○堀
委員 まとまらなかった最大の理由は、実はさっき大原さんがおっしゃった
グレーゾーンの取り扱いの問題なんです。要するに、
グレーゾーンというものと
金利というものは関係があるわけです。
私
ども社会党としては、特に私が十銭とか四〇%にこだわっておるのは、
皆さんにとって将来の問題、十銭という問題、四〇%という問題と、現実に今日起きておる
グレーゾーンの問題と一体どっちが重要なのか。この方は、今後五年でも六年でも
グレーゾーンはこのままにしておけばずっと続きまして、聞くところによれば、その専門の方
たちもいろいろ出ておるというふうにすら聞いておるわけですから、
皆さん方がたとえこういう現状の
庶民金融業者であっても、さっき大原さんが二回にわたっておっしゃったように、最高裁判例は、ともかくもいまの状態なら訴訟が起これば
皆さん負けることになっちゃっているのですよ、現行の法制の中では確実に負けるのですよ。
そういう不安定な状況に置くのは望ましくないと私は
考えるから、不安定な状態に置くのが望ましくないと
考えれば、要するに、それに見合う
金利というものが
法律に書き込まれない限り、片方で
皆さんの権利を保障する以上、その保障に見合う担保として一定の
金利を
法律に書かざるを得ない、ここが実はポイントで今日まで時間がかかったわけです。だから、今度
平林さんが大変御苦労になって話がここまで進んできたわけです。
そこで、さっきからの
お話を聞いておりますと、ここに代表して出ていらっしゃる方はそういう零細な
業者のようでございませんから、お立場は、私の話は十分理解はできるお立場だろうと思うのです。ただ、
皆さんは協会の
会長という立場でしょうから、協会の
会長は民主的に協会員の立場を尊重しなければならぬというのは当然であります。
ですから、私はここで伺っておかなければならないのは、非常に紆余曲折があってここまできたわけです。私も
金融の専門家でありますから、
日本の今後の
金融状態がどうなるかということについては、十分私なりの見通しも持って
考えているわけです。
〔
中西(啓)
委員長代理退席、
委員長着席〕
少し具体的な話で恐縮なんですが、兵庫県の
庶民金融業協会の
皆さんは大変まじめにやっていらっしゃるので、私が
法律をおつくりしましたことを
皆さん承知しておられて、ちょうど
昭和五十一年の暮れに私は落選をいたしまして休んでいたときですから、五十二年の初めに、
皆さん幹部の方が、今後の
庶民金融業の進むべき方向について話をしてくれ、こういう
お話がありました。そこで当時は、
昭和五十二年でありましたから、ここにいま出ております大体二十五銭から二十八銭の時期だったと思うのであります。
そのときに、将来展望としては、大体三年ぐらいで二十五銭から二十銭、さらに十五銭、こういう形で
金利は漸次低下するでしょう、周囲の諸情勢から見て私はそういうふうに判断をする、こういうことを
一つ申し上げました。
もう
一つは、いろいろと兵庫県の協会の
皆さんが
調査をしてみられて、要するに、現在の
届け出業者と
実態とが相当乖離しておるという
資料も拝見したものですから、そこで
登録制ということを
考えたらどうでしょうか。当時私は、二年、こう言っていたのでありますけれ
ども、要するに、二年間たって登録を再登録しなければ登録は無効になるという形で、再
登録制をすれば常に登録
業者というものがはっきり把握できるようになる。要するに、一定の幅で登録されたものをきちんと確認をしながら、
金利が漸次下がっていくという形を通じて、他の悪徳
業者との間のはっきりした選別を
利用者の側にしてもらうということが、今後の
庶民金融業の発展の方向ではないでしょうか、こういう
お話をしたわけであります。
その後、現在銀行局の検査部長をしておられる吉居さんが中小
金融課長のときに私の見解を述べて、どこからスタートするかは現状からスタートする以外にないだろう、しかし、五銭刻みでだんだんと
金利を何年かごとに下げていくということと再登録の実施をするということが、今後の
庶民金融業の発展のために必要なのではないかということを、私は当時の吉居課長に
お話をしたことがあります。今日、大体私が
考えた方向で、
金利は大分下の方に下がることになってきましたけれ
ども行われておるわけです。
ここで、その五十二年のときに兵庫県の
会長の沖野さんが全金運でそういう
お話しになったときには、とんでもないと言って一笑に付されたようなことでありました、そのときは二十五銭、二十銭の話だったと思うのでありますが。ところが今日、東京はそのときは二十八銭、大阪は二十六銭であったようでありますが、いずれも八〇%、二十一銭というところまで、五銭ほど下がってきております。さっきの
丸山会長の
お話では、十五銭まではみんなで何とか努力をしょう、こういうところまで来た。私は、それなりに
皆さんが努力をしておられることは評価をしたいし、それが簡単に言えば
庶民金融業法をつくった私の趣旨でもあったということで、この
法律をつくったことはよかった、今日こう思っておるわけですね。
そうすると、これから後の問題としてはどうしたらいいのだろうかというところで、さっき申し上げた
グレーゾーンの処理をしなければ安心して
営業が行えないというのが現状ではないのか。率直に言って、
皆さん方は
グレーゾーンの問題に関係がないと思うのですよ、いまさっきの
お話を聞いてますと。
丸山さんはともかく不動産担保だから
金利も安い、こうおっしゃってますね。あるいは
広瀬さんは手形割引だ、三銭から七、八銭だとおっしゃるから、これもいまの
グレーゾーンの対象の御心配はありません。それから、
小林さんはいろいろな形でやっていらっしゃいますけれ
ども、手形一〇%ぐらいからで、企業関係は七三%ぐらいまであるとおっしゃってますからね。一般的に
皆さん方はいまの
庶民金融業の中ではかなり大きい部分に属しておられるわけですから、いわゆる零細な
皆さんのいろいろな心配というものが、必ずしも
皆さん御自身の経験を土台にしておるわけではないと思うのです。
ですから、大原
委員が
質問の最初に
グレーゾーンの問題を取り上げられたことは、この問題の一番中心はそこなんです、いま私
たちが
考えているのは。これを何とかしないでこのままほうっておいて
金利の問題は——いま大手の
皆さんが猛烈な勢いで広がってますね。信販が入ってきましたね、スーパーマーケットがやってますね。あらゆるところがいま
消費者ローンに参入してどんどん入ってくるわけですから、ほっておいたらどうなるのかということになると、率直に言って、善良な
庶民金融業者が一番大きな被害を受けるのじゃないかと私は思っております。だから、何とかして善良な
庶民金融業者を守ってあげたい、これが私の真意なんですよ。それには
グレーゾーンを外すということが一番大事なのじゃないか。
グレーゾーンを外すためには、一定の
金利ということを
法律の本文に書くことが私
たちとしては求められているわけです。だから、本文にひとつきちんと書きましょう。ここで四〇%、これまでは十銭と言っていましたけれ
ども。
実は、私が再選されて五十四年十一月に
国会に、大蔵
委員会に帰ってまいりました。当時、自民党の財政部
会長は高鳥さんで、帰ってきて
皆さんの話をいろいろ聞いてみると、実は
グレーゾーン問題で野党と与党の間でなかなか話がつかない、こういうことでありました。私は高鳥さんにこう言ったのです。もし
法律でわれわれが
金利を法定をして、この
金利でやりなさい、もしそれに従わなければ三年以下の懲役にしますよというように
金利を法定した形で
貸金業法も利息制限法も
出資法もワンセットの処理をきちんとしたときに、なおかつ
グレーゾーンが残るということでは、
法律の権威に問題があると私は
考えたわけです。
金利を法定して三年以下の懲役を規定しながら、片一方で利息制限法よりは高いから訴訟したらそれが崩されるということでは、
法律の体系としては問題があるだろうと私は思う。だから、ひとつこの際は、要するに二十銭、十五銭というのが自民党案だけれ
ども、十銭のところまで踏み込めませんかと言って、私は高鳥さんと
お話をしたわけです。
当時高鳥さんが、それでは堀さん、私の私案だけれ
どもこういう案はどうでしょうかと、七〇%、五〇%、四〇%という案を出されたわけです。四〇%というのはぎりぎり十銭台なんですね。十銭九厘幾らになりますか、十銭台なんです。私
どものバックにおる弁護士会の
皆さんとか労働組合とか
消費者の団体とかいろいろな
皆さん方は、何とか十銭になれば
グレーゾーンの問題については弾力的に
考えたいという
考えであったものですから、高鳥さんの言われる四〇%で私は妥協する気でおったわけです。
今日、いま
理事会での案と言われるのが十銭であったのが四〇%になったのですが、私はそうこだわっているわけじゃない。なぜこだわらないかといったら、いまの十銭と四〇%という問題は、私からしたら、
グレーゾーンを取り除くための許容の限界が四〇%なんです。四〇%を少し超えて十一銭になったらこれはもうだめなんです、この法案はできないのです。だから、そういう意味で十銭でがんばろうと私は思っていないので、四〇%でいいですよと。目的が、
グレーゾーンをどうやって外すかということが今日の
皆さんのための一番重要な課題だと
考えているから本法に書いてあるのです。
憲法四十一条は、
国会は国権の最高機関だ、こう書かれているわけですよ。行
政府よりも司法府よりもさらに高いところに
国民の正統な代表としてわれわれが送られて、ここで国権を任されておるわけですから、ここに書かれておることが
法律となりましたら、
皆さんがこれを信用なさらなければ、
皆さんがこれから
日本国民として生きていく上に何を信用して生きていけるか、何を信頼して生きていけるかと私は
考えているわけです。
ここは、いま与野党一致でこの問題の処理をしようというところに来ているわけです。与野党一致でそういう形になれば
委員長提案というようなかっこうになるかもしれません。みんながここで責任を持って決めたことが心配だなんて言うのは、
国会議員の立場からしては大変穏当を欠くと私は思っているのです。与野党一致で決めたものは、
国民の
皆さんは安心してその問題の決定と見ていただいて結構だ、こう私は思っておるのです。
だから、そういう意味で、いろいろ心配があるという
お話がずっとありましたが、私は、まず心配はない。われわれだけでやって与党が違うというのなら別ですよ。与野党が一致してここで決めたことについては、ここに書かれた
内容については、われわれが
国会議員の立場で責任を持つということなのです。
そこで、さっきから何回も
お話がありますが、私は
社会党ですけれ
ども、計画経済とかなんとかというのを言っていないのです。競争原理だと言っている。ともかく二十年、競争原理、大蔵
委員会の中で競争原理を主張しているのは、
社会党だけれ
ども私が最右翼にいるわけです。
それは、銀行を含めて
皆さんも広義の
金融業だと思いますけれ
ども、一体これはだれのためにあるのでしょうか。
貸金業でもいいですし
金融業でもいいですが、だれのためにあるのか、ちょっと一わたり
皆さんにお答えをいただきたいと思います。