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1982-04-07 第96回国会 衆議院 逓信委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十七年四月七日(水曜日)     午前十時九分開議  出席委員    委員長 水野  清君    理事 加藤常太郎君 理事 畑 英次郎君    理事 吹田  愰君 理事 渡辺 紘三君    理事 阿部喜男君 理事 鈴木  強君    理事 竹内 勝彦君 理事 西村 章三君       秋田 大助君    鴨田利太郎君       佐藤 守良君    渡海元三郎君       丹羽 雄哉君    長谷川四郎君       浜田卓二郎君    原 健三郎君       福永 健司君    森  美秀君       渡辺 秀央君    久保  等君       楯 兼次郎君    米田 東吾君       大橋 敏雄君    中井  洽君       村上  弘君    依田  実君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 箕輪  登君  出席政府委員         内閣官房長官 池田 行彦君         内閣法制局第二         部長      関   守君         行政管理庁長官         官房審議官   古橋源六郎君         大蔵大臣官房審         議官      矢澤富太郎君         大蔵省主計局次         長       宍倉 宗夫君         大蔵省理財局次         長       酒井 健三君         郵政政務次官  水平 豊彦君         郵政大臣官房長 澤田 茂生君         郵政省郵務局長 魚津 茂晴君         郵政省貯金局長 鴨 光一郎君         郵政省簡易保険         局長      小山 森也君         郵政省電気通信         政策局長    守住 有信君         郵政省電波監理         局長      田中眞三郎君  委員外出席者         逓信委員会調査         室長      芦田 茂男君     ――――――――――――― 委員の異動 四月七日  辞任         補欠選任   亀岡 高夫君     渡辺 秀央君   丹羽 雄哉君     浜田卓二郎君 同日  辞任         補欠選任   浜田卓二郎君     丹羽 雄哉君   渡辺 秀央君     亀岡 高夫君     ――――――――――――― 三月二十六日  電波法の一部を改正する法律案内閣提出第七  四号) 同月二十九日  電話加入権質に関する臨時特例法期限延長に  関する請願塩崎潤紹介)(第一六四三号)  同(斎藤実紹介)(第一六五〇号)  脊髄損傷者に対する郵政行政改善に関する請願  (小川国彦紹介)(第一六九七号)  同(小杉隆紹介)(第一七六三号) 四月一日  脊髄損傷者に対する郵政行政改善に関する請願  (春田重昭紹介)(第一八一六号)  電話加入権質に関する臨時特例法期限延長に  関する請願池端清一紹介)(第一八八九  号)  同(左藤恵紹介)(第一八九〇号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  郵便貯金法の一部を改正する法律案内閣提出  第一三号)  放送法等の一部を改正する法律案内閣提出第  五二号)  電波法の一部を改正する法律案内閣提出第七  四号)      ――――◇―――――
  2. 水野清

    水野委員長 これより会議を開きます。  郵便貯金法の一部を改正する法律案を議題とし、審査に入ります。  まず、提案理由説明を求めます。箕輪郵政大臣。     ―――――――――――――  郵便貯金法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  3. 箕輪登

    箕輪国務大臣 郵便貯金法の一部を改正する法律案提案理由について御説明申し上げます。  この法律案は、郵便貯金預金者貸し付け限度額を引き上げることを内容とするものであります。  郵便貯金預金者貸し付けは、預金者の生活上の必要を満たすため、定額郵便貯金等預金者に対してその貯金を担保として貸し付けを行うものでありまして、その限度額は、現在一人につき七十万円でありますが、預金者の利益の増進を図るため、これを百万円に引き上げようとするものであります。  なお、この法律施行期日は、公布の日といたしております。  以上、この法律案提案理由について御説明申し上げました。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  4. 水野清

    水野委員長 これにて提案理由説明は終了いたしました。     ―――――――――――――
  5. 水野清

    水野委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。阿部喜男君。
  6. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣郵政省が当初この第九十六通常国会予定をされておった法案はどういうものがあったわけですか。われわれ一応聞いておったのですけれども大部変更があったように思いますし、われわれも慎重審議はいたしますが、会期の関係もございますので、やはり法案取り扱いについてはそれなりの配慮をしていかなければならないと思いますが、当初予定されておった法案提出変更があったかどうか、まずお聞きしたいと思います。
  7. 箕輪登

    箕輪国務大臣 付加価値伝送に関する法律案は、当初予定しておりましたが、これは今回提出に及びませんでした。データ通信の方は公衆法一括ということにいたしたわけでありますが、その他は、大体予定法案として考えられていたものは今国会に全部出しております。
  8. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 郵政省御当局からの予定された法律案を見ますと、公衆電気通信法の一部を改正する法律案というのが予定されておったのでありますが、これはどうなりましたでしょうか。
  9. 守住有信

    守住政府委員 お答え申し上げます。  先生お尋ね公衆電気通信法の一部を改正する法律案、いわゆるデータ処理のための回線自由化と申しますが、これをもたらすところの許認可整理という問題でございますけれども、これにつきましては、臨調許認可事務等整理に関する答申政府として最大限尊重するということの閣議決定を踏まえまして、行政事務簡素合理化のための一括法案に含めることといたしまして、三月二十日に国会提出されたところでございます。
  10. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 内閣法制局お見えになっておりますか。――国会法の中に委員会という制度が設けられていますが、委員会制度を設けた目的は一体どういうふうに理解すべきなのか、ちょっと御説明を願えませんか。
  11. 関守

    ○関(守)政府委員 国会法におきましては、それぞれの行政庁の所掌に対応して、委員会の各法案審議等を、あるいはその他の事項審議につきまして十分慎重に審議ができるようにという趣旨で、常任委員会制度が設けられたのだろうと思います。
  12. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私も大体同じ見解で、内閣は一体でございますから大臣にもお聞き願いたいのですが、国家行政組織法を受けまして各省庁設置法があり、各省庁所管事項が定められております。国会はそれに対応して委員会を設けて審査を容易ならしめようとしておる。いまの趣旨説明もそういうふうだったと思いますが、それでありますのに、今回、許認可事項であるからということで、この郵政大臣所管に関する事項が対応する委員会での法案審議にならずに、一括をされてほかの委員会に行くようでございます。他の委員会に付託をされる。これは国会審議に対する行政府配慮が欠けておるのではないかと思うのですが、内閣の方でしょうか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  13. 池田行彦

    池田政府委員 お答え申し上げます。  内閣として法案国会に御提出申し上げます際に、ただいまもお話がございましたように、国会審議が円滑に進むように可能な限りの配慮をすべきことは当然でございます。そうしまして、ただいま御指摘のございましたように、国会委員会行政府の方のそれぞれの省庁と対応する形で設けられておる、そういうことを念頭におきまして、私ども法案作成提出をしなくてはいけない、そのように考えております。  しかしながら、一方におきまして、二つ以上の事項がありますような場合に、どういうふうに法案作成していくか、いろいろな観点から考えてまいらなくてはなりません。ただいま御指摘ございました点も一つでございますが、一方におきまして、一つの統一的な政策に基づいて同一の目的なり趣旨に関連する事項をまとめていく、こういうことが必要な場合もございます。ただいま問題になっております公衆電気通信法改正、これをいわゆる行革関係一括法案にまとめたのもそういった配慮からくるのでございまして、御承知のとおり、臨調の第二次答申、あるいはかねてから検討されておりました許認可等整理計画等に基づきまして行政改革を推進するための当面所要な措置、そうしてまた、許可認可等行政事務簡素合理化を図る、こういった目的のためにもろもろの事項一括しましてこの際提出させていただいたわけでございます。どうかその辺の趣旨を御理解の上、よろしくお願いいたしたいと思います。
  14. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これは大臣、従来の慣行として、本体となる法律案あるいは本体となる法律があって、それに関連をする軽微な法定あるいは法の改正を行おう、そういう場合には、本体となる法律のごく一部にこれをくっつけて処理をしてきたというのが実態論としてございます。私はそのことを否定するものではありません。  しかし、いま、許認可事項だからという形で取りまとめをするとすれば、この前の臨時国会では、行革関係法案だということで三十幾つもの法律案を全部まとめてしまって一括して提案をする、そういうやり方をやってきて――大体、行政府の仕事の中には許認可に関する事項が非常に多いわけなんですよ。したがって、許認可事項というものはこれから一切こういう取り扱いをするのか、それとも、今後またもとのようにそれぞれの法律改正の中で許認可事項も扱うのか、その辺の方針というのはまるでなくて、そのときそのとき都合のいいような法案提出の仕方をなさっておる。これでは各委員会を受け皿として十分な議論ができないではないか。やはり本質に返って、それぞれの委員会でそれぞれが議論を尽くすべきであり、軽微なものについては本体にくっつけて別の委員会審議をする、連合審査等を行うということもあり得るでしょうけれども、このやり方は、私は、委員会を軽視するものであり、本当の国民の負託にこたえる審議ができなくなってくる、これは十分気をつけてもらわなければならぬと思うのですが、今後はどうおやりになるつもりですか。  先般、さきの通常国会では、許認可料金であるということで、たとえば電波法関係をするいろいろな料金については、料金だから一本にするんだと言って持っていきました。片方で、許認可事項についてはこの委員会で同じ電波法改正を取り扱っておるのです。電波法改正をこの委員会で取り扱っておるのに、料金だけは抜き出して別の大蔵委員会に持っていったという経緯があって、そのときも私は強く過ちであるということを主張したのですけれども、今回もまた同じようなことをやっておられますが、これは将来にわたっても、許認可事項許認可事項としてまとめて法の整理をなさるのか、あるいは、今後は許認可事項といえどもそれぞれの法案改正の中で処理をしていくのか、どういう方針でおやりになるのですか。
  15. 池田行彦

    池田政府委員 将来におきましても、許認可事項はすべて一括して国会の方へ提出していくのか、あるいは個々に法を見ていくのかという御質問でございましたけれども、やはりそれはそのときの法改正をお願いする趣旨と申しましょうか、目的と申しましょうか、そういったものに即して考えていくというしかないのだと思います。  今回の場合は、先ほども申しましたように、行政改革を推進するために当面いろいろな措置を講じていかなくてはいけない、そしてそのために、行政各般にわたります事務を洗いまして、その中で許可認可等についていろいろ手直しをしていく、あるいは廃止をしていく、こういったことで許可認可、そういった行政事務やり方というもの、そういった観点から行政事務を精査していって、その出ました結論というものを国会にお諮りしておるという次第でございますので、将来につきましては、また具体的にその段階に応じて考えてまいるということになろうかと思います。
  16. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 実は、同じ許認可事項でも、今回放送法改正の中にも許認可にわたる事項はきちっとこの委員会審査をされるようになっておるのですよ。なぜこの公衆電気通信法だけを許認可事項であるといってまとめて出さなければならないのか。私どもは、率直に言いますが、内閣が、官房が、臨調の方に顔を向けて、臨調の顔を立てるために何かそういう法律案を出さなければぐあいが悪いから無理にまとめたとしか言いようがないのですよ。  具体的に聞きますが、それでは、大体政府が言う許認可事項とは、法律の中でどんなものが該当するのか、これをまず法制局の方、答弁してください。
  17. 関守

    ○関(守)政府委員 お答え申し上げます。  許認可事項と申しますと、いろいろございますと思いますけれども、たとえば所有権の移転について許可をするとか、主としてやはり国民の持っております権利について規制を加えるという趣旨から許可認可というものを行政庁が行っていくというのが普通の法律の姿だろうと思います。
  18. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 抽象的ですが、私が少し具体的に申し上げますよ。たとえば法律用語の中で、承認を求めるとか、許可を得てとか、免許とか、こういう言葉がずっとありますね。これは全部許認可事項のはずなんですよ。いま官房長官許認可事項を一本にまとめて行政簡素化を図る、こうおっしゃいましたが、それでは、いま一括法案になっておるもの以外に普通の委員会にかかっておるものの中に許認可法案は全然ありませんか、ありますか。法制局見解はどうですか。
  19. 関守

    ○関(守)政府委員 ご趣旨許認可整理というものでございましょうか。許認可整理ということにつきましては、電波法あるいはたしか道路運送車両法改正案をいま提出をしておりますけれども、その両方にあったかと思います。
  20. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 法制局はそれでいいですわね。  そうすると、官房長官、あなたがお答えになった行政事務簡素化するために許認可事項については一括して法案をまとめたとおっしゃる、これはうそですね。うそになるでしょう。許認可事項がたくさんほかの法案で出てきておる。だから、許認可事項については一括してやりますというのはうそですね。
  21. 池田行彦

    池田政府委員 私は、許認可整理につきましては、すべてをいわゆる一括法にまとめましたとまで申し上げたつもりはなかったわけでございまして、いま法制局の方からもお答え申し上げましたように、電波法あるいは車両関係におきまして別途一括法とは別の形で御提出申し上げていることもそのとおりでございます。その点につきましては、いろいろ法案作成の過程におきましても検討してまいりました。そして、いわゆる許認可整理だけではなくて、ほかの観点からするいろいろな法改正措置もたとえば車両関係につきましてはあったというようなこともございまして、国会の御審議をちょうだいするためにどういう姿がいいだろうかといろいろ政府なりに考えまして、今回御提出しましたような姿になっておるわけでございます。  しかし、そのような法案を私ども提出いたしましたけれども、それをお受けになりまして、どの委員会でどのような形で御審議いただくか、これは一義的には国会の方でお決めいただくことかと存じます。
  22. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 おっしゃるように、出してしまえばあとは国会がどう料理するかを決めなければならないのです。しかし、少なくとも前段、前提として私が申し上げたように、委員会という制度を設けてあるのは、それぞれの法案審議を容易ならしめるためである、しかも、各省庁所管事項審議するのだという大前提に立っておるとするならば、可能な限り法案提出はそれに対応してなされるべき性格のものでなければならない、そう私は主張しておるのです。出してしまった以上は、これは国会の方でどう料理するか決める以外に方法がないのですから。連合審査でもやろうとも思っておりますが、しかし、将来にわたっては一体どうなのか。その都度政府の御都合主義で、法案を勝手にこっちにまとめてみたり単独にしてみたりばらばらやるのか、方針政府にないではないか。その都度政府の御都合によって法案取り扱いを変えていくその姿勢は、われわれに非常に混乱を与えておる。だから、少なくとも、今後そういう大宗に従っての取り扱いをしていくならしていくという方向を副長官の方から明示してもらわないと、今後といえどもどうなるかわかりません、その都度政府の御都合で、通りやすいところに持っていきますとか、そういうような考え方では、これは国会軽視と言われても行政府は物の言いようがないのではないですか。その点もう少し明確にしてもらえませんか。
  23. 池田行彦

    池田政府委員 お答え申し上げます。  従来から、法案でいろいろ二以上の事項をどういうふうな形でまとめていくかといった作業をいたしますときに、政府と申しましょうか、内閣法制局では、ある基準を持って作業をしておるようでございます。  その基準、大きく分けまして三つぐらいございまして、その第一は、先ほど私がこの一括法案に関連いたしまして申しましたとおり、一つ法案に盛られる政策というものは統一的なものでございまして、その結果としてその趣旨とか目的一つになる、こういうふうに認められる場合、これをまとめて一つ法案にする、そういう一つ基準がございます。  第二には、内容的に法案の条項が相互に関連しておりまして一つの体系を形づくっていると認められる、このような場合がございます。第三に、これがただいま先生からもるる御指摘のあった点でございますけれども、実際上の理由になりますけれども、やはりその慣例をもって国会委員会におきましてできるだけ円滑に御審議をちょうだいできる、そういうふうにするために、原則としては一つ委員会所管に属するようなものをまとめてまいる。  こういった三つクライテリアというものを頭に置きまして、政府といたしましては法案作成してきているわけでございます。  具体的な法案作成段階でこの三つクライテリアをどのように考えていくか、いろいろございますけれども先生から先ほど来御指摘のございますように、政府提出いたしました法案というものを国会で十分御審議をちょうだいする、その審議が極力円滑に進むということはわれわれも念願しているところでございまして、そういった意味合いにおきまして、将来におきましても、原則的に、先生指摘のように、一つ委員会所管に属するものはそのようにまとめて出してこいというようなことは十分念頭に置いて政府としてもやってまいりたい、このように考えております。
  24. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大体そういうふうに努力をしてもらいたいと思います。  さっきも私申し上げましたように、主体のある法律改正とかあるいは法定を――軽微なものにわたって行う場合まで私はそれをとやかく言うのではありません。しかし、今度の場合、公衆電気通信法改正許認可事項という言葉でくくってほかの法律一緒にしなければならないという理由は、どう見てもないのですよ。  そこで、法制局公衆電気通信法単独法案改正として出したならばどういう支障があるのか。今度スムーズにやるために――スムーズにいかないからまとめたのでしょう。これを単独改正法として国会に付託した場合にはどういう支障があるからほかの法律一緒にしなければならなかったのか。そこを説明してください。
  25. 関守

    ○関(守)政府委員 お答え申し上げます。  従来、二つ以上の法律事項になるようなものについて一つ法案にまとめた方がよろしかろうという場合には、必ずしも支障があるかどうかというよりは、むしろどちらがベターであろうか、より適切であろうか、あるいは先ほど官房長官の方から申し上げました法案趣旨目的、そういうものがよりはっきりするというのにはどういう方法の方がよいであろうか、国会の御審議を仰ぐのにそちらの方がよりいい方法ではないかということで、一括にするかどうかということが考えられてきたのだろうと思います。  今回の公衆電気通信法の中身につきましては、データ通信共同利用、あるいは個別認可の制限の緩和でございますとか、個別認可廃止でございますとかいうような事項がございますし、いま政府として進めておりますいわゆる行政事務簡素化という立場に非常にふさわしい内容を持っておるということから、むしろ一本の法律案の方にまとめたということだろうと思います。
  26. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 あなたの、当初の委員会を設置した目的に対する考え方といまの御答弁はまるで矛盾してくるのですよ。国会というのは、その法案内容国民にかわって審査をするところであって、法案を通す機械ではないのです。どうすればうまく通るかというのが国会ではなくて、どうすれば慎重な審議ができるかというのが国会なんですよ。大臣官房長官もいずれはこっちに座って質問する立場になるのですよ。いまの行政府やり方は、どうすればうまく通るかということだけ考えて、どうすれば本当に審議を尽くしてもらえるか、しかもその審議が容易に行えるかということについて、ほとんど配慮がないと申し上げていいと思います。法案内容については、私は連合審査でも徹底的にやるつもりですけれども、これは公衆電気通信、特に回線態様の根幹にかかわる問題ですから、そう簡単な単なる許認可として扱う筋のものではないのです。もし単なる許認可として扱うならば、もっと一括すべき法案が他の委員会にたくさんあるということを私はよく知っておるのですよ。にもかかわらず、公衆電気通信法を持っていったのは、いわゆる臨調のお顔を立てるために内閣官房の方で何とかこれをまとめてくれということでやったというのは周知の事実じゃないですか。はっきりそれを認めて、今後はこういうことは極力しません、こうあなたがおっしゃれば、私はもうこれ以上言いません。どうですか。
  27. 池田行彦

    池田政府委員 私どもといたしまして、国会におきまして十分慎重な御審議をちょうだいし、そして、私ども提出申し上げております法案をお認めいただきたい、このように念願しておるところでございまして、決して国会審議をなるべく楽にと申しましょうか、やりたい、そういう不遜な気持ちでおるわけではございません。十分慎重な御検討をちょうだいいたしたいと思います。  先ほども申し上げましたように、政府におきましていろいろ多岐にわたります事項一つ法案にまとめて、どの委員会で御審議をちょうだいするのが適当であろうか、そういうことも念頭に置きながら法案作成するわけでございます。その際に、先ほども申し上げましたように、三つぐらいの基準を置きまして、いろいろな観点から検討してまいるわけでございますが、その際に、国会におきまして委員会が設置されております趣旨、そうして、そういった行政府のそれぞれ対応する委員会において御審議いただくということも非常に大切な一つ基準でございますので、将来、これまでもそうでございますけれども、将来におきましてもそういったことを念頭に置きながら、政府としては対応してまいるつもりでございます。
  28. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 法制局一つ注文をしておきますが、二つ以上の法律案一つにまとめて、この発想がそもそも間違いなんです。一つ法律案の中で二つ以上の事項処理しなければならないときにはどうするかということが原則であって、初めの二つ三つもあるものを一つにまとめて、そのときにどうするか、その発想は私は間違っておると思うのです。二つ三つもある法律案をまとめてどうするかということではなくて、一つ法律案処理する中で関連をしてくる法律をどうするか、こう考えるのが原則でなければならないし、あなたが冒頭おっしゃった委員会というものを設けてある趣旨であると考えなければならない。これは注文としてあなたに申し上げておきますから、これから先、法制局の方で法案を扱うときに、この委員会議論をひとつ十分頭に入れておいていただきたいと思います。  それでは、本論に移ります。  郵政大臣、最近郵便貯金特別会計、郵貯特会の赤字についていろいろ議論があるようでございますが、先般全国銀行協会、全銀協と呼ばれていますけれども、この代表の方々が何か金融の問題について臨調に呼ばれたときに、民間の金融とは関連のない郵便貯金の運営について、郵便貯金は大変な赤字である、六千億の赤字だとか一兆円の赤字だとかいうことを臨調に申し上げたということが新聞に報道されておりましたが、これは大臣よりも局長の方がいいですか、その内容を知っておるかどうか、まずお伺いします。
  29. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 臨調におきます全銀協の言及されました主な内容を私ども承知はいたしております。中身は、郵便貯金の特別会計が現金主義によっているけれども、収入は事実上発生主義で受け入れているのに対して、支払い利子は現金主義で計上しているために隠れた赤字があるというのが一つ。それから、五十八年度末までに約五千億円近い赤字が生ずる可能性がある、こういうことであるというふうに聞き及んでおります。
  30. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 銀行協会の皆さんが主張されておるように、いわゆる発生主義、現金主義という取り扱い上の問題はあるとしても、そういう事実はあるのかどうか。いま郵便貯金というものをすぱっと切ってみて、そういう赤字が出てくるのかどうか。これはどうなんですか。
  31. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 現在、郵便貯金特別会計は、国の会計の一般的な原則でございます現金主義によりまして、昭和二十六年から三十年間にわたって継続的に処理をいたしてきております。  その中で、郵便貯金特別会計の現金主義におきます現状ということで申し上げますと、現在の段階、最近の状況を申し上げますと、過去一時的に預託利率と郵便貯金利率との利差の縮小ということで赤字という状態がございましたが、その後この利差の幅がやや大きくなりました結果、昭和五十四年度におきましては、単年度で黒字という状態になりました。また、五十五年度にも単年度で黒字になりまして、その結果といたしまして、累積した赤字も五十五年度末におきましては解消いたしまして、六百四十三億円という積立金、いわば黒字を保有するに至っております。  ただ、最近の郵便貯金の増勢というものがきわめて不振であるということなどからいたしまして、昭和五十六年度――先日終わりましたけれども、五十六年度は単年度で千百十三億円の赤字、それから五十七年度、これは予算上でございますが、単年度で七百三十一億円の赤字が生じるであろうというふうに予定をいたしておりますが、これはあくまでも先ほど申しました現金主義という会計原則にのっとった処理の上でのものでございます。
  32. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 仮に郵便貯金事業で赤字が出るとするならば、それはひとり郵政省だけの責任だとは私はどうも理解ができないのです。郵政省が預かったお金を運用をしてそして赤字が出るのならば、それは郵政省の責任です。しかし、預かったお金は資金運用部に回されて国の財政として財政投融資等に動かしていく、そこで預託利率というものが定められて、その範囲内でしか郵政省が運用できないとすれば、この赤字の半分の責任は預託利率を決めておる大蔵省側にもあるのではないかという気がするわけですが、郵便貯金赤字議論について民間金融機関からいろいろ意見が出ておるのですが、大蔵当局はどうお考えになっていますか。
  33. 宍倉宗夫

    ○宍倉政府委員 お答えいたします。  いまここでお話がございましたように、郵便貯金が赤字の時代でございまして、この後何年続くかわかりませんけれども、少しはこの赤字が続くと思います。赤字にならないようにするためには、いま先生おっしゃったように、預託利率と貯金の利率との間の利ざやを広げたらいいじゃないか、そうすれば赤字にならないだろう、それはおっしゃるとおりなんであります。ところが、現時点での一・三%という利ざやは過去一番高い利ざやでございまして、なるほど、利ざやを高くすれば赤字にはならないけれども、高ければ高いだけ何のために郵便貯金やっているんだという反論もまた出てくるわけでありまして、いま民間でいろいろ郵貯の赤字論といいますか、体質改善論といいますか、そういうことを言われておりますけれども、そこの一つは、つまり郵便貯金を預入してもらう利率が高くなれば、運用部の方の預託利率も利ざや分だけ自然高くならざるを得ない。でございますから、余り郵便貯金が受け入れる利率を高くすることがいいわけじゃないよ、高くすればたくさん郵便貯金には入ってくるだろう、逆に言いますと民間ではそれだけ少なくなるわけでありますから、こっちが余り高いことを民間として好まない面もあっての話だと思いますけれども、そのような議論がなされているかと思います。  私どもといたしましては、全体の金利は安い方がいいと思っております。運用部の預託利率もなるべく低い方がいい。これは一般会計全体のやりくりからいたしましてもその方が大変よろしいわけでありますし、利ざやは適正であるべきだと思っておりますが、現在の一・三%の利ざやはいままでの例からしますと最高の水準でございますから、もう少し勉強する余地はあるのじゃないだろうかと思っております。
  34. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そこで、国のサイドからするならば、いわゆる大蔵省というサイドからするならば、国債を発行して国民からお金を借りるのも、郵便貯金というような形でお預かりしてそのお金を使うのも同じ性格のものになってくる。そうすれば、国債の手数料を含めての利回りとかそういうものは預託利率の一つ基準にならないだろうか。そのままずばりというのじゃないですよ。そのままずばりというのじゃないが、そういうのが一つ基準になり得るのではないか、これが一つです。  もう一つは、いまおっしゃった預託利率と貯金金利の利ざやの問題、これはどの程度のものであるならば大体うまくいけるのか。その場合の基準は、郵政省が実際に貯金を集めるために使っておるお金、コストがどのくらいになっておるのか。それが民間の金融機関に比較をしてみて、郵政省貯金のコストというものはどうなっているか、これはもう一つ基準になり得るだろうと私は思うわけです。  そういうものを勘案してみて――それは大蔵にとって、国にとって、なるべく安い金利で金を動かした方が国の財政は楽でしょう。しかし、片方に預金をする人の立場というのがあるのですよ。零細な庶民が国を信頼して、ここに預けておけば大丈夫、しかも長期のものについては幾らかほかよりも利回りがいいようだからという期待を持って預金をしておる。そういう預金者の利子に対する期待というものを無視して、安ければ安いほどいいという議論は少し暴論になりませんか。その辺の決め方をどうお考えになりますか。
  35. 酒井健三

    ○酒井政府委員 お答え申し上げます。  運用部の預託金利の決め方の考え方につきましては、先ほど宍倉次長が御説明申し上げましたが、私ども、各種金利の体系の中で、一方では、先生がおっしゃいますように預託者、そしてその裏にいらっしゃいます貯金等をなさる方々の利益にも十分配慮いたしまして、また他方では、政府サイドとして、住宅や中小企業等に対します低利融資の必要性など、政策金融の要請との調和を図りながら、慎重に定めているような状況でございます。  先生の御指摘にございました国債の金利との関係についてどう考えるかという点につきましては、国債の金利というものは、御承知おきのように国債の市場がございますので、その動向によって既発債の方は価格、利回りが動くわけでございますが、それを無視して国債の金利を決めるわけにはいかないという状況にございます。他方、預託金利はできるだけ安定的であることが望ましいわけでございます。そういうように、片方の国債の方は、市中のマーケットの金利が絶えず変動するという要因、他方預託金利の方は、できるだけ安定的に推移する方が、それがまたその裏にいらっしゃる貯金者の利益ということにも密接に関連するということを考えまして、預託金利の決定につきましては、国債の金利も一つの要素としては私ども勘案しておりますが、冒頭申し上げましたように、各種金利水準の動向等を総合的に勘案して定めてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  36. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私は余りこのことを議論するつもりはありませんけれども、確かに、市場に出回った国債は、そのときの資金の供給、需要の関係から変動があるでしょう。しかし、一たび大蔵省が発行した十年ものの八分なら八分の利回りという国債は、これは市場でどういう変更があろうとも国としてはちゃんと八分は払うのでしょう。市場の金利が下がったら、八分利回りの国債の金利を大蔵省は七分ずつしか払わないのですか。やっぱり八分払うのでしょう。言うならば、国が責任を持って借金した金利はそのまま払っていくでしょう。市場でどのような変動があろうとも、国が契約した限り、八分の利回りの国債は八分払う、七分の利回りの国債は七分払うのでしょう。それならば、市場でどう変更があろうとも、国が払う金利に変わりはないのでしょう、どうですか。
  37. 酒井健三

    ○酒井政府委員 お答え申し上げます。  先生十分御承知おきのように、債券と預金との性格的な違いというものはあろうかと思います。極端な例になるかもしれませんが、預金は、いかなるときに解約いたしましても元本は必ず保証されているわけでございます。他方、債券の方は、期限が来なければ元本は返ってこない。途中投下資金を回収しようとするときに、マーケットに売却をいたしますが、必ずしも買ったときの元本が回収されるという保証はございません。そこが債券と預金との大きな違いかと思います。  おっしゃるように、金利の方は、債券の保有者に対しては約定でございます。それから預金につきましては、これも約定でございますから、約定に定められているものは払うという点は同じでございます。私が国債の市況を申し上げましたのは、既発の国債というものにつきまして、市場が形成されて、そこで過去に発行された国債がどのくらいの価格、利回りで流通されているか、そういうことが非常にウエートが高くなってまいるものですから、たとえば、今度新しく国債を出すときには、過去の国債の利回りを無視しては出せないということで、そういうような変動する既発債の市況に応じて新発債の金利をときどき変えていかなければいかぬということを申し上げたわけでございます。
  38. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それは詭弁というのですよ。国が払う金利に変わりはないのですよ。たとえば、私が預金を選択するか、国債を買い入れるか、それは私の自由なんです。国が払う金利はどうなのか。八%と約束をすれば、五年間、十年間にわたって八%払うのでしょう。それぞれ払うのでしょう。同じじゃないですか、国が払うということ。いずれを選択するかというのは国民の権利、買う方の権利であって、預金を選択するか、国債を選択するか、それは勝手ですよ。その選択した結果がたとえばリスクがあるからといって、だから初めからリスクがあるのだからこうしますなんということは成り立たない。著しい変動がある場合には、国債だって上がるかもわからぬし、特に市場の場合にはそういうことはあり得るでしょう。たとえば電電債券や何かの場合、額面よりも上がる場合もありますし、いろいろあるのですよ。それは利子も少し高い。だから、いずれを選択するかはそれは買う方の側の選択であって、私が申し上げておるのは、国が約束して払う国民から借り入れるあるいは国民から預かる金利というものの一つ基準として、だから八%そのままというのではないけれども、この八%なら八%という国債の利回りは一つの預託金利の目安にならないのか。そのままというのではないのですよ、一つの目安にならないのかということをお伺いしている。  それからもう一つは、コストの問題。郵便貯金のコストは、大体貸し出し業務をやっていませんから必ずしも明確じゃないでしょうが、民間の大手の金融機関等に比べてどういうコストになっていますか。
  39. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 私ども郵便貯金のコストでございますが、その中に支払い利子率と経費率という二つの中身がございますが、先生の御指摘、その経費率の意味でのコストということで申し上げますと、五十五年度の数字でございますが、郵便貯金が〇・八八という数字でございます。それに対しまして、都市銀行の経費率が一・六六、それから地方銀行の場合に二・二四、このような数字になっております。
  40. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そうしますと、郵便貯金は経費率が高いからその預託利息を高くしなければならないという理屈はどこにもないように考えられますね。経費率はいまの数字を見ても非常に安いように思われます。非常に安い経費率で運用をしておる。しかも、それでもなおかつ郵便貯金特別会計に赤字が出るとするならば、それは結局は預託利息が安いからということにならないのでしょうか。その辺は、もし赤字がありとすれば、どこに原因があるのでしょうか。大蔵省、どうお考えになりますか。
  41. 宍倉宗夫

    ○宍倉政府委員 お答えいたします。  いまお話ございましたように、経費率は最近は〇・七とか八とかいう台でございますが、これが少し前、四、五年前でございますと、約一・四とか五とかいう時代があったわけであります。このところ急激に〇・何ぼ低くなりましたのは、御承知のように、急激に郵便貯金の預金残高がふえているものですから、そこでこの経費率は最近急激に減っております。減っておるのは大変結構なことでありまして、それは都市銀行でございますとか地方銀行の方も郵便局に見習ってもっと努力をしてもらわなければいかぬことだろうと思います。  いまお尋ねの〇・七とか八とか少ない数字で、一・三の利ざやがあってなお赤字だということになりますと、預託利率と支払い利率、この間の利ざやが〇・六とか〇・五以上あることになるのじゃないのか、こういうことだろうと思いますし、それをもう少し広げたらいいじゃないか、こういうことだと思うのです。ただ、そこのところをどういうふうに考えるかでございますが、と申しますのは、預託利率が低過ぎるからこのさやが少ないと見るのか、それとも支払い利率が高過ぎるから要すればさやがぐあいが悪いのだ、こういうように見るかという見方があると思います。  先生おっしゃるように、預託利率の方はどうなのかということでございますが、これは国債金利等々全体の金利体系の中から預託利率が決まっておるわけでございます。支払い利率の方はどうかというと、支払い利率の方もそのときの全体の体系の中で決まっておるわけであります。それなのにどうしてそんなことになってしまうのだ、おかしなことになるじゃないかということでございますが、どうもいろいろ原因があって、これは郵政御当局の御意見も聞いていただかないとわかりませんが、私が思いますのに、大きな原因はどうも預け替えにあると思っております。  預け替えというのは、御承知のようにここ二回か三回やっていると思いますけれども、金利が上がりました段階におきまして、通知一つでまた新しい高い金利に預け替えをする制度郵便貯金はやっているわけでございまして、これがありますと、常に、高い金利になりましたときには、いままでの低い時代の金利のお金が全部そこに集中してしまうという傾向が出てくるだろうということは想像されるわけでありまして、つい最近でございますが、五十五年、高い金利の時代がございまして、その金利が高いところにそれ以前の低い金利のものもみんな預け替えでどっと行っている可能性があるわけでありまして、そこが高くなってまいりますと、全体構成がバランスが違ってくるわけでございますね。高いところにウエートが出てきますから、平均金利が高くなる。片っ方預託金利の方は、預け替えですからそうもなり得ないというところで、そこのところで構造的な差が若干出てくる可能性があるのじゃないだろうか。もう少し分析してみないともちろんわからないわけでございますが、その辺のところに恐らく原因があるだろう。  でございますから、この辺のところは預け替えの制度というのを、今後郵便貯金制度の安定的な将来を考えていきますときに一番どうしたものか。そうしなかったら、窓口へ来まして、いままでの解約、新規の預け替えで大変な混乱になるおそれがあるということでやっているわけでございますが、郵便貯金をお預けになっている国民の皆様方の御便宜のことも考え、しかし郵便貯金制度全体の利率構造をどう考えたらいいのか、なかなかむずかしい問題かと思っております。
  42. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そうすると、いま預け替えというお話が出ましたが、それは金利が高くなれば金利の高い方に預け替えをするというのは、これは利用者国民にとって当然のことなんですね。たとえば八%の金利になった。国民の間に金利天井感というのも出てくる。そうすると、いままであった安い利息の分を高い利息の分に預け替える、ここまではわかるのですよ。しかし、そのときは、八%なら八%の支払い利息に対して、大蔵省の方の預託金利はそれを一・三%上回るものを郵政省に預託金利として出すわけでしょう。それならば、幾らそこにたくさん金が集まろうとも、そのさやがある限りにおいてそれが赤字の原因になるということは私はわからないのですが、どういう理屈になりますか。
  43. 宍倉宗夫

    ○宍倉政府委員 そこのところがそうはならないわけで、でございますから、先ほどちょっと申し上げましたように、預金の方はおっしゃるように、たとえば私が国民預金者としますと、百万円預けていた、いままで金利が低い、だから今度郵便局にこれは一口通知をして何か書いて新しい貯金にしてもらう。そのかわり、いままで三年までなら三年の利益がなくなるわけですね。それで高い金利になります。高い金利になってから、たとえば八%でずっと十年まで行くわけですね。ところが、このお預かりしているお金の方は運用部に預託しておるわけですから、この運用部に預託したものをまたこっちでも預け替えしないとぐあいが悪いわけですね。そしてこちらの金利に一・何%か利ざやをつけて預け替えすれば同じじゃないかという先生のおっしゃる話ですが、こちらにはそういう制度はないわけであります。そういう預け替えというのはいたさないわけであります。でありますから、そこのところが若干違ってくるということになってくる道理であります。
  44. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それはちょっとおかしいじゃないですか。大蔵省の方に預け替えという制度がないのに、郵政省だけが郵便貯金の預け替えをしておる。しかし、法的に言えば、たとえ瞬間的であっても一遍引き出して新たに預け替えることになるわけでしょう。それならば、その瞬間において既存の契約は消滅してしまうわけでしょう。既存の契約が消滅して新しい契約が成立するのですから、新しい契約に対して、大蔵省が八%なら八%に一・三%の上乗せをして九・三%の預託利率を払うのがあたりまえだと言うのです。郵便局は高い利息の方で預け替えをしたけれども、大蔵省は前から借りておる金だから預け替えはしないなんという理屈はないでしょう、国の財政で一本なわけですから。その瞬間において一人の人間が百万円を引き出せば、そこで大蔵省の使っている金は百万円減る。減らなければおかしいのです。減って新たにまた百万預入してもらったからふえるんだ、そういう形にならなければおかしい。そういう運用ならば、預け替えがあれば当然その預け替えたものに対して大蔵が一・三%の上乗せをして預託利率を決める。そうならないから、いま出ているような赤字が出てくるというような形になってくるのでしょう。それはおかしいじゃないですか。何でそういうことにならないのですか。あなたの方は、安い金利で借りておるのは知らぬ顔をしておいて、そして片一方は高い金利で預かればそれは当然赤字になりますよ。これは大蔵省が悪いよ。一体どういうことなんだ。
  45. 酒井健三

    ○酒井政府委員 お答え申し上げます。  資金運用部の方は、そのときどきに郵政省からお預かりしたお金につきましてもちろんその預託金利をお支払いしますが、そのままの金利で特別会計とか政府関係金融機関とかそういうところへ資金をお貸しをいたしまして、そして運用をしているわけです。そこで、もしも郵政省の方から預け替えに基づきまして、いままでは五分であったのを八分だ、五分で運用部に預けていたものを引きおろされますと、私の方は、中小企業とか住宅とかにお貸ししている金を期限前に、いままで五分でお貸ししておりましたけれども、全部一度返してください、それで過去に貸したものを今度は高い金利のでお貸ししますということができなければ、私の方は成り立ち得ないわけでございます。ところが、約定でございますので、その中小企業とか住宅とか政府関係金融機関を通じて国民一般に政策金融しているものは、約定の期間は相手方に特別の事由、瑕疵等がなければ繰り上げて返済してもらうことができないわけでございます。それが私ども金融の常識かと思いますので、運用の方は、そういうような貸し替えによる利上げ、実質的には利上げでございますが、そういうようなことはできない仕組みになっておるものでございます。私の方は、郵政省の方からは資金として毎月お預かりしております。それは、郵政省の方が預託があり引き出しがあり、いろいろ資金の出入りはございましょうけれども、その結果として、当月はこのくらい資金運用部に預託できるというお金を預かるわけでございます。そして、そのお金に対しましては、私どもはそのときどきの預託の金利で利子をつけるという仕組みになっているわけでございます。
  46. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大変な問題で、さっきからお話があるように、預金者立場からすれば、金利が高くなったときに預け替えをするというのはもう常識でしょう。あなた方だって、預金者立場に立てば恐らくそうするでしょう。ところが、そのお金をどう運用しておるかというのは、これは国が政策として運用しておるのですよ。国が政策としてこういう運用をしておるから預金者の利息はこうなければならぬという理屈はどこにもないのです。預金者は趨勢によって、金利が上がれば高い金利のところに預け替えをするのは当然でしょう。ところが、あなた方はその金を運用するに当たって、国が政策として、たとえば長期の貸し付けをするとかいろいろなところに貸し付けをしておる、だからそれを解約するわけにはいきません、といって、それでは預金者の利息を抑えるわけにもいかない。そうするとどうなりますか。預金を預かる郵政省は勢い、預金者が高い利息のところに集中してくる、前の安い利息で大蔵省の運用部に入っておるものは安い利息でしか金はもらえない、これでは赤字が出るのは当然でしょう。それならば、その赤字が出ないような対策を講じなければ、郵政省が大蔵省に金を持っていって預託することが過ちになってくるのです。郵政省それ自体が運用するならば、その責任は郵政が負わなければならぬでしょう。しかし、預かったお金は預託する。預託の金利はそういう国の政策によって決められた金利で貸し付けをしておる。ところが、金利が上がってきた。預金者は当然高いところに集中してくる。それなら一体その赤字はだれに負担せいと言のですか。安い金利で貸し付けてあるから金利が上がってもおれは知らない。しかし、預金者はどんどんそこに預金してくる。高い金利を払わなければならぬ。郵便局は貯金をもう扱いませんと言うか、預かる以上はそれに見合う預託利息を出さなければ、貯金関係は成り立たぬでしょう。あなた方大蔵省の役人がそのくらいの頭ないですか。わからぬですか、それが。それはあなた方は政策として運用しておるから、簡単に契約の変更はできぬでしょう。しかし、常識として、金利が上がれば預金者が金利の上がったところに貯金を持ってくるのはあたりまえでしょう。にもかかわらず、前に借りた金は、郵政省から前に預かった金は低い利息で払うんだぞ。ところが、お金は高い利息に変わっておる。赤字が出るのはあたりまえでしょう。その赤字は当然、国がそういう政策を遂行しておる以上、国がそのお金を使う以上、国が責任を持たなければならない、言いかえれば大蔵が責任を持たなければならない、仮に赤字ありせばですよ。そういうことになるでしょう。  しかし、もし長期的に眺めて、たとえばいまの一・三%の利ざやがあるならばこれで長期的にはやれるんだという自信があるならば、あなた方は責任を持って、民間の金融機関等が郵便貯金は赤字だ赤字だと言うような宣伝について、それは間違いだ、郵便貯金というものはこういう性格のものなんだということを説得すべき立場にあるのじゃないですか。それを、民間の金融機関のしりについて歩いて郵便貯金を一ころは大変攻撃して、僕はこの委員会国民立場から慨嘆にたえなかったのですが、その辺どうお考えになりますか。
  47. 宍倉宗夫

    ○宍倉政府委員 幾つかお話がありまして、私の持ち分でないようなお話もございましたものですから、どういうふうに申し上げていいかよくわからないですが、幾つかありましたうちで申し上げますと、郵便貯金の赤字をこのままほっておいてどうするんだ、こういうお話でございますが、これは冒頭にも申し上げましたように、いまの利ざやが一・三でございますが、このままこれが続いていけば、これは間違いなく何年か――何年になるかよくわかりませんけれども、計算上の論理からいきますれば必ず赤字は解消するはずであります。ですから、一・三がそのままでいいのかどうか、これも問題でありまして、それはそのときどき、今後の財政状況もそうでございますし、それから郵政省の資金事情もそうでございましょうし、そういった全体の事情を勘案しながら決めてやってまいることになるだろうと思います。でありますから、ごく長期的に見れば、郵便貯金会計の赤字というのは解消されるべき性質のものだと思っております。  ただ、解消されるべき性質のものであるならば全く問題がないのかというと、最初に私が申し上げましたようにそうではない。なるほど郵便貯金を預ける側の人にとってみれば、金利は一銭でも多い方がいいわけでありますし、私はそのことを否定するわけでは毛頭ございません。そうでありたいものだと思いますが、しかしそれは、金利といいますものは何も郵便貯金だけが金利ではございませんで、ほかにも銀行の預金もあれば国債もありということで、しかも、それも最近では日本国ばかりではなくて外国の金利もどうなんだという話になるものですから、そこは全体のバランスのとれたものの金利でなければならないということでありまして、その上に立って考えれば、今度運用部の方の預託金利は、これも一文でも安い方がいい。それはなぜかというと、回りめぐって国民の税金が安くなるからであります。そういう努力は、郵政省の方も、それから私どもも御一緒にいろいろ相談しながら仲よくやっているわけでありまして、先ほどちょっとお話がありましたように、人の足を引っ張りっこしているわけではございません。でありますから、郵政省の方と両々相まって、いまの制度に存在しますものすべてこれが合理的でこれが間違いないというわけでもない、なお直さなければならない点もあるかもしれぬ、そういった点につきましては、お互いによく話し合って、改善できるところは改善していく、一歩でも全体の運営として国民の皆様のためになるようにということでやってまいりたいと思っております。
  48. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 もうこの問題は結論を出したいのですけれども、そうしますと、結局、運用は国がおやりになっているから、いまいろいろお話がありましたけれども、国の責任において、郵政省と大蔵省は十分協議をしながら、言われるところの第二の国鉄みたいな、郵便貯金が大変な赤字を抱えてどうにもならなくなるということはあり得ない、そう理解をして間違いないのか。
  49. 宍倉宗夫

    ○宍倉政府委員 第二の国鉄がまたふえまして第三の国鉄なんかになりましたら、これは一大事でございます。そういうことは絶対にあり得ないように努力をしてまいりたいと思いますし、またそのように御指導も賜りたいと思います。
  50. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 郵政当局、何かいままでの大蔵の答弁で間違いがないかどうか、意思の疎通は間違いないかどうか。
  51. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 いろいろ先生の御指摘がございました。いま大蔵省からお話がございましたように、私どもも大蔵省との間でいろいろな意思疎通ということは十分に行っているつもりでございます。  ただ、私ども立場で申し上げたい点、いろいろ御指摘がございましたものを総括的に申し上げますと、まず何といいましても郵便貯金先ほど申し上げましたように、赤字が五十六年度、五十七年度出てくる、あるいは出てくる予想がなされているわけでございますが、この点は、基本的には、先生御案内のように、貯金の金利というものは法律にもございまして、民間の預金金利に配意しながら決めていくことになっております。これはいわばお支払いをするという立場でのものでございますが、一面、収入ということになりますと、先ほどから議論になっております預託利率、資金運用部に預託しております預託利率が問題になるわけでございますけれども、この資金運用部の方では、財投資金ということからの政策的要請からいたしまして、御議論がございますように、これまでのところずっと預託利率といいますものが、国債、あるいは五十七年度では政府保証債というような御議論もございますけれども、そういった他の長期金利に比べまして常に低く抑えられているというのが現状でございます。  具体例で申し上げますと、昭和五十五年度の郵便貯金の平均残高を応募者利回りということで国債に回しました場合には、およそでございますが、約二千四百億円ほどのいわば余分なお金がわれわれの手元に入ってきたであろう。もちろんこれは、当然お客様へのサービスあるいは赤字の解消に振り向けられるべきものでございますけれども言葉をかえて申しますと、これはいま私どもがそれだけのお金を財政に寄与している、国に納付をしていると言っても間違いではなかろう、このように考えておるわけでございます。  御議論のございました赤字の問題でございますが、先ほどもちょっと触れましたように、前回の金利上昇時に貯金利率と預託利率との利差が縮まっておりまして、そのことが現在にも尾を引いているという状況、それから、最近の郵便貯金の増加状況というものがきわめて不振でございまして、伸び悩みの状況にあるということでございます。  私ども先ほども申しましたコストという点につきましては、大蔵省からもお話がございましたけれども、御承知のように、山間僻地といういわば不採算地域にも郵便局という窓口がございます。こういったものを抱えながらわれわれ懸命に努力をして、コストも引き下がってきているというのが現状でございます。  なお、預け替えという問題でございますけれども、確かにこれは、制度として申しますものよりは、金利が変わりますときに預金者の方々の選択ということで、そういう選択が行われた結果として出てくるものでございます。確かに、そういう事象が起こりますと、一時的に高利率のものが多くなるということが収支に影響がある、ないとは申せないわけでございます。ただ、貯金でございますので、そのような形で預け替えをされました貯金も、当然、漸次払い戻しがされていく。それから同時に、新しい貯金と申しますか、低くなった利率のもとでの郵便貯金というものもふえてまいるわけでございまして、そういうことでこの預け替えられたものの貯金の比重、ウエートというものも漸次低下をしていくということでございまして、あれこれ総合いたしますと、いまの金融環境、いろいろ激変をいたしております。それから、金利の動きといったものもなかなか動向を見通せない面もございます。それから、経済状況からいたしまして貯金の増加がどうなるかということもなかなかつかみがたい面もございますけれども、いま申し上げましたようなことで、預け替えの問題もございますけれども、長期的に見ました場合には、私どもとして収支相償していくことが可能である、こう考えているわけでございます。  なお、もう一言つけ加えさせていただきますと、郵便貯金の金利が特別に高いかということになりますけれども、これもまた、御案内のように、最近民間等で出ております期日指定定期とかあるいはそのほかの信託関係の新型の商品、あるいはいわゆる利付金融債といったものもございまして、これはそれぞれ長短ございますけれども、一概に郵便貯金だけがとかあるいは民間のものだけがいいということではございませんで、それぞれの長所を持った形で商品サービスが行われているというのが実態でございます。
  52. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大蔵省もお聞きになっていたでしょうが、たとえば預かった郵便貯金で国債を買っておっても、いまよりも年間二千億くらい余裕が出るというのが郵便貯金の会計だそうでございます。にもかかわらず国の政策に協力をしておるわけですから、先ほどお話があったように、よく話し合いをしながら、郵便貯金が赤字になるようなばかげたことのないように、ひとつうまく運用をしてもらいたいと思いますし、将来にわたっては、われわれ決議もしておりますが、郵便貯金の自主運用というようなものについても十分考えてもらいたいと思っております。これはまた議論すれば長くなるから、きょうは議論をしないことにいたします。  そこで、最近一番問題になっておるグリーンカードの取り扱いについて、大蔵省、いまこの時点でどうお考えになっておるか、一言聞かせてください。
  53. 矢澤富太郎

    ○矢澤政府委員 国会でお決めいただきました法律を確実に実施するのは政府の当然の責務でございますので、予定どおり実施する方針でございます。
  54. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 どうもおっしゃるような雲行きでないようで、大変気の毒でございますけれども、ただ、グリーンカードを昭和五十九年から実施するために、大蔵省としては、実施に至るまでの間に総額どのぐらいの準備の予算をお考えになっておったのですか。
  55. 矢澤富太郎

    ○矢澤政府委員 五十七年度予算で建設省それから大蔵省合わせまして約百七十億円の予算がついておりますが、これは建物とかそれからコンピューターの経費あるいはカードの用紙代といった立ち上がりの経費でございます。その後の各年におきましては、大体七、八十億円の経常費を予定いたしております。
  56. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 郵政大臣、閣僚の一人として、行政改革はこの辺からやらねば。どうせできぬかもわからぬものに何十億という金をかけるのはばからしいような気も私はするのですけれども――私はグリーンカード賛成ですから、そこのところは間違わないようにしてください。賛成ですが、どうもできそうにない。そこにたくさんの金をまた引き続いてかけていくということが、行財政改革の今日の流れの中でいいことかどうかということは、頭のいい大蔵省ですから、ひとつお考えおきいただきたいと思います。  その次に、限度額ですが、もうずいぶん長く郵便貯金限度額の引き上げを行っておりませんが、この前やったのは四十八年だったですか、あれから物価がどのぐらい上がって、それに見合って限度額を引き上げるとすれば、少額貯金と言われる額はどの程度になるのが正しいと郵政省はお考えですか。
  57. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 先生の御指摘は、現在の郵便貯金限度額の問題だというふうに承りましたけれども、手元の資料で申し上げまして、限度額が三百万円に引き上げられましてそれが現在に続いておりますが、この引き上げは昭和四十八年の十二月十五日でございます。それから約九年経過をいたしておりますが、その当時の物価指数との関係でまいりますと、手元の資料では、四十八年を一〇〇といたしまして、五十五年度のものでございますが、指数的に一八三、約二倍というふうにお考えいただいてよかろうかと思います。  なお、預入限度額につきましては、実は昭和五十七年度予算の要求段階におきまして、いま申しました三百万円というものを郵政省といたしましては五百万円に引き上げるべく努力をいたしましたけれども、財政事情等の中で税制にかかわる問題でございますので、これが実らなかったということでございます。なお今後とも努力をしたいというふうに考えております。
  58. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大蔵省もお聞きのように、もう物価指数からいけば当然三百万という限度額は変えなければならないのではないかという気がします。そういうこともあって、財形貯蓄というようなものも今度労働省の方で提起をされてこの国会でやることになっていますが、なるほどいま勤めておられる方々は、何年間かにわたって貯金をすれば、おやめになった後何年間かが年金みたいな形でその貯金が返ってくる。それが税金の対象にならない。その制度がこの国会で成立しそうでございます。しかし、それでは勤めていない方、あるいはもう先幾らもなくておやめになる方は退職金をもらう。私は退職金もまた財形の一つだと思うのですけれども、退職金をおもらいになった場合に、そのお年寄りは、それから先の老後の生活を計画する上で貯金の利息というようなものは一つの目安になるはずですから、したがって、それにまで税金をかけるということはひとつおやめになって、退職金等も財形貯蓄と同じような扱いをするとか、あるいは別途郵政省提案をしたシルバー貯金というようなものを考えて、老後の生活の安定、高齢化社会に対応するいわゆる計画的な生活というものについて、大蔵当局もひとつ十分な配慮を願いたいと思うのですが、いま労働省は勤労者だけを対象に財形貯蓄をやろうとしています。しかし、勤労者としての資格がもうなくなる、あと一年もないというような、退職金しかもらえぬという人もあるし、あるいはほかのことで会社をおやめになるときに入る金があるとかというような場合に、それを一体どうするのか。それを三百万超せば、あるいは六百万超せば、あるいは九百万超せばということはありましょうが、ともかく一千万円を超えるようなお金が入ってきた場合には、超えた分は皆税金を取られる対象になるわけでしょう。この高齢化社会に対応する措置限度額の引き上げとあわせて考えてもらいたいと思うのですが、大蔵省の見解を承りたいと思います。
  59. 矢澤富太郎

    ○矢澤政府委員 老齢化社会を迎えまして、老年者の貯蓄、それから生ずる利子の扱いをどうするか、これは大変大事な問題だと思います。  財形貯蓄のお話がございましたが、これも一種のそういった思想が出たものでございまして、在職中に年金形式で将来もらうことを約束して五年以上積み立てた場合には、その積み立てた元本につきましては退職後年金のかっこうでもらうようになりましたときに、利子の非課税の特典を継続するという制度を新しく導入いたしたわけでございます。  それで、老年者の貯蓄をこれからどういうふうに考えていくかということでございますが、私どもで、今回グリーンカードの関係でいろいろ御質問がございまして、つくった数字がございます。これは、たとえば退職して年金といたしまして月十万円をもらっている方を想定いたしまして、その方が幾らぐらいまでの貯金を持っていれば利子に税金がかからないかという計算でございますが、年金月十万と申しますと、年間に百二十万になります。これは老年者年金特別控除とか給与所得控除が働きまして、この分は非課税でございます。あと老年者の夫婦の場合には、本人の基礎控除、それから配偶者控除、老年者控除、合計八十一万円の控除額がございますから、これを全部利子でもらうということになりますと、六%の利率で換算いたしますと、千四百万円までは基礎控除の中に入ってしまって税金がかからない。さらに御本人の非課税貯蓄、郵便貯金三百万円、マル優三百万円、特別マル優三百万円、九百万円を足しますと、二千三百万円までの貯蓄なら利子に税金がかからない。さらに適法に奥様に贈与をされて、奥様の九百万円を加えますと、三千二百万円までの貯蓄でございますれば、年金十万円をもらっていても利子に税金がかからない。ただし、この場合には二〇%の源泉徴収を受けまして、三月十五日に確定申告をして還付をしていただくという手続が必要でございますが、実態はそういう状況でございます。  問題は、しからばシルバー預金のようなかっこうで老年者に一律もっと上乗せの非課税枠を認めたらどうかというのは、御趣旨はよくわかるわけでございますが、その場合には、こういった本当に救済をしなければいけない人たちだけに恩典が行くということにとどまらずに、かなりお金持ちの方々にまでその恩典が行ってしまうではないかというところに問題がございまして、いま申し上げましたような確定申告をしていただいて還付を受けるということであれば、最高三千二百万円までの貯金については利子に税金がかからないという点も御理解いただきたいと思うわけでございます。
  60. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私ども一般の国民は大蔵省のお役人ほど頭がよくありませんので、そういう数字を並べてこうなりますよと言われてみましても、そうですがと言う以外にないのです。ただ、郵便局に貯金をする、貯金をとりに来てくれる、しかし三百万以上はできません、それじゃ困る。だから、どっちにしろ上げたところで税金が入らぬのならもっともっと思い切ってふやせばいいじゃないですか。何もそんなへ理屈を並べぬで、思い切ってふやせばそれでいいのですよ。これはいずれまた議論する機会もありましょう。私は時間がなくなりますから……。  郵政大臣、ちょっと最後にあなたに聞きますが、この委員会でたびたび附帯決議をつけて、郵便貯金の自主運用あるいは限度額の引き上げ、いろいろな附帯決議をつけておるのですが、一向実現をいたしません。大臣、どういう決意か、それだけ聞かせてもらいたいと思います。
  61. 箕輪登

    箕輪国務大臣 これからも附帯決議の趣旨を尊重しながら努力をしたいと思っております。しかし、五十七年度でも、限度額の引き上げだとか自主運用とか、あるいはいま先生がお話しなすったシルバー預金とかお願いをしておりましたが、何分国の財政事情が非常に厳しいことも先生御承知のとおりであります。努力はいたしましたが、税制の問題がございまして、これが落ち込むということは、この財政事情から大蔵省としては非常に苦しいというような事柄から、五十七年度では実現いたしませんでした。しかし、これからも努力をするつもりでおります。
  62. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 終わります。
  63. 水野清

    水野委員長 これにて阿部喜男君の質疑は終了いたしました。  次に、鈴木強君。
  64. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 最初に、いま阿部委員から最後に触れられましたグリーンカードの問題について、若干大臣の所見を承っておきたいのでございます。  御承知のように、五十五年の三月三十一日に法案が成立しまして、政令もつくられ、五十九年一月一日から実施されることになっておるわけですが、その後いろいろございましたが、きのうの自由民主党の役員会あるいは総務会におきまして、田中政調会長の提案である、実施を三年程度延ばすということとか、あるいは利子配当の分離課税は存続するとか、その間に現行の直接税と間接税の比率、それから所得税の累進税率のあり方などについて、税制全体について検討を加える、こういうふうなことで何らの論議もなく決まった、こういうふうに報道されているわけでございます。私、けさの新聞を見ますと、これに対して総理も何か大体その方向に同調されているというふうに報道されておるわけですけれども、これはもともと不公平税制是正ということでスタートしたものでございます。その後、いろいろと批判等が出ている点もございます。特にプライバシーの問題等について批判のあることは事実です。しかし、やはり決定したことでありますから、これは実施すべきが筋であると、私たちはそう思っております。     〔委員長退席、渡辺(紘)委員長代理着席〕 何か今国会において、いまさっき申し述べましたような、田中政調会長の御意見で議員立法か何かで提案されるように伺っているのですけれども、これは大蔵省が主体になって、さっきもお話がありましたが実施の断行ということで大変な努力はしているようでございますけれども、いずれにしても郵政省もこれは大変な関係があることでありますから、大臣としてこれに対してどんなお考えでございましょうか。お答えはもう決まっておると思いますが、かなり準備も進んでおると思いますけれども、その点いかがでございましょうか。
  65. 箕輪登

    箕輪国務大臣 グリーンカード制は、御承知のとおり、不公平税制としての批判が強い利子配当所得の源泉分離選択課税制度廃止して、総合課税へ移行することを前提として、その実効性を期するために実施されるもので、郵便貯金もそれを前提として参入することとしたものでございます。現在、各方面でグリーンカード制度の見直しについてさまざまな意見が出ていることは承知しております。昨日の自民党の総務会における田中政調会長の発言等は、ひとつ再検討しようという趣旨だと思います。どういうふうになるのか、それはまだ未決定であります。したがって、どうなるかわからないのでありまして、これについては、閣僚のひとりでもある私としては、コメントを差し控えたいと思うわけであります。
  66. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 郵政大臣としては、私は当然のお答えだと思いますが、ただ、きょうの毎日新聞にも出ておりますように、「首相も見送り示唆自民の意向尊重を表明」というような記事が出ておりますし、特にいま大蔵省のどなたでしたか、大分張り切ってやろうというようなことでしたけれども、きのう午前の閣議が終わった後の記者会見で大蔵大臣も、税率構造の見直しを前提としなければグリーンカード制の実施を延期せざるを得ないという趣旨の発言をしたと報道されているわけですね、これに。新聞報道は私は間違ってないと確信しておりますので、ひとつ、政治的な問題として大分再検討の方向に急カーブを切っていると国民も見ていると思うのですね。特に閣僚である松野国土庁長官が署名運動に参加しているということも私たちは知っているわけです。そういうわけでございますから、郵政省としていろいろ準備をなさっていくにしても、このあとどうなるかという、やはり一つの不安を持っていることはよくわかります。しかし、大臣がおっしゃったように、国会が決めてしかもこれが動き出そうという段階でありますから、準備をするのが当然でしょうが、そういったやはり大きな政治のうねりの中で遅疑逡巡するようなこともあるのではないかというような気がするわけです。ですから、やはりこういう中で国民が非常に注目をしていることですから、自信と確信を持って法律は実施していく、やはりこういったたてまえでもって進んでいただくことが正しいのではないかと私は思います。大臣はそういうふうな考え方でおられると思いますので、これ以上質問いたしませんけれども、その辺もう一度、くどいようですが、ひとつ大臣の御所見を承りたい、こう思うわけです。困っているのじゃないですか、いま。
  67. 箕輪登

    箕輪国務大臣 すでに所得税法が改正され、五十九年から実施をすることになっておりますので、郵政省としてはその対応について、グリーンカード制度に参入を決めた以上は準備をしておかなければならぬということで準備を進めている段階であります。従来も郵便貯金限度額が三百万円でございますので、三百万円限度額をそれぞれが守っているかどうかについては厳正な審査をやっておったわけでありますけれども、その後も準備を進めておったわけでありますが、国会がどう決めるのか、あるいは自民党の中であるいはまた民社党の中で議論されていることは聞いておりますけれども、それは法律改正をしなければならぬことでありますから、どんなかっこうで法律改正が行われようとしているのか、予測もつかないところでございまして、これ以上のコメントはできない、こういうことでございます。
  68. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 まあ、歯切れが悪いですけれども、事情が事情ですからね。しかし、私たちはやはり決まったことですから、やってほしいということを重ねて表明しておきます。  それから、いまも質疑がありましたが、限度額の引き上げ問題については一般質問でも私、大臣に所見を伺いました。この税制との絡みがありますから、大蔵省は依然として反対をして、結局これはつぶされてしまったわけです。シルバー貯金においてもしかり。しかし、この郵便貯金のよって来る制度趣旨を考えると、私は、もう少し大蔵が郵政のこの郵便貯金に対する考え方を理解し、その方面に協力をするということが至当であろうと思うのですけれども、ただ単に税制がどうだということだけに固執して、全体をこうやったら郵便貯金の面についてはこれだけやれるという展望がないのですね。ただ税収が足りない、外国から比べると税金が少ないということで、三百万円を五百万円にすることにすら反対してつぶれてしまった。一千万円もしかり。そういう点、何かうまく両省が話し合いをしているということがありますけれども、昨年のあの金融懇の問題をめぐって火花を散らした、いわゆる民間銀行対官業の郵便貯金との関係、そういったいきさつを見ましても、当事者はもちろんでありますが、政府がもう少し指導性を持って、郵便貯金の長い歴史と伝統を誇る事業を本当に国民のためにするにはどうしたらいいか、こういった点をもっと話し合いをして、大蔵が直接民間銀行を監督しているわけですから、そういうところとまず基本的な腹合わせをすることが大事ではないか、私はこういうふうに思っているわけであります。  したがって、大蔵の、一面的なものだけを見て論ずるようなことについて、もう少し理解を深めるように、われわれもがんばらなければいけませんけれども大臣としても、この前伺いましたが、御在任中に来年度予算に向けて、山内郵政大臣当時からの念願である――これは国民の願ですよ。それが実現できるような御配慮をぜひやっていただきたい、こう思いますので、大臣の御所見をもう一遍伺っておきたいと思うのです。
  69. 箕輪登

    箕輪国務大臣 五十七年度予算について昨年末まで私どもは大蔵省と詰めをやったわけでございますが、厳しい財政事情、そして税制に関する問題で、税金が少なくなることについてはなかなか話し合いがつきませんで、残念ながら、いま申し上げた自主運用あるいは限度額の引き上げ、また簡保の限度額一千万円を一千八百万円にするような問題、あるいは預託金利の引き上げ、それぞれについて不調に終わりました。しかし、さらに大蔵当局と、厳しい財政事情はわかるけれども、こちらの事情も理解してもらうように努力をいたしているところでございますし、さらにまた来年度に向かって努力をいたしたいと存じております。     〔渡辺(紘)委員長代理退席、委員長着席〕
  70. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 この際聞くのがどうかと思いますけれども郵便貯金のよって来る長い歴史と経過、それから民間銀行は民間銀行としてまたよさがあると思うのです。ですから、民間銀行と郵便貯金がいつも相克するようなことは私たち何としてもがまんできないですよ。国民が民間銀行を利用するか、郵便貯金を利用するか、これは自由な選択に任されているわけであります。かつてのように、郵便貯金がふえる、そうすると今度は郵便貯金は募集のやり方がどうだとかこうだとか文句を言うわけですね。そういうことであっては実に見苦しい次第でありまして、一生懸命やっている諸君から見ても非常に困ることだと思うのですよ。ですから、金融懇というのはちょっと設置の趣旨から見て適切でない、こういうふうに私は考えております。したがって、ひとつ大臣、新しい発想の上に立って、日本の貯金制度がどうあったらいいか、官業と民業とのあり方、そして相競合しつつりっぱなものを国民に提供してもらうという、郵便貯金の特性、民間銀行の特性といったものを、十分に広い視野から、余り政治的な染まりのない純然たる学者先生とか経験者とか、そういった人たちを糾合して、もう一遍ここで改めてこの制度全体に対する検討をしていただくような懇談会といいますか、そんなふうなものでもつくってやったらどうかなという気があるのですが、その点どうでございましょう。大臣、そんな気がしませんでしょうか。
  71. 箕輪登

    箕輪国務大臣 郵貯懇の話が出ましたが、郵貯懇については私なりにも個人的な意見はございますが、それは個人的な意見でございますので差し控えたいと思います。  ただし、昨年の郵貯戦争は、大蔵大臣郵政大臣官房長官、三相の合意で終末をいたしました。その趣旨は、郵便貯金それから民間の金融機関、これらが共存共栄すべきだという趣旨に違いないと思うのであります。だから、郵貯の方も共栄するということでやっていくより方法はなかろう、こう私は考えております。  それで、本年一月に民間の金利が下がる、公定歩合が下がった、直ちに郵政省の方もそれに対応して下げるというようなことをやっておりますけれども、やはり共存共栄の精神を生かしながら、今後も郵貯が繁栄するように、これは国民のためになることなんですから、これからも努力をしていきたい、こう考えておるところでございます。
  72. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 官房長官が中に入りましてまとめた結論というのは、大蔵省は大蔵省でいいように解釈をしておる。当然また郵政省郵政省として考えられると思うのですが、私もあの当時、官房長官にもお会いして、いろいろ私どもの意見も述べたこともございます。それは大臣のおっしゃるように、あの趣旨が一応の決着になっております。しかし、郵貯法の改正はできなくとも、今後金利の問題については実質的に改正したと同じように、閣議の決定があるからこうだということが押しつけられてくると私は思うのですよ。大蔵省は、そういう面ではどういうわけか知りませんがかなり力を持っているのだね。  それはそれとして、あの閣議決定の点は必ずしも同時でなくちゃならぬということではないわけでしょう、できるだけそういう方向に努力するということでございましてね。ですから、そういう心配も私は持つものですからそんな提案をしたのですが、これは貯金局長、一方郵便貯金をやるのは郵政省の方ですから、郵政省としてもこの段階に来まして民間銀行とのいろいろな悶着も出てくるわけですね。したがって、郵便貯金のあり方、過去の伝統の中でやってまいりましたものにさらにこういう点をこういうふうにして国民の負託にこたえるというような、制度改革を含めてこうあるべきだというようなものを模索する、御検討をする御所信はないのですか。これは郵政省の方のことですからちょっとあなたにお伺いしますけれども
  73. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 昨年の金融懇の問題につきましては、この委員会先生方にも大変御心配をおかけいたしたわけでございますが、いま大臣からお答え申し上げましたように決着をいたしております。  なお、郵便貯金そのものにつきましては、民間金融機関ともども国民のためになるサービスを今後とも果たしていきたい、提供していきたいというふうに考えておるわけでございます。  私ども郵便貯金は、個人性というものが非常に強い、個人のための貯蓄機関であるということで、長い伝統を持っております。ただ伝統を持っているというだけではなくて、これからに向けましても、私どもはやはり個人金融の基幹的な存在であるというふうな認識を持ち、またそういう気持ちで国民の皆様にサービスを提供していかなければいけないと考えているわけでございます。たとえて申しますと、この四月一日から愛育貯金という新しい形での定額貯金の提供を考えておりますし、また六月には公共料金等の自動払い込みの取り扱い予定いたしております。  具体的にはそういうふうなこともございますが、やはり何よりも基本的にどうするかという問題が先生の提起された問題かと思います。その点につきましても、私ども現在でも郵政審議会に設けられております郵便貯金基本問題特別委員会、これは設置法で設けられております郵政審議会の中の機関でございます。その特別委員会とか、あるいはこれは貯金局長の私的諮問機関でございますが、郵便貯金に関する調査研究会といったものもございまして、そういったものも含めましていろいろな機会に、学者の方々あるいは消費者、婦人団体の方々、それから広く有識者の方々からも御意見をいただきながら、御指摘のような郵便貯金のサービス、商品の開発といったことに努めてまいりたいというふうには考えているところでございます。
  74. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 大蔵省、理財局からおいでいただいておりますが、昭和五十七年度の予算で郵政省から要求のありました、郵便貯金の資金が財投にずっと組み込められておるわけですが、その中の一部を資金にして郵政がみずからの手で債券の引き受け等についてやりたいというので三兆五千億円の要求をしたはずなんです。ところが、それを大臣折衝まで持っていったのですが、切られておる。これは本当は大臣に聞きたかったのですが、大蔵委員会があるそうですから来られないのでやむを得ませんが、この新規増加額と満期償還額の合計額の約四分の一に相当する三兆五千億円というわずかなものですが、五十七年度郵政が要求したものを認めなかった理由はどこにあったのか、これをひとつ明らかにしていただきたい。
  75. 酒井健三

    ○酒井政府委員 お答え申し上げます。  先生よく御承知おきのように、郵貯資金につきましては、現在の資金運用部資金法によりまして、国の各特別会計の積立金などほかの資金と一緒に資金運用部において一元的に統合して管理、運用することに、現在の制度はなっているわけでございます。これは、郵貯資金等は国の制度、信用を通じて集められた資金でございまして、資金運用部資金としてそれらの資金は一元的に管理することによって初めて政策的重要性に応じてバランスのとれた資金配分が可能となりますとともに、財政金融政策との整合性を図りつつ、そのときどきの社会的、経済的要請に即応した弾力的運用ができるからだろうと私どもは思っているわけでございます。このような考え方に立ちまして、資金運用部による統合運用というものは、わが国の財政制度の基本的な枠組みとして現在組み込まれているわけでございます。  御指摘のように、郵政省からは五十七年度の御要求として、一部を国債等の自主的な運用をしたいというようなお話がございました。しかし、これにつきましては、郵政省とも十分御相談をいたしまして、私どもとして、こういうような郵便貯金の自主運用というものは、先ほど申し上げましたような財政制度の基本に大変大きな影響を与えることになるということで、五十七年度の財政投融資計画というものは、従来同様現行の一元的な管理、運用の仕組みのもとで編成させていただいたわけでございます。  実は、そうでなくても郵便貯金の増加予想というのが、五十六年度では八兆九千億の目標でございましたが、五十七年度におきましては、郵政省の方から七兆九千億というような目標の提示がございまして、当初対比でも一兆円減少するという予定の話でございまして、そういうような対前年度比ではむしろ郵便貯金の増加額が減るという環境の中で、その中からさらに資金を利子運用のためにお使いいただくということは、私どもとしては五十七年度の場合にはどうしても受け入れることができないということで、従来同様のやり方で編成させていただいたわけでございます。
  76. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 それはあなたが次長で、現行制度のもとにおける考え方の上に立って基本的にお述べになったわけでございます。恐らくそういう考え方渡辺大蔵大臣にレクチュアして、結局郵政大臣とのお話の中で決着がつかなかったのだと思うのですけれども、私は根本的に考え方が違うのですよ。  歴史をひもといてみると、郵便貯金というものは昭和八年から十七年までは自主運用をされておった。郵便局が一生懸命預金者から苦労して集めて、その金というのは郵政省が自主的に運用をして、そして効率的な運用をして、それによって預金者に有利な還元をするという制度が歴史的にあったのだ。そういう経過から見ても、さっきも阿部委員がおっしゃっておりますが、簡易保険もしかりだ。郵便貯金にしても、運用部の方へどんどん持っていって、そして財政投融資に使う。そしてまた、何かになると足を引っ張るようなことを考え出したりしているじゃないですか。やはりそういう発想がおかしいのであって、六十七兆残高がある、そういう中で、新しく伸びる中からわずかであっても自主的な運用をして、効率的な運用をやりたいということでしょう。ですから、国債とか地方債の債券引き受け等、地方公共団体への貸し付けによる地方還元、個人住宅資金への還元というようなものをやりたいというのがささやかな願いだったわけだ。それすら一刀両断のもとに切り捨ててしまう、そういうやり方がおかしいと言うのだ。政治というものはみんなを幸せにするためにあるわけだ。国家財政の問題も、私たちよくわかりますよ。しかし同時に、一生懸命苦労して集める郵政省立場から見るならば、本来的には自主運用にしてもらいたい、そういう気持ちはあるけれども、そこは制度がそうなっているのですから、集めたものは全部あなたの方に行くわけだ。その中で、せめてこのくらいのことはして、そして預金者とのつながりもふやして、そして郵便貯金というものがもっと正々堂々と発展していくようにという願いを込めてやったのだと私は思うのだ。それを既定観念の上に立って、何ら国民のニーズも考えず、国家全体のことだけを考えてそしてやるということも、これは若干腑に落ちない点があるわけです。ですから、これはこれからもあることだろうし、要求はするだろうと私は思います。ですから、もう少し既定観念だけでなくて、いいところは現行制度を大いに直して、そしてみんなが納得できるような方法にすること、これが政治なんだ。あなた方は官僚の一人だから、法律が決まればその法律に基づいて運用によってやるという、それは答弁はわかるけれども、だからきょうはあなたじゃ話にならぬのだけれども、どういうわけかと思って大体聞いてみた。そういうことをあなたは大臣に注入して結局だめになったということがよくわかった。  そこで、大臣郵政省としては、少なくともあれだけの金を集めて、国家全体のために忍びがたきを忍んでやっているのじゃないですか。郵政省が運用したら、もっといい利息がこれは稼げる、私はそう思う。しかしそこは、国全体のことを考えなければならぬから、われわれも余り固執しませんけれども、せめて三兆円、四兆円の金を、しかもこれが非常に適切な方向に対象として使おうというのですから、このくらいのことが認められないようなことじゃこれはだめですよ。大臣もひとつうんとがんばって、来年度予算のときには、これは総理に何でも話して、われわれもまたやりますから、ぜひ実現のためにがんばってほしい、こう強く願っておりますので、やるということをひとつ簡単に言ってもらいたい。
  77. 箕輪登

    箕輪国務大臣 昨年末、五十七年度予算の大臣折衝でずいぶんがんばったつもりでありますが、残念ながらお認めをいただけませんでした。ただし、それで終わったのではございませんで、私の方から、これは来年度に向かって引き続き検討するという事項にしていただきたいということを申し上げております。したがって、先生の激励もございますので、これからもまた一生懸命がんばっていきたい、こう考えております。
  78. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 貯金局長、五十六会計年度が終わりましたね。郵貯の五十六年度の実績というものが大体わかったと思います。われわれも新聞その他の情報で知っておりますが、かなりダウンしているのですね、十何%というようなぐあいに――もっとですか。かなり減っているのですけれども、実績はどうなのか。それから、その不振の原因は一体何なのか、その分析はできておりますか。できておったらここで教えてください。
  79. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 昭和五十六年度の郵便貯金の増加状況でございますが、純増加額というもので申しますと、三兆一千六百億円でございます。これは五十五年度、前年度の同期の実績を四九%下回っております。約半分でございます。金額にいたしまして三兆円。それから、五十五年度は一時的な急増ということでございまして、もう一年前の五十四年、前々年度の同期実績と対比をいたしてみますと、これでもまだ二四%、金額にいたしまして一兆円余り下回っているわけでございます。この純増加額に元加利子を加えました総増加額で申しますと、トータル七兆六千三百八十七億円でございまして、これは当初予定いたしました郵便貯金の増加目標額、これがイコール財政投融資の計画額になるわけでございますが、予定いたしました八兆九千億円に対しまして一兆二千六百億円下回った数字になっております。率にいたしますと一四%ということでございまして、過去の年度を見ましてもこれだけ目標額との乖離があったことはないわけでございます。  御指摘の、この理由でございますが、御承知のように、郵便貯金と申しますものは個人の貯蓄でございまして、家計というものと非常に密接なつながりがございます。この家計可処分所得というものが現在の経済の低成長ということの中で非常に伸び悩んできているということが、郵貯伸び悩みの一つの原因であるというふうに分析をいたしております。それからもう一つは、消費者ローン、進学ローン、住宅ローンといったものが非常にふえてきております。したがって、これの返済にお金を回さなければいけない、そのことが貯蓄に回るお金を少なくしているのではないかという点がもう一つ理由。そして、民間等におきましていろいろな商品が開発をされている。国民の皆様、利用者の皆様も金利に非常に敏感になっておられる。その金利選好といったことも郵貯の伸び悩みの一つの原因ではなかろうか、このように考えているところでございます。
  80. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 確かに、五十三年以来二百一万円の最低課税標準世帯の税制はそのままになっておりますから、せんだって大蔵省が発表した資料を見ても、実質的には三兆五千億くらいの増税になっているというようなことがちょっとありました。その中で、物価減税に充てるべきものとしては約一兆五千億くらいというような資料をちょっと私拝見したことがあるのですが、それは確かにそういう点があると思います。それから、三番目に言われました、民間銀行の方でも、都銀なんかは昨年の六月から期日指定定期預金という新しい商品を発売したのですが、二カ月間で約一兆二千億という金がそこに集中しておるのですね。ですから、そういうために金利に敏感な預金者が郵貯から離れていったということも、これは事実でございましょう。したがって、郵政の方におきましても、愛育貯金その他いろいろ新種の保険等も考えて、国民の皆様の負託により一層こたえるような便利なもの、有利なものをひとつ考えていくようにしてほしいと思います。  そこで、大蔵省にお伺いしますが、いま貯金局長からお述べになりましたように、約一兆円近いものが不足しているわけですね。これは財投の方にぴんと響くわけですね。したがって、財投計画に支障を来したのではないか、こう私は思うのですけれども、実際にこの国会提案されたあの財投計画というのは全く変更しないでやったのかどうなのか、その点はどうでございますか。
  81. 酒井健三

    ○酒井政府委員 お答え申し上げます。  五十六年度の財投の原資といたしましては、私ども約二十二兆九千八百九十七億円を予定いたしまして、そのうち郵便貯金につきましては、四割近い八兆九千億円を見込んで計画を策定したわけでございます。しかしながら、いまお話のございましたように、五十六年度の実績といたしましては、郵便貯金の伸び悩みということで、郵便貯金の増加額は七兆六千億円余りということになりまして、目標に比べまして一兆二千億円余り下回ることになったわけでございます。他方、資金運用部の原資というのは、もちろん大宗が郵便貯金でございますが、そのほかのいろいろ預託もございまして、その原資の一部でございます年金資金につきましては、当初三兆九千億円の増加を見込んでおったのでございますが、これが結果的には約六千億円余り見込みを上回ることになろうかというふうに見ております。他方、運用の方は、全体として資金繰りが郵貯の伸び悩みということで非常に厳しい状況ではございましたが、私ども財投計画の実行には支障のないように、当初の計画を削減するというようなことのないように努力したわけでございます。そのためには資金繰りというものも必要でございまして、私ども五十六年度におきましては、手持ちの国債、これは残存期間のわりあい短いものでございましたが、これを約五千億余り市中に売却して資金調達を行って、それによって財投計画の当初の計画を予定どおり執行できるように努めたわけでございます。
  82. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 まあ郵貯が一兆二千億不足したが、幸いにして厚生年金、国民年金等の資金が六千億ふえたわけですね。しかし、一兆二千億郵貯が引っ込んで六千億ですから、半分は足りなかったわけですね。その分はおたくの持っておる国債の手持ちを売り払って調達した。こういうことでつじつまを合わせた。  その最終的な計数というのがはっきりするのはいつですか。
  83. 酒井健三

    ○酒井政府委員 お答えを申し上げます。  本年の七月ごろになる予定でございます。
  84. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 ここの昭和五十七年度の分ですが、さっきもお話がありましたように依然として伸び悩むだろうということで、この郵貯の残高も新規の募集も一兆円ぐらい減少するだろうということになっておるわけですが、五十七年度の財投計画を立てるときにも、さっきもちょっと話があったと思うのですけれども、その点を考えるとかなり苦心をされたのじゃないか。幸いことしは、五十六年度はいまお話しのようなことでつじつまが合ったわけですけれども、五十七年度の場合には、すでに一兆円減少するだろうという予測の上に立って計画を立てたわけでありますから、その点は非常に困難があったと思うのですけれども、いかがなものでございましたか。
  85. 酒井健三

    ○酒井政府委員 お答え申し上げます。  五十七年度の財投計画の編成に当たりましては、財投の原資の大宗を占めます資金運用部資金、その中でも郵便貯金が大宗を占めるわけでございますが、御指摘のように、最近の伸び悩みの状況から、五十六年度の目標額の八兆九千億円に対しまして、五十七年度の増加目標額は七兆九千億円と一兆円ほど落ちるという厳しい見込みでございまして、私ども、資金運用部資金全体といたしましては、五十六年度計画に対しましてわずか八百八十七億円の増加しか見込めず、資金運用部資金の原資全体としましては十九兆五千六百八十九億円を計上したわけでございます。財投計画ではそのほかに政府保証債も原資にいたしておりますが、これにつきましては、民間資金を積極的に活用さしていただくということで、五十六年度に比べまして六千二百億ほど増加しました二兆二千二百億円を政府保証債で調達するということにいたし、それからまた、簡保資金につきましては一兆九千八百十億円、産投会計につきましては、前年同額でございますが、百八十九億円を見込むことにいたしまして、財投全体の原資は二十三兆七千八百八十八億円と前年度に比べまして三・五%の増となったわけでございます。  この財投の原資を国債の引き受けと財政投融資計画への運用と二つに分けているわけでございますが、国債の引き受けにつきましては、国債の消化の状況にかんがみまして総額で二兆円減らさせていただきましたが、資金運用部の引き受けは五十六年度の当初と同じく三兆五千億円を引き受けることにいたしまして、財政投融資計画につきましては、二十兆二千八百八十八億円と対前年度四・一%の伸びにいたしたわけでございます。ちなみに、五十六年度の財政投融資計画の伸びは七・二%でございますので、伸び率は大幅に低下しております。この四・一%の財投計画の伸び率というのは、昭和三十三年度以降最も低い伸び率という状況になっているわけでございます。
  86. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 結局、足りない分は政府保証債の増発によってつじつまを合わせるということになっておるのですけれども、この政府保証債の応募者利回りというのはどのくらいになるのか。郵便貯金の場合は何ぼですか、これは貯金局長の方から答えてもらいたい。
  87. 酒井健三

    ○酒井政府委員 お答え申し上げます。  金利はそのときどきの金融情勢によりまして変動するわけでございますが、現時点におきます金利を申し上げますと、政府保証債は表面利率七・六%、発行価格九十八円七十五銭、応募者利回り七・八二二%。郵便貯金の方は、私から申し上げるのはいかがかと思いますが、三年以上のものにつきまして現在六・〇%というふうに私ども承知いたしております。
  88. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 私どもの預託利率についての御質問かと思いますが、預託利率につきましては現在七・三%でございます。
  89. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 いずれにしても、この政府保証債の方が郵貯の利息よりもずっと高いわけです。だから、やはり郵便貯金がふえてそれが財投に回っていくという政策を基本的に推進することが大事だということがよくわかるわけです。  あなたは計画を変更しなかったと言っているのだが、実際には一兆円足りないものですから、五十六年度の場合も国債を売ってやっているわけですから、計画変更しないというのではない、内容的にはしているわけだ。足りなかったからそういう措置をとったのだから。したがって、五十七年度におきましても一兆円くらい不足するだろうということになると、それがいまからどうなるかわかりませんが、もっとこれが引っ込んだということになると、これは財投計画の中にも影響が強く出てくるわけでしょう。ですから、やはり郵便貯金というものと民間銀行との融合をよほどうまくやって、そして郵便貯金もやはり国家財政の大きなかなめとして重要な責務を担っているわけですから、郵便貯金がより伸展しますような政策も積極的にやるべきではないか、こう思うのです。そういう意味において、私は理財局の次長さんですからその点はわかってくれると思うのです、銀行局とか主計局になるとちょっと見方が違うと思うのですけれども。  そういうふうにして、預金者に魅力を持たせるような制度改革ということも運用上できるものはやっていって、郵便貯金というものがより大きくなり、それが国家財政全体に寄与する、そういうことにやはり大蔵省として積極的に協力すべきではないですか。そのことについてはどうですか、次長。
  90. 酒井健三

    ○酒井政府委員 お答え申し上げます。  大蔵省の中の局によっていろいろ立場も違います。私ども立場は、先生が御賢察のような立場にあろうかと思います。しかし、私どもとしては、国債の発行等いろいろな問題も抱えておりますし、民間と官業とが共存共栄という立場でいくのが基本的なことだろうと思いますので、いろいろ不必要な大きな摩擦の生じないようにやっていくように努めていかなければならないと思っております。  なお、ちょっとそれますが、私どもも、郵政省からお預かりいたします資金につきましては、貯金者の御意向をできるだけそんたくいたしまして、国債の引き受けであるとか、地方団体への貸し付けであるとか、財投機関への融資とか、あるいは個人への還元とか、郵政省が御要求なさったような使途にはできるだけ使うように努力いたしております。
  91. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 いま非常に国民の期待にこたえた答えがありまして、五十八年度になりますね、ぜひひとつそういう方向でよろしく配慮していただきたい、心からお願いしておきます。  それから、時間がありませんのであれですが、貯金局長郵便貯金をしておって出したり入れたりしないで十年間置くと時効になるわけですね。これは最近どのぐらいの額になっているのか。それから、そういうことについては各個人個人に、住所のわかっているのは、おたくにはこれだけの預金があるが引き出しも預金もしていない、したがって時効になりますよというような通知を出していると思うのですけれども、何か一般へのPRといいますか、そういうふうなものについては具体的にどうなさっておるのでしょうか。時間がありませんからおおよそのところで簡単にお願いします。
  92. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 御指摘のように、郵便貯金法の二十九条におきまして、十年間貯金の預入あるいは払い戻しがなくあるいはまた利子の記入、貯金の現在高の確認に係る請求その他のことがございません場合には、十年間で貯金の処分をさせていただきますという旨の催告をいたしております。その催告をいたしましてから二カ月以内になお通帳あるいは貯金証書の御提出がいただけないときには、その貯金に関する預金者の権利が消滅するという規定になっているわけでございますが、昭和五十一年度で十四億、五十二年度で十五億というふうなことで、五十五年度におきましては約二十四億円の権利消滅のお金が出ております。  もちろん、私どもは、この法律にございますように、催告書の発送ということは法律上の規定としていたしておりますけれども、そのほかにこの法律趣旨を広く利用者に周知をするということで、これまでも、新聞への掲載あるいはラジオによる放送、それから地方公共団体の御協力をいただきまして広報紙への資料の提供、あるいはマスコミ向けの郵政省の資料、印刷物といったものによりまして、できるだけの周知はいたしているつもりでございます。
  93. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 私、参議院におった当時このことを質問したことがあるのですけれども、当時、新聞等のことを私が申したら、金がかかってできないというようなお答えでしたが、その後新聞等の広告はやっているというからいいことですが、ただ中央紙だけでは効果がないように私は思うのです。中央紙もやっていただくと同時に、やはりローカル紙の方がいいと思うのだ。私の山梨なんかでも、地元の新聞は十五万ぐらい取っていますね。あと読売、朝日、毎日、それからサンケイ、そういったのは部数にするとやはりちょっと少ないわけですね。ですから、中央紙にやると同時に地方紙にもやったらどうか。私は、相当の金がかかるのじゃないかと思うのですけれども、その辺をひとつ工夫してもらいたいことと、もう一つは、NHKも財政困難のゆえをもって、官庁あたりがいままでただでやっているお知らせなんかも、今後金を取ったらどうかというような意見もあるわけですよ。いまのところは好意的にNHKは番組を使ってやっていますね。ですから、ああいう点もうまく利用させていただいて、そしてまだ郵便貯金をとらないで時効になる人があるからと、簡単なことで、余り長くはできないでしょうから、そういうような作文を考えてスポットぐらいで入れてもらって全国に周知するようなことを考えるとか、頭のいい局長だから、ひとつ知恵を働かせて、ぜひその点はもう少し国民預金者へのPRをして、金が国に入るので、国庫としては、会計としてはいいかもしれないが、やはりうっかりしている人もおるわけですから、それを喚起するような有効な宣伝をもっと積極的にやってもらいたいと思って、思いついたことを言ったのですけれども、これらのことを含めて検討してもらえますか。
  94. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 先生の御指摘の点、私どもはこれまでにも十分努めてきたつもりでございますけれども、なお貴重な御意見として承り、十分な検討をさせていただきたいと思っております。  それから、残念ながら権利消滅金が出てきていることは事実でございます。先ほど申し上げたとおりでございますが、かつて国会でも御議論がございまして、それを何とか国民への還元に使えないかというふうなことで、その出てまいりました消滅金をも含めました国民への還元ということについては、私ども意を用いているつもりでございます。
  95. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 もうあと五分しかありませんので、資料を特に出していただくようにお願いしたいのですが、それは、長い懸案でありました為替貯金のオンライン化の問題ですが、進捗状況と今後の扱い等についてお伺いをしたかったのですが、時間がありませんので、ひとつ為替貯金オンライン化の進捗状況はいまどういうふうになっておるか、特に全国九つの計算センターと事務センターがございますけれども、これがどういうふうになっておるか、そして最終完全完了の時期はどのくらいになるのか、そういう場合にキャッシュカードによって払い戻しができるようなことも当然おやりになると思うのですが、先般電電公社に起きましたようなああいった犯罪事件がありますだけに、キャッシュカードの扱いについての配慮を十分やっていただきたいことと、お役所的に、たとえば八時半から五時でおしまいだというようなことでなくて、できるならば夜八時かくらいまでは引き出しができるような配慮をしてやれば喜ぶのではないか、これには恐らく施設の面で、要員その他の措置もあると思いますけれども、そういうところへ定員をふやすのはみんな喜ぶわけですから、要求して何とか、四時になったらお役所でだめですよというようなことでないような、キャッシュカードを使っての出し入れができるようなことをひとつ考えてもらいたい。  それから、これから公共料金、電気、ガス、水道、電話、NHK受信料というような公共料金とか、その他各種の保険料、通信販売、割賦販売、こういったものについても六月からおやりになるようですけれども、その取扱料金等がどうなっていくか、その点もひとつ後で出してもらいたいと思います。  それから、二、三分ありますからちょっと……。私の地元に甲府地方貯金局があったのですが、これが今度事務センターに変わるわけですね。これについて県議会でも、それは困る、従来の地方貯金局で置いてくれという決議もいたしました。全県下の各町村におきましてもそういう決議をして、郵政省にも具申をしておったのですが、あそこはいまどういう状態になっておるのですか。そして定員も五百四、五十名おったと思うのですが、そういう定員は最終的にはどんなふうになるのか、扱いの業務等を含めて、そこだけ簡単にお知らせいただいて終わります。
  96. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 先ほど先生の御指示のございました資料につきましては、後ほど提出をさせていただきたいと思っております。  それから、オンライン化でございますが、昭和五十七年四月一日現在でオンラインによる業務を行っております地域は三十の都府県、局数におきまして一万二千二百局ほどになっております。これの中でいわゆる従来の地方貯金局でございますが、地方貯金局のうち九つを計算センターということにいたしておりまして、御指摘の甲府の貯金局につきましてはそれを貯金事務センターという形に改組いたしております。定員につきましては五十四年度から五十六年度までに三十四人の減員をいたしているところでございますが、オンライン化に伴いまして、甲府のセンターで所掌いたしておりました仕事が東京地方貯金局に移るという状況がございますけれども、この事務量の問題につきましては、東京地方貯金局と甲府貯金事務センターとの間で事務量の調整を図るということで、特に定員の問題につきましては円滑な過員の解消を図っていきたい、このように考えております。
  97. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 ありがとうございました。
  98. 水野清

    水野委員長 これにて鈴木強君の質疑は終了いたしました。  次に、竹内勝彦君。
  99. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 最初に、大臣に若干質問をさせていただきます。  まず、最初にお伺いしたいのは、五十九年一月一日から実施される予定のグリーンカード、少額貯蓄等利用者カード、このグリーンカード制の実施見直し論というのが与党を初め一部のところから強まってきている。そして、今回、与党の政調会長が、グリーンカード制導入問題について再検討したい、特に再検討の方向として、制度実施を三年間延期、そのため所得税法改正を今国会中に議員立法で処理する、その間、利子配当所得の源泉分離選択課税制度は存続する、実施延期の期間中に、現行の直接税と間接税の比率、所得税の累進税率のあり方など税制全体を見直すとの方針を打ち出したというような報道を聞いておりますけれども、このグリーンカード制度が実現されると、預金する利用者側、あるいはまたその受け手側ですね、その手続がめんどうになるのではないかというような意見もございますし、どういったシステムでやるか、また、国民一人一人の預金残高がわかってしまって、そういったものがあからさまになるというのは問題だ、プライバシーに触れる、こういった意見もございます。  そこで、しかしこれも国会でこのグリーンカード制は五十九年一月一日から実施するということはすでに決定しておるものでございますが、このグリーンカード制度が実施されると、金融機関への預貯金というものが減って、むしろ金だとかあるいはゼロクーポン債、ダイヤなどの貴金属、あるいは株式、土地などへのこういった遍った、国民経済に対していろいろ混乱があるのではないか、そういった懸念から、いま私が申し上げましたような、与党としてもそういうような対策を立て、検討したというようなことでございますが、その中で一番大事な郵便貯金を管轄しておる郵政大臣として、この問題に関してどういうお考えを持っておるか、御説明いただきたいと思います。
  100. 箕輪登

    箕輪国務大臣 もともとグリーンカード制度というものが国会で議決されたゆえんは、御承知のとおり、不公平税制という非常に評判の悪い利子配当分離課税、これを是正して総合課税に持っていこう、こういう考え方国会の御承認を得たものであります。そういう趣旨に従って、郵政省郵便貯金についてそのグリーンカード制度に参入しようと考えたわけであります。  しかるに、最近このグリーンカード制度についてさまざまな意見が出てまいりました。先生おっしゃったとおりのような意見が出てきたわけであります。郵政省はその準備を進めておったわけでありますけれども、さて、再検討するその再検討の内容というものが新聞に書かれているとおりのものか、いまだ判明いたしておりません。したがって、郵政省はこのグリーンカード制度を五十九年実施のつもりでだんだんの準備を進めてまいったわけでありますけれども、今後の問題についてはどうなっていくのかよくわかりません。特に、私は、これを実施するというまた所得税法の改正された今日でございますので、そうした今後の問題については御答弁が非常にむずかしい、コメントを控えさせていただきたい、こう思うわけであります。
  101. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 大臣、余り時間がないから、では簡潔に聞いておきます。  この問題に関しては、与党の中で各大臣、一部でございますけれども、たとえばその中の、この制度を一番大事に決定をした渡辺蔵相等の考え、これは報道によれば、工夫をすれば円満解決するのではないかというような考え方を持っておるやに伺っております。また、すでに署名活動なども全力を挙げて、衆議院で百九十二人、参議院では百二人、二百九十四人の署名を集めた、こういった報道もございますし、郵政大臣として、恐らくこういう署名なども来るかもわかりませんし、あるいは来たかもわかりませんし、もしそんなふうになってきた場合はどういうお考えを持っていますか。署名しますか。
  102. 箕輪登

    箕輪国務大臣 お答えいたします。  すでに署名を求める呼びかけがございました。私は郵政省大臣として、すでにもうグリーンカード制度郵便貯金が参入するということを決定しております今日、せっかく御勧誘はございましたけれども、署名をお断りしたところでございます。
  103. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 では、もう一点大臣にお伺いしておきます。それで結構ですから。  このたび、郵政省が六月から二十四都府県の郵便局で郵便貯金を利用した公共料金などの自動払い込みを始める、このように発表いたしました。この対象には、電気、ガス、電話などの公共料金はもとより、税金や保険料、通信販売などの代金も含まれる、こういうようにございますが、自動振替を郵便局が行うようになれば、これは従来行ってきた民間銀行への圧迫ではないかという、こういった意見もあるやに伺っておりますし、郵便局は庶民大衆に支えられてきた国民の大事な金融機関であるがゆえに、この制度が発足するに当たっていささかでも国民の側にしわ寄せが行くようではならないと思うのですね。たとえば郵便貯金の利子はもっと引き下げるべきだというような、そんな暴挙が絶対に行われてはならないと思いますし、ぜひ国民の皆様方が本当に、こういう公共料金の自動払い込みによってますますまた国民に親しまれる郵便局として発展していかなければならない、こう考えますので、大臣の御決意をお伺いしておきたいと思います。
  104. 箕輪登

    箕輪国務大臣 郵政省といたしましては、これまでも貯蓄、送金、決済等個人金融サービスに対する国民のニーズにこたえ、サービスの改善向上に努めてきたところでございます。公共料金等の自動払い込みは国民の大多数がその早期実施を要望しているものでありまして、郵政省においても昭和四十八年以来進めている為替貯金オンライン化の計画当初から実施を予定して準備を進めてきたものでございます。オンライン化も相当程度普及し、諸準備も整ったので、来る六月一日からこの取り扱いを開始したいとしたものでございます。公共料金等の自動払い込みをあまねく公平に提供し、国民生活の向上を図ることは、国営事業として当然の使命であると考えております。多くの方々に利用していただけるよう積極的に推進してまいりたい、このように考えておるわけであります。  先生指摘のように、民間の方からいろいろな声が聞こえてくるわけでございますけれども、民間はすでに十年前から始めているのであります。銀行等は十年前から始めております。しかも、これは非常に便利なものであることは間違いないのでありますが、銀行は支店のある比較的大きい町、そこだけしかできないわけでありますが、こういう便利なことは、銀行がなくても郵便局があるという、そういうあまねく国民に普及させることが国民の福利につながることであると私は考えますので、今後も推進してまいりたい、こういう考えでおります。
  105. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 この郵便貯金法の一部を改正する法律案の中で、このたび預金者に対する貸付金に関して、いわゆるゆうゆうローンとして利用されてきた貸付金額の限度額を、一預金者ごとに百万円を超えてはならない、こういうことで、七十万円から百万円に改める理由と、それから現在までの利用状況、概略で結構でございます、御説明ください。
  106. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 ゆうゆうローンの貸付限度額を百万円に引き上げることにいたしました理由でございますが、一つは、国民の利用者の皆様が引き上げを強く要望しておられる。調査をいたしましたところでも、現行の限度額を引き上げることを希望される方が全体の半数にも達しているという状況がございます。それから、返済という点を考えましても、サラリーマンの方々のボーナスの支給額というふうなものを考えますと、百万円にいたしましても余り無理なく返済できる額ではないだろうか。同時に、こういう資金の必要な理由といたしまして、結婚とか教育とかというふうなものがございますが、そういう利用目的から見ましても、最近の状況からいたしますと、百万円程度のものは必要ではないだろうか。かつまた、民間の同種のローンにおきましても限度額が百万円になっているというふうな点が、われわれの引き上げを考えている理由でございます。  なお、利用状況でございますが、五十五年度で見ますと、貸付件数で五百十万件、金額にいたしまして七千六百億円でございますが、ごく最近の五十七年一月末の数字を見ますと、昨年の件数にほぼ近い約五百万件、金額も五十五年度中の数字に近い七千二百億円、こういうふうなことで、国民の皆様に大いに利用していただいているというふうに考えております。
  107. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 先ほどのグリーンカードに関して、郵政省考え方というか、どんな掌握をしておるか、若干聞いておきます。  先ほど大臣に聞きましたように、グリーンカードの五十九年実施に関して、一部方面より見直しすべきだ、こういう動きがある。郵政省としての考えはいま大臣から聞きましたので結構ですが、そういう見直そうという考え方の人たちの言い分として、私も先ほど申し上げたような掌握をしておりますけれども郵政省としてはどういう点に問題があると掌握しておるのか、御説明ください。
  108. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 所得税法改正に際しまして郵政省がグリーンカード制度に参入いたしました考え方は、先ほど大臣お答えをいたしたとおりでございます。  郵政省といたしまして、グリーンカード制度が実施されます場合には、郵便貯金を預入していただきますときにお客様に窓口におきましてグリーンカードを提示していただくということが必要になってまいります。私どもはそういうお手数をおかけするということは大変心苦しいわけでございますが、グリーンカード制度が、現在の利子配当所得の分離課税から総合課税制度への移行という大前提の上で、いま申しましたような点はございますけれども、参入をしようということにいたしたということでございます。
  109. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 確かに、預金者側にとってもいろいろ手続がめんどうにならないかという懸念が幾つもあると思うのですね。また、それを受ける側として、郵便局としてもあるいは市中銀行としましてもその手続がめんどうになってくるのじゃないか、こういったことが考えられますが、どのようなシステムで国民一人一人の預金残高がわかるような状況――コンピューターを利用してのものでございますけれども、もうちょっと国民がわかるように、ひとつこれに関してはそう心配ないのだというものがあるならば、御説明をいただきたいと思います。
  110. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 グリーンカード制度そのものにつきましては、法律所管は大蔵省ということでございますが、私ども関係をいたしております者といたしましての立場から、若干の御説明をさせていただきますと、先ほども申しましたように、グリーンカード制度が実施されました場合には、預貯金をしていただく場合に原則としてその受け入れ金融機関では窓口でグリーンカードを提示していただく、同時に、受け入れました金融機関が、郵便局もそうでございますが、通帳、証書等にその番号を記載するということにされております。それから、銀行などの一般民間金融機関の場合のマル優あるいは特別マル優を利用する場合でございますが、グリーンカードに、利用する店舗の名前、それからその店舗ごとの非課税の枠、現在三百万円でございますが、利用される方がその非課税の枠をグリーンカードに記載をするということになっているわけでございます。  こういうことで、グリーンカード制度は、本来、預入されますときの本人確認、それから非課税枠を管理するというためのものであるということで、国民一人一人の預貯金の残高そのものを把握することを目的とするものではないと私ども理解をしているところでございます。
  111. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 しかし、心配している筋は、自分のプライバシー、どのくらい持っているかということが公にわかってしまうのではいろいろ問題があるというのが、いまの問題が出てきた根本にあるのですよ。したがいまして、この問題がシステムとして進んでいく中で、郵政省として、これが五十九年に実施されていったならば、どれだけの手間、人件費やいろいろなものでそれだけ負担が出てくると思うのですが、どんなふうにはじいておりますか。簡単でいいですから説明してください。
  112. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 郵政省といたしましては、先ほど申しましたように、このグリーンカード制度に参入をするということで対処をすべくいろいろな準備はいたしているところでございますけれども、予算の面では、先ごろお認めをいただきました昭和五十七年度予算の中では、そのための必要なプログラム等の開発といった経費で約一億八千万円余りの予算を準備いたしております。これは五十七年度の予算についてということでございます。
  113. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 次の問題に移ります。  公共料金の自動払い込みで、先ほどのグリーンカードの問題と同じく、郵便局と民間銀行との連携、競合する面いろいろ問題になるのではないかと考えられますけれども、この制度はどういうシステムで行われるのか、また、いままで民間銀行等で業務が行われているものとの摩擦、そういった面ではどんなふうに掌握しておるのか、御説明ください。
  114. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 御指摘のように、現在郵政省では自動払い込みサービスというものを六月一日から実施することを予定いたしております。この自動払い込みと申しますものは、現在進行中のオンライン計画、これは昭和四十八年から計画をいたしておるものでございますけれども、これがかなり進捗いたしてまいりまして、郵便局数で約六五%、サービス可能な人口で申しますと七五%近くにまでなってきたという状況を踏まえまして、この計画の当初から予定をいたしておりましたサービスとして、六月一日からまずは二十四の都府県でサービスを開始しようというものでございます。なお、これは、現行法にございます郵便貯金法、郵便振替法のそれぞれに基づきます郵便貯金の払い戻しそれから郵便振替に対します払い込みというサービスを組み合わせをいたしたサービスといたしまして、形の上では、郵政大臣の権限で郵政省令を手直しをして処理をいたすものでございますけれども、逐次これを二十四都府県から全国的に広めてまいりたいと考えておりますが、オンラインそのものが五十八年度末を目途に完成する、そして最終的にサービスそのものを全国に乗せますのには六十年度までかかるわけでございます。  民間との関係につきましては、先ほど申し上げましたように、私どももう十年近くも前から計画をし、そのときから予定をしていたサービスでございますし、法律的にも何の問題もないものでございます。もちろん、お客様の利便という点では、先ほど大臣もお話ございましたように、民間ではすでに十年も前から実施しているサービスでもございまして、私どもは、郵便局のネットワークを利用いたしまして、さらにあまねく国民の皆様方に御利用いただくべく努力をしていこうと考えているわけでございます。同時に、郵政事業にとりましても経営の合理化あるいは効率化という観点からのメリットもございますので、先ほどから申し上げておりますような趣旨におきまして、このサービスを実施してまいるつもりでございます。
  115. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 二十四都府県ということでございますが、先ほど大臣も、一般民間金融機関では都市に集中した形で、むしろそうしたところに関係ないところまでやってやらなければならぬのだという答弁でございましたけれども、この二十四都府県というのは、大体どのような地域ですか。それから、いままで民間の金融機関等で提供ができないようなところまでカバーできるのかどうか。また、現在できなければいつごろまでにカバーできるのか。それから、公共料金といってもいろいろあるわけですが、主にはどういう内容でございますか。それと、たとえば市中銀行においてはサラリーマン等の給与の自動振り込み、こういったものまで行われておりますね。そういったものも含めた内容になっていくのかどうなのか、そういった点も御説明ください。
  116. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 先ほど申しましたように、ことしの六月一日からサービスを開始しようとしておりますのは二十四の都府県でございます。急いで申し上げますと、東京、神奈川、埼玉、群馬、千葉、茨城、栃木、山梨、これは関東地方でございます。それから長野。東海関係で愛知、静岡、岐阜、北陸で石川、福井、近畿関係で大阪、兵庫、京都、奈良、和歌山、中国関係で岡山、広島、四国の愛媛、香川、東北の宮城、これで二十四でございます。なお、五十七年の八月、十一月、それから同じ年度でございますが来年の三月に三重とか滋賀、山口、徳島、富山、島根、新潟、鳥取、十五ほどの県におきましてサービスを開始する予定でございます。合計いたしますと五十七年度中には三十九の都府県でサービスが提供できようかと考えております。  御指摘の民間との関係でございますが、いま申し上げましたようなそれぞれの府県におきますそれぞれの実態に応じまして、民間の機関で御利用になれない方々にもサービスが提供できようか。もちろん、民間の金融機関が所在いたしておりますところにおきましても、あまねくサービスを提供するという観点から、私ども御利用いただける方々には御利用していただきたいと考えているわけでございます。  それから、私どもが考えております対象になる料金でございますが、公共料金といたしましては、電気、ガス、水道、電話の料金、NHKの受信料、それに地方公共団体の税金といったものを考えております。それからそのほかのもの、これらはいずれも一定の利用件数とか一定の継続状態というふうな条件はございますけれども、保険料とか雑誌の購読料あるいは割賦販売代金といったものも「公共料金等」と申し上げております「等」の中には入っているわけでございます。  それから給与振り込みの関係でございますが、給与預入と申しますものは、通常貯金に預入をしていただく一つ方法ということで、これも一定の契約をしていただいた上での扱いになりますけれども郵便貯金におきましても昭和五十二年からお取り扱いはいたしているわけでございます。ただ、これは五十二年段階ではまだオンラインサービスという形になっておりませんでしたので御利用の件数も少なかったわけでございますが、五十五年の三月からは、オンラインサービスといたしましても給与預入を取り扱いをするということにいたしております。  自動払い込みそのものと直接の関係はございませんけれども、通常貯金に給与預入がされますと、これは御承知のように、特別に現金を一々取り扱わないでも、御利用者の通常貯金の口座に給与が振り込まれる。同時に、この自動払い込みサービスと申しますものは、その通常貯金の口座の中から収納事業者とお客様との御契約によってお金を払い戻しし、それを先ほど申しましたもろもろの収納事業者の振替口座に郵政省の手で払い込みをさせていただく、これを自動的にやろうというサービスでございまして、この二つ制度を御利用いただけますと、大変便利なサービスになるということにはなるわけでございます。  それから、民間金融機関との関係でございますけれども先ほど申しましたように、これは民間金融機関は十年も前からやっております。私どもは十年前はまだ計画段階でございまして、先ほど申し上げましたように、五十八年度中に端末機を全国に配置をいたし、その上でいろいろな自動払い込みも含みますサービスを昭和六十年度までにオンラインに乗せようということを考えているわけでございますが、法律的にも郵政省限りで措置可能なものでございます。いたずらに民間金融機関を圧迫するということではなくて、あくまでも国民利用者の利便のためにということで、私どもこのオンライン化計画を進め、オンラインにふさわしいサービスの提供を考えているわけでございまして、この種のサービスに限らず、一般的に申しまして、私ども、民間金融機関との関係につきましては、両者が両々相まって、利用者のよりためになる、国民の資産形成に資し、あるいは経済生活の安定向上に資するようにという心構えで取り組んでいるところでございます。
  117. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 五十三年十二月の郵便規則の改正によりまして、それ以前はエレベーターのある建築物は、除外規定によって出入り口に各戸別の郵便受け箱を設ける義務はなかったわけですが、その改正によって、五十四年四月からは、三階以上の高層建築物はエレベーターの有無に関係なく、出入り口に各戸別の郵便受け箱を設けることになったわけですね。郵政省としては、団地その他高層建築物のところに対して、ことし三月末までの猶予期間を置いて協力を呼びかけてきたわけですけれども、現在、完全実施段階に来て、高層ビル団地等の郵便配達の実態はどうなっておりますか、御説明ください。
  118. 魚津茂晴

    ○魚津政府委員 お答え申し上げます。  結論から申しますと、三階以上の高層ビル、これは棟数で申しまして全国に約二十四万三千棟、それから配達個所数で約四百五十万カ所ございます。  そこで、ただいま先生のお話がございましたように、法の施行から猶予期間三年を設けまして、その間に趣旨を十分御説明して、関係の方々の御理解と協力を得るという体制をとった上で実施ということで今日まいったわけでございますが、現在東京に大島四丁目団地というのがございます。この大島四丁目団地七棟二千六百カ所、これが最終的につけていただけなかった。そして、今日なお残念ながらつけるめども立っていないというような事情でございますので、その受け持ちの集配局は城東郵便局というところでございますが、私ども四月一日から城東郵便局でとめ置きまして、窓口においでになって私ども交付をする、こういうことになっているのが現状でございます。
  119. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 高層住宅への配達が簡素化になるというか、そういう形になったことによって、いままでの配達に要した人件費その他の面でどういう効果が出てきておりますか、御説明ください。
  120. 魚津茂晴

    ○魚津政府委員 一言でなぜそういう受け箱の配達をするかと言いますと、効率化のためというふうに申し上げているわけでございます。  では、具体的にどの程度の効率化が期待できるのかという点につきまして、四百五十万世帯、その個別的な計数は私ども持っておりませんが、モデル的に算定をする、という意味は、それぞれのビルは規模といい、ビルの形態といい、それから郵便の利用度合いというのがまちまちでございますので、平均的にモデルとしてつかまえてみますと、要員的には二〇ないし三〇%の節減ができる、こういうふうに把握しておるところでございます。
  121. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 現在トラブルがある地域をいま御説明いただきましたが、そうすると、郵便局の方で保管しておるというのも、これまたこのままではちょっと解決にはなりませんし、今後どういう対策で臨んでいくのですか。
  122. 魚津茂晴

    ○魚津政府委員 今後引き続いて、大島四丁目団地の方々あるいは大島四丁目団地の所有者としての公団に御理解を賜るべく、あらゆる手を使って円満に解決ができるように進めてまいりたい、こういうふうに思っております。
  123. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 広告つきはがきというのを昨年七月から郵政省が売り出しましたね。一枚三十五円。普通ですと四十円ですから、相当多くのはがき等を利用する人たちには非常に人気を集めておる。その結果相当反響を呼んで、かえってスポンサーが足りないぐらい、スポンサーを探すのに苦労しておるというような事態になっておるやに伺っておりますけれども、状況を説明してください。
  124. 魚津茂晴

    ○魚津政府委員 広告つきはがきは、一昨年の郵便法の改正によりまして、その法的根拠を与えていただいたものでございまして、おっしゃるように広告つきはがきは非常に好評でございます。売り出しますと、初日で七〇%から八〇%売れてしまうというような実態でございます。これは五円安いということは当然理由だと思いますが、そのほかに、広告つきはがきという、従来想像していたものと違ってカラフルなデザインというのが非常に親しみやすくて、かつ、かえってきれいなはがきというようなことで人気があると私ども考えているわけでございますが、問題は、先生ただいま仰せのとおり、スポンサーが見つからなくて予定どおり発行できないというようなことが一つの問題でございます。  私ども本省としても、それから地方郵政局としても、スポンサーを見つけて、そしてそういう評判のよい商品の継続をぜひともやりたいということで精いっぱい努力しているわけでございますが、問題は、地方版ですと大体ことしいっぱいのスポンサーのめどがついているわけでございますが、全国版でございます。全国版というのは、原則的には約一千万枚を予定しているわけでございます。もちろん既往発行のものには七百万というものもございましたけれども、一千万を大体標準的なロットとして考えているわけでございますが、一千万ということになると、現在一枚について九円ちょうだいしているわけでございまして、九千万円の広告費というようなこととの関連でなかなかむずかしいというような事情がございます。しかしながら、ただいま申し上げたように、今後とも定着した発行ができるように、いろいろの工夫をこらし、積極的にアプローチをいたしまして、スポンサーを確保していきたい、こういうふうに思っている次第でございます。
  125. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 今後、年貿はがきに関してこの広告つきを検討するのかどうなのか。あるいは検討するとすれば、値段の面も含めてどんなふうになるのか。それから、絵入り年賀はがき等が検討されておるようでございますが、どういう形になるのか、値段も含めて御説明してください。
  126. 魚津茂晴

    ○魚津政府委員 年賀はがきに広告つきはがきを発行するということは、私ども、計画としてはぜひともやりたいという気持ちで進めてはおりますが、先ほど説明いたしましたように、一千万枚のスポンサーもなかなかそう容易でないというような現状にかんがみてみますと、年賀はがきの場合どうしても、私ども理想的に申しますと、最低五千万枚、それからできれば一億枚のロットを希望するわけでございますが、そうなりますと、仮に一億といたしますと、現在の基準からいたしますと九億円になるわけでございます。そのような広告費を出してくれるところがあるだろうかということで、多少むずかしいなというふうに思っているのが率直な気持ちでございますが、なお分割で出すようなことも考えてみるとか、とにかくヒット商品という広告つきはがきは、年賀はがきにもぜひやりたいという気持ちでいることをここで申し上げておきます。  それから、絵入りはがきの点でございますが、私どもも郵政審議会にも諮問をいたしまして答申をいただいて、手続的には完了しているものでございますが、ことしの暮れに発行する年賀はがきのうち二億四千万枚、三種類、一種類について八千万枚ということでございますが、そこに絵とかあるいは賀詞を印刷したものを発行したい。それは経費を取っていいと、これまた郵便法改正の際にその根拠をお認め願ったわけでございますが、その経費として二円、それからそういうはがきに寄附金をつけさせていただくということで、寄附金の額を三円ということで、四十円に二円と三円を加えまして四十五円の額で絵入りの年賀はがきを発行いたしたい。私どもねらっておりますのは、そういう需要があるということと、それから寄附金つきのはがきの販売促進にも役立つだろう。それからいま一つは、従来から当委員会でも御議論をいただいたことがございましたけれども、とにかく一般の文房具屋さんとかあるいはデパート等で、絵入りあるいは賀詞入りの印刷したものが七十円から百円程度の額で売られているのじゃないか、これについて何らかの対応ができないのかというような御議論もいただいたことを念頭に置きまして、そのような計画を進めさせていただく、こういうことにしたわけでございます。
  127. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 終わります。
  128. 水野清

    水野委員長 これにて竹内勝彦君の質疑は終了いたしました。  午後二時十五分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後一時十七分休憩      ――――◇―――――     午後二時十九分開議
  129. 水野清

    水野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  郵便貯金法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。西村章三君。
  130. 西村章三

    ○西村委員 郵便貯金の具体的なお尋ねを申し上げる前に、私は一つこの問題を取り上げてみたいと思うのです。  それは台湾人の旧日本軍人軍属にかかわる軍事郵便貯金の支払い問題についてでございます。特に大臣に冒頭にお尋ねをしたいのでありますが、すでに新聞等で報道されておりますように、第二次世界大戦中に日本のために日本兵として戦争に駆り出された台湾人元日本兵あるいはその遺族十三人が、日本政府を相手取りまして六千五百万円の国家補償を求めていた訴訟に対しまして、去る二月二十六日東京地裁で、日本人でないということを理由にいたしまして、この請求棄却の判決が下されました。  私は、司法の判断につきましてはとやかく言うつもりはございませんが、過去の長い歴史を顧みますと、かつて台湾は日本の占領下、支配下にありました。日本のために強制的にその中で徴兵をされまして戦場に駆り出された現地の台湾人は、その数がおよそ二十一万と言われている。そして三万人余りが戦死をいたしました。現在靖国神社にはこれら三万人の台湾人元日本兵士も合祀をされているのであります。ところが、これらの人々に対しまして日本政府は、遺族に対してもまだ一銭の補償すらしておらない。戦死者、負傷者に対しましても、戦後三十七年間、いまだにただの一回も顧みることなく打ち捨てたままでこれを放置してきた。この日本政府の態度に対しまして、やむなく法廷闘争に持ち込んだのでありますが、先ほど申し上げましたように、日本人でない、こういう理由だけで却下をされたわけであります。  この問題は、国会におきましても、これら台湾人元日本兵の立場を理解するいわゆる超党派的な議員懇談会がすでに結成されておりまして、議員立法によって戦死者あるいは負傷者に対する救済措置を講じるために現在努力が行われておるわけであります。  大臣は、政府を代表する閣僚の一人でございます、また政治家個人としても、当然この問題は十分に御承知だと思うのでありますが、どのように考えておられますか。まず大臣の率直な御意見を聞かしていただきたいと思います。
  131. 箕輪登

    箕輪国務大臣 台湾住民の方々が持っておられる軍事郵便貯金につきましては、その債務を履行すべき立場にあるものと理解しております。しかし、これの支払い問題につきましては、他の財産請求権との関連がありますので、関係省庁で意見の調整を図っているところでございます。まだ解決に至っておりませんため、その支払いを保留しているところでございます。
  132. 西村章三

    ○西村委員 私はまだ何もそこまで申し上げておらないわけでございまして、前段のお尋ねをいたしておるわけでございます。  御承知のように、戦争中、台湾は完全な日本の領土下に組み入れられまして、いわゆる現地語も使用禁止、そして日本語の使用が強制されまして、台湾人固有の名前も使わせないままに日本風に全部改められたわけであります。志願制度やら徴兵制も施行されておりましたし、完全な日本人として戦争に参加をさせられたわけでありますが、その結果、日本のために死に日本のために傷ついた人々、これらの人々に対しまして、こんな冷たい態度で済むはずはないわけでございます。人道的に申し上げましても、あるいは道義的に言っても、救済をしなければならぬと思っております。  現在、不幸にして台湾とは国交がございません。韓国のようにいわゆる日韓国交回復時に経済補償という形でその補てんもされておらないのであります。したがって、政府間同士の解決は困難であることは私自身も承知をいたしておるのでありますが、すでに東京地裁の判決によって、いわゆる司法による救済措置というものは閉ざされました。今日残されるのは、いわゆる国会での解決しかないわけでございます。  この補償問題は、単に戦死者あるいは負傷者に対する補償問題以外に、台湾の元日本軍人軍属の給与の未払い問題がございます。あるいは元文官の方々の恩給問題があります。さらに、ただいま大臣から答弁がございましたが、郵政省関係では台湾の軍事郵便貯金の支払いに関する問題が残っておるのであります。これは貯金をさせたままで支払わずに放置をされてきたものであります。郵政省はもうすでに御承知のようでございますが、この軍事郵便貯金は、いわば強制的に天引きをされて貯金をさせられたものでございます。しかも一方的に預け入れさせたものです。しかも支払いは放置したまま。  そこで、お尋ねするのでありますけれども、その実態はどの程度把握しておられるのか、まず答えていただきたいと思います。
  133. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 現在私どもが把握をいたしておりますいわゆる台湾住民の方々の持っておられます軍事郵便貯金の現在高でございますが、五十六年三月末で申し上げますと、口座数にいたしまして約六万口座。現在高、実はこの現在高と申しますのは、昭和二十一年三月末現在では五千四百万円ございまして、これにそのときどきの利子を付したものが、五十六年三月末では一億八千六百万円ということになっております。
  134. 西村章三

    ○西村委員 そうすると、その貯金の原籍簿は残っておる、かように理解をしてよろしゅうございますね。
  135. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 具体的には、原簿は熊本地方貯金局にございます。
  136. 西村章三

    ○西村委員 これは先ほど私がちょっと調べたのですけれども、若干数字が違っておるのか、あるいは私の誤解なのかわかりませんが、昭和五十年の二月の二十八日に行われました国会での委員会のやりとりの中で、その当時の軍事郵便貯金は七十四万口座、金額にして十三億六百九十万円、普通口座が二百四十二万口座で七千百七十万円、こういう数字が示されておるわけですが、この辺のところはどうなんでしょうか。
  137. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 昭和五十四年当時の議事録にございます七十四万口座は、当時ございました口座数の全部でございますが、その中で台湾の方のものということで調べましたのが、先ほどお答え申し上げました六万口座、こういう意味でございます。
  138. 西村章三

    ○西村委員 わかりました。  常識的に考えまして、こうして預かったあるいは強制的に貯金をさせたものにつきましては、支払い責務というものは当然にあると私は思うのであります。  そこで、支払い義務があるのかないのか、郵政省見解はどうですか。
  139. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 郵政省といたしましては、郵便貯金という形におきまして郵政省において債務を負っているものというふうに理解をいたしております。
  140. 西村章三

    ○西村委員 ところで、いまから三十七、八年も前、あるいは四十年近い前のことですから、非常に金額的には低いものでございます。三十七、八年から四十年経過をいたしました今日から見ますと、貨幣価値は非常に変動いたしておるわけでございます。こういう貨幣価値の変動というものを配慮をしてどのような措置をとることができるのか、この点についてはいかがでしょうか。
  141. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 その点の問題につきましては、日台間の請求権全般の問題ということに相なるわけでございまして、郵政省郵便貯金という立場から申し上げますと、先ほど申し上げましたように、昭和二十一年当時五千四百万円でありましたものにそのときどきの利子を付加いたしまして、総計で現在高が一億八千六百万円ほど、つまり一口座当たりで三千百円ほどに相なっております。  それから、なお、そのことにつきましては現在関係省の間でいろいろ、先ほど大臣お答えいたしましたように意見の調整をいたしているところでございます。
  142. 西村章三

    ○西村委員 すでに長い昔の話でございますから、預金者の方も、預金通帳だとかあるいは証書的なものはほとんど紛失をされているだろう、こう思うわけでございます。そこで、政府としても、やはりこれは預金者に対するサービスの一環としてその辺の区分けも最大限にやってもらえぬだろうか、かように思うのですが、どうでしょうか。
  143. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 先ほど申し上げました関係各省と申しますのは、具体的には内閣官房、総理府の恩給局、法務省の訟務局、大蔵省の主計局、理財局等、それから厚生省、外務省といった関係各省でございまして、先ほど申し上げました他の財産請求権との関連全般について目下調整中である、こういうことでございます。
  144. 西村章三

    ○西村委員 この問題はこのままで放置をするわけにはいかない。いわゆる国会でしか解決ができないということで、超党派的な議員懇談会もこの国会中に何とかこれを実らせたいということで努力をするわけでございます。大臣といたしましても、人道的なあるいは道義的な立場に立ってひとつ前向きにぜひ検討していただきたい、かようにお願いもしたいわけであります。大臣の重ねての御見解を承っておきたいと思います。
  145. 箕輪登

    箕輪国務大臣 郵政省としては、先ほどお答えいたしましたように、この債務は履行すべきものと考えております。したがって、関係省庁と現在なお協議を続けておりますけれども、さらに協議を促進し、先生の御趣旨等を拝しながら、速やかに解決できる方向に向かって努力をいたしたいと考えております。
  146. 西村章三

    ○西村委員 次に、郵便貯金に関するお尋ねを申し上げますが、本貯金法の一部改正の中身はゆうゆうローンでございます。昭和四十八年の発足以来、ゆうゆうローンの制度はそれなりに定着をしてきたと思うのでありますが、現在の利用状況がどうなっているのか、貸付件数なりあるいは貸付残高、一件の平均金額、まずこれを教えてください。
  147. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 五十七年の一月末の数字で申し上げますと、貸し付けの件数が四百九十七万件、金額が七千二百十億円でございます。なお、これは返還等がございますので、現に貸し付け中の金額といたしましては、一月末三千二百十九億円でございます。
  148. 西村章三

    ○西村委員 一件の平均金額はどれくらいですか。
  149. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 失礼いたしました。一件の平均は約十三万円でございます。
  150. 西村章三

    ○西村委員 今日まで七十万円ということでこの制度が運用されてきたわけでございますが、利用者の平均利用金額を各段階別に教えてください。
  151. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 少し細かくなりますが、十万円単位で刻みますと、十万円未満の方々の割合が四三%、十万円から二十万円までの方が一九・二%、二十万円から三十万円までの方が一〇・二%、三十万円から四十万円までの方が五・七%、四十万円以上五十万円までの方が五・三%、五十万円以上の方が五・二%、六十万円以上の方が三・一%、七十万円、つまり現在の限度額ぎりぎりの方が八・三%と相なっております。
  152. 西村章三

    ○西村委員 いまの御答弁の中で、三十万円以下の利用率というものが全体の約七二・四%を占めておる、最高限度額の七十万円の利用率が八・三%だということでございましたが、今回の限度額引き上げの必要性はそうした数字の中にもあらわれておるのでしょうか。
  153. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 私どもが今回引き上げを考えました、またそのことで法案審議をお願いをしております理由は、国民の方々からの引き上げの要望が非常に強いということが第一点でございます。それから、結婚とか教育とか、いわゆるゆうゆうローンを利用していただく目的から見ましても、現在の社会経済情勢から見て百万円ぐらいは必要なんではないだろうかという点が第二点でございます。それから、このゆうゆうローンと申しますものは、そういった資金を一時的にお貸しをするという趣旨のものでございますので、当然その返済のことも考えなければいけないわけでございまして、返済という点から考えました場合に、現在一年以内にお返しをいただくということになっておりますが、平均的なサラリーマンのボーナスの支給というふうなものを考えました場合に、百万円というのはそう無理なく返済できる範囲内ではなかろうかなというふうに考えているのが、第三点でございます。それから、第四点といたしましては、民間で同じようなローンをやっておられますその限度額がやはり百万円であるといったことが理由でございまして、先ほどお答え申し上げました七十万円ぎりぎりの方が八・三%、約一割近くあるというふうなことは、当然六十万円から七十万円の方も数%いらっしゃるわけでございますので、この種の改正の場合に限度額を引き上げますれば、当然、潜在化しておりました御要望も満たし得るというふうに考えているわけでございます。
  154. 西村章三

    ○西村委員 私も、限度額の引き上げについては反対ではございませんで、むしろ歓迎をいたしておるのであります。  四十八年の制度創設以来、今回も含めまして五回この限度額の引き上げがなされておりまして、いわば十年で約十倍、当初の十万円から今日の百万円に至る十倍になっております。その間、返済方法のことでありますが、返済方法につきましては、五十五年の四月に従来の六カ月が一年に延び、一回の返済方法が二回に延びた。ただ一度だけ、この返済方法については改定がなされているわけでありますが、限度額を百万円にまで引き上げたならば、返済期間も一年に据え置かずに、もう少し期間の延長をすればいいと思うのでありますが、この点についてはいかがですか。
  155. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 御質問の返済期間でございますが、御指摘のように五十五年の四月にそれまでの六カ月から一年に延長いたして、そのような形で改善をしたわけでございますが、今回の貸付限度額百万円、このように引き上げましても、先ほどお答えいたしましたようにボーナスなどの支給状況といったものを考慮に入れますと、この一年間で返済が可能であろうというふうに私どもは考えているところでございます。
  156. 西村章三

    ○西村委員 郵政省の資料によりますと、東京都内における五十六年の夏冬ボーナスの支給額合計が百一万円だという資料を提示されておるのであります。それはそれなりに理解はできますが、一般サラリーマンは住宅ローンあるいは教育ローン、その他のローン等の返済を何らかの形で持っている人が非常に多いわけであります。住宅ローンにいたしましても、最近の総理府の統計によりますと、借りている人がサラリーマン全体の三〇・九%、その返済金額は年収の一〇%以上もそれに充てておる、平均約六十万円も充てておる、こういう数字が出ておるわけであります。  また、予測のできない、不測の出費等も当然考えられるわけでありまして、この最高額の百万円を借りた場合に一年以内の返済は相当に厳しくなるのではないか、こう言わざるを得ないのでありますが、期間の延長なり弁済回数をふやすということにつきましては、現在のところ全く考えておらぬということでございますか。
  157. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 貸付限度額が高額になりますと返済がむずかしくなってくるということは確かにございますけれども、ゆうゆうローンの貸付限度額と申しますものは、社会経済情勢の推移を見ながらこれまでも引き上げてきておりまして、そのときどきの経済情勢から見まして、この返済も何とか可能な状況ではなかったかなといまの段階では考えているわけでございますが、なお先生の御指摘の点につきましては、われわれも十分留意しながら、利用状況なり利用者の方々の御要望なりを十分に勘案しながら、利用者の方々の利便にかなうような対応はしてまいりたいと考えております。
  158. 西村章三

    ○西村委員 同じ貸付限度額を持っている民間の金融機関は、返済期間というのは無期限なんですね。期限を切っておらない。また今回、オンライン化が普及をいたしてまいりまして、すでに一部では総合通帳を利用している場合もありますが、この総合通帳を利用いたしますと、結果的には分割弁済の回数がふえることになるわけであります。したがって、総合通帳以外のものについては年二回の分割返済の方法しかないということになりまして、ここにも若干不公平が存在いたします。総合通帳以外の利用者につきまして分割弁済の回数をふやすべきだ、先ほど申し上げた民間は無期限という点から考えましても、この際、弁済回数はふやすべきだと私は思いますが、再度お答えをいただきたいと思います。
  159. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 先生指摘の点は、私どもも十分留意をしながら、将来の問題として検討させていただきたいと思います。
  160. 西村章三

    ○西村委員 総合通帳で担保となるいわゆる定額郵便貯金、この貸付制度につきましては五件まで記載をして、その枠の中で貸し付けをすることができる、こういうことになっております。しかし、現在手持ちの定額郵便貯金証書を総合通帳にそのまま移行することはできないで、一たん解約して新たに預入するものしか担保として記載ができない、こういうことになっておるのですね。この定額郵便貯金は五件まで、この五件までと定めた理由は一体何なのか、あるいは、なぜ一回解約しなければ預入ができないのか。預金者の利益の立場から言いますと、この定額郵便貯金はそのまま移しかえができるような方法にすべきだと思うのです。いかがですか。
  161. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 自動貸し付けのサービスでございますが、窓口の払い戻しあるいはキャッシュカードによる払い戻しの際に通常貯金の残高が不足いたします場合に、定額貯金をしていただいておりますと、それを担保にして自動的に預金者貸し付けを行う、そしてそれをまた払い戻ししていただけるようにする、こういうことでございます。  こういうことで、われわれ、担保定額郵便貯金を組み合わせました総合通帳というサービスをいたしておるわけでございますが、通常貯金の残高が不足をする場合に貸し付けの担保として利用していただくということがその一つの大きな目的になってまいります。したがって、その意味で、先ほど五口というふうに御指摘ございましたのはそのとおりでございまして、いま申し上げました趣旨からいたしますと、数多く預入をしていただく必要はないのではないだろうかということがございます。  それからまた、預入できる口数を多くいたしますと、これは実は私どもの方の都合ということで申しわけございませんけれども、システム上プログラムが非常に複雑になる、また、それだけのコンピューター上のエリアと申しますものをすべての預金者について常に確保しておくというふうなことが、システム効率上問題が出てまいります。これは私ども都合と申し上げましたが、ひいては預金者の方々への大きな意味では負担ということにもなりかねないという意味におきまして、このような制限をさせていただいているわけでございます。  また、先ほど指摘の、すでに預入された定額貯金の切りかえという点でございますが、これも、預入されております原簿を総合通帳用の原簿に変更するということ自体、現在の郵便貯金のオンラインシステムが非常に複雑になってしまいます。そういうことで、この運用上困難であるという制約がございまして、私どもも御指摘の点はいろいろ検討いたしたわけでございますが、民間の総合口座でも、担保とするための定期預金は新規預入を原則にしているというふうに聞いておりますが、恐らくは同じような理由ではなかろうかなと考えておりますが、そういうことから、新規預入に限って取り扱いをさせていただいているということでございます。
  162. 西村章三

    ○西村委員 せっかくこのオンライン化計画に伴いまして、通常貯金あるいは定額貯金さらには預金者貸し付けというものを組み合わせて一冊の総合通帳を活用するわけであります。ただいまの御答弁を聞いておりますと、どうも事務処理が非常にむずかしい、こういうことのようでございます。これはもちろんコンピューターの技術の高度化という問題との関連でもあると思いますが、せっかくこういう定額貯金で通常貯金の不足分はそれで流用できるというシステムをおとりになったのですから、一たん解約せずにそのまま移しかえができるように、鋭意これも御努力をいただきたいと思います。  それから、このゆうゆうローンの貸付利子でありますが、手数料という形で郵貯利率に〇・二五%を加えたものということになっておるのであります。この制度創設当時の当委員会における附帯決議の中で、「貸付期間については、同種の金融機関の実態を参酌して、これを延長するとともに、貸付利率については、この制度趣旨にのっとり、なるべく低位に設定すること。」こういう附帯決議がついております。オンライン化に伴いまして即時処理ができる、手数が余りかからない、こういう考え方をとりますと、貸付利子の〇・二五%、これも果たして適正かどうかということが問題になってくると思うのであります。この点について郵政省の考えを聞かせてください。
  163. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 お答えいたします。  貸付利率の決定に当たりましては、預金者の利益擁護という立場を考えまして、預金者担保貸付ということでの利率をできるだけ低く定めるように配意するというのは当然われわれも考えなければいけないことでございますが、同時に、事業の経営という立場かちは、事務処理に要します最低の費用はいただかないといけないということでございまして、その費用といたしまして、現在〇・二五%を担保としていただく、貯金の利率に上乗せをしているというのが現状でございます。オンラインの関係で若干効率化されるという面もございますが、オンラインがすでに完成してこのような仕事をしております銀行などのケースを見ましても、同じように〇・二五%、それから物によりましては〇・七五%、これは期間の短い三カ月定期の場合のようでございますけれども、そういうふうな上乗せをしているのが実態になっているというふうに承知をいたしております。
  164. 西村章三

    ○西村委員 このオンライン化の実施ということが現在進められておるわけでありますが、五十八年度までに一応完成をさせて、六十年度には取り扱い業務が全国的に約二万二千の郵便局でできる予定だと言われております。  現在、オンラインシステムの進捗状況といいますか、この六月一日からは公共料金の自動振り込み等も予定をされておるようでありますが、どこまで進んでおりますか。
  165. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 為替貯金業務のオンライン化でございますが、五十三年八月に神奈川県下の一部の郵便局から開始をいたしております。その後順次対象地域の拡大を図ってまいりまして、この四月一日現在で申し上げますと、オンラインによって業務取り扱いを行っている地域は三十の都府県に及んでおります。局数にいたしまして一万二千二百局、これは全国の予定いたしております郵便局の数から言いまして約六五%、それからサービスが可能になるであろうと予想されます人口で申しまして、大体七五%近くの方々にサービスが可能であろうか。御指摘の自動払い込みサービスにつきましては、この三十都府県の中の二十四都府県をまず六月一日からサービスをさせていただこうというふうに考えております。
  166. 西村章三

    ○西村委員 このオンライン化の全国網の完成というものは、利用者は申すに及ばず、国民的な見地からも待望されておるのでありますが、このオンラインの実施による現行取り扱い業種のサービスの向上、これはもちろんでありますけれども、今後予想される新しい種類のサービスというものはどんなものが考えられますか。
  167. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 これまでオンライン化に伴いましてサービスを改善してまいりましたのは、通常貯金、定額貯金、定期貯金、あるいは先ほどお話がございました預金者貸し付け、ゆうゆうローン、こういったものを一番最初にオンラインに乗せました。もちろん、これは先ほど申し上げましたような端末機の普及した地域、つまりオンラインによるコンピューターの利用が可能になった地域からということでございますけれども、これが一番最初でございます。それから、その後順次年金、恩給の振替預入というサービスをオンラインに乗せました。それからオンラインによりますキャッシュディスペンサー、CDと申しておりますが、いわゆる機械によります払い戻しのサービス、それから給与預入のオンライン化、それから先ほどのCDと関連いたしますが、預入もできますATMというサービス、それからお話に出ております総合通帳のサービス、これが昨年の六月でございます。それから郵便為替のサービス、これが昨年の十月、そしてこの六月からは自動払い込みと、申し上げておりませんでしたけれども郵便振替のサービスもこのオンラインに乗せていこう。これから先につきましては、実は当初オンラインサービスの計画をいたしました段階で考えておりましたサービスの主なものは、この六月の自動払い込みでいわば総仕上げという一応の感じになるわけでございますが、当面はまずハード面でのオンライン化を五十八年度中に完成させることを目途に努力をしておりました。これはスケジュールどおりおかげさまで進んでおるわけでございますが、そこに乗せますサービスにつきましては、地域が拡大していくにつれましてサービスを拡大してまいりまして、これは六十年度中に全国的に同じようなサービスが提供できるようにしようというふうに考えております。
  168. 西村章三

    ○西村委員 総合通帳はすでに発行されておるようであります。私の聞いておるところでは、約三十三万冊、東京、関東管内オンライン化がすでに完了しているところで総合通帳が発行されると聞いているのでありますが、通常貯金通帳の総合通帳への切りかえはどのような形でPRをしているのか。利用者に対しても、あるいは国民全般に対しましても、一体どのような方法でこれを周知せしめているのか。また、局での窓口の応対はどういうことでやっているのか。六月一日からいわゆる自動振り込み等が実施されると聞くのでありますけれども、この総合通帳によるサービスのPRがどうも不足しているように思われる、まだまだ徹底をしておらぬ、こう思うのでございます。いかがでしょう。
  169. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 総合通帳のサービスは現に実施をしているところでございますけれども先ほどお話し申し上げました公共料金等の自動払い込みを利用される場合には、特に総合通帳というものが大きな有効な手段になってまいります。  具体的に申し上げますと、通常貯金の残高が不足をしても、料金の引き落としが可能だというふうなことでございますので、私どもも総合通帳へ切りかえるようにお客様に一生懸命お勧めはしているわけでございます。具体的な方法といたしまして、郵便局でチラシやパンフレットをお配りする、それから窓口の職員あるいは外務の職員等がお客様に切りかえのお勧めをしているということでございます。  ただ、いま申し上げました手段以外のマス媒体を使いましたPRにつきましては、先ほど申し上げましたようなオンライン化というものがまだ進行途上でもある、つまりまだ全国的になっていないというようなこともございますものですから、マス媒体を使うPRは差し控えているという状態にございます。ただ、逐次オンライン化が進んできておりまして、かなりなスケジュールとおりの進展をいたしてきておりますので、今後につきましては、いままで以上に利用のためのPRをさせていただこうというふうに考えております。
  170. 西村章三

    ○西村委員 総合通帳の利用範囲というのは非常に広範囲になってまいります。そういう関係から、ぜひひとつ、サービスといいますか、PRにつきましては十二分にやっていただきたいということをお願いいたしておきます。  それから、先ほど御答弁のありましたいわゆる自動預払い機というのですか、CD、ATM、これの設置は現在まだまだ少ないようであります。全国で六百十五台と聞いております。利用状況がどんなものかわかりませんけれども、この数は、五十五年二月にCDが導入された、あるいは五十六年三月からATMが設置をされたという年数からいたしますと、無理からぬ話だと思うのでありますけれども、問題は、その営業時間といいますか、その問題があろうかと思うのであります。  郵政のCDあるいはATMというのはほとんど普通局の中に取りつけられておるようでございますが、この利用時間といいますか、営業時間は、平日におきましては郵便局は朝九時から五時まで、土曜日におきましては九時から十二時半までということになっております。ところが、一方、民間金融機関が置いております自動支払い機あるいは預入機、これは平日で朝九時から六時まで、一部の銀行では七時までこれを取り扱っておる。土曜日におきましても朝九時から午後二時まで取り扱っておる、こういうことが示されておるのでありますが、今後、もちろん設置個所の拡大はやらなければなりませんが、利用時間等につきましても十分な配慮が必要ではないか、もっと延ばすべきではないか、こう思うのでありますが、いかがですか。
  171. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 自動預払い機等の取扱時間につきましては、いま先生から御指摘があったところでございますけれども、確かに、国民の利便という点から見ますと、取扱時間が長いということは当然望ましいことだと考えております。ただ、取扱時間を延長いたしますと、郵便局それからコンピューターのございます計算センターといったところの要員の見直しといったことも必要になろうか、これが相当なコスト増になる要因として考えられるわけでございます。  そういうことで、事業運営という面から申しますと、サービス面とコスト面とのバランスを考えていかなければいけないわけでございまして、民間金触機関との間に若干の違いはあるにいたしましても、私どもの場合、普通局、集配特定局で申しますと、平日で午前九時から午後六時、これが一般銀行の場合、平日八時四十五分から夕方は同じ六時、土曜日が、郵便局の普通局、集配特定局で九時から午後二時、これは一般銀行の場合と全く同じでございます。集配特定局と普通郵便局の分室につきましては若干これがまた短くなっておりますが、いまの状況ではそう大きな差はないのではないかというのが私ども考え方でございます。ただ、サービスの向上ということは私ども常に留意をしなければいけない事柄でございますので、その辺もいろいろ今後の状況を考えながら検討をさせていただきたいと考えております。
  172. 西村章三

    ○西村委員 時間が参りましたので、最後にお尋ねをいたしますが、六月一日からのいわゆる公共料金その他の自動振り込みサービス、これが二十四都府県で実施をされるわけでありますが、この五大公共料金の自動振り込みの料金につきまして聞きたいと思います。  今回、六月一日から実施をされる取扱料金は、電話あるいはNHK、電気、ガス、水道、これらにつきましては十円、それ以外は二十五円と決められているようであります。しかし、ここで考えなければならぬことは、民間金融機関の取扱手数料というものは、現在、電話については無料、NHK、電気あるいはガス、これにつきましては五円、地方公共団体から委託をされる水道につきましては三円、言うならば郵政の手数料の半額であります。事業者サイドから考えまして、民間金融機関の二倍の手数料を取られる郵政の自動振り込みというものはむしろ敬遠されるのではないかと私は心配をいたすのであります。どうして民間の手数料に比べて料金が二倍の金額になったのか、あるいはこれは今後下げられないのか、コストがどれくらいかかるのか、検討し直すべきだと思いますが、いかがです。
  173. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 自動払い込み料金でございますが、公共料金と申しますのは、電話、NHK、ガス、水道、電力、こういったものでございますが、それらが十円、そのほかのものは二十五円というふうにいま予定をいたしております。  公共料金について民間よりも高いという御指摘は、私どもの把握をしております民間の料金との比較でもそういう実態はございます。ただ、経営をやっております関係からいたしますと、当然この自動払い込みの取り扱いに係る費用というものは私どもいただかなければいけない。ただ、その中で公共料金とその他の料金について差をつけましたのは、全体で収支を、収支と申しますのは自動払い込みの取扱費用という意味での収支でございますが、その収支を相償するということを前提に私ども考えまして、その中で公共料金につきましては、公共的な見地から可能な限りの配意をして、無料というわけにもまいりません、したがって最大限の配慮をいたしまして十円ということにいたし、その他の料金は二十五円ということにした次第でございます。
  174. 西村章三

    ○西村委員 民間金融機関の約二倍の手数料というのはやはり納得ができないところでございまして、コストが全体でその他のことも含めて考えているとおっしゃいますけれども、現実に民間金融機関の二倍になるわけでございます。私は、官業と民業とのバランス、いろいろな問題がありましょうけれども、いい意味での競合は当然やるべきだというふうに考えております。したがって、今後この問題につきましてはさらに料金を引き下げられるような努力をぜひしていただきたい、強く要望いたしておきます。  終わります。
  175. 水野清

    水野委員長 これにて西村章三君の質疑は終了いたしました。  次に、村上弘君。
  176. 村上弘

    ○村上(弘)委員 最初に、新しいサービスと預金者の保護についてお聞きしたいと思います。  定額貯金の貸出限度額の引き上げやオンラインシステムを導入したことに伴う各種サービスの提供などは、それ自体はよいことだと思います。しかし、新しい複雑な問題がそれに伴ってまた生まれてくる。コンピューター犯罪もその一つだと思うのです。郵便貯金のキャッシュカードが現在どれぐらい発行されておるでしょうか。全国と近畿、分けてちょっとお聞きしておきたいと思います。
  177. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 オンラインによりますキャッシュカードのサービスは、五十五年の二月から開始をいたしております。この五十七年一月末現在でのキャッシュカードの発行枚数は、全国で約三十一万枚、このようになっております。
  178. 村上弘

    ○村上(弘)委員 今後、限度額の引き上げやオンライン化の進行に伴って、キャッシュカードの発行も、また払い出しの金額もふえると思いますし、それだけに犯罪の可能性も、好ましいことではないがふえる危険性があるわけです。すでに大和銀行や近畿相互銀行、または札幌電電公社職員によるキャッシュカード偽造事件など、警察庁認知のキャッシュカード犯罪認知件数は、昭和五十年八件から、五十六年には二百八十八件、三十六倍に急増しておりますが、こういう状況にかんがみて、郵政省預金者保護のために、この種コンピューター犯罪を未然に防止するためどんな心構えで臨んでおるか、どんな措置をとっておるか、お聞かせ願いたいと思います。
  179. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 私どもお客様に御利用いただくという立場から、犯罪というものに対しましては当然最大限の注意を払っているところでございますけれども、オンライン化というふうなことで先生指摘のようなことが起こらないように、いままで以上に細心の注意をしていきたいと考えておりますが、一般的な防犯の対応も含めまして、オンライン化という事態にも対応する意味での防犯対策といたしましては、まず、窓口におきまして正当権利者の確認ということを十分に行うということが一つございます。それから、預金者の方から通帳の盗難があったというふうなお届け出をいただきました場合には、このオンライン化された地域ではオンラインで払い渡しを警戒する、こういうふうなことが預金者保護のための措置ということで講じられているところでございます。  それから、窓口以外の一般的な事務処理に当たりましては、コンピューターあるいは関連の機器等を含みます機器類の使用の管理、それから各種の帳票類の管理、これもオンライン関係、それからオンライン関係以外のものもございますけれども、いずれにいたしましても各種帳票類の管理ということ。それから、これはコンピューター独自のものでございますが、プログラムの管理といったことを厳重に行っていくということ。それから、業務の取り扱い上の問題といたしまして、書類事務と現金事務の分離といった形での職員相互の牽制措置といったことも配意をしている次第でございます。  もちろん、犯罪と申しますものはすきをねらって行われるということでございます。特に部内の犯罪、これは私どもが特に心して防がなければいけないものでございますので、各種会議等含めまして機会あるごとに職員に対する防犯意識の高揚等を図って、犯罪の未然防止に努めているところでございます。
  180. 村上弘

    ○村上(弘)委員 いろいろ言われましたが、実際には大変ずさんな扱いがされておるので実は驚いておるのですが、全逓大阪貯金局支部発行のビラがあります。一月二十二日付、二十七日付、それから二月一日付とあります。これはちょっと委員長大臣、それからそちらの方にも参考までにお渡しします。  この一月二十二日付のビラ、これは「郵便貯金の信用おとす当局の態度」という大見出しのビラですが、こういうことを書いているのですね。「第三貯金課では、暗証番号をコピーし、回収の有無も監査をしていないという、ルーズな取扱いがおこなわれています。全逓は、事故防止対策上から考えても、このような扱いを改善するよう要求していますが、当局省側は、犯罪を起こす気があれば、どのようにしてもやれると主張し、改善しようとはしません。」こうなっているのですね。暗証番号を記入したキャッシュカード利用申込書の複写をとって作業をするなどということは、大変驚くべきことだと思うのです。  ことし二月、札幌の電電公社の職員がキャッシュカードの偽造をやった犯罪がありますが、これは報道などを見ますと、口座番号や暗証番号をキャッチするために四苦八苦しているのですね。銀行窓口の端末機のところへ故障の修理を装って行って、そしてキャッシュカードの信号音をテープにとって、それをまた周波数の解読をして、その解読に基づいて偽造カードを作成する、こういうことをやっているわけです。つまり暗証番号をつかむということは、キャッシュカードにとってはもう一番のキーポイントになるわけですね。したがって、キャッシュカード利用申込書の扱いは厳格でなくちゃならぬわけです。  ところが、このビラは、一月下旬に近畿郵政監察局が大阪貯金局に検査に入ったときに、当日労働組合が門前で職員向けにまいたもののようですが、こんなずさんなやり方がやられていたということを当局は知っていたかどうか。いつからいつまでやられておったか。何枚ぐらいコピーがされているのか。その点お聞きしたいと思います。
  181. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 ただいま御指摘の点は、大阪地方貯金局におけるケースというふうに承知をいたしておりますが、私ども、大阪地方貯金局において、カードの利用申込書、正式には郵便貯金キャッシュサービス利用申込書と申しますが、そのコピーを作成いたしましてカード発行のために使用していたという事実を承知いたしております。これはこの暗証番号の問題がございますが、大阪地方貯金局がこのようなコピーをとりましたのは、カードの発行事務を能率的に行おうという目的でやったというふうに聞いております。ただ、このことにつきましては、ことしの二月ごろに大阪の地方貯金局から照会がございまして、やめるようにという指示をいたしまして、やめたわけでございますが、このコピーは五十六年の三月ころから指示をいたしましたことしの二月までの間に行われておりまして、コピーの枚数で申しますと約二万七千枚でございます。カードの発行事務を行っております地方貯金局は、あるいは貯金事務センターは、現在全国で十六局所ございます。私ども念のため各局に当たりましたところ、大阪以外の局におきましては、そのようなコピーの作成によってカード発行事務のためにそれを利用するということはやっていないというふうに把握をいたしております。
  182. 村上弘

    ○村上(弘)委員 約一年間コピーをして、二方七千枚写しをとったということになるわけです。近畿管内で発行されたキャッシュカードは五万九千枚と聞いていますが、そうすると五割近くコピーされた、こういうことになるのですね。  いまの二月一日付のビラの全逓大貯支部交渉部の文書を見ますと、「守秘義務上、利用申込書はコピーするという性格のものでない」と組合が書いておるわけですね。そこでは、「キャッシュカードの利用申込みは、本人が暗証番号を記入し、本人しか知らないものである。従って、局内では最重視して扱かわなければならなく、ましてやコピーをするという性格のものでは絶対ない。」さらに、「企業犯罪を許す素材をつくりだす省側」という見出しがついています。そこでは、「銀行ではそんなことはやっていない。コピーをどんどんしていけば暗証番号が大事であるという認識がうすまり、感覚もマヒしていく。警戒心はゆるまり、扱いもズサンになっていく。こんなことがお客さんに知れたらどうなるか。」こう言っているのですね。  組合の主張は至極当然もっともだと思いますが、局長さんの見解はどうですか。
  183. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 お答えいたします。  大阪貯金局でカード利用申込書のコピーをとっておりましたことは、私どもも承知をいたしておりますが、ただ、その目的がカード発行事務を能率的に行おうということであったというふうに聞いております。  ただ、そうは申しましても御指摘のように、カードの利用申込書には記号番号、それから住所、氏名などのほかに暗証番号というものが記載をされておりまして、特にこの暗証番号は厳重に管理する必要があるものでございます。したがいまして、このコピーを作成するということは、管理上の不備から万一暗証番号等が漏れて悪用されますと、お客様に対する御迷惑はもちろん、事業にとりましても信用失墜ということになりますので、私どもとしては好ましくないというふうに考えておりまして、そういうことで、大阪からの照会に対しまして、本省といたしましては中止をするようにということで指示をいたしまして、現在では大阪でも中止をしているというふうに認識をいたしております。
  184. 村上弘

    ○村上(弘)委員 能率よくやるためだとかいう口実が局長さんにまでついている。好ましくないというような程度のとらえ方を局長さんがしておるのかと私ちょっと耳を疑うわけです。好ましくないどころか、絶対にやってはいかぬことじゃないですか。どうですか。
  185. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 特に暗証番号につきましては、カード利用申込書そのものはカードを利用されるお客様からいただいて処理をした上で私どもカードを発行いたしております。その本体も含めまして、私ども当然厳重な管理をしなければいけないわけでございますが、その中で先ほど申し上げましたようなコピーがつくられるということになりますと、目的は暗証番号をコピーすることにはなかったわけではございますけれども、暗証番号そのものがより多く人の目に触れることになるという意味から、これはあってはならないことであるなというふうに考えているところでございます。
  186. 村上弘

    ○村上(弘)委員 こういうものをコピーするということ自体がルーズな扱いに通ずるという主張こそ、私は正当な主張だと思うわけです。  一般の銀行と郵政省との違いを私改めて知ったわけですが、ここに「郵便貯金キャッシュサービス利用申込書」と、ある銀行の「暗証番号届」というのがあります。これを見ますと、銀行の届けの方は一枚です。そして支店の窓口で受け付けて、そこでキャッシュカードをつくるのですね。そして本人に渡すことになるわけです。郵便局の方はもともと二枚つづりになっているのです。そして、申し込んで、一枚は貯金局に置く、一枚は郵便局で保管しておく。暗証番号のところは書いても下にコピーが写らぬようになっています。それなりに気を使っているんですね。ついでに言えば、これはボールペンなどできつく書くと下に字が写るなという気がしますね。そういう点でも大変鈍感じゃないかという気もします。同じ切り取るなら、初めから切り取ったらどうかということも指摘しておきたいと思うのです。そして、注意書きなどを見ても、銀行の場合だったら、「暗証番号は「生年月日」「電話番号」など他の人に知られるおそれのある番号は極力さけてください。」と、ちゃんときめ細かく言うていますね。郵便局の方はそんなことも書いてないし、これが一枚は貯金局に送られて、しかもそれがまた貯金局でコピーされる、そういうようなことになっておる。それに対して当局は、処理上の知恵だとか規定には反しないなどということをビラを見ますと強弁をしているんですね。全く言語道断じゃないかと思うのです。こういうような扱いについて、大臣は一体どう思いますか。
  187. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 大臣お答えの前に私からお答えをさせていただきますが、いわゆる郵便貯金の利用者の方々、これは郵政省に限りませず、お客様をお相手にするサービスをいたす者としましては、当然にお客様の利益を擁護していく、特に財産をお預かりする立場からはそういったものを最大限に重視をしていかなければいけないというふうに考えておるところでございまして、そのようなことで、特にいまオンラインがらみでいろいろなことが指摘をされております。基本的には私どもその種の犯罪を絶対に出さないようにという最大限の努力を傾けているところでございますけれども、なおその上にも注意をして、お客様方に御迷惑をかけ、あるいは事業の信用を失墜することがないように努めてまいりたい、このように考えております。
  188. 村上弘

    ○村上(弘)委員 最大限の注意を言うぐらいでしたら、窓口のこの申込書の控えの方、この下に字が写るような、ここぐらい切り取ったらどうですか。この「暗証番号」という欄があるでしょう。その下には紙がそのままついておるわけですね。コピーにはならぬけれども、ボールペンなどで書けば、鉛筆でも少々下に写りますよ。一なら一という字らしいということがわかるのです。こういうのは切り取ったらどうですか。
  189. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 ただいま御指摘いただいたわけでございますが、私ども事務処理をする観点から、暗証番号が人の目に触れないようにしていく工夫、どういうふうな形にするかは即答いたしかねますけれども、極力そういうふうな形での検討をいたしてみたいと考えております。
  190. 村上弘

    ○村上(弘)委員 この程度のことは検討して、下に写らぬように、人の目に触れぬようにする努力はした方がいいと思うのです。  それから、一月二十七日の「日刊 顔」というビラを見ますと、「突然!!暗証番号部分バッサリ」という見出しがついているのですね。つまり、二十六日に監察が入って、「突然、当該係で、職制の人が、コピーした暗証番号の部分だけ、切り落としていきました。全逓の早朝ビラで、監察から指摘されたのか、改善する必要がないと主張していた当局ですが、全逓に何の回答もせず、改善してきました。」こう言っているわけです。  それから、二月一日付の支部交渉部の文書を見ますと、「全逓の追及で揺れ動く省内部」という見出しのところがありますが、そこを見ますと、業務課長は、「なぜ暗証番号のみきるのか、おれにも分らない」、こう言って、いわばまだ居直っておるということが書かれています。組合の方は、指摘の正当性が一定立証された、しかしながらコピーする作業が続けられている限り根本的な解決にはなりませんということも言っています。結局、一月二十六日からは、コピーは続け、暗証番号部分だけ切り取る、そのため新しく仕事がふえたと職場で言っておりますが、二月十三日に先ほど言われたようにやっとコピーそのものはやめたわけですね。ということは、監察の注意もきわめて不徹底であったのではないか。一月二十二、三日以後二月十三日までコピーは続いておったわけです。だから、これはもし監察が入らず、やめろと言わなかったらまだ続いておったかもしれぬというような感覚が現場にはあるわけですね。労働組合の主張は、私は世間から見れば余りにも当然だと思うのだけれども、それほど現場ではこういう問題について鈍感な状態にあると思うわけです。こういうような扱いを絶対にしてはならないということを改めて関係部局に徹底すべきだと思うのですが、大臣、そういう点を厳達する必要はないのですか。
  191. 箕輪登

    箕輪国務大臣 先生趣旨で伝達をしております。これを取り扱っている十四局と計算、事務センター合わせて十六局のうち、ここだけなんですね。ほかはやっておりません。だから、先生の言われるとおりだと思いますし、こういうものはコピーをとるべきではないという趣旨もよくわかります。これからも注意をしていこう、こう考えております。
  192. 村上弘

    ○村上(弘)委員 いろいろな形でそういう感覚は出ると思いますから、これを一つのきっかけにして全体にも厳達をすべきだろうと思います。  次に、新しいサービスと要員配置の問題についてお伺いします。  なぜこんなずさんなやり方が生まれるかということ、私はこれが一番問題だと思うのです。オンライン化がずっと進んでいく、新たなサービスもどんどん始まっていく。ところが、それに伴う新たな仕事量、それに必要な要員の配置、こういう問題が実態に合っておらぬ。ここに一番の問題があると思うのですね。一月二十二日付のビラを見ますと、「職場の実態を無視して、機械的に人べらしを強行すれば、どうしても仕事の手抜きが起こります。」こう言っています。それから、一月二十七日付の「顔」というビラでは、「事務センは、KT入力が優先だから、」――これはキャッシュカードの作業ですが、「KT入力が優先だから、日常事務は残ってもいいと当局側はいいます。」こう書いてあるのですね。実際に、日常業務の停滞というものは私もちょっと驚いたのです。一月二十二日付のビラでは、第三貯金課で「古い未処理の改印・転居の届書が大量に行方不明になっている」、こういうことが書かれておるわけです。実に驚くべきことですが、そういう事実があるかどうか。どれくらいの期間放置されておったか、どれぐらい未処理なのか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  193. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 いま御指摘の住所変更届あるいは改印届等は、地方貯金局における処理が、これは未処理ということは望ましいことではございませんけれども、仮に未処理でありましても、それが直接にお客様の郵便局における窓口の預払いには差し支えないものではございますけれども、だから未処理であってもいいということではございませんで、通帳を亡失して再交付の請求をするというような場合には当然支障が出てまいります。その意味で、少しでも早く処理をする必要があるということは当然でございまして、各局につきまして速やかな処理について指導もしておりますし、これからもそういった点については各局で配意をしてもらうように言っており、また現にそういうふうな対応をしているところでございます。
  194. 村上弘

    ○村上(弘)委員 どれくらい未処理があるか的確に数字も言えないような実態であることは否定できない。すぐに支障は生まれないのだ、しかしそれはない方がいいのだというような局長の態度も少し恐れ入った態度ですが、私の方からも事前に指摘しておりまして、何か大貯の第三貯金課では三月三十一日に職制が大あわてでこの未処理処理に当たっておった、どうやら去年の六月時期の処理をいまやっておるというような話も聞いておるわけです。もし通帳を紛失して再交付の申請が出たら処理できないですよ。そういう状況にすらなっておる。  この日常業務が大変な手抜きになっておるということでもっと私が驚いておるのは、決算事務がきっちりやられておらぬということですね。EDPS、オフラインの導入の際だとか、あるいは五十四年度からのオンラインの導入、五十五年の春からの金利引き上げに伴う預け替えの殺到の際など、とにかく業務が大変ふくそうしているわけです。そのときに原簿だとか預入申込書などがどんどん移動して、何がどこに行ったかわからぬというような状態すら生まれておる。それがいまの転居だとか改印の届けをすぐ処理できない原因にもなっておったわけですね。しかし、一番驚くべきことは、毎月一回行う決算事務、現在高確査ですか、現在高通算とも言われておるようですが、これがまともにやられていない。去年の三月発覚した横浜貯金局の女子職員の三千万円詐取事件、これは五十四年七月から五十六年三月の間、一年八カ月の間詐欺的に払い出しをやっておるわけですね。なぜこんなに長期間わからなかったのか。現在高通算をやっておったのかどうか。どうですか。
  195. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 ただいま御指摘の横浜地方貯金局におきまして不祥事が発生いたしましたことにつきましては、われわれといたしまして大変申しわけなく思っているところでございます。  この事件につきましては、払い済みとなっている定額貯金の預入申込書の払い済みの表示を切り取るというふうなことで、その犯罪の手段としているわけでございます。このような問題が起こりました原因をいろいろわれわれも分析をいたしているわけでございますが、地方貯金局と申しますのは、郵便局のように直接には窓口で現金の取り扱いをしていないというふうなことで、よもやというふうな気持ちが管理者の間に生じたのではないだろうかというふうなこと。それから、預金金利の引き上げに伴う預け替えによる事務繁忙というのが確かにございまして、現在高の通算と言っております監査事務を当時一時的に中断をいたしたりしました。同時に、先ほどの払い済みの表示の方法などを簡略化したというふうな面がございまして、そういったことが御指摘の犯行をやりやすくした原因ではなかろうかというふうに考えております。まことに残念なことでございますが、こういうことがないように厳重に注意をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  196. 村上弘

    ○村上(弘)委員 大臣、よく聞いておいてくださいね。これは手抜きが二重にも三重にもあるのです。普通、払い出しをすると払い出し済みという判を押すことになっている。それを一々するのがめんどうくさいから、一ミリぐらいずつ重ねて済んだやつに線を引く。だから、一ミリさえ切り取れば払い出し済みでなくなるのですよ、そこだけ切り取れば。そういう手口をこの女子職員はやったわけです。  それから、何よりも問題なのは、現在高通算をきっちりやっておれば、預入額が幾らで、払い出しが幾らで、残高が幾らかというのはぴしっと合うはずなんです。毎月合うのです。そうしたら、三千万円もこれは積み重なっているのですから、遅くても半年ぐらいにはわかるだろうし、厳格にやっておれば一カ月か二カ月でおかしいということになるのです。それがおかしいということにならないのは、マルト繁忙と言われる繁忙時の手抜きで現在高通算を長期にやっていない。だから、一年八カ月も決算が合うてなくても気がつかぬわけです。そういうふうなことまで起こっておるのだということですね。  この点では、さきのビラでは「正しかった全逓の主張」という見出しのところがあります。どういうことを書いているかというと、「現在職場では、多額の経費を使って、マルト繁忙時の事故調査が行われています。全逓は、マルト繁忙時における決算事務たな上げなどの無責任な業務運行について、再三警告し、当局省側に改善方を申し入れていました。」こう言っているわけです。いまになってあわてておるということを述べておるわけです。「全逓の主張に誠意をもって対処しておれば、今になって慌てることもなかったでしょう。」こういうふうに言っております。  このマルト繁忙という状況のとき、あるいは日常もあわせて、こういう繁忙に対してどういう対策をとっておるのか。たとえばアルバイトを相当雇用しておるようでありますが、一体どれくらい雇用しておるか、どんな仕事をやらしておるのか。どうでしょうか。
  197. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 御指摘のような預け替え繁忙という時期がありましたことは事実でございますが、それに向けましての要員対策といたしましては、当然のことに、利用者に対するサービスの確保、それから業務の正常な運行を確保する、この二つの面から必要な要員措置ということで、事務量の動向に応じまして、一つには本務者の時間内と時間外の勤務による対応、それと非常勤職員の雇用による対処ということで措置をしてまいっております。  この預け替え特別措置に伴いまして、地方貯金局の事務も一時ふくそうしたということは事実でございます。事故処理対策につきましても、この繁忙に関連いたしまして必要な要員措置を講じたところでございますが、超勤、賃金、先ほど申しました本務者の時間外の勤務のための超勤、あるいは非常勤職員の雇用というふうなことで、いま申し上げました繁忙に対応するだけのものは本省として措置をしてまいったところでございます。
  198. 村上弘

    ○村上(弘)委員 大阪貯金局では、そういう現在高通算の不符合の調査までアルバイトにやらしておるとか、名寄せの仕事もアルバイトでやっておるとか、大変な状態ですね。大阪貯金局で、五十五年度でアルバイトが延べ三万五千二百五十一人、大変な数です。全国ではアルバイトと超勤の支払い合計が二十一億四百十三万円となっていますね。こんな実態ですよ。だから、定員をどんどん減らして臨調路線に合わしておるように見えても、実態はこういう状況になっておる。  今度のオンライン化で、全国三千名人を減らす、大貯では百名の減員計画で、現在三十四名減らしておると聞いておりますが、そういうことの中で、キャッシュカードの作業及びコピーをやらせるという便宜的な手抜きの方法をとる、あるいは改印や転居届の長期の未処理がある、月一回の決算事務さえまともにやっておらぬ、不符合があってもそれも明確に処理していない、こういう状態が起こっておるのです。ですから、新しいサービスを提供するとかオンライン化などは、これ自体はいいことだけれども、実際の対応はこういう結果を生んでおる。したがって、新しいサービスを提供するに当たっての減員計画、これは実情に即して見直す必要があるんじゃないか、もっと責任ある要員配置をやるべきじゃないかと思うのですが、どうですか。
  199. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 郵政省といたしましては、お客様への利便をより多くするという観点と、それから事業の合理化、効率化という観点から、これまでもオフでのEDPSの導入、それから現在行っておりますオンラインといった機械化の実施をやってまいっております。その場合に、御指摘の業務量と定員の関係でございますけれども、当然、従来の作業方法と比べまして労働力の節減が生じます場合には、もちろんそのもろもろの条件の変化を見きわめながら、減員をすることが可能であるというその時点におきます業務量に見合った適正な要員を確保した上で、節減可能な人員については減員をしていく、こういうことで、われわれといたしましても、業務量との兼ね合いを十分に考えながら定員の配置を行い、その中で節減ができる人員については減員をしてきているというのがこれまでのところでございますし、これからも業務量に見合った定員の確保ということは当然のこととして措置をしていくつもりでございます。
  200. 村上弘

    ○村上(弘)委員 そう思ってやったけれども、実情はそうなっておらぬというのがいま言った事実によって立証されているわけですね。これからオンライン化を五十八年度末に向けて全国一万八千局全部やるわけですね。それから、それに伴ってCDサービス、キャッシュカードの発行などももっとふえていくでしょう。さらには、六月からやると言うておる自動振り込み、NHKから、電電から、公庫から、育英会から、地方団体の地方税、ごみ、くみ取りの料金に至るまでやろう、こういうわけですから、それ自体はいいとして、それが本当にやれる体制にあるのかどうかということを考える必要がある。本当に混乱なしに、手抜きなしに、正確、安全、迅速にやれるようにするためには、いまの要員の扱い方、機械的な減らし方は見直す必要があると思うのですが、大臣、どうですか。
  201. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 オンライン化に伴いまして、われわれ当初から計画をいたしておりましたいろいろな業務をそのオンラインに乗せていくことを考えております。これらの新しい業務はまだ完全に定着をいたしておりませんで、言うなればようやく緒についた段階でもございます。したがいまして、今後の利用動向というものは十分に見きわめなければいけないわけでございますが、この新規業務は、オンラインシステムを活用したサービスということがございまして、機械処理の部分が多いわけでございます。したがって、要員の増要素はあるといたしましても、オンライン化による減員数の一部をもって充当が可能ではないだろうか。ただ、この減員を行う際には、先ほども申し上げましたように、その時点での業務量を処理するのに必要な要員を確保した上で、なお余剰を生じる要員を減員する、こういう考え方で対処をしておりますし、またこれからも対処をするつもりでございます。
  202. 村上弘

    ○村上(弘)委員 あと三分と言うていますからこれで終わりますが、実際の状況と相当隔たりがあるということを言っておきたいし、真剣な見直しを要望しておきたいと思うのです。  グリーンカード制の問題がいま新たに問題になっておりますから、これだけちょっと聞いておきたいのですが、わが党は、総合課税を早くやるべきだ、しかしグリーンカード制はやるべきでない、こういう考えです。グリーンカード制というのは、第一に、個人の資産を国が管理することによるプライバシーの侵害ということ、第二は、大多数の国民がカード番号で国税庁などに登録されて、国民総背番号制の第一歩となるおそれもあるということなどで反対をしておるのですが、この総合課税は大いにやると同時に、グリーンカード制というものとは分離すべきだということを主張したいわけです。  そこで、郵政省としては、グリーンカード制によらなくても全体の名寄せは可能ではないのか。つまり、限度額管理はいまでもやっておるわけですが、郵便貯金については郵政省が全国的、統一的にオンラインによって管理する、銀行や信託は、やはりそれぞれがみずからのオンラインによってそれをやるという方向でこれは可能なんであって、国税庁が一元管理するというようなことは全くやる必要がないというようにわれわれは思うわけですが、この総合課税制は早くやるべきであって延期すべきではないんだということとそれに対する大臣の態度、それから、グリーンカード制によらなくても限度額管理は可能であるということについての大臣見解、この二つについてお聞きして終わりたいと思います。
  203. 箕輪登

    箕輪国務大臣 三百万円の限度額管理は、従来も心してやってきておりますし、現在も限度額の管理は厳重にいたしておるところでございます。  グリーンカード制度の問題は、分離課税から総合課税へ移すという趣旨のもとに、郵政省郵便貯金について参入しようと考えておりました。ただ、いまいろいろな意見がございます。これからどうなるかまだわからないわけでありまして、私も閣僚の一人でございますので、この点はひとつ御勘弁をいただきたい、こう思うわけであります。
  204. 村上弘

    ○村上(弘)委員 総合課税をやるのかどうかです。
  205. 箕輪登

    箕輪国務大臣 そのつもりで今日まで参りましたし、税法の改正もやったわけでございます。現在はそうなっているわけであります。したがって、そのつもりで私どももグリーンカード制に参入してきたわけでございます。しかし、これからどうなるか、また国会が何を決めるか、これはわからぬわけでありますから、御答弁はできない、こういうことでございます。
  206. 水野清

    水野委員長 これにて村上弘君の質疑は終了いたしました。  以上で本案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  207. 水野清

    水野委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  郵便貯金法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  208. 水野清

    水野委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  なお、ただいま議決いたしました本案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  209. 水野清

    水野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕      ――――◇―――――
  210. 水野清

    水野委員長 次に、放送法等の一部を改正する法律案及び電波法の一部を改正する法律案の両案を議題とし、審査に入ります。  順次提案理由説明を求めます。箕輪郵政大臣。     ―――――――――――――  放送法等の一部を改正する法律案  電波法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  211. 箕輪登

    箕輪国務大臣 放送法等の一部を改正する法律案について、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。  国民の多様な情報に対する要望にこたえて、テレビジョン多重放送を実用化するため、また、外国人等による放送会社の株式の取得の結果、当該放送局の免許が取り消されるという不測の事態を防ぐ等のため、放送法、電波法及び有線テレビジョン放送法につき所要の改正を行う必要があります。  この法律案提案した理由は以上のとおりでありますが、次にその概要を御説明申し上げます。  まず、放送法の一部改正内容について申し上げます。  第一は、テレビジョン多重放送についてであります。  テレビジョン多重放送のうち、当面実用可能なテレビジョン音声多重放送及びテレビジョン文字多重放送を日本放送協会に行わせることとするとともに、テレビジョン多重放送のための放送設備の賃貸を日本放送協会の業務に加えることとしております。さらに、この賃貸の場合の郵政大臣の認可については、両議院の同意を要しないこととしております。  また、日本放送協会を含め、テレビジョン放送とテレビジョン多重放送をあわせ行う放送事業者は、テレビジョン放送の内容を豊かにし、その効果を高めるようなテレビジョン多重放送の放送番組をできるだけ多く設けるようにしなければならないこととしております。  このほか、郵政大臣は日本放送協会及びテレビジョン放送事業者に対し、テレビジョン多重放送のための設備の利用等に関する計画の策定、提出を求めることができることとしております。  第二は、日本放送協会の出資についてでありますが、日本放送協会は、その業務に密接に関連する事業を行う者に出資できることとしております。  第三は、外国人等の取得した放送会社の株式の取り扱いについてでありますが、上場放送会社等は、外国人等の株式取得により放送局の免許の欠格事由に該当することとなるときは、当該外国人等の取得した株式の名義書きかえを拒むことができることとしております。  第四は、災害の場合の放送についてでありますが、日本放送協会及び一般放送事業者は、災害の場合には、災害の予防または被害の軽減に役立つ放送をするようにしなければならないこととしております。  その他、所要の規定の整備を行うこととしております。  次に、電波法の一部改正内容について申し上げます。  これは、テレビジョン放送をする無線局の免許が効力を失ったときは、そのテレビジョン放送の電波に重畳してテレビジョン多重放送をする無線局の免許も効力を失うこととするものであります。  最後に、有線テレビジョン放送法の一部改正内容について申し上げます。  第一に、有線テレビジョン放送事業者は、郵政大臣の指定するテレビジョン放送の難視聴区域においては、その区域に係るテレビジョン多重放送も義務的に再送信しなければならないこととしております。  第二に、有線テレビジョン放送事業者がテレビジョン多重放送を再送信する場合には、義務再送信の場合を除き、そのテレビジョン多重放送事業者の同意を要することとしております。  その他規定の整備を行うこととしております。  なお、この法律施行期日は、公布の日から起算して六月を経過した日としております。  以上がこの法律案提案理由及び概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願いいたします。  次に、電波法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。  航海の安全を確保するため、船舶の運航に携わる船員に必要な知識及び技能の基準を国際的に設定しようとする作業が、政府間海事協議機関(IMCO)を中心に進められ、昭和五十三年にロンドンで開催された国際会議において、千九百七十八年の船員の訓練及び資格証明並びに当直の基準に関する国際条約が採択されました。この条約は、今国会で御承認をいただくために別途提出されており、明年中にも発効することが予想されておりますので、同条約の発効に備える等のため、船舶において無線通信の業務に従事する無線通信士に関し、規定の整備を図る必要があります。  また、最近の国際情勢下において、在外公館からの無線による通信を確保することは、わが国の外交活動を円滑に遂行し、国益を確保する等の上から必要となっておりますので、わが国の在外公館に無線局設置の道を開くため、在日外国公館に無線局の設置を認める必要、があります。  さらに、最近における無線局の免許申請者の増加に対応して、かねてより行政事務簡素合理化を図る見地から、免許の簡略化の検討を進めてまいりました市民ラジオの無線局について、その免許を要しないこととする必要があります。  この法律案提出した理由は以上のとおりでありますが、次にその概要を御説明申し上げます。  まず第一に、船舶において無線通信の業務に従事する無線通信士に関する規定の整備でありますが、船舶局の無線設備の操作に関して郵政大臣が行う訓練の課程または郵政大臣がこれと同等の内容を有するものであると認定した訓練の課程を修了した者について船舶局無線従事者証明を行うこととするとともに、郵政省令で定めることとしております一定の船舶局の無線設備の操作については、この船舶局無線従事者証明を受けている無線従事者でなければ行ってはならないこととするほか、船舶局無線従事者証明の失効等必要な規定を整備することとしております。  第二に、外国の大使館、公使館または領事館の無線局についてでありますが、この無線局は、固定地点間の通信を行うものについて相互主義を前提といたしまして免許を与えることができることとしております。  第三に、市民ラジオの無線局の開設についてでありますが、この無線局については、技術基準の適合性を確保した上で郵政大臣の免許を要しないこととしております。  その他、所要の規定の整備を行うことといたしております。  なお、この法律施行期日は、この法律の公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することといたしております。ただし、市民ラジオの無線局及び外国公館の無線局についての改正規定は、昭和五十八年一月一日から施行することといたしております。  以上がこの法律案提案理由及び概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願いいたします。
  212. 水野清

    水野委員長 これにて両案の提案理由説明は終了いたしました。     ―――――――――――――
  213. 水野清

    水野委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  ただいま議題となっております両案について、参考人の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  214. 水野清

    水野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人の人選、出頭日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  215. 水野清

    水野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――
  216. 水野清

    水野委員長 両案に対する質疑は後日に譲ります。  次回は、来る四月十四日午前九時五十分理事会、午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時七分散会      ――――◇―――――