○簑輪委員 より一層理解していただくために少し申し上げますと、コンピューターはアメリカを中心として非常に発達し、いまやヨーロッパやカナダにもずいぶんとコンピューターが広がり、コンピューター
労働者も
世界に大変多いわけですね。
そして、
わが国では、さらに第五世代コンピューターを開発するということで、大蔵省としても格別の予算
措置をして、コンピューター開発に力を入れる、
政府として力を入れるというふうになってきているわけです。その際に、先の方ばかり見てどんどんと発展させていくわけですけれ
ども、それがもたらす被害、企業が発展する際に出てくる公害やらあるいは薬害やらという問題もございますけれ
ども、そういう問題と同じように、コンピューターが広がるにつれて
労働者に及ぼす影響というような問題を、やはり十分理解していただかなければならないと思うのです。
カナダの報告では、コンピューター労働に従事する四人の婦人
労働者が四人とも出産したのですけれ
ども、その四人ともが異常児を出産したという例があったわけです。それはオペレーターとかプログラマーとかシステムエンジニアとかいろいろな業種がありますけれ
ども、コンピューター業界で働く
労働者のうち、システムエンジニアやプログラマーでは四三・九%、オペレーターでは四六・二%、パンチャーでは四七・二%という半分に近い
労働者が、視力が落ちたというふうに言っているわけですね。ある婦人のプログラマーは、両方の視力がもともと一・五だったのだけれ
ども、三年間コンピューターのプログラマーをやっているうちに、両方の視力が〇・一と〇・二になってしまったというひどい被害を訴えている人もいます。
そういう中で、一九八〇年十一月にパリで開かれた銀行・保険のコンピューター合理化に関する国際シンポジウムというのがありまして、そこでは「スクリーンを備えた端末機の導入は
労働者の健康に対して直接かつ重大な影響を与えるだけでない。すなわち、視力障害、神経症、騒音は今日最もよく知られている。」というふうに、このシンポジウムの結果が報道されております。それがこの銀行労働調査時報というのに載っているわけですけれ
ども、ヨーロッパでは見やすいようなCRTにするよう法規制の動きもありますし、アメリカでは国立労働安全衛生研究所が推奨基準を発表して、さらに実態調査を進めているという報告もあります。
コンピューターの導入されているのがどういうところに多いかといいますと、トップが
金融、保険、証券、銀行を含めて全体の二一・五%、次が
政府機関なんです、一四・二%。その次が卸、小売が一三・四%というふうになっていますけれ
ども、大蔵省の所管の業界、銀行とか証券とかそういうところにどんどんとコンピューターが使われていて、東証の第二部の上場がこの四月から全部コンピューター化されたというふうな事態になっているわけですね。それから大蔵省自身が十九台のコンピューターを持っているんですね。統計、情報検索、予算、会計、資金管理、税務、当然仕事の性質上必要な部分があると思うのですけれ
ども、コンピューターが大蔵省自身たくさんあるということです。
私が予算
委員会で質問をいたしました後に、銀行、証券の
労働者、国税局関連で働いている人あるいは港で働いている通関
関係の人たちから、すぐ大変
心配だという問い合わせが来たわけですね。直接、間接に大蔵省に
関係する人たちの中からも、コンピューター導入による健康障害というのはどうなるんだろうかという
心配が出てきているわけです。
私は、そういう
意味から、予算
委員会では通産省と労働省に警告を発し、これに対する適切な対策をとるように要求をいたしましたけれ
ども、
大蔵大臣は、特に莫大な補助金がついているコンピューターのことでもありますし、大蔵省所管が非常に関連の多いものでもございますので、特別の関心を払っていただきたいというふうに思います。そして、現在は全く対策が何もとられていない事態でございますので、事が取り返しのつかないゆゆしい事態にならないように何らかの対策を打たれるように尽力をお願いしたいと思います。それは
大臣の方が
関係省庁と連絡をとるなりして適切な対処をお願いしたいというふうに思っておりますので、この点についての
大臣の御見解を伺っておきたいと思います。