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1982-08-05 第96回国会 衆議院 商工委員会エネルギー・基礎素材及び鉱物資源問題小委員会 第1号
公式Web版
会議録情報
0
本小
委員会
は
昭和
五十七年四月九日(金曜日)委
員会
において、設置することに決した。 四月二十一日 本小
委員会
は
委員長
の
指名
で、次のとおり
選任
された。 稻村左近四郎君
植竹
繁雄
君
浦野
烋興君
奥田
幹生
君
梶山
静六
君
島村
宜伸
君
田原
隆君
野田
毅君 橋口 隆君
宮下
創平
君
粟山
明君
上田
哲君
後藤
茂君
城地
豊司
君
水田
稔君
長田
武士
君 北側 義一君
宮田
早苗
君
渡辺
貢君
石原健太郎
君 四月二十一日
浦野烋興君
が
委員長
の
指名
で、小
委員長
に
選任
された。 ————————
—————————————
昭和
五十七年八月五日(木曜日) 午前十時一分
開議
出席小委員
小
委員長
浦野
烋興君
植竹
繁雄
君
奥田
幹生
君
梶山
静六
君
島村
宜伸
君
田原
隆君
野田
毅君
野中
英二
君
粟山
明君
上田
哲君
後藤
茂君
長田
武士
君
宮田
早苗
君
渡辺
貢君
石原健太郎
君
出席政府委員
通商産業大臣官
房審議官
斎藤
成雄君
工業技術院長
石坂 誠一君
資源エネルギー
庁長官
小松
国男君
資源エネルギー
庁長官官房審議
官 高橋 宏君
資源エネルギー
庁公益事業部長
川崎 弘君 小
委員外
の
出席者
通商産業大臣官
房審議官
池田 徳三君
商工委員会調査
室長 中西 申一君
—————————————
八月五日 小
委員城地豊司
君及び
渡辺貢
君四月二十二日委
員辞任
につき、その
補欠
として
城地豊司
君及び
渡辺貢
君が
委員長
の
指名
で小
委員
に
選任
され た。 同日 小
委員田原隆
君、
宮下創平
君及び
水田稔
君四月 二十八日
委員辞任
につき、その
補欠
として
田原
隆君、
野中英二
君及び
水田稔
君が
委員長
の
指名
で小
委員
に
選任
された。 同日 小
委員石原健太郎
君五月十四日
委員辞任
につき、 その
補欠
として
石原健太郎
君が
委員長
の
指名
で 小
委員
に
選任
された。
—————————————
本日の会議に付した案件
エネルギー
、
基礎素材
及び鉱物資源問題に関す る件 ————◇—————
浦野烋興
1
○
浦野
小
委員長
これより
商工委員会エネルギー
、
基礎素材
及び鉱物資源問題小
委員会
を開会いたします。 この際、一言ごあいさつを申し上げます。 先般、私が
エネルギー
、
基礎素材
及び鉱物資源問題小
委員長
に
選任
されました。御
承知
のとおり、本小
委員会
は、従来、
エネルギー
問題及び鉱物資源問題の
調査
を行ってまいりましたが、今国会から新たに
基礎素材
に関する問題の
調査
を加えて行うこととなりました。小
委員各位
の格別の御
協力
をお願い申し上げます。(拍手)
エネルギー
、
基礎素材
及び鉱物資源問題に関する件について
調査
を進めます。 最近の
エネルギー情勢
及び
基礎素材産業
の
現状
について、
政府
から順次
説明
を聴取いたします。まず、
小松資源エネルギー庁長官
。
小松国男
2
○
小松政府委員
それでは最近の
エネルギー情勢
について報告させていただきます。お
手元
に
資料
がお配りしてあると思いますので、その
資料
に沿いながら御
説明
いたしたいと思います。 まず第一に、当面の
エネルギー情勢
でございますが、
国際石油情勢
につきましては、お
手元
の
資料
にございますように、全
世界
の
原油生産
というのが一九七九年から八〇年にかけては五%の
マイナス
、それからさらに八〇年から八一年については六・三%の
マイナス
と、二年
続き
で
マイナス
になっておりますし、
自由世界
ではさらにその
減少度合い
が大きく、七%、八・五%と、二年
続き
でございます。しかも、その
原油生産
全体のしわがむしろ
OPEC
に寄っておりまして、その右の方にございますように、非
OPEC
は逆に
生産
がふえておりますけれども、
OPEC
はこの二年間、一二・九%、一六・〇%と、二年
続き
の
マイナス
でございます。しかも、括弧内のシニア、一九八一年は
OPEC
は五四%でございましたが、
数字
がそこに出ておりませんけれども、ことしの上半期は、
OPEC
のシェアが四五%というふうに落ち込んでおりまして、
OPEC
以外の
生産
がふえ、全体の
需要
が落ちるという中で、全体の
需給動向
に与える
OPEC
の
影響
が弱まってきておるというのが
現状
でございます。 次に、
OPEC
の
原油生産
でございますが、これはその下の方の表、一九八二年四月のところの一番下を見ていただきますと千六百三十万バレルということで、かつて三千万バレル以上つくっておった
OPEC
が半減というような
状態
になっております。その後、ことしの五月千七百三十六万バレル、六月は千七百八十九万バレルというふうにふえてきておりますが、これは三月の
OPEC臨時総会
で、一番右の方にございますように、全体の
生産シーリング
千七百五十万バレルの
各国別
の
割り当て
を実は決めたのですが、その
各国別
の、たとえばイランは百二十万の
割り当て
に対して二百二十万バレル六月には
生産
する、それからリビアは七十五万に対して九十万バレル、ナイジェリアは百三十万に対して百五十万バレル、こういうふうに
財政事情
、その国の
事情
で、どうしても
生産上限
を守れない国が出てきておりまして、これがさらに全体の
需給
にいろいろな
影響
を与えるということでございます。 次に、
ページ
をめくっていただきまして、そういう
影響
を受けまして、現在の
基準価格
は三十四ドルで推移しているわけでございますが、
スポット価格
はその三十四ドルを下回るという
状況
でございまして、最近時は大体三十二ドル前後で推移しております。特に、ことしの七月九日、十日と
ウィーン
で
OPEC
の
臨時総会
が開かれたわけですが、ここではついに七−九月の
生産上限
について決めることができなかった。さらに
価格
についても、ディファレンシャルの
改定
が行われ得なかったというようなことで、一応三十四ドルの
基準価格
は今後とも守るということになっておりますけれども、
生産上限
その他それに関連した
価格動向
については、依然として不透明な
状態
が続いておるという
状況
でございます。 次に、
ページ
をめくっていただきまして、最近の
主要先進国
の
エネルギー需給動向
について御
説明
いたしたいと思います。 まず、各
先進国
とも、全体としては
経済
の低迷ということがございますが、それ以外に
エネルギー
の
消費
の節約、
代替エネルギー
の
導入
、こういうものがございまして、
エネルギー
の
消費
は
減少
をたどっております。 そこの表にございますように、一九八一年、
各国
とも
実質成長率
は
イギリス
、イタリアを除きプラスだったわけでございますけれども、
エネルギー消費
の
増加率
は、逆にそれぞれ、そこにございますように
マイナス
になっておる。特に一番右の欄にございますように、
石油
の
消費増加率
というのが
相当
の
減少
になっております。
アメリカ
の場合も六・四%、
日本
五・六%、西ドイツ一〇%というようなことで、
各国
とも一方で
経済成長
が若干伸びながら、
エネルギー消費
、特に
石油
の
消費
は
相当
落ち込んでおるという
状況
でございます。 次に、その中で
省エネルギー
がどの
程度
進んでおるかというのは、下の方に
各国
の
省エネルギー状況
という表がございますけれども、
エネルギー消費
県
単位
というところで見ていただきますと、一番右の欄の一九七四年から八一年にかけて、
年平均
、
アメリカ
の場合でも二・四%、
日本
は四・一%、その他の国も大体二%台で
エネルギー
の
消費
原
単位
、いわゆるGDP原
単位
というのが落ち込んでおるわけでございます。特に一九八一年は、
アメリカ
四・三、
日本
四・七というように、
相当
の
省エネルギー
が進んでおる
段階
でございます。 次に、
ページ
をめくっていただきまして、
石油代替エネルギー
の
開発導入
はどうなっておるかということでございますが、この表に書いてございますが、
石油代替エネルギー供給増加率
、一九八一年、それぞれ
各国
とも、
イギリス
の
マイナス
を除きましては
増加
しております。特に
日本
は
石油代替エネルギー
の一九八一年の
増加率
が六・一%、
フランス
の場合は一一・八%と際立って
増加
がふえている。その結果、
石油依存度
は、
日本
の場合も一九八一年は六三・四%に落ち込んでおります。その他の国は、
フランス
が五二ですが、その他は五〇%を割っておるというような
状況
でございます。 次に、
わが国
の
エネルギー需給
の
動向
でございますが、
日本
の場合にも、
エネルギー需要
全体、これは特に
エネルギー
多
消費産業
でございます
基礎素材産業
を
中心
とする景気の停滞、それからさらに
省エネルギー
の着実な進展、こういうことがございまして、前年度比で、
昭和
五十六年度は三二%減の四億一千六百万キロリットルというふうになっております。これは二年
続き
の
減少
でございます。さらに
供給面
では、
石油代替エネルギー
が着実に伸びておりますので、
石油
の
依存度
は急速に落ち込んでおりまして、五十四年度の七二%に対し五十五年度が六六%、五十六年度は六四%と
石油依存度
が
相当
下がってきておるわけでございます。 さらに、その
消費エネルギー
の
GNP
原
単位
、いわゆる
エネルギー
の
GNP
原
単位
も
減少
しておりまして、その下の表にございますように、一番右を見ていただきますと、
昭和
五十二年を一〇〇とした場合に、
昭和
五十六年は八五・九ということで、
GNP
一億円に対して二百十三キロリットルというところまで落ち込んできております。 次に、
ページ
をめくっていただきまして、
代替エネルギー
の
供給状況
でございますけれども、
代替エネルギー
の
供給
につきましては、総
供給
という欄を見ていただきますと、逐年
増加
をしておりまして、特に五十四年から五十五年にかけては、そこにございますように一四・五%、それから五十五年から五十六年にかけては、
増加率
は二・六%と落ち込んでおりますが、
代替エネルギー
の
供給
は着実に伸びております。
内訳
としては、
石炭
、
天然ガス
、
原子力
がその
中心
になっておるわけでございます。ただ、五十四年から五十五年にかけましては
代替
が
相当
進みましたけれども、今後は、この
石油代替
は
相当
の
努力
をしないと
比率
は下がってくるという感じでございます。特に、
原子力
につきましては、今後
相当
の
努力
を要するわけでございますが、現在
稼働
中の
原子力発電所
は、備考にございますように二十四基で千七百十八万キロワットという
状況
でございます。 さらに、それを受けまして、
日本
の
原油輸入量
、これが
相当
落ち込んでおりまして、五十六年度は二億三千万キロリットルでございまして、前年度比七・六%の減でございます。五十六年度の
燃料油
の
販売量
は一億九千五百万キロリットル、これも前年度比七・〇%の
減少
でございます。その下の表を見ていただきますと、一番左の方にございますが、
燃料油
全体では、五十六年度が七・〇%の減、ことしに入りましても、四−六月でさらに前年比五・七%の減というふうになっております。減の
内訳
は、ガソリンと軽油それから灯油が大体
横ばい
というような
状況
でございますが、特にナフサ、
C重油
を
中心
に
相当
の
需要
の落ち込みという
状況
になっております。 次に、
ページ
を開いていただきまして、そういう
状況
の中で
原油
の
輸入価格
はどうなっておるかということでございますが、
ドルベース
では、ここにございますように、徐々に低下しております。もちろん
スポット価格
と違いまして
長期契約
でございますので、
スポット価格
のような急速な低下はございませんけれども、
ドルベース
の
原油
の
輸入価格
は着実に低下しておるわけですが、御
承知
のように、
円安
の
傾向
が続いておりますので、これを
円ベース
に直しますと、必ずしも下がっていない、むしろ
上昇基調
にあるわけでございます。六月が五万二千四百十二円というふうになっておりますが、これは六月の
為替レート
が二百四十三円六十六銭ということで計算したもので、現在のように、二百五十五円から二百六十円というような
状況
になっておりますと、この
原油価格
の
円ベース
は
相当
高い
状況
である。これが
石油産業
の現在の
経営状況
を悪化させ、
国内
の油の
価格
を上げざるを得ない
状況
の原因になっておるわけでございます。 次に、最近の
エネルギー
問題を
エネルギー政策
との関連で御
説明
したいと思います。 まず、こういう
状況
を踏まえまして、
政府
といたしましては、「
長期エネルギー需給見通し
」をこの際確立する必要があるということで、四月の二十一日に、
総合エネルギー調査会需給部会
から「
長期エネルギー需給見通し
」の
改定
の報告が行われました。 この
内容
につきましては、そこの表にございますように、今回
見直し
を行いまして、
昭和
六十五年度の全
エネルギー
の
需要量
を五・九億キロリットル、これは
改定
前は七億キロリットルでございますが、これを五・九億キロリットルに
改定
いたしました。それに対する
石炭
、
原子力
、
天然ガス
、
水力
、地熱、新
エネルギー
、
石油
というものについて、その
内容
がそこに記されておりますが、特に一番下の
石油
につきましては二・九億キロリットルということで、
昭和
六十五年度には
依存度
が約五〇%、四九・一%というふうになっております。その他、
石炭
、
原子力
、
天然ガス
、これにつきましては、今後の
供給
が
相当
大きく期待されるわけでございます。 次に、
代替エネルギー政策
でございますが、こういう
長期需給見通し
を踏まえまして、現在のような
石油
の
需給状況
の中でも
代替エネルギー政策
は着実に進める必要があるということで、この
見通し
を受けまして、
石油代替エネルギー
の
開発
及び
導入
の
促進
に関する法律に基づきます
政府
の
石油代替エネルギー
の
供給目標
というのを
改定
いたしております。これは七億キロリットルに対して五・九億キロリットルと減りましたので、
供給目標
も三・五億キロリットルから三億キロリットルというふうに落ちておりますが、その
内訳
は、その上の表にございます
石炭
以下
石油
を除く
数字
をそのまま
代替エネルギー供給目標
として決めたわけでございます。 さらに、
代替エネルギー
の
開発導入政策
を進めるために、
総合エネルギー調査会
に
石油代替エネルギー部会
を設置いたしまして、現在そこで今後の
石油代替エネルギー
の
開発導入政策
についての
見直し
、今後のあり方についての
政策
の検討を行っておるところでございます。 次に、八
ページ
の
真ん中
にございます
省エネルギー政策
でございますが、これは現在のような
エネルギー需給状況
の中におきましても、
省エネルギー政策
は従来どおり、またもっと着実に進める必要があるということで、従来の冷房、レジャー、こういうものに対する
国民各層
に定着した
省エネルギーマインド
は今後とも進めるわけでございますが、今後は、さらに
長期
的な
観点
に立った
技術開発導入
ないしは
設備投資
というふうに、もっと総合的な
観点
から
省エネルギー
を進めるということで、特にことしの
普及広報
のキャッチフレーズといたしましては「くふうで
さわやか夏
の
省エネ
」ということで、いままでのがまんでできるだけ下げるということ以上に工夫をし
合理化
をする、そういうことによって
長期
的な
観点
から
省エネ
を進めるという
方向
に
省エネルギー政策
も
推進
をしておるところでございます。 次に、
電源開発
でございますけれども、これも「
長期エネルギー需給見通し
」の
改定
を受けまして、四月二十二日に
電気事業審議会需給部会
から、
昭和
六十五年度の
電源開発目標
についての答申をいただいております。 これは、全体としては、そこの表の一番下にございますように、
昭和
六十五年度に二億九百万キロワットということでございまして、今後
エネルギー
全体の中で
電力
の
比率
が高まっていくわけでございますので、そういう中で
電力
の
開発目標
を決めておるわけでございます。特に
原子力
につきましては、その下から二番目の欄にございますが、
昭和
六十五年度四千六百万キロワットというのを
目標
に
立地
の
促進
を図っていきたいというふうに考えております。 さらに、今後の
原子力開発
の
一環
としまして、その下の方にございますが、再
処理
後の
プルトニウム利用
その他を含めた
新型転換炉
の
建設
問題、これにつきましては、今後
実証炉
の
建設
に取りかかる必要がございますので、
原子力委員会
の要請を受け、電気事業連合会の
協力
のもとに、
電源開発
がこのATRの
実証炉
の
建設主体
となって今後この
推進
を図っていくという
方針
を決めております。 次に、そういう全体の
電源開発目標
を受けまして、ことしの七月九日に開かれました第八十八回
電源開発調整審議会
におきまして、
長期
の
電源開発目標
を決めますと同時に、今年度、
昭和
五十七年度の
着手目標量
といたしましては、合計で一千万キロワット、
水力
百、火力五百、
原子力
四百、こういうことで五十七年度の
着手目標量
を設定しております。 さらに、
電源立地
の
推進
を図りますために、これは
電調審
以前の
段階
でございますが、九州
電力
の玄海三、四号機については、この七月十六日に
公開ヒヤリング
が行われて
立地
の
推進
が図られておるわけでございます。 次に、
石油政策
でございますが、
石油政策
につきましても、五月二十五日に
石油部会
において五十七年度の
石油供給計画
を決めております。これはその下の表にございますように、五十七年から六十一年までの
石油供給計画
が、
数字
が決められているわけでございますが、
原油処理量
の項を見ていただきますと、五十六年度の実績が三百五十四万バレル・
パー
・
デー
でございますが、これが六十一年度におきましても三百六十六万バレル・
パー
・
デー
、それから参考のために下に書いてございますが、六十五年度の
長期需給見通し
でも、
原油処理量
は三百七十万バレル・
パー
・
デー
、こういうことで、
日本
の
石油
の
需要動向
につきましては、今後若干伸びますけれども、ほとんど
横ばい
の
状態
で推移するという
状況
でございます。 次に、
ページ
をめくっていただきまして、以上の
石油供給計画
に基づきまして現在五百九十四万バレル
程度
の
原油処理設備
があるわけでございますけれども、先ほど見ましたように、三百七十万バレルぐらいで
横ば
うというようなことになりますと、現在の
設備
は
相当
過剰になるわけでございます。
相当
の
供給余力
、
適正稼働率
その他を見ましても、少なくとも百万バレル
程度
は、現在の
石油精製設備
は過剰ではないかということで、
石油供給計画
を決めましたときに、同時に百万バレルの
処理目標
というのも決めております。ただ、これにつきましては、この百万バレルを各社一律にやるというようなことでは
意味
がないわけでございまして、むしろ今後の
石油業界
全体の
体質改善
のために、非
能率
の
設備
を落として高
能率設備
に
生産
を集約する、それから全体としての
業界
の
グループごと
に、そういう
生産集約化
を図るというようなことで、
業界
の再編成、
体質改善
とあわせて、この
処理目標
を達成する必要があるわけでございますので、そういう
観点
から
石油部会
の小
委員会
の意見なども徴し、また
業界
の考え方なども
十分ヒヤリング
を行いながら、今後の
方針
を決めていきたい。特にこれについては、
体質改善
とつながる
方向
で
過剰設備
を
処理
したいというふうに考えております。 以上が
国内関係
の現在進めております
エネルギー政策
の概要でございますが、さらに国際的な
動き
といたしましては、
IEA閣僚理事会
がございまして、ここでも現在の
エネルギー需給
の
緩和状態
の中で、なおかつ
省エネルギー
、
代替エネルギー
の
推進
、
エネルギー
の
RアンドD
の
重要性
、それから産消対話というようなことを、わが方も主張しましたし、その路線に沿って
IEA
としては、今後も変わらぬ
エネルギー政策
を進めることが確認されております。これはベルサイユ・サミットにおいても同様のことが確認されております。 さらに、
OPEC
の
ウィーン総会
の件は、先ほどお話し申し上げましたし、それから最近の
一つ
の
問題点
としては、
サハリン
の
石油
、
天然ガス開発
につきまして、
アメリカ
の
対ソ制裁
の
一環
としてこの
探鉱
、
開発
が若干むずかしい問題が出てきておりますが、これも
対ソ制裁
について
アメリカ
の
措置そのもの
については、わが方としても、わが方の立場からその
再考方
を要請しておりますが、同時に、そういう
措置
の中でソ連との
調整
を図りながら、現在
サハリン
のプロジェクトについては、その
探鉱開発
を進めておるという
段階
でございます。 以上、簡単でございますが、最近の
エネルギー情勢
に関して報告させていただきました。
浦野烋興
3
○
浦野
小
委員長
次に、
斎藤審議官
。
斎藤成雄
4
○
斎藤
(成)
政府委員
お
手元
に配付してございます「
基礎素材産業
の
現状
について」というペー
パー
に関して御
説明
を申し上げます。
基礎素材産業
の
位置づけ
でございますけれども、
真ん中
辺に表がございますように、
三つ目
の欄に「全
製造業
」と書いてございますけれども、
わが国
の
製造業
を大きく
三つ
に分けまして、たとえば
自動車
でございますとかカメラでございますとかいった
機械類
、それをここでは「
加工組立産業
」と称しております。それにその
素材
となるものを提供する
分野
、
加工組み立て産業
だけではございませんけれども、そういった材料を提供する
産業
というのを「
基礎素材産業
」としてまとめてございます。ですから、この二つの
業種
のほかにその他の分があるわけでございまして、たとえば織物とかアパレルをつくる
分野
あるいは雑貨の
製造
とかそういった
消費財分野
がこのほかにもう
一つ業種
としてあるというふうに御理解をいただきたいわけでございます。 こういうふうに分けましたときに、特に
基礎素材産業
と
加工組み立て産業
の性格がきわめて対照的に出ておるというのが
特徴
でございまして、
従業員数
で現在その表の一にございますように、全
製造業従業員
の一八%を占めておりますけれども、これは過去多い時期には、
昭和
四十年ごろは
基礎素材産業
は二五%近い
ウエート
を持っておりました。それが最近は徐々に落ちてきて一八%になっております。
製造品出荷額
、
付加価値額
はごらんのとおりでございますが、
有形固定資産額
のところで、
加工組み立て産業
と比べましても
基礎素材産業
の持っております
ウエート
が大変高いということが
特徴
としてあらわれようかと思います。 そういう
素材産業
の
位置づけ
でございますけれども、その
ページ
の上の方にありますように、
自動車等
の
加工組み立て産業
あるいは
建築業
といったいろいろな
業種
に良質な
素材
を安定
供給
して、その
競争力
を支えている
産業
であるというのが第一の
特徴
。それから二番目に、
全国各地
に
立地
をしておりまして、
雇用
の確保、
地方財政
の
安定等
に大変重要な
役割り
を果たしております。それから今後の問題を考えますと、
素材産業
はいろいろ
技術革新
の期待されている
分野
の
一つ
でございまして、そういう
意味
で
日本経済
の今後の発展にやはり不可欠の
分野
である、こういうふうに認識をしているわけでございます。
現状
がどうかというのが
真ん中
から下でございまして、下の方の
グラフ
にございますように、
加工組み立て産業
と比べましても全く対照的な
動き
を示しております。左側の
グラフ
が
生産
の
動き
でございますけれども、全
製造業
が一番最近の時点、本年第一・四半期で一五六でございますけれども、それに対して
加工組み立て産業
は二一三、
基礎素材産業
の場合一一六ということで、非常に
生産
が低迷しておるという
状況
にございます。それからその右の
稼働率
の
グラフ
にも同じような
傾向
が出ておりまして、全
製造業
の一一四に対して
基礎素材産業
は一〇二ということで、五十年水準にすれすれぐらいまで
稼働率
が落ちているわけでございます。 こういった
加工組み立て産業
との
跛行性
が非常に拡大をしておりますために、(1)のところに書いてございますように、「
雇用
、
関係中小企業
、
地域経済
への悪
影響
が出始めている。」わけでございます。その原因としては、(2)のところにございますように、第二次
石油
危機以来ナフサとかチップとかいろいろそういった原材料の値上がりがございます。それから
電力
、
石油
エネルギー
コストの上昇ということが
一つ
。それからそういった
エネルギー
供給
構造が国によって違うものですから、
日本
のように
石油
に
依存度
の高い国の場合は相対的に不利になりまして、国際
競争力
が低下している。それからまた製品の特質からいいまして、差別化が困難なものですから、過当競争が行われている、そういう
供給面
での問題がございますし、それに
需要
面では、内需の低迷、
価格
変化による
需要
構造の変化、要するにほかの方へ
需要
が移るという問題が出ておりまして、大変厳しい
状況
にございます。 あと、主要な
産業
について御
説明
を申し上げます。 二
ページ
以下でございますけれども、第一がアルミでございます。これも表でごらんのとおりでございまして、五十三年以来、経常利益は五十四年、五年と特安法の施行後ややいい時期もございましたけれども、昨年、五十六年は六百二十八億の赤字、それに加えましてそれ以前からの赤字の累積がございまして、昨年累積赤字が九百四億円に達しております。
稼働率
は、
真ん中
辺にございますように、だんだん悪くなってまいりまして、一番右の端、本年五月の
状況
では
稼働率
三〇%で、注のところにございます「
設備
処理
による休止を除いた場合」には、いまの
稼働率
が五一にまで戻りますけれども、なお半分の
状況
にございます。市況は、その下にございますように、一時特安法施行後ややいい時期もございましたけれども、最近はトン当たり二十九万円という大変低い
状況
にございます。海外市況も同様に悪化をいたしております。これに伴いまして、たとえば
アメリカ
のアルミ大メーカーでも、カイザーとかレイノルズといったところは赤字の
状況
にございます。 それから、
石油
化学工業でございますけれども、
真ん中
から下の表にございますように、特に昨今悪くなってまいりまして、五十六年、昨年の赤字がエチレンセンター十二社で二百九十七億円。その下の方でごらんいただきますと
稼働率
が
真ん中
辺にありますけれども、昨年が五九%、本年五月で六一%という
状況
でございます。
特徴
的なのは輸入でございまして、その下にございますけれども、エチレングリコール、括弧の中に輸入
比率
が出てまいりますけれども、五十三年は四%
程度
しか輸入してなかったのが本年五月では三〇%、スチレンモノマーは、昨年よりはやや減りましたけれども七・七%、アクリロニトリルに至りますと、五十三年ごろは一%にも満たなかったのが本年五月は三四・五%という
状況
で、これは
一つ
にはコストが上昇して、また他方、内需が落ちているということがありますけれども、先ほどの外国との
エネルギー
供給
構造の差によりまして、
天然ガス
などを原料とする
アメリカ
とかカナダ製品などが大量に入ってきておるということが大きな原因になっております。 それから、その次の
ページ
が化学肥料でございますけれども、これもごらんのとおり、経常利益の欄はずっと三角が続いておるわけでございまして、赤字
続き
でございます。
稼働率
はその下の方にございますけれども、これも大体六〇%あるいは五〇%台を低迷しておるということでございます。この原因もやはり原燃料
価格
の高騰によるコストの上昇、輸出の
減少
あるいは内需が
横ばい
であるといったような
状況
に基づくものでございます。 それから四番目が紙パルプでございますけれども、これは昨年いろいろ
政策
努力
、行政指導による
努力
が行われまして、
設備投資
の抑制を昨年の九月から行い、あるいは
需給
協議会をつくりまして四半期ごとの
生産
のガイドラインを示すというようなことで、業況はとりあえずはよくはなっておりますけれども、
過剰設備
の存在あるいは輸入の増大など構造的な問題がございまして、これについての取り組みが必要なわけでございます。下の(2)の輸入量でごらんいただきますと、
特徴
的に出てまいるかと思いますけれども、新聞用紙は、五十年、これは一%台の輸入であったのが、昨年は六・二%、それからまたクラフトライナーは一・一%
程度
であったものが、昨年は一五・五%というような急激な伸びを示しているわけでございます。 駆け足で申し上げましたけれども、以上のように
基礎素材産業
の
現状
は大変厳しいものがございます。通産省としましては、これらの
産業
につきまして、産構審の関係部会の答申等の
方向
を踏まえて、
業界
もいろいろ自主
努力
をしておりますし、
政府
としてもこれにいろいろ支援をするというために、税制金融上の
措置
とか環境整備のための法的
措置
など総合対策を検討する必要があろうと考えておりまして、昨日
産業
構造審議会の総合部会に
基礎素材産業
対策特別
委員会
というのを設置していただきまして、今後関係各界の御参加を得まして、さまざまな角度から審議をしていただき、所要の対策を決めてまいりたいと考えているわけでございます。 以上、簡単でございますが、
現状
を御
説明
申し上げました。
浦野烋興
5
○
浦野
小
委員長
これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。
植竹
繁雄
君。
植竹繁雄
6
○
植竹
小
委員
まず、質問の初めに当たりまして、このたびの九州地方並びに十号台風により被災された方々に対しまして、心から御見舞い申し上げる次第でございます。 さて、時間も非常に制約されておりますので、簡単に要点だけ伺いますが、答弁の方もできるだけ簡略にお願いしたいと思います。 まず第一に、
エネルギー
問題について伺います。最近の景気
動向
は、内需の停滞ばかりか輸出も大幅に落ち込んでおりまして、五十七年度の成長率五・二%の
改定
は必至だ、特に今年度後半の回復を待つわけですが、三%台に落ち込むのじゃないか、そういうことが言われておりますけれども、ことしの四月に
改定
の行われた「
長期エネルギー需給見通し
」の
昭和
六十五年度の
エネルギー需要
量
原油
換算五億九千万キロリットルの
数字
も変わってくるんじゃないか。というのは、この
数字
は
経済成長
率を五%ということを想定して計算されたものだ。そういう点につきましてエネ庁の御見解を伺いたいと思います。
小松国男
7
○
小松政府委員
いま先生御指摘のように、私どもの「
長期エネルギー需給見通し
」というのは、
経済
社会七カ年計画のフォローアップの
数字
でございます。
経済成長
率五ないし五・一%、これを一応のめどにいたしまして、それに対して
エネルギー
供給
の立場から安定
供給
を確保するということで
需要
見通し
を立てておりますので、そういうことで確かに五・九億キロリットルという
数字
が出ておるわけでございます。 確かに御指摘のように、最近の
経済
の低迷、それから
長期
的に見て五%の成長が可能かどうかというのが論議されているのも事実でございます。そういうことで、私どもの計画もそういう前提で
見通し
を立てておりますので、将来
経済
事情
が変わり、
経済
の成長テンポ、そういうものがはっきり変わるということになれば、当然その
事情
の変化に応じて
長期
の
需給
見通し
の
改定
も行わざるを得ないというふうに思っております。そういうことで、その辺は今後とも弾力的に対応していきたいというふうに思っております。 ただ、私どもの
目標
自身は
相当
、
省エネルギー
とか
代替エネルギー
の
開発導入
を、国民的
目標
ということで最大限の
努力
を期待しておりますので、
経済成長
率とすぐダイレクトにリンクするというものではございません。ただ、御指摘のような
経済
事情
が変わりますれば、当然その辺の
状況
を勘案して
長期需給見通し
についての
見直し
も行う必要があるというふうに考えております。
植竹繁雄
8
○
植竹
小
委員
その点はよくわかりましたが、ただ、実質上もうすでに
経済成長
率というものは、
アメリカ
の高金利
政策
によって変わることがはっきりしておるわけですから、余りにいまの
数字
をそのままいつまでも引っ張っていくというのはどうかと思いますが、ほかの
産業
に与える
影響
も大きいものですから、その点は慎重に、かつ迅速に対応できるような体制をとっていただきたいと思います。 さらに、そういう
長期
エネルギー
対策が変わるとすれば、
石油代替エネルギー
の
供給目標
も、
昭和
六十五年には三億五千万キロリットルから三億キロリットルに変わって、大体今月ですか、
代替エネルギー政策
のあり方の中間答申の取りまとめが行われるということになっておられるようですけれども、その
代替エネルギー
のメーンは何といっても
原子力
であり、強力に今後その
開発
が積極的に
推進
されねばならないということでございますので、その
原子力
エネルギー
の
開発
につきましても五千三百万キロワットから四千六百万キロワットに下方修正されることになったのは、ある
意味
ではまことに遺憾なことでありますけれども、なぜこういうようになったか、その辺の原因について伺いたいとも思いますし、また、その
目標
につきましてどういうふうな対処をせられているか、
政府
の御見解を伺いたいと思います。
小松国男
9
○
小松政府委員
全体の
エネルギー
の
需要
が減った中で、
代替エネルギー
の
開発導入
、これはもう最大限の
努力
を払って脱
石油
を図っていきたいというふうに私ども実は考えて、今回の
需給
見通し
の作業も行われたというふうに
承知
しておるわけでございますけれども、その中で、どこまで
代替エネルギー
の
開発導入
ができるか。そのメーンが確かに先生言われるように
原子力
、
石炭
、LNGでございますが、特に
原子力
につきましては単に量の問題だけではなくてコストの問題、こういうことも考えますと、
原子力
の
開発導入
は国民的なコンセンサスを得た上でできるだけ
導入
していきたいということで考えております。 その結果の
数字
でございますが、確かに五千三百万キロワットを四千六百万キロワットに下げざるを得なかったという
意味
で、そこはまことに私どもとしても残念でございます。ただ、この四千六百万キロワットについては、仮に今後の
エネルギー
の全体の
需要
が落ち込みましても、安定
供給
、それから
エネルギー
のコストの低減、こういうことを考えますと、ぜひ地元の理解、それからそういうものについての技術
開発
、こういうものを進めまして、ぜひその
目標
は達成していきたいというふうに思っております。
植竹繁雄
10
○
植竹
小
委員
しかし、その
原子力
発電の目的を達成するためには、何といっても一番の問題は、この
開発
が計画してから達成するまで非常に
長期
間かかる、大体十五年ぐらいはかかるというところにも大きな問題があるんじゃないかと思います。 ちなみに、この
電源立地
関係の手続を見ますと、法律には三十三の法律もありますし、またその届け出の関係は六十六と非常に広範多岐にわたっておるわけであります。特に、
電源開発調整審議会
にかかるまでにも五年間もかかっておるわけです。それ以後また科学技術庁の安全
委員会
の方においてさらに四年間、合計九年間、そして計画認可から達成まで六年間、まあ十五年かかっているわけですけれども、この間において、電発審の審議会が行われる前に第一次の、第一回の
公開ヒヤリング
がある。そして安全
委員会
のときに第二次のヒヤリングがある。しかし実態は、ヒヤリング、公聴会をやった場合に、地元の反対する人はほとんど出ないということで
意味
がないのじゃないか。したがって、一次のヒヤリング、二次のヒヤリングというものを、二回行わないで
一つ
にしたら非常に短縮されるのではないか。これが大体二年近くかかっておるということであれば、
一つ
にしてもいいのではないかと私は思うのですが、その点についてちょっと御見解を伺いたいと思います。
川崎弘
11
○川崎
政府委員
お答え申し上げます。 確かに
原子力
立地
の場合には、
公開ヒヤリング
を二回実施いたしておりますが、これは
昭和
五十一年七月に
原子力
行政懇談会というのが設けられまして、地元の理解と
協力
を求めるために、こういう
公開ヒヤリング
を開けということになったものでございます。ただ、この
公開ヒヤリング
は、第一回目は通産省が主催いたしまして、
電調審
の前に地元の理解と
協力
を求めるということで実施するものでございまして、第二次の
公開ヒヤリング
は
電調審
の後に、今度は
原子力
安全
委員会
が安全審査のために実施するものとなっております。 私どもといたしましては、この
公開ヒヤリング
が、
原子力
の
立地
の円滑化のために地元の理解を求めるということで実効が上がるよう努めてまいったところでございます。したがいまして、先ほど先生も御指摘になりましたけれども、反対派の方々も積極的にこれに御参加いただいて御議論いただくように、いろいろと
努力
をしてまいったつもりでございます。しかしながら、今後さらに改善すべき点がございましたら、そういったものをヒヤリングのあり方に反映させていくように努めてまいりたいと考えております。
植竹繁雄
12
○
植竹
小
委員
いまのお話で、改善すべきと言いますが、実態は、地元の理解を得るためにやっても地元が出ないということであれば、もう余り
意味
がないのじゃないか。したがって、これを電開審の前にやるか後にやるか、そういういつやるかについては、またいろいろと検討の余地があると思いますが、いずれにしろ、それを
一つ
にしてもいいのではないだろうかと思うのですが、その点どうでしょうか。
川崎弘
13
○川崎
政府委員
現在の二回のヒヤリングと申しますと、一回は通産省がやる、もう一回は
原子力
の安全審査のダブルチェックのために科技庁の
原子力
安全
委員会
がやるということになっておりまして、そちらの
原子力
安全
委員会
が主催で行われるものについて、私どもの立場でコメント申し上げるのはむずかしいというふうに考えております。そういう
意味
で、その基本的なフレームワークを当面すぐに変えるというのは非常にむずかしいと判断いたしておりますけれども、今後の問題として、貴重な御意見として伺っておきたいと考えております。
植竹繁雄
14
○
植竹
小
委員
その点、今後に検討していただくといたしまして、さらに、たとえば
原子力発電所
が第一回目に許可された。それでこれを増設する場合にも同じような経過があるということであれば、増設の場合は、それだけのヒヤリングは必要ないのじゃないかと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
川崎弘
15
○川崎
政府委員
先ほどお話しいたしました
原子力
行政懇談会、ここで
公開ヒヤリング
を開くように決められたのでございますけれども、この
内容
といたしましては、「当面は、原則として
原子力発電所
を設置する際には全て実施することによりその定着化を図り、その成果をふまえて制度化、開催条件等の諸問題について検討を行うことが必要である。」こういうことになっております。したがいまして、われわれとしては、当面のところはやはり発電所設置ごとにやる必要があるのではないかということで進めております。ただ、やり方自体については、今後さらに改善すべきという点については、それを検討していこうというふうな気持ちでおります。
植竹繁雄
16
○
植竹
小
委員
また、第二臨調の第二次答申において「
電源開発
立地
に係る関連許認可」のあり方についていろいろ出ておるわけです。これについて、たとえば
電調審
前後における事前
調査
を円滑に実施するとか、また認可手続等をスムーズに実施するとか、また中央、地方の連絡、所轄関係のもたれ合いということがいろいろ指摘されております。こういう点について、実施すれば二年は短縮されると言われておりますけれども、その辺に対する見解を伺いたいと思います。
川崎弘
17
○川崎
政府委員
確かに
原子力発電所
の
立地
に伴いますリードタイムは非常に長くなっております。したがいまして、その短縮化の
努力
という点につきましては、二つの
方向
があると思います。
一つ
は、地元の説得、これは
電力
会社が主として実施するものでございますが、これが必要でございます。もう
一つ
は、
電源立地
に伴います各種の制度的な手続を円滑化していくことでございます。 この点につきましては、先般の総合
エネルギー
対策
推進
閣僚会議あるいはその臨調の答申というのが出ておりますので、われわれは現在、関係省庁と個々の事例を
中心
にいたしまして、どうしたら円滑化が進むだろうかという具体的な方策を協議しているところでございます。こういうところでわれわれが考えておりますのは、具体的には各種手続の早期の実施と効率的な処置、それからさらに着工後に至りましては、今度はこれは
電力
会社の問題でございますが、工法の改善等によります
建設
期間の短縮、この辺を含めまして、大体二年
程度
のリードタイムの短縮を可能にしたいということで現在
努力
いたしております。 ただ、
電源立地
手続というのは、先ほども先生が三十三の法律というふうにおっしゃいましたけれども、この辺は地点によりまして非常に多種多様でございます。したがって、一律の解決を図るということもなかなかむずかしい面もございますので、個々の許認可等に対しまして具体的に問題が生じませんように関係省庁の連絡を緊密にしていく、そういった配慮も一面重要であろうというふうに考えております。
植竹繁雄
18
○
植竹
小
委員
次に、先般問題になりました四国
電力
が計画していた窪川町原発をめぐってリコール問題にも発展して、全国で初めての住民投票が行われたということがあるわけですが、いわゆる原発条例について伺いたいのです。
わが国
の将来の明暗を託す
エネルギー
問題、特に
原子力
問題を、一地域の住民の判断によっていろいろ云々されていいのか、重要な問題だと思うのです。このことは地方自治法の問題ばかりか、本当に議会民主主義制度そのものの問題にも関連してくる、まことに重要な問題でございますけれども、今後、
原子力
あるいは先端技術のようなものに関して、こういうことが行われることが果たしていいかどうか。そういう点について、本来なら自治省にも伺いたいのですが、きょうは来ておられないようなので、
エネルギー
庁としての御見解を伺いたいと思います。
川崎弘
19
○川崎
政府委員
原子力発電所
の
立地
のための地元住民の方々の理解と
協力
、これが非常に重要であることは言うまでもございません。ただ、現在の
日本
の政治システムと申しますか、これが議会制民主主義あるいは間接民主主義という形になっている以上、住民投票の制度というのはシステムとしてはございません。したがって、このようなシステムを
導入
すべきかどうか、これは
わが国
全体の政治決定システムであるとかあるいは地方自治制度のあり方に関連する問題でございまして、私どもは、その
原子力発電所
の
立地
というふうな問題について、こういう住民投票制度を
導入
することは必ずしも妥当ではないというふうに考えております。 また、一般論というふうな点から見ましても、
原子力
発電は高度の専門技術を必要とする、そういった専門性があるということ、それから国の
エネルギー政策
全体にかかわる問題ということでもございます。したがって、これの設置の可否を住民投票にかけて判断するというのは必ずしも妥当ではないというのが私どもの判断でございます。われわれといたしましては、現在の議会制民主主議という仕組みを前提として考えますと、地方、地元の自治体の首長の方々あるいは議会の方々、議会の意向というものを尊重してまいりたいというふうに考えております。 御指摘の窪川町の住民投票条例につきましては、これはリコールを受けられた町長が選挙公約としてこの制度を掲げて当選されてまいりまして、それで実施するということになったものでございまして、これはかなり特殊な政治
状況
のもとで成立したものと理解しております。いずれにいたしましても、われわれは、今後の窪川町の地元住民の合意形成の成り行き、こういったものを注意深く見守ってまいりたい、そういうふうに考えております。
植竹繁雄
20
○
植竹
小
委員
いまのお話で、これは妥当でないというような御意見ですが、そういう点につきましては、関係省庁と十分検討してスムーズに事が運ぶようにお願いしたい、特に要望しておく次第でございます。 さらに、
原子力
電源問題について、実は重要な問題は廃棄物の問題でございますが、たとえば燃料の問題にしましても、燃料が使用された時期と、そして使われて廃棄物になった廃棄処分の時期というものは非常にずれがあるわけです。十年以上もあるという場合に、各
電力
会社においては、これを廃棄するときに非常に多大な経費もかかる。今後
原子力
発電というものがますます進めば進むほど、とてもその廃棄する時期の
電力
会社の経営
内容
ではやっていけない。そのためには、どうしても、あらかじめ初め発電するときに準備金とかそういうものをとる必要があるんじゃないかと思うわけですけれども、これは燃料廃棄物あるいは炉の問題、それにも関連してくる問題と思いますが、こういう準備金制度についてどういうふうに考えておられるか、御見解を伺いたいと思います。
川崎弘
21
○川崎
政府委員
原子力
発電に伴いまして、いわゆるバックエンド費用というものがございますが、その中には、先生いま御指摘の再
処理
の費用あるいは廃炉の費用、それから放射性廃棄物の処分の費用、こういったものが含まれるわけでございます。こういった費用というのは、発電時点で費用が発生しているというふうに、つまり核燃料を燃やしたところでそういった費用が発生していると考えられるわけでございますが、これを実際に再
処理
であるとかあるいは廃棄、廃炉ということが行われた、完了した時点で費用として計上いたしますと、御指摘のとおり、後の世代にそのツケを回すということで、料金上も公平を害するということが考えられます。 実は、昨年の十二月に電気事業審議会の料金制度部会というのが開かれましたけれども、いま申し上げましたような
観点
で、使用済み核燃料の再
処理
費用、これは引当金として電気料金に算入することが望ましいということの中間報告を受けております。ただ、先ほど申しました放射性廃棄物の処分費用であるとか廃炉の費用というものにつきましては、確かにそういう費用が発生するわけでございますけれども、現
段階
では合理的な費用見積もりを行い得ない、そういう要素が欠けているということでございまして、この点につきましては、引き
続き
内外の事態の推移を見きわめながら取り扱いを検討すべきである、そういうふうな中間報告が出ております。 当省といたしましては、これらの
原子力
バックエンド費用、これの電気料金制度上の取り扱いにつきまして、ただいま申し上げました中間報告の趣旨を尊重いたしまして、適切な範囲のコストというものにつきましては、準備金の創設等制度的な対応をやってまいりたい、そういうふうに考えております。
植竹繁雄
22
○
植竹
小
委員
その点については慎重に検討していただきたいと思います。ちなみに、大体一トン当たり四千万ぐらいかかると伺っておりますので、どうか慎重に検討して、ぜひ実行できるように御
協力
いただきたいと思います。 時間もありませんので、他に伺いたい点もありますが、
基礎素材産業
関係の不況対策について伺いたいと思います。 昨今の景気で、アルミ、
石油
化学あるいは
石油
精製、紙・パ、化学肥料、フェロアロイ等の
素材産業
は、企業自身の存立の問題まで持ち上がっておるものも幾つかあるわけでございますが、こういう
基礎素材産業
、先ほども
説明
があったように、何といっても、
わが国
経済
でこれをなくすわけにもいかないし、何とか存立させていかないとということでございますので、といって、これが各企業自身の自主
努力
によって解決していくものではない。何といっても
政府
による援助なしではやっていけないということを考えまして、先般来、昨日も特安法につきまして、中小企業
庁長官
からこの点について、来年切れる特安法の後はどうするか。これは新しい
改定
あるいは新特安法というようなものも御検討いただけるような御発言をいただいて、私どもも非常に期待をしておるわけでございますけれども、もし新特安法ができた場合に、現行法で
設備
処理
のための指示カルテルに限られている独禁法の適用除外の範囲を、共同
生産
あるいは共同販売、共同購入等に拡大することによってやっていくのがいいんじゃないかと思うのですが、この点について通産省はどういうふうに考えておられるか、伺いたいと思います。
斎藤成雄
23
○
斎藤
(成)
政府委員
基礎素材産業
につきましては、御指摘のとおり再活性化あるいは構造改善のためにどういう
措置
をとるかということが
目標
でございますから、これについて十分検討していくわけでございますけれども、その際には、御指摘のように現行特安法の
設備
の共同廃棄に係る
調整
措置
だけで十分であるとも思えないわけでございまして、総合的な対策の
一環
として、
生産
の受委託とか
生産
の共同化あるいは共同化等の事業の集約化等について
調整
が必要になるのではなかろうかというふうに考えているわけでございまして、ただ、具体的スキームにつきましては、まだ先ほども申し上げました
産業
構造審議会その他でいろいろ御検討をお願いする
状況
でございますから、今後の問題として検討してまいりたいと考えているわけでございます。当然のことでございますけれども、検討に当たっては公正取引
委員会
とも十分相談をしてまいりたいと考えております。
植竹繁雄
24
○
植竹
小
委員
時間もないので、あと二つだけ伺いたいと思いますが、アルミ
業界
では、関税免除
措置
に続く救済
措置
として、
電力
コストの軽減
措置
を強く要望しておるわけでございますが、今度の、新しく考えられると言われる新特安法の中で、
電力
多
消費
型
産業
に対する
電力
料金負担の軽減
措置
を盛り込むことをお考えになっておられるかどうか。この点も、いまのお話では今後の問題だということですが、お考えはあるのでしょうか、どうでしょうか、その辺もちょっと伺いたいと思います。
川崎弘
25
○川崎
政府委員
アルミ製錬に使われております電気、これは
三つ
ぐらいの電気の
供給
形態があろうかと思いますが、
一つ
は自家発で
水力
等でやっているもの。それから大部分を占めますのが
石油
火力を共同火力という形で実施しているもの。それから最後に、これは余り
ウエート
は大きくなくて一割
程度
しかございませんけれども、一般の電気事業者から買電しているもの。大体
三つ
ぐらいの
電力
の
供給
ソースがございます。 現在われわれといたしましては、共同火力につきましては、そこから大きく
供給
を受けているということもございますので、まず
石油
火力を安い
石炭
火力に転換しようということで、その
建設
費の補助あるいは財投の低利融資等を進めておりますし、もう
一つ
は共同火力の操業といいますか、発電所の運転につきまして
電力
会社に
協力
させまして、極力これを効率的に運営させる、そういうことによりまして
電力
コストの引き下げを図っているところでございます。 また、余りウェートは高くございませんけれども、九
電力
からの買電分につきましては、いわゆる
需給
調整
契約というのがございますが、これを活用いたしまして、アルミ
産業
の方が負荷
調整
において
協力
をするという前提のもとに電気の
供給
を効率的に行う。そのメリットをアルミの
産業
側に還元するということで、
電力
コストの低減策を図っているところでございます。 ただ、何か
政策
料金というふうな形で、これをたとえば法案に書くというふうな問題につきましては、私どもといたしましては、
電力
多
消費
型のそういった
産業
に対して
政策
料金を
導入
するということになりますと、実は、それらの
産業
以外の他の
需要
家の負担を
増加
させるということになりまして、これはほかの
需要
家を差別的に取り扱うということになりますので適当ではないというふうに判断いたしております。
植竹繁雄
26
○
植竹
小
委員
最後の問題として、
石油
化学について伺いたいと思いますが、今年四月に原料ナフサ対策がなされまして、ヨーロッパに対してはある
程度
対応できるようになりましたが、何といっても先ほどお話にありましたように、北米の安い
天然ガス
によるものについては対応できない。そして第二段の対策として、
石油
税の還付や備蓄義務負担の軽減ということがまた重要じゃないかと思いますが、この点について伺いたいのです。 そしてさらに、八月三日の朝日新聞に、経団連が要望している
石油
化学のアンチダンピング関税の発効について出ておりましたけれども、それに対して通産省の方は、通商摩擦を再燃させかねないから、これらの
措置
を考えることはないという御見解でございます。しかし、貿易摩擦というものについては、
アメリカ
であっても
日本
として言うべきことははっきり言う。向こうとしてそれに対してリーズナブルな問題がある場合には、こっちも慎重に検討していく、それが本当の米国と
日本
との理解じゃないかと思います。やはり相手が言わないのに、先に旗を掲げていってはいけないじゃないか、そういう点を私は強く通産にも要望いたすと同時に、この新聞に出ておりますようなアンチダンピング法、アンチダンピングという点についてどう考えておられるかお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
池田徳三
27
○池田
説明
員 お答え申し上げます。 近年米国、カナダからの
石油
化学製品の輸入は急速に
増加
していることは御
承知
のとおりでございます。この輸入の急増に対しまして、
業界
でエチレングリコール、スチレンモノマーにつきましてダンピング提訴の検討が行われているということは
承知
いたしております。 いま先生御指摘のとおり、ダンピング関税そのものはガットルールにのっとった制度といたしまして、要件が整えば、その発動ということは問題がないところでございます。ただ、ダンピング提訴を受けまして、その
政府
調査
を開始するか否かの大前提につきましては、ダンピングの事実、それから損害の事実、その間の因果関係につきましての十分な証拠があるということが前提でございます。不当廉売関税それから相殺関税につきましては、関税定率法それから同法に基づく関係政令で一応
国内
法制の整備はすでになされておりますけれども、日米の話し合いでも、手続の透明性を確保いたしますための規則をさらに補完することが必要ではないかと考えております。これは
産業
構造審議会の化学工業部会の答申でも、自由貿易原則を維持しながら、不公正な貿易行為等に対しては、ガットルールにのっとった対応策を講ずることとすべきで、このため、不当廉売関税制度及び相殺関税制度を適切に運用するための手続、体制等の整備を図るべきだと言われておりまして、このため、通産省といたしましては、
業界
の
動き
も見ながら不当廉売関税制度の手続面の整備につきまして、現在事務的に検討しているところでございます。
植竹繁雄
28
○
植竹
小
委員
以上をもって質問を終わります。
浦野烋興
29
○
浦野
小
委員長
後藤
茂君。
後藤茂
30
○
後藤
小
委員
ただいま長官から最近の
エネルギー情勢
報告をお聞きしたわけでございますが、短い時間でたくさんの
エネルギー
に関する問題がございますけれども、最初に私は、やはりどうも
政府
の
エネルギー政策
というのは大艦巨砲主義から変わっていないのではないか。これだけ国際的に大きな
経済
の変動がなされている、予想もしなかったような
エネルギー需給
の緩和といいますか、こういう問題も起こってきている。そうした中で、なおかつ、今度の
需給
見通し
を見ましても、依然としてそうした姿勢がとられておるように思えてならないわけです。特に今後の
経済成長
率平均五%、先ほど
植竹
さんからも指摘をされておりますが、これは大体高過ぎるのではないかという意見が大変強くなっております。恐らく新
経済
社会七カ年計画にシフトさせてこれが出されてきている、ここを先に変えるということもむずかしいということだろうと思うのですが、この七カ年計画も、河本長官の国会における答弁を聞いておりますと、早急に変えていかなければならぬということになってまいりますと、成長率が変わる、弾性値も変わってくるということになるだろうと思うのです。弾性値にいたしましても、〇・六四というのは私はまだ非常に高いような気がいたします。 そういう
意味
で、この根拠になっておったところが、どうも恣意的といいますか、
政策
的意図が入るのは当然ですけれども、願望、期待というものを加え過ぎているのではないだろうか。もう少しシビアに国際情勢を見ていきながら
経済
の
動向
を見ていけば、私はこれからはゼロサムではないですけれども、
経済
の成長というものは、やはり
相当
低成長が続いていく、むしろそれがノーマルな
状況
に入っていくのではないか。そうした中で、どうも
エネルギー
というと聖域化していって、これはもうどんどんふやしていかなければならぬのだということを
政府
自身が音頭を取り過ぎていはしないか。もっと厳しく問題を見詰めていきながら、大艦巨砲主義を考え直していくちょうど曲がり角に来ているのではないかと私は思えてならないわけです。どういうようにお考えでしょうか、長官。
小松国男
31
○
小松政府委員
先生お話がございました、現在の
経済成長
率、これが
相当
場合によっては変わってくるのではないか、それからそれを前提としても、なおかつ
エネルギー
についても、さらに
需要
についてもっと厳しい見方が可能ではないかというお話でございますが、私どもも、
日本
の
エネルギー
構造が非常に脆弱でございますので、そういう
観点
からは
省エネルギー
というものをどうしても進める必要がある、こういう
観点
で、今回の総合
エネルギー需給
見通し
をいろいろ検討される
段階
でも、
省エネルギー
問題を
相当
真剣に考えております。 それから、
産業
構造全体としましても、
日本
は
エネルギー
コストが非常に高いわけですので、たとえば
経済成長
率五%の中でも
エネルギー
多
消費産業
、こういうものは三%くらいしか伸びないのじゃないか。組み立て加工、これはどちらかと言えば
エネルギー
が余り要らないのですが、こちらは七%くらい伸びるとか、そういう
産業
構造の変化。それから実際に
省エネルギー
がどこまで進むか、それからさらに先ほど申しました脱
石油
としての
代替エネルギー
をどう考えるか、それから全体として
日本
の場合に
エネルギー
コストが高いわけですので、このコストはどこまで下げ得るか、単に量を確保するというだけではなくてコストの問題も考える、こういうことをいろいろ検討された結果、今回の
長期エネルギー需給見通し
が出されておるわけでございます。
経済成長
率につきましては、確かに現在非常に
経済
全体が低迷しておりますし、将来の成長率についてもいろいろな論議が行われておるということは、私どもも
承知
をいたしております。ただ、全体として見て五%が適当であるのか四%が適当であるのか、これはこれからの御議論で決まってくる問題でございますが、もし
経済成長
率が五%を
相当
大きく割り込むというようなことでございますれば、私どもとしては、安定
供給
という立場から、現在一応
経済
社会七カ年計画を前提に今回の試算をいたしておりますので、
事情
が大きく変わるということであれば、当然その新しい事態に対応した「
長期エネルギー需給見通し
」を考えなければいけないというふうに考えております。ただ、
省エネルギー
、それから
代替エネルギー
、こういう問題については、
相当
国民の理解と
努力
を前提としてつくっておりますので、むしろこれ自身の実現にも
相当
の
努力
が要るわけですので、そういう
観点
で、新しい事態、それからわれわれが前提として考えておった
経済
事情
、こういうものに大きな変化がある上すれば、当然その
段階
で本計画についても
見直し
が行われるべきもの、かように考えております。
後藤茂
32
○
後藤
小
委員
ことしの春ごろでしたか、
日本
エネルギー
経済
研究所の
経済成長
率、ハイケースで四・三%、ローケースで三・九%とはじき出しているわけですけれども、長官、どうなんでしょうか、三%くらいの成長ということになりますと、
年平均
伸び率が五%で三・二%ですか、三%くらいだったら恐らくゼロくらいになるのじゃないですか、どうでしょう。
小松国男
33
○
小松政府委員
最近、
経済成長
率と
エネルギー
の
需要
というのは必ずしもリンクをいたしておりません。特に
経済成長
率が三%とかそういうふうにもし落ちるとすれば、その場合に
日本
の場合は
産業
構造がどうなってくるか、そういうことなども検討しなければならない。それから先ほど先生からお話ございました
エネルギー
弾性値というものは、そういうことで、
産業
構造、それから今後の技術の対応の度合い、
合理化
の度合い、それから国民の
エネルギー
に対する関心、こういうものをいろいろ含めて、さらに変わってくるという問題がございますので、もし
経済成長
率が現在の五%
程度
ではなくて、さらに下がるということになると、恐らく
日本
の
産業
構造それ自身が現在の
状況
とは変わってくるというような問題もあると思います。そういう前提でいろいろ考えなければいけませんので、必ずしも三%になったら
エネルギー
の
需要
は二%とか一%になるかどうか、ちょっと私はこの
段階
で申し上げられる
状況
にはございません。
後藤茂
34
○
後藤
小
委員
そういう学者の意見も聞くものですから。ということは、先ほども言いましたように、
雇用
の問題とかあるいはこれからの国民生活水準等の問題を考えていきますと、どうしても高い成長というものに置きがちですけれども、そういうような安易な
見通し
というのは、どうもここ五年、十年くらいは立っていかないのではないだろうかという気がするものですから、いまの点を指摘してみたわけです。
IEA
における
目標
値がたしか〇・六〇というような弾性値だと聞いておるわけですけれども、これまでの、過去の五十年から五十五年の弾性値を計算をしていきますと〇・三七くらいに落ち込んでいるのではないか。これは大変異常なのか、これからはこういう
方向
に進んでいくのか、この点は長官、いかがでしょうか。
小松国男
35
○
小松政府委員
いま先生からお話ございましたように、最近の
エネルギー
弾性値、特に五十年から五十五年は確かに〇・三七という
数字
も実は出てございます。ただ、この間に
エネルギー需要
の実態を見ますと、非常にアブノーマルな点とか、
エネルギー
コストが急速に上がりました結果、われわれの生活における
省エネルギー
、それからいろいろ
産業
における
省エネルギー
、さらに
エネルギー
多
消費産業
の急速な停滞、こういうものがいろいろ入りまして、この〇・三七という
数字
が出ておるわけでございます。 ですから、こういう〇・三七という短期的な現象が、今後も
長期
的に
続き
得るかどうかというようなことになりますと、これはなかなかむずかしい問題でございまして、そういう過去の実績その他も踏まえて、今回、将来の
産業
構造がどうなるか、それから
産業
面における
省エネルギー
がどう進むか、それからわれわれの生活面における
省エネルギー
、それから運輸面における
省エネルギー
はどういう
動向
をたどるか、こういうものをいろいろ検討した結果、今回は〇・六四という
数字
を出しているわけでございます。 そういう
観点
で、やはり
相当
しさいに検討いたしませんと、現在短期的に
エネルギー
弾性値が非常に低いから、これが
長期
的にもトレンドとして可能だというふうに論ずるのはなかなかむずかしいのではないかというふうに思います。それから特に
エネルギー
の場合に安定
供給
という点も考えますと、この辺について余り楽観的な
数字
も実際には採用できないのではないか、こういうことで今回の「
長期エネルギー需給見通し
」ができておるわけでございます。
後藤茂
36
○
後藤
小
委員
弾性値の低下の中に
省エネルギー
の
ウエート
が非常に高まっているということは、私もそのとおりだと思うのです。なお、これまでの
石油
がぶ飲みといいますか、
エネルギー
がぶ飲み的高度
経済成長
になれてきておった
わが国
の生活構造あるいは
産業
構造というものが、お互いに見直されていきながら、これは
長期
に見なければならぬといま長官言われましたけれども、
相当
常態化してきているのではないだろうか。つまり構造的に内部にコミットしてしまっているのではないだろうかという気がするわけです。それがまた元に返っちゃいかぬので、さらに
省エネルギー
というものを
推進
をしていかなければならぬ。その点に関する先ほど何かスローガンみたいなものを言っておられましたけれども、「くふうで
さわやか夏
の
省エネ
」、そういうような
程度
じゃなしに、もう少し本格的に
省エネ
に対する
政策
的刺激を与えていくことによって、弾性値をさらに下げていくという
努力
が必要なんじゃないか。その点がまだどうも欠けているように思えてならないわけですが、これは一言で結構ですから。
小松国男
37
○
小松政府委員
御指摘の点は、
日本
の場合には特に
省エネルギー
を
エネルギー政策
の三本柱の
一つ
に据えて私どもも
努力
をしているわけでございますし、いままで一般に短期的な
意味
での
省エネルギー
、これが国民の各層の間に定着しておりますが、今後は技術研究
開発
の問題、
設備投資
の問題、それから
産業
構造全体の推移の問題、こういう中でかなり息の長い
省エネルギー政策
を進める、これが非常に大事でございますし、そういう
観点
からできるだけ
GNP
に対する
エネルギー
弾性値を小さくしていく、要するに成長率と
エネルギー
の
需要
等の切断をむしろしていく、そういう
政策
は今後とも積極的に進めていきたいというふうに思っております。
後藤茂
38
○
後藤
小
委員
いまの弾性値の問題と関連して、新
エネルギー
が下方修正をされているわけですけれども、先ほどの
説明
では、もう
一つ
十分に理解ができなかったので、その下方修正をした理由と、今後の
開発
の進め方について、もう少し具体的に御
説明
をいただきたいと思います。
小松国男
39
○
小松政府委員
新
エネルギー
につきましては、この前の
改定
で
原油
換算で三千八百五十万キロリットルを千五百万キロリットルと非常に小さくしたわけでございますが、この小さくいたしました
事情
は、
一つ
は最近の
エネルギー
事情
の中で、特に
石油
の
価格
が低迷いたしております。
石油
にかわって新
エネルギー
の
導入
ということになりますので、そういう
意味
でコストの面、これが
昭和
六十五年に実際にどの
程度
、市場にコンペティティブな形で参加できるかということになりますと、現在の
石油
価格
の
動向
その他から考えますと、現在の研究
開発
段階
では、市場に出てくるものがどうしても少ない、こういうことで現実的な見方をして
数字
が非常に小さくなったわけでございます。 ただ、だからといって新
エネルギー
の研究
開発
、これは
日本
にとって非常に大事な問題でございますし、特に脱
石油
、さらには
日本
の
エネルギー
供給
構造を強化していくという立場からいたしますれば、新
エネルギー
の研究
開発
は、今後とも国の立場からいたしましては重点的に施策を講じていくべき
分野
だというふうに考えております。こういうことですので、確かに
昭和
六十五年の
数字
は下げましたけれども、さらに今後の
エネルギー政策
の姿勢、それから国民に対する
協力
を要請する立場から、今回特に西暦二〇〇〇年、
昭和
七十五年の
数字
も掲げまして、そこでは新
エネルギー
の
数字
を六千五百万キロリットルという非常に大きな
数字
を掲げまして、全体としても八%ぐらいは新
エネルギー
で賄えるような
エネルギー
の
供給
構造を目指すべきである、こういう
観点
で研究
開発
を進めるということにいたしております。 いずれにしても、新
エネルギー
の研究
開発
は、リードタイムが長いわけですので、最近の
石油
需給
とかこういうものに惑わされることなく、着実に研究
開発
を進めたいというふうに思っております。
後藤茂
40
○
後藤
小
委員
これはぜひそうしてほしいのです。
石油
の
需給
緩和等に惑わされずとか、あるいは市場のコストに
影響
されずということは、長官ぜひひとつ考えておいていただかなければ、際限なく——際限なくではないでしょうけれども、
改定
のときに、どうもコストがかかり過ぎるので新
エネルギー
なんかは間尺に合わぬということで、また下方修正をされていくという危険性が大変強く見受けられますので、この点は、技術
先進国
だと言って
政府
も太鼓をたたいているわけですし、国際的に見ましても、
日本
が新
エネルギー
の
開発
技術にこれからより真剣に取り組むことによって、技術移転なりあるいは国際的な
協力
なりの場に寄与することもできるわけですから、もっと野心的に取り組んでいく。単なる技術的な下方修正ということじゃなしに、
ウエート
をもっとここにかけるべきじゃないか。少なくとも
原子力
発電に対する
政府
の情熱を、もっと新
エネルギー
の
開発
の
方向
にシフトしていくべきではないかという見解を私は持っておりますので、この点を強く指摘したわけであります。 そこで、
原子力
の問題につきましては、なおまだ
国内
において意見の相違、つまり国民的な合意というものがついてない
政策
課題でありますから、非常にむずかしいだろう。あの
公開ヒヤリング
等を見ておりましても大変むずかしい問題だ。あるいはまた住民の投票によって決めるというような
動き
が出てくるとか、これを私ずっと見ておりまして、長官、
原子力
発電あるいは
原子力
の平和利用というものに対して、専門的な学者、技術者の間に意見が二つに分かれてきておる。だから、
政府
がこれは安全である、これはもうこれからの安い
エネルギー
源としてつくり上げていかなければならぬのだとどんなに
説明
をしていっても、
原子力
にかかわる専門的な科学者なりあるいは学者なり研究者というものの間に、いやこれは絶対安全だからどんどん進めていくべきだとか、非常に危険である、とりわけ廃棄物の
処理
等については全く確立されていない、あるいはまた非常に高熱のタービンで
電力
をつくり上げていく、そして
長期
間遮蔽するというようなことは、今日の技術では非常にむずかしいとか、いろいろな意見が出ているわけですね。若干下方修正はされているわけですけれども、なお現実から大きくかけ離れた
開発目標
を設定しているというところに非常に無理があるのじゃないか。全体的に五%、それから弾性値を〇・六四%、こういうものが
一つ
ありまして、ずっと
エネルギー
のそれぞれの構造を積み立てていくと、どうしても
原子力
の方により多く持っていかなければならないというところにいっているのじゃないか。後でまた御質問をいたしますけれども、自然循環
エネルギー
だとか新
エネルギー
だとか、ローカルな形の小型な
エネルギー
というものをどのように大切に
開発
していくかという視点が欠けているから、どうしても
原子力
の
方向
に入り込んでいっているのではないだろうかという気がいたしてならないのです。この点、長官、いかがでしょうか。
小松国男
41
○
小松政府委員
私どもといたしましては、
日本
の脆弱な
エネルギー
の構造をどうやって変えていくかということが非常に大きな課題でございます。そういう
意味
からいって、まず
需要
に見合った
供給
の量を確保するというのが
一つ
ございます。同時に、
日本
の場合には
エネルギー
コストが非常に高いわけでございますので、これをできるだけ下げる
努力
をしなければいけない。特に
エネルギー
はわれわれ国民生活にとっても大事ですが、同時に
産業
の飯でもありますので、そのために、最近
エネルギー
多
消費産業
が非常に厳しい
状態
に追い込まれているというようなこともございますので、量の問題、コストの問題、こういうものを勘案しまして、さらに
石油
の
供給面
における非常な不安定性、こういうものをカバーしていくということで「
長期エネルギー需給見通し
」を立てているわけでございます。 そういう
観点
からいたしますと、安定
供給
の面、それからコストの面、こういう問題を考えますと、
原子力
が
エネルギー
の
供給
構造の中では当面最も重点的に
推進
さるべきものである。さらに
石炭
、LNG、こういうものが続いていくわけですが、私どもとしては、
日本
の純国産
エネルギー
でございます
水力
とか地熱とかそれからローカルな風力の問題とか、こういう問題も当然研究
開発
を進めなければいけませんし、さらに今後の問題としては、太陽
エネルギー
の問題、核融合の問題いろいろの問題について
長期
的な
観点
からの研究
開発
も進める、こういうことで短期、中期、それから
長期
の問題を含めた
エネルギー
の
供給
構造を前提とした施策、それから研究
開発
の進めということを行っているわけでございます。 そういう
意味
で、当面の
エネルギー
の脱
石油
という
観点
から、
日本
の
エネルギー
供給
構造、
需要
に対して量の面、コストの面で対応できるのは何かということになりますと、どうしても
原子力
、
石炭
、LNGが
中心
にならざるを得ない。ただ、将来の問題といたしましては、確かに先生言われましたような問題、それからローカルな
エネルギー
の活用の問題、こういう問題についても当然施策の重点を置くべきだ、こういう
観点
で、現在も総合的な
観点
から実は
エネルギー政策
を進めているところでございます。
後藤茂
42
○
後藤
小
委員
長官、先ほども指摘しましたように、
原子力
の問題に対して、なぜ専門家の間で意見が大きく分かれているんでしょうか。
小松国男
43
○
小松政府委員
これは非常にむずかしい御質問でございまして、私ここで答弁できるわけではございませんが、ただ、私どもといたしましては、
原子力
の安全性も非常に大事な問題でございまして、国民の理解を得て、これは進めていかなければいかぬということで、いろいろの手続を経ておりますが、同時に
原子力
がいかに安全であるかということについての御理解を得るためのいろいろのPR、それから安全面を確保するためのいろいろの研究
開発
、実証試験、こういうものを積み重ねておりまして、現
段階
では、私どもは
原子力
は非常に安全な
エネルギー
であると確信を持っておりまして、それをどう国民に御理解いただくかということでございます。さらに
エネルギー
全体として、核燃料全体としてのサイクルの問題、こういう問題についても今後の問題として非常に大事でございますので、早期にそういう面の確立を図るということでいろいろの施策を進めておりまして、そういう
観点
から施策を進め、それからさらに実績を重ね、これによって国民の御理解を得ていきたいというふうに思っております。
後藤茂
44
○
後藤
小
委員
非常にむずかしい問題で、私どももいろいろな専門学者等の話を聞いてみましても、どっちも大変りっぱな意見のように聞こえる。それだけに実は判断に迷うというのが国民の偽らない気持ちであろうと思うのです。
フランス
は、私も行って
原子力発電所
を見てまいりましたけれども、大変おおらかに非常に積極的に進めております。西ドイツに行ってみましたが、西ドイツの方は少しシビアにやっておりましたけれども、ヨーロッパなんかと
アメリカ
あるいは社会主義国それぞれにニュアンスが違っている。そして安全の面になってくると、
フランス
ぐらいのものは、胸を張って、
原子力発電所
に対していまごろまだそんな質問をされますかというような意見を持たれております。ほかのところはニュアンスが若干違う。特に
アメリカ
なんかの場合は、スリーマイル島の事故以降でしょうけれども、
原子力
発電関係のメーカー、ウエスチングハウスにいたしましてもGE等にいたしましても、その部門は不採算部門に入り始めてきている。ということは、逆に言えば、
原子力
がこれからのいい
産業
として
位置づけ
られるようなものなのか。
アメリカ
ではどうもいい
産業
、商品は当然もうかる、もうからぬものは悪い商品であり
産業
であるというような考えもあるようでありますけれども、最近
原子力
については非常に冷え込み始めて、クールに見直そうとしているのではないか。ただレーガン流に言えば、一方核兵器等の問題とも絡むわけですから、これの核燃料をどうやって軍事力に利用していくか、その原料として確保しておくかという戦略的な配慮もあるのではないかというような気がするわけです。こういったことについて、どのように判断をしていけばいいかお答えをいただきたい。
高橋宏
45
○高橋(宏)
政府委員
先生御指摘のように、
世界
各国
で
原子力
発電を一斉にやっておりますが、その規模はすでに一億六千万キロワットほどになっております。
日本
はその中で三番目、
フランス
に次いでおりますけれども、恐らくことしの末はソビエトに追い越されるだろうと思います。ソビエトも非常に力を入れてやっております。そうして
各国
の
原子力
政策
をきめ細かに見ますと、御指摘のように、かなりニュアンスの違いがございます。私どもはそういう
世界
の
状況
もにらみつつ特に二つの
観点
、すなわち
一つ
は
原子力
の平和利用に対します安全確保の問題、もう
一つ
は核拡散の防止、これは単に
日本
のみならず国際的にも非常に留意をして進めるということでございますが、特に
日本
におきましては、すでに千七百万キロワット、八百七十億キロワットアワーという発電をいたしておりまして、
水力
発電よりも
原子力
の方がたくさん電気を
供給
いたしております。そういう中で安全問題は常に基礎に置いておりますけれども、私ども考えますのに、
世界
各国
でいろいろなニュアンスの差はありますけれども、基本的に安全についての問題は、実用規模
段階
での安全問題は解決しておるというように考えております。スリーマイルも痛い経験でございましたけれども、これもすでに克服いたしておりますし、特に
日本
におきましては、今後は自主技術、そして
日本
の
エネルギー
事情
を考えました自主的な判断をもとにして進めることが必要と考えます。いろいろなケースを通じまして謙虚に安全問題は議論されるべきだと思いますけれども、私どもは、
稼働率
もすでにここ二年ほど六〇%を超えておりますし、本年に入ってもずっと七〇%以上の
稼働率
で推移いたしておりますから、こういう実績を大事にいたしまして、より安全に力を入れながらやっていくことにいたしたいと考えております。
後藤茂
46
○
後藤
小
委員
最近廃炉対策等が検討され始めてきておりますけれども、ある専門家に聞いてみますと、
日本
の
原子力
発電の機器も
相当
老朽化し始めてきている、だましだまし使っていっているというような意見も聞くわけであります。いまの御答弁だと安全は大変確立をしておって、少々
長期
にわたる
稼働
においてもたえ得るのだという
状況
なのか、それとももう年数が来て、これから非常に憂慮ということじゃないでしょうけれども、取りかえていかなければならぬ、廃炉の問題は真剣に考えなければならない
段階
まで来ているのかどうか、この点、一言で結構です。
高橋宏
47
○高橋(宏)
政府委員
原子炉の技術的、物理的寿命は大体三十年ないし四十年とも言われております。そういたしますと、
日本
では軽水炉で申し上げますと、四十五年から運転開始をいたしておりまして、約十年そこそこでございますので、まだそういう時期にはかなり時間があるというぐあいに考えております。ただ、時間があるということと早目に手当てをするということとは別でございまして、通産省におきましても研究会を設けておりますし、
原子力委員会
の中にも廃炉についての専門部会を設けまして、より安全で、そしてより
経済
的に廃炉を行う方式、特に
日本
の国土あるいは技術、社会に一番適した廃炉方式というものを検討いたしておりまして、すでにそのレポートも出ております。なお、そのほかにもう
一つ
の問題は、廃棄物の
処理
処分の問題がございますけれども、これらにつきましても、先行的に技術
開発
をして怠りなく対応していくというぐあいに努めたいと思っております。
後藤茂
48
○
後藤
小
委員
せっかく
需給
見通し
等もできて、これからなお、この中における構成については常に
見直し
をしていかなければならぬだろうと思うのですが、こういった
開発導入
資金の財源をどういうように確保していくのか、それから官民の負担のあり方を一体どうしていくのかということについて、長官からひとつお答えをいただきたいと思うのです。 たとえば
石炭
等につきましても、オーストラリア炭等はもう目いっぱいでしょうし、さらに
アメリカ
だとかカナダあるいはオーストラリアにおきましても、この
需給
見通し
を実現していくためには
相当
な施設、インフラストラクチュアというのですか、そのための投資を考えていかなければならぬわけでしょう、こういう
石炭
の問題。あるいはLNGについても、このロットは大変大規模でなければ効率が悪いわけでしょう。小さいLNG基地がたくさんあっても、むしろかえってコストが上がる。そういたしますと資本費も大変かかるでしょうし、
原子力
発電と同じように、これまた
立地
の問題が大変大きな制約要件に入ってきはしないだろうか。
石炭
、LNG、
原子力
、
代替エネルギー
の
開発
に対して積極的にということを言われながら、
数字
的には、こうやって挙げることができるわけですけれども、さてそれを
開発
していくことになりますと資金の面、
立地
の面あるいは環境の面に対する手当てというものをどのようにお考えになっているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
小松国男
49
○
小松政府委員
「
長期エネルギー需給見通し
」を実現していくために、どの
程度
の資金量が要るか、これはなかなかむずかしいわけでございまして、実際には将来の研究
開発
の問題、それから先生のいま言われた資源
開発
その他を含めた投資の
状況
、これも
状況
によって
相当
変わってまいりますので、これは実際にわかりません。ただ、過去私ども、官民負担をどうするかという議論は、いままでもいろいろ行われております。特に研究
開発
段階
ですと、パイロットプラントまでの
段階
とか、そういう非常に基礎的な研究
開発
、これはどうしても国が
中心
にやらざるを得ませんけれども、企業化の
段階
、さらには実際にそれが実用化の
段階
に入りますれば、ほとんどが民間の資金、こういうことになりまして、実際、負担はそれぞれの
分野
から、
エネルギー
の研究
開発
の
内容
によって変わってくると思いますが、総じて私どもは民間と国の負担は大体九対一ぐらい、過去の実績を見ますと、大体そんな感じでございますし、今後とも
状況
によって異なりますけれども、
中心
はやはり民間
中心
、国はベーシックな、基本的な問題について助成していく、こういう
方向
でぜひこの「
長期エネルギー需給見通し
」に沿った
エネルギー
問題の解決を図っていきたいというふうに思っております。
後藤茂
50
○
後藤
小
委員
特に財源の問題で、最近は歳入欠陥から非常にむずかしい要求をあちこちからしてきている点が多いようでありますから、特に
エネルギー
の確保に対する資金的な手当てというものに対して、それからまたそれがスムーズにいくような環境整備というものに対しては、
相当
シビアに考えておかなければならぬじゃないだろうかと思って指摘をしておいたわけであります。 時間が大変少なくなってまいりましたので、あと一、二点ちょっとお聞きをしてみたいと思うのですが、昨日の日経に「さあ出番中小
水力
発電」という大変大きな記事が出ておる。通産省としてもこれまでの
調査
で「
昭和
八十年までに採算がとれそうな
開発
可能地域は、二千六百地点で、千三百万キロワットの
電力
を新たに
供給
できそうだ」。千三百万キロワットというと、
原子力
発電で百万キロワットのキャパシティーとしても十三基ぐらいということになると大変なことだと思うのです。一般的に私たちが聞いておったのは、二千万キロぐらいの
開発
可能小
水力
はあるのではないかというように聞かされておりましたが、この千三百万は精査した
数字
であろうと思うのです。これまた自治体だとかあるいは地域のいろいろな知恵を出させていきながら
開発
していく。何でもいままでの
電力
資本が
開発
していくということになりますと、どうしても勢い大規模なものに入っていくだろうという気がいたしますので、せっかくこうした
調査
もされておるわけでありますから、ローカル
エネルギー
として使っていく
意味
においても、小
水力
開発
に対する知恵を出していただきたいということが
一つ
。 それから地熱に対しては、これは環境問題なりあるいは制約要件も
相当
いろいろあって、その伸び率というものに対して大分低目に見ている。もう少しこれは
政策
的な要素を加えていいのじゃないだろうか。そして
政策
的要素を加えていきながら、そのいろいろな制約要件というものを取り除いていくという姿勢が必要ではないかということです。 それから揚水です。揚水発電につきましても、私もルクセンブルクのビアンデンだったかな、あそこを見たのですけれども、なかなかいい知恵を出しながら、
世界
各国
の発電機を
導入
をしてつくっていっているわけです。
日本
の場合はどうも揚水に対する情熱というものが案外少ないのではないか。この
見通し
計画で見ましても成り行き任せ的な形の面がどうも多いようです。だから、これはもっと積極的に揚水に対する対策というものは考えていただきたい。いかがでございましょうか。
川崎弘
51
○川崎
政府委員
お答え申し上げます。 まず
水力
の関係でございますが、先生御指摘のように、実は第五次包蔵
水力
調査
、これは五十五年度から実施いたしておりますけれども、それの結果、これはまだ図上検討を終えた
段階
ということの中間集計でございますが、大体六十一年度から八十年度までの二十年間に
経済
的に
開発
可能な未
開発
包蔵
水力
、これが千三百万キロワットというふうに見込まれております。したがって、この未
開発
包蔵
水力
を一定量で計画的に今後
開発
してまいりたいということでございますが、ただいま御指摘もございましたように、これからの
水力
開発
は、どちらかと申しますと、非常に中小規模の多地点
開発
というのが
中心
になっていこうかと思います。われわれとしては、こういう
水力
がローカル
エネルギー
として地域振興
開発
とも非常に緊密な関係があるということもございますので、御指摘のような一般電気事業者ももちろんやりますけれども、それ以外の県営であるとか、そういった公営の電気事業者あるいはその他の卸電気事業者、こういった多様な
開発
主体がそれぞれに積極的に取り組んでいくという必要があろうかというふうに考えております。 それから、揚水の点もちょっと御指摘がございましたけれども、揚水は実はピーク
需要
に対応するものということで、今後の
電力
需要
はどちらかと申しますと負荷率が悪化する
方向
に向かってまいります。そういうことを考えますと、ピーク用
供給
力として揚水は
原子力
発電と組み合わせて
重要性
を増していくということを予想しているわけでございます。そういった
意味
で、今後の
電力
の
需要
の中で、最大
電力
需要
、これの増し分の一五%、この辺を目途に
目標
を設定して揚水をやってまいりたいというふうに考えております。 それから、地熱でございますけれども、この地熱は、やはり国産
エネルギー
であるということもございまして、これにつきましても、今後
推進
していくべく、大体六十五年度で三百万キロワット
開発
というのを
目標
に置いております。なかなかむづかしいことで、
相当
な
努力
というのがこれに必要かと思いますけれども、環境問題あるいは温泉問題、そういったところとの
調整
を円滑に進めながら、何とかこの
目標
を実現してまいりたいというふうに考えております。ただ、その場合、もちろん地熱についての
経済
性という見地からのいろ、の
調整
ということも十分取り上げてまいりたいというふうに考えております。
後藤茂
52
○
後藤
小
委員
時間が来ましたので、あと
エネルギー需給
が鈍化してきた中で、特に
エネルギー
間の競合が大変激化してくるだろう。たとえばLNGと
石油
だとか、あるいは
電力
とガスだとか、LPGとLNGだとか、こういった効率的な利用あるいは協調、そういうあり方等について、これからもう少しきめ細かく検討されておらなければならないんじゃないかと思いますが、この点もお聞きしたかったわけですけれども、次の機会に譲りまして、以上で私の質問を終わりたいと思います。
浦野烋興
53
○
浦野
小
委員長
長田
武士
君。
長田武士
54
○
長田
小
委員
ここ二、三年
電力
需要
の低下によりまして税収不足、それと
代替エネルギー
開発
資金の
需要
が非常に伸びておる。そういうような関係で
電源開発
促進
税、電促税の会計のバランスがだんだん崩れてきておる、そういう感じを私は持っております。そこで、運用面での
現状
と今後の
電源開発
促進
税の税収入の伸び並びに多様化勘定それから
立地
勘定の二つがありますね、その
需要
資金の
見通し
についてまずお尋ねをいたします。
小松国男
55
○
小松政府委員
先生御指摘のように、最近電源特会関係の
電源立地
勘定、それから電源多様化勘定、こういう面ではいろいろの施策を進める
意味
で支出がふえてきておりますが、一方、
促進
税自身の方は、
電力
需要
の伸び悩みその他を含めて、税収が必ずしも伸びない、こういう非常にむずかしい事態になってきておりまして、今後
政策
を進めるに当たりまして、こういう問題についてはいろいろの角度から検討していく必要に迫られておるわけでございます。 現在までの経緯を申し上げますと、
電源立地
勘定の方は、五十五年、五十六年、五十七年と、それぞれ三百九十二億円、四百五億円、四百七億円というような税収でございますのに対して、支出の方は五百九十九億円、六百九十五億円、七百十九億円と徐々に伸びてきておるということでございます。多様化勘定の方も、税収関係が八百二十七、千二十四、千二十八億というようなこの三年間の推移に対しまして、支出の方は八百二十七、千二十四、千百二十三と徐々に伸びてきておる。今後こういう財源問題についてもいろいろな角度から検討し、さらに施策自身についても、税収との関係もございますので、効率的な運用を図る歳出面の
合理化
も考えていかなければならない、かように考えております。
長田武士
56
○
長田
小
委員
いま、長官は
数字
を述べられましたけれども、実際、赤字、支出の方が多いわけですね。恐らく余剰金から取り崩しているのではないかと思うのでありますけれども、先月の三十日の第二臨調の答申につきましても、これから
政府
が行革に取り組むわけであります。そのやさきに、本年度の予算編成に当たりまして、各種の新税の設置並びに税の引き上げ等が取りざたされておるわけであります。もしこれが事実ならば、鈴木総理の政治生命でありますところの増税なき財政再建、これは根底から崩れてまいります。 そこでまず、来年度において
エネルギー
関係の新税並びに既存税制の引き上げ、これを考えておるのかどうか、この点、検討中のものも含めてひとつお答えをいただきたいと思っております。さらに
電源開発
促進
税もその中の
一つ
として検討されておるのかどうか、この点もお答えをいただきたいと思います。
小松国男
57
○
小松政府委員
現在、
エネルギー
関係の予算につきましては、来年度の歳出がどの
程度
になるかということで、その施策の検討を行っておる
段階
でございます。そういうことでございますので、まだ来年度の施策が完全に固まっておりませんし、支出についても固まっておりません。それを前提とした財源問題についても、先生御指摘のように、最近の
エネルギー
関係全体としての収入は、
石油
についても
需要
が非常に低迷しておるというようなこと、それから
電力
についても、そういう
意味
で
長期
的に
需要
が低迷しておる、こういう面で、税収面ではかなり厳しい
状況
に立っておりますけれども、こういう前提を踏まえまして、来年度の施策を検討するのが基本姿勢でございますので、そういうことでいま歳出面をどこまで
合理化
できるか、カットできるかという検討を進めておるわけでございます。その
段階
で、今後財源問題についても必要な検討を進めなければならぬわけでございますが、いま、現
段階
で、特定の税について新しく増税をするとか新しい税を設けるとかいうことを考えてはおりません。
長田武士
58
○
長田
小
委員
新聞によりますと、これは「電気新聞」でありますけれども、通産省は
電力
業界
に対しまして、現在の電促税の大体五〇%アップ、これを示唆しておるということなんですけれども、これは事実じゃないのですか。
小松国男
59
○
小松政府委員
先ほど来申し上げておりますが、
電源立地
、それから電源多様化それぞれについて施策を進める
段階
について、いままでは、たとえば
電源立地
につきましても従来の剰余金を使いながら賄ってきたという経緯がありますので、こういう
観点
からすると、来年度の財源問題が非常に厳しくなっているということは事実でございます。ただ、それについてまだ来年度の支出をどこまで
合理化
できるかという検討をしておる
段階
でもございますので、財源問題について、まだ
方向
を出しておるということではございません。
長田武士
60
○
長田
小
委員
そうしますと、税率の引き上げは、長官としてはやらない
方向
ですか、やる
方向
ですか、検討、検討じゃ、どこまでいっても検討ですから。
小松国男
61
○
小松政府委員
先ほど来お答え申し上げておりますように、まだ歳出面の
合理化
がどこまで可能であるかというのを詰めておりますので、その歳出面が詰まった
段階
で財源問題の検討に入るというふうに考えております。ただ、先生御指摘のように、財源問題は非常に厳しい
状況
にあるという点は私も認識しておりまして、今後その問題をどうしていくかという問題は、これから検討していきたいというふうに思っております。
長田武士
62
○
長田
小
委員
これからこれからで、全く私も質問がこれから進まないのです。 実際問題、この大きな
ウエート
は交付金ですね。これが私はポイントだろうと思います。非常に
電力
が
需要
が落ちておる。それによって税収入が上がらない。一方においては支出がかさむ、このような
状況
に置かれておるわけであります。そういう点では私、心配しておりますのは、電促税というのは、長官よく御存じのとおり
電力
会社が払うのですけれども、実際は料金に全部転嫁されているのですね。一般の
需要
家が全部払っておるのです。したがいまして、
電力
会社が非常に経営
努力
もされて、この
円安
の中で、電気料金を上げまいということで必死になって
努力
されておる。一方においては、通産省では上げるぞ上げるぞ、そういうようなおどしをかける。
円安
で経営が非常に苦しくなっておる、一方においてはまた税金を上げるぞとくる。こうなると、結局だれが負担するかといいますと、
電力
料金の値上げ、こういうことになるのですね。そこを私は心配しておるのです。ですから、重大な問題ですから、もう少しはっきり、やらない
方針
ですとか、もしかしたらやるかもしれません、このぐらいのことは言ってもいいのじゃないですか。
小松国男
63
○
小松政府委員
確かに電促税は電気料金の中にいずれ織り込まれて
消費
者に御負担を願うということになりますので、こういう点については、私どもも慎重に考えなければならぬわけでございます。ただ、現在、電促税を財源として使われております施策の方も、先ほど御指摘がございましたように、
電源立地
を円滑に進めるため、それから電源多様化を進める、こういう
観点
で、これは
産業
全体のため、また国民生活の向上のためにも、
電力
の安定的な
供給
、これは非常に大事な問題でございますので、そういう両方の兼ね合いという問題もございます。そういうことですので、現在は施策を円滑に進めながらも、その効率的な運用を図るために、どこまで歳出の
合理化
ができるかということを考え、同時にその円滑な施策を進めるためには、必要な財源もまた確保する必要に迫られるわけでございますので、この点については、今後の検討課題ではございますが、必要な
段階
では、それぞれ関係
業界
ないしは関係の皆様の御理解も得ていかなければならないというふうに考えております。
長田武士
64
○
長田
小
委員
臨調の答申にも「
電源立地
促進
対策交付金については、その
立地
推進
上の効果、地域振興上の効果等を総合的に勘案し、安易な
増加
に至らぬよう効率的に運用する。」とある。長官、御存じですね。臨調ではこのように言われておりますから、交付金について、もうちょっと効率的に、効果あらしめるような使い方というのはできないものでしょうか。札束で攻めるみたいな、そういうことが現地で行われておるということを私たちよく耳にします。そういう点は改めるべきだと思いますが、その点、どうでしょうか。
小松国男
65
○
小松政府委員
電源立地
交付金については、私どもも従来からその運用についていろいろ改善に努めているわけでございますが、これは実際に
電源立地
を進めるに当たりまして、地元の御理解を得るためには、地元の地域の振興を図るとか、いろいろの
観点
で御理解を得る必要があります。そういう
観点
で、
立地
交付金というのは、これを効率的に使う、公共施設だけではなくて、
産業
の振興のためにも使われるというようないろいろの角度から検討しておりますので、これが
電源立地
の円滑化にやはり
相当
大きな
役割り
も果たしております。そういう積極的な面も考えながら、同時に御指摘のような効率的な運用、これも考えていかざるを得ませんので、そういう
観点
から、現在、
電源立地
交付金の来年度の進め方、運用の方法、こういう問題についても検討しておりまして、それを踏まえて、さらにその施策の進め方、財源問題についても検討していきたいというふうに思っております。
長田武士
66
○
長田
小
委員
それでは、最後に一問だけお尋ねをいたします。きのう私は商工
委員会
で、今後の
石油
情勢ということで通産大臣にお尋ねをいたしました。私は、中東の紛争、これがまた第三次オイルショックになりはしないかという懸念を実は持つ一人であります。シュレジンジャー前国防長官もテレビ放送でイラン・イラク戦争の問題を取り上げております。そういう点で、ホルムズ海峡あたりが封鎖されるようなことにもしなりますと、
日本
に与える
影響
というのは非常にショッキングであります。そういう点はどういうふうに見通されておりますか。
小松国男
67
○
小松政府委員
私ども、中東の政治情勢、これは非常に憂慮をいたしておりまして、ここで戦乱が拡大するというようなことになり、それが
石油
供給
に
影響
を与えるということになりますと、特に
日本
の場合は六十数%、七〇%近い
石油
をあそこに依存しておりますので、これは非常に大きな問題だと思います。 ただ現在、
石油
需給
が非常に緩んでおるのと、中東以外の地域の
石油
の産出もわりあいにふえておる。そういう
状況
の中で、レバノン問題、イラン・イラク紛争を控えても、
石油
の
スポット価格
その他にまだそれほどの
影響
を与えていないということは、
石油
の
需給
が
相当
緩んでおるということが
一つ
の原因であると思います。 ただ、今後の事態の進展いかんによっては、先生御指摘のような問題の心配が確かにあるわけでございますので、この辺の推移については今後とも十分注視すると同時に、それが起こった場合の対応策を、備蓄問題も含めて、いろいろの
観点
から検討しておかなければならない。こういう点は
IEA
も指摘いたしておりますし、特に
日本
のように、中東
依存度
の大きい国にとっては、こういう問題については常時対策を検討しておかなければならないと私どもは思っております。
長田武士
68
○
長田
小
委員
長官、第一次、第二次オイルショックを通しまして、
日本
の
石油
の輸入についてはやはり多国間の輸入を
促進
しようということでしたね。私、さきおととしですか、第一次オイルショックの後メキシコに参りました。そのときには
日本
にはメキシコの
石油
は入っていなかったのですけれども、私たちも鉱物資源大臣代理ですかにお会いしまして、ずいぶんお願いしてまいりました。ところが、いまメキシコからの
石油
をだんだんこちらで断るみたいな
傾向
にありまして、去年行きましたときも、私たちも非常に立場がなくなってしまった。そういうような
傾向
が実はあるのですね。いざというときに備えて、多様化といいますか、多国間の輸入というものを考えるべきである。
状況
がよくなると、もう終りでござい、そういう短兵急なことはやめた方がいいのじゃないかということを考えますが、どうでしょう。
小松国男
69
○
小松政府委員
まさに先生御指摘のとおりでございまして、メキシコの点につきましても、他の地域に比べればメキシコからの輸入は、こういう
需要
が非常に落ちた
段階
でも、できるだけ減らさないように、それからメキシコの要望も入れて、メキシコと
日本
の関係を円滑に集める、こういう
努力
を実はいたしております。 そういう
観点
から、できるだけ中東依存を減らして、
石油
原油
の多様化、多角化を図る、こういう点につきましては、先生御指摘のとおりでございまして、今後とも
努力
していかなければならないと思っております。
長田武士
70
○
長田
小
委員
終わります。
浦野烋興
71
○
浦野
小
委員長
宮田
早苗
君。
宮田早苗
72
○
宮田
小
委員
まず、当該質問に入ります前に、先月の二十三日、二十四日の長崎を
中心
といたします九州地区の集中豪雨災害におきまして、おくれておりました西部瓦斯も八月三日までに全面復旧するということでございましたが、これは予定どおり完了したかどうかをお聞きしたいということと、今度また十号で、それに引き続く集中豪雨災害がございまして、
電力
、都市ガスの被害及び復旧
状況
はどうなっておるか、ちょっとお聞かせ願いたい、こう思います。
川崎弘
73
○川崎
政府委員
まず、長崎地方のガス被害の方でございますが、実は、これは長崎を
中心
といたしまして西部瓦斯の
需要
家約四万戸の
供給
が停止いたしましたけれども、西部瓦斯は、その二次災害の防止に万全を期しつつ復旧に全力を挙げる。これには他の都市ガス会社からの応援隊も入りまして全力を挙げた結果、七月三十一日までに、不在の
需要
家約千六百戸を除きまして、全
需要
家でガスが使用できる
状態
になっております。不在の
需要
家につきましては、そのままガスを通しますと危のうございますので、引き
続き
巡回を行って早急に修復を完了したい、そういう形になっております。 それから、台風十号の方でございますが、まず
電力
の方では、一時的な停電というのは東北、東京、中部、北陸、関西と、広範な地域で約百五十万戸ございました。しかしこれは大部分短時間のものでございまして、その復旧
状況
は、道路の不通等によりましておくれたもの約三百戸を残しまして、四日夕刻現在であとは全部復旧いたしております。残りのこの三百戸の
需要
家に対しましても五日じゅうには送電したい、こういうことを言っております。 それから、ガスの方でございますが、がけ崩れによる民家の倒壊、こういうことがございまして、関西地方を
中心
に約八百戸ほどの
供給
支障が生じておりますが、八月の三日までに、その復旧、またはガス管が通せないところには、
代替
措置
といたしましてボンベにより
供給
を再開しておる、そういう形になっております。
宮田早苗
74
○
宮田
小
委員
大変御苦労とは思いますが、生活に欠かすことのできない
エネルギー
問題でございますので、復旧にはひとつ万全を期していただきたい、このことを特にお願いしておきます。 そこで、本日の議題になりますが、
エネルギー
と
基礎素材産業
問題について二、三質問をしようと思います。 まず、今回
改定
されました「
長期エネルギー需給見通し
」の前提となっております
経済成長
の
見通し
についてでございますが、五十五年度の実績が三・七%の伸び、今年も、計画では五・二%ということになっておりますが、恐らく四%台か、もしくは
経済
企画
庁長官
あたりがおっしゃっておりますように三%台、こういうふうに言われておりますが、それを五十五年度以降六十五年度までは
年平均
五%
程度
。また
一つ
の試案とは言えますが、七十五年度、西暦二〇〇〇年の
需要
見通し
を策定するに当たっては、六十五年度から七十五年度まで
年平均
が四%
程度
と想定しておいでになるようですが、この
経済
見通し
はどう見ましても達成できる見込みはないのじゃないか、こう思いますが、通産省とされましてはどう考えておられるか、この点をまずお伺いいたします。
斎藤成雄
75
○
斎藤
(成)
政府委員
御指摘のとおり、最近の景気が大変低迷の度を深めているものですから、成長率についてもどうしても悲観的な意見というのが出てまいります。また最近の景気問題について私どもも憂慮しているわけでございますけれども、
わが国
経済
そのものの成長余力について考えますと、中
長期
的に見れば、貯蓄率も高うございますし、
技術革新
の
動向
等もあります。そういったものを考えますと、まだまだ成長余力はかなりあるのじゃないかと考えております。「
長期エネルギー需給見通し
」の策定に当たりましては、現在の新
経済
社会七カ年計画のフォローアップの報告でありますとか、あるいは
産業
構造審議会の答申での八〇年代の通産
政策
のあり方などを勘案して定めているわけでございまして、これらが大体五%強の
数字
を出しているということで、御指摘のように、最近の
状況
から考えれば検討の余地があるいはあるのかもしれません。これについては、いずれにしましても、現在
経済
審議会で新しい
経済
計画の策定のための作業が行われておりますので、もしも
見通し
が大幅に変わるようになりますと、先ほど
資源エネルギー
庁長官
からの御答弁もありましたように、検討がなされるかと思います。現
段階
では、私どもはこの
数字
を尊重してよろしいのじャないかというふうに考えておるわけでございます。
宮田早苗
76
○
宮田
小
委員
その
経済
見通し
のもとに、
昭和
六十五年度に
石油依存度
を五〇%以下にする。今回の
見通し
では四九・一%となっておりますが、これを達成するためには、
石油代替エネルギー
として
原子力
発電ともう
一つ
は輸入
石炭
の
目標
達成が不可欠だ、こう思います。 その第一の柱の
原子力
について見ますと、現在では運転中のものが二十四基で千七百十八万キロワット、工事中、着工準備中のものを合わせても四十一基で三千二百八十八万キロワットでございます。これを六十五年度には四千六百万キロワットにするということになりますと、これから千三百万キロワットを近年中に着工しなければならぬ、こういうことになるわけでございまして、ぜひとも
目標
達成をしてもらいたいというのが私の考え方でございますが、これの可能性をどうお考えになっておりますか、お聞かせ願いたいと思います。
川崎弘
77
○川崎
政府委員
先生御指摘のとおり、現在までの運転中、それから
建設
中、準備中のものは三千三百万キロワット弱でございますので、
昭和
六十五年度四千六百万キロワットの
見通し
のためには、千三百万キロワットをここ一両年の間に
電調審
を通過させるという必要があろうかと思います。そういたしますと、大体安全審査等で二、三年、その後の
建設
で五、六年ということになりますので、六十五年度四千六百万キロワットに到達するわけでございますが、このためには地元の方々の理解と
協力
というのが必須でございます。われわれの方といたしましては、いろいろな形での安全対策に万全を期すと同時に、電源三法の活用あるいは
原子力
に関するいろいろなPA対策を実施いたしまして、ぜひともこの千三百万キロワットの
開発
が実現できますように、官民挙げまして最大限の
努力
をいたしたいと考えております。
宮田早苗
78
○
宮田
小
委員
大変むずかしい問題だと思いますけれども、格別の
努力
をひとつお願い申し上げたいということであります。 次に、
石炭
についてお尋ねをいたしますが、一般炭の輸入について、それも
需要
が大部分
電力
ということになっておりますが、現在の
石炭
火力
設備
が約五百八十万キロワットでございます。これを六十五年度には二千三百万キロワットにしようということになりますと、その
石炭
消費
も、現在の九百八十万トンから四千二百万トンに持っていかなければならぬ、こういうことになるわけでございますが、特に
石炭
火力ということになりますと、環境問題、
立地
問題、それから灰
処理
の問題、また
石炭
の輸入先でございます輸出国での
状況
等々から、この
見通し
の達成の可能性をどう考えておられますか、わかっておりますならば御
説明
願いたいと思います。
川崎弘
79
○川崎
政府委員
お答え申し上げます。 現在の
石炭
火力
設備
五百八十万キロワットを確かに二千三百万キロワットに、約千八百万キロワットほど
増加
する必要があるわけでございますが、現在
石炭
火力で工事中のものは四基、二百五十万キロワット、それから着工準備中のものが十五基、千百万キロワット、計画中のものが八基、三百七十五万キロワットございます。このほか、いわゆる
石油
火力の
石炭
転換というのが十三基、三百十七万キロワットというふうになっておりまして、大体これを合計いたしますと二千三百万キロワットに到達するわけでございます。この
開発
地点について地元の理解と
協力
で円滑な
立地
を進めていく、そしてこの
目標
達成をしたいということでございますが、私どもといたしましては、この
石炭
火力の
見通し
達成は、いま申し上げましたような
数字
の
内容
等から見ましてもかなり確かなものだと考えております。 ただ、先生の御指摘の環境問題、灰
処理
対策、このあたりにつきましては、その地域の環境実態というものがございますので、それを踏まえまして、SOxとかNOxあるいはばいじん対策等の大気汚染防止策を適切に講じてまいりたい。具体的には何かと申しますと、たとえばSOxの関係では湿式の脱硫技術、NOxの関係では、NOxを出さないような低NOxバーナーの採用とか二段燃焼方式の採用ということがございますけれども、こういった制硝及び排煙の技術ということを進めてまいる。それからばいじんにつきましては電気集じん技術、これはもう実用化の
段階
にございますので、こうした大気汚染防止対策を環境実態に組み合わせて実行してまいりたいと考えております。
宮田早苗
80
○
宮田
小
委員
石炭
の問題に関連して、もう
一つ
お伺いしておきますのは、産出国に対しまする支援の方法ですね。御支援方といいますか、何か具体的なものをお考えになっておるかどうかということであります。といいますのは、
石油代替
ということになりますと、やはり
原子力
、
石炭
。大変なことと思いますが、
石炭
にかわるといたしましても、自然、外国の山の
開発
ということになるわけでございましょうが、
開発
するにしましても、いろいろな外国に対する支援また援助といいますか、そういうものをしないと、予定どおりの炭も入ってこないのじゃないかというような気もするわけでございますから、そういう点について何かお考えがありましたら、ひとつおっしゃっていただきたいと思います。
小松国男
81
○
小松政府委員
石炭
については、今後の
需要
増はまさに輸入炭に依存するわけでございますので、そういう
意味
で現在オーストラリアを
中心
に輸入をしておりますが、これをさらに米国の西部炭その他関係地域についても増大を図っていくということになるわけでございます。主体は民間でございますので、民間
中心
で相手国の
開発
に
協力
する、それからインフラその他の整備についても
協力
する、それに対して
政府
側として輸銀その他関係の資金を活用するということが
一つ
ございます。それ以外に相手国との関係で、共同で
調査
をするとかいう点につきましては、新
エネルギー
総合
開発
機構を
中心
に、その必要な共同
調査
としての助成をするとか、いろいろの
観点
から輸入炭の確保、それから民間が進めるに当たっての必要な基盤整備、こういうものについては
政府
としても
協力
しますし、資金面でも助成していくということを考えております。
宮田早苗
82
○
宮田
小
委員
素材産業
のことについてお聞きしようと思いましたが、時間が参りましたので、これでやめさせていただきます。あすまたお願いいたしますのでよろしく。終わります。
浦野烋興
83
○
浦野
小
委員長
渡辺貢
君。
渡辺貢
84
○
渡辺
(貢)小
委員
長官にお尋ねしたいと思うのですけれども、四月二十一日に「
長期エネルギー需給見通し
」の中間報告があったわけです。下方修正されたというふうに言われているわけでありますが、前提として、やはり
経済成長
率は五%、こういうふうなことになっております。この点についてはいろいろすでに同僚
委員
から批判が出されておりますが、こういう
見通し
を受けながら、七月九日の日に第八十八回
電調審
によって五十七年度の
電力
開発
の着手
目標
というものが決定されたということでありますが、その
内容
についてまずちょっと御
説明
をいただきたいと思います。
小松国男
85
○
小松政府委員
先ほど御
説明
をいたした
資料
でございますが、
資料
の十
ページ
にございますが、五十七年度の着手
目標
といたしましては、
水力
百万キロワット、火力五百万キロワット、
原子力
四百万キロワット、合計で一千万キロワットというのを着手
目標
といたしております。
渡辺貢
86
○
渡辺
(貢)小
委員
そうしますと、
原子力
の比重というのは大変高いわけでありますが、最終的にも六十五年度で
原子力
発電の占める比重というのが、五十五年の五%から一一・三%になっているわけであります。敦賀の原発の事故の問題など、
アメリカ
のスリーマイル島の事故についても大変注目を沿びているところですけれども、こういう高い
原子力
発電の全体の中に占める
目標
値を出していった場合に、現実に原発による事故がどんなふうに現在集約をされているのか、この点について御
説明
をいただきたいと思います。
高橋宏
87
○高橋(宏)
政府委員
原子力発電所
の事故、故障でございますが、私どもも電気事業法及び原子炉等規制法の規定に基づいて報告を受けておりますが、
昭和
五十六年におきましては三十六件でございます。毎年大体二、三十件という件数が上がっております。 なお、この三十六件を分類いたしますと、設計管理不適切が七件、製作管理不適切が四件、施工管理不適切が四件、保守管理不適切が十六件、その他五件ということになっております。 また、これらの故障のうち、運転中に発生したものが二十七件、停止中に発見したものが九件でございます。いずれも発電所の周辺環境への放射能の
影響
はなかったわけでございます。 私ども、こういうぐあいに事故、故障につきましては把握いたしまして、安全性の向上あるいは信頼性の向上に反映いたしておるところでございます。
渡辺貢
88
○
渡辺
(貢)小
委員
いま御
説明
がありましたけれども、電気事業法に基づくいわゆる事故報告を見ますと、三十六件ですね。前年度が二十五件であります。さらに、通産省の通達による、いわゆる軽微といわれる事故の報告を見ますと、五十六年度が二十五件、前年度が四件でありますから、そういう点を総体として見ますと、事故の発生件数というのは全体として大変多くなってきているというふうに言えると思うのですね。先ほども、原発の耐用年数が三十年あるいは四十年である、まだ
日本
の原発はほとんど十年前後であるから、さして問題はないというふうなお話がございましたけれども、しかし、六十五年の
長期需給見通し
を立てて
原子力
への
依存度
が高まっていく、そういう時期に、これだけの事故が続発をしているというのはきわめて重大であろうかというふうに思いますが、この点について、特に今後のとるべき対策について、簡潔で結構ですけれども、御
説明
いただきたいと思います。
高橋宏
89
○高橋(宏)
政府委員
事故、故障に類するものは、なるべく範囲を広く把握しまして、それを対策をとり、かつ公開していくというのが、安全を向上し、かつ国民的なコンセンサスを得ていく道であるということは、敦賀の教訓においても明らかなとおりでございます。
数字
的に二十五件が三十数件とふえておりますが、私どもは、基本的にこれが
増加
の
傾向
にあるという判断はいたしておりません。基数もふえております。それから軽微な故障につきましては、昨年度の敦賀の問題もございまして、私どもさらに、法律には書いてなくとも、どんな細かいものでも報告せよという指導通達をさらに強化いたしましたので、そういうことのあらわれかと思っております。 それから、廃炉につきましてのお話が出ましたが、全体を含めまして今後の安全対策いかんというお話でございますが、私ども、今後は安全問題は、
一つ
は先ほどの四千六百万キロワット、これは約五十基に
相当
いたします。二〇〇〇年九千万といいますと、約百基になります。こういうように
日本
の中で
原子力
がふえてまいります。これに対応します基盤づくりについてはおさおさ怠りないような準備が要るだろうと思います。運転管理、人材養成、
デー
タ管理といったところがポイントの
一つ
かと思っております。それからもう
一つ
は、さらにこの改良、
日本
的な技術で改良をいたしまして、
日本
型の原子炉の完成ということが課題かと思いまして、さらに安全の向上、性能向上を含めた
日本
的な技術の定着ということを指導、
努力
いたしてまいりたいと思っております。 もう
一つ
は、バックエンド対策でございます。廃棄物、廃炉問題でございまして、私は先行的にいま勉強しておるというお話を申し上げました。いまの技術でも不可能ではないと思っておりますが、さらにこれをより合理的なものにするため、
経済
的なものにするための廃棄物
処理
あるいは廃炉といった技術につきましては鋭意検討いたしておるということをお話しいたしました。今後ともそういう姿勢で、安全問題、そして
稼働率
を定着さしていく。幸いここ三年目に入りましたが、六〇%を超える高
稼働率
で、
世界
トップクラスの運転を続けておりますけれども、さらにこれを油断なく、さらによりいいものにしていく
努力
を続けたいと思っております。
渡辺貢
90
○
渡辺
(貢)小
委員
そういう中で、最近新型原子炉の
開発
という問題が大変大きな問題になっていまして、いわゆる転換炉といいますか、
電源開発
で
開発
をして、約十年間という、そういう
目標
を立てているようでありますが、六十万キロワットというふうに言われていて、総額三千二百億円必要だ、こういうふうなお話も聞いておりますが、当然安全性というのは前提になろうかというふうに考えられますので、ひとつその点については十分な指導を進めていっていただきたいというふうに思います。 そこで、原発の問題でもそうでありますけれども、今後の
電源開発
を進めていく場合に、
立地
問題あるいは周辺の整備など、今日までも大変いろいろ問題がありましたが、そういういろいろのアクシデントの問題を解決していく上でも、一定の財源
措置
もとられてきたわけであります。特に、
エネルギー
特会の中でも
電源開発
促進
税あるいは
石油
税及び原重油関税など、これは
昭和
五十六年度五千六十三億円でありますけれども、五十七年度のたとえば
電源開発
促進
税について、千四百三十五億円という税収の見込みが立てられているわけですが、現在の
段階
でも
マイナス
、赤字、歳入欠陥といいますか、ここでも全体として
マイナス
ではないかというふうに言われていますけれども、その点についてはいかがでしょうか。
小松国男
91
○
小松政府委員
五十七年度の
電源開発
特会につきましては、剰余金その他の余裕もございますので、こういうことで賄うということになっているわけで、五十七年度自身については心配はございません。
渡辺貢
92
○
渡辺
(貢)小
委員
心配がないということじゃなくて、実際上立てた予算の税収そのもの、歳入そのものが
マイナス
である、新聞の報道によると約二十八億円ぐらいの
マイナス
である、こういうふうに言われているわけであります。先ほども同僚
委員
からちょっと質問がございましたけれども、たとえば六十五年を展望した場合にどのくらいの財源
措置
が必要なのか。いろいろの試算があろうかと思うのでありますけれども、
日本
開発
銀行などでは大体九十八兆円ぐらい、あるいは百兆円ぐらいというふうに言われておりますし、その中における官民の負担区分というか、民間が大体九〇、官が一〇ぐらいというふうに言われているわけであります。今後重油等の輸入が全体としては低下していく、それからコストも年大体三%ぐらいのアップというものを計算していった場合に、歳入面における
マイナス
がかなり生じるのではないか。新聞の報道、分析などによると二兆四千億円ぐらいの
マイナス
になってくる。そうなると、その分を埋め合わせる新税なり
促進
税など現在一キロワットアワー三十銭を五十銭ですか、五割あるいは七割上げなければならないというふうな検討もあるやに聞いているわけですけれども、全体として財源対策について、もう
一つ
は当面そういう問題について、五十八年度の新税やあるいは課税率を上げるかどうか。これは国民生活にとってもきわめて重大な問題だと思いますので、明確な答弁を求めたいと思います。
小松国男
93
○
小松政府委員
まず、「
長期エネルギー需給見通し
」を進める場合に、どの
程度
の財源がかかるかという点は、実際には今後の
経済
情勢がどうなるか、
エネルギー情勢
がどうなるか、また
エネルギー
価格
、それから特にプロジェクト関係になりますと
建設
費の予測というのが実際にはむずかしいわけでございますので、私どもとしても、確定的な資金といいますか財源
見通し
というものを立ててはおりません。ただ、この前の、
改定
前の総合
エネルギー需給
見通し
を立てましたときに、
総合エネルギー調査会
が試算した
数字
が、当時の
改定
見通し
で六十八兆円という
数字
がございまして、それと同じような試算をしてみますと、五十五年
価格
で大体九十兆円ぐらいになるのではないか。ただ、これはあくまでも大胆な試算でございまして、与件が変わりますれば非常に大きく変わってまいりますので、この
数字
自身が信憑性があるものではもちろんございません。 さらに、これを官民でどう分担していくかという問題がございます。これも民間の負担の問題でございますので、財政等今後の情勢いかんによって、その点は事態の推移を見ながら検討されていくということでございますので、現在、
政府
財政支出にどの
程度
の規模でどういう
影響
があるかということを見通すことはきわめて困難でございます。ちなみに五十八年度の
エネルギー
全体の予算につきましては、現在、歳出問題を鋭意検討し、その
合理化
の検討を行っている
段階
でございますので、それを踏まえてさらに財源問題も検討していくというふうに考えております。
渡辺貢
94
○
渡辺
(貢)小
委員
財源問題、なかなかむずかしいと思うわけでありますが、われわれの場合には、たとえば
石油
消費
税などは、いま特定財源になっているわけでありますけれども、一般財源という提案もいたしておりますし、これ以上いわゆる増税という形で国民へ負担を転嫁しないように強く要求しておきたいと思います。 最後に、
素材産業
の問題でありますが、特に昨年来からアルミや紙・パ、
石油
化学などが深刻な経営の危機に直面しているわけであります。この経営危機がもたらされている原因はいろいろあると思いますけれども、それはさておきまして、こういう危機の打開の方策として、いままでの経過を見ると、その地域における住民、自治体あるいは労働者に責任が転嫁されるというか、大体そういう形で危機が抜け切られてきているという
現状
であります。とりわけアルミなど、
日本
の大企業も大変多国籍企業化しておりまして、
昭和
五十六年度の報告によりますと、
わが国
の大企業の直接海外投資による収益の
現状
は、受取額で十四億六千万ドル、支払い額で五億九千万ドル、差し引き八億六千五百万ドルというふうに、かなり大幅な受け取りの超過になっていまして、
日本経済
新聞などでは六月二十六日付で、
わが国
の海外投資が収穫期に入ったというふうに大変注目される、こう言われている一方での
国内
の
素材産業
の不況の実態であります。 具体的な例として、愛媛県の企業城下町として有名な新居浜の場合に、ここには住友化学、住友アルミなど住友系の企業が十五社進出して、従業員が約八千五百人、市内の労働者の一五%を占めているわけです。取引業者は中小企業を含めて約千五百社でありまして、この住友化学は大江工場が閉鎖がうわさされておりますし、住友アルミの場合には磯浦工場が廃棄されるということで、大変重大な事態になっているわけであります。商店もすでに五十軒以上が店をやめている、売り上げは二〇%前後
マイナス
という
状況
でありまして、この新居浜市そのものの存亡にとってもきわめて重大だと思うのですけれども、こうした問題についてどのようにお考えか、答弁していただきたいと思います。
斎藤成雄
95
○
斎藤
(成)
政府委員
基礎素材産業
対策全般にどういうふうに取り組むかということは、先ほど申し上げましたように、
産業
構造審議会総合部会に
基礎素材産業
特別対策
委員会
をつくって取り組むということで、このメンバーには労働界の代表の方も地方自治体の代表の方も参加を願いまして、そこで十分御議論をいただきたいというふうに考えております。 それからまた、当然のことでございますけれども、この対策の検討の際には、御指摘のような業況悪化の
影響
を受けております地域等につきましては、地域の関連中小企業対策を拡充していく。それからまた
雇用
問題につきましては、労働省等関係省庁と十分連絡をとりまして、
雇用
の安定に万全を期していきたいというふうに考えております。
渡辺貢
96
○
渡辺
(貢)小
委員
時間がありませんので、以上で終わります。
浦野烋興
97
○
浦野
小
委員長
石原健太郎
君。
石原健太郎
98
○石原(健)小
委員
先ほど来の質問の中で、
エネルギー
の
長期需給見通し
が過大に過ぎるのではないかというお話がありまして、長官は気楽に、そうなったら、その時点で見直すというふうにおっしゃっております。しかし、その
見通し
に合わせて、現に今年度、一千万キロワットに
相当
する発電施設が着工されるわけであります。またいままでに着工されている発電施設というものもずいぶんあろうかと思うのでありますけれども、この
見通し
が過大だということがわかったときに、
数字
は直せても、そういう発電施設とか着工中のものは残ってしまうわけです。その時点で工事を中断するのか、あるいはまた数兆円あるいは十数兆円に
相当
する施設が遊んでいることもやむを得ない、こうお考えになっているのかどうか、お尋ねいたします。
小松国男
99
○
小松政府委員
「
長期エネルギー需給見通し
」は、非常に
長期
の
見通し
を立てておりますが、同時に、各
エネルギー
ごとにそれぞれの
供給
計画を踏まえまして、しかも、それをさらに年次別な計画も立てて、実はその
長期需給見通し
の達成を図っておるわけでございます。ですから、そういう
観点
に立ちまして、常時
需要
と
供給
に見合った
見直し
というのを個々
エネルギー
ごとには行っております。ただ、「
長期エネルギー需給見通し
」というのは、そう毎年毎年
改定
できるものではございませんので、今後
経済
事情
の変化があれば、当然それに見合って弾力的に見直すというふうに申し上げたわけでございまして、当面の施設計画、それから具体的な
需要
に見合った
供給
計画、これは
電力
、
石油
、その他もろもろ、それぞれの
エネルギー
ごとに年次計画をつくりながら、
需給
に合った
供給
計画の達成、特に安定
供給
の面からの配慮を払っていくわけで、また先生御心配のような施設問題についても、そういうことのないよう配慮いたしております。
石原健太郎
100
○石原(健)小
委員
しかし、現在の
経済
情勢とか
電力
多
消費
型
産業
の衰退といったそういう趨勢を見ましても、六十五年度までに八割もの
電力
需要
の
増加
ということはちょっと考えられないんじゃないか。また単年度にしますと、今年度一千万キロワットというのは、現在の総発電量の約八%の
増加
だと思いますけれども、常識的に考えた場合、これほどの伸びはないんじゃないか。現に
電力
会社がことしの春ごろですか、ちょっと
設備投資
を延期したいというようなことを言っておりましたが、それに対して通産大臣あるいは
経済
企画
庁長官
が景気浮揚のために何とか着工してほしいというような発言もされておるようです。しかし、一時的に
電力
会社がそういうものをつくるとしても、その
建設
の負担というものは最終的には国民が負うわけでして、国民感情といたしまして、そういう膨大な遊休
設備
が置かれているということよりも、もしそういうお金がそういうことに使われるのであれば、がけ崩れが起こらないように使ってほしいとか、あるいは水害が起こらないように使ってほしいというのが普通の感情じゃないかと思うのです。たびたび
見直し
ができないからこそ、もう少しこれは慎重に
目標
を定めていただきたいと思うのでありますけれども。
小松国男
101
○
小松政府委員
エネルギー
の
設備投資
というのは、これはリードタイムが、特に
原子力
などになりますと非常にリードタイムが長いわけですので、先の
需要
見通し
を立てながら施設計画をつくっていく、これが非常に大事でございますが、同時に、先生御指摘のような短期の
需給
に見合った
設備投資
問題、これは当然その
段階
に応じた
調整
が必要になってくると思います。ただ、やはり
長期
の
見通し
を持って、
長期
的な
観点
に立って、研究
開発
にいたしましても
立地
の問題にいたしましても進めませんと、ある時期に至って
供給
不足が起こるというような問題もございますので、そういう
観点
で、
エネルギー政策
を進める場合にはどうしても
長期
の
需給
見通し
が
一つ
必要である。あわせてその事態の変遷に応じて
需給
見通し
を見直すとか、それから施設計画を
見直し
ながら
需給
のバランスをとっていく、これが
エネルギー政策
を進めるに当たって非常に大事じゃないかというふうに思っています。
電力
の場合に、短期的な
需要
の低迷その他を含めて、確かに予備率その他についての変化はございますけれども、中
長期
的に見て
電力
が
過剰設備
を抱えているという
状況
ではございません。
石原健太郎
102
○石原(健)小
委員
長官おっしゃるように、確かに安定的な
供給
も大切かもしれませんけれども、別に過大なものはだれも望んでないと思うのですね。現に、いま現在でも、
電力
を一割節減しよう、あるいは二割節減しようという場合であれば、これは別に人間の生命にかかわりなく達成可能じゃないか、こんなふうにも思うわけなんですけれども、私は言いたいことは言ったつもりですので、次の質問に移ります。 こういう
状況
の中で、地熱発電に関しまして、各府県なんかに行っております通知では、早期
開発
をしなくちゃならない、早期利用をしなくちゃならないので
協力
をしてほしいというような連絡が行っておるようであります。しかし、この地熱発電所というのは、一カ所がせいぜい三万とか五万キロワット
程度
じゃないかと思うのですけれども、これを六十五年度の三百万キロワットを達成しようと思えば、百数十カ所くらいの
建設
をしなくてはならないのじゃないかと思うのです。いまこういう
需給
が緩和しているときでもありますから、ここであわててあちこちに
建設
準備をするというよりは、むしろその地熱発電の
経済
性を高めることの研究あるいは効率性を一まあ同じことかもしれませんが、
経済
性とか公害を防止するための技術
開発
、そういったことにこそ力を入れた方がいいのじゃないか、こう思いますけれども、いかがでしょうか。
川崎弘
103
○川崎
政府委員
地熱
開発
でございますが、地熱が
水力
と並びまして
日本
に根源的にある
エネルギー
、国産
エネルギー
であるということで、
石油代替エネルギー
の
一つ
としてわれわれとしては積極的に
推進
していきたいというふうには考えております。 先ほど地熱発電の
経済
性のお話がございましたけれども、この地熱発電の発電コストを五十六年度の運転開始ベースの平均で見てみますと、大体キロワットアワー当たり十三円から十八円という
数字
になっております。
原子力
が十一、二円ということでございますので、
原子力
を除いた他の
石油代替
電源並みの値段というふうにわれわれは考えております。したがって、そういう国産
エネルギー
としての地熱、今後とも積極的な
開発
を図っていきたいと思っておりますが、先生の御指摘のように、地熱
開発
に関しての
経済
性の見地というのは、今後の地熱地点の選定等に関しましては十分考慮に入れてまいりたい、念頭に置いてまいりたいと考えております。 それから、むしろ現在は地熱の発電コストを引き下げるために、あるいは地熱発電をもっとうまくやるために研究
開発
を進めたらどうかということでございますが、この点につきましても、いろんな形で研究
開発
をやっております。たとえば深部の地熱、これは一般的に申しまして大規模の熱量を持っているわけでございますが、深部地熱の探査技術であるとか掘削技術の
開発
ということもやっておりますし、それから地熱の多角的な利用によるコストダウンということを図るための熱水利用の研究というのもやっております。そういう形での、先生御指摘のような
RアンドD
の面におきましても、今後とも
政府
助成あるいは民間の自発的な
努力
によりまして、地熱全体としてのいわゆる
経済
性の向上に努めてまいりたいと考えております。
石原健太郎
104
○石原(健)小
委員
二、三カ月前テレビで、鳥取県の方で小川の水路を利用して発電をして、それが一キロワット七、八円
程度
のコストで発電できるというのを見て、大変おもしろく思ったのですけれども、
開発
には国の
協力
もあったようですけれども、これを通産省の方ではどういうふうに評価されているか、また今後どういう普及といいますか取り組みで臨んでいかれるのか、お尋ねします。
川崎弘
105
○川崎
政府委員
いま御指摘の点は、中小
水力
、特に小
水力
の
開発
になろうかと思います。
水力
開発
は、かつては水主火従という時代では
電源開発
の中核であったわけでございますが、現在では
水力
開発
地点が比較的小さくなってきたということがございます。しかし、われわれとしては、クリーンな循環
エネルギー
ということでございますので、ぜひこういう小規模な
水力
も含めて
水力
開発
に取り組んでいきたい。ただ、規模が小さな小
水力
というのは、実はコスト的には
建設
費が割り高になるということがございます。したがって、こういう小
水力
の
開発
についての条件の整備ということで、現在、
水力
開発
については、小
水力
のものについて
建設
費の補助を電源特会の方からやっております。今後ともこういった制度は充実してまいりたい。それとともに、この小
水力
の場合には、たとえばタービンの標準化であるとかあるいは隧道の掘削技術の標準化であるとか、そういった工法の高度化というのを進めまして、コストを安くするということも必要ではないかということで、こういったことの研究あるいは実証研究といったことも進めておるところでございます。
石原健太郎
106
○石原(健)小
委員
終わります。
浦野烋興
107
○
浦野
小
委員長
質疑は終了しました。 本日は、これにて散会いたします。 午後零時五十分散会