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簑輪委員 基本的にこの答申の精神を受けて事業を進められるということですけれ
ども、やはり
農業気象特有の問題はいろいろあると思いますので、現在の
農業気象観測体制で必ずしも十分ではないんじゃないかと私は思うわけです。
それから、世界気象機関、WMOというところがございまして、ここでも
農業気象観測及び気象サービスの重要性というものを認識してWMO
技術規則というのが定められておりまして、
農業気象観測のあるべき姿について詳細な基準が示されております。
日本もこれに参加しているようですし、観測種目など一層充実させるために人員増な
ども含めて
予算措置を講じるということも
考えていかなければならないと思います。
そういう中で、わが国は
農業気象
予算そのものが年々減らされているという
状況もございますし、気象庁が行革の対象というようなことも言われているのはもってのほかじゃないかと私は思います。
気象庁としては、そういう中で、一九八一年、昨年の四月から、
全国百カ所の測候所の中で十四カ所、夜七時から翌朝の八時までの夜間業務を廃止して、所員も五人から四人に減らすということにしたわけです。これは、その前年の十月、行政管理庁が十カ所の測候所廃止を含む再編整理を勧告したのを受けて、気象庁が第五次定員削減を消化するために打ち出したものであるわけですが、これに対して、該当地域の住民の皆さんや自治体なんかを初めとする
関係団体挙げて反対運動が起こって、全気象の労働組合もこれを阻止すべく反対運動を展開されたわけです。そして国会でも昨年の参議院の
予算委員会で鈴木総理大臣が、気象の重要性はよく認識している、今後行政改革に当たっては総合的、全体的に軽重、重要性その他を勘案しながらやってまいりたいというふうに答弁しております。
ところが、気象庁は四月からこの夜間業務廃止を強行実施したわけです。それに対して全気象の労働組合の方としては、自主的にこの夜間の宿直をやろうじゃないかという自主宿直闘争というのが積極的に展開されたわけです。そういう中で、高知県の宿毛というところでは、四月二日の夜半に測候所開設以来四月としては史上二番目の
集中豪雨を観測したわけです。自主宿直の当番者が直ちに高知地方気象台へ連絡をし、その結果すぐ大雨洪水強風波浪注意報というのが発令されるということがありました。それから宮崎県の都城では、四月二十三日の早朝、宮崎地方気象台からは霜注意報というのは出ていなかったけれ
ども、その地域のお茶の産地である地方で霜がおりたわけです。霜がおりるということはお茶にとっては非常に重要な問題ですが、実際に
被害は出なかったわけです。それは、その前の晩、自主宿直の当番者が適切な解説をして、茶園では防霜処置がとられたということがあったために膨大な
被害を免れることができたという事実があります。
こういう中で、行政管理庁の方は、気象衛星やレーダーなどの導入によって観測体制が
整備されたので、測候所の
必要性は薄らいだというふうに言っているようですけれ
ども、いま申し上げました例に見るように、地域に密着した適切な
農業気象情報が必要な
農業関係者に迅速に提供される
必要性というのは、薄らぐどころか、むしろ一層測候所の機能を強化し、地域の要望に応じられるような体制を整えて、測候所自身が予報を発表する権限を復活してほしいという、そういう強い要望すら出ているわけです。
臨調の答申では、国家公務員の定員削減について、現行定員削減計画を改定強化する旨明らかにしていますけれ
ども、述べましたような気象の重要性にかんがみ、実情を無視したこの削減強行というのはぜひやめるべきであると思います。そこで、これに対する気象庁、
農水省、大蔵省のお
考えをそれぞれお聞きしたいと思います。