○正
森委員 つまり、四十九年
段階にはもうだめなのに、五十五年の春まで六年間、
利益も上がらないところから利息を取って、その分
自分のところの金を
出しておった、支払い保証はちゃんと続けておった、こういうことなんです。
これは、いろいろ言いますよ、全部を回収するためにはこの会社を生かしておかないと、倒れたら元も子もないのだと言いますけれ
ども、それは倒してしまわずに置いておけば全額取れるという
可能性がある場合に言えることで、そうではなしに全額取れないかもしれないで、むしろその間六年も
利益が出もしない会社から利息を取り、その利息は
自分の会社から貸し増ししておったのだ。その貸し増しの額の方が大きければ、商法に言う明確な特別背任罪です。それに近いことをやっているのですね。
なぜかと言えば、私は名前は言いませんが、このプロジェクトの
最高責任者に来てもらって聞いたのです。そうしたら、担保というのは結局この百七十万坪の土地でしょう、その金で買ったわけですから。これの簿価は
幾らあるのだと言ったら、坪一万円しかないのですよ。そうしたら百七十億円でしょう。七百三十億貸しているのですから、取れないのです。どないして取るのだと言ったら、これを開発しますと言う。開発して売るときにも、半分は道路だとか公園だとかの公共用地にしなければならぬでしょう。だから、坪十万から十二、三万で売れれば何とか元と
利益が取れる、こう言っているのです。簿価一万円ですよ。それが十二、三倍に売れなければだめだということで、地元では、債券信用銀行というのは元不動産銀行ですから土地の評価が専門だけれ
ども、それがこんなずさんなことでは土地評価を返上したらどうだという声が起こっているのです。何か
最高責任者の決断で、それでは
余り伝統に背くからもうちょっと続けよう、こうなったようですけれ
ども、そういうような状況があるのに、元を取るためには貸し増しするのはやむを得ないなんて言って五十五年の四月まで、
利益も出ないところから利息を払わして、その利息相当分を貸し付けしておった。債務保証はどんどん肩がわりしておった。去年一年間で百四十億短期貸し
出しがふえているのですよ。言語道断だ。
そこで、いま時間だというのが来ましたから、なぜこういうことになったのか。これは小針という社長なんです。この小針という社長を、債券信用銀行の
責任者を呼び
出して聞いたら、東北の小佐野と言われている男で、何かと物を言うのについて遠慮もございます、こう言っているのです。十三億の資本金のところに七百三十億も貸してなかなか金が取れない、この物件を売れ、場合によったらおまえ社長をやめてちゃんと債権整理ができる者がやれというようなことは銀行なら言うのはあたりまえでしょう。それが言えないのはなぜかというと、なかなかこの男政治力があるのです。
ここに「夜に蠢く政治家
たち」という本があるのです。私も政治家ですから、この題は
余りおもしろくないのですけれ
ども、これは赤坂の料理屋の「大野」というところにいたその下足番が逐一だれが来たかということをつけているのですよ。その中に、小針というのが常連で、私が調べて一覧表をつくったら、五十三年一月、まさに五十四年から利息がストップしようという前年ですね。五十三年一月に四回、二月に八回、三月には七回というぐあいにもう「大野」に入り浸っているのですね。そこで会うのが全部政治家と
大蔵省。こんなことを言うのは嫌だけれ
ども、
大蔵省。いいですか。ここの十六ページを見ると、一月二十一日「東北の小佐野 福島交通社長・小針氏」という見
出しで書いてあるのです。「〔予約審〕松」、松という部屋があるそうですね。「安倍官房長官、小針社長、中川農林
大臣、長岡官房長、田中
理財局長ら六名」「安倍官房長官の席に、小針社長、中川一郎農相、
大蔵省の長岡官房長、同田中
理財局長らが入った。」こう響いてありまして、その後で訂正みたいのを書いて「なお、
大蔵省の長岡氏は五十二年六月十四日付で
主計局長に昇任しているが予約台帳では旧職名になっている。このようなミスは他にもあるかもしれない」、この下足番の人はなかなかちゃんとしたあれで、そういうことまで正確に書いておるのですな。
それで、それ以外にも、たとえば一月十八日の項には「安倍長官と同席した「小針様」とは福島交通社長小針暦二氏のこと。故河野一郎氏の引きで地方政界から中央政界へ進
出した天野光晴代議士(福島一区)の仲介で、安倍普太郎代議士と知り合い、安倍氏から
福田赳夫氏へと人脈が広がった。だから派閥横断的な小針氏の人脈のキーマンは安倍氏といえる」、こう書いているのですね。
さらに別のところを見ますと、江川という債券信用銀行の役員がちゃんと小針氏と会っているのですね。社長と間違えていますけれ
ども、債券銀行の「江川社長はのちに加藤
先生の部屋に合流。」加藤
先生というのは加藤六月さんですね。「その他、安倍官房長官、小針社長、大川西さんらが加藤
先生の席に入る。」「債券銀行とは、旧不動産銀行を改名した「日本債券信用銀行」のことである。戦前の朝鮮銀行を母胎としている関係からか日韓人脈との関わりが深い。」というようなことが書いてあって、ずっと解説まで書いてあるのですね。
これ全部挙げませんが、私はまた、こういう貸し
出しの事実と若干の政治家が関係があるということも言いません。それは一、占いませんが、なぜこの小針に対して、かくも大量の不良貸し
出しをした債券信用銀行が物が言えないか。東北の小佐野で物を言うのに遠慮がございますという中に、もしこの小針氏が
自民党のそうそうたる現職の閣僚でもある政治家と交際があり、
大蔵省の現職の
主計局長や当時恐らく
理財局長だったと思いますが、そういう人が同席し、そういう人
たちが次々に次官になる、そういう影響力を持った人物だから銀行局がある
程度物が言えない、そのことを見越して本人が大きな顔をしておるということになれば、これはもうもってのほかのことであると言わなければならぬと思うのですね。
私は、個別銀行の貸し
出しについては
委員会の
質問で
余り言いたくないと思ったし、いままでも、そういう関係の投書等がありましても、銀行局にその資料を直接お渡しして、私が公の席で聞かないということもやっまいりました。銀行局はよく知っているはずです。しかし、これは事柄が黙視できないぐらいの大量の不良貸し付けであり、この債権は三分類に入っているのでしょう。三分類というのは回収が困難であるという分類なんですよ、四分類というのはもう回収不能、こうなるのですから。しかも、それに対して政治家が日夜接待を受けておる。その席に
大蔵省の
最高幹部も同席しておる。けしからぬことです、本当に。
幸いなことに、渡辺
大蔵大臣は一度も出てこない。だから私は安心して聞いているのです。だから、その渡辺
大蔵大臣がやはりやるべきことはやってもらわなければならぬ。政治家の影響力が仮にあるとして、あるとは言いませんよ、仮にあるとしても、そういうことには関係なしに銀行局、債券信用銀行は資金回収のために最善の措置をとって
預金者の
利益を守らなければならぬということをやっていただきたいと思いますが、時間が過ぎました、
委員長申しわけありません、これで終わりますが、
大蔵大臣の御
見解を承って
質問を終わります。