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堀委員 そこで、コール、手形がこういうふうになりますと、必然的に現先その他のマーケットもそれに金利裁定が働くということになりますね。金利裁定がこういうふうに働いてくれば、要するに、その資金を取り入れる人たちは、これなら
長期よりも
短期でいいじゃないかということで、
長期の需要が減ってきて
短期にシフトしていく、必然的に
長期が上がってきますね、これは経済のメカニズムだと思うのです。
ところが片方を見ておりますと、いま民間の資金需要はどうもいまひとつはかばかしくない。民間設備投資はいずれもどうも停滞ぎみでありまして、民間の資金の方は実は余り需要がない、主として公的資金の方に強い需要がある、こういうかっこうでございますね。
それで、いま
お話がございました七月以降はややタイトになる、それでこう上がるということでしたら、ちょっとこの際それに合わせて、いまのいわゆる政策
処理は少し後ろへ下がってもいい時期に来ているのだなと思う。タイトになった上にまだ高目誘導をやるのでは、これは大変でございます。ですから、公定歩合が五・五で一・八もそういう普通の市中の金利に差があるということなら、裏返せば、一遍公定歩合を少し上げてもいいのじゃないかという議論も一つ成り立ってくると思うのですね。
私は、当
委員会で、そうですね、もう山際総裁のころから
お話をしているかと思うのですが、どうも
日本銀行では公定歩合というのは何が非常に重要なことで、それは軽々に動かしていただいては困りますけれども、しかし時期を見て機動的に上げて、また様子を見て悪ければ下げてという対応がいまや非常に求められているのじゃないだろうか。
たとえば、私ちょっといまの金利のあれとそれから円の相場をずっと見ておりますと、五月の初めに最近とすれば一番円相場にボトムがあったわけですね。四月の五週の終わりのところが大体二百三十六円、五月第一週が二百三十二円ぐらい。また二百三十六円と戻るわけですが、こういうふうに出初二百四十八円
程度、二百四十六円とかずっとあったときから、これだけ下がったときに、この高目誘導を一遍ぱっと緩めて、そして必要があればまたやるとか、この高目誘導も公定歩合操作よりはもっと簡単な問題でしょうから、より少しいまの情勢を生かしながらお考えいただけないものか。
というのは、私はこういうふうに考えるのですね。何らかの処置をしておりまして、その処置をやめるか処置の内容を下げると、外から見ていますと、ああ、あれを少し下げてきたということは、ある
程度の見通しは立っているのじゃないかというふうに見られますから、一遍そういうふうに、これはマイナスもあるでしょうが、プラスに働く面もある。しかし、それがやってみてどうもうまくないからまた上がるとなれば、これはいまの
金融当局の考えが変わったのだなということになる。この上げ下げの関係というのは、じっとやっているのに比べて心理効果としてプラスに働く点もあるのじゃないか。
ですから、最初に申し上げたように
金融政策を心理効果というものを含んで考えるということになると、一・八%も高目でコールや手形や現先と全部が誘導されていて、それが
長期金利にもはね返っていて、そのことが要するに国際市況にはね返り、
財政に波がいく。こういう非常にむずかしいいまの段階の中では、やはりより機動的対応ということがあっていいのではないか。
確かに、景気対策でいろいろな
お話が出ます。この間ある党から、三兆円の公共事業をやるべきだという話が出た。この三兆円公共事業をやりたいとおっしゃる方は、公共事業のプラス効果の方に大変目を向けていらっしゃるのでしょうが、三兆円の
国債を発行する方はどうやら余りお考えになっていないから、こういう論理が出てくると思うのです。
そういう点では、渡辺
大臣適切な
お話で私どもも結構なのですが、どうも私は、いろいろな情勢を見ておりまして、いまの
金融政策がすべて矛盾に満ちているような感じがして仕方ありません。確かに両にらみがありますが、問題は、民間設備が出てこないのは金利よりも先行き不透明だということの方に経営者のマインドがあるのでありまして、先行き見通しがあったら、金利が多少高くても
企業家ならばやるのですよ。いまの最大の理由は、私は金利ではないと思う。それならば、場合によっては公定歩合を上げて対応するというやり方もあっていいし、それをやって余り意味がなければまた下げる。あるいは金利全体を少し調整しながら円に対する対策もとると同時に、国内政策に対しても、そういうやや果敢な機動的対応を
日本銀行が行われることが、いまこういう経済情勢の中で求められているのではないかと私は思うのですが、
前川総裁、いかがでございましょうか。