○小沢(貞)
委員 外務大臣の心境もわかりましたが、私がどうしても
理解できないのは、どうしても日ソ間の問題だけに限定をしてこれを返してもらおうと
努力している、その態度では
ソ連はとうてい返してこないと私は思う。やはりわれわれ外遊してみて、リドリー英国外務担当
大臣も言っていたが、国際的な圧力、そういうようなものもなければ、とてもじゃないが、
ソ連は返そうはずがない、こう言っているわけで、そういう判断に基づけば、二国間だけで
解決をしようという従来の外務省の態度は変更を加えなければならぬ。何も四十七カ国みんなそろって押しかけていけ、こういうわけではないんだけれ
ども、それさえも説得していなければ、これは
ソ連を説得するわけにはいかぬと思うので、これは
大臣によく検討していただきたいと思います。
では、続いてお尋ねをいたしますが、今月の文芸春秋にも出ておりますし、前任の兵藤
課長も新任のときに私に言ってまいりましたが、たとえば一九七九年五月、時の
外務大臣は園田さんです。四月かな、
アメリカへ行って、バンス国務長官が、北方領土返還でお手伝いをすることは何かありませんか、向こうは積極的にそう言ってくれているわけです。そうしたら園田
大臣は、いや、これは日ソ間の問題ですから気長に
交渉をいたしますと、
アメリカが応援をしてくれようというのを回避しているわけです。それがずっと外務省を流れている日ソ間の問題だ。よそには迷惑をかけない、こういう思想がここにあらわれているのではないか、私はこう思うわけです。
いま
一つ、去年、民社党の
委員長の佐々木さんがブッシュ副大統領に、北方領土問題について御
協力をいただきたい、そうしたら、どういうことをやったらいいか具体的におっしゃっていただきたい、こういうように言われたときに、佐々木
委員長は、いや具体的なことは
政府をして言わしむる、
政府からお願いをする、こういう問答があったことも文芸春秋の今月号に出ておるわけです。その後具体的に
アメリカにどういうようにお願いをしたかは私は聞いておりませんが、外務省を流れておる一貫した思想は、さっきから言うように、どうしても日ソ間の問題だ、よそへ大騒ぎしたくないという思想がどうも流れているのではないか、こう思うわけです。
外務大臣、さっきからいろいろ二人の御意見もあるわけですが、私はやはり
ソ連に対しては、国際的な世論、そして国内の世論の盛り上がり、それからいろいろな圧力、こういうものがなければ
ソ連は返してよこさぬ、これはそう思うわけです。どうでしょうかね、
アメリカの
協力を求める意思はあるかないか。
いや実は、去年かな、うちの党内で問題になって、
鈴木総理が
レーガン大統領と行き会う機会に、
アメリカの
協力を求めないでどうして北方領土を返してもらえるか、だから初めて聞いたときは、
鈴木総理は非常に熱心だからそれもやってこい、こういうことでわれわれ、出発間際だったから官房長官に申し入れただけであったわけですが、私は、外務省の態度を
アメリカにきちっと
協力を求めて
交渉をするという態度に変えなければ、どうしても戻ってこない、こう思います。どうですか、
外務大臣。