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1982-08-26 第96回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第14号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
五十七年八月二十六日(木曜日) 午前九時四十一分
開議
出席委員
委員長
枝村
要作君
理事
麻生
太郎
君
理事
楢橋 進君
理事
岡田 利春君
理事
中西
積介
君
理事
田中 昭二君
理事
小渕 正義君 北村 義和君
倉成
正君 古賀 誠君
三枝
三郎
君
藤尾
正行
君 山下 徳夫君 塚田 庄平君 岡本 富夫君 稲富
稜人君
小沢 和秋君
石原健太郎
君
出席国務大臣
通商産業大臣
安倍晋太郎
君
委員外
の
出席者
通商産業省立地
公害局長
福原 元一君
資源エネルギー
庁長官
小松 国男君
資源エネルギー
庁石炭部長
弓削田英一
君
中小企業庁計画
部長
本郷
英一
君
労働省職業安定
局高齢者対策部
長 増田 雅一君 参 考 人 (
北炭夕張炭鉱
株式会社管財
人)
大澤
誠一
君 参 考 人 (
三井観光開発
株式
会社
代表取
締役会長
)
萩原吉太郎
君 参 考 人 (
夕張
新
炭鉱労
働組合執行委員
長)
三浦
清勝
君
商工委員会調査
室長
中西
申一君
—————————————
委員
の異動 八月二十六日
辞任
補欠選任
金子
岩三
君
三枝
三郎
君
三原
朝雄
君
藤尾
正行
君 同日
辞任
補欠選任
三枝
三郎
君
金子
岩三
君
藤尾
正行
君
三原
朝雄
君
—————————————
八月二十日 一、
石炭対策
に関する件 の閉会中審査を本
委員会
に付託された。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
石炭対策
に関する件(
北炭夕張炭鉱株式会社
の
経営
問題) ————◇—————
枝村要作
1
○
枝村委員長
これより
会議
を開きます。
石炭対策
に関する件について
調査
を進めます。 本日は、
北炭夕張炭鉱株式会社
の
経営
問題について
調査
を進めてまいりたいと存じます。
参考人
として
北炭夕張炭鉱株式会社管財人大澤誠一
君、
三井観光開発株式会社代表取締役会長萩原吉太郎
君、
夕張
新
炭鉱労働組合執行委員長三浦清勝
君、以上君名の
方々
の御
出席
をいただいております。 この際、
参考人各位
に
一言
ごあいさつ申し上げます。 本日は、御多用中のところ御
出席
をいただきまして、まことにありがとうございました。
参考人各位
におかれましては、本問題につきましてそれぞれのお
立場
から忌憚のない御
意見
をお述べいただきたいと存じます。 次に、議事の順序について申し上げます。 まず、
参考人各位
からそれぞれ五分
程度
の御
意見
をお述べいただきました後、
委員
の
質疑
に対しお答えをいただきたいと存じます。 なお、念のため申し上げますが、発言の際は
委員長
の許可を得ることになっております。また、
参考人
は
委員
に対し
質疑
をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御
承知おき
を願います。 それでは、まず
大澤参考人
に
お願い
いたします。
大澤誠一
2
○
大澤参考人
ただいま御紹介をいただきました
更生会社北炭夕張炭鉱株式会社管財人大澤誠一
でございます。 日ごろより
先生方
には
石炭産業
に対し種々御
高配
を賜り、その上に今回の
北炭夕張炭鉱株式会社
の
更生事件
について特に御
心労
を煩わせておりますことを、この席をかりて厚く御礼申し上げます。 また、本日は
国会明け
にもかかわらず本
委員会
を開催していただきまして、
閉山提案
という
異常事態
を迎えました本件につきまして、
参考人
として私の
意見
を述べさせていただくとともに、
実情
についていろいろと御審議いただく機会を与えていただきまして、
感謝
にたえない次第であります。 本年四月三十日、
管財人
として選任されましてから、
石炭業界
を初め
関係
各
方面
の御
援助
によりさまざまな
検討
を行ってまいりましたが、その
結論
につきましては去る八月二十一日の
組合
に対する
提案
の中でるる申し述べたところでございます。 すなわち、一、現在稼行中の
残存
十尺層の
採炭
でありますが、現存の
骨格坑道
の
射程範囲
内にあって当面
採掘
の
対象
とし得る
区域
を洗い出して
検討
いたしましたが、もともと
北炭夕張社
は、
事故
の起きた
北部
十尺層が順調にいっておれば捨てる
予定
の
区域
が大半であり、
保安面
、
採算面
を考慮すれば
残炭量
は六十万トン
程度
に限られ、
本格的採炭
に至る
リードタイム
を賄うには不十分であります。 次に、
平安
八尺層でありますが、
結論
を申しますと、
平安
八尺層の
本格的開発
は、
販売手取り
の低い
一般炭
一層で、しかも確認されている可
採炭量
三再五十五万トンでは最終的に
赤字
でありまして、当面の
開発計画
の
対象
としては
価値
がないと判断いたしました。 三、このように当初考えられた
平安
八尺層が
本格的開発
の
価値
がないということが明らかになるにつれて、
事故
を発生した
北部
十尺
層並び
にこれに連なる十尺圏についての
開発
の
可能性
が問題となってまいりました。 そこで私は、この新
区域
十尺層の
開発計画
の
検討
を行ったのでありますが、過去に例のない大
規模
な
ガス突出
を発生したという事実を謙虚に受けとめ、十分な準備と慎重な
配慮
が必要であります。 したがって、現在考えられている限りの理想的な
基幹坑道
を展開し、事前のあらゆる
条件把握
を的確にするとともに、これに応じて十分な時間をかけての
ガス
の去勢が必要と考え、そのような考え方に立って、新
区域
十尺層の
採掘予定範囲
に賦存する千二百万トンを
対象
に、
適正規模
と考えられる二
切り羽
、
年産
七十五万トン
体制
の
開発計画
を策定いたしましたが、
開発
を開始して一
切り羽稼働
までに四年九カ月、二
切り羽稼働
までに五年七カ月を要します。 したがって、私の策定した
計画
では、この間の負担を軽減するため、
残存
十尺層の比較的
採算性
のよい
切り羽
の
採掘
と、
平安
八尺層のうち
西部
十尺層の
既採炭部分
の上部に限っての
採掘
をこの間に組み入れて
計画
いたしました。 その結果は、
金融債
、
労務債
、その他
債務
を完全に弁済することは非常にむずかしく、相当厳しい
条件
を必要とします。 しかし、
会社
の
更生
を進めるにはこの
計画
しか考えられないと存じますが、ここで問題となりますのは、二
切り羽
、
年産
七十五万トン
体制
の
完成年度
までの
設備投資
のうちの
自己資金
六十六億、同じく
完成年度
までの
赤字資金
百二十四億、スタートの際の
適正人員
にするための
合理化退職金
約三十億、過去の
労務債
百十五億、五十七年上期中の
不足資金
十二億、計三百四十七億はどうしても必要であります。 しかし、先の
資金
まで云々しても始まりませんので、当面絶対必要な
資金
と、このところ一、二年の
所要資金
は用意するように
北炭グループ
に要請したのであります。 これらの
資金
は、
政府
の
補助金
、
制度融資
は織り込み後の
不足資金
であり、これに対する
補助金
、
制度融資
は
現行法
では期待できません。また、
市中金融
の道を開くことも当面全く不可能であります。したがって、この
資金調達
は
北炭グループ
から
支援
していただく以外には全く
方法
がないのであります。 これができないとすれば
北炭夕張社
の
存続
は不可能となり、
会社
は解散しなければなりません。そうなれば
全員解雇
となりますので、過去の
労務債
百十五億と新たに発生する
退職金概算
五十七億、それに
社内預金
約八億、合計約百八十億を必要とします。この
資金
も
閉山交付金
をいただければ、そのうちの
退職金等見合い
の
資金
が出てまいりますが、それ以上の金の
調達
の
方法
はなく、これも
北炭グループ
の
支援
に頼る以外にないのであります。 以上のように、前進するにしても後退するにしても莫大な
資金調達
を必要といたしますので、私は
北炭粕谷社長
に早くから、また何回となくこの
調達
を要請し続けてきたのであります。しかしながら、ついに
最後
の望みを託していた
三井観光開発株式会社
からも八月十三日、
山本社長
より
文書
による
拒否回答
を受けたのであります。
文書
の文面は、短絡的な処置による
協力
はいたしかねるという、いかにも余韻を残したような表現となっておりますが、
山本社長
にただしたところでは、
現金
による
支援
は一切できない、
土地
を売っても手元に
現金
は残らないし、急場に間に合わない、
人員
の引き取りには
協力
する、いまや真幌で手いっぱいであり、新鉱は放棄しましたとも言われました。 さらに、この趣旨は
萩原会長
とも
十分打ち合わせ済み
であり、当日
新聞記者会見
まであらかじめ準備されているというありさまでした。ここにおいて私も万策尽きて、しかも一方では山元の
資金
は枯渇し、放置すれば給料、
賃金
にも事欠く
末期的混乱
に陥るおそれがあり、涙をのんで
閉山
の決意をせざるを得なかったのであります。 私としては、今般の
閉山提案
はまさに
提案
するに忍びない過酷な
内容
のものでありますが、金がない以上
いかん
ともなしがたかったのであります。いまはただ、何とか
閉山交付金
の適用をしていただき、その上に
三井観光開発株式会社
を含む
北炭グループ
の
支援
により
労務債
が完済されますよう切に切に念願してやまない次第であります。 しかしながら、ここになお何とか山を残したいという
組合
、
地元
その他各
方面
の要望もあり、私としては
最後
の希望をつなぐ
手段
として、
北炭夕張社
の
露天掘り部門
を残して
坑内部門
を
閉山
するという
事業
の
縮小
という
手段
を考えたのであります。
露天掘り
を残すことにより、その収益によって立て坑、斜坑並びに最小限の
必要施設
の維持を図り、
閉山
に伴う諸問題の解決を待った後、改めて新
会社
による新
区域
十尺層の
開発
の
可能性
を追求し、実施に移されんことを切に期待してやまない次第であります。 このことは言うはやすく行うにかたいむずかしい問題であり、この新
区域
十尺層に
価値
を認め、資本を投下してやろうという人がいなければならず、また
金融機関
の
協力
がなくては成り立たぬものであり、
管財人
としては
管財人
の
立場
で
努力
する所存でありますが、
関係
各
方面
の御
協力
、御
支援
を切に
お願い
申し上げる次第であります。
最後
に
一つお願い
でございますが、
閉山
の影響をもろに受けます
下請
の組の
救済
と
町方
の
救済
でございます。この
方々
の中にはもちろん
北炭夕張社
に債権をお持ちの方がありますが、
更生計画
の
債務
の弁済の中でできるだけのことをしてあげたいと思っても、実際には
更生法
の手続を踏む限り原資は限られておりますし、行き渡らぬことになると存じます。特に
下請
の組の方は、昨年
事故
の直後から一生懸命
協力
されたのに、その
請負金
が
更生申し立て
により凍結され、組の
労働者
の
賃金
、
期末手当
の
支払い
に困って
倒産防止資金
を借りてしのいだのですが、その
返済
が十二月に迫っていると聞いております。
仕事
がなくなり借金に追われるというのでは余りにも気の毒であり、何とか
救済
の道はないかと苦慮している次第であります。この
下請
及び
町方
に対する
救済
について、あわせて
先生方
の温かい御
高配
を
お願い
する次第でございます。 ほかにも申し述べたいことが多々ありますが、
先生方
の御質問にお答えする中でまた述べさせていただくことといたしまして、私の
陳述
を終わらせていただきます。 御清聴ありがとうございました。
枝村要作
3
○
枝村委員長
ありがとうございました。 次に、
萩原参考人
に
お願い
いたします。
萩原吉太郎
4
○
萩原参考人
萩原吉太郎
でございます。
陳述
に先立ち、先般の
事故
でとうとい命を失われた
方々
の御冥福を祈り、あわせて御遺族の
方々
のお悲しみに対し心から御同情申し上げる次第でございます。 また、
事故発生
以来各
方面
の
方々
に多大の御迷惑と御
心労
をおかけいたし、
従業員
の
方々
には不安な
思い
をおかけしておりますことを、
北炭
に
関係
する者の一人としてまことに申しわけなく、この席をおかりいたしまして改めて深くおわび申し上げる次第でございます。
夕張閉山
の
提案
がなされました今日、一番問題となっておりますのは百億円を超える
労務債
でございます。いまさら申し上げるまでもなく、この
労務債
の処理は
北炭
の
経営
に携わった者の責任であります。
北炭夕張
にその能力がない現在、
北炭グループ
などから何とか
支援
できないものかと
検討
を重ねてまいりました。しかしながら、
北炭関連
十八社は昨年暮れ、
政府
、道庁、
金融機関
などの御
支援
を受け、辛うじて
連鎖倒産
を防いできた
状態
にあり、また
三井観光開発
も
経営
的に見て楽観を許さない
状態
にあります。一番大切なときにあってこうした
実情
にあることが残念でございます。 ここに至るまで、
北炭関連
十八社は十五億円の
資金援助
を行い、
三井観光開発
は九十億円の
資金援助
と三百億円の
担保提供
を行い、できる限りの
努力
をしてきただけにまことに残念でございます。もとより、簡単には解決できない問題もあり、今後各
方面
の御
協力
も仰がなければなりませんが、
北炭グループ
として
資金
を捻出するために
全力
を傾けてまいります。 ここで
一言
、
三井観光開発
について説明させていただきます。
三井観光開発
は
北炭
があって生まれたことは事実ですが、
北炭
の
不動産部門
を独立させ設立した
会社
ではなく、潜在する北海道の
観光資源
を
開発
することを目指す新規の
事業
として設立したものであります。当初は、
北炭所有
の広大な
土地
、
山林
は譲渡されておりません。
昭和
三十年代の
創業
当初、
北炭
から短期の
つなぎ資金
を借り入れたのでございますが、すべて
返済
いたしており、また
借入金
に対し保証をもらいましたが、これもすでに完済しているので消滅いたしております。
三井観光開発
の
創業時代
はまことに
北炭
の
支援
で基礎が固まったのでございますが、
北炭
の
経営状態
が悪化し
資金
を必要としたとき、
三井観光開発
は
創業
当初の
支援
に
感謝
し、積極的に
北炭
を
援助
してまいりました。
昭和
四十三年、
平和鉱
の
事故
があり、
北炭
は
土地
、
山林
を売却しなければならなくなりました。そのころ
王子製紙
に売却する話もありましたが、
価格
の折り合いがつかず商談は不調に終わり、
三井観光開発
が
王子製紙
の提示した
価格
をはるかに上回る金額で買い取ったのであります。現在、
三井観光
が所有する元
北炭
の
土地
、
山林
の大
部分
は、この当時買い取ったものであります。それらの
土地
、
山林
の大
部分
は、今日、
北炭
の
借入金
三百億円の
担保
として役立っております。 創立当初
北炭
の
支援
を受けて、今日、
三井観光開発
が存在するのは事実でありますが、
三井観光
約三千名の人々の長年の
努力
により
三井観光
の今日が築き上げられたこともまた事実であります。
三井観光開発
の
企業努力
が
北炭
に対する
支援
を今日まで可能ならしめたのであります。
三井観光開発
は
北炭
からただ同様で
土地
を譲り受け、余裕があるのに
北炭夕張
を
支援
しないと非難されておりますことはまことに残念であります。
三井観光開発
は、ことしから毎年七億円の
北炭
の
未収利息
を負担して処理していかなければなりません。しかし、いずれにいたしましても、私は
北炭夕張
の
労務債
のために
全力
を傾注いたしてまいります。
現状
を御
理解
くださいまして、格別の御
指導
とお力添えを
お願い
申し上げる次第でございます。 以上で私の
陳述
を終わります。ありがとうございました。
枝村要作
5
○
枝村委員長
ありがとうございました。 次に、
三浦参考人
に
お願い
いたします。
三浦清勝
6
○
三浦参考人
夕張
新
炭鉱労働組合
の
三浦
でございます。
北炭再建
の問題、なかんずく昨年十月発生しました九十三名もの
犠牲者
を出す大
災害
以来、諸
先生
には大変な御心痛を煩わしまして、まことに
感謝
にたえない次第でございます。 先ほど
大澤管財人
から
陳述
がありましたように、私
ども
八月二十一日の日に、
夕張
新
炭鉱
を
閉山
をする、二千名の
従業員全員
を解雇する、そして百二十三億に及ぶ
労務債
は、今後
北炭
の
努力いかん
によってどうなるかわからない、いわば
返済
はできないという
内容
の
提案
を受けました。まことに大きな
不満
を持つものでございます。また、私
ども
の
組合員
、そして
家族
、また四万の
夕張市民
もきわめて大きな動揺をしているところでございますし、
組合員
と
家族
はその不安のために、またこの
提案
に対する
怒り
のために、いまや私
ども指導者
の
立場
もこの
怒り
を抑えるのに大変な力を注がなければならない
状態
になっております。 私
ども
今日まで七年間、
北炭
の
再建
、そして山の
再建
を図って、その中でわれわれの
生活
を立て直そうと
全力
を尽くしてがんばってまいりました。とりわけ、昨年の
災害発生
以来十カ月半になりますけれ
ども
、この間、毎月の
賃金等
について通産省初め大変な御
配慮
をちょうだいしておりますけれ
ども
、
賃金
は毎月三〇%以上もの減収になっておりますし、かつまた、幌内、
真谷地炭鉱
への出向あるいは
経費削減
のための
自宅待機
、これらの
努力
をしてまいったのも山の
再建
、山の
存続
を願うがためでございます。 さて、
労務債
の問題でございますけれ
ども
、私
ども
この七年間、山の
再建
を願うがために歯を食いしばり、
生活
を切り詰め、
会社
の
資金事情
から当然われわれが報酬としてもらわなければならない
賃金
、
期末手当等
についてがまんをしながら、後払いを約束をさせながら今日まで
努力
をしてまいったものでございますし、かつまた、
北炭
に三十五年も、あるいは四十年近くも、いわば人生のほとんどをささげて、そして
定年退職
をし、残された余生を
退職金
で過ごさなければならないた
つた一つ
の
退職金
でございますが、その
退職金
についても、
清水沢炭鉱
で退職された
退職者
は、五十三年の八月以降の
退職者
には
退職金
は一銭も
支払い
がされておりません。また、新
炭鉱
で退職された
定年退職者
の
皆さん
は、五十三年の十月以降の
退職者
には
退職金
が一銭も払われておりません。これも
退職者
の
皆さん
には大変申しわけございませんでしたけれ
ども
、御
理解
をいただきながら、山の
再建
を、そして山に残った
従業員
の今後の
生活
のためにある
程度
の
協力
を願いたいという
お願い
をしながらがんばってきたものでございます。
退職者
の中には、千三百万の
退職金
がありながら、
自分
で
自分
の家を札幌に建てるために銀行からローンで借りまして、そしてその
退職金
で支払う
予定
のところがまるきり
返済
ができない、そのためにいまや、
会社
がこういう
状態
になって
労務債
が凍結された、支給がされないという
状態
になりますと、この住宅が取り上げられてしまうような数多くの
退職者
もおります。このような、いわばわれわれに死を求めるような
大澤管財人
からの
提案
については、先ほど申し上げましたようにきわめて大きな
不満
を持っているものでございます。 また、
夕張市民
全体の問題でありますけれ
ども
、この新
炭鉱
に依存して
生活
をしている
市民
は、
夕張市民
約四万でありますけれ
ども
、半分以上の二万強が
夕張
新
炭鉱
に
生活
を依存しております。とりわけ新
炭鉱
には、直接新
炭鉱社
、
夕張社
から
仕事
を請け負っております
業者
が二十四社ございます。
従業員
は四百五十名、
孫請
を入れまして七百名の
従業員
が
業者
におりますけれ
ども
、この
従業員
の
皆さん
も私
ども
の
組合員
、
家族
と同様の、あるいはそれ以上の苦しい
状態
になっているのでございます。いま
夕張
新
炭鉱
を
閉山
した場合、
夕張
市の町が完全に崩壊することは火を見るより明らかでございます。 私
ども
の願い、それは新
炭鉱
の
存続
であります。そして
労務債
の完済でございます。そして
夕張
市の町を守ることでございます。どうか諸
先生
には、いままで以上の御
理解
をちょうだいしまして、この
提案
の
内容
を御審議いただきまして、私
ども
にお力をかしていただくことを心から心から
お願い
申し上げまして、私の
陳述
を終わらしていただきます。 どうもありがとうございました。
枝村要作
7
○
枝村委員長
ありがとうございました。
枝村要作
8
○
枝村委員長
これより
質疑
に入ります。
質疑
の申し出がありますので、順次これを許します。
倉成正
君。
倉成正
9
○
倉成委員
私は、自由民主党を代表いたしまして、
北炭夕張
の
炭鉱
問題につきまして
大澤参考人
、
萩原参考人
、
三浦参考人並び
に
安倍通産大臣
に対して質問いたしたいと
思い
ます。 大変限られた時間でありますので、ひとつ簡潔に要点をお答えいただければ幸いだと
思い
ます。 ただいま
大津管財人
、
萩原参考人並び
に
三浦参考人
からそれぞれ御
陳述
をいただきまして、私もまことに胸の病む
思い
でございます。私の
地元長崎
にも
炭鉱
がございますし、かつて多くの
炭鉱
が
閉山
した経過も承知しておるだけに、
皆様方
の心中を察しまして、大変私自身の心も痛むわけでございますが、昨年の十月、九十三人という未
曽有
の
犠牲者
を出した
ガス突出火災事故
以来、
北炭
に関心を持つすべての人がこの
北炭
の
再建
ということについて、何とかしてこの
再建
を達成したいという
思い
を込めて
努力
をしてきたことは事実だと
思い
ます。 また
大澤管財人
は、去る四月、
管財人
に選任されましてから今日まで、
保安
の確保と
安定経営
、この二つの命題を掲げまして、
石炭業界
の衆知を集めて技術的、また経理的な
検討
をされたと聞いております。ただいま御報告を承りますと、まことにその
内容
は
北炭関係者
にとっては過酷な
内容
になっておるわけでありますが、他の山と比べれば有望とされる
夕張炭鉱
が、今回の
事業
の
縮小
、
従業員
の
全員解雇
というまことに残念な、厳しい
内容
を含む
方針
を打ち出さざるを得なかった基本的な問題は何か、何が一番のネックであったか。確かに
平安
八尺層の問題もあり、いろいろな問題があることもただいまの
陳述
でよく述べられているところでありますけれ
ども
、この
提案
を出さざるを得なかった最も基本的な問題、中心の問題は一体何であったか、どこがうまくいかないのでこういう
方針
を打ち出さざるを得なかったのか、率直にお答えいただきたいと
思い
ます。
大澤誠一
10
○
大澤参考人
閉山
をいたさなければならない原因は幾つもございます。 私は、
管財人
になりましてまず第一番目に、
残存
十尺層といわれるいわゆる
西部
十尺
層関係
の
採炭
、どれくらい
残炭
といわれるものがあるかということ、それから先ほど申しました八尺層、十尺属の将来の展開、こういったものを考えたわけでございますが、着任して早々は、問題はやはり
月月
の
資金
繰りがどうなるか、こういうことでございます。それで
残炭掘り
をやりながら、月々普通の
経理状況
であると十四、五億必要でございますが、現在、この八月、九月でいいますと収入は八億ぐらいで、七億前後が毎月
赤字
となります。それで、市の
関係
、あるいは労災、健保、こういった
支払い
が約二億余り、
定年退職
される人の
退職金
はもちろんとめておりますが、そういった月々の金がどうなるかということでございますが、これは九月で大体四億ぐらいの金しか残らないというのが
現状
でございます。九月に四億ということになりますと、十月以降の
炭価アップ
という問題もございますけれ
ども
、
賃金
も支払えない、
物品代
も払えないという末期的な
状態
になるのじゃないか、これが一点でございます。 それから、当初私は、やはり
更生会社
に申請された以上、初心に返って
更生会社
として歩くべきであるということで、
残炭
八尺、十尺層というものの
開発
を
検討
いたしました。これはいま述べたとおりでございます。ところが、いずれにしろ一日四千トンの山が現在千トンぐらいしか出ない。二千人の
従業員
をそのまま抱えて
経営
は成り立つはずがない。やはりそれに見合った
人員
によって
経営
を続けなければならぬ、こういうことが二番目でございます。いろいろな
総合開発案
があろうとも、まず適正な
人員
に当てはめなければならぬ、これは
会社
であろうが、炭労の
方たち
であろうが、お考えになっている。そうすると、やはり整理するには三十億の
退職金
が要る。約九百人の
人たち
、それから
下請
の
人たち
にも契約を解除していただく、こういったようなことをして切り詰めなければならぬ。 それから、今後の
開発資金
、六十二年度末までに先ほど申しました
開発資金
が要ります。また、
赤字
分も必要でございます。そういった
資金
が
調達
できるかどうか。今後の
再建
計画
の
内容
に入る前に
経営
が
資金
的に行き詰まってしまう。このために
北炭グループ
の
皆さん
方に何とかして
資金
の
援助
を仰ぎたい、こういうふうに
お願い
をしてまいったわけでございますが、現実には
資金
関係
の
援助
はゼロである、こういうことになりました。 では、九月、十月になればどういう結果になるか。これはまさに末期的な症状で、みずから破産の姿になるのじゃないか。その道をとるか、やはりここで踏ん張って、二十一日の
閉山
の申し入れをして、そこで局面の展開を図るか、いずれかであろう、こういうふうに決心したわけでございます。いろいろございますけれ
ども
、いわゆる
資金
が行き詰まった、かようなことでございます。
倉成正
11
○
倉成委員
死児のよわいを数えるわけではありませんけれ
ども
、もし
夕張
新
炭鉱
の
ガス突出
事故
がなかりせば、このような状況になったかどうか、
管財人
としてどう御判断になりますか。
大澤誠一
12
○
大澤参考人
仮定の問題で非常に答えにくいのでございますが、私は、もしあの
ガス突出
事故
がなかったとしても、あれだけの膨大な借金を背負い、そしてまたあの坑内の骨格構造であるならば、やはりお隣の三菱大
夕張
との比較をいたしましても、
経営
の危機がいずれ参ったんじゃないか、かように考えております。
倉成正
13
○
倉成委員
結局、
ガス突出
事故
がなくてもなかなか
経営
がうまくいかない、また、今日の段階では
資金
繰りがどうしてもつかないから、涙をのんでこのような
再建
計画
を出したのだという
大澤管財人
のお話でありますけれ
ども
、今日、エネルギー資源をほとんど外国に依存しておるわが日本としましては、石炭資源というのはかけがえのない資源であることは御承知のとおりであります。この貴重な国内資源である石炭を確保するということは、経済安全保障の面からも大切なことであると
思い
ます。 もろもろの困難の中で、何らかの形で山を残すという前提で、今後とも
更生
の道を探っていただくことが大切だと
思い
ますけれ
ども
、そのためには、あの不幸な
事故
がありました経験を生かして、
保安
の確保と
安定経営
、この二つを両立させなければならないと
思い
ます。これを実現させるために解決を、要する要素というのはどのようなものがあるか、
管財人
の率直な御
意見
を承りたいと
思い
ます。
大澤誠一
14
○
大澤参考人
新鉱は炭量といい炭質といい、日本で有数の資上源でございます。やはりこの資源は将来
開発
をしていきたい、こういうことを私は強く考え、また、だれかに
開発
をしていただきたいということを考えております。 ただ、そのためには、いま申しましたように、新鉱の
会社
を設立する時点において、石油ショックの問題もありまして、
設備投資
が非常に過大になっている、それからまた、
夕張
一鉱、二鉱、平和、清水沢と、
閉山
をすれば必ず
赤字
が残っている、こういったものを抱え込んで、五百億余りの負債を抱えての
経営
でございます。償却資産もべらぼうなもので、他の
炭鉱
と比較にならない。 先ほど私は、もし
事故
がなかったらどうかという御質問に対して、やはりむずかしいのじゃなかったろうか、こういうふうにお答えしましたが、今後この十尺層を
開発
する新
会社
ができたとしても、現在の新しい金で設備を投資していくと、六十二年の終わりには二百億余りの
赤字
が出てくることは火を見るよりも明らかでございます。そのためにさらにいまの
赤字
、資産を継承する、こういったようなことでは、私は新しい
会社
は絶対できないと
思い
ます。 ただ、いまの
更生
担保
権なりを一切整理をしまして、身軽にして継承していただくということであるならば、私はやはりまた新しい
炭鉱
を
開発
していただきたい、かように強く期待をいたしております。しかしながら、これは非常にむずかしい問題と考えております。
倉成正
15
○
倉成委員
大澤管財人
にもまだ御質問したいと
思い
ますけれ
ども
、
三浦参考人
にお尋ねしたいと
思い
ます。 先ほど切々たる心境を
三浦参考人
は
組合
長としてお述べになりました。
退職金
につきましても、歯を食いしばって
再建
のために
協力
をしてきたというお話でございますが、他社には例を見ない多額の未払い
労務債
、この処理ということがやはり今後とも最大の問題になると
思い
ますけれ
ども
、その解決がどのような形で図られるべきか、ひとつ率直に
三浦参考人
の御
意見
をお聞かせいただきたいと
思い
ます。
三浦清勝
16
○
三浦参考人
お答えを申し上げたいと存じますが、端的にお答え申し上げたいと
思い
ます。 先ほ
ども
申し上げましたように、
労務債
の
内容
、性格からいきまして、私
ども
は完全に
返済
をしてもらいたい、それは当然
北炭
の
会社
でわれわれから借りたわけでございますから、
北炭
が完全に清算をすべきである、こう考えております。問題はいろいろありましょうけれ
ども
、私
ども
いま炭労とも
ども
北炭
に要求を出しまして、
北炭グループ
を含めて全体で一〇〇%
返済
すべきだと要求を出しまして、いま行動をとっておる次第でございます。
倉成正
17
○
倉成委員
萩原参考人
にお尋ね申し上げたいと
思い
ます。 ただいま
大澤管財人
、
三浦参考人
からいろいろ御
意見
の開陳がございました。また
萩原参考人
からも、
労務債
の処理については基本的な考え方について明確にお答えがありました。これは
北炭
の責任である、しかし現在の状況は
三井観光
を含めて非常に苦しい状況にあるので苦慮しておるというお話でございましたけれ
ども
、ただいまの
管財人
あるいは
三浦参考人
の御
意見
を聞かれまして、今後どのような形でこの
労務債
の解決のために
協力
をされるかということについて率直な御
意見
をお聞かせいただきたいと
思い
ます。
萩原吉太郎
18
○
萩原参考人
関連十八社、三井グループの中ですが、
三井観光
の
状態
については先ほど簡単に申し上げました。そしてその中で、また
北炭
が
支払い
能力がなければ関連のところが力を合わせて払わなければならない、これも申し上げておりました。この二つのことから、われわれとしてはできない中でもどうやって支払うか、これはいろいろ各
方面
等の御
援助
、またうっかり申しますと心証を害する取引先というか
関係
先も入っておりますけれ
ども
、私としていま考えておりますのは、関連
会社
でもそうですが、
三井観光
でも資産の売却による捻出という以外ないと思っております。と申しますのは、すでに九十億、これも銀行から借りて
北炭
へ融資してございますが、もしさらにこの上やっていくと、金利負担を年々七億ずつこれから毎年払っていかなければならない。現在
三井観光
の
状態
だけで見ましても、二百四十億の売り上げがありながら一年の利益の計上は一千万円にしかならない。なぜであるかというと、もっぱらそうしたものの影響を受けておるのでございます。そうすると、これ以上借りて
援助
をしたのでは、長いうちに今度は
三井観光
が存立を危うくいたしますので、資産の売却よりほかないと現在のところ考えておりますが、その資産について、これにはいろいろ
担保
もついておりますし、それらの解除も行わなければならず、買い取り先をどこにするかというようなことでいろいろ
検討
いたして、何分にも来月の二十一日には二千名が解雇されると言い渡されておるのですから、それまでに
全力
を挙げて、でき得る限りの
資金援助
を捻出したいと思っておる次第でございます。
倉成正
19
○
倉成委員
通産大臣にお尋ねします。通産大臣は、ただいま
大澤管財人
を初め
三浦参考人
、
萩原参考人
の御
意見
をそれぞれお聞きになったと
思い
ますが、
大澤管財人
の示された
方針
についてどのようにお考えになるか。 また、わが国の石炭政策は二千万トン
体制
ということを打ち出しておりますけれ
ども
、現実にはもうすでに千八百万
体制
になっておりますし、また
北炭
が仮に
閉山
ということになれば、この二千万トン
体制
というのは事実上崩れたことになるということを非常に危惧いたしておりますけれ
ども
、この点についてどうお考えになるか、お答えをいただきたいと
思い
ます。
安倍晋太郎
20
○安倍国務大臣
大澤管財人
が今回打ち出された
方針
は、営業の休止によるところの
事業
の
縮小
、さらに
従業員
の
全員解雇
という非常に厳しい
内容
を含むものでございます。このような事態に立ち至ったことに対してはまことに残念でありますが、
管財人
の今回の
方針
は、
労務債
の処理等困難な問題が山積する
現状
のもとで、山を残すという前提で将来の
開発
への展望をも含めた
更生
の方途を探るために真にやむを得ないものである、こういうふうに受けとめざるを得ないと存じます。
政府
といたしましては、以上の認識に立ちまして、
大澤管財人
のこの
方針
を支持することといたしております。今後
管財人
が、労働
組合
及び
北炭グループ
を初めとする
関係
者の
協力
を得て、この
方針
のもとで
会社
更生法
の定めるところに従い、一日も早く何らかの
更生計画
が策定されるように心から期待をいたしておるわけであります。 なお、二千万トン
体制
が揺らいでくるではないか、こういう御質問でございますが、これにつきましては、御承知のように昨年八月に石
炭鉱
業審議会のいわゆる第七次答申におきまして、石炭供給の経済性と安定性の調和に
配慮
しつつ国内炭の活用を図るとの考えに立って、現行の私企業
体制
のもとで、当面現存
炭鉱
の現在
程度
の生産水準の安定的な維持を基調としつつ、今後の石炭企業の体質改善や需給環境の好転に応じて、将来における二千万トン
程度
の生産の達成を目指すことを基本的な考え方とすべきである、こういう答申を得ておるわけでありまして、通産省としてもこの答申の趣旨を十分尊重して、今後の国内炭政策の展開を図ってまいる所存でありますが、本答申の基本的な考え方自体は、今回
大澤管財人
の示された
方針
によりまして
北炭夕張
が
閉山
になる、こういうことになりましても、その
方針
について変更する必要はない、こういうふうに考えております。 われわれとしては、今後ともあらゆる
努力
を傾倒しつつ、審議会の答申を尊重しながら、二千万トン
体制
に向かって
努力
を重ねていく考えであります。
倉成正
21
○
倉成委員
通産大臣は、
大澤管財人
の
方針
をやむを得ないという基本的なお考えのようでありますけれ
ども
、
北炭夕張
の問題は、単に
夕張
の問題にとどまらず、全国の石炭
関係
の労使のみならず、少なくとも石炭の問題に関心を持つ人が息を詰めて見詰めておる問題であります。したがって、この処理
いかん
によりましては、わが国の石炭政策、またこの石炭の問題について大きな影響を及ぼすことを私は危惧しておるわけでございますが、特にこの問題が直接的に
北炭
真谷地炭鉱
あるいは幌内
炭鉱
へ波及するということになれば大変なことになると考えるわけであります。これらの影響を最小限にとどめるためにはどのようなことを考えたらよいか、どのような手当てをされておるか、通産大臣のお考えを承りたいと
思い
ます。
安倍晋太郎
22
○安倍国務大臣 幌内社及び真谷地社は、
夕張社
に対しまして融資、物的保証、物的
担保
の提供を行っているほかに、
北炭
社を含めた四社の間で相互に連帯保証
関係
にあるなど、これら両社は
夕張社
と密接な
関係
にあることは御承知のとおりでありまして、
北炭夕張社
が
事業
を
縮小
することになった場合は両社への影響は多大なものがある、こういうふうに予想されるわけであります。 こうした両社の実態にかんがみまして、昨年十二月の
夕張社
の
更生
手続開始申し立てに際しましても、
政府
としましても直ちに
関係
金融機関
、取引先に対して、保証
債務
の追及を見合わせるよう要請するなど、幌内、真谷地両社への波及を防止するための
努力
を傾注してきたところでありますが、今回の事態を踏まえて、去る二十一日に両社の各債権者に対して引き続いての
協力
を要請をいたしましたほか、二十四日には債権者懇談会を開催をいたしまして、正式に
協力
要請を行ったところであります。 両社の
経営
の安定のためには、両社労使が一体となって
経営
改善
努力
及び関連グループの
協力
が基礎となることは申し上げるまでもないわけでありますが、
政府
といたしましても、今後とも
関係
金融機関
、地方公共団体の
協力
のもとに、
夕張社
の
再建
問題が両社へ与える影響を最大限食いとめるように、これは私もかねがね両社に対する波及は何とか避けたい、どうしても避けなければならぬということを言い続けてまいって、それなりの
努力
を
政府
としてもやってまいったわけでございますし、今後ともこれに対してはひとつ
全力
を尽くして波及を防いで、真谷地、幌内両社が今後ともこの石炭の
採掘
を安定的に行うように
努力
を続けていく考えでございます。
倉成正
23
○
倉成委員
その点に関しては、きめ細かい
配慮
を特に要望申し上げたいと
思い
ます。 さらに、
三浦参考人
からもお触れになりましたけれ
ども
、今回の問題は、単に
夕張
新
炭鉱
に働く
従業員
並びに
家族
の問題のみならず、
下請
関係
の
方々
、またこの
夕張炭鉱
と
関係
の深い中小企業の
方々
にはかり知れない大きな影響を及ぼすと考えるわけでありまして、これらの
下請
企業
関係
また中小企業の
方々
、また
夕張
市の財政、
夕張市民
に及ぼす影響ということも大変な心理的、経済的、あらゆる面で大きいと思うわけでありますけれ
ども
、これに対する
支援
措置をどのように考えておられるか、通産大臣に率直にお伺いしたいと
思い
ます。
安倍晋太郎
24
○安倍国務大臣 この
北炭夕張社
が
閉山
ということになりますれば、いまお話がございましたように、
下請
の
皆さん
、さらにまた
夕張
市の
北炭夕張
に非常に依存をしておる
関係
者、あるいはまた
夕張
市そのものに大変な大きな影響が出てくることは当然予想されるわけでございます。私もこれは最も心配をしておるところであります。 したがって、これに対しましては、すでに
夕張社
が
更生
手続を開始をいたします際に、
政府
といたしましても
関係
の
金融機関
あるいは地方公共団体等にも
協力
も要請し、
政府
みずからも直接
努力
をいたしまして、もろもろの対策を講じてまいったわけでございますが、今後とも大きな打撃の予想されるこうした
関係
者あるいは地域に対しましては、あらゆる角度から、私もすでに大臣としての談話で申し上げておりますような
支援
、
夕張
市に対する財政的
支援
であるとか、あるいはまた中小企業
関係
に対するいろいろの金融措置であるとか、そういうことにつきまして
努力
を重ねてまいりたい。 同時にまた、
政府
だけが
努力
をしてもこれはどうにもなるわけではございません。
関係
の
金融機関
等にも強く
協力
を要請して、何とかこの地域が壊滅的な打撃から免れるように今後
努力
を重ねてまいりたい、こういうふうに思っております。
政府
としても、ただ通産省だけでそういう問題に取り組めるわけではありません。あしたも閣議で要請したいと思っておりますが、
関係
省庁等にもこれに対する
協力
を強く求めて、
関係
各省一体となってこれに対して
努力
を重ねてまいる考えであります。
倉成正
25
○
倉成委員
時間の
関係
上、私の質問は以上で終わりますが、九十三人のとうとい
犠牲者
の涙の乾かぬうちにこのような重大な局面を迎えたわけでありますけれ
ども
、貴重な石炭資源の確保という面からも、一日も早く山の将来の明るい展望を確立することによって、
従業員
の
方々
並びに地域の
方々
に不安を与えないように、
政府
当局において最大限の
努力
をされることを要望いたしまして、私の質問を終わります。
枝村要作
26
○
枝村委員長
岡田利春君。
岡田利春
27
○岡田(利)
委員
本日議題になっている
北炭夕張炭鉱
の問題は、私に言わせると、いままで一貫した石炭政策の個別企業対策の矛盾のあらわれである、こう指摘せざるを得ないと思うのです。したがって、このまま推移すれば、今後も第二、第三の
夕張炭鉱
問題が起きる、こう私は率直に指摘をしなければなりません。そういう認識の上に立って、私は各
参考人
に対する質問を行いたい、かように
思い
ます。 そこで、まず第一点は
大澤参考人
に。今回
提案
された
内容
に
労務債
は百十五億と書かれておるわけです。これは恐らく
社内預金
を百二十三億から引くと大体百十五億になるわけです。という意味は、
管財人
として
社内預金
については
支払い
することができる、こういう認識の上に立って
労務債
は百十五億、こう述べられたのかどうか、お伺いしたいと
思い
ます。
大澤誠一
28
○
大澤参考人
社内預金
の七億八千万と、いわゆる一般の
労務債
百十五億、これは使い分けております。
岡田利春
29
○岡田(利)
委員
含まれていないわけですね、百十五億に。
提案
された
文書
は百十五億になっておるわけです。しかし、
労務債
は百二十三億だ。数字の違いは
社内預金
だと私は思うわけです。したがって、
社内預金
については
管財人
として
支払い
できる、こういう認識で百十五億と述べられたのでしょうか。
大澤誠一
30
○
大澤参考人
百十五億の
労務債
というのは、
退職金
とか
期末手当
、
賃金等
の未払いのことでございます。社内頭金は七億八千万、このうちに
退職者
の方が幾らかあると
思い
ますが、これは
会社
を継続するならそのまま継続する、すぐ
支払い
の
対象
ではない、こういうことになると
思い
ます。
岡田利春
31
○岡田(利)
委員
社内預金
をおろさない
労働者
の心情を私は
思い
ながらお聞きいたしたわけです。 そこで、
三浦参考人
にもお伺いしますけれ
ども
、この
北炭
社の場合には過去四山の
閉山
が行われておるわけです。
夕張
一鉱が
昭和
四十八年十月、
平和鉱
が
昭和
五十年三月、
夕張
新二鉱は五十二年六月、清水沢鉱が五十五年四月、このように
閉山
が行われておるわけです。どうしてこれだけの
債務
が、
労務債
がたまったのかと調べてまいったわけですが、
夕張
一鉱と
平和鉱
の場合には、鉱員に対しては
退職金
は全額払っておるわけです。職員に対しては四百万の頭打ち以内で払っておるわけですが、ただし、これは金利三・五%で、最終的には三・五%の元利合計分を差っ引く、こういう
内容
になっておるわけです。
夕張
新二鉱の場合には、鉱員に対しては三分の二
支払い
が行われて、三分の一は未払い。清水沢については、二分の一が支払われて、三三%、三分の一が未払い、残りの一七%が
社内預金
。こういう形になって、約四億
社内預金
に占めている、こういう実態になっておるわけであります。 そこで、私が非常に問題だと思うのは、今日の
閉山交付金
の制度は、それぞれ申請が行われて個人個人の口座に振り込む、こういう制度になっておるわけであります。ところが、ずっと歴史的な
内容
を調べてまいりますと、そうはなっていないのですね。これは
閉山交付金
制度の運用について重大な問題がある、こう言わざるを得ないのですが、通産省、労働省は御存じでしょうか。
弓削田英一
32
○弓削田説明員
先生
御案内のとおり、
閉山交付金
にかかわります
賃金
債の代位弁済につきましては、新エネルギー総合
開発
機構が当該弁済を行う旨の公示を行いまして、申し出のありました
賃金
債に対しまして、法令に従いまして直接に代位弁済を行っているような状況でございます。 御指摘の
北炭
関係
の四山の
閉山
についてでございますが、以上の手続きによりまして、申請のありましたものに対しましては法令に従って代位弁済を実施しているわけでございまして、これまで本制度の厳正な運用を行ってきたところでございます。
岡田利春
33
○岡田(利)
委員
これはそういうことにならぬですね。
自分
が四百万もらえるのに二百万しか申請しないというばかな人間がおりますか。もしそういうことがあったならば、これはおかしいと思うでしょう、もうすでにめどでは計算しておるわけでありますから。それが全部一律二分の一払われるというばかな話はないわけですね。制度の運用について重大問題があるわけです。もし
部長
が厳正な運用をしておると言うならば重大問題であります。 時間がありませんから問題点として残しておきますけれ
ども
、第三次肩がわり以降、大型
閉山
したのは、この四山以外にないわけです。あとには
閉山
はないわけです。
閉山
収支では約二百億の
赤字
であることば間違いがありません。だが、基本的な
北炭
社のこの
夕張
の問題は、
開発
が二年長くかかったということ、常に
計画
が未達成であったということ、そして
災害
が起きたということ、これらが主要因でありますけれ
ども
、
閉山
収支の問題については他のいかなる
炭鉱
とも違った要因を持っているということは、かねがね私が指摘した点であります。そういう点を前提にして御質問いたしたいと思うのですけれ
ども
、私の指摘した点について
三浦参考人
、これは間違いがないと思うのですが、いかがですか。
三浦清勝
34
○
三浦参考人
先生
が御指摘のとおりでございますが、ただ、
夕張
新二鉱の
閉山
の時期でございますけれ
ども
、
先生
は五十二年の六月とおっしゃいましたが、五十三年の九月でございます。
岡田利春
35
○岡田(利)
委員
そこで
萩原参考人
にお伺いします。 いま
萩原参考人
から、
労務債
の完済は
北炭グループ
の責任である、したがって、そのために最大限の
努力
をする、こう明確に述べられたわけであります。私も十数年来、この新鉱
開発
の問題をめぐって以来、
参考人
とはよくお会いをしたこともあるわけであります。これはいわば
北炭
の
再建
の決め手である、そういう前提に立ってこの
開発
が行われたわけであります。そういう意味で、
萩原参考人
は今日
北炭グループ
の実質上の頭領である、こういう認識を私は持っておるのであります。それだけに、この山の将来について
萩原参考人
としても非常にいろいろ
思い
めぐらすこともあるのではないか、こう
思い
ます。しかし、いずれにしても、いま当面問題なのは
労務債
を処理するという点が問題であります。
参考人
が述べられた最大限の
努力
という意味は、百二十三億の旧
労務債
があるわけでありますが、この百二十三億の
労務債
を目標にして最大限の
努力
をするという意味だ、私はこう受け取りたいのでありますけれ
ども
、いかがでしょうか。
萩原吉太郎
36
○
萩原参考人
まあ
労務債
は
退職金
と給与の一部保留額と
社内預金
、この三色ございまして、
労務債
といえばこれ全部ということになるのでございますが、私
ども
として、まずこの全額の百四十九億円、これはとうてい先ほど申し上げたような事情でグループではこれだけの捻出ができない。これは初めから思っております。できないということは不可能ということでございますけれ
ども
、さて私はこれを考えている中で、まず
社内預金
、これはどんなことがあっても払わなくちゃならない。それから
退職金
のうち旧債、これから起こるものではなくて古い方の分、これも何とかしたい。これがわれわれの考えている——これは力があるとかなんとかじゃなくて、やらなければならぬなと考えておるところでございます。それから給与の一部保留額、これが二十億ございますが、これについては、これは
資金
の状況でございますので、本来当然
債務
でございますけれ
ども
、これは当時の事情が後払いという約束で、途中からカットしたというような問題ですから、これについては無論力があれば払わなくちゃならないと
思い
ます。 ただ、ここで問題になりますのは、その中で保留しました分を
組合
が労働金庫から借りてそれで渡した、こういう問題があります。これが保留してある額のうちの十五億ぐらいになるのじゃないか。これは
組合
対労働金庫の問題で、
組合
が借りて払っているのですから、これもというと全部むずかしくなってまいります。 私の方でどのくらいの何を
対象
としてやっておるかといえば、百四十九億の
労務債
のうち、新たに起こる新債というものは、
閉山
ということで
閉山交付金
でやる。これは
閉山交付金
によってやっていっていただくとすると、残るのは古い
退職金
、それから
社内預金
、それから給与の一部保留額、これが問題を含んでおる点としてあるのでございます。そういうわけですから、われわれがどうやったらこの全額払えるかというと、これでも、旧債と
社内預金
だけ見ましても七十一億円になる。
社内預金
は一〇〇%の
支払い
はできるのでございます。私は炭労の座り込みを三回受けております。そして野呂
委員長
以下とも話した。一部では、もう何にもしないぞとすっかり伝わっちゃっている。ところが、この
組合
の席上でも、しないと言ったことは一回もない。できるだけやろう。ただ
最後
のときに、
組合
の言うとおりなわけにはいきませんとおれは思うということを申した次第であります。そう言っております
関係
からしても、いかにしてこれを捻出するか。私が言った以上、苦慮いたしておりまして、鋭意やっておりますが、一〇〇%と言われても、すでにその節申したとおり不可能な数字になっていると思うのでございます。
岡田利春
37
○岡田(利)
委員
いま
参考人
が述べられた給与、
賃金
未払い分十四億五千八百万のうち、
会社
が保証して、
賃金
が払えないから
労働者
が労働金庫から借りたのが約十億と私は承知をいたしておるわけです。これは
会社
が保証しているわけですね。
賃金
が払えないから、保証するから労働
組合
は、労働
組合
個々の
組合員
が労働金庫から金を借りてほしい、こういう
内容
であることをひとつ御認識を願いたいと思うのであります。 そこで、いま
参考人
が述べられた点で、
現金
がすぐ
自分
の手元にあるわけではないわけですから、その案として資産の売却、優良
会社
の売却等の問題もすでに報道されておるわけです。この点について
政府
の
協力
も得たいという
意見
が述べられておるし、同時にまた報道においても、
安倍通産大臣
は
萩原会長
からそういう要請を受けたという点もすでに報道されておるわけですが、いまのこの
参考人
の
意見
に対して通産大臣はどのようにその場合
協力
的な対応をするおつもりですか。
安倍晋太郎
38
○安倍国務大臣 いま
萩原参考人
からも、この
労務債
については責任を感じておる、できるだけのことをしなければならない、そういう決意であるという
意見
の
陳述
もあったわけであります。私も一昨日萩原さんにお目にかかりまして、
大澤管財人
の
結論
をやむを得ないものとして
政府
が支持しておるし、同時にまた、山は残すという
立場
で今後
更生計画
が策定されるように、
政府
としても
大澤管財人
に
努力
を要請いたしておるわけでありますが、その最大のネックとなるのは
労務債
であります。その
労務債
については、何といいましても
北炭グループ
の
協力
がなければこれは処理できないわけであります。そういう観点から萩原さんに対して、これまでの経緯等から見て
北炭グループ
がひとつ責任を持って、責任を強く感じてこれらに対して積極的に対応していただきたい、これなくしては今後の山は残すという課題に対して、あるいは
閉山
ということすらも困難になってくるのじゃないか、こういうことで強く
お願い
いたしました。 先ほど申し上げましたように、萩原さんも責任を強く感じて、これに対してはできるだけのことをしたい、そして現在ここで同様の趣旨の御説明があったわけでございまして、われわれとしては、それではどういう形で具体的に今後実行されていくかという問題について、これは事態も切迫をいたしております。その点で私たちも大変注目をいたしておりまして、今後の交渉によりましてだんだんと具体的にその
内容
が明らかになってくると
思い
ますが、その間にあって
政府
としてもできるだけの
協力
をいたして、この目的が実行できるように
配慮
してまいりたい、こういうふうに考えております。
岡田利春
39
○岡田(利)
委員
協力
する場合には、税その他の問題がありますから、そういう誠意をもって
協力
する場合には
政府
としても対応して相談に乗るべきだ、こう私は思うのであります。 ところで、私が強調しておきたいのは、たとえば
大澤管財人
の
提案
どおり
全員解雇
、
閉山
ということになっても、この
炭鉱
は非常に新しい
炭鉱
なわけですね。したがって、いまの合理化臨時措置法の制度で
閉山交付金
を計算すると、鉱員の場合には大体四百万、若干余る人も多少おるか知りませんけれ
ども
、大体は四百万
程度
以内におさまる、こう言えるのであります。問題は、先ほど指摘したように、職員の場合にはいままでの
閉山
の場合にも全然支払っておりませんから、これが結局大きな金額になってくるのであります。いままで
閉山
になっても一銭の
退職金
ももらわないで、個人が四百万もらえるのをもらわない
状態
にあって、それが
債務
として残っている。職員
部分
は、その場合には全部四百万以上でありますから、恐らく一千万以上の平均があるでありましょう。新しい
労務債
が発生する場合にはそこに問題があることを特に
関係
者の
皆さん
は十分
理解
をしてもらわなければならないということを強調しておきたいと思うのであります。 そこで私は、いま
萩原参考人
からも御
意見
が述べられたわけでありますけれ
ども
、通産大臣がまた談話でも述べておりますけれ
ども
、少なくともまず前提となる旧
労務債
が処理できなければ、真谷地、登川に影響を与えないと言いながらも影響を受けざるを得ないでしょう。いや、真谷地、登川だけでなくして
北炭
社全体グループに重大な影響が起きてくることはきわめて当然だと思うのです。
北炭
社の一〇〇%の出資
会社
でありますから、私はそう思うのであります。そういう認識については、通産大臣はいかがですか。
安倍晋太郎
40
○安倍国務大臣 これはおっしゃるように、
労務債
の処理というのが
閉山
に至るまでの間の非常に重要な最大のかぎを握っている課題だと私は
思い
ます。したがって、この問題の処理について、先ほどから萩原さんもお述べになっておるように、
北炭グループ
がひとつ
全力
を挙げて御
協力
をしていただかなければならない、そういうふうに存じておりますし、これに対して解決がつかなければ、いまお話のありましたように、これはやはり地域全体、同時にまた幌内とかあるいは真谷地とか、そういう
炭鉱
にも非常な影響が出てくることも十分考えられるわけでございまして、そういう点でまさに私は、この
労務債
の処理というのが
北炭
問題を処理する最大の課題である、大前提である、こういうふうに考えております。
岡田利春
41
○岡田(利)
委員
私は、
萩原参考人
の名誉のためにひとつお聞きしておきたいと思うのですが、報道によれば、NEDOの貸し付けの三百三十九億のうち二分の一の約百七十億円については貸付
条件
として萩原個人の保証として残っているということがすでに報道されているのであります。この点について
萩原参考人
はどういう御
理解
でしょうか。
萩原吉太郎
42
○
萩原参考人
ただいまのも新聞で知りたんですけれ
ども
、実は私は出たり入ったりと言われてまして、すでに四十二年に社長をやめ、そうしてまた新鉱のために戻って、四十七年に相談役になって、幌内の爆発でまた会長に戻ってきて、また林君の自殺未遂事件の後へ出ていって、いま
北炭
の方が忙しくて、
自分
の
債務
がどういう性格か、ただ借りるときに持ってくると判を押しておるので、実はこれがもう少し落ちついたら、
自分
で個人保証の意味というのはどうなのか、どういう形でそういうことが行われているのか調べたいと思っているのですけれ
ども
、何分にも
北炭
がもう少し落ちつかないと、個人の問題なんかで経理に間い合わせられませんので、まことにうっかりしているとかなんとかというより、借りる以上は判を押すものと思って全部押しておりましたので、どれがどうなっているのか私にもわからないのでございますが、これは至急
自分
でも調べてみたい、こう考えております。
岡田利春
43
○岡田(利)
委員
大澤参考人
にお聞きしますけれ
ども
、旧
労務債
について
北炭グループ
の
協力
を得て処理できた場合、労働
組合
も納得できたという場合には、あなたの
提案
内容
は変更になりますか、どうですか。
大澤誠一
44
○
大澤参考人
労務債
が完済されたならば骨子が変更されるか、これは骨子は変わらないで、
労務債
の項が解決するというふうに
理解
しております。
岡田利春
45
○岡田(利)
委員
そうしますと、
大澤管財人
の
提案
内容
が変わる前提となる
北炭グループ
の
協力
というのは、先ほど
大澤管財人
が述べられた百八十億ですか、そういう
協力
があれば変わるという意味であって、旧
労務債
だけでは変わらない、その
部分
が変わるだけだ。しかし、あなたが言われた当面の
労務債
の問題について、初めその他の
北炭グループ
の
協力
があれば
提案
内容
が変わるという
協力
の金額は、では幾らですか。
大澤誠一
46
○
大澤参考人
先ほど
陳述
のときに申し上げましたように、五十八年までに百三十億ぐらいの金が
開発資金
として要る。ですから、
労務債
が完済されてさらに今後の
開発資金
が可能であるとなれば、やはり仮定の問題ですが、一応考えなければならぬ問題かと
思い
ます。
岡田利春
47
○岡田(利)
委員
大澤
提案
によれば、二十一日に、
全員解雇
、
閉山
という
提案
であります。しかし、われわれは、石炭政策の流れから見て、残念ながら個別対策、企業対策をやらなければならぬわけでありますけれ
ども
、たとえば明治が五山の企業ぐるみ
閉山
をしたわけですね。そうして北海道二山が
閉山
になって、九州三山は残したわけです。企業ぐるみ
閉山
を残したわけですね。これは余り投資を伴わないいわば
残炭
部分
といいますか、上がり
採掘
、こういう方向で残したわけです。地域経済のために残したという経緯があるわけです。もちろん、いまの制度もいろいろ運用上の問題があるでしょうけれ
ども
、
大澤
提案
であっても、
西部
閉山
、その中で
残炭
が
採掘
できるともし仮定すれば、どの
程度
の雇用がありますか。
大澤誠一
48
○
大澤参考人
残炭
だけの
採掘
をした場合の雇用、これについては一
切り羽
だけの意味でございますかどうか私はわかりませんが、もし一
切り羽
ということであれば、場所にもよりましょうが、せいぜい四、五百人。これは回答が間違っておるかもしれませんが、
西部
十尺層の
残炭
の一
切り羽
をするならば幾らの人間が要るか、いわゆるボタ捨て場までの人間を考えるならば四百人ぐらいは要るだろうと考えます。
岡田利春
49
○岡田(利)
委員
管財人
の
提案
は将来に残したわけですね。通産大臣もそういう意味で、将来は
北部
を
開発
するのだ、その
リードタイム
は、述べられているように大体四年九カ月から五年七カ月で一
切り羽
、二
切り羽
ができる、七十五万トンの
体制
になるという展望を述べて、通産大臣もそういう希望があるのだということを盛んに強調されておるのであります。しかし、これもいろいろの制度の
関係
があってのこういう書き方だと思うのですけれ
ども
、しかし坑底から、たとえば水平の立て入れを切る、それから斜坑で入るということは、全部既
採掘
区域
内であります。やる気になれば直ちにこれはかかることができるわけですね。そうして進めながら、ある
程度
のボーリングを打って、立て坑の位置を決めて、第三排気立て坑を掘る。そして通気体系というものを中央式から対偶式に切りかえていく。そうなってまいりますと、当然雇用の問題も違ってまいるわけでありますし、
リードタイム
も違ってくるわけですね。ですから、いま言ったように立て入れが直ちにかかることができる、
西部
を除いてできると仮定すれば、この
リードタイム
は大幅に縮まる、こう私は思うのでありますけれ
ども
、御認識ばいかがでしょうか。
大澤誠一
50
○
大澤参考人
先ほどの返事がちょっと食い違っておりましたので訂正しますが、いわゆる
残炭
十尺層、それから
平安
八尺層、将来新
区域
の十尺層を
開発
するといったときの所要
人員
がどの
程度
か。これは職員が百三十六名、鉱員が八百十四名、
従業員
が四十四名、坑外雑給四十九名、千四十三名ということを考えております。 いまの
開発
までに時間がどれくらいかかるか。
残炭
だけの六十万トン——一切合財何もかも合わせると、
残炭
というのは百五万トンぐらいございます。しかしながら、これは
保安
上あるいは収支面から見ると、昨年十月の
事故
がなければ当然十尺層においていまごろは二
切り羽
開発
されておったであろうという場合には、すべてというよりほとんどが捨てた炭量でございます。これをあえてとろうということであれば百五万トンはございますけれ
ども
、私たちはそのうち六十万トンぐらいは
採掘
可能であるというふうに考えております。一
切り羽
一年三十万トンぐらいとすると二年ぐらいです。 そうすると、将来
平安
八尺層に一
切り羽
つなぐということはできますが、問題は新十尺層の
開発
をどうするか、いわゆる立て坑ができ、水平坑道ができて、完全な対偶式通気が完成した上に初めて
開発
し得るか、ここが問題だろうと
思い
ますが、当然いままでの過去の実績、また昨年の
災害
、今後の
保安
というものを十分に考えるならば、やはり立て坑なり水平坑道を貫通させて対偶式通気経路というものを確立して初めてやるとするならば、先ほど申しましたように四年九カ月、五年七カ月の期間がかかります。その間、先ほど申しましたように六十二年の終わりごろまでは二百億の
赤字
は確実に残る、こういう試算でございます。
岡田利春
51
○岡田(利)
委員
私はいまの二つの質問はセットして考えているわけじゃないわけであります。弾力的に考えて質問いたしているのであります。特に
北部
区域
というのはすでにバージン坑区ではないのですね。山を
開発
してボーリングも打って坑口を設定して、いままで六年間炭を掘ってきたわけです。
災害
があった現場にも到達したという実績も持っておるわけであります。ですから、立て入れを切っていく、そうするとまた新しい炭層にぶつかるでしょう、これは切っていかなければならぬでしょう。そういう点で判断していく場合に、直ちにかかれば、並行的にボーリングを打って立て坑の位置を決めれば、これは盤下でもって
骨格坑道
を築くわけですから、
保安
上重大な問題がそんなに起きるはずがない。要するにそういう
骨格坑道
ができて、通気が対偶式になって
切り羽
が設定される、それにはどういう
採掘
方式かということは、その間に決定されるでありましょう。そういう判断に立つ場合には
リードタイム
としては長過ぎる、これは短縮することが可能であるということを指摘をしたという点について、まず御
理解
を願っておきたいと思うのです。私のそう言う意味について十分ひとつ御
検討
願わなければならないと
思い
ます。
萩原参考人
にお尋ねしますけれ
ども
、記者会見では
萩原参考人
も、どういう形であってもこの山を、優良資源が賦存しているし、
地元
経済の問題もあるし、雇用の問題もある、そういう点からもこの山の
存続
を強く希望しているということを述べられておることを私は読んでおるのであります。将来のこの山を残すという点について、
萩原参考人
の御
意見
があれば承りたいと
思い
ます。
萩原吉太郎
52
○
萩原参考人
私は、ただいまお話しのように
ガス突出
がなくても大変だったと
思い
ますけれ
ども
、私は、実は四十七年の五月以降、何かあれば出ていくけれ
ども
、役員会も一回も出ていないので詳しい事情はわかりませんが、たまに社長からの話によれば、少なくとも爆発前には非常な自信を持って語っておりました。まあそれはすでに起こった後で、しようがありませんが、私は、あそこの
北部
の方の
開発
というもうは、言うなれば
事故
が起こらなければやがてあそこを出したときにはドル箱になるぞ、こういうふうな考えを持っております。ですから、
北炭
の人々とすればやりたいけれ
ども
、私は、それじゃ
北炭
の系列でやるのはやめなさい、多くの犠牲を出し、
事故
、人災を起こしている、それからさらにこれを整理するには非常な御迷惑をかけるんだから、
北炭
の系列でやらなくても、どこかの
会社
かまたは第三セクターででも、第三セクターという構想は
夕張
の市長がしきりに言っていることです。それがやれるんだったらそれにこしたことはない、どんな形でもいいからあそこは
開発
してもらいたい、こう思っております。 それはまあ、技術の点から管理の点から見て率直に劣っていた、これは
自分
でも認めざるを得ません。しかしながら、第一立て坑一本でも、あれを開くのに三年と四万六千五百人の
人員
があそこへかかってきておる。これはおかしいようですけれ
ども
、五十五気圧という異常な高圧の湧水がありまして、学者の
先生方
も考えられないことだ、それを乗り越えてやってきたような
思い
出のある山なんです。ですから、ああいうことまでやってきて、しかも下にきわめて優秀な炭があるんだから、ぜひこれはどうしても開いていっていただきたい、こう考えております。
岡田利春
53
○岡田(利)
委員
萩原参考人
の御
意見
を聞きながら、私は結局、いずれにしても
大澤管財人
の
提案
自体もまだ展望というのが私に言わせると霧の中に封じ込められておる。問題は、
労務債
の処理という問題が大前提になっている。もちろん新規の
労務債
の問題についても、特に職員の問題、これが問題として発生してくるわけであります。しかし、そういうハードルを越えながら行く場合には、いま
大澤管財人
、通産大臣が強調している面から言えば、どうしてもこれは
石炭業界
の
協力
を得なければならぬし、これに
政府
が
協力
、
援助
を与えるということでなければ夢のまた夢に終わってしまうことは当然であります。いまの
状態
の中では、いまの示している、われわれが承知している展望であっては、何かカンテラのともしびがともっているようなものであって、強い風が吹けば消えてしまうということになるわけであります。したがって、そういう展望について、業界の
協力
姿勢というものについて通産大臣は十分確信を持たれているか、あるいはまた
管財人
としても一つの感触を持ってこういう点について語られておるのかどうか。そして、それがそうであるとするならば、私が幾つか事例を挙げて指摘しているように、この
北炭グループ
の
協力
と相まって、もう一度その展望の具体的な
内容
について
検討
することが可能である、こう思うのでありますけれ
ども
、その点についてはいかがでしょうか、通産大臣。
安倍晋太郎
54
○安倍国務大臣 いま、この
閉山
問題をめぐりまして大変大きなハードルを越えていかなければならぬわけでございます。まず、これを何としても越えなければならぬ。そうして、先ほどから私も強調いたしておりますように、将来につきましては、山を残すという大前提のもとに
北部
の再
開発
をぜひともやり遂げなければならぬと
思い
ます。 しかし、おっしゃるように、これもなかなか容易なことではないことは言うまでもないわけであります。
資金
的な面からいいましても、いま
大澤管財人
も申し上げましたように、まず二百億の
債務
を背負って始めていかなければならぬ、こういうことにもなります。あるいは
経営
主体をどうするかという問題も、これまたこれからの大変大きな課題であろうと思うわけでございます。 しかし、
政府
としましては、特に私はこれまでも強調しておりますように、何としてもあの
北部
はこれから
開発
したい、明るい将来に対する展望をあの山によって求めてまいりたい、そのために
政府
としても大いに
協力
をするということを言っておるわけでありまして、これを実行していくには、もちろん
政府
は当然でありますが、
石炭業界
の御
協力
がなければとうていこれは実行できないわけであります。技術の面においてあるいはまた
経営
の面において非常に困難な問題が山を残すというために大きく横たわっておるわけでありますが、これだけは何としても突破して、そして将来にわたっての展望をはっきりとさせてまいりたいという考えでありまして、そのためにこれからもひとつ
全力
を尽くしてまいりたい、そういう決意を持っておるわけであります。
岡田利春
55
○岡田(利)
委員
私の指摘する点を大臣は十分のみ込まれてないと思うのであります。私は、二百億の借金を背負ってやろうなんてむちゃな、整合性のないことを言っているのではないのです。ある段階に来たらもちろん、どういう受け皿になるか知りませんけれ
ども
、受け皿ができる。
閉山
するという
提案
をしておるのでありますから、立て坑の施設とかそういうものはNEDOならNEDOが
担保
として当然押さえているわけでしょう。新
会社
にそれを譲渡しなければならぬわけでしょう。その場合に、
開発
をして一応採算ベースで安定的にやれるかどうか、こういう前提に立って組み立てなければならぬでしょう。多少の制約があっても、明治の例を出しましたけれ
ども
、投資の伴わない
残炭掘り
は認めていく。雇用があるでしょう。多少切れても、その雇用は次につながっていくんです。人間を全部はがして再
開発
するなんということは、いまの常識では判断できないのであります。そういう総合性を持って、私はいまの
大澤
提案
の趣旨にのっとって実は質問をいたしたわけです。私の述べている点は専門的に
検討
されれば十分御
理解
できるだろうと思うのですね。
大澤管財人
として、私の述べている点は制約があるからできないけれ
ども
、そういう制約
条件
が私が言っているように取り除かれていけば、私がいま言った
方法
が一番ベターである、あなたの
提案
でも一番ベターである、こう言えるのではないでしょうか。いかがでしょう。
大澤誠一
56
○
大澤参考人
私も、今後の十尺層の
開発
について必ず
炭鉱
の灯をともしたい、
開発
したい、これを最終的な目標として、念願として
努力
していきたい。しかしながら、その過程は
労務債
を片づけ、一般債権を片づけ、
担保
権の債権をどういうふうに処置をして最終的な締めくくりをするか、それによってやはり引き継ぐ新
会社
がどういうことになってくるか、この辺がここ数カ月の間に決まっていくだろうと
思い
ます。そういう灯をともすという目標に向かって、そういった債権の処理をしていきたいというふうに考えております。
岡田利春
57
○岡田(利)
委員
時間がありませんので、終わります。
枝村要作
58
○
枝村委員長
塚田庄平君。
塚田庄平
59
○塚田
委員
きょうは大変お忙しい中、各
参考人
におかれましては大変御苦労さまでございます。与えられた時間は非常に少ないのでございますから、あるいは失礼な言葉も端々に出ると
思い
ますが、この点は時間に追われておるということに免じてひとつ御勘弁を願いたいと
思い
ます。 まず第一でございますが、先ほど
萩原参考人
の方からいろいろと
労務債
についての今後の対策といいますか、心組みといいますか、そういった答弁がございました。そばで聞いております
大澤参考人
の現在の心境ですね。
北炭グループ
の総帥といいますか、いわば最高責任者だからここへ呼んだのですけれ
ども
、そういう人の言葉として、あなたは一体これをどう現在受け取っておられるか、御答弁を
お願い
したいと
思い
ます。
大澤誠一
60
○
大澤参考人
労務債
の問題と
思い
ますが、この問題については、現場の事情を考えますと非常に
不満
足だ、かように考えております。
塚田庄平
61
○塚田
委員
私は率直に聞いておりまして、大臣が
萩原参考人
の答弁について、言葉どおり今後とも
努力
することを期待するし、私
ども
もそれなりにひとつやりたい、こういう話があったのですけれ
ども
、真ん中にいる
大澤
さんだけが
不満
である。当面の責任者であるこの二人が顔を合わせたのは、恐らくきょう初めてじゃないかと思うのですよ。なぜ一体こういう事態で今日までじんぜん日を過ごしてきたのか。いや、社長がいるからいいんじゃないかと、ここではっきり出ているように、それは確かに社長はおります。しかし、なぜもっと腹を割って、
大澤参考人
と
萩原参考人
は事態の好転のために話をしてこなかったのか。あるいはその間のあっせんといいますか、事態をよく知っているのですから通産省はなぜそういう労をとらなかったのかということについて、私は非常に残念に思うのです。これがもっと一月、二月あるいは三月前であったならば、いまここで、あと一月足らずの九月二十一日を前にして、こんなばたばたした議論、しかもこういう議論をやっても、九月二十一日までに何十億という金をつくるのですから、これは容易ならぬ離れわざをやらなければならぬと思うのですよ。なぜもっとじっくりと話をしなかったかということについて、これはだれから答弁をもらったらいいのか、それぞれひとつ
参考人
の考え方を御披露願いたいと
思い
ます。
大澤誠一
62
○
大澤参考人
私は
管財人
になって以後、この
労務債
あるいはまた新鉱の対処の仕方については、やはり
北炭
の本社といいますか本店の粕谷社長を中心にして歯車は回るもの、かように考えておりました。
北炭
本社というのは各
関係
会社
を采配をしておる。この辺私の初めの認識と、その後の最近の事情というものは、若干認識が変わってはきております。当初はやはり
北炭
本社であるといちずに考えておりました。しかしながら、最近のような情勢を見まして幾らか考えなければならぬ。私は、ですから
萩原会長
さんにお会いしよう、そういった気持ちは、初めからしばらくは持っておりませんでした。これはある人から注意を受けた後、そうかなというふうに考えました。私たちの
会社
であれば、本店がすべて子
会社
のことは采配を振るうというのが常識であるというふうに考えておりましたから。
萩原吉太郎
63
○
萩原参考人
大澤管財人
と私というか、むしろ大きく見れば同じテーブルに着いてのよく腹を割っての相談がなかった、こういう御指摘だと思うのでございます。私は、確かにこの国会に来て
大澤管財人
に初めてお目にかかりました。それは、それがどうのこうのというのじゃありませんけれ
ども
、私は、
大澤管財人
が社長を相手にすべきだという行動で来られた、これは
管財人
としてはごもっともだと思うのでございます。 私は、それでもさらに言うのですが、最初から、いま問題になっておるような問題点は
管財人
から
管財人
代理に一任されてしまっておるようなことになっておりますので、そういうふうなことがあって今日に至りましたが、私とすれば、過去どうであった、こうであったというよりも、ここへ来て、これからは、言ってきたらこれを批評してみるというか、片方の方も顔色を見ておる、また対立しておるような
関係
でなくて、同じテーブルに着いてどうするかというふうに事を運んでいただきたい。過去の経過についてはもう済んだことですから御勘弁願いまして、むしろこれからはそういうふうにやっていただきたい。それでなければ問題の解決が遅れるばかりです。それでだれが被害を受けるか、救われないのは労務者でございます。そういう点を考えて、われわれは考え直して、そういうふうに持っていきたい、また持っていっていただきたいと考えております。
三浦清勝
64
○
三浦参考人
私も、
先生
の御指摘どおり私
ども
に死を宣告するような
提案
をする以前の最高当事者の
努力
が足りなかったと
思い
ます。
塚田庄平
65
○塚田
委員
そこで
大澤参考人
、先ほどるる説明がありました中で、特に
労務債
の問題についてどう思うかと言ったら、ただ
一言
これは
不満
だ、端的に言うと答弁はこれだけですね。こういうことでは、これから両者がテーブルに着いていろいろと腹を打ち割って話し合うという空気を壊してしまうのじゃないですか、そういう考え方で臨んでいったんじゃ。私は率直に言って、大臣の言うとおりある
程度
の前進といいますか、少なくとも山本邦介君あたりから書面をもらったというのですから、ああいう通り一遍のものではなくて、
努力
を重ねるということが出てきておると思うのです。現にきのう団体交渉といいますか、たしか
会社
側と炭労を中心にしてやったはずです。これは
三井観光
ではありません。
北炭
本社もそれ自体が
努力
すると言っておるのですよ。それに、いま
三井観光
の問題が出てきた。いろいろと各
方面
全部
努力
をし合った上で、結局これだけだ。 そこで大臣、通産大臣はもちろんですが、大蔵大臣あるいは運輸省あるいは労働省、それぞれ
協力
し合って実質的に山を残すという
方法
を模索するのが
管財人
の責任じゃないですか。私はそう思うのですよ。したがって、先ほどの話のように、おれは
不満
だと言うことだけで事を終わらないように、ひとつ同じテーブルに着いて、この文句に出ておるとおり、山の灯を消さないとか、文句はいいですよ、いいけれ
ども
、その前後は全く山の灯を消すスケジュールをつくられておるということしか考えられないような文句じゃないですか。こういうことのないように、ひとつ今後、両者テーブルに着いてじっくりと話し合う、時間的な制限はありますけれ
ども
、このことをみんなに表明してもらいたいと思うのです。
大澤誠一
66
○
大澤参考人
この
労務債
問題について基本的に考えるのはだれであるか。これは
政府
の問題でもない、金融筋の問題でもない。
北炭グループ
挙げていかにするか、歴代の幹部が労働
組合
の
組合
長と調印をしながら、必ず払うということをやってきておる。しかも、長年にわたって積み重ねてやってきておることです。これは通常の
会社
の
経営
からしても考えられる筋合いのものではないと私は
思い
ます。また、やらないと
思い
ます。 ですから、この
労務債
問題というものは、いま前進という言葉がございましたが、私は
管財人
になって百何十日になりますが、いまだかつて一度も前進した話はございません。また、二十一日の
提案
をする前に、せめて
社内預金
だけでも準備しなければいけない、
提案
はできない、では二分の一でもいいから準備をしてくれないか、これに対してもすべてゼロである。こういうことについて、やはりもう少し
北炭グループ
がみずから反省して出ていただかなければ、私は
自分
からどうしよう、こういう気持ちは持っておりません。
萩原吉太郎
67
○
萩原参考人
ただいま
大澤管財人
のお話を拝聴いたしておりまして、
大澤管財人
のおっしゃることの要旨は、端的に言えば、この責任はどこから起こっているか、確かに
労務債
が滞ったということは
北炭
に責任がある、だからそれはおまえさんの方のやることで、私のあずかり知らぬことだ、こういうふうに解釈されるのでございます。そして、いろいろなことを言ったが、常にゼロ回答だ。私はゼロ回答した覚えはありません。会っていない。そういうふうな意味で、まあ非常に率直に申し上げれば、何がゆえに
大澤
さんはそういうふうに頭から感情的にやっておられるのか、私は非常に心外でございます。しかし、なればこそ、過去のことはもう言わないで、ひとつここで労務者のことを考えて、労務者に対する
思い
やりの点において、私たち
北炭
並びにグループに対する御非難は甘んじて受けます。非難し、誹謗するだけで問題が解決するならば、それは私はいかように言われても何にも申しません。それでは問題は解決しないのでございます。それゆえに、これからはひとつ相談に乗っていってくれぬか、こう申したのでございますが、する意思はないと言われては、恐らく今度の
退職金
問題も一歩も前進しないと
思い
ます。これは先般、通産大臣のところへ行って、そういう空気をまずつくることが先で、そうでなければこの問題は解決しない、非難されるのはいいけれ
ども
、座り込みをするのもいいけれ
ども
、われわれとしてはそれだけではいけない、そもそも言えば
事故
を起こしたのが悪いのだから知らぬよ、こういうふうな
経営
だからいかぬよ、責めるなら責める、しかし、責めるだけでなく、救うべきは救っていただきたい、こう考えておるのでございます。この点については、ここで
大澤管財人
からもう相手にせぬというような御発言があったのは、まことに遺憾であると同時に、国会の場においてそういう発言をされて、これが天下に表明される、まことに私としてはお恥ずかしく思っております。ぜひそういうことのないようにしていただきたい。
安倍晋太郎
68
○安倍国務大臣 いま
大澤管財人
、
萩原参考人
からいろいろとお話が出たわけでございますが、
大澤管財人
がこの
結論
を出すに当たりまして、
北炭グループ
の組織を通じて、事実上の
北炭グループ
の責任者と粕谷さん等を通じましていろいろと話をされ、接触をされた。
北炭グループ
を法律的に代表しているわけですから、これはそういう
努力
をされてきたことは当然のことであろうと
思い
ますし、それは萩原さんもそのとおりだというふうに言っておられるわけでありますが、しかし、この段階になって、確かに
大澤管財人
が
労務債
についての
北炭グループ
の回答について
不満
である、こう言うことは、
大澤管財人
としてこれまで
努力
をされた結果から見てそれなりの御感想であろうと思うわけでございます。しかし、この回答も、私は文章を見せていただきましたが、確かに萩原さんのおっしゃるように余韻のある回答でありまして、私はその中では、
大澤管財人
としては
不満
であっても、しかし何らかやはり打開の道が講ぜられるような判断も文章の面からもできるので、
政府
としてもこの間にあってできるだけの
努力
をしなければならぬ、こういうことで萩原さんにも来ていただきまして、私から、先ほどからしばしば申し上げるように、率直に
北炭グループ
として責任を感じてこの
労務債
の処理に対してひとつ力を尽くしてほしいということを強く要請をし、萩原さんもそれに対しては責任を感じて、そしてできるだけのことをしますということをお述べになったわけでございますので、両者の間にはそれぞれの考え方といいますか感触の差というのはあります、それが行き違いになっておりますが、私自身としてはこれは一つの前進である、こういうふうに判断をしておるわけでありますし、私は、この問題を何としても解決をして、そうして将来への山を残すというこのわれわれの理想のために前進をしなければならぬと思っております。したがって、先ほ
ども
しばしば出ておりますように、いままでのことをいろいろ言ってもこれはどうもなるわけではございません。とにかくわれわれの前に横たわっておる問題を解決していくにはやはり
大澤管財人
、それから
北炭グループ
の間で話し合いというものが行われなければならぬ。しかし、
大澤管財人
とすれば、
自分
としての責任はもう果たしてきておるのだ、
北炭グループ
が
債務
処理、
労務債
の処理をするのは当然のことである、こういうお考えでありましょうけれ
ども
、しかし、具体的にこれをどういう形で処理をするか、具体的にどうするかということになると、やはり話し合っていただかなければ方向が出ないのじゃないかと思うわけです。しかし、私は
大澤管財人
一人の責任にこれをゆだねるべきじゃないと思っております。
政府
としてもその間にあって
努力
をしなければならぬと
思い
ます。したがって、
政府
自体がもちろん正面に立ってやる問題ではありませんけれ
ども
、私も
政府
の責任者の一人として、いまここでいろいろと、これからの問題がむしろ困難になるようなそういう状況が出てくれば大変なことですから、間に入りまして、いま塚田さんのおっしゃいますように両者がテーブルに着いてそして前向きの話し合いができるような、そういう方向へ
努力
をしていきたい。ですから、この辺のところはいろいろの御
意見
はありますけれ
ども
、ともかくこれを前へ進めていかなければならぬわけですから、いたずらにここで分裂していけば問題が解決できないわけですから、ひとつ御
理解
をしていただきまして、そういう面から
支援
をしていただきたい、こういうふうに
思い
ます。
塚田庄平
69
○塚田
委員
これ以上はもう私は質問をいたしません。それで、大臣から答弁があったように、とにかくこの問題については従来のいろいろなことはもう問わないことにして、本当にテーブルに着いて前進的に解決のできるように希望を申し上げまして、この件についてはこれで終わりたいと
思い
ます。 そこで、今度の裁判所に対する
管財人
の申し入れば、ここに出ておりますとおり、
提案
としては露頭を除いては
全員解雇
と非常に厳しい。露頭というのは、恐らく
管財人
も御承知だろうと
思い
ますが、これは実は
北炭
がやっているとは言いますけれ
ども
、実際やっているのは全部請負なんですね。だから
夕張
市長なんかは、ああいう山はおれでもやるんだというようなことを言う、これは放言に近い言葉なんですが。したがって、いわば営業休止と言っておりますけれ
ども
、この営業休止をうたっておる百八十四条の「不適当とする特別の事情」というのをどう受け取って申請されたのか、
参考人
の
意見
をちょっと聞きたいと
思い
ます。
大澤誠一
70
○
大澤参考人
会社
更生法
という
立場
から考えるならば、やはりこのやり方は正論でないと私は
思い
ます。
会社
更生法
の手順に沿うて債権の整理をし、そしてまた今後の
会社
の
更生
の道をたどる、収支あるいは経理決算、将来の営業の見通しを立てた
会社
をつくっていくというのが一つの道であろうかと
思い
ます。 しかしながら、現実の
夕張
新鉱の
現状
は、先ほどからもるる申し上げますように月々七億くらいの
赤字
が出ていく、しかも
資金
ショートをする。これでは
事業
の
経営
というものは成り立たない。これについて、
閉山
をしなければならぬ、しかし一方では新しい将来の
炭鉱
の火を残したい、そのためにはやはり露頭を残してでもつなげていきたい、種火として残していきたい、こういう感じでございます。もちろん、
更生会社
の手順を踏むということ、こういうやり方によると、
担保
権者の、いわゆる債権者の一〇〇%の同意を得ないで一人の
管財人
でこの処置がとれる。 くどくど申しましたが、要するに山が整々と何とか曲がりなりにもいけるというならば別ですが、これはもう一、二カ月後に
資金
ショートを来す、一方ではこれの受け皿といいますか、新
会社
というものの設立もまだ海のものとも山のものともついてない。こういう二兎を追うた
更生計画
というものは間に合わない。それで一部
事業
の休止といいますか、閉鎖を考えたわけでございます。
塚田庄平
71
○塚田
委員
これはいみじくも
大澤管財人
が言われるとおり、この場合、百八十四条適用の営業休止というのは実態に沿わないわけですね。一番沿うのは、恐らく
大澤
さんの腹の中にあったのは清算を
内容
とする
計画
案ではなかったのか。ということは、この裁判所に出した
計画
案を見ると、もうすでにそうなんですね、
提案
内容
も全員首切るのですから。そうなりますと、言われるとおり、これは法二百五条によって
組合員
全員のよろしいという承諾が必要です。特に実質的に考えて、いま休止して一部残すじゃないかと言っても、それはさっき言ったとおり組夫が働いている山なんです。
北炭
の
従業員
というのは全部首切られるのです。そうなりますと、これは実質的に法第二百五条が適用されてしかるべきだ、つまり労働
組合
の承諾なくしてはそのようなことはできない、こう私は断言したいのですが、この点について
管財人
はどう考えていますか。
大澤誠一
72
○
大澤参考人
更生計画
というものができるまで、いまの新鉱の山がまだ当分もてる、
資金
的にも余裕があるというならば、私はやはり一般債権、
更生
債権の整理をしつつ将来に向かう
計画
を立てたい、かように考えます。しかしながら、二千人のこの大部隊のところが来月でもう金がない、じゃあ倒産か、こういうことになります。すると、やはり将来の新しい再
開発
というものに支障をば来す。いわゆる立て坑なり材料斜坑、選炭機というものを、いまであれば
管財人
の管理下に置くことができますが、そういう意味の将来のことを考えての処置でもございます。
塚田庄平
73
○塚田
委員
この件については、これからなお法律的な問題として、これは通産省ともいろいろと議論をし合わなければならぬ問題だと
思い
ますので、きょうは時間がないので
管財人
に対してはこれ以上の質問はしません。 さて
最後
に、あの山には二十三社に及ぶ
下請
業者
がおります。
人員
は約七百名、これは
孫請
も入れて七百名です。それで
北炭
に対して約八億の債権を逆に持っております。
北炭
からもらう金です。しかし、これは一般債権であるために、ほかの債権と同様に取り扱われます。しかし何といっても、この二十三社の
下請
というのは非常に体質が脆弱だ、しかもここで働いている
人たち
は、いわばその日暮らしと言っていいのじゃないかと思うのです。したがって、これについては先ほどから特別な措置をしたいというようないろいろな答弁がありましたけれ
ども
、その中でもこの二十三社については特別の特別の特別の措置を考えてやらなければ、これは大変な事態になる、人道的な問題になるのじゃないか、こう
思い
ますが、通産大臣はどう考えますか。
弓削田英一
74
○弓削田説明員
先生
ただいま御指摘のございましたように、
夕張社
の
下請
企業が非常に苦境にあるということは私
ども
実は承知しているわけでございます。現在、
夕張社
は
更生法
の定めるところに従って
再建
の方途を探っている、こういう段階でございまして、
下請
代金につきましても、他の債権と同様に今後裁判所の管理のもとで適切な処理の
計画
がなされるものと期待はしているわけでございますが、私
ども
、実は昨年十二月でございますが、
夕張社
が
更生法
に基づきまして
更生
手続の開始の申し立てをしまして以来、
下請
関係
につきましては金融措置あるいは相談
指導
等の連鎖防止対策と同時に、
下請
企業に対します
仕事
のあっせん、こういうこともやってまいったわけでございます。今後とも地方公共団体と緊密な連絡のもとにこれらの制度を引き続き活用して適切な対策を講じてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
塚田庄平
75
○塚田
委員
時間もありません、これで終わりたいと
思い
ますが、冒頭申し上げましたとおり、時間に追われてあるいは失礼な言葉があったかもしれません。この点はおわびを申し上げ、
最後
に、何としても前進的に解決するように私の希望したあの線でひとつ話し合いを進めてもらうことを要請いたしまして、質問を終わりたいと
思い
ます。
枝村要作
76
○
枝村委員長
田中昭二君。
田中昭二
77
○田中(昭)
委員
この
北炭夕張
の問題で、それぞれきょう御
出席
の
皆さん
がいろいろ御苦労なさっておりますことには敬意を表します。最初に
お願い
しておきますが、時間が制約されておりますから
予定
の質問を順序を変えまして、いままで三人の
委員
からいろいろ
意見
を聞かれました。それに対する
参考人
の率直な御
意見
なりお考えを聞いて、私もその点に触れながら、その点を中心にしながらまずお聞きをしたいと
思い
ます。 それで、三人のそれぞれ専門的な
立場
からの話の中で私も同様な感じがしたのは、あの爆発
事故
が昨年あって以来、大変な問題として私たちも現地
調査
にも参りましたし、いろいろな手を尽くしたつもりでおりますが、その後、
会社
更生法
の手続がとられる経過、そしてその後の
大澤管財人
のいろいろ
努力
されたこと、その中で、この前の
理事
懇談会の中でも想像以上に
債務
を抱えておることが明らかになったというように私は感じております。 そこで、その問題に対して、あの爆発
事故
以後現在までいろいろ報道されるところによりますと、やはり一番問題になったのは
北炭
の責任問題といいますか、そういう問題が余りにも進展しないというふうに承知をしております。それがきょうここで、この場で幾らか前進といいますか、解決の灯が見出されたというふうにも
思い
ますが、そういうことをいままでの報道等から考えまして、まず
政府
を除いて三人の
参考人
の方に、
大澤参考人
には率直に、この問題解決の
労務債
については現実の
北炭
の対応が
拒否回答
であったということでございますが、これは何か最初からいままでの経過が、事実上の
閉山
という方向に持ってくる手続の上で、いままで
管財人
としてのお
仕事
をなされたような感じを受けてなりません。これが一つ。 それから萩原さんには、確かにエネルギーの上からもこの
炭鉱
が大事であるというお考えはあるようでございますが、いままでの経過から見てみますと、どうしても、言葉の上では大変労使が一体になってやっていることについては評価するけれ
ども
、この石炭の
採掘
の
事業
については、何か知らぬ私企業としての限界といいますか、そういうものを含めて最終的には国が
救済
すべきであるというようなお考えがあるように私は受け取れます。 また
組合
の方は
組合
の方で、いままでの
事故
を起こしたことに対してのことも聞いておりますから、ひとつ簡単で結構でございますから率直に御
意見
をお聞かせ願いたい、こう
思い
ます。
大澤誠一
78
○
大澤参考人
八月二十一日の
提案
が、いわゆる
労務債
についての
北炭
支援
はゼロであった、だから
提案
したんだ、こういうことのみではございません。それももちろん大きな要素でございますが、先ほどから申しますように、現地に行きまして四月以降今日まで、今後のいわゆる商品となる、お金になる出炭量がどの
程度
であるかということを計算いたしますと、九月末には大体四億余りの
資金
しか残らない。そうすると、それから逆算をしていくと
閉山
の時期がいつであるか、こういうことが数字的に出てまいるわけでございます。それで毎日毎日、金利だあるいはまた不動産税だ、労災というものも払わないで借金をふやしておるのでございますけれ
ども
、さらにこれ以上の借金はふやしたくない、これはまた悪い言葉で言うと野たれ死にのようなことにもなる、やはり
閉山
をするときには整々としなければならぬ、こういうふうに考えてのいろいろの要素がございましてのことでございます。そのことだけではございません。
萩原吉太郎
79
○
萩原参考人
ただいま御質問にありました、私がいろいろなことを国に持ってきよるというのは思想がどうなんだ、そうなのじゃないか。その御質問の一つは、今度の
会社
更生法
以後においての問題としてそういうふうに御指摘受けますのは、粕谷
管財人
代理から出した、国の買い上げではないのですけれ
ども
、肩がわりで、しばらく次の新
会社
にするまでそれをと言ったのが国の方で引き下がった、こういうふうなことだと思うのであります。あの案をやるまでに
北炭
では三つの案を
検討
してまいった。そうして忌憚なく白紙で討議しようということでやったのでございます。実は、われわれとしていろいろ
検討
した
対象
は、労務費という問題じゃありませんで、全
債務
をどうするか。これは実は現在の
北炭
では解決し得ないことではありますけれ
ども
、なぜそういうふうにああいう案に持っていったかと言いますと、最初から雇用問題と
債務
の問題は
北炭
の考えることである、これは言い渡されておるのでございます。そうなるとわれわれとしては、それを受け取ってまいりますと、どうしても全
債務
のことを考えなくちゃならぬ。どうやっても手がない。それは膨大な額で手がない。そこで苦しんで、しかし山は残したい。この二つの間に挟まって考え出したのがその案で、それが国にすべてをかぶせるととられたんだと
思い
ます。あれは決して国が買い上げてくださいということは言っていないのでございます。そうでなくして、この山を将来開くというなれば、新しくできる
会社
、これは設備その他を全部ただもらって新
会社
であるということはあり得ないことであります。当然もしやろうという仮に受け皿があれば、その
会社
はこれの施設に対する金は払うのじゃないか。 その前に、この案は私も非常に一つの矛盾を感じているのでございます。
政府
の
資金
によってつくったもの、それをさらに
政府
で新
会社
に譲るのを肩がわりしていってくれ、これで非常に苦慮したのでございます。あの案をよくごらんいただければわかりますが、
政府
も一般民間の
金融機関
も同率で
債務
をカットしていただいて、あれは三%ですか、
政府
にもお払いしよう。しかしそれをやるには金がない。
労務債
も、あのときには六〇%は払う、租税公課、まあさっきの社内掛けは一〇〇%払う、払っていくとこれだけかかる。さて、これが本当なれば一般の民間の
資金
その他
労務債
をきれいにしてからの話なら筋が通るのでございますが、金がないために、結果においては同じであるというところから、ともかくまずこの処理をさせてくれ、そしていただいた中からこういう率でお払いさせてくれ、そういうふうなものだったのでございます。そして、あそこの山は必ずよくなっていくという前提で、もし受けてくださるところがあるなれば、これは五年でも据え置いて十年くらいの間にお払い願いたい。われわれの計算では、もし二
切り羽
できるなれば年間四十三億の純益で、これからの維持費その他いろいろなものを差し引いても二十億から二十五億の利益があるのではないか、それで
政府
に返してもらえないか。結局虫がいいと言えば虫がいい案です。しかし、これをしなければ解決しない、一般の
債務
を処理できないというところから、虫がいい、無理を承知で、おまえの方で考える問題であるというのであれを出したわけです。しかし、これは非常にけしからぬということで、それ以来すぐ引っ込めて何も言っておりません。そういうことから、あるいは国にすべてをかぶせようとしたというふうにとられますけれ
ども
、あの案が出た経過というものはそういうところから生まれたのでございまして、あれについては非常に御批判をいただきましたけれ
ども
、余り混乱させないで、理屈を抜きにして考えれば、あの案なればすべてが解決したのではないか、こう考えて出したわけでございまして、決して国にこれを持っていってかぶせてしまおうという意思からではございません。
三浦清勝
80
○
三浦参考人
先生
の御質問は、
災害
鉱労働
組合
の
立場
で山を残すのにどういう具体的な
努力
をしてきたか、こういう趣旨だと存じますので、そういう意味でお答えを申し上げたいと存じます。 冒頭
陳述
でも申し上げましたように、私
ども
山を残すという一点にしぼってあらゆる
努力
をしてまいったつもりでおります。その一つは、私
ども
先月、炭労全体で期末交渉を行いましたけれ
ども
、結果的に
期末手当
の支給はなくて、越盆手当という状況の中ですべての
従業員
が十一万という金額で妥結をいたしました。さらにまた生産問題についても、
切り羽
の状況がいろいろ推移をいたしましたけれ
ども
、
管財人
の手で策定されました出炭再開以降の出炭
計画
に比較しまして、本来この
計画
からいきますと早ければ六月末、遅くとも七月いっぱいで
管財人
の手には
資金
がなくなるという状況にありましたが、私
ども
新鉱の全
従業員
の
努力
によりまして、この
計画
を上回る出炭をしてまいりました。このような
努力
を続けながら、炭労全体として、労働
組合
サイドから、こういう構想で
夕張
新
炭鉱
の
再建
はでき得るという、学者
先生
の御
意見
も聞きながら
再建
構想を決定しまして、その構想を基本にしながら
管財人
あるいは
関係
方面
ともいろいろ交渉を持ってきたところでございます。 その山の
再建
構想の具体的な
内容
については、時間がございませんので省略をさせていただきたいと
思い
ます。 以上です。
田中昭二
81
○田中(昭)
委員
萩原さんにお尋ねしますが、先ほど岡田
委員
の質問にお答えになった中で、労務費についてはもちろん
自分
としても
全力
で対応するというようなお話があって、
社内預金
の八億円くらいですか、それから旧
退職金
等については何とかやりたいというふうに私は受け取ったわけです。
退職金
そのものだけでも百二、三十億、新規のものを入れれば二百億近くになるかと思われますが、その中で具体的にどのくらいのめどをいまお持ちでございますか。 時間がございませんから、会長、先ほど私が申し上げたことと関連して申し上げておきますが、この
夕張
新鉱は、四十八年以降、
補助金
、交付金等で百十九億
政府
のお金をいただいておるのです。国の
金融機関
からは二百億を超す融資を受けておるのです。また地方自治体、そういうものを全部間接的なものも入れれば数百億の
援助
等を受けておるのです。それを食い逃げするのかという批判もございますから、どういうことがあっても先ほど会長がおっしゃった労務費については社会的にも払うべきである。ところが金がない。金がないということであれば一切の山を残すという問題も問題になりますし、どうか端的に二百億近い労務費についてどのくらいのめどをお持ちになっておるか、お答えできればお答え願いたいと
思い
ます。
萩原吉太郎
82
○
萩原参考人
先ほど申し上げたことをお取り違えになったように考えております。それは私の言葉足らずでございましょうけれ
ども
、私の申していますのは、
労務債
というものはグループでやっていかなければならないけれ
ども
、それを一〇〇%払うということは不可能である。それで私が先ほど申しましたのは、
政府
で立てかえて、ひとまず新
会社
をつくるまで払ってくれないかという案のとき、どう払おうかという案に基づいて申し上げたのでして、さてその中で新債の方は制度
資金
でやっていただきたい。そういうふうになると、残るのは旧債とそれから
社内預金
の八億。われわれのいま考えているのは、いまでもまだ
調達
ができないで交渉中でございますから、とても
労務債
も一〇〇%はできないから、カットしたとしてわれわれとしては幾らくらいできるかということを工作しているので、この百四十九億円のどれだけ払うのだと申されましても、百四十九億を三井グループが責任を負って払うということはとうてい申し上げられないのでございます。ただ、われわれは力の及ぶ限り
努力
していこう。御質問がいろいろありましたので、少なくともこの辺のところの目標はそこに向かって
努力
したい、こういうことでございまして、百四十九億円をグループで見るというようなことを申し上げたつもりはなかったのでございます。 それでないと、今度はそういうことで百四十九億円できなかったときは大変でございます。ただ、われわれの方としては、何もしない、グループはゼロだ、ひどいじゃないかと世間の御批判を受けている。私は、いまだかつてゼロ回答とか
支援
しないということは一回も言ったことございません。それは現に座り込み三回に及ぶ中でも、あんたたち一〇〇%というわけにはいかぬぞ、しかしわれわれとしてもこれについては
努力
しますよということは、
内容
には触れませんが、それだけを答えてまいった。むしろこれから幾らわれわれができるかというところで
努力
している最中でございまして、幾らをいたしますということはまだ申し上げかねるような次第でございます。その辺のところは、これだけ出すとおまえ言ったじゃないかというようにやられますと後で困りますので、一応補足説明申し上げさせていただきます。
田中昭二
83
○田中(昭)
委員
私も、幾らとここで言わなくてもいいのですけれ
ども
、どのくらいのめどをもって払うぐらいは言っていただかないと、いままでの経過と同じじゃないですか。ゼロ回答じゃない、
努力
はする、だけれ
ども
実際はできない、こういう結果になるのです。それじゃあなた、
大澤管財人
なり
政府
なり、いままで対応してきたこととは、社会的批判は残りますよ。国会の場でも、この場だけで言っておけば済むというようなことでは、私は批判はやはり
萩原会長
に来るということを率直に指摘しておきます。 そこで、時間がございませんから、
政府
に
最後
にお尋ねしておきます。このように事実上の
閉山
を余儀なくされておる、報道によりますと
夕張
市の八割の
人たち
がこの影響を受ける、こういうふうに聞いておりますが、こういう地域経済の崩壊にもつながるようなことに対して、
政府
としてどのような対応と具体的処理を考えておるのか。確かに言葉の上では説明を読んでおりますけれ
ども
、もう少し具体的に
お願い
をしたいと
思い
ます。 さらに、この解雇されるであろう二千人の
従業員
の方の就職のあっせん、これについても具体的にお聞かせ願いたいと
思い
ます。
弓削田英一
84
○弓削田説明員 ただいま
先生
御指摘ございましたように、
管財人
の
提案
が実施をされ、事実上の
閉山
、こういうことに相なりますと、
地元
の地域経済に深刻な影響が出てまいるわけでございまして、何とかこれを緩和する必要があるわけでございます。 このため、通産省におきましては、
大澤管財人
の
提案
がございました次の週、二十四日でございますが、東京と札幌におきまして
関係
各省庁の連絡
会議
を開催をいたしまして、
関係
各省庁にこれまでの経過を説明すると同時に、今後の対応策の
検討
を実は依頼したところでございます。今後、この連絡会の場におきまして、
地元
の要望を聞きながら、
関係
各省庁、地方自治体とも
協力
をいたしまして、公共
事業
の推進でございますとか、企業誘致対策、それから先ほ
ども
お答えをいたしましたが、中小商工
業者
に対する対策でございますとか、地方公共団体に対します財政
支援
等、事態の推移に即応して各種の制度を十分活用しながら地域対策を推進していく、こういう考えでございます。
安倍晋太郎
85
○安倍国務大臣 いま石炭
部長
から答弁いたしましたように、地域に与える影響はきわめて甚大であります。そのために、
政府
としても、これを防ぐために最大の
努力
をしなければならぬ。まず幌内、真谷地といった関連企業に対して、これが波及をしないようにすでにいろいろ
努力
をいたしておるわけでございますが、
協力
を求めていかなければならぬと
思い
ます。 同時にまた、地域も非常な経済的なダメージを受けますので、これに対して、いま石炭
部長
が申し上げましたような財政的な
支援
であるとか、あるいは公共
事業
の特別な枠の確保であるとか、そういうことを積極的にやっていかなければなりません。 同時にまた、
閉山
によって起こるところの膨大な失業、これにどういうふうに対処していくか。もちろん、
北炭グループ
がまず第一にできるだけこれを引き受けてくれるということが大事なことでありますが、しかし
政府
としても、これが対策については労働省等とも緊密な連絡をとって、できるだけそうした失業が広範に出ないように
努力
をしていかなければならぬと
思い
ます。 いずれにしてもむずかしい問題であります。そして、これは通産省だけでなくて、
関係
省庁の
協力
もなければできないわけでありますから、私としても
関係
省庁に強く
協力
を求めるとともに、
関係
の機関にも
協力
を要請しながら、一体となってこの問題に対応してまいりたい、こういうふうに考えております。
田中昭二
86
○田中(昭)
委員
もう時間が来ましたのですが、
最後
に、先ほど大臣、石炭の二千万トン
体制
ですね、このことでちょっと触れられましたが、私もこの点やはり心配するのですよ。国内炭を千八百万トンぐらいしか掘れないというような状況の中でこのたびのような問題が起こりますと、恐らくどれだけになるかわかりませんが、百万トンぐらいの減少になるだろう。そうしますと、千七百万トンということになりますと、いまの第七次の国内炭の二千万トン
体制
というのはその柱がやはり大きく崩れるのではなかろうか。あくまでも
努力
目標だから見直しはしないというふうに先ほどお聞きしましたが、現実にこのように三百万トン近くも落差があるということ、また、そのかわり何か増産でもできるという見通しがあればいいのですけれ
ども
、そういう見通しもないままに
努力
目標とだけしておくということはいかがなものだろうか、いわゆる有名無実となってデメリットばかりふえるのではなかろうか、そういう心配をするわけです。そこで、いろいろな指摘等、言われておりますことも、生産目標を高い水準にしておくこと自体が問題がある、こういう業界の指摘もあり、こういうことをそのままにしておくとまた
事故
再発にもつながっていくのではなかろうかという心配もございます。そのほかの多くの問題もございますが、長期エネルギーの需給見通しという現実的な対応から見ればひとつ見直すべきではないか、このように
思い
ます。 そのことについての大臣の御所信と、それから
大澤管財人
等が
努力
されたにもかかわらずこの山が事実上の
閉山
に至る、先ほどの
萩原会長
のこの山に対する考え方等も聞きましても、
政府
のとってきた施策に大変安易さがあった、いわゆる石炭を掘らなければならないから国が何とかするだろうというようなことの積み重ねがこういう結果を招いたのである、そういう意味において
政府
の責任は重大であろう、私はこう
思い
ますが、そのことについても、ございましたら御所見を伺いたいと
思い
ます。
安倍晋太郎
87
○安倍国務大臣 二千万トン
体制
を堅持していくという点ですが、これは審議会の答申もあります。われわれとしては、
北炭
の
事故
というこうした不幸な事態が起こりましたけれ
ども
、石炭というのはわが国のエネルギーの中で唯一の国内資源であると言っても過言でないわけでございますし、埋蔵量等についてもまだまだ
可能性
はあるわけでございますので、この答申の基本線は進めてまいりたい。いまの石炭政策、
石炭産業
に対する助成対策、こういうものも、いまの基本
方針
のもとにこれは進めておるわけでございますし、これをいま変えていこうという考えはありません。将来に向かっていろいろと困難はあると
思い
ますが、この
体制
を維持するために力を尽くしてまいりたい、こういうふうに存ずるわけであります。 同時にまた、この
北炭
の問題につきましては、
政府
としてもこれまでも、先ほどからお話がありましたように制度の中で許された限りの助成策を講じてきたわけでございますし、今後の処理についても
政府
としてもできるだけの対策を進めてまいりたいと思うわけでございます。しかし、基本はあくまでも企業でやっていただいておるわけですから、
政府
みずからが運営をして国営でやっておるわけではないのですから、やはり最終的な責任というのは企業側、それに対して
政府
が石炭政策を推進するというたてまえからできるだけの
協力
をしていく、助成をしていく、こういうことが基本になっておるわけでございますので、そういう点はひとつ御
理解
をしていただきたいと思うわけでございます。
政府
としても、今後制度の中でのあらゆる
努力
はひとつ重ねていく考えであります。
枝村要作
88
○
枝村委員長
小渕正義君。
小渕正義
89
○小渕(正)
委員
参考人
の方、大変むずかしい問題に直面されておる当事者で、大変御苦労さまでございますが、特に
大澤管財人
の場合には、
管財人
を選任するに当たって、ほとんど引受手がなかった、そういう中で業界の大変な
努力
の中でやっと大洋さんがこのむずかしいお
仕事
をお引き受けされたわけでありますので、そういう意味で今日までの御労苦に対しまして心から敬意を表するものであります。 先ほどからお話をお伺いしておりまして、端的に言いまして、現在の
北炭
新
夕張
鉱では月々約十四億のお金を必要とする、しかしながら実際にお金として入ってくる、要するに生産といいますか、そういった意味で入るお金は七、八億しかない、毎月七億なり六億の
赤字
がずっと出ておるのだ、こういう状況の中で、少なくとも現在の二千人の
人員
規模
からいくならば当然四千トン出炭できなければいかぬと思われるのが二千トンしか出てこないのだ、そういう点でそういうものを
適正規模
にしていくためには九百人ぐらいの余剰
人員
があるので、これをもし
適正規模
にするためにはまた三十億円の
資金
を必要とするのだ、大要こういうようなお話だったと
思い
ます。 そういう点で少し突っ込んでお尋ねいたしますが、昨年の十月の
事故発生
以来こういうような
状態
になっておるのかどうか、そこらあたりの状況について少し御説明いただければ、かように
思い
ます。
大澤誠一
90
○
大澤参考人
事故
が起きてから操業停止になっておりましたが、一月の半ばごろに操業が始まって、一
切り羽
なり二
切り羽
の操業が始まった、かように承知しております。 私が四月に参りましてからの状況は二
切り羽
でございまして、そして先ほど
三浦
委員長
からも言われておりますように、若干無理をした
採炭
方式をとって二
切り羽
の維持をやり、そして収入をふやすことを考えてまいりました。それで四、五、六月は大体二
切り羽
、七月の半ばから一
切り羽
になりまして、現在一
切り羽
。そしていま
先生
の言われましたように、月の収入が八億足らずで支出が十四億余り、こういったような状況が続いております。 今月も来月も操業を続ける限り、こういった状況が——その
残炭掘り
でいわゆる十尺層の
開発
にたどり着くまでは二年ぐらい
採炭
できますが、
現状
のままでいけば毎月七億ぐらいずつ
赤字
が出る、こういう状況でございます。
小渕正義
91
○小渕(正)
委員
私企業の
経営
形態をとる以上、いまのようなそういう状況の中では、これは倒産するのはあたりまえだと言わざるを得ないわけです。 それで、前々からいろいろお話を伺っておるわけでありますが、今回
大澤管財人
が決断された一つの大きなきっかけは、過去の
労務債
百二十三億に対する
北炭グループ
としての
支援
というものが全然望みがない、そういうことから、何をやるにいたしましても、まずこの
労務債
の処理が一番大きな問題だということで、今回二十一日
提案
されたその一つのきっかけとなったのはそういった
内容
じゃなかったかと思うわけであります。
北炭
関係
ではいろいろたくさんの
債務
を抱えておるわけでありますが、そういうものをいかに身軽にしながら新しい
会社
なりでスタートしていくか。いろいろ御
検討
されたと
思い
ますが、ここで仮定の話で非常に恐縮でございますが、先ほどから
萩原会長
が盛んに前向きな発言をされておりまして、
労務債
については全部ではないけれ
ども
めんどうを見ていく決意を披瀝されておるわけであります。 それからあと一つ、先ほどお話のありました、
現状
の
採炭
状況の中における
適正規模
人員
でとりあえず操業を続けるとした場合に急遽必要な
資金
が約三十億、こういった何らかの手当てがほかのところでもしもつくと仮定するならば、今回のようなそういう
提案
はまた考え直してもいいのじゃないか。これは私なりの素人判断になりますが、そういう点についての
大澤管財人
としての御見解があれば承りたいと
思い
ます。
大澤誠一
92
○
大澤参考人
労務債
が完済されてさらに
開発
をする、こういうことになりますと、先ほど冒頭に私が申し上げましたように、一つのやり方としますと、先ほどいわゆる
西部
の
残炭
を一
切り羽
やっていく、また
平安
八尺層も一
切り羽
、残、それから将来十尺層の
切り羽
を六十二年ぐらいに一
切り羽
、六十三年に二
切り羽
、そういうつなぎ方をしていくと、まず
開発
の六十三年度の完成の時期ですが六十六億、それから完成までの
赤字資金
が百二十四億、それからスタートの際
適正人員
にするために三十億の退職
資金
、それから過去の
労務債
百十五億、それから五十七年度、いま操業をやっている労災とか健康保険
組合
の未払いの分、鉱産税十二億、これだけは払いたい。三百四十七億。しかしながら、これはいま一度に言っても無理であろう。当面五十八年度までのつなぎの金を用意しなければならぬ。そうすると
人員
の整理、過去の
労務債
のうちの、過去にやめられた
人たち
の
退職金
の額四十億余り、それから上期の十二億の
不足資金
、それから五十七年の下期、五十八年の
不足資金
、いわゆる
赤字資金
というのが三十億くらい。ですから、やはり百億余りの金が、いわゆる
労務債
を完済されて自力でまた前進をしていく、継続するということになると、そういう金が要るということを申し上げます。
小渕正義
93
○小渕(正)
委員
先ほどからそのお話をお聞きしておるわけでありますが、そういう意味では、最小限いま言われましたそういう前提の上に立ってなお百億ほどこれからの
資金
需要が出てくるが、それの見通しを実際に立て得られない、そういうことから今回のこういう
提案
になった、こういうふうにも
理解
せざるを得ないわけでありますが、そういう意味でよろしゅうございますか。
大澤誠一
94
○
大澤参考人
ですから、毎月の
資金
ショートという問題、九月の末に四億の金しかなくなる、こういったこともございますが、
更生会社
を申請した以上は、やはり初心に返って
更生会社
としてやるべきことはやらなければいかぬでしょう。そういうことで、いま申しましたような一つのいわゆる
採掘
の
計画
を立てたわけですが、これにはやはりこれだけの、当面五十七年、五十八年にしても百億を超す金が要る。これも
調達
できない。じゃあ初心に返れと言っても初心に返れない。しかならば、もう
労務債
の一本にしぼってどう対処するか、こういうことに決心したわけでございます。
小渕正義
95
○小渕(正)
委員
それでは次に、この
労務債
の問題でちょっとお尋ねいたしますが、私がいただいている資料の中では、百二十三億と言われている中に、現在在籍者の方と、やめられている
退職者
の方との、それぞれ六十九億、五十四億というふうな数字が出ておるわけであります。この在籍者の中の退職手当が
労務債
の中で二十六億六千七百万という数字が出ておるのですが、在籍者の方でのこういった退職手当の
労務債
というのは、要するに先ほどからお話がありました
閉山
に伴ってこちらの新しい
炭鉱
に来られた
人たち
の分が、現在働いておられるけれ
ども
、そういった分がこれに入っている、そういう意味ですか。その点、
三浦
委員長
でもどなたでも結構でございます。
大澤誠一
96
○
大澤参考人
これはそのとおりでございます。平和とかあるいは清水沢で
閉山
になったときの
退職金
が未払いになっておる、こういうことでございます。
小渕正義
97
○小渕(正)
委員
先ほどから
萩原会長
と
大澤管財人
との若干の行き違いの面があったのですが、要するに
萩原会長
は、
自分
は一切拒否した覚えはない、そういう意味のことを盛んに言われておるわけであります。そういう意味でかなりずれがあるわけであります。新聞等でも、何らかの考えをしていかなければいかぬ、
労務債
についても当然考えなければいかぬというようなことが出ておるわけであります。 端的にお尋ねいたしますが、この前、
大澤管財人
から最終的な
北炭グループ
として特に
三井観光
に対する
支援
要請の依頼か何か、そういったものについて書類による回答が社長名で来たわけですね。
大澤管財人
の方から
三井観光
に対して、
北炭
に対してのいろいろな相談といいますか、そういった書類による
お願い
があって、それに回答された、そういう事実
関係
は会長として御承知であったわけですか、その点はいかがですか。
萩原吉太郎
98
○
萩原参考人
観光の
山本社長
が大深
管財人
さんにお会いしたのは五日でございます。そしてそこで要請して、お返事が十三日になった。それで、実はそこへ私行っておりませんのでわかりませんけれ
ども
、どうも真意が、言う方が悪いのかどちらかわかりませんけれ
ども
、私もだめだと言ったようにも聞きますし、あるいはその話の過程でそういうことになったのか、それはわかりませんけれ
ども
、要するに
結論
を申し上げますと、
三井観光
初めグループは
労務債
についてはできる限りの
支援
をしていこう、こういう線で、私自身としてでございますがゼロ回答をしたことは一回もない、こういうことでございます。言った
山本社長
もやらなくちゃならぬということは心得ているのでございます。そして、あの回答が非常にわかったようなわからないような回答になっている。これはなぜかといいますと、端的に言いますと、ある物件を処理する、そうしますとこれは
担保
がついている、そうすると
担保
権者の方との了解を得る前にすべてのことが伝わっては困りますし、いろいろ微妙なものがあるので非常に遅延しておりますが、やらずにいるわけじゃないのです。考えるだけじゃない。それで非常に遅れて、いよいよせっぱ詰まってきておるのでございますが、要するにやりたい、やる。これだけは基本線でございますが、さてその
労務債
のすべてをおまえの方で見ろ、これはできません。これだけははっきりしております。それは、関連
事業
は全部、
北炭
、見ていますけれ
ども
、もし一つの企業が体力がなくて、そういうために、ある企業をつぶしてまでやったというのでは何らの意味がなくなる。
北炭
の方を助けるために一つの
会社
がつぶれたんじゃしようがないじゃないか。だから、その生存を脅かさない、つぶさないという範囲でやって、それはどういうことをやったらいいかというので、いまやっている最中でございます。ですから、あれを全部払うといったら、恐らく根こそぎ全部つぶれちゃうだろうと
思い
ます。その点は、非常に大きく全部払うと言ったというようなこと……
小渕正義
99
○小渕(正)
委員
そういうことを聞いているのじゃないのです。
大澤管財人
として
北炭
社に対して、
労務債
についての処理について何らか
支援
をしてほしいということででも、要請に対して
文書
をもちまして社長が回答されたわけですよね。その回答された状況は、あなた相談の上、そういうものは承知であったのかどうかということを聞いているのです。
萩原吉太郎
100
○
萩原参考人
私は知っております。
小渕正義
101
○小渕(正)
委員
知っておられたわけですね。
萩原吉太郎
102
○
萩原参考人
それで、あの文章は断った文章になっていないと
思い
ます。
小渕正義
103
○小渕(正)
委員
まあ結構です。 それでお尋ねするわけですが、私もあのときの、テレビの記者会見の中で社長が応答されておった状況を聞いておりますが、どんなに好意的にといいますか楽観的にとろうとしても、ちょっととれないような発言だったと
思い
ます。だから、そこらあたりで会長のあなたと社長のずれがあったのかどうか知りませんが、世間的には、あなたがいま言われたようなことで、いまになっていいかっこをしているようなことは、ちょっとそういうようにはとらぬのじゃないでしょうか。やはりあなたも会長である以上は、少なくとも社長がそういう態度でこられたわけですから、それについては当然、
自分
は相談にあずかってなかったとか、
自分
はそういう余地はまだ十分あるつもりでおるとか、そういうことは内輪の話では通用しても、公式のところでは世間的にはちょっと通用しないのではないでしょうか。その点をちょっと申し上げておきたいと
思い
ます。
萩原吉太郎
104
○
萩原参考人
ちょっとお待ちください。私は、相談にあずかってないと申しておりません。私は知っておりました、相談にあずかったと申し上げておる。それが逆になっておりますから、どうぞ。
小渕正義
105
○小渕(正)
委員
それから、これはもう時間がありませんので、先ほどから——どうぞお座りください。
枝村要作
106
○
枝村委員長
座ってください。
小渕正義
107
○小渕(正)
委員
先ほどから
労務債
問題についても前向きに、資産売却その他を含めて取り組んでいくようなことが言われておるわけでありまして、きょうの会長のお話からいきますと、私たちも少し前向きに受け取れるわけです。それで、これが単なるこういった公式の場における言葉だけなのか、先ほどから会長言われておりますように本当にそこまで、
北炭
はかわいい、山はかわいいし、
夕張
市の地域経済のことも考えなければいかぬし、
労働者
のことも考えなければいかぬということを盛んに言われておるわけでありますので、そういう意味で、本当にそれを体をもって示されてこそ、初めて
皆さん
がその点についてわかるわけです。 そういう意味で、これは要望になりますが、会長が資産をどの
程度
お持ちか、私その点全然白紙でございますからわかりませんが、実際は無一文かどうかもわかりませんけれ
ども
、少なくとも私財をすべてなげうって一切裸になって、そうしてでもなお
北炭
のそういった
労務債
については取り組んだ、そういう姿勢がないことには、いま言われたようなことが本当に社会的にも評価されるようなことにならぬのじゃないかという気がいたしますので、そういう意味では、きょうの会長の積極的な前向きな姿勢を評価いたしますとともに、そういったことも含めて、ぜひひとつお考えいただければと
思い
ます。これは要望でございます。 それから
最後
になりましたが、
三浦
委員長
、大変御苦労でございますが、今日まで雇用をいかに守るかという
立場
の中で終始してこられたと
思い
ますが、先ほどから田中
委員
の質問に対しましては、
組合
は
組合
なりの
再建
案というものを持っているのだということを言われたわけであります。それで、その
内容
については私
ども
は後からでもまた聞かせていただきたいと
思い
ますけれ
ども
、非常に私たちが異常に思うのは、
退職者
の
労務債
がこんな長期間ずっと放置されておるということは、これは労使の使もですけれ
ども
、労もやはり十分責任を負わなければいかぬ問題だと思うのです。そういう意味で、そういう悩みの中で今日の雇用をいかに確保するかということで、なお深刻なお
立場
だったろうと思うのですけれ
ども
、だからひとつこういった
再建
案の中で、少なくともこういうやめていかれている人、しかも定年でやめていかれているような
人たち
の
退職金
だけは何としてでも長期
計画
でもいいから
返済
させることも含めた
再建
案として考えてほしいということをお尋ねしたいわけですが、その点はいかがでしょうか。
三浦清勝
108
○
三浦参考人
お答え申し上げたいと存じますけれ
ども
、たしか五十五年の暮れ、十一月ごろだったと
思い
ますが、本
委員会
に
参考人
で
出席
をしまして申し上げましたが、
先生
せっかくそういう御
意見
をお持ちですけれ
ども
、前回
出席
した際申し上げましたのは、私
ども
労働
組合
の本質を発揮すれば、国も含めて、その時点時点で新鉱は、というよりも
北炭
全山が
閉山
に追い込まれたと判断をしました。というのは、残念ながらといいますか
北炭
全山は
再建
整備
会社
に指定されておりまして、より厚く
政府
性
資金
が投入されておりました。そういう
関係
から毎年度毎年度実施
計画
を
会社
が策定しまして、その実施
計画
を提出して
政府
の承認を得て営業してきたと思っております。その中でやはり実施
計画
の中には当然、生産
計画
に合わせた
資金
計画
が出されていたと
思い
ます。その
資金
計画
を提出する際、それぞれの山元で私
ども
は
退職金
やあるいはいま
労務債
と言われる未払い
賃金
などについての
支払い
交渉を行いまして、ある
程度
山元で
理解
をさせながら取り組んできましたが、やはり何といっても私
ども
が指摘をされましたのは、
北炭
労働者
の甘さがある、
努力
が足りない、こういう指摘をされたのも事実でございます。諸
先生
も十分御承知だと
思い
ますが、この毎年度毎年度の実施
計画
の中で私
ども
が七年間経過しまして、つまり七回にわたって
労働者
の
努力
を指摘をされて、その結果
労務債
がこのようにたまってしまった。つまり冒頭申し上げましたように、労働
組合
の本質を発揮して、その時点時点でストライキをかけて、
退職金
や未払いとなっている
賃金
の
支払い
を求めて長い闘いをしたら、必ずその時点時点で
閉山
になったと私
ども
判断したから、こういうふうな
労務債
の多額な金額になったと思っております。したがって、
先生
にも労働
組合
として山を残さなければならぬ、その時点時点での判断についての御
理解
を
お願い
して、御答弁にかえます。
小渕正義
109
○小渕(正)
委員
終わります。
枝村要作
110
○
枝村委員長
小沢和秋君。
小沢和秋
111
○小沢(和)
委員
私たち共産党は、この
夕張
新鉱の問題については一人の首切りも出さずに
再建
をということを基本にして今日まで
努力
をしてまいったわけであります。今回
閉山
の
提案
が出されてきたことは、そういう
立場
から大変残念に
思い
ますし、強く撤回を求めたいと考えております。 まず
大澤参考人
にお尋ねをしたいと思うのですが、私たちは、
閉山
を避けるためには
北炭グループ
が
労務債
の
支払い
に必要な
協力
をする、これが最低の
条件
だというふうに
大澤
さんが考えていると、これまで
理解
をしておったわけです。ところが、先ほどからのお話を伺っておると、どうもそれだけではなしに、本格的な
再建
の操業ができるまでの
不足資金
も
北炭グループ
に持ってもらいたいという
立場
でおられるような発言だったというふうに私、とったのですが、その辺についてもう一度はっきりしたことを御説明願いたいと
思い
ます。
大澤誠一
112
○
大澤参考人
労務債
については
北炭グループ
で
調達
するということはおわかりと
思い
ますが、ただ、ほかの再
開発
の場合は、これは
会社
のいわゆる生産
計画
に基づいての掘進あるいはまた設備等についての
政府
の補助あるいは制度
資金
の融資を差し引いた額でございます。全部そういった
政府
の
援助
があるという前提に立って、いわゆる自己で賄える
資金
のことを言ったわけでございます。あと、金融筋の
援助
があるかと言いますと、私は非常にむずかしいのじゃないか。ここ一、二年の実績
いかん
によって金融筋の見方が変わるかどうか、この辺はわかりませんが、さしあたりやはり金融筋の
支援
。それで
政府
の
支援
は算入されております。
小沢和秋
113
○小沢(和)
委員
次に萩原さんにお尋ねをしたいと思うのです。 私は、今回の
閉山
は、その
管財人
の
閉山
の
提案
の中でも、このような過酷な
条件
は
炭鉱
閉山
史上例を見ないというふうに言われているとおりのひどいものだと思うのです。私も筑豊の
閉山
をずっと見てまいりましたけれ
ども
、
閉山
の何年も前からの
退職者
に
退職金
が払われていない、そして
閉山
するときの在籍者にもまともな
支払い
がなされずに
閉山
がされる。こんなことというのは私はいまだかつて例がないと思うのです。この前のテレビを見ていたら、年老いた
退職者
の一人の方が、
自分
も
退職金
を当て込んで家を買ったけれ
ども
、結局これをまたとられてしまうということを切々と訴えておられました。私も本当に胸が張り裂けるような
思い
をしたわけでありますけれ
ども
、萩原さんは実際上の
北炭
の最高
経営
者として、こういう事態は何としても解決しなければいかぬというふうに責任を感じておられるのかどうか。
労務債
再四十九億円は全部は出せませんよ、何か私に言わせると、そういう言い方の中に人ごとみたいな感じがちょっとしないでもないのです。
北炭
が、この百四十九億とあなたが言われた、先ほどからいろいろな額が出ていますけれ
ども
、少なくともいわゆる
労務債
と言われているものについてはすべてそれを支払わなければならない責任がある、この
立場
に明確にあなたが立っておられるのかどうか、お尋ねをしたいと
思い
ます。
萩原吉太郎
114
○
萩原参考人
責任は痛感いたしておりますけれ
ども
、先ほど申し上げた払えないというのは、払うには
資金
を集めてもその力がないということを申し上げたわけでございます。そういう意味でございますが……。
小沢和秋
115
○小沢(和)
委員
そうすると、もうちょっとあなたの答弁の中身を確かめる意味でお尋ねをしておきますけれ
ども
、百四十九億円は無理としても、先ほど答弁の中で
社内預金
とか古い
退職金
などというふうに例示をしながら、これについては責任を持たなければならぬというふうな発言をされたと思うのですが、少なくともこれについてはまず完全にカバーするということはここでお約束できるのでしょうか。
萩原吉太郎
116
○
萩原参考人
先ほど申し上げた
社内預金
と旧
退職金
については、まず何としても考えなくちゃならぬ、
社内預金
はもちろん一〇〇%でいかなくちゃならないと
思い
ますが、旧
退職金
については、それだけの金額が集まればいいですけれ
ども
、これはいまのところどうなるかわかりません。私のかつて出した案の中では六〇%というふうになっております。
小沢和秋
117
○小沢(和)
委員
それから、新しい
退職金
については
閉山交付金
でというふうに先ほど言われたように
思い
ますが、これももう萩原さん自身よく御存じのとおり、この
閉山交付金
というのは
退職金
全額をカバーできるものではないわけでしょう。そうすると、いまのお話でいくと旧
退職金
でさえ全部はちょっと無理だ、これについてはもう全然考えない、そういうお考えですか。
萩原吉太郎
118
○
萩原参考人
考えないというよりは、それだけの
資金
の
調達
の力がないということであります。
小沢和秋
119
○小沢(和)
委員
その点についてなんですけれ
ども
、
三井観光
も苦しいとか、全部払ったらそっちの方がつぶれてしまうとか、先ほどからそういうふうに言っておられたと思うのですけれ
ども
、私は、そういうことを幾らここで抽象的に言われても私たちを納得させることはできないと思うのです。
会社
年鑑などを見てみますと、この
三井観光
という
会社
は札幌のグランドホテルとかパークホテルを初めとして二十近いホテルを持っている、あるいは非常に広大な
土地
な
ども
持っているということが明らかになっているわけですね。それがいわゆるカタに入っているのだというようなことも言われるわけですけれ
ども
、これこのとおりなっているのですということで、その資産の状況やら
経営
の
状態
やらをこうなったら全面的に明らかにして、そして
自分
たちとしてもつぶれるところまで、ここまで
努力
をしたということで、具体的に金額もそれとあわせて提示をする、こういうことにならなければ、あなたが幾らここで苦しい苦しいと抽象的に言ってもこれはだれも納得しないと思うのですが、そういう用意がありますか。
萩原吉太郎
120
○
萩原参考人
これは先般私がNHKの北海道支局のテレビ放送で約三十分やって、その中でも申し上げておきました。おまえのところは余裕があるのに出さぬとかいろいろ言うけれ
ども
、それよりもまずよく中を知ってもらいたい、どういう
方法
か知らないけれ
ども
調べてもらいたいものだということを申しております。こういう
内容
でこうですよと一般に公開したりなんかすることではありませんけれ
ども
、中をよくお調べいただければわかりますということを申しております。
小沢和秋
121
○小沢(和)
委員
萩原さん、その調べてもらいたいというのは一体どういうことですか。あなたの方は道義的にも政治的にも支払わなければならない責任があるわけでしょう。その責任のある者は、みずからこれこのとおり最大の
努力
をいたしました、私がいま持っている
会社
はもうこういう
状態
ですと言って、あなたの方から全部明らかにするというのが話の筋じゃないんですか。調べてごらんなさいと言っても、調べる
手段
を一般の
人たち
だれでもが持っておりますか。第一、調べなければならないこっちの側に責任があるんですか。あなたの方に出す責任があるんですよ。全くそこは本末転倒しているんじゃないですか。
萩原吉太郎
122
○
萩原参考人
われわれの方としても、さて社会へ公表することでもなし、どこへ持っていっていいかわからないので、むしろその担当の通産省なりまたそういうところでそうなったら、いつでも資料はお出しするようになっております。
小沢和秋
123
○小沢(和)
委員
公表すべきことでないというふうに言われたけれ
ども
、私は一般的にどこかの何のかかわりあいもないところに対して公表せよと言っているんじゃないんですよ。具体的に、あなたのところがそういう責任を負っているけれ
ども
、それができないとおっしゃるから、できないというのであれば
自分
から明らかにすべきだ、こういうふうに言っているわけです。いまあなたは通産などが言ってくれば云々というふうに言われたが、それは出すという思想表示ですか。
萩原吉太郎
124
○
萩原参考人
監督行政官庁からそういうお問い合わせがあれば出します。
小沢和秋
125
○小沢(和)
委員
そうすると、
政府
に念のためお尋ねしておきますが、この前から
三井観光
がそういうような資産の
内容
をどれだけ持っているかということについて調べなさいと、あなた方はそれも含めて
努力
をすると再三言ってきたんだから、いま萩原さん自身が通産が出せと言えば出すと言ったんですから、
政府
は当然要求しますね。ここで言明しておいてください。
弓削田英一
126
○弓削田説明員 私
ども
、先般来いろいろ申し上げておりますように、
三井観光開発株式会社
の資産
内容
等につきまして現在のところまだ必ずしも具体的な資料を持ち合わせてない
現状
でございます。今後どうするか、こういうことでございますが、いずれにいたしましても、本件につきましては今後
大澤管財人
と
三井観光開発
との間に話し合いが行われていくだろう、こういうことを期待しているわけでございまして、その間の過程でおっしゃるような問題も明確になっていくんじゃないか、こういうふうに思っております。
小沢和秋
127
○小沢(和)
委員
質問にまともに答えなさいよ。いま萩原さんは通産が言えば出しましょう、せっかくこう明言されたんですよ。そうしたら、あなたの方が要求すれば、一発でこの問題は大きく前進するんですよ。そうしますね。
弓削田英一
128
○弓削田説明員 ただいまお答えいたしましたようなことで、今後の折衝の過程を通じて明らかになっていく、かように考えます。
小沢和秋
129
○小沢(和)
委員
ばかにしたことを言ったらいかぬですよ。それであなた、日本語として私の質問の趣旨をはっきり聞き取って答えたと
思い
ますか。私の言っていることをあなたが正確に
理解
したら、そんな答弁できないでしょう。萩原さんは通産が要求すれば出すと言ったから、あなたの方はそれを要求しますねと聞いているんですよ。それははっきり答えなさい。
弓削田英一
130
○弓削田説明員 先ほど来答弁しているとおりでございます。
小沢和秋
131
○小沢(和)
委員
ちょっと
委員長
に
お願い
ですけれ
ども
、こんな答弁でまともな答弁だというふうに
委員長
は判断されますか。ちょっと
委員長
の方から注意していただけませんか。
枝村要作
132
○
枝村委員長
石炭
部長
、もう少し詳しく、たとえば
大澤管財人
と
三井観光
の話し合いの過程の中でそういう話が出たとき、
大澤
さんが言うか何かわかりませんけれ
ども
、通産省が資料を出せばという、そういう過程で問題が起きたときにそれに応ずるかどうかということですよ。あなたの答弁をいい意味で解釈すればそういうことになる。そういう過程を通じてですか、はっきりしてください。
弓削田英一
133
○弓削田説明員 先ほどこの問題につきまして大臣からもお答えがあったわけでございますが、今後
大澤管財人
と
三井観光開発
の間におきまして折衝が行われるわけでございます。いろいろ問題は過去のいきさつ等があろうかと
思い
ますが、私
ども
はこの間の話し合いが円滑にいくように、またかつ非常に急いでいる問題でございますから早く
結論
が出るように通産省として当然のことながら
努力
するのがあたりまえのことでございます。そういう過程の中で、ただいま
先生
の御指摘のあったような問題も明らかになっていくというふうに考えております。
小沢和秋
134
○小沢(和)
委員
つまり、明らかになっていくということは、あなたの方がそういうふうに責任を持って処理するから見ていてくれ、こういうことだというふうに私はきょうは
理解
をしておきます。 さて、萩原さんにもう一つお尋ねをしたいのですけれ
ども
、いまあなたが携わっておられる
会社
が苦しいというお話なんですが、私は個人的なことはなるたけ言いたくなかったのだが、
一言
お尋ねしなければならぬと思うのは、萩原さん御自身もずいぶんな財産をお持ちだということを私よく聞くのですよ。あなた御自身はずっと
北炭
の最高
経営
者として活躍をされる中でその財産をつくられたわけですから、そこで働いておった
人たち
が一生働きづめに働いて結局一銭も
退職金
ももらえないかというような瀬戸際だったら、あなた御自身もそれについて責任を感じておられるというのだったら、それを投げ出すということも含めてお考えになるべきじゃないかということを私は考えるのですが、その点いかがですか。
萩原吉太郎
135
○
萩原参考人
ただいまの御質問は、
昭和
五十一年の当
委員会
においても御質問がありました。そのときお答えしたのを
思い
出しますが、これは
自分
の財産をどうするかこうするかということは
自分
の判断によってやります、他から強制されて言われてするものではありません、そうお答えしました。私は、それは当然だと思っております。しかし、そう言ってそのときは私の一つの処世観からお答えしましたが、その後において、言うべきことでないかもしれませんけれ
ども
、
自分
は家を
担保
に入れて二億五千万三井銀行から借りて、非常に詰まったときに出しております。そういうことで、そういうふうな個人のどうするかこうするかということは私
自分
で考えて、他から強制されてやるということはいたしません。 それからさらに、私は事のついでに申しますが、
北炭
の中で育ったけれ
ども
、四十四年以降は新鉱を
開発
する、これからやるんだということで給与、報酬すべて辞退して今日に至りました。
自分
なりの人生観というか、そういうことにおいて
自分
自身の行動を律しながらやってきているつもりでございます。
小沢和秋
136
○小沢(和)
委員
それから、萩原さんにもう一つお尋ねしたいと
思い
ますのは、きょうまで具体的に
北炭グループ
としてどの
程度
の
努力
をするかということについてほとんど発言らしいことをしてこられずに、きょうのこの場でもってある
程度
のことを初めて言われたように私は思うのです。それまでは世間では、
三井観光
が
会社
としてはもう
協力
できないという回答をしたというふうにみんな思っておったわけです。萩原さんは、いや
自分
自身は直接会って要請を受けたこともないし、ゼロ回答をした覚えもないとおっしゃるのだけれ
ども
、世間全体が
三井観光
は拒否したと
思い
込んだような
状態
ができたときに、萩原さんが本当に前向きで少しでも
自分
として
努力
して何とか出したいという気持ちを持っているというのだったら、もっと早く早速記者会見なり何なりしてでも、そういうことを言う機会は幾らでもつくれたのじゃないですか。何で今日までそれを言われなかったのかということを、私は先ほどからのお話の中で
理解
できないので、お尋ねします。
萩原吉太郎
137
○
萩原参考人
確かに私は、まあ新聞記者の方と会ったことはありますけれ
ども
、会見とかそういうことは一切してまいりませんでした。というのは、
自分
はすでに
北炭
として見ればやめてしまっている人間、籍のない人間です。いやしくもその社長がいるところへ
自分
が出てやるべきことでないという、みずから言えば老生は出しゃばるべきでないという観点で、そういう行動をとってまいりました。そういう意味で、何も言わないように言わないようにと
自分
から意識して努めてまいったわけであります。その間に
三井観光
というものが一銭も出さない、冷たいと言われることを非常に残念に思っていることは冒頭申し上げたとおりでございます。
小沢和秋
138
○小沢(和)
委員
では、これで終わりにしますけれ
ども
、世間では、あなたが沈黙をしておられた間に、あなた御自身があそこの
夕張
新鉱の鉱業権やら施設やらを何か
政府
に買えというようなことで自民党の有力者などを訪ねて回っているというようなニュースがその当時流れておったのですよ。だとすると、私たちは、ははあ萩原さんは今度もまたそうやって
政府
に何かぼたをかぶせて
自分
は逃げようと策動しているんだなという感じを持ったとしてもやむを得ないことだったのじゃないかと思うのです。あなたがその当時からそういうようなお気持ちであったとすれば、私は
政府
の要路にそういうふうに回るのもいいけれ
ども
、御自身がまずそういう意思表示をそのときされてしかるべきだったのじゃないかということを申し上げて、質問を終わりたいと
思い
ます。
枝村要作
139
○
枝村委員長
石原健太郎
君。
石原健太郎
140
○石原(健)
委員
大澤参考人
にお尋ねいたします。 先ほど
萩原参考人
が
労務債
の
支払い
努力
目標をおっしゃったときに
不満
だというふうにおっしゃいましたけれ
ども
、
大澤参考人
は、
北炭グループ
はもっと
支払い
能力を持っているとお考えになって
不満
だとおっしゃったのかどうか。それから、
北炭グループ
の全資産とか
支払い
能力、そういったものを十分把握していらっしゃるのかどうか。その二点お尋ねいたします。
大澤誠一
141
○
大澤参考人
二番目の資産問題について、全く知らないということじゃございませんが、よく勉強しているというほどではございません。 それから、
労務債
について
不満
であるという問題については、私は
支払い
能力の問題あるいは
支払い
の
方法
という問題もいろいろとあるかと
思い
ます。で、いま言われた
程度
のことでは、私は解決の道はないのではないか、かように考えます。
石原健太郎
142
○石原(健)
委員
萩原参考人
にお尋ねいたします。 先ほどそういった資産とか
支払い
能力等につきまして、通産省なり何なりから要望があれば提出するというお話がありましたが、
大澤参考人
からそういうことを教えてほしいと言った場合にも同じお気持ちかどうか、お尋ねいたします。
萩原吉太郎
143
○
萩原参考人
先ほど申し上げましたとおり、これは早く解決するためには、通産省の石炭部と
管財人
と私、というのもおかしいかもしれませんけれ
ども
、
三井観光
なり
北炭
なり、同じテーブルの場についてやっていただきたいと申し上げたわけですから、したがって、そういう場において、あなたのところはそんなに出せないというが、これはどうなんだと言われれば、それはお話しするつもりでございます。そういう場まで一回もなく、ただ、あるのに出さぬのだというもとに、頭からかぶせて言われていたのでは非常に残念だと申し上げたようなわけであります。
石原健太郎
144
○石原(健)
委員
先ほどの石炭
部長
のお話では、そこに石炭部もまざっているというお話はなくて、
管財人
と
北炭グループ
との話し合いの中でというふうに言っていられたと思うのです。ですから、そこに通産省がいないとすれば、
大澤管財人
との話し合いになるかと思うのです。それで、多額の税金が使われていることでもありますし、やはり多くの
委員
の
方たち
あるいは通産省自体にしても釈然としないのは、
北炭
がなぜこれしか支払えないのかという点にあると思うのです。ですから、
自分
の能力はこれだからこれしか払えないということを
管財人
などにもはっきり言っていただきたい、こう
お願い
いたします。
萩原吉太郎
145
○
萩原参考人
私の方としては実際を知っていただきたいくらいです。それは、ホテルなんというものは建物はりっぱでございますけれ
ども
、建物が目につくから金持ちだろう、金があるだろうというふうに大ざっぱに言われて、資産がどうだと言われても困る。実際の
内容
を通産省も、今度の問題を取り組んでおる石炭部、それから
管財人
も、わかっていただきたいと思っております。
石原健太郎
146
○石原(健)
委員
次に
大澤参考人
にお尋ねするのでありますけれ
ども
、いままでのお話をずっと聞いておりまして、私の
理解
が間違っているのかもしれませんが、
北炭グループ
がこれ以上
事業
を
縮小
するとかあるいは倒産をするとかいうことなしに山を残していくということ、
政府
も
大澤参考人
もそれから
組合
の方も
皆さん
山を残したいというふうにおっしゃっているのですけれ
ども
、そうして山を残すためにはどうしても、さっきちょっと第三セクターというお話もありましたが、銀行もお金を貸さないようなところに、まして出資をする人がいるとは思われませんので、
政府
なり何なりそういう公のかなり相当な額の出資が必要になってくるんじゃないかと
思い
ますが、その辺はいかがお考えになっておられるのでしょうか。
大澤誠一
147
○
大澤参考人
将来山の火を燃やしたい、こういったことは
皆さん
みんな共通にお考えと
思い
ますが、私もそうでございます。ただ、先ほどから申し上げますように、
労務債
の問題、後ろ向きで
労務債
の清算、あるいはまた前向きで清算をやると言いましても、その
資金
が要る。膨大な
資金
が要る。そしてまたこれだけの、八百億の
債務
がございます。こういうものをやはりどういう形かで一切合財整理をしなければいけない。この整理の仕方がこれからの問題であろうというふうに考えます。これは大変なことで、今後の
開発
という問題はその後の問題というふうに考えます。
石原健太郎
148
○石原(健)
委員
政府
の方にお尋ねいたしますけれ
ども
、別
会社
のような形で山を残したいというようなことも言っておられるやに聞いておるのです。そして先ほど来、できる限りの
努力
をするということもおっしゃっております。山を別
会社
で再度始めるという場合、あるいはそういった多額の出資が必要になった場合までの覚悟ができているのかどうかをお尋ねいたします。
弓削田英一
149
○弓削田説明員 今後裁判所の管理のもとで現在当面する諸問題が解決した後に、
事故
のございました
北部
の
開発
の展望を含めました
更生計画
が早期に策定される、こういうことを私
ども
は実は非常に期待をしておるわけでございます。もしそういうような
更生計画
案ができまして、裁判所の認可があり、かつ
再建
の見通しがどういう
経営
形態であるにしろできました暁には、私
ども
といたしましては、現行の石炭政策の枠内で
支援
をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
安倍晋太郎
150
○安倍国務大臣 いま石炭
部長
から説明をいたしましたが、何としてもこの問題を解決していまの
再建
案が出されることを期待しておりますし、そして、
北部
が再
開発
されるためのいろいろの準備をしなければならぬと
思い
ます。これはなかなかむずかしいわけでございますが、ただ業界だけの
努力
に任すというわけにはいかない、
政府
としてもそれなりの
努力
を前向きにしていかなければできないことだと私は思っております。したがって、私としましては、そうした案ができればこれをぜひとも実行するために
政府
として
努力
を傾注してまいりたい、そして何としても将来において山を残す、そして
北部
の再
開発
ができるという方向に私みずから
努力
を続けてまいりたい、こういうふうに決意をいたしております。
石原健太郎
151
○石原(健)
委員
終わります。ありがとうございました。
枝村要作
152
○
枝村委員長
この際、
参考人各位
に
一言
ごあいさつ申し上げます。 本日は、御多用中のところ当
委員会
に御
出席
をいただき、貴重な御
意見
をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。
委員会
を代表して厚くお礼を申し上げます。 本日は、これにて散会いたします。 午後一時十七分散会