○榊
委員 日本共産党を代表して、ただいま議題となっております地域改善特別
措置法案に対する修正案、これはお手元に配られておりますが、この修正案の提案理由とその内容の概要を御説明申し上げます。
わが党は、現行の同和対策事業に対する特別
措置がなお一定期間必要なことを認めるものであります。だが、
措置が有効であるためにも、各種のゆがみを生み出した法の不備、欠陥を是正することが必要であります。
周知のとおり、現行同特法は、施行後十三年間、対象地区の環境改善や地区住民の生活改善をもたらした反面、
特定団体の暴力的圧力やその不備、欠陥などから、さまざまな否定面やゆがみを生み出してまいりました。
同対協が昨年十二月十日の意見具申で
指摘しましたように、今日なお、少なくない地方自治体で
特定団体が同和行政を事実上支配するという無法な窓口一本化行政が行われております。そのもとで、所属団体の違いなどを理由とした新しい差別が地区内に生み出されています。超デラックスな
施設建設や常軌を逸した各種の個人給付事業が行われ、逆差別ともいうべき現象も生まれております。また、事業の一面的肥大化が進み、地方財政破綻を促進しているところもあります。さらに、同和対策事業が土地転がしや脱税など、利権と腐敗の温床になっている事態も随所で問題化しております。
こうした乱脈な同和行政は、同和対策事業のあり方に国民の不信を生むに至っております。今日、同和対策事業のゆがみと非計画性を正し、公正、民主、公開、国民
合意の同和行政を
実現することは文字どおり国民世論となっております。
今回の政府提出の法案は、国民の批判にこたえようとする一定の前進面を持っております。しかし、法案は、現行法が持つ不備、欠陥を十分克服しておらず、このままでは、
特定団体の暴力的圧力による窓口一本化とそのもとでの不公正、乱脈が温存される危険もあります。
わが党が提出する修正案は、法案のこうした弱点を抜本的に是正をして、国民的な
合意が得られるものに改めるとともに、事業を法の有効期間内に迅速かつ計画的に完結させることを目指すものであります。
これが修正案を提出する理由であります。
次に、修正案の内容の概要を申し上げます。
第一は、法の目的と事業の目標が、同和問題の解決に寄与し、対象地区住民の社会的経済的地位の向上を不当に阻む諸要因を解消する点にあることを明記し、
法律の
名称を同和対策事業特別
措置法に改めることとしております。
第二は、法の目的を達成するための国と地方公共団体及び国民の責務規定をそれぞれ独立の条文とし、国の第一義的責務が明確になるように規定することであります。
第三は、不公正、乱脈な同和行政を抜本的に正すため、行政の責務として、みずからの判断と責任において公正かつ民主的に行うこと、対象地域とその周辺地域との一体性の確保を図ること、及び対象地域の住民が思想、信条等によって差別されることなくひとしく受益できるように行うことを明記することであります。
第四は、同和対策事業の非計画性を正し、事業を法の有効期間内に迅速かつ計画的に完結させるため、国に事業実施に関する基本
方針を、地方公共団体にこの
方針に基づく実施計画をそれぞれ定めるよう義務づけることであります。
第五は、事業の一面的肥大化に歯どめをかけるため、法の目的と事業の目標の明確化、公正、民主的な同和行政
実現のための保障の明記などとあわせ、基本
方針と実施計画の公開、実施計画を定めるに当たっての地方議会の議決と国との協議などを義務づけ、厳しいチェックを行うこととしております。
第六は、事業を迅速かつ計画的に完結させるための財政
措置についてであります。わが党は、事業を三年以内に完結させることを原則とし、大規模事業など特別のものについても遅くとも五年以内に完結させるとの見地に立つものであります。そのためには、現行の特別の助成を継続するだけでなく、不必要な事業に対する追加投資を廃止または大幅に削減し、おくれた地区に重点的に財源を配分するなどの
措置をとる必要があります。本修正案で特別の助成と実施計画を結び、実施計画を定める際、国との協議を義務づけているのはこうした運用を行うためであります。なお、財政力の弱い市町村に対し新たにかさ上げ補助のかさ上げを行うこととしております。
第七は、同対協を民主的に改組強化し、公正、民主的な同和行政の
実現と迅速かつ計画的な事業の推進に役立てることとしております。
最後に、本修正案は、協議会の
会議公開の原則を明記するとともに、国に基本
方針の公表と同和対策事業に関する
国会への年次報告を義務づけるなどによって、同和行政の密室主義を抜本的に正すこととしております。
以上が修正案の提案理由とその内容の概要であります。
本修正により、かさ上げ補助のかさ上げなどで約百七十億円の経費増を伴いますが、他方、不公正、乱脈な同和行政を抜本的に是正することにより膨大な浪費を削減することとしており、全体として経費増を伴わないものと見込んでおります。
委員各位の賛同をいただき、速やかに可決されるよう要望して、修正案の
趣旨説明を終わります。