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保岡小委員 きょうは本当に
お忙しい委員会の日程の中を、
渡部商工委員長あるいは
中村重光小
委員長初め
委員会関係の
皆様方に、
郷里奄美大島のつむぎの問題でいろいろ
質疑をさせていただく時間を与えられまして、本当にありがとうございます。また、御
出席の
政府関係者、
地元からおいでになったお二人の先輩にも心からお礼を申し上げます。
きょう自民党の方では、
鹿児島一区、
鹿児島産地で選出されている
長野祐也議員が
韓国つむぎの問題についてはお聞きになるということで、私はいまお二人の
参考人から話の出ました
中国産つむぎの問題について
質問をしてみたいと思います。
この
中国産つむぎの問題につきましては、
昭和五十三年
京都の
業者の
情報として、
韓国で
大島つむぎをつくっていることに対して、だんだん
賃金コストが上がってきたり、その他
日韓繊維交渉等で
大島つむぎについて
日本側が厳しい
態度に出ているということから、
韓国からつむぎを入れることよりも、
中国からつむぎを入れた方が有利ではないかというようなことで、
中国の方で
大島つむぎ類似のものをつくって
日本に入れようという動きがあるという
情報が入りました。それで、その後、
政府の方にも、あるいは
国会あるいは政党の方にも、
地元を中心として
中国つむぎ
対策ということで
陳情してまいりました。いま
参考人お二人からも述べられましたから、時間も
関係しますので詳しくは申し上げませんけれ
ども、私
たち奄美大島にとっては、
先祖伝来の
伝統工芸品であるというもの以上に、現在において
大島つむぎは、ああいう離島のいろいろな
産業において非常に条件が悪くて、
農業も、これはサトウキビをつくっているわけですが、台風の常
襲地帯ということで、それ以外の
農作物等に転換することもできず、非常に
生産性の低い
農業を余儀なくされている。そして第二次
産業としても、この
大島つむぎを除いてはなかなか
産業として定着するものが見出せないというようなことで、いま
お話のあったように、十五万
余りの
人口もあり、沖縄の六分の一の面積、
人口ぐらいでございますから、そう小さな存在ではないのですけれ
ども、非常にこの
大島つむぎに依存して生きているということで
生命産業、これがなくなったらその
地域の社会が成り立たないという意味では、単なる経済問題を超えて社会問題であるというような重要な位置を占めているわけでございますから、そういう
前提で、
生命産業を守らなければならないという必死の
地元の気魄、執念がこもっているものとして、それを
前提に聞いていただきたいのでございます。
韓国つむぎの問題が起こって以来、これは私
たちも
対応がおくれたと思うのですけれ
ども、二
国間交渉で
昭和五十二年に三万六千五百反の
数量規制をして今日来ておりますけれ
ども、実はそれに数倍にまさる二十数万反というものが何らかの形でわが国の市場を
脅威に陥れているのが
実態であるというのが
産地側の
認識でございまして、その点、
通産省側とも若干
認識の違いもあって、果たして
韓国との二
国間交渉の
数量規制、この合意が権威のあるものであるのかどうかという基本的な問題にまでなっておるわけでございますが、そういうことから、私
たちはその反省に立って、
中国問題についてだけはどうしても向こうで生業として定着しないうちに
中国にも
十分産地の
実情を訴え、そうして
友好的に
貿易の発展を図り、定着をさせていくという姿勢で対処しなければ、両国間の
友好に傷がつく。
中国との国交を回復して以来、非常にいろいろな面で大事な国でございますので、
日本政府としてもそういう
認識に立って、小さいことと思わないで、先ほど申し上げたように、
産地にとって大変な問題でございますから、われわれは、これを
中国で
生産されるようなことになって、今日
努力が十分でなかったという結果になったときは、これはもう何とも悔いることのできない、それだけの問題であるという
認識で当たっていただきたいのでございます。
時間がありませんので、いろいろ聞いていきたいのですけれ
ども、まず
政府において、従前伺っているところによりますれば、
中国との
繊維輸入というものは
一元輸入であって、
カルテルであるからちゃんと着尺のつむぎ
類似のものですら
輸入をさせない
方向で
行政指導して、それは守られているという
お話で、また
組合員のみならず、アウトサイダーにも念書を得て、そしてもしそれに違反することがあれば、
輸入業者としての指定を取り消すというようなことまでして、強い
態度でやっておるから
心配がない、こういう話を承っているのですが、実際の問題が、
産地からの話で、先ほど
中江理事長も言っておられましたが、五十六年に現に、
先ほどお話しの三
誌友の会というものが
中国に行った際に、
上海の
空港売店に
男物の
亀甲二匹があった、四万七千円相当の
日本円で売られていた。これを買ってきてあるわけですが、私も
参考に見せていただいて、
手元にあるわけですけれ
ども、
品物は非常に
粗悪品で、
日本で売っても
品物としてはよくない。しかし、これは
消費者が見ると、あるいは
高級品であるか
粗悪品であるかわからないというようなことから、こういうものが
日本に入ってくるようになったら、これはもう
消費者に対しても非常に重大であるという面も含めて、これだけの
類似製品がつくられているということは重大である。これは
通産省の方もごらんになったかもしれませんけれ
ども、
委員長もちょっと見ていただきたいのでございますが、このつむぎが現に
販売されている。
それからもう一つは、五十七年五月十四日に
京都で
産地の
業者と
京都の
問屋とがいろいろと
大島つむぎの
販売について
懇談会をしているわけですが、その席で、
中国南京地区の国営の
貿易会社の
締綱公司で百匹やはり
大島つむぎの
男物の
亀甲の
製品があった。そのうち三匹をおみやげとして買ってきたということで、
情報では、月に三十匹から四十匹の
生産がなされていると
関係者が語っていた、こういうことでございますが、五十三年以来、いま私が
認識しているところに従えば、
政府等で
中国と
交渉し、
伝産品はつくらないような
方向でということで
中国側も
理解している。しかも、
一元輸入であるから、管理も
政府としてはきちっと
輸入組合に対しても
行政指導もしてやっている。その内容は先ほど申し上げたようなことで、われわれもそれは
理解できるところでございますけれ
ども、しかしながら、こういうふうに実際に
生産されている
現品が出てきた以上は、それぞれ、一体どういうところでどんなふうにしてつくられているかということを
中国に一度でも、特に五十六年の
上海で買った物についてお聞きになったことがあるか、そしてこういう
現品が出てきたことに対して、
中国との
交渉においてどういうような
対応をされるつもりであるか、まずそのことを伺いたいと思います。