○福田(幸)
政府委員 いままでの経過と今回の
改正の考え方をまず申し上げておきたいと思うのですが、
委員いま御
指摘のとおりに、まず四十四年から五十年の時期、これが第一期だと思います。
ここでは、四十三年十二月三十一日以前に取得したもので保有期間五年超、これを
長期としまして、この分につきましては
譲渡の時期に応じて比例
税率で分離
課税をするというのを、四十五、四十六年は
譲渡の時期がその年であれば一〇%、四十七、四十八年であれば一五%、四十九、五十年であれば二〇%ということで高くなっていくという
税率を分離で設けることによって
土地の供給促進を図るということは、この答申にあります誘導的というところに着目したものであろうと思います。
一方、短期の方は、四十四年一月一日以降に取得したものにつきまして、御存じの重課が四〇%相当もしくは全額
総合課税した場合の上積み税額の一一〇という、短期については重課をやっておるということで、投機の抑制についても着目したということであろうと思います。
この間、四十九年四月以降のところで見ますと、これは取得は四十四年一月一日でございますけれども、法人につきまして、これは
課税の
強化をいたしておるということが同時にあります。
したがって、この四十四年−五十年の第一期のところでは、この答申の中にございます「補完的、誘導的」ということ、もう少し詳しく申し上げますと、その補完的、誘導的を、
土地の供給及び有効利用の促進という政策にする、及び需要の抑制ということ、及び開発利益の吸収の三側面で政策的にとらえておる。補完的でありながらも、そういう政策面にわりに傾斜があったということが、いまの
長期の方の階段的な
税率による供給促進、一方において投機を抑える、需要の抑制という面を、短期の重課ということ及び法人に対する重課、これでやっておるという意味では、補完的、誘導的と言いながら政策的観点が強かったというのが第一期であろうと思うのです。
第二期の五十一年−五十四年のところは、この間投機的な動きが非常に出てきたということを受けまして、
長期のところにつきまして供給促進をやった
税制の跡を見直しておりまして、ここで二千万までは二〇%ですが、二千万を超えるところで四分の三総合ということで、
長期のところに非常に重い特別の
税率をかけたというのが、この五十一年−五十四年期の第二期の特色であります。それ以外の短期及び法人
課税は同じやり方を続けておるのですが、こういうことで、ここで反省に立って、
長期に対する
課税強化として四分の三という異例な
課税を二千万超についてやったというのが第二期であります。
〔
粕谷委員長代理退席、
委員長着席〕
その後、それによって投機はだんだん抑制されたわけですが、五十五年以降のところで見ますと、これは四十三年十二月三十一日以前に取得したものという点は同じですが、その
長期につきまして二〇%を四千万までに広げ、一方、四千万から八千万の間は二分の一総合というのが中に入りまして、この二分の一総合というのは四十四年までのところの基本的な考え方であるわけですが、そういう基本的なものを真ん中に置きながらも、なお投機に対する懸念といいますか抑えるという政策を、八千万超のところは四分の三ということで残しておいたという形で現在に至ったわけです。
今回の
改正は、むしろ
税制自体は四十七年の答申にあります補完的に考えるべきで、
税制はむしろ中立的になって本来の
土地政策、住宅政策を展開すべきである、税が補完的とは言いながら余り誘導的に介入し過ぎてはいけないのじゃないかということ、及び
長期安定的な
税制にしないことには、言われるように目の色が変わるようにまたくるくると変わっては、思惑で
土地が動かない問題も出てきます。したがってこの際、むしろこの四分の三というのがあることが
土地供給を阻害している面があらわれてきた。投機を抑えているという問題よりも、投機はおさまったのですが、むしろこの四分の三が阻害要因になって、先ほども御
説明しましたが、八千万超のところでは
土地が出てこないという弊害がある。また一方、そういう変転が余りにもいろいろありますと、さらにこれが変わるのじゃないかという思惑が出ますので、この際、
長期安定
税制にするということでこの四分の三を外しまして、四千万超はすべて二分の一総合という基本的な姿にして
長期安定的な形にする方が、
税制としても中立的になるし、その安定
税制のもとで
土地が動く。今後はこの基本的な姿を前提に考え、政策的なものは後に引っ込み、本来の政策は
土地、住宅それ自体として展開すべきであり、税の方は中立的というか本来の姿に戻る方が望ましいという判断で、先ほど大臣申し上げたような四分の三の廃止等の
改正があったということでございます。一方において、補完的な面では優良宅地とか市街化区域の
課税、これは本来の問題も含まれておりましょう。
それからもう
一つは、こういう緩和によって
土地が出ますので、
土地の問題というのは住宅が建つということが前提でございますので、
土地を取得しまして二年以内に建たなければ、それ以降は特別
土地保有税、これはいままで投機の抑制のために広い面積を買った場合に
課税しておったわけですが、これは自治省の問題でございますけれども、東京に例をとりますと、東京都の特別区でございましたら二千平米を三百平米というところまで
基準を落として、
土地を買っても家が建たない場合には特別
土地保有税という保有
課税によって
住宅建設を促進する。これはやはりその間、補完的ではありますが、その政策がその辺で総合的に考えるという意味で入っていますから、有効的といいますか、
土地政策を住宅ということでちゃんとそこを締めるということをやりますけれども、基本的には、
税制はこの際原則的な
長期安定
税制に戻すということが基本であるということで、従来の経過の上に立って、現
時点においてはそういうふうな安定
税制にしたということで御理解願いたいと思います。