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1982-04-14 第96回国会 衆議院 逓信委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十七年四月十四日(水曜日)     午前十時四分開議  出席委員    委員長 水野  清君    理事 加藤常太郎君 理事 畑 英次郎君    理事 渡辺 紘三君 理事 阿部未喜男君    理事 鈴木  強君 理事 西村 章三君       秋田 大助君    亀岡 高夫君       佐藤 守良君    渡海元三郎君       丹羽 雄哉君    福永 健司君       森  美秀君    森山 欽司君       久保  等君    楯 兼次郎君       森中 守義君    大橋 敏雄君       中井  洽君    藤原ひろ子君       村上  弘君    依田  実君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 箕輪  登君  出席政府委員         郵政政務次官  水平 豊彦君         郵政大臣官房長 澤田 茂生君         郵政省電気通信         政策局長    守住 有信君         郵政省電波監理         局長      田中眞三郎君  委員外出席者         参  考  人         (電波監理審議         会会長)    菊池  稔君         参  考  人         (日本放送協会         会長)     坂本 朝一君         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    中塚 昌胤君         参  考  人         (日本放送協会         技師長専務理         事)      高橋  良君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     田中 武志君         逓信委員会調査         室長      芦田 茂男君     ————————————— 四月十二日  脊髄損傷者に対する郵政行政改善に関する請願  (石橋政嗣君紹介)(第二〇二九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  放送法等の一部を改正する法律案内閣提出第  五二号)  電波法の一部を改正する法律案内閣提出第七  四号)      ————◇—————
  2. 水野清

    水野委員長 これより会議を開きます。  放送法等の一部を改正する法律案及び電波法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。畑英次郎
  3. 畑英次郎

    畑委員 きょうは、参考人のお立場坂本会長さんを初めNHK方々、大変恐縮に存じます。どうぞよろしくお願いいたします。  まず最初に、今回の放送法改正でございますが、この放送法改正の問題につきましては、従来から抜本的改正をというようなことがたびたび論議を呼び、今日に至っておるわけでございますが、今回はいわゆる多重放送という問題を抱えました中におけるいわば一部分の手直しというような姿で提案をされておるわけでございますが、この放送法の及ぼす影響、あるいはまた国民の今日この法律に寄せます関心、そういうものを踏まえまして、郵政大臣におかれましては、いわゆる抜本的改正につきまして現時点でどういうようなお考えをお持ちであるかどうか。なおまた、今後の対応の姿勢、こういうことにつきまして、まず、基本的なお立場伺いたいと思うわけでございます。
  4. 箕輪登

    箕輪国務大臣 放送法抜本改正については、しばしば言われるところでありますが、従来から、この放送番組あり方、また一般放送事業者あり方、そういった問題についていろいろと議論があるところでありますが、問題の性格上なかなか国民的なコンセンサスが得られないのでありまして、郵政省としては、必要なものであってかつ国民的合意の得られたものについては随時随時法改正を行っていきたい、こういう考えでおるところでございます。
  5. 畑英次郎

    畑委員 ただいま大臣の御答弁にもございましたように、私は、放送法に関しましては、従来の歩みの中におきましてはただいま御答弁のありましたような取り組み方はやむを得ないというように理解するわけでございますが、最近のように技術革新といいますか、ニューメディアといいますか、そういうものが、矢継ぎ早にと申し上げますよりも、驚異的な進歩発展を見る中にございましては、かなりこの放送法の抜本的な見直し、あるいはまた、見直しと申し上げますよりもいわば技術革新対応し得る先取りといいますか、そういうものがなくてはならぬというように考えるわけでございまして、この辺、役所のお立場におきましても、審議会等を設けましてその答申等いただきながら、いろいろそれ相応の対応をしておるというようには理解をするわけでございますが、さような意味合いでのいわば先取り行政といいますか、こういうことにつきましても御留意を賜りますようにお願いを申し上げ、具体的な項目に入らせていただきたいというように考えるわけでございます。  最初に、今度の法改正の大きなポイントでございます、最大のポイントと申し上げていいかと思いますが、多重放送についてでございますけれども、いわゆる関係の筋におきましては最も関心を寄せておりますのが、いわゆる第三者利用という内容ではなかろうかというように考えるわけでございます。この第三者利用の道を開くことにいたしました目的あるいは趣旨、この辺につきましてまずお伺いを申し上げるわけでございます。
  6. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 テレビジョン多重につきまして、特に文字多重放送関係かと思いますけれども、御存じのように非常に新しい技術であるということで、現在のところ二十種類程度のものが直ちにでも利用できるということでございますけれども、これを考えてみまして、従来の放送事業者設備を借りなければいけないものですけれども、仮にその方々だけにお使いいただくということになりますと、やはり余りにも情報集中されると申しますか、マスメディア集中と申しますか、そういうところでその利用形態考えますと、第三者利用の道を開きまして、それによりましていろいろな新しい情報ソースというようなものも見つけるべきであろう、そういう考え方から、第三者等に貸していただくというようなことを考えたわけでございます。
  7. 畑英次郎

    畑委員 いま御答弁の中にございましたように、マスメディアあるいはマスコミ集中排除といいますか、そういう観点第三者というふうに位置づけられたのではないかというふうに私は考えるわけでございますが、しからば、第三者といいますものの判断基準といいますか、第三者の定義といいますか、こういうことに関しましてお尋ねをしたいわけでございます。  従来の放送事業者に対して免許を与える場合におきましては、いろいろ電波法におきまして、ただいまお話がございました集中排除の問題、あるいはまた欠格事由のお立場、そういうものが今回の場合においても当然それなり整合性を持って実施がされなくてはならぬとというように考えるわけでございますが、この第三者既存放送事業者方々に対しまして施設提供義務を課していない。これを言葉をかえて申し上げれば、第三者利用既存放送事業者のお立場では全くおやりにならなくても差し支えがないようなことも考えられるわけでございまして、この辺に対する考え方をひとつまずお伺いをしたいというように考えますし、なおまた、第三者、これは後ほどNHKさんのお立場におきましてもお伺いしたいと思うわけでございますが、民放の場合に、第三者が、世間よく言われますところのダミーといいますか、そういったような、自分の既存放送会社の丸抱えという姿の中で第三者利用が行われました場合には、集中排除にもひっかかりますし、いわゆる常識的な第三者ということにはならないというように私は考えるわけでございまして、そういうような場合におきまして物を考えました場合には、第三者に対する既存放送事業者出資比率の規制といいますか、割合といいますか、そういうものを当然明確にお持ちになっておるのではなかろうかというように私は考えますし、これは私の立場から言わしていただきますならば、従来の電波法欠格条項その他云々考えました場合には、既存放送事業者は大体上限三〇%、その程度出資比率でもって抑えておかなければ、第三者ということは私は言いがたいと思いますし、あるいはまた、従来のマスコミ集中排除の問題、こういった意味合いからもまことに問題があるのではないかというように考えますが、第三者判断基準、そしてまた、ただいまの既存放送事業者出資比率上限の問題、三〇%以下というような考え方につきましての御所見を伺いたいと思うわけでございます。
  8. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 いま申し上げましたように、多重放送というのは、本来的にはすでにやっておられます放送事業者自体設備を使うわけでございますから、その意味では、事業者自身が使う場合には非常に簡単なものでございますけれども先ほども申しましたように、あえて第三者に道を開きましたのは、先生が御指摘のような、もう少しローカルニュースと申しますか、細かい買い物情報あるいは交通情報催し物案内といいますか、その地域に密着したソースを提供いたしたい、そういうような考え方から出たわけでございまして、第三者につきましても、過度の集中にならないように、それからローカル放送多様性が確保されるようにというのが観点でございますので、特定の集中にならないようにということでございます。  それで、その第三者免許方針についてでございます。現在検討中と申しますか、おいおいにいろいろな角度から、今日、明日の御審議を通じてもまたいろいろ御高見をいただけると思っておりますけれども、たとえば、いま上限の問題について三〇%というような御提言があったわけですけれども、私ども聞くべき御意見として承っておきたいというふうに考えておる次第でございます。
  9. 畑英次郎

    畑委員 ただいま三〇%という数字に対しまして、それなりに聞くに値する数字であるというような御答弁があったわけでございます。  なおまた、お触れになっておりましたけれども、従来の一般放送事業者に対する根本基準でございますか、いわゆる認可に当たりましての根本基準の第九条の適用方針、これとの整合性、こういうものを考えました場合には、お話がございましたように、ローカル性あるいは独自性、こういうものを十二分に尊重し得る形の中の第三者利用、こういうような方向にぜひ持っていっていただきたいというように考えるわけでございます。  そういたしまして、いささか実務的な話になるわけでございますが、この第三者といいますものが、たとえば巷間伝えられておりますような東京キー局がそういったお立場をお持ちになる、それを地方既存放送事業者方々利用なさる、こういうような形になりますと、ただいま御指摘がございましたようなローカル性あるいは地域性といいますものがなくなるわけでございますから、この辺のいわゆる中央におけるキー局第三者利用に対する対応についてはどういったようなお立場をお考えになっていらっしゃるのか、あるいはまた、私の大分県におきましては、いま民放が二局あるわけでございますが、その民放一局ずつに第三者利用文字多重放送をする会社を持つべき方向での行政指導をなされるのか、あるいはまた、地域性をお考えになりまして、その既存民放二局に対しまして一多重局をつくりまして、二つ既存局文字多重放送を流すというようなことも実務的には考え得るのではなかろうかというように考えますが、この辺につきまして御見解伺いたいと思うわけでございます。
  10. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 先生いま二つの点を御指摘いただいたというふうに考えておりますけれども、まず、テレビはその制作に要する経費等々の問題からかなりネットというものができておりまして、いわゆるキー局というものから地方へ流れていく番組が多いというのが実態でございますけれども、この文字多重等の場合においても同じようになるのではおもしろくないじゃないかという御指摘かと思います。私どももそのように考えておりますので、これからどのように発展するかということでいろいろの可能性考えられるわけですけれども、やはりその性質あるいはそれほど大きな情報量ではないというような意味からいたしましても、むしろローカルでつくられたものが中央へ上がってくるというような事態が来れば非常に望ましいのではないかというふうにも考えておる次第でございます。  それから、いま、二つ目の点といたしまして、ある種の文字多重放送事業者みたいなものができまして、地方で、いま少なくとも民放の場合二社あるわけですけれども、その二社の両方にまたがる第三者文字多重放送事業者というものは考えられるのかというような、非常に具体的なお話のようでございますけれども、私どもやはりその辺についても、いろいろな地方地方によりまして違うかと思います。やはり二つそれぞれあった方がいい場合もあるでしょうし、三局の民間放送があるところもあるし、四つのところもあるわけでございますけれども、その辺にわたっての共通多重放送事業者、こういうものは、市場価値といいますか、そうした多重放送事業者がどういう営業ができるかということも関係するのではなかろうか。いままだ始めておりませんので、その辺についてのデータは全然ないわけでございます。これは外国等につきましても研究はしてみたいと思います。考え方としてはあり得るわけですけれども、まず、ある社についての多重放送事業者、それとの契約、こういうことから様子を見ている間に、先生が御指摘になりましたようなことも、地方へ行きますと、そういう存在がちょうどいいぐあいの経営規模と申しますか、豊かな多重番組を提供するのには、場合によっては二社についての共通多重契約者ができるのがぐあいがいいというようなこともあり得るかと思いまして、私ども将来の可能性の姿として検討させていただきたい、このように考えておる次第でございます。
  11. 畑英次郎

    畑委員 ただいまお話がございましたように、多重放送の問題はこれからの問題でございますだけに、いろいろなケース考えられ、検討中であるというお立場を表明されるのはやむを得ないというふうに考えるわけでございますけれども、ただいま申し上げましたような点につきましても、新たにスタートいたしますいわゆる多重局といいますか、そういった放送局経営基盤といいますものは確立をされなくてはならないわけでございますから、さような意味合いでは、とりわけその地域における経済的な基盤というものもお考えいただきまして、一既存局に一多重局という原則ではなくして、柔軟性を持っていただいた姿の中での推進が望ましいのではないかと考えるわけでございます。  なおまた、御指摘がございましたように、ローカル情報文字という姿で放映をされる、こういうふうなことを考えました場合には、その地域における新聞雑誌等の活字のメディアの所有者方々との協調といいますか、あるいはお立場尊重といいますか、そういうものも十二分にお考え合わせを願いたいと考えるわけでございます。ある人に言わしめれば、文字多重放送電波新聞性格をも持つのではなかろうか、極端な言い方をしますと、現在の新聞がだんだん先細りになって、こういった電波新聞性格文字多重放送国民関心が移行してしまうのではないか、そういうことも考えました場合には、それなりローカル情報充実、あるいはまた現在ローカル紙の置かれております立場というものをも十二分に尊重をいただきます中における多重放送であってほしいということを、この機会に希望なり指摘を申し上げておく次第でございます。  そうした中で、NHKにおかれましても、現在の放送内容充実、あるいは補完的業務のお立場からお取り上げになり、そしてまた第三者利用もお考えになる、そういう法改正に相なるわけでございます。このNHKさんの場合に、お尋ねをしたいわけでございますが、放送法の中には従来第九条の第四項に、ラジオあるいはテレビにおきましては全国普及義務が規定をされておるわけでございますが、今回この多重放送につきましては全国普及義務がうたわれていないわけでございます。この辺の理由につきましてお聞かせを賜りたいと考えます。  なおまた、これはNHK会長にお伺いしたいわけでございますが、多重放送の開始によりまして、その必要経費はどのくらいかかるか私ども存じませんけれども、従来から本委員会においても論議の一つの中心になっております受信料との絡み合い、この多重放送という新たな業務によります必要経費、これはどういう形でもって賄われるのか。あるいはまた、考えようによりましては付加的な受信料を徴収することも考えられましょうし、大変失敬な言い方でございますが、そういうことが来年の受信料値上げの口実に大きく使われるというようなことであったのでは、これまたいかがなものであろうかという気もいたすわけでございまして、この辺に対するNHK側の御見解をも承りたいというふうに考えるわけでございます。  あわせまして、NHKさんの方で賃貸をしました第三者放送にはコマーシャル挿入を認めるのかどうか、あるいはまた、第三者利用に対しまして民間企業あるいは個人参加NHKのお立場では認めるのかどうか、この辺につきまして御見解伺いたいがというように考えるわけでございます。  最初に、義務を課さなかった理由から、これは郵政省の方でお答えを願えればありがたいと思うわけでございます。
  12. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答え申し上げます。  NHKは、あまねく日本全国において受信できるように放送を行うことを目的として設立された法人であるということでございますから、テレビジョン多重放送でございましても、全国普及は望ましいもの、努めるべきものだとは考えておるわけでございます。  ただ、テレビジョン多重放送というものを考えてみますと、先生先ほどから御指摘になりましたように、かなりローカル性にいいんじゃないかというような御発言もございましたし、また、本来、現在送っておりますテレビジョン放送あるいはFM放送中波放送と申しますか標準放送のような基本的な放送サービスとは現段階ではまだ言えないのではないか。そういうようなことから、御指摘の第九条の第四項にテレビジョン多重放送という言葉は入れなかったわけでございます。  ただ、物理的といいますか機械的に申しますと、中央からある番組を送りますと、そのまま全国一緒番組でよろしいということになれば物理的には伝わっていくという性質のものでございます。途中で多少技術的な補正が必要な場合がございますけれども、それほど大きな設備を要することなく、物理的には東京で出しますと全国に流れるという性質ですが、それが果たして多重放送内容としていいものか、適切な番組であるかどうかというような点もあろうかということで、あえて全国普及義務という形ではうたわなかった次第でございます。
  13. 高橋良

    高橋参考人 先生お尋ねの直接建設投資額でございますが、御承知のようにこの金額積算方法につきましては、直接建設投資額並びにそれの金利償却費運用費管理費、そういうものが附属されるわけでございます。ただいま先生御質問の直接建設投資額ということでございますと、つい先日まで御審議賜りました五十七年度予算、これにつきましては、この法改正が終わりまして技術基準その他ができました段階で、とりあえずNHKといたしましてやるべき建設投資額は、ただいま法改正以前でございますので、今国会で御審議いただきました段階では研究施設整備費の中に計上してあるわけでございます。東京、大阪だけでやります直接建設投資額は二・八億という計算をしております。将来これを全国に及ぼす場合にどれくらいになるかということにつきましては、先ほど申し上げました金利償却費その他を除きまして、直接建設投資額としましてきょう現在十一億、このように試算しているわけでございます。
  14. 畑英次郎

    畑委員 いまの金額が大体十一億といったような数字が出たわけでございますから、これは先ほど申し上げました受信料云々に、余りと言ってはどうかと思いますが、影響はないというような受けとめ方をさせていただいておるわけでございます。  なお、いまお答えがなかったわけでございますが、コマーシャル挿入あるいは民間企業個人参加、これも後ほどお答えを願いたいというように考えるわけでございます。  先ほど申し上げました第三者、これにつきましては、いわゆる民放の場合もそれなり問題点があるわけでございますが、とりわけ、NHKさんのような公共放送のお立場におかれまして選びます第三者、これは私は非常に慎重なお取り組みが必要ではないかというように考えます。この辺の第三者につきましては、NHKのお立場では基本的にどうあるべきか、あるいはどうあってほしいか、その辺のお考えがございましたらお答えを願いたいと思います。
  15. 坂本朝一

    坂本参考人 郵政省で御審議になりました多様化委員会の御答申の中にも、NHKのその種の第三者利用等については、公共放送としてのNHKのイメージ、そういうものについて慎重に考えなければいけないのじゃないか、コマーシャルをとるというようなことについて十分検討すべきであろうというような御答申の中身だったかと思います。それから、私ども長期ビジョン審議会の御検討の中にも、この種の問題につきましては、実は本放送そのもので、たとえば公共企業体等コマーシャルを入れることによって受信料値上げなどを抑制するという方法考えられるけれども、その点もやはりNHK立場から慎重に検討しなさいという御指摘をいただいておりますので、われわれはその問題をかなり検討しなければいけないのではないかというふうに考えておりまして、いま現在ここでどういうふうだというふうに御即答申し上げるほど具体的ではございませんけれども、慎重に対応すべきであろうというふうに考えております。
  16. 畑英次郎

    畑委員 私は、いずれにしましても、第三者というお立場性格、これは先ほど既存テレビ会社におきましては出資率を三〇%を上限とすべきだという私なりの主張をさせていただいたわけでございます。これはいささか当たりさわりがあるかもしれませんけれども既存民放さんのケースにおきましては、これは資本構成、株の配分その他につきまして、従来役所におかれましてはいろいろそれなりの配慮をされておられて、行政指導等の中あるいは免許の際にいろいろ指摘をされまして今日の姿があるわけでございますが、この文字多重放送に関しましても、既存放送民放さん等のお立場方々が、表面的にはたとえば三〇%以下の出資というお立場であっても、実質的には名義借りといいますか、そういうような形の中で、マスコミ集中排除考え方に相反する形が出てくると私は考えるわけでございまして、現に民放におかれましては、名前株主と実際の株主とがほとんど違うというのが実態ではなかろうかというように私は考えるわけでございます。  これは、私ごとを申し上げてどうかと思いますが、私自身もさる民放の株の名義人には、わずかな金額でなっておりますけれども、実質は、それは私の田舎の市長選挙に出ます際に、すでにある全国紙の方にお渡しをしておるということでございますが、私の名前が現在は表へ残っておるということでございます。  そういうようなことも考えますと、一面、先ほどお話にいささか戻るわけでございますが、こういった多重放送等の場合におきましても、従来の既存マスコミ関係方々集中排除の問題も、たてまえと実態とをこの辺でもう一遍洗い直しをいたしまして、その辺の対応の仕方に手を加えるべきではなかろうかというように私は考えるわけでございます。  先ほど申し上げましたように、文字多重放送等につきましては、場合によっては、そういった地方ローカル新聞あるいはまた地方の雑誌社、そういったお立場方々を中心に積極的にやらせる、そういう中における既存民放さんとの絡み合い、こういうこともいささか話としては、私自身も申し上げるわけでございますが、実際なかなかむずかしいんだという役所のお立場も十二分にわかるわけでございます。  いま言ったようなたてまえと実態、そういうものにもひとつ目を向けていただきます中におけるこれからの放送法関連の、あるいは電波法関連の取り扱い、たとえば最近では中波ラジオの放送方々が一部経営が不振である。そういう中におきましては、FMラジオは自分たちの方にやらせてほしい、これはラジオという性格二つ握ることはぐあいが悪いという、当然従来のお考えでは立とうかというように考えますが、実態からしました場合には、そういうことも一つの検討対象に値するのではなかろうかというように考えるわけでございます。この辺も一つの私の意見としまして、なおまたそういうことも御検討を賜りたいというように考えます。  このマスコミ集中排除の問題、実態といわゆるたてまえとが大きく違っておるというように私は思いますが、いささか意地悪な質問であるかもしれませんけれども、その辺についての電波局長の御見解伺いたいと思うわけでございます。
  17. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 ただいま御指摘の問題、なかなかむずかしい問題でございますが、翻訳してみますと、多重放送の実施に当たっては、既存放送事業者がどうしてもその設備を使うわけだから、契約等によるとしても、既存放送事業者のかなりな意思というものによりまして、第三者といってもその性格が決められるんじゃないかというようなことにつきまして、その他の問題とも関連いたしまして、たてまえと実態とを近づける努力をせよというふうに私受け取ったわけでございます。  また、この多重に当たっては、特にローカル性というものが価値があると思われるので、できる限りの多くの参加者、既設の放送事業者ないしは、ちょっと差し支えがありますかもしれませんけれども、大きな中央新聞だけではなくて、地方にもりっぱな新聞がたくさんあるし、また、放送事業者としても、テレビ事業者だけではなくてラジオの人もいる、あるいはFMの会社もあるわけなんで、そうしたいろいろないわゆる情報ソースになり得るできる限り多数の参加者を得た形の多重放送事業者第三者というものを考えたらどうか、こういうおしかりと申しますか、実態をついての御高見かと思いますけれども、私どもといたしましても、あくまでも設備につきまして賃貸につきましての契約はある、これはどうしても逃れられないわけですけれども、その契約免許かといいますと、それは違うわけでございまして、契約ができた後にテレビジョン多重放送事業者としての免許を申請していただきまして、他の放送局と同様に郵政大臣が審査して決定をする。その審査に当たって、ただいま申されましたような契約内容というものもできる限り実態と表面上、形式上というものを近づける努力をした上で審査をしてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  18. 畑英次郎

    畑委員 私はいま局長さんに対しまして激励を申し上げておるわけでございますから、どうぞひとつそういう意味で受け取りを願いたいというふうに考えます。  なおまた、私は、先ほど大臣にもちょっと申し上げました放送法抜本改正に絡みまして、率直に申し上げて、既存民放さんのお立場、これはやはりいまの放送法では、残念ながら、その内容あるいは放送番組等いろいろ問題点を抱えながらも、いささか隔靴掻痒の感のあり得る今日の立場ではなかろうかというように考えますし、放送法もそういった点につきましては、これからの一つの大きな課題としまして目を向けなくてはならぬというように私は考えておるわけでございます。そういう時期でもございますから、文字多重放送に関しましては、私は、既存民放のお立場では、先ほど申し上げましたように、出資比率三〇%以下というようなお立場で、いささか従来ローカル紙と御縁の薄い関係者のお立場を十二分に尊重される姿の中で積極的な展開をお願いしたい、かようにひとつ重ねてお願いを申し上げておく次第でございます。  次に、第二番目に、放送法改正の二番目の出資の問題につきまして、これをちょっとお伺いしたいと思います。  今回、この放送法改正案によりまして出資の対象を拡大する、これにつきましてはどのようなものを対象にお考えになっていらっしゃるか、お伺いをしたいわけでございますけれども、これは、実は今度の場合の出資の対象の拡大は、NHKのお立場におきましては、文字多重放送等の関連から、その辺が引き金になったというふうに考えるわけでございますが、従来から御指摘を申し上げておりますように、NHKのお立場では、外郭団体がございますけれども、これに対しまして従来は出資がなし得なかった。そういう中で、たとえば財団法人NHKサービスセンター、これにおきましては三億三千三百万、株式会社日本放送出版協会、これにおきましては七億四千一百万、これは昭和五十五年度の剰余金、利益金であるかと思うわけでございますが、そういうようないわば一般社会から見ました場合には多額の利益が出ておる。これは全く株式会社であり、NHK出資もされていない。こういうことを考えました場合に、副次収入といいますか、そういうような意味合いで、たとえば著作権、こういうものはある程度NHKの方に入っておろうかというように考えるわけでございますが、こういった従来とかく週刊誌等でも騒がれました外郭団体には、私は、今回の法改正によりまして、NHKさんのお立場におきましても積極的に出資をされるべきではなかろうか。そうしますと、それに見合う、そしてまたそれ以上の期待できるものがあるとするならば、NHK本体の方に副次収入として金が入ってくる。そういうことによって受信料値上げという問題に対する一つの抑制の力にもなり得る。私はこういうことにひとつ積極的なお取り組みを賜りたいというふうに考えますし、あるいは、相手は株式会社でございますから、こういったお立場では出資を拒む、こういうこともあり得ると思いますが、そういったときには、NHK出資をされまして新しい会社をつくって、そういった会社の方に従来お願いしておった仕事あるいはまた業務を積極的に展開をし、それ相応の利益はNHKの方で収入として受け入れるということが、考えるべき、検討すべき内容ではなかろうかというように私は考えるわけでございます。  この辺、いささか漠とした話でございますが、基本的なお考え、これは郵政省の方におかれましてはそういうことについてどうお考えになるか、そしてまた、NHKのお立場でも、その辺についての現時点における考え方お答えを賜りたいと思うわけでございます。
  19. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 今度の改正におきまして、ただいま御指摘NHK出資条項の拡大と申しますか、そういう措置をしようとしておるわけでございますけれども、対象として現時点で私どもこういうものが可能性があるだろうと考えておりますのは、協会がいろいろ毎日放送されるわけですけれども、いろいろな番組、りっぱな番組がある。そうした中には、ビデオテープあるいはビデオディスク等につくって十分商品価値のあるものがあるはずだ。そうしたものの制作、販売に関する事業、また放送番組やその素材の制作、提供に関連する事業、あるいはこの際考えております協会の放送設備を供与をいたしますテレビジョン多重放送を行う事業、そうしたものがあろうか。その他、NHK自身の中でいろいろお考えになりまして、出資に合うものがあれば、御提言といいますか御相談いただきまして、NHKの事業に利するものかどうか、密接に関係のある事業であるかどうかというような観点から判断してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  20. 坂本朝一

    坂本参考人 先生指摘の点につきまして、NHK既存の外部団体が幾つかあるわけでございますけれども、特に株式会社の形態をとるものにつきましては、放送法の規定によりまして一切出資することが不可能でございました。NHK出資したいわゆる子会社というのは、そういう意味ではないということになるわけで、それぞれの設立の経過の中で独自の資本構成をしている、こういう状況でございます。したがいまして、現在までの経緯や運営状態などにつきましては、協会としても十分尊重しなければならない、そういう立場にあろうかと思います。  しかしながら、今回の改正案によって、協会の業務に関連する政令で定める事業を行う者に出資の道が開かれるというわけでございますから、NHKとしては、今後の財源の多様化の一つとして副次収入をふやすというような事柄、そういうこと、また、NHKが蓄積いたしました情報素材、ノーハウの有効的な活用によります国民への利益還元と申しますか、そういう点、それから、あるいはNHK業務の円滑な運営などの観点から出資対象を詳細に検討したい、そう考えておりますので、既存の外部関連関係会社出資についても、やはり私は総合的に検討すべきであろうというふうに考えておるわけでございます。  ただ、後段、先生の、既存の関連会社出資を嫌がったらどうするのかというような御指摘につきましては、やはりいま申し上げましたように、新しい観点に立ってそれに私どもとしては対応していきたい。その場合に、さらに先生が御指摘の、もう一つ別の競争会社を設立して競争させるということも考えられるのじゃないか、そういう御指摘につきましては、いずれにいたしましても、国民の要望にこたえてNHK放送事業の発展に寄与するのだ、そういう総合的な観点の中でその方策は考えられるべきであろうということでございますので、あらゆる点から検討したいと考えております。
  21. 畑英次郎

    畑委員 いまの会長お答えの中で、私はそれなりに理解をいたしますが、既存のいわゆる外郭団体との従来からの結びつき、そういうものも尊重していかなくてはならないというお話がございました。私は、逆に申し上げますと、従来ずっと赤字でやってきた、非常に犠牲的なお立場NHKさんをお助けしてきたというような外郭団体につきましては、会長のおっしゃるような基本姿勢をお持ちになるべきだと考えますが、これは当たっていなければ幸いでございますけれども放送出版協会、これは、一般の国民大衆から見ました場合には、日本放送出版協会と言えばNHKさんがおやりになっていらっしゃる——これは専門的には、いま御指摘がございましたように、NHKさんは営利を目的としてはいけない、あるいはまた出資はできない、こういうことは理解をいたしておるわけでございますが、一般国民方々は、日本放送出版協会即NHKと認めておると私は考えます。この会社は、五十五年は七億四千百万の当期利益、こういうようにべらぼうにと言ってはどうかと思いますが、もうかってこられた会社は、余り義理をお感じにならなくて、この際、思い切った対応をされていいのではないかと私は思うわけでございます。そういうような取捨選択をおやりになった上で、ただいま会長お話になりましたような御検討をひとつ賜りたいということをあえて申し上げるわけでございます。  こういった関係から、十四億円程度でございますか、副次収入がいままで上がっておると伺っておるわけでございますが、今度新たに多重放送もおやりになる、そういった時期でもございますし、受信料の三年サイクルの問題につきましてもかなり厳しい批判がある今日におきましては、今回の外郭団体に対する出資条項を大きく活用をいたしまして、NHKのお立場を明確にされていくべきではなかろうかと私は考えます。  なおまた、この外郭団体につきましては、責任者のお立場の方、これは非常に長い方もおられるやに伺うわけでございます。これはいささか言葉が過ぎるかもしれませんけれどもNHKでりっぱに長らくお勤めになった方々に、それ相応のOBのお立場での活躍をする場を、適当な年限を切って順次そういうチャンスをお与えいただくことも、現在のNHKの管理職のお立場にある方々等に将来に対する意欲を持たせ得るのではなかろうかと私は考えます。さような角度からも、この出資条項を大いに御活用を賜りたいというようにあえて申し上げておくわけでございます。  時間が迫りましたので、二、三お伺いをして終わりたいと思います。  最初に、従来論議を呼びました受信料義務化の問題、これは、幸いに、NHKさんが営業努力をされまして従来の問題点を解消された、そういう姿でございますから、NHK立場では、この放送法改正に絡んで義務化という問題の積極的な取り組みについて郵政の方に対しましても話をしないというように私は受けとめておるわけでございますが、郵政省の方におかれましては、受信料義務化の問題についてどういうお立場か、お答えを賜りたいと思うわけでございます。
  22. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答えいたします。  御高承のとおり、五十五年度の受信料改定の時点におきまして、受信料義務化するかどうかということが議論になったわけでございますけれども、五十五年に受信料が改定されまして後から現時点までの様子を、非常に関心を持って見ておるわけでございますが、この受信料の収入動向は比較的順調に推移しておると理解しております。  そういうことで、NHKといたしましては国民の理解と信頼を得られる形で経営努力に期待いたしたい、そういうふうに考えまして、現在の受信料制度の趣旨というものもかなり国民に浸透してきておる、そうした方向で成果を上げるのが最も望ましいということで、その推移を見守るというような考え方から、今回の改正には受信料の点についての御提案はいたさなかったわけでございます。
  23. 坂本朝一

    坂本参考人 支払い義務制の問題につきましては、先般、五十七年度の予算を御審議いただきましたときにも御質問いただきまして、私といたしましては、放送法契約の問題は、大前提に、一般視聴者の理解をいただくという努力の積み重ねの中でいただく努力をやはりすべきだろう、そういうことで、先般の値上げ以後の努力をいたしましたおかげで、どうやら滞納という数字を幾らかでも抑えることができつつあるという現状でもございますから、いましばらくこの推移を見させていただきたいというふうに申し上げたような次第で、現在もその考え方に変わりはございません。
  24. 畑英次郎

    畑委員 最後に、私は、先ほど来申し上げておりますとおり、放送事業の集中排除、これはなかなか言うはやすくして行うはかたしという一面があるわけでございますが、こういう一つの例をもってしましても、放送事業に対する一つの関心の度合い、そしてまた、貴重な存在である、価値のある事業である、こういうことがうかがい知れる、そしてまた、魅力のある事業であるということもうかがい知ることができるわけでございます。こういうことを考えました場合に、いささかお門違いかもしれませんが、最近、電電公社の経営形態をめぐりまして、いわゆる民営化ということがいろいろ論議を呼んでおるわけでございます。民営化をされました場合におきましても、先ほどマスコミ集中云々ではございませんけれども、その辺、たてまえと実態とが違ってまいりまして、電電公社が一部特定のグループの方々に資本が押さえられるということもある、私は、これに類似した一面を持っておるのではないかというようにも考えるわけでございますが、ともあれ、この辺につきましては、先ほど大臣にも申し上げましたとおり、放送事業の問題につきましては、ひとつこの辺で本格的に郵政の事務当局におきましても見直しをし、特に、重ねて申し上げれば、私は、既存民放あり方に対しましても、この辺でひとつ徹底した論議を展開し、放送法にもそれなりのものを織り込むべきではないかと考えておるわけでございます。  特に、郵政省のお立場では、従来の郵政三事業に加えまして、最近はとみに技術革新等の問題もございまして、電気通信の問題、今回の放送法改正に見られますような電波・放送事業の問題、こういうことを考えますと、行政改革の理念に相反するかもしれませんけれども、この電気通信あるいは電波・放送の分野における郵政省のお仕事は、いま少し内容充実を図って、行政の先取りができますような体制づくりをすることも必要ではなかろうかと私は考えるわけでございまして、さような中におきまして、たとえば、先ほどNHKの外郭団体に対しましても、私は、あえて申し上げれば、郵政省がやはり監督のお立場にあろうかというふうに考えますが、私の承知しておる範囲では、残念ながら人手が足らずに十二分な監督、監査ができていない。これは従来の電気通信政策におきましてもそういうことではなかったかというように考えるわけでございます。私は、郵政省のお立場におきましては、かえってこういうような技術革新が急テンポで進みます時期におきましての電気通信政策あるいは電波・放送事業等につきましての行政が、より将来に向かって過ちのない取り組み、展開ができますような体制づくりをやっていくべきだというように考えるわけでございまして、重ねてその辺につきまして郵政大臣の御見解伺いまして、私の質問を終わらせていただきます。
  25. 箕輪登

    箕輪国務大臣 従来の郵政三事業のほかに、ただいま先生指摘になられました電気通信の分野あるいはまた電波・放送の分野、この行政が非常に有用な分野を占めるに至っております。鋭意先生の貴重な意見を参考にしながら、行政に過ちなきを期したい、こう考えております。
  26. 畑英次郎

    畑委員 終わります。
  27. 水野清

    水野委員長 これにて畑英次郎君の質疑は終了いたしました。  次に、久保等君。
  28. 久保等

    ○久保委員 きょうはこの逓信委員会に、平素大変電波・放送行政で御尽力をいただいております菊池電波監理審議会会長に御出席をいただきまして、まことにどうもありがとうございます。  従来、余り逓信委員会電波監理審議会の会長においでを願ったことがないのですが、きょうは特に電波監理審議会等の問題についてもいろいろ御所見を伺って、私ども今後の電波・放送等の問題に対する審議の参考にいたしてまいりたいと思っております。  その問題に入ります前に、私はやはり最近の電波・放送法改正に関する動きを見て痛感することなんですが、御承知のように、昨年の国会で放送大学学園法が成立をいたしました。この中には、もちろん放送法改正が行われまして、新しく国営放送ともいうべき放送大学というものが設置をせられたのでありますが、昨年の国会でこの学園法案が成立をいたしましたし、また昨年電波法改正も一部行われました。そういう後を受けて、今回またここに電波法の一部改正あるいは放送法の一部改正という形で法の改正案が出てまいっております。  そういう法改正の動きを眺めて、なお今日私ども非常に重い責任を感じますのは、振り返ってみますると、大分前になりまするが、昭和四十一年にあの放送電波法制の根本的な改正案が国会に提案をせられましたが、残念ながらこれが審議未了で流れてしまったという経過、その状態はずっと今日まで続いておるわけなんですが、あの当時を振り返ると、電波・放送法改正問題について非常な長い間の準備をしながら、郵政省が法案を昭和四十一年に提出をしてまいりました。例の臨時放送法制調査会というものを昭和三十七年に設けて、二年間かかって答申をつくり、三十九年に答申がなされました。さらにまた、その答申を受けて約二年間にわたって検討を加えた結果、政府案として四十一年に国会に出してまいった。すなわち、調査会を設けて検討を始めて、国会に出してまいりますまで約五年近い年月を経過して出してまいった。そういう経過にもかかわらず、法案の結果は、いま申し上げましたように、審議未了、廃案ということに終わったわけであります。したがって、当時の法改正を根本的に行わなければならぬという必要性は、今日なお現に残っておると私は思うのです。  いま、最近の動きをちょっと申し上げましたが、根本的な改正そのものはなされないまま今日に至っておるわけなんですが、十数年前になるわけでありますが、当時のそういった必要性、緊急性という事態は、一体今日いささかでも解消しつつあるのでしょうかどうでしょうか。その点ひとつ、電波監理局長でも結構ですが、お答え願いたいと思います。
  29. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生から詳しく過去の経緯と申しますか、電波・放送法抜本的改正につきましての経緯をお聞かせいただいたわけでございますが、非常に長年月をかけまして、十分な検討を経た後出したわけでございますが、審議未了、廃案という形になったわけでございます。  その後におきましても、事あるごとにと申しますか、この委員会におきまして、抜本的改正についてはどうなったかというようなことで御審議もいただいておりますし、その都度、私ども鋭意検討を続けておりますということで、郵政省といたしましては、その改正案に関します関係方面からの御意見が非常に多岐にわたっておる、それからその検討段階におきまして、放送衛星とか多重の問題とか、あるいは既存放送秩序に影響を与えるような新しい問題も出てきた。そうしたものの行方もなかなか定着しないということもございますし、また、事が言論の自由ということにかかわるということで、国民的合意と申しますか、御賛成をいただくことが非常にむずかしい。三人の方に御意見を聞くと、三人とも三様のお答えが返ってくるというような非常にむずかしい問題がございまして、今日までに至ったということでございます。  そして、今国会に出しておりますのは、御高承のとおり、まず新しいテレビジョン多重放送の実用化、特に難聴者等の不自由におこたえ申し上げたいというための、多重放送の新しい技術の発展を還元するための規定整備と、外国人等に株式を取得された場合の放送局をガードするための措置、及び電波法でございますけれども、外国公館に無線局を開設する、あるいは市民ラジオ無線局の免許制の廃止ということで、これはいずれも当面非常に緊急を要し、また、こうしたものにつきましては御賛成が得やすい形で私どもまとめたつもりでございまして、その辺をひとつ御考察の上、御審議をお願い申し上げる次第でございます。
  30. 久保等

    ○久保委員 だから、私のお尋ねしているのは、四十一年に法案を出したその当時の解決をしなければならぬという問題はやはり現在相変わらず存続しておるかどうか、ひとつ確認したいと思うのですが、その点を……。
  31. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 失礼いたしました。その当時、十九項目ぐらいですか、かなりの項目にわたっての審議あるいは御提案をしたわけですけれども、いずれもすべてやはり検討を続けるべき問題であるというふうに考えております。
  32. 久保等

    ○久保委員 電波監理局長から、いろいろその衝にあって苦労しておるという状況が、お話があったと思うのです。われわれも、この電波・放送が言論機関の一翼を担う非常に重要な問題でありますから、そういう点では、一〇〇%国民が、ある一つの結論が出た場合に全会一致で賛成だということになかなかならない性格のものです。ところで、それだけに審議をするにしても扱い方が問題だと思うのですね。要するに、密室でもって議論して、にわかにそれが法案として提案をされてまいったということでは、なかなかこれは納得できないと思うのですね。私は、その点について、やはり先般の放送大学学園法案の扱い方の問題についてもその点があるのですが、十年もかかって文教関係の諸君は非常に検討検討を重ねておりました。もちろん郵政省の担当官も参加して検討しておりました。しかし、われわれ自体は、どういう経過になっておるのか、全然この委員会でもって説明せられたこともない、報告されたこともない。そういう中で文教委員会にあの法案が出てまいった。十年間かかったというけれども、じゃ、議論を本当にオープンで徹底的にやったかということになると、論議らしい論議はしていません。そういうやり方では、私は百年河清を待つようなものだと思うのです。  それで、先ほどもちょっと申し上げましたが、臨時放送法制調査会、こういったものが前回つくられたのですが、そういったところで十分に議論をしていくならば、そういう議論の中で国民のいろいろある意見も反映されると思うのです。だから、そういう方法を講じながら検討していかなければ、ただ電波監理局長の箱の中へ未決事項みたいな形でしまい込んで、そこで担当官が集まって何年議論してみたところで結論は出ません。だから、権威のある調査会をつくって、そういったところで十分に議論をする、したがって、国民の意見も十分聴取する、そういうオープンに議論に議論を重ねた結果、出てきた結論であるならば、一〇〇%納得できなくても、ある一部の反対をしておられる方々でも納得すると私は思うのですね。だから、そういう中で議論をしていくことが、この種の問題を扱う場合には特に重要じゃないかと思うのです。そのことは、きょう始まったことじゃないので、私、前々から申し上げているのですが、一向に調査会らしいものもつくらない。そのときそのとき必要なことについて研究会か何かといった小ぢんまりしたものをちょっとつくってやられているのですが、これは、当面する問題を片づけなければならぬことはわかりますし、どんどん当面する問題は当面する問題としてやってもらいたいと思うのです。しかし、根本的な大きな問題は問題として、やはりこれはこれなりの対応の仕方をして、私は、検討し、早急に結論を見出す、こういうことでなければならぬと思うのですが、そういう点で、いま電波監理局長が、四十一年当時の問題はそのまま現在現存をし、なおそのことについて検討しているというお話ですから、私はぜひ、いま申し上げたような立場で、検討するにしても、検討する方法について早急にひとつ考え方をまとめて、第二臨放調的なものを——臨調じゃありません、第二臨放調というようなものでもつくって検討されるように、ぜひひとつ要請をしておきますが、大臣の方から一言、私のいま申し上げたことについて、イエスかノーかの簡単なお答えを願いたいと思うのです。
  33. 箕輪登

    箕輪国務大臣 四十一年来今日まで何にもしてないのではなくて、ずいぶん苦悩をしながら検討してきました。ただいま先生お話をお伺いしまして、非常に貴重な意見だと思います。前向きに検討してみたいと思います。
  34. 久保等

    ○久保委員 それでは、その問題はそういうことでお願いするとして、今度は電波審議会の問題について若干、きょうは会長にもおいでいただいておりますのでお答えを願いたいと思うのですが、この電波審議会は、電波法の中にも規定せられておりますように、非常に重要な電波・放送行政の機関だと思います。  そこで、郵政省の方にお尋ねしたいと思うのですが、この電波審議会というものは一体どういう性格のものか。運輸省には運輸審議会といったようなものもございます。しかし、この電波審議会は非常に重要な任務を持った、また非常に権威のある機関だと思うのですが、性格はどういうものか、ひとつ簡単にお答え願いたいと思います。
  35. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 私ども電波・放送行政を進めていく上におきまして、この電波監理審議会に、公平かつ能率的な運営を確保するという観点から私どもの電波・放送行政が行われているかどうか、その辺の御審議を、調査研究して御審議いただくという立場で設けられたものでございまして、郵政省といたしましては、これまでも、電波法放送法によりまして諮問を義務づけられた事項は当然のことでございますけれども、そのほか任意諮問事項につきましても、たとえば放送用周波数割当計画、あるいは放送局免許方針等々、電波・放送行政の基本的な方針につきまして審議会に御諮問申し上げて、その御答申を受けて行政を行ってきたというふうに考えておる次第でございます。
  36. 久保等

    ○久保委員 この審議会の具体的な今日までの運営状況について少しお尋ねしたいと思うのですが、いま言われたような問題について審議会に諮問を郵政大臣が行ったり、あるいはまた、審議会自体も勧告権を持っておるわけでして、単に必要的諮問事項のみならず、電波・放送行政全般についていろいろ貴重な御意見を出されることはもちろんのこと、大臣に対して勧告を行うこともできる、あるいはまた大臣の決定に対して不服を申し立てたものについてこれを審議し審査を行う、いわばその点では行政処分に対する審査権、いわば裁判官的な要素を持ったような任務もある。そういう点では、私は、単なる諮問機関ではない、非常に大事な機関だと思います。したがって、審議会の委員の方々は、国会の両院の同意を要することになっておりますし、その上で内閣が任命をする。任命手続にいたしましても、そういう最高の権威のある扱いをいたしております。  そういう点を考えますると、非常に大変な責任と、また任務を持っておられるわけなんですが、この審議会がどんなふうに運営せられておるか、開催の回数だとかあるいはまた審議件数、あるいは不服申し立て案件がどの程度あるのか、ある程度年限を区切って、そう古い問題については結構ですから、最近の模様等についてお答えを願いたいと思うのです。
  37. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 電波監理審議会の開催状況でございますが、過去五年間においてでございますが、毎年十一回ないし十二回、あるいは十三回と、月に一回はやっているということであります。ただ、五十六年は非常に多うございまして、十六回やっております。五十二年十一回、五十三年十三回、五十四年十二回、五十五年十二回、五十六年十六回、こういうようなことになっております。  先生方の御出席いただく状況でございますけれども、定員は五名の先生方でございますけれども、ほとんどが五名出ていただいております。昭和五十五年一回だけ四名のことがございます。五十六年は十六回全部の五人の方々に出ていただいております。五十四年が五回ばかり四名のことがございます。五十五、五十六年につきましては、ただ一度だけ四名の先生、お一人欠席なさったことが一回ある、こういうことでございます。  次に、異議申し立て付議件数でございますが、昭和五十二年一月から五十六年十二月までの五年間につきまして五件でございます。  それから、大臣に対する勧告の件数でございますけれども、四十七年一月から五十六年十二月までの十年間なしということになっております。  以上でございます。
  38. 久保等

    ○久保委員 それから、電波法の九十九条の十二というのがあるのですが、ここに聴聞を行わなければならぬという規定があって、必要的諮問事項のうちほとんど大半のものについて聴聞を行うことになっておるのです。私はその資料の要求はいたしませんでしたが、聴聞の回数も相当多いのだろうと思うのですが、ここ二、三年、年間当たりどのくらい聴聞会みたいなものをやっているのか、ちょっとお答えいただきたいと思います。
  39. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 手元に資料がありませんので、私のうろ覚えの記憶で一応この場でお答えいたしまして、あと正確な回数につきましては後刻お届け申したいというふうに考えております。  年に四、五回ぐらいはあるように思います。省令の改正とか、あるいは昨年あたり電波法改正もいたしましたし、それに伴います諸般の省令、また利害関係者から御意見を聞く、いま申しましたのは正式に聴聞会という形でございますが、チャンネルプラン等を発表いたしましたときに関係者の打合会というような形のものもかなりあるわけでございます。いずれにいたしましても、正確な数字につきましては後刻申し上げたい、年に四、五回程度はあるというふうに御理解いただきたいと思います。
  40. 久保等

    ○久保委員 ちょっと条文を見てください。電波法九十九条の十一、これは「必要的諮問事項」ということで、審議会に諮問する事項がずっと並べられておるのですが、ずいぶんいろいろ具体的に項目を挙げております。その後を受けて九十九条の十二のところで、「前条第一項第一号」、これは項目として一番多いのですが、「第一号及び第二号の規定により諮問を受けた場合には、聴聞を行わなければならない。」となっておるのですが、四、五件程度。それならば、結局、審議会に郵政大臣の方で諮問をした事項はこの一号、二号の案件についてわずかに数件程度しかなかったということになりますか。
  41. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答え申し上げます。  四、五回というのは、聴聞といいますか、審理官を指名していただきまして、その審理官に正副といいますか、主任審理官と補佐審理官というものを御指名いただきまして、電波監理審議会の方から利害関係者等の意見を聞きなさいというようなテーマで聴聞にかけたわけでございまして、聴聞が終わりますと、その審理官がその意見書を電波監理審議会の方にお出しするという形でございますが、いまの回数につきましては、先ほどちょっとお断りいたしましたように、数字といたしましては非常に大幅に違うかもしれませんし、いずれにしても、私の理解といたしましては、聴聞にかけるべきものはちゃんと全部かけておるとはっきりと申し上げられると思っております。
  42. 久保等

    ○久保委員 この条文から見ますと、ほとんど聴聞にかけなければならぬようなことにもなるのじゃないかと思われるほど、九十九条の十一の一項一号、二号は項目が非常に多いわけなんですけれども、しかし、いま言うように聴聞にかける案件がわずか数件というのは、私もちょっと理解に苦しむのですが、何か後ろの方でそうじゃないようなことも言っておるようですから、打ち合わせしてひとつ明確に答えてもらいたいと思います。
  43. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 どうも申しわけございません。「必要的諮問事項」といたしまして、第九十九条の十一、一号、二号につきまして掲げてある項目は多うございますけれども、そういう事態が発生することは余りございませんで、毎回のようにかけていただく件数の非常に多いものは三号でございます。無線局の予備免許等々に関連するもの、特に放送局の予備免許等は一つ一つ御諮問申し上げているわけでございます。そうして、省令等の改正につきましても、関係のたとえば設備規則と運用規則というようなものが同時に案件としてかけられる、お互いに関連しておるというようなことで、いずれにしましても、先生は、やるべきことはやっておるのか、回数が少ないのではないかという御指摘でございましたらば、そういうことは決してございませんと申し上げたいと思っております。
  44. 久保等

    ○久保委員 そういうことからすると、やはりこの条文も何か整理をしなければならぬような——一項あたりに非常に並べて書いてありますが、本来なら、大体こういう規定の仕方自体もどうかと思うので、重要事項を幾つか並べて書くもので、これは非常に細かく規定しているのです。しかし、いま言ったように聴聞にもかけない程度のことを、何かえらい仰々しくずらっと並べて書いているのですが、これも率直に言って、それこそ法改正というような場合の問題になるのじゃないですか。実際いまのような運用をされておるとすると、一項のごときは条文の約半分近く、半分近くではなくてほとんどを占めるくらい規定が並んでおるのですが、ほとんど聴聞にもかけない程度のことをこれだけ仰々しく羅列する必要があるのかという感じもします。  それはそれとして、先ほど電波監理局長の御答弁お話があったように、電波監理審議会の開催がここ数年来、昭和五十二年から五十三年を考えますと、五十二年の九十三件から五十三年は百二十四件とふえておりますが、さらに五十四年では八百八十二件、五十五年になりますと千四百三十三件、昨年、五十六年が二百六十九件と、これはまたちょっと少なくなっています。  そこで、資料をちょうだいして拝見をしたのですが、この一つ一つを申し上げることは省略をいたしますが、一昨年ですが、昭和五十五年は千四百三十三件。毎月大体一回開かれ、この年開かれたのは三月が二回、そして八月がありませんからこれで大体十二回。この審議時間をちょっと私、資料で拝見したのですが、その一日はきわめて短時間で終わっているわけでして、一時間あるいは多いときで三時間半ですが、三時間半というのはほとんどないようです。五十五年の場合を申し上げますと、一時間ないし三時間三十分、この時間を全部トータルをしてみますと、五十五年の一年間でちょうど二十四時間なんですが、大体そういうことですか。
  45. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 私の記憶ではもう少し長いのではないか、もう少しと申しますと、普通、定例的に毎月ほとんどが第三金曜日に行われておるわけでございます。それで、非常にお忙しい先生方でございますので、定例的に曜日を決めて、午後二時から午後五時というのがほとんどでございます。それ以上に時間が短いことはめったになかったと私は思っております。したがいまして、通常三時間、それに十二を掛けまして三十六時間、十三回あったときは三十九時間、それと一、二時間の差しかないというふうに私は記憶しております。
  46. 久保等

    ○久保委員 監理局長の記憶よりも、ここへ資料をもらったその資料を計算しておるのですから、これはこの記録の方が正しいんじゃないかと思うのですがね。トータルすると、とにかく五十五年一年間千四百三十三件を片づけるのに正味二十四時間。これを時間で割ってみますと一件一分なんですな。そういう形での審議というものは一体本当に審議がされて——会長を目の前に置いてそういう質問をするのは私はなはだ恐縮に存じますが、しかしこれも数字に基づいての話ですから。千四百三十三件で、どういう簡単な案件であるにしろ、一件一分では十分に検討し議論をできる時間がないんじゃないかと思うのですが、もし事務当局で非常に整理をして、もう議論の余地のないような形で出しておるのじゃないかという、善意に解釈してそういうふうにも解釈できるのですが、それにしても、一分というのは、これはどう考えてもちょっとまさに神わざのような審議ぶりじゃないかと思うのです。こういう点どうなんでしょうか、私の言っている点が少し何か誇大に言っておるとすると問題ですし、会長もおられるわけですから、ぜひひとつ……。
  47. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 どうももたもたして申しわけないのですけれども、第九十九条の十一の第二項に、「前項第三号に掲げる事項のうち、電波監理審議会が軽微なものと認めるものについては、郵政大臣は、電波監理審議会に諮問しないで措置をすることができる。」というような形のものもあるわけでございますけれども、いわゆる音声多重等をやります場合の申請書等についても、一つ一つ件数としては挙げておるわけでございます。ただ、内容についてはほとんど同じでございますので、件数としては数えておりますけれども、特に説明を要し、先生方の、新しい問題あるいは非常に基本的な問題を含んでおるという形で御説明申し上げ、御理解を得る必要のないもの、逆に申しますと、そうした案件につきましては、事前に担当官が一人一人先生方のところにお邪魔いたしまして十分に御趣旨の説明も申し上げる、そういうような形で、やはり千件という中におきましても、大多数のものにつきましては、諮問すべき事項としては掲げられておりますけれども、同じような判断で処理できるというものについては、それほど御審議いただく必要はない。私、出席しておりまして非常に長時間に感ずる次第でございます。
  48. 久保等

    ○久保委員 非常に政治的な答弁で、しかも非常に弾力的な答弁で、非常にふくらんだような話ですが、しかし、とにかく、先ほど来申し上げますように、数字ではそうなっておるわけですし、審議会が単に諮問にイエスかノーかを答えるアンケート式のような形でもって審議をすればいいという性格のものなら、これはもうそういったいま局長答弁のようなこともあり得ると思うのですけれども、しかし、やはり事は電波・放送に関する行政的な立場でいろいろ将来の展望を考え、また、今日の現状等をいろいろ分析をしながら議論をする、審議をするということになってまいりますると、それこそ一日だけで議論しても議論がなかなか尽きないというようなこともあり得ると私は思うのですね。したがって、きわめて事務的にイエスかノーだけ答えるような程度に何か問題を提起して審議をお願いするということであれば、相当能率的な審議もできると思うのです。しかし、私がいま申し上げたように、一件一分は、どう計算をしてみても、率直に言ってこれは普通の、とにかく常人の人間わざではできないことですから。したがって、運営そのものについて私別に先入観を持ってどうこう申し上げるわけではないのです。私も実はこの資料を拝見して驚いた気持ちです。  だから、問題は、やはり審議会そのものを本当にあの電波法に規定をせられておるその目的、使命というものを果たしてまいるという立場から運営をするならば運営をするようなことに考え直さなければならぬと私は思うのですね。それは、率直に申し上げて、各委員の方々がせっかく非常にお忙しい中を出席をされるのですが、これに対して何らの報酬を出されてない。何らのと言っては語弊があるかもしれませんが、無報酬だというようなたてまえのような形になっておると思うのですね。運輸審議会なんかの場合には月額七、八十万円程度の報酬が出ております。したがって、朝十時から午後の四時過ぎぐらいまで、毎週二回ぐらいその間に審議会をやっておるようです。もちろん仕事の中身によって違いますから、何も運輸審議会に右へならえすべきだということを私は画一的に申し上げようとは思っておりません。しかし、少なくとも電波・放送行政がそんなになまやさしい行政ではないと私は思いますね。先ほど堅頭にも申し上げましたように、根本的な法改正をしなければならぬという問題が十五、六年もたなざらしになっておるような姿。しかし今日、日々技術革新等に伴ってあるいはまた国民のニーズ等が多様化してきて、どんどんその現状に何とか対応していこうということだけでも、まあ最近出てくる法律はそうであるし、またそのことは緊急性があるのですから、私は認めます。また、やらなくてはなりません。そのことはやらなくてはならぬけれども、昔の基本的な制度はそのままになっておるという問題なんかは、これは何としても早急に片づけなければならぬが、しかし、十数年かかって全然手がついてないのですから、大変な状態にいま置かれていると私は思うのですね。したがって、審議会を開いても余り議論することもないし問題がないなんという状態ではさらさらないと思うのですね。  そうだとすると、最高意思決定機関と言ってもいいような性格を持った審議会、メンバーの先生方も五名程度で適当かどうかということになると、私は、あるいは運輸審議会ではありませんけれども七名ぐらいにすることも必要じゃないかと思うし、そこで、高邁な知識と経験を持っておられる方々であるはずでありますから、したがって、十分に議論を時間をかけてやっていただくということで、電波審議会のあり方についても、私は、これまた法改正を伴う問題でもありましょうけれども、十分にひとつ早急にこういった問題について検討する必要があるのじゃないかというように思うのですが、これは大臣がまたおいでになったらちょっとお尋ねもしたいと思うのですが、電波監理局長はどんなふうにお考えになりますか。
  49. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 実は、いま私、三十三時間ないし三十六時間と、先生の言われる二十数時間というのとは、どうしてその差が出てきたのかと考えておりましたのですけれども、ちょっとその辺で訂正させていただきますが、やはり先生方においでいただきましていろいろ仕事の内容について、御拘束申し上げるといいますか、その時間は、私が申し上げましたように、二時には来ていただきまして五時まではおっていただくという形のはずでございます。ただ、思い出してみますと、電波局長が入る前に、ちょっと待てというようなことがよくございます。それは何かと言いますと、その日に審議されるあるいはその次に審議されます非常に重要な問題点につきまして根回し等もやるわけでございますが、正規の会議を始める前に、一時間なり三十分なりかけまして、いろいろ自由に御審議いただく。それは審理課が中心になってやっておるわけですが、いまその審理課がやっている時間は省きまして、正規の、私どもを入れまして会議ですよということでやる時間が二十数時間、そういうようなことであろうかと思います。先生方にいろいろ御説明申し上げまして、電波行政、放送行政の御理解をいただいておる。役所に来ていただいておる時間は三十六時間ないし三十三時間である。それから、お宅にお邪魔していろいろ聞いていただくというようなことも、特に重要な問題についてはやっておるわけでございます。その辺について十分に御理解をいただいた上で御判断いただくというふうなことで努力しておりますので、さっきの時間の差についてはそのようなことでひとつ御勘弁をお願いいたしたいというふうに思うわけでございます。(「肝心なことが……」と呼ぶ者あり)ちょっとその方を考えておりまして……。どうも申しわけございません。
  50. 久保等

    ○久保委員 時間は、私がトータルしたちょうど二十四時間と言ったのですが、それが仮に四十八時間になってみたところで一件二分ということですから、一分が二分になってもそう大して大きな問題じゃありません。  私がいまお聞きしたのは、したがって、電波監理審議会一つをとらえてみても、いま言ったような問題についてやはり根本的に見直しをする必要のある問題じゃないか、これは一つの例として、先ほど来ちょっと申し上げたことまた現在の運用状況等考えてですね。これは何も私単に怠慢とかなんとかという意味で言っているのじゃなくて、制度的に考えても少し無理があるのじゃないか。報酬も何も出さない。それで集まってもらったら——事務当局も大変だと思うのです。それを整理して、そして説明を、いま局長は根回しもすると言ったが、それも当然のことで、事前にいろいろ打ち合わせすることも必要でしょうし、何も会議場に出席だけしてイエスかノーだけ言えば、採決をするときの採決に加わるだけみたいな話ですから、そんなことでは問題の審議をしたとかいうことにならぬわけですし、したがって、運用もさることながら、根本的な制度そのものとしても、そういった点で、補強といいますか、強化充実をしていく必要があるのじゃないかというふうに考えているのですが、その点について、所管の電波監理局長としてはどう考えるか、こういう出題です。
  51. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 どうもありがとうございました。  私といたしましては、件数で割るというようなことはございますけれども、やはり既定の路線を変更するとか、あるいは説明を特に要する、前と違うというような電波・放送行政はやるべきではないわけでして、一貫した行政をやっておる、そうしたことで特に御理解を得、あるいは御審議をして問題だということがあれば、やはりそれなりの時間もかけなければいけないわけですけれども、その辺、電波行政、件数としては非常に多いわけですけれども、既定のちゃんとした行政なり一貫した方針でやらせていただいておりますので、結果的には、そうした件数で割りますと一件で一分あるいは二分、こういうようなことになるのではないかというように思っております。繰り返しますと、私どもとしては、大臣がおやりになる場合に御諮問申すべきこと、それについての十分な御理解というものは、私どもの努力も含めまして十分御理解いただいておるというふうに考えておる次第でございます。
  52. 久保等

    ○久保委員 局長そうもっぱら防戦に努めないで、法改正の必要もあるし、見直す必要があるのじゃないかと言っているのですから、いや、自分としても、電波監理局長といったって何もオールマイティーじゃないのですからね、したがって、確かにそういう必要性があると言って、ざっくばらんにそれこそ答えてもらえればいいのでして、何とか防戦をしようと努められることは、余りそう無理をする必要はないと思うのです。  それで、具体的にお尋ねしますけれども大臣に対する勧告件数というものは、この制度が設けられてから一遍もないのですか。この十年間のことだけについては、資料を出してもらったら、勧告件数は一件もない、こういうふうになっているのです。が、しかし、いま非常に大きな問題をいろいろ抱えているわけでしょう。そこで、たとえば今度出た放送法電波法改正問題、これは一体審議会では議論したことがあるのですかないのですか、それから、こういうものはかけているのですかかけていないのですか。
  53. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 必要的諮問事項ということにはなっておりませんけれども、非常に重要なものであり、当然こういうものにつきましては御説明申し上げて御理解をいただいておるわけでございます。  それから、現在の電波監理審議会というものは非常に理想的に動いておるというふうに私自身思っておりますので、そのように申し上げたわけでございます。  それから、お金の点については、私は幾らお払いしておるのか知りませんけれども、ごくわずかながらお車代に相当するものはお払いしていると思っております。
  54. 久保等

    ○久保委員 ですから、それならこの放送法電波法改正問題について一体いつ審議会に説明をしたのか、それからまた、あれだけ二年間にわたって例の放送大学学園法案をめぐっての放送法改正問題について、われわれも非常に審議の場、すなわちこの逓信委員会で徹底的にひとつ議論するような形で法案の提案も願いたいというようなことでお願いしたのですが、そうはならなくて、文教委員会で連合審査だけやって、十分な審議もできなかった。しかし、とにかく、廃案にもなるような経過があって、足かけ三年かかりましたか、かかって、やっと昨年放送大学学園法案が国会を通過、成立いたしました。ああいった問題なんか、なるほど必要的諮問事項の中には字としては載っていないかもしれないけれども電波監理審議会にはかけない、あるいはそこでは御論議願わないのだというようなことで運営しているとすると、これまた、まことに電波監理審議会自体の運営について私は根本的に反省を要するのじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  55. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 勧告の件で少し補足の形になりますけれども、勧告の例があるかということでありますが、昭和二十七年と昭和二十九年にその勧告の実例がございます。二十九年の件は、小電力標準放送周波数割り当て計画の樹立について、それから二十七年につきましては、京浜地区における残余のテレビ申請に対する措置について諮問すること、この二件の勧告の実例があるそうでございます。ただいま審理課長の方から報告を受けたわけでございます。  それから、審議会の委員の先生方の手当という言葉をつけておりますけれども、ここに資料はございます。  それで、監理審議会のあり方につきましてどうかということでございますけれども、私どもそのあるべき姿について一生懸命努力しておりまして、私自身考えてみまして、非常によく運営していただいておりますし、郵政省としてもその審議会の立場尊重して運営に努力しておるというふうに考えておる次第でございます。
  56. 久保等

    ○久保委員 私の質問に答えていないですね。それでよくやっているよくやっていると自画自賛してみても、これは全然通じません。  いま私がお尋ねしているのは、例の放送大学学園法案の問題に関連する放送法の一部改正、あるいはまた、今回出されておる放送法あるいは電波法改正等の問題について、電波審議会に一体かけているのかかけていないのか。かけると言っても、何も審議会の議決を経なければならないとかというふうに運営するかどうかも問題があると思うのですが、いずれにしても、こういった問題を審議会にかけて十分に議論を願うというようなことを、これも事務的にただ一回だけ、今度法律案を出しますからといってやる程度じゃ、これはかけたことになりませんよ。本当に議論をしていただく、審議をしていただくという形の運営を、せっかくできている電波監理審議会というものはそういうことのためだろうと思うのですよ。そうでなければ、勧告するとかということになると、よほど電波・放送行政について通暁し、それから相当それに対する見解をお持ちにならないと、とてもじゃないが勧告なんかできないはずですよ。それがためには、単に必要的事項、さっきもお聞きしたら、条文としてはたくさん並んでいるけれども、それは別に聴聞会にもかけないんだ、聴聞もやらないんだという程度の項目ばかりずらっと並んでいる。そういった問題だけについては忠実に機能していると思いますし、一生懸命でやっていると思いますなんといって答弁してみたって、問題は、条文に字句の表現の上にはないにしても、少なくとも勧告権を持っておるような審議会に対しては、重要な問題については当然報告もしあるいは御議論を願うという運用をしなければ、審議会そのものが本当にそれこそ活力のある運営はできませんよ。だから、そのことをお聞きしているのですよ。私のお聞きしているのは、事実をお答え願えればいいのですよ。要するに、こういう問題についてかけているのかかけていないのか。
  57. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 御説明もし、それなりの御議論もいただいておるというふうに私は理解しております。特に今度の放送法電波法につきましては、私自身も出席いたしまして御説明し、若干の御議論をいただいたと記憶いたしております。
  58. 久保等

    ○久保委員 この法案については田中局長が提案趣旨の説明も行ったり、いろいろ苦労して仕上げた改正案だろうと思うのですが、そういう点からいくと、今度の放送法改正法については、それではいつ審議会でそういった説明をせられたのですか。ちょっと思い出すなりメモを見るなりして御説明願えますか。
  59. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 正確な記録については当然記録があるわけでございますが、いま手持ちにありませんけれども、三月に二回監理審議会が開かれておりますが、三十一日とその前は五日ですか、三月の五日に御説明申し上げております。これは案が固まった段階において御説明申し上げておるということでございます。
  60. 久保等

    ○久保委員 御説明申し上げたというお話ですから、御説明になったのだろうと思うのです。  会長がここにおいでになりますので、ちょっとお尋ねしたいと思うのですが、こういう案件についてそういう説明をお聞きになったのだと思うのですけれども、委員の間で十分に御議論等おやりになりましたですか。
  61. 菊池稔

    ○菊池参考人 お答えいたします。  電波法放送法改正案につきましては、省側から説明がございまして、それについてわれわれもちろん質問もし、主として理解をするための質問でございますが、意見としては、私どもの理解する限りでは社会情勢の変化とか、行政はなるべく簡素化した方がいいというふうな見地、それから国際的な関連から起こってくる問題もありますし、すべてそういう客観的な条件から改正が必要になってきたというふうに理解しておりまして、そういう改正案がおかしいではないかとか、もっとこうすべきでないかという積極的な意見と申しますか、というものは正直なところは出しておりません。
  62. 久保等

    ○久保委員 菊池会長は、会長に御就任になったのは比較的最近のようですが、委員はすでに五年前後おやりになっているのじゃないかと思うのです。先ほどちょっと私問題にしましたが、放送大学学園法に関連する例の放送法の一部改正、これは放送法の中に一条一章設けたのですけれども、この問題は足かけ三年国会での議論の結果、私どもはどうも納得できないということであったのですが、とにかく文教委員会で可決をし、さらに参議院を通過して成立したのです。そういうふうに二年、三年にわたって国会でも非常に議論になったのですが、さらにさかのぼれば、約十年間にわたって郵政省、文部省の間でもいろいろ議論を重ねておったようですが、こういった問題等については電波監理審議会でもやはり御議論になられた経過がございますか。そういう議論というごとじゃなくて、これもまた当時説明を聞いたという程度だったのでしょうか。ちょっとお答え願いたいと思うのです。
  63. 菊池稔

    ○菊池参考人 お答えいたします。  放送大学問題については、いま先生からお話がありましたように、数年前から出ておるということ、われわれとしても、個人ということでございましょうか、マスコミ等を通じて承知はいたしておりました。しかし、電波監理審議会においてこの放送大学法案の説明を受けたのはずっと後のことでございまして、去年のいつごろかはっきり覚えておりません、たしか去年だったと思いますがあるいはその前の年でしたか、ちょっと記憶が定かでございませんけれども、経過並びにその目的というふうなものについては説明を受けましたですけれども、これも正直申し上げて、そういうことの可否についての意見、つまり反対的な意見については申し上げたことはございません。ただ、それを、何といいますか、承知したということでございます。
  64. 久保等

    ○久保委員 本来この種の問題については、せっかく国会のわれわれ両院で同意を与えて任命をするといったような重みのある電波監理審議会の委員、こういったものが、法制上ももちろんこの非常にたくさんの条章で規定をせられておるような制度の電波監理審議会、こういうものについての運用が、私は、やはりもう少し法に定められたあるいはまた法の精神、そういったものを十分に尊重して運用されなければならぬと思うのですね。どの道を選ぶべきかというようなことで事務当局は非常に苦労しておることは私どもはよく知っていますし、特に免許問題をめぐっても、混乱といってもいいほど大変な申請者が出るといったような状態の中にあって、電波監理審議会そのものもだからもう少し機能しなければならぬし、それがためには法改正も必要だと思うのです。その点、菊池会長は実際お携わりになっておって、現在のこういった運営についてやはりもう少し審議会そのものの強化なり充実を図る必要があるというふうにお考えになられますか、どうですか。現行の法律制度の面から言っても何か不十分なような感じがしますが、どんなふうにお考えになりますか。先ほど局長は、えらいうまくいっている、こう言っているのですけれども、どこがうまくいっているのかよくわからないのですが、私はうまくいくような仕組みにも余りなってないのではないかと思うし、非常に煩瑣で非常に繁忙であることは私は十二分にわかっているわけです。したがって、電波監理局自体も人手なり陣容なりそういったものも現在でいいとは思わないし、むしろ、今日こういう状態にありますことは、現在のような状態にありますことは、振り返ってみると、今度のいまの臨調との関係では少し話が逆になるのですけれども、電波行政についてもどんどん人減らしをやっていくというようなことでどうにもならなくなって、例の認可問題をきわめて簡素にやるとか、今度は市民ラジオ無線局の免許はもうやめてしまうというようなことにもしているのですが、そういうことで切り捨てていくというようなかっこうでどうにかその場その場をしのいできているという感じがするわけでして、そういう点では、電波放送行政についての十分な陣容なり組織そのものができてない、私はこういうようにも判断するわけです。  そういう問題はそういう問題としてありますが、とにかく、現状についていろいろ不備というか不十分な点が多いと思うのですけれども電波監理審議会の会長さんとして何か御所見がございますか。
  65. 菊池稔

    ○菊池参考人 電波監理行政といいますものは、非常に技術的、専門的な行政分野でございます。そこで、電波監理審議会といたしましても、この案件に対する調査、審議に対しては非常に勉強しなければいかぬ。われわれ必要な情報と知識を——もともと委員の方々にはいろいろなバックグラウンドがあるわけでございますが、私個人について言えば、もともとそういう専門知識があるわけではないわけでございまして、そういう情報や知識を得るのに非常に勉強しなければいかぬと思っておりますが、そういう勉強を踏まえて、審議に当たっては慎重に対処していきたいと思います。また、そういうふうにやっているつもりでございますけれども、現時点におきましては、まあまあ電波監理審議会のあり方としては、大変個人的な言い方でございますけれども、こんなものではないか、まあまあおおむねうまく運営されているのではないか、こういうふうに考えております。
  66. 久保等

    ○久保委員 どうもそこらあたりは納得できないのですが、会長さんの立場で余り文句も言えないからということだろうと思うのですけれども、率直に申し上げて、先ほど来、私が会長さんなりあるいは特定の方々に対してどうこう批判的なことを申し上げているわけではさらさらないのですが、制度上非常な欠陥があるだろうと私は率直に言って思っているのです。審議会そのものが、先ほど申し上げたように、とにかく運営そのものについても、私は十分だとは言えないと思うのですね。  この技術的な問題は非常にむずかしい問題がありますから、その問題はその問題として、御承知のように、電波技術審議会というものがありますししますから、それはそれなりにまた審議会でやってもらうとして、大所高所から電波・放送行政について、私はやはり、高い指導性と申しますかあるいはまた判断力と申しますか、そういった立場で、ぜひひとつ、電波行政の誤りない運営ができまするように御尽力をいただかなければならぬと思うのですね。  それがためには、根本的に法律改正も必要でしょうし、それから運営についても、私は、もう少しやはり、最近の言葉で言う活力ある運営をしていく必要があるのではないか。これは率直に申し上げて、先ほどもいろいろ局長の方から弁解がましい答弁があったのですけれども、一件一分や二分で、どう釈明をしようと、私は十分な議論をしてなにしたことにはならぬと思うのですね。もちろん、これは純粋にテーブルについての審議期間だけで、きわめて短時間の数字だと思うのですけれども、それにしても、とにかく一分や二分なんかで一案件片づけられるというようなことではさらさらないと思うのです。そういった点について、ぜひひとつ今後の運営の問題についてお考えを願いたい。  と同時に、報酬等の問題がありましたが、それはいま一カ月に一回ぐらいしか開かれないその会議に出たからといって、一万円から二万円出して、それが若干の報酬だなどという考え方にも、これはまた、常識でいって報酬が出ておるとはちょっと言えないと思うのでして、そういった点も、私はやはり制度上きちっとすべきではないかと思っているのです。これは電電公社の経営委員会についても前々から言っておるのですが、これは報酬をもらってはならぬ、支給してはならぬとなって禁止をしております。したがってできないのですが、これも考えてみると、経営委員会というものに負わせておる任務からいったら、私はやはり堂々と、きちっとした報酬は支給すべきだと思います。  それから、電波監理審議会の場合、これは禁止規定はないわけなんです。電電公社のように禁止規定はないわけですから、私は出そうと思えば出せないこともないのじゃないか。ただ、明確な報酬を出すという積極的な規定がない。だから、こういったこともまた、法改正の場合に十分に考慮する大事な問題だと私は思うのですね。報酬の話をすると何か余りきれいな話でないようなことを言いますけれども、出すべきものはきちっと出さなければ、とてもじゃないですが、非常にお忙しい方々が時間を割いて御出席になるということもできないと思いますし、時と場合によっては兼職禁止ということにせざるを得ないと思うのですけれども、要するに、そういった制度上の問題は制度上の問題として、きちっと改善をすべきだと思うのです。  局長、余り弁解がましいことでなくて、私の質問に対して率直にひとつ大臣にかわったつもりで答弁してください。
  67. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 冒頭に先生から電波監理審議会はどういうものかという御質問がありましたわけで、私、電波・放送行政が公正に行われているかどうか、その辺の、担保するということから判断すべきであるというふうに考えますけれども、いま先生お話をいろいろお聞きしておりまして、先生審議会に対する期待するところというものを十分理解できたわけでございますけれども、私は、当初申し上げましたように、行政の公正を担保するという観点から現在の電波監理審議会は機能しておるのかどうなのか、そういう意味におきまして、私は、十分そのように御審議いただいておりますし、私どもいろいろ問題を御説明あるいは会を運営する場合にも、そういう観点から誠意を尽くしてやっておるというふうに理解しておりますので、そのようにお答えしたわけでございますけれども、ただいまの御審議で、先生審議会に対するお考えというものも非常にはっきりいたしましたので、将来の審議会のあり方というものにつきましては、ただいまの御提言を踏まえまして十分研究してまいりたい、このように考える次第でございます。
  68. 久保等

    ○久保委員 局長も大変な仕事をやりながらいろいろ苦労しておることは、そういった答弁の態度にもよくわかるのですが、しかし、非常に歯切れが悪い。もう少し積極的に、現行制度についてもやはり検討——先ほど申し上げたように、昭和四十一年以来の懸案問題の中の一つの具体的な例として私は申し上げているようなものですから、ぜひひとつ積極的な姿勢をとってもらいたいと思うのです。  大臣はおいでになりませんが、政務次官がおいでになりますので、先ほど来私は一時間前後にわたって、電波監理審議会をめぐる問題、あるいは電波・放送法改正問題をめぐる問題等で、ちょっと経過等も織りまぜながらいろいろお尋ねしたのですが、政務次官として、いま私がお尋ねしておることに対して、あるいはまた申し上げておることについて、どういうふうにお考えになりますか、ひとつ名答弁を期待いたします。
  69. 水平豊彦

    ○水平政府委員 お答えいたします。  先生のきわめて高邁な御理論を敬服して拝聴いたしておった次第でありますが、電波監理審議会というのは、電波監理委員会の流れを酌むものでございまして、御案内のとおり裁判権に相当するような権限を持っております。私どもはこれは普通裁判所と同格ではないかというふうな認識を持っておる次第でございまして、郵政省設置法に基づく他の審議会よりも——審議会はみんな権威がございますが、その中でも特に権威のある審議会として私どもは受けとめております。したがって、その中において審議される内容というのは、技術的にもそれから知識から見ましても非常に専門的なものでございますので、しっかりとした審議を、さらにいろいろな情報を集めて委員先生方の一層の努力を期待しておるのでございます。  私、いまお聞きしておりまして、報酬というものがすべてのものではないとは思いますけれども、しかし、それはもう一つの裏打ちといいますか、保証といいますか、手段といいますか、これは当然あってしかるべきだと思いました。私、お話を承っておって、すべてではないにいたしましても、十分裏打ちをされておらないというのは、何かしらんこれは申しわけないような気がいたしたのでございまして、間もなく大臣もこっちへお見えになると思いますが、早速私から申し添えて、そして先生に御満足いただけるような報酬の保証をいたしまして、十分御審議いただけるようにしたい。そしてまた、私どももしょっちゅう連絡をとり合って、欠点のないようにお互いが相互補てんをしてまいりたい、そんな気持ちでおります。
  70. 久保等

    ○久保委員 非常に心強い御答弁をいただいて結構です。  私、時間がほとんどなくなりましたが、次に、電波法あるいは放送法改正の中身について若干お尋ねしたいと思うのですが、ほんのわずかですから少し駆け足でもってお尋ねします。  電波法の一部改正については、行政事務の簡素合理化といったような立場で、市民ラジオの無線関係の問題につきましては大分簡素化するようですが、この市民ラジオの無線局についての免許を必要としないというふうにすることについての理由は何ですか、簡単にひとつお答え願いたいと思います。
  71. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答え申し上げます。  市民ラジオの無線局について今回大臣免許を要しないという措置をとったわけでございますけれども、従来は、他の無線局やあるいは家庭の電子機器に対する妨害の原因ともなるということで、技術基準への適合性を型式検定という形で確保する、そうしまして呼び出し名称を個別指定する、そうして登録させまして把握しておったわけですけれども、今回、市民ラジオの運用につきまして、行政簡素化等の立場も踏まえまして、無線局の周波数を固定し、電力を決め、特定し、また技術基準適合証明というような形で設備条件を確保することによって、行政の簡素化を図るとともに、電波行政の維持と申しますか、秩序の維持を図れるという形の措置をとったものでございます。
  72. 久保等

    ○久保委員 従来も微弱電波の無線局については免許は要らないということになっておったのですが、それとの違いは、これも技術的な問題なんですが、どういうことですか、簡単にひとつお答え願いたいと思うのです。
  73. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 微弱な電波については、先生いま御指摘のとおり、郵政省令の定めるところによりまして免許を要しない。これは技術的にもあるいは社会的な使用の形態を考えましても、実益も乏しいし、また無線局と言うにしては余りにもおもちゃ的であると申しますか、ワイヤレスマイクとか、あるいは模型機の無線操縦発信機、ラジコン等があるわけでございますけれども、具体的に無線局の秩序を維持するのに対しまして妨害を与える場合に秩序の中に入れるべきであろう、そうした枠にもひっかからないということでございます。  ただ、市民ラジオの場合につきましては、使っている周波数帯の近所に漁業無線もあり、また、倍長波の関係等につきましては、テレビにも混信を与えるチャンスがあるというようなことで、今回は周波数を指定し、電力を特定し、なお技術基準適合証明制度というようなものをかぶせることによって秩序が維持できるという形での簡素化を図った、こういうことでございます。
  74. 久保等

    ○久保委員 免許を必要としないということにするわけなんですが、しかし、電波監理上は秩序維持の問題で問題ない、そういうように判断をせられるわけですか。  なお、市民ラジオ無線局の局数をちょっとお答え願いたいと思いますし、それから、特に過去五年間にどういう増加状況になっておるのか、数字的にお答え願いたいと思います。
  75. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 五十二年度から五十六年度までの年度別五年間の免許状況を申し上げますと、五十二年度が四万九千百二十八局、五十三年度が四万三千五百五十七局、五十四年度が四万一千八百七十一局、五十五年度が三万六千六百二十六局、五十六年度が三万二千九百六十局というふうになっておりまして、平均して申し上げますと、年間約四千局程度減少しておるということになっております。
  76. 久保等

    ○久保委員 今後の電波監理上問題はないという判断でこういう措置をとったのだと思うのですが、いま五年間にわたって年々相当数の増加があるわけなんですけれども、逆に、免許を取り消すというか、そういった数字は余りありませんか。
  77. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 絶対数といたしましても、更新をしないというのがございまして減少しておるという数字が出ております。結局五年間いたしますと失効するわけですけれども、更新を申し込んでこないという形で、現在のところ二十七万局くらいですけれども、この在籍の登録数というものも減っておるというのが実情でございます。
  78. 久保等

    ○久保委員 次に、外国公館の無線局関係お尋ねしたいと思うのですが、今度の電波法の第五条の第二項に第五号というものを新設することになっておるわけです。この中に、「大使館、公使館又は領事館の公用に供する無線局」というふうになっておるわけです。この大使館、領事館等の公館の公用に供する無線局というのは、言葉としてはわかるのですけれども、実際問題として公用であるのかないのかということを一体どう区別できるのか、そこらを少し説明を願いたいと思うのです。
  79. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 大使館、公使館、領事館等の公用に供する無線局に免許を与えようということでございますが、公用と申しますと、その大使館等の公館が本国政府から業務として委託された仕事のことかと思います。具体的に、通信をするわけでございますが、その内容が実際に公用なのかどうなのかということにつきましては、外交上のことでもございますし、国際信義と申しますか、そうしたものに期待いたさざるを得ないというふうに考えております。
  80. 久保等

    ○久保委員 現実に外国公館でもって不法無線局の開設等を行っておるような事実はあるのですか、ないのですか。
  81. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 現在は外国公館に無線局を排除しているというか欠格事由に該当しておるわけでございまして、私どもの監視機関におきましてモニターと申しますか監視するわけでございますけれども、残念ながら数カ国の公館から電波の発信の事実があるということを把握しております。
  82. 久保等

    ○久保委員 その電波の発射地の把握ということはできないのですか。
  83. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 特定できております。
  84. 久保等

    ○久保委員 そういったことについては外交上の手続で当然反省を求める、そういったことそのものをやらせないように、私は手続は手続としてきちっとやって、しかも、電波秩序維持の上から毅然たる態度は態度としてとるべきだと思いますが、どうですか。そういったことはやっておられますか。
  85. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 仰せのとおりだと私どもも理解して、その旨、外務省等を通じて善処方申し込んでおるということでございます。
  86. 久保等

    ○久保委員 外務省はそれに対してどういう措置をとっているのですか。
  87. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 外交上の問題でございますので、その点私どもといたしましては、外務省の方に強く申し入れると同時に、定期的に監視を続けることになっております。ただ、外務省に申し入れた後どういう形で処理されているかについては、私どもとしてはちょっと明らかにする立場にはないと申しますか、そういうことでございます。
  88. 久保等

    ○久保委員 しかし、電波行政を預かる立場から言えば、きちっと結末をどうするかが問題なんで、手段として外務省をわずらわしてやらなければならぬ性格のものだろうと思いますが、最終的な結末について確認ができないような、ただ文句を言うように外務省の方に頼んだという程度では、実効が上がらないと思うのです。私も、実はそういう問題があるとは余り感じないでいまちょっとお尋ねしたら、いまのような現実にあるということであるならば、日本としてきちっと当該国に厳重に申し入れる、とにかく即刻やめてもらうということは当然やらなければならぬと思うのですけれども、外務省はどういう措置をとったかわかりませんというのじゃ、そんな態度はちょっと不本意じゃないですか。
  89. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 まことに遺憾でございますが、そういうことですが、幸いにして、いま御審議いただいている法案の御審議を終了させていただければ、そういう新しい立場についても、外務省を通じて公館に厳重に注意すると同時に、直ちに新しい体制での規制に入ってもらうと申しますか、申請なり何なりをやってもらいまして、秩序に入ってもらうように厳重に申し入れたいと考えております。
  90. 久保等

    ○久保委員 そういう面もあるでしょうが、同時に、逆にスパイ通信なんかを助長することにもつながる危険性もなしとしないのじゃないかという感じがするのですが、どうですか。
  91. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 今度の措置によりまして外国公館のスパイ活動等を助長することにならないかということでございますけれども、実は、わが国にあります外国公館、あるいは日本の外国における公館でも同じことかと思いますが、外国公館が日本の国内通信網あるいは国際通信網を使用することは自由にできるわけでございますし、そうした回線を使用いたしまして外国公館が行おうとする通信につきまして、変調器で暗号と申しますか、わからない言葉で送ることは現に可能でございます。これは日本が外国にあった場合でも同じことだと思います。また、外交官といたしましては、いわゆる外交関係に関しますウィーン条約というものによりまして、外交伝書使あるいは外交封印袋による通信が保障されておりますし、また税関等の検閲も受けないということが保障されているわけでございます。したがいまして、国際航空便等によりまして、いわゆる特別な情報の資料の交換あるいは本国への送達は自由になっておるわけでございます。したがいまして、今回の改正によりまして、それがスパイ通信というようなものを助長するかどうか、これは直接的には全然関係がないと申しますか、結びつかないものというふうに考えております。
  92. 久保等

    ○久保委員 それじゃ、時間がないですから、次にお尋ねをいたしますが、今度の放送法改正の中で、NHKもそれから民間放送もそうですが、災害時の場合の放送ということで、第四十五条の二の規定を設けることにいたしておりますが、この災害対策の問題については、NHKの場合を考えますと、現在NHKは、災害対策基本法の二条でいわゆる指定公共機関というものになっておるわけです。したがって、現行の制度のもとにおいても、災害対策基本法に基づいて、NHKは災害関係についての必要な放送等は行わなければならぬということが義務づけられておると思うのですが、今回、いま申し上げた条文を新しく設けて、やはり災害の場合における放送義務づけている。もちろん、これは民間の事業者についても準用規定がありますから当然適用せられるわけですが、NHKの場合はこの必要がないのではないかと思うのです。なぜあえてここにまた条文をつくってそういう義務づけを行ったのか、その点ひとつお答え願います。
  93. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 御指摘のとおり、NHKは災害対策基本法第二条によりまして指定公共機関となっており、都道府県知事の求めによりまして災害に関する放送を行うことになっておるわけでございますけれども、これは災害対策の一環として受動的な協力義務であるというふうに思うわけでございます。今度の放送法改正案で書きましたのは、放送事業者の自主的な判断で放送することによりまして、災害を未然に防ぎ、あるいは起こった際にも軽減するというような放送をしていただきたい。これは考え方といたしましては、放送が非常にそうした役に立つということと、貴重な電波を使っていただくという意味において、いわば社会的な責務と申しますか、そうしたもので掲げたわけでございまして、災害対策基本法における放送の協力義務とは趣旨が異なるというふうに私ども考えておるわけでございます。そうして、最近、災害に対する国民関心が非常に深いわけでございますし、また、そうした工夫と申しますか、技術的な進歩もあるといいますか、ただいま電波技術審議会の方で鋭意御検討いただいておるわけですけれども、そうした技術の進歩もあるということで掲げさしていただこう、こういうことでございます。
  94. 久保等

    ○久保委員 いま私が申し上げたように、災害対策基本法できちっと指定公共機関ということで指定をされておるだけに、ここであえてこういった規定を設ける必要はないのじゃないかということが言えると思うのです。そのことは同時に、なるほど災害対策という問題については、それが二重あるいは三重になろうとその必要性はあるわけですから、だれしも異論はないと思うのですが、ただ、こういうふうな形でまた新しく規定を設けるということは、何か将来は番組編成の規制に通じていくんじゃないか、そういう危惧を感ずる人もないとは言えないと私思うのです。したがって、そういう番組規制という問題に本質的につながっていく危険性があるんじゃないかという危惧に対してはどういうふうに考えますか。
  95. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 災害の際の通信の手段の確保につきましては、電波法の方にも、郵政大臣が命令をし、その命令をした場合にはそれに要した費用も弁済する、そのかわりそれに違反した場合には罰則というようなものをつけるというのが現行の規定でございますけれども、今度の際につきましては、先ほども御説明申し上げましたように、国民の災害に対する関心の強い時点、そうして新しい技術的な開発も見えてきたという時点におきまして、その社会的責任と申しますか、放送事業者の社会的責務をうたい上げたということでございます。当然に自主的な判断に基づきましてやっていただくわけで、それに伴います罰則の規定も当然のことながらないわけでございまして、その辺、先生の御指摘のような懸念は私どもはないものというふうに考えておる次第でございます。
  96. 久保等

    ○久保委員 それから、多重放送番組の編集に関して、主番組の補完的な利用というようなことについて特別規定を設けているわけなんですが、テレビ文字多重の独立利用ということについては積極的な規定はないのです。しかし、独立利用はできるのだというふうな御説明もあったわけなんですが、この補完的な利用だけについて規定したという考え方はどういうところにあるのですか。
  97. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 本来、多重というのはテレビジョン放送電波に重畳して、電波の時間的すき間あるいは周波数的すき間を利用して重畳するものでございます。それで、しかも本来の番組とは無関係番組内容も送れるという性質のものでございますが、特に文字多重の場合、これをたとえば難聴者のための補完利用といいますか、そういう形で文字放送利用してもらえますと、非常に福音であると申しますか、利用価値が高いというようなことで、私どもといたしましては、視聴者のニーズということで、独立の番組というか、新しいメディアとして完全に独立の番組も送れるわけでございますけれども、なおその特色といたしまして、二カ国語放送あるいはステレオ放送、これらは音声放送についてのことでございますけれども、非常に豊かな内容にできる、また、繰り返しになりますが、耳の不自由な方々のための字幕放送等につきまして非常に豊かになるというようなことで、その辺の利点と申しますか、強調することによりましてそうした方々の要望にもこたえるべきである、そういう考え方から特にうたい上げたものでございます。
  98. 久保等

    ○久保委員 では、最後に一つ。電波監理局、郵政省で設けた例の放送多様化に関する調査研究会議でもって出てきた報告書を見ますると、文字多重の問題について、「補完的利用を行うとともに、電波の効率的利用情報の多元化の促進が図られる独立的利用も積極的に行うことが望ましい。」これはどっちに比重を置いておるのかどうもよくわからないのですが、どちらかというと、この研究会議で出されてきた結論というものは両方並列しているような感じもするのです。いま電波監理局長の御説明では、補完的利用、ここに重点を置いたような御答弁だと思うのですが、そういうことですね。
  99. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 はっきり申しまして、耳の不自由な方々というのは、日本の場合三十万とか四十万とかいうふうに言われております。アメリカでは非常に多くて、千五百万というようなことも聞いたような気がいたしますけれども、これは難聴者の方、老人等も入れられているんじゃないかと思います。  いずれにいたしましても、補完利用の場合にはかなり限られた方々という面もあるわけでございます。そうしました場合にどういうふうにおとりになるかということでございまして、一応はそうした使い方については、番組としては耳の聞こえる人については一つの番組として完成しておるわけでございます。そうした場合に、特定の限られた方々とはいえ、放送文化が非常に開け、三十年になろうとしているわけですけれども、その間ほとんど楽しめなかったといいますか、内容を十分に楽しむというところまでいかなかった方々のために、こうした新しい技術の成果というものをお送りするということは意義があるというような考え方で、それなり経費なり、あるいは特定の部分に限られているということで私どもいろいろ御要望等もいただきまして、そうした措置をとるべきものであるという判断のもとに、このようなうたい上げ規定を盛り込んだということでございます。
  100. 久保等

    ○久保委員 ですから、そういった必要性が当面あって、いわゆる補完的な使用ということを法文化した。一方、独立利用の方は法文化はしなかったが、決してそれを禁止しているわけでもないし、それもやってもらうんだ。だから、どちらに重点を置いているかと言えば、補完的な利用の方に重点を置いているんですね、こうお尋ねしておるわけです。ですから、それに対していまいろいろまた御説明があったが、私のお聞きしていることについてきちっとお答え願いたいと思うのです。
  101. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 ただいまの文字放送に限って申し上げますと、二つのHと申しますか、これが利用できる。その期間、時間が利用できるということで、番組で申し上げますと、二十種類程度の異なった番組ができるわけでございます。  それで、補完利用ということを考えました場合に、二種類か三種類で十分であるわけでございます。あとの十七、八種類の番組というものは独立利用という形になるわけでございまして、この二、三の番組に使う補完利用というものを忘れないでほしいということでございまして、いろいろな補完利用の形態を考えましても、二十種類のうち補完する番組をいろいろ考えても四つ、五つまでにはならないのではないか。そうすると、残りの十五は独立的な内容になる、こういうことでございまして、やはりそれは新しく使える内容でございますし、伝送でございますので、十分使っていただきたいということでございまして、どちらを重視しているんだというお答えは、やはり両方ともそれなり利用していただきたい、有効に使っていただきたい、こういうことでございます。特に音声多重などで申しますと、これはやはり補完利用の方がいいんだ、一つしかないから、こういうことでございます。
  102. 久保等

    ○久保委員 終わります。
  103. 水野清

    水野委員長 これにて久保等君の質疑は終了いたしました。  午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時四十分休憩      ————◇—————     午後一時四十分開議
  104. 水野清

    水野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  放送法等の一部を改正する法律案及び電波法の一部を改正する法律案の両案を議題とし、質疑を続行いたします。阿部未喜男君。
  105. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 この放送法改正をして、テレビジョン多重放送の実用化を図ろうとする本法案の改正については、その趣旨に賛同いたしております。しかし、なおわからない点あるいは意見等もございますので、若干質問をさせてもらいたいと思います。  まず、テレビジョン多重放送を行うに当たっては、協会、放送大学学園及びすでに免許を受けている一般放送事業者は、新たに無線局の免許を必要とするのかどうか、その辺のお考えから承りたいと思います。
  106. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答え申し上げます。  多重を行う場合あるいは文字放送を行う場合新たな免許を必要とすると考えておるわけでございますが、その考え方は、テレビジョン放送多重しているものでございますけれども、その多重内容は、別個独立の放送番組を送り得るということでございまして、したがいまして、既存放送事業者及び第三者文字多重放送を実施するに当たりましては、新しい免許としてつかまえる、電波法上の放送局免許を必要としておるというふうに考えております。
  107. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 まず、多重放送というのは現行のテレビジョン放送に重畳して放送する、さっき局長おっしゃっておったように、音声については時間的なすき間を、そして文字についてはいわゆるチャンネルのすき間を利用する。これは重畳して行う以外にやりようはないわけでございますから、NHKなりあるいは一般の放送事業者が行うことが当然過ぎるほど当然だと思うのですけれども、なおかつそれに無線局の開設の免許が要るものかどうか、その辺はどうなんでしょうか。
  108. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 実例で申しますと、ある放送事業者テレビジョン放送ということで影像とそれに伴います音というものをすでに送っておるわけでございます。文字多重はそれとは別個の情報が送られる、番組も送られるということでございますので、テレビジョン放送事業者の設備というものを常に共用するといいますか、大部分を使わなければいけないとしても、すでにあるテレビジョン放送事業者が、技術の進歩によりまして、時間的すき間あるいは周波数的、スペクトラム的すき間を利用して音声多重なりあるいは文字多重ができるわけでございますが、すでに免許を持っております事業者にそうしたものまで含めて免許したわけではない、こういう考え方で、別個の内容のある番組を送れるという意味で、新しい事業としてつかまえたわけでございます。
  109. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 放送法放送免許するというのではなくて、基本的には無線局の開設を免許をする。その無線局が放送を行う場合には、普通の無線局以外になおこれだけのものが要りますよという申請手続の定めはあるわけでございますね。しかし、こういう放送を行うということで免許を取るのではなくて、無線局を開設するという免許を与えてあるのですから、そこで、当然、このテレビジョン放送に重畳して行う多重放送というものは、無線局の開設免許を与えたときに資格があると解すべきではないでしょうか。
  110. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 テレビジョン放送局が申請されました場合に、設備的には電波法として把握するわけでございまして、その中にテレビジョン放送局の標準方式というのがございます。そこの中に詳しく図面もつきまして記載されております。具体的に申しますと、文字多重で申しますと、そのところの水平走査線信号の十六番目なり二十一番目については、それを使って今度多重をしようとしておるわけでございまして、16Hなり21Hについてはいまの文字多重を送るように工夫をしたやり方をやってよろしいということは、テレビジョン放送免許を得たときにはそういうふうにはなっていないわけでございます。
  111. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そこはわかります。  そこで、音声多重文字多重は質的には違うものですが、片方は時間のすき間を利用しておる、片方はチャンネルのすき間を利用しておる。しかし、あなたの方の法律で、テレビジョン多重放送という言葉でこの二つを縛ってしまってありますね。しかし、テレビジョン多重放送はまだそのほかに幾つかの新しいメディアが考えられる。新しいメディアができるたびに、またその都度免許をしていくという方針になるのですか。これに縛ってあるから、また新しいものができると、文字多重、音声多重以外のものができると、また免許をせんならぬようになるわけですか。
  112. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 ニューメディア開発の技術進歩は非常に激しいものでございまして、テレビ多重だけつかまえましても、考えられているものとしてファクシミリ放送とか静止画放送とかいろいろあるわけでございます。今度法でつかまえようとしておりますのは、技術的にすぐにも実用可能であるというところの音声多重文字多重を盛り込んでおるわけでございまして、次に出てまいります開発のものがどういう形態で開発されるかということでむずかしいところでございますけれども、たとえば新しくファクシミリ放送ができるあるいは静止画放送ができるということになりますと、新しいやり方と申しますか事業としてつかまえるべきものであろう、このように予測をいたしております。
  113. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そこで、あなた方から見ると、もう当然過ぎるほど当然のことかもわからないのですけれども、この改正の条文なり要綱を読んでみて、私どもなかなか理解しにくいのですが、まずこういうふうに理解をして間違いがないかどうか。協会及びテレビジョン放送を行う一般の放送事業者は、みずからテレビジョン多重放送を行うとともに、放送設備を賃貸して第三者にもテレビジョン多重放送を行わせることができる、これが大体法の趣旨である、こう考えていいですか。
  114. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 そのように考えております。  具体的には、文字多重の場合16H、21Hというようなことで、どちらかを事業者、16Hなら16Hを事業者が独立利用と補完利用に使っていただいて、もう一つのHを第三者なり適当な契約のできた方にお使いいただくのが適当ではないだろうか、このように考えております。
  115. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 いわゆる一Hは自前の独立放送、独立の放送は補完的なものと独立したものとがある。もう一つのHについては、これは第三者設備を提供して利用させる、こういうことになると思うのです。  そこで、放送設備の賃貸を受けてテレビジョン多重放送を行おうとする者、いわゆる第三者の場合、これもまた無線局の免許を必要とするのかどうか。すでに無線局の開設が免許されておるものを賃貸を受けて利用するわけですね。この者もなお無線局の開設が免許されなければならないかどうか。これはどうなりますか。
  116. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 当然第三者は、すでにテレビ事業の免許を受けております者と多重のために使うべき設備の部分について契約を結ぶわけでございますけれども、それによってそのまま免許になるわけではございません。そうした設備利用に対する契約ができた時点で申請いただきまして、私どもといたしましては、その契約内容というものが適当であるか、あるいは多重の普及に役立つ内容のものかどうかというようなことは、当然見させていただきますけれども、それだけで新しい多重という事業をやっていただくということにはなりませんで、一般の放送事業と同じに、審査と申しますか、新しい多重放送事業者の申請という形で判断いたしたい、このように考えております。
  117. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 すでに無線局の開設が免許されておるものを借り受けて使うだけでしょう。その者が無線局の開設の免許を受けなければならないという法的な根拠はどうなりますか。
  118. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 すでにテレビ事業を行う者として開設しておる者から設備を借りるということでございますけれども、それならば新しい免許の申請は要らないのかということですが、いわゆる二重免許という形で、たとえば、建設省の施設をほとんどそのまま消防庁等が無線局として借りておるというような実例がございます。それにつきましても、やはり二重免許という形で消防庁等にも御申請いただきまして、新しい無線局、別の免許として処理しておるというふうに理解しております。
  119. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 私は法的な根拠をお伺いしたわけです。しかし、こんなふうにお決めになるなら、法的に確たる根拠はなくても運用上そうやらなければぐあいが悪いのだ、だれでもかれでも勝手にやられては困るから、免許を申請をしてもらわなければ困るのだというなら、それはそれで運用上の問題として理解ができるのですけれども、すでに無線局の免許を受けておる者が賃貸するわけでしょう。人の開いておる無線局を借りる者がまた自分も無線の免許を受けなければならぬということは、法的には少し無理があるような気がするのです。ただ、運用上そうしなければやりにくいだろうなという気はするのですけれども、その辺はどうですか。
  120. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 技術的にと申しますか、設備的にちょっと御説明させていただきたいと思うのですけれども、たとえば、テレビジョン多重番組を21Hを使いまして既設の事業者でない方が放送なさる、こういたしました場合に、相当部分につきましては既設の放送事業者設備を借りるわけでございますが、それのみでは多重は乗せられません。そのためには、まずその多重する部分、独立利用する部分の番組を含みました変調器が必要でございます。それを21Hに乗せる、隣でやっておりますテレビジョン事業者の電波の二十一番目のところ一H分だけ入り込む。うまく入り込みまして、すでに通常送られておる電波を邪魔しないでそれにうまく重畳する、そうしたための付加設備も必要でございます。したがいまして、技術的、設備的に申しましても、いま申しましたような多重の部分の変調設備ないしは二十一番目のHにうまく乗っかるための設備というようなものにつきましては、すでに免許を受けているテレビジョン放送事業者のものではないわけでございます。これをどうしても必要とする、これが新しい第三者自身設備であるはずでございます。
  121. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そういう専門的なところを申されてもわからないのです。わからないけれども、四十九条の三を設けて、テレビジョン多重放送の用に供するための計画、これは放送設備も入っておるようですね。放送設備も含めて、その提出を求めることができる。これはいま局長お話しになったようなものを含めて、この設備ならば賃貸してもよろしい、こういうことになるから、結局、いま免許を受けておる者がこの設備まではする、あとは賃貸を受けるだけ、その方が本当じゃないですか。
  122. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 設備として大きいか小さいかという差はありましょうけれども、ちゃんとした場所をとりまして設備を備えて、既設の放送事業者設備を邪魔しないようにうまく乗っかるといいますか、重畳するための設備は必要でございます。
  123. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 どうも私はよくわからないのです。そうすると、賃貸というのは何を賃貸するのか。既設の放送設備利用して第三者がやる、その既設の放送設備第三者に賃貸できるような内容であるかどうかについては、この四十九条の三でもって、あなたの方で書類を出させてお調べになる。それは第三者が新たに何か設備しなければならぬものはないのであって、新たに第三者設備するならば、設備を賃貸するというのはそもそもおかしくなってくるのです。設備を賃貸するんでしょう。早く言えば、提供するわけでしょう。これはあなた方は、放送免許するのですか、それとも無線局の開設を免許するという考えですか。
  124. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 無線局の設備電波法的に審査すると同時に、放送事業者として審査するわけでございます。そうしまして、いま賃貸と申しますけれども、相当大部分のものは賃貸するわけですけれども、それだけでは決して多重放送はできないわけでございます。放送設備と変調設備というものを、多重変調設備と申しますか、そういうものがぜひとも必要となるわけでございます。
  125. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 多重放送設備というのは、賃貸をするいま免許を受けておる者がしてはいけないのですか。
  126. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 そういう場合も物理的にはあるかと思いますけれども、それはあくまでも、その貸されたものは本来のもともとの家主と申しますか、それにかかわる放送事業者放送設備としては全然必要のないものでございまして、それをたまたまお貸ししたというようなことであるわけですが、新しい放送事業者につきましては、その部分について、借りたものとしても運用の責任は新しい多重放送事業者が持つべきもの、こういうふうに考えておるわけでございます。
  127. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 どうもその辺がよくわからないのですが、余り議論してもしようがないので、それでは、もしも全部の変調設備が完了して、16と21なら21の方の設備もつくってしまって、それからお貸ししますと言ったら、無線局の開設は、すでに免許を受けた者がやっておるわけですから、新たに機械をつけなければ何も免許を受ける必要はなくなってくる。  だから、手続上そうした方がおたくが運用上やりやすい、そういう関係から第三者免許を受けさせようというふうな発想ならば、それはそれなりに理解できるのです。しかし、法的にこうしなければならぬという根拠はどうも薄いような気がするわけです。現に、免許を受けて無線局を開設してテレビジョン放送をやっておる、その設備を借り受けてやりなさいよ、こう言うのだから、設備を借りる者が無線局開設の申請をせんならぬという理屈は法的には非常に薄い、私はそういう気がするのです。本当の腹を言いなさいよ、あなた。
  128. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 その辺は、結局、多重放送をどう持っていくかという方針の問題でございまして、文字多重放送というものが出てきました場合に、非常にマスメディア集中その他の問題もあるということで、一つは本来のものに、もう一つはやはり新しい事業者と申しますか、情報ソースを多くに求めよう、こういう考え方でございます。そうして、別のものとして把握いたしたい、こういうわけでございます。
  129. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 少し無理な理屈をこじつけようとするような気がするのです。私は、大体これは運用上免許をせざるを得ぬだろうと思うのです。しかし、それが法的に、無線局の開設はぜひ免許を受けてやらなければならぬという根拠があるだろうかと考えると、ちょっと無理な気もするのですが、運用上の問題として私は理解ができますから、このことをいい悪いということはこの際言う気はありません。  そこで、この場合に、放送設備を貸与する一般放送事業者と、貸与を受ける第三者放送事業者、これはどんなふうに区別をすることになりますか。貸与を受ける方も一般放送事業者、平口で言えば民放、それから貸与をする方もやはり民放、こういう呼び方になるのですか。どういう呼び方をするつもりですか、区分けは。
  130. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 大きく言いますと、一般放送事業者ということになろうかと思います。NHKでないということですね。それは、NHK設備を使った場合も、第三者利用の場合には一般放送事業者、こういうことになろうかと思います。
  131. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 しかし、実際は、一般放送事業者と一口に呼んだら非常にわかりにくい状況になってくるだろうと思うのですね。いま免許を受けておる一般放送事業者と、設備の賃貸を受けてテレビジョン多重放送だけをやる一般放送事業者、こう分かれてくるわけでしょう。上がくっつかないとちょっとおかしい気がするのですけれども、これは、呼び方はどうするかは別にして、これからの取り扱い上、何らかの区別が必要じゃないかという気がするわけです。何かお考えになっていますか。
  132. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 そういうことが必要な場合には、多重放送事業者ということをもう一つかぶせる形になろうかと思います。
  133. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 これはへ理屈ですが、多重放送事業者と呼べば、一般放送事業者多重放送をやるわけですね。だから、なかなかむずかしいのですが、これは検討課題としてちょっと気になったものですから……。  さて、その次に、協会及びテレビジョン放送を行う一般放送事業者、ややこしいからこれからNHK民放というふうに言いますが、多重放送を同時に放送されるテレビジョン放送番組内容に関連をして、かつ、その内容を豊かにし、効果を高めるようにというこのいわゆる精神条項、これがちゃんと規定をされておりますけれども先ほどお話しのように、民放テレビジョン放送に関連をするものではない独立のテレビジョン多重放送ができる。いわゆる16Hと21Hというように分けて、その16Hなら16Hの方は補完的な、従来のテレビジョン放送に関連をしてその内容を高めることに使う場合と、それ以外に、独立をしてこれを使うことができる。これも間違いないですね。
  134. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 そのとおりでございます。
  135. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そうしますと、いますでに免許を受けておる民放の皆さんがテレビジョン多重放送をおやりになる、それは従来のテレビジョン放送とは関連のない独立の番組をお出しになる。それで一方では、テレビジョン多重放送設備第三者に貸与してやらせる。ところが、この第三者といま民放免許を受けておるところと、テレビジョン多重放送が競合するといいますか、そういう形になってくるおそれはありませんか。
  136. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 既設の放送事業者には、本来の番組を補完する部分の多重の努力と申しますか、そういうのはあるわけですが、実際といたしまして、何種類かの番組には、いま先生申されたとおり独立利用もやれるわけです。そうすると、第三者の方でまた別個にやる、こういうことになりますと、それなりに言いますと、競合は当然生ずるわけですが、ただ、契約を結びましてどういう形の独立利用をやろう、第三者利用をやろうとしているのかというようなことは、契約の中身としてあるいは具体的な話し合いの場で出るわけでございまして、その契約の履行に当たりまして、分野割りをどうしようとかいうような話は当然話し合いに出、十分な調整と申しますか、それぞれの特色を発揮するような番組内容になってもらいたいと考えておるわけです。ただ、先生のおっしゃるとおり、物理的には競合はあり得る、こういうことでございます。
  137. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 たとえば天気予報であるとか、スポーツの結果であるとか、そういうようなものを知りたいというのは一般の——もし仮に一般の利用者が利用するとすれば、テレビジョン多重放送で、きょうは、おれ、野球を見られなかったけれどもどうなったかなあ、それを見たい。その場合に、民放免許を受けておる既設の放送局の方のボタンを押しても野球の結果がわかる、新しい第三者の方のボタンを押してもこれまた野球の結果がわかる、全くつまらぬ、くだらぬものが両方にあるという結果になるおそれがある。そこをいま局長さんは、話し合いでどっちの分野、この分野はおまえのところがやれ、たとえばスポーツはおまえのところがやれ、ニュース性のものはおれのところがやる、そういうような分け方をしたいとおっしゃっておられると思うのですけれども、そうすると、既設の民放の事業者は、おれのところだけでやるのだから、もうおまえのところには機械を貸さない、設備を貸さない、こう言われた場合に、それでもなおかつ貸さなければいけないという規定はどこにもないようですが、その場合はどうおやりになるわけですか。
  138. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 その辺につきましては、NHKを含めまして、多重の部分につきましてどのような御計画でおやりになるのか、計画の策定及び計画を郵政大臣の方に御説明いただくという形でございます。  そういたしますと、その中の一Hの部分の十種類はどういう種類の番組をつくるのか、こういうようなところで、補完業務の、たとえば耳の不自由な方にやる番組があるのかないのかというようなことが計画でわかるわけでございます。次に、16Hの使い方が仮にそうだといたしますと、21Hのところにつきましては、ある第三者契約ができているので、こういうような話し合いになっているということがあれば、その辺の御説明はいただけると思っております。  ただ、それを、いま先生が具体的におっしゃいましたように、いろいろな話し合いがつかぬということで21Hを使われるというような御計画ですと、私どもとしては、やはり16Hの方に独立の自分のところの番組をやっていただいて、もう一つの方については、どういう形で、いまだれもそういうことをやりたいという人間がいないのだというような説明もあるかもしれません。その辺はやはり私どもの方には当然入ると思います。どこの社に対してこういう条件で、第三者利用として申し込んでいるんだけれども、お金の問題で片がまだつかないんだとか、あるいは番組内容で話がつかないんだなどということは、当然耳に入ってくるというふうに考えております。その辺のお話の模様を、私どもとしては、あくまでも多重というものを普及させる観点から御計画を聞かせていただきたい、こういうところで事情をお聞きする、こういうことになろうかと思います。
  139. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そこまでは大体そうなるだろうと私も思うのです。しかし、それでも、おれのところは自前、独立でやるんだから、21Hを第三者に貸したらそれだけ広告が少なくなるから嫌だ、あるいはその賃貸料金が話し合いがつかないから貸さないと、民放の場合、貸さないと言われたら強制できるかどうか、どうもこの法では強制はできないような気がするのですが、話し合いということは結構なことです。しかし、現実の問題として、貸さぬと言われたときにはどうしますか。
  140. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 私ども多重を普及させたいという立場からいたしますと、先生がいまお挙げになりましたような例は、大変遺憾なわけでございますけれども、やはり事業者が関係しておるわけで、当然、うまく話し合いがつかないで、かなりの期間ある社については第三者多重放送が行われないということはあり得るとは考えておりますけれども、私どもとしては望ましくはないということでございます。
  141. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 望ましくないと私も思うのですけれども、望ましくない事態が起こったときにどうするのか、こう聞いているのだが、これは起こったときに、優秀なスタッフがそこにおいでになるわけですから、何とか片づけるだろうというふうに信じておかないと、時間がないものですから、そう信じて、次にまいりたいと思います。  そこで、大体大筋はわかりました。今度は具体的な内容に入っていくわけですが、いよいよテレビジョン多重放送免許が始まる、同時にまた、第三者利用が申請がどんどん出てくる、そのときの全体の動き、これは一体どういうことになるだろうか。たとえば、いまテレビジョン放送の場合にはキー局がございますね、このキー局がそれぞれの地方に、ローカルを中心にしたいとおっしゃっているわけだが、それぞれの地方第三者多重放送をつくれということで注文をつけていく。ところが、キー局がそれぞれに注文をつけますと、キー局に注文をつけられれば、仕方がないから地方の方では五つも六つものテレビジョン多重放送をつくらなければならないことにならないだろうか。そういう点はどう構想されておるのですか。
  142. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 多重番組の流れ方ということでございますけれども、やはりテレビジョンの現実行われています放送と同じように、キー局地方局、ローカル局というような形で情報が流れるのかという御質問だと思いますけれども、これは物理的には当然流れるわけですけれども多重番組に期待するものというものをいま予測してみますと、かなりローカル性のあるもの、あるいはかなり速いテンポで更新される文字情報、こういうような形ですので、一般には余り大きな全国的に流れる文字多重情報というようなものは余りないのではなかろうか。むしろ、希望する形としては、地方から中央へ流れるというような文字多重情報というものがあり得てもいいのではないだろうか。つまり、文字多重情報につきましては、大きな情報量ではありませんけれどもそれなりローカル性、あるいは数少ないかもしれないけれども希望するその人たちにとっては非常にいい情報である、こういうような性質番組を出すというようなところに、一つの多重放送の生きる道といいますか、発展する道があるのではなかろうか、このように考えておるわけでございます。
  143. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 たとえば、さっき申し上げました、スポーツの結果を知りたい、こういうような場合に、そういうデータをあちこちたくさん持つ必要はないので、こういう場合は地方に一つあればそれで間に合う。そういう全国的な情報といいますか、そういうものを集めるところと、それからもう一つは、おっしゃるようにローカルのそういう文字多重番組をつくってできてくる、半々になるのかローカルが多いのか、それはわかりません。わかりませんけれども、いずれにしても、全国的なものとローカルなものとが組み合わされて多重放送が出ていくだろうというように私は考えるわけですね。そうなってくると、系列的に上から、たくさんおれのところの系列のものを流せという要請はやっぱり出てくるだろうという気がするわけです。したがって、まず私は、その第三者多重放送を行うエリアというものを、たとえば県単位とか、どんなふうに考えておらるるのか、想定はどうですか。
  144. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 一般放送事業者の場合とNHKの場合と、いろいろあろうかと思いますけれども、やはりかなり大きくてもブロックごとないしは県単位という形が期待したいし、そうする形で進むのではないだろうか、このように考えております。
  145. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 私も、その辺がブロックになるのか県単位になるのか、これはかなり違いが出てくると思うのです。特にNHKの場合などは、どっちにするかで、九州一円をカバーするか大分県だけでいくかということになってくるだろうと思うのですが、それを基本にして考えてみますと、さっき言うように、いま五つもの放送のチャンネルが受信できる地域もあるし、それから、われわれのようなローカルでは民放二本とNHK、こういうふうな形になっておりますね。そういう場合に、あなた方が想定しておる、たとえば県単位になったとした場合の想定をされておる姿は、NHKが一本そして民放が一本というふうな形できちっとお考えになっておるかどうか。そういうものをあらかじめ想定しておかなければ大変な混乱を起こすだろうという気がするのですが、民放一本にしぼるかしぼらないか、その辺どうお考えですか。
  146. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 先ほどの答えの補足をちょっと先に入れさせていただきますけれども、ブロック別ということも考えられると申しましたのはNHKの場合でございまして、一般の放送事業者につきましては、広域圏の局以外につきましては、県域ですから、まず県単位だと思います。  それから、その次に、NHKは別としても、民放が二社あった場合に、多重放送事業者が両者に共通するのか、それぞれに多重放送事業者というものが一つだと仮定しますと一つになるのか、つまり、地方民放二つあった場合に多重放送事業者二つになるのか、それとも共通して一つなのか、この辺につきましては、そこの地方におきます民放の数にもよりましょうし、また、経済的にと申しますか、ローカル文字多重情報というものがどの程度得られるか、あるいは、多少ともやはりお金が要るわけでございますから、それなりの収入源があり得るか、とても別々には多重放送事業というものは成り立ち得ないので、たまたま従来のテレビジョン放送事業者としては二社だけれども多重放送事業者としては一社になり得るというようなことも、地方によりましてはでき得るのではないだろうか。その辺につきましては、余りいまのところ固定化しないで、皆様方の動きあるいは申請の状況あるいは御意見というものを踏まえながら、ある程度フレキシビリティーを持ちまして、やはり多重放送事業というものを何とか、てこ入れと言ったら悪いかもしれませんけれども、うまく普及させるのはどちらがいいんだろうか、そういうような立場から判断すべきものであろう、このように思っておりまして、いまのところデータも持たないこともあるわけですけれども、かなり自由に、一つには一社でない、二社についての共通多重放送事業者というものはあり得ないというところまで、私どもデータも持っていないわけで、自由に考えて、もう少し様子を見たい、こういうことでございます。
  147. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そこのところ、私はどの辺までお考えになっているのか、免許をするのはそこですからわかりませんが、かなりかちっとしたものがないと混乱をしてくるように思われてならないのです。たとえば民放二社の場合は、それは県域放送の場合は一本だ、そういうふうな方針は大体立てておいた方がいいんじゃないでしょうか。どうでしょうかね。
  148. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 やはり早急に立てまして、それで数年見て、その段階においてぐあいが悪いということが出てくれば、その段階において修正すべきもので、いま非常にフレキシビリティーに富んだといいますか、余り何を言っているのかわからぬような御返事をいたしましたけれども、やはりはっきり方針を立てるべきものであろう、このように思っております。
  149. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 局長答弁としては実に明快でございまして、まずそういう方針をお立てになっておやりになる、運用した後で問題があるならば逐次直していく、そういう基本的なものがないと、私は大変混乱するだろうと心配したものですから……。本日の答弁の中の最高でございました。  次にまいりますが、マスコミ集中を排除するという思想からすれば、NHK民放放送設備の賃貸を受ける者との間の関係、特に出資等の関係においてはおのずから規制されなければならないものがあるだろう。先ほど先生お話しになっていましたが、畑先生が三〇%というお話をなさったら、大変結構な案でございますと言って、私が二〇%と言ったら、あなたやはり大変結構な案でございます、僕はこう言うだろうと思うのですが、その辺、大体規制をする必要があるという基本的なお考えがあるかどうか。そして、するとすれば、大体二〇から三〇くらいが適当なのか、三〇から四〇が適当なのか、この辺も腹を割って話をしておいてもらいたいと思います。
  150. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 その辺につきまして、三〇%という数字が畑先生のときに出ましたのですけれども、実は、はっきり申しまして、私どももやはり決めるべきだろう、何%というようなディスカスがあったわけでございます。たまたまその中に三〇%という数字もあったわけでございます。それからまた、二〇%でございますけれども、やはり二〇%も、その地方におけるソースというものがどの程度あるかというようなことで、かなり多いよということになりますと、多くの番組ソースを求めるべきだろう、そういう考え方に立ちますと、やはりいろいろ参入したい、しかも参入して効果があるという土俵があるということになりますと、五人おれば二〇%になるわけでございます。
  151. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それは十人おれば一〇%になるのです。その勘定は私もできるのですが、たとえば、その設備を提供する者と第三者との間の出資関係について、どの程度の規制が必要とお考えになりますか、こういうようなことなんです。
  152. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 その辺につきまして、省令なり政令なりあるいは免許方針なり早急に固めるべきであるという御提言として受けとめたい、このように思います。
  153. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 この辺からまたちょっと答弁がぼやけてきましたけれども……。  いま私もあわせて、さっきお話がありましたように、ダミー会社などをつくって実質的に過半数もの支配力を持つようなそういうやり方については、これは厳に免許に当たって注意をしてもらいたい、同じ意見でございますので、申し添えておきます。  さて、次に、NHKとしては、さっきちょっとお話が出ましたが、賃貸する対象者を全国単一として考えておるのか、管担局までぐらいを考えておるのか、あるいは地方局までとするお考えか、この辺どういう構想をお持ちでしょうか。そのとおりにいくかどうかわかりませんが、構想としてはどうですか。
  154. 坂本朝一

    坂本参考人 いま先生と電波監理局長との間にいろいろ御質疑の応答がございまして、NHKといたしましては、NHK設備利用して文字多重放送を行う第三者というのは、やはりNHKの使命、性格を十分理解して、NHK番組編集の基本方針を尊重して業務を行っていただける業者でなければならないと考えておるわけでございまして、このような事業者によるサービスにつきましては、NHK設備利用する第三者でもございますので、順次全国においてサービスが開始され、視聴者の要望にこたえることが必要ではないだろうかというふうに、順次というふうに考えておるわけでございます。
  155. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 順次ということは、最終的にといいますか、NHKのいわゆる地方局まで全部含めてというふうにお考えですか。
  156. 坂本朝一

    坂本参考人 それが県単位というところまで及ぶのか、あるいはブロックなのか、そこら辺のところは、いま少しく勉強しなければいけないかと思いますけれど、いずれにいたしましても、順次全国に普及するという考え方でございます。
  157. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 NHKの場合、おっしゃるように、非常に内容NHKにふさわしいものというふうに私なるだろうと思うわけですけれども、それだけに、ニュースとかそんなものについては、なるべく詳細に、さっきおっしゃったローカルのものを知りたい場合でも、NHKに期待する視聴者は多いと思うわけです。それならば、なるべく細かなローカルまでの情報が受信できるような、そういう設備を早くおつくりになってやらないと、やはり管担局の場合になりますと、そう各県の情報までが全部が全部集まるかどうか、なかなかむずかしい問題があるだろう。その場合、やはり各地方放送局、県単位にある放送局がそういう情報を集めることの方が安易だし、また正確な情報がつかめるだろう。そういう意味からするならば、どの辺までやるか、まあやってみてというのではなくて、最終的には県単位の放送局まで全部NHKがやるんだ。ただ、さっきのお話では、全部かけても十一億とおっしゃいましたね。十一億ぐらいのお金なら最初からひとつかけて、NHKはまずこのテレビジョン多重放送の模範を示すべきだという、そのくらいはおやりになってもいいんじゃないですか。どうですか。
  158. 坂本朝一

    坂本参考人 大変力強い御支援をいただいて、私も、いまお話を承って、そういう方向考えるべきではないかと思いを新たにするわけでございますが、先ほど十一億と申しましたのは、施設設備に要する費用でございますから、したがいましで、ソフトの中身その他のことは当然プラスアルファがあるということは御了解いただきたいと思います。
  159. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 これは第三者に賃貸する場合はただでないわけでございますから、その辺の金のことは私は後ほど伺いますが、そう心配していない。全部持ち出してというわけではないわけですから、これはそう心配してないので、いま前段で御答弁があったような方向でお骨折りを願いたいと思うのです。  さて、そこで、具体的に、これは放送局長さんのあれになるでしょうか、どのような番組多重放送利用できるか、これはNHKテレビジョン多重放送の補完的な役割りを果たす分野において、どのような番組利用ができるとお考えになっていますか。
  160. 田中武志

    田中参考人 お答え申し上げます。  先ほどからいろいろお話が出ておりますように、文字放送のサービス内容放送内容といいますのは、われわれ現在部内にプロジェクトをつくりまして、補完的な利用あるいは独立的な利用、それぞれの分野での試作の番組をつくっていま多角的に検討しているという段階でございますけれども、この段階の中では、やはり特性でございます随時性、選択性というようなところも含めて、ニュース、天気予報、生活情報、それから産業、経済の情報、あるいはレジャー情報、そういったような多様なニュース、情報というものを一つ考えることができるのじゃないかというふうに考えております。  また、補完的な面では、これも先ほどから話が出ておりますように、聴力障害者向けの字幕サービス、あるいは画面に出ております主番組のいろいろ補完的な利用番組を補完していくような情報等々に利用できるのじゃないかというふうに思っております。
  161. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それで、普通の場合はいいのですが、特に補完的な役割りを果たす上において、電波監理局の方でも大きく期待をしておるのは、たとえば三十数万に及ぶであろうと言われる耳の不自由な方々、そういう方々に字幕によって知らせる。そこで、ニュースというものは早いから価値があるわけですけれども、一家でテレビを見ておる、そこへニュースが出てくる、その中で耳の不自由な方が一緒に聞きたいのでボタンを押す。ニュースでアナウンサーが放送している速度に合わせて字幕が出せるだろうか。僕は恐らく困難じゃないかと思うのですけれども、専門的にはどういうことになりますか。
  162. 田中武志

    田中参考人 いまおっしゃるとおり、ニュースですぐそれを字幕化していくということは、先ほど申し上げたように、私ども現在プロジェクトの中でいろいろやっておりますけれども、非常にむずかしいという感触を持っております。そういった意味合いで、日本語というものが、欧米のすでに先進の方でやっておりますようなアルファベットを使ったものと違いまして、日本語は漢字かなまじりのものでございますので、これをどのように迅速に文字化していくか、またこの専門家をどのように育てていけばいいかというようなことを、いまプロジェクトを通じましていろいろ検討研究しているという段階でございます。
  163. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 電波監理局長さん、いま私が申し上げたような、これはおたくの方の分野ですけれども、三十数万の耳の不自由な方々が、みんなと同じようにニュースを見ておるのに何のことかわからない。そこで、どうしてもテレビジョン多重放送が必要になってくるからとボタンを押した。ところが、しゃべるニュースと下に出てくる字が合わぬことになるのですよ。速度として僕は無理だと思うのですが、これは技術的にどういう解決ができるわけですか。
  164. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 やはりその辺で物理的には困難だと思います。しゃべっている言葉をそのまま字に出しましても、また読まれる方でも追いつかないだろう。そうしますと、やはり結局経験の中で、耳の不自由な方々に出すのにはどういうふうに要約し、どういうふうなアピールの仕方をするか。それで、言葉不足の面については、やはり推定といいますか、想像していただくわけですけれども、そうした面につきましては、やはり特殊な研究というものが必要であろうというふうに思うわけでございます。ですから、そうした方々の特殊な研究に期待せざるを得ない、このように思うわけでございます。ただ、技術によりましてかなりうまくはなっていくだろう、それには多少とも時間がかかる、こういうふうには思います。
  165. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 今度は逆に、娯楽物なんかもかなり多いというふうに考えられますね。娯楽物なんかの場合はどういうことになるのですか。さっき申し上げたような状態、たとえば家族五人で娯楽物を見ておる、「峠の群像」を見ておるといたしますかね。そうすると、耳の不自由な方はボタンを押してごらんになる。そうすると字幕みたいなものが出てくるわけですね。これは洋画の横に出てきますね。ああいう形になって出てくるとすると、大変な手数をかけてつくらなければでき上がらないということになると思うのですが、そういうことになりますか。
  166. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 先生おっしゃったことが実は一番私といたしまして問題だなというふうに考えております。そのためには非常な経費もかかる。それから、表現の上におきましては、私も非常に近いところに難聴者がいますけれども、想像力は非常に豊富でございますので、ある程度補えば十分役に立つというふうには考えておりますけれども、それは余談になりましたけれども経費自体が非常にかかるということでございます。それが三十万なり四十万なりの方々を対象として、どれだけ放送事業者あるいはそれに関心を持たれるメーカーの方々その他が、どういう形で御援助をいただけるのか。この辺につきましては、実はメーカー等から私ども早期の普及の要望を受けましたけれども、その方々にお返ししましたことは、私どもやりたいと思います、ただそのために四十万くらいの方々はこういう立場にある、そのためには非常に経費が要る、その辺のことについても、普及した暁にはそれに何がしかの還元をいただくというようなこともお考え願えませんでしょうか、こういうような話も交わした経験がございます。
  167. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 お考えはわかりました。私は、実際問題としてかなりむずかしい、経費の面があるし、また、受信をする方の耳の不自由な方々も大変なような気がするわけですが、私は、補完的な役割りとしてはそういうものが想定をされる一つだと思うのですけれども、そのほかに、この精神でうたっておる「放送番組内容に関連し、かつ、その内容を豊かにし、又はその効果を高めるような放送番組」、これは、テレビジョン放送に関連をしてその内容を高めるような番組をつくれということは、具体的には一体どういうことを想定されているわけですか。
  168. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 まず、文字多重で申しますと、何といいましても、先ほどから議論になっております耳の不自由な方々に対する文字放送での情報追加でございます。それから、音声多重につきましては、すでにやっておられますようなところで、特別御説明することもないと思いますけれども、特に最近は、歌舞伎の注釈とかそういう形で、ステレオ及び二カ国語以外にもいろいろな形でお喜びいただいているのではないだろうか、このように考えております。
  169. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 でも、いろいろ考えてみると、そうたくさんやることはないような気もするわけなんです。そうすると、前の議論に戻るのですけれども一般放送事業者なりNHKが、補完的に使う以外に独立してテレビジョン多重放送を使うというのはもうおやめになって、後は全部第三者の方にやらせる、この方がいいのではないでしょうか。独立して自分のところでも多重放送をやる、また第三者にも貸すというほど、分けてやらなければならぬほど、そうたくさんさしむきは利用がないのではないかという気が僕はするのですが、どうでしょうかね。
  170. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 その辺、どういう形態で発展するのか、十分見守りたいと思いますけれども、いま申しましたように、さしあたり使えるのは二Hだということで、それを区別するのに非常に明快だということで、第三者と事業者自体、こういうふうに分けたわけですけれども先生のおっしゃるとおりに、ただいまスタートしますとそれぞれ十番組程度できるわけですが、そのうちの補完利用というのは、スピードにもよりますけれども二つ三つあれば十分だというふうに思います。それから、自分たちの番組自身での予告とか力を入れているような番組についても入れるのも、これは補完利用といえば三つか四つ、四つまでは要らないという気がしますが、六つないし七つは余るわけでございます。ただ、それを、別に21Hを予定しております独立事業者等の十番組の使い方、この辺も見ながらその辺やったらどうかということで、現在のところは、一Hずつ独立事業者、こういうことにしたほうが明快ではないだろうかということで、詳しいものにつきましては、もっともっと先の、コード方式などを入れられた時点でもまた考えられるべき問題だろう、このようには思っております。
  171. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 一般放送事業者は、必ずしも独立のテレビジョン多重放送を、補完以外のものをやらなければならないというふうにはお考えになっていないわけですね。
  172. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 その辺も、お聞きした計画なら計画を策定なさって、御説明いただくときに、いままでもうすでに御意見も聞いておりますけれども、実際にいろいろやる形になった場合に、どのように発展するかということを関心を持って見守りたい、こういうことでございます。
  173. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 いわゆる政令等に移行する部分が内容が固まっていないから、何がいい、かにが悪いと、なかなかこちらも言いにくいし、まあ監理局の方でも見守りながら逐次やっていこうということのようですから、それもやむを得ぬだろうと思います。  それから、さっきNHKに対して御質問があったのですが、NHKが今後はいろいろな関係する事業について出資ができるということになったわけですが、NHK出資する能力というのはどのくらいおありになるものですか。
  174. 坂本朝一

    坂本参考人 突然の御質問でちょっと即答しかねるのですけれども、いま金額が幾らぐらいかというようなことをこの場で申し上げるのはいささか早計かと思いますので、御勘弁願いたいと思います。
  175. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それもさっき、想定されるものは、新しくできるテレビジョン多重放送会社に対する、NHK系列といいますか、これに対する出資などが考えられる、そのほか新しいものができた場合とおっしゃったが、さらに加えて、これも先ほど質問がありましたように、いまの外郭団体の問題ですね、さっきも出版協会の問題が出ていましたが、特に、私は、NHKの外郭団体の中ではサービスセンター、これはもうほとんど本来NHKがやらなければならないような受信契約どもあそこに委託をしておりますし、それから、いろいろなサービスの関係についても委託をされておるようですから、さっき会長お話では、大体検討してみたいということですが、検討してみたい、これはそういう方向でやってみたいというお考えですか。出資をするという方向でやってみたいというお考えですか。
  176. 坂本朝一

    坂本参考人 外郭団体等について、もちろんいまいろいろなケース考えられると思いますけれども、やはり前向きに考えていくべき性質のものではないだろうかというふうには考えております。
  177. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 これはこの前、経営委員長も、うちの方で出資をしていない株式会社だからなかなか手が回らない、目が届かないというお話があったわけですが、きょうもお話がありましたように、これはみんなNHKがやっていると国民はみんな思っておるわけですから、そういう責任もあると思いますので、幸いこういう法律ができればそういうことがおやりになれるわけなので、おっしゃるように前向きでひとつ十分御検討いただきたいと思います。  次に、坂本会長さんに非常に喜んでいただける提案になるかどうかわかりませんが、長期ビジョン審議会答申の中に、新しいメディア等について収入が得られるようなことを考えてみろ、こういう条項がございましたね。このテレビジョン多重放送の受信機を設置している受信者からも、付加受信料というようなものをいただけるというようなことをお考えになったことはありますか。
  178. 坂本朝一

    坂本参考人 いわゆる新メディアによる料金の設定の考え方といたしましては、料金体系を変更しないで現行の受信料の中でやるという方法と、受益者に新たな料金を設定するという二つ方法があって、いま先生は、付加料金を考えられるのではないか。当然そういうことは私は検討に値するテーマだろうというふうに思っております。ただ、その場合に、その受益感が十分強いものと、それから実施経費が多額となる、その他現行の放送機能とは違った特性と申しますか、そういうものを有するものについては、付加料金をいただくという考え方を十分検討する必要があるのではないだろうか。ただ、それがいまここで御質疑いただいている多重そのものにすぐ当てはまるかどうかということになりますと、やはりもう少し検討する必要があるのではないだろうかというふうに思いますので、そこら辺のところはいましばらく御猶予をお願いしたいというふうに思う次第でございます。
  179. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 付加料金などというものをお願いせぬで済めばそれにこしたことはないのです。私は、視聴者の立場からそれにこしたことはないのですけれども、しかし、考えてみて、どうしてもNHKの財政的な運営が非常に困難だということになれば、その特別の耳の不自由な方々のための補完のものはまた別にして、ちょっとお金があってこれをくっつけようかというような方々からは幾らかずつ、いまのNHKの財政の窮状からそういうことを考えてみられるのも、この前私が申し上げたテレビジョン受信料のナショナルミニマム、これだけ出せば最低テレビが見られます、その上に二台持っておる人は幾らか多くとか、こういう付加設備をつける人はまた幾らか多くとか、そういう方法が、NHKの財政運営上検討すべき課題ではないかという意味でいま申し上げたので、お喜びになったか、お喜びにならなかったかわかりませんけれども、この点、これはおたくの責任ではないのですが、監督官庁としてはどうお考えですか。
  180. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 二台目の問題、あるいはただいま申しました文字多重というサービスを開始したときに、それをNHKに入るお金として考えるかどうかということにつきまして、私ども新しいことをやるのには非常にお金がかかるわけなんですね。放送衛星にいたしましても、今度の多重にいたしましても、お金がかかるわけです。ところが、いまの制度ではああいう形になっておるということで、十分検討しなければいけないと思いますけれども多重についてだけ申しますと、新しい多重が始まりましたときに、これはなるほどいい、いままでになかった非常に価値のあるもの、またそうしたアダプターを買う人も多い、多いかどうかという点において初めて考えられる。提案いたしましても、一般国民大衆から支持を受けられる、やはり付加価値いかんであり、普及の程度いかんであり、流す情報いかんであろうかと思っています。ただ、それが非常に高いから、そのままお金を払っていただけるという形にも結びつくかどうか、その辺、いろいろ申し上げましたけれども、二台目テレビその他の問題も含めまして十分考えなければいけないな。今後またニューメディアというものもどんどん出てくる。そうした場合に、どう考えたらいいのかということで、大方のお知恵を拝借し、私ども真剣に検討してまいりたい、このように思っておるわけでございます。
  181. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 これは、これからもずっと、おっしゃるようにニューメディアがだんだん出てくる。その場合に、お金もかかれば人も要るという場合にどう対応していくかということについては、手おくれにならないように、最初段階考えておかないと、いまから料金を引き上げます、これはそうはいかないのです。だから、こういうニューメディアを計画された段階で、やはりひとつ検討の課題として常に頭に入れて考えていただきたいと思います。  それから、もう一つ気になるのが、四十九条の三ですが、協会の場合は問題ないと思うのですけれども民放の場合に、「テレビジョン多重放送の用に供するための計画の策定及びその提出を求めることができる。」という規定になっておるのですが、これを拒まれた場合はどうなさいますか。
  182. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 実際にどういうときに求めるのかということもあるわけでございますけれども、この十一月にも再免許があるわけですけれども、そうしたいろいろな機会にお聞きするということもあるわけでございます。毎年四月にそういう計画を聞いてみようなどといま別に決めているわけではございませんが、文字多重、音声多重を含めまして、その普及の立場からお聞きをするということでございます。お聞きの仕方によると思いますけれども、拒まれるということはまず普通ないのじゃないかというふうに思っておりますが、もう少し申しますと、それによりましてどうこうするという罰則はなかったと思います。御理解をいただく、こういうことであろうかと思います。
  183. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 免許更新に当たって新しく免許をしないぞというおどしの文句があるようでございます。いまちらっと見えたのでございますけれども、そのときによくお話し合いをする、こういうことでございます。ないように期待していますが、実際そういう問題が惹起されるのではないか、法文を読んだだけではそういう気がするものですから、老婆心までにお伺いしたのですが、心配はないとおっしゃれば、何もわれわれが心配する筋ではなくて、運用の上で十分やっていけると思うのです。  もう一つ、民放連の方から、コード伝送方式とパターン伝送方式等について十分検討するようにという要望が出されておったのですが、とりあえずはパターン方式で発足する、こういうようなお考えのようですが、また後々コード方式との関係で、いろいろコンバーターといいますか取りつけたりするのに金がかかるというような問題が起こりませんか。
  184. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 民間放送連盟の方からの要望についてのお話でございますが、それにつきましては、先ほどの件もちょっとなにするわけですので、御説明さしていただきますけれども、簡単に申しまして、日本民間放送連盟の方から、二つの要望が文字多重放送導入に当たりまして出ております。その一つは、いま世上言われておりました、設備の強制貸与と申しますか、義務化するというようなのが世上伝わったらしくて、その点についての反対と、そういうことをしては困るというのが一点。それから、パターン方式とコード方式との問題でございます。両方とも、結局義務化はいたしません。それから、パターンとコードにつきましては、法改正段階で当然そういう言葉が入るわけではございませんで、私どもとしては、こうした新しい技術国民にできる限り早く還元いたしたい、そうした場合に、方式については、電波技術審議会というところで、関係方々を網羅した場所で御審議いただくわけで、非常に強い要望、特に聾唖者の団体等からの強い御希望に沿いまして、早く導入する道を開くという形式はとるわけでございますけれども技術的に御審議いただくときに、パターン方式で仮に先行いたしましても、コード方式が後から入ってまいりました場合にもちろんコード方式を排除するものではございませんし、先行いたしましたパターン方式を買いました聴視者にも不利益のない形、そういう形での御審議をいただけるというふうに考えておる、そうした形で、また、コード方式の前提に当たっては、パターン方式を無にしない、受信者に無用の負担がかからぬという形で御審議いただける、そういうことを踏まえた上で導入したい、こういうふうに考えているんだと御説明申し上げましたところ、私といたしましては、十分御理解いただいた、そういうふうな形なら要望書はともかく置いていくけれどもと、こういう形で私理解いたしておるわけでございます。
  185. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そこのところはわかりました。  最後に、だれに聞きましょうか、官房長に聞きましょうか、非常に嫌らしい質問でございますけれども、今回電波法の一部を改正する法律案がこの委員会に付託をされております。一方、行政事務の簡素合理化に伴う関係法律云々という長い、これはわれわれは許認可法案というふうに呼んでおりますけれども、そういうものが一方で提案をされ、その許認可法案の方には公衆電気通信法の一部を改正する法律が組み込まれて一本化されてよそに回っておる。ところが、電波法の方はわが逓信委員会で審査をする、これはきわめて当然のことだと思うのです。しかし、内容について考えれば、この電波法改正はほとんど許認可事項です。そして、公衆電気通信法の方は内容はなかなか重要なものを含んでおる。入れかわっておったならば、私はまだ理解ができるのですけれども、この許認可を中心にする電波法の一部改正が逓信委員会に単独法案として付託をされ、そして、公衆電気通信法が許認可事項として一本化されてほかのところに付託をされたという経緯について、どうも理解ができないのですが、官房長どうお考えになりますか。
  186. 澤田茂生

    ○澤田(茂)政府委員 お答え申し上げます。  今回、電波法改正に当たりまして、市民ラジオの免許関係以外の部分につきましても電波法改正を提案するということにいたしておったわけでございまして、同一の法案につきまして所管の委員会での十分な御審議がいただけるように、提案に当たっても十分配意すべきであるという点につきましては、阿部先生から再三にわたり御指摘をいただいているところでございまして、私どもそういった点につきましては心をいたしているつもりでございます。  そういう点を踏まえまして、今回、電波法改正につきましては、市民ラジオにつきましては、許認可整理という一環での臨時行政調査会からの御提言もあったわけでございますが、電波法改正という形で一本にして御提案を申し上げたところでございます。  なお、ただいまも申し上げましたように、国会での十分な御審議をいただくという観点からは、委員会制度というものを踏まえまして、委員会の所管というものを前提として法案を御提出するというのが原則であるということは、私どもも十分承知をいたしているわけでございますが、一方、立法技術的な観点と申しましょうか、諸般の事情によりまして一本化した方がより御審議に便利であるというような観点で一括をするということも、従来からあったわけでございまして、今回、公衆法改正関係につきましては、当初、新法並びに公衆法の改正ということで検討してまいりました。ところが、いろいろな事情もございまして、今回御提案を申し上げているような内容に限定をされたものでございまして、この内容が許認可の整理という形で、先生もおっしゃられました許認可の一本化法案としての目的あるいは内容と合致をするということでございますので、公衆法の一部改正につきましては、これら一括法案に盛り込まれて御審議をいただくということに相なったわけでございます。よろしくひとつ御審議のほどをいただきたいと思います。
  187. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 経過について知らぬわけじゃない。しかし、あなたが臨調の顔を立てるために、一本取られました、向こうに持っていかれましたとなかなか言えぬだろうから、それはいま、いろいろな事情がありましてと言うから、そういうことで了解をしますが、私の主張についてはあなたも十分御理解いただいたようですから、今後十分努力をしてもらいたい。  許されないのはあなたなんですよ。この前の通常国会で同じように電波法の一部を改正する法律案が提案をされました。そのときに、第百三条関係の手数料の徴収の関係について、これが許認可手数料であるという理由をもって、ほかの法案にくっつけられたのです。本体である電波法改正案がないのならばいざ知らず、本体である電波法改正が提案をされ、その一つの条項である許認可手数料だけなぜほかのところにくっつけなければならないかと言ったときに、手数料は国の収入が何とかかんとかでということで、あなたはあのときに、手数料関係だけはほかの法案にくっつけるのだということを強弁をされたわけです。今回、この電波法の一部改正の中に、百三条関係で手数料の改定が出ておりますが、これはこの委員会では審議せぬことになっているわけですね、手数料でございますから。したがって、この後は手数料だけは抜いてほかに持っていってもらいたい。あとのところは審議をいたします、賛成をいたしますが、手数料だけは、あのときのいきさつからこの委員会審議するわけにまいりませんが、どうでしょうか。
  188. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 法案の審議の形態につきましては、かねてから先生からいろいろお教えいただいておるわけでございますけれども、今度の市民ラジオをどうするかということにつきましても実はいろいろあったわけでございます。いわゆる行革法の一本ではなくて、今回、電波法改正を行う際に、市民ラジオの無線局に係る事項のほか、在日外国公館の無線局の開設に関する改正事項、あるいはSTCWというような改正事項がいろいろございますので、ともに電波法の無線局の免許制度に関する事項である、共通的な改正事項であるという形で、電波法改正は御提案申し上げているわけでございますし、先生ただいま申されました罰則の料金あるいは手数料につきましては、放送法改正影響を受けた電波法改正であり、あるいはテレビジョン放送法の改正を必要とするという形で、ようやくにしてかねてから先生の御指摘の形になって御提案申し上げておりますので、よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  189. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それでは、いまの電波監理局長の御答弁で、私が希望しておった、そうあるべきだという主張について御理解をいただいて、今回から本来の姿に戻ったのだ、そういうような御答弁と承りまして、了解をいたします。  終わります。
  190. 水野清

    水野委員長 これにて阿部未喜男君の質疑は終了いたしました。  次に、大橋敏雄君。
  191. 大橋敏雄

    ○大橋委員 私も、ただいま議題になっております放送法等の一部改正案について若干質問をいたしたいと思います。午前、午後と引き続いての審議で、同じ法案でございますので、当然重複する個所がかなりあろうかと思いますが、あしからずよろしくお願いいたします。  今回の法案を拝見してまいりますと、多様な情報に対する国民の要望にこたえまして、テレビ多重放送のうち、テレビジョン音声多重テレビジョン文字多重放送が実用化される。その改正案の中で非常に光り輝いているのは、それをNHKにも放送させ、またNHKテレビ多重放送のための放送設備の賃貸を行わせしむる、行ってもよろしい、こういう内容が冒頭に示されているわけでございます。その細部にわたっては、重要なところがまだまだ政令、省令等にゆだねられて明快ではないにしましても、今回の法案をざっと目を通した立場で、NHKさんから見たこの法案に対する感想を初めにお伺いしておきたいと思います。
  192. 坂本朝一

    坂本参考人 これは、御承知のように、新しい技術革新、ニューメディアの誕生によって国民にいろいろと情報多様化してサービスされる。これは国民の側から立てば多様な要求、要望があるわけでございますから、それに技術的にどうこたえていくかという一つの答案が示されたということで、私は十分対応すべきテーマであろうというふうに考えております。
  193. 大橋敏雄

    ○大橋委員 私は、特に、賃貸業務NHKの中に取り入れられた、この点は非常に好ましいことである、こう評価しているわけです。  そこで、私逓信委員になりまして本当にまだまだ素人そのものでございまして、特に電波のすき間の利用云々と言われてみても、最初さっぱり何のことやらわかりませんでしたが、専門家の方にいろいろお尋ねしているうちに、なるほどそういうことなのかと理解できたわけでございますけれども、きょうは文字多重放送という電波のすき間のことについて、私の理解がもし間違っておれば訂正いただきたいし、そうでなければそうだと答えてもらえれば結構です。これがはっきりしないと物事が正しく理解できないから、まず自分自身に言い聞かせるつもりでお尋ねをいたします。  テレビに映っているあの映像というものは、たとえば上の左端が出発点とすれば、ずっとS状に物すごい勢いで電波が走って、最後のところの終点で、それからぽんと電波が空間を飛ぶんだそうですね。そのいわゆる回帰線のすき間、その電波のことを言っているのだ。それには走査線番号というのがつけられていて、1Hから21Hまであって、もうすでに九Hは活用されているのだ。その次の10Hから15Hまでは、これを使うと現在の映像が乱れるおそれがあるということで使わないことにしよう。そして16Hから21Hまであるわけですけれども、今回の文字多重放送はこの16Hと21Hを使うのだ。NHKは、その16なら16の方一つを補完的な立場でこれを活用していく、もう一つは賃貸するんだ、こういう内容になっているんではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  194. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 大体御理解のとおりでよろしいかと思いますけれども、ちょっと専門的になりますけれども、画面を送るとテレビの絵が来るということを、仮に書物を読むということにたとえてみたいと思うのですけれども、それが五百二十五行ある一枚の絵というふうにお考えいただきたいと思うのです。これが左から右へ行く。これが一行目を左から右へ行く時間をHと申しております。ホリゾンタルで、水平期間でございます。画面は実は五百二十五行はなくて、絵にしますのでは大体五百行ぐらいです。二十数行は、これはページをめくる際に時間的にかかりますので、その部分は絵としては出していない。つまり、五百行まで下へ行きまして、上に目を移すために時間がかかります。あるいは次のページをめくるということでもよろしいかと思いますが、要するに時間がかかる。その時間がかかるのが二十五Hだったか、その辺までかかります。つまり、五百二十五Hのうちで五百Hを実際に目に見る形にして、あとの二十五Hの期間は下から上に目を移す、あるいはページをめくる、その間にかかる時間でございます。この時間については、表に絵を出しますとめちゃくちゃになってしまいます。そういうことで隠しておる。表に出さない。それを垂直帰線消去期間、下から上に戻る時間でございます。この辺に二十五Hの時間がかかっておる。この部面が現在のテレビでは必要がない。画面に出ていない、目を移す期間でございますから。こういう形で、返すときに画面に出しますと、ごちゃごちゃになってしまうわけです。その間をレベルを落としまして隠している。だけれども、それは用をなしていない。  ところが、二十五Hのうちで、放送局自体が運用するいろいろな信号のために十五、16Hから21Hのうち17Hから20Hまでは使っておる。それから、16Hと21Hについては、いま使えるわけだけれども、何も使っていない。だから、文字多重のために使えるであろう。Hというのはテレビで左から一行右へ走査するまでの時間でございます。  こういう形になりまして、研究をもう少しいたしますと、二十五Hは使っていない裏に返す時間なんですけれども、もう少し技術が進み、あるいは古い受像機が更新されれば、10Hから21Hまでが裏の時間だけれども、使う可能性がある。これが10Hから15Hまでの五Hについては、コード伝送方式で使えばいいであろう。可能性がある。ただ、いますでにわかっておるのは、16Hと21H、それから17、18、19、20というものは放送局が運用するために使っておるわけです。  そういうことで、非常にごたごた説明申し上げましたけれども、そういう形で、走査するのに時間がかかるわけですけれども、絵としては使っていない、下から上へページをめくるといいますか、下から目を左上に移すまでの不用な期間、この期間を時間的なすき間、こういうふうに申しておるわけでございます。その二十五Hなりが全部使えるというわけではない。現在のところ、16Hと21Hについては多重をするのに使える技術が発達した、こういうことでございます。
  195. 大橋敏雄

    ○大橋委員 いろいろと専門的なお話でございますから、全部がわかったというわけにはまいりませんが、とにかく16Hと21H、二つが今度実用化されるのだ。  そこで、私は、先ほど質問しましたように、その一つはNHKが補完的に使うのだ、一つを賃貸するのだ、このような理解でよろしいかと思うのです。  そこで、先ほどから議論になっているところでございますけれども、賃貸の対象者について質問が出ておりますけれども、まだはっきりした答えが出てこないわけでございます。いずれにしましても、NHKが賃貸をする場合は郵政大臣の認可を得なければならない、こうあるわけでございますけれども、その賃貸の対象者についてもう一度私にもお答えを願いたいと思うのです。どういう方を考えておられるのかということ、これはだれが大体どこでどうして決めていくのかも、ついでにお答えいただきたいと思います。
  196. 坂本朝一

    坂本参考人 これは御質問のとおりでございまして、NHKではその方策を検討しているわけでございますけれども放送多様化に関する調査研究会議の報告書にもございますように、NHK公共放送としての性格と、それから視聴者に対するチャンネルイメージと申しますか、NHKに対する現在のチャンネルイメージの維持、その設備が視聴者の受信料によって現在形成されているわけでございますから、そういうNHK性格や使命に十分留意した対応を図る必要があるというふうに、放送多様化に関する調査研究会議の報告書においても指摘されておるわけでございますので、そこら辺のところを十分留意した上でわれわれは対応すべきではないか。  具体的には、NHK設備利用する第三者は、NHK性格と、いま申し上げました使命を十分理解して、NHK番組編集の基本方針を尊重して業務運営に当たる、そういう放送事業者でなければならないのではないだろうかというふうに考えておるわけでございます。  したがいまして、具体的にそれじゃどういう事業者なんだということは、これからそれにどう対応していくかということをわれわれとしては検討すべきであろう、そういうふうに考えておるわけでございます。
  197. 大橋敏雄

    ○大橋委員 これは大臣お尋ねしますが、いまNHKの責任者の方のお話では、これからの問題ではあるけれども、いずれ公共放送であるNHKの使命等を十分理解できる、そしてそれだけの能力のある方を決めていくことになるであろうというお話でございますが、それなりの十分な検討NHKの中で行われて郵政大臣の認可を受けに来られることになると思うわけですが、その際、大臣は、何を基準に認可するかしないかを決められるのか、大臣立場からその点をお聞かせ願いたい。それとも、NHKから出てきたものは大体そのまま判をぽんとつくということなのか。どうでしょう。
  198. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 大臣お答えになる前にちよっと説明させていただきますけれども、実際問題としては、いまおっしゃいましたように、NHKそれなりの判断を十分お持ちなわけですから、結果的にはいまおっしゃったような非常に簡単なことになろうかと思いますけれども、それは内容はあるわけでございまして、判断の基準といたしましては、NHK第三者——NHKはやはり国民の皆様からの御理解によって受信料をいただいておる、そうした性格がございます。第三者はその放送設備利用して多重放送をやるということでございますから、まず、NHKの本来の業務に差し支えがあっては困るわけです。どういう設備の貸し方をするか。それからNHKのイメージがあるわけでございますから、いまも会長も申されましたように、受信料徴収への悪影響を与えるといいますか、NHKのイメージというものは当然あるわけでございます。そうしたものを壊すような第三者であるかどうか、そういうことであっては困るわけでございまして、そうしたものを判断の基準にいたしまして、NHKの相手方として十分ふさわしい方が申請してくるものと期待しておるわけでございます。そこらを尺度にいたしまして判断いたしたい、このように考えております。
  199. 大橋敏雄

    ○大橋委員 いまおっしゃったことは一応理解できますが、大臣に後でまたいろいろお尋ねしたいことがありますから、そのときで結構です。  その前にもう一つお尋ねしたいことは、このNHKテレビジョン放送に従事をする第三者テレビジョン多重放送には、コマーシャル挿入を認めるお考えがあるかどうかということでございます。
  200. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 やはり毎日の多重番組を出すためには費用がかかるわけでございます。そういうことで、財源をどこかに求めなければいけない。そうした場合に、当然、ふさわしい財源というものがあろうかと思います。そうした場合に、その一部が、たとえば国の告知業務的な内容のことを多重情報として流しまして、それにふさわしい対価を得るというようなことはあろうかと思います。その場合に、それがどこから来たどこの、農林省なら農林省のお米に関する考え方あるいはミカンに関する考え方であるのかどうなのか、それが農林省というような形で、それをコマーシャルと申すかどうかわかりませんが、ふさわしい乗せ方というものはあろうかと思います。そこで、当然、どの程度のものがコマーシャルとして流されるといたしましても、やはりNHKのチャンネルを回したときに入るものでございますから、それなりのふさわしいやり方というものはあろうか。それから、財源はどうしても必要であろうと思います。
  201. 大橋敏雄

    ○大橋委員 NHKのいまの財政事情は、年々非常に厳しい状況になってきておることは御承知のとおりでございますが、そういう立場に立てば、今回の賃貸のできること、あるいはいまコマーシャルベース的な内容お話を伺ったわけでありますが、そういうこともでき得るということになれば、NHKの経営面からは非常に有利な状況になってきた、こう思うわけです。  一方、民放立場から申しますと、たとえばいま言ったコマーシャルの取り扱い等について重大な関心を寄せるところではなかろうかと思いますので、民放の皆さんもそれなりに生き抜いていかねばならぬわけですから、その意欲をそぐようなことにならないように、実害を与えるようなことがないように、そこは十分配慮していただきたいと思うのであります。  そこで、いよいよ郵政大臣お尋ねしたいことが起こったのですが、今回の改正案の中で、若干私が疑念を抱く点があるわけでございます。その疑念をちょっと晴らしたいわけでございますけれども郵政大臣というのは郵政行政の直接の最高責任者であるということは間違いないと思うのですね。ですから、私は、そうした重要な位置づけ、あるいは責任ある郵政大臣に対して、決して軽べつしたり軽視する気持ちは毛頭ございません。が、先ほど話があっておりましたように、NHKというのは国民の、いわゆる視聴者ですね、視聴者の受信料によって支えられている公共放送、そういう立場で運営されているわけでございますが、わが国の唯一の公共放送機関だということであって、当然、これは不偏不党でなければならないのだという精神に立って、公正な運営に努力されていると私たちは見ております。  ところが、そのNHKの運営に対しまして、今回は、先ほど申しましたように、郵政大臣の権限がかなり強まってきた印象を受けるわけです。NHKの運営、経営等に対しては、郵政大臣といえどもその干渉は最小限度にとどめられていると私は思うのでございますけれども、そのNHKに対して、今回の改正案によれば、いま言いましたように、賃貸の場合の認可、これは郵政大臣の認可が要る、こういうことになりましたね。それからもう一つは、テレビ多重放送のための設備利用に関する計画の策定、提出、これも郵政大臣となっているわけでございまして、結局、これは郵政大臣NHKに対するチェックとみなしても、そういう意味に解しても間違いないんじゃないか。ということは、NHKに対する政治権力の介入の道を開いていくことにはならないのだろうかなというのが私の疑念なんです。この点についてどのような御見解でおられるか。
  202. 箕輪登

    箕輪国務大臣 今回、四十七条の改正により、NHK第三者への設備の賃貸の郵政大臣の認可に当たり、両議院の同意を要しないこととしたのは、各年度のNHKの収支予算、事業計画等についての国会の御審議の中で御判断をいただけるものであって、この場合の郵政大臣の認可は国会の御判断の具体的な執行にすぎないと考えていたものであります。  また、四十九条の三の規定によって、多重放送の計画の策定、提出を郵政大臣が求め得るとしているのは、多重放送の普及に資するため放送事業者の協力を求めようとするものであって、したがって、これらはNHK番組ないし経営に介入するという性格のものではなくて、NHKの不偏不党を損なう政治介入の道につながるものではないと考えております。
  203. 大橋敏雄

    ○大橋委員 いまの御答弁どおりだと、問題はないように聞こえるのですけれどもNHKの予算あるいは運営計画等については、当然、国会で審議され、両院のチェックを受けるのだ、そういう基本的なチェックを受けているわけだから、その後における具体的な賃貸についてはNHKが一々国会に諮ることはなかろう、もう私は結構ですよということのようでございますけれども、そのNHK審議のときに、そこまで細かい内容が出てくるかどうかというのが一つあると思うのですね。  それから、もう一つの点は、計画の策定、提出というのは、NHKの運営、経営までに立ち入るものではない、こうあるのですけれども、今回郵政省からいただきました放送法等の一部を改正する法律案関係資料の中に新旧対照表というのが出ているのですが、そのうち、四十九条の三の中ごろに、「テレビジョン多重放送の用に供するための計画」、その後括弧をして、「放送事項、放送設備利用主体等に関する事項を含む。」こうあるのですね。ということは、「放送事項」というからには、いま言われたような内容まで含まれる表現だと私は思うわけですね。  実は、私もこの点が非常に気になったものですから、私なりに勉強してみたところ、放送法の四十九条の二「資料の提出」というところに規定が明示されまして、さらに放送法の施行令第四条には、郵政大臣が資料の提出を求めることができる事項としてずっと列挙されておりますけれども、その中に、括弧書きでこう書いてあります。「放送番組内容に関する事項を除く。」これははっきり明示されているわけですね。私は、これは当然のことだと思うわけですね。NHK放送番組内容については、当然自主自律の制作であって、郵政大臣がチェックする内容ではないと私は思うからでございますが、その点、四十九条の三を起こして、いま申し上げましたように、「放送事項」云々という言葉がこの中にわざわざ入ってきたのはどういう意味なのか、ちょっと理解に苦しむのですが、いかがでしょうか。
  204. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 まず最初先生がおっしゃいました、国会の両議院の同意を要しないことにして郵政大臣のみの認可としたことについてでございますが、これは各年度のNHKの事業計画等におきまして、ことしは名古屋地方をやりますとか、四国地方をやりますとか、現に音声多重をいま試験的にやっておりますけれども、そうしたものについても、毎年どの地方について多重をやるかというような計画が事業計画の中で審議されております。したがいまして、多重につきましても、どの地方あるいはどのブロックあるいはどの県において多重をやるかということについては、毎年度御審議いただいております収支予算、事業計画等の中に盛られるということを期待しておるわけでございまして、そうした意味で国会の御審議を毎年得る。そうすると、あと、四国なら四国におきまして、あるいは松山なら松山におきまして第三者多重をやらせる、こういう個々の設備の賃貸につきましては、その年度の予算審議の中で御審議いただいておるので、地方の、松山なら松山というものの設備の賃貸については、一件一件国会の御審議を経なくても、大臣の行為は国会の御判断の具体的な執行にすぎない、このように考えておるわけでございます。  それから、その次の四十九条の三でございますけれども、まず最初に申し上げますけれども、これは協力を求めて計画を策定していただいてお聞きする、こういう趣旨のものでございまして、それは、どのようなステージで多重放送の普及が図れるかということを把握いたしたい、それと、テレビをすでにやっておる事業者と第三者契約で申請してくるわけでございますけれども、その辺の計画を事前に知りたいというような考え方でございます。  なお、先ほどもこれに対する御質問がありましたけれども、拒否した場合、出してこなかった場合どうなるのか、私、そういうことはなくてお願いするというふうに申し上げましたけれども、もっとはっきり申し上げますと、違反に対する罰則は当然ないわけでございます。それで、番組内容に対する介入というようなことは全然考えておらないわけですし、第三条も厳としてあるわけでございます。「放送事項」というのは何か、先ほども議論になりましたけれども多重の場合、一Hで十種類、二Hですと現在二十種類、それからA社とB社というようなものがありましたとき、四十種類の番組が送れるわけでございます。そうした場合に、一Hの中の何番目の番組におきまして補完をやるかあるいは文字放送をやるか、16Hの中の一番目、二番目、三番目、四番目において何をやるのか、ニュースをやるのかというようなことについての放送事項、ニュース情報なのかスポーツニュースなのか、あるいは天気予報なのか交通情報なのか、その辺の放送事項でチャンネルごとに整理をしてみたい、お聞きしてみたい。そういうことによって、A社とB社の場合の、A社の一番目とB社の一番目というようなものも脈絡がある、同じものということはちょっと問題かと思いますけれども、おのずから整理がされるであろう。聴視者の立場からのたとえば調整といいますか、A社はこうなっている、B社はこうだ、C社はどうなるというような形でお聞きした上で、よその会社の模様もお知らせするという意味放送事項をとりたい、こういうことでございます。
  205. 大橋敏雄

    ○大橋委員 それでは、確認の意味で申し上げますが、「テレビジョン多重放送の用に供するための計画」、その後の括弧書きの中に「放送事項」とあるのは、決して番組内容まで及ぶものではないのだ。つまり、先ほど申しました四十九条の二を受けた施行令四条の括弧書きの中にある「放送番組内容に関する事項は除く。」というこの文言は、そのまま生きておるのだと理解してよろしいでしょうか。
  206. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 そのとおりでございます。放送法の三条を私ども遵守すべきものというふうに理解をいたしております。
  207. 大橋敏雄

    ○大橋委員 NHKの使命と姿勢というものは、従来も今後も絶対に崩してはならないという思いを込めていま確認をとった次第でございます。よろしくお願いしておきます。  それで、先ほど、この計画というものは強制するのかしないのかというような意味を含めての質問がありましたが、これは決して強制するものではありません、ただ提出を求めるのですということでしたが、じゃ、求めてなおかつそれを拒否したものについてはどうするのだという質問に対して、たしか、免許の再更新のときなどによくお話を申し上げます、お話をしようというものについては、いや聞きませんというような人はまずないと思います、罰則も何にもありませんという御答弁のように私は受けとめたのですが、もし私の理解に誤りがあれば訂正願いたいのですけれども、もしいま言ったようなことであるならば、私は、計画を出しなさいと言われても、強制ではなくていま言ったようなことで済まされるのならば、もうめんどうくさい資料などを寄せ集めて提出する人はなくなってくるのじゃないかと思うのですよ。提出しなくたって、罰則もなければ、たまたま免許の更新に行ったときに、ああ、ちょっといらっしゃいと、何かお話を伺うだけで事済むのならば、もうそれはむずかしい資料を提出しない方がうんと楽ですから、私はそちらの方になるのじゃないかという懸念を抱くのですけれども、いかがでしょうかね。
  208. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 はっきりと御説明するために、罰則はございませんということを申し上げたわけですし、それが事実でございますけれども、実際問題としては、私どもお互いにそれぞれの立場を理解して電波行政も進めておるつもりですし、新しく俎上にのりました多重放送文字多重あるいは音声多重というものをいかにして推進していくかという、純粋にその立場から、必要とする情報を各事業者からお聞きしたいということで、先ほど免許の際というふうに申しましたけれども、それはちょっと誤解を生むといけませんので、いつとるのかということだと、毎年とるとかそういうようなことでもございませんし、おのずから、その契約をした方がその申請を私どもの方にしてまいらないと放送事業者にはできないわけですから、ある既設の放送事業者契約ができますと、後ほどその方が契約はこういうふうにできましたという形で申請はされるわけです。ところが、このように書いておきまして、放送事業者の方からすでに情報は得ておる、こういうことになれば、私どもは準備もできますし、それなり情報を両方からお聞きできるということになりますわけでして、その辺につきましては、いろいろと申し上げましたけれども、十分御提出いただけるものを御要求をして協力していただけるというふうに思っておる次第でございます。
  209. 大橋敏雄

    ○大橋委員 いずれにしましても、その辺はもう少し整理なさった方がいいのじゃないかと思います。というのは、まじめにそうしたものを提出する人々とそうでない者とに、何ら問題がなければ、不公平、不公正というような感じを抱かざるを得ませんので、これはもう少し検討を要すると思います。  それから、もう時間がわずかですので要点だけ申し上げますと、出資関係でございます。今度の法案でNHK出資できる——従来幾つかは法定されているわけでございますが、今回の改正でその枠が拡大されたんだ、こういう理解でよろしいかということが一つ。  それから、その枠の拡大に伴う対象者というのは、法案を見る限りにおいては、NHK業務に密接に関連する事業を行う者、こうなっているわけでございますが、この点についてお答え願いたいと思います。
  210. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 現在NHK出資条項は、宇宙開発事業団等列記されているわけでございますが、このように改正しようとするのは、各出資の対象を拡大しようという考え方でございます。対象としていろいろ考えられるわけですけれども、現時点ではやはり、NHK自身が毎日放送しております番組を収録したビデオテープあるいはビデオディスク等の制作、販売に関する事業とか、あるいは、いま御審議いただきました協会の放送設備を共用する多重放送を行う事業等が考えられるわけでございます。そのようなことで、NHKに密接に関係がある事業に対する出資、その辺についてはおのずから範囲というものは決まってくるというふうに考えておるわけでございます。
  211. 大橋敏雄

    ○大橋委員 先ほどたしか出資の比率の質問が出たように記憶しているのですが、そのときのお答えが、まだ何も決まっていないような答弁だったようにも記憶するのです。もう一度、恐れ入りますが、出資の比率等に対する何か構想があるのならば、この際教えていただきたいということです。
  212. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 別の先生の御質問の中で出たことかと思いますが、それは私の理解では、新しくできる多重放送事業者に、地方におきまして既設の民間放送事業者設備を貸すとしたときに、どの程度までその多重放送事業者出資できるのか、そういうようなことで三〇%というような数字が出たかと思います。いまの先生お話は、NHKが今度出資条項を拡大いたしましてどんな事業を考えているのか、その事業がいろいろあろうかと思いますけれども、その個々の出資の比率についてはどうなんだというふうな御質問かと思いますけれども、これは先ほども申しましたように、ビデオディスク会社と申しますか、あるいは放送設備を使わせてもらう放送多重事業者、それぞれのどういうところにNHK出資するのか、そのパーセンテージはどのくらいなのかということにつきましては、それぞれ相手によりまして多少違うのではないだろうか、こういうふうに考えるわけでございます。  それで、くどいようですけれども、三〇%とかいうのがほかの論議で出ましたけれども、これと今度のNHK出資する、NHKに密接に関係の深いところに出資する比率とは、話は全然別の問題だ、そのように考えておる次第でございます。
  213. 大橋敏雄

    ○大橋委員 じゃ、これを最後に終わりたいと思いますが、コード伝送方式あるいはパターン伝送方式が種々論議されておるようでございますが、民放連盟の御要望の中に、将来性あるすぐれた方式を採用するためには、十分比較検討して、あわてないでほしいという趣旨の要望が出ていたわけでございます。今回パターン方式で発足する、こうお聞きしているわけでございますが、パターン伝送方式で発足なさるという理由ですね。また、もし将来パターン伝送方式からコード伝送方式に変更される場合は、受像機の取りかえから必要になってくるということで、将来、受信者に対して多分の負担、出費を強いることになるのではないかという心配もございますので、これも含めて、最後の質問としてお尋ねいたします。
  214. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 先生おっしゃるとおり、日本民間放送連盟からの要望事項の中の一つでございます。それで、私、実は電波技術審議会という場でパターン方式についても御審議をいただいたわけですし、コード方式についても現在鋭意御検討いただいているわけでございますけれども、この民放連の方でおっしゃっているコード方式についてでございますけれども、コード方式の検討の前提条件として、パターン方式との整合を十分図ってもらいたい、それで、パターン方式を先行導入して後にコード方式を導入するという形になっても、両方式が併存できる、そして、先行投資したといいますか、簡単に言いましてパターン方式を買った人が損した、そういうような形にならない基準の決め方があるというふうなことでございますの資先生ただいま申されましたような、受信者に無用の負担を強いることにはならないというふうなこと、それから、パターン方式がもうすでに日本などの文字国といいますか、象形文字国には非常に都合のいいという形の技術開発ができておる、実用化の段階に入っておるということでございますので、それがまた、いわゆる耳の不自由な方々が非常に熱望されておる、技術成果の結果をできる限り早急にそうした方々にお返しするというか還元するということが必要であろうということで、要望書をお持ちになりましたときに、大臣にお会いになる前に私十分その辺御説明申し上げまして、私といたしましては、民放連の会長初め二、三の方がおいでになっておりましたけれども、そういうことならば、特に要望しなくてもわかったようなものだけれども、一応大臣にお渡しだけして帰ろう、こういうようなことで、大臣の場合もその要望書をいただいただけで、詳しい御説明もなかったように私は記憶しておるわけです。ということは、つまり御理解いただけたというふうに思っておる次第でございます。
  215. 大橋敏雄

    ○大橋委員 終わります。
  216. 水野清

    水野委員長 これにて大橋敏雄君の質疑は終了いたしました。  次に、西村章三君。
  217. 西村章三

    ○西村委員 放送法電波法改正問題点あるいは疑問点というものの所在が、大体皆さん考えておられるところが一緒でございます。したがって、私もできるだけ重複は避けたいと思いまするけれども、一部重複するところがあるかと思いますが、あらかじめ御了解をいただきたいと思います。  まず、私は、NHKに関連する部分からお尋ねをしたいと思うのでありますが、今回の文字多重の活用というものは、NHKにとりましては、総合テレビ、教育テレビ、この二つのチャンネルを持っておるわけでございまして、おのおのに二つずつ文字放送利用するすき間、16Hと21H、こういうものがあるのであります。そのうちおのおの一つは番組の補完的利用に使う、あと残り一つずつのすき間は、これは二つとも第三者利用を認めるということになるのか、まずそのことから聞かしていただきたいと思います。
  218. 坂本朝一

    坂本参考人 先生のおっしゃるとおり、それぞれの波に二つずつ考えられる。その一つはNHKの補完利用ということが主になるということでございますから、当然次の波には第三者利用考えるということになるのではないだろうかと思います。
  219. 西村章三

    ○西村委員 放送設備につきましては、私は余り技術的なことは存じないので教えていただきたいのですが、総合テレビと教育テレビ放送設備というものは、全く別なのか、あるいは共同使用の可能性のある部分というのがどの程度あるのか、この辺は技師長さんいかがでしょうか。
  220. 高橋良

    高橋参考人 先生の御質問でございますが、総合放送と教育放送設備は全く違うものだというふうにお考えになっていただいてよろしいと思います。
  221. 西村章三

    ○西村委員 そうすると、必然的に二つ第三者機関といいますか、事業者をつくらなければならない、こういう理解でよろしゅうございますか。
  222. 坂本朝一

    坂本参考人 そこら辺のところは、これからわれわれが第三者の事業体をどういうふうに考えていくかということになろうかと思いますので、にわかにそうだというふうにもお答えしかねるかと思います。
  223. 西村章三

    ○西村委員 先ほど来しばしば述べられていることでございますが、NHK公共放送としての使命や性格、あるいは聴視者に対するチャンネルイメージ、また、あるいは設備が視聴者の受信料によって賄われておる、維持されておる、こういう諸点を考えまして、やはり第三者利用につきましても、その公共的な性格というものが損なわれてはならないということは当然だと思います。会長も十分そのことは検討すると先ほどから御答弁をいただいているわけでございますが、郵政省としては、この第三者利用、特にNHK第三者利用についての条件といいますか、注文といいますか、こういうものの考え方を聞かしてください。
  224. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 賃貸認可の対象としてふさわしいものはどういうものを考えているかということかと存じますが、何しろNHKは、全国の聴視者の方々受信料によって成り立っておる公共的な機関でございます。そのNHK放送設備利用する者でありますので、一般放送事業者になるわけでございますけれども、当然にNHK自身業務に支障があっては困りますし、受信料徴収への影響があっては困るわけでございまして、そうした点から判断いたしまして、NHKの相手方としてふさわしいかどうか、そういう観点から判断もいたしたい、このように考えております。
  225. 西村章三

    ○西村委員 文字多重放送のネットにつきましても順次全国的に普及を目指していきたいという坂本会長の御答弁もございました。これは、言うなれば地方局ごとに事業主体を認めていくという方向になるのか、あるいは全国の単一事業体ということで、それぞれの地方局のローカル面も配慮をしてやっていく、もう一つは、いわゆる総合テレビと教育テレビ二つの事業体といった場合に、そこらの競合する問題はどのように考えておられるのか、お尋ねをしたいと思います。
  226. 坂本朝一

    坂本参考人 そこら辺も、午前中にも御説明いたしましたように、やはりNHKとしては順次拡充していきたいということで、最終的には県域、各県ごとにというところまで努力すべきだろうというような御指摘をいただきまして、私もそうあるべきだろうというふうに思うわけでございます。したがいまして、総合、教育の競合、そういうものをどう調整していくかというのは、やはり具体的な番組の中身等の調整というようなことは、当然NHKのチャンネルを使うわけでございますから、われわれの基本的な方針に沿って考えてもらうというようなことで調整することになるのではなかろうかと思うわけでございます。
  227. 西村章三

    ○西村委員 今回の改正電波監理審議会の答申を得て郵政省がお出しになった。審議会の答申というものは当然最大限に尊重されるべきものだ、かように理解をいたしておりますが、また一面、NHKにおきましても、先般、長期ビジョン審議会答申が出たわけでございます。その答申の中では、いわゆる放送設備の賃貸の問題につきましては、「NHK放送設備を新規参入の第三者に提供することには多くの問題がある。」中は抜きますけれども、したがって、「第三者利用は避けることが望ましい」と述べておるのですが、NHKとしては、この長期ビジョン審議会答申との関係につきましてはどのように理解をしておられますか。
  228. 坂本朝一

    坂本参考人 長期ビジョン審議会先生方も、この場においてもいろいろ御審議の対象になっております公共放送受信料制度によって賄われているNHKと、第三者利用させることによる財源とのかかわり等もあって、第三者利用させ得ないで済むならばそれの方がいいのじゃないかというような御意見が、やはり御審議の過程の中で出ておったわけでございますけれども、最終的には、いろいろ多様化するということに対応していくべきであろうというふうに、私としては、その御答申をいただきながらなおかつ前向きに考えていくべきじゃないだろうかという経営判断をしているということでございます。
  229. 西村章三

    ○西村委員 郵政省お尋ねをいたしますが、「第三者利用は避けることが望ましい」という長期ビジョン審議会答申内容があるわけでございます。これについて、今回の法改正ではどのように配慮されましたか。
  230. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 そのような答申が出ていることは私どもも承知しておるわけでございますけれども、こうした多重放送というような新しいメディアが出てまいりまして、それをどう利用するか。利用すべきであるということは当然出てくるわけでございますが、それにつきまして第三者利用を認めることについては、私どもの中でもいろいろ議論があったわけでございますが、やはりそれなりの使い方があるであろう。NHKのイメージを損なわず、しかも、全国的に設備としてはあるわけでございますし、それを利用しないという手はない。ただ、御存じのように、いまのNHKが、全部そのまま第三者利用というものをしないで自主的に、独立利用及び補完利用を含めてNHKだけがやるとした場合に、余りに大きな力といいますか、マスコミ集中になり過ぎるのではないか、こういうような議論もあったわけでございます。そうしで、やはり特別にNHK民間放送とを文字多重利用に当たって区別すべき理論は見当たらないということで、提案のような形で御審議いただいておる、こういうことでございます。
  231. 西村章三

    ○西村委員 そうすると、そういう経緯にかんがみまして、第三者利用がやむを得ないということになりましたら、NHKとしては、この審議答申の中にも出ておりますように、当然制度上の配慮、「制度上配慮が払われるべきである」、このように答申は書いておるわけでございます。制度上の配慮というのは、いわゆる第三者機関ができた時点で契約内容で明らかにする、かように理解をしたらいいのでしょうか。
  232. 坂本朝一

    坂本参考人 おっしゃるとおり、現実の問題になればそこら辺のところがきちっとするようにしてもらいたいということになるのだろうと思います。
  233. 西村章三

    ○西村委員 次に、出資対象の問題でございます。  今回の改正によりまして、放送法第九条の三の出資対象につきましては、従来の宇宙開発事業団あるいは通信・放送衛星機構、有線テレビ放送施設者に加えまして、NHK業務に密接に関連する、こういう名目のもとで、しかも政令で定める事業者に出資の道を開いたということになっておるわけであります。宇宙開発事業団なりあるいは通信・放送衛星機構、有線テレビ放送施設者、こう明記をしておるのでありますが、今回のこの改正案では、この第三者利用の事業者を条文に明記をしておりません。この明記をしなかった理由というのはどういうことですか。
  234. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 九条三で申します業務に密接に関連する事業というのは何かということでございますけれども、まずそれについてお答えしたいと思います。  協会の業務に関連する事業で、協会の業務の遂行に必要であるという意味でございまして、具体的に申しますと、協会が放送する放送番組を収録したビデオテープあるいはビデオディスク等の制作、販売に関する事業、あるいは放送番組やその素材の制作、提供に関する事業、それから協会の放送設備を共用してテレビジョン多重放送を行う事業等を考えておるわけでございます。  これらの事業を法律上明記しないで政令で定めることとした理由でございますけれども、それにつきましては、他の特殊法人の出資に関する規定等も見まして、そうしたものに横並びの形で政令で決めたい、こういうことでございます。
  235. 西村章三

    ○西村委員 これによりまして、出資対象が従来厳しく制限されておったものが、協会の業務に関連するものであればある程度出資可能になる、こういう道を開いたわけでございます。先ほど局長答弁で、NHKの場合と民放の場合は、その出資の比率は当然変わるものだ、こうあったのです。また、けさほど同僚委員の方から、民放の場合は出資の比率は大体三〇%以下ぐらいに抑えなければならぬのじゃないか、こういうお尋ねもございました。私もそのような方向でいま考えておるところでございますが、まず、このNHK民放の場合の出資比率がなぜ異ならなければならぬのか、この点について局長の方から御説明をいただきたいと思います。
  236. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答え申し上げます。  NHKの場合、民間放送と違う点はどこかということを考えました場合に、聴視者からの聴視料によって成り立っている。したがいまして、第九条の三項に当たりましても、いわゆる営利禁止の条項というようなものもあるわけでございます。そうしたことを考えました場合に、多重の場合、協会の設備第三者に開放いたしましてそういう形で多重の普及を図ろうというわけですが、一般放送事業者第三者契約する場合、あるいはNHKがそのための第三者を選ぶ場合、選ぶに近い形になろうかと思いますけれども、当然何%ということはございませんけれども、おのずから、そうしたことからいたしまして、たとえば民間放送の場合いろんな情報ソースを求めるということで、三〇%くらいが適当でないかというふうに申し上げたわけでございますが、多重NHKの場合は、場合によってはもう少しNHKの出すパーセンテージが多い場合もあり得るかもしれない、このように考えたわけでございます。
  237. 西村章三

    ○西村委員 民放性格NHK性格は違うわけですから、当然出資の比率につきましても差異があって当然だ、かように考えております。  それから、放送設備のいわゆる賃貸ができるという部門でございますが、この賃貸のいわゆるリースの金額設定でございますが、これは一概にまだまだ早計に決められるものではないと思うのでありますけれども、その設定を行う場合の算定基礎というものはどういうところに基準を求められるのか、財産価値あるいは使用価値、さらには耐用年数、こういうものも当然のことながら関係をしてくると思うのであります。その金額の算定基準は一体どういうことを考えておられるのか、すでに検討されておるのか、されておればお答えをいただきたいと思います。
  238. 高橋良

    高橋参考人 御質問の、施設を貸与する場合の算定の基礎でございますが、これはただいま先生が御指摘のとおり、いろいろな考え方があるわけでございます。ただし、一つの考え方として現在検討しているのは、このようなことを考えているわけでございます。NHKとしましては、設備を賃貸して営利業務を営むことはできないわけでございますが、最低限といたしましては、まず、現在保有しておりますところの放送設備の資産、それから、今後これがバリアブルになるわけでございますが、今後新設する放送網、場合によっては老朽設備を改修する、新しくする、そういうものの資産に、減価償却費、さらに金利、さらに運用費と保守費、これでもって大体放送網の設備費というのは成り立つわけでございます。先ほど大橋先生の御質問にもございましたように、一H分のところの使用料という考え方をいたしますと、五百二十五本という走査線でございますが、これの約半分のところにございますから、二百六十二分の一というものがこれにかかる。さらに、全放送網のところをメーンの番組で使用する場合には、音声のところは使わないわけでございます。したがって、全放送網の三分の一は使用しない。映像に使う三分の二のところにさらに二百六十二分の一というところの費用だけは負担していただくことになるのじゃなかろうか。これが現放送網に現用施設並びに現有資産に対する考え方でございます。  さらに、今度新しく文字放送を行うために新設する設備といたしまして、多重装置がございます。さらに、仮に地方局にこれを東京から送るということを考えますと、それを新しく設備する再生中継設備があるわけでございます。これの設備費と、さらにただいま申し上げました金利、減価償却費並びに運用費、保守費、それの分が当然二H分としてかかるわけでございますから、その半分の一H分は、放送網使用料と新たに新設する多重化再生装置の使用料としていただくことになる、このような基礎でいま検討している最中でございます。
  239. 西村章三

    ○西村委員 まだまだその多重化装置も本格的にやられておりませんから、現在の時点で試算はむずかしいと思うのでありますが、何かそういうものを想定しておよその試算数というものは出された経緯がございますか。あれば金額も……。
  240. 高橋良

    高橋参考人 先ほど先生からも御指摘ございましたように、これでいいかどうかということは、さらに他の、たとえば電電公社の回線使用料、そういうものも参考にいたしまして、さらに検討を進めてまいりたいと思っておるわけでございますが、先ほど申し上げました算出根拠で求めてまいりますと、全国放送網の使用料の一H分に対しましては約二億ぐらいになるのじゃなかろうかと思います。それから、新しく多重化装置、さらに全国放送局における再生中継装置、これも仮に計算いたしますと三億から四億ぐらいという形の算定ができるのじゃなかろうかと思っておりますけれども、なおさらに検討さしていただきたいと思っております。
  241. 西村章三

    ○西村委員 算定基準の考え方は一応理解ができました。問題は、それが適正かどうかということの判断でございますけれども、それは一体どこがおやりになるのですか。
  242. 高橋良

    高橋参考人 先ほど会長が御答弁しましたように、第三者利用者との間においてこの値段で協議が成立するかどうかというのが第一問題じゃなかろうかと思いますので、その辺を勘案いたしまして検討してまいりたいと思っております。
  243. 西村章三

    ○西村委員 郵政省行政指導としては、そういった点には全然介入はされないわけですか。
  244. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答え申し上げます。  第三者利用で賃貸料を設定する場合にどんな算定基礎が適当と考えているかということでございますけれどもNHKの方からの御説明もございましたように、やはり放送設備利用時間あるいは放送設備の維持管理などにつきまして、第三者が負担する割合などを勘案する必要があろうと思います。したがいまして、NHK第三者との放送設備賃貸借契約におきまして、そうしたところから勘案して社会常識的に決定されるべきものだろう。そうした場合に、先ほども申しましたように、やはりNHKでございますので、その性格上、営利目的禁止の条項というようなものも放送法第九条第三項にございますので、そうした趣旨はやはり踏まえざるを得ないであろう。ただ、やはり適当な基準、お話し合いができるということに、まあ最終的にはそういうことかと思います。
  245. 西村章三

    ○西村委員 ただいまの答弁によりますと、やはり放送設備の賃貸の金額算定についても、NHK民放とでは、算定基準は別にして、金額的にはかなり開きがある、かようにも受け取れるわけですが、そう理解してよろしいですか。
  246. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 ただ、そういうことを直接的に申したつもりはございませんけれども、結果として、いろんなケースがあり得るかと思いますけれども、やはりNHKだということからはどうしても離れられないということはあり得る、こういうふうに思うわけでございます。ただ、NHKの場合、使い方にもよりましょうけれども、非常に隅々までカバーしておるわけでございますし、同じ流すにしましても、伝わる範囲というものは、非常に民放の場合違っている地域が多いわけでございます。
  247. 西村章三

    ○西村委員 出資対象の範囲が拡大をされまして、業務に密接に関連するという事項が入っておるわけでございます。現在NHKは非常に経営が困難な状況に直面をいたしているわけでございますが、これらは拡大解釈をいたしまして、現在の外郭団体あるいは外部団体、いわば事業と非常に密接な関係にある団体について、それらの団体も出資対象に含まれる、かように理解をしてもよろしゅうございますか。
  248. 坂本朝一

    坂本参考人 検討する対象に当然含まれてしかるべきだろうというふうには考えております。
  249. 西村章三

    ○西村委員 現在NHK業務と密接な関係にある外郭団体あるいは外部団体、これは何社あると考えておられますか。それぞれいろいろな団体、財団法人、社会福祉法人、学園、株式会社も含めて、かなり業務と密接な関係にあるものがほとんどだと思うのでありますが、それぞれどういう業務内容なのか、それもあわせて簡単にひとつ答弁してください。
  250. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 お答えいたします。  NHK業務上非常に密接な関係にある団体、私どもは一応十四団体を考えております。その中には、NHK交響楽団あるいは厚生文化事業団、日本放送協会学園等、NHKが助成をしている団体、それから、職員の福利厚生関係の団体として、健康保険組合であるとか日本放送協会共済会、これはNHK自体がやるべき仕事をかわってやっている団体というものでございます。  あとの九団体、これはNHK業務を一部委託している団体であるとか、たとえばNHK美術センターというふうな、NHK業務を発注いたしまして、NHKの仕事を主としてやっている団体であるとか、あるいはNHK番組の普及であるとか事業の周知であるとか、そういうものをやっているサービスセンターであるとか、あるいはNHK放送のテキスト、そういうものを発行しております出版協会であるとか、そういうNHK業務と非常に密接な関係にある団体、これは財団法人もございますし株式会社もございます。一応そういうことでございます。
  251. 西村章三

    ○西村委員 一応含まれるという解釈が成り立つようでありますが、その場合に問題になりますのは、やはり放送法第九条三項の営利目的の禁止条項、これとのかかわりあいが出てくるわけでございます。今回の改正の中でも、もちろん郵政大臣の許可があれば業務に関してというものがついておりますが、出資をすることによりましていわゆる副次収入の増大もある意味では期待ができるわけでございます。そうなったときに、この第九条三項の営利目的の禁止条項とのかかわり合いがまたまた問題になりまして、ある意味ではこの営利目的の禁止条項そのものを緩和するといいますか、改正の必要が出てくるのではないか、こういうことも考えられるわけでございます。郵政省として、この点についての考え方を聞かせてください。
  252. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 NHKの五十七年度予算のときにおきましてもいろいろ御審議いただいたわけでございますけれども、基本的にNHK経営基盤というものにつきましては、いろいろな角度から検討する必要がある、そういうことは長期ビジョン審議会でもいろいろ御論議いただいたわけでございます。そうした背景を受けまして、この際、文字多重放送などを導入されるときにも考慮されたわけでございますし、そうした意味での出資条項の拡大、少しでも身軽にすると申しますか、自由な活発な活動ができる、こういう観点からの出資条項でございますが、やはりNHKは、先ほどから何度も申しているように、何といいましても国民全般からの受信料をいただいておる。そうしたわけで、当然に営利目的そのものというような形の活動は制限されるわけでございまして、そうした束縛の中において何とか工夫をして活路を見出していただきたい。そういう意味での出資条項の拡大でございますが、やはりNHKの仕事に密着したという言葉を離すわけにはいかないということでございます。
  253. 西村章三

    ○西村委員 NHK第三者にそうした放送設備を賃貸して新しく事業体をつくる、こういった場合の財源問題であります。  けさほど来の質問にもそれぞれ出ておったことでございますが、コマーシャルを認めるのか認めないのか。認めるとした場合にはどのようなものに限定をするのか。先ほどからの答弁によりますと、いわゆる従来やっておるような国や公共団体の告知的なものを、NHK性格からしてそういうものならある程度認めることはできる、こういうことなんですが、その前にNHKお尋ねいたしますが、従来こういうような公共的な告知はどれくらいあったのでしょうか。
  254. 田中武志

    田中参考人 現在NHKではテレビ、ラジオを通じまして国からの告知放送、それから地方公共団体等々からの告知放送等々、一日に午後六時台、あるいはラジオでありましたら七時台とかそういったところでやっております。
  255. 西村章三

    ○西村委員 一日に一画面ぐらいのものしかできないということでありますから、仮にこれを認めたといたしましても、とうていペイができるものではないということになるわけであります。そうすると、新しい事業体の財源はどういう形で捻出をしていくのか、公共的な告知だけではいけない。そうすると、付加的な受信料形態をとるのか、あるいは磁気カード方式による有料テレビ形態をとるのか、この辺のところの選択が迫られるわけであります。会長さんの御答弁の中で、すでに料金設定については二つの物の考え方がある、現行受信料はそのままにしてやる方法と、新しく設定する付加料というものの二つ考え方をこれから検討したいということでございますが、付加料の問題は別にいたしまして、現行受信料のままではとうていこの運営財源というものは賄えないのではないか、こういう気がするわけです。  そこで、先ほど申し上げたいわゆる有料テレビ形態といいますか、別な形で料金を徴収する、このことはもうすでに考えておられるのか。今後この問題はいわゆる文字多重放送NHKの新しい事業体の一番大きな問題点になるのではないか、かように思われますので、その考え方をはっきりと聞かせていただきたいと思うのです。
  256. 坂本朝一

    坂本参考人 付加価値ということによって別の料金をいただくという考え方と、それからもう一つは、いま公共企業体等によるコマーシャルと申しますか、スポンサーといいますか、そういうものと、幾つか財源の問題はあろうかと思うのでございますが、現状、たまたまいま田中君が現在告知放送をしている時間帯の御紹介をしたわけでございますけれども文字多重をそういう形でやるとなった場合に、現在のNHKの総合テレビあるいはラジオで実施している実態が即スポンサーの中身になるんだという考え方は、私は少し早計ではないだろうか、それについてはもう少し経営的な検討なり何なりがあってしかるべきではないか。したがって、田中君の答弁によって、それは微々たるものだから経営の財源にはならないのじゃないかというふうに私は即断しておりませんので、そこら辺のところは、その方法論をもっともっと真剣に検討すべきではないだろうか。  それから、もう一つのアダプターの問題、これはよくスクランブル方式等々というような言い方で言われるわけでございますが、これも付加価値ということで当然検討の対象になろうかと思うのですけれども、ただ、これもこの場で余りこういうことを無責任に申し上げることは失礼かと思いますけれども文字多重の問題になりますと、このスクランブルというような形の付加価値方式で把握するということが実行的にどうなのかなというものが、多少私自身ティミッドなところがあるものですから、もうちょっと時間をお許しいただきたいというふうにお答えせざるを得ない、そこら辺のところは御理解賜りたいと思うわけでございます。
  257. 西村章三

    ○西村委員 なぜ私はそのことを申し上げたかと言いますと、現在電電公社でも実験中のいわゆるキャプテンシステムというものがございます。これは御承知のように、電話料プラス情報料、こういう形で料金制を採用するようであります。また将来は静止画放送も出てまいりまして、ある意味で競合する。こういうことになりますと、非常に類似性のあるものが出てくる。そうした中で、果たしてその料金形態がどういうことになるのかということによりまして、利用の頻度はかなり違ってくるのではないか。文字多重の発展というものを考えましたときに、有料テレビの形をとるのは余り好ましくない、私自身はそう思っておるのでありまして、そういう観点からひとつ検討もしていただきたいと思うのですが、いかがでございましょうか。
  258. 坂本朝一

    坂本参考人 少なくとも物事を経営しようというわけでございますから、やはりあらゆる側面をわれわれとしては検討すべきであろうというふうに思っておりますので、先生のおっしゃるそういう視点も、当然検討させていただくテーマになるだろうというふうに思っております。
  259. 西村章三

    ○西村委員 了解をいたしました。  郵政省お尋ねをいたしますが、すでに発足を見ました放送大学学園、これの放送設備文字多重放送利用については現在どのように考えておられますか。
  260. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 放送大学につきましては、いま鋭意東京タワーからどういう形で出すかというような研究もやっておるように聞いておりますけれども放送大学が発足いたしました場合に、テレビとFMということが言われておるわけでございますけれども、音声多重及び文字多重、それぞれにメディアとして使えるわけでございますし、放送大学自体の目的のために十分使い得る余地があるというふうに考えておるわけでございます。  ただ、御質問にはなかったかもしれませんけれども、ちょっと申し上げますと、第三者放送大学が貸すということについては、放送大学の性格から考えました場合に、その手段、情報は十分送れるわけでございますから、あるいは画面に出すだけじゃなくて場合によっては記録もできるわけでございますので、放送大学自体の目的を補強、拡充する意味で十分使える、また使ってもらいたい、このように考えております。
  261. 西村章三

    ○西村委員 放送大学の設備趣旨からいきましたら、有効に補完的に利用してもらう、こういうことが望ましいと思うのであります。ただ、独立利用につきましては、当然第三者機関ということが問題になってまいります。当面これは余り必要ないのではないか、私自身はそう考えております。  時間が参りましたけれども、もう一つ二つお願いしたいと思うのですが、今回の多重放送の実施に当たりまして、NHK及び民放は、番組の編成に当たって、「同時に放送されるテレビジョン放送放送番組内容に関連し、かつ、その内容を豊かにし、又はその効果を高めるような放送番組をできる限り多く設けるようにしなければならない。」こう明記をされておるわけでございます。この「できる限り多く」という意味がいろいろにとれるわけでございまして、その基準をどのように設定をされるのか、また、この条項の実効性をどのように担保すべきか、これについて郵政省見解はいかがですか。
  262. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答え申し上げます。  いわゆる補完的利用をどの程度行うべきかについてでございますけれどもテレビジョン放送番組のうち多重放送で補完するのになじむ番組がどの程度あるかというようなことが一つあろうかと思います。放送する側でどの程度これに対する能力があるか、こういうことも事情として考えなければいかぬ。そうしたわけでして、できる限りというのはどの程度なのかという法律上の一定の基準は困難でございます。ただ、要は、放送事業者として補完的利用の重要性というものを認識していただいて、このような本来の番組自体を補完し豊かにするような番組をそれこそできる限り多く設けてもらいたいという趣旨でございます。  この規定でございますけれども放送事業者に期待する責務というものを、いわゆる訓辞規定と申しますかそういう形でうたったわけでございまして、その実効があるかどうか、こういうことにつきましては番組内容にもかかわることで、基本的にはやはり放送事業者自体の御自覚に期待したい、こういうわけでございます。特に、先ほどから言われておりますように、この文字多重というのは、身体障害者と申しますか耳の不自由な方にとりまして非常な福音である、そういうこと。それと、御議論も出ましたように、かなり御努力していただくという姿勢がございませんと期待ができない、別の言葉で言えばお金もかかる、そうしたところがございますので、あえてうたい上げて放送事業者の自覚にまちたい、こういう趣旨のものでございます。
  263. 西村章三

    ○西村委員 この法改正が成立をいたしますと、いよいよ五十八年に向けて発足をするわけですが、多重放送の独立利用が認められるようになりましたら、この免許既存テレビ局、特に民放でございますが、既存テレビ局に与えるということになりますと、現在の局にマスメディア集中する、いわゆる電波の独占状態が起こることにもつながります。かといいまして、多重放送免許を従来の局と全く別の事業主体にすべて渡すということになりますと、いわゆるコマーシャル獲得の過当競争を生みまして弱小局の存立を脅かす。これはひいては経営状態の悪化をもたらし、番組の質的低下をもたらす、こういう結果にも相なるわけでございます。それがひいては放送界の再編成を招く、またかえって独占の弊をもたらすことにもなりかねないという危惧もございます。どのような事業主体にどのような基準で免許を与えるかは重大な問題であると思うのでありますが、これらの基準及び免許を与えるに際しての長期的なビジョンを郵政省としてお持ちなのかどうか。ないということであれば、今後どのような過程を経てこれを策定をしようというのか、省の見解を明らかにしてください。
  264. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 第三者多重放送の独立利用を認める場合の免許の基準、考え方はどうか、特に民間放送についてであるということでございますけれども放送事業者として適当な者であれば、特に限定を設ける考え方はないわけでございますが、やはりマスメディア集中排除をするというのが一つの趣旨。それから、せっかくの機会でございますので、多様な番組というか情報ソースを求めたいというようなことで、人的または資本的にも広く求めたい、こういうような考え方で、特定の新聞社あるいは既設の民放事業者、そういうようなものにかたまらないで、二〇%、三〇%というような話が出てまいりましたけれども、そういう形のものを期待しておるわけでございますが、やはりまだ実態がありませんので、不確定要素は十分にあるわけでございます。  そうしたことで、いま申しましたような観点から、さしあたり二H、これは技術的には近いうちに八Hぐらいまで使えるということでございますので、そうした中におきましても、先ほど申しました集中排除番組ソースを広く求める、そういう観点から判断してまいりたい。  今後どういう形で進展するのかということにつきましては、外国の事例を見ましてもなかなかわかりにくいところがございます。それから、外国の例がそのままわが国に当てはまるということは大抵の場合ございませんので、その辺がどの程度のバラエティーといいますか、変化をもちまして、これが日本の国内に育っていくのかということでございますけれども、私どもとしましては、こうした手段でございますので、普及を第一に考えてまいりたい。どうした形のものが最も普及するのか、特にまた、特殊な性質であります補完業務の発展を期待いたしまして、誤りのないような基準というものをできる限り早急に立てる。その立てるに当たっては、やはり現実にどう動いていくか、どういう契約第三者NHKなり民間放送が話ができていくのか、そういうようなことを十分に勘案しながら、誤りのない基準を立ててまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  265. 西村章三

    ○西村委員 終わります。
  266. 水野清

    水野委員長 これにて西村章三君の質疑は終了いたしました。  次回は、明十五日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十五分散会