○
島田委員 金融面における問題は、いま
局長がおっしゃったような
方向で、これから詰めていかなければならない点だろうと思いますが、この際、時間が来ましたからこれを総括しておきますと、つまり、きょうのいろいろな質疑の中で明らかになったのは、
日本の第一次産業、
農林水産業にとって
貿易問題というのは非常に重要な局面にいま立っている。しかも、いままで
東京ラウンドを初め
貿易問題というのはあらゆる角度から検討がなされてきて、
日本としては、もうやり得ることはほとんどやり尽くしていると
考えていい。何も特別
日本だけが
貿易問題に対して高い塀をめぐらしているのではなくて、どこの国をとってみても、それぞれ国内の
農業保護を行い、第一次産業の保護政策を行っている。
この際ですから例を挙げておきますが、
EC諸国では、ほとんどの国が
輸入課徴金制度をつくっておりまして、国内価格と国際価格との遮断を行っている、これはきわめて常識的なことであります。
アメリカ自身だって、
かなり強い制限を行っている国である。大洋州もまたしかりであります。それは
日本の場合に限らないわけで、国際的に見ても、こういう政策というのはほぼ
合意されているわけであります。
ただ、その中で
日本だけが非常に国内の
農業政策なり水産業政策、林業政策が弱いために非常にねらわれる体質を持っているという点が他の国と比べて違う点であります。いわんや、
食糧の
安全保障ということを先ほど
政務次官もおっしゃったわけでありますが、これは
食糧の
安全保障という
立場から
考えますれば、
日本の自給率というのは、皆さん方御承知のとおり三〇%を割り込むという非常事態になっている。かつてのイギリスの自給率が問題になったときから
考えましても、現状のイギリスの自給率との比較で言えばイギリスの半分以下でありまして、こういうことで一国の国民の命が守れるかどうかということがまさに問われているいま大事な時期だ、こういうふうに思うのです。
そう
考えますと、
東京ラウンドの延長であろうと、あるいはそのほかの
貿易問題の
各国間における
協議であろうと、
日本としては、これ以上譲れないぎりぎりのところにいまあるという点を、まず
アメリカを初め
各国に
理解せしめる必要がある。その
努力が続けられてもなおわからないというのでは、私
どもは全く
納得ができない。
これは、
農林省だけが幾ら声を大きくして叫んでもだめなんでありまして、冒頭で、
政府部内において
一括方式でやるのか個別
方式でやるのかというのが大変違ってきますということを
指摘をしたのは、個別にやってまいりますれば、
牛肉の問題とか
オレンジの問題とか、あるいはたばこの問題とかというのが突出して、そこのところだけにスポットが当てられて、えらい思いもかけない騒ぎに発展していくということだって起こり得る。こういう点を
考えますと、やはり
統一した物の
考え方で
貿易問題に取り組まなければいけないのではないかということを冒頭で
お話を申し上げたのはその点に尽きる、私はこう思うのです。
国内のいま置かれている
状況を長々と御
説明する必要はないほど、
農林水産の問題は大変な窮地に立たされている。
貿易問題によって
日本農業の破壊、壊滅につながるという
危機感さえ私自身は持っている。少なくとも
日米間における
合意ができないはずはないと私は思っている。
日米安保というものがあるわけでありますから。それがないのなら、
日米安保なんというのは一体何のためにあるのか。経済条項の第二条だけが突出していて、余剰
農産物を
日本が買えという、これによって
日本の
小麦は壊滅状態にまで追い込まれたという苦い歴史があります。しかも記憶に新しいのは、ごく最近、一九七四年お正月に、対日
輸出品目の重要なものであった
小麦の四割の
輸出制限が当時のニクソンの手によって行われ、数日を経ずして
大豆の全面禁輸という措置がとられたことによる
日本の国内におけるあの騒ぎを、私はいまも生々しく思い起こす一人であります。信頼
関係というのは一朝にして崩れ去ったと見ていいでしょう。
ですから、きわめて一方的で
わが国の実情を全く無視するという態度に終始しているとすれば、私はやはり別な次元での政治
対応が必要になってくると思う。そんな大事なときに、
外務大臣が出かけていって、六月までに何とかします、よろしゅうございますというような約束をするというのはきわめて軽率至極ではないか。それは一にかかって、
政府部内における意思の
統一、いわゆる
意見の一致がないところにも原因がある。つけ込まれるすきがあるから、そういう
アメリカ側のむちゃくちゃと言われるような、不法と言われるようないわゆる押しつけも行われるのではないか。
そうでなくても、第一次産業のところでは何となしに工業製品のいけにえにされ、犠牲にされているという感じが強く国内に台頭していることも紛れもない事実であります。工業製品の見返りによって
農業がつぶされるなんということは、私は、政治の整合性からいってもおかしいと思うし、そこのところは、きょうは
大蔵省、外務省、通産省、
農林省と限られた省庁の方々しかここには来ておりませんが、そういう問題意識というものをきちっと、いまわれわれ政治の
立場にいる者も、行政の
立場に置かれている者も持っておかなくてはならない大事な
基本点ではないか、こういうふうに思います。
農林省だけが一生懸命やっても、通産省が前にはだかつて反対しておる、外務省もいちゃもんをつける、こういうことでは、
貿易問題の解決にはマイナスになれこそすれ、プラスにはならぬ、私はこういうふうに思うのです。
私がいままで述べました点に、各省のいまここにお見えの方々から御
意見があれば承って、私の質問を終わりたいと思います。