○平林
委員 貸金業の
規制に関する
法律案をまとめて、とにかく
サラ金被害を最小限に食いとめ、これ以上悲劇を野放しにするなという声は今日各方面から寄せられまして、世論になっておると思います。
しかし、その障害になりましたのは、ただいまお答えがございましたように、一つは
出資法による
上限金利一〇九・五%という超
高金利を幾らまで引き下げ得るかということ。第二は、
利息制限法による
制限金利を上回る
金利の
支払いが、
最高裁判決によって不当利得
返還請求権というようなことが起こりまして、その取り扱いをどうするか。こういう二つの点にありましたことは、いまお答えになられたとおりでございます。
このうち、
出資法上による
上限金利につきましては、日歩十銭、年四〇%に引き上下げる、しかし段階的に、
法施行後最初の三年間は七三%、三年
経過した後の三年間は五四・七五%、四〇%にするまでには
法施行後五年を
経過した後におきまして速やかにこれを実施する、私どもはこれに合意をいたしたわけであります。
ただ、私どもは、このような
金利がいつまでも許容されるとは思っておりません。法定化されたといたしましても、この
金利はなお
高金利であります。もちろん、理想を言えば
利息制限法の
上限金利一五%とか二〇%に合わせるのがあるいは理想かもしれません。しかし、私どもはこの
法律に合意をいたしましたが、この
法律に賛成をいたしたとしましても、この
金利を是認したわけではない、あくまでもこれは
上限金利である、
貸金業の
規制に関する
法律案をまとめるために現状においてはやむを得ない、こう判断を実は私はいたしたのでございます。
現に、
出資法の一〇九・五という超
高金利がありながら、実際の
業界におきましては、日歩十二、三銭のところもあればあるいは八〇%、九〇%がいまなお通用しておるという
事態にもございますので、たとえ初めの三年間七三%にいたしましても、実際
金利がなるべくそれより下回ったものにすることができれば一歩前進である、こう考えるわけでございます。
それなら七三%の初めの三年間は高過ぎるじゃないかという議論がございます。私は高過ぎると思います。しかし、高過ぎるといいましても、
貸金業者特に消費者金融の分野においては、いわゆる
サラ金業者の大多数はいまなお日歩二十銭、七三%を超える
金利で経営しておるということです。一部においては、これより低い
金利で
営業していますが、大多数は七三%を超える
金利で
営業しており、かつ、消費者金融
業界の定款は八〇%ないし九〇%の定款をもって定めておる。この
実態を知らずして、ただ七三%は
現行でも高過ぎるという理論は必ずしも当を得ていない。
利用者は、その
高金利を知りながら借りておるわけであります。この
実態を考えますと、高過ぎる七三%ではありますけれども、一歩前進と言えるのではないか。
説をなす者は、現在日歩十銭とか十五銭で経営する
貸金業者があるじゃないかと言う。私もそのとおりだと思います。しかし、それは
業者の全部ではない、大多数はそうじゃない、この現実は残念ながら認めないわけにはまいりません。ほうっておけば
金利は下がるじゃないかという議論があります。私も初めはそう思っていたのです。この
法案をある程度
政府・与党と話し合う場合におきましても時間をかけましたのは、確かにこの間に
金利が下がってくることを期待しておりました。大手においては確かに下がりました。だが、大部分の
サラ金業者は一向に下げる気配はございません。この間の大蔵
委員会の参考人の意見を聴取いたしましても、五年後においてもこんなのは荒唐無稽な
金利だということで批判する向きがございますように、大多数はこれについていけないのであります。
では、この間
サラ金悲劇はそのままほうっておいていいのか、こういうことになるわけでございまして、私どもは、この線で決断あるいは踏み切ったというわけでございます。したがって、この
金利を是認したわけではなく、あくまでも
上限金利として、これ以上は
刑事罰を科しますよ、つまり抑制的
措置を定めたものであると理解をいたしておるわけでありまして、
上限金利以下の
金利で経営するように、一段の努力をわれわれは
業者に要求いたします。現に、相当数は法定以下の
金利で
営業しておる
業者があるわけでありますが、低
金利への牽引力になるように、その
営業態度を前進させることを私は要求したいと思っています。
せっかくの
貸金業の
規制に関する
法律案でございます。もちろん、四〇%でも高いから三六・五にせよとか、初めの
金利は七三では高いから五四・七五から出発せよとか、こんなものなら
法律に反対だという議論もございますけれども、そのためにまた無法地帯に野放しにするということは、もはや許せないのじゃないか。もし、今日の決断が五年前にあったらどうだったろう。今日の決断がもし五年前にあったならば、
年利五四・七五から出発して、いまごろは次の段階に踏み込めたわけであります。これを思いますと、理想だけを追って現状を肯定することは矛盾だと私は判断をいたしておるわけであります。
それにいたしましても、五年ないし六年後の
経済というのはどういうふうになりましょうか。資金需要の状況とか
金融情勢あるいは
貸金業者の
業務の
実態、どういう見通しをつけるか、これはなかなかむずかしゅうございます。しかし、やや中期的に判断をして選択をすれば、五年後の五四・幾らという
金利は、
社会的にはいつまでも許容さるべき水準にはない、もっと低くしなければならぬ情勢が展開するのではないかと思っています。五年先のことは、神ならぬ身でなかなか確定することはできません。しかし、私は
金利低下の方向に向かうだろうと思っておるわけでございますが、
大蔵省銀行局あたりは、将来の状況を考えまして、この議員立法によります五年後の五四・七五、そのときの情勢で判断することになっておりますが、私の推理するような方向に行くかどうか、御意見があれば承りたい。