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箕輪国務大臣 放送法等の一部を
改正する
法律案について、その
提案理由及び概要を御
説明申し上げます。
国民の多様な情報に対する要望にこたえて、テレビジョン多重放送を実用化するため、また、外国人等による放送会社の株式の取得の結果、当該放送局の免許が取り消されるという不測の事態を防ぐ等のため、放送法、
電波法及び有線テレビジョン放送法につき所要の
改正を行う必要があります。
この
法律案を
提案した
理由は以上のとおりでありますが、次にその概要を御
説明申し上げます。
まず、放送法の一部
改正の
内容について申し上げます。
第一は、テレビジョン多重放送についてであります。
テレビジョン多重放送のうち、当面実用可能なテレビジョン音声多重放送及びテレビジョン文字多重放送を日本放送協会に行わせることとするとともに、テレビジョン多重放送のための放送設備の賃貸を日本放送協会の業務に加えることとしております。さらに、この賃貸の場合の
郵政大臣の認可については、両議院の同意を要しないこととしております。
また、日本放送協会を含め、テレビジョン放送とテレビジョン多重放送をあわせ行う放送事業者は、テレビジョン放送の
内容を豊かにし、その効果を高めるようなテレビジョン多重放送の放送番組をできるだけ多く設けるようにしなければならないこととしております。
このほか、
郵政大臣は日本放送協会及びテレビジョン放送事業者に対し、テレビジョン多重放送のための設備の利用等に関する計画の策定、
提出を求めることができることとしております。
第二は、日本放送協会の出資についてでありますが、日本放送協会は、その業務に密接に関連する事業を行う者に出資できることとしております。
第三は、外国人等の取得した放送会社の株式の
取り扱いについてでありますが、上場放送会社等は、外国人等の株式取得により放送局の免許の欠格事由に該当することとなるときは、当該外国人等の取得した株式の名義書きかえを拒むことができることとしております。
第四は、災害の場合の放送についてでありますが、日本放送協会及び一般放送事業者は、災害の場合には、災害の予防または被害の軽減に役立つ放送をするようにしなければならないこととしております。
その他、所要の規定の整備を行うこととしております。
次に、
電波法の一部
改正の
内容について申し上げます。
これは、テレビジョン放送をする無線局の免許が効力を失ったときは、そのテレビジョン放送の電波に重畳してテレビジョン多重放送をする無線局の免許も効力を失うこととするものであります。
最後に、有線テレビジョン放送法の一部
改正の
内容について申し上げます。
第一に、有線テレビジョン放送事業者は、
郵政大臣の指定するテレビジョン放送の難視聴区域においては、その区域に係るテレビジョン多重放送も義務的に再送信しなければならないこととしております。
第二に、有線テレビジョン放送事業者がテレビジョン多重放送を再送信する場合には、義務再送信の場合を除き、そのテレビジョン多重放送事業者の同意を要することとしております。
その他規定の整備を行うこととしております。
なお、この
法律の
施行期日は、公布の日から起算して六月を経過した日としております。
以上がこの
法律案の
提案理由及び概要であります。
何とぞ慎重御
審議の上、速やかに御可決あらんことをお願いいたします。
次に、
電波法の一部を
改正する
法律案について、その
提案理由及び概要を御
説明申し上げます。
航海の安全を確保するため、船舶の運航に携わる船員に必要な知識及び技能の
基準を国際的に設定しようとする
作業が、
政府間海事協議機関(IMCO)を中心に進められ、昭和五十三年にロンドンで開催された国際
会議において、千九百七十八年の船員の訓練及び資格証明並びに当直の
基準に関する国際条約が採択されました。この条約は、今
国会で御承認をいただくために別途
提出されており、明年中にも発効することが予想されておりますので、同条約の発効に備える等のため、船舶において無線通信の業務に従事する無線通信士に関し、規定の整備を図る必要があります。
また、最近の国際情勢下において、在外公館からの無線による通信を確保することは、わが国の外交活動を円滑に遂行し、国益を確保する等の上から必要となっておりますので、わが国の在外公館に無線局設置の道を開くため、在日外国公館に無線局の設置を認める必要、があります。
さらに、最近における無線局の免許申請者の増加に対応して、かねてより
行政事務の
簡素合理化を図る見地から、免許の簡略化の検討を進めてまいりました市民ラジオの無線局について、その免許を要しないこととする必要があります。
この
法律案を
提出した
理由は以上のとおりでありますが、次にその概要を御
説明申し上げます。
まず第一に、船舶において無線通信の業務に従事する無線通信士に関する規定の整備でありますが、船舶局の無線設備の操作に関して
郵政大臣が行う訓練の課程または
郵政大臣がこれと同等の
内容を有するものであると認定した訓練の課程を修了した者について船舶局無線従事者証明を行うこととするとともに、
郵政省令で定めることとしております一定の船舶局の無線設備の操作については、この船舶局無線従事者証明を受けている無線従事者でなければ行ってはならないこととするほか、船舶局無線従事者証明の失効等必要な規定を整備することとしております。
第二に、外国の大使館、公使館または領事館の無線局についてでありますが、この無線局は、固定地点間の通信を行うものについて相互主義を前提といたしまして免許を与えることができることとしております。
第三に、市民ラジオの無線局の開設についてでありますが、この無線局については、技術
基準の適合性を確保した上で
郵政大臣の免許を要しないこととしております。
その他、所要の規定の整備を行うことといたしております。
なお、この
法律の
施行期日は、この
法律の公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することといたしております。ただし、市民ラジオの無線局及び外国公館の無線局についての
改正規定は、昭和五十八年一月一日から施行することといたしております。
以上がこの
法律案の
提案理由及び概要であります。
何とぞ慎重御
審議の上、速やかに御可決あらんことをお願いいたします。