○佐藤(敬)
委員 私は、
大臣就任のときの新聞の
大臣に対する御批判だとかいろいろなものを見まして、
大臣は非常に哲学的というか、理念的なことに通じている人だ、こういう大変りっぱな御批評がありまして、そのためにわざわざこういうことには大きな関心を持っておるだろうと
考えて、実はこれを冒頭にお聞きしたのです。しかし、いま
大臣の御
答弁をお聞きしていますと、余りにも漠然として合点がいきません。
大臣に申し上げておきますけれ
ども、これは非常に大事な問題だと思います。そして、あれだけ第二臨調の主流である財界が大きな力でもって推進しようとして、
日本商工
会議所がわざわざまた決議をしている。必ずいつかは浮上してくる。そのためには、
自治省としても
自治大臣としてもしっかりと腹を決めておかなければ対処できないと私は思います。
あの第二臨調の中で議論されているのは、いま広域化したので、いまのでは狭い、現にわれわれはどこかに企業を持っていこうとしても、役場や市役所や県庁の連中は無能で手続ができない、だからもっと大きくしてりっぱな役人を置くべきだ、さらに公害だとか環境問題だとか、こういうのがうるさくて仕事ができない、こういうのをもっと能率的にやるためには大きくしなければだめだと言っているのです。
しかも、あなたは御
承知かどうかわかりませんけれ
ども、道州制をしくためには、たとえば東北を
考えますと、
日本海から太平洋まで東北六県を
一つにして東北州にする、関東は、関東上信越を一緒にして関東州にする、
日本海から太平洋まで通じているのがみそだ、こういうようなことを言っております。しかも非常に危険なのは、知事は官選にすると言っているのです。あの広いところで選挙をしない官選の知事が出るならば、住民は知事の顔なんか見ることができません。しかも、任命された知事は、住民の方を見るか任命した総理
大臣の方を見るかといったら、総理
大臣の方を見るに決まっているのです、自分を任命してくれたのだから。選挙をした知事は住民の方を見ますよ。これは明らかに民主主義との非常に重大な逆行なんです。
それが能率がいい、企業がやりやすい、そういうような見地からもし道州制がしかれるならば、これは大変な問題なんです。確かに能率はいい、命令一下、ツルの一声で何でもできてしまう、うるさい議会も要らない、住民運動もない、抑えることができる。これは能率はいいけれ
ども、ヒトラーの能率ですよ。間違えばとんでもないことになる。われわれはそれを避けるために、新しい民主主義というものを採用してやってきているのです、時間はかかるけれ
ども。それではだめだというのが私
どもの主張であり、またあなたは言わないけれ
ども、私が知っている二、三代前までの
自治大臣は、全部そういう発言をはっきりとしています。ひとつこの点をよく御勉強になって、重大な問題でありますので、これから対処していただきたい、これをお願いいたします。
次に、先ほ
ども私の方の小川
委員から御質問がありました、今度の
地方税の自然増収の見通しについてです。
これは、五十七年度の
地方財政計画の自然増収が余りにも大きいので、これで果たして大丈夫という見通しがあるかという問題です。これはもう皆さん、ほとんどだれも質問しているかと思いますが、念を押しても押し過ぎることはないと思います。
それで
お尋ねするのですが、五十七年度の
地方財政の歳入というものは、非常にバランスがとれていいというふうに言われておる。なぜそういう結果が出てきたかというと、
一つには、五・二%という非常に高目に経済成長率が設定されている。それと、いま出されております
税制改正、これによって
地方税収入あるいはまた
交付税収入が大幅に伸びてくるだろうという予想。もう
一つ歳出の面からいきますと、これはゼロシーリングではないけれ
ども、極端に抑制しておる。こういう
二つの、歳入はうんと伸び、歳出はうんと切り詰める、当然の結果として五十年度以来の財政不足からやっと抜け出した、財政がよくなった、地方は金持ちになった、こういうふうに言われておるのですね。そして、国に対して一千億だか二千億だか金を貸すようなりっぱな身分になった。いわゆる地方裕福論というやつで、盛んに地方がおだて上げられております。
しかし、この中をしさいに検討してみると、先ほどからいろいろ言われておりますように、きわめて不安定な状態がたくさんありますね。あなたもさっきそう言っておった。最も心配なのがこの
地方税収入なんです。これが果たしてこれほど取れるか、もし取れなければ、これは大変な大きなそごを来すのです。
自治省では、五十七年度の
地方財政は、
国税、
地方税制の改正によって、増減差し引きして三百十億の増収だ。たった三百十億。ところが、一方自然増収の方は一兆九千七百五十七億円、約二兆円の自然増収を見込んでおるのです。それで両方合わせて、五十七年度では
地方税収入というものは十九兆九百四十三億円だ、こう言っていますね。これは大変なことなんです。この金額は、前年度に比べて一一・七%の大幅な増収だ。五十七年度の地方歳出規模として四十七兆五百億円と言われておりますが、これの実に四〇・六%。いままで
地方税が四〇・六%なんかになったことは余りないと思うのです。非常に高い
地方税率を示しておる。去年は三八・三%、だからそれよりまだ高いという高い
税収を見込んでおるのです。
だけれ
ども、これを
考えてみますと、最近の景気の動向、景気回復、これはますます悪くなっている。一月の鉱工業のあれでも、この間新聞に発表されていたのを見ても、最近でも最低の状態であるというのが新聞に出ておる。御
承知のとおり、民間の経済調査機関のほとんどが三%か四%ぐらいしかない、それなのに国が五・二%という高いものを無理して見込んである。そういう経済状態の中で果たしてこの巨額の、二兆円になんなんとするような
地方税の自然増収が見込めるのか、大変疑問なので、それに対する見通しを、先ほど一遍聞きましたけれ
ども、もう一遍しっかりとひとつお教え願いたい。