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1982-04-13 第96回国会 衆議院 地方行政委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十七年四月十三日(火曜日)     午前十時十二分開議  出席委員    委員長 中山 利生君    理事 工藤  巖君 理事 染谷  誠君    理事 宮下 創平君 理事 安田 貴六君    理事 佐藤 敬治君 理事 松本 幸男君    理事 大橋 敏雄君 理事 青山  丘君       池田  淳君    臼井日出男君       小澤  潔君    片岡 清一君       北川 石松君    左藤  恵君       竹中 修一君    地崎宇三郎君       中村 弘海君    五十嵐広三君       小川 省吾君    加藤 万吉君       細谷 治嘉君    武田 一夫君       岩佐 恵美君    三谷 秀治君       田島  衞君  出席国務大臣         自 治 大 臣 世耕 政隆君  出席政府委員         警察庁警備局長 山田 英雄君         自治大臣官房審         議官      小林 悦夫君         自治大臣官房審         議官      矢野浩一郎君         自治大臣官房審         議官      坂  弘二君         自治省行政局公         務員部長    大嶋  孝君         自治省財政局長 土屋 佳照君         自治省税務局長 関根 則之君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      八木橋惇夫君         大蔵省主税局税         制第三課長   真鍋 光広君         文化庁文化部文         化普及課長   石井 久夫君         厚生省保険局国         民健康保険課長 萩原  昇君         地方行政委員会         調査室長    岡田 純夫君     ————————————— 四月十二日  脊髄損傷者に対する地方行政改善に関する請願  (石橋政嗣君紹介)(第二〇〇九号)  身体障害者自動車運転免許証に付される重量  制限廃止等に関する請願石橋政嗣君紹介)(  第二〇一〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣  提出第三七号)      ————◇—————
  2. 中山利生

    中山委員長 これより会議を開きます。  内閣提出地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。加藤万吉君。
  3. 加藤万吉

    加藤(万)委員 きょう地方交付税質問に入ります前に、昨日起きました右翼総評会館襲撃事件について、最初警察庁の方にお聞きをしたいと思うのです。  御案内のように昨日、私鉄のストライキがございまして、これをめぐって労使間が大変緊張いたしました。私は、最近どうも労働運動に対するいろいろな意味の弾圧といいましょうか、あるいは労働運動そのもの社会的に罪悪だというような方向宣伝、マスコミを通して風潮が流れているような気がしてならないわけであります。また、政府も今日の春闘に対しまして、春闘そのものが今日の経済関係あるいは国内の政治状況から見て好ましくないというような、そういうニュアンスに聞こえる発言がしばしばあります。  そういう風潮に乗りましてかどうか、最近右翼団体による労働運動に対する干渉ないしは妨害が大変多くなっております。せんだって、四月二日でありますが、国労本部右翼の諸君が押しかけまして短刀を出して脅迫をする、そういう事件が起きました。早速わが党はこの問題をとらえまして、このような正常な労働運動に対する妨害を排除するために、日本警察行為としてこれを排除するように申し入れを行ったところであります。三島審議官が対応していただきましたが、四月十日にこの申し入れを行いました。  四月十三日はいま言いましたような経過で、事によると全国的なストライキ情勢があるということがありますから、当然この申し入れを受けまして警察庁は慎重な配備警備、このような計画があってしかるべきだと私は思っておったのでありますが、昨日の三時十分ごろ、総評会館正面玄関右翼団体が押しかけまして、暴行あるいは玄関の扉を打ち破る、そういう事件が起きたわけであります。警察庁はこのことを御存じであろうと思いますが、事件経過について御説明いただきたいと思います。
  4. 山田英雄

    山田政府委員 お答えいたします。  ただいま御指摘の、昨日の総評会館への侵入暴力行為事件右翼団体が敢行したわけでございますが、その事実関係からまず申し上げます。  昨日の午後三時十分ごろの事件でございます。これは日本民族連合という右翼団体がございますが、その傘下の五団体、十七人、六台で、昨日街宣活動を実施しておったわけでございます。そこで動労会館国労会館を経て、三時過ぎに総評会館前に到着したわけでございまして、総評違法ストを指導するなというようなたぐいの街頭宣伝活動を始めておったわけでございます。その際に、数名の者が宣伝カーをおりまして、総評会館の中に入って抗議をしようとしたようでございます。  その際に総評会館側警備員が、会館の中から何の用ですかと声をかけて、右翼団体員の者が抗議に来たと言いますと、抗議はだめだと断って、会館入り口自動ドアのシャッターをおろしかけたわけでございます。その際に、一人の者がおりる自動ドアのおり切らない前に中に入りまして、それから残った三名の者が自動ドアの右側のガラス仕切り壁を足でけって破りまして、そこから侵入したわけでございます。最初自動ドアが閉まる前に入った熊坂という者でございますが、これがさらに受付のガラス窓四枚、これを傘立てを振り回しあるいは足げりをして破損したわけでございます。  昨日は、特に御質問にもございましたように春闘情勢が緊迫したときでございまして、右翼街宣活動も、昨日だけで十七団体、十七台の街頭宣伝活動が行われておったわけでございます。お話のように、山口議員からのお話もわれわれ伺っております。そこで、右翼からいろいろ予告して抗議にたくさん来ておる、あるいは御指摘のように四月二日のあいくちを持って国労会館侵入した事件も起きております。そういうことで、警戒方ということの御要望もございました。そこで、予告が来ましたような場合には警察に早急に御連絡いただきたい、建物に対する自主的な警戒も強化していただきたいということをお願いいたしまして、所要打ち合わせもしておったわけでございます。  当日、所轄警察署から視察員総評会館に派遣しておりました。そこで、その視察員ガラスを割ったというような現認がございまして、その緊急の報告を受けて、近くに所要部隊を車両に乗せて待機もしておりましたので、直ちに現場に急行いたしまして、犯行時間三時十分ごろでございますが、三時十六分に四人の者を建造物侵入暴力行為等処罰に関する法律違反で逮捕いたしております。ただいま厳重な取り調べを行ってこの犯行の糾明に当たっておるわけでございます。  右翼のこういう行動といいますのは今春闘に限りませんで、いろいろな接点で違法行為が多く見受けられます。われわれとしましては、こうした違法行為右翼であろうと極左であろうとあるいはその他の団体、グループであろうと、絶対に看過しないという方針で臨んでおりまして、たとえば右翼事件について申し上げますれば、昨年は三百四十九件、五百二十八人検挙いたしております。しばしば偶発的な事件でございますので、その完全予防を期することは困難な面もあるわけでございまするが、厳正な態度で取り締まりを行っておりますし、今後とも行ってまいりたいと思います。そういう意味で、こうした違法行為に対してどういうふうに対処していくか、今後とも関係者管理者の方とお打ち合わせを続けて万全の体制をとってまいりたい、かように存じております。
  5. 加藤万吉

    加藤(万)委員 警備局長街頭双方宣伝をし合ってやや挑発的行為があってしばしば偶発的な事件が起きる、これはときたまあることですからやむを得ないと言ってしまえばそれだけだと思うのですが、今度の場合などは、四月の二日に国労本部に対するそういう事件があったのでしょう。そして、十三日の春闘情勢というのはわかっているわけです。しかも、六台か七台か連ねて襲撃するということは普通の状況ではないと思うのですね。私は以前も当委員会で、前の都知事候補太田薫さんが選挙中に車上で襲撃された事件質問いたしました。率直に言ってこの事件も、今日まだしっかりと解明されていないわけですね。これは、まさに政治活動の自由を妨害するそういう行為は許されないという立場で告訴も行われていると思うのですが、まだ事件の決着はついておりませんね。  いまお聞きしますと、派遣員を置きましたがということですが、私よくあそこへ参りますけれども通常パトカーが一台置いてありますよね。今度の場合には、十三日のストライキを前にして右翼のそういう挑発があることは御案内のとおりだったのですし、連鎖的な事件が起きているわけですからその警備体制としては、たとえば国会の前にありますような警備車配備をして警戒に当たるのは当然だったのではないでしょうか。単なる偶発あるいは挑発行為によって双方が衝突し合うというのならば、これはもう偶発的なことですからやむを得ないことです、事件を起こした側を逮捕して取り調べます、これで済みますけれども、今度の場合はそれでは済まないのじゃないですか。  総評といえば、日本ナショナルセンターの最大の組織でもありますし、総評自身ストライキ指令を出すわけではございません。したがって、ストライキ指令を出している国労やその他の組合に対して右翼が嫌がらせをやるのはわかるといたしましても、ナショナルセンターそのものに襲いかかってくるという状況は、単なる襲いかかったという一時的な事件としては処理できない。いわば日本労働運動なり、戦後の日本民主主義を支えてきた日本革新運動のメッカを襲撃するという事件ですから、軽々に単なる傷害事件というふうには私には見られないのですが、いま一遍警察庁側のこれに対応する基本的な姿勢をひとつ示していただきたい、こう思うのです。
  6. 山田英雄

    山田政府委員 もちろん、当日総評会館につきましても視察員を派遣するほか、直近部隊を配置しておったわけでございまして、緊急の連絡で現行犯逮捕したという状況はすでにお答えしたとおりでございます。  そこで、右翼街頭宣伝活動全体をどう考えるかという問題になると思いますけれども、これは極左暴力集団についてもさようでございまするが、明らかな危険が予測されない限り、彼らの行動街頭宣伝の自由、表現の自由ということで、法律上許可して認めるということにせざるを得ないわけでございます。  そうした場合に、移動する街頭宣伝をどこでチェックするかという問題にわれわれ常に逢着しておるわけでございまして、国会周辺につきましては、国政の審議という高い公益性の見地から、われわれ強力な説得を行ってこの直近に接近することを防止しておりますけれども、そうしたことを随時随所で行うことができるかどうかという問題は今後十分に検討すべき問題だろうと思いますが、なかなかむずかしい点もあろうかと思います。昨日の場合で申し上げますれば、いま御指摘のように緊迫した春闘情勢総評会館を守るということの重要性は十分認識しておりまして、それに見合う体制をとっておったということで御了解賜りたいと思います。
  7. 加藤万吉

    加藤(万)委員 お聞きいたしますると、その団体日本民族連合だという指摘がございました。したがって、捜査を進めていく段階で、単にその現場に居合わせた者の傷害ないしは器物破損あるいは襲撃という事件にとどまらずに、この右翼団体そのものに対する捜査も行われるということは当然だろうと私は思うのです。この辺を含めて今後のそういう右翼行動、特にこれは連鎖的な行動ですからね、一件一件の事件ならばおっしゃることはそれなりに私もわかますけれども、連鎖的に起きている事件だけに、単なるその現場における傷害事件としてではなくして、そういう全体の動きとしての警察庁捜査を私はぜひ期待をいたしたい、こう思うのです。  大臣国家公安委員長ですから、国家公安委員長として私はお願いをしておきますが、最近新聞や特に週刊誌などでは、ストライキが起きますと国賊とか非国民という言葉がしばしばタイトルに出てくるのですね。私は指摘をされたことは間違っていると思います。たとえば、国鉄の労働者は怠け者であるとか、そういう言葉ならば一つの事象としての指摘としてわかりますが、国賊とか非国民という言葉になりますと、これはいまの社会から疎外された人間といいましょうか、大臣御存じでしょうが、戦前私ども非国民だの国賊だのと言いますと事実上その社会における村八分ですよね、そういう風潮が実は流れているわけです。  これは思想的にもきわめてファシズム的な傾向を持つ用語として、警戒をしなければいかぬと私は思っているわけです。右翼行動の中に特に出てくる国賊非国民、そういう風潮が一般的なジャーナリズムの中にも流れ込んでくるということは、民主主義にとって大変危険なことですから、そういう立場から大臣国家公安委員長として、いまの警備局長答弁を踏まえて厳重な捜査を私はぜひとも要請しておきたい、こう思いますので、どうかよろしく御配慮を願いたいと思います。  それでは本論に入りまして、地方交付税に対する質問を二、三行いたいと思います。  私は先般地方税質問の際に、地方財政計画地方財政事情、特に地方財政計画と実際の各都道府県の五十七年度予算との間に余りにも乖離があり過ぎるのではないか、こういう指摘を実はいたしました。今度の場合は、当然地方財政の最も大きな財源であります地方交付税でありますから、これまた、地方交付税のあり方が実際問題として地方団体との間にどのような財政的な効果ないしは財政的な影響を与えていくのだろうかという立場からいろいろ考察をしてみたわけでありますが、率直に申し上げて今度の地方財政計画は、財政収入の面は非常に高くとっておるわけであります。  先般、私の質問に対しまして局長からも御答弁をいただきましたが、結局、国の経済成長率基礎にいたしまして地方財政計画並びに交付税の算定の状況をつくり上げた、こういうお答えをいただきました。これは私だけではありませんで他の議員の方の御質問にも、たとえば土屋政府委員は、「政府経済見通し等基礎といたしまして、現段階では最も適切と考えられる方法によって見積もりを行ったものでございますので、おおむね見込みどおり確保できるものと考えております」これは五十七年度地方財政計画についての御答弁であります。  さあ、どうでしょうか。先般当委員会で、大蔵大臣から五十六年度の歳入欠陥に対する御答弁をいただきました。二兆円を超えるということであります。いま土屋財政局長が私ども答弁をされたこのこと、経済見通しと、おおむねそれが適切な地方財政計画基礎というお考えについては、今日でも変わることはございませんでしょうか。
  8. 土屋佳照

    土屋政府委員 五十七年度の財政運営にはいろいろと問題があるということは、私どもも認識をいたしております。特に、いま御指摘がございましたように、五十六年度における税収国税地方税を通じまして必ずしも芳しくない状況でございまして、そういったものを土台にして五十七年度を見込んでおるとすれば、五十七年度の税収も非常に問題があるのではないか、そういった意味で全体的に懸念があるということをお示しになったわけでございます。  その点については、私もたびたび申し上げておりますように、いろいろと全体の動きとしては懸念材料はあるし、私どもも重大な関心を持っておるわけでございますが、少なくとも地方税については、これは税務局長からお答えする筋合いのものでございましょうけれども、一応政府がいろいろな資料をもとにして見通しました経済運営方向土台にしながら、課税の実態を頭に置いて税収をはじいた。また交付税につきましては、国税三税は国の経済見通し等もとにして国税当局において十分検討されてつくられたものでございますので、率直に申しまして、私どもとしてはいろいろ懸念材料はあるけれども、そのとおり行けるものだと思っております。     〔委員長退席染谷委員長代理着席〕  そのためには、やはり経済見通しで示しておりますようないろいろなものが達成されなければならないわけでございまして、その点についてはたびたび申し上げますように懸念材料はあるわけでございますが、もろもろの政策よろしきを得れば後半そういった方向に持っていける、経済伸びるという政府全体の態度でもございますので、私どもとしては、現段階においてそのような方向に行くものと期待をしておるわけでございますし、またそのような努力をしなければならぬというふうに考えておるわけでございます。
  9. 加藤万吉

    加藤(万)委員 先般の質問は三月二十三日ですから、そのときに財政局長なり税務局長ですか、三月の決算を見なければと、こういう前提を置かれました。そして政府側見通しでも、三月決算時には相当伸びるという前提がありますから、五十七年度に関する法人税関係税収入については私どもはいま御答弁のありましたような形で期待をいたします、こう言っておられたわけですね。三月期の決算は大体終わりました。大蔵大臣は当然のことですが主管局ですから、いろいろな見込みを立てられたのでしょう。結果として二兆円プラスアルファの税収入の落ち込みがある。  こうなってまいりますと、どうですか財政局長、いまおっしゃった後半の答弁で、もろもろ障害があるけれどもという、そのもろもろ障害は、もう数字的にも明らかになっているんじゃないですか。あるいは見通しの上でも、主管大蔵大臣が言っているのですから。とすれば、いろいろな施策を講じてなお五十七年度は地方税関係を含めてこれだけの収入見込みがあります、あるいは五十七年度についても地方交付税基礎になるべき国税三税の見通しについてもいまや修正を加えなければならぬ、こういう時期にあるのじゃないですか。  本当のお話をしてもらわないと、私ども地方財政計画審議いたしておりましても、地方財政計画とは何かということまで審議しなければならぬような状況になるのですよ。いま一度、大蔵大臣答弁以降における大蔵省なりあるいは財政局長の手元で見通しをされる財政事情についてお答えいただきたい、こう思います。
  10. 土屋佳照

    土屋政府委員 特に国税三税の動向でございますが、五十六年度においてまだ確定的なものは私ども大蔵当局から聞いておりませんけれども、いろいろな情報に基づいて検討いたしますと、やはり五十六年度、三税はかなり落ち込んでおる、特に法人関係税が落ち込んでおるということは事実のようでございます。したがいまして、いわゆる発射台というものが落ち込んでしまったところから五十七年度を見ていくわけでありますから、将来にわたって現在予算で見込んでおるものを確保するためにはかなりな伸び率がなければむずかしいということも想定できるわけでございます。  しかし私どもとしても、いろいろと大蔵当局に意見を聞いておるわけでございますが、今後の経済動向がどうなるかという点については、かなり底入れも済んだような感じでもあるし、相当伸びを見込めるので、現段階においては認められた予算に基づいて執行していくのだ、こういう態度でございます。私どもとしては同じ政府部内において、率直に申し上げていろいろ懸念材料はあるけれども、いろいろな努力をしてそれを確保していく方向で進めるというものについては、そういったことを期待しながらわれわれとしても対応していかざるを得ないであろうというふうに考えておるわけでございます。
  11. 加藤万吉

    加藤(万)委員 地方財政計画については、いろいろこれからの見通しの問題その他含めて懸念材料はある、しかし政府が認められた予算に基づいてこれは執行します、こういうことでございますね。地方財政、たとえば交付税についても行う、こういうことになりますね。  いま一つ話を前に戻しますが、私は前回、事業税法人関係税について、五十六年度当初計画三兆一千九百五十四億円に対して最終見込み額を二兆九千十六億円、こういうふうに修正されたのではないですかとお聞きをしましたが、この二兆九千十六億円に五十六年度修正されたということはありますか。ないしは、当初計画額最終見込み額数字として検討され、結果を得られたことはありますか。
  12. 関根則之

    関根政府委員 法人事業税につきましては、御指摘をいただきましたように、当初の計画三兆一千九百五十四億円を一応計画目標としてそのまま維持をいたしておりまして、それを減額をいたしましたり修正をしたということはないわけでございます。
  13. 加藤万吉

    加藤(万)委員 そうすると、いまの状況では最終見込み額も三兆一千九百五十四億円というように見ていいのですか。
  14. 関根則之

    関根政府委員 国税の方の法人関係税の入り方も悪うございますし、私どもの方の都道府県法人関係税収入状況も、二月末現在の実績をとりましても、大変伸び悩みといいますか、計画を大幅に下回っておるような状況でございます。したがって、国税の場合と違いまして、私どもの方の五十六年度税収は一月末決算分だけしか入ってこないということになるわけでございまして、今年度分としては残りわずか一カ月分が残されるのみでございます。そういう状況から考えまして私どもとしては、当初計画をいたしました法人関係税、特に法人事業税計画どおり収入されることは困難であるという見通しを持っております。  しかし、いずれにいたしましても、すでに調定をいたしました金額に対する実際の滞納等を除きました収入歩合いが全体としてどうなるのかという問題もございますし、わずか一カ月とはいえまだ調定分が残っておるという中で、具体的な数字をもって今年度の当初計画を下回る額がこのくらいになりますということを申し上げることができない状況にあるわけでございます。大変厳しい状況であるということだけは事実でございます。
  15. 加藤万吉

    加藤(万)委員 実は、景気動向法人税関係は出てくるものですから、私は法人税のところに焦点をしぼっておるわけです。  地方財政計画の中では、当初計画に対して五十七年度は一一・二%の伸びですね。どうですか、二〇%以上になりませんか。
  16. 関根則之

    関根政府委員 計算の仕方がいろいろあるわけでございますが、私どもとしては、来年度の法人事業税につきましては三兆五千五百四十六億円計上をいたしまして、それは対前年度計画伸び率で一一・二%でございまして、御指摘をいただいたとおりでございます。この計算基礎は、五十六年度の当初計画額三兆一千九百五十四億円に対しての伸び率でございます。もしこの三兆一千九百五十四億というのが、先ほど申し上げましたような状況で、数字はわかりませんけれども相当程度落ち込むということになりますと、当然来年度、いま計画をいたしております三兆五千五百四十六億円を確保いたしますためには相当程度伸び率お話がございましたように多分二〇%程度伸び期待しなければ達成できない目標であるというふうに考えます。     〔染谷委員長代理退席委員長着席
  17. 加藤万吉

    加藤(万)委員 これは、本来なら大蔵大臣を前にしてやることでしょうけれども法人税関係が五十七年度で二〇%以上伸びるということは、いまの景気動向からいって、あるいは建設債の発行によって河本長官景気の立て直しを下半期に行うと言っておりますが、大臣、実際問題として税収入の面で二〇%以上の伸び期待されなければならないという状況にはないんじゃないですか。  私は、恐らく政府部内でもこの経済見通しの問題については、相当議論があるということを新聞でも承知をしております。大臣、国務大臣ですから、この際私は、経済見通しの見直しを大胆に行われるべきではないかと思うのです。でなければ、その経済見通し、いまのお話でもありましたように法人税だけをピックアップして、ここに象徴的に出るものですから、これだけでも地方財政見通しというのは間違いが出てくるのですよ。そういう不安を地方団体は持っているわけですね。  ですから、私が指摘をいたしましたように、たとえば各都道府県では、法人関係伸びは大体五%か六%、それ以上は伸びませんよ。一一%はおろか二〇%以上超えると言うけれども、それを基礎にして地方財政あるいは地方予算を組むなんということは、地方団体としては危険でできませんね。ということは、結果的に国が言っている名目成長率八・何%という経済見通し、指標というものが変更されなければ、実態と国の計画とが余りにも乖離があり過ぎて、特に地方団体の場合には、一方では税収入は目いっぱい見込み、その目いっぱいが二〇%以上超えるまで法人税の場合は見込むわけですね。そして、事業としては抑制しているわけですよ。  国民の需要としては、もっと財政需要を拡大したいという意見があると思うのです。それは抑えました。抑えた中で、財政収入の方の上限が非常に高いのです。財政収入が今度落ち込みますと抑えた事業量すら今度また圧縮する、こういう状況が起きるのじゃないでしょうか。とすれば、私は、いまの時期に経済見通しの見直しと、いま一つはそれに基づく国の財政の手直しといいましょうか、あるいはそれに基づく今度は地方財政のあり方も再検討さるべきではないか、その時期にもう来ているのではないかと思うのですが、大臣の見解をお聞きしたいと思います。
  18. 関根則之

    関根政府委員 税収見通し等につきましては、確かに御指摘をいただきましたように大変厳しい状況であるということは、私どもも素直に受けとめているわけでございます。ただ地方税、おかげさまでいろいろな税目がございまして、自動車関係税でございますとか個人の住民税の所得割でございますとか、こういった税目については、比較的計画を上回るような実績を示している税目もあるわけでございます。そういった全体税目、地方税全体としてどうかということになりますと、ストレートに法人事業税での困難さがそのまま反映されてくるものというふうには考えていないわけでございます。ただ、今後の経済運営のいかんによって、今後のわが国の経済成長率の達成度というものは変わってくるわけでございます。  私どもも、いまのまま放置をいたしておきまして、これだけの税収確保が楽々と実現するというふうには考えておりません。それぞれ政策当局におきまして最大限の努力がなされると思いますが、私どもなりに自治省といたしましても、そういった与えられた分野でのできる限りの努力をいたしていく、そういうことによりまして国全体として政策のよろしきを得ることによって、何とか余り大きな変化なしに税収目標が達成されるものというふうに期待をしているところでございます。
  19. 加藤万吉

    加藤(万)委員 その他の税目で税務局長はいつもお逃げになるのですよ。確かに自動車税も上がるでしょう。あるいは、今度宅地並み課税が入りましたから、それによる税収入も多いでしょうよ。しかし、私がさっき指摘した法人税だけでも、五十六年度落ち込みが三千億円ですよ。当初計画の三兆二千億に対して二兆九千億ですからね。これを見ても、他の税課目があるから云々ということだけでは済まされないと私は思うのです。どなたかの質問税務局長もお答えになっていますが、結局地方団体にしてみれば蓄積の取り崩しでしょう。あるいは減収に対する補てん債の発行でしょう。どうですか。  今年度、先般千七百億何ぼですか、減収補てん債を発行されましたね。千七百億何ぼという減収補てん債は戦後二番目に高いのですね。五十二年の減収補てん債八千億ですよ。その次が今年度の千七百億何ぼです。結局五十七年度の、交付税のことは後で申し上げますが、税収見込みがその他の税課目によって埋めることができると言われましても、一番基本というか大きなファクターになる法人税関係が、いまのようにこの数字だけで見ても三千億の落ち込みということになりますと、まさに五十七年度の減収補てん債あるいは地方団体の蓄積の取り崩し、そういう中で埋めてもなお財政的につじつまが合わない、そういう結果を招来する。私の見通しはそうなんです。恐らくこの次の補正予算をやるときには、そういう議論はそのとおりだというふうに御答弁になるのじゃないですか。  それはさておきますけれども、そうなってまいりまして、それでは国税三税に対する交付税はどうか、これはいま財政局長が御答弁になりましたように、国の予算で決まっているからこれは出るでしょう。恐らくそれは、仮に国税三税が落ち込みましても、何らかの処置を講じて交付税の額は確保されるというように実は思うのです。思いますけれども、どうでしょうか、五十七年度の交付税はそういう額で交付をいたしましても、やがて五十九年度には精算分が出るのではないでしょうか。この御見解をまず財政局長からお伺いしましょうか。
  20. 土屋佳照

    土屋政府委員 先ほどもお述べになりましたように、八・四%の名目成長率をもとにしてやっておるわけでございまして、これについてはいろいろな見方がございます。民間予測ではかなり低いものもございます。私どももそこらは頭に置いておるわけでございますが、政府全体としては、いろいろな政策よろしきを得ればこれは達成できるという前提でいまやっておるわけでございまして、それがどういうふうに変化していくかということにつきましては、私どももいろいろと懸念材料があると思っておるわけでございます。  ただ、地方税については税務当局でいろいろ試算をしてもらっておりますが、いまお尋ねの交付税については、率直に申し上げて、御指摘のとおり私どもとしては、これは予算に組まれておるものでございますから、これはいかようにしてでも確保するということでございます。ただ、仮に法人税見込みどおりいかなくて減収になったということになりますと、その場合は翌々年度、五十九年度において精算減ということにならざるを得ない。補正が組まれるというようなことにでもなれば、またその段階で検討するということになるわけでございます。  私どもは、そこをいま申し上げる立場にないわけでございますが、交付税予算どおりもらった、そして法人税そのものは減ったということになれば、五十九年度精算減ということになるわけでございますから、その段階において地方財政の収支がどうなのか、あるいはそのときの交付税総額が五十九年度でどうなるか、いろいろな状況を見ながら、やはり地方財政を適切に運営するための方策というものを考えなければならないと思っております。  いずれにしても、五十七年度これからでございますし、私もいろいろと懸念材料があると思っておりますけれども、ぜひ政府の見込んだ経済成長が達成できるように、われわれ地方財政の面でも協力しなければならないと思っておりますが、実際の財政運営については、ただいま申し上げたようなことを頭に置いて今後の推移を見守っていきたいと思っておるわけでございます。
  21. 加藤万吉

    加藤(万)委員 地方の公共事業はずっと圧縮しまして、そして単独事業をふやして地方の方から景気を起こして、国の財政に地方からも協力する立場があればという話ですが、実際問題としてはその面から出てきませんよね。それで、五十九年度の精算分が出る可能性というのは十分あるわけですね、いまの状況からまいりますと。国税三税に対する落ち込みが五十七年度ひどいというように実は私は見ておるのです。したがって、結果的には交付税に関する精算分を五十九年度に上げざるを得ないという状況になる、そういうように私は推定をするわけです。  そうなりますと、財政局長御承知のように、六十年度から償還額が急激にふえていくわけですね。先般、この委員会で参考人がこういうことをおっしゃられました。それは、昭和六十年度のわが国の地方財政は、一方では元利償還額が非常に大きくなる、一方では財政需要が今日よりも大きくなる、この二つをあわせて六十年度以降の財政を見ると、いまの時期において地方財政計画、なかんずく交付税の性格というものを、そういう意味ではいま一遍検討して見直さなくちゃならぬのではないかというような要旨の発言がございました。  私、懸念いたしまするのは、五十六年度の法人税の落ち込み、それから五十七年度の経済見通し、そして五十九年度の精算分等々が合わさってまいりますと、実際に地方団体に入る、手元に入る交付税額は——手元に入ると言ってはおかしいですが、使えると言った方がよろしいでしょうか、実際に使える金が大変落ち込むのではないか。となりますと、一方では元利償還額が非常にふえていくわけですから、さあ六十年度以降の地方財政は一体どういう状況になるのだろうか、きわめて危惧すべき状況が起きるのではないか。  そこを考えてまいりますと、今年度、五十七年度の地方財政計画は、財政収入それから歳出をバランスをとりましてゼロにしたわけですね。六十年度から急激な財政圧迫があるとすれば、五十七年度の地方財政計画もいわゆる歳入歳出のバランスでゼロにするのではなくして、五十六年度までとられたように、一方では歳入の面を埋め尽くす何らかの手段があってよかったのではないか。六十年度から急激に地方財政が圧迫をされる、その状況に対応するには余りにも地方財政がひど過ぎますから、それに対しては、この際五十七年度からも財源不足額を計上して、そして地方財政計画を立てられるべきではなかったかというように私は実は思っているわけです。でないと、急激な財政収入減に対して地方団体の対応ができない、こういうように実は思っているわけです。この地方財政計画を立てられる際に、そういう見通しどもお持ちになって今年度の場合に歳入歳出のバランスをゼロにされたのですか。その辺はいかがでしょう。
  22. 土屋佳照

    土屋政府委員 経済見通しが非常に不透明な時期でございますから、私ども地方財政対策を考えるに当たりましてもいろいろと検討もしたわけでございますが、五十七年度は少なくとも健全化の一歩を踏み出そうということで、歳出面においては必要なもの以外は極力抑制をいたします、歳入面ではできるだけ歳入の確保を図るということで、単年度としては収支を均衡させることにしたわけでございますけれども、実際は、将来のことを考えれば決して安易なものではないと思っておるわけでございます。  五十七年度においても、たびたび申し上げましたが、本来なら若干赤字が出たものだと思っております。しかしながら、千九十八億の利差臨特、千億の財対臨特というものはぜひ確保したいということで二千九十八億を、借り入れでありますが、全額国が持つという形のもとに確保いたしました。そのうち必要なものだけを使って、千百三十五億というものは、まさに五十九年度から交付税特会借入金の返還が始まりますので、そちらの方へ三年に分けて充てよう、そういう中長期的な考え方もとったわけでございます。  それ以上に、先々のことを考えれば、もう少し地方財政の実質的な充実ということを検討すべきではなかったかという御指摘でございました。その点については、私どもとしてもおっしゃることはごもっともだと思うのでございます。ただ、五十年度以来の国、地方を通ずる収支の不均衡という状況もとでは国の財政もきわめて厳しいという状況でございまして、交付税法の第六条の三第二項の規定どおりの本来の交付税率の引き上げといったようなこと等もなかなかなし得なかったという状況でございます。そういった中でどういうふうにしていったらいいかということで、もろもろ状況の中でとり得る方法というものを今回は選んだわけでございます。  ただ、五十六年度の法人税の落ち込みは五十八年度に精算減になる。五十七年度がどうなるかは私の口からは申し上げられませんが、先生の考えとしては五十九年度精算減が出る、いろいろな要素が出ればますます困難になってくるということで、そういった点については、私は地方財政は現在でも大変多額の借入金を抱えておるし、容易でないということは御指摘のとおりだと思っております。  ただ、いまこういった国、地方のともに厳しい状況の中でどうしていくかということになりますと、いま少し経済動向等を見ていきませんと何とも申し上げにくいわけでございますけれども、私どもとしては景気の浮揚を何とか図って、そんなに多額の税収伸び期待するわけにはまいりませんけれども、内需を中心とした経済が立ち直ってくれば、そこらの税収の面でもいい方へ影響が出てくるであろうといったような感じも持っておりますし、そういった動向を見ながらいろいろと施策を立てていかなければならぬ。  率直に申しまして、ただなし崩しにそのときどきの穴埋めをしていくということは、私ども自身としても不本意な気がするのでございますけれども、いずれにしても周囲が非常に厳しいし、国際環境もきわめて不透明で変動があるという状況もとで、なかなか的確なものが立てにくいということでございます。そういった点では、対応策について不勉強だと言われるかもしれませんが、実態は十分心得ておるつもりでございまして、できるだけ私どもとしても将来の方向について検討を加えてまいりたいと思っております。
  23. 加藤万吉

    加藤(万)委員 この見通しの問題については、相当多くの議員の方も議論していますから、私はこの辺でやめますが、地方財政計画を基本にいたしまして、私ども五十七年度、さらには展望して五十九年度の償還、昭和六十年度の償還分、大変な額ですが勉強し、意見を述べているわけです。  どうも地方財政計画そのものが、余りにも私ども見通し、実態とかけ離れているものですから、実は地方財政計画そのものは破綻をしたんじゃないか。以前当委員会でもございましたね。国の財政の償還計画を持った大蔵省の五カ年計画とか七カ年計画というのが当委員会でも議論されましたが、最終的にはそんなことはできないということで、たしかここ二、三年大蔵省の財政計画というのは当委員会では論議もされませんし、資料としても提出をされてないような気がするんです。  同じように地方財政計画が、もちろん多少の実態との乖離はあるでしょうが、私どもはこの地方財政計画を基本にしながら、交付税の収入はこのくらい、あるいは法人税収入はこのくらい、地方団体の自主財源はこのくらい、そういう議論をしていくわけですね。その地方財政計画そのものがまさに空虚なものだということになりますと、何のために地方財政計画をここで基本に置きながら審議をしているかという、まさに実体のないものを審議するというような、そういう空虚感に襲われてならないわけです。  私は、当然財政局長お考えのことだと思いますけれども地方団体予算を見ましても、税収入見込み等については、相当この地方財政計画とは乖離がひどいんですよ。そうなってまいりますと、前回私ども質問に対して税務局長は、この地方財政計画そのものは変更はしません、がしかし、実質的にはこれだけの計画が確保できるかどうかわかりません、逆に、裏返して言うならば、実質的に確保できる条件の中で地方団体をこれから行政の面で指導なりサゼスチョンを与えていく、こういうことにならざるを得ないと私は思うのです。  私は、自治省がこれから地方団体にいろいろ御意見を述べたり、あるいは地方債の問題等を検討する際にも、地方財政計画基礎にするよりも、むしろ実質的な今日の経済の条件あるいは地方団体における地方税の収入の条件、そういう実質条件を基礎にしていろいろな面での施策を行われる、その立場に変えていきませんと、地方団体は実際問題として戸惑いを感ずるのではないか、こう実は思うので、ぜひそういう方向に大きく行政の指導の面あるいはこの行政が行う施策の面も取り入れられるように期待をいたしたいと思うのです。  大臣、いま私やりとりをいたしましたけれども、一言で言えば経済見通しが、実際問題としては政府見通しと大分狂いができ過ぎています。その結果として地方団体は、それを基礎にするならばきわめて困難な財政事情と財政圧迫に置かれていきます。したがって、実態に合わせてこれからの自治省としての指導を行うべきだということが私の結論でございます。ぜひ、そういう方向に手直しといいましょうか行政のあり方を、軸足の置き方を変えていただくと同時に、いま一つは、当初議論の中で申し上げましたように、政府側見通しの誤りを早急に正していただきませんと、実際問題としては大変な状況が起きる、そういうことを御指摘をしておきたいと思うのです。  最後に、国務大臣としての見解をお聞きしたい、こう思います。
  24. 世耕政隆

    世耕国務大臣 御指摘の点は、私どももよく理解のできるところでございます。ただ、地財計画はどうしても政府経済見通しが主体に置かれまして、これがいろんな積算をしながらやっていく、その前年度の一番終末に行われる作業でございまして、これを基盤に置いてやっているところでございます。交付税は明らかにそうでございます。  これがいろんなふうに、予測がいろんな事情で狂ってくるときももちろんあるわけでございますし、そのことも当然想定しなければいけないのでございますが、ただ、その目標に対してやはり政策努力を重ねていかないと、放置していたんではその目標はなかなかむずかしい場合もある。政策努力をしていく方向にわれわれは全力を注いでいく。国の方もやっておりますけれども地方の方でもいろんな施策を講じていく方向をたどっていかなければならない。  そこで、おっしゃられるような現実の面に即した行き方、これも地方の財政状況それから地域の経済状況、これを政府と一緒にこちら側もいろいろ見ていくわけでございますが、十分この現実的な面も踏まえて今後地財計画を立てながら、しかもそれが予測どおりにいけるように努力を重ねていく所存でございます。おっしゃることは非常によくわかるし、理解のできるところでございますが、財政の組み方の基盤が従来の方式でそういうふうになっておりますので、どうぞ御理解をいただきたいと思います。
  25. 加藤万吉

    加藤(万)委員 最後に言っておきますが、政策努力を行って云々とこう言いますが、二つ歯どめがかかっているんですよ。一つは、六十年度から赤字国債を脱却するという歯どめがかかっているわけでしょう。いま一つは、行政改革をどうやるかという歯どめがかかっているわけでしょう。この二つに鈴木総理は政治生命をかける、こう言ったわけですが、いまのままでいけば政治生命まさに危うしですよ。これは国務大臣としても閣僚の重要な位置でありますから、そういう意味では私は、鈴木内閣の政治運命にもかかわる問題としてぜひ受けとめていただいて、これからの対応をお願いしたい、こう思います。  きょうは細谷先生に後を引き継いでいただきますので、どうぞよろしくお願いします。ありがとうございました。
  26. 中山利生

    中山委員長 細谷治嘉君。
  27. 細谷治嘉

    ○細谷委員 加藤委員質問に関連して、若干の質問をさしていただきたいと思います。  私は去る八日、渡辺大蔵大臣質問をいたしたわけであります。その翌日の九日の閣議で大蔵大臣は、私が申し上げた六ないし七%という数字を七ないし八%と、また減収の率を上げてきておるわけですね。そして金額でも二兆円以上の税の減収を報告した、こういうふうに報道されております。  このことにつきましては大蔵大臣にも質問したわけでありますけれども、自治大臣には余り質問する時間がございませんでした。こういう状況でありますと五十六年度の地方交付税の落ち込みは、前回も指摘したようにずいぶん大きなものになります。すでに五十六年度はもう経過していっておるわけでありますから、補正措置を講ずるとかそういうことができません。したがって法律に基づきまして、この交付税の穴のあいた分は、すでに交付もしてしまっておるわけですから、精算問題というのが五十八年度の予算編成の段階で起こってくるわけであります。  私は大蔵大臣に、そういう場合にいままでたった一つ例がある、したがってそれにのっとって四十九年度の方式を今度は使うのが筋ではないか、こういうことを申し上げました。四十九年度の方式というのはどういうことかといいますと、予算の補正をすることなしに年度が済んで精算段階になった場合には、この税収の落ち込みの責任は挙げて財政当局にあるわけでありますから、財政当局でそれを穴埋めした。そんなこと言ったって今日の財政状況でけしからぬじゃないか、おまえの主張は少し強過ぎるということかもしれませんけれども、四十九年度方式というのはそういうことであります。亡くなった大平総理が大蔵大臣時代にやったことであります。これ以外に例はないのでありますから、先例をとうとばなきゃならぬ、またそのとおりやっていただかなきゃならぬ、こう思いますが、自治大臣の基本的なそれについての態度といいますか考え方、こういうものをお聞きしたいと思います。
  28. 土屋佳照

    土屋政府委員 五十六年度で法人税が落ち込むということになりますと、御指摘のとおり、この問題は五十八年度の精算減ということにつながるわけでございまして、そこでどう対応するかということでございます。御指摘のとおり四十九年度においては、臨時特例交付金でその分を穴埋めをしたわけでございます。今後どうするかということでございますが、いま国、地方の財政状況、御承知のとおりでございますので、私どもとしては五十八年度における地方財政の収支の状況がどうなるのか、そしてまた法定分の交付税総額がどうなるのか、その他いろいろな条件を頭に置きながらどのような形にするかということを検討しなければならないと思っておりますが、いずれにしても、その精算減のために必要な交付税総額が確保できないということがあってはなりませんので、その点についてはそのときにおいて最も適切な方法で交付税の必要額を確保したいというふうに考えております。
  29. 細谷治嘉

    ○細谷委員 いま財政局長にお答えいただいたんですが、これは財政局長の問題を超えているのですよ。ですから、どうしてもやはり責任ある大臣の御答弁をいただかなければならぬすぐれて政治的な重要な問題だ、こう思います。大臣の御答弁をいただきます。
  30. 世耕政隆

    世耕国務大臣 私も局長と大体同じでございますが、これは五十六年度分、大変申しわけないことで二兆円減収になってしまうという予測になりまして、これは五十八年度に精算減として処理しなければならないのでございますが、さあ五十八年度のいろんな経済状況とか財政の事情とか、それが国のものが地方の方へどういうふうに影響してくるか、いろいろいまだ予測しがたいところがありますので、これはやはりそのときそのときに冷静に沈着に経過を見ながら処理していくのが一番望ましいのではないか、そういう考えでおるものでございます。
  31. 細谷治嘉

    ○細谷委員 大臣言葉にありますように、まさしく冷静にかつ沈着に対応しなければならぬ問題であります。冷静にかつ沈着に対応するとするのならば、四十九年度の例があるわけでありますから、この例にのっとっていくべきだと私は思います。国の財政がどうでございましたということで、そのときそのとき浮き草のようなことは冷静、沈着な態度ではないわけであります。ですから、私は、すぐれて政治的な課題でありますから、最終的には自治、大蔵両大臣の問題であり、政府の問題ではありますけれども、それに対応する大臣の決意といいますか、こういうものをお聞かせいただきたいと思います。これはそのときそのときでは困るのです、あなたの決意ですから。
  32. 世耕政隆

    世耕国務大臣 御指摘のように四十九年の例がございますので、国と地方とのいろいろな均衡の関係その他諸般の情勢をよく見ました上で対処してまいりたいと思います。
  33. 細谷治嘉

    ○細谷委員 大臣もそうでありますけれども、よく地方財政が困らないように対応します、これはそのことはそのとおりでいいですけれども、中身がないわけですよ。そのときは借金してでも対応できるかもしれません。少なくとも中長期的な観点で、前例を尊重しつつ、責任の所在を明らかにしつつ対応していただかなければならぬ、こう思います。ずいぶん重要な問題でありまして、くどいようでありますけれども、もう一度大臣、決意のほどを、やるならやる、ちょっとむずかしいのならむずかしい、しかし全力でやるんだというくらいの言葉は言えそうなものですよ。
  34. 世耕政隆

    世耕国務大臣 四十九年度のことを踏まえながら、これは非常に多角的な面から国と地方との状況を比較して対処したいと存じております。
  35. 細谷治嘉

    ○細谷委員 せっかくの先例があり、大臣言葉は不満でありますけれども、次へ進んでいきたいと思います。大臣地方自治はあなたの双肩にかかっておるわけですから、努力をしていただきたいと思います。  そこで、次にお尋ねいたしたい点は、その日の閣議で河本長官は、五十七年度に実質五・二%を実現できないと財政再建は軌道に乗らない、それから、日本経済の現状から経済成長と財政再建を軌道に乗せることは可能である、三番目に、公共事業の上期四五%の前倒し、下期の追加を明らかにせよという建設大臣の要請もあって、関係閣僚で対応策を協議すべきだ、相談する必要がある、こういう発言をして、総理はこれを了承したと報道されております。これは事実かどうか。同時に、その日の閣議で、この委員会でもそのことをちょっと言っておりましたけれども、自治大臣は、景気対策といいますか、こういう落ち込みに対応するために地方単独事業を国並みに集中執行をするよう通達を発した、こう言われております。事実、その日の日付で、事務次官名で各都道府県知事に通達が出されておるようであります。そのとおりですか。
  36. 世耕政隆

    世耕国務大臣 おっしゃるとおりでございます。
  37. 細谷治嘉

    ○細谷委員 自治大臣のやったことについてもそのとおりだ。それから、河本長官がそういうことを言って、この経済対策についての閣僚会議をやって、そしてできるだけ早く、四月中にでもそういう対応策を具体的に決める、こういうことになったと言っておるわけでありますが、そのとおりですか。
  38. 世耕政隆

    世耕国務大臣 ほぼそのとおりでございます。
  39. 細谷治嘉

    ○細谷委員 ほぼという言葉はちょっと気にかかるのですけれども……。
  40. 世耕政隆

    世耕国務大臣 おっしゃるとおりでございます。
  41. 細谷治嘉

    ○細谷委員 そこで、私は考えるのでありますけれども、公共事業の七五%前倒しをする。そうしますと、これは国ばかりじゃありません。地方も公共事業の裏負担というものが起こってまいります。これについての財政対応、それから大臣の通達にありますように地方単独事業の積極的な実施、これは通達を拝見いたしますと七五%以上というほどはないようでありますけれども、国のペースに準じて、こういうことだと思うのであります。  もう一つは、先ほど来議論がありましたように、地方税も大幅な税収の落ち込み。公共事業が前倒しで前例のないような七五%とか七七%の前倒しをやる。それから八・五%の前例のない伸び率を示しておる単独事業も同じペースでやりなさい。税収は大きく落ち込むわ、よくトリレンマという言葉がございますけれども、まさしく地方財政はトリレンマに直面をしておる、こう言ってよろしいかと思うのです。  これに対しまして、自治大臣の通達を拝見いたしますとこう言っています。一般行政経費の節減等を行いつつ、地方単独事業に対して財源の重点的配分に努め、地方債の有効活用を図ることと、きわめて通り一遍、何かまだ一般行政経費はあり余っているような認識でこの通達が書かれております。ところが、前回も申し上げたわけでありますけれども、各都道府県の当初予算における単独事業は、不景気の地域を除きますと、私ども住んでおる九州あたりでありますと宮崎とか鹿児島、こういう雇用が非常に不安定な地域を除くと、全般としては五・九%の予算措置しかいたしておりません。自治省の期待どおり予算を組んでないわけですよ、単独事業に関しては。  これは今度の地方財政計画にありますように、地方債を大きく発行するわけでありますけれども、その借りた分、借りようとしている地方債発行分よりも公債費の方が上回っているのですよ、ことし五十七年度から。いままでは、借りた金よりも返す金の方が少なかったのですけれども、今度は借りようとしておる金よりも公債費の方が上回っておる。そういう深刻な財政難があるから、基金を取り崩してまで予算を組んで、そして五・九%の単独事業を組んでおるわけでありますけれども、そういう事情の中において、そういう環境の中において、やれやれと通達を出されておる自治大臣は、具体の問題としてどういう対策を考えておるのかお示しいただきたい、こう思います。
  42. 土屋佳照

    土屋政府委員 五十七年度予算につきましては、公共事業の前倒しということについてかなり積極的な姿勢を示すということで、御指摘のように七五%以上を上期で施行するということでございます。そういうことになりますと、今後下期においでどういうふうにされるのかということにつきましては、それに対応して補正がどのように行われるのかというようなことを私どもとしてはお答えする立場にはないわけでございますが、公共事業については上期について事務次官通達で示しましたような形で、私どもとしても積極的に裏負担といいますか、そういうものを負担しながら進めていきたいと思っておるわけでございます。  それと同時に単独事業につきましても、御指摘のように対前年度八・五%ということで地方財政計画を組んでおりますが、これも同様になるべく上期に集中して行うということで通達を出しておるわけでございまして、その点については、少なくとも上半期の公共事業については、すでに財政計画を通じて財源措置はしてあるわけでございますので、それに従って対応していくということでございますし、単独事業においてもそのとおりでございます。  ただ、お示しのございましたように単独事業等についても、計画よりもかなり地方団体予算の組み方は低いのではないかということでございました。それについては御指摘のとおりでございまして、それぞれの団体において地域の経済状況等も見ながら、かなり慎重な態度であるように思っております。  御指摘のございましたように、団体によってばらつきがございますけれども、骨格予算団体を除いて対前年度当初に比べて五・九%の伸びとなっておりますが、一方では団体別に見れば、地方財政計画の八・五%を上回る伸びを確保しておる団体も二十六団体ございます。一〇%を超える団体も十七に上っておるわけでございます。しかしながら、いま申し上げましたように、全体としての伸び計画伸び率を下回っております。私どもとしては、当初予算段階では、御指摘地方税収を初めとして歳入を控え目に見通しておりまして、九月補正でかなりの肉づけを行う団体も多い。これは従来からそういった傾向が見られますので、今後の補正も期待されるわけでございまして、引き続き積極的に実施を指導したいと思っております。  ただ問題は、いまのような状況もとで、どういうふうにして地方団体はやっていくのかということでございます。私どもとしては、地方団体の財政については、地方財政計画を通じまして地方交付税なり地方債によって一応の財源措置を講じておるというふうに考えておりますし、同時に地方団体においても、かなり抑制的基調のもとに組んではございますけれども、一般行政経費の節減合理化についてはさらに努力をしていただいて、財源の捻出に努めながら積極的に実施をしていただきたいと思っておるところでございます。  いろいろと懸念材料があるではないかとおっしゃいますが、私どもとしては地方財政計画全体の中で、特に交付税なり地方債というもので対応できるというふうに考えておるわけでございます。
  43. 細谷治嘉

    ○細谷委員 大臣答弁期待しておったのですけれども財政局長が答えましたから、それでは財政局長に続いてお聞きしたいと思うのです。  局長、あなたは二月十八日の参議院の地方行政委員会で、当時から問題になっておりました公共事業の景気刺激対策に関連してこう言っておるのですよ。景気浮揚は中央、地方あわせて図るべきで、単独事業がひもつきになるのは地方自治のたてまえから厳に慎むべきだ、こう言っております。私はこの財政局長言葉、単独事業というのは地方のそれぞれの地域にふさわしい事業を自主的に地方団体が取り上げていく、そうしてそれが過疎問題の解決あるいは雇用問題の解決に、同時に景気の浮揚にも役立つ、こういうことを期待して単独事業というのに積極的な努力をあなた方しておると思うのですよ。  そして自治省は常に、私は思い出すのでありますけれども、かつて高度経済成長政策がとられておった際に、フィスカルポリシーというものが積極的に取り込まれておりました。その際に、フィスカルポリシーの国の政策の中に地方を組み入れようということに対して、地方の財政、地方の自治はそういうフィスカルポリシーになじまないということをあなた方は言ってきたのですよ。あなたの先輩、この間横浜市長に当選した細郷さんとかあるいは柴田さんとか、こういう人が言ってきたのですよ。それをやはり自治省の血が流れているあなたが参議院の地方行政委員会で、単独事業をやるけれども、それは単にとにかく景気浮揚のために国の後へついていく、こういうことじゃありませんよということを言っておるわけでございます。  私は、このあなたの見解に敬意を表するわけでありますけれども、どうやらこの通達を見ますと、あなたの心配していたのと逆に、とにかく国の方の公共事業は伸び率ゼロ、実質的には若干のマイナス、こういうことでありますから、地方が先頭に立って八・五%をトリレンマの状況にありながらやれやれとこういうふうに指導しているのではないか、こう思いますが、大臣、通達はそういうことないのですか、どうですか。
  44. 土屋佳照

    土屋政府委員 私どもが単独事業についてこういう時期にかなりな伸びを見込んでおりますのは、基本的には住民生活に直結した公共施設等社会資本の整備ということを主体としておるのでございまして、ただ、そういった社会資本投下をいたします際には、国全体としての景気動向にどう対応するかということも当然頭に置きながら考えていくべきものでございます。いまのような状況もとで地域経済が、特に財政力の弱い地方団体において中小企業等かなり困っておる点もございます。そういうことも考えて単独事業を積極的に進めることがひいては国の経済全体の浮揚にも資する、そういう見地で行うべきでございまして、地方単独事業そのものを何らか国の経済政策のために特別に誘導していくというような考えでやっておることでないことは、前から答弁をしておるとおりでございます。ただ、それをやるについてはそういう全体のことを考えていくべきだということで、同じそういう形で進めるにしても国の全体の経済を考えて実施をすべきである、こういう趣旨のことを出したわけでございます。
  45. 細谷治嘉

    ○細谷委員 大臣、お答えいただきたい。
  46. 世耕政隆

    世耕国務大臣 単独事業の本来の目的は、局長が以前に言われたことであると思います。これが本来のものであると思います。しかしながら、単独事業の趣旨はそうでございますが、単独事業を行うことによって、それはまた地方にももちろんでございますが、国の方にもいろいろな経済的な効果となって反応してくることも事実であると思います。そういうことを局長は言われたと思いますし、私もその考えには変わりはございません。
  47. 細谷治嘉

    ○細谷委員 大体地方自治ということを踏まえながら対応していくということだけれども、どうも言葉と実態とが違っておってお先棒を担いでおる、こういうような感じがあります。その証拠を一つちょっと申し上げたいと思う。  日本経済新聞の四月九日にこういうことが書いてあります。宅地開発指導要綱の行き過ぎを緩めて、建設、自治省は景気てこ入れの一環として使おうとしていると報道されております。現に今度の場合、重要な景気の支えとして百三十万戸の住宅建設ということが考えられておるわけでありますけれども、そういうものをやるために、この記事を読みますと、どうも宅地開発をやりますと、公共施設整備などのため開発負担金の使途が明確でない、それからたくさん負担を取られるとか、これでは宅地開発は進まぬ、こういう形で全国の一千七市町村がいま宅地開発要綱というものに基づいてやっておるわけですけれども、これを緩和してしまえ、そうしてやりやすいようにしてしまえ、ミニ開発をどんどんやるようにしろ、こういうことにも通じかねないことを画策——画策という言葉は適当じゃありませんけれども新聞の記事によりますと画策と言ってもいいような書き方で紹介されております。四月九日の記事であります。この記事のとおり行き過ぎを緩める、こういう形で動いておるかどうか、お答えいただきたい。
  48. 小林悦夫

    ○小林(悦)政府委員 宅地開発要綱につきましては、先生御承知のように、地方公共団体が良好な生活環境の整備や過重な財政負担を軽減する、こういう目的のために地方の実情に応じまして自主的な判断によって行っておるものでございます。このようなことから画一的な負担基準を設けましたり、また施設水準を設けて一律に律するということはなかなかむずかしい面がございます。  このような趣旨から、自治省といたしましては、従来からその方法、内容等、こういうものについて適切なものであればやむを得ないと考えておる次第でございます。ただ、社会通念に照らしまして行き過ぎのないように指導してきたというのが実態でございます。  しかしながら、最近、この要綱行政に基づく行政指導、こういうものをめぐりましていろいろの議論が出ておりますので、また、五十二年以来実態調査もしてございませんので、ただいまその実態を調査をしているところでございまして、これは建設省との共同調査を行っておるところでございます。  そこで、この調査結果を十分に検討いたしまして、行き過ぎがあれば適切な指導を行うことを考えておりますけれども、要綱行政というものはやはり国の施策の足らざる面、こういうものを補足するという性格もございますので、要綱行政に対する従来の姿勢というものを基本的に変更する考え方はございません。
  49. 細谷治嘉

    ○細谷委員 要綱行政とかつて言われておるのがいいのか悪いのかという基本的な議論が、中央サイドからあるいは地方のサイドからやられてまいりました。私は、要綱行政のためにある市では裁判ざたになった、こういう例も知っております。けれども地方としては乱開発、これはやむにやまれずやっているわけですね。そういう乱開発を防いでいこう、そして地方もそういうものに対応できるような環境づくりに力を入れられるような対応もしようということで、何年ごろか知りませんけれども、昭和四十二、三年ごろ、宅地開発税という税をつくったのですよ。  この宅地開発税というのは、この間、税の審議がありましたけれども、一文も入っておらぬでしょう。私は、数年前にもこの問題は一体どうしたんだ、こう言いますと、一生懸命努力します、言ってみますと、もう十数年前に宅地開発のことに関心を寄せて、これに対して地方団体の財源の一助として宅地開発税というのを設けたわけであります。産んだままほってあるのですよ。捨て子です。こういう自治省の態度で要綱行政をやむを得ずやっているのに対して、いかにも業者のサイドに立って緩和をするなんという、地方自治体が悪いんだ、要綱行政をやるのが悪いんだというような姿勢は許されないと思うのですけれども税務局長どうですか。
  50. 関根則之

    関根政府委員 御指摘をいただきましたように、昭和四十四年度に、制度といたしましては宅地開発税というのが法律上制定をされたわけでございますが、これは目的税でございまして、宅地開発などが行われる市町村において、それに関連する公共的な施設整備等に要する財源を確保するために、条例をもって設定できる税、こういう仕組みになっております。しかし、現実には、この税を起こしている市町村はその後一つもないわけでございます。  私どもとしては、決してほっぽっておるというつもりはございませんけれども、実際問題として、なかなか機能しない税制であるようでございます。そのこと自身について問題はあるものと考えておりますけれども、この法律が予定をいたしておりますような条件のある市町村につきましては、そういう税の創設につきましても一考を促しているところでございますが、現実の問題としては乗ってこないというのが現状でございます。もちろん、私どもは、この税があるから宅地開発指導要綱は一切要らなくなるというふうな物の考え方はいたしておりません。実際、条例をもってこの税をつくるということについての現地でのいろいろな問題もあるようでございます。すべてこれに乗り移れということは、実際問題としてむずかしかろうと思います。
  51. 細谷治嘉

    ○細谷委員 四、五年前に、あなたじゃない税務局長から聞いた言葉と同じようなことを言っている。どうも模範問答集に書いてあるのですか。そんなことでは許されないですよ。宅地開発税というものを、当時の乱開発を防ぐために、そして宅地を開発する業者からも応分の協力をいただこうじゃないかということで、条例でありますけれども、自治省の方の考えは平米五百円ぐらい宅地開発税をもらうということで指導したはずです。そして、四十四年から今日まで何年になりますか。そして、まだ一つもやっていない。やっていないならば、この税は開発の当時から、このくらいではとてもじゃないが宅地開発税の創設を喜ぶ地方団体はおらぬだろう。現にあの税ができたときに、横浜市では別の要綱に基づいて宅地開発を指導した、進めたということを私は思い出すのですよ。  そういうことから言って、四十四年に生まれて今日まで何ら手もなしに、やるところがございません、こういうことでは許されない。そんなことを言うのならば、もう要綱行政ということについては、中央ではやる気がないし、やる能力もないのだから、地方ひとつしっかりやりなさいということで、抑制とか緩和とかなんとかいう形ではなくて、やらしたらどうですか。大臣、お答えいただけますか。
  52. 世耕政隆

    世耕国務大臣 宅地開発要綱でいろいろな税制を考えたということを伺いましたが、あの宅地開発に関する地方の要綱、地方団体によってみんな違いますが、実は私もわりあいよく詳しく知っている方でございまして、仮に宅地でなくてもいろいろな大学とか病院とか公的機関を田舎の——田舎と言うとしかられるのですが、町村、まあ市でもいいですね、小さなところへ要望もあってつくるようなときに、いろいろな宅地なんかもちろんそうですが、人口がそれだけふえますと、上下水道とか学校とか幼稚園とか、それから屎尿処理とか、汚水の処理とか、いろいろな公園もつくらなければいけない、道路も橋も新しくつくらなければいけないというので、なかなか、地方団体は貧乏ですから、それを負担し切れない。宅地ができてしまうと、もうこれは住民の要望で、何でもかんでも無理してもつくらなければならないというので、つくる前の条件として、いろいろな要綱の中にあるようなことをやるわけでございます。  これは病院とか学校に対しても、仮に十階建ての病院をつくるとしますと、はしご車がないとか、十階建てのあれをいろいろな形で、そういった下相談をその地域の方からしてこられるわけですが、これは行く側の方に財政的な余裕があれば当然やってあげなければいけないということにもなりますし、そのときのいろいろな話し合いでございますが、宅地開発なんかの場合に、隣の町村まで行く道路までつけろとか、そのときに場所によっては、どうも過重過ぎる条件なんかを出すところもあるらしいのですね。これは事情はわからぬことはないので、そのときにほかの方のことまでちょっとやってもらおう、そういった便利な気持ちもありまして、地方団体によってはそういった過重な要求もあるわけですが、われわれの方は地方の自治体の事情をよくわかっておりますから、余り過重であれば、これはいろいろ投書とか苦情が出てくるところもたまにはあるのです。  これを除いては、別段開発要綱についてとやかく言うことはなくて、それはそれで結構ではないか。自治省の方も、それだけよけいの負担を肩がわりしなくて済むわけでございますから、それは自治体の御判断でやればいいのですが、余り過重過ぎる要求がありますと苦情が出てきますので、これは建設省とひとつ相談をしてみようじゃないか、つまり自治体の方は、以前に、この課税の問題に相当する分を、すでにこの宅地開発を受け入れるときにいろいろなことで含めて話し合いをしているのではないか、私なんかはこういうふうに解釈をしているものでございます。
  53. 細谷治嘉

    ○細谷委員 私が申し上げたいことは、非常に重要な段階において宅地開発税というもので整然たる宅地開発をやってもらおうという形で、そういう税の創設ができたわけですね。にもかかわらず、産みっ放しで捨て子をしている、こういうことでは自治省としては任務を全うしたと言えないと思うのです。地方に要望があるならば、どうしてこれが今日まで十数年間生まれてこなかったのかということについてはよく検討して、事情もいつでも聞けるわけですから、対応すべきだろうと思うのです。私どもも、おかしくてしようがないのです。地方税の一つとして宅地開発税というのがありながら、毎年毎年実績はゼロです、こんな税を十何年間地方行政委員会がほうっておったなんということは、これは地方行政委員会何しているのだ、こういうことになります。  ですから、重大な関心を寄せているのですから、どうするのか、ひとつ担当の税務局長大臣、要綱行政についてやることは結構ですよ。しかし、大臣言うように入ってしまいますと、不法建築でも、それは困ると言っておっても、入りますと、水道法によって水道は給水しなければいかぬということになっているから、水道法違反だというかっこうで裁判所に持ち込まれて裁判になったという地方団体もあるわけですよ。ですから、それでは建った家に不法だといって給水しないのは行き過ぎだ、こういうことになってしまいますと、これは問題があります。行き過ぎがないとは私は思いません、業者にもあるわけですから。それを乱開発やミニ開発を防いでいく、こういう形でやっていくためには、積極的な指導を自治省は——要綱行政にするのか、あるいは要綱行政の裏づけになるやや中央の権力がかかったような対応で行くのか、その辺は別として、ひとつ決意のほどを聞きたい。
  54. 関根則之

    関根政府委員 私どもといたしましては、宅地開発税を産みっ放しの捨て子にしておるというつもりはないわけでございますけれども、何せ開発の実態というのは千差万別、非常にいろいろな利害関係からその地域の実情に応じた公共施設の整備の仕方も区々でございます。したがって、金のかかり方もいろいろな違い方が出てくる。そこで一つの宅地開発税という、これは税率は市町村の条例で定めるということになっておりますけれども、一定の税率を決めてしまいますと、それをケース、ケースに応じて変えていくということも実際問題としてなかなかむずかしい。正式の税にいたしますと機動性がどうしても落ちてしまう。そういうところに問題があって、実際問題として使われていないのではないかと思います。  ただしかし、一応でき上がりました税でございますので、そういう税がうまく適応できる市町村も必ずあるはずでございますので、そういったところにつきましては引き続き実際の実施ができますように私どもとしては指導をしていきたいと思います。しかし、基本的に、そうは言いましてもそう多くの団体が一挙にこれに乗り移ってくるということは、現実問題として期待がむずかしいと思いますので、実際にそういう適応ができない原因がどこにあるのか、その辺の実態も引き続き私どもとしては調査をし、研究をしていきたいと考えております。
  55. 世耕政隆

    世耕国務大臣 これは実態に即しまして検討を続けたい、検討いたす所存でございます。
  56. 細谷治嘉

    ○細谷委員 ぬるま湯のような答弁でございますけれども、次に、大蔵省にお聞きしたいのです。  大蔵省はことしの予算に対して中期財政展望というものを、毎年でありますけれども、ことしも出しました。ところが渡辺大蔵大臣は、四月二日の大蔵委員会でこの中期展望は見直す、こういうふうに答えておると新聞は報道しております。これは新聞が報道しなくても、大変な税の落ち込みがあるわけですから、五十六年度八%の落ち込み、その八%落ちたところで、経済成長はありませんわ、発射台は下がったわということでありますから、これは見直すのがあたりまえです。どうなさるのか。大臣にこの間ちょっと聞き損ねたものですから、大蔵省にお答えいただきたいと思います。
  57. 八木橋惇夫

    ○八木橋説明員 お答え申し上げます。  お話があったところでございますが、財政の中期展望の性格でございますが、これは五十七年度予算前提にして、財政の現状を将来に投影させることによりまして中期的な財政の姿を試算するということでございまして、そこから財政運営の検討の手がかりをつかもうという趣旨からつくったものでございます。  そこで、この中期財政展望における税収は、新経済社会七カ年計画等から算出されましたところの名目成長率、それから過去の税収の平均的な弾性値を用いて機械的に算出したというものでございますので、現実の足取りとは変わってくることは確かに御指摘のとおりでございます。  そこで、この中期財政展望を見直すかどうかということでございますが、先ほど申し上げました手がかり論としてつくってみたということでございまして、実際にそれぞれの足取りが変わってきたということは確かに考えられるわけでございます。それらの検討といたしましては、予算編成過程におけるそのときの経済情勢その他を見ながら見積もっていく、また検討していくということでございまして、中期財政展望そのものを変えていくというような作業は考えておらないところでございます。
  58. 細谷治嘉

    ○細谷委員 五十六年度の中期展望というのが、五十七年度予算編成に関する臨調の第一次答申の下敷きになりました。そうして、ゼロシーリングというのもそこから出てきておりました。言ってみますと、この予算編成の春の二月くらいまでは、去年出した中期展望というのは大蔵省にとっては万々歳、歳出の統制は大蔵省の思うとおりいった、こう思っているんだと思うのですよ。そういうことがおたくの方の図説みたいなのに書いてありますよ。今度やりますと大変ですよ。大蔵省、命取りですよ。それで一年間うまくいったけれども、今度は砂上の楼閣、穴があいてしまっているのですから、もはやこれは手を入れなければならぬ事態に来ている。ですから、大蔵大臣が見直すと言うのはあたりまえ。参考にもならないような、数字の羅列のような中期展望ではどうにもならぬわけです。  そこで、今度は自治省の方にお聞きしたい。大蔵省の財政中期展望が出ますと、自治省は大体数日、十日か二週間くらい後には地方財政収支試算というものを毎年毎年出しておったんです。ところが、五十六年は出しませんでした。ことしも大蔵の中期試算がみごとに崩壊をしつつあるわけでありますけれども、その崩壊するようなのを下敷きにして地方財政収支試算はできないという先見の明があったんでしょうが、ことしは出してないですよ。どうするんですか、お聞きしたい。
  59. 土屋佳照

    土屋政府委員 御指摘のございましたように、昭和五十五年度までは大蔵省の収支試算が出ますと、地方財政についても同じようなものをつくっておったわけでございます。これはもうくどくど申し上げません。御承知のように、ある年度における経済状況等をもとにした財政のあるべき姿というものを想定して、機械的にそれを結ぶという形での推計でございましたが、五十六年度において大蔵省においては具体的に後年度負担額を推計していくという方法で、財政の中期展望を作成されたわけでございます。  したがいまして、私どもとしても何らかそういったものをやりたいということで、いろいろ内部で検討はしたのでございますけれども、いまのような後年度の負担額を積み上げるという方式をとってまいりますと、地方財政というのは申し上げるまでもなく三千を超えます財政の集合体でございますから、各地方団体がそれぞれ自主的な判断に基づいて財政運営を行っておるという事情がございます。また地方財政は、地方交付税なり国庫支出金等国の財政と関連する面がきわめて多いわけでございますので、国の計画との整合性を図りながら、多様な地方団体固有の施策を織り込んだ地方財政の収支見通し、中期展望といったようなものを作成することは容易ではないわけでございまして、技術的にも問題がきわめて多かったために、国の中期展望に対応する地方財政の中期計画というものは見送ったわけでございます。  ただ、御指摘がございますように、地方財政につきましても中長期的な展望に立って運営を考えるということは当然必要でございますし、その財政運営に資する参考資料として何らかの形で中期的な見通しを示すことが意義があると思っております。そこで、私どもとしては、国の中期展望と同じ手法で見通しを立てるということはもう技術的になかなか困難でございますが、一定の前提を置きながら何らかの形で地方財政の中期的な見通しを立てることを検討しておるところでございます。  ただ、率直に申しまして、全く同じ手法でとっていければ一つの前提が置けるのでございますが、そういう一定の前提を置いてやるという場合に私ども一番気になりますのは、今後の経済成長をどう見ていくのかというのが基本的に大きな問題でございまして、最近成長率は落ちておることは事実でございますから、そこらをどういうふうに想定するか、また国の財政運営方向がどうなっていくか、そこらとの絡みがあるものでございますから、何か前提を置いておけばこうなるということで明らかにすればそれなりでできるとは思うのでございますが、誤解を生じてもいかないので、何らかそこらを説明できるものをつくりたいということで目下作業をしておるというような状況でございます。
  60. 細谷治嘉

    ○細谷委員 財政局長のかなり前向きな展望についての、試算についてのお答えであります。私が昨年、どうして大蔵省の試算が、展望が出たのに地方はいつものとおりやらないのか、こう言いましたら、当時の財政担当者が、いや、ちょっと大蔵の前提では地方の中期展望、試算ができないです、こういうふうに言いました。確かにそういうこともあるでしょう。一例を挙げます。あなたの言った経済成長率はどうなんだ、これで税収は変わってきますから。もう一つは、恐らく地方公務員の給与を上げろとは言いませんけれども、一%の給与改定でできるとだれも思ってないのですよ。  そういう中期試算で、これはやはりもっと前年度の実績を踏まえるとかあるいはあるべき適正な段階、こういうことで書いてあるなら別として、できっこもないような一%の給与改定で、それで中期試算でございますと言ったって、自治省がそんなことを言ってもそれは同調できませんよ。ですから、あるべき前提は、こういう点はこういうふうに書いてもらわなければいかぬのです、これが財政局長が言った点だろうと思うのですよ。私はもっともだと思う。  国の方の中期展望も崩壊したのですから、崩壊したものでつくらなかったことは労力が助かってよかった。しかし、つくらないまま済ませるわけにいかぬわけですよ。というのは、言ってみますと、国の中期展望が一年間ずっとひとり歩きしたわけです。そして、今度は七月には第二臨調の第三次答申が出るわけですから、やはりそれに対して、地方はこう考える、こういうことを映しておかなければならぬと私は思います。したがって、ある前提を踏まえながら、その前提について大蔵省とすり合わせしながら、やはり前提を明確にしておけばいいわけですから、つくるべきだ、こう私は思います。大臣、いかがですか。
  61. 世耕政隆

    世耕国務大臣 御指摘のように、事情はもうよくおわかりかと思いますが、なかなかむずかしい問題で、大蔵省見通しもなかなか優秀なのでしょうけれども、その上に立ってこちらも見通しを立てるわけでございます。ただこちらの事情が、先ほど局長が言われたように、地方団体の数が多くて千差万別にいろいろな財政計画をやっておりまして、正確さというものはなかなかむずかしいのですが、多分余り当たらぬだろう、こういう心配もあります。地方財政計画の場合は間接の間接でございますから、多分なかなか当たりにくいだろう、こういういろいろな心配もあります。なまじっかいいかげんなものを出しますといろいろな誤解を受けるので、また先生方にもしかられなければならない、そういった配慮もございましていろいろ鈍るところもあるのだと思いますが、やはり基本になるべき大枠の中期財政見通し、これは地方行政においても非常に必要なことだろうと思います。  そこで、人手とか時間が間に合うかとか、いろいろな心配もこちら側としてはあるわけでございますが、十分検討させていただきまして、中期展望をできるだけ正確度の高いところをとらえてつくる、こういう計画で鋭意進めておるところでございます。
  62. 細谷治嘉

    ○細谷委員 いまの大臣答弁の中で、地方財政というものは間接の間接だ、そんなものですか。間接の間接という言葉は、大臣、一体何を考えて言っているのですか。
  63. 世耕政隆

    世耕国務大臣 私の言い方がちょっとおかしかったかもしれません。訂正させていただきます。どうしても、国の経済見通しの上に立って地方交付税というものが成立してきますので、その上に立って、またそのほかの財政計画とあわせて組むものですから、直接であるとは言い切れない、こういう立場でございます。その点を御理解いただきたい。
  64. 細谷治嘉

    ○細谷委員 これについては言及しません。  ちょうど午前中の時間が済んでしまったのですけれども、最後に一言だけ。  かなり重要な問題ですけれども、第二臨調の答申が七月に出る、第三部会の動きとか、いろいろあります。地方制度の問題は、行財政問題について同じく内閣総理大臣の諮問機関である地方制度調査会というものがあるわけです。地方制度調査会は、臨調答申について地方立場から広域行政と交付税の問題で審議を急いでおる、こういう新聞記事がございます。恐らく広域行政というのは、いわゆる道州制の問題でしょう。地方交付税の問題というのは、地方交付税率の引き下げの動き、こういうものが第二臨調の第三部会にあるということでありますし、大蔵省も同調しているかのような新聞の記事が出ております。そこで、ひとつ大臣の毅然たる一言をお聞きしておきたいと思うのですよ。  第二臨調の答申が出た、その答申が、長い間出されてきた地方制度調査会の答申と基本的に違った場合、現に、第一次の答申と、去年の秋地方制度調査会が意見として出したものとはかなり大きく違っておりますので、今度も予想されるわけです。そういう場合に大臣は、違ったような場合にはどう地方制度調査会に対応するのですか、それをひとつお聞きしたい。大臣が主宰しているわけですから……。
  65. 世耕政隆

    世耕国務大臣 御指摘の件に関してでございますが、第二臨調でどういう答申が出てくるかまだわかりません。それから、答申が出るまでアドバルーンを余り上げないでくれ、こういう申し合わせもございます。これは各省庁、それから各議員とか業界その他でいろいろアドバルーンを上げることは慎んでもらいたいというので、われわれの方も慎んでおるところで、したがってどういう答申が出てくるかわかりませんが、答申によりまして地方制度調査会の以前に出された答申と抵触する面が仮にあったといたしました場合、十二分に地方制度調査会の以前に出されました答申を踏まえまして対処してまいりたいと存じております。
  66. 細谷治嘉

    ○細谷委員 関連質問を終わります。
  67. 中山利生

    中山委員長 午後一時三十分に再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十二分休憩      ————◇—————     午後一時三十九分開議
  68. 中山利生

    中山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。細谷治嘉君。
  69. 細谷治嘉

    ○細谷委員 最初にお聞きしたい点は、「昭和五十七年度地方団体の歳入歳出総額の見込額」こういうものが国会に出されております。これは地方交付税法第七条に基づくわけでございますが、この見込額というのはどういう目的を持っておると理解しているのですか、まずお尋ねいたします。
  70. 土屋佳照

    土屋政府委員 地方交付税法第七条に基づきまして、翌年度の地方公共団体の歳入歳出総額の見込み額を作成することになっておりますが、これは、地方財政全体の歳入と歳出を標準的な水準で積算をいたしまして、その収支の状況を明らかにし、地方団体が法令によって義務づけられました事務事業なり、その他住民の福祉を増進させるための行政を、国が期待する水準で実施することができるようにするための全体としてのバランスシートを作成しようとするものでございまして、これによって地方団体の財源を保障するための機能を果たしますほかに、地方団体財政運営上の指針となる機能も果たすという趣旨でつくっておるものでございます。
  71. 細谷治嘉

    ○細谷委員 この第七条に基づく歳入歳出の見込み額というものは地方財政計画と呼ばれておるようでございますが、そのとおりですか。
  72. 土屋佳照

    土屋政府委員 通常、地方財政計画と呼んでおります。
  73. 細谷治嘉

    ○細谷委員 地方交付税法七条に歳入歳出の見込み額と書いてありまして、これは交付税法でありますから、交付税についての配分というものとは関係はございませんか。
  74. 土屋佳照

    土屋政府委員 歳入歳出の総額の見積もりをいたしまして、全体としての地方財政の収支のバランスを図るものでございますから、結果的には、いまおっしゃったようなことにもつながるものだと存じます。
  75. 細谷治嘉

    ○細谷委員 そうしますと、これは交付税法七条に基づいて国会に出される書類でございますけれども交付税の基準財政需要額はこういうふうに決めなさい、基準財政収入額はこういうふうに決めなさい、自治大臣地方財政についてはこれだけの権限を持っているぞ、都道府県知事はどういうことをしなければいかぬとか、市町村長はどういうことをしなければいかぬとか、こういうことが法律に書かれておるわけでございますから、交付税はこういうふうに配分されるんだ、そしてそれは地方財政全体の中でこういうふうに位置づけられているんだ、こういうことでありまして、結果として財政運営の指針になることは間違いないのでありますけれども財政局長が答えたのは逆さじゃないか、私はこう思いますが、違いますか。
  76. 土屋佳照

    土屋政府委員 あるいは私が先生の趣旨を取り違えておったのかもわかりませんが、地方財政計画の全体としての主たる機能というのは、先ほども申し上げましたように、地方財政全体の収支の状況を明らかにすることによりましてマクロ的に地方財源を保障するということと、地方団体財政運営上の指針を提供することなどにあると考えますが、交付税の配分についての見通しを立てるに際してその基礎となるべきものであることも、御指摘のとおりだと思っております。
  77. 細谷治嘉

    ○細谷委員 おたくの方で編集されておる、この委員会にも配られます自治六法、ずいぶん厚いものがありますね。この自治六法を見ますと、地方交付税法七条に関連しての参考としては地方財政計画というのは出ておりませんで、地方財政法二条の「地方財政運営の基本」というところに関連して、参考のところにずっと地方財政計画策定方針とかなんとか全部出ているわけです。  そうしますと、本当のところは、地方財政の運営の指針にするとか、あるいは地方財政の内容について横並びで地方団体の人もよく知っていただく、こういうことになるとするのならば、六法のおたくの方の組み立てのあれからいきましても、地方財政法で規定すべきだったのではないのでしょうか。どうですか。
  78. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 おっしゃられるようにいわゆる地方財政計画が、地方団体の翌年度の収支全体をマクロ的に把握し、あわせて財源を保障する機能を持ち、また地方団体財政運営に対する指針としての役割りを果たすという観点から申しますと、確かに、地方財政の基本法でございます地方財政法にそういったことが規定されておっても、決してこれはおかしくないわけでございますが、御案内のように、現在の地方財政計画地方交付税法七条の規定に根拠を置いておりますのは、一つの歴史的な沿革と申しますか、地方財政平衡交付金制度発足時におきまして、地方財政平衡交付金総額決定のための一つの手段として地方財政の収支見通しを立てる、いわゆる地方財政計画をつくる、こういうところからスタートしたわけでございます。  したがいまして、当初は、地方財政平衡交付金法にその根拠があったわけでございます。これが昭和二十九年に地方交付税制度に切りかえられまして、御承知のように、地方交付税の総額は平衡交付金と異なりまして国税にリンクをする、こういう方式をとったわけでございますので、そういう観点から申しますと、もともと平衡交付金当時に総額決定のための手段と考えられておりました地方財政計画の役割りは、そういう意味では直接には失われたわけでございます。  しかし、一方地方交付税は、長期的な、いわば大づかみな財源保障制度でございます。国税に対して一定の率でリンクをしておくという長期的な財源保障制度でございますので、そういった率が正しいのかどうかというようなことを常に確認をして、地方財源に穴があかないようにしておかなければならない、そういう観点から地方交付税法の第七条にこの規定が引き継がれたということでございまして、その地方財政計画の役割りは先ほど局長から申し上げたような意味をもちろん持っておるわけでございますが、法律上の規定、制度上としては交付税法に根拠を置くというのは、そういった一つの沿革にもよるものでございます。
  79. 細谷治嘉

    ○細谷委員 一つもわからないのですよ。私は、交付税法七条に基づいて国会に出されるのは、おっしゃるように、シャウプの地方財政平衡交付金制度に基づいて、そしてその場合には、歳入歳出の積み上げていった見込み額がバランスしていないと自動的に交付税の率を変えていく、しかし、自動的に変えていくということは大変なので、一々変えなければいかぬので、いまの議論されております六条の三の二項が出てきた、こう思うのですよ。  そういう限りにおいて、地方財政全体をこの歳入歳出はカバーしているわけじゃありませんよ。本来はこの七条に基づくものは、交付税率は幾らにするかということだけではいかぬので、いまの交付税法に変わった際の財源保障という形になったわけでありますから、地方財政計画と唱えるには少しおこがましい。地方財政全体をつかんでおらぬでしょう。六条の三の交付税あるいは地方財政の収支というものが財源不足はあるのかないのか、あるとするのならば六条の三の二項を適用するに足るような事態になっているのかどうか、こういうことがこの七条に規定されたものだと私は思うのです。  地方財政計画なんという言葉法律のどこを見てもないのですよ。ただ、国会に出されるのは白表紙でありますけれども政府刊行物センターに行きますと付録のついた全く一字一句違わないのが表紙に「地方財政計画」という形で売りさばかれておる。そうして、それを自治省が地方財政計画と言って、見込み額という言葉は余り言ってないのですよ。ですから、私はその辺疑問でありまして、そうおっしゃるならむしろこの辺の地方財政計画というのは、おたくの方の編さんしておる自治六法の地方財政法第二条に毎年毎年そのときの地方財政計画の策定方針が載っておるように、そちらの方でやるべきではないかと、法律の素人でありますけれども、素人の第六感というのもなかなか傾聴に値する場合もあるのですから、ひとつ大臣、私の素人意見ですけれども、どう思いますか。  というのは、これが済みますとすぐ財政運営について事務次官通達というのが出るのです。それはもうまさしく一般会計ばかりではなくて、全地方団体地方公営企業等も踏まえたものを全部出すわけです。そういうことでありますと、地方財政法の二条に「地方財政運営の基本」というのがあるのですから、これに基づいて事務次官通達が出されるべきじゃないか、こう思うのですが、大臣どうですか、教えてください。
  80. 世耕政隆

    世耕国務大臣 私も同様に玄人じゃない方でございまして、この交付税法のあれを見ておりまして、サブタイトルが「提出及び公表の義務」となっておりまして、それがどういうふうな形で「地方財政計画」という本になったかというのをよくつまびらかにしないのでありますが、これは役所によくある慣習みたいな、慣例のようなもので、よく略語や何かを使いますね。臨特とか、役所用語というのはよくあって、それに類する言葉じゃないかと思うのですが、確かにおかしいと言えばおかしいので、これはまた検討の価値があろうかと思います。
  81. 細谷治嘉

    ○細谷委員 こんなことで時間を費やしてもしようがないですから、少し進んでいきたいと思います。  お尋ねいたしますが、地方財政の運営について、あるいは翌年度の地方予算編成に重要な書類として財政課長内簡というのが出ております。この財政課長内簡はことしはいつ発表されましたか。
  82. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 ことしの場合は一月の二十一日に発しております。
  83. 細谷治嘉

    ○細谷委員 その自治省のおっしゃる地方財政計画が二月二日に閣議了解、二月九日閣議決定一こういうことになっております。閣議了解、閣議決定の前に、一月二十一日に地方財政内簡というものが出されております。ずいぶん能率よくやっているのですね。  そこで私がお尋ねしたいのは、この一月二十一日の財政課長内簡、持永課長が出しておるのですが、そのときには都道府県の総務部長とか財政担当者とか全員全国から集めて、自治大臣以下一場の訓辞をして、そして財政課長内簡というのが手渡しをされるわけですよ。その財政課長内簡の中に、ことしの、というのは五十七年度の基準財政需要額は、都道府県の場合は経常経費四・五%の伸びです、都道府県の投資的経費は一七・〇%の伸びです、市町村の場合は経常経費は五・五%の伸びだ、投資的経費は一一・〇%の伸びだ、こう書いてありますが、私の申し上げた数字、間違いありませんか。
  84. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  85. 細谷治嘉

    ○細谷委員 そうしますと、いま私どもは、交付税法の一部改正の審議をしておるわけでありますが、この交付税の中に自治省が全体計画と言っておる交付税の配分計画が示されております。その交付税の配分計画都道府県と市町村の経常経費、投資的経費の伸び率はどうなっておりますか。数字の問題ですから、準備がなかったらお答えできないと思いますが、私は調べてきていますから、準備してあったら、ひとつ教えていただきたい。
  86. 土屋佳照

    土屋政府委員 交付税全体計画におきます伸び率は、経常経費につきましては県分が五%、市町村分が六・九%、投資的経費では県分が一九・五%、市町村分が一三・四%となっております。
  87. 細谷治嘉

    ○細谷委員 いま局長が答えたように、一月二十一日の段階で、都道府県の基準財政需要額四・五%伸びておるのですということを示しました。交付税の全体計画、いま交付税審議しているのですよ。もう年度は済んだのです。その段階では、いまのお答えのように経常分は五・〇%。〇・五%しか違っておりません。投資分はどうかといいますと、一七%伸びる、こう言っておりますけれども、一九・五%であります。ほとんど変わらぬですね。一月二十一日に得た数字と、その後に営々として作業したとおっしゃる交付税の全体計画都道府県交付税はこのくらいになりますよ、その基礎である需要額はこういうふうに伸びます、収入額はこういうふうになります、こういう計算が一月二十一日はぴしゃっと出てきておった、こう理解する以外にないわけであります。いかがですか。違いますか。
  88. 土屋佳照

    土屋政府委員 私どもは、毎年度地方団体予算編成をされます前に、その予算編成の参考になるように、できるだけ的確な見積もりを立て得るように、その参考として財政課長内簡で示しておるものでございまして、もちろん財政課長内簡で示します以上は、的確ではないにいたしましても、その段階において判明し得るもろもろの資料を集めて、できるだけ近いものにという努力をしながら示しておるわけでございます。  ただ、単位費用などが固まらない段階におけるものでございますから、ただいまも申し上げましたように、全体計画における伸び率との間にはある程度差がございます。投資的経費で言えば県分で一七%と一九・五というように、先生からはかなり近いではないかというお言葉をいただきましたが、私どもとしては、ある程度の乖離があるということで、いささか気にはなってはおるわけでございますけれども、できるだけ的確なものをと思いながらも、結果的には差が出るのはやむを得ないと思っております。しかし、そういうものを示す以上は、いろいろその段階においてできるだけのものを集めて示しておるという結果ではございます。
  89. 細谷治嘉

    ○細谷委員 謙遜されて少し乖離があるといっても、都道府県の場合は経常経費というのは大分多いのですから、都道府県の基準財政需要額の六割五分くらいは恐らく経常経費でしょう。その伸びが四・五%だと予想しておったら、今度はぴしっと計算して単位費用まで決めてみましたら五・四%。市町村の方はどうかといいますと、一月二十一日は大体五・五%くらいだ、そういうつもりで予算を組めと言ったら、今度はきちんと計算してみたら六・九%。偶然の一致でしょうか。もうそのとき、一月二十一日にわかっておったのじゃないですか、どうですか。犬も歩けば棒ということじゃないでしょう。いかがですか。
  90. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 財政課長内簡は、地方団体の翌年度の予算編成に役に立ちますようにできるだけ早く示したいということから、例年一月の末、道府県が予算編成の最終段階に入りますちょっと前程度目標にしてやっておるわけでございます。しかし、その段階におきましては、まだ予算の内容の分析なりそれに基づく地方負担、したがってまたそれを基準財政需要額に盛り込むための単位費用の作業が完全にはできてないわけでございます。  したがって、かなり大づかみな数字計算をいたしまして、経常経費あるいは投資的経費というような大ざっぱな区分で需要の伸びを算出し、推計をしてみるわけでございます。その時点におきましては、単位費用の細かい点はまだ詰まっていないという状況でございますが、私どもの方も従来の経験等をいろいろ踏まえまして、できるだけ最終的な数字に近いものを地方団体に示したいということで、あのような数字になったものであるわけでございます。  先生御指摘の、これが実態とほとんど乖離がないのか、それともやはり最終結果とは違っておるのかという点は、あるいは考え方の分かれるところかもしれませんが、私どもの方としてはそのようにしておるわけでございます。
  91. 細谷治嘉

    ○細谷委員 私は数字を見て、専門家の大づかみの一月二十一日の発表というものが、まさしくもう寸分違わないぐらいのところに数字を出している。自治省はかねてから、地方交付税は世界でも精緻その極にあると自画自賛しておりますけれども、私も敬意を表します。  ところで、そうおっしゃっておるわけですが、財政課長内簡というのは、言ってみますと全体計画で裏づけておりますけれども、全体計画が八月末に算定されます最終的な基準財政需要額、収入額、交付税計算と、これがまたほぼ寸分たがわない結果が出ておるのです。ここも私は敬服しておるのです。  ことしはまだ八月になってませんから、法案審議中ですから、五十六年度を例にとります。五十六年度の全体計画は、都道府県の場合に基準財政需要額は九千十八億円伸びますとなっておる。八月算定は幾らかといいますと、八千七百九十億円。基準財政収入額がやや違っておりますけれども、全体計画では六千百九十三億円。八月算定では五千七百八十九億円。あなた方の資料では、基準財政需要額が都道府県の場合に九・二%伸びると言っておりましたが、結果は一一・四%の伸び、こうなっております。  市町村の場合はどうかといいますと、基準財政需要額は一兆五百二十二億円伸びますと全体計画はなっておりますけれども、八月算定では一兆五百五十四億円。違うこと三十二億円にすぎないのですよ、一兆円の中で。基準財政収入額は八千七百八十二億円と計画しておったのが八千五百五十四億円、伸びは一一・三の計画が一一・二となっているのですよ。  五十五年度についても私は調べたところ、そのとおりになっているのですね。ですから、一月二十一日のあなた方の数字というのは、もう八月算定、来年の三月三十一日の年度いっぱいの交付税をほぼ正確に読んでおる、こう思うのです。大臣、いかがですか。
  92. 世耕政隆

    世耕国務大臣 多分、読む自治省の人々が優秀なんだろうと思います。
  93. 細谷治嘉

    ○細谷委員 優秀だと私も見直しました。見直したのですが、大臣、私がここまで質問して、ちょっと意地悪い質問でございましたけれども、特に申し上げたいこと、ねらいはどういうことかというと、地方財政計画というのが地方の財政の運営指針でございます。予算編成の基礎であります。周辺の市町村との関係は財政はどうなっているか、こういうものを指標にしていただきたい、国と地方との関係はどうなっているのか、こういうことを知りながら、周辺の景色、上下左右、こういうものを見ながら自分のところの財政運営をやりなさい、こう言っておりますけれども、そこまで見きわめておる、そこまできちんと作業しておる地方財政計画が、大変不完全なんですよ。あなた方が期待するように財政、予算編成なりその他の資料にならない。  全然ならぬとは申し上げません。私が申し上げたいことは、交付税計算というのは、都道府県の場合は百七十万を標準団体として交付税計算していくのでしょう。市町村の場合は十万の市を標準団体として決めていくわけでしょう。交付税法七条の歳入歳出の見積もりならば、歳入の税の方は都道府県と市町村は分かれてやっていますよ。税務局長ありがとうございました。ただ、あなたにお礼するだけでは……。ずっとやっておることだから別に大したことじゃない。ところが、財政局の出す支出の方はどうかといいますと、これは都道府県と市町村一本なんですよ。ですから市町村の人は、都道府県と市町村と財政構造が違いますから余り役に立たないのです、大体こんなものかなと思っておる。  ですから、都道府と市町村をお分けになりますと、自治省の明敏な努力と頭のさえが市町村にも理解していただける、市町村はまた財政運営予算編成に的確なものができる、こう思うのです。したがって、わかっていることなんですから、都道府県と市町村を特に歳出の部分においてお分けになったらどうかということを、昨年も私は申し上げたわけです。ところが、当時の自治大臣つれない話、人間の手数がありませんから堪忍してください、こういうことでした。先ほど自治大臣言葉にも、ちょっと人間の数がというような言葉がありましたが、そんなことでは困るわけです。わかっているのですから、量をよけいにすればいいのです。  そして私が特に指摘したいことは、シャウプの平衡交付金時代から二十九年に交付税制度に変わってから昭和三十三年までは、都道府県と市町村を分けておったのですよ。三十四年から都道府県と市町村を一本にしているのです。私は、当時地方財政にかかわりを持っておったので、いつもこの分かれておる部分を見て大きな参考にしておりました。ところが、三十四年になって急に都道府県と一本になったものですから、余り参考にならなかったという苦い経験を持っております。大臣、ひとつあなたの手でやってくれというのじゃなくて、もとのとおりやっていただきたい。それの方がより的確な目的を達成することができますよ、こう私は思うのですが、いかがですか。
  94. 土屋佳照

    土屋政府委員 地方財政計画地方団体予算編成なり財政運営の指針として活用されておるということにかんがみますと、地方財政計画をそれぞれ財政構造が異なっております都道府県と市町村に分けて策定すべきであるという御意見は、私どもとしても十分理解できるわけでございます。従来から御指摘がございまして、私ども、ごもっともと思っておるのでございます。  しかしながら御承知のように、また御指摘のございましたように、かつて、たしか三十七年度までであったかと私、記憶しておりますが、県分と市町村とに区分して算出していた時期もあったわけでございますが、当時と異なって、その後財政制度全体が大変複雑化してまいっておりますし、国と県と市町村間の複雑な入りくりが見られるようになっておるということがございます。また、各省庁の国庫支出金も、当時に比べますと非常に膨大、多岐になっております。県と市町村間の割り振りが予算執行段階になってこないと明らかになりがたいといったような、いろいろなことがございまして、区分して算定することがきわめて困難となったということでございまして、現在やってないわけでございます。  私どもとしては、標準的な水準における地方団体の歳入歳出の均衡状況を把握することによりまして、地方財源を保障することを本来の目的としておるものでございますから、まあ都道府県、市町村に分別しないいまのままでも、目的は達成し得ると思っておるわけでございます。  しかしながら、いまおっしゃいましたように、きちっと分別できればそれはおっしゃるとおり結構なことだと思うのでございますが、最初に申し上げたように非常に複雑になっておりまして、先ほどから余り乖離は少ないではないかということでその御指摘もいただいたわけでございますが、なかなかまだあの段階で的確にそこらを区分けしてやるというわけにもまいりませんし、私どもとしてもそういった点、正確でないと申しますか、的確に示し得ないものを出すのもちょっとじくじたる気持ちがいたすものでございますので、現段階ではやっていない。御趣旨はよく理解できるのでございますが、そういう状況であるということを御理解賜りたいと思います。
  95. 細谷治嘉

    ○細谷委員 人が足らぬでじくじたる結果を発表できない、これはじくじたるものを出してはいかぬですよ。しかし私が言うのには、一月二十一日の財政課長内簡とそれからいま審議しておる交付税の全体計画と八月末の算定というのは、もうほとんど完全に一致しているわけですから、じくじたるなんという言葉は、あなた、どこかへほうり出しなさい。正確無比な、精緻巧緻な形で運営できますと、そうして地方の参考になっていただくために、より効果を上げるために、三十三年までやったように手を抜かないで、都道府県と市町村は構造が違うし標準団体も違うわけですから、そういうふうにいたしますと、こうお答えをすれば地方は喜びますよ。  あなたのところにもあったでしょう。私どものところにも、町村長なり町村議会が特に言ってくるのです。交付税のあの全体計画あるいは地方財政計画というものを、ぜひひとつ町村も分けてやってもらいたいということでありました。私も聞いております。しかし、町村を分けるということになりますと、市町村という形で十万の標準団体でいろいろな補正をしてやっておるわけですから、これは町村ということになりますと、もう一つまた物差しをつくるということになりますと大変なことになりますから、そこまで私は申し上げません。  しかも財政構造は、指定市と二、三千の村との間の財政構造は違いがあるでしょうけれども、市町村ということで一つひっくるめますと、余りにも交付税の補正が大き過ぎて事務に埋没していませんかという議論を私はしたことがありますが、これは大臣、私が申し上げたように、ぜひやっていただかなければならぬ、できないことはないのですから。  少し回りくどいことを数字を挙げながら申し上げたのですけれども大臣、これはひとつ踏み切ってくださいよ。市町村は喜びますよ。府県も喜びますよ、参考になるのですから。まあ、府県の方は大分天下りがおりますからいいかもしらぬけれども、市町村には天下りは余りおらぬわけですから、これはひとつ思い切っていただきたい。いかがですか、これは私は全時間を使ってもいいのですから。
  96. 世耕政隆

    世耕国務大臣 おっしゃること聞いていますと、私もこれはわからないことはないので、よくわかるのですが、実際問題として、技術的な面とか時間的な面とかをいろいろみんなが苦労をしていまして、なかなかすぱっと、それじゃやりましょうというような答えが出てこないわけでございますが、いろいろな事情を勘案しまして、引き続きこの問題は検討させていただきたいと思います。
  97. 細谷治嘉

    ○細谷委員 引き続き検討というおざなりではなくて、私も大臣を前に置いて大変恐縮ですけれども、最近特に自治省は数字を隠す、データを隠す癖が出てきたのではないか、こう思います。  私が実例として申し上げますと、身に覚えがあるだろうと思う。いや、大したことはない、そうなっただけと言うかもしれない。おたくの方が編さんした「地方財政要覧」というのが毎年出るのですよ、十一月か十二月に。その際に、あとで議論します、地方財政計画決算の比較というのが、その本の二ページぐらいにわたってきちんとした数字で示される。ところが最近、ここ数年前から、地方財政計画決算とを見ますと、人件費が一兆円ぐらい、当初の計画でありますから、その間には人事院勧告や何かありますから、一兆円ぐらい乖離があるではないか。  地方財政は裕福だ、こういう心なき、地方財政を余り認識されないことを最近よく言います。どこかの機関あたりで、新聞のように毎回出ているのですけれども、言われます。それに恐れをなして、昨年の暮れの二千円の「地方財政要覧」という本には、そのページはきちっと財政計画決算の部分は削っているんですよ。これが物を隠そうという秘密主義。情報公開というのがいま強く叫ばれているときに、逆行するもはなはだしいと思いますがね。  そういうことで、口ではそう言えないものですから、人手がございません、正確さが期待できませんとおっしゃる。正確さは期待できるんですよ。そして場合によっては、地方団体全部要望しているわけですから、重点的に配置するなり、その分でも大蔵に頼んで二人か三人増員してもらったら、地方は喜びますよ。大臣、どうですか、慎重に検討しますだけではなくて、この問題については実現するために早速準備に取りかかりますと、ここまでひとつおっしゃっていただきたい。
  98. 世耕政隆

    世耕国務大臣 その要覧の項目から決算予算のあれを抹殺というか消してしまったというのは、一つには、これは自治省の人々の性格にもよるんじゃないか。つまり自治省の人は、別におだてるわけじゃないのですが、みんなちょっと優秀ですよ。それから、学者みたいなところがあって議論の方が先行してしまう。学者的な性格の人というのは、ちょっとでも狂っていると非常に恥に思うし、嫌がるのです。ですから、どうしても経済的な予測に基づく財政計画決算との間に、一兆円でも一千億でも額としてはかなりの金額になりますので、乖離が起こってくるのを非常に嫌がる。  では、起こらないようにすればいいのじゃないかというのだけれども、やはり経済見通しの上に立って財政計画を立てるとなると、そう機械的な正確さというのは望めない、そういういろいろな迷いが実は自治省の中にもあるのだろう。これは大蔵省の中にも多分あるだろうと思うのですが、優秀であればあるほど迷いが出てくる。そういうことに基づいて、白書の中からそういうものをできるだけ避けていくような動きになってきたのだろうと思うのですが、これはよく検討させていただきまして、こちら側としてもなるたけ地方の市町村のお役に立てるような方向にいろいろ検討してまいりたいと思います。
  99. 細谷治嘉

    ○細谷委員 ぜひ、地方団体の熱望にこたえていただきたいと思います。  そこで次の問題で、この法律に基づいて国会に出されました「歳入歳出総額の見込額」の二十八ページと二十九ページ、数字で大変恐縮でありますけれども、少しお尋ねしたいと思います。  矢野審議官が「いまとにかくゼロシーリングとかなんとかやっているものですから、国の方は最小限度の費用で地方の負担の多くなるような仕事をどうも選んで予算を組んでくるのじゃないか、そういう心配がある」ということを、たしか「市政」という全国市長会の雑誌に論文を書いております。私も、なるほどそういうことになるかもしらぬということが頭にこびりついております。  そして出されたこれを拝見いたしまして、まずすっと見ていって、具体の例を申し上げますと、「公共事業費の内訳」の「その他公共」の(4)のところに「卸売市場施設」というのがございます。五十六年と五十七年とを比べてみますと、五十七年度は国庫補助は百四十二億円減っております。地方の負担は三百五十八億円、こういうふうに激変が起こっております。それから、二十九ページに「鉱害復旧」というのがございます。それを見ますと、五十六年度には国庫補助負担額が四百五十六億円でありますが、五十七年度は九十五億円と国庫補助が減っております。ところが、地方負担はどうかというと、五十六年度は百二十二億円、五十七年度は百三十二億円。国庫負担はうんと減っておって、地方負担は変わっておりません。  これは不思議でしょうがないのですよ。矢野審議官指摘した以上の何かがあるのじゃないかと思っておりましたが、国費は少なくて地方に吐き出させるだけ出させようという意図でこういう数字が出てきたのか、違うよ、それはこういうことなのです、こういうことなのですか。お答えいただきたい。
  100. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 御質問最初に、私が身に覚えのございます「市政」に書きました文章を引き合いに出されておるわけでございますが、五十七年度の地方財政対策におきまして収支見通しを立てるに際して、国の予算との関連で、国の予算が非常に厳しい場合に国の予算はふえなくても地方負担の大きいものがふえる可能性もあるのではないか、そういう場合には国の歳出と地方の歳出の伸びが必ずしも同じとは限らないし、また要すればそれに見合う地方財源をしっかり確保する必要があるという観点から述べたわけでございます。  ただいま御指摘の卸売市場施設と鉱害復旧事業関係でございますが、御指摘のように国費と地方費との間に大きな入りくりがございまして、まさにそのような事態を示しておるのではないかということでございますが、これは実は算定方法の改善によるものでございます。卸売市場施設につきましては、これは公営企業としての側面もあるわけでございますので、そういった部分を除外していくという改善方法をとったわけでございます。  また、鉱害復旧事業の方は、これは歳入歳出の仕組みが大変複雑でございまして、御承知のように石炭鉱害事業団がこの仕事の実施に一役買っておるわけでございます。従来の地方財政計画におきましては、こういった石炭鉱害事業団を通じて行われ、地方負担に関係のない国費の部分、これも含めて計上しておったわけでございますが、そういった点については地方財政計画の上ではむしろ除外する方が妥当だろうと考えまして、その部分を五十七年度では計上しない、地方の負担なり財源なり財源保障には関係ないということで除外したわけでございます。  そういったことから、国費が大幅に前年度を下回るものになったものでございまして、算定方法の改善によるものであることを御理解いただきたいと存じます。
  101. 細谷治嘉

    ○細谷委員 わかりました。  あなた方は非常に頭がよくて、とにかく一月二十一日にもう八月末の計算までできているわけですから。しかし、だれが見ても、こういう数字の大きな違いだということを見つけるのも大変、見つけても一体原因は何だろうか、こんなにまで臨調にいかれてしまったのか、こう思いますよ。私もそう思って、そうしたらいまお答えのように、いや、それは内容が違ったのです、整理したのです。整理するのはあたりまえです。ですから、大変結構なことだ、こう思います。  それならばそれで、一般の人にもわかるように、私どもも含めてこの財政計画を読む人にわかるように、変わった年の下の方に注ぐらい書いておったらどうでしょうか。これも注を書くと不都合ですか、だから隠したのですか。わからなければわからないでいい、こういうふうになったのですか。いかがですか。
  102. 土屋佳照

    土屋政府委員 地方財政計画のような重要なものでございますから、いろいろと変動がある場合には、そういった理由がはっきりするようにするのが筋だと思います。今回は、内容について取り扱いを改善したということでかなり大きな額が出ましたが、御指摘をいただいてみますと、その点はやはり不親切であったように存じます。今後そういった点については、よく一般にわかるように努めるべきだと思っております。
  103. 細谷治嘉

    ○細谷委員 ぜひそうしていただきたい。この「地方財政」という雑誌の論文には、この地方財政を立案した企画官が、ことしは鉱害復旧とこれについては変わっておりますよということを書いてあるのですよ。ですから、国会に出すものだってちょいと注を一行だけ書いておけばいいのですよ。大臣、その辺は「知らしむべからず、よらしむべし」という思想ではありません、いま情報公開ということでできるだけ情報を知っていただく、こういう形でやっていきますということを一言、この委員会を通じて国民に、地方自治体に宣言してください。
  104. 世耕政隆

    世耕国務大臣 全くおっしゃるとおりでございまして、できるだけ公開の原則に従って、わかりやすく親切に発表すべきであると思います。そのあれに関しては、片方、先生がいまお持ちになっているのは多分玄人向きにつくったので、「地方財政」の方はわりあい公的なあれじゃない、一般向きにつくられた本ですね。恐らくそういった意図が、隠すわけじゃなくて玄人さん向きのあれと一般向きのあれ、こういうふうな感じだったのじゃないかと私は推測しております。
  105. 細谷治嘉

    ○細谷委員 玄人も素人もないのですよ。この「歳入歳出総額の見込額」というものは、一字一句違わぬ地方財政計画でございますということを確認して、そしてその地方財政計画にもあるいは「歳入歳出総額の見込額」も、私はこっちをネタにしてやっているので、全く同じことを言っているのですよ。ですから大臣、素人向き、玄人向きなんということじゃないですよ、同じもので言っているわけです。はっきりしてくださいよ。これはひとつきちんと、内容が違ったらば注を一行入れておけばいいわけですから、ぜひそうしていただきたい。そうしますと言ってください。
  106. 世耕政隆

    世耕国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、そのとおりにできるだけ近づけていくように努力をいたします。
  107. 細谷治嘉

    ○細谷委員 そこで、この公共事業費の内訳について、さらに私が違った意味で感じておることがございます。  この表の「その他公共」の中の「文教施設」というのがございます。この文教施設というのは、国費が五百九十五億円減りました、そして地方費が二百十二億円減りました。したがって、合計いたしまして八百八億円の減に地方財政計画上はなっております。そうしますと、地方財政計画の規模はそれだけで八百八億円減ったということになります。そこで、これはちょっとなかなかわかりませんから、私はその内訳をひとつ知らせてほしいということで資料をいただきました。資料を見ますと犯人は——犯人という言葉はちょっとおかしいのですけれども、どこに根本的な原因があったかといいますと、文教施設の中の地方文化施設整備費というのがございます。それを見ますと、五十七年度は国費は十九億円、地方費は八百九十四億円、そして九百十二億円の事業をやろう、こういうことなんです。  昨年と比べてどういうことになっておるかといいますと、地方費は四百十五億円ふえているわけです。そして国の補助金は二億五千万円減っておるのです。国の補助金が二億五千万円減って地方の金だけは四百十五億円ふえている、こういうことです。国宝、重要文化財等についても同様でありまして、国費は減って地方費がふえていっている、こういうことになりました。これはどういうことかといって調べてみましたら、どうも国の補助金、これは文部省のあれですが、文部省の補助金が定額制度、その定額も逐次改善されておりますけれども、定額制度でありますから事業費に対して割合がだんだん落ちてきておる、こういうことが原因だということのようであります。そのとおりでしょうか。
  108. 土屋佳照

    土屋政府委員 お示しのございましたように、地方文化施設整備費補助金は定額補助金でございますので、事業費に比べて補助金がきわめて小さいものになっておるわけでございます。私どもは、その事業費というものをどういうふうにとらえるかということが一つの問題だと思っておりますが、整理の仕方としては、文部省から報告のございました国費、地方費が現実の事業費であるということでそのまま計上しておる、その結果がおっしゃるようなことになったわけでございます。  したがいまして、何年度かにわたって事業が行われる場合は、完成したときに補助金が出るとなれば、そういった大きなものを全部事業費として挙げますと、かなり大きな施設になりますと、定額補助の場合はその率が非常に低いというかっこうになってくるわけでございます。したがって、年度年度によって、その事業費のとり方で非常に差が出てくるという結果が出ておるわけでございます。
  109. 細谷治嘉

    ○細谷委員 文部省の方、いらっしゃっておりますからちょっとお尋ねしたいのです。  お尋ねしたいのはいまの地方文化施設整備費についてでございまして、調べていただいた資料によりますと、私はいま五十六年、五十七年のことを申し上げておるのですけれども、五十四年度を見てみますと、十九億円の国の費用に対して四十五億円の地方費が出ております。そして、合計いたしまして六十四億円の仕事をしております。国の補助率が三五・七%であります。ところが五十五年度になりますと、国の補助金は一気にがた落ちいたしまして七・四%、五十六年度は四・二%ということになっております。こういうふうに国の補助金が定額という形で激減をしておるわけです。  そして、地方でどういうことが言われているかというと、地方はこういう地方文化施設をデラックス過ぎるものをつくるからこういうふうになるんだ、超過負担なんというのはおおよそ国に責任があるのじゃなくて地方の責任だ、こういうことで一言のもとに逃げられる傾向があるわけでございますが、文部省、この事実をお認めになりますか。
  110. 石井久夫

    ○石井説明員 いま先生御指摘いただきましたとおり、五十四年度以降、補助単価が八千五百万ということで動いていないわけでございます。しかし、一つは、おっしゃる中で原因として挙げられますことは、五十四年度は文化会館の、地方文化施設の補助館数が二十館でございましたけれども、五十五年度に至りますと二十四館、それから五十六年度に二十五館ということでふえておるわけでございます。館数がふえておるわけでございますが、補助単価自体は変わっていないということがありまして、国費がその年度年度、若干ふえたり減ったりすることはございます。それから五十七年度につきましては、財政状況が厳しいということで補助館数が二十二館に減ったわけでございます。この面が国費が減っている理由でございます。  それからもう一点、おっしゃいますように補助単価が動かないために、全体的には総事業費がふえている割りにその補助割合が減っているということもございますが、もう一つは、五十七年度につきましては比較的県立の文化会館が多いわけでございまして、中身を見てみますと、総事業費が五十億以上の文化会館が二十二館の中で八館あるわけでございます。そういうことが大きな影響になっているというふうに理解しております。
  111. 細谷治嘉

    ○細谷委員 いま経過をお聞きしましたけれども、五十六年度を例にとりますと、国が二十一億円で地方が四百七十九億円出して五百億円の地方文化施設の整備をやっておるわけです。これは、八千五百万出しているんだ、こういうことでしょうけれども、どう見てもおかしいと私は思うのですよ。  大蔵省主計官、こういう地方の文化施設というものについては、国、地方が一体となって推進しなければいかぬ。デラックス過ぎるものがあったらそれはチェックしていいじゃないですか。四%程度にしか補助金が当たらないということでありますと、これはやはり地方自治を毒することになるのではないか、こう思います。  聞くところによりますと、あなたの前の主計官がどういうことを言っているかというと、定額補助というのは大体四分の一ぐらいの見当だから、足らぬ分の四分の三を乗せて仕事をやりなさい、そうしますと八千五百万の四倍、三億二千万円ぐらいで文化会館をつくれということを大蔵省の主計官が主張した、こんなばかげたことを聞いたのですが、そんな事実があったかなかったかを含めてひとつお答えいただきたい。
  112. 八木橋惇夫

    ○八木橋説明員 お答えいたします。  後段のそういう発言があったかどうかということは、私、いまのところ聞いておりませんので、お答えするわけにまいらないのですが、おっしゃるように地方文化会館は、最近は十億ないし二十億、大きいのになりますとそれ以上の金額をもってつくるというのが多くなってきております。  そういった中で、果たして八千五百万程度で呼び水効果を持たせるという補助金の意味があるのかどうなのかという問題は、私どもからすればかなり問題視しているところでございまして、むしろこういった地方文化会館地方単独事業としてみなしていった方がよろしいのではなかろうか。これは先生の御主張にあるいは反するかもしれませんけれども、私どもの考え方としては、むしろ地方単独事業としての取り扱いの方がよろしいのではなかろうか。  補助金の整理合理化という観点からもこういった補助金については見直しをする、これは当然大蔵省だけではできないわけでございまして、文化庁等ともよく御相談申し上げなければならないわけでございますが、やはりそういった観点からの検討も必要ではないか。また、地方財政計画に計上するときも、こういったものについてすべてを補助事業として計上するのが果たして適当かどうか、その点も含めて検討すべき課題ではなかろうかというぐあいに私どもは感じておる次第でございます。
  113. 細谷治嘉

    ○細谷委員 私も、検討すべき課題だと思うのです。だが、こんな四%ぐらいの補助金は切っちゃえということじゃなくて、地方の文化施設の整備ということは、特にこの間の新聞で言えば、科学技術等の文化施設を地方にもっと積極的につくったらどうかという社説もある新聞に出ておったくらいでございますから、国がもっと腰を入れてこの施設の充実をやるべきである。あなたもそういう意図で言ったかもしれぬが、私のあれを逆にとってもらっちゃ困るわけですよ。どうも金目のことで大蔵省は無理難題を、文部省や地方に言い過ぎてきたのじゃないかという意味で問題を指摘しておきましたから、ひとつ御検討をよろしくお願いしたいと思っております。  そこで、時間がございませんので、ほかにまだ幾つか問題点があるわけでございますけれども、具体的な問題の二、三についてずばりお聞きいたしますからずばりお答えをいただきたい、こう思います。  一つは地方公営企業関係。  地方公営企業への一般会計からの繰入金について、計画決算との乖離を見てみますと、ずいぶん自治省は努力しておりまして、ここ十年ばかりの流れを見ますと、計画決算との乖離が大きく起こっているところは、地方公営企業への繰出金というのが計画を大体四〇%ぐらい、ごく最近、上回っております。それから収入の雑収入等では、計画に対して従来は四倍くらいの決算額になっておりました。しかし、最近は二倍程度と、かなり努力をされておるわけです。  そこで、個々の公営企業繰出金、地方公営企業法の十七条の二なり十八条なり十八条の二について物を申したかったわけでありますけれども、時間がありませんから、直接具体的に聞いてまいりたいと思います。  その前に、地方公営企業についての繰出金が、努力はしてきておりますけれども依然として不十分だ、こう私は端的に申し上げます。  財政局長、いままで努力してきたけれども今後も是正するにやぶさかでない、こういう考えですか。
  114. 土屋佳照

    土屋政府委員 決算との乖離がだんだん縮まるように努力をしておるわけでございますけれども、なお、公営企業については、五十四年度の決算等見ましても、かなり乖離があることは事実でございます。ただ、今後それをどういう形に持っていくかということになりますと、やはり公営企業と一般会計との負担区分のあり方等々について実態に即して十分検討を加えて、必要なものについては当然見るものは見るということでございますが、全体として、ただふやせばいいというものでもないと思います。必要なものは十分内容を見きわめまして、一般会計において負担するのが適当なものは十分考えていくということにやぶさかではございません。
  115. 細谷治嘉

    ○細谷委員 そこで、そういうことを前提にいたしまして、具体の問題でお聞きいたします。  地下鉄というのは大変資本費のかかるものであります。そういうことに関連して、地下鉄の補助対象ということがかなり議論されておりまして、名目七〇じゃなくて実質七〇ぐらいにしてほしいという長い声がございます。こういう問題に関連して、特例債というのが出ております。  これは四十八年からやっておる制度でございますが、大体においては十年で終わるという当初のことでありましたから、五十七年度で切れる、こういうことになるわけでございますが、これの地下鉄事業推進の効果というのは非常に大きいわけでありますから、ぜひひとつ、現行のとおりこれを存続していただきたい。むしろ、一部足らない点については強化した上で存続していただきたいものだ、こう思っております。大体においてこの特例債というのは、地下鉄債の全体の八%くらいにしかすぎないわけでありますから、これの強化というのは、そういう特例債のシェアを少し大きくしていただいたらどうか、そして制度を続けていただきたい、これが私の希望であります。いかがですか。
  116. 坂弘二

    ○坂政府委員 現行の地下鉄特例債の制度でございますが、御案内のように、昭和四十六年度以前に発行されました地下鉄の企業債について、その支払い利子に係る企業の負担を軽減するために設けられたものでございます。  そこで、この現在の特例債制度は、関係地下鉄事業に対しまして資金繰りの面において、またその収支面で非常に効果があったとわれわれも考えておるところでございますが、先ほどお話のございましたように、十年を経た今日、必ずしも現在の地下鉄経営の現状から見まして、現行制度が最適なものであるかどうかという点には疑問がないわけではございません。したがいまして、地下鉄特例債制度の今後のあり方につきましては、近く報告が予定されております大都市公営交通問題研究会の提言というのもございますので、その提言も踏まえまして、大都市における公共交通の主要な手段である地下鉄の助成のあり方について慎重に検討を加えまして、昭和五十八年度予算の概算要求に当たっては所要の財政措置を講じるように努力してまいりたいと思っております。
  117. 細谷治嘉

    ○細谷委員 いま、努力したいということでありますが、審議官、あなたのお言葉の中に大都市公営交通問題研究会の話が出ておりました。これは、もうかなり議論が進んで近く答申が出るというふうに私は承っておりますが、いつごろこの研究会の答申が出るのか、その核は何か。時間がありませんから、ひとつ簡単にお答えいただきたいと思います。
  118. 坂弘二

    ○坂政府委員 大都市公営交通問題研究会の答申は、現在、座長でございます八十島埼玉大学教授のもとにおきまして最終的な報告案の調整が行われておりますので、今月末か遅くとも来月初めごろには、自治大臣に対し正式に答申が行われると思っております。  したがいまして、ただいまのところその詳細を申し上げる段階ではございませんが、御質問でございますのでいままでの審議状況等から言いますと、その概要は、恐らく第一番目に大都市における公共交通のあり方と公営交通事業の役割り、第二番目に路面交通の円滑化と公共交通機関の優先通行を図るための走行環境の整備、第三に利用者の立場に立って公共交通の利便性の向上等を図るための運輸調整のあり方、その他公営交通事業の経営基盤の強化の方策等、そのほかもあるかも存じませんが、それらが中心になるものと思っております。
  119. 細谷治嘉

    ○細谷委員 地方都市バス事業車両更新費補助というのがございまして、税務局長、笑っているけれどもあなたがおったときの問題だ。これは大体において五十七年度で打ち切られる、こういううわさがあります。これは現実には、五十四年のときに一言問題があったのですけれども、内容を整備して五十七年まで続くことになっております。金額にいたしまして百三十五億円ぐらいでしょうか、これは地方の都市でずいぶん喜ばれております。  これを五十八年度以降一体どうしてくれるのだということはかなり大きな関心事でありますし、地方としてはぜひ続けていただきたいという要請があります。しかし、来年再建団体で卒業生が起こってきますからね。卒業生があったら、その卒業生が社会人としてりっぱになるように措置してやることがまた重要ですから、大蔵省が来ておりますので、まず大蔵省の主計官にお答えいただきたいと思います。     〔委員長退席染谷委員長代理着席
  120. 八木橋惇夫

    ○八木橋説明員 車両購入費の補助につきましては長年やってきたわけでございますが、再建団体がかなりふえてきているという事情もございますし、それから国の一般会計も非常に窮屈な状況でございまして、歳出削減を図らなければならないという一般的な状況にございますこともまた事実でございます。本件につきましては、自治省から御要求がございましたらそれにつきまして慎重に検討させていただきたい、かように考える次第でございます。
  121. 細谷治嘉

    ○細谷委員 自治省から要求があったら慎重に検討すると言っておるのですが、坂審議官、来年度これをどうしますか。
  122. 坂弘二

    ○坂政府委員 再建地方都市バス事業車両更新費補助につきましては、昭和四十八年以来毎年度この種の補助を予算要求いたしまして、五十七年度末までには再建団体に対しまして総計四千八百九十八台、約五千台弱に上る車両の更新について補助を行ってくることになるわけでございます。  したがいまして、昭和五十七年度末におきましては、先ほど御質問にもございましたが、再建団体の過半数が再建を完了することとなること等も考慮いたしまして、この種の措置につきましては一応の区切りをつけ、改めてこの補助のもたらした効果あるいは国の財政状況等も勘案しながら、昭和五十八年度概算要求時期までに公営バス事業に対する国の助成のあり方について、この種の補助を継続すべきかどうかということも含めまして、最も効率のあるやり方について慎重に検討させていただきたいと思います。
  123. 細谷治嘉

    ○細谷委員 基本的には存続させる、そして時代にふさわしいようにする、こういうふうに理解して次に入ります。  都市基幹バス路線整備費というのがございます。これは五十六年度には予算がついたのですけれども、五十七年度になりましたらこれを切ってしまったのですね。それで、これは五十六年度に名古屋でこの問題についてやって、効果測定ということで五十七年度は予算がつかなかったと聞いているのです。ところが、どうも名古屋ではほかの高速道路の工事か何かありまして、基幹バスの調査をするといっても一年間本格的に調査もできないような環境に置かれておる、こういうことを聞いております。せっかく芽を出したものですから、それを育てるという愛情が必要だろうと思うのですが、そうではなくて、効果を測定するのだということを言ったというのは予算編成のあれからいって少しおかしいと思うのです。主計官、今後これをどうするのですか。     〔染谷委員長代理退席委員長着席
  124. 八木橋惇夫

    ○八木橋説明員 お答え申し上げます。  私、たまたまこの所管の主計官ではございませんので、先生からそのような議論がございましたことを申し伝えて、よろしく検討するようにということを報告いたしたいと思います。あしからずその辺で答弁はお許し願いたいと思います。
  125. 細谷治嘉

    ○細谷委員 よろしく。  もう一つ、これは大臣関係になると思うのですが、地下鉄補助金が臨調答申等に基づく一割カットという形で、二十八億円削られているのですよ。まあ、削られている相手が東京都とか大都市でありますから、二十八億円なければどうにもならぬということではないと思いますけれども、少なくともそこに穴があくことは間違いないわけですから、これについては自治省として何らかの起債措置なり、あるいは何らかの考えがあるのか、お答えいただきたいと思います。
  126. 坂弘二

    ○坂政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御質問にございましたように昭和五十七年度におきまして、これは札幌、東京、横浜、名古屋、大阪でございまして、所要額は二百三億余りでございますが、行政改革の補助金削減のあれによりまして百七十五億円計上、したがいまして、二十八億円程度が不足いたすことになっております。仮にこれらの団体におきまして、この二十八億円の不足が必要であれば起債を認めますし、また、来年度においてこれらを補てんするべく、実質的には地方団体に実害のないように措置するつもりでございます。
  127. 細谷治嘉

    ○細谷委員 二十八億円ぐらいですし、相手が東京都とか大きなところですから心配は要らぬと私は思いますけれども、ひとつ十分に見守っていただきたい、こう思います。  もう一つお尋ねしたいことは、いま車へんのつく仕事をやっている人たちの最大の関心事は、昨年出されました運政審答申と運輸審議会答申というかなり厚い答申書がございます。その答申書を見てみますと、素人でありますけれども、何でもかんでも受益者負担の強化、これが一つであり、それから二番目は、公営交通などというのはいかぬわけだから、公共交通も第三セクターでいったらどうかということであります。進んでいきますと、都営あるいは営団の一元化、場合によっては公設民営、公のところで設備をつくってあとの経営は民営でやるというようなことの議論まで発展してくる可能性がこの答申の中に盛られております。  もう一つはマイカー優先ということでありますから、マイカーという名の白タクがはんらんする、交通が大変な事態になる、こういうことも予想されております。  これは、公営交通をやっている人たちは大変重大な関心を持っているのですが、自治省としては専門的な立場でこの運政審答申をどう受け取っておるのか、どう対応しようとしているのか、お答えいただきたいと思います。
  128. 小林悦夫

    ○小林(悦)政府委員 先生おっしゃいますように、昨年の七月六日に運政審の答申が出ておるわけでございまして、ただいま御指摘のありましたような受益者負担、またマイカー、第三セクターの問題が出ておるわけでございます。  そこで全体の考え方といたしましては、交通機関の維持整備に要する費用、こういうものにつきましては運賃等の形で利用者が負担するのが原則であろうと思います。しかしながら、たとえばその受益者負担の関係で申しますと、どうしても路線を維持しなければならない公共性、こういうようなものにつきましては十分検討をいたさなければなりませんし、またマイカーにつきましても、これらが地域住民また弱者に対する足、こういうことが必要である場合が多いわけでございますから、そういう点は十分配慮しなければならないと存じます。  また、第三セクターの問題につきましては、いま地方交通線の第三セクター問題、こういうものが出ておるわけでございますが、こういうものも将来の財政負担が地方に転嫁されるという結果になりがちでございますので、慎重な対処をお願いをいたしたいと考えておるところでございます。  いずれにいたしましても、地方交通というのは地元の住民の足であり、また地域振興の基盤でございますで、こういう点を踏まえまして、総合交通体系が整備されるような考え方に立つべきであろうと存じます。
  129. 細谷治嘉

    ○細谷委員 時間が来ておりますから最後に一点。私の住んでおる九州にはまだかなり路面電車が残っておるのです。その路面電車では、やはり自治体はかなり苦労をしております。しかし、公営交通、市民なり住民の足を守らなければならぬ、こういうことで苦労しているわけです。この路面電車の見直し論というのが出ておりますけれども、これは今後本格的に見直しのそういう条件があるかどうかは別といたしまして、少なくとも路面電車というものは必要なものは守っていく必要がある、そのためにはこれはやはり一般会計からの経常費の繰り入れというようなことも考えてやらなければならぬのではないか、こういうような気がいたします。審議官、どう思いますか。
  130. 坂弘二

    ○坂政府委員 お答えいたします。  路面電車につきましては、現在札幌、東京、函館、熊本、鹿児島でございますが、経常損益、これは五十五年の決算でございますが、これから見ますと東京都は非常に大きな赤字を出しております。それから鹿児島がある程度の赤字を出しておりまして、あとはとんとんといいますか、少し黒字というところで幸いいっておるわけでございます。  一般会計からの繰り出しはどうだということでございますが、路面電車でございましてもこれは公営企業、企業でございますので、その運用はまずもって経営に伴う収入でこれを賄うというのが原則でございます。さしあたり路面電車は、先ほど申し上げましたような経営状況でございますので、路面電車について一般会計からの繰り出しを制度化と申しますか、考えるというようなことはいまのところ考えておりません。
  131. 細谷治嘉

    ○細谷委員 制度化は考えておらぬと言うが、現在の地方公営企業法の十八条、努力してもいけない場合に対する対応とかなんとか、そういう規定があるでしょう。そういうものを活用して、何でもかんでも補助金なんということを言っているわけじゃないですよ。一般会計で、そういうものを必要とあれば見てやる、繰入金として見てやる、これが一般会計と地方公営企業との関係ではないか、こう思うのです。あなたの方の書いた「公営企業の会計の手引」という本にそう書いてあるのだから、あなたの方の繰り入れの基準とかなんとかに書いてあるのです。だから、余り何かしかつめらしい、最後には逃げられるような言葉をおっしゃらぬがいいですよ。  私はもう時間が来たから終わるけれども答弁要りません。終わります。
  132. 中山利生

    中山委員長 田島衞君。
  133. 田島衞

    ○田島委員 地方交付税法その他について、抜本的に若干の御質問をしたいと思います。  私がいまさら申し上げるまでもなく、現状で見る地方交付税制度というものはまことに不健全な形になっている。そして、その不健全なままで、毎年判で押したような、その場限りの特例措置その他を含めた法改正でその場をしのいでいるわけでありますけれども、いつまでもそのような状態でおったら、よくなるのじゃなくてどんどん悪くなってしまう。やはりどこかの時点で思い切って決断をする。そして、抜本的制度の改正なりあるいは大蔵との十分なる連絡の上で税率のアップを図るとか、またそれに伴うところの地方団体の財政需要額についてもっと突っ込んでメスを入れてみるとか、そういうことをやらなければだめだ、こういうふうに痛切に感ずるわけです。  こんなことを聞いたってしようがないと思いますけれども、それが基本ですから、まずお聞きするわけですけれども、このたびの法改正で制度がうんとよくなるという自信があるかどうか、それとも現状ではやむを得ない措置だという認識なのか、どちらか、率直にお答えをいただきたいと思います。
  134. 土屋佳照

    土屋政府委員 今回の交付税の確保につきましては、たびたび申し上げておりますように、現在の三二%だけでは若干不足があったということで、従来からの、私どもが当然地方で確保すべきであると思っております利差臨特、財対臨特等を実質的に確保するという形で収支の均衡をとったわけでございます。そういった意味では、交付税法の第六条の三第二項には該当しない状況でございましたので、そのための措置はとらなかったということになるわけでございます。そういった形で確保しました九兆三千三百億円の交付税の中身については、私どもとしては、実態に即応するように単位費用等を改正いたしましたので、そういった意味での改善はなされたものと思っております。  ただ、先生がいま指摘されましたのは、五十年度以降収支の不均衡がずっとあって、その間に交付税が不足をした、しかし、それを交付税率の引き上げ等の抜本的な改善によらないで借入金等により、国が二分の一持つにしても、そういった暫定的な方法で処置をしてきた、その結果がかなりの借入金の累積になっておる、そういった点についてどのように前進したかということでございますとすれば、過去の借入金については将来返していくというなお債務が残っておりまして、基本的にはまだまだ多くの問題を抱えておる。ただ、五十七年度単年度としては収支の見込みが何とか立ったので、特別な改善をしなかったということでございます。  しかし、五十八年度以降も大変厳しい状況でございますので、今後どういうふうに持っていくかということは、これは検討していかなければならないと思いますが、その内容と基本的な制度の仕組みという面と、両面から先生お尋ねがございました。制度の仕組みの面では余り大きな変化はない、こう申し上げざるを得ないわけでございます。
  135. 田島衞

    ○田島委員 それぞれの立場が違いますから、多少の言い方のニュアンスは違うけれども、大方の認識においては、聞く私の立場土屋局長の答える立場もそう違っていない、その点では結構だと思うのです。やはり認識が違っていたんじゃ仕事になりませんので、その点は結構だと思うのです。  さて、同じような認識の上に立ってさらに少し突っ込んでみたいと思うのですけれども、もし大臣なり局長なりが交代することがなくて、相当長い期間、少なくとも十年やそこら同じ職責にあってこの問題を抱えるとしたら、恐らくいまのようなやり方じゃ済まぬと思うのです。そこらが一つの問題点で、たとえどなたがどのような期間その衝にあろうとも、それが長かろうと短かろうと、できればわが輩がその職にある間に思い切ってやることはやってみてやろうという、そういう意欲がないと、なかなかこういう現実の問題というのは道が開いてこないと思うのです。  だからといって、なかなかその衝にあるとすればむずかしい問題だと思いますけれども、できないことではない。また、一度に抜本的に目の覚めるような見直しはできなくても、徐々にでも、明らかにこのやり方でいけばだんだんよくなっていくなという希望を持たせるような改正はできると思うのですよ。いまの状態のままでいくと、あとはもう景気の回復で税収がばっと思い切ってびっくりするほどよくなるのを待っているしかどうしようもない。それがいま現在での見通しのように、また歳入欠陥だ、来年はことしよりまだ苦しいだろうなんて言っていたら、これはどんどん泥沼の中へ交付税制度というものを沈めていくようなものだと思うのです。  私が言うまでもないことですけれども交付税特別会計の借り入れ残高や、それから財源対策債を含めた地方債の残高、その合計が四十二兆円ぐらい見込まれるわけでしょう。こういう状況だとか、それから財政需要額と交付税総額とのバランスの傾向を見ても、普通でいったら、いわゆるこの法の改正といういままでやっておるようなその易しのぎのやり方での手法では、交付税制度は生き返ってこない、だんだん死の影が濃くなってくると思うのです。  そこで、このぐらいはできるんじゃないかなと思う方法の一つとして考えられることは、確かにいまの国の財政事情等を考えて、三二%という税率をたとえ何%でも上げるということは大変なことだし、むずかしいことだと思いますけれども、そのむずかしいことをやることによっていやでも背水の陣をしく。やはりいままでの交付税法律からすれば、附則等後から便宜上とっつけた附則を別にして、本則から考えてみれば、当然いままでのような交付税の制度のあり方の連続の中では、抜本的制度の見直しとか税率の改正をやるべきだ、上げるべきだ、こういうことになっているのですから、ちゃんとその法の命ずるところ、法の求めるところに従って、上げるものは上げてみる。  そうすると、上げると大変よけい苦しくなる、苦しくなったらその苦しさの中で道をどうやって開くかを考えていかなかったら、いつまでたってもこれはよくならない。いっそのこと、もうこれ以上は後ろに下がれない、下がったら断崖絶壁、そういうようなところまでちゃんとやらなきゃならぬことはやってみて、その断崖絶壁のへりへ立ってどうやって道を見出すかを考えたら、意外と道が開けてくるんじゃないかなと思うのです。その点どうでしょうか。まあ、そんなこと言っても無理かな。
  136. 土屋佳照

    土屋政府委員 私どもが大変つらいのは、第一次のオイルショック以来どうも景気が落ち込んでしまいまして、まさに収支の不均衡、いわば構造的と言ってもいいぐらいに、行政水準というものはそれまでに培われてきた一定の水準というものを守らなきゃならぬ、ところが非常に税収が落ち込んで、当然にそこにはギャップが生じてまいります。一方では、景気回復のために借入金をしてでも公共事業を中心に財政需要をふやしていこう、こういうことでございましたために、もう先生御承知のように、国も地方も大変大きな赤字をしよい込んでしまったわけでございまして、そういう大変厳しい中でございますので、地方が財源不足であるという際に、国と地方との基本的な財源配分の方式でございます交付税率を引き上げるということができなかった。  そこで、先生いつも御指摘になっておりますように、いわば暫定的な形で借入金に頼ってきたということでございまして、五十四年度に至っては借入金を含めて交付税として確保した額は、国税三税の四七%にも当たるような状況になったわけでございますが、その根源は、やはり国の財政もきわめて厳しくて、同じ財源を分かち合うのに、地方の方だけ非常にふやしていくということができなかった、希望してもなかなか壁が厚くてできなかった、それが事実でございまして、私どもとしては、今日においてもそういった状態でございますので、交付税が本当に健全性を取り戻して力を発揮していくということになるためには、思い切って税率を上げたらどうだ、こういう御指摘でございましたが、なかなかそれがやりにくい状況でございます。  そういった中で原資として考えてみましても、なかなかいまの状況でこれ以上国民の負担をふやすということは容易ではございません。国民がまたそれを望んでもないわけでございますので、やはり私は国、地方を通じて行政全体を見直して、思い切った簡素合理化を図っていかざるを得ない。そういった面で、本当に必要な歳出を組んでいく、そして負担をふやさない中で合理性を求めていくことが、今日求められた課題であろうと思っております。  ただ、その中でも行政の見直しの中では、私どもとしては、やはり住民に近い行政は地方団体が行う、総合調整能力を持った地方団体に行わせる、これが大事だと思っておりますし、その意味地方の自主性、自律性というものを強化する方向で改革がさるべきであって、それに応じて財源配分ももう一回見直されるべきである。その際において、いまの交付税率を含めて財源配分のあり方がいいのかどうかということを考えていかざるを得ないのではないか。今日に至っては、まさにそういうところを真剣に考える状況になっておるのではないだろうかというふうに考えておるところでございます。
  137. 田島衞

    ○田島委員 局長の言うところは私にはよくわかるのです。この前もそのために、大蔵大臣がこの委員会に来たときに、専門にそのことを取り上げて質問をしてみたわけですけれども、国の財政事情がうんとよくて、そして必要に応じては交付税率のアップもできる、あるいは税配分といいますか税財源の配分ももう一回考え直してみて、地方を少しは楽にしてやろうというぐらいのことが国でできるほどの余裕ができれば、これはまたいいわけです。ところが国の財政が非常に苦しい。だけれども、自治省とすれば、むしろ地方団体を背中にしょって大蔵とさしでけんかするぐらいのつもりになってやらぬと、なかなかうまくいかないと思うのです。  だから大蔵大臣にもそのことについて、協力してやらなければどうしようもないじゃないかということを言ったんですけれども確かに国の財政も苦しい。苦しいけれども、その苦しくなったのは、聞けばすぐ石油ショック後のどうのこうのと言うけれども、そうじゃなくて、やはり財政のかじ取りのまずさだ。  たとえば、財政再建の一番大きな柱に、特例公債をなくしたいということを盛んに大蔵は言っておりますけれども、じゃ、その特例公債というのはだれが出したのか。別に国民が特例公債を発行しろと言ったわけじゃない。大蔵が発行し、議会がこれを認めた。だから、認めた議会にもその責任はあるけれども、そもそも出した方の大蔵が一番大きな責任がある。  特に特例と名のつくもの、これは交付税法の改正なんかにも、やむを得ず特例措置、特例措置と次々出てくるわけですけれども、本来特例措置とは読んで字のごとく特例であって普通はやるべきじゃない。もうやむを得ずやることであって、そのやむを得ずというのは短時限、たとえば国の特例公債についても本当は単年度で終わるべきものだ。一歩譲っても両年度、二年ぐらいでやめるべきものを毎年毎年、しかも増額して特例公債を発行したなんてばかなやり方をすれば、国の財政がおかしくなるというのはあたりまえの話。だれのせいでもない、これは大蔵省そのもののやり方のまずさ。  そんなことですから、必ずしも国の財政事情の悪いのは、だれがやってもやむを得ない状況じゃない、やはり大蔵のかじ取りのまずさというのがあるはずなんですから、自治省側は地方団体のために少し大蔵とけんか腰でかけ合うぐらいのつもりでやってもらわなければ、この交付税制度はなかなかよくならないと思うのです。したがって、何とか、今度の改正ではそれは無理でしょうけれども、近い将来、税率の改正か制度の抜本的見直しかくらい、この大蔵相手にかけ合ってみるような意欲といいますか、大臣どうでしょうか、ありませんか。
  138. 世耕政隆

    世耕国務大臣 税率の改正というのは、いままでも大げんかというわけではないですが、何回となくこちらからも提案し、協議してきたところでございます。ただ、現在のような国の財政事情の中で、まあ、国も地方も言うなれば両輪のようなもので、そういう意味で、国がぐあいの悪いときはこちらもある程度協力しなければならぬ、それから、こっちがぐあい悪いときはもちろん国に協力してもらわなければならぬ、そういう相互関係のことがありまして、なかなかそれ以上、現状の財政状況の中では進捗しないということでございます。
  139. 田島衞

    ○田島委員 何せ、たびたびしつこく言うように、いまのやり方のままだと、ちょうどお天気早くよくならぬかなと待っているみたいなもので、お天気相手。景気がよくなって、税収でもうんとよくなってこないかな、そうでもない限りはしようがない。その場限りのかっこうだけつけて、収支のバランスだけとるということに終始してしまう。まさに、収支が終始してしまうわけですけれども、それじゃ余りにも能がなさ過ぎると思うのですね。  景気がよくなれば、どなたがやっていようとやっていまいと、政治があろうとなかろうと、経済が、行政がうまかろうとうまくなかろうと、それはかつての高度経済成長時代みたいなことがあれば、みんなで居眠りしていたって、ひとりでに交付税制度なんというのはぱっとよみがえりますよ。だけれども、それじゃせっかく有能な皆さん方がいる意味がない。普通だったら、なかなか悪天候続きでうまくいかぬというところを、それが人間の知恵で何とかその中でなおよみがえりを考える。ここに行政手腕というものもあるし、政治力というものも認められてくるのじゃないかな、こういうふうに思うゆえに、むずかしいことは承知の上で何回も何回も言うわけです。  いまのままで制度の見直しもやらない、税率も変えない、ただ特例交付金で出したものを今度は借り入れにするとか、それから、こういう特例法を設けるとか、特例、特例、特例ずくめ、ただこっちのやり方をこっちのやり方に変えたとか、ただ形をちょこちょこ、服の上着をかえているだけで中身はちっとも変わってない。  これは、もうだれが見てもそうだと思うのですよ。それじゃ、中身はどんどんやせ細って、骨と皮だけになってしまう。それだけに自治省とすれば、一面においては、地方団体を背中にして、地方自治を本当に守るために、どんなことをしてでも、交付税制度はちゃんと生きているんだというような、本当の改正らしい改正を考えてもらわなければ、余りにも情けなさ過ぎると思うのです。  さて、ただその税率を上げ、制度の抜本的見直しをやれというだけじゃありませんで、先ほど土屋局長からも触れられたようですけれども、もう一面、地方財政の中の基準財政需要額下これをもう一回厳密に見直してみることもやはり大変大事な仕事だと思うのです。その見直しの中には、今度も少しは手直ししていただいたように、どう考えたってこの単位費用じゃおかしいよという単位費用をいい意味で改正していただくこともそうだろうし、それからまた、そのほか当然見てやらなければいかぬなと思うものは、どんなに交付税財政が苦しかろうと何だろうと、見るものは見る。見て、足りない額は足りない額としてはっきり出す。と同時に、これは国よりもはるかに地方団体の方が一歩も二歩もよ過ぎるじゃないか、国のレベルよりはるかにいいじゃないかというような行政サービスから出ているところの財政需要額については、もっと厳しく見たっていいと思う。  それを私は特にきょう言いたいわけなんですが、地方自治を守るために当然出してやらなければいかぬなと思うものは、ふところがどんなに苦しかろうと何だろうと、認めるものは認めてやる。そして、はっきり不足額は不足額で出す。そのかわり、これは少しよ過ぎるよ、国だってそんなとこまでいってないじゃないかというようなことは、たとえば人件費であろうと、福祉の行政であろうと、公営企業であろうと、余り公営企業を言うと怒られちゃうかもしれませんけれども、締めるところはうんと締めたっていいと思う。それがもういまやるときだと思いますよ。  いまみたいに、財政的にきりきり詰められてくれば、当然やるべきものがどんどん隠されていってしまうというか、見てやらなければいかぬものも見てやれないようになってしまう。だけれども、それはいけない。やはり見てやるべきものは見てやって、ちゃんと表へはっきり出しておく。そして、足りないものは足りないものとして、はっきり不足額は表へ出す。と同時に、これは行き過ぎだと思うものについては、遠慮なく見直しをしていくということが必要なんじゃないか。その点について、どうでしょうか。
  140. 土屋佳照

    土屋政府委員 現状においては財政全体が大変悪化しておりまして、財政そのものが景気の調整機能を果たすにはかなり対応力をなくしておる状況でございます。そういった意味で財政再建が急がれておるわけでございまして、そういった状況もとでは、なかなか国と地方との間の財源配分の方式を変えるというのがむずかしい。同じ国民から出てまいります税金を分け合うわけでございますから、地方財政状況から見て、こちらの方へよけいに配分しろと言ってみても、現状ではなかなかそれが進みにくい。そういった点でいろいろと御意見を賜っておるわけでございますが、私はそういう中でも、先ほど申し上げましたように、国、地方ともに全体的に行政を見直しまして、その簡素効率化ということを考えていかなければならぬと思っております。  しかしながら、まさにその地方団体所要の行政を執行するに必要な財源というものは、どうしても確保しなければなりません。もちろん、それも国民がどのような行政水準を望むかということとの兼ね合いでございますけれども、そのためには、いま御指摘のございましたように、どうしても必要な財政需要は見ていかなければならぬし、また改善すべきものも改善していかなければならないと思っております。  もちろん、その不要なもの、不必要なもの、それは常に見直しをいたしまして是正をしなければならないわけでございまして、給与の問題がちょっと出たわけでございますが、給与等については、私どもとしては地方財政計画上は国家公務員並みの財源手当てしかしてないわけでございますから、結局は一般財源等の中で地方団体がどのような運用をされるかという中で給与に重きを置いているといいますか、給与が高くなっておるというような団体もあるわけでございまして、これは財政運用上国家公務員に準ずべき給与が非常に高いというようなまた国民の批判もございますので、別な意味においていろいろと指導を強化していかなければなりません。  ただ、財政需要として見る限りにおいては、私どもはいま国家公務員並みしか見てないわけでございますが、先生のおっしゃいますのは、全体としてマンネリズムで見てきておるものが多いというような感じもするのでそこらを十分見直して、必要なものは思い切って見ていけばいいし、今日では余り意味のないというものは思い切って整理をしたらどうかというような御意見だと存じます。そういった点についても、私ども、きわめて多岐にわたる行政の中身でございますから、十分に実態を把握しておるかどうかということについては今後とも一層研究をいたしまして、御指摘のような点に配意してまいらなければならないというふうに考えております。
  141. 田島衞

    ○田島委員 地方団体上下の間における財政調整にしても、国の交付税法に基づくどころの国と地方の財政調整のやり方にしても、別に特別いいところをつくってやろうというような調整じゃないんですよ。普通だったら、地方団体の場合地方自治の本旨からいって、そこの行政サービスについての費用というのはそこの住民が本来負担するのが当然。だけれども、そういうやり方でいくと、団体の中で富裕な団体もあれば大変財源の捕捉しにくい団体もある。その差によってそこに住む住民の受ける行政サービスに格差があってはまずいというところで、その格差のないように調整するために財政の調整措置というのは生まれてきたわけなんです。  だから、それだけに当然その格差をなくすために必要なものは、どんなに財政がどうだろうと、ふところが苦しかろうと、やはり見てやるものは見てやる。と同時に、どう考えてもこれは行き過ぎだよというものについては、これまたそれなりの厳しい措置をとってしかるべきだと思うのです。  確かに、人件費その他については、財政需要額の手当てとしては国に準じてやっているんでしょうけれども、現実問題としてそれ以上に出せるということはそれだけ余裕があるということでしょう。それだけ余裕があるものが交付金をもらうということはおかしいじゃないですか。端的にそれだけのことは言えないだろうけれども、本来その交付金をもらわなければ困りますという立場だったら、国の措置額よりもよけいに払えるというのはおかしいですよ。必ずどこかにそれだけの余裕があるはずです。  大蔵省じゃないけれども、別に重箱の隅をつつくようにして、そういうところをほじくり出せというわけではありません。どこの団体だってどこの個人だって、多少のプライバシーというか多少の余裕があっていいと思うから、何から何まで洗いざらいというわけではありませんけれども、少なくとも交付金を受けながら国の措置額よりよけいに給料を払ったり、もっとすばらしいサービスを住民に提供できたりするというのはやはり行き過ぎだ、いまのような、国、地方を問わず財政事情の厳しい中では、やはり考え直されるべきだと私は思うのです。  それだけに、先ほどから申し上げているように、一方においては自治省はやっぱり自治省だから、地方自治を守るためには地方へ向いて小言を言うんじゃなくて、国の方へ向いて、こういうふうにしてやってもらわなければ困るじゃないかという強い姿勢で、もっと抜本的な制度の見直しなり税率のアップなりを考えてやってもらう。と同時に、そうやって一生懸命あなたたちのためを心配しているんだから、あなたたちだってこういうところはこういうふうに改め、この点についてはこうしてくれなければ困るよということで、地方団体に対しても注文を厳しくつけていいと思う。  また、注文を厳しくつけると同時に、何でこれ見てくれないのですかと言って、なるほどな、それは気の毒だなというのを見ないで落っことしていくというのはこれは悪いんで、その見直しもちゃんとやってやる。物事は原点に戻って、やっぱりいいはいい、悪いは悪い、白は白、黒は黒、足りないものは足りない、要るものは要る、要らないものは要らないで、はっきりさした上で、その上で要るんだったら出す。出すことによって苦しかったら、断崖絶壁の上でどうやってその足元を持ちこたえるかを考える。そこに本当の行政改革が生まれてくると思うのですよ。  きょうは、聞くんじゃなくて私がひとりで何かしゃべっちゃったようですけれども、どうでしょうかな。
  142. 土屋佳照

    土屋政府委員 受益と負担といった関係で、そこが適正に行われるということが大事なことだと思うのでございますが、そういった意味では私は、地方団体が行う仕事もできるだけ自主財源、地方税を中心として賄われることが大事なことだと思っております。しかし、先ほど先生御自身、御指摘いただきましたように、税源の偏在があるということで交付税制度が設けられまして、それによって財源調整が行われ、標準的な行政がすべての地方団体においてできるように、そういった仕組みになっておるわけでございます。したがいまして、その使途については別に制限はないわけでございますけれども、全体としての行政というものは、やはり国民の信頼を得られるような形で行われるべきだと思っております。  そういった意味で、たとえば極端に給与水準が国家公務員の水準より高いといったようなことについては、やはり地方団体みずからがこれは反省し、自律的に是正されていくべきものだと思い、また、私どもも現実にそのような指導をしておるわけでございます。ただ、普通交付税そのものは、あるべき行政というものを皆がひとしくできるようにやっておりますので、地方団体の自主的な財政運営によっていろいろな適正化が行われることを私どもとしては期待をしておるわけでございますが、たとえば先般申し上げましたように特別交付税におきましては、国の基準を超えて期末勤勉手当を出しておるようなものについては、やはり財政的な余裕があるのではないかということで、財政需要を見ていきます場合にその点を配慮するということもしておるわけでございます。  いずれにいたしましても、先ほどからおっしゃいますように、私どもとしては地方団体の自主性、自律性を尊重して、それを伸ばす方向努力もいたしますが、全体としてやはり国民から批判を受けるような、国民の信頼を失うようなことがあっては、逆に地方自治の信頼を失わせるということになってまいりますので、そういった点については、できるだけ地方団体について助言、指導もしておるわけでございます。  また逆に、地方団体の自主性、自律性を阻害するような関係省庁に対しては、そういうことのないように毎年いろいろな注文をいたし要請をいたしまして、是正に努めておるところでございます。力及ばず、いろいろな問題点がまだあることは承知をしておりますが、今後ともそういった点については十分配慮し努力をしてまいりたいと思っております。
  143. 田島衞

    ○田島委員 一般に自転車操業というのがありますけれども、ちょうどいまの交付税制度というのは自転車操業みたいなもので、早く、こがぬでもひとりでに走るような坂道、下り坂のところに来ないかなといって、一生懸命期待しているようなかっこうなんですね。うまい下り坂が来ればいいけれども、それはなかなか期待できない現状だと思うだけに、ぜひとも非常な決意を持って、たとえ半歩でも一歩でも、いまのような改正による手法じゃなくて、明らかに前進だな、間違いなく改正らしい改正だなと認識されるような改正の手法を生み出すために、せっかく御努力いただきたいことをお願いして、時間は大変まだあるようですけれども、私は質問を終わります。
  144. 中山利生

  145. 臼井日出男

    ○臼井委員 地方交付税法の改正に伴いまして、関連をいたして幾らかの質問をさせていただきたいというふうに考えるわけでございます。  当委員会における世耕自治大臣の所信表明文を拝見をさせていただきました。  昭和五十七年度地方財政対策は、「昭和五十年度以降累積してきた巨額の借入金の返済等を考慮すれば、依然として厳しい環境に置かれている」としながらも、「歳入面においては、地方交付税所要額を確保する等の措置を講じ、歳出面においては、地方単独事業費の規模の確保に配意しつつも経費全般について徹底した節減合理化を行うこととすること等により、」単年度ではあるが収支が均衡する見込みである、そういうふうに述べておられるわけであります。五十七年度の地方財政計画は、規模を歳入歳出ともに四十七兆五百四十二億円として、前年度比五・六%の増加と見込んでいるわけであります。  地方交付税制度についても、本委員会でも従来からいろいろな角度でもって質疑がなされてまいったわけであります。しかし、いろいろありますけれども、結論的に見ると、法定三税よりも九百三十六億円の増額をせねばならなかった。収支が均衡するというふうなことを言い切るには果たして本当に適切なんだろうかと、非常に危惧させられるわけでございます。たとえばこの中で償還の繰り延べを行っているわけでございますけれども、五十七年度においてそういう償還繰り延べがなければ、地方負担分としても二百億円強の償還が必要であるということを考えると、そういう表面上に均衡を見たというふうな表現は本当に全般的に見て適切だろうかと疑問に思うわけでございます。  そこで最初に、これによって地方財政の収支の基盤が基本的に改善されたとお考えであるのかどうか、また、収支が均衡したと言い切った点でどういうふうな影響があるかというふうなことも、あわせてお伺いをいたしたいと思います。
  146. 世耕政隆

    世耕国務大臣 お答えいたします。  五十七年度の地方財政の収支均衡は、確かに単年度では一応均衡が図られたのでございますが、その背景になっているのは、つまり地方交付税の増額措置をやった、それから交付税特別会計借入金の償還を後に延ばしておる、こういういろいろな背景がございまして、その中でまだ借入金が約五十兆ばかり残っておる、こういうことを背景に考えますと、単年度で収支の均衡が図られたとはいえ、これはあくまで仮の姿であって、私はなお今後とも非常に厳しいものがあるかと思います。  しかしながら、いろいろ操作いたしまして、いろいろ論議の中で述べられたのですが、国の方も財政状況が非常に苦しいので、こちらの方へ向かって少し貸してくれないか、立てかえてくれないか、後でどこかで借りておいてくれというので、後は国の方でもまた自治省を通じて地方団体の方へ自分らが保証して金を返して利子も払うから、こういうようないろいろなやりとりの事情がありまして、今回の五十七年度の財政措置になったわけでございますが、決してこれが本当の健康体になった地方自治の財政であるとは、まだまだ言い切れないものが多くあるわけでございます。
  147. 臼井日出男

    ○臼井委員 最近財界筋等で、私ども交付税の引き上げということを考えるわけでございますが、逆に切り下げというふうな意見も出てきているわけでございます。これはいろいろな考え方があると思うのでございますが、交付税を切り下げるという背景には、そう言っては大変申しわけないと思いますけれども大臣初め自治省の皆さんの考えの、とりあえず均衡したんだということを表面上だけ受け取って、それを論拠にして財政再建と絡めながら発言をしておるというふうな危惧を感じるわけでございます。自治省におかれましても、そういう発言をされる方には、そういう点はよくよく御納得をいただくような措置をとっていただきたいと考えるわけでございます。  私は、議員になりまして二年になっておらないわけでございます。この委員会に配属をされましていろいろ勉強している中で、地方と国の関係というのは非常にむずかしいということを特に感じるわけでございます。特に地方交付税制度というのは、非常に複雑な仕組みになっているわけでございます。恐らく大臣も、何年度ではどういう形で地方交付税の総額を確保したかと言われても、急にはわからないんじゃないだろうか。それくらいその年々でやり方も違いますし、本当に場当たり的な感じもしないではないという感じを持っているわけでございます。特にこういうふうな制度でございますと、一般の人たちにはきわめてわかりづらいというふうな感じを持っております。  いま、第二臨調の第三部会で、国と地方の制度のあり方をいろいろ検討していただいているわけでございますけれども、私は、国と地方のあり方の再検討ということを考えるならば、まず地方交付税制度をもっとすっきりした形にするということが大切じゃないだろうか、いろいろな制度をいじる前に、国と地方関係という中で、地方交付税制度がすっきりとしたものになるならばもっといいんじゃないだろうかというふうに考えているわけでございますが、いかがでしょう。
  148. 土屋佳照

    土屋政府委員 確かにおっしゃいますように、きわめて多岐にわたる行政内容にかかわるものでございます。地方団体は、国との関連において関係省庁とすべて絡んで幅の広い仕事をしておるわけでございますので、その財政需要を算定するということになりますと、非常に複雑になってくるのはやむを得ない面もございます。特に交付税は、地方税だけでは不足する一般財源を衡平に補てんしますために地方団体に交付されるものでございますから、財政需要につきましても各地方団体の現実の財政需要をそのまま算定するのではなくて、基本的には合理的かつ妥当な水準における、いわばあるべき財政需要として算定をするという形になるわけでございます。したがいまして、基準財政需要額につきましては、単位費用に測定単位の数値を乗ずるというのが基本になるわけではございますけれども地方団体の置かれた条件の差をできるだけ反映したいということからいろいろな補正係数というものをつくって、それを乗ずるということによりまして、いろいろな工夫のもとに客観的でかつ衡平な算定に努めてきておるわけでございます。  また、いろいろな地方団体の要請も相当ございまして、その都度都市については都市的な要素を入れるとか、農村部については農村部の要素を入れるとかいろいろやっておるうちに、率直に申しまして、おっしゃるようにだんだん複雑になってきたわけでございます。そういった点でやむを得ない面もございますが、そのことによって一方では、交付税制度が非常に難解なものになっておることも事実でございます。  私どもとしても、従来から算定方法について簡素合理化に努めてきておるわけでございます。たとえば、最も普遍的な人口なり面積なりというものがもっと端的に幅広く使えないかというようなこともございますが、それだけではどうも条件の差を満たし得ないといういろいろな問題がございますために、おっしゃいましたようなこともございます。しかし、御指摘の点はごもっともと存じます。今後とも交付税の的確でまた衡平な配分ということを置きながらも、簡素化について努力を重ねてまいりたいと思っております。
  149. 臼井日出男

    ○臼井委員 基本的にすっきりとした形にということになりますと、私はとにかく交付税率をもっと思い切って上げて、国と地方との貸し借りをその中でお互いの話し合いでもってやっていくということが一番いいのではないかと思っております。  これは、後ほどまたお話をさせていただきたいと思うわけでございますが、一体この複雑になったのは、いつごろからこんな形になってしまったのでしょうか。
  150. 土屋佳照

    土屋政府委員 過去いろいろな事例がございますから、いつごろからと画然とは申せないわけでございますけれども、本来は国と地方との財源配分ということで交付税率でぴしっと分けて、それで事足りればいいわけでございますが、かつての地方財政平衡交付金のように需要をそのまま見るというのではなくて、国税三税の三二%というものが地方のいわば共通の財源として与えられておる、それでやっていくわけでございますので、いろいろな事態に応じてその対応の仕方が変わってくる。しかし、わずかなもののために一々税率を上げ下げするといったようなことも、これもなかなかでき得ない。そういう基本的な仕組みが三二%と、これは四十一年からではございますけれどもなっておりますために、一々いじるということをしないで、おっしゃるようなだんだん複雑なことになってきた。  特に五十年度以降、国も地方も収支が極端に不均衡になってきたというところが一つの分かれ目だったように私は思っておりますが、このあたりから国も地方もどうにもならないということで、地方交付税法の規定によれば、地方交付税率を上げるかあるいは地方の行財政制度を改善するかしなければならないけれども、国としてもなかなかそれには応じ切れないというようなことで、だんだん複雑な状況になりました。  先ほど私は、算定方法等の複雑という面のみを強調いたしましたが、おっしゃいますように、本来すっきりしておるべきものが貸し借り等でもきわめて複雑になっておる、これは相当表で整理をしなければわかりにくいかっこうになっておる、その御指摘であったということをちょっとうかつにも答弁に漏れておったわけでございますが、御指摘の点、いろいろ過去にもございましたが、特に五十年以降さらにそれが激しくなってきたと言えるのではないかと思っております。
  151. 臼井日出男

    ○臼井委員 いまお答えがございましたとおり、特にこの制度が複雑になってまいりましたのは、昭和五十年度以降国の財政の赤字が大きくなった、それに伴って地方交付税も財政不足が大きくなったというころからでございます。そこで、私はこの交付税制度の性格が、地方固有の財源ということをよく言うわけでございますが、どうも税制の制度の発足以来一貫しておらないんじゃないだろうか、制度の性格が変わってきたんじゃないだろうかというような気さえしているわけでございます。  そこで交付税制度は、昭和三十年には国税三税の二二%ということであったわけでございますが、その後昭和三十三年に二七・五%、三十九年には二八・九、四十年には二九・五、さらに四十一年に現行の三二%というふうに、順次引き上げられてきたわけでございます。どうしてこの時期にこのように税率が引き上げられたのか、その基準は何であったのか、その背景となるものをお聞きをいたしたいと思います。
  152. 土屋佳照

    土屋政府委員 地方交付税法が制定されました昭和二十九年当時における地方交付税法本則の交付税率は、御承知のように二二%でございましたが、その後七回にわたって引き上げを行っております。それぞれ理由があったわけでございますが、その際の理由は、たとえば地方財源の不足に対処するため、要するにその当時における交付税率では地方財政を賄い切れないということで、それに対応するためということでございます。そういったこととか、あるいは国税の減税に伴う減収を補てんするということのために行ったというようなことでございます。  たとえば、三十一年の引き上げは地方財源の不足に対処するため、三十二年は国税の減税に伴う減収補てんということでございまして、三十三年の改正もそうでございますし、三十四年においても同じような理由でございます。四十年、四十一年も国税の減税が大きかったために、それによって地方財政の受ける影響が非常に大きくなった、そういったことで減収補てんという趣旨から引き上げを行ったということでございます。全般的に見れば、そういった理由の方が多いように思っております。
  153. 臼井日出男

    ○臼井委員 それでは、そういうふうに非常に小まめに引き上げた時期があったわけでございますが、その後四十一年以降は税率の引き上げが全くない。どうして今度はそういうふうになってしまったのか、その点についてお伺いしたいと思います。
  154. 土屋佳照

    土屋政府委員 四十一年度に現行の税率になりましてからは、さほど問題はなかったわけでございますけれども、五十年度以降、先ほども指摘がございましたが大変収支の不均衡の状態になりまして、特に五十三年度以降は、地方交付税法第六条の三の第二項に該当するような状態になったわけでございます。したがいまして、事情が許すならば、私どもとしては当然交付税率が引き上げられるべきであったと思っておりますし、また、事実毎年度、自治省といたしましては年度末予算編成前におきまして、大蔵当局との間で交付税率の引き上げを強く要求してまいったわけでございますが、国の財政も、御承知のように膨大な特例公債を発行しなければならないような大変厳しい状況にございました。そういったことで、なかなか交付税率の引き上げまでには至らないということで現在のような、五十三年度以降とりましたように交付税特別会計において借り入れて、その返還金の実質二分の一は国が負担をするという形で処理をしたということでございます。
  155. 臼井日出男

    ○臼井委員 四十一年までの状況とそれ以降少なくとも五十年までの状況とは、またバックグラウンドが違っておったというふうなことだろうと思います。それに従って交付税のあり方も当然変わってきた。私は、それはそれで当然あるべき姿であっていいと思うのでございますけれども、しかしお話がございましたとおり、五十年以降はまたさらに社会の背景が変わってきた、そういうふうなことが言えると思います。  昭和四十八年の第一次オイルショック以来、経済のあり方というものが、世界経済の影響、オイルショック等によりまして不況を余儀なくされたわけでございます。わが国におきましても、大幅な国債の発行で歳入を補っていくことになったわけでございまして、地方においても大幅な財源不足を交付税特会から借り入れたり、あるいは地方債の増枠によって何とかしのいできているというのが現状でございます。  地方交付税法の第六条の三の二項によりますと「毎年度分として交付すべき普通交付税の総額が引き続き第十条第二項本文の規定によって各地方団体について算定した額の合算額と著しく異なることとなった場合においては、地方財政若しくは地方行政に係る制度の改正又は第六条第一項に定める率の変更を行うものとする。」というふうに規定をされているわけでございます。この条文の中に「総額が引き続き」という文句があるわけでございますが、これは一体具体的にどういうことを意味するのか。また、「著しく異なる」ということもございますが、これも具体的にどういう状態を指すのか、お聞きをしたいと思います。
  156. 土屋佳照

    土屋政府委員 お示しのございました地方交付税法六条の三の第二項の規定の中で「引き続き」と申しますのは、二年度間引き続いて過不足を生じて、三年度目以降も過不足が見込まれる場合を指すというふうに解釈をされてきております。また、「合算額と著しく異なることとなった場合」というのは、過不足が普通交付税所要額の一割を超えるような場合を指すというふうに解されております。
  157. 臼井日出男

    ○臼井委員 いま御説明のあったように、「引き続き」とは二年間赤字でもって三年目も赤字が見込まれるときだ、「著しく」というのは赤字が交付税の総額の一割を超えるときだということが理解できたわけでございます。  実は、昭和五十年度地方財政計画補正で二十二兆三百三十二億円に対し、財政不足が二兆一千八百三十一億円、五十一年度が当初予算二十五兆二千五百九十五億円に対し、不足額二兆六千二百億円、昭和五十二年度が二十八兆八千三百六十五億円に対して、不足額が二兆七百億円、まさに六条の三の二項に該当する状況というものを来したわけでございます。  このときは政府の方は附則八条の三によって、交付税特会の借入金純増加額の二分の一相当額の臨時地方特例交付金を一般会計から措置するというふうなことでもって制度の改正をして乗り切ったわけでございます。しかし、いままでずっと見てまいりますと、これは後の祭りですけれども、このような措置で切り抜けたのが果たして正しかったのだろうかというふうな感じがするわけでございまして、もしお答えがいただけるならば、やはりこの時期に交付税率の引き上げをすべきではなかったかということについてどうお考えか、お聞きしたいと思います。
  158. 土屋佳照

    土屋政府委員 御指摘のように五十年度以来大幅な財源不足を生じたわけでございまして、そのために何らかの措置をしなければならぬということになって、先ほども申し上げましたが、むしろ交付税率を引き上げなければならないという方に重点を置いて、実は大蔵当局といろいろ折衝してきたわけでございます。しかし、これもたびたび申し上げて恐縮でございますが、当時国自体も、借金をしてでも景気浮揚をしなければならないという立場にございましたために、かなりな特例公債も発行するような形になっておりまして、大変厳しい状況にございました。  そういった中で、やはり国と地方が行政を分担し合って進めていっておるわけでございますから、交付税法の第六条の三の第二項の規定がございますけれども、その実情のもとにおいて配分率を変えるということは、なかなか全体としての行財政運営が円滑にいかないといった状況にあったわけでございまして、かなり激しい折衝の結果が、いまのような八条の三の規定を設けて借入金の実質二分の一を国が負担するという形になったわけでございます。  たびたび申し上げますように、私ども立場からすればこれは不本意なやり方だと思わざるを得ないのでございますが、また一方、国全体から見ればやむを得なかった措置でもあるということでございまして、そのとき上げなかったことを反省すべきではないかとおっしゃる意味においては、当時から同じ気持ちであったわけでございますけれども、現実の判断は、国全体の状況から見ていまとっておる方法でやむを得なかったものだというふうに考えておるところでございます。
  159. 臼井日出男

    ○臼井委員 私どもはおのおの政党を異にして出ておりまして、この委員会でも与党、野党激しくつばぜり合いをするような場面も当然あるわけでございますが、ただ、私はほかの委員会と一つ違うと思っておりますのは、私どもこの委員会におる国会議員は皆地方の味方であるという点で、与野党ともに共通した意識があるというふうに考えているわけでございます。それと同じように自治省というのは、いろいろな省庁はありますけれどもほかの省庁と異なるのは、基本的に地方団体に対する庇護の役目をするのだという気概だろうと私は思っておるのです。これからもいろいろな面で大蔵省との厳しい闘いがあろうかと思いますけれども、そういうときには将来のことを十分勘案して、がんばるところはぜひともがんばっていただきたいというふうに御激励を申し上げる次第でございます。  さて、昭和五十六年度の概算要求の際に、自治省は五%の交付税率の引き上げを要求されたというふうに伺っているわけでございますが、これは三二%プラス五%の三七%だということであります。もちろん、これを要求するに際してはそれなりの基本的な考え方があったろうと思うわけでございますが、自治省としてはこの三七%が五十六年度の時期に最適な率であるという確信を持って、またそういう計算もとでお出しになったのかどうか、確認をいたしたいと思います。
  160. 土屋佳照

    土屋政府委員 年末において折衝いたします際に、私ども立場において財政収支の見込みを立てましてこれだけの財源不足がある、これを埋めるためにはこれだけ要るということでちゃんと計算をいたしまして、将来のことも考えるならば五%程度必要だということで折衝したわけでございます。もちろん大蔵当局においては、財政収支の見込みはそのようにはならないというようなまた別途の資料もございましたが、私どもとしてはそれなりの根拠をもって折衝したわけでございます。
  161. 臼井日出男

    ○臼井委員 臨調の第三部会でそろそろ改革原案も出てきて、まとめの段階に入っているわけでございますが、この中を見てみますと、地方交付税制度の見直しというふうな項目も当然入ってきているわけでありまして、その中に交付税の年度間調整制度の導入の検討が必要ではないかというふうなこともあるわけでございます。もちろん現在でも、別の意味での年度間調整というのは当然されているわけでございますけれども、私は、先ほど申し上げましたようにいまの交付税制度が余りにもむずかしい、複雑であるということを考えたときに、交付税率を適当な高さに引き上げて、その中で大きく年度間の調整をするといった抜本的な改革をすべき時期に来ているのではないだろうかというふうな考えも持っているわけでございます。こうしたものは、実際に原案が出てみないと何とも言えないと思うわけでございますが、ひとつ自治省におかれましても、こういう点について積極的に御検討いただきたいというふうにお願い申し上げる次第でございます。  去る四月八日、渡辺大蔵大臣に当委員会に御出席をいただきました。いろいろな質疑が行われたわけでございますが、その際にも、五十六年度税収は当初見積もりよりも数%足りないだろう、そのパーセンテージも一%から九%まであるけれども高い方の数字である。そして議員から、七%ではないかという御質問もあったわけでございますが、それに対しても否定はしないということでありました。また、お聞きしますときょうの閣議でも、七、八%の予想が立つという御見解を示されたということも伺っております。そういたしますと、大体二兆円前後の税収不足が考えられるわけでございます。  五十六年度の税収不足の正確な額が確定いたしますのは、三月決算の会社の法人税がわかる五月末になるというふうな見通しだそうでございますけれども、その法人税収も、最近の企業収益の見通しでは明るいものではないということも言われております。二兆円から二兆三千億円という大幅なものはほぼ確定をしているというふうに見られているわけでございます。  きょう大蔵省に来ていただいておりますが、この五十六年度の税収見込みというのは、ほぼこのとおり間違いないか、お伺いをしたいと思う。また、続いて五十七年度の見通しについても、現在お答えできる範囲のものをお知らせいただきたいと思います。
  162. 真鍋光広

    ○真鍋説明員 五十六年度税収につきまして、これまで判明いたしておりますのは、二月末税収までの実績でございます。これによりますと、累計では前年比が一〇%の伸びということでございます。補正後の予算伸び率は一八・五%を見込んでおりますので、かなり低い水準になっております。また、進捗割合ということで見てみますと、昨年度に比べて五・二ポイント程度下回っているということになっております。  そこで、これまでのこういう実績を前提にしまして、果たして五十六年度税収どうなるのかということだと思います。先生先ほど御指摘もございましたように、大口の三月決算期の法人の法人税が判明いたしますのは五月末ということになります。そういうことも織り込みまして、五十六年度の税収が最終的にわかってくるのは七月の初めぐらいになるということでございますので、それまでの間に、五十六年度の税収がどういうふうになるか、あるいは減収額が具体的にどうだというふうなことは、これまでの実績から推測する以外に、現段階で申し上げるということはなかなかできないと思います。  それから、御質問の第二の五十七年度の見通しでございますけれども、五十七年度の見通しにつきましては、私ども、昨年末の予算編成過程におきまして、政府経済見通しのベースとなっております基本的な計数等をもとにいたしまして、また、経済状況等をよくよく勘案いたしまして、税収見込みを立てたわけでございます。  その際に、私どもの考えの基礎となりましたのは、五十七年度の内外の経済環境がどうであろうかということでございました。これにつきましては、第二次石油ショック直後の五十五年度、五十六年度に比べれば好転すると見込まれるというふうに考えております。また、五十七年度予算におきましても、限られた財源の中で景気の維持拡大を図るために種々配慮するというところでございますし、今後の適切な経済運営もとにおきまして、経済成長率はやはり五・二%程度になるというふうに考えておるわけでございます。  そこで、そうしたものを前提といたしまして、五十七年度税収がどうなるかということでございますが、いずれにしましても、五十六年度の税収がただいま申しましたように、どの程度の減となるかと申し上げ得る段階にないということ、また、五十七年の経済につきましては、ただいま申し上げましたとおり、内需を中心に回復基調にあるというふうに考えられるととろでございますし、また、いわゆる土台減が直ちに五十七年度税収に影響するとは必ずしも考えられない。いずれにしましても、五十七年度はまだまだ始まったばかりということでもございますし、五十七年度の税収につきましては現在議論すべき段階にはないというふうに私ども考えておる次第でございます。
  163. 臼井日出男

    ○臼井委員 お答えはよくわかりませんけれども、この前大蔵大臣がおいでになったお話で、大体そんなことでいくのだろうと思うわけですけれども、仮に新聞に出ておりますように、五十六年度の税収が二兆円の不足を来すとするならば、税収不足に占める国税三税の割合を八割というふうに仮定をした場合に、五千百二十億円の地方税の不足というものが見込まれるわけでございます。これが八%ということになればさらに大きくなるわけでございますけれども、この概算で五千億円を超える税収不足というものは、五十七年度以降何らかの措置をとらなければいけないわけでございます。ことしのようにやるとするならば、五十八年度でもって五千億程度の精算減額というふうなことも考えられるわけでございます。  地方団体は、政府のその年の経済見通し前提として、地方財政計画というものを政府に合わせてつくっているわけでございます。こうした政府税収見積もりの間違いによる地方税の総額の不足について、これは政府としても大きな責任があるというふうに考えられるわけでございます。政府として、これは先のことでございますので、いろいろな処理の方法が考えられると思いますけれども地方団体に対して迷惑をかけることのない、何らかの有効適切な処置をとることができるか、またその決意についてお伺いをしたいと思います。
  164. 世耕政隆

    世耕国務大臣 もし仮に五十八年度、精算減に基づくいろいろな措置を講じなければならない場合でございますが、その場合には、その年度の地方の収支の状況それから交付税の総額がどのくらいあるか、そのときそのときの地方経済、財政の状況、いろいろなことを勘案して、いろいろな状況を綿密に考慮に入れた上で、地方財政に悪い影響がないように対処してまいります。
  165. 臼井日出男

    ○臼井委員 先ほど私が申し上げましたとおり、臨調の方でも年度間調整について何らかの制度を考える必要があるというふうなこともある。そして、社会状況も変わってきて、三十年代のように大幅な税収見込みも立ってない。そうすると、やはり税率を上げるような状態というのは、いま、また再び近づいてきつつあるような感じもするわけでございます。五十六年度の五千億の精算、そしていま考えられるところでは、五十七年度もやはり大きな税収の不足が考えられるわけでございますが、こうした状況が重なってくる中でもって、将来、その処理の方法として、法定三二%が引き上げられるような、そういう環境が近づいてきているのじゃないかという認識を私も持っているわけでございますが、この点についてはいかがでしょう。
  166. 土屋佳照

    土屋政府委員 五十七年度の地方財政が結論的にどういうふうになるかということはまだ予断を許さないわけでございますが、私どもとしては、所要の財政需要に対しては必要な歳入を確保するということで、地方税についても税務当局においていろいろと試算をした上で計上しておるものであり、これは確保できるというつもりでございます。  交付税につきましてもいろいろと御意見はあるわけでございますが、一応国の予算として計上されておるものは、これは確保できるわけでございまして、いろいろな変動が仮にありましょうとも、私どもとしてはこの額は確保するつもりでございますから、五十七年度は何とか運営ができる。ただ、いま御指摘がございましたように、五十六年度で仮に国税三税について減収が出てまいりますとすれば、これは五十八年度で精算されて減になるわけでございますから、五十八年度の景気状況がどうなのか、交付税総額がどの程度出てくるのか、収支の見込みがどうなるかわかりませんけれども、必要な交付税額は確保しなければならない。その精算減によって相当ギャップが出てくることによって、また地方交付税法第六条の三第二項のような状況がだんだん出てくるのかどうか、また、五十七年度がどうなるかわかりませんが、五十九年度に精算減としてつながってくるのかこないのか、そこらを考えていきますといろいろと不安材料がないとは申せません。しかし私どもとしては、単年度、単年度の地方財政計画においては、必要な財政需要に対応できる財源というものは十分確保するつもりでございます。  その際に、確保の仕方として相当交付税の借り入れ等が出てくるならば、また三二%についての議論が出てくる可能性があるのではないかということについては、明確には申し上げられないわけでございますが、そういったことも含めていろいろな議論が出てくるかもしれないという気がいたしております。現段階においては、明確にどうなるということは予測できないわけでございます。いろいろ御懸念されておる点については、私どもとしても同じように関心を持っておるわけでございます。
  167. 臼井日出男

    ○臼井委員 今月の五日に成立いたしました五十七年度予算では、三十六兆六千億の税収が見積もられているわけでございます。この算定の土台である五十六年度税収が下方修正をせざるを得ない状況でございますので、当然五十七年度についても税収の不足は拡大をするというふうなことが考えられるわけでございます。また、政府見通しの名目成長率、五十七年度八・四%が民間予測に比べますと二%ほど高いわけでございまして、これも割引をする必要があるのかもしれない、五十七年度の税収不足は三兆七千億ぐらいになるのではないかと観測をしている民間金融筋もあるというふうな記事も見たわけでございます。そういうものをざっと交付税の方に試算をしてみますと、九千億円という数が出てくるわけでございます。  そうすると、五十六年度でもってすでに五千億が出た、五十七年度でも一兆弱のものが出てくるかもしれない。これは、多少基準としては多いのかもしれませんけれども、こういうふうなことがもうすでに予測されている状況でございます。このような状況を自治省としてはどういうふうに見ているのか、またどのように対処していくのか、お伺いをしたいと思います。
  168. 土屋佳照

    土屋政府委員 国税税収がどういうふうになっていくかということについては、私から申し上げられる立場にはないわけでございますけれども、五十七年度予算を編成される際に、国税当局といたしましては、国の経済見通し等を基礎にしながら、もろもろの資料をもとに過去の実績等も踏まえて確保できるものを計上されておると承知しております。経済情勢等なかなか厳しいものがございますから、私個人としてはいろいろ懸念材料がないとは思っておりませんけれども、今後の景気対策等いろいろと施策が講じられて、後半景気の上昇ということも考えられるわけでございますし、そういったことでできるだけ確保できることを期待もしておりますし、また確保できるように努力もされると思っておりますので、私どもとしては現段階においてはそのとおり確保できるものと思っております。  ただ、蛇足かもしれませんけれども、仮にの話で、それが減るということにでもなればどうかということにつきましては、先ほど申し上げましたように、交付税そのものは予算に計上されておりますから、補正が行われるかどうか私から申し上げられる立場にはございませんが、予算として計上されておるものは確保できるわけで、ただ問題は、それが仮に減ったとすれば、五十九年度精算減の問題が起こるということはあるかもしれません。しかし、現段階においては私どもは、政府全体として予測された経済の成長実質五・二%を確保する方向努力をし、かつまたそういう場合において所要税収が確保できる、そういうふうに考えておるところでございます。
  169. 臼井日出男

    ○臼井委員 先ほど来自治大臣初め財政局長お話を伺っておりまして、とにかく何が何でも、どういう状況になろうと総枠というものは確保していくのだというお言葉をはっきりお聞きをいたしましたので、ぜひともそういう努力をこれからお続けをいただきたいというふうに思っております。  さて、第二臨調の最終答申がこの七月に予定をされているわけでございます。国と地方のあり方を検討している第三部会の改革原案というものも先般新聞に掲載されておったわけでございますけれども、この内容を見てみますと、地方財政の基本的な改革に触れる問題も非常に多く含まれているように思います。他方、昨年の十二月に第十九次の地方制度調査会が発足をいたしたわけでございますけれども、その後この調査会の活動というものがどういうふうになっているのか、現況をお聞きいたしたいと思います。また、この調査会に対して自治省としては、何らかの諮問をするのかあるいはしないのか、その点についてもお聞きをいたしたいと思います。
  170. 小林悦夫

    ○小林(悦)政府委員 ただいま御指摘がありましたように、第十九次の地方制度調査会が五十六年十二月七日に発足いたしたわけでありまして、五十七年一月十四日に開催されました総会におきまして、当面は学識経験者による小委員会を設置してそこで審議していこう、こういうことになっておるわけでございまして、十八次から引き継ぎました検討項目を中心として審議していく、こういうことにされたわけでございます。  小委員会は現在まで二回開催されまして、十八次から持ち越された項目のうち、広域行政のあり方、さらに地方税財政の抜本的改正につきまして、中長期的な展望に立って検討すべしということを決めていただきまして、現在審議をいたしているところでございます。
  171. 臼井日出男

    ○臼井委員 小委員会を持ちながら第十八次の課題を検討していくのだというお話でございました。過去に第十七次の地方制度調査会では、非常に意義ある御答申もいただいているわけでございます。恐らくそうした流れの中で第二臨調第三部会のやがて七月に出てくる結論、そういうものと、地方制度調査会が第十七次に検討した項目、こうしたものの中では、内容の競合とかあるいは相反した意見というものも考えられるわけでございます。自治省としては、伝統ある地方制度調査会と臨調と、どういうふうに両者の意見の調整、融和を図っていくのか、お聞きをいたしたいと思います。
  172. 小林悦夫

    ○小林(悦)政府委員 御指摘のように、ただいま第三部会におきまして国と地方の機能分担、さらに地方財政というようなことが議論をされておるわけでございますが、今後、先ほど御指摘がありましたように、十七次の地方制度調査会におきまして非常に広範にわたる答申が出されておりまして、その中で国と地方を通ずる行政改革を推進する場合には、国、地方を通ずる行財政の簡素効率化、それから地方分権というものを基本的な方向として行うべきだということでございまして、事務の移譲さらには財源配分をそういう形で行うべきだ、こういうような答申もなされておりまして、第二次臨調におきましてもこのような方向に即しまして審議がなされ、答申がなされることを期待をいたしているわけでございます。  自治省といたしましては、臨調答申が出ましたときには臨調設置法の趣旨に基づいてそれを尊重しなければならないわけでございますが、それが地方自治制度の重要事項に関係する場合におきましては、地方制度調査会等関係方面の御意見を伺いつつ、地方団体の自主性、自律性、こういうものが強化されますように積極的に取り組んでまいりたいと存じます。
  173. 臼井日出男

    ○臼井委員 臨調第三部会の答申が間近に来ている、こういう時期というのは、国と地方のあり方について再検討をする、またいろいろな問題について検討をするまたとないチャンスだと考えております。  いま、臨調の第三部会の答申を踏まえて、地方制度調査会にもぜひとも基本的な問題については諮って、地方自治というものが発展をするような方向努力をしたいというお話をしていただきました。自治省についてもぜひとも最大限の努力をしていただきたいと思いますが、その御決意のほどをひとつお伺いしたいと思います。
  174. 世耕政隆

    世耕国務大臣 私どもも、臨調の答申が出てまいりました場合には、十分にそれを踏まえまして、また地方制度調査会の御意見、それから地方制度調査会の会長がまた臨調の委員として入っておりまして、十分に調整いたしまして、地方自治の向上、今後の国との配分のあり方、いろいろな角度から、われわれも十分に決意を固めながらそれに対応していく所存でございます。
  175. 臼井日出男

    ○臼井委員 次の質問に入らせていただきます。  昭和五十七年度における地方単独事業費は、地方財政計画中八兆五千五百億円で八・五%増、地方計画中一兆五千億円で八・〇%の増ということになっておりまして、国の公共事業がきわめて厳しい状況の中にあって、地方社会資本の計画的な整備と地方経済の活性化のために果たす役割りはきわめて重要であろうと考えております。したがいまして、八・五%増というこうした強化についてはもちろん賛成でありますけれども、しかし、それが単なる財源枠の強化に終わってしまうことがあってはならないと考えておるのでございます。要は、どのように有効に使われるのだろうかということが問題だろうと思います。  そこで、自治省では、単独事業が実際どのように実施されているのか掌握をされているかどうか、お伺いしたいと思います。
  176. 土屋佳照

    土屋政府委員 お示しのございましたように、私どもとしては、社会資本の計画的な整備を行う、それによってひいては地方経済の安定的な発展に資するということから、八・五%の伸びを見込んでおるわけでございます。私どもとしても、どうしてもこれを実効あらしめるということで、いろいろ地方団体に指導しておるわけでございまして、地方交付税なり地方債において所要の財源措置は講じたつもりでございますが、各地方団体の取り組み方というのはやはり地域によってまちまちでございます。  都道府県の五十七年度の当初予算の編成状況によりますと、単独事業費は、五十七年度に骨格予算を組んだ団体を除いて比較をいたしますと、対前年度比で五・九%の伸びにとどまっておりますが、団体別に見ますと、地方財政計画の八・五%を上回る伸びを確保しております団体が二十六になっております。一〇%を超える団体も十七あるわけでございます。しかし、それほど伸びてないところもございまして、都道府県全体といたしましては、いま申し上げましたように、単独事業費の伸び率計画伸びより下回っているわけでございます。  ただ、私どもとしましては、当初予算段階におきましては、地方税収を初めとして歳入を控え目に見て九月補正でかなりの肉づけを行うという団体も多い。これは過去の例に照らしてもそういうことでございますので、今後補正によってかなり伸びるのではなかろうかと思っております。たとえば、五十六年度におきましても八%の伸びを見ておりまして、当初懸念しておりましたけれども、昨年の九月補正における結果が約一〇・六%ということになっておりますので、最近のいろいろな状況から見て、かなり単独事業には関心を持っておるようでございます。こういった状況ではございますが、今後の補正等を通じまして、できるだけその実が上がるように指導してまいりたいと思っておるところでございます。
  177. 臼井日出男

    ○臼井委員 単独事業の計画決算の乖離については、一部には超過負担に回されているのじゃないかと言う人もおりますし、また、人件費に使われておるというふうなことを言う人もおるわけでございます。また、本当に地域経済の活性化のために必要としている団体に使われているのだろうか、ただ総枠を消化していけばいいということでは非常に問題があるわけでございます。単独事業の実施に際して、事業が実際に有効に実施されるかどうか、自治省としてもきわめて注意をして指導しなければいけないと考えておるわけでございますが、こういう点についてどのような指導をされようとしているか、お伺いしたいと思います。
  178. 土屋佳照

    土屋政府委員 単独事業はそれぞれの団体が実態に応じて施行するものでございますが、最近の状況から見まして、特に財政力の弱い地域において中小企業等を中心に地域経済がかなり疲弊しておることも事実でございます。そういった財政力の弱いところは、かなり公共事業に頼っておるという点もございますので、私どもとしては、本来は社会資本の整備ということが基本ではございますけれども、そういった景気の刺激にも資するというようなことも含めて、単独事業の伸びを見ておるわけでございます。  いま申し上げましたように、全般としては、一般財源のシェアも五十七年度ではかなり上がっておりますので、それなりに交付税措置もできたと思っております。また、地方計画におきましても一般単独八%の伸びを見ておりますし、特にその中の一般事業は二二・八%と異例の伸びを見せておりまして、いろいろと地方団体の要請に対応できるようにしたいと思っておるわけでございます。  そういったことのほかに、交付税の算定についても、地方単独事業を一定の水準以上に行ったところについてはもっと何らかの方法がないかということ等も検討いたしております。これは交付税の枠組みの中でどのようにしたらいいかということで、まだ結論は出しておりませんけれども、私どもとしても、いまのような状況もとでは、単独事業の推進ということはいろいろな意味で意義があると思っておりますので、いま申しましたいろいろな方法を講じながら、かつまた地方団体自体においても、抑制基調のもとでかなり締めてはおりますけれども、なお一般行政経費等の節約等によって財源を捻出しながら地方単独事業の実施に当たってもらいたい、そういった指導もいたしておるところでございます。
  179. 臼井日出男

    ○臼井委員 私ども、有効な御指導をいただきたいと思うわけでございます。  きょうは厚生省から萩原課長さんに来ていただいておりますので、最後にちょっとお伺いをしておきたいと思います。  五十七年度の予算編成に際して、厚生省では国民健康保険の国の負担分を十一カ月予算ということで組んであるわけでございます。これはゼロシーリングという厳しい状況の中のことでやむを得ないというふうに考えるわけでもございますけれども、じゃ地方団体では十一カ月というふうにはいかないわけでございまして、当然、国の都合でそういうふうに制限をされたわけでございますので、地方に迷惑をかけない措置というものは必要になってくると思います。この点についてお伺いをいたしたいと思います。
  180. 萩原昇

    ○萩原説明員 国民健康保険の補助金につきましては、国の補助金の支出基準を医療機関における診療時から保険者の支出時というふうに変更をいたしまして、実際の診療月の面で見ますと、五十八年の二月分までというふうに変更いたしたわけでございます。地方公共団体の年度区分は、従来どおり四月診療分から三月診療分ということでございますので、国からの受け入れば確かに十一カ月分でございます。この間の残り一カ月分につきましては、五十八年度の歳出から実際の市町村の歳出時に問に合うように繰り入れを行うという措置を講ずる予定にいたしておりますので、国保事業の運営には支障を生じないというふうに考えておるところでございます。
  181. 臼井日出男

    ○臼井委員 五十八年度の予算、まだ大分先でございますけれども、一説によりますと、五十七年度の場合はゼロシーリングだった、しかし五十八年度はマイナスシーリングだというふうな話さえあるわけでございます。したがいまして、この措置については、その時期になりますと、かなり大変な問題になるのじゃないだろうかと私は思っているわけでございます。  そこで、最後でございますが、自治省として、この問題について厚生省とどのように話し合いをして結論をつけていくのか。万一にもそごを来すようなことがあってはならないと思いますので、この点についての御決心をひとつお伺いしたいと思います。
  182. 土屋佳照

    土屋政府委員 五十七年度につきましては、国のいろいろな財政状況等もございまして、十一カ月予算ということになったわけでございますが、それでは地方の国保財政運営に支障を来しますので、私どもとしてはやむを得ず地方自治法施行令を改正いたしまして、五十八年度分のものを五十七年度へ受け入れて、支障のないように運用したいと思っております。  しかしながら、五十八年度以降、さらに厳しい財政状況が続くと思いますが、国保財政に影響のあるようなことが今後とられてはならないと思っております。前回は三大臣の合意のもとに十一カ月ということにはなりましたが、今後地方財政、特に国保財政の運営に支障のないように、私どもとしては強い態度で交渉いたしたいと思っております。
  183. 臼井日出男

    ○臼井委員 時間が参りましたので、以上をもって終わらせていただきます。
  184. 中山利生

    中山委員長 次回は、明後十五日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十三分散会