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田島委員 税にも
国税と
地方税との別がありますけれ
ども、特に
地方税の場合は、先般もこの
委員会でお互いに意見交換をしたように、
地方自治の本旨というものの中から酌み出せるところの
考え方からすれば、応益的なものだと思うのです。自治というのは、自分たちが、こういうことがやりたいな、こういうものが欲しいなというときに、それをやる費用は人のものを当てにするな、みんなで出し合ってやれ、わかりやすい話がこれが自治ですね。
したがって、むずかしい言葉で言えば応益性といいますか、その応益性というものを
考えると、いまの時期に私がそんなことを言ったらとんでもない話だということになりますけれ
ども、極端な話、現在の
所得割そのもののあり方だって、私は本当の公平じゃないと思うのです。
地方税の場合ですよ。
所得がうんとあるから、それだけその
割合に応じて出しなさいということは、公平のようで公平でない。
たとえば、うんと高額の
所得者といえ
ども、やはり道路
事情が悪ければ、同じぎゅうぎゅう込んだ道路で同じような苦労をしなければならぬ。あなたは
税金を大変たくさん納めているんだから、こっちの楽な道路をどうぞというわけにはいかないのですよ。だけれ
ども、いまそんなことを現実問題として取り上げたら、さなきだに、税源を求めてひいひいふうふう言っている
政府なり
地方団体として、これはもうとんでもない話でということになるでしょうけれ
ども、本来的に
考えれば、もう少し
財政に余裕を持ったら、本当はそこまで突っ込んで
考え直していかなければうそだと思うのです。
だからといって、幾ら応益があるからといって、うんと低
所得者まで
税金を取れとは言いません。もちろん、世の中は不文律というものがあるから、力のある者、余裕のある者が、力のない者のためにかわって負担をすることは、これは美徳ですからそれはそれでいいし、力の弱い者から
税金を取らぬように極力
課税最低限を
引き上げてあげることはいいことだと思うけれ
ども、ある
程度力がある者以上から
所得割で
税金を取りまくるということは、必ずしも正義のようで正義じゃないと私は思うのです。
だからといって、
田島衞、そんなに高額
所得者じゃないですけれ
どもね、どちらかというと低額
所得者の方かもしれないけれ
ども、客観的に正義とはそういうものじゃないかな、公平とはそういうものじゃないかなというふうに
考えるわけであります。しかし、いまそのことを求める、そういう現実にはないから、あえてそれは一つの例として申し上げたわけですけれ
ども、そういう
地方税というものの性格であるだけに、なおさらに改正等の場合には慎重に対処していただきたい。
時間の
関係で、特に固定資産税の問題を取り上げてみたいと思うのですけれ
ども、
先ほど来も恐らくこの固定資産税の問題についてはいろいろ
議論があったことでしょうから、できるだけ重複を避け、短い時間にしたいと思います。
固定資産税の
課税方法というのは、私が言うまでもない、三年に一回評価がえをやる。評価がえをやって適正価格なるものを出す。それに一定の率で
税率を掛けて
税金を出す。
税率は変わらないから、確かにこれは
増税じゃないのだと言えるけれ
ども、三年に一回ずつ評価がえをするということによって、
実質的には大変な
増税になっている。しかも、その対象になっているところの不動産、それを持っている所有者、その不動産がどのような状態であろうと、それにかかわらず、着実に
増税をされていく。つまり、その不動産から相当の
収入があろうとあるまいと、利益があろうとあるまいと、それにかかわらず、持っていたら最後、その持っている不動産に対して着実に三年に一回ずつ評価がえをされ、評価がえという形で
増税をされる。
しかも、その
増税の
上昇率というのは、恐らく他のいかなる公租公課類に比べても抜群の高さだと思うのですよ。ほかのどんな
税金類よりも大変高い率で
上昇していることは、過去の事例をもってしても言えると思うのです。しかも、その評価がえというのは徴税者側が一方的に評価する。確かに、それに対する一種の異議申し立ての機会はある。三十日間の申告期間があるわけだ。だけれ
ども、一般の人達台帳を見に来いと言ったって、見に行く暇だってない人もいっぱいある。だから、おおむねは、縦覧期間に閲覧をして、これはおれのところは高過ぎるなんてやる人はほとんどない。まずまず一方的に徴税者側の決めるがままに、えらいまた高くなったものだなと頭を抱えながら納めているというか、納めさせられているのが
実情だと思う。
こういう固定資産税のあり方だって、本当からすると、
地方税の一つとすれば望ましい形じゃないと思う。これも、現実のいまの
地方財政事情からすれば、確かに望ましくないと思ったって、そう簡単に直すわけにいかないでしょうし、いまそれを直せということじゃないですけれ
ども、基本的
考え方として、固定資産税の
課税方法というのは適当な方法じゃない。いつの日かは、
財政の余裕を見て、やはりもっと妥当なものに変えるべきだと思いますけれ
ども、その点はいかがでしょうか。