○
岡田(利)
委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、
石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部を改正する
法律案に反対の討論を行うものであります。
しかし、本
法案は、この
法律以外に三つの
法案の期限の延長の
法案が提出をされております。わが党は、特に、石
炭鉱業経理規制臨時
措置法並びに産炭
地域における中小
企業者についての中小
企業信用保険に関する特別
措置等に関する
法律、石炭並びに石油及び石油代替
エネルギー対策特別会計法、この三つの
法律案に対しては賛成の意を表明する次第であります。
私
どもは、このような
法律案が一本の
法律案で出されること自体に問題があろうか、こう思います。特に、特別会計法は本来大蔵
委員会に付託されるべき
法律であります。今後の
法律案の提出に当たって、私
どもは
政府に反省を求めたい、こう思います。
以下、
石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部を改正する
法律案に反対する
理由を申し上げたいと思います。
石
炭鉱業の問題は、私
どもは、問題意識として体制的受けとめ方をしなければならないことを一貫して主張してまいりました。個別
企業の対策については、おのずから限界があるのであります。特に、昨今のわが国の既存
炭鉱の動向から判断しますと、この主張の正しさが証明されておると思います。
たとえば、三井砂川の
災害が起きて、しかもその生産は四割減産をするという
状況で推移をいたしました。しかし、三井三山は、三池を
中心にしてこの三井砂川を維持し新しい展開を図りながら、保安の確保と生産の安定の方向に移行することができつつあるのであります。あるいはまた
北炭災害に見られるように、
企業対策の中ではおのずからその対策が限界があることを今日証明しつつあると思います。あるいはまた一社一山になりました住友赤平についても、この格差の是正は非常に困難であることはすでに検証されつつあるわけです。
ヨーロッパの石炭政策を見ましても、第一次世界大戦後においてイギリスは、
鉱区の調整を行い、そして第二次世界大戦後には
石炭産業を国有化して、今日、イギリスの
エネルギーの重要な部門を石炭は担っておるのであります。フランスにおいても、第二次世界大戦後公社運営で今日推移をいたしておりますし、特に、フランスの出炭規模とわが国の出炭規模は、ほぼ歴史的に同様規模で推移をしておることにも注目をしなければならないと思います。西ドイツの石炭政策についてもすでにルール
炭田一社化をし、体制的な解決を図っておるのがヨーロッパの石炭政策の現状であります。
ひとり最も
条件の悪い
採掘条件を抱えるわが国において、何らの体制的な解決も今日まで見ていないのであります。われわれは、そういう基本的な立場に立って今後の
石炭産業を考える場合に、依然として多くの問題が残されている、こう受けとめなければならないと思います。
特に、第七次
答申の中で安定補給金の格差配分を行うことがすでに
予算化されておりますけれ
ども、このことは石炭の持つ体制問題を検証しておる政策であると言わなければなりません。もちろん、第七次までわたった石炭政策の中で、このような格差是正が行われたのは第七次政策が初めてであります。私は、そういう意味で、今回のこの政策については高く
評価をするのであります。
したがって、この安定補給金の格差配分によって果たして格差が是正できるかといえば、すでに参考人の
意見でも明らかなように、とうてい格差の是正は行い得るものではないことは今日明らかであります。わが国の石炭の賦存の宿命的な問題として、今後全体の
石炭産業を安定させる施策はさらに
検討を続けなければならない、そういう
段階に立ち至っている、かように思うのであります。
特にわが国の
石炭産業は、その地質的な立場からいえば、最も新しい新生代第三紀層の炭層であります。ヨーロッパの場合には、いずれも古生代石炭紀あるいはまた中生代の時代に石炭が生成されておるのでありまして、その
条件が悪いことはきわめて当然と申し上げなければならないのであります。特に、今日残っている既存の
炭鉱は、いわばすでに付託をされている鉱害二法に見られるように、今後大量の鉱害が発生する個所はないのであります。われわれは、そういう体制下において初めて体制的な解決を図る積極的な石炭政策の展開を強く要望するものであります。
わが党は、今回の審議に当たって実は修正案を
委員長のもとに提出をしましたけれ
ども、審議の時間的な
関係から、本日これを取り下げたのであります。この修正点は二つあります。
一つの点は、個別対策の限界を埋めるために、
北炭夕張のような
災害の場合に、被災者を速やかに救出できない場合には、救出の交付金を交付できるように新
エネルギー開発機構に業務の追加をすること。そしてもう一点は、探鉱、
採掘あるいはまた流通、そしてコールセンターなどのこれらの事業については
国内炭優先引き取り、安定引き取りのためにこの業務を追加する、この二点の修正案を出したのであります。
この二点の修正案は、今後の石炭政策を進める上にとって重要なポイントであることをこの機会に主張しておかなければならない、かように思うのであります。私は、そういう意味で、残念ながらこの石
炭鉱業合理化臨時
措置法の一部を改正する
法律案に反対せざるを得ないのであります。
ただ、ここで特に申し上げておきたいことは、この
法律の延長は五年間であります。わが国の
石炭産業の資源はおのずから有限性のものでありますから、この五年間、さらに八〇年代の後半に向けてどのような政策を展開するかということは、この五年間の第七次政策の実施過程において
検討を続けなければならない問題である、かように考えるのであります。私は、そういう意味で、この五年間は第七次政策を円滑に進めるというだけではなくして、五年後の
状況に対応してわが国の
石炭産業の歴史的な使命をいかに全うさせるのか、こういう観点に立って、いわば第八次への展望を切り開いてまいらなければならない、かように思うわけであります。
最後に、私は、
北炭問題について一言触れておきたいと思います。
本日も質疑の間で明らかになったのであります。この
北炭の
再建がどういう形で行われるのか、あるいはまた
再建が不可能なのか、このことは、今日までの石炭政策の是非を問う非常に重要な問題であるし、今後の石炭政策の方向をも決定づける問題であることを
指摘しておかなければならないと思うのであります。何となれば、同
炭鉱は開鉱以来わずか六年間であります。しかも七メートルの炭層を目の前にして
災害を起こしたのであります。わが国の
石炭産業の歴史的なその技術水準からしても、この
炭鉱の
再建は可能なのであります。
従来の
再建政策の中にも、先ほ
ども主張いたしましたように、
企業ぐるみ閉山で、明治鉱業の
企業ぐるみ閉山の場合には、五山の
炭鉱のうち三山を残して、資源を最大限に活用する体制でこの
採掘の継続が行われたという例もあるのであります。この例から判断するならば、今日までの石炭政策の展開の中で、この山の
再建はできないことはないと思うのであります。まだ被災者の救出が行われていないのでありますけれ
ども、この速やかな救出と、
北炭新鉱の
再建を通じて、わが国の石炭政策の効率性を検証していただきたいことを特につけ加えて、討論を終わる次第であります。(拍手)