審議することにしております。  当面の基本答申に向けてどういうことを部会で調査会に報告するつもりであるかということでございますが、ただいま申し上げました全般をとてもこの短期間にやれるわけではございませんで、当面調査会、本委員会の方でございますが、そこの了解を得ておりますのは、三公社についてはかなり詳細に報告を出すつもりでおります。五現業につきましては、どの程度やっていけますか、ここしばらくの調査審議を見ないとわかりませんけれども、少なくとも方向だけは出したいという感じでございます。  それから、特殊法人、認可法人については、個々の法人の統廃合等々に入れるかどうか、この問題はこれも五現業と同じでございまして、いましばらく審議を待つ必要がありますけれども、少なくとも可能な限り横断的な問題は取り上げますし、個々の法人についてもできる限りのことはやっていきたいという方針で進められております。なお、残余の問題、たとえば病院、療養所のような政府直営事業、これにつきましては恐らく七月以降になるのではないか、こういうふうに思います。  そこで、実は昨年九月以来審議がされておるわけでございまして、現在まで四十三回、昨年は大体週一、二回、ことしに入りまして毎週二回ペースで、現在四十三回を終えておりますが、基本的な審議の姿勢といいますか、問題の視点といいますのは、一つは冒頭に申し上げました官業と民業との役割り分担をどう見るかという問題、基本でございます。それから経営の効率化あるいは組織の活性化を基本といたしまして、民営移行をも含めまして経営形態の変更あるいは経営の合理化方策、これを検討をするということで審議が進められております。
  219. 中路雅弘

    ○中路委員 二、三、もう少し詳しくお聞きしたいのがあるのです。  一つは、電電の経営形態、運営あり方の問題ですが、電電公社あり方については一次答申でも一定のものが盛り込まれておりましたけれども、いまお話しの基本答申に向けてさらに抜本的なものが盛り込まれるというふうに報道されています。これまで公社から公社制度の改正方式、特殊会社方式あるいは民営会社方式の三案が出されて、郵政省からは民営化反対の意見が出されていますが、経団連から純粋民営化案が出されているわけですね。電電公社あり方についてどのような調査審議が行われているのか、これまでの経過と今後の見通し等について、もう少し詳しく説明していただきたいと思います。
  220. 田中一昭

    田中説明員 電電公社の問題は、いま中路先生おっしゃいましたように、二月に公社の勉強結果が出てまいりまして、三月に入りまして郵政省の方からそれに対する意見、ただ、これは反対意見ではございませんで、私どもの解釈では、あるいは郵政省の方の御意向では、いかなる経営形態をとろうとも、少なくとも乗り越えるべきハードルであるということで伺っております。  そこで、電電公社についての審議でございますが、御承知のとおり電電の電話事業といいますのは、積滞解消あるいは即時通話化を終えまして、いわば新しい時代に入っておるということでございますが、そこでわが部会の問題意識といいますか審議のポイントを申し上げますと、一つは、現在の経営をどう見るかということが一つでございます。それから、公社横並びでございますけれども、かなり強い政府規制が行われております。それから、これは国鉄も同じでございますが、相当事業規模が巨大でございます。あるいは要員も巨大でございます。そういうことから効率性が十分発揮されておるのかどうなのかという点が一つございます。そこで公共性あるいは効率性の確保を図るにはどうしたらいいかという観点が一点。もう一つは独占性といいますか、独占の弊害をいかにして排除するか。こういう三つの点から問題を吟味していくという姿勢で調査審議を行っております。
  221. 中路雅弘

    ○中路委員 いまの電電の経営形態、運営の問題ですが、あわせて郵政省として、電電公社あり方についていまどういう見解を持っておられるのか、今度の電気通信審議会設置との兼ね合いも含めて、簡潔に御説明願いたいと思います。
  222. 守住有信

    守住政府委員 先ほど臨調事務局の方から御説明がありましたように、電電公社が三案につきまして説明しました後、私どもの方から臨調の事務局で私どものペーパーに沿いまして御説明を申し上げたわけでございますが、何と申しますか、公衆電気通信事業というものの持つ特徴と申しますか、その重要性というふうな面からの諸点を、いろいろポイントを挙げまして、これが持つ高度の公共性あるいは独占性、巨大性と申しますか、あるいはまた効率性についても考えなければなりませんけれども、そういう観点を踏まえて、臨調としては多面的に慎重な御検討が必要であろう。そうしまして、当面電電公社の経営の効率化という観点につきましては、公社自体がまず具体的な合理化計画、効率化計画というものを策定して、その早急な実現を図るべきではないか、こういう点が結論でございますが、また重ねて私どもといたしましては、単に経営当事者の立場からだけのとらえ方ではなくて、公衆電気通信が持ちます、国家、社会、国民、非常に広範な影響力を持っておる、今後もますます持っていくわけでございますので、そういう広い国家的、国民的見地に立っての検討をしなければならないということにつきましての問題、あるいは利用者サービスというものにとりましての大きな影響ということにつきまして、いろいろペーパーによりまして御説明、意見を申し上げたという次第でございます。
  223. 中路雅弘

    ○中路委員 郵政事業あり方についてももう少しお聞きしたいのですが、臨調の第一次答申が民間活力活性化の見地から民業を圧迫している官業の見直しということを掲げていますが、その後の審議経過を見ますと、郵政事業がその一つに挙げられているようです。郵政事業についてこれまでどういう審議が行われてきたのか、これからの答申に向けてどういう方向が盛り込まれようとしているのか、郵政事業についてももう少し詳しく臨調の方から説明願いたいし、同じくあわせて郵政省として、郵政事業の今後のあり方についてどういう見解を持っておられるのか、御説明願いたいと思います。
  224. 田中一昭

    田中説明員 郵政事業につきましても、郵政本省の方から二回、それから全国銀行協会連合会並びに生命保険協会等からも実はヒアリングを行っておりまして、ただいまはそういうヒアリング結果を踏まえまして問題点の整理を進めております。  どういう観点から郵政事業を評価するかという問題でございますけれども、必ずしもまだ固まったそれはございません。ございませんが、一つは、効率性の問題はやはりあると思います。それからもちろん公共性を維持しつつ、いかに安く良好なサービスが与えられるかという観点があろうかと存じております。ただ、この問題むずかしいのは、特に郵貯事業とそれから簡保の問題でございますけれども、この点はなお部会においてこれから議論を深めていく、こういうことになっています。
  225. 澤田茂生

    澤田(茂)政府委員 郵政事業について私どもが臨調で御説明申し上げた点でございますが、昨年の十月七日とそれから本年三月十二日に開催をされました第四部会におきまして、また昨年の十一月二十四日に開催されました第二部会において、郵政事業について説明をいたしました。  郵政事業は、国民の日常生活に欠かせない多くの業務や各種のサービスを、郵便局を通じて、不採算地域も含めて、全国あまねく公平に提供することによりまして国民の福祉を増進することを目的とするものであります。国が直接行うことが最もふさわしいきわめて公共性の高い事業であるというふうに考えておるところでございます。また、郵政事業郵便貯金保険、三事業を一体として運営をいたしまして、これによりまして局舎、職員の配置等の効率化あるいはコストの低減化を図ることによりまして国民に公共性の高い基本的サービスを提供することができるものであり、現在の三事業一体としての国営形態の維持は必要不可欠なものであるということでございまして、郵政事業の経営形態につきまして、郵政省といたしましては、郵政事業の高い公共性及び三事業一体による効率性、さらには現行経営形態のもとで事業運営全般にわたって改善をいろいろ図ってまいりました。そういう実績というもの、また、昭和五十三年六月の公共企業体等基本問題会議の意見書におきましても、「三事業一体として現行の国営形態を維持することが適当である。」という御提言をいただいているわけでありますが、こういった提言に照らしまして、現段階におきましては、現行の国営形態において一層の経営努力を図っていくことが適当であるというふうに考えているところでございまして、こういう御説明を申し上げたところでございます。  なお、官業と民業のあり方ということについていろいろ御議論があるわけでございます。私どもといたしまして官業の大きな部分を実施いたしている立場から、官業のあり方ということについての御説明をいたしたところでございますが、各種の政策目的を達成するために、国または地方公共団体が直接または間接に経営するいろいろな事業、いわゆる官業につきましては、当該事業分野の特徴とかあるいは個々の事業体の具体的性格というものを踏まえつつ、それぞれの公共性、公益性の程度あるいは経済的、社会的背景に照らしまして最もふさわしい姿、そのあり方を位置づけるべきであるということでございますが、基本的な視点として何が国民の利益になるかということから考えなければならないというふうに考えているところでございます。市場において競争原理が働いていないような分野あるいは利潤追及を本来とする民業のみに任せておいたのではおのずから成果に限界のある分野では、官業が有効競争の創出あるいは先導的機能の発揮といった役割りを果たすことによってむしろ民間の活力を引き出すことができる、国民の利益に資するものであるというふうに考えているところでございまして、現に郵便貯金あるいは簡易生命保険郵便年金の分野におきまして、こういう先導的役割りあるいは有効競争の創出という観点から真に国民のニーズにマッチしたサービスというものを生み出していき、またそれにこたえていくという実績を持っているところでございます。また、国民生活に深いかかわりを持つ公共性の高い事業分野においては、地域、職業、所得階層別等の区別なくあまねく公平にサービスを提供することによって官業としての大きい存在意義があるというふうに考えておるということを御説明をしたところでございます。
  226. 中路雅弘

    ○中路委員 いま、電電郵政事業あり方について、臨調の審議経過と、また郵政省のお考えをお聞きしたわけですが、この電電郵政を除いた第四部会審議されているあとの二公社現業について、やはりこれまでどういう審議が行われたのか、今後の答申に向けてどういう方向が盛り込まれようとしているのか、もう少し詳しく説明していただきたいと思います。
  227. 田中一昭

    田中説明員 お答え申し上げます。  まず、専売公社について申し上げますと、ちょっと私、回数何回開催したか、資料を手元に持ち合わせませんので回数は省略させていただきたいと思いますが、専売公社につきましては、外国たばこの日本への進出が非常に厳しゅうございます。現在の制度のもとでいろいろな制約がございますが、こういう制約のもとで企業的な運営ができるかどうか、たばこ産業育成という点から考えましても、現在の制度、運営のやり方でよろしいかどうかという点が問題であろうかと思います。したがいまして、葉たばこ耕作者対策に配意しながら、経営形態のあり方を含めまして現在検討が進められておる。もちろん健康の問題とかあるいは財政収入確保の問題等々は、当然検討の視野に入っておるわけでございます。  それから、塩事業につきましては、専売制度の持つ意義あるいは役割りを見直しまして、かなり幅広く審議されております。閣議決定がすでにあるわけでございますけれども、それの考え方も当然含めながら塩についても検討を進めているということでございます。  それから、国鉄でございますが、国鉄につきましては御承知のような状況になっておりまして、ただ赤字だから臨時行政調査会でこれを問題にするということではございません。国鉄の持つ役割りというのが現在ではどういうふうに変わってきたのか、そこから公共性というのがやや当初と変わってきておるのではないかという点が一つございますし、もちろんその経営状況というのは重大な問題でございますので、これに基づいて立てられております経営改善計画、この計画自体をいかに評価するか、仮に是といたしましても果たしてこの実施が可能であるのかどうなのか。それから、行政改革を行います前提問題というのですか、避けて通れない問題といたしまして、国鉄の共済年金の問題がございます。あるいは今年度末で十六兆円ばかりになります長期債務、いまの国鉄の状況でなかなか返済可能だとは思えませんけれども、こういう問題をいかに処理していくのかという問題。その他、地方交通線等々のいわゆる構造的問題と言われる問題をどのように処理していくか。それから、相当問題になっております労使関係労使関係そのものに入るというよりかは、労使関係がなぜこういう状況になっておるのか、それを正すにはいかなる制度なり運営にすればいいのかということを議論しておりまして、その上で果たして現在の制度、これも巨大な組織でございますが、こういう制度なり組織で果たして経営改善がなし得るのかどうなのかというような観点から議論が進められております。  それから他の四現業でございますが、国有林野事業につきましては、国有林野の持つ役割り等々を考えまして、効率的に運営されておるのかどうなのか。これも相当経営が厳しゅうございまして、昭和七十二年ぐらいに収支相償するということになっておりますけれども、そういう計画をどのように評価するかという問題がございます。  それからアルコール事業につきましては、御存じのとおり今度五現業から外れるという方向でございますが、新エネルギー機構にあのような形で持っていくことをどのように見るのか、アルコールの専売制というものをどのように評価するか、こういう問題から議論が行われております。  その他造幣、印刷については省略さしていただきたいと思います。ただ、先ほど申し上げましたように、五現業につきましては果たして時間的に十分な審議が可能であるかどうかという問題が残っておることだけ、全く事務当局感じでございますけれども、申し添えさしていただきたいと思います。  それから特殊法人でございますが、特殊法人等につきましては、その経営の実態をめぐりましていろいろ批判のあるところでございます。しかしながらその形態あるいは事業内容がきわめて多様でございまして、一概になかなか論じられない面がございます。したがいまして、現在百ばかりの特殊法人並びに、これも九十九ございますが認可法人、これらをグループ別に分けまして、経営の効率化あるいは適正化という観点から、その実態あるいは問題点につきまして見直しを行っている、こういう状況でございます。  以上でございます。
  228. 中路雅弘

    ○中路委員 いま御説明いただきましたこの審議されている部会の報告ですね、これはいつまでに報告が行われるのか。三、四月という日程が前、報道されていましたけれども部会の報告の大体のめどを最後にお聞きしておきたいと思います。
  229. 田中一昭

    田中説明員 臨調といたしましては四月ごろをめどとして部会報告を行う予定で実は審議を鋭意進めているわけでございますけれども、具体的な時期につきましては、なお各部会審議の推移を見ませんと、いま直ちにいつと言うわけにはまいらないので、お許し願いたいと思います。
  230. 中路雅弘

    ○中路委員 あと何点か聞いて終わりたいと思いますが、この問題、一点だけにします。  大臣にちょっとお答え願いたいのですが、午前中から問題になっています期末手当の問題でございます。  昨年公務員給与の抑制を求めた臨調の答申と財源不足を口実に人事院勧告を値切ったのに続いて、三公社現業についても国家公務員に準じて何らかの抑制措置ということが伝えられているわけです。まだ団交も解決していない、三公社現業職員期末手当は当事者間の団交事項とされていて、これに外部から干渉する、圧力をかけるということは職員の労働基本権に対する攻撃でもあるわけですから、自主的な団体交渉、これへの不当な介入はすべきでないと考えます。特に三公社現業職員約百十四万人のうち、電電郵政関係を見ますと六十四万人というふうに一公社現業で大きな比重を占めていますが、その当事者として大臣見解を改めてお聞きしておきたいと思います。  昨年十一月二十七日の国対委員長会議の了解もありますし、閣議決定もあります。昨日私たちのところにも自民党の国対委員長を通じて政府見解が寄せられているわけですが、きょうの早朝ありました問題等にもかんがみて、もう一度大臣からこの期末手当の問題について、当然自主的な団体交渉で解決を図るようにすべきだと考えますが、見解をお聞きしておきたいと思います。
  231. 箕輪登

    箕輪国務大臣 年度手当につきましては、ことしの一月二十日組合から要求書が提出されましたので、ただいま慎重に検討中でございますが、郵政省といたしましては、事業の業績などを勘案して関係当局といま協議の上、従来の慣行に従って、先生おっしゃったとおり労使の自主的な交渉によって早期解決を図りたいと考えております。
  232. 中路雅弘

    ○中路委員 労使の交渉で円満に解決したいというお話ですので、これも確認しておきたいと思います。あと二点ばかりで打ちどめにしたいのですが、一つは、四月一日から実施される問題で、三階以上の集合住宅、団地への普通郵便物の各戸配達の中止の問題です。郵政省が、昭和三十六年の郵便改正とそれに基づく五十三年の郵便規則の改正で、ことし三月末までに集合郵便箱を設置しない三階以上の団地、アパートなどの住民に対する普通郵便物は、四月一日以降、局どめにして、十日間取りに来ない場合には差出人に返送するということで、いま、たとえば新聞でも報道されています東京の大島四丁目団地など、全国で関係住民の間でトラブルが起きているわけです。  この関係の住民の人たちは、これが郵便法に定める公平に反するのではないか、あるいは局どめにするのは民法上の契約にも反するではないか、集合郵便箱は憲法二十一条の信書の秘密の保障にも関係してくる、あるいは、局どめにした場合に仮処分の申請をしてでも対抗するというところも出てきているわけです。私の地元でも、聞きましたら、二階以下の集合住宅でも郵政省は家主との間の話だけで助成を出して集合郵便箱をつくらして各戸配達をやめているというところも出てきていますが、このためにいろいろ苦情も出てきています。これらについて、経過と現状の概要説明いただきたい。     〔委員長退席、愛野委員長代理着席〕
  233. 魚津茂晴

    ○魚津政府委員 三階以上の高層ビルあての郵便についての法的な経緯というのは、ただいま先生お話にあったとおりでございます。  私ども、高層ビルの郵便の配達というのは、郵便の効率化あるいは合理化というような点から、ぜひとも国民の皆様方にその必要性をお伝え申しまして御協力を賜りたいということで、今回の問題のきっかけになっているものは、ただいま先生の仰せのとおり五十三年十二月に改正をしまして五十四年四月一日から施行ということになっておりますが、事の性格上三年間の猶予期間を設けて、その結果ことしの四月一日からということに相なっているわけでございますが、私ども、規則に定めがあるから努力をしなくたって国民の皆様方がそれに当然協力していただける、そういう安易な気持ちは決して持ってこなかったわけでございます。当該建築物の所有者や居住者あるいは自治会等にパンフレット、チラシなどを配布したほか、自治会役員及び居住者等に対する説明会に出席するなどしまして、郵便受け箱の設置協力を要請してきたところでございます。  そこで、今日ただいまの状況がどうかということでございますが、実は五十七年の二月、つまり本年の二月の時点では棟数で三百二十二棟、配達個所数ということで三万七千カ所、これが三階以上にあるけれども集合受け箱がつけられていないという状況でございましたが、その後も私ども先ほど説明いたしました立場でいろいろ御協力を要請してきたところでございまして、正確には申し上げかねるわけでございますが、三月三十一日になってなおこのまま推移せんかという、まあ仮定になるわけでございますが、おおよそ全国で六十棟、約一万カ所が受け箱がつけられていない状態で三月三十一日を迎えるのではないか、こういうふうに私どもは見ているところでございます。
  234. 中路雅弘

    ○中路委員 いまのお話でも約一万を超えるところが三月三十一日でまだ未設置だということですから、規則を改正して公表し、三年間の猶予期間を置いたからということで既定方針どおりすぐ実施するというのは、いろいろ矛盾が起きると私は思うのですね。  たとえば受取人の中に寝たきり老人もいるわけですし、一人の独居老人もいる、あるいは身体障害者もいるということも考えられるわけですし、たとえば一、二階に住んでいても二階建ての建物だったら二階まで各戸配達されるわけですが、三階建て以上の建物ならば、設置されていない場合は二階に住んでいても局どめにするという差別も生まれるわけですし、仮に二階まで各戸配達をしたとしても、一、二階と三階以上の住民との間にいま言ったように差別が生まれる、あるいは集合郵便箱のない、いま一万以上あるわけですから、そういう三階以上に住む住人が差出人の場合に、今度は郵便物が返送されないで宙に浮くということも起きてきます。返送分だけは各戸配達するということになれば、発送分と返送分の間でまた差をつけるという問題も起きてくるという、考えますといろいろ矛盾も起きてくるわけですね。  郵便物については各戸配達を原則とすべきでありますが、業務の効率化ということを私たちも否定するものではありません。だが、いま集合郵便箱を活用する効率化に当たって、やはり関係住民の合意と納得のもとにやっていかなきゃならない。四月一日から実施をするということですが、それがまだできていないところについては、問答無用で局どめにするというやり方をとらないで、もう少し弾力的な対処を考えるべきではないか。特にいまお話ししましたたとえば身体障害者や一人寝たきり老人というような場合もあるわけですから、この点の四月一日からの実施について、やはりサービス事業ですから、もう少し弾力的な対処をしていかなければ住民団体との間にトラブルも一層広がってくるということにもなりますから、この点のお考え、いかがですか。     〔愛野委員長代理退席、委員長着席〕
  235. 魚津茂晴

    ○魚津政府委員 私どもも基本的には、郵便事業の性格からして弾力的な対応というものを持ちながら対処していかなくてはならぬというふうに思っております。したがいまして、具体的に申しますと、ただいま先生お話にもございましたが、四月一日になってなお各戸配達をするというのは、寝たきり老人でございますとか重度身障者でございますとか、要するに事実上受け箱までおいでになれないというような方、その他、受け持つところの集配郵便局長さんの判断でやはり各戸配達をしなければならぬと認められる者につきましては、従前どおり、各戸配達ということは当然考えているところでございます。  問題は、そういうようなことでなくて、受け箱が設けられてないという中における四月一日というものをどう考えるかということでございますが、私ども残された、もう三月も残りわずかになりましたけれども、三月いっぱいは本当によくお話をしてまいりたいと考えております。したがいまして、四月一日には受け箱がないけれども受け箱をつけていただけるという意思表示がございますとか、あるいは現に設置の作業をしておいでになる団地とか、そういうものは当然弾力的なことで対処していかなければならぬと思いますが、問題は、四月一日になりましても、いろいろなお立場からの理由はございましょうけれども、めどが立たないというところにつきましては、やはり規則に定める措置を講じていかなければならぬ、こういうふうに考えているところでございます。
  236. 中路雅弘

    ○中路委員 大臣、この問題はいまお聞きになったような現状ですし、一般の新聞でも、高層団地の住民と郵政省郵便箱戦争というようなことまで書かれているわけですが、やはりできるだけそこの住民の合意と納得の上で実施がしていけるように、まだ三月は日にちもわずかありますしひとつ十分そういう点での努力をしていただきたいと思いますが、いかがですか。
  237. 箕輪登

    箕輪国務大臣 最後まで地域住民と一生懸命話し合っていくことについては異議がありません。
  238. 中路雅弘

    ○中路委員 あと一問だけで終わりたいと思いますが、それは中国の残留孤児の肉親探しの問題です。  中国の残留孤児がいまなお相当の人数に上っている。現在日本政府に肉親探しを申し出ている残留孤児だけで九百十二人に上っているわけですが、残留孤児がどれくらいいるのか、まだ正確に把握もできない状態ですね、数千人から一万人とも言われておりますが。  先日来訪されて肉親探しをされたわけですが、会えない人たちも相当いた。政府、各機関ともこの点に非常に協力が必要なわけですが、この点で先日郵政大臣が、十日だったですか、NHKや民放各社に行かれて協力を要請され、放送各社側も、特にテレビの果たす役割りが大きいわけなのでこの点で協力を約束されたということを報道で見ましたけれども、この実現のためにいろいろ解決しなければいけない問題があると思います。たとえば、テレビを活用する際の要綱もつくらなければなりませんし、政府の各省間の連絡の体制も整備しなければならないだろうと思います。何よりも中国側の協力の取りつけが必要だし、テレビ中継の技術的な問題もあると思いますが、郵政省のこの点についてのお考えをお聞きしたいと思います。
  239. 箕輪登

    箕輪国務大臣 私は、最近のテレビを見て最も感動を受けた、何といってもやはり事実にまさるドラマはないのでありまして、人がつくったドラマよりも本当の、真実のドラマに私は感動を覚えたわけでございます。  あるテレビ放送会社の技術担当の人と話をしましたら、中国にテレビ機材を持ち込んで、そして二元放送することも技術的には可能であるというお話を聞きました。そこで閣議で発言をいたしました。そういう方法も技術的には可能であると言われているということでお話を申し上げましたところ、厚生大臣、外務大臣、法務大臣等から発言がありまして、これはぜひともやるべきだというお話になりました。総理大臣も非常に関心を示されて、ぜひこれは検討してみてくれということになったわけであります。  翌日、NHKの坂本会長並びに民放五社の社長さん方においでをいただきまして、私からこう申し上げたわけであります。郵政大臣といえどもテレビの番組編成等については発言、介入できないことになっております、それを踏まえて、決して番組の編成等に介入する意思はございませんけれども、事は人道上の問題ですが、技術的にできると聞いたけれども、とにかくそういうことをやっていただけるかどうかという発言を私はしたわけであります。坂本会長を初め、民放五社の社長さん方も、ぜひともそれはやるべきだ、自分たちも経済的な問題は度外視してでも御協力申し上げて結構だという発言まであったわけであります。  そのことを私は申し上げまして、厚生大臣が直ちに、厚生大臣私的諮問機関として中国残留孤児問題懇談会という諮問機関をおつくりになるそうでございます。そこで、懇談会のメンバーとしてマスコミ、報道関係の人も一緒に入れて御協議申し上げたい。協議の結果どうやってどうするということはまだ決まっておりません、おりませんけれども郵政省としては、厚生大臣諮問機関がどういう結論を出すか、それによって御協力のできるところは十分御協力させていただきたい、こう考えているところでございます。
  240. 中路雅弘

    ○中路委員 時間ですので終わりますが、いまの問題はぜひひとつ、一日も早く実現ができるように今後とも格段の努力をお願いしたいということを要請しまして、発言を終わりたいと思います。
  241. 石井一

    石井委員長 これにて質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  242. 石井一

    石井委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  郵政省設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  243. 石井一

    石井委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  244. 石井一

    石井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  245. 石井一

    石井委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十九分散会