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福川政府委員 幾つかの要因があろうと思いますが、今後
管財人を
選定する、この展望が将来どうであるかということが
一つあると思うわけであります。当面北部ということにつきましては災害の原因究明がまだ済まない、したがって、北部はある程度炭層
条件もいいけれ
ども、しかし災害あるいは保安という面の見当がつかない。しからば平安八尺層で
再建のきっかけがつかみ得るか、こういうことになりますと、これはなお
検討すべき点がある。御承知のように平安八尺層は百メートルぐらい現在の炭層よりも上にございますけれ
ども、これが一般炭である。したがって手取りが比較的十尺層に比べると低い。さらに、平安十尺層等が二層でありますのに対してこれは一層である。したがって、坑道を展開するにいたしましても果たして投資効率がいいかどうかわからぬ。さらにまた、平安八尺層の延長のボーリングが必ずしもまだ十分できていないといったような、
計画面で平安八尺層で果たしてやり得るのかどうかがいまのところ確たる見通しが持ち得ないということで、これをもう少しさらに
検討してみる必要があるということでございます。もちろんやり方によって平安八尺層でやれるという見方も成り立ち得るわけでございますが、そのやり方にいろいろ問題があるのでそこにどうしてもなかなか踏み切りができなかったという、将来展望についての面が
一つあると思います。
それから第二点は、いま御
指摘のように非常に膨大な
債務を抱えておる。この旧債の
処理ということが
相当いろいろ問題になる。それでこの旧債の
処理の仕方いかんによりますと、これがまた新しく
再建する方の
企業の
負担になる
可能性もある。したがって、この旧債の
処理がどういう形で行い得るのかという展望を持ち得ない。したがって、新しく
再建に踏み出したとしても、また前の
債務が乗っかってくる、こういうことになると果たしてやれるのかどうかという確信が持ち得ない。そこをどういうふうにすればいいのかという展望がまだできないというのが第二点であったかと思うわけであります。
それから第三点は、いま
北炭についての
経営体質ということの御
指摘がございました。過去にもしばしば災害を起こし、また
再建ということが何回か問題に相なったわけでございます。今後そういった
再建に踏み出していく場合に、その
企業労使全体を含めて何とか
——技術面等について先ほ
どもちょっと申し上げましたようにいろいろと問題がある、あるいは
経営管理面でいろいろ問題があるといったような
経営体質に根差す問題これの
改善のめどというのをどういうふうにつけたら果たして本当にやっていけるような形になるんだろうかといっためどがなかなか持ちにくいといったようなことで、いわゆる将来の採掘における
経営計画の採算性、さらに旧債の
処理あるいはおっしゃった
経営体質の
改善の方途、これをどういうふうにアプローチしていったらいいだろうかという点について、いろいろ御依頼を受けた
管財人候補の方たちが十分どうも確信が持ち得なかったという点に問題があったわけであろうと思います。
幸いにいたしまして、今後そういったどちらが先か、本当であれば展望が先行すべきが通常であろうかと思いますが、それをなかなかやっている余裕もないということでお選びいただいたわけでありまして、今後この選ばれるであろう
管財人を
中心に
企業労使が十分真剣に取り組んでいく、その真摯な姿勢が
関係者の
理解を得る、こういうことにつながることを期待をいたしておるわけであります。