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1982-02-25 第96回国会 衆議院 地方行政委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十七年二月二十五日(木曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 中山 利生君    理事 工藤  巖君 理事 宮下 創平君    理事 安田 貴六君 理事 佐藤 敬治君    理事 松本 幸男君 理事 大橋 敏雄君    理事 青山  丘君       池田  淳君    臼井日出男君       小澤  潔君    片岡 清一君       北川 石松君    久野 忠治君       左藤  恵君    塩谷 一夫君       竹中 修一君    中村 弘海君       小川 省吾君    細谷 治嘉君       武田 一夫君    部谷 孝之君       三谷 秀治君    田島  衞君  出席国務大臣         自 治 大 臣 世耕 政隆君  出席政府委員         警察庁長官官房         長       金澤 昭雄君         自治政務次官  谷  洋一君         自治省行政局長 砂子田 隆君         自治省財政局長 土屋 佳照君         自治省税務局長 関根 則之君         消防庁長官   石見 隆三君  委員外出席者         建設省都市局都         市計画課長   田村 嘉朗君         自治省財政局財         政課長     持永 堯民君         地方行政委員会         調査室長    岡田 純夫君     ――――――――――――― 委員の異動 二月二十二日  辞任         補欠選任   池田  淳君     金子 一平君   臼井日出男君     澁谷 直藏君   竹中 修一君     正示啓次郎君   中村 弘海君     村山 達雄君 同日  辞任         補欠選任   金子 一平君     池田  淳君   澁谷 直藏君     臼井日出男君   正示啓次郎君     竹中 修一君   村山 達雄君     中村 弘海君     ――――――――――――― 二月十九日  警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関  する法律及び消防団員等公務災害補償等共済基  金法の一部を改正する法律案内閣提出第四四  号) 同月二十三日  地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び  納付金に関する法律の一部を改正する法律案  (内閣提出第一九号)  地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣  提出第三七号) 同月十七日  ダンプカーによる違法事業者取り締まり強化  に関する請願(竹内猛紹介)(第六五六号)  高校増設のため地方税財政制度改善に関する請  願(有島重武君紹介)(第七八八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 二月二十四日  農地の固定資産税据え置き等に関する陳情書外  七件(  第六号)  土地価格評価替えによる固定資産税の増税中  止に関する陳情書  (第七号)  消防研究所の設置に関する陳情書外一件  (第八号)  暴走族取り締まり強化に関する陳情書  (第九号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  地方自治地方財政警察及び消防に関する件      ――――◇―――――
  2. 安田貴六

    安田委員長代理 これより会議を開きます。  委員長が所用のためおくれますので、委員長が御出席になるまで、指名により私が委員長職務を行います。  地方自治地方財政警察及び消防に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松本幸男君。
  3. 松本幸男

    松本(幸)委員 過日、本委員会で行われました大臣所信表明に関連いたしまして、幾つかの問題点について御質問申し上げたいと存じます。  まず第一に、昭和五十七年度の地方財政計画につきまして、大綱的な問題点からお尋ねをいたします。  御承知のように、昭和五十七年度の地方財政計画の規模は、四十七兆五百四十二億円でございまして、前年対比五・六%の増加となっております。その歳入は、地方税が十九兆九百四十三億、交付税九兆三千三百億、国庫支出金十兆八千八百七十一億円、地方債三兆八千百億円、これが主なものでありまして、これらの歳入のうちその大宗をなしております地方税につきましては、税法改正に伴う増収分が三百十億円、これを含めまして十九兆九百四十三億円、こういうことでありますが、これは前年度に対比して二兆六十七億円、一一・七%の増加、こういうことであります。  しかし、予算委員会あるいは新聞等の伝えるところによりましても、ことしの景気動向がきわめて憂慮するような状態になっているわけでありまして、果たしてこの地方税の十九兆九百四十三億円が確保できるのかどうか、この確保見通し自信等につきまして、まずお聞かせをいただきたいと思います。     〔安田委員長代理退席委員長着席
  4. 関根則之

    関根政府委員 御指摘をいただきましたように、来年度の地方税収入は、総額におきまして十九兆九百四十三億円、対前年度計画対比で一一・七%の増を見込んでいるわけでございますが、これは昭和五十七年度の政府経済見通しに基づきまして、経済成長率実質五・二%、名目八・四%をもとにして、われわれが入手し得る最善資料といいますか、あらゆる資料を用いまして、国税収入と同じような基礎の上に私ども積算して、計上しているわけでございます。  現時点におきましては、政府経済運営努力も必要でございますけれども予定どおり経済成長が達成せられましたという前提におきましては、この地方税収入確保されるものというふうに考えておる次第でございます。
  5. 松本幸男

    松本(幸)委員 この委員会でも、昨年来、再三再四そのことを心配してお尋ねしているわけでありますが、ことしの経済見通しについても、実質成長七%が五%になると言われておりまして、来年度の五・二%というものもかなりむずかしい見通しがあるわけであります。そういった中で、果たして二兆円を増額した地方税収確保できるのかどうかということにつきましては、はなはだ疑問でありますけれども、このことにつきましては、先般も申し上げたように後刻事実が証明いたしますから、見通しのことについての論議はこれ以上やりません。ともかく、せっかく地財計画で計画した地方税収確保ができるように、最善努力を払っていただきたいというように考えるわけでございます。  続いて、すでにこの五十七年度の地財計画に基づいて、地方団体におきましては五十七年度の予算編成がそれぞれ行われていると思うわけでありますが、自治省としても大体の趨勢はつかんでいるのではないかというように思いますけれども、どんな状況になっているかということについて、先ほど申し上げました経済動向等を含めまして、その把握状況をお知らせいただきたいというように考えるわけであります。  全国都道府県あるいは市町村の五十七年度の予算がどのような形で編成されているかということについては、自治省自体としてはまだ完全には把握されてないかもしれませんけれども、参考までに申し上げますが、私は埼玉県でありますので、埼玉県の五十七年度予算における県税収入伸び率は、国の地方財政計画に基づく伸び率の大体半分の四・八%であります。したがって、国の地財計画よりもむしろ現状を的確に把握をして、堅実な予算編成をしているのではないかというように思われるわけであります。  何か地財計画については、国の甘い経済見通し、それに基づく五十七年度の一般会計予算、それにならっての地財計画ということで、かなり甘いものになっているのではないかというような感じがするわけでありますけれども、この都道府県における、あるいは市町村における五十七年度の予算編成動向趨勢、こういったものをどのようにとらえられているのか、お聞かせいただきたいと思います。要するに、地財計画が示しているような方向での予算編成が行われているのかどうか、こういうことであります。
  6. 土屋佳照

    土屋政府委員 各地方団体予算編成がどういう形で行われるか、まだこれから各地方団体議会等を通じて決まっていきますので、私ども正確には把握していないわけでございますが、その前に全国総務部長さん方の会合等において、私ども地方財政計画十分説明を申し上げ、その際でも私どもとしては、国の経済見通しに沿ったものを前提として説明をいたしておりますし、また、経済がそういう方向で動いていくことを期待してやっておるわけでございますけれども地方団体の場合は、特に地域的に景気動向というものが異なるということもございます。そういうこともありますので、地方団体実態に応じて、税収見積もり等についてもそれぞれ実情に沿った組み方をすべきであり、予算編成、またその財政運営に当たっても、そこらのことは十分念頭に置いて堅実な運営をするようにという指導をしておるわけでございます。  現段階でどの程度組んだということは申し上げませんけれども地方団体は、全体を見詰めながら自分のところの実態を頭に置いて、それぞれ堅実な見方をしておられるものだというふうに考えております。
  7. 松本幸男

    松本(幸)委員 私は、一地方団体である埼玉県の五十七年度予算状況が、すべての地方団体にそのまま当てはまるものだとは決して思いませんけれども、大体その趨勢動向というものはおおよその見当がつくのではないか、こういうふうに考えるわけです。  そうなりますと、地財計画予定をしております十九兆九百四十三億円、前年対比一一・七%の地方税収入確保というのは、これはきわめて困難なものだ。恐らくこういうことにはなるまい。都道府県予算の方が、市町村予算に比べて地方税伸び率等をやや低目に計上する傾向もありますから、市町村の方がやや高いかもしれませんけれども、一一・七%というような地方税収入を見込む地方団体は恐らくあるまいというように考えますと、とても十九兆の地方税収入見込みは立つまい、このように私は考えるわけであります。これをしも、この時点で先行き見通しのことでありますから何とも言えませんけれども、この委員会で、恐らくこれだけの地方税収入確保できまいということをはっきり明言をしておきたいというように思います。これはまた、実績に基づいていろいろこの先お尋ねしたいと思います。  この地方税収入に関連をいたしまして、やはり地方財政収入大宗をなしております交付税についてもこのことは言えるわけでありまして、交付税国税収入見込みによってはじき出されているということでありますけれども総額は九兆二千四百五十一億円、この交付税についても果たして確保されるのかどうか。  御承知のように、五十六年度の補正予算においても、国税減収に伴いまして四百四十億円の減額を余儀なくされたという状況でありますし、最近の経済動向あるいは先行き見通し、こういったものを考えましたときに、恐らく交付税算出基礎になっております国税三税の中で、先ほど減額補正された税額二十五兆一千二百三十六億円に比べてことしは三兆七千七百億円の増収見込み伸び率にいたしましても一四%強見込んでいるわけでありますから、恐らくこの国税収入確保もかなりむずかしい。こういうことになりますと、地方税に続いて交付税についても果たして法定額の九兆二千四百五十一億円というものが確保されるのかどうか、これもはなはだ疑問であります。  しかし、五十六年度補正でやりましたように、当初に見込んだ交付税についてはこれはあくまでも確保する。国税収入減収になったことに伴って、法律に基づく算定上は交付税減額されるようなことになっても、当初地財計画で決定をした九兆三千三百億、そのうちの国税収入に対応する九兆二千四百五十一億円、これは絶対に確保する。確保してもらわなければならないわけでありますが、そのことにつきましての決意のほどを、ひとつ自治大臣の方からお伺いをしたいと思います。
  8. 世耕政隆

    ○世耕国務大臣 地方交付税算定の基準になる国税三税の収入見込み額というのは、いろいろ論議されてきたところでございますが、政府経済の諸情勢を勘案しましていろいろな角度からはじき出してきた数字に基づいてなされたものでございまして、交付税の方は国税三税が中心になって出されるものでございますが、政府積算が現在なされる中では、最も精密な考え方予測の上に立ってなされているものでございまして、われわれの方は、交付税に関しては予定どおりいくものと確信しているところでございます。
  9. 松本幸男

    松本(幸)委員 これについても地方税と同様に、いまこの段階で決定的な論議をすることはできませんけれども、五十六年度で補正をし、減額をしたというこの傾向というものは依然として続いておりまして、国税については一兆円あるいはまたそれ以上の減収になるんではないかというのが大方の予測で、今日ではもう定説のようになっているわけでありまして、そういう中において交付税地財計画どおり確保するということもかなり困難なことであろうと思いますけれども、どんな方法を講じてもこの額というものは、絶対に確保していただかなくちゃならないというように考えております。  先般も申し上げましたが、何か国税減収については自然減収だというような言葉が使われておりまして、天然自然の災害によって起こった現象のような感じを受けるわけでありますが、国の国税収入見込みにしてもあるいは地財計画による地方税交付税見込みにいたしましても、いま大臣がおっしゃったように、現在入手できるすべての資料もとにして積算をした、こういうことだから万々間違いあるまい、こういう御答弁があったわけでありまして、そういった意味からいえば、これは言葉の問題でありますけれども自然減収とか自然増収という言葉自体がおかしいのでありまして、明確にこれは見込み違い増収見込み違い減収、こういう性格のものであろうと思いますけれども、そういう言葉に改めるようなお考えがあるかどうか、大臣にひとつお尋ねいたします。
  10. 世耕政隆

    ○世耕国務大臣 政治とか経済の一番陥りやすい性格として、お天気の変化と同じようにいつ何が起こってくるかわからない、そういうことでございまして、五十六年度のいろいろな見通しと違った結果が出てきつつあるということは、天然現象による雪害とか台風による被害とかそういうものが一つあったということと、それから景気動向、これが意外に、名目経済成長率ではじき出した数字もとにしてやっているのでございますが、物価が非常に安定してしまったこととそれから物品税がなかなか思ったように入ってこないこと、それから収入印紙税とかそういうものが、これも景気動向と一致するわけでございますが、そういう面の収入が予想よりも意外に低かったということで、見通しと実際の税収とが五十六年度の場合はいまのところ少し狂いが出ておる、こういうことでございまして、偶然に起こってきた思いがけないハプニングというものがかなり大きな因子を与えているのではないか、こういうふうに思います。
  11. 松本幸男

    松本(幸)委員 その説明では余り納得いたしかねます。台風等災害あるいは冷害等、このことについては天然自然のものでありますけれども、これはどちらかといえばむしろ多く歳出にかかわる問題であって、歳入部分についてはどちらかというと大きく経済全体の動向に支配される、こういうことでありますから、そういう天然自然の災害というよりも見通しの誤りということの方が大きいわけでありまして、このことについてもいまここで論争はいたしませんけれども、いまの大臣のお答えではなかなか納得いたしかねるということだけを申し上げておきます。  次に、国庫支出金でありますけれども総額が十兆八千八百七十一億円、わずかに一・九%の伸び率でありまして、これは御承知のように公共事業費がいわゆるゼロベース予算で最も多く千六百八億円削られている。これに対応する地方負担分の減が八百七十三億円、合わせて二千四百八十二億円という減額になっているわけであります。景気浮揚の目的をも持った公共事業でありますけれども、こういった状況で果たして景気浮揚が図れるのかどうか。五十七年度は、公共事業分削減したものを今度は地方単独事業でやれ、こういう方針のようでありますけれども、先ほど申し上げたように、地方税収もなかなか伸びが期待できないというような状況で、果たして地方巣独事業が国が期待しているように行われるのかどうか、これまた大変疑問でありますが、この点につきまして見通しはどのように持っておられるのか、お伺いしたいと思います。  従来でも地方団体が計上した予算に比べて、決算ベースにおいては単独事業は非常に少なくなっている、こういう傾向がずっと続いているわけであります。五十五年度の予算決算を見ましてもその傾向はかなり顕著なものがありまして、予算決算では相当の開きがあるわけでありますが、こういう状況で果たして地方単独事業予算ベースにおいても国が期待したような増額が行われるのかどうか、これらの見通しをどのように持っておられるのか、お尋ねをしたいと思います。
  12. 土屋佳照

    土屋政府委員 地方単独事業につきましては、いま御指摘がございましたように、最近地方財政計画決算の間には、一つには統計上の取り扱いの相違がございましたり、国の公共事業が非常に伸びておりますときは勢いそっちが優先されるということなどもございまして、乖離が見られておることは事実でございます。ただ、ここ二年間公共事業横ばいで、五十七年度も横ばいといったような状況になっております状況もとで、地方団体においてもかなり単独事業には力を入れておるというような状況が見えるわけでございます。  五十六年度におきます地方単独事業予算措置状況について見ますと、地方財政計画伸びは御承知のように八%でございますが、都道府県で見ますと一〇・六%増ということになっておりまして、かなり積極的な予算計上が行われておるわけでございます。  五十七年度の地方財政計画においては、先般も申し上げておりますように、社会資本の計画的な整備と地域計画の安定的な発展に資するという見地から、引き続いて地方単独事業を拡充するということで、御指摘のように八・五%の伸びということを考えておるわけでございますが、この地方財政計画に即して私どもとしては実際に仕事をやってもらいたいということで、一般財源伸びも予想されるところでございますが、地方交付税なり地方債によりまして所要の財源措置を講ずるということにいたしたいと思っております。  一方また、地方団体におきましても財源の重点的な配分によって、積極的な単独事業実施に努めるように指導しておるわけでございまして、こういった地方団体努力とわれわれの方の努力と相まって単独事業が円滑に遂行できるようにということで、いろいろと私どもとしても具体的な方策についてなお検討しておるところでございます。
  13. 松本幸男

    松本(幸)委員 この点については、また後ほど関連して質問を申し上げますので、これ以上申し上げません。  国庫支出金の中で、ちょっと細かい問題になりますが、老人医療費国庫支出について、新しい老人保健制度法律が制定をされれば十月から実施をされる、こういうことになるわけでありますが、これの負担金が二千五百五十三億円計上されております。国の負担が二千五百五十三億六千八百万円で地方負担が千二百九十二億五千百万円、こういうことになっておりますが、御承知のように老人保健法負担の区分は国が二〇%、都道府県市町村おのおの五%、あと七割は各保険者、こういう仕組みになっているわけでありまして、この部分の二〇%分がつまり二千五百五十三億六千八百万円だろうと思います。  そこでまず地方の千二百九十二億五千百万円というのは、これは国が二〇%ですから、地方都道府県市町村を含めて一〇%ということになるとちょうどその半分ということになるんですが、数字的にはおおむね合っております。細かい点では合ってないのですけれども、これはどういうことになるのかということ。  もう一つは、五%ずつ市町村と県が負担するということですけれども、この割合、パーセントでは五%、五%ですが、実質的に市町村と県との負担割合というのはどういうような形で算定をされておるのか。細かいことですけれどもお尋ねをしておきたいと思います。  それから、同じように国庫支出金の中で基地交付金というのが百九十九億五千万円計上されているわけでありますが、これは前年度と全く同額、こういうことでありますけれども、この基地交付金については固定資産税との見合いによって交付をされる、これが基本になっているんだろうと思います。ところが一方の固定資産税は、ことしは評価がえ等も行われまして、大体十二・二%程度の増収が見込まれております。ということになりますと、固定資産税の方については増収が行われる、にもかかわらずそれに見合って交付をされる基地交付金については前年度と同額ということでは、大変不合理ではないかという感じがするわけでありますけれども、その点につきましても御説明をいただきたいと思います。
  14. 持永堯民

    持永説明員 最初の老人医療費関係の御質問についてお答え申し上げます。  いま御指摘ございましたように、国費が約二千五百億ばかり、地方費が千二百億ばかりでございまして、きちっと二対一の数字になっておりませんのは、この中には若干法律施行事務費が入っておりまして、施行事務費につきましては国と地方が二分の一ずつ負担するという形になっております。したがいまして、その点が全体できちっと二対一の割合にならないという点でございます。     〔委員長退席宮下委員長代理着席〕  それからもう一点は、県と市町村との負担割合でございますけれども医療費につきましては全体の十分の一を地方が持つわけでございますけれども、そのさらに半分ずつ、医療費全体の五%を県が持ち、五%を市町村が持つ、こういうことになっております。  それから、事務費につきましては、国から県に対します補助、国から市町村に対します補助、両方ございますけれども国対県、国対市町村関係ではいずれも二分の一ずつ、こういうことでございます。
  15. 関根則之

    関根政府委員 基地交付金の問題についてお答え申し上げます。  お話がございましたように、基地交付金の基本的な性格固定資産税に代替するもの、そういうふうに私どもは考えておりまして、固定資産税代替措置としての基本的な性格は持っておりますけれども、あくまでも国の財政支出としては財政補給金ということで、補助金の概念の中に分類をされて国の財政支出がなされておる、こういう性格のものでございます。したがって、固定資産税とぴったり同じように常に評価額に対して一・四%を掛けたもの、こういう性格のものにはなっていないということでございます。来年度、昭和五十七年度の予算編成に当たりましても、国の補助金等の一律削減等の対象にこの基地交付金も含まれていたわけでございますが、それを一〇%削減をいたしますと、実際問題として該当市町村財政運営に支障を来すという問題もございまして、五十七年度、対前年度同額予算確保することができたわけでございます。  私どもの基本的な物の考え方としては、できるだけ固定資産税と同じような形で持っていきたいという希望はありますけれども、現下の厳しい国の財政状況の中において、必ずしも対前年度一定の伸び率確保できないという状況にあるわけでございますので、御理解をいただきたいと思います。
  16. 松本幸男

    松本(幸)委員 いま御説明があったとおり、固定資産税との見合いによって交付をされる交付金でありますから、恐らく国有提供施設を持っておられる地方団体市町村ではかなり不満が残るのではないかというように思いますので、今後そういった基本的な考え方に合致をするような方向でひとつ御努力をいただきたいと思います。  次に、地方債関係で、ことし財源対策債をゼロにしたわけでありますが、この財源対策債をゼロにした理由といたしまして、地方団体における歳出の抑制と地方税法の改正に伴う増収及び交付税の増額、この三つを挙げているわけであります。御承知のように、地方税増収は差し引き三百十億円ということでありますし、交付税についてもこれは借りたり貸したりということで、結果的には千億円ということですから、地方税増収分交付税増額分一千億円を加えましても千三百十億円、六千九百億円から千三百億円を引きますと、あと五千六百億円はいわゆる地方の歳出の抑制によって賄われる、こういう理屈になろうと思うわけであります。  そのことはともかくといたしまして、先ほど来申し上げておりますような今日の地方財政の厳しい状況の中で、地方税収確保もなかなか困難ではないかという状況交付税についてもしかり。こういった中で一挙に財源対策債の発行。これは五十年度のいわゆる減収補てん債を除けば、毎年建設地方債として発行されてきたものでありまして、これを一挙にゼロにしてしまうということで今後の地方財政運営に支障が起こらないのかどうかということと、今後地方財政歳入欠陥が生じたような場合に、このいわゆる財源対策債の発行というようなものは絶対にやらないという考えなのかどうか、その辺のことをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  17. 土屋佳照

    土屋政府委員 財源対策債は、御承知のように、ある年度の歳入歳出の見積もりを毎年暮れに立てまして、翌年度の地方財政がどのようなかっこうになるかということを試算をいたします。その際に、地方財政が全体として財源不足となりました場合に、その補てんの一手段として措置されてきたものでございまして、五十年度以来のパターンといたしましては、交付税特別会計における借入金による交付税の増と財源対策債の発行によってその財源不足というものを埋めてくる、こういった状況になっておるものでございます。  五十七年度の地方財政は、歳入面におきましては地方税自然増収が見込めること、また、改正による増が若干見込めること、それから、国税三税の税制改正分を含みます増加と特例措置によって千億近いものを積み上げるという措置をとったわけでございますが、一方、歳出面におきましては、地方単独事業等の所要経費は確保いたしながらも、全体として歳出の抑制に努めるということをいたしました。そういった全般を通じまして、収支の均衡が図られたものでございます。そういった意味で、財源対策債の廃止が歳出の抑制と直接結びつくものではなくて、総合的なものだと考えております。  ただ、御指摘のように、そういった税の自然増収等々については、見込みどおりいくのかという御質問が中に含まれておるわけでございますが、先ほどから申し上げましたとおり、私どもとしては、これはぜひ確保したいという期待も持っておりますし、現段階において確保できるものだと思っておりますので、こういった歳入歳出全般を通じましていろいろな手段は講じておりますけれども、単年度としては収支の均衡が図られた、そういう形になっておるものでございます。そういったことで、財源対策債の措置がなくなるということになりますと、公共事業費地方負担額のうちでこれまで財源対策債を充当してきた部分につきましては、地方交付税算定を通じて財源措置を講ずるということにしておるわけでございまして、従来の方式を変えるということになるわけでございます。  ただ、率直に申し上げまして、全体としては、マクロ的には、交付税に算入することによって地方団体財政には支障を生ずることはないという見込みを立てておるわけでございますが、個々の地方団体ごとに見ますと、財源の振りかえ措置が完全には行いがたい面もございます。そのために、個々の団体の財政運営にも支障を生ずることのないように、私どもとしては激変緩和の措置として、一般公共事業債に調整分として千二百五十億円を計上しておりまして、これによって所要の調整を行うということにしておるわけでございますので、五十七年度は一挙にこれがなくなったからといって、特に混乱は起こらないというように考えておるわけでございます。  なお、将来こういったことはもうやらないのかということでございますが、仮に地方財政全般として財源不足が生じました場合、自治省としてはやはり一般財源の充実、特に交付税増加措置、増収措置によって補てんをすることが第一であるというふうに考えておりまして、財源対策債による補てんは極力避けるべきものだと思っております。しかし、具体的にそのときになってどういった補てん措置を講ずるかということは、そのときどきの事情によるものだと思います。考え方はいま申し上げたようなことで、財源対策債による補てん措置は極力避けるべきものだというふうに考えております。
  18. 松本幸男

    松本(幸)委員 次の質問に移ります。  地方債関係ですけれども、全般的には国の公共事業予算ゼロベースの方針に従って、公共事業に対する地方債減額をされ、逆に単独事業についての起債を認めていくという方向がとられているわけであります。数字はあえて申し上げませんが、公共事業分で減らした地方債地方単独事業分に回すといたしましても、これは全体として四千七百十億円ほどの減額になっている。こういうことで果たして国が期待しているような、先ほども申し上げましたけれども地方単独事業をふやしてくれるのかどうかということについては大変疑問であります。  単独事業関係につきまして、地財計画では六千七百一億円、八・五%を伸ばす、こういう計画になっております。これについてもほかに資料がございませんので、先般いただきました埼玉県の予算でありますけれども埼玉県において単独事業については、金額は申し上げませんけれども、前年対比四・六%の増の単独事業を計画をしております。まあ、大体国の八・五%の二分の一程度であるわけであります。こういったことで、これについても埼玉県のことが地方団体全体を推しはかる物差しにはならないかもしれませんけれども、やはりこのように、地方債の部面でもなかなか地方単独事業をふやす傾向にはない、こういう感じがするわけでありますが、これらの点につきましてひとつどういう見通しを持っておられるのか、お伺いしたいと思います。
  19. 土屋佳照

    土屋政府委員 いまお示しのございましたように、地方単独事業については対前年度比八・五%の伸び確保することとしておるわけでございますが、これをどう実効あらしめるかということがやはり問題であろうかと思っております。私どもとしては、詳しくは説明は省略をいたしますけれども、五十七年度の見込みでは、一般財源のシェアというものは高まる見込みでございますので、地方団体においても地方債の適切な活用とか財源の重点的配分によって積極的に実施をしてもらいたいということを期待いたしておりますが、私どもといたしましても地方交付税なり地方債によって所要の財源措置を講じてまいりたい。地方交付税についても、いろいろ有効な手段があるかということを模索をいたしておりますが、地方債においては、特に単独の一般事業については二二・八%伸ばすという異例の伸びを見せておるわけでございまして、そういったものを適切に配分をしていきたいという考えでおりますし、その点については、各地方団体にはそれぞれいろいろな会合を通じまして指導いたしておりますので、十分地方も御承知だと存じます。  ただ、当初予算でどういった形で組んでいかれるかということは、これはそれぞれの県の事情もございますから、私どもとしても十分把握できておりませんけれども地方単独事業については、地方団体自身がいまのような公共事業横ばいの中ではぜひやりたいという強い希望もあるわけでございます。五十六年度の予算状況でも大変伸びが著しいという点もございますので、今後われわれの努力地方団体努力相まって、適切な単独事業の執行ができるものだと考えておるところでございます。
  20. 松本幸男

    松本(幸)委員 地方単独事業に対していわゆる地方債で手当てをするということについては、これは当然やってもらわなければならないことでありますけれども、いま局長からお話のあった交付税によって措置をするということについては、多少是非の論があるように思います。これは後ほどまた申し上げますのでここでは申し上げませんけれども、いずれにいたしましても国の公共事業予算が削られて、景気浮揚対策の一つの方法として地方単独事業をふやすという政策目的、方針そのものは結構なのでありますけれども、果たして地方がそれにこたえてくれるかどうかということが一番問題でありまして、ぜひそのような方向にいくように努力をしていただきたいと思います。  それから国の直轄事業負担金でありますけれども、これについてはかねてから地方団体の側で強くその廃止が求められてきたものであります。特に、当初の建設事業等に対する負担金はともかくといたしまして、その後の維持管理費等についてまでいわゆる直轄事業負担金として地方負担をさせるということについては特に廃止が求められてきた、こういう経緯があるわけでありますが、今年度予算の中では、地方団体が廃止を求めておりますこの直轄事業負担金について増額が行われております。三百十一億円ほどでありますが、直轄事業に対する負担金がふえております。直轄事業については、国の負担が一兆二千七百五十一億円に対して地方負担がその三分の一以上の四千八百五億円、こういうことでありますが、かねてからの地方の要求に対応しなければならないのに、逆にこういう形で直轄事業負担金をふやしていくということはどういうことなのか、どういう考え方なのか、ひとつ御説明をいただきたい、こういうように思います。
  21. 土屋佳照

    土屋政府委員 直轄事業負担金、特に施設の維持管理に要する経費については、これを地方団体が持つということについては問題がございます。御指摘のように、私ども毎年関係省にやめてもらうように要請しておるところでございますけれども、国、地方を通じていろいろ財政の厳しい折から、なかなかこれが解決しないということでございまして、大変遺憾に思っておるわけでございます。  五十七年度におきましても、直轄事業負担金のうちの維持管理費について九百八十億円ぐらいを見込んでわれわれも計上せざるを得なかったわけでございます。また、全体としての直轄事業負担金、これは五十七年度の地方財政計画においては、御指摘のように前年度に比べて三百十一億円ぐらい増加をいたしておるわけでございます。その主な要因は、昨年の臨時国会におきますいわゆる行革特例法によって、地域特例のかさ上げ率が六分の一引き下げられたわけでございますが、これがかなりな部分を占めておるというふうに承知しておるわけでございます。このかさ上げ率の引き下げ分については、後年度において地方団体にはそれぞれ措置をするというものでございますから、今回こういう増があったからといってもそれほど大きな問題ではあるまいと考えておるところでございます。
  22. 松本幸男

    松本(幸)委員 いまの説明では、地方団体の要望しておるような方向で直轄事業負担金というものをなくしていこうという努力の跡は全く見られないという感じがするわけでありますけれども、時間も余りありませんのであえてこれ以上のことは申し上げませんが、地方制度調査会の答申の中でもこのことは指摘をされているところでありますから、ぜひ直轄事業負担金の縮減あるいは廃止、この方向に向かって努力をしていただきたいと思います。  いままで、地財計画に関連をいたしまして質問を申し上げてきたわけでありますが、五十七年度の地方財政計画、まだまだほかにもたくさん問題はありますけれども、総じて言えることは、比較的不安定あるいは不確定要素の多い地方税収入とかあるいは交付税交付金とか、こういったものについて相当増額、増収を見込んで、比較的確実に地方交付をされる国庫支出金であるとか地方債であるとかいうものは減額をしているというような傾向地財計画だというように思われるわけであります。そういう点から端的に言って、この地財計画実態に非常にそぐわない、国の経済見通し、国の予算、こういったものに押された、あえて言えば無責任な地財計画だというような感じがするわけでありますが、そういった無責任のそしりを免れるように、そしりを受けないように、ひとつこれから努力をしていただきたいと思います。  続いて、地方税法の改正について若干お尋ねをしたいと思います。特に今回の地方税法の改正によりまして減税になるものあるいは増税になるものあるわけでありますが、この改正案の中で特別土地保有税のことにつきましてお尋ねをしたいと思います。  改正案によりますと、昭和四十四年一月一日以降取得したもので課税の対象となっている土地について十年以上保有したものは課税対象外にする、こういうことでありますけれども、この土地保有税を今回このように改正する理由と目的は何なのか。この減税の恩典を受ける納税者といいましょうか、受益者は一体だれなのか。  この改正によって五十七年度十二億円、平年度では十三億円、これが減収になる、こういうことでありますけれども地財計画によりますと、自然減収五十一億円が見込まれておりまして、本年度も改正による減収分十二億円と自然減五十一億円、合わせますと六十三億円少なくなるわけでありますが、四十四年以降のいわゆる土地取得税課税の対象となった時期、当時の状況、こういったものから考えまして、恐らくこれは数年ならずしてゼロになってしまうのではないかという気がするわけでありますが、今後の減収見通し、こういったものを年次別におわかりになりましたらあわせてお聞かせをいただきたいと思います。
  23. 関根則之

    関根政府委員 特別土地保有税の改正でございますが、そもそもこの税というのは、土地に対する政策税制として昭和四十八年度に設けられたものでございますが、当時の土地転がし等が盛んに行われた経済実態というものを反映をいたしまして、法人の土地譲渡益に対する重課制度などと一緒にできた制度でございます。  昭和五十七年度の国、地方を通ずる土地住宅税制を長期的、安定的なものとして構築をする必要があるではないかという考え方もとに、今度改正を行うこととしているわけでございますが、その土地税制の考え方におきましては、いままですべて長短区分になり重課制度の区分けを昭和四十四年の一月一日という特定の絶対的な時点というものをもとにしてやっておりましたものを、やはり多少税法上も問題があるし、不合理な点もございますので、諸外国において行われておりますように、一定の保有期間によりまして長短区分を区別していくべきではないか、こういう考え方をとったわけでございます。  したがって、個人の土地譲渡所得に対する課税の長短区分も保有期間十年ということになりましたし、先ほど申し上げました法人の土地譲渡益の重課制度も、十年以下であるか以上であるかによって重課するかしないかを区分けしていく、こういう制度にしたわけでございます。そういうものの一環といたしまして特別土地保有税につきましても、十年の保有期間を基準にいたしまして、それより短いものか長いものか、短いものについては特別土地保有税をかけていく、それをオーバーしたものについては特別土地保有税は課税対象外とする、こういう整理をしたわけでございます。土地税制全体の中の制度の一環としてこれがなされたというふうに御理解をいただきたいと思います。  今度の改正によりまして受益者はだれかということでございますが、端的に申し上げれば、十年以上保有していることによって課税されなくなるという制度をとることによって課税対象外になるわけでございますから、それは従来持っておった土地所有者が課税対象外になるという利益を受けるということになるだろうと思います。  それから、今後なくなってしまうのではないかというお話でございますが、一応従来から課税をいたしておりました特別土地保有税のうち、市街化区域内なりあるいは白地区域内の土地につきましては、十年経過をいたしましても引き続き課税をしていくということでございますから、これはいままでどおり持っている限りは課税がなされるということでございます。直ちになくなるというものではございません。  それから、これから取得するものについては、すべての土地について十年という保有期間を課しますので、十年たてばなくなりますけれども、現在においてもある程度大きな土地が毎年相当程度取得されておりますので、私どもは、こういう特別土地保有税というものは本来はふえてこないのが土地政策上は望ましいことだと思いますけれども、ほどほどの土地取得は現実にもございますので、そう簡単にはなくならない。それぞれ取得してから十年間はあるわけでございますし、毎年ある程度取得が行われるわけでございますので、たちどころになくなっていくというものではございません。ただ、具体的に年次計画で何年度は幾らということで表のようなものをお示しすることは、現時点ではむずかしいのではないかというふうに考えております。直ちにはなくならないというふうに考えております。
  24. 松本幸男

    松本(幸)委員 土地保有税のことにつきましても少しお尋ねしたいのでありますが、時間も余りございません。この土地保有税については資産課税でありますから、国定資産税と同じような形で税率等も百分の一・四ということになっているわけであります。固定資産税については先ほど申し上げましたが、いわゆる評価がえが行われて課税標準が順次引き上げられていくわけであります。ところが土地保有税については、課税標準が取得の価格ということで固定をされている。こういうところにも不合理があるんじゃないかという気がするわけであります。そういう点について、固定資産税と同様に適当な時期に評価がえをするという必要もあるのではないか、こう思うわけでありますが、時間もございませんのでお答えは要りません。また後刻、いろいろ申し上げたいと思います。  地方交付税に関しまして、ごく簡単にお尋ねをしたいと思うわけであります。  交付税につきましては、今度需要額算定方法の改正が行われる。これは、社会経済情勢の変化等に伴って当然やられることは結構なんでありますけれども、同時に、基準財政収入額等についても検討してもいいのではないか。これはかねてから言われてきたことでありますけれども、公平の原則、不公平を正す、こういった意味合いからも、需要額の算定方法の改定と同時に、収入額についても検討を加える必要がある。その対象となるものは特にギャンブル収入、これは全部を算入しろというわけにはまいりませんが、ある一定の率を算入するということは可能ではないか。そうすれば、他のギャンブル等行わない団体への交付税が若干でもふえていくということにもなるわけでありますから、そういう点もぜひ御検討していただきたいと思います。  それから、今度の交付税の改正の中でいろいろな都市施設、社会福祉施設、こういったものに対して新たに算入に加えるということがありますけれども、その中で老人保健法の制度創設に伴っての基準財政需要額への算入というのも入っております。しかし、老人保健法による基準財政需要額への算入というのが、どういう意味で行われるのかということがちょっと疑問なんであります。これは特殊な地域あるいは特殊な事情といったものとは違いまして、老人保健法が創設をされますと、全国あまねく市町村が全部一斉に老人保健制度実施することになるわけでありますから、これについて地方交付税の需要額へ算入するということは、ほとんど意味がないのではないかという気がするわけであります。  というのは、九兆三千三百億円という総枠は決まっているわけでありますから、全国市町村が全部同じように実施する新しい老人保健制度に対して、交付税の需要額に算入するといってもこれは余り意味のないことであるというふうに考えるわけでありますが、その辺を含めましてひとつお答えをいただきたいと思います。
  25. 土屋佳照

    土屋政府委員 基準財政収入額について合理化を行って、たとえば公営競技収益金というものについてもある一定割合を算入するようにしたらどうか、こういうお話でございます。そういった方法をとることも、まさに公営競技収益金の均てん化の方策として一つの方法であると私ども考えているわけでございますが、地方交付税は本来地方税のいわば代替財源でございまして、基準財政収入額というのは地方税あるいはこれに準ずる収入を対象として地方団体の普遍的、標準的な財政力を算定する、そういうものでございますから、こういった公営競技収益金という特定のものを基準財政収入額に取り上げるということにつきましてはいろいろな問題があるわけでございまして、私どもとしては、今後の基準財政収入額の合理化という考えの中でお示しになったようなことも検討はいたしますが、にわかにはどうも踏み切れないという気がするのでございます。しかし、せっかくの御指摘でございますので、なおいろいろ検討させていただきたいと存じます。  それから、普遍的に地方団体が行うものを算定するということになれば、みんな同じだから同じ枠の中でやれば一緒ではないかということでございますけれども、やはり老人医療関係というものは地域によって異なる、また老人の数によっても異なったりしておるわけでございますから、たとえば義務教育というものもみんな各地方団体やっておるわけでございますが、そういう費用は全部一応基準的に見込んで、そして総体の中で収入支出のバランスがとれるようにしておるわけでございますから、やはりそういう中で費用を見ませんとそこはうまくいかない。そしてまた、医療に係る地方団体の需要の見込み方も、いろいろ密度補正どもして実態に合うような方法もとっているわけでございます。みんなが同じだからというので、同じ枠の中でやれば一緒ではないかということにはならないと思います。やはり税、交付税地方債という全体の歳入と必要な需要とのバランスをとっていくわけでございますから、その財政計画でとったバランスの中で交付税が適正に配分されることによってうまく作用していく、こういうことだろうと思います。     〔宮下委員長代理退席、委員長着席
  26. 松本幸男

    松本(幸)委員 時間の配分が下手で、少し質問が残ってしまいました。いまの土屋局長の御答弁も、必ずしも満足したわけではありませんけれども、時間が参りましたので、残りました質問はまた後日やらせていただくことにいたしまして、終わります。ありがとうございました。
  27. 中山利生

    ○中山委員長 大橋敏雄君。
  28. 大橋敏雄

    ○大橋委員 私も、大臣所信表明に関連いたしまして若干質問を申し上げます。  初めに、大臣のお気持ちをお伺いしたいと思うのですが、政府は、昭和五十四年から昭和六十年の七年間にこのような経済運営をしてまいります、その構想はこうだというようなことで、新経済社会七カ年計画というものをすでに発表いたしているわけですね。ところが、ここに示されている各指標は、何と申しますか、がたがたと崩れ落ちていく感じを受けてなりません。  たとえば国民総生産を見ますと、五十三年度実績は二百十兆七千億円、それが昭和六十年度予測値では三百十兆円程度、こうなっている。したがいまして、昭和五十四年から六十年度の平均的GNPの伸び率は五・七%と記されているわけですけれども、これはもう夢のまた夢だ、こう見ざるを得ません。それから公共投資額を見ますと、昭和五十四年から六十年度累積おおむね二百四十兆円と記してありますが、これも大幅に崩れまして、昨年すでに百九十兆円に修正されたと思っておりますが、これもだめだろうと言われているわけですね。  また租税負担率の方は、五十三年度では一九・九%、それが昭和六十年度では二六・五%程度になるであろう、こう予測されているわけでございますが、私は大蔵省にその内容を問い合わせましたところ、何とこういうことです。三年目に当たる五十六年度はすでに二四・四%、四・五ポイント、達成率では六八・二%。五十七年度、これは四年目に当たるわけですけれども、二五・四%で五・五ポイント、達成率で八三・三%。このような勢いで租税負担率の方は進んでいるわけですね。そうしてみますと、いずれもここに書かれている計画の内容は総崩れという感じでございまして、この計画案は一枚の紙だということになるわけでございますけれども、これに対して大臣はどういうお考えをお持ちになっているか、まずお伺いしたい。
  29. 世耕政隆

    ○世耕国務大臣 大変痛いところをつかれるので、答弁が当たっているかどうか疑問でございますが、在来までの経済予測見通しがどうもうまくいってなかったことも事実でございます。それから、五十六年度のことも御指摘になられまして、おっしゃるとおりでございます。  見通しと現実の税収その他がずいぶん違うじゃないかという御意見でございますが、前年度末に翌年の経済見通しを立てて、それで予算積算するのは政府の大きな仕事でございますが、経済見通し予測して積算する予算というのは、現在行われている方法としてはかなり精密な統計数字に基づいて予測をされてくることでございますが、それが途中で予測が狂ってくる。また、いままでの上で予測よりも経済見通しがもっとふえたときもあるのでございまして、なかなか見通しがそのままぴしゃっといくことが非常に少ないのでございます。  ただ、いままで予算が多く組まれて財政的に支出がうんとあったのは事実でございますが、また補正を組んだことも事実なんですが、いま現在の日本の経済状況というのは、世界の各国に比べると格段にすぐれていい。アメリカよりもヨーロッパよりもどこよりも物価は安定しているし、経済成長率も比較的、まあよその国に比べると悪くはない。それから失業者も大変少ない、二万人ちょっとくらいの率でございまして、これは外国に比べると格段にいい。これはどこにあるかというと、いままでいろいろ批判を受けてきたところでございますが、かなり多額の公共投資その他をやってきながら日本の経済力をつけてきて、それが土台になりまして、いまの日本の経済状況が他国に比べて比較的いい。  いろいろ批判のあるところではございますが、他国に比べるとかなりいいところに、トップクラスのところに来ているわけでございますが、これは過去のいろんな実績によって誤算もありましたし、見通しもちょっと狂ったところもありますが、とにかく積極的に取り組んできたということが、功罪半ばしておりますけれども現在の日本になっている、こういうふうに考えております。
  30. 大橋敏雄

    ○大橋委員 諸外国に比べると日本はいろいろな面でいいじゃないか、こうして七カ年計画が立てられたけれども、いろいろな要素で確かに数字は狂ってきた、しかしそう心配しないでいいんじゃないかというような、非常に楽観的な物の見方をなさっておられるようです。たとえば、経済成長率だって必ずしも下がったときばかりじゃないんだ、上がったときもあるじゃないか、おっしゃるとおりです。これは、高度成長時代はそのとおりであったわけですけれども、もう低成長時代に入ってからはことごとく予想よりも下がっているわけですね。  たとえば昭和四十九年が当初見通し、これは実質経済成長率ですけれども、その当初見通しは二・五%でしたけれども、これは〇・二のマイナス成長になったのですね。五十年は、当初見通しは四・三が実績では三・六%に落ち込んでおります。五十一年も、五・六が五・一に落ち込みました。五十二年度も、当初見通し六・七が五・三に実績は落ち込みました。五十三年度は、七・〇が実績五・一に落ち込んでおります。五十四年度も、六・三が実績五・三に落ち込んでおります。五十五年度も、四・八が三・七に大幅に落ち込みましたね。そして五十六年度、いまの予測が、五・三の当初見通しが途中で修正されまして四・一と、こうなったわけですね。ところが、この四・一ももうだめじゃないか、三%台じゃなかろうかと言われてきているわけですね。いま大臣は非常に楽観的な御答弁をなさいましたけれども、このように状況はきわめて深刻ですよ。これは、鈴木内閣の責任はそんな甘いものではないと思いますよ。  私は、ここでその鈴木内閣の責任を追及していくことに終始したくはございません。きょうは地方財政地方行政についての質問でございますから、そちらの方に移っていきますけれども、私はこの前の委員会のときも、この経済成長率四・一%という下方修正に対して、地方財政計画が組まれている実情から、これは大丈夫かなと大蔵の役人さんも呼んで聞いたら、まあ何とかいけるんじゃないかという答弁でした。財政局長は、いろいろ不安材料はありますけれどもというような言葉であったわけでございますけれども、もう事ここに至っては、この四・一%はまず絶望的ですね。そうなりますと、これは経済企画庁の予測ですから間違いない。第一、十−十二月期を見ますと、伸び率ゼロ、ゼロよりもマイナスになるんじゃないか、こんな深刻な情報がもう流れております。  そこで私は、もう補正予算補正を組まなければならぬのじゃないかということを言ってきたわけでございますが、ここでお尋ねしたいことは、まず五十七年度の地方財政の計画は、経済企画庁が五十七年一月二十五日に発表いたしております「昭和五十七年度の経済見通し経済運営の基本的態度」、これが下敷きになって五十七年度の地方財政計画ができ上がっていると考えるわけでございますが、その点、いかがですか。
  31. 土屋佳照

    土屋政府委員 大変厳しい国際環境の中でございますから、いろいろな問題がございまして、第二次のオイルショック等もございまして、七カ年計画等もかなり動きが変わってきておるようでございます。しかしながら、私どもとしては、最近の情勢を踏まえていろいろと見通しを立てておるわけでございますが、よりどころといたしましては、ただいま御指摘のございましたような政府経済見通しということでございます。
  32. 大橋敏雄

    ○大橋委員 そうなりますと、ただいまの四・一%の達成はまずだめだ。ということになると、この四・一%を受けていわゆる経済運営の基本的態度の中身が決まりまして、五十七年度は名目八・四%、実質五・二%と、こう出ているわけですね。前段階が崩れたわけですから、これも当然理論的に崩れる、こう見なければならぬわけですけれども、間違いありませんか。
  33. 土屋佳照

    土屋政府委員 五十六年度の最終的な姿がどうなるかということについては、私どもも詳細を承知しておるわけではございませんけれども、前回の補正予算において見込まれたものは一応四・一%の実質成長があるということを前提として、それをもとにして五十七年度を見通したものだということは言えると思うのであります。国税当局によりましても、今後二、三月あたりの法人収入等についてはある程度希望もあるというようなことで、最終補正予算数字基礎として考えてもいいということを述べておられ、政府としてそういう態度で来ておるわけでございまして、それをもとにして五十七年度が見込まれておるわけでございます。  先般も申し上げましたように、いろいろと多くの要素があるわけでございますから、完全に、的確に見通すということは容易ではございませんけれども、私どもとしては、政府として立てた経済運営の基本方針というものをもとにして考えていく。しかしそういう中でも、たとえば先ほども税務局長が申し上げたわけでありますが、地方税については、単純にそういった経済成長率をもとにしておるというわけでもない、過去の実績等をもとにして、積み上げ計算等もいろいろやりながら的確な算定をやっておるわけでございます。交付税は、これは国で見込んだものを歳出を通じて予算に計上されておりますから、その額を受け取っておりますけれども、いろいろと御懸念の点もあろうかと思いますが、私どもとしては、いま申し上げたようなことで政府の方針のもとに考えていく、またそれが達成できるであろうと考えておるところでございます。
  34. 大橋敏雄

    ○大橋委員 私は、先ほど言いましたように、この四・一%はまずだめだ、こう見るわけでございますが、そうなれば当然そこに税収の減がまた起こってきますね。局長の考えは、まだまだ最終結論じゃないのだから、もうしばらく様子を見た上で判断しますということですけれども、これは局長の立場ではそう言わざるを得ないのでしょうが、もう明らかですよ。この税収減が起こった場合は、どういう考えでこれを乗り切っていこうとなさるのか、その考えを聞いておきたい。
  35. 土屋佳照

    土屋政府委員 地方税につきましては、私どもは、全体としては最初に見込んだ額は確保できるのではないかというふうに税務当局から聞いておりますが、個々の地方団体ごとに見ると、やはり法人関係税の落ち込みも見られますので、そういった団体については何らかの措置を講ずる必要が出てくると思っております。具体的に申し上げますならば、必要に応じて減収補てん債等を含めた適切な措置を講じていきたいと思っておるわけでございます。  国税三税の動き、特に法人税がどうなっていくかということについては、私も詳細にはわからないわけでございまして、国税当局からの報告を頭に置いておるわけでございますが、少なくとも補正予算が組まれない限り、現在国の予算に計上されておるものは五十六年度で確保できるわけでございます。ただ、将来において法人税が仮に落ち込んだとしますと、五十八年度において精算をするという問題が出てくるかもしれません。しかし、私どもとしては、そういった事態のもとでも、過去の例で御承知いただきますように、地方財政運営に支障のないようなあらゆる手段を尽くしてみたいと思っておるところでございます。
  36. 大橋敏雄

    ○大橋委員 それではもう一つお伺いしますが、これから地方公共団体に対して指導なさっていくわけでございますが、いまの計画どおりの立場で指導していくのか。これが下敷きになっていますね。このとおりでいかれるのか、それとも実態はこうだぞ、決して甘い考えでいくなよ、こういうことで指導なさっていくのか、どうなのですか。
  37. 土屋佳照

    土屋政府委員 五十七年度の予算を前にいたしまして、私ども地方財政計画の内容等を関係団体にいろいろ周知させたわけでございますが、その中では、政府経済見通しというものを基本に置いて説明をしたわけでございまして、それをもとにしていろいろ財政計画ができておることは示したわけでございますが、ただ私どもその際においても、地域によって経済動向は異なるということも十分考えていかなければならない。したがいまして、全体としては私どもは、政府の見込んだ数値が実現されることを期待し、またいろいろな努力によってそういうふうに持っていくべきだと申しましたが、同時に、地方団体実態に応じて十分法人関係税の動向等を見きわめて、慎重に健全な運営ができるようにということを指導しておるわけでございます。しかし、基本になっておりますものは実現できるという前提もとで指示をしておるということには、違いはございません。
  38. 大橋敏雄

    ○大橋委員 本省の皆さんの御指導というものは非常に影響力があるわけですから、その基本になっている姿、それを崩すわけにいかないというようなことになっていくと、これはまたえらい思いがけない赤字が出てくるのじゃないか、私はそういう心配をしてなりません。やはり実態に即した適切な指導が肝心だと私は思います。  そこで次に、地方財政と一番関係の深い地方交付税についてちょっとお尋ねしたいわけでございますが、これは今度の所信表明の中でも、大臣が、地方の自主財源を充実させていく、こう仰せになっておりますので、これは非常に大事なところですからよく聞いておっていただきたいのです。  国税三税、いわゆる所得、法人、酒税の三二%がいま地方交付税として交付されているわけですね。したがいまして、その三税収入総額の六八%が国に帰属して三二%が地方に帰属しているのだ、この交付税地方財源不足を賄っていくのだというような考え方に立っているものだと私は思うのですね。ところが、昭和五十年度以降の財政が非常に厳しくなりまして、財源不足を生じて、三二%では賄い切れない状況になったわけですね。そういうことから、私に言わせれば、不正常な形での特例措置が講じられて何とか今日まで来ている。  そこで、私は、地方交付税法の第六条の三第二項を読んでみたわけでございます。もし、私の理解に間違いがあれば御指摘願いたいわけですけれども、その趣旨は、二年以上財源不足の状態が続き、三年目以降も財源不足が見込まれ、その財源不足額が交付税総額の一割を超えるような状況になるときは、国は税制改正を含め地方財政改正を行うかあるいは交付税の変更を行うこと、このようになっていると思うのですね。だから、そのまま見ていけば、当然税率アップをしていかねばならぬ状況に来ているのだ、このように思うわけでございますが、この点はどうですか。
  39. 土屋佳照

    土屋政府委員 五十年度以降収支の不均衡の状態が続いておりまして、五十三年度あたりからは、ただいま御指摘のございました地方交付税法六条の三第二項に当てはまるような状況であったと存じます。そういうことから、私どもとしては、毎年財源対策としては、交付税率の引き上げを含めて大蔵当局ともいろいろ折衝してきたわけでございますけれども、御承知のように、国においても大変厳しい財政状況でございまして、そういった中で国と地方との財源配分の基本的なものでございます交付税率を一挙に変えるということは、なかなか容易でないということがございました。そういったことで、五十三年度以降借入金によって措置をする、その実質二分の一は国が負担をするというようなことで今日まで参ったわけでございます。  ただ、最初に御指摘のございましたように、そういったことが問題になりますのは、六条の三第二項に該当するような事態の場合でございますから、五十七年度の見通しの場合にはそういった状態にならなかったということでございました。そこで、五十七年度に限っては交付税率の引き上げ等については議論をしなかった、こういう状況でございます。
  40. 大橋敏雄

    ○大橋委員 五十七年度は、たまたま会計法上均衡した形になっております。しかし、実態的にはこれまでの大きな借金があるわけでございまして、地方自治体の実情というものは決して甘い状況にはありませんね。したがいまして、地方交付税の税率を、法律で言えば上げるべき状況がずっと続いてきた、にもかかわらずそれをやらないで、ほかの借入金等でその埋め合わせをしてきた、そうして大きな借金をつくってきておる。ですから、本来ならば税率を上げねばならぬときに上げずに来たわけですから、私は、これを埋め合わせていきますと、税率を上げろ上げろと言っても、国自体が大変厳しい財政状況なんだから、とても無理ですよということであろうと思うのですね。  ですから、交付税率を上げるためには、国の財政が健全になってもらわなければどうにもならぬ。この法律は生きてこないわけですから。ですから先ほど申し上げましたように、大臣所信表明の中で、今度地方の自主財源の充実を図っていきます、こう言明されているわけです。まさに、国も地方税収の絶対量が不足しているわけでございまして、どちらかをよくすればどちらかにしわ寄せがいくという感じの中で、大臣は自主財源をどうして確保していかれるのか、お答えを願いたいと思います。
  41. 世耕政隆

    ○世耕国務大臣 お答えいたします。  いまのような時期ですと、一つには、行政改革案に沿って国と地方との分担をもっと明確に整理していく必要がある。それから、それに伴って財源も見直していく必要がある。つまり、機能の分担のあり方を見直す。それからもう一つは、地方団体の自主財源の中枢をなしている地方税を充実すること。これは住民の負担にもいろいろ配慮しなければなりませんし、単独事業とかいろいろなものによって財源の補給を図らなければなりませんが、地方税の充実を図っていく。それからもう一つは、財源の偏在を防ぐために、地方団体状況を考えながら、御指摘地方交付税の充実を図っていく必要があると思います。  御指摘のように法規の中では、地方交付税の税率は変化に応じてということがうたわれているわけでございますが、現在のところでは、国がああいう状況でございまして、地方の方も車の両輪でございますから、やはり並行して、厳しい状況のときには厳しい状況なりに考えていかなければならないと思うのでございますが、いろいろな臨機応変の措置をとっていままでやってきた。これはいま局長がおっしゃられたとおりでございますが、やはり私は、地方財政に関する交付税の問題を含めて、今後ともいろいろな情勢の推移にかんがみて検討を行っていかなければならない、将来ともにこの地方財源捻出のために十二分に検討すべきである、そのように考えておるところでございます。
  42. 大橋敏雄

    ○大橋委員 まだ、この問題について質疑を交わしたいところですけれども予算委員会関係で四十五分には大臣が出られるということを聞いておりますので、その前にどうしても大臣に聞いておきたいことがございますから、それを先に聞かせていただきます。  それは都市計画法に関する問題なのですが、建設省の方も来ていただいておりますけれども、建設省の方の質問は後に回させていただきます。  これは建設省、自治省ともに聞いておきたいことですけれども、いまいわゆる逆線引きというのが行われているわけでございますが、この逆線引きが行われた場合、従来の市街化区域内にいた人が再調整——線引きの再調整ですね、によって調整区域となった場合、その後も都市計画税を取るのかどうか。その取り扱いについて御見解を承っておきたいと思うのです。
  43. 関根則之

    関根政府委員 線引きのやり直しといいますか、少しここで手直しをしようという動きが出てきておることについては承知をいたしております。そういう作業が行われます中で、市街化区域を調整区域に切りかえていく、こういう場合に、調整区域になった場合には都市計画税を課するのか課さないのか、こういうお話でございますが、都市計画税はそもそも原則として市街化区域内に所在する土地及び家屋に対して課する、こういうのが原則になっております。ただ、例外といたしまして、市街化調整区域においても開発行為が行われる場合その他特別の事情がある場合には課税することができますよ、こういう規定になっているわけでございます。  その特別な事情があるから課するか課さないかという問題については、条例で各地方団体が決めることでございます。一般的にどういう地域が、現在市街化区域になっておるものが今後調整区域の中に入っていくのか、その辺のところが必ずしも明確に、私どもとしては頭の中に出てこないのでございますけれども、多分、もしそういう線引きのやり直しが行われるとすれば、そういう地域については当面開発の可能性がないという地域ではなかろうかと思います。もしそうなりますと、いま申し上げました市街化調整区域内で都市計画税を課するのは何か特別な開発行為等をやる地域についてだけでございますから、そういう要件に該当しない、したがって、そういうものについては都市計画税は課されないというのが常態であろうというふうに考えております。
  44. 大橋敏雄

    ○大橋委員 実は大臣、市街化区域というのは一応線引きで決められているわけですね。その一つ大きな周りが調整区域ということで、ここは課税されないわけですけれども、市街化区域にはいま都市計画税がかけられているわけです。いま線引きの見直しをやろうということで、市街化区域の中に今度はそれを調整区域だということで、いわゆる逆線引きと言っているのですけれども、これがなされようとしているわけですね。それに対して、もともとは税金を取られていたところなんだがどうなるのだという議論が、いま地元で大変複雑に行われているわけです。そこでその見解をはっきりしたいわけですが、いまの答弁では、原則的にはその地域はかけていたけれども調整区域になれば取らないのだということでございますね。これは大臣、それでよろしいわけですね。
  45. 世耕政隆

    ○世耕国務大臣 そのとおりでございます。
  46. 大橋敏雄

    ○大橋委員 ではもう一つ、それに関連しているのですけれども、調整区域に今度逆線引きされますと、いままで払っていた都市計画税を払わなくてよくなった。それでは、それまでずっと長い間、十年ぐらいそこで税金を納めてきた、その税金は返してもらえるのですかどうですかということです。
  47. 関根則之

    関根政府委員 市街化区域でありました当時に課せられました都市計画税は、適法にすでに課税債権が発生をし、納付をされているものでございますので、その後その土地が調整区域になりまして条例上課税対象から外されるというふうになりましても、すでに納めました、あるいはすでに課税権の発生した租税債権がそこで消えていく、あるいは返してもらえるということにはならないと思います。
  48. 大橋敏雄

    ○大橋委員 いまのはそういうことであろうと、私も常識的にはわかります。いまのは地元にしてみれば非常に大事な問題だということで、いまの見解ではっきりしたと思います。  それから、実は埼玉県には暫定的な線引きが行われているということなんです。というのは、いま言うように市街化区域にいる、しかしここはなかなか市街化にならない、まだ将来ともちょっと見通しが立たぬぞ、当分の間また調整区域に戻そうじゃないか、しかしいずれまた開発が進んでくると、この地域はもともとの市街化区域だぞということで、出たり入ったりするような感じになるのですけれども、それに対しては、調整区域になっているときは要りませんよ、市街化区域になれば当然取りますよと、そういう理解でいいのですか。
  49. 関根則之

    関根政府委員 原則としてはさようでございますけれども、具体的に調整区域になりましても、取ることが当該地方団体の条例の定め方いかんによってはできるという規定もございますので、原則的にはおっしゃるとおりでございますけれども、具体の問題においては、その条例の定め方によって多少変化が出てくる場合もあるというふうに理解をいたしております。
  50. 大橋敏雄

    ○大橋委員 一たん市街化区域から調整区域になったわけですけれども、いずれは開発されるであろう、市街化になるであろう、当分の間は調整区域ですよという、その当分の間なんということが出ているものですから、ここで暫定的なという表現が出ていると思うのですけれども、これについても地元の方では非常に迷っておりますので、自治省としても、こういういま私が申し上げましたような点については、明確に御指導を願いたいと思います。  もう一つ大臣にぜひとも聞いておきたかったのは、田園都市構想についてです。これがまだ一本化の方向も確定していないと私は思っております。現実は、各省が縦割りで、ばらばらで施策をしているわけでございますが、この施策の一元化を図るべきだと私は思うのですけれども自治省はこの田園都市構想の地域振興対策についてはいかなる方針でいかれるのか、大臣の御見解を聞きたいと思います。
  51. 世耕政隆

    ○世耕国務大臣 これは、いろんな似たような構想で名前の違うものが各省から出ておりまして、私ども自治省では、新広域市町村圏計画という名称になってくるわけでございます。田園都市構想の推進、これと非常に近い発想でございますが、これは文化、教育、スポーツ、福祉、医療、産業、あらゆる地域課題に対応する総合的な地域づくりを目指すことになっております。田園都市構想とそれから定住圏構想の推進の方は、関係各省庁がいろんな所管に応じて、この理念に沿った施策を展開していくこととされているのでございますが、各省庁のいろんな政策の相互間の十分な連絡をとっていくことがどうしてもこの際必要になってきますので、国土庁の主宰によって関係十七省庁の局長クラスの人々が構成する連絡会議が開催されることになりまして、お互いの間の協力調整体制の確立を図っていっているところであります。自治省の方では、これらの諸施策の間の調整を十分行う、調整役を十二分に行いまして、地方団体が円滑な計画の推進を図れるように努力しているところでございます。つまり、お産婆さんのような役目も兼ねてやっていくところでございます。
  52. 大橋敏雄

    ○大橋委員 大臣、結構です。  いまいろいろとお伺いしましたが、田園都市構想というものは、地方自治体も非常に関心を深め、注目をしているところでございまして、その構想、指導いかんによっては大変な地域振興に直結していくと思われます。  時間がもうあと十五分になったわけでございますので、先ほど建設省の方お待ちいただいたんですけれども、いまから申し上げることを、まとめてで結構ですから答えていただきたいのです。  都市計画法に基づく市街化区域と調整区域との線引きがもうすでになされているわけでございますけれども、その見直しをやらねばならぬということで、いま審議会等におかけになっているようでございますけれども、建設省としての基本的な方針といいますか、それを聞かしていただきたいのです。これが一つです。  それからもう一つは、線引きの見直しに際しまして、その線引き、たとえば逆線引きを指導している県など、地方公共団体みずからが優良農地を率先してつぶしていっているというような姿があるということを、千葉県で開かれました都市問題全国集会というところで報告をされておりますけれども、この報道の記事のままであれば、これは線引きの見直しの方針とは逆じゃないか、私はこのように考えるのでございますが、この点についてもお答えを願いたい。  それから、先ほど申し上げました自治省の方に聞きました点についても、あわせてお答え願いたいと思います。
  53. 田村嘉朗

    ○田村説明員 先生の御質問の三点についてお答え申します。  最初に、線引きの見直しについての基本的な方針がどうかということかと存じます。いわゆる線引きの見直しにつきましては、都市計画法が四十四年に施行になったわけでございますが、その法律、政令それからさらに施行通達というものによって運用してまいったわけでございますが、最近市街化区域の中の都市整備が非常におくれているではないかというふうな問題、あるいは住宅宅地の供給が伸び悩んでいる、こういうことに対応して、もっと積極的な施策を講ずるべきではないかという御批判が出てまいったわけでございまして、そういうことに配意しながら、市街地の計面的な整備を一層推進するということが必要でありますので、一昨年、五十五年の九月に見直し方針を新しく都市局長から通達したわけでございます。  その要点は、一つは、市街化区域への編入は、区画整理事業等の実施が確実な区域、計画的な開発が確実と見込まれる区域については、これを積極的に市街化区域に編入するということが一つでございます。それから、一定の要件に該当するものあるいはこれに準ずるものについては、飛び市街化区域というふうなものも設定できるということ。それから三番目に、当分の間営農が継続されることが確実であること等によりまして計画的な市街地整備の見込みがない市街化区域内の土地については、積極的に市街化調整区域への編入を行う、いわゆる逆線引きを行う。それから、普通は線引きの見直しは五年ごとに行うわけでございますが、住宅宅地需給の逼迫している大都市地域等におきましては、大規模な住宅開発事業の実施等の見通しが明らかになった時点において、随時都市計画を変更するということでよろしい。こういうようなことを基本的な柱として通達したわけでございますが、なお先ほど申し上げましたような各方面からの御批判あるいは問題指摘等にこたえまして、一層効果的な具体的な方策がないかどうか、この点につきまして、過日建設大臣から都市計画中央審議会に諮問いたしたわけでございまして、この諮問の内容は、良好な市街地の形成を図るための都市整備の具体的方策についていかに考えるべきかということでございます。  それから二番目に、県みずからが優良農地をつぶしているではないかという報道もあるわけでございます。この点につきましては、私ども、まずいわゆる線引きの問題につきましては、その見直しにつきましてあらかじめ農林水産大臣に建設大臣は協議する、こういう仕組みになっておるわけでございまして、優良な集団農地等につきましては市街化区域に含めないというふうな調整を図っております。  そのほかに、現行制度上では、市街化調整区域におきましても一定規模以上の計画的な開発は認められているわけでございますが、その場合にその中に農地を含む場合には、個別具体の事情ごとに、これは地方公共団体におきまして農林部局を含む担当部局相互間で連絡調整を図っております。県によりましていろいろ名前が違いますが、土地利用調整会議のようなものをつくって関係部局間で連絡調整を図っているのが実態でございます。さらに必要な場合には農地転用の許可を受けて開発を行っている、こういう状況でございます。  さらに、一定の公共施設、つまり公共性の高い施設につきましても、市街化調整区域の中の建設というのは認められているわけでございますが、公共投資の効率性の観点というふうなことから、やむを得ずそのようなものの施設用地を市街化調整区域に求めるということもかなりあるという話は聞いておりますが、この場合でも、都市計画法の趣旨に照らしまして、個別に担当部局相互間で必要な連絡調整を図っていると私どもは聞いております。  それから三番目、千葉県における暫定的な逆線引きにつきましては、逆線引きを行う区域のうち、今後とも優秀な農地等として保全する必要がなく、単に都市整備上の観点から市街化調整区域に編入する地区、つまり住民の意向等から見まして直ちには計画的な市街化を図る見通しがない地区につきましては、土地区画整理事業等の計画的な市街地整備に向けて住民の意向がまとまり次第、市街化区域に再編入することを予定しているわけでございます。したがって、再編入時期につきましては明言することはできませんけれども、県は随時に再編入を行っていく予定と聞いておりまして、建設省としてもこの方式には協力したいと考えております。  なお、暫定的に市街化調整区域となる土地の区域につきましては、原則として都市計画税は徴収する考えはないと聞いております。
  54. 大橋敏雄

    ○大橋委員 建設省の見解が明確にいま示されましたので、いろいろと混乱していることもおさまっていくものと思います。どうぞお帰りになって結構です。  もう時間が余りありませんが、最後に消防庁にちょっとお尋ねします。  実は、五十六年四月現在における消防力の基準の充足状況というものが二月中旬ごろまとまると聞いていましたけれども、それはまとまりましたか。
  55. 石見隆三

    ○石見政府委員 昭和五十六年四月現在の消防力の充足状況につきましては、ただいまお示しにございましたように、二月中旬をめどにいたしまして作業を進めてまいったわけでございますが、若干作業がおくれておりまして、現在最終的な精査の取りまとめをやっております。したがいまして、三月中旬までには取りまとめを完了いたしたいということでいまやっておる最中でございます。もう少し猶予をちょうだいいたしたいと存じます。
  56. 大橋敏雄

    ○大橋委員 それでは、その調査がまとまった段階資料をいただきたいと思います。  消防力の設備基準といいますか、その見直し中だと聞いておるわけでございますけれども消防力の基準第一条に、これだけは最低限設置しなければならぬぞという、いわゆる最低基準が示されているわけですね。ところが、それにもかかわらずなかなか充足されない。私は、五十三年度の充足率を拝見したわけでございますが、まだまだその充足率の低さに驚くわけでございます。私は、第一条に示されている最低基準そのものが非常に高い立場にあるのではないかな、基準の基準を見直す必要はないのかな、何も安易にその基準をやわらげろというわけじゃないのですけれども、その点もあわせて見直しがなされる必要があるのではないか、こう感ずるのですけれども、いかがですか。
  57. 石見隆三

    ○石見政府委員 消防力の基準につきましては、御案内のとおり、私どもで示しております消防力の基準に基づきまして、各市町村がそれぞれの実態に応じまして、自分のところで自分の市町村消防機関の整備目標というようなものを定めておるという仕組みをとっておるわけであります。  ただいま御指摘の問題は二点あろうかと存じておりますが、一つは、私どもが示しております消防力の基準が高過ぎやせぬかという問題が第一点。第二点は、それを参考にいたしまして各市町村消防機関が定めております基準が高過ぎやせぬかというお話であろうかと存ずるわけであります。  まず第一点の、私どもが各市町村消防機関に示しております消防力の基準につきましては、御案内のとおり、昭和二十四年に一応基礎的な基準が定められまして以後、数次にわたる改正を加えまして、昭和五十年には大改正をいたしまして現在のものの根っこができ上がったわけであります。これにつきましては、最近の火災の状況でございますとか、あるいはまた反面市町村消防機関におきます消防力の充実の状況等を見まして、たくさんの専門家に寄っていただいていろいろ御検討を加えていただき、つくり上げたものでございます。私どもは、現在国が示しております基準といいますのは、そういう意味では火災の鎮圧あるいはまた予防という観点から見まして、いまの段階ではそれほど高いというものではないのではないか。  なおしかし、御案内のとおり、この消防力の基準の見直しにつきましては、実は昭和五十五年の六月に消防審議会から、現在の常備消防消防団の機能分担のあり方に対応いたしまして、消防機関の施設、装備、人員の整備を図ることに関連して、現行の消防力の基準を見直す必要があると思われるという御答申をいただいております。これは緩める方向なのか強める方向なのか、そこは全く白紙でございますが、このような現在の状況を踏まえまして見直す必要があるのではないかという御指摘をちょうだいしておりますので、私どもといたしましては、この答申を受けました直後、昭和五十五年十月に消防庁の中に消防力の基準の調査研究会を設けまして、いろいろと専門家の手による調査研究を進めておるという状況でございます。  一方、市町村消防機関が定めております、いわば自分の市町村でつくっております基準が高過ぎやせぬかという点もあろうかと思っております。これにつきましては、先生ただいまお示しにございましたように、私の方が示しております消防力の基準というのは、いわば最小限度の施設あるいは人員を定めるということになっておるわけでございますけれども、各市町村消防本部のこの運用の実態を見てまいりますと、消防庁が示しました消防力の基準を参考にいたしまして、地域の実情を踏まえて、それぞれの消防機関としては、今後の整備達成目標というような実際の運用がなされるということは事実であります。と同時に、かたがた各消防機関が市町村財政当局に予算を要求いたします場合の一つのよりどころにもなっておるということも事実であります。  このような観点から、市町村が定めているもの自身が高過ぎやせぬかという御指摘もあることは事実だと思うのであります。しかし私どもといたしましては、市町村が定めておりますこの基準といいますのは、申し上げるまでもなくそれぞれの地域の実情に一番精通しております市町村消防機関が定めておるものでございますので、いま直ちにこれが高過ぎる、あるいは低過ぎるという評価をすることは非常に困難であると思っております。私どもとしましては、それぞれの市町村消防機関が、先ほど申しましたように自分の市町村の整備達成目標とし、あるいはまた予算要求のよりどころとしておるものでございますので、それはそれなりに十分理解をしていかなければならぬだろうというふうに考えておる次第でございます。  なお、参考でございますが、前段お答え申し上げました五十六年四月一日現在の状況では、ただいま精査中でございますけれども、各施設装備につきまして充足率は徐々に上がってきておるという状況にございます。
  58. 大橋敏雄

    ○大橋委員 いまの答弁をあらましまとめますと、決して基準は高いのじゃないと思われる、しかし、地方自治体の消防関係の皆さんの考え、御意見等もあって、そこでそれなりに基準がつくられている、それも決して高いとは思われないというような話でございますけれども、再度基準が見直しをされることについて、厳しくするのか、もっと甘くするのか、それは今後の問題として、いずれにしましても各地方自治体の消防関係者の皆さんの認識をもう一歩深める必要があるのではないか、消防力整備に対して。  たとえばホテル・ニュージャパンを見ますと、営業第一でいっておったわけですね。人命、つまり防災第二というようなことであの大惨事が起こったわけでございますが、私がたまたま火災を契機に入湯税の使われ方をちょっと調べてみたところ、地方自治体の消防に対する何とも言えない認識の低さといいますかがあるような感じがしてならぬのです。  この間もちょっとパーセントだけ言ったのですけれども、五十五年度だけを取り上げて、別府市を見てみましたら、入湯税額が三億三千七百九十万円です。それがどう配分されているかというと、環境衛生関係に六千四百九万円で一九・一%。観光関係に一億二千七百十四万円、三七・六%です。これに比べて消防は二二・九%の四千六百八十三万円ですね。  熱海市を調べてみましたら、六十一億三千八百五十万円が入湯税の額です。これに対して環境衛生は三十三億八千八百五十二万円、五五・二%。観光関係に二十一億三千四百一万円、三四・八%。これに対して消防はわずか九・八で、六億二百九十七万円でした。  今度は箱根町を見ましたら、入湯税額が四億七千八百九十七万円で、環境衛生が五三・二%を占めている、二億五千五百万円。それから観光に一億七千五百万円で三六・五%。これに対して消防は一〇・二%で四千八百七十九万九千円、こういう数字になっております。  こういう数字の上から厳然とわかりますように、観光、お客さんどうぞいらっしゃい、いらっしゃいという方向には相当力が注がれているけれども消防の方にはこうした微々たる配分しかなされていないという実態がここにあるわけですから、自治省として、各市町村のそういう方々に対してもっともっと消防力の充実の方に指導していただきたいことを最後にいたしまして、長官の見解を聞いて終わりたいと思います。
  59. 石見隆三

    ○石見政府委員 入湯税は、ただいまお示しにございましたように、特定財源といたしまして、消防施設あるいは環境衛生等に充当することに相なっておるわけであります。五十五年度の全国総額を見てまいりますと、決算では、入湯税総額は百三十億ということになっておりまして、このうち消防施設の整備に使われましたものが三十億ということで、全国総平均では二三%が使われておるという状況であります。ただいまお話にございましたように、それぞれの市におきましては、かなりこの辺が一律ではございませんで、各市町村それぞれの実態あるいはお考えに応じて使われておることは事実だと思うのであります。  温泉地におきましては、申し上げるまでもございませんが、旅館、ホテルというような特定対象物が非常に多うございます。とりわけ、最近これらの建物がだんだん高層化されてきておることも事実でございます。私どもといたしましては、このような入湯税収入消防力の強化のために有効に使われますことを強く期待をいたしておるわけであります。先生のお示しの御意見、私ども担当者といたしましては全く同じ考え方を持っておるわけでありまして、今後とも市町村当局に対しましては、この入湯税収入消防のためにできる限り有効に使っていただくことを強く指導し、お願いしてまいりたいと思っておるわけでございます。
  60. 大橋敏雄

    ○大橋委員 もう時間が参りましたのでこれで終わりますが、実は国も地方も、いま非常に厳しい財政状況でございますので、こうした消防施設を整備していくお金、いわゆる財源確保が大変なことだ、何かしなければならぬということで、私は、消防施設整備のための損害保険会社の負担によるいわゆる目的税の創設について、もう少し論議したかったんですけれども、これはまたの機会に譲らせていただきます。  以上です。
  61. 中山利生

    ○中山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時七分散会