運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1982-08-05 第96回国会 衆議院 商工委員会エネルギー・基礎素材及び鉱物資源問題小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    本小委員会昭和五十七年四月九日(金曜日)委 員会において、設置することに決した。 四月二十一日  本小委員会委員長指名で、次のとおり選任  された。      稻村左近四郎君    植竹 繁雄君       浦野 烋興君    奥田 幹生君       梶山 静六君    島村 宜伸君       田原  隆君    野田  毅君       橋口  隆君    宮下 創平君       粟山  明君    上田  哲君       後藤  茂君    城地 豊司君       水田  稔君    長田 武士君       北側 義一君    宮田 早苗君       渡辺  貢君    石原健太郎君 四月二十一日  浦野烋興君委員長指名で、小委員長選任  された。 ————————————————————— 昭和五十七年八月五日(木曜日)     午前十時一分開議  出席小委員    小委員長 浦野 烋興君       植竹 繁雄君    奥田 幹生君       梶山 静六君    島村 宜伸君       田原  隆君    野田  毅君       野中 英二君    粟山  明君       上田  哲君    後藤  茂君       長田 武士君    宮田 早苗君       渡辺  貢君    石原健太郎君  出席政府委員         通商産業大臣官         房審議官    斎藤 成雄君         工業技術院長  石坂 誠一君         資源エネルギー         庁長官     小松 国男君         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       高橋  宏君         資源エネルギー         庁公益事業部長 川崎  弘君  小委員外出席者         通商産業大臣官         房審議官    池田 徳三君         商工委員会調査         室長      中西 申一君     ————————————— 八月五日  小委員城地豊司君及び渡辺貢君四月二十二日委  員辞任につき、その補欠として城地豊司君及び  渡辺貢君が委員長指名で小委員選任され  た。 同日  小委員田原隆君、宮下創平君及び水田稔君四月  二十八日委員辞任につき、その補欠として田原  隆君、野中英二君及び水田稔君が委員長指名  で小委員選任された。 同日  小委員石原健太郎君五月十四日委員辞任につき、  その補欠として石原健太郎君が委員長指名で  小委員選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  エネルギー基礎素材及び鉱物資源問題に関す  る件      ————◇—————
  2. 浦野烋興

    浦野委員長 これより商工委員会エネルギー基礎素材及び鉱物資源問題小委員会を開会いたします。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  先般、私がエネルギー基礎素材及び鉱物資源問題小委員長選任されました。御承知のとおり、本小委員会は、従来、エネルギー問題及び鉱物資源問題の調査を行ってまいりましたが、今国会から新たに基礎素材に関する問題の調査を加えて行うこととなりました。小委員各位の格別の御協力をお願い申し上げます。(拍手)  エネルギー基礎素材及び鉱物資源問題に関する件について調査を進めます。  最近のエネルギー情勢及び基礎素材産業現状について、政府から順次説明を聴取いたします。まず、小松資源エネルギー庁長官
  3. 小松国男

    小松政府委員 それでは最近のエネルギー情勢について報告させていただきます。お手元資料がお配りしてあると思いますので、その資料に沿いながら御説明いたしたいと思います。  まず第一に、当面のエネルギー情勢でございますが、国際石油情勢につきましては、お手元資料にございますように、全世界の原油生産というのが一九七九年から八〇年にかけては五%のマイナス、それからさらに八〇年から八一年については六・三%のマイナスと、二年続きマイナスになっておりますし、自由世界ではさらにその減少度合いが大きく、七%、八・五%と、二年続きでございます。しかも、その原油生産全体のしわがむしろOPECに寄っておりまして、その右の方にございますように、非OPECは逆に生産がふえておりますけれども、OPECはこの二年間、一二・九%、一六・〇%と、二年続きマイナスでございます。しかも、括弧内のシニア、一九八一年はOPECは五四%でございましたが、数字がそこに出ておりませんけれども、ことしの上半期は、OPECのシェアが四五%というふうに落ち込んでおりまして、OPEC以外の生産がふえ、全体の需要が落ちるという中で、全体の需給動向に与えるOPEC影響が弱まってきておるというのが現状でございます。  次に、OPEC原油生産でございますが、これはその下の方の表、一九八二年四月のところの一番下を見ていただきますと千六百三十万バレルということで、かつて三千万バレル以上つくっておったOPECが半減というような状態になっております。その後、ことしの五月千七百三十六万バレル、六月は千七百八十九万バレルというふうにふえてきておりますが、これは三月のOPEC臨時総会で、一番右の方にございますように、全体の生産シーリング千七百五十万バレルの各国別割り当てを実は決めたのですが、その各国別の、たとえばイランは百二十万の割り当てに対して二百二十万バレル六月には生産する、それからリビアは七十五万に対して九十万バレル、ナイジェリアは百三十万に対して百五十万バレル、こういうふうに財政事情、その国の事情で、どうしても生産上限を守れない国が出てきておりまして、これがさらに全体の需給にいろいろな影響を与えるということでございます。  次に、ページをめくっていただきまして、そういう影響を受けまして、現在の基準価格は三十四ドルで推移しているわけでございますが、スポット価格はその三十四ドルを下回るという状況でございまして、最近時は大体三十二ドル前後で推移しております。特に、ことしの七月九日、十日とウィーンOPEC臨時総会が開かれたわけですが、ここではついに七−九月の生産上限について決めることができなかった。さらに価格についても、ディファレンシャルの改定が行われ得なかったというようなことで、一応三十四ドルの基準価格は今後とも守るということになっておりますけれども、生産上限その他それに関連した価格動向については、依然として不透明な状態が続いておるという状況でございます。  次に、ページをめくっていただきまして、最近の主要先進国エネルギー需給動向について御説明いたしたいと思います。  まず、各先進国とも、全体としては経済の低迷ということがございますが、それ以外にエネルギー消費の節約、代替エネルギー導入、こういうものがございまして、エネルギー消費減少をたどっております。  そこの表にございますように、一九八一年、各国とも実質成長率イギリス、イタリアを除きプラスだったわけでございますけれども、エネルギー消費増加率は、逆にそれぞれ、そこにございますようにマイナスになっておる。特に一番右の欄にございますように、石油消費増加率というのが相当減少になっております。アメリカの場合も六・四%、日本五・六%、西ドイツ一〇%というようなことで、各国とも一方で経済成長が若干伸びながら、エネルギー消費、特に石油消費相当落ち込んでおるという状況でございます。  次に、その中で省エネルギーがどの程度進んでおるかというのは、下の方に各国省エネルギー状況という表がございますけれども、エネルギー消費単位というところで見ていただきますと、一番右の欄の一九七四年から八一年にかけて、年平均アメリカの場合でも二・四%、日本は四・一%、その他の国も大体二%台でエネルギー消費単位、いわゆるGDP原単位というのが落ち込んでおるわけでございます。特に一九八一年は、アメリカ四・三、日本四・七というように、相当省エネルギーが進んでおる段階でございます。  次に、ページをめくっていただきまして、石油代替エネルギー開発導入はどうなっておるかということでございますが、この表に書いてございますが、石油代替エネルギー供給増加率、一九八一年、それぞれ各国とも、イギリスマイナスを除きましては増加しております。特に日本石油代替エネルギーの一九八一年の増加率が六・一%、フランスの場合は一一・八%と際立って増加がふえている。その結果、石油依存度は、日本の場合も一九八一年は六三・四%に落ち込んでおります。その他の国は、フランスが五二ですが、その他は五〇%を割っておるというような状況でございます。  次に、わが国エネルギー需給動向でございますが、日本の場合にも、エネルギー需要全体、これは特にエネルギー消費産業でございます基礎素材産業中心とする景気の停滞、それからさらに省エネルギーの着実な進展、こういうことがございまして、前年度比で、昭和五十六年度は三二%減の四億一千六百万キロリットルというふうになっております。これは二年続き減少でございます。さらに供給面では、石油代替エネルギーが着実に伸びておりますので、石油依存度は急速に落ち込んでおりまして、五十四年度の七二%に対し五十五年度が六六%、五十六年度は六四%と石油依存度相当下がってきておるわけでございます。  さらに、その消費エネルギーGNP単位、いわゆるエネルギーGNP単位減少しておりまして、その下の表にございますように、一番右を見ていただきますと、昭和五十二年を一〇〇とした場合に、昭和五十六年は八五・九ということで、GNP一億円に対して二百十三キロリットルというところまで落ち込んできております。  次に、ページをめくっていただきまして、代替エネルギー供給状況でございますけれども、代替エネルギー供給につきましては、総供給という欄を見ていただきますと、逐年増加をしておりまして、特に五十四年から五十五年にかけては、そこにございますように一四・五%、それから五十五年から五十六年にかけては、増加率は二・六%と落ち込んでおりますが、代替エネルギー供給は着実に伸びております。内訳としては、石炭天然ガス原子力がその中心になっておるわけでございます。ただ、五十四年から五十五年にかけましては代替相当進みましたけれども、今後は、この石油代替相当努力をしないと比率は下がってくるという感じでございます。特に、原子力につきましては、今後相当努力を要するわけでございますが、現在稼働中の原子力発電所は、備考にございますように二十四基で千七百十八万キロワットという状況でございます。  さらに、それを受けまして、日本原油輸入量、これが相当落ち込んでおりまして、五十六年度は二億三千万キロリットルでございまして、前年度比七・六%の減でございます。五十六年度の燃料油販売量は一億九千五百万キロリットル、これも前年度比七・〇%の減少でございます。その下の表を見ていただきますと、一番左の方にございますが、燃料油全体では、五十六年度が七・〇%の減、ことしに入りましても、四−六月でさらに前年比五・七%の減というふうになっております。減の内訳は、ガソリンと軽油それから灯油が大体横ばいというような状況でございますが、特にナフサ、C重油中心相当需要の落ち込みという状況になっております。  次に、ページを開いていただきまして、そういう状況の中で原油輸入価格はどうなっておるかということでございますが、ドルベースでは、ここにございますように、徐々に低下しております。もちろんスポット価格と違いまして長期契約でございますので、スポット価格のような急速な低下はございませんけれども、ドルベース原油輸入価格は着実に低下しておるわけですが、御承知のように、円安の傾向が続いておりますので、これを円ベースに直しますと、必ずしも下がっていない、むしろ上昇基調にあるわけでございます。六月が五万二千四百十二円というふうになっておりますが、これは六月の為替レートが二百四十三円六十六銭ということで計算したもので、現在のように、二百五十五円から二百六十円というような状況になっておりますと、この原油価格円ベース相当高い状況である。これが石油産業の現在の経営状況を悪化させ、国内の油の価格を上げざるを得ない状況の原因になっておるわけでございます。  次に、最近のエネルギー問題をエネルギー政策との関連で御説明したいと思います。  まず、こういう状況を踏まえまして、政府といたしましては、「長期エネルギー需給見通し」をこの際確立する必要があるということで、四月の二十一日に、総合エネルギー調査会需給部会から「長期エネルギー需給見通し」の改定の報告が行われました。  この内容につきましては、そこの表にございますように、今回見直しを行いまして、昭和六十五年度の全エネルギー需要量を五・九億キロリットル、これは改定前は七億キロリットルでございますが、これを五・九億キロリットルに改定いたしました。それに対する石炭原子力天然ガス水力、地熱、新エネルギー石油というものについて、その内容がそこに記されておりますが、特に一番下の石油につきましては二・九億キロリットルということで、昭和六十五年度には依存度が約五〇%、四九・一%というふうになっております。その他、石炭原子力天然ガス、これにつきましては、今後の供給相当大きく期待されるわけでございます。  次に、代替エネルギー政策でございますが、こういう長期需給見通しを踏まえまして、現在のような石油需給状況の中でも代替エネルギー政策は着実に進める必要があるということで、この見通しを受けまして、石油代替エネルギー開発及び導入促進に関する法律に基づきます政府石油代替エネルギー供給目標というのを改定いたしております。これは七億キロリットルに対して五・九億キロリットルと減りましたので、供給目標も三・五億キロリットルから三億キロリットルというふうに落ちておりますが、その内訳は、その上の表にございます石炭以下石油を除く数字をそのまま代替エネルギー供給目標として決めたわけでございます。  さらに、代替エネルギー開発導入政策を進めるために、総合エネルギー調査会石油代替エネルギー部会を設置いたしまして、現在そこで今後の石油代替エネルギー開発導入政策についての見直し、今後のあり方についての政策の検討を行っておるところでございます。  次に、八ページ真ん中にございます省エネルギー政策でございますが、これは現在のようなエネルギー需給状況の中におきましても、省エネルギー政策は従来どおり、またもっと着実に進める必要があるということで、従来の冷房、レジャー、こういうものに対する国民各層に定着した省エネルギーマインドは今後とも進めるわけでございますが、今後は、さらに長期的な観点に立った技術開発導入ないしは設備投資というふうに、もっと総合的な観点から省エネルギーを進めるということで、特にことしの普及広報のキャッチフレーズといたしましては「くふうでさわやか夏省エネ」ということで、いままでのがまんでできるだけ下げるということ以上に工夫をし合理化をする、そういうことによって長期的な観点から省エネを進めるという方向省エネルギー政策推進をしておるところでございます。  次に、電源開発でございますけれども、これも「長期エネルギー需給見通し」の改定を受けまして、四月二十二日に電気事業審議会需給部会から、昭和六十五年度の電源開発目標についての答申をいただいております。  これは、全体としては、そこの表の一番下にございますように、昭和六十五年度に二億九百万キロワットということでございまして、今後エネルギー全体の中で電力比率が高まっていくわけでございますので、そういう中で電力開発目標を決めておるわけでございます。特に原子力につきましては、その下から二番目の欄にございますが、昭和六十五年度四千六百万キロワットというのを目標立地促進を図っていきたいというふうに考えております。  さらに、今後の原子力開発一環としまして、その下の方にございますが、再処理後のプルトニウム利用その他を含めた新型転換炉の建設問題、これにつきましては、今後実証炉の建設に取りかかる必要がございますので、原子力委員会の要請を受け、電気事業連合会の協力のもとに、電源開発がこのATRの実証炉建設主体となって今後この推進を図っていくという方針を決めております。  次に、そういう全体の電源開発目標を受けまして、ことしの七月九日に開かれました第八十八回電源開発調整審議会におきまして、長期電源開発目標を決めますと同時に、今年度、昭和五十七年度の着手目標量といたしましては、合計で一千万キロワット、水力百、火力五百、原子力四百、こういうことで五十七年度の着手目標量を設定しております。  さらに、電源立地推進を図りますために、これは電調審以前の段階でございますが、九州電力の玄海三、四号機については、この七月十六日に公開ヒヤリングが行われて立地推進が図られておるわけでございます。  次に、石油政策でございますが、石油政策につきましても、五月二十五日に石油部会において五十七年度の石油供給計画を決めております。これはその下の表にございますように、五十七年から六十一年までの石油供給計画が、数字が決められているわけでございますが、原油処理量の項を見ていただきますと、五十六年度の実績が三百五十四万バレル・パーデーでございますが、これが六十一年度におきましても三百六十六万バレル・パーデー、それから参考のために下に書いてございますが、六十五年度の長期需給見通しでも、原油処理量は三百七十万バレル・パーデー、こういうことで、日本石油需要動向につきましては、今後若干伸びますけれども、ほとんど横ばい状態で推移するという状況でございます。  次に、ページをめくっていただきまして、以上の石油供給計画に基づきまして現在五百九十四万バレル程度原油処理設備があるわけでございますけれども、先ほど見ましたように、三百七十万バレルぐらいで横ばうというようなことになりますと、現在の設備相当過剰になるわけでございます。相当供給余力適正稼働率その他を見ましても、少なくとも百万バレル程度は、現在の石油精製設備は過剰ではないかということで、石油供給計画を決めましたときに、同時に百万バレルの処理目標というのも決めております。ただ、これにつきましては、この百万バレルを各社一律にやるというようなことでは意味がないわけでございまして、むしろ今後の石油業界全体の体質改善のために、非能率の設備を落として高能率設備生産を集約する、それから全体としての業界グループごとに、そういう生産集約化を図るというようなことで、業界の再編成、体質改善とあわせて、この処理目標を達成する必要があるわけでございますので、そういう観点から石油部会の小委員会の意見なども徴し、また業界の考え方なども十分ヒヤリングを行いながら、今後の方針を決めていきたい。特にこれについては、体質改善とつながる方向過剰設備処理したいというふうに考えております。  以上が国内関係の現在進めておりますエネルギー政策の概要でございますが、さらに国際的な動きといたしましては、IEA閣僚理事会がございまして、ここでも現在のエネルギー需給緩和状態の中で、なおかつ省エネルギー代替エネルギー推進エネルギーRアンドD重要性、それから産消対話というようなことを、わが方も主張しましたし、その路線に沿ってIEAとしては、今後も変わらぬエネルギー政策を進めることが確認されております。これはベルサイユ・サミットにおいても同様のことが確認されております。  さらに、OPECウィーン総会の件は、先ほどお話し申し上げましたし、それから最近の一つ問題点としては、サハリン石油天然ガス開発につきまして、アメリカ対ソ制裁一環としてこの探鉱、開発が若干むずかしい問題が出てきておりますが、これも対ソ制裁についてアメリカ措置そのものについては、わが方としても、わが方の立場からその再考方を要請しておりますが、同時に、そういう措置の中でソ連との調整を図りながら、現在サハリンのプロジェクトについては、その探鉱開発を進めておるという段階でございます。  以上、簡単でございますが、最近のエネルギー情勢に関して報告させていただきました。
  4. 浦野烋興

    浦野委員長 次に、斎藤審議官
  5. 斎藤成雄

    斎藤(成)政府委員 お手元に配付してございます「基礎素材産業現状について」というペーパーに関して御説明を申し上げます。  基礎素材産業位置づけでございますけれども、真ん中辺に表がございますように、三つ目の欄に「全製造業」と書いてございますけれども、わが国製造業を大きく三つに分けまして、たとえば自動車でございますとかカメラでございますとかいった機械類、それをここでは「加工組立産業」と称しております。それにその素材となるものを提供する分野加工組み立て産業だけではございませんけれども、そういった材料を提供する産業というのを「基礎素材産業」としてまとめてございます。ですから、この二つの業種のほかにその他の分があるわけでございまして、たとえば織物とかアパレルをつくる分野あるいは雑貨の製造とかそういった消費財分野がこのほかにもう一つ業種としてあるというふうに御理解をいただきたいわけでございます。  こういうふうに分けましたときに、特に基礎素材産業加工組み立て産業の性格がきわめて対照的に出ておるというのが特徴でございまして、従業員数で現在その表の一にございますように、全製造業従業員の一八%を占めておりますけれども、これは過去多い時期には、昭和四十年ごろは基礎素材産業は二五%近いウエートを持っておりました。それが最近は徐々に落ちてきて一八%になっております。製造品出荷額付加価値額はごらんのとおりでございますが、有形固定資産額のところで、加工組み立て産業と比べましても基礎素材産業の持っておりますウエートが大変高いということが特徴としてあらわれようかと思います。  そういう素材産業位置づけでございますけれども、そのページの上の方にありますように、自動車等加工組み立て産業あるいは建築業といったいろいろな業種に良質な素材を安定供給して、その競争力を支えている産業であるというのが第一の特徴。それから二番目に、全国各地立地をしておりまして、雇用の確保、地方財政安定等に大変重要な役割りを果たしております。それから今後の問題を考えますと、素材産業はいろいろ技術革新の期待されている分野一つでございまして、そういう意味日本経済の今後の発展にやはり不可欠の分野である、こういうふうに認識をしているわけでございます。  現状がどうかというのが真ん中から下でございまして、下の方のグラフにございますように、加工組み立て産業と比べましても全く対照的な動きを示しております。左側のグラフ生産動きでございますけれども、全製造業が一番最近の時点、本年第一・四半期で一五六でございますけれども、それに対して加工組み立て産業は二一三、基礎素材産業の場合一一六ということで、非常に生産が低迷しておるという状況にございます。それからその右の稼働率グラフにも同じような傾向が出ておりまして、全製造業の一一四に対して基礎素材産業は一〇二ということで、五十年水準にすれすれぐらいまで稼働率が落ちているわけでございます。  こういった加工組み立て産業との跛行性が非常に拡大をしておりますために、(1)のところに書いてございますように、「雇用関係中小企業地域経済への悪影響が出始めている。」わけでございます。その原因としては、(2)のところにございますように、第二次石油危機以来ナフサとかチップとかいろいろそういった原材料の値上がりがございます。それから電力石油エネルギーコストの上昇ということが一つ。それからそういったエネルギー供給構造が国によって違うものですから、日本のように石油依存度の高い国の場合は相対的に不利になりまして、国際競争力が低下している。それからまた製品の特質からいいまして、差別化が困難なものですから、過当競争が行われている、そういう供給面での問題がございますし、それに需要面では、内需の低迷、価格変化による需要構造の変化、要するにほかの方へ需要が移るという問題が出ておりまして、大変厳しい状況にございます。  あと、主要な産業について御説明を申し上げます。  二ページ以下でございますけれども、第一がアルミでございます。これも表でごらんのとおりでございまして、五十三年以来、経常利益は五十四年、五年と特安法の施行後ややいい時期もございましたけれども、昨年、五十六年は六百二十八億の赤字、それに加えましてそれ以前からの赤字の累積がございまして、昨年累積赤字が九百四億円に達しております。稼働率は、真ん中辺にございますように、だんだん悪くなってまいりまして、一番右の端、本年五月の状況では稼働率三〇%で、注のところにございます「設備処理による休止を除いた場合」には、いまの稼働率が五一にまで戻りますけれども、なお半分の状況にございます。市況は、その下にございますように、一時特安法施行後ややいい時期もございましたけれども、最近はトン当たり二十九万円という大変低い状況にございます。海外市況も同様に悪化をいたしております。これに伴いまして、たとえばアメリカのアルミ大メーカーでも、カイザーとかレイノルズといったところは赤字の状況にございます。  それから、石油化学工業でございますけれども、真ん中から下の表にございますように、特に昨今悪くなってまいりまして、五十六年、昨年の赤字がエチレンセンター十二社で二百九十七億円。その下の方でごらんいただきますと稼働率真ん中辺にありますけれども、昨年が五九%、本年五月で六一%という状況でございます。特徴的なのは輸入でございまして、その下にございますけれども、エチレングリコール、括弧の中に輸入比率が出てまいりますけれども、五十三年は四%程度しか輸入してなかったのが本年五月では三〇%、スチレンモノマーは、昨年よりはやや減りましたけれども七・七%、アクリロニトリルに至りますと、五十三年ごろは一%にも満たなかったのが本年五月は三四・五%という状況で、これは一つにはコストが上昇して、また他方、内需が落ちているということがありますけれども、先ほどの外国とのエネルギー供給構造の差によりまして、天然ガスなどを原料とするアメリカとかカナダ製品などが大量に入ってきておるということが大きな原因になっております。  それから、その次のページが化学肥料でございますけれども、これもごらんのとおり、経常利益の欄はずっと三角が続いておるわけでございまして、赤字続きでございます。稼働率はその下の方にございますけれども、これも大体六〇%あるいは五〇%台を低迷しておるということでございます。この原因もやはり原燃料価格の高騰によるコストの上昇、輸出の減少あるいは内需が横ばいであるといったような状況に基づくものでございます。  それから四番目が紙パルプでございますけれども、これは昨年いろいろ政策努力、行政指導による努力が行われまして、設備投資の抑制を昨年の九月から行い、あるいは需給協議会をつくりまして四半期ごとの生産のガイドラインを示すというようなことで、業況はとりあえずはよくはなっておりますけれども、過剰設備の存在あるいは輸入の増大など構造的な問題がございまして、これについての取り組みが必要なわけでございます。下の(2)の輸入量でごらんいただきますと、特徴的に出てまいるかと思いますけれども、新聞用紙は、五十年、これは一%台の輸入であったのが、昨年は六・二%、それからまたクラフトライナーは一・一%程度であったものが、昨年は一五・五%というような急激な伸びを示しているわけでございます。  駆け足で申し上げましたけれども、以上のように基礎素材産業現状は大変厳しいものがございます。通産省としましては、これらの産業につきまして、産構審の関係部会の答申等の方向を踏まえて、業界もいろいろ自主努力をしておりますし、政府としてもこれにいろいろ支援をするというために、税制金融上の措置とか環境整備のための法的措置など総合対策を検討する必要があろうと考えておりまして、昨日産業構造審議会の総合部会に基礎素材産業対策特別委員会というのを設置していただきまして、今後関係各界の御参加を得まして、さまざまな角度から審議をしていただき、所要の対策を決めてまいりたいと考えているわけでございます。  以上、簡単でございますが、現状を御説明申し上げました。
  6. 浦野烋興

    浦野委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。植竹繁雄君。
  7. 植竹繁雄

    植竹委員 まず、質問の初めに当たりまして、このたびの九州地方並びに十号台風により被災された方々に対しまして、心から御見舞い申し上げる次第でございます。  さて、時間も非常に制約されておりますので、簡単に要点だけ伺いますが、答弁の方もできるだけ簡略にお願いしたいと思います。  まず第一に、エネルギー問題について伺います。最近の景気動向は、内需の停滞ばかりか輸出も大幅に落ち込んでおりまして、五十七年度の成長率五・二%の改定は必至だ、特に今年度後半の回復を待つわけですが、三%台に落ち込むのじゃないか、そういうことが言われておりますけれども、ことしの四月に改定の行われた「長期エネルギー需給見通し」の昭和六十五年度のエネルギー需要原油換算五億九千万キロリットルの数字も変わってくるんじゃないか。というのは、この数字経済成長率を五%ということを想定して計算されたものだ。そういう点につきましてエネ庁の御見解を伺いたいと思います。
  8. 小松国男

    小松政府委員 いま先生御指摘のように、私どもの「長期エネルギー需給見通し」というのは、経済社会七カ年計画のフォローアップの数字でございます。経済成長率五ないし五・一%、これを一応のめどにいたしまして、それに対してエネルギー供給の立場から安定供給を確保するということで需要見通しを立てておりますので、そういうことで確かに五・九億キロリットルという数字が出ておるわけでございます。  確かに御指摘のように、最近の経済の低迷、それから長期的に見て五%の成長が可能かどうかというのが論議されているのも事実でございます。そういうことで、私どもの計画もそういう前提で見通しを立てておりますので、将来経済事情が変わり、経済の成長テンポ、そういうものがはっきり変わるということになれば、当然その事情の変化に応じて長期需給見通し改定も行わざるを得ないというふうに思っております。そういうことで、その辺は今後とも弾力的に対応していきたいというふうに思っております。  ただ、私どもの目標自身は相当省エネルギーとか代替エネルギー開発導入を、国民的目標ということで最大限の努力を期待しておりますので、経済成長率とすぐダイレクトにリンクするというものではございません。ただ、御指摘のような経済事情が変わりますれば、当然その辺の状況を勘案して長期需給見通しについての見直しも行う必要があるというふうに考えております。
  9. 植竹繁雄

    植竹委員 その点はよくわかりましたが、ただ、実質上もうすでに経済成長率というものは、アメリカの高金利政策によって変わることがはっきりしておるわけですから、余りにいまの数字をそのままいつまでも引っ張っていくというのはどうかと思いますが、ほかの産業に与える影響も大きいものですから、その点は慎重に、かつ迅速に対応できるような体制をとっていただきたいと思います。  さらに、そういう長期エネルギー対策が変わるとすれば、石油代替エネルギー供給目標も、昭和六十五年には三億五千万キロリットルから三億キロリットルに変わって、大体今月ですか、代替エネルギー政策のあり方の中間答申の取りまとめが行われるということになっておられるようですけれども、その代替エネルギーのメーンは何といっても原子力であり、強力に今後その開発が積極的に推進されねばならないということでございますので、その原子力エネルギー開発につきましても五千三百万キロワットから四千六百万キロワットに下方修正されることになったのは、ある意味ではまことに遺憾なことでありますけれども、なぜこういうようになったか、その辺の原因について伺いたいとも思いますし、また、その目標につきましてどういうふうな対処をせられているか、政府の御見解を伺いたいと思います。
  10. 小松国男

    小松政府委員 全体のエネルギー需要が減った中で、代替エネルギー開発導入、これはもう最大限の努力を払って脱石油を図っていきたいというふうに私ども実は考えて、今回の需給見通しの作業も行われたというふうに承知しておるわけでございますけれども、その中で、どこまで代替エネルギー開発導入ができるか。そのメーンが確かに先生言われるように原子力石炭、LNGでございますが、特に原子力につきましては単に量の問題だけではなくてコストの問題、こういうことも考えますと、原子力開発導入は国民的なコンセンサスを得た上でできるだけ導入していきたいということで考えております。  その結果の数字でございますが、確かに五千三百万キロワットを四千六百万キロワットに下げざるを得なかったという意味で、そこはまことに私どもとしても残念でございます。ただ、この四千六百万キロワットについては、仮に今後のエネルギーの全体の需要が落ち込みましても、安定供給、それからエネルギーのコストの低減、こういうことを考えますと、ぜひ地元の理解、それからそういうものについての技術開発、こういうものを進めまして、ぜひその目標は達成していきたいというふうに思っております。
  11. 植竹繁雄

    植竹委員 しかし、その原子力発電の目的を達成するためには、何といっても一番の問題は、この開発が計画してから達成するまで非常に長期間かかる、大体十五年ぐらいはかかるというところにも大きな問題があるんじゃないかと思います。  ちなみに、この電源立地関係の手続を見ますと、法律には三十三の法律もありますし、またその届け出の関係は六十六と非常に広範多岐にわたっておるわけであります。特に、電源開発調整審議会にかかるまでにも五年間もかかっておるわけです。それ以後また科学技術庁の安全委員会の方においてさらに四年間、合計九年間、そして計画認可から達成まで六年間、まあ十五年かかっているわけですけれども、この間において、電発審の審議会が行われる前に第一次の、第一回の公開ヒヤリングがある。そして安全委員会のときに第二次のヒヤリングがある。しかし実態は、ヒヤリング、公聴会をやった場合に、地元の反対する人はほとんど出ないということで意味がないのじゃないか。したがって、一次のヒヤリング、二次のヒヤリングというものを、二回行わないで一つにしたら非常に短縮されるのではないか。これが大体二年近くかかっておるということであれば、一つにしてもいいのではないかと私は思うのですが、その点についてちょっと御見解を伺いたいと思います。
  12. 川崎弘

    ○川崎政府委員 お答え申し上げます。  確かに原子力立地の場合には、公開ヒヤリングを二回実施いたしておりますが、これは昭和五十一年七月に原子力行政懇談会というのが設けられまして、地元の理解と協力を求めるために、こういう公開ヒヤリングを開けということになったものでございます。ただ、この公開ヒヤリングは、第一回目は通産省が主催いたしまして、電調審の前に地元の理解と協力を求めるということで実施するものでございまして、第二次の公開ヒヤリング電調審の後に、今度は原子力安全委員会が安全審査のために実施するものとなっております。  私どもといたしましては、この公開ヒヤリングが、原子力立地の円滑化のために地元の理解を求めるということで実効が上がるよう努めてまいったところでございます。したがいまして、先ほど先生も御指摘になりましたけれども、反対派の方々も積極的にこれに御参加いただいて御議論いただくように、いろいろと努力をしてまいったつもりでございます。しかしながら、今後さらに改善すべき点がございましたら、そういったものをヒヤリングのあり方に反映させていくように努めてまいりたいと考えております。
  13. 植竹繁雄

    植竹委員 いまのお話で、改善すべきと言いますが、実態は、地元の理解を得るためにやっても地元が出ないということであれば、もう余り意味がないのじゃないか。したがって、これを電開審の前にやるか後にやるか、そういういつやるかについては、またいろいろと検討の余地があると思いますが、いずれにしろ、それを一つにしてもいいのではないだろうかと思うのですが、その点どうでしょうか。
  14. 川崎弘

    ○川崎政府委員 現在の二回のヒヤリングと申しますと、一回は通産省がやる、もう一回は原子力の安全審査のダブルチェックのために科技庁の原子力安全委員会がやるということになっておりまして、そちらの原子力安全委員会が主催で行われるものについて、私どもの立場でコメント申し上げるのはむずかしいというふうに考えております。そういう意味で、その基本的なフレームワークを当面すぐに変えるというのは非常にむずかしいと判断いたしておりますけれども、今後の問題として、貴重な御意見として伺っておきたいと考えております。
  15. 植竹繁雄

    植竹委員 その点、今後に検討していただくといたしまして、さらに、たとえば原子力発電所が第一回目に許可された。それでこれを増設する場合にも同じような経過があるということであれば、増設の場合は、それだけのヒヤリングは必要ないのじゃないかと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  16. 川崎弘

    ○川崎政府委員 先ほどお話しいたしました原子力行政懇談会、ここで公開ヒヤリングを開くように決められたのでございますけれども、この内容といたしましては、「当面は、原則として原子力発電所を設置する際には全て実施することによりその定着化を図り、その成果をふまえて制度化、開催条件等の諸問題について検討を行うことが必要である。」こういうことになっております。したがいまして、われわれとしては、当面のところはやはり発電所設置ごとにやる必要があるのではないかということで進めております。ただ、やり方自体については、今後さらに改善すべきという点については、それを検討していこうというふうな気持ちでおります。
  17. 植竹繁雄

    植竹委員 また、第二臨調の第二次答申において「電源開発立地に係る関連許認可」のあり方についていろいろ出ておるわけです。これについて、たとえば電調審前後における事前調査を円滑に実施するとか、また認可手続等をスムーズに実施するとか、また中央、地方の連絡、所轄関係のもたれ合いということがいろいろ指摘されております。こういう点について、実施すれば二年は短縮されると言われておりますけれども、その辺に対する見解を伺いたいと思います。
  18. 川崎弘

    ○川崎政府委員 確かに原子力発電所立地に伴いますリードタイムは非常に長くなっております。したがいまして、その短縮化の努力という点につきましては、二つの方向があると思います。一つは、地元の説得、これは電力会社が主として実施するものでございますが、これが必要でございます。もう一つは、電源立地に伴います各種の制度的な手続を円滑化していくことでございます。  この点につきましては、先般の総合エネルギー対策推進閣僚会議あるいはその臨調の答申というのが出ておりますので、われわれは現在、関係省庁と個々の事例を中心にいたしまして、どうしたら円滑化が進むだろうかという具体的な方策を協議しているところでございます。こういうところでわれわれが考えておりますのは、具体的には各種手続の早期の実施と効率的な処置、それからさらに着工後に至りましては、今度はこれは電力会社の問題でございますが、工法の改善等によります建設期間の短縮、この辺を含めまして、大体二年程度のリードタイムの短縮を可能にしたいということで現在努力いたしております。  ただ、電源立地手続というのは、先ほども先生が三十三の法律というふうにおっしゃいましたけれども、この辺は地点によりまして非常に多種多様でございます。したがって、一律の解決を図るということもなかなかむずかしい面もございますので、個々の許認可等に対しまして具体的に問題が生じませんように関係省庁の連絡を緊密にしていく、そういった配慮も一面重要であろうというふうに考えております。
  19. 植竹繁雄

    植竹委員 次に、先般問題になりました四国電力が計画していた窪川町原発をめぐってリコール問題にも発展して、全国で初めての住民投票が行われたということがあるわけですが、いわゆる原発条例について伺いたいのです。  わが国の将来の明暗を託すエネルギー問題、特に原子力問題を、一地域の住民の判断によっていろいろ云々されていいのか、重要な問題だと思うのです。このことは地方自治法の問題ばかりか、本当に議会民主主義制度そのものの問題にも関連してくる、まことに重要な問題でございますけれども、今後、原子力あるいは先端技術のようなものに関して、こういうことが行われることが果たしていいかどうか。そういう点について、本来なら自治省にも伺いたいのですが、きょうは来ておられないようなので、エネルギー庁としての御見解を伺いたいと思います。
  20. 川崎弘

    ○川崎政府委員 原子力発電所立地のための地元住民の方々の理解と協力、これが非常に重要であることは言うまでもございません。ただ、現在の日本の政治システムと申しますか、これが議会制民主主義あるいは間接民主主義という形になっている以上、住民投票の制度というのはシステムとしてはございません。したがって、このようなシステムを導入すべきかどうか、これはわが国全体の政治決定システムであるとかあるいは地方自治制度のあり方に関連する問題でございまして、私どもは、その原子力発電所立地というふうな問題について、こういう住民投票制度を導入することは必ずしも妥当ではないというふうに考えております。  また、一般論というふうな点から見ましても、原子力発電は高度の専門技術を必要とする、そういった専門性があるということ、それから国のエネルギー政策全体にかかわる問題ということでもございます。したがって、これの設置の可否を住民投票にかけて判断するというのは必ずしも妥当ではないというのが私どもの判断でございます。われわれといたしましては、現在の議会制民主主議という仕組みを前提として考えますと、地方、地元の自治体の首長の方々あるいは議会の方々、議会の意向というものを尊重してまいりたいというふうに考えております。  御指摘の窪川町の住民投票条例につきましては、これはリコールを受けられた町長が選挙公約としてこの制度を掲げて当選されてまいりまして、それで実施するということになったものでございまして、これはかなり特殊な政治状況のもとで成立したものと理解しております。いずれにいたしましても、われわれは、今後の窪川町の地元住民の合意形成の成り行き、こういったものを注意深く見守ってまいりたい、そういうふうに考えております。
  21. 植竹繁雄

    植竹委員 いまのお話で、これは妥当でないというような御意見ですが、そういう点につきましては、関係省庁と十分検討してスムーズに事が運ぶようにお願いしたい、特に要望しておく次第でございます。  さらに、原子力電源問題について、実は重要な問題は廃棄物の問題でございますが、たとえば燃料の問題にしましても、燃料が使用された時期と、そして使われて廃棄物になった廃棄処分の時期というものは非常にずれがあるわけです。十年以上もあるという場合に、各電力会社においては、これを廃棄するときに非常に多大な経費もかかる。今後原子力発電というものがますます進めば進むほど、とてもその廃棄する時期の電力会社の経営内容ではやっていけない。そのためには、どうしても、あらかじめ初め発電するときに準備金とかそういうものをとる必要があるんじゃないかと思うわけですけれども、これは燃料廃棄物あるいは炉の問題、それにも関連してくる問題と思いますが、こういう準備金制度についてどういうふうに考えておられるか、御見解を伺いたいと思います。
  22. 川崎弘

    ○川崎政府委員 原子力発電に伴いまして、いわゆるバックエンド費用というものがございますが、その中には、先生いま御指摘の再処理の費用あるいは廃炉の費用、それから放射性廃棄物の処分の費用、こういったものが含まれるわけでございます。こういった費用というのは、発電時点で費用が発生しているというふうに、つまり核燃料を燃やしたところでそういった費用が発生していると考えられるわけでございますが、これを実際に再処理であるとかあるいは廃棄、廃炉ということが行われた、完了した時点で費用として計上いたしますと、御指摘のとおり、後の世代にそのツケを回すということで、料金上も公平を害するということが考えられます。  実は、昨年の十二月に電気事業審議会の料金制度部会というのが開かれましたけれども、いま申し上げましたような観点で、使用済み核燃料の再処理費用、これは引当金として電気料金に算入することが望ましいということの中間報告を受けております。ただ、先ほど申しました放射性廃棄物の処分費用であるとか廃炉の費用というものにつきましては、確かにそういう費用が発生するわけでございますけれども、現段階では合理的な費用見積もりを行い得ない、そういう要素が欠けているということでございまして、この点につきましては、引き続き内外の事態の推移を見きわめながら取り扱いを検討すべきである、そういうふうな中間報告が出ております。  当省といたしましては、これらの原子力バックエンド費用、これの電気料金制度上の取り扱いにつきまして、ただいま申し上げました中間報告の趣旨を尊重いたしまして、適切な範囲のコストというものにつきましては、準備金の創設等制度的な対応をやってまいりたい、そういうふうに考えております。
  23. 植竹繁雄

    植竹委員 その点については慎重に検討していただきたいと思います。ちなみに、大体一トン当たり四千万ぐらいかかると伺っておりますので、どうか慎重に検討して、ぜひ実行できるように御協力いただきたいと思います。  時間もありませんので、他に伺いたい点もありますが、基礎素材産業関係の不況対策について伺いたいと思います。  昨今の景気で、アルミ、石油化学あるいは石油精製、紙・パ、化学肥料、フェロアロイ等の素材産業は、企業自身の存立の問題まで持ち上がっておるものも幾つかあるわけでございますが、こういう基礎素材産業、先ほども説明があったように、何といっても、わが国経済でこれをなくすわけにもいかないし、何とか存立させていかないとということでございますので、といって、これが各企業自身の自主努力によって解決していくものではない。何といっても政府による援助なしではやっていけないということを考えまして、先般来、昨日も特安法につきまして、中小企業庁長官からこの点について、来年切れる特安法の後はどうするか。これは新しい改定あるいは新特安法というようなものも御検討いただけるような御発言をいただいて、私どもも非常に期待をしておるわけでございますけれども、もし新特安法ができた場合に、現行法で設備処理のための指示カルテルに限られている独禁法の適用除外の範囲を、共同生産あるいは共同販売、共同購入等に拡大することによってやっていくのがいいんじゃないかと思うのですが、この点について通産省はどういうふうに考えておられるか、伺いたいと思います。
  24. 斎藤成雄

    斎藤(成)政府委員 基礎素材産業につきましては、御指摘のとおり再活性化あるいは構造改善のためにどういう措置をとるかということが目標でございますから、これについて十分検討していくわけでございますけれども、その際には、御指摘のように現行特安法の設備の共同廃棄に係る調整措置だけで十分であるとも思えないわけでございまして、総合的な対策の一環として、生産の受委託とか生産の共同化あるいは共同化等の事業の集約化等について調整が必要になるのではなかろうかというふうに考えているわけでございまして、ただ、具体的スキームにつきましては、まだ先ほども申し上げました産業構造審議会その他でいろいろ御検討をお願いする状況でございますから、今後の問題として検討してまいりたいと考えているわけでございます。当然のことでございますけれども、検討に当たっては公正取引委員会とも十分相談をしてまいりたいと考えております。
  25. 植竹繁雄

    植竹委員 時間もないので、あと二つだけ伺いたいと思いますが、アルミ業界では、関税免除措置に続く救済措置として、電力コストの軽減措置を強く要望しておるわけでございますが、今度の、新しく考えられると言われる新特安法の中で、電力消費産業に対する電力料金負担の軽減措置を盛り込むことをお考えになっておられるかどうか。この点も、いまのお話では今後の問題だということですが、お考えはあるのでしょうか、どうでしょうか、その辺もちょっと伺いたいと思います。
  26. 川崎弘

    ○川崎政府委員 アルミ製錬に使われております電気、これは三つぐらいの電気の供給形態があろうかと思いますが、一つは自家発で水力等でやっているもの。それから大部分を占めますのが石油火力を共同火力という形で実施しているもの。それから最後に、これは余りウエートは大きくなくて一割程度しかございませんけれども、一般の電気事業者から買電しているもの。大体三つぐらいの電力供給ソースがございます。  現在われわれといたしましては、共同火力につきましては、そこから大きく供給を受けているということもございますので、まず石油火力を安い石炭火力に転換しようということで、その建設費の補助あるいは財投の低利融資等を進めておりますし、もう一つは共同火力の操業といいますか、発電所の運転につきまして電力会社に協力させまして、極力これを効率的に運営させる、そういうことによりまして電力コストの引き下げを図っているところでございます。  また、余りウェートは高くございませんけれども、九電力からの買電分につきましては、いわゆる需給調整契約というのがございますが、これを活用いたしまして、アルミ産業の方が負荷調整において協力をするという前提のもとに電気の供給を効率的に行う。そのメリットをアルミの産業側に還元するということで、電力コストの低減策を図っているところでございます。  ただ、何か政策料金というふうな形で、これをたとえば法案に書くというふうな問題につきましては、私どもといたしましては、電力消費型のそういった産業に対して政策料金を導入するということになりますと、実は、それらの産業以外の他の需要家の負担を増加させるということになりまして、これはほかの需要家を差別的に取り扱うということになりますので適当ではないというふうに判断いたしております。
  27. 植竹繁雄

    植竹委員 最後の問題として、石油化学について伺いたいと思いますが、今年四月に原料ナフサ対策がなされまして、ヨーロッパに対してはある程度対応できるようになりましたが、何といっても先ほどお話にありましたように、北米の安い天然ガスによるものについては対応できない。そして第二段の対策として、石油税の還付や備蓄義務負担の軽減ということがまた重要じゃないかと思いますが、この点について伺いたいのです。  そしてさらに、八月三日の朝日新聞に、経団連が要望している石油化学のアンチダンピング関税の発効について出ておりましたけれども、それに対して通産省の方は、通商摩擦を再燃させかねないから、これらの措置を考えることはないという御見解でございます。しかし、貿易摩擦というものについては、アメリカであっても日本として言うべきことははっきり言う。向こうとしてそれに対してリーズナブルな問題がある場合には、こっちも慎重に検討していく、それが本当の米国と日本との理解じゃないかと思います。やはり相手が言わないのに、先に旗を掲げていってはいけないじゃないか、そういう点を私は強く通産にも要望いたすと同時に、この新聞に出ておりますようなアンチダンピング法、アンチダンピングという点についてどう考えておられるかお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  28. 池田徳三

    ○池田説明員 お答え申し上げます。  近年米国、カナダからの石油化学製品の輸入は急速に増加していることは御承知のとおりでございます。この輸入の急増に対しまして、業界でエチレングリコール、スチレンモノマーにつきましてダンピング提訴の検討が行われているということは承知いたしております。  いま先生御指摘のとおり、ダンピング関税そのものはガットルールにのっとった制度といたしまして、要件が整えば、その発動ということは問題がないところでございます。ただ、ダンピング提訴を受けまして、その政府調査を開始するか否かの大前提につきましては、ダンピングの事実、それから損害の事実、その間の因果関係につきましての十分な証拠があるということが前提でございます。不当廉売関税それから相殺関税につきましては、関税定率法それから同法に基づく関係政令で一応国内法制の整備はすでになされておりますけれども、日米の話し合いでも、手続の透明性を確保いたしますための規則をさらに補完することが必要ではないかと考えております。これは産業構造審議会の化学工業部会の答申でも、自由貿易原則を維持しながら、不公正な貿易行為等に対しては、ガットルールにのっとった対応策を講ずることとすべきで、このため、不当廉売関税制度及び相殺関税制度を適切に運用するための手続、体制等の整備を図るべきだと言われておりまして、このため、通産省といたしましては、業界動きも見ながら不当廉売関税制度の手続面の整備につきまして、現在事務的に検討しているところでございます。
  29. 植竹繁雄

    植竹委員 以上をもって質問を終わります。
  30. 浦野烋興

    浦野委員長 後藤茂君。
  31. 後藤茂

    後藤委員 ただいま長官から最近のエネルギー情勢報告をお聞きしたわけでございますが、短い時間でたくさんのエネルギーに関する問題がございますけれども、最初に私は、やはりどうも政府エネルギー政策というのは大艦巨砲主義から変わっていないのではないか。これだけ国際的に大きな経済の変動がなされている、予想もしなかったようなエネルギー需給の緩和といいますか、こういう問題も起こってきている。そうした中で、なおかつ、今度の需給見通しを見ましても、依然としてそうした姿勢がとられておるように思えてならないわけです。特に今後の経済成長率平均五%、先ほど植竹さんからも指摘をされておりますが、これは大体高過ぎるのではないかという意見が大変強くなっております。恐らく新経済社会七カ年計画にシフトさせてこれが出されてきている、ここを先に変えるということもむずかしいということだろうと思うのですが、この七カ年計画も、河本長官の国会における答弁を聞いておりますと、早急に変えていかなければならぬということになってまいりますと、成長率が変わる、弾性値も変わってくるということになるだろうと思うのです。弾性値にいたしましても、〇・六四というのは私はまだ非常に高いような気がいたします。  そういう意味で、この根拠になっておったところが、どうも恣意的といいますか、政策的意図が入るのは当然ですけれども、願望、期待というものを加え過ぎているのではないだろうか。もう少しシビアに国際情勢を見ていきながら経済動向を見ていけば、私はこれからはゼロサムではないですけれども、経済の成長というものは、やはり相当低成長が続いていく、むしろそれがノーマルな状況に入っていくのではないか。そうした中で、どうもエネルギーというと聖域化していって、これはもうどんどんふやしていかなければならぬのだということを政府自身が音頭を取り過ぎていはしないか。もっと厳しく問題を見詰めていきながら、大艦巨砲主義を考え直していくちょうど曲がり角に来ているのではないかと私は思えてならないわけです。どういうようにお考えでしょうか、長官。
  32. 小松国男

    小松政府委員 先生お話がございました、現在の経済成長率、これが相当場合によっては変わってくるのではないか、それからそれを前提としても、なおかつエネルギーについても、さらに需要についてもっと厳しい見方が可能ではないかというお話でございますが、私どもも、日本エネルギー構造が非常に脆弱でございますので、そういう観点からは省エネルギーというものをどうしても進める必要がある、こういう観点で、今回の総合エネルギー需給見通しをいろいろ検討される段階でも、省エネルギー問題を相当真剣に考えております。  それから、産業構造全体としましても、日本エネルギーコストが非常に高いわけですので、たとえば経済成長率五%の中でもエネルギー消費産業、こういうものは三%くらいしか伸びないのじゃないか。組み立て加工、これはどちらかと言えばエネルギーが余り要らないのですが、こちらは七%くらい伸びるとか、そういう産業構造の変化。それから実際に省エネルギーがどこまで進むか、それからさらに先ほど申しました脱石油としての代替エネルギーをどう考えるか、それから全体として日本の場合にエネルギーコストが高いわけですので、このコストはどこまで下げ得るか、単に量を確保するというだけではなくてコストの問題も考える、こういうことをいろいろ検討された結果、今回の長期エネルギー需給見通しが出されておるわけでございます。  経済成長率につきましては、確かに現在非常に経済全体が低迷しておりますし、将来の成長率についてもいろいろな論議が行われておるということは、私どもも承知をいたしております。ただ、全体として見て五%が適当であるのか四%が適当であるのか、これはこれからの御議論で決まってくる問題でございますが、もし経済成長率が五%を相当大きく割り込むというようなことでございますれば、私どもとしては、安定供給という立場から、現在一応経済社会七カ年計画を前提に今回の試算をいたしておりますので、事情が大きく変わるということであれば、当然その新しい事態に対応した「長期エネルギー需給見通し」を考えなければいけないというふうに考えております。ただ、省エネルギー、それから代替エネルギー、こういう問題については、相当国民の理解と努力を前提としてつくっておりますので、むしろこれ自身の実現にも相当努力が要るわけですので、そういう観点で、新しい事態、それからわれわれが前提として考えておった経済事情、こういうものに大きな変化がある上すれば、当然その段階で本計画についても見直しが行われるべきもの、かように考えております。
  33. 後藤茂

    後藤委員 ことしの春ごろでしたか、日本エネルギー経済研究所の経済成長率、ハイケースで四・三%、ローケースで三・九%とはじき出しているわけですけれども、長官、どうなんでしょうか、三%くらいの成長ということになりますと、年平均伸び率が五%で三・二%ですか、三%くらいだったら恐らくゼロくらいになるのじゃないですか、どうでしょう。
  34. 小松国男

    小松政府委員 最近、経済成長率とエネルギー需要というのは必ずしもリンクをいたしておりません。特に経済成長率が三%とかそういうふうにもし落ちるとすれば、その場合に日本の場合は産業構造がどうなってくるか、そういうことなども検討しなければならない。それから先ほど先生からお話ございましたエネルギー弾性値というものは、そういうことで、産業構造、それから今後の技術の対応の度合い、合理化の度合い、それから国民のエネルギーに対する関心、こういうものをいろいろ含めて、さらに変わってくるという問題がございますので、もし経済成長率が現在の五%程度ではなくて、さらに下がるということになると、恐らく日本産業構造それ自身が現在の状況とは変わってくるというような問題もあると思います。そういう前提でいろいろ考えなければいけませんので、必ずしも三%になったらエネルギー需要は二%とか一%になるかどうか、ちょっと私はこの段階で申し上げられる状況にはございません。
  35. 後藤茂

    後藤委員 そういう学者の意見も聞くものですから。ということは、先ほども言いましたように、雇用の問題とかあるいはこれからの国民生活水準等の問題を考えていきますと、どうしても高い成長というものに置きがちですけれども、そういうような安易な見通しというのは、どうもここ五年、十年くらいは立っていかないのではないだろうかという気がするものですから、いまの点を指摘してみたわけです。  IEAにおける目標値がたしか〇・六〇というような弾性値だと聞いておるわけですけれども、これまでの、過去の五十年から五十五年の弾性値を計算をしていきますと〇・三七くらいに落ち込んでいるのではないか。これは大変異常なのか、これからはこういう方向に進んでいくのか、この点は長官、いかがでしょうか。
  36. 小松国男

    小松政府委員 いま先生からお話ございましたように、最近のエネルギー弾性値、特に五十年から五十五年は確かに〇・三七という数字も実は出てございます。ただ、この間にエネルギー需要の実態を見ますと、非常にアブノーマルな点とか、エネルギーコストが急速に上がりました結果、われわれの生活における省エネルギー、それからいろいろ産業における省エネルギー、さらにエネルギー消費産業の急速な停滞、こういうものがいろいろ入りまして、この〇・三七という数字が出ておるわけでございます。  ですから、こういう〇・三七という短期的な現象が、今後も長期的に続き得るかどうかというようなことになりますと、これはなかなかむずかしい問題でございまして、そういう過去の実績その他も踏まえて、今回、将来の産業構造がどうなるか、それから産業面における省エネルギーがどう進むか、それからわれわれの生活面における省エネルギー、それから運輸面における省エネルギーはどういう動向をたどるか、こういうものをいろいろ検討した結果、今回は〇・六四という数字を出しているわけでございます。  そういう観点で、やはり相当しさいに検討いたしませんと、現在短期的にエネルギー弾性値が非常に低いから、これが長期的にもトレンドとして可能だというふうに論ずるのはなかなかむずかしいのではないかというふうに思います。それから特にエネルギーの場合に安定供給という点も考えますと、この辺について余り楽観的な数字も実際には採用できないのではないか、こういうことで今回の「長期エネルギー需給見通し」ができておるわけでございます。
  37. 後藤茂

    後藤委員 弾性値の低下の中に省エネルギーウエートが非常に高まっているということは、私もそのとおりだと思うのです。なお、これまでの石油がぶ飲みといいますか、エネルギーがぶ飲み的高度経済成長になれてきておったわが国の生活構造あるいは産業構造というものが、お互いに見直されていきながら、これは長期に見なければならぬといま長官言われましたけれども、相当常態化してきているのではないだろうか。つまり構造的に内部にコミットしてしまっているのではないだろうかという気がするわけです。それがまた元に返っちゃいかぬので、さらに省エネルギーというものを推進をしていかなければならぬ。その点に関する先ほど何かスローガンみたいなものを言っておられましたけれども、「くふうでさわやか夏省エネ」、そういうような程度じゃなしに、もう少し本格的に省エネに対する政策的刺激を与えていくことによって、弾性値をさらに下げていくという努力が必要なんじゃないか。その点がまだどうも欠けているように思えてならないわけですが、これは一言で結構ですから。
  38. 小松国男

    小松政府委員 御指摘の点は、日本の場合には特に省エネルギーエネルギー政策の三本柱の一つに据えて私どもも努力をしているわけでございますし、いままで一般に短期的な意味での省エネルギー、これが国民の各層の間に定着しておりますが、今後は技術研究開発の問題、設備投資の問題、それから産業構造全体の推移の問題、こういう中でかなり息の長い省エネルギー政策を進める、これが非常に大事でございますし、そういう観点からできるだけGNPに対するエネルギー弾性値を小さくしていく、要するに成長率とエネルギー需要等の切断をむしろしていく、そういう政策は今後とも積極的に進めていきたいというふうに思っております。
  39. 後藤茂

    後藤委員 いまの弾性値の問題と関連して、新エネルギーが下方修正をされているわけですけれども、先ほどの説明では、もう一つ十分に理解ができなかったので、その下方修正をした理由と、今後の開発の進め方について、もう少し具体的に御説明をいただきたいと思います。
  40. 小松国男

    小松政府委員 新エネルギーにつきましては、この前の改定原油換算で三千八百五十万キロリットルを千五百万キロリットルと非常に小さくしたわけでございますが、この小さくいたしました事情は、一つは最近のエネルギー事情の中で、特に石油価格が低迷いたしております。石油にかわって新エネルギー導入ということになりますので、そういう意味でコストの面、これが昭和六十五年に実際にどの程度、市場にコンペティティブな形で参加できるかということになりますと、現在の石油価格動向その他から考えますと、現在の研究開発段階では、市場に出てくるものがどうしても少ない、こういうことで現実的な見方をして数字が非常に小さくなったわけでございます。  ただ、だからといって新エネルギーの研究開発、これは日本にとって非常に大事な問題でございますし、特に脱石油、さらには日本エネルギー供給構造を強化していくという立場からいたしますれば、新エネルギーの研究開発は、今後とも国の立場からいたしましては重点的に施策を講じていくべき分野だというふうに考えております。こういうことですので、確かに昭和六十五年の数字は下げましたけれども、さらに今後のエネルギー政策の姿勢、それから国民に対する協力を要請する立場から、今回特に西暦二〇〇〇年、昭和七十五年の数字も掲げまして、そこでは新エネルギー数字を六千五百万キロリットルという非常に大きな数字を掲げまして、全体としても八%ぐらいは新エネルギーで賄えるようなエネルギー供給構造を目指すべきである、こういう観点で研究開発を進めるということにいたしております。  いずれにしても、新エネルギーの研究開発は、リードタイムが長いわけですので、最近の石油需給とかこういうものに惑わされることなく、着実に研究開発を進めたいというふうに思っております。
  41. 後藤茂

    後藤委員 これはぜひそうしてほしいのです。石油需給緩和等に惑わされずとか、あるいは市場のコストに影響されずということは、長官ぜひひとつ考えておいていただかなければ、際限なく——際限なくではないでしょうけれども、改定のときに、どうもコストがかかり過ぎるので新エネルギーなんかは間尺に合わぬということで、また下方修正をされていくという危険性が大変強く見受けられますので、この点は、技術先進国だと言って政府も太鼓をたたいているわけですし、国際的に見ましても、日本が新エネルギー開発技術にこれからより真剣に取り組むことによって、技術移転なりあるいは国際的な協力なりの場に寄与することもできるわけですから、もっと野心的に取り組んでいく。単なる技術的な下方修正ということじゃなしに、ウエートをもっとここにかけるべきじゃないか。少なくとも原子力発電に対する政府の情熱を、もっと新エネルギー開発方向にシフトしていくべきではないかという見解を私は持っておりますので、この点を強く指摘したわけであります。  そこで、原子力の問題につきましては、なおまだ国内において意見の相違、つまり国民的な合意というものがついてない政策課題でありますから、非常にむずかしいだろう。あの公開ヒヤリング等を見ておりましても大変むずかしい問題だ。あるいはまた住民の投票によって決めるというような動きが出てくるとか、これを私ずっと見ておりまして、長官、原子力発電あるいは原子力の平和利用というものに対して、専門的な学者、技術者の間に意見が二つに分かれてきておる。だから、政府がこれは安全である、これはもうこれからの安いエネルギー源としてつくり上げていかなければならぬのだとどんなに説明をしていっても、原子力にかかわる専門的な科学者なりあるいは学者なり研究者というものの間に、いやこれは絶対安全だからどんどん進めていくべきだとか、非常に危険である、とりわけ廃棄物の処理等については全く確立されていない、あるいはまた非常に高熱のタービンで電力をつくり上げていく、そして長期間遮蔽するというようなことは、今日の技術では非常にむずかしいとか、いろいろな意見が出ているわけですね。若干下方修正はされているわけですけれども、なお現実から大きくかけ離れた開発目標を設定しているというところに非常に無理があるのじゃないか。全体的に五%、それから弾性値を〇・六四%、こういうものが一つありまして、ずっとエネルギーのそれぞれの構造を積み立てていくと、どうしても原子力の方により多く持っていかなければならないというところにいっているのじゃないか。後でまた御質問をいたしますけれども、自然循環エネルギーだとか新エネルギーだとか、ローカルな形の小型なエネルギーというものをどのように大切に開発していくかという視点が欠けているから、どうしても原子力方向に入り込んでいっているのではないだろうかという気がいたしてならないのです。この点、長官、いかがでしょうか。
  42. 小松国男

    小松政府委員 私どもといたしましては、日本の脆弱なエネルギーの構造をどうやって変えていくかということが非常に大きな課題でございます。そういう意味からいって、まず需要に見合った供給の量を確保するというのが一つございます。同時に、日本の場合にはエネルギーコストが非常に高いわけでございますので、これをできるだけ下げる努力をしなければいけない。特にエネルギーはわれわれ国民生活にとっても大事ですが、同時に産業の飯でもありますので、そのために、最近エネルギー消費産業が非常に厳しい状態に追い込まれているというようなこともございますので、量の問題、コストの問題、こういうものを勘案しまして、さらに石油供給面における非常な不安定性、こういうものをカバーしていくということで「長期エネルギー需給見通し」を立てているわけでございます。  そういう観点からいたしますと、安定供給の面、それからコストの面、こういう問題を考えますと、原子力エネルギー供給構造の中では当面最も重点的に推進さるべきものである。さらに石炭、LNG、こういうものが続いていくわけですが、私どもとしては、日本の純国産エネルギーでございます水力とか地熱とかそれからローカルな風力の問題とか、こういう問題も当然研究開発を進めなければいけませんし、さらに今後の問題としては、太陽エネルギーの問題、核融合の問題いろいろの問題について長期的な観点からの研究開発も進める、こういうことで短期、中期、それから長期の問題を含めたエネルギー供給構造を前提とした施策、それから研究開発の進めということを行っているわけでございます。  そういう意味で、当面のエネルギーの脱石油という観点から、日本エネルギー供給構造、需要に対して量の面、コストの面で対応できるのは何かということになりますと、どうしても原子力石炭、LNGが中心にならざるを得ない。ただ、将来の問題といたしましては、確かに先生言われましたような問題、それからローカルなエネルギーの活用の問題、こういう問題についても当然施策の重点を置くべきだ、こういう観点で、現在も総合的な観点から実はエネルギー政策を進めているところでございます。
  43. 後藤茂

    後藤委員 長官、先ほども指摘しましたように、原子力の問題に対して、なぜ専門家の間で意見が大きく分かれているんでしょうか。
  44. 小松国男

    小松政府委員 これは非常にむずかしい御質問でございまして、私ここで答弁できるわけではございませんが、ただ、私どもといたしましては、原子力の安全性も非常に大事な問題でございまして、国民の理解を得て、これは進めていかなければいかぬということで、いろいろの手続を経ておりますが、同時に原子力がいかに安全であるかということについての御理解を得るためのいろいろのPR、それから安全面を確保するためのいろいろの研究開発、実証試験、こういうものを積み重ねておりまして、現段階では、私どもは原子力は非常に安全なエネルギーであると確信を持っておりまして、それをどう国民に御理解いただくかということでございます。さらにエネルギー全体として、核燃料全体としてのサイクルの問題、こういう問題についても今後の問題として非常に大事でございますので、早期にそういう面の確立を図るということでいろいろの施策を進めておりまして、そういう観点から施策を進め、それからさらに実績を重ね、これによって国民の御理解を得ていきたいというふうに思っております。
  45. 後藤茂

    後藤委員 非常にむずかしい問題で、私どももいろいろな専門学者等の話を聞いてみましても、どっちも大変りっぱな意見のように聞こえる。それだけに実は判断に迷うというのが国民の偽らない気持ちであろうと思うのです。フランスは、私も行って原子力発電所を見てまいりましたけれども、大変おおらかに非常に積極的に進めております。西ドイツに行ってみましたが、西ドイツの方は少しシビアにやっておりましたけれども、ヨーロッパなんかとアメリカあるいは社会主義国それぞれにニュアンスが違っている。そして安全の面になってくると、フランスぐらいのものは、胸を張って、原子力発電所に対していまごろまだそんな質問をされますかというような意見を持たれております。ほかのところはニュアンスが若干違う。特にアメリカなんかの場合は、スリーマイル島の事故以降でしょうけれども、原子力発電関係のメーカー、ウエスチングハウスにいたしましてもGE等にいたしましても、その部門は不採算部門に入り始めてきている。ということは、逆に言えば、原子力がこれからのいい産業として位置づけられるようなものなのか。アメリカではどうもいい産業、商品は当然もうかる、もうからぬものは悪い商品であり産業であるというような考えもあるようでありますけれども、最近原子力については非常に冷え込み始めて、クールに見直そうとしているのではないか。ただレーガン流に言えば、一方核兵器等の問題とも絡むわけですから、これの核燃料をどうやって軍事力に利用していくか、その原料として確保しておくかという戦略的な配慮もあるのではないかというような気がするわけです。こういったことについて、どのように判断をしていけばいいかお答えをいただきたい。
  46. 高橋宏

    ○高橋(宏)政府委員 先生御指摘のように、世界各国原子力発電を一斉にやっておりますが、その規模はすでに一億六千万キロワットほどになっております。日本はその中で三番目、フランスに次いでおりますけれども、恐らくことしの末はソビエトに追い越されるだろうと思います。ソビエトも非常に力を入れてやっております。そうして各国原子力政策をきめ細かに見ますと、御指摘のように、かなりニュアンスの違いがございます。私どもはそういう世界状況もにらみつつ特に二つの観点、すなわち一つ原子力の平和利用に対します安全確保の問題、もう一つは核拡散の防止、これは単に日本のみならず国際的にも非常に留意をして進めるということでございますが、特に日本におきましては、すでに千七百万キロワット、八百七十億キロワットアワーという発電をいたしておりまして、水力発電よりも原子力の方がたくさん電気を供給いたしております。そういう中で安全問題は常に基礎に置いておりますけれども、私ども考えますのに、世界各国でいろいろなニュアンスの差はありますけれども、基本的に安全についての問題は、実用規模段階での安全問題は解決しておるというように考えております。スリーマイルも痛い経験でございましたけれども、これもすでに克服いたしておりますし、特に日本におきましては、今後は自主技術、そして日本エネルギー事情を考えました自主的な判断をもとにして進めることが必要と考えます。いろいろなケースを通じまして謙虚に安全問題は議論されるべきだと思いますけれども、私どもは、稼働率もすでにここ二年ほど六〇%を超えておりますし、本年に入ってもずっと七〇%以上の稼働率で推移いたしておりますから、こういう実績を大事にいたしまして、より安全に力を入れながらやっていくことにいたしたいと考えております。
  47. 後藤茂

    後藤委員 最近廃炉対策等が検討され始めてきておりますけれども、ある専門家に聞いてみますと、日本原子力発電の機器も相当老朽化し始めてきている、だましだまし使っていっているというような意見も聞くわけであります。いまの御答弁だと安全は大変確立をしておって、少々長期にわたる稼働においてもたえ得るのだという状況なのか、それとももう年数が来て、これから非常に憂慮ということじゃないでしょうけれども、取りかえていかなければならぬ、廃炉の問題は真剣に考えなければならない段階まで来ているのかどうか、この点、一言で結構です。
  48. 高橋宏

    ○高橋(宏)政府委員 原子炉の技術的、物理的寿命は大体三十年ないし四十年とも言われております。そういたしますと、日本では軽水炉で申し上げますと、四十五年から運転開始をいたしておりまして、約十年そこそこでございますので、まだそういう時期にはかなり時間があるというぐあいに考えております。ただ、時間があるということと早目に手当てをするということとは別でございまして、通産省におきましても研究会を設けておりますし、原子力委員会の中にも廃炉についての専門部会を設けまして、より安全で、そしてより経済的に廃炉を行う方式、特に日本の国土あるいは技術、社会に一番適した廃炉方式というものを検討いたしておりまして、すでにそのレポートも出ております。なお、そのほかにもう一つの問題は、廃棄物の処理処分の問題がございますけれども、これらにつきましても、先行的に技術開発をして怠りなく対応していくというぐあいに努めたいと思っております。
  49. 後藤茂

    後藤委員 せっかく需給見通し等もできて、これからなお、この中における構成については常に見直しをしていかなければならぬだろうと思うのですが、こういった開発導入資金の財源をどういうように確保していくのか、それから官民の負担のあり方を一体どうしていくのかということについて、長官からひとつお答えをいただきたいと思うのです。  たとえば石炭等につきましても、オーストラリア炭等はもう目いっぱいでしょうし、さらにアメリカだとかカナダあるいはオーストラリアにおきましても、この需給見通しを実現していくためには相当な施設、インフラストラクチュアというのですか、そのための投資を考えていかなければならぬわけでしょう、こういう石炭の問題。あるいはLNGについても、このロットは大変大規模でなければ効率が悪いわけでしょう。小さいLNG基地がたくさんあっても、むしろかえってコストが上がる。そういたしますと資本費も大変かかるでしょうし、原子力発電と同じように、これまた立地の問題が大変大きな制約要件に入ってきはしないだろうか。石炭、LNG、原子力代替エネルギー開発に対して積極的にということを言われながら、数字的には、こうやって挙げることができるわけですけれども、さてそれを開発していくことになりますと資金の面、立地の面あるいは環境の面に対する手当てというものをどのようにお考えになっているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  50. 小松国男

    小松政府委員 「長期エネルギー需給見通し」を実現していくために、どの程度の資金量が要るか、これはなかなかむずかしいわけでございまして、実際には将来の研究開発の問題、それから先生のいま言われた資源開発その他を含めた投資の状況、これも状況によって相当変わってまいりますので、これは実際にわかりません。ただ、過去私ども、官民負担をどうするかという議論は、いままでもいろいろ行われております。特に研究開発段階ですと、パイロットプラントまでの段階とか、そういう非常に基礎的な研究開発、これはどうしても国が中心にやらざるを得ませんけれども、企業化の段階、さらには実際にそれが実用化の段階に入りますれば、ほとんどが民間の資金、こういうことになりまして、実際、負担はそれぞれの分野から、エネルギーの研究開発内容によって変わってくると思いますが、総じて私どもは民間と国の負担は大体九対一ぐらい、過去の実績を見ますと、大体そんな感じでございますし、今後とも状況によって異なりますけれども、中心はやはり民間中心、国はベーシックな、基本的な問題について助成していく、こういう方向でぜひこの「長期エネルギー需給見通し」に沿ったエネルギー問題の解決を図っていきたいというふうに思っております。
  51. 後藤茂

    後藤委員 特に財源の問題で、最近は歳入欠陥から非常にむずかしい要求をあちこちからしてきている点が多いようでありますから、特にエネルギーの確保に対する資金的な手当てというものに対して、それからまたそれがスムーズにいくような環境整備というものに対しては、相当シビアに考えておかなければならぬじゃないだろうかと思って指摘をしておいたわけであります。  時間が大変少なくなってまいりましたので、あと一、二点ちょっとお聞きをしてみたいと思うのですが、昨日の日経に「さあ出番中小水力発電」という大変大きな記事が出ておる。通産省としてもこれまでの調査で「昭和八十年までに採算がとれそうな開発可能地域は、二千六百地点で、千三百万キロワットの電力を新たに供給できそうだ」。千三百万キロワットというと、原子力発電で百万キロワットのキャパシティーとしても十三基ぐらいということになると大変なことだと思うのです。一般的に私たちが聞いておったのは、二千万キロぐらいの開発可能小水力はあるのではないかというように聞かされておりましたが、この千三百万は精査した数字であろうと思うのです。これまた自治体だとかあるいは地域のいろいろな知恵を出させていきながら開発していく。何でもいままでの電力資本が開発していくということになりますと、どうしても勢い大規模なものに入っていくだろうという気がいたしますので、せっかくこうした調査もされておるわけでありますから、ローカルエネルギーとして使っていく意味においても、小水力開発に対する知恵を出していただきたいということが一つ。  それから地熱に対しては、これは環境問題なりあるいは制約要件も相当いろいろあって、その伸び率というものに対して大分低目に見ている。もう少しこれは政策的な要素を加えていいのじゃないだろうか。そして政策的要素を加えていきながら、そのいろいろな制約要件というものを取り除いていくという姿勢が必要ではないかということです。  それから揚水です。揚水発電につきましても、私もルクセンブルクのビアンデンだったかな、あそこを見たのですけれども、なかなかいい知恵を出しながら、世界各国の発電機を導入をしてつくっていっているわけです。日本の場合はどうも揚水に対する情熱というものが案外少ないのではないか。この見通し計画で見ましても成り行き任せ的な形の面がどうも多いようです。だから、これはもっと積極的に揚水に対する対策というものは考えていただきたい。いかがでございましょうか。
  52. 川崎弘

    ○川崎政府委員 お答え申し上げます。  まず水力の関係でございますが、先生御指摘のように、実は第五次包蔵水力調査、これは五十五年度から実施いたしておりますけれども、それの結果、これはまだ図上検討を終えた段階ということの中間集計でございますが、大体六十一年度から八十年度までの二十年間に経済的に開発可能な未開発包蔵水力、これが千三百万キロワットというふうに見込まれております。したがって、この未開発包蔵水力を一定量で計画的に今後開発してまいりたいということでございますが、ただいま御指摘もございましたように、これからの水力開発は、どちらかと申しますと、非常に中小規模の多地点開発というのが中心になっていこうかと思います。われわれとしては、こういう水力がローカルエネルギーとして地域振興開発とも非常に緊密な関係があるということもございますので、御指摘のような一般電気事業者ももちろんやりますけれども、それ以外の県営であるとか、そういった公営の電気事業者あるいはその他の卸電気事業者、こういった多様な開発主体がそれぞれに積極的に取り組んでいくという必要があろうかというふうに考えております。  それから、揚水の点もちょっと御指摘がございましたけれども、揚水は実はピーク需要に対応するものということで、今後の電力需要はどちらかと申しますと負荷率が悪化する方向に向かってまいります。そういうことを考えますと、ピーク用供給力として揚水は原子力発電と組み合わせて重要性を増していくということを予想しているわけでございます。そういった意味で、今後の電力需要の中で、最大電力需要、これの増し分の一五%、この辺を目途に目標を設定して揚水をやってまいりたいというふうに考えております。  それから、地熱でございますけれども、この地熱は、やはり国産エネルギーであるということもございまして、これにつきましても、今後推進していくべく、大体六十五年度で三百万キロワット開発というのを目標に置いております。なかなかむづかしいことで、相当努力というのがこれに必要かと思いますけれども、環境問題あるいは温泉問題、そういったところとの調整を円滑に進めながら、何とかこの目標を実現してまいりたいというふうに考えております。ただ、その場合、もちろん地熱についての経済性という見地からのいろ、の調整ということも十分取り上げてまいりたいというふうに考えております。
  53. 後藤茂

    後藤委員 時間が来ましたので、あとエネルギー需給が鈍化してきた中で、特にエネルギー間の競合が大変激化してくるだろう。たとえばLNGと石油だとか、あるいは電力とガスだとか、LPGとLNGだとか、こういった効率的な利用あるいは協調、そういうあり方等について、これからもう少しきめ細かく検討されておらなければならないんじゃないかと思いますが、この点もお聞きしたかったわけですけれども、次の機会に譲りまして、以上で私の質問を終わりたいと思います。
  54. 浦野烋興

  55. 長田武士

    長田委員 ここ二、三年電力需要の低下によりまして税収不足、それと代替エネルギー開発資金の需要が非常に伸びておる。そういうような関係で電源開発促進税、電促税の会計のバランスがだんだん崩れてきておる、そういう感じを私は持っております。そこで、運用面での現状と今後の電源開発促進税の税収入の伸び並びに多様化勘定それから立地勘定の二つがありますね、その需要資金の見通しについてまずお尋ねをいたします。
  56. 小松国男

    小松政府委員 先生御指摘のように、最近電源特会関係の電源立地勘定、それから電源多様化勘定、こういう面ではいろいろの施策を進める意味で支出がふえてきておりますが、一方、促進税自身の方は、電力需要の伸び悩みその他を含めて、税収が必ずしも伸びない、こういう非常にむずかしい事態になってきておりまして、今後政策を進めるに当たりまして、こういう問題についてはいろいろの角度から検討していく必要に迫られておるわけでございます。  現在までの経緯を申し上げますと、電源立地勘定の方は、五十五年、五十六年、五十七年と、それぞれ三百九十二億円、四百五億円、四百七億円というような税収でございますのに対して、支出の方は五百九十九億円、六百九十五億円、七百十九億円と徐々に伸びてきておるということでございます。多様化勘定の方も、税収関係が八百二十七、千二十四、千二十八億というようなこの三年間の推移に対しまして、支出の方は八百二十七、千二十四、千百二十三と徐々に伸びてきておる。今後こういう財源問題についてもいろいろな角度から検討し、さらに施策自身についても、税収との関係もございますので、効率的な運用を図る歳出面の合理化も考えていかなければならない、かように考えております。
  57. 長田武士

    長田委員 いま、長官は数字を述べられましたけれども、実際、赤字、支出の方が多いわけですね。恐らく余剰金から取り崩しているのではないかと思うのでありますけれども、先月の三十日の第二臨調の答申につきましても、これから政府が行革に取り組むわけであります。そのやさきに、本年度の予算編成に当たりまして、各種の新税の設置並びに税の引き上げ等が取りざたされておるわけであります。もしこれが事実ならば、鈴木総理の政治生命でありますところの増税なき財政再建、これは根底から崩れてまいります。  そこでまず、来年度においてエネルギー関係の新税並びに既存税制の引き上げ、これを考えておるのかどうか、この点、検討中のものも含めてひとつお答えをいただきたいと思っております。さらに電源開発促進税もその中の一つとして検討されておるのかどうか、この点もお答えをいただきたいと思います。
  58. 小松国男

    小松政府委員 現在、エネルギー関係の予算につきましては、来年度の歳出がどの程度になるかということで、その施策の検討を行っておる段階でございます。そういうことでございますので、まだ来年度の施策が完全に固まっておりませんし、支出についても固まっておりません。それを前提とした財源問題についても、先生御指摘のように、最近のエネルギー関係全体としての収入は、石油についても需要が非常に低迷しておるというようなこと、それから電力についても、そういう意味長期的に需要が低迷しておる、こういう面で、税収面ではかなり厳しい状況に立っておりますけれども、こういう前提を踏まえまして、来年度の施策を検討するのが基本姿勢でございますので、そういうことでいま歳出面をどこまで合理化できるか、カットできるかという検討を進めておるわけでございます。その段階で、今後財源問題についても必要な検討を進めなければならぬわけでございますが、いま、現段階で、特定の税について新しく増税をするとか新しい税を設けるとかいうことを考えてはおりません。
  59. 長田武士

    長田委員 新聞によりますと、これは「電気新聞」でありますけれども、通産省は電力業界に対しまして、現在の電促税の大体五〇%アップ、これを示唆しておるということなんですけれども、これは事実じゃないのですか。
  60. 小松国男

    小松政府委員 先ほど来申し上げておりますが、電源立地、それから電源多様化それぞれについて施策を進める段階について、いままでは、たとえば電源立地につきましても従来の剰余金を使いながら賄ってきたという経緯がありますので、こういう観点からすると、来年度の財源問題が非常に厳しくなっているということは事実でございます。ただ、それについてまだ来年度の支出をどこまで合理化できるかという検討をしておる段階でもございますので、財源問題について、まだ方向を出しておるということではございません。
  61. 長田武士

    長田委員 そうしますと、税率の引き上げは、長官としてはやらない方向ですか、やる方向ですか、検討、検討じゃ、どこまでいっても検討ですから。
  62. 小松国男

    小松政府委員 先ほど来お答え申し上げておりますように、まだ歳出面の合理化がどこまで可能であるかというのを詰めておりますので、その歳出面が詰まった段階で財源問題の検討に入るというふうに考えております。ただ、先生御指摘のように、財源問題は非常に厳しい状況にあるという点は私も認識しておりまして、今後その問題をどうしていくかという問題は、これから検討していきたいというふうに思っております。
  63. 長田武士

    長田委員 これからこれからで、全く私も質問がこれから進まないのです。  実際問題、この大きなウエートは交付金ですね。これが私はポイントだろうと思います。非常に電力需要が落ちておる。それによって税収入が上がらない。一方においては支出がかさむ、このような状況に置かれておるわけであります。そういう点では私、心配しておりますのは、電促税というのは、長官よく御存じのとおり電力会社が払うのですけれども、実際は料金に全部転嫁されているのですね。一般の需要家が全部払っておるのです。したがいまして、電力会社が非常に経営努力もされて、この円安の中で、電気料金を上げまいということで必死になって努力されておる。一方においては、通産省では上げるぞ上げるぞ、そういうようなおどしをかける。円安で経営が非常に苦しくなっておる、一方においてはまた税金を上げるぞとくる。こうなると、結局だれが負担するかといいますと、電力料金の値上げ、こういうことになるのですね。そこを私は心配しておるのです。ですから、重大な問題ですから、もう少しはっきり、やらない方針ですとか、もしかしたらやるかもしれません、このぐらいのことは言ってもいいのじゃないですか。
  64. 小松国男

    小松政府委員 確かに電促税は電気料金の中にいずれ織り込まれて消費者に御負担を願うということになりますので、こういう点については、私どもも慎重に考えなければならぬわけでございます。ただ、現在、電促税を財源として使われております施策の方も、先ほど御指摘がございましたように、電源立地を円滑に進めるため、それから電源多様化を進める、こういう観点で、これは産業全体のため、また国民生活の向上のためにも、電力の安定的な供給、これは非常に大事な問題でございますので、そういう両方の兼ね合いという問題もございます。そういうことですので、現在は施策を円滑に進めながらも、その効率的な運用を図るために、どこまで歳出の合理化ができるかということを考え、同時にその円滑な施策を進めるためには、必要な財源もまた確保する必要に迫られるわけでございますので、この点については、今後の検討課題ではございますが、必要な段階では、それぞれ関係業界ないしは関係の皆様の御理解も得ていかなければならないというふうに考えております。
  65. 長田武士

    長田委員 臨調の答申にも「電源立地促進対策交付金については、その立地推進上の効果、地域振興上の効果等を総合的に勘案し、安易な増加に至らぬよう効率的に運用する。」とある。長官、御存じですね。臨調ではこのように言われておりますから、交付金について、もうちょっと効率的に、効果あらしめるような使い方というのはできないものでしょうか。札束で攻めるみたいな、そういうことが現地で行われておるということを私たちよく耳にします。そういう点は改めるべきだと思いますが、その点、どうでしょうか。
  66. 小松国男

    小松政府委員 電源立地交付金については、私どもも従来からその運用についていろいろ改善に努めているわけでございますが、これは実際に電源立地を進めるに当たりまして、地元の御理解を得るためには、地元の地域の振興を図るとか、いろいろの観点で御理解を得る必要があります。そういう観点で、立地交付金というのは、これを効率的に使う、公共施設だけではなくて、産業の振興のためにも使われるというようないろいろの角度から検討しておりますので、これが電源立地の円滑化にやはり相当大きな役割りも果たしております。そういう積極的な面も考えながら、同時に御指摘のような効率的な運用、これも考えていかざるを得ませんので、そういう観点から、現在、電源立地交付金の来年度の進め方、運用の方法、こういう問題についても検討しておりまして、それを踏まえて、さらにその施策の進め方、財源問題についても検討していきたいというふうに思っております。
  67. 長田武士

    長田委員 それでは、最後に一問だけお尋ねをいたします。きのう私は商工委員会で、今後の石油情勢ということで通産大臣にお尋ねをいたしました。私は、中東の紛争、これがまた第三次オイルショックになりはしないかという懸念を実は持つ一人であります。シュレジンジャー前国防長官もテレビ放送でイラン・イラク戦争の問題を取り上げております。そういう点で、ホルムズ海峡あたりが封鎖されるようなことにもしなりますと、日本に与える影響というのは非常にショッキングであります。そういう点はどういうふうに見通されておりますか。
  68. 小松国男

    小松政府委員 私ども、中東の政治情勢、これは非常に憂慮をいたしておりまして、ここで戦乱が拡大するというようなことになり、それが石油供給影響を与えるということになりますと、特に日本の場合は六十数%、七〇%近い石油をあそこに依存しておりますので、これは非常に大きな問題だと思います。  ただ現在、石油需給が非常に緩んでおるのと、中東以外の地域の石油の産出もわりあいにふえておる。そういう状況の中で、レバノン問題、イラン・イラク紛争を控えても、石油スポット価格その他にまだそれほどの影響を与えていないということは、石油需給相当緩んでおるということが一つの原因であると思います。  ただ、今後の事態の進展いかんによっては、先生御指摘のような問題の心配が確かにあるわけでございますので、この辺の推移については今後とも十分注視すると同時に、それが起こった場合の対応策を、備蓄問題も含めて、いろいろの観点から検討しておかなければならない。こういう点はIEAも指摘いたしておりますし、特に日本のように、中東依存度の大きい国にとっては、こういう問題については常時対策を検討しておかなければならないと私どもは思っております。
  69. 長田武士

    長田委員 長官、第一次、第二次オイルショックを通しまして、日本石油の輸入についてはやはり多国間の輸入を促進しようということでしたね。私、さきおととしですか、第一次オイルショックの後メキシコに参りました。そのときには日本にはメキシコの石油は入っていなかったのですけれども、私たちも鉱物資源大臣代理ですかにお会いしまして、ずいぶんお願いしてまいりました。ところが、いまメキシコからの石油をだんだんこちらで断るみたいな傾向にありまして、去年行きましたときも、私たちも非常に立場がなくなってしまった。そういうような傾向が実はあるのですね。いざというときに備えて、多様化といいますか、多国間の輸入というものを考えるべきである。状況がよくなると、もう終りでござい、そういう短兵急なことはやめた方がいいのじゃないかということを考えますが、どうでしょう。
  70. 小松国男

    小松政府委員 まさに先生御指摘のとおりでございまして、メキシコの点につきましても、他の地域に比べればメキシコからの輸入は、こういう需要が非常に落ちた段階でも、できるだけ減らさないように、それからメキシコの要望も入れて、メキシコと日本の関係を円滑に集める、こういう努力を実はいたしております。  そういう観点から、できるだけ中東依存を減らして、石油原油の多様化、多角化を図る、こういう点につきましては、先生御指摘のとおりでございまして、今後とも努力していかなければならないと思っております。
  71. 長田武士

    長田委員 終わります。
  72. 浦野烋興

  73. 宮田早苗

    宮田委員 まず、当該質問に入ります前に、先月の二十三日、二十四日の長崎を中心といたします九州地区の集中豪雨災害におきまして、おくれておりました西部瓦斯も八月三日までに全面復旧するということでございましたが、これは予定どおり完了したかどうかをお聞きしたいということと、今度また十号で、それに引き続く集中豪雨災害がございまして、電力、都市ガスの被害及び復旧状況はどうなっておるか、ちょっとお聞かせ願いたい、こう思います。
  74. 川崎弘

    ○川崎政府委員 まず、長崎地方のガス被害の方でございますが、実は、これは長崎を中心といたしまして西部瓦斯の需要家約四万戸の供給が停止いたしましたけれども、西部瓦斯は、その二次災害の防止に万全を期しつつ復旧に全力を挙げる。これには他の都市ガス会社からの応援隊も入りまして全力を挙げた結果、七月三十一日までに、不在の需要家約千六百戸を除きまして、全需要家でガスが使用できる状態になっております。不在の需要家につきましては、そのままガスを通しますと危のうございますので、引き続き巡回を行って早急に修復を完了したい、そういう形になっております。  それから、台風十号の方でございますが、まず電力の方では、一時的な停電というのは東北、東京、中部、北陸、関西と、広範な地域で約百五十万戸ございました。しかしこれは大部分短時間のものでございまして、その復旧状況は、道路の不通等によりましておくれたもの約三百戸を残しまして、四日夕刻現在であとは全部復旧いたしております。残りのこの三百戸の需要家に対しましても五日じゅうには送電したい、こういうことを言っております。  それから、ガスの方でございますが、がけ崩れによる民家の倒壊、こういうことがございまして、関西地方を中心に約八百戸ほどの供給支障が生じておりますが、八月の三日までに、その復旧、またはガス管が通せないところには、代替措置といたしましてボンベにより供給を再開しておる、そういう形になっております。
  75. 宮田早苗

    宮田委員 大変御苦労とは思いますが、生活に欠かすことのできないエネルギー問題でございますので、復旧にはひとつ万全を期していただきたい、このことを特にお願いしておきます。  そこで、本日の議題になりますが、エネルギー基礎素材産業問題について二、三質問をしようと思います。  まず、今回改定されました「長期エネルギー需給見通し」の前提となっております経済成長見通しについてでございますが、五十五年度の実績が三・七%の伸び、今年も、計画では五・二%ということになっておりますが、恐らく四%台か、もしくは経済企画庁長官あたりがおっしゃっておりますように三%台、こういうふうに言われておりますが、それを五十五年度以降六十五年度までは年平均五%程度。また一つの試案とは言えますが、七十五年度、西暦二〇〇〇年の需要見通しを策定するに当たっては、六十五年度から七十五年度まで年平均が四%程度と想定しておいでになるようですが、この経済見通しはどう見ましても達成できる見込みはないのじゃないか、こう思いますが、通産省とされましてはどう考えておられるか、この点をまずお伺いいたします。
  76. 斎藤成雄

    斎藤(成)政府委員 御指摘のとおり、最近の景気が大変低迷の度を深めているものですから、成長率についてもどうしても悲観的な意見というのが出てまいります。また最近の景気問題について私どもも憂慮しているわけでございますけれども、わが国経済そのものの成長余力について考えますと、中長期的に見れば、貯蓄率も高うございますし、技術革新動向等もあります。そういったものを考えますと、まだまだ成長余力はかなりあるのじゃないかと考えております。「長期エネルギー需給見通し」の策定に当たりましては、現在の新経済社会七カ年計画のフォローアップの報告でありますとか、あるいは産業構造審議会の答申での八〇年代の通産政策のあり方などを勘案して定めているわけでございまして、これらが大体五%強の数字を出しているということで、御指摘のように、最近の状況から考えれば検討の余地があるいはあるのかもしれません。これについては、いずれにしましても、現在経済審議会で新しい経済計画の策定のための作業が行われておりますので、もしも見通しが大幅に変わるようになりますと、先ほど資源エネルギー庁長官からの御答弁もありましたように、検討がなされるかと思います。現段階では、私どもはこの数字を尊重してよろしいのじャないかというふうに考えておるわけでございます。
  77. 宮田早苗

    宮田委員 その経済見通しのもとに、昭和六十五年度に石油依存度を五〇%以下にする。今回の見通しでは四九・一%となっておりますが、これを達成するためには、石油代替エネルギーとして原子力発電ともう一つは輸入石炭目標達成が不可欠だ、こう思います。  その第一の柱の原子力について見ますと、現在では運転中のものが二十四基で千七百十八万キロワット、工事中、着工準備中のものを合わせても四十一基で三千二百八十八万キロワットでございます。これを六十五年度には四千六百万キロワットにするということになりますと、これから千三百万キロワットを近年中に着工しなければならぬ、こういうことになるわけでございまして、ぜひとも目標達成をしてもらいたいというのが私の考え方でございますが、これの可能性をどうお考えになっておりますか、お聞かせ願いたいと思います。
  78. 川崎弘

    ○川崎政府委員 先生御指摘のとおり、現在までの運転中、それから建設中、準備中のものは三千三百万キロワット弱でございますので、昭和六十五年度四千六百万キロワットの見通しのためには、千三百万キロワットをここ一両年の間に電調審を通過させるという必要があろうかと思います。そういたしますと、大体安全審査等で二、三年、その後の建設で五、六年ということになりますので、六十五年度四千六百万キロワットに到達するわけでございますが、このためには地元の方々の理解と協力というのが必須でございます。われわれの方といたしましては、いろいろな形での安全対策に万全を期すと同時に、電源三法の活用あるいは原子力に関するいろいろなPA対策を実施いたしまして、ぜひともこの千三百万キロワットの開発が実現できますように、官民挙げまして最大限の努力をいたしたいと考えております。
  79. 宮田早苗

    宮田委員 大変むずかしい問題だと思いますけれども、格別の努力をひとつお願い申し上げたいということであります。  次に、石炭についてお尋ねをいたしますが、一般炭の輸入について、それも需要が大部分電力ということになっておりますが、現在の石炭火力設備が約五百八十万キロワットでございます。これを六十五年度には二千三百万キロワットにしようということになりますと、その石炭消費も、現在の九百八十万トンから四千二百万トンに持っていかなければならぬ、こういうことになるわけでございますが、特に石炭火力ということになりますと、環境問題、立地問題、それから灰処理の問題、また石炭の輸入先でございます輸出国での状況等々から、この見通しの達成の可能性をどう考えておられますか、わかっておりますならば御説明願いたいと思います。
  80. 川崎弘

    ○川崎政府委員 お答え申し上げます。  現在の石炭火力設備五百八十万キロワットを確かに二千三百万キロワットに、約千八百万キロワットほど増加する必要があるわけでございますが、現在石炭火力で工事中のものは四基、二百五十万キロワット、それから着工準備中のものが十五基、千百万キロワット、計画中のものが八基、三百七十五万キロワットございます。このほか、いわゆる石油火力の石炭転換というのが十三基、三百十七万キロワットというふうになっておりまして、大体これを合計いたしますと二千三百万キロワットに到達するわけでございます。この開発地点について地元の理解と協力で円滑な立地を進めていく、そしてこの目標達成をしたいということでございますが、私どもといたしましては、この石炭火力の見通し達成は、いま申し上げましたような数字内容等から見ましてもかなり確かなものだと考えております。  ただ、先生の御指摘の環境問題、灰処理対策、このあたりにつきましては、その地域の環境実態というものがございますので、それを踏まえまして、SOxとかNOxあるいはばいじん対策等の大気汚染防止策を適切に講じてまいりたい。具体的には何かと申しますと、たとえばSOxの関係では湿式の脱硫技術、NOxの関係では、NOxを出さないような低NOxバーナーの採用とか二段燃焼方式の採用ということがございますけれども、こういった制硝及び排煙の技術ということを進めてまいる。それからばいじんにつきましては電気集じん技術、これはもう実用化の段階にございますので、こうした大気汚染防止対策を環境実態に組み合わせて実行してまいりたいと考えております。
  81. 宮田早苗

    宮田委員 石炭の問題に関連して、もう一つお伺いしておきますのは、産出国に対しまする支援の方法ですね。御支援方といいますか、何か具体的なものをお考えになっておるかどうかということであります。といいますのは、石油代替ということになりますと、やはり原子力石炭。大変なことと思いますが、石炭にかわるといたしましても、自然、外国の山の開発ということになるわけでございましょうが、開発するにしましても、いろいろな外国に対する支援また援助といいますか、そういうものをしないと、予定どおりの炭も入ってこないのじゃないかというような気もするわけでございますから、そういう点について何かお考えがありましたら、ひとつおっしゃっていただきたいと思います。
  82. 小松国男

    小松政府委員 石炭については、今後の需要増はまさに輸入炭に依存するわけでございますので、そういう意味で現在オーストラリアを中心に輸入をしておりますが、これをさらに米国の西部炭その他関係地域についても増大を図っていくということになるわけでございます。主体は民間でございますので、民間中心で相手国の開発協力する、それからインフラその他の整備についても協力する、それに対して政府側として輸銀その他関係の資金を活用するということが一つございます。それ以外に相手国との関係で、共同で調査をするとかいう点につきましては、新エネルギー総合開発機構を中心に、その必要な共同調査としての助成をするとか、いろいろの観点から輸入炭の確保、それから民間が進めるに当たっての必要な基盤整備、こういうものについては政府としても協力しますし、資金面でも助成していくということを考えております。
  83. 宮田早苗

    宮田委員 素材産業のことについてお聞きしようと思いましたが、時間が参りましたので、これでやめさせていただきます。あすまたお願いいたしますのでよろしく。終わります。
  84. 浦野烋興

  85. 渡辺貢

    渡辺(貢)小委員 長官にお尋ねしたいと思うのですけれども、四月二十一日に「長期エネルギー需給見通し」の中間報告があったわけです。下方修正されたというふうに言われているわけでありますが、前提として、やはり経済成長率は五%、こういうふうなことになっております。この点についてはいろいろすでに同僚委員から批判が出されておりますが、こういう見通しを受けながら、七月九日の日に第八十八回電調審によって五十七年度の電力開発の着手目標というものが決定されたということでありますが、その内容についてまずちょっと御説明をいただきたいと思います。
  86. 小松国男

    小松政府委員 先ほど御説明をいたした資料でございますが、資料の十ページにございますが、五十七年度の着手目標といたしましては、水力百万キロワット、火力五百万キロワット、原子力四百万キロワット、合計で一千万キロワットというのを着手目標といたしております。
  87. 渡辺貢

    渡辺(貢)小委員 そうしますと、原子力の比重というのは大変高いわけでありますが、最終的にも六十五年度で原子力発電の占める比重というのが、五十五年の五%から一一・三%になっているわけであります。敦賀の原発の事故の問題など、アメリカのスリーマイル島の事故についても大変注目を沿びているところですけれども、こういう高い原子力発電の全体の中に占める目標値を出していった場合に、現実に原発による事故がどんなふうに現在集約をされているのか、この点について御説明をいただきたいと思います。
  88. 高橋宏

    ○高橋(宏)政府委員 原子力発電所の事故、故障でございますが、私どもも電気事業法及び原子炉等規制法の規定に基づいて報告を受けておりますが、昭和五十六年におきましては三十六件でございます。毎年大体二、三十件という件数が上がっております。  なお、この三十六件を分類いたしますと、設計管理不適切が七件、製作管理不適切が四件、施工管理不適切が四件、保守管理不適切が十六件、その他五件ということになっております。  また、これらの故障のうち、運転中に発生したものが二十七件、停止中に発見したものが九件でございます。いずれも発電所の周辺環境への放射能の影響はなかったわけでございます。  私ども、こういうぐあいに事故、故障につきましては把握いたしまして、安全性の向上あるいは信頼性の向上に反映いたしておるところでございます。
  89. 渡辺貢

    渡辺(貢)小委員 いま御説明がありましたけれども、電気事業法に基づくいわゆる事故報告を見ますと、三十六件ですね。前年度が二十五件であります。さらに、通産省の通達による、いわゆる軽微といわれる事故の報告を見ますと、五十六年度が二十五件、前年度が四件でありますから、そういう点を総体として見ますと、事故の発生件数というのは全体として大変多くなってきているというふうに言えると思うのですね。先ほども、原発の耐用年数が三十年あるいは四十年である、まだ日本の原発はほとんど十年前後であるから、さして問題はないというふうなお話がございましたけれども、しかし、六十五年の長期需給見通しを立てて原子力への依存度が高まっていく、そういう時期に、これだけの事故が続発をしているというのはきわめて重大であろうかというふうに思いますが、この点について、特に今後のとるべき対策について、簡潔で結構ですけれども、御説明いただきたいと思います。
  90. 高橋宏

    ○高橋(宏)政府委員 事故、故障に類するものは、なるべく範囲を広く把握しまして、それを対策をとり、かつ公開していくというのが、安全を向上し、かつ国民的なコンセンサスを得ていく道であるということは、敦賀の教訓においても明らかなとおりでございます。数字的に二十五件が三十数件とふえておりますが、私どもは、基本的にこれが増加傾向にあるという判断はいたしておりません。基数もふえております。それから軽微な故障につきましては、昨年度の敦賀の問題もございまして、私どもさらに、法律には書いてなくとも、どんな細かいものでも報告せよという指導通達をさらに強化いたしましたので、そういうことのあらわれかと思っております。  それから、廃炉につきましてのお話が出ましたが、全体を含めまして今後の安全対策いかんというお話でございますが、私ども、今後は安全問題は、一つは先ほどの四千六百万キロワット、これは約五十基に相当いたします。二〇〇〇年九千万といいますと、約百基になります。こういうように日本の中で原子力がふえてまいります。これに対応します基盤づくりについてはおさおさ怠りないような準備が要るだろうと思います。運転管理、人材養成、データ管理といったところがポイントの一つかと思っております。それからもう一つは、さらにこの改良、日本的な技術で改良をいたしまして、日本型の原子炉の完成ということが課題かと思いまして、さらに安全の向上、性能向上を含めた日本的な技術の定着ということを指導、努力いたしてまいりたいと思っております。  もう一つは、バックエンド対策でございます。廃棄物、廃炉問題でございまして、私は先行的にいま勉強しておるというお話を申し上げました。いまの技術でも不可能ではないと思っておりますが、さらにこれをより合理的なものにするため、経済的なものにするための廃棄物処理あるいは廃炉といった技術につきましては鋭意検討いたしておるということをお話しいたしました。今後ともそういう姿勢で、安全問題、そして稼働率を定着さしていく。幸いここ三年目に入りましたが、六〇%を超える高稼働率で、世界トップクラスの運転を続けておりますけれども、さらにこれを油断なく、さらによりいいものにしていく努力を続けたいと思っております。
  91. 渡辺貢

    渡辺(貢)小委員 そういう中で、最近新型原子炉の開発という問題が大変大きな問題になっていまして、いわゆる転換炉といいますか、電源開発開発をして、約十年間という、そういう目標を立てているようでありますが、六十万キロワットというふうに言われていて、総額三千二百億円必要だ、こういうふうなお話も聞いておりますが、当然安全性というのは前提になろうかというふうに考えられますので、ひとつその点については十分な指導を進めていっていただきたいというふうに思います。  そこで、原発の問題でもそうでありますけれども、今後の電源開発を進めていく場合に、立地問題あるいは周辺の整備など、今日までも大変いろいろ問題がありましたが、そういういろいろのアクシデントの問題を解決していく上でも、一定の財源措置もとられてきたわけであります。特に、エネルギー特会の中でも電源開発促進税あるいは石油税及び原重油関税など、これは昭和五十六年度五千六十三億円でありますけれども、五十七年度のたとえば電源開発促進税について、千四百三十五億円という税収の見込みが立てられているわけですが、現在の段階でもマイナス、赤字、歳入欠陥といいますか、ここでも全体としてマイナスではないかというふうに言われていますけれども、その点についてはいかがでしょうか。
  92. 小松国男

    小松政府委員 五十七年度の電源開発特会につきましては、剰余金その他の余裕もございますので、こういうことで賄うということになっているわけで、五十七年度自身については心配はございません。
  93. 渡辺貢

    渡辺(貢)小委員 心配がないということじゃなくて、実際上立てた予算の税収そのもの、歳入そのものがマイナスである、新聞の報道によると約二十八億円ぐらいのマイナスである、こういうふうに言われているわけであります。先ほども同僚委員からちょっと質問がございましたけれども、たとえば六十五年を展望した場合にどのくらいの財源措置が必要なのか。いろいろの試算があろうかと思うのでありますけれども、日本開発銀行などでは大体九十八兆円ぐらい、あるいは百兆円ぐらいというふうに言われておりますし、その中における官民の負担区分というか、民間が大体九〇、官が一〇ぐらいというふうに言われているわけであります。今後重油等の輸入が全体としては低下していく、それからコストも年大体三%ぐらいのアップというものを計算していった場合に、歳入面におけるマイナスがかなり生じるのではないか。新聞の報道、分析などによると二兆四千億円ぐらいのマイナスになってくる。そうなると、その分を埋め合わせる新税なり促進税など現在一キロワットアワー三十銭を五十銭ですか、五割あるいは七割上げなければならないというふうな検討もあるやに聞いているわけですけれども、全体として財源対策について、もう一つは当面そういう問題について、五十八年度の新税やあるいは課税率を上げるかどうか。これは国民生活にとってもきわめて重大な問題だと思いますので、明確な答弁を求めたいと思います。
  94. 小松国男

    小松政府委員 まず、「長期エネルギー需給見通し」を進める場合に、どの程度の財源がかかるかという点は、実際には今後の経済情勢がどうなるか、エネルギー情勢がどうなるか、またエネルギー価格、それから特にプロジェクト関係になりますと建設費の予測というのが実際にはむずかしいわけでございますので、私どもとしても、確定的な資金といいますか財源見通しというものを立ててはおりません。ただ、この前の、改定前の総合エネルギー需給見通しを立てましたときに、総合エネルギー調査会が試算した数字が、当時の改定見通しで六十八兆円という数字がございまして、それと同じような試算をしてみますと、五十五年価格で大体九十兆円ぐらいになるのではないか。ただ、これはあくまでも大胆な試算でございまして、与件が変わりますれば非常に大きく変わってまいりますので、この数字自身が信憑性があるものではもちろんございません。  さらに、これを官民でどう分担していくかという問題がございます。これも民間の負担の問題でございますので、財政等今後の情勢いかんによって、その点は事態の推移を見ながら検討されていくということでございますので、現在、政府財政支出にどの程度の規模でどういう影響があるかということを見通すことはきわめて困難でございます。ちなみに五十八年度のエネルギー全体の予算につきましては、現在、歳出問題を鋭意検討し、その合理化の検討を行っている段階でございますので、それを踏まえてさらに財源問題も検討していくというふうに考えております。
  95. 渡辺貢

    渡辺(貢)小委員 財源問題、なかなかむずかしいと思うわけでありますが、われわれの場合には、たとえば石油消費税などは、いま特定財源になっているわけでありますけれども、一般財源という提案もいたしておりますし、これ以上いわゆる増税という形で国民へ負担を転嫁しないように強く要求しておきたいと思います。  最後に、素材産業の問題でありますが、特に昨年来からアルミや紙・パ、石油化学などが深刻な経営の危機に直面しているわけであります。この経営危機がもたらされている原因はいろいろあると思いますけれども、それはさておきまして、こういう危機の打開の方策として、いままでの経過を見ると、その地域における住民、自治体あるいは労働者に責任が転嫁されるというか、大体そういう形で危機が抜け切られてきているという現状であります。とりわけアルミなど、日本の大企業も大変多国籍企業化しておりまして、昭和五十六年度の報告によりますと、わが国の大企業の直接海外投資による収益の現状は、受取額で十四億六千万ドル、支払い額で五億九千万ドル、差し引き八億六千五百万ドルというふうに、かなり大幅な受け取りの超過になっていまして、日本経済新聞などでは六月二十六日付で、わが国の海外投資が収穫期に入ったというふうに大変注目される、こう言われている一方での国内素材産業の不況の実態であります。  具体的な例として、愛媛県の企業城下町として有名な新居浜の場合に、ここには住友化学、住友アルミなど住友系の企業が十五社進出して、従業員が約八千五百人、市内の労働者の一五%を占めているわけです。取引業者は中小企業を含めて約千五百社でありまして、この住友化学は大江工場が閉鎖がうわさされておりますし、住友アルミの場合には磯浦工場が廃棄されるということで、大変重大な事態になっているわけであります。商店もすでに五十軒以上が店をやめている、売り上げは二〇%前後マイナスという状況でありまして、この新居浜市そのものの存亡にとってもきわめて重大だと思うのですけれども、こうした問題についてどのようにお考えか、答弁していただきたいと思います。
  96. 斎藤成雄

    斎藤(成)政府委員 基礎素材産業対策全般にどういうふうに取り組むかということは、先ほど申し上げましたように、産業構造審議会総合部会に基礎素材産業特別対策委員会をつくって取り組むということで、このメンバーには労働界の代表の方も地方自治体の代表の方も参加を願いまして、そこで十分御議論をいただきたいというふうに考えております。  それからまた、当然のことでございますけれども、この対策の検討の際には、御指摘のような業況悪化の影響を受けております地域等につきましては、地域の関連中小企業対策を拡充していく。それからまた雇用問題につきましては、労働省等関係省庁と十分連絡をとりまして、雇用の安定に万全を期していきたいというふうに考えております。
  97. 渡辺貢

    渡辺(貢)小委員 時間がありませんので、以上で終わります。
  98. 浦野烋興

  99. 石原健太郎

    ○石原(健)小委員 先ほど来の質問の中で、エネルギー長期需給見通しが過大に過ぎるのではないかというお話がありまして、長官は気楽に、そうなったら、その時点で見直すというふうにおっしゃっております。しかし、その見通しに合わせて、現に今年度、一千万キロワットに相当する発電施設が着工されるわけであります。またいままでに着工されている発電施設というものもずいぶんあろうかと思うのでありますけれども、この見通しが過大だということがわかったときに、数字は直せても、そういう発電施設とか着工中のものは残ってしまうわけです。その時点で工事を中断するのか、あるいはまた数兆円あるいは十数兆円に相当する施設が遊んでいることもやむを得ない、こうお考えになっているのかどうか、お尋ねいたします。
  100. 小松国男

    小松政府委員 「長期エネルギー需給見通し」は、非常に長期見通しを立てておりますが、同時に、各エネルギーごとにそれぞれの供給計画を踏まえまして、しかも、それをさらに年次別な計画も立てて、実はその長期需給見通しの達成を図っておるわけでございます。ですから、そういう観点に立ちまして、常時需要供給に見合った見直しというのを個々エネルギーごとには行っております。ただ、「長期エネルギー需給見通し」というのは、そう毎年毎年改定できるものではございませんので、今後経済事情の変化があれば、当然それに見合って弾力的に見直すというふうに申し上げたわけでございまして、当面の施設計画、それから具体的な需要に見合った供給計画、これは電力石油、その他もろもろ、それぞれのエネルギーごとに年次計画をつくりながら、需給に合った供給計画の達成、特に安定供給の面からの配慮を払っていくわけで、また先生御心配のような施設問題についても、そういうことのないよう配慮いたしております。
  101. 石原健太郎

    ○石原(健)小委員 しかし、現在の経済情勢とか電力消費産業の衰退といったそういう趨勢を見ましても、六十五年度までに八割もの電力需要増加ということはちょっと考えられないんじゃないか。また単年度にしますと、今年度一千万キロワットというのは、現在の総発電量の約八%の増加だと思いますけれども、常識的に考えた場合、これほどの伸びはないんじゃないか。現に電力会社がことしの春ごろですか、ちょっと設備投資を延期したいというようなことを言っておりましたが、それに対して通産大臣あるいは経済企画庁長官が景気浮揚のために何とか着工してほしいというような発言もされておるようです。しかし、一時的に電力会社がそういうものをつくるとしても、その建設の負担というものは最終的には国民が負うわけでして、国民感情といたしまして、そういう膨大な遊休設備が置かれているということよりも、もしそういうお金がそういうことに使われるのであれば、がけ崩れが起こらないように使ってほしいとか、あるいは水害が起こらないように使ってほしいというのが普通の感情じゃないかと思うのです。たびたび見直しができないからこそ、もう少しこれは慎重に目標を定めていただきたいと思うのでありますけれども。
  102. 小松国男

    小松政府委員 エネルギー設備投資というのは、これはリードタイムが、特に原子力などになりますと非常にリードタイムが長いわけですので、先の需要見通しを立てながら施設計画をつくっていく、これが非常に大事でございますが、同時に、先生御指摘のような短期の需給に見合った設備投資問題、これは当然その段階に応じた調整が必要になってくると思います。ただ、やはり長期見通しを持って、長期的な観点に立って、研究開発にいたしましても立地の問題にいたしましても進めませんと、ある時期に至って供給不足が起こるというような問題もございますので、そういう観点で、エネルギー政策を進める場合にはどうしても長期需給見通し一つ必要である。あわせてその事態の変遷に応じて需給見通しを見直すとか、それから施設計画を見直しながら需給のバランスをとっていく、これがエネルギー政策を進めるに当たって非常に大事じゃないかというふうに思っています。  電力の場合に、短期的な需要の低迷その他を含めて、確かに予備率その他についての変化はございますけれども、中長期的に見て電力過剰設備を抱えているという状況ではございません。
  103. 石原健太郎

    ○石原(健)小委員 長官おっしゃるように、確かに安定的な供給も大切かもしれませんけれども、別に過大なものはだれも望んでないと思うのですね。現に、いま現在でも、電力を一割節減しよう、あるいは二割節減しようという場合であれば、これは別に人間の生命にかかわりなく達成可能じゃないか、こんなふうにも思うわけなんですけれども、私は言いたいことは言ったつもりですので、次の質問に移ります。  こういう状況の中で、地熱発電に関しまして、各府県なんかに行っております通知では、早期開発をしなくちゃならない、早期利用をしなくちゃならないので協力をしてほしいというような連絡が行っておるようであります。しかし、この地熱発電所というのは、一カ所がせいぜい三万とか五万キロワット程度じゃないかと思うのですけれども、これを六十五年度の三百万キロワットを達成しようと思えば、百数十カ所くらいの建設をしなくてはならないのじゃないかと思うのです。いまこういう需給が緩和しているときでもありますから、ここであわててあちこちに建設準備をするというよりは、むしろその地熱発電の経済性を高めることの研究あるいは効率性を一まあ同じことかもしれませんが、経済性とか公害を防止するための技術開発、そういったことにこそ力を入れた方がいいのじゃないか、こう思いますけれども、いかがでしょうか。
  104. 川崎弘

    ○川崎政府委員 地熱開発でございますが、地熱が水力と並びまして日本に根源的にあるエネルギー、国産エネルギーであるということで、石油代替エネルギー一つとしてわれわれとしては積極的に推進していきたいというふうには考えております。  先ほど地熱発電の経済性のお話がございましたけれども、この地熱発電の発電コストを五十六年度の運転開始ベースの平均で見てみますと、大体キロワットアワー当たり十三円から十八円という数字になっております。原子力が十一、二円ということでございますので、原子力を除いた他の石油代替電源並みの値段というふうにわれわれは考えております。したがって、そういう国産エネルギーとしての地熱、今後とも積極的な開発を図っていきたいと思っておりますが、先生の御指摘のように、地熱開発に関しての経済性の見地というのは、今後の地熱地点の選定等に関しましては十分考慮に入れてまいりたい、念頭に置いてまいりたいと考えております。  それから、むしろ現在は地熱の発電コストを引き下げるために、あるいは地熱発電をもっとうまくやるために研究開発を進めたらどうかということでございますが、この点につきましても、いろんな形で研究開発をやっております。たとえば深部の地熱、これは一般的に申しまして大規模の熱量を持っているわけでございますが、深部地熱の探査技術であるとか掘削技術の開発ということもやっておりますし、それから地熱の多角的な利用によるコストダウンということを図るための熱水利用の研究というのもやっております。そういう形での、先生御指摘のようなRアンドDの面におきましても、今後とも政府助成あるいは民間の自発的な努力によりまして、地熱全体としてのいわゆる経済性の向上に努めてまいりたいと考えております。
  105. 石原健太郎

    ○石原(健)小委員 二、三カ月前テレビで、鳥取県の方で小川の水路を利用して発電をして、それが一キロワット七、八円程度のコストで発電できるというのを見て、大変おもしろく思ったのですけれども、開発には国の協力もあったようですけれども、これを通産省の方ではどういうふうに評価されているか、また今後どういう普及といいますか取り組みで臨んでいかれるのか、お尋ねします。
  106. 川崎弘

    ○川崎政府委員 いま御指摘の点は、中小水力、特に小水力開発になろうかと思います。  水力開発は、かつては水主火従という時代では電源開発の中核であったわけでございますが、現在では水力開発地点が比較的小さくなってきたということがございます。しかし、われわれとしては、クリーンな循環エネルギーということでございますので、ぜひこういう小規模な水力も含めて水力開発に取り組んでいきたい。ただ、規模が小さな小水力というのは、実はコスト的には建設費が割り高になるということがございます。したがって、こういう小水力開発についての条件の整備ということで、現在、水力開発については、小水力のものについて建設費の補助を電源特会の方からやっております。今後ともこういった制度は充実してまいりたい。それとともに、この小水力の場合には、たとえばタービンの標準化であるとかあるいは隧道の掘削技術の標準化であるとか、そういった工法の高度化というのを進めまして、コストを安くするということも必要ではないかということで、こういったことの研究あるいは実証研究といったことも進めておるところでございます。
  107. 石原健太郎

    ○石原(健)小委員 終わります。
  108. 浦野烋興

    浦野委員長 質疑は終了しました。  本日は、これにて散会いたします。     午後零時五十分散会