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1982-04-22 第96回国会 衆議院 逓信委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十七年四月二十二日(木曜日)     午前十時二分開議  出席委員    委員長 水野  清君    理事 加藤常太郎君 理事 畑英 次郎君    理事 吹田  愰君 理事 渡辺 紘三君    理事 鈴木  強君 理事 竹内 勝彦君    理事 西村 章三君       秋田 大助君    亀岡 高夫君       鴨田利太郎君    高村 正彦君       佐藤 守良君    渡海元三郎君       丹羽 雄哉君    福永 健司君       久保  等君    城地 豊司君       楯 兼次郎君    森中 守義君       大橋 敏雄君    木下敬之助君       中井  洽君    栗田  翠君       藤原ひろ子君    依田  実君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 箕輪  登君  出席政府委員         郵政大臣官房長 澤田 茂生君         郵政省電波監理         局長      田中眞三郎君  委員外出席者         科学技術庁研究         調整局宇宙企画         課長      吉村 晴光君         通商産業省機械         情報産業局電気         機器課長    野口 昌吾君         参  考  人         (日本放送協会         会長)     坂本 朝一君         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    中塚 昌胤君         参  考  人         (日本放送協会         技師長専務理         事)      高橋  良君         逓信委員会調査         室長      芦田 茂男君     ――――――――――――― 委員の異動 四月二十二日  辞任         補欠選任   森山 欽司君     高村 正彦君   米田 東吾君     城地 豊司君   中井  洽君     木下敬之助君   村上  弘君     栗田  翠君 同日  辞任         補欠選任   高村 正彦君     森山 欽司君   城地 豊司君     米田 東吾君   木下敬之助君     中井  洽君   栗田  翠君     村上  弘君     ――――――――――――― 四月二十一日  脊髄損傷者に対する郵政行政改善に関する請願  (田邊誠紹介)(第二四七二号)  同(中路雅弘紹介)(第二五一五号)  電話加入権質に関する臨時特例法期限延長に  関する請願中井洽紹介)(第二五一六号)  同(永末英一紹介)(第二五一七号)  同外一件(宮田早苗紹介)(第二五一八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  放送法等の一部を改正する法律案内閣提出第  五二号)  電波法の一部を改正する法律案内閣提出第七  四号)      ――――◇―――――
  2. 水野清

    水野委員長 これより会議を開きます。  放送法等の一部を改正する法律案及び電波法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。森中守義君。
  3. 森中守義

    森中委員 すでに、もう各委員から大事な内容が触れられておりまして、ほとんど落ち穂を拾うようなものでございますから、大した内容になりませんけれども、少しくお尋ねしておきたいと思います。  まず、法案扱いですけれども在来、いかなる法案でも、提出に当たりまして政省令等にゆだねる内容等は、大体法案提出と同時に政令もしくは省令が出されるのが在来法案審議慣例であり、先例になっております。今回いろいろお話を聞いていると、それらが全くでき上がっていない、これからこれからという答弁に終始をしたようでございますが、これはむしろ電波監理局というよりも、この種関係扱いをつかさどる官房長は、一体こういうような法案扱いについてどういう考えを持っておるのか。少なくとも立法府としては、本案は出された、相当な事項政令省令にゆだねられる、その政省令の案が同時に提出されないで法案審議をお願いしますということでは、いささか院の慣例先例を曲げることになるわけだが、どう考えてみても適正な措置とは思われない。何が何でもとにかく成立する法案だから、こんなこと国会に出さなくても大したことないんだよという、こういう実は官房長委員会に対するいわば軽視考えがあるのかどうか、その辺についてはっきりお答えいただきたい。
  4. 澤田茂生

    澤田(茂)政府委員 お答え申し上げます。  法律を御審議いただくに当たりましては、法律作成に当たりましての考え方というようなことについては十分御説明を申し上げ、御審議をいただくというのが筋であろうと考えております。なお、法律から政省令にゆだねられている事項というものもあるわけでございますが、そのゆだねる範囲、考え方等についても十分御審議をいただくというのが筋であろうと思うわけでございますが、なお、技術的なもの、今後詰めなければならない分野というようなものもいろいろあろうかと思いますので、その内容によりましては正確な案というところまで御提示できないというような場合もあろうかと思いますが、いずれにいたしましても、十分な御審議をいただくように、提出する省側といたしましても配慮すべきところは十分配慮をしていかなければならないというふうに考えておるところでございます。
  5. 森中守義

    森中委員 配慮しなければならぬと言ったって、配慮していないじゃないか。政令の案、省令の案は出ているかね。だから、こういうような法案審議の形態というのは、いわば委員会軽視である、こう私は申し上げている。他意があるのですか、何か。
  6. 澤田茂生

    澤田(茂)政府委員 いままでの御審議の中で、政省令について案をお示しという形はあるいはなかったかと思いますけれども、御質問に対して十分な御答弁を申し上げ、また御要求に対しましては、いろいろな各種資料というようなことも一般の場合行っているところでございまして、また、当法案審議につきましてもそういうふうに十分配慮してまいったところでございますけれども、なお今後ともそういう点につきましては十分注意してまいりたい、こういうように考えているところでございます。
  7. 森中守義

    森中委員 これはここまできたわけですから、出ないからだめですよという、そういう暴論は申し上げない。しかし、少なくとも立法府行政府の、法案を中心にした処理の仕方としては適当でない。むしろこれは、厳重に立法府という立場から郵政省に警告を発しておきたい。不遜ですよ。なぜ私はそんなことを言うかということでございますが、これだけじゃないんだな。非常に扱いがずさんですよ。すでに、おととい連合審査でしたね、あれなども、本来的にやるべきことなのかどうなのか。もちろん、官房長初めお歴々は、いや最善を尽くして公衆法の問題として処理したかったと、そういう努力努力としてわかるけれども現実的に、正当な郵政省の主張、しかも国会の中で何回もそれは議論された。実らなかったわけだから、先回のように、立法技術上の問題ですなんということはやめなさい。不遜ですよ、ああいう言い方は。むしろ率直に、勝ったとか負けたとか、そういう表現が適当とは思わないけれども、力及ばなかったわけだ。しかしながら、市民ラジオ等の問題は臨調、行管の一環として出されてきた。そういうのはここの委員会へ持ってくる。公衆法、きわめて重大な政策上の問題が内閣許認可整理一括で持っていかれる。理屈が通りますか、こんなこと。まさにこれはもう悔いを千載に残した、こういうように思うし、今日逓信委員会に籍を置く者としては、まことに遺憾きわまりない。筋もへちまもないじゃないか。しかも、設置法改正電気通信審議会をつくった。これはこれでいいでしょう。しかし、これも一つ考え方でございまして、この審議会を、公衆法、データ、こういうものをこの中に包括的に議論するならば、これはまた変わった展開になったかもわからない。せっかく審議会をつくった。実施は十月じゃないの。これでも網もかけたつもりだろうけれども、網かかっていないじゃないか。だから、非常に扱い方がずさんというよりも、郵政省頭脳集団だから相当の配慮のもとにやられたこととは思うけれども、結果においては全部これはだめだ。こういう実は背景があるんですね。だから、私は、まず冒頭に法案扱いはどうなのかと、こういうことを申し上げているわけでございますが、官房長なら官房長らしくもう少ししっかりしなさいよ、だめですよ、これでは。  それから、もう一つ、非常に大きな問題ですが、放送法改正の中で、提出されている法案関係資料の中の四ページ、「第一に、有線テレビジョン放送事業者」、こう言っている。これはいわば多重放送関係として、有線テレビジョン放送改正まで持ち出している。それなのに、さっき申し上げた在来存在をした有線放送審議会というものを電気通信審議会に持っていくということはどういうことですか。非常に口を悪く言うならば、電波権益を放棄した。電気通信審議会というのは、これは通政局所管でしょう。通政局領土割譲をさせた、こういう極論も生まれてくるわけだな。どういうことですか。筋は通るのですか。電気通信政策の中に有線放送が入るという定義が成り立つだろうか。少なくともこの郵政六法の中に示されている設置法、その関係法律によって、明らかに電波所掌である、こうなっておるわけだ。電波監理局の中に有線放送課というのがあるでしょう。何でこれは電気通信審議会に持っていくのですか。これは筋は通りますか。だから、そこまで計算をし読み上げたものかどうかはわからない。わからないけれども電波は徐々に権限を縮小する、また電波権益を放棄する。通信政策局は、口汚く言うならば領土割譲で拡大をする、こういう意図があるのかないのか、いわばげすの勘ぐりでしょうか。ちょっとその辺をはっきりしてもらいたい。これは重大な問題だ。
  8. 澤田茂生

    澤田(茂)政府委員 電気通信審議会をお認めいただきましたのは、私ども提案を申し上げた趣旨と申しますのは、最近いろいろ重要な問題を抱え、今後におきましてもいろいろな政策課題を持っております電気通信について、独自の審議会を設けまして、そこで大方のいろいろな御意見をいただきまして、電気通信政策の公平かつ能率的な行政に励みたいということでございまして、ただ現在の行財政情勢、非常に厳しい事情でございますので、単なる電気通信審議会の増置ということもなかなか認めがたいという事情もございました。そういうことでございますので、郵政審議会の中の電気通信部会というものといま先生指摘のございました有線放送審議会、これを合体いたしまして、電気通信についての幅広い御意見あるいは御提言というものをいただきまして、それぞれの分野においての行政に反映をさせてまいりたいということでございまして、決してどちらをどうするというようなことではございません。ある意味では便宜的な措置というおしかりもいただこうかと思うわけでございますけれども、一面有線放送につきましても、有線という分野での規律というものも考えなければならない面もございますので、そういった面での総合的な判断、あるいは行政におきましては電気通信政策局また電波監理局というものの間の両者の連携あるいは調整というようなものを十分配意をしながら、今後の行政に努めてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  9. 森中守義

    森中委員 澤田さん、そういうことではお答えお答えにならぬわけだ。私はもちろん素人ですから、皆さんのような高邁な意見は持てない。けれども、いま言われるようなことは私の質問答えになるだろうか。設置法に何て書いてありますか。これは設置法条項を見るまでもなく問題ですよ。十条の三を見てごらんなさい。そこで見なさい。そこに何と書いてあるか。答弁をはぐらかすのもいいかげんにしてもらいたい。十条の三ではこう書いてありますね。「電波監理局においては、左に掲げる事務をつかさどる。」「一 電波及び放送」丸括弧して「有線放送を含む。以下この条において同じ。」ときちんと書いてある。いつこれが提出されたか。澤田さん、郵政省内の連携だとか相互協力とか、そういうものは設置法条項にないのですよ。きわめて厳格に設置法はできている。そうでしょう。官房長所掌はこれこれ、通信政策局長所掌はこれこれ、電波管理局長所掌はこれこれときちんと明定されているわけです。それを何かしら概念的に、省内で相互依存相互協力をやる。だから、有線放送審議会電気通信審議会に持っていっても一向に不都合でない、こういう理論が設置法上通りますか。少なくとも私はそのことを承服するわけにいきませんね。これは誤りですよ。もし官房長のそういう説を可とするならば、それだけの手続をとりなさい。設置法を変えてこれをちゃんと通信政策局に移しなさい。こんな手続も何もやらずに、どうして電波審議会というものがあるのに、ここに併合せよ、これは理屈でしょうね。しかも設置法ではきちっと明定されておるにかかわらず、通信政策局所管にこれを移すとは何ですか。こんなことが通るのですか。郵政省管理運営というのか、機構なんというものはそういうちゃらんぽらんなことでやっているのか。ずいぶん長く歴代の官房長にいろいろ御意見を承ってきたけれども、そういう説明は初めて聞いた。通りますか。ここでもう一度はっきりしてください。
  10. 澤田茂生

    澤田(茂)政府委員 電波監理局所掌事務について有線放送に関する分野というものが含まれているのは先生指摘のとおりでございますが、ただ、審議会といたしましては、電気通信政策に関する事項、それから有線テレビジョン放送に関する事項というものを電気通信審議会としては所掌するということでございまして、有線テレビジョン放送に関しての所掌事務電気通信政策局で行うということではございません。審議会としては両方の分野についての御審議をいただくということでございますので、設置法所掌事務との関係については矛盾はない、こういうふうに考えております。
  11. 森中守義

    森中委員 官房長電波審議会がなければこれはまたやむを得ないということも言えるでしょう。電波監理審議会現実存在をする。しかも、有線テレビジョン放送法という法律がある。しかも、これらは明らかに電波監理局所掌だということを設置法で決めているじゃないですか。それを実際の行政行為じゃないのだ、単なる審議上の問題だから、それで電気通信審議会に持っていって、実際は電波に戻しますよ。こういう手間のかかるようなことができるのですか。それよりも何よりも、論理として通らないじゃないですか、これは。だから、どう説明されてもその説明を得心はできない。だから何なのだ、こういうことをやったのは、ということになると、妙な勘ぐりになってしまうわけだ。それ以外ないじゃないか。電気通信政策局も今日の行政状況の状態からいけば、にわかに五十名が百名、二百名になるというときはこない。それならば、徐々に電波から割譲させようかとか権限放棄しようかとか、そういうようなことが将来的なものとして懸念されるわけだよ。だから、私は、いかぬとこう言っている。戻しなさい、これはもとに。こんなばかな話がありますか。だから、これは官房長の責任でもあっただろうけれども電波監理局長、こういうように権限放棄していいの。権益放棄していいの。電気通信政策局領土割譲させたようなものでいいかわからぬけれども、取られた方はどうなりますか。これでは行政秩序が乱れるということを私は憂えるわけです。それは田中局長、どうなんですか。取られた電波としてはどうですか。
  12. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 非常に専門的な話なんでよく理解しにくい面があるわけですけれども、私、今度の改正によりまして、私ども電波監理局所掌事務が変わったというふうには理解いたしておりません。電波監理局事務のうち有線放送につきましては電気通信審議会、それから電波放送につきましては電波監理審議会で御審議いただく。それからなお、繰り返しますけれども電気通信審議会を利用するのは電波監理局であり、また電政局である、このように理解いたしております。
  13. 森中守義

    森中委員 田中局長、ちっとも専門的ではないよ。きわめて常識的ですよ。それだから官房長も、仕事をそれでは持っていくのではありません、電気通信審議会有線放送を議論しよう、こういうことだから、その限りにおいては業務が侵犯されているとは言えない。けれども現実電波監理審議会というのがある。筋から言っても有線放送審議会を併合するというならば、電気通信審議会でなくて電波であろう、これはきわめて常識的な考えだな。それをなぜわざわざ電気通信審議会に持っていったのか。だれが考えても理屈が通らないでしょう。また、これは現実的に、いま電波局長は、さしずめ弊害障害も発生しない、こういう見解のようですが、先々は想定される。いま具体的に、では何が弊害障害を伴うかというそういう予測は、私は申し上げぬけれども電波審議会があるのに電気通信審議会に持っていった、そこでいろいろ議論するということになると、舞台が違うわけだから、それは将来において思わざる弊害障害というものが発生する可能性があると私は予測する。そういうことではないですか。だから、設置法上の機構上のより高度な運用を図っていくには秩序を守らにゃいかぬということですよ。そういうことが全然配慮もなく、何でこんなことやったの、こういうことを言っているわけです。  大臣、少し声高に言って申しわけありませんけれども、どうされる。あなたではない、大臣に聞いているのだよ。これはやはり、大臣、できるだけこういう、私はあえて過ちと申しますが、片してもらう必要があるのではないでしょうか。
  14. 澤田茂生

    澤田(茂)政府委員 法律的なことにつきまして若干補足した御答弁をさせていただきたいと思うわけでございますが、電波行政につきまして電波監理審議会という重大な審議機関がございます。これと有線放送審議会というものを合体するならば、どうしてそちらの方にという御指摘をいただいたわけでございますけれども、確かに電波という一つ行政分野ということから考えますと、それも一つ考え方であろう。私どもも議論の過程といたしまして考えたところでございますが、何しろ電波監理審議会は、電波行政について、電波放送についての重要な事項についてかねてから御審議をいただき、なお一般審議会と異なりまして、聴聞あるいはそういった準司法的な機能もあわせ持っているという機関でもございます。そういう関連もございますので、今後の電波あるいは放送についてますます重要な問題が山積し、これから検討していかなければならない電波監理当局といたしまして、電波監理審議会にいま以上に加重をさせていいのかというようなことも配慮いたしまして、そういう観点からいたしまして、今後の全体的な運営というものを見まして、御提案を申し上げたような電気通信審議会との合体というような形をとらざるを得なかったということでございます。なお、電波行政につきましての重要性、あるいは放送についてのいろいろこれからの問題、当面両法案についての御審議をいただき、その中でもいろいろ御指摘あるいは御提言をいただいているとおりでございまして、今後の問題、重要性というものも十分踏まえながら、電波のあるいは電波監理局事務の一部割譲とかあるいはそれを向こうに移していくというような形でのバランスのとり方というようなことは、私ども毛頭考えていないところでございまして、それぞれ電気通信も非常に重要性を増してまいりました、電波放送につきましても今後ますます重要性を増していくわけでありますので、行政能率向上というものに努めながらも、なお一層の整備に今後とも努力をしてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  15. 森中守義

    森中委員 もう先に進もうと思うけれども、妙なところでひっかけるね。  電波が忙しくてたまらぬから少し手伝ってやるんだ、そういうようなことですか。私はそういうことで言っているのじゃないんだよ。設置法上きちんと明定されているから、行政秩序を守りなさい、こう言っているわけだ。もうこんなところでひっかかっていたらしようがないけれども、要するに、法案扱いとしまして、政令省令案のこれも出さない。しかも、設置法改正によって有線放送審議会電気通信審議会に持っていった。こういう理屈の通らぬことをやっておいて、しかも、許認可整理後の問題は何なんだ、郵政省はどうしているんだ、こう言っているわけですよ。  だから、これは私の質問に的確にお答えいただいていないけれども、いずれこのことをまた論ずる機会もありましょうから、この程度にしておきますけれども、やはり考えるところは考えてくださいよ、官房長。あのやろう、文句ばかり言うというような、そういうことでは困る。私は私なりに正論を言っているつもりだから、それはそういうように受け取ってもらいたいですね。  それから、この法案扱いでもあるのですが、先般の久保質問に対して、放送法の抜本的な改正をいたしましょう、こういう答えがありましたね。大体、抜本的な改正という前に、電波三法といわれるものが二十五年にできた。自来三十数年たっているんだが、この間に何回放送法改正をしましたか。私の調査では大体十四回やっている。しかも、そのほかに廃案になったものが相当ある。こういう法改正の経過等考えると、いかにも放送電波がきわめて高度な社会性を持っておる、しかも国民のニーズにこたえていく、そういう意味からの改正なんですね。しかし、いろいろ内容的に見ると、四十一年のあのこと以外は、ほとんど場当たりというのか、何か新しく変えなければならぬことが発生したから改正しますというものが非常に多いわけですね。これではどうなんでしょうか、さらに静止画放送時代が来る、ファクシミリの時代が来る、BS、CSの時代が来るという、非常に高度に展開されていく電波放送行政を見た場合に、場当たり主義で、こうだからまたですよというようなことでいいのかどうなのか、非常に問題でありますね。だから、そういう意味で、久保質問に対する放送法の抜本的な改正、その必要を認めますという、いわば肯定発言になったものと思うのですが、どういうプロセスによって進めていくつもりですか。これは電波監理局長もあれですが、官房長もそういう職掌上、いつまで官房長をしているか知らぬよ、知らぬが、現在の官房長だから、その限りにおいて答えなさい。
  16. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、昭和二十五年に現在の電波三法、基本が決まったわけですが、その後十三、四回ですか、いろいろな改正は行われておるわけでございますけれども先生おっしゃるとおり、非常に根幹にかかわるものではなかったと言えると思います。それで、四十一年にはかなりの点について御提案申したわけですけれども、不幸にして審議未了廃案、こういうことになったわけでございます。放送法電波法含めてですが、いろいろな点で検討すべき項目として指摘されております。難視聴解消の問題とか、チャンネルプランを明定したらどうかとか、放送番組はこれでいいのか、あるいは国際放送はどうなんだ、それから新しい衛星放送をどう取り組むべきかというようなことで、私どももそうしたものについていろいろ検討を重ねてまいったわけですけれども、問題の性格上と申しますか、事は言論にかかわるというような関係からも、なかなか国民的コンセンサスを得にくいものをかなり含んでおります。そして、今回その中であえて御提案申したわけですけれども、私どもとしましては、必要なものであってまず何とか国民的合意が得られるものではないだろうかということで、今度の放送法等改正につきましては大きく言いまして四本の柱があろうかと思いますけれども、御提案申し御審議いただいている形でまとめて何とか改正をお願いしたい、こういうような形になっておるわけでございます。  それで、先ほど申しましたように、かなりいろいろな御意見のある面が多いわけですけれども、繰り返しになりますが、今後も必要なものであって合意の何とか得られるものについては、随時改正を行う必要があるだろう。なお、そのための具体的な手続といたしましては、当然、改正の対象事項に応じまして、それぞれの関係方面の御意見を伺う必要があるわけで、国民的合意が早期に得られるように推進方努力してまいりたいと思います。  それで、基本的、全般的なものにつきましては、先ほども申しましたように、随時、ただいま御提案申し上げながらなお一方においても改正すべき点があるということで、検討は続けていくつもりですし、事実そういう形で日夜問題点の整理を考えているというのが実情でございます。今後ともこの検討を引き続きやっていく必要があるというふうに考えておる次第でございます。
  17. 森中守義

    森中委員 どうも答弁が月並みで、そういうようなことはもうしばしば述べられているからいいのですが、やはり抜本的改正をやるというならば、何か舞台がけをする必要があるのじゃないかという気がするのですよ。つまり、四十一年のことを考えてみますと、それなりに非常に大問題になった。大問題になったのだが、それをある程度こなして法案を出したわけですね、結果においては流れたけれども。それで、今回の多重の関係につきまして、この委員会の中に電波放送に関する小委員会ができているでしょう。こういうところとかにもう少し相談したらどうなんですか。つまり、きのうのNHK代表、民放代表の参考人の意見をお聞きしていて、NHKは、何が何でもというつもりじゃないけれども、一応パターンでいきたい、こうおっしゃる。民放は、コードでなければだめだ、こう言われるのですね。そうなると、法案提出した、つまり法律効果を求めようとしたのだろうけれども、民放がそれに乗ってこなければ、国民の多様な要請にこたえる、こう言われるのだけれども、民放の分だけは多様なニーズにこたえ得ないということになるのだな。明らかに浮き彫りにされてきた。だから、前段にNHK並びにその余の放送事業者の見解はいかんというような事前協議的なものがどの程度行われたかどうなのか。行われていないからこんな結果になってしまう。法律効果、これでは上がりませんよ。非常に問題があるのですね。それは後で触れますけれども、少なくとも放送法を抜本的に変えるということであれば、やはり今日をおいてない。三十年たっていますね。だから、そういうところに、放送電波の未来図はどうなのか、ビジョンはどうなのかというのが、放送法によってとらえられるべきじゃないですか。どういうようにプロセスを仕組んでいくのかというのを聞かしてくれ。場当たり的に、こんなものが出たから今度やる、次はこうだということでは、やはり将来展望にいささか欠けるところがありはしないか、こういうことなんですがね。
  18. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 まず最初、先生、きのう参考人等を呼んで聞いてみたところ、十分な話し合いが行われ関係者の意見をとった上ではないのではないかというふうに申されたわけですけれども、その辺について、私どもの理解ですと、一応今度の改正につきましてはNHK、民放連等の意見も聞きたいということで、四十一年以来検討はしておるわけですけれども、今度の具体的なもの、特にその中の多重等につきましては一昨年の十一月ごろから話し合いをやっておるわけでございます。特に、民放連に理事会あるいは放送法委員会等もございますし、そういうところには担当の部長あるいは課長をやりまして、私ども意見も言い、また民放連の方々の御意見も伺ったということでございます。  それで、その結果といたしまして、NHKからは、放送法改正についての要望が五十七年の一月二十一日に出ましたし、また、民放連の方からは、文字放送に関する要望書で五十七年の一月十九日に出されております。この際には私も直接お会いして、いろいろ民放の方々にも伺ったわけですけれども、その時点で私ども考え方もある程度決まっておりましたので、特に民放の要望につきましてのうちの設備契約の義務づけと申しますか、その辺につきましては、前々からの御意見もあったので、これはやはり財産権と申しますか、そうしたものの束縛というようなことから考えてもとても無理であるということで、民放連の御意見等も取り入れてそういう形の案は考えておりませんでしたので、その辺の御理解をいただいたわけでございます。  それから、もう一つ、次の方式についてでございますけれども、これは実は、現在御提案申し上げておりますのは、先生も御高承のとおり、多重についての道を開くというようなことでございまして、コードかパターンかということにつきますと、現時点においてたまたまパターンについては一応技術者の間の結論が出ておるということで、コードについても、なお現時点におきまして、民放の方々あるいはメーカーの方々、学者先生あるいはNHKの方も入れまして現実に議論しておるわけですし、これの促進を図るということもお願いしておるわけでございます。そうした場におきまして、私ども、コードの基準ができるだけ早く決められることを望んでおるわけでございまして、現時点において結局コードを早くしたいという各界での希望がそういう形で出ておる、私どもも、コードの非常にスピードが速いとかいろいろ長所もございますので、そうしたものでの基準が決まるにこしたことはない、このようには考えておるわけでございます。  それから、非常に新しい技術革新が行われると、それについてますます御指摘のとおり情報の多元化、多様化を図るというムードが出てきているわけですし、世の中の流れもそうなっておる。私どもといたしましては、そうした技術の成果というものは、すべて早期に実用化できるような形に積極的に技術開発を推進させる必要があるだろう。そして、そうした技術の成果を国民に還元するといいますか、実施に当たりましては、やはりあくまでも既存の放送秩序との調和というものを十分配意すべきであろうというようなことで、ごく最近お答えをいただきました放送の多様化に関する調査研究会議の報告書の趣旨等も考えながら、国民の多様化するニーズに対応した適切な施策を図っていく、それによりまして国民生活の一層の豊かさに向けて指導していくべきである、このように考えておる次第でございます。
  19. 森中守義

    森中委員 余り時間がないので、聞かないことまで答えぬでよろしい。私はそういうことを聞いているのじゃない。放送法の抜本的な改正をするにはどういうプロセスがあるのですか。この前、久保質問答えられておるからね。しかし、まあ恐らくないのだろうと思う、妙なところですりかえてしまったから。  それで、いま一つ尋ねておきたいのは、電波監理局というのかな、法律上は郵政大臣になるのですが、免許権というのが本当に確立されているのだろうか、私は非常に疑問がある。ですから、具体的にちょっと一言だけここは触れておきますが、周波数の割り当てをする場合、競願が出る。さて競願を一本化するために知事等に調整を委任する。一体、放送法もしくは電波法のどこにそういう調整委任の条項があるのか。しかも、非常に混乱していますね。最近あるところで、それもあった。しかも、だんだん深みに入ってきて、一本化のためには役員はこういう者を何々という、そこまで条件を付してくるという。こういう経緯などもあるわけです。だから、私はそういう意味から考えると、本当に郵政大臣すなわち郵政当局がこのような重要な免許の交付、免許権の保有等について、独立した権能を保持し維持しているかどうか非常に疑わしい。いま、私は、電波放送法のどれかに該当するところがあるかなと思ったが、これはない。  沿革的に考えてみると、ずいぶん以前ですが、小林武治さんという郵政大臣がかつて知事の経験者でもあった。この人が、めんどうくさいからひとつ競願の場合には地方自治に委任の方式で調整してもらおうかという、きわめて俗事的に始まったのがこの調整委任の出発点だと理解しております。  こういうことが電波法ないしは放送法の正確な運用の中に許容されていいものなのかどうなのか。民法、商法等によるのは別です。しかし、免許の権限というものは電波法放送法にあるわけですから、そうはまいりますまい。  これは非常に大きな問題。むしろ、だから周波数の決定の権限というものは郵政大臣が持っている、こう言いながら、経過においては必ずしもそうじゃない。だから、詰めて言うならば、そういう意味では権能を放棄している、こういうように言えるのじゃないかと思うわけです。それは答弁は要りません。  ですから、これは郵政大臣、在任中に、放送法を一体どうしていくのか、これはなかなか頭の痛い問題です。簡単にできない。けれども、何をやるにしても、こういう問題がずいぶんたくさんあるわけですから、一遍大臣の政治的な判断によっていずれかに方向づけられたらどうですか。
  20. 箕輪登

    ○箕輪国務大臣 だんだんの先生のお話を聞いておりまして、私も、たとえば放送法の抜本改正、それはやはり時期をみてやらなければならないのではないかなと考えておるわけでありますが、ただ、四十一年の抜本改正案を出したときに廃案になった。先生指摘のとおりでありますが、抜本改正をやろうと思いますが、たとえば放送番組のあり方だとか、あるいは放送事業者のあり方だとか、それぞれ問題がありまして、たとえば報道の自由とかいろいろな問題がありまして、国民的なコンセンサスがなかなか得づらい。そういう経過で廃案になったものと私は思っておりますが、いままでやってきている中で、改正事項にあったもので、そして合意の得られたものについては逐次やってきた。それじゃいかぬじゃないか、やはり抜本的な改正をやるべきだ、私はその精神は本当だと思います。だんだんと研究してみたいと思っております。  また、いまの、これは郵政大臣の認可にわたる周波数の割り当てその他認可事項について、これは郵政大臣の権限を放棄したものではないのでありますが、途中経過において、やはり何といっても県という県域に波の割り当てをするわけでございますが、その県の県民多数の合意で得た知事さんと何とか調整をしていただかないとなかなか調整がむずかしいものですから、知事さんに調整をお願いしている。知事さんが一本化の調整を行った上で郵政大臣が認可する。認可権を知事さんに与えたわけでも何でもないのですけれども、その県へ行って、郵政大臣調整の任に当たることがどうもむずかしいものですから、便宜上そういうことをやっておるわけでございまして、この点はひとつ御理解をいただきたい。  抜本改正については、私は先生の精神と同じでありまして、何とか一回出してみたいなと思っておるのでありますけれども、これもひとつ勉強させていただきたい、こう思います。
  21. 森中守義

    森中委員 いまの知事の調整委任の問題、これはいまどき非常にむずかしいことが言われる時期でもありますし、また、知事自体には、こんな厄介なことをと考える知事もおいでだと思う。ですから、それにかわるべきもの、やはり物事、特に認可とか許可というのは法律の背景、裏づけがないとだめですよ。そういう意味で、もう少し他にかわるべき方法はないのか。たとえば、例示的に言えば、電波監理審議会というのがあるじゃないか。この権限を、もう少しこういうものを消化できるように改組していくとか、人をふやすということも考えられるでしょう。少なくともやはり大臣の権限というものが具体的に及ぶようなやり方でやっていくべきだな、こういうように考えるわけです。  それから、抜本改正ということで誤解があってはいけませんから、特に一言触れておきますが、憲法の中における表現の自由、これは現行の放送法ですでに比較的確立されていると思う。それを弱めなさいとか薄めなさいなんという意見じゃないのですよ。すでに表現の自由は現行の放送法で確立されている。しかも、具体的に番組審議会等でチェックすることもできるわけですからね。だから、そういうことで何かしら放送法をいじれということになると、直ちに憲法違反じゃないか、言論に対する統制じゃないかということがしばしば一般的に言われますけれども、そういう意味じゃない。あくまでも放送秩序国民のニーズにこたえるという意味で抜本改正の必要な時期に来たということでございますから、そこは大臣の方も正確に受けとめてもらいませんと困りますから、ぜひひとつそのように御理解願っておきたいと思います。  それじゃ、少し妙なところで時間をとり過ぎましたが、この放送法改正の中でこう言われておりますね。「国民の多様な情報に対する要望にこたえて、」とこう書いてある。これは郵政省で出されている法律案関係資料第一ページの四行目、おわかりですか、書いてありますね。まさかこれはまくら言葉じゃないだろうと思う。まくら言葉ならそれでも結構。けれども、情報に対する要望にこたえるというならば、具体的にどういうものを国民の要望として把握されているのか、ひとつ、内容をお持ちであれば、まずそれからお聞かせ願いたい。
  22. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 この問題は、多重放送を実用化するための目的を掲げてあるわけでございまして、多重放送につきましては、まず特にローカル放送に向くのじゃないかというふうに私ども考えております。それから、すでに議論にもなりましたように、テレビ文化ができましてもう三十年になるわけでございますけれども、特に難聴者の方々には、そのテレビ文化の十分な内容といいますか、おもしろみというものを享受できなかった面もあるというようなことで、要望もいろいろあろうかと思いますけれども、簡単に申しまして、多重放送でいろいろローカル情報、細かいニーズにこたえられるであろう、特に聾唖者にとっては福音である、こういう考え方でございます。
  23. 森中守義

    森中委員 だから、これは郵政省が認識している問題であって、一体国民の要望というのをどういうように取りまとめたのかというようなことを聞いているんだが、それはいいですよ、お答えがはっきり出ないからね。  時間がもう三十分しかありませんから、少しはしょりながら先に参りましょう。  技術審議会の答申が五十六年の三月だな。約一年たった。この一年の中で、たとえば逓信委員会の中における電波放送の小委員会に一度ぐらい相談をされたのかどうなのか。あるいはNHK、民間放送、NHK以外の放送事業者に対しては、こういうものを先行きとしてやりたいんだがお考えはどうか――特に民放からは意見書が出ていましたね。その意見書がきのうの発言で非常にはっきりしたわけですが、いわば法律改正をする、法律効果を与えたいということであれば、事前に何かそういう方法があってもよかったのじゃないかな、こう思うのですよ。くどいようですが、きのうの民放の代表の泉さんでしたかのお話からいけば、私はパターンじゃだめです、多少誤字があってもとは言われなかったけれども、コードの方がより多量に情報の提供ができるからコードでいきたいんだというお話があった。そうなると、「国民の多様な情報に対する要望」と言うけれども、その分だけはもう情報提供できないわけだな。そういうようなことを考えると、法律効果がやや減殺をされてきたということになるわけで、提案者としてはこの事実をどういうように認識しておられるか、ひとつ簡単にお答えいただきたい。
  24. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 多重放送を導入するに当たっての方式がいま問題になっておるわけでございますけれども、これにつきましては、五十六年の三月にパターン方式についての結論が出まして、また一方、コード方式についても、同じ電波技術審議会の場で五十五年から研究が進められておるわけでございますけれども、まさにその研究自体の中で、民放連の方々、特に技術者の方でございますけれども非常にたくさん入っておられますし、新聞協会も入っておれば、NHKも入っておる、あるいは学識経験者も入っておるということで、この電波技術審議会の第四部会というところですけれども、非常に精力的にやっておっていただきまして、その中の毎日の審議の中でも、パターンがどうであり、コードがどうであるか、その辺についての電波監理局なり郵政省としての考え方というのは当然出ておるわけで、意見交換も行われておるわけでございます。
  25. 森中守義

    森中委員 きのうのあれをお聞きしていまして、さっき申し上げたように、民放はコードでいきたい、しかしコードでいく場合に、いずれ遠からずコードに対する答申も出るだろう、こうおっしゃった。ところが、技術審議会への諮問というものは、パターンとかコードとか区別をしないで諮問されているわけでしょう。その際にパターンが先に出た、コードはこれからだ。恐らく進んでいると思うのですが、大体いつごろの時点でコード方式の答申が出るという想定ですか。想定というよりも話をなさっているのか。
  26. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 私どもの試算では三年ぐらいかかるというふうに理解しておりますが、すでに昨日も民放連の方からもお話がありましたように、一、二年というお答えもあったように思っております。その場合、大体三年ぐらいはかかるのでしょうか。私ども、ともかくコードにしましても、パターンはでき上がっておるわけですけれども、これはでき次第導入するということでございまして、まさに電波技術審議会の場に民放連の方々、東京のキー局の五局の技術局長さんはたしか全部専門の委員で入っておられると思っておりますし、十分その辺の場で、技術的にでき上がったものをまだできていないなどと言うわけはございませんので、決してコードをおくらせてパターンを先行してというようなことではございませんので、御審議いただいた結果、たまたまパターンについては比較的やさしいので結論が早く出た、こういうふうに理解しておるわけでございます。  コードについては、スピードは速いのだけれども、表示の仕方ないしは何といたしましても誤字が出やすい面がある。特に電界強度の低いところ、あるいはビル陰、最近の反射障害等々になりますと、情報が全然変わったものになるということでございます。一が五になる可能性があるわけでございます。ただ、パターンの場合は一が五になることはない、想像はつくということでございます。ですから、数字などで、たとえば選挙放送の話も出ましたけれども、票の数が違ったのじゃ大変だと思うのです。そうしたことで、誤字を訂正する方式はどうか。そうなると、誤字を訂正するためには、伝送方式もスピードが五倍ないし十倍と言われておるけれども、誤字訂正をやるとその半分にもなる可能性だってあるだろう、そういうふうな検討が必要だ、そのように聞いているわけでございます。
  27. 森中守義

    森中委員 そうしますと、放送開始のスケジュールとしては、きのう中塚副会長のお話によりますと、NHKは何が何でもパターン方式で突っ走るという意味ではない、けれども、将来においてコード方式が採用されても、その設備を応用できるような方式、恐らくハイブリッド方式ということのようですけれども、こういうことで行けるならばやりたいのだ。民法も、NHKに先発されても結構です、こういう意見の開陳がきのう行われたわけですが、いま田中局長のお話からいけば、事実上コードは三年後ぐらいに来るだろう。ということになると、この法律改正が行われて大体六カ月後、その六カ月の間に政令をつくる、あるいは基準等の省令をつくる、いろいろなことをして、それでNHKを先発させるというように認識していいですか。
  28. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 NHKを先発させるとか、あるいは民放がおくれるとかいうことではございませんで、私どもの準備は当然私どもの責任において早急に急ぐべきでしょうけれども、やはり送りの側におきましてのいろいろな工夫、番組をつくる際の技術等々もありましょうし、どんな魅力のある情報を入れるかということもあろうかと思います。  それから、実際に放送を始めるとなりますと、ある程度の受像機、アダプターと申しますか、そうしたものの普及、それに対するメーカー側の協力体制といいますか、生産体制というものも必要だろうと考えておるわけです。  それで、やはり民放の中にも非常に熱心なところもおられますので、特にNHKが早くとか民放が遅くということではないだろう。大多数の民放の場合は、民放連の専務理事ですか、代弁したような形ではあるのでしょうけれども、またNHKにしましても、始めるとしても一様に全国的に始めるというわけにはまいらないだろう、このように考えておりますが、私どもとしましては、せっかくのものでございますので、できる限り早く実現いたしまして、国民にその成果をお見せしたい、享受していただきたい、このように考えておる次第でございます。
  29. 森中守義

    森中委員 それは放送事業者のおのずからなる選択によるわけでしょうから、それはそれでいいんですが、ただ一定の方向としては、民放連の代表が、コードでまいります、答申はいずれ遠い日でないだろう、こうこの場で言明されたわけだから、結果的にNHKが先行することになるでしょう。これは私そうだと思う。  そういう場合に、多重の国際水準からしても、アメリカが八〇年に開始していますね。そう極端におくれはしない。ところが、NHKといえども六カ月後、さあ政令省令できましたよ、基準できましたよ、さあやりなさいと言ってみても簡単にいかぬわけだ。  そこで、坂本会長あるいは中塚副会長のどちらでも結構でございますが、まず財政的に見て、五十七年度の予算の中にこれを供用するような項目は款、項、目いずれにもないのです。そういたしますと、五十八年度予算の中で財政の裏づけをするのかどうなのか、この辺はどうでしょうか。
  30. 高橋良

    ○高橋参考人 ただいまの先生の御質問でございますけれども法改正以前でございますから、五十七年度の予算といたしましては、五十七年度の研究施設整備費の中に二億八千万計上しているわけでございます。  では、これはどういう計画かということを申し上げますと、これのニーズのあることはわかっているわけでございますので、たとえば、先ほど先生も御質問ございましたように、聴力障害者のような方が、現在の手話放送をもっとふやせ、その手話よりも字幕放送の方がよろしいのではないかというような考え方もあるものですから、こういうものに対処するために、とりあえず東京で制作いたしまして、その東京で制作した分を大阪でも流すという程度の予算でございます。  では、具体的に整備内容はという御質問でございましたならば、文字の入力の端末装置が必要になります。それから図形の入力の端末装置のようなもの、ニュースなどの補完番組のための制作装置、それから、東京から大阪へ送るために回線伝送のための再生中継装置が必要でございます。こういうものが四式、これなどを含めまして二・八億というものを一応計上しているわけでございます。
  31. 森中守義

    森中委員 それは技師長、六カ月後にさあゴーという場合に、申請をして免許を取る、それで二・八億でとりあえずの供用開始ができる、こう理解していいんですか。
  32. 高橋良

    ○高橋参考人 先ほど電波監理局長からも御答弁がございましたように、まずわれわれとして一番考えなくてはいかぬことは、電波技術審議会が方式並びに技術基準というものを郵政大臣に答申する、そのときから省令政令が始まりまして、この技術基準で始めるのだということをまず決めていただいたその瞬間から、今度は受像機の問題があるわけであります。  先生指摘のように、工業会から聞くところによりますと、受像機の生産が、パターン方式でございますと大体一年くらいで生産体制を整えるだろうということを言っております。それから、コード方式になりますと大体二年くらいかかるだろう、これは文字発生器のところでございます。その文字発生器も、現在電波技術審議会審議している最中でございますが、日本語の場合に、大体何千語ぐらいの文字発生器を持てばよろしいかという問題があるわけでございます。それで、先ほど先生からも御指摘がございましたように、コード方式は伝送スピードが非常に速い。裏返しにしますと情報量が非常に多いという長所はあるのでございますけれども、誤り率の問題がある。それから、パターンの方につきましては、スピードは遅いので情報量は少ない。ところが、電波技術審議会の中間答申といたしまして昨年度郵政大臣に答申した中に、現在やっておりますコード方式の技術基準の審議の前提条件があるわけでございます。それがパターン伝送方式と整合がとれること、その次に文字発生器に持たない文字も――これを電波技術審議会では外字と定義してございますけれども、そういうものもつくり得ること、そういうことになってまいりますと、文字発生器にない字をつくるということは、パターン伝送方式でつくるということになるわけでございます。そういう意味で、NHKの技術研究ではパターン伝送方式もコード方式も、さらにそういう話が出てまいりましたものですから、昨年の十一月にこれの長所を両方合わせたようなハイブリッド方式というものを提案したわけでございますが、このハイブリッド方式のようなものが仮に決まったといたしますと、パターンで始めてもよろしいということになりますので、先生の御質問に対して申し上げますと、その間に、その技術基準がいつ決まるか現在わからぬものでございますから、これはもしも五十七年度中に決まった段階において現在申し上げたような設備の用意をする必要があるわけでございます。そのための費用というふうに御理解賜りたいと思います。
  33. 森中守義

    森中委員 大体流れとして理解できました。  それで、いま技師長の言われるようなことをずっと整理していけば、ぎりぎり六カ月後、それを基準にして計算していけば、どのぐらい経過して供用開始になるのでしょう。いま言われるようなことが一々充足されてこれでいよいよ放送開始というのは、いつの時点だと理解していますか。
  34. 高橋良

    ○高橋参考人 繰り返しになって大変恐縮でございますが、その技術基準の決まり方によるということがまず一つあるわけでございます。先ほど申し上げたのはその点でございます。したがいまして、たとえばハイブリッドみたいなもので、パターンでもやって、コード方式ができたときにその受像機がむだにならないで両方とも使える、そういう両立性のあるような技術基準が郵政大臣に答申されまして、それを御採用になるようなことになりましたならば、これはパターンだけでございますと、受像機の生産体制を考えていきますと、要するに受像機のない放送というのはあり得ないわけでございますから、それを考えますと一年から大体二年ぐらい、コード方式でございますと、電波監理局長がおっしゃいましたように、基準が決まるまでの野外実験その他がございますものですから、三年ぐらいかかるということは、私も技術屋としては理解できるところでございます。
  35. 森中守義

    森中委員 いまメーカーにおける機器の製造期間というお話がありましたが、ちょっとそこで気になるのですけれども、パターンないしはコードの場合、受像機に相当の変化が来るのでしょう。それで、いわばユーザーというのか利用者がどのくらいの負担増になるのか、ちょっとその辺がわかっておりましたら教えてください。
  36. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 これはメーカー側の方の試算でございますけれども、いわゆる内蔵型としてパターン方式のものを経営するためには、普通のテレビの価格……。
  37. 森中守義

    森中委員 局長、内蔵型で幾ら負担、コードで幾ら負担、こういうふうに言ってくれればいい。
  38. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 内蔵型パターンで三万円増、それからコード方式で七万円増、そういうような試算を聞いております。つまり、仮に十七万のテレビだといたしますと、三万増ですから二十万、それからコード方式だと十七万に七万プラスで二十四万円、このような数字が出ております。
  39. 森中守義

    森中委員 それでパターン及びコードの場合がわかりました。  BSがいよいよ実用化される場合、これでパラボラとかアダプターというか、こういうもので幾らくらいかかるのですか。
  40. 高橋良

    ○高橋参考人 先生の御質問をBSの直接受信用の受信機のパラボラ並びにアダプターは幾らかかるかというふうな御質問だといたしますと、工業会の方の現在の発表では、大体十万台ロットで値段をつけてみると、六万円から八万円ぐらいでできるであろうということは聞いております。
  41. 森中守義

    森中委員 そこで、坂本会長、なかなか見る方もサービスしてくださるというわけじゃないのですね。かなり持ち出しがある。  さて、そういうようなことを考える。それと、パターンのために総額幾らだったのか、この前説明があっていたようでしたね。六十五億か、概算すればそんなものでしょう。かなりNHKの持ち出しがある。視聴者の方も結構出し前があるというようなことがNHKの財政にどう影響していくか。これは非常な技術革新に伴ってより高度なサービスが提供される、これは大いに結構。しかし、ただではできないというところに、やはり一つの視点を求めておかないと簡単にいかぬな、こういう気がするのです。つまり、視聴者の方も、やれBSで、パターンで、コードで、相当な金を出さなければいかぬということになった場合に、一体こういう問題が受信契約者として心理的にどう影響してくるのかというのが第一点。  それから、五十五年でしたかな、あのローテーションがそろそろ来ますね。何かこの前予算審議の際には五十八年は逃げるのか行くのかはっきりわからぬようなお話でございましたが、察するに、五十八年は何とか開始したいのだというお気持ちに酌み取って、そうしてもらいたい。ところが、現実にこのようにパターンがあるいはBSがというように重なってきますと、さて協会の財政はどうなっていくのだろう、こういう懸念があるのですね。そういう意味で、こういう技術革新の波に乗って高度のサービス提供は結構だけれども、協会の財政の運営としてはどういうふうにお考えなんですか。
  42. 坂本朝一

    ○坂本参考人 先生指摘のとおり、その点が協会としては一番大きなテーマだと思っております。これは御承知のNHK長期ビジョン審議会の御答申の中でも、一九八〇年代を見通してのNHKのあり方ということについて数々の御指摘をいただいておりますので、それを踏まえて私どもといたしましては毎々御答弁申し上げておりますように、私を長とする長期ビジョン検討会議を設けまして、そしていま先生の御指摘の、少なくとも五十九年度以降の財政のあり方、これがこのままの形で放置すればやや破局的状況になるのではないかというような御指摘もいただいておる向きもございますので、そういう点を含めて鋭意検討を進めておるという状況でございますので、そこら辺の苦衷をお察しいただきたいと思うわけでございます。
  43. 森中守義

    森中委員 どうも苦衷を察してくれと言われると、なかなか二の句が継げませんな。よくわかります。しかし、せっかくこういう段階に来たわけですから、最善の方策をとっていただいて、視聴者には迷惑のかからないように、料金は上げないように、サービスは提供できるように、なかなかむずかしいですけれども、そういうことをお願いしておきたいと思うのです。  ちょっと電波法関係ですが、今回の改正によって少しすっきりしてきたような気がしますけれども、いま通信士の需給関係はどうなっていますか。陸上、海上、航空、こういうところに配置をされる通信士、これは本当は運輸省だろうけれども、わかっておれば、一級、二級等々の資格別に、需給関係はどうなっているか。
  44. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 五十五年度末現在の無線従事者の免許付与状況でございますけれども、まず一級無線通信士でございますが一万一千五百九十八名、二級無線通信士が一万三千六百七十八名、三級が二万六千二百十六名、航空級が一万五千三百八十三名、電話級が三万六千七百十名、これが無線通信士でございます。技術士の方も申し上げましょうか。無線技術士の一級が一万一千二十八名、二級が二万四百二十三名、その他アマチュア無線技士と特技がございます。特技で申し上げますと、これはいろいろございますが八十四万五百九十五名、これはマイクロ多重とか特殊甲、乙とかいろいろな狭いフィールドの特別技術士でございますが、そんなような数字になっております。
  45. 森中守義

    森中委員 これは資格を付与するのが電波の仕事だから、余り需給問題を言ってもおわかりないだろうけれども、前回の船舶職員法改正のときの議論に参加したのですよ。あのころなかなかみんな海上勤務を嫌がって、全部おかに上がってしまった。それで、当時の電波高校を高専に直して、もう少し資格の取れるような方式をとったらどうか、こういう議論があったのですが、いま全体的に見て、ある程度需給関係というのは行き届いている、こういう認識でいいですか。
  46. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 需要に見合った供給はできておるというふうに理解いたしております。
  47. 森中守義

    森中委員 技術庁、来てもらっていますか。――ことしの三月、電波利用開発調査研究会の実用衛星部会からこういうものが出されました。この中に、在来的に国内におけるロケットの開発に依存すべきではない、シャトルをうんと利用したらどうかという、きわめて現実的な方向が出されている。これは一体、いままで決定されている宇宙開発委員会の方向とは正面からぶつかるわけですが、さて郵政省はどういう選択をするのか、同時に開発委員会はどういう選択をするのか、この辺をひとつ最初に聞かせてもらいたい。  それから、ことしの四月三日の読売新聞に日ソの宇宙戦争というまことにショッキングな見出しで、百三十度に上げたらぶち落とすぞ、こういうセンセーションを起こすようなあれがありますが、これに対してはどう対応策をとるか、まずそのあたりからちょっと聞かせてもらいましょう。
  48. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 その宇宙に静止衛星を打ち上げます軌道の位置につきまして、国際的手順によりまして関係のところと調整いたしております。その相手国の一つがソ連でございまして、百三十度という位置につきまして、位置とそれから周波数と常にペアで考える必要がございます。同じところで同じ周波数を使うと、余り近いところで使うと混信がある、こういう問題でございますけれども、静止衛星には、コントロールからテレメーターあるいは実際の通信用の電波ということで、非常にたくさんの電波を使っておるわけでございますが、六ギガ、四ギガというような周波数帯を、マイクロでございますけれども、使うわけでございます。そこの辺につきまして、余り近寄ると混信があるということで現在交渉中でございます。おもしろおかしく書いてございますようですけれども、事実調整は行われておるということでございます。
  49. 吉村晴光

    ○吉村説明員 お答え申し上げます。  宇宙開発委員会におきましては日本の宇宙開発を円滑に進めるためにいろいろな視点から議論をしておるわけでございますが、その際に、放送だとか通信という非常に重要な需要というのがあるわけでございますので、そういう立場からいろいろな御意見も伺いながら考えておるわけでございます。  現在私どもが計画としてつくっておりますのは、間もなく打ち上げになります通信衛星の2号、それに続きます放送衛星2号がございますが、それにつきましては、すでに計画としてはっきり固まりまして製作をやっておるという状況でございまして、その次の通信衛星3号につきましては、現在開発研究ということで進めておるところでございます。その後の問題につきまして、シャトルを利用するとどういうコストになるかというようなことを試算をいたしました報告書が出ておるということは承知をいたしておりますけれども、私どもといたしましては、やはりその後の問題につきましては、通信政策放送政策全般の中でどういうふうに考えられるのかということをまず御議論をいただいて、それと宇宙開発政策というものをうまくすり合わせて、両方うまくいくような形で御相談をしていくというのが最もいいのではなかろうかというふうに理解をしているところでございます。
  50. 森中守義

    森中委員 私、ちょっと質問が混同していましたから、分けていきましょう。  ITUの管理理事会というのですか、これが四月に始まるのですね。この中でいまモスコー関係は問題として処理するのですか、それとも二国間の外交交渉として処理するのか。つまりITUの舞台で取り上げるのか。恐らくソビエトが言ってきているのは、国際電気通信条約の規則の六三九AD、九十日の問題で意見を表明してきたのだと私は思っている。そうなると、むしろこれは二国間の外交交渉というよりもITUの中で処理すべきものだ、こう思っておりますが、その処理方式について郵政省はどういうふうに考えていますか。
  51. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 衛星利用は非常に盛んになってまいりまして、そうした混信の問題あるいは軌道を含めての問題が起こるわけでございます。これは技術的にITU及び無線通信規則によりまして詳細に決められております。この手続に従って文書で交渉するわけでございます。そのあたり当然、IFRBと申しますか、ITUの下部の常設機関でございます周波数登録委員会というところが仲立ちもいたしますし、ですから私どもは、国際周波数登録委員会、IFRBというところに調整を頼むと同時に、直接またソ連当局、あるいは場所によりましてあるいは物によりまして相手国は違いますけれども、それぞれのところに技術的な調整の文書として処理をしておる、こういうことでございます。
  52. 森中守義

    森中委員 私もそれが本筋だと思う。それで四月十九日から、栗原さんですかこの人を団長として管理理事会に出席した。そういう際にこの問題を持たしてやったのですか。
  53. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 管理理事会というのはちょっとテーマが違いまして、現に先生おっしゃるとおり四月十九日から行われておるわけでございますけれども、正式のなにとしては持たしておりません。ただ、ジャストのインフォメーションとして、そういう機会に、非常に重要なことがあればついでだからということで連絡をとらせることはありますけれども、今度やっていないと思います。先生先ほど九十日だなというようなことをおっしゃいましたけれども、事実九十日というのも聞いておりまして、一応近く解決が得られるだろう、そのように希望もし期待もしておるわけでございます。
  54. 森中守義

    森中委員 これは局長、あえて外務省を呼ばなかったのは、外務省が口を出す筋のものではない、こういう認識に私は立つからです。何か新聞では、これから先二十年間もリザーブしておるのだ、こういうことを言っておるのだけれども、国際電気通信条約にないのだね。わが国はすでに五年前六三九AAというのか、ここでちゃんとIFRBに相談しているわけだから、これは絶対に引かぬようにしてくれなければ困りますよ。いわんや二国間の外交交渉等にゆだねるものではない。これはひとつきちんとしてもらいたいという要望ですが、当然なことだろうけれども、しっかりやってもらいたい。  それと、ロケットの問題ですが、いま技術庁からまことに玉虫のようなお話でしたが、現に郵政大臣が諮問された第二世代に対するこの答申の中に、もう国内ではだめなんだ、確かにそうでしょうね。三友五十キロ、その次が五百五十キロ、いずれもロケットに合わせて衛星の開発をやっているというのでは国際的な水準に合わないです。できるだけ国産である方がいいけれども、ロケット自体も大分アメリカから入れている経緯もあることだし、スペースシャトルがどういうように実用化されていくのかアメリカのことはわからぬけれども、そういう意味では、CS、BSいずれもこういうものを採用した方が、コストも安い、容量も大きいということになると、国益に沿うであろうという見解を持つのですが、郵政省としては、技術庁や宇宙開発委員会がどう言うかは別として、そういう意向を踏まえてそういう会議に出られるべきだと思うのですが、一遍きちんとした意見を聞かしておいてもらいましょう。
  55. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 郵政省といたしましては、通信衛星、放送衛星の開発に向けまして、実用衛星という形でCS2、BS2の開発を進めてまいっておりますし、その次に引き続きますBS3、CS3についても、考え方を宇宙開発委員会にも要望すると同時に進めておるわけでございます。郵政省としては実用という立場から推進を進めておるわけですが、私どもの理解は、最初の実用衛星BS2、CS2につきましてはNIIロケット、その次の第二世代、そこで言っておりますBS3、CS3についてはHIロケットという形で、その線上に乗っかっておる、この考え方で進めておるわけですけれども、国産でいく場合、経済的にはかなり高いものになっておるわけでございます。その辺も当然考えながら、その六十五年なり、あるいは次の世代、CS3、BS3以後におきましての宇宙利用のあり方、それを、国産の技術をどこまで育て、また経済的に見て実用に合うように経済性の高いものを導入する可能性もあるであろう、その辺の検討は大いにすべきだということで、特に具体的には、すでにこの委員会でもお取り上げいただいたわけですけれども、公社が一トン衛星あるいは四トン衛星というようなことでいろいろ言っておるけれども、その辺の郵政省とのそごはないのかというような御質問もありましたが、大いに研究はすべきであろうというふうに私どもお答えしておるわけで、特にその辺のそごはないものと理解しておる次第でございます。
  56. 森中守義

    森中委員 時間が参りましたからこれで終わりますが、最後に、大臣、ずいぶんいろいろなことを申し上げました。したがって、それぞれ御配慮いただくものと思いますが、中でも、冒頭に申し上げた行政秩序、これはどういうように御判断なさっているかわかりませんけれども、一遍しさいに検討していただきたい。そして、暴走しないように、悔いを後世に残さないように、ひとつ秩序ある行政の運用を当局者に厳命を発してもらいたい、こう思います。  それと、電波放送というものが社会の中に占める比重はだんだん拡大、深みを帯びていくわけでございますから、適切な指導等を切に期待いたしまして、質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  57. 水野清

    水野委員長 これにて森中守義君の質疑は終了いたしました。  次に、竹内勝彦君。
  58. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 この電波法放送法一部改正に当たって、特に今回の文字多重という問題でお聞きしておきたい点は、今後、五十八年度ごろからキャプテンシステム等を含めてニューメディアが続々登場してまいりますことが予想される。そういう中で、この前のテレビ音声多重放送、これは華々しい登場ぶりに引き比べていま一歩盛り上がりに欠ける印象があったように私は受けとめております。しかし、今回はそういったものとは違いまして、今後の発展というものが相当期待されておると考えるわけでございます。この音声多重放送に関しては、相当長い期間実験段階等を踏まえて実用に入っていったという経緯がございますね。今回そういった実験というのは一体どんなふうになったのか、よくわからない中で非常に急いだ形に受けとめますが、私どもとして何もこれがどんどん発展していくことを阻もうという考えはございませんが、音声多重のときのようないま一歩盛り上がりに欠けるようなことになってはならないと考え、今回どうして急いでこういった形になったのか、その経緯、簡略でいいですから御説明ください。
  59. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 御指摘のとおり、音声多重放送につきましては、実用化試験局という形で現在もやっておるわけでございます。この実用化試験局はその後実用に移す目的で開設するもので、そのままの形で実用化を予定するというものでございますけれども、テレビジョン文字多重放送の場合に、そうしないでこういうスタイルをとりましたのは、音声多重とは違いまして、文字多量の場合、第三者利用、ここが非常に大きく違ってくるということで、先生のような議論も私どもの中でもあったわけでございますけれども、いま申しましたように、第三者利用という形が入ってくる以上、どうしても実用化試験局という形で実績をつくってしまうとぐあいが悪い、将来のあり方にそのまま試験時代の流れが行ってしまうというようなことで、これにつきましては、やはりあらかじめ法の受け皿というものを明確に詰める必要があるというふうに最終的に判断いたしまして、今回改正案を提出したことでございます。  それで、なお、急ぐということにつきましては、耳の不自由な方々からも早期の強い要望があるというところで、一刻も早くこれらの要望にこたえるべきであろう、そのように判断したからでございます。
  60. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そこで、ニューメディアが今後続々と登場するとされる中で、受信機を持っている利用している国民にとっては、次々と新しいものが出てくる。最初の状況、UHF帯のときのコンバーター、それが内蔵されていった。それから、音声多重のアダプターによって、これもまた内蔵されていって、国民の方は次々新しいものを、それだけの費用をまたアップさせて、そしてよけいな負担と言ったら過百かもわかりませんけれども、負担増になっていくわけですね。  そこで、今回のもので、特に通産省に来ていただいておりますので、どんな状況に考えておるかということで、まずこのパターン方式で進めていったときに、アダプターとしてどういうようになっていくのか、そして費用の面ではどんなふうに見ておるのか。それからまた、今後、コード方式ということでずっといままで論議がございましたけれども、そのときにはその受像機自体にまた何らかのものをつけ加えていかなければならないのか、それでまた費用が変わってくると思いますし、そういった面も含めてお答えください。
  61. 野口昌吾

    ○野口説明員 御説明申し上げます。  文字放送のパターン方式につきましては、郵政省の方で今回法案提出がございまして、私ども、業界とも連絡を密にいたしておりますけれども、現在業界の方は試作機を完了した段階でございまして、後は放送法改正を中心にもろもろの法律の手当てが済み次第、聾唖者対策という目的もございますので、できるだけ早く実用化、製品化をしていきたいという誠意を持って検討中でございます。その期間は大体一年程度かなと言われております。  それで、先生の御指摘の値段の問題でございますけれども、これは、これから製品化するわけでございますので、それぞれ各社どの程度の値段にするかにつきましては高度の企業秘密でございますけれども、私ども、業界と話をしている過程では、内蔵をする場合でございますが、しない場合に比較して大体三万から六万程度の値段のアップになるのではないかと思っています。  ただ、内蔵しない場合はどうなるかということがあるかと思いますが、この場合は独立したシステムを付加することになりますので、どうも技術的には内蔵した場合に比べまして若干割り高になるものと思われます。どの程度の割り高かにつきましては、いま業界で検討中でございます。  それから、コード方式に切りかわる場合はどうかという御質問でございますが、これは現在郵政省の方で審議も実験もまだ未了と私ども承知をしております。ですから、業界、通産省といたしましては、その見通しあるいは中身が固まった段階で、業界としてどう対応するかということでございます。したがいまして、価格につきましては、どの程度になるのかということにつきましては、現在ではちょっとわからない、公式に申し上げられないのが実情でございます。  ただ、基本的にはカラーテレビも、家電製品全般にも言えることでございますが、非常に技術革新が速くて、生産技術もどんどんロボット化等によりまして高度化しておりまして、卸売物価そのものは漸次安くなる傾向にございます。そういう意味では、家電製品全体につきましては、新たなニューメディアが出たということで余り大きくは割り高にならないように、通産省、業界も心がけ、また私どもも強く指導してまいりたいと考えております。
  62. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 NHKにお伺いしておきますが、放送局として設備の面で、このパターン方式を開始していったときには費用面ではどれくらいになるのか、コード方式を今後用いていった場合そこにどういうものが加わっていき、そして費用の面でどういう加算になっていくのか、御説明ください。
  63. 高橋良

    ○高橋参考人 まず、前提条件でございますけれども、先ほどの先生の御質問にもお答え申し上げましたように、東京で制作いたしましてとりあえず大阪だけには東京制作プログラムと同じものを流すという程度で試算勘定をした場合の建設投資額でございますが、これにつきましては、パターン方式については、先ほど御報告を申し上げましたように、研究施設整備費の中に二・八億ということを申し上げたわけでございますが、これを基準にして、コード方式という形になった場合にどこが違ってくるかということになりますと、中継再生装置が変わるということと、それからコンピューターの若干のスピードアップの必要性がある、それから周辺機器が若干変わってくる、こういう問題がございまして、建設費そのものといたしましては大体約三千万ぐらいの増というふうに見込んでおるわけでございます。それ以外にソフトの部分に相当の費用はかかるのじゃなかろうかということを判断しております。その辺の正確な数字はまだはじいていないという状況でございます。
  64. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 今回、文字多重放送として、当面の対象としてこれは垂直帰線消去期間、このインターバルの中で16Hと21Hというものが対象になっておりますね。この二つのHを使用しようという考えでございますが、最終的には八Hまであるとしておりますけれども、ごく近々にこの八Hの中の15Hあるいはもう一つのHが可能になると言われておるけれども、それは事実かどうか。もし可能になるならば、いま二H考えているのが四Hになるわけでございますし、それは一体いつごろになるのか御答弁ください。
  65. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答え申し上げます。  昭和五十六年度でございますけれども、実験局によりましていまお話しの10Hから15Hまでの範囲につきまして野外調査を行ったわけでございます。そしてどういう試験かと申しますと、そうしたところに、10Hから15Hのところに文字多重を乗せました場合に映像の方に影響があるかどうか、こういうようなことでございますけれども先生いまおっしゃいましたとおり、10Hから15Hのうち、15HとMHについては妨害の発生が比較的少なかったわけでございます。それから、テレビ画像にそうしたところに乗せた場合に妨害が発生する受信機というものを調べてみましたところ、すべて昭和四十九年以前に製造した機種においてそのような妨害が発生したということでございますから、四十九年以前のものの耐用年数が考えられるわけでございます。四十九年でございますから、もうすでに七、八年たっているわけでございますので、こうしたものの買いかえの時期がいつになるかということでございますけれども、私どもといたしましては、なお数年後、二、三年後にもう一度同じような調査を行ってみまして確認してみたいということでございます。それから、この台数、いま申しましたものの千五百十二台についての調査結果、それを対象とした実験でございます。
  66. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そうすると、今回は16Hというものを第三者に利用してもらおうという考えでございますけれども、今後それが拡大していくという場合、この追加分について、既存の放送事業者に利用させるのか、あるいはまた、今回のように第三者に任せるということで、一Hごとに新しい第三者にその都度任せていく考えがあるのですか。
  67. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 16Hを第三者に、21Hを事業者自体にというような、それはどちらがどちらになるかわかりませんけれども、そういう考え方を申し上げたわけでございますけれども、この使い方自体まだこれからの問題でございまして、利用実態あるいはどのような番組を乗せるかというようなことで、ちょっとまだ――なお次に可能性のある二Hなりについてどのように使わせあるいは使っていただくかについては、この最初の二つのHの様子をやはり十分勘案する必要があるだろう。いまの段階ではにわかに申し上げにくいというようなことでひとつ御理解をいただきたいと思います。
  68. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 いままでの法案審議の趣旨も踏まえて、省令政令で定めていく部分が非常に多く、またちょっとわかりにくい面が多いわけでございますし、ぜひその免許方針の策定に当たっては、関係者の意見というものを十分に考慮に入れる、こういうことでお願いしたいと思いますが、いかがですか。
  69. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 そのとおりだと思っています。十分私ども、その辺は関係の方々と相談いたしながら施策をしてまいりたい、このように考えております。
  70. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そこで、NHKの出資枠の拡大の面で若干NHKにお伺いしておきます。  まず、出資枠の拡大ということで、第九条の三の関係で、NHKとしては第三者利用に出資ができるということでどういうようなところを考えておるのか、御説明ください。
  71. 坂本朝一

    ○坂本参考人 今回の改正案におきましては、NHKの業務に密接に関連する政令で定める事業を行う者に出資の枠が開かれる、こういうことでございますが、NHKといたしましては、現段階では、まず、財源の多様化の一つとしての副次収入の増加、それから二番目に、NHKが蓄積いたしました情報素材あるいはノーハウの有効活用による国民への利益の還元、それから三番目が、NHKの業務の円滑な運営などの観点から出資を検討したいというふうに考えておりまして、たとえば、テレビジョンの多重放送などの放送事業者などのために必要な番組素材を制作、提供する事業、あるいは、NHKの放送番組及び番組素材を収録した録音、録画の制作、さらに、それを外部に提供する事業、NHKの放送設備を利用して行いますテレビジョン多重放送関係する事業など、具体的な出資の対象として現在それらのことを検討しておる次第でございます。
  72. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 郵政省としては、この出資枠の件に関して、協会に対するものとしてはそういう考えでよろしいですか。
  73. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 協会の方から出資し得る対象の拡大については御要望がありましたわけでして、いま会長が御説明したような形のものが出てくると考えており、私ども密接に関連する事業ということで、政令で決めてまいりたい、このように考えております。
  74. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 ぜひその辺、関係者の御意見等を踏まえて、よろしくお願いしたいと思います。  そこで、第四十九条の三及び第五十三条関係で、「計画の策定及びその提出を求めることができる。」とございますけれども、この条文の趣旨は何ですか。
  75. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 何とか多重放送の普及を図りたいという考え方から、テレビジョン放送事業者から多重放送に関する設備計画等を求めまして、それから、事業者御自身が多重をおやりになる予定計画というものはどのようなものであるか、あるいは、第三者とのお話がどのように進められておってどういう貸付予定があるか等々の動向を把握するということが、先ほど申しました国民の期待に沿えるようなテレビジョン多重放送の普及を図る観点から必要であろうということで、第三者利用の推進につきましてもその辺の成果は上がる、こういう考え方のものでございます。
  76. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 その「計画の策定及びその提出を求める」というのは、義務づけ的なものと考えていいのですか。
  77. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 郵政大臣から求めました場合に、計画を策定し提出していただきたいというふうに考えておるもので、表現としてはしなければならないものでございますが、それじゃ、何か違反に対する罰則と申しますか、そういうものは設けていないわけでして、当然にこうしたものは御提出いただけ、普及に対する御協力はいただける、このように考えておるものでございます。
  78. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 局側として計画がないということを考える場合もございますし、それから、第三者利用で当該放送局側として契約するに足り得るものが出てこないと判断して、たとえば第三者として要望があったとしても、こちらとしてはそういうものが出てこないと判断して計画がない、こういう考え方でもよろしいのですか。
  79. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 話を詰めますと、そういうことがあり得るというふうに考えております。ただ、私どもも、放送事業者自体からもいろいろお話があるわけですと同時に、それを第三者として希望したい方々のお声も入るわけでございますので、その辺で円滑な進展が図られるだろう。言葉を詰めて申しますと、先生のおっしゃるようなことは事実としてはあり得るとは思っております。
  80. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 その場合、第三者として利用をしていきたいけれども放送局側としては計画がないということで余り折り合いがつかない場合は、郵政省としてどういう配慮をしていきますか。
  81. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 それぞれのお考え、お立場を十分伺いまして、私ども放送事業者及び多重放送を希望する方々とお話し合いができるものというふうに期待いたしておるわけでございます。
  82. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そこで、お伺いしておきたい点は、この文字多重放送が今後発展していって、テレビに各受像機に簡易プリンターをつけて、それが文字として出てくる。画像だけですと何秒間かで消えてしまうわけですから、ぜひ文字として残したいという要望が出てくることは間違いないと思うのですね。そういうものも今回のことでは含まれますか。
  83. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 昨日もお話が出たことでございますけれども、文字多重放送の利用の仕方といたしまして、テレビ受像機の画面に文字や図形を表示するものでございますけれども、同時に、受信側に記録装置を付加するという形で文字や図形の情報をハードコピーとして必要なときに記録するという形態は十分あり得るし、そうすることによって非常にぐあいのいい番組というものも十分予想されるところでございまして、その辺につきましては今後の発展に期待いたしたい。それから、ただいま御審議いただいているものは、そうしたものを排除するところは何もないというふうに考えております。
  84. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 この簡易プリンターというようなものが今後できていった場合、これは費用の面ではどんな状況になりますか、ひとつ通産省に伺います。
  85. 野口昌吾

    ○野口説明員 御説明申し上げます。  これは簡易プリンターの付加をするかどうかという問題がございますけれども、一に、それは放送局側でどういう内容放送をするか、それに対しましてユーザーサイドでそれを記録する需要がどの程度あるかということが大きな問題になるわけでございます。現在、企業は、その簡易プリンターの開発につきましては試作の段階を完了いたしておりまして、文字多重放送が実用化されてまいりますれば、需要の動向を見ながらこれを製品化する体制ができております。  費用の点につきましては、先生非常に御関心でございますけれども、先ほど触れましたように、需要の程度が大きく作用するわけでございます。量産でございますので、たくさんあればもちろん安くなるわけでございますが、その辺が非常にメルクマールになるわけでございます。現在、私どもが業界から承知している感じでは、独立なシステムということになりますので、大体三万から五万程度の価格のアップにはなるのではないか、それは需要の動向にも影響いたしますけれども、私どもとしてはそういうふうに理解をいたしております。各社がどの程度の値段にするかは今後の問題かと思います。
  86. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 今回の文字多重放送の延長にはいまの簡易プリンターをつけてのもの、これは当然ございますが、そこにファクシミリをくっつけた電波多重ファクシミリといったものにつながっていくと考えてよいですか。
  87. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 直接のお答えになりますかどうですか、ファクシミリ放送といいますか多重ファクシミリにつきましては、そのようなことも予想いたしまして、現在、電波技術審議会の場におきまして、テレビジョン放送電波に重畳する方式ということで、音声の第二副搬送波を用いる方式についてのファクシミリ放送というものも御検討いただいておる次第でございます。その成果が多分そういう延長線上に行くものだろうというふうに考えてはおります。
  88. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 この文字多重放送に関して、たとえば新聞協会等におきましてもあるいは民放等におきましても、意見書、たとえの例では、多重放送に関する調査研究会議に対する意見書ということで、日本新聞協会開発委員会からも出ております。こういう意見書が数多く出されておりますが、そのほかから、民放や新聞協会以外からこういったような意見書が出ておりますか。出ておれば、要約して、簡略でいいですから、どういうような中身でございますか。
  89. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 いま先生がおっしゃいました二つが大きなものでございますけれども、地方新聞協会の方からもその辺の御意見をいただいております。
  90. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 では、中身は大体同じようなことと見ていいですか。
  91. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 やはり地方紙としての参画のあり方というものについて考えてほしいということで、立場によって少し違うかなというふうにも思っております。
  92. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それでは、その中身、またわかりましたら私のもとに資料として御提出いただければありがたいと思いますが、いかがでしょう。
  93. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お届けいたします。
  94. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 この文字多重の利点の一つとしては、先ほど申し上げましたように、記録の特色、こういったものが考えられます。プリンターというものが考えられて、そして電波多重のファクシミリまで発展していく、そしてまた、そこにはキャプテンシステムを含めて電子新聞であるとか電波新聞、そういったものにまで今後このニューメディアが発展していくことは十分考えられるわけです。  そこで、電波多重のファクシミリは、送信側からの情報を多数の受け手が即時に複製するサービスに利用されている、これは音声と映像の瞬間的送達を目的とする従来の放送サービスと同質のものではなく、機能において新聞、出版と同じ範疇に属するメディアと考えるべきであると思いますが、いかがでしょか。
  95. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 立場によって多少とり方は違うようでございます。と申しますのは、新聞協会あたりは文字文化と文字情報の延長としてつかまえたいというお考えのようでございますし、私ども電波放送を預かる立場といたしましては、文字情報といいますかそういう形では出てくるわけでございますけれども、やはり放送であるということで、両面があろうかと思っております。
  96. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 両面があるということは、やはり新聞を主体としたそういうメディアでもあるし、放送の面でもある、こう理解していいんですか、ちょっとはっきりしてください。
  97. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 やはり究極的には放送だという形でとらえるべきであろう、私どもこのように考えております。
  98. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それはまた今後いろいろ論議がされてくる問題ではないかと思いますが、たとえば、放送の多様化に関する調査研究会議が五十七年三月に報告書を出しておりますが、ここに「文字放送」という項目がございます。「文字放送の独立的利用は、ニュース速報、株式市況、各種案内等の比較的情報の更新サイクルが短い専門的な情報の提供が主体となると想定される。したがって、文字放送の事業主体は、ニュース速報、各種案内等の情報を常時大量にかつ短い更新サイクルで供給できる能力を有する者が適していると考えられる。」これは一体どういうものを指しておると考えていますか。
  99. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 刻々と申しますか、毎日起こるいろいろなあるいは変化する内容、つまりニュースであり、あるいはスポーツニュースであり、あるいは天気予報と申しますか、いずれにしましても、更新サイクルが頻繁なということでございますので、多分にニュース的なもの、そうしたものに適しておるということであろうかと思っております。
  100. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 静止画あるいは文字放送、ファクシミリ放送など、新しい電波メディアの今後の開発、実用化、こういったものには、ぜひ国民のニーズにこたえてこの発展に寄与でき得るよう努力していただきたいと思いますが、いかがですか。
  101. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 御要望のような形で、この文字多重放送なりあるいは音声多重放送が花開くということを、私どもも強く期待いたしておるところでございます。
  102. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 文字多重放送は、文字による情報の伝送という、従来の放送とはちょっと異なるサービスでもあり、文字というものがそこに主体になっている。その意味で、その法的規制を極力最小限にとどめ、この放送法第四十四条の項にもそういったものの検討をし、関係者の意見、これは昨日も参考人に来ていただいていろいろ論議をしたように、NHKもそれから民放連もそれから新聞協会も、お互いの意見というものが十分尊重されるように配意していくことが当然必要であると思いますが、いかがでしょうか。
  103. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 新聞協会等からそうした要望も出ておることを十分承知いたしておりますけれども、やはり先ほどもちょっとお話に出ましたように、私どもといたしましては、貴重と申しますか、有限な電波をお使いいただくというようなことで、放送法四十四条の三項は必要かと考えております。  いずれにしましても、私どもは、そうした場合に、最終的には国民のニーズはどこにあるのか、国民のためにはどうなのか、そういう立場から関係者が数多くある中で判断してまいりたい。場合によりましては、一つのものを採択し他のものを退けざるを得ないということもあり得ようかと思っておりますけれども、いずれにいたしましても、国民のニーズ、多重という形で何が一番いいのか、そういう観点から判断してまいりたい、このように考えております。
  104. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そこで、第三者が利用していく上に立って、経営的にも成り立っていかなければなりません。そこで、民放として広告のスポンサーの提供の番組がございますね。その番組の中で、たとえばコマーシャルの時間、これは非常に目につくものがいろいろございますね。ところが、それがこの文字多重の発展によって、ボタンを押せばどんな情報でもまた入ってくるわけですから、そのときに、本来ならば放送局としてはコマーシャル、広告主体によって成り立っておる。ところが、コマーシャルの時間になったらほかのボタンを押してほかの情報を見るというような事態も十分考えられるわけですが、恐らくこれは広告スポンサー関係放送局、NHKも第三者にやっていく場合、その辺の調整というものは非常にむずかしいものが出てくると思いますが、これは郵政省に聞いておきますが、そういうようなものの対策を何か考えておりますか、何か案がありますか。
  105. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 多重放送の性質上、いま申されましたように、多重されている部分を見ようとすれば、表番組と申しますか、そうしたものと時間的にも抵触する、これは、現在放送事業者自体がいろいろ自分の番組としての多重をつくる場合においても、また第三者に御利用いただく契約の内容等々においても、非常に頭を痛められるところではないか、十分考慮すべき問題であろう、このように考えておりますけれども、私どもとしては十分工夫の余地があるものというふうに考えております。いろいろな形でそれぞれ使う中あるいは使っていく中において、適正な自分自身のための利用の仕方、あるいは第三者に利用される方法、やり方というものは出てくるであろう。そうして、お互いに共存と申しますか、うまく調和がとれてやっていきませんと発展が期待できない、このように考えております。  もうちょっと詳しく申しますと、ちょうど本番のCMの時間、そのころには多重の方もCMの時間にするというような、これはなかなかむずかしい面もありますけれども、その決め方等々によりまして、工夫は十分あり得るものというふうに考えております。
  106. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それでは、時間ですので、もう一点だけNHKに聞いて質問を終わりたいと思います。  昨日も中塚副会長にもお伺いしておきましたが、「協会及びテレビジョン放送を行う一般放送事業者は、」云々とありまして、いわゆる補完利用、「その効果を高めるような放送番組をできる限り多く設けるようにしなければならない。」――「しなければならない」ということは、かなり義務的な要素になってくるではないかということで質問をしておきました。むしろこれは「望ましい」という程度に変えておいた方がいいのではないかという意見もございますけれども、これはNHKとしてどうでしょう。たとえば、耳の不自由な人たちに字幕のスーパーを出していく、これは補完的な利用で国民へのサービスです。これはまた大事な問題でぜひお願いしたいと思いますけれども、これはなかなか費用もかかるし時間もかかるし、大変だという民放からの答弁もございました。  そこで、たとえば報道番組のようなものになってきますと、これはその場で非常にニュース性のものが入ってくるわけですし、時間的にそこにかけていることは物理的にも無理になります。そうすると、「しなければならない」となっておって、果たしてそれにこたえられるのかどうか。その点も踏まえて、この補完利用、国民への貢献、こういった面を含めての御決意をお聞かせいただきたいと思います。
  107. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 お答えいたします。  この義務づけ的な規定でございますが、現行の放送法の各条項にもそのような何々しなければならないという規定がございます。たとえば、四十四条の四項に、「協会は、国内放送放送番組の編集に当つては、特別な事業計画によるものを除くほか、教養番組又は教育番組並びに報道番組及び娯楽番組を設け、放送番組の相互の間の調和を保つようにしなければならない。」あるいは教育番組については、「教育に関する法令の定める教育課程の基準に準拠するようにしなければならない。」とか、そういう規定がございます。その規定と同様の趣旨であるというふうに考えておりまして、私どもとしましては、この補完的な番組、メーンの番組をより豊かに充実させるような、そういう補完的な利用ということに極力努めてまいりたいというふうに考えております。
  108. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それでは、最後に大臣、ちょっと一言。先ほど局長からも、十分検討してそして関係者の意見等を十分に考慮に入れてやっていかなければならないという趣旨の話がございましたが、今回のこの法案、もう大臣御承知のとおり、政令省令にゆだねる部門は、この委員会審議の中でだんだん明らかになってきたという程度で、わからぬ部分が幾つもございます。そこで、免許方針の策定に当たっては、ぜひ関係者の意見というものを十分に考慮に入れていかなければならない、こういった面での御決意を伺って、同時に、今後ニューメディアへの郵政省としての対応の御決意を伺って、質問を終わりたいと思います。
  109. 箕輪登

    ○箕輪国務大臣 今回の法律改正に寄せられる各界の御要望は、私も十分承知いたしております。できるだけその要望が実現できる方向で検討したいと思います。特に、政省令にゆだねられる部分がかなりございますので、そうした面について各界の要望を聞きながら政省令の策定をいたしたい、こう考えております。慎重に検討したいと思います。  また、ニューメディアがたくさん出てまいります。それに対しては、国民のニーズ、これもやはり多様化してきておりますので、国民のニーズに合致するような方向でこれらについても慎重に検討したい、こう考えます。
  110. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 ありがとうございました。
  111. 水野清

    水野委員長 これにて竹内勝彦君の質疑は終了いたしました。  次に、木下敬之助君。
  112. 木下敬之助

    ○木下委員 本日までに多くの質疑がなされていまして、重ねて質問する部分もあろうかと存じますが、私は特に文字多重放送について、新聞との関係、特に地方紙との関係を中心にお伺いをいたしたいと思います。  まず、今回の放送法改正に伴って政令省令や通達でどういったことを決めているのでしょうか。
  113. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 まず、政令でございますけれども、九条の三の関連でNHKが出資できる事業を決める必要があろうかと思っております。省令でございますけれども、これは四十九条の三の関連でございますけれども、テレビジョン放送事業者がその放送設備をテレビジョン多重放送の用に供するための計画を出していただくことになっておるわけでありますけれども、その中の記載すべき事項等々を決める必要があろうかと思っております。また、五十三条の二の関連でございますけれども、外国人が取得した株式の取り扱いに関する決めが必要となろうかと思います。そのほか、無線局免許手続規則あるいは無線設備規則などの規則の改正も行う必要がございます。同時にまた、第三者のあり方と申しますか、免許方針の作成というようなものについても早急に準備を進める必要があろうかと思います。  なお、先ほどから言われておりますけれども、こうした政省令改正に当たりましては、私どもといたしましては、NHK、民放連その他の関係のところの御意見を十分尊重して耳を傾けて決めてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  114. 木下敬之助

    ○木下委員 私たちはこうして審議しているわけですけれども法律の通った後にいろいろと運用等で決めていくという問題がちょっと多過ぎるのではないかと思うのです。私たちは審議するとき、やはりある程度細かい部分までどういうふうにやるのだということのはっきりしたお答えをもらいながらやるのが国会審議としていいのではないか、こういうふうに思うのですが、これからの運用で決めることが多過ぎるのは、急ぎ過ぎているのではないか、そういうふうに感じるのですが、この急ぎ過ぎているのではないかということに対してどういうふうに思われますか。
  115. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 こうしたものを実現に持っていくステップの問題でございますけれども、私どもは、今回の改正案は技術開発の成果はできる限り早急に社会に還元すべきであるというような基本的な考え方から、必要な法整備、特に第三者利用というような内容考えてみますと、いたずらにいわゆる実験――いたずらにと言ったらなんですけれども、実用化試験というようなステップを踏むべきではなく、法の受け皿といいますか、秩序をまずつくっておく必要があるというふうに判断したわけでございますが、特に文字多重放送についてでございますけれども、何度も申し上げますけれども、耳の不自由な人々からの非常に強い早期実現の希望があるということでございます。また、方式についてもいろいろ議論があるところでございますけれども、この文字多重放送につきましては、やはり国際的な実例がある。西欧あるいはアメリカ等々においても実用化ないし実験をやっている国は多いわけでありまして、わが国がいまの時期におきまして実用化を図るといたしましても決して早くはないという考え方もできるのではないか、このように思っております。
  116. 木下敬之助

    ○木下委員 その耳の不自由な人たちのためというのは、そういった重要な意義があるからこそ、細かい部分まで検討を急いで円滑な運用を確認してから出発すべきであると私は考えます・こういうニューメディアに対しては前向きの姿勢で賛成のつもりでありますけれども、今後のまだ決定していない部分の運用については、こういった審議を通じて出されました私ども意見も十分に尊重してやっていただきたいと思います。  文字多重放送は新しい情報伝達手段であり、日進月歩の技術革新の大きな成果であり、これがわが国において実用化されることは、情報化社会に生きる私たちにとってはまことに喜ばしいことであります。それだけに、その機能が十分に発揮されるようにしなければならないことは当然であります。文字多重放送は、その情報の内容は主番組の内容に関連したものをできるだけ多く設けるようにしなければならないのは当然のことですが、主番組から独立したものとしてはどんなものが考えられているのか、どんなものであるべきと性格づけておられるのかお聞きいたしたいと思います。私は、ニュースなどの時事的なもののほかに、天気予報、買い物情報、旅行・交通案内、日曜当番医のお知らせなど、地域の情報が中心となるものと思っております。これまでのメディアではこうした地域のきめ細かい情報を伝えるという点では必ずしも十分とは言えませんでした。この意味では、文字多重放送は新しい技術であると同時に、地域の私たちにとってきめ細かい情報サービスが期待できるものと考えております。この地域の情報を提供する能力を持っているのは、何といってもその地方のマスコミ、特に新聞紙ではないかと思います。文字多重放送の性格づけとして郵政省はいかがお考えでしょうか。地域のためにきめ細かな情報を提供するためのものという考えを持っておられるか、お聞きいたしたいと思います。
  117. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 いま先生から多重の使い方等についていろいろお話があったわけでございますけれども、私どももそうした形が非常に必要であり、また、この新しい文字多重放送というメディアは、先生がいまおっしゃいましたようなもの、地域に密着したきめ細かい情報の提供に非常に適したものであるというふうには思っております。  ただ、番組の編集につきましては、私ども放送事業者の自主性と申しますか、創意と工夫に大いに期待いたしたい。そして地域に密着した情報が流されることは歓迎すべきである、このように考えております。
  118. 木下敬之助

    ○木下委員 お考えはわかりましたけれども、現在のテレビがすでに全国ネットワーク中心のシステムで行われているとき、文字多重までが安易にネットワーク化することもあり得ると思っております。文字多重放送の性格から考えて、全国ネットワーク化して地域性のない内容となることをどのように考えられますか。NHKの場合、民放利用の場合両方ともに考えられると思います。お答えいただきたいと思います。
  119. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 多重放送をどのように使うかという、番組編成といいますか、そうしたものについてのお話のようでございますけれども、先ほども申しましたように、この文字多重放送は何分にもローカル的に非常に都合のいいものだという理解をしておりますので、先生のいま心配されているような方向、全国ネットワークといいますか、せっかくこうしたメディアが使えるようになっても依然として画一的なものにならないように、この辺は、やはり一番には、NHKないし放送事業者あるいは新しく登場する多重放送事業者自体の識見と申しますか、そうした形に御期待いたしまして、先生がいまおっしゃったようなことにならないように持っていってもらいたい、このように切望しておる次第でございます。
  120. 木下敬之助

    ○木下委員 これまでも述べましたように、文字多重放送は私たちにとってこれまでにないきめ細かな生活情報を提供してくれる非常に有効なメディアと考えます。ところが、これを行うには、たとえば第三者企業として行うには、放送会社の施設を利用するための同意書が必要となっております。もし放送局側が何らかの理由によってこの同意を行わず、したがって文字多重放送が行われない地域が生じたとすれば、これは有用なメディアの全国的普及にとって見逃し得ない事態ではないかと考えます。このような場合、郵政省はどのように対応するおつもりでしょうか。第三者利用も含めて文字多重放送を行うようその放送会社を行政指導をするつもりがあるのかお伺いいたしたいと思います。その場合、放送法改正案によりますと、郵政省は文字多重放送の第三者利用計画の報告を要求することができるとありますが、第三者利用の計画がない放送局に対してはどのような対応を考えておられるのかお尋ねいたします。
  121. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 いま先生が申されましたように、すでにありますテレビジョン放送事業者の方から、多重放送についての設備の御計画あるいは自分自身でやられる多重の計画についてのお話、あるいは第三者利用の方が契約を希望されておるかどうか、その契約ができた場合にどのような計画があるか、そうしたことをせっかくの多重というメディアを普及させるという観点からの規定を設けたわけでございますが、実際問題としては、テレビジョン多重放送電波のすき間を利用するものである以上、どうしてもテレビジョン放送事業者の自主的な協力にまたざるを得ないわけでございまして、結果的には先生がおっしゃるような契約関係に任せるということになっておりますので、ある場合には設備提供に同意しないとか、私のところではいましばらく第三者利用計画はないということはあり得るだろうと思いますけれども、そうした場合に、私ども、また多重放送を希望する方々の声も入るわけでございますので、その辺を考慮いたしながら計画をお聞きするというかっこうで、いずれにしましても、多重放送を希望する者とすでにあります放送事業者との間の円滑な話し合いをどうしても期待せざるを得ない。また、期待いたしまして、各地域で特定の地域だけには実際に行われないというようなことのないように、行政指導と申しますか、御趣旨のようなことでの規定が、計画を策定して大臣の方にお出しいただく、こういう条文となってあらわれておる次第でございます。
  122. 木下敬之助

    ○木下委員 話し合いでスムーズにいくのが望ましいし、そうでない場合を想定する必要はないかもしれませんが、そこまで考えなければならないほど死活問題として考えている者もいるということをわかっていただきたいと思い、発言をいたした次第でございます。  現在のところ、文字多重放送はパターン方式により実用化されることになっていますが、その一方では、この方式よりもさらに情報量が多いコード方式の採用も検討されています。パターン方式とコード方式の能力は、コード方式の方が十倍も高いと言われていますが、この能力の高い方式の実用化完成まで待たないで、それよりも能力の低いパターン方式で実用化に踏み切った理由をお聞きいたしたいと思います。何度も答えておられると思いますが、よろしくお願いします。
  123. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 コード方式でございますけれども電波技術審議会で実は五十五年度からパターン方式と並行して審議を進めておるわけでございます。現時点での検討状況でございますが、特に表示の方法でございます。それから、誤りが多いと言われているわけですけれども、誤った場合に訂正する方式等の基本パラメーター案の検討を行っているということでございます。この基本パラメーター案が作成された後に、コード方式に関する送受信装置の試作及び室内、野外の両試験を実施する必要がある、そして技術基準を確立して答申することとなるということで、これは私ども非常に急いでおりますし、また早いことを期待しておるわけでございますが、人によって多少意見が違いますけれども、私どもは、三年程度は必要、こういうふうに試算いたしておるわけでございます。これが遅いことを期待しているわけではもちろんないわけでございますけれども、どうしてもその程度はかかる。多少ともパターン方式と時間的すれがある。こういうことで、毎度申しますように、耳の不自由な方々への字幕放送等の早期実施の要望もあるということで、前提といたしまして、仮にパターン方式で先行するといいますか、実施に入るという形をとりましても、そうした方々に決して御迷惑と申しますか、むだな投資をさせたという形にならないような前提での御審議もできるということでございますので、郵政省といたしましては、そうしたことが可能であるならば早期に実現し、一応パターン方式で先行いたしまして、将来、これと整合性のとれるコード方式というようなものも導入して需要に応じたい、こういう考え方でございます。パターンで先行いたしますけれども、いずれコードが技術が確立され導入されるということも私ども予想いたしておるわけでございます。両方式の併存という形になるであろう。  そうした場合に、受信機でございますけれども、パターン方式によります先行期間があるとしますと、その期間はコードコンバーターの取りつけが可能なパターン受信機を普及させたらどうか。そういたしまして、コード方式を導入した段階では、パターン受信機にプラスいたしましたコードコンバーター、あるいはコード・パターン受信機というものにより受信が容易に行われるもの、そういうことが期待できるというふうに理解いたしておるわけでございます。
  124. 木下敬之助

    ○木下委員 パターン方式の情報容量は現在でも決して十分とは言えません。この方式を使って実用化した場合の第三者企業としての経営基盤はどのようなものとなるのか。コマーシャルを入れたり、情報提供料を取ったりするなどして収入を図るわけだと思いますが、設備資金で一億を超える投資をした場合、これだけの収入基礎で果たして経営として成り立つものなのか、見通しをお伺いいたしたいと思います。パターンでやる期間というのは三年か何年かわかりませんけれども、どういう経営見通しを考えておられるのでしょうか。
  125. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 パターン方式にいたしましてもコード方式にいたしましても同じかと思いますけれども先生の御質問は、コード方式の方が情報量が多いといいますか、量が多いわけだから、商品価値として高いというか、こういうことかと思いますけれども、経営の見通しにつきましては、やはりやってみないとわからないという面が否定はできないわけでございます。ただ、多重放送の場合、その性質上、設備といたしましては、従来の放送局と異なりまして非常に小規模である。少なくともハードについてはそうである。また、運営に要する経費と申しますか、それも小ぶりであるということ。また、放送内容についてですけれども、ちょうどこの多重放送自体が挾み込み広告というような形の買い物情報あるいは催し物案内というような番組も多いかと思いますけれども、それ自身CM的な性格も持っておるというようなことで、やはり今後多重放送事業者の創意工夫にまつべき点は多いわけでございますけれども、何とかその辺を克服して、華やかなと申しますか、豊かな文字放送時代というものが展開されることを期待しておるということでございます。
  126. 木下敬之助

    ○木下委員 文字多重放送が私たちにとって非常に有用なメディアであるだけに、これが経営上成り立たないということで将来たなざらしになるようなことがないようにと考えております。慎重にすべきではなかったかと思います。  次に、文字多重放送は、将来を考えると、電波新聞の可能性があるとは新聞界でよく言われていることです。私も、パターン方式から高能力のコード方式に進み、これに高性能のハードコピーが組み合わさったときには、まさしく電波新聞としての機能を備えることになると思います。これに対し、新聞側が特に注目していることは当然であります。新聞の未来が電波新聞であるという点から見ると、この文字多重放送はその未来を先取りするメディアであるということが言えると思います。この新しいメディアが放送局側の同意がない限り使えないということは、新聞にとっては重大なことだと思います。いま現在は別々の独立したものである新聞と放送関係を持ち、しかも放送が優位を占めるようになる、新聞が放送の同意を必要とする事態となっていくことを郵政省としてはどう考えますか。  将来、このような事態に対して、新聞の電波新聞のための電波を用意しているのでしょうか。電波新聞のための何か伝達手段を別に考慮する考えがあるのか、お伺いいたしたいと思います。
  127. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 文字放送が道が開かれました場合の新聞と放送とのあり方ということでございますけれども、第三者について新聞社がある程度出資していくというようなことはあり得ようかと思いますけれども、やはりこの放送メディア、多重を使うという場合には、その性格上すき間を使うわけでございますから、どうしてもテレビジョン放送設備を使うわけで、放送事業者の同意を要するといいますか、その気持ちを打診しなければならない、これはやむを得ないのではなかろうか。逆に、放送事業者に対しまして、新聞に設備提供の義務を課す、こういうアイデアもアイデアとしてはあったわけでございますけれども、やはり私有財産の制限という問題も出てきますし、また、本来のテレビに乗っけるわけですから、それ自体すでにちゃんとした事業をやっておるわけでございますので、そのチャンネルイメージというものは当然尊重されないとぐあいが悪いだろう、そういうふうに考えたわけでございます。  ところで、それについて、そうした関係がまずいのでと申しますか、文字放送用の周波数というものは別に考えられないかというお話のようでございますけれども、現在のところそのようなことは考えておりませんけれども、将来、放送衛星が実用化される、こうしました場合に、いままでの放送衛星が地上の放送とどういう形で調和を持つのかというようなその模索の中で、空からおりてまいりますテレビジョン放送電波を、ファクシミリ放送とかあるいは文字放送のような形でもっぱら使うというようなことも検討もされ、そういう可能性もあるという御提言もいただいておるわけでございますけれども、そうしたものも、やはり地上におきますその時点における放送の実態あるいは既設の放送のあり方と十分な調和を図った上で考えていくべきであろう、このように思っております。
  128. 木下敬之助

    ○木下委員 そういうふうに新聞というものの存在を将来考えていただけるというのは大変ありがたいと思いますが、いま新聞というふうに一言で言っても、全国紙と地方紙というのはまたその存在が違うという点も十分認識していただきたいと思っております。  文字多重は、このように私たちの生活に深いかかわりがあるメディアであるだけでなく、地方の言論の中心である地方新聞の未来とも深くかかわってきます。文字多重放送の推移いかんによっては地方の言論にも大きな影響を与えることになるかもしれません。地方の言論の独立性はわが国民主主義の基礎であります。文字多重放送と新聞とが密接にかかわり合っていることは十分認識されていると思いますが、同じ新聞といっても、全国紙と地方紙はその性格というか役割りの異なった面がございます。地方紙の存在意義について、大臣、どのようにお考えになっているかお伺いをいたしたいと思います。
  129. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 日本の場合、中央紙と申しますか、部数の多い新聞がこのような状態にあるのは、日本だけと申しますか非常に特異なことだそうでございますけれども先生がただいまも申しました地方紙は、非常に地元住民に密着いたしまして、文字どおり地元の方から自分たちの新聞という形で、特異なと申しますか非常にいい形での地方紙というものがたくさんあることを私も存じております。そうした意味におきまして、やはり小ぶりなと申しますか、いささか手軽と申しますか、いろいろなローカルに適しました文字多重、こうした機会におきまして地方紙のあり方とこの多重とが結びつけば非常に意義あるものに発展する可能性は十分あるだろう、このように考えておる次第でございます。
  130. 木下敬之助

    ○木下委員 大臣、大変恐れ入りますが、私が大臣にお聞きしたのは、大臣に就任されてこの文字放送についての新聞記事を見ましたときに、たしか新聞界との話も大体進んでいるというようなお認識の発言をなされておりまして、そのときすでに、新聞といってもいろいろあって、大変な疑問を発言しているところがたくさんありましたものですから、その点で、大臣にここで地方紙というものの存在を認識しておるということを一言お伺いいたしたいと思います。
  131. 箕輪登

    ○箕輪国務大臣 この文字多重の面におきましても、地方紙の存在は大変貴重な存在だと私も考えております。いろいろ新聞界からも要望が寄せられておることも私は承知いたしております。ただ、テレビ放送事業者とかかわり合いのある地方紙、また全くかかわり合いのない地方紙のあることも承知をいたしております。だから、一概に地方紙といっても、テレビ放送事業者とかかわり合いのある地方紙と全くかかわり合いのない地方紙、それぞれ違った要望も出てきております。第三者機関に参入できるのかどうかというようなことも、この二つの地方紙には異なった意見があります。そんなことも配慮しながら、十分地方紙の意見が吸収できる方向で検討をいたしたい、こう考えております。
  132. 木下敬之助

    ○木下委員 時間が参りましたので、この文字多重放送についてもまた今後出てくる新しいメディアに関しても、国民の要望を中心に広い層の意見を入れて実用化に向かわれますことを期待いたしまして、私の質問を終わります。
  133. 水野清

    水野委員長 これにて木下敬之助君の質疑は終了いたしました。  次に、藤原ひろ子君。
  134. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 放送法改正案を審議するに当たりまして、まず最初に確認をしておきたいことがございます。それは、昭和二十五年に電波三法が提案をされ、このとき提案説明を行いました網島電波監理長官がこう言っておられます。「旧無線電信法の建前を捨てまして、万人の電波利用の自由を認めておるのでございます。ただ電波はこの数に非常に限度がありますために、これを有効適切に使うための統制を加えるということにいたしております。」こうおっしゃっているわけです。     〔委員長退席、渡辺(紘)委員長代理着席〕 すなわち、電波は万人のものだ、電波国民のものだと言っているわけですね。私は、電波法放送法に対する理解としては、現在もこの考えは正しいというふうに考えております。この点につきまして、郵政省はどのように考えていらっしゃるのか。この見解は正しいというふうにお考えになっているのかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  135. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 そのとおりだと思います。特に電波の利用が非常に複雑化し、高度化してまいっておりまして、その考えはますます高まっている、このように理解しております。
  136. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは、次に、多重放送の問題についてお尋ねをいたします。  今回の法改正の最大の理由は、テレビジョン多重放送を実用化するというところにあるというのが郵政省説明でございます。すでに音声多重放送は、実用化試験の段階に入ってもう四年になりますし、それから、文字多重放送は実験放送を行い、静止画放送であるとかファクシミリ放送の研究も進むなど、多くのメディアが開発をされてきているわけです。  そこで、郵政省としての多重放送、ニューメディアの今後の発展の可能性と展望についての御見解をお聞きしておきたい、こう思うのです。     〔渡辺(紘)委員長代理退席、委員長着席〕  また、その発展を保障するためにはどのようにすべきだというふうにお考えになっているのか、あわせてお答えをいただきたいと思います。
  137. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 大変むずかしい問題で、その辺につきまして各界の権威の方々に、ニューメディアを含めまして放送はどのように多様化しているのかということで御答申をいただいたわけでございます。そのうちで、この際いまの時点におきまして実用に供せるものは音声多重であり、文字多重だということで、今度の提案の中においては二つを取り上げさせていただいた、こういうことでございます。  可能性といたしましては、ファクシミりあるいは静止画、また高度化を求めます高品位テレビ、あるいはPCM音楽放送と申しますか、そうした可能性はいろいろあるわけでございますけれども、そうしたものにどう対処していくのかということでございますが、われわれといたしましては、その技術の成果、動きに十分に関心を持ちながら、秩序をつけるべきときには秩序をつける、それと同時に、可能性が非常に多岐またバラエティーに富んでいるというような段階におきましては、余りきっちりとした枠をつけない方が技術の進歩を妨げないであろう、そうした考え方もあるわけでございます。そういうことで、現在定着したと思われる音声多重及び文字多重放送につきまして道を開いたということでございます。
  138. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 先日、わが党の村上議員も指摘をいたしましたように、放送の多様化に関する調査研究会議のアンケート調査では、テレビの音声多重放送受像機の購入欲求度は、東京では、「現在家にある」と「近いうちに買いたい」、こういう人を合わせて二四・九%、甲府では二六・五%しかありません。また、文字多重放送への関心度というのは、東京では、「放送が始まったら、すぐアダプターを購入して見たいと思う」、こういう人が三・三%、「しばらく様子を見るが、見る方向で積極的に検討するだろう」と回答した人が一八・四%、両方合わせて二一・七%、甲府では両方合わせて三三・五%、こういう結果です。すなわち、この関心度は非常に低いということが明らかになったのであり、郵政省はこのことは当然知っておられるわけですね。  そこで、お尋ねをいたしますが、なぜこのように国民の関心が低いのか、その理由について郵政省の見解をお聞かせいただきたいし、また、私が述べました放送の多様化に関する調査研究会議のアンケート以外に行った調査郵政省の方でお持ちならば、それも聞かせていただきたいと思います。
  139. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 こうした新しいものについての関心度ということでございますけれども、実際に物がないわけですし、食べたこともないわけですから、食欲もわかないという面はあろうかと思います。  ただ、そうした場合に、私どもとしてどう対応すべきかということでございますけれども、何度も申しますように、私どもの中でも実験というステップも踏めるじゃないかという意見が確かにあったわけでございます。しかし、御提案申し上げているような形にいたしましてあえてなにいたしましたのは、多重という形でやりますと放送事業者の設備を使うわけでございます。放送事業者自体はもうすでに、自分の武器と申しますか、それを持っておるわけでございますから、それで、先ほども指摘がありましたように、そのときにコマーシャルを流しておった場合にそれと矛盾する、裏番組になにしましたときに矛盾するという要素もあるわけでございます。私どもとしては、こうした新しいメディアを十分利用していただく、すき問が開発されたということになりますと、やはり第三者というものを考えまして、そうした観点から、その人たち、第三者的な多重放送事業者自身による創意工夫も期待いたしたい。そうした場合に、結局第三者が入ってくるわけですから、きちっとした枠組みがないとどうなるかわからぬわけでございます。そうしたことで一つの受け皿をつくる必要がある。  それから、何回も申し上げるわけですけれども、耳の不自由な方々についての御要望が、特に障害者年を契機としてだと思いますけれども、各市議会、県議会あるいは町議会というようなところから熱烈な希望が寄せられているということで、私ども提案を申し上げたわけでございます。
  140. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 もう結構です。電波監理局長質問に対して答えていただきたい。もうずっと何日もやったことをまた繰り返し繰り返し、時間ばっかりとられている。  私が聞きましたのは、このように国民の関心が低いのはどこに理由があるのですか、こういうことを聞いたのです。そうしたら、食べたことも見たこともない、それでは食欲もわかないのはあたりまえじゃないか、これが理由なんですか。全く国民をばかにした不遜な態度だ。それでいて答弁の中には、新技術を開発したのだから一日も早く早く、国民のニーズがあるから早く早く、こればっかりです。聴覚障害者だって早く早くと言っていると言いますが、私は聴覚障害者の要望書を正確に見ましたが、早期に実現してくださいとは書いてありません。文字多重放送がやられるときはぜひわれわれにも利用できるようにやってください――早く早くというのは、あなたたちが勝手につくっておられる修飾語であるわけです。全く不遜ですよ。  次に進みます。これも食べたこともない、見たこともないから食欲がわかぬのかもわかりませんが、一般国民が関心が低いというだけではなくて、民間放送のスポンサーになる企業、ここの場合も同じような傾向にあるわけです。  雑誌「宣伝会議」の八二年四月号には、「広告主企業はいま、ニューメディアをどう捉えているか」、こういう提起の中で企業に対して調査をしたのです。その結果が発表されております。これは九十社にアンケートを依頼して五十二社から回答があったようですが、これらの企業というのは、たとえば花王石鹸、日本電気、日産自動車、トヨタ自動車販売といった大企業であり、大きな広告主なんです。  この調査の中で、「貴社の宣伝・広告部門で数年以内に使ってみようと思うニューメディアは?」という問いに対して、三十二社が答えているのですが、この中で文字多重放送答えたのは何とただ一社だけなんです。食べたことも見たこともない、食欲がわかないのですか。これらの調査結果から考えると、ここで私たちが盛んに論議をしている文字多重放送というものは一体どんなものなのか、大部分の国民は知らされていないということではないのか、こう思うわけなんです。  あなたも電波は万人のものだということを認められました。二十五年からも言われております。口では万人のものだと言いながら、現実にはそこから遠くかけ離れたこの石づくりの国民の聞こえないところで、こういう状態で議論がされているわけです。放送の受け手、いわゆる受信者の側はいま申しましたような状態に置かれている、これが現実の姿であります。私はこのことをまず認識をする必要があるというふうに考えるのです。  この上に立ちまして、今度放送のもう一つの側であります送り手の側、ここはどのようなことになっているのかということについてお聞きをしたいと思います。  郵政省は、従来からマスメディアの独占集中は排除するという方針で臨んできているというふうに思うのですが、これは現在も変わりがないでしょうか。
  141. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 マスメディアの集中は好ましくないというふうに考えております。ただ、最近いろいろ新しいメディアが出てまいりました場合に、その辺の実現とそれから情報のソースを多元に求めるというようなところで、それぞれのメディア、メディアについての影響度等も考えての物の考え方というものは必要であろうと思いますが、いずれにしましてもマスメディアの集中はよろしくない、このように考えております。
  142. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは具体的にお尋ねをいたします。  今回の法改正では、文字多重放送を行うことができる者は、一つには、現在テレビジョン放送を行っている放送局ですね。そしてもう一つは、この放送局と放送施設の賃貸契約を結んだ者。この両者に対して文字多重放送の免許を与えることになっているというふうに思うのですが、これに間違いございませんでしょうか。
  143. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 まず多重放送をやりたいというある種の会社と申しますかグループができまして、そこがテレビジョン放送事業者と契約した段階におきまして、私どもの方に申請されるわけでございます。そして、その審査に当たりましては、私ども社会的に見てその契約に無理がないというような判断とかを加えました上で、またNHKの第三者であればNHKの第三者としてふさわしいものであるかどうか、その辺の判断も含めまして、申請を受けた段階で多重放送事業者を電波法放送法に照らしまして審査して免許を与える、こういうことになるわけでございます。
  144. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは、次に、第十三条の二で「テレビジョン放送をする無線局の免許がその効力を失つたときは、そのテレビジョン放送電波に重畳してテレビジョン多重放送をする無線局の免許は、その効力を失う。」こういうことになっておりますね。これは、既存の放送局が違法なことを行って放送の停止というような処分を受けた場合は、その放送局と賃貸契約を結んで多重放送を行っていた放送事業者も放送業務ができなくなるということになるわけですね。せっかく申請をしていろいろちゃんとパスして免許をもらって自分は正常な放送をやっていても、親の方の放送局が不正なことをやって電波を出せなくなるというふうなことになれば、子供の方の文字多重放送もだめになるというわけですから、私はこんなばかなことがあっていいのだろうかということを考えるわけです。こういう場合はない方がいいですが、仮にこういうことがあった場合のことも深く考えてわれわれ討議しなければならないわけですから、こういうことがあった場合には、何か救済措置というものは考えられているのでしょうか。
  145. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 先生指摘の点、もっともだと思われますけれども、ただ、やはりテレビジョン多重放送は設備をお借りする部分が多いわけですけれども、自分たちの設備としても変調設備等を加えまして行うわけですが、どうしても電波のすき間を利用して行う放送だということで、その免許はテレビジョン放送とは独立に付与されるわけでございますけれども、あくまでもテレビジョン放送が行われているということが前提になっておるわけでございまして、そうした形から、不幸にしてあるいは災害等々で物理的に使えないというようなことも含めまして、先生が挙げられましたような例は私ども決して好ましくないと思っておるわけですけれども、物理的に借りているテレビジョン放送局が、何らかの理由で電波が出せなくなった場合には、それに重畳する多重放送も、まことに不本意ながらやむを得ないということで、救済措置考えられておりません。
  146. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 大変なことだと思うのです。好ましくないと思うのは私もそれは同じでございます。しかし、万々が一そういうことが起こった場合には、救済措置もない。そうなったらいわゆる親ガメに乗っております子ガメである文字多重放送事業者は、もし仮にそのような事態が起きてもその不利益を甘んじて受ける、こういう覚悟がなければ放送業務は始められないということになるように思います。  そこでお尋ねいたしますが、民放と賃貸契約を結ぶ文字多重放送の事業者というのは、一体どんな人たちになるのでしょうか。私は、民放と関係の深い人たちでなければ、こんな不利な条件でも仕事をやりますということにはならないのではないかというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  147. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 そうしたことは契約の内容という形で決まるわけでございますけれども、実際問題を考えてみますと、同じ屋舎に入りまして、片一方はテレビ事業をやっている、片一方は多重についてのいろいろなニュースといいますか、編集もありましょうし、そうした情報を入れるわけでございますから、通常かなり親しい関係といいますか、少なくとも、仲の悪い関係といいますかいがみ合う関係においては契約も成立しないだろうし、また、仮に契約ができたとしても、円滑に日常の業務を継続することは困難になる。したがいまして、先生のおっしゃるようなかなり親しい関係の中でできてくるであろう。ただ、親しい関係ということも友情関係があるということでも結構なわけでございまして、全部姻戚関係とか、そういう資本的にも結びついているものばかりというふうにも考えていないわけでして、私どもといたしましては、できるだけバラエティーに富む方々が参入していただければよろしいのではないか、それを希望しておるわけでございます。
  148. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 NHKの場合でも、賃貸する第三者機関というのは、NHKが出資をした子会社にやらせる、こういうわけですね。民間放送の場合でもこれと似たような形になるのは当然のことだろうと思うのです。それは、だれに貸すかを選択する権利を持っているのは既存の放送局ですから、そうなるのは当然のことだろうと思うのです。しかし、これでは幾らマスメディアの独占集中を排除する方針だ、こうおっしゃっても、事実上は独占集中になっていくではありませんか。それでは、これに対する歯どめということにはならないわけで、制度的にどんなものが歯どめとしてあるのか、もしあるならばどんな法律の何条にそれを定めているのかということをちょっと御説明いただきたいと思います。
  149. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 テレビジョン多重放送というものの本質を考えてみますと、どうしてもやむを得ないと申しますか、そういう面があることについて御理解をいただきたいと思うわけでございます。  ただ、テレビジョン多重放送の免許を付与するかどうか、それにつきましては、契約ができたからそのままその契約のできた者が多重放送の免許を受けられるかということにつきましては、私どもといたしましては、一般放送局と同じように多重放送事業者につきましても審査するということでございます。
  150. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 歯どめがあるのかないのか、法律的に何条にそれでは書いてあるのかということを聞いているのです。
  151. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 歯どめはないというふうに考えております。
  152. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 歯どめが制度的にないわけですね。それでは幾ら技術が進んで使える電波がふえても、国民の使える電波というのは生まれてこないわけですね。電波は万人のものと百万遍言っても、これは口で言っているだけで絵にかいたもちでございます。だからこれではだめです。  また、このことは単に国民の使える電波がふえないというだけではなくて、一方では、新しくつくり出される電波が一部の事業者のところに集中をして、このメディアの独占化というのが進行することになるわけです。これは電波法放送法の趣旨に照らしてみても反することになるではありませんか。私は、このような電波国民のものでなくなるような方向に進むことを認めるわけにはまいりません。  最後に、私は、放送法のこの改正案に対して、日本共産党の反対の理由を述べておきたいというふうに思うわけです。  まず最初は、私がいままで指摘してまいりましたように、今回の法改正で文字多重放送などに対する第三者利用の道が事実上阻まれていることであります。放送設備の賃貸は民法上の一般契約にゆだねられ、放送設備を賃貸するか否かの選択権、つまり裁量権は、既存放送事業者の自由意思によって行われる内容になっております。これでは、設備提供の義務づけ等を提言をした多重放送に関する調査研究会議の趣旨にも反するものであり、文字多重放送などの第三者利用が既存の放送事業者の許容範囲内で行われ、事実上既存の放送事業者の独占的利用になってしまうおそれさえあるのです。これが反対をしております第一の理由です。  反対の第二は、多重放送に対する計画策定の提出や災害放送に対する義務規定の導入、さらには、NHKの出資に対する法定制緩和、放送設備の賃貸についての国会の同意を必要としないことなど、こういう各条項を見れば、文字多重放送の実用化に当たって郵政大臣がその許認可権を握り、文字多重放送などを郵政大臣のコントロールのもとに置き、放送内容に対する介入や干渉ができる根拠さえ与えるというおそれが出てくる内容になっているからでございます。  本来、文字多重放送などの新しい放送技術の開発というのは、国民の知る権利を保障し、自由な情報伝達手段として発展七、放送に対する規制が強化される方向ではなくて緩和されるという方向に進んでいくことが強く望まれるところです。その止めには、文字多重放送などの実用化に当たっては、情報の独占や放送実施主体の独占を極力排除して、文字多重放送などのニューメディアが真に国民に開放ざれた放送メディアとして活用されていかなければならないということば言うまでもありません。  この際、政府は、法改正によって文字多重放送の実用化を図るという道をとるのではなく、聴力障害者の要望にも積極的にこたえていく施策、実用化試験局という方法をとりながら、文字多重放送に対する技術的方策や実施主体に対する再検討、さらに情報内容に対する国民的ニーズなどを把握しながら、ニューメディアに対する国民各階層の意見の要望を吸収をし、討議を深め、その実用化を図っていく道をとるべきである、このように強く指摘をいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  153. 水野清

    水野委員長 これにて藤原ひろ子君の質疑は終了いたしました。  以上で両案に対する質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  154. 水野清

    水野委員長 これより両案について討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、順次採決をいたします。  まず、放送法等の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  155. 水野清

    水野委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  156. 水野清

    水野委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、畑英次郎君外四名より、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び新自由クラブ・民主連合の各派共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者より趣旨の説明を求めます。畑英次郎君。
  157. 畑英次郎

    ○畑委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提案者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     放送法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、テレビジョン多重放送の実施にあたつて、次の各項に特に留意すべきである。  一 日本放送協会放送設備を利用するテレビジョン多重放送事業者については、公共放送としての協会の性格、使命並びに視聴者に対するチャンネルイメージを損うものでないよう配意すること。  一 テレビジョン放送を行う一般放送事業者の第三者利用については、放送の多様性、地域性を確保するため、広く国民各層の参加の推進を図るとともに、情報の独占をもたらすことのないよう十分配意すること。 以上のとおりでございます。  この附帯決議案は、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び新自由クラブ・民主連合の五党共同提案に係るものでありまして、当委員会における質疑の動向を参酌して作成されたものでありますので、各項目については説明を省かさせていただきます。  何とぞ委員各位の御賛成をお願いする次第でございます。
  158. 水野清

    水野委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  159. 水野清

    水野委員長 起立総員。よって、本動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  この際、箕輪郵政大臣から発言を求められておりますので、これを許します。箕輪郵政大臣
  160. 箕輪登

    ○箕輪国務大臣 このたび、慎重な御審議をいただきまして、ただいま放送法等の一部を改正する法律案及び電波法の一部を改正する法律案の御可決をいただきましたことを……(「まだまだ、電波法はまだ」と呼ぶ者あり)また初めからやります。  このたびは、慎重な御審議をいただきまして、ただいま放送法等の一部を改正する法律案の御可決をいただきましたことを厚くお礼申し上げます。  この委員会審議を通じて承りました御意見につきましては、今後の行政の推進に当たり十分配意してまいりたいと存じます。  さらに、ただいまの附帯決議につきましては、今後その趣旨を尊重してまいりたいと存じます。  まことにありがとうございました。     ―――――――――――――
  161. 水野清

    水野委員長 次に、電波法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  162. 水野清

    水野委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  なお、ただいま議決いたしました両案に対する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  163. 水野清

    水野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  164. 水野清

    水野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時三十一分散会