○真野
政府委員 御承知のように、昨年来アルミ
産業は非常に不況にございまして、
政府部内におきまして、
産業構造審議会等を通じましていろいろ審議を重ねてまいりまして、それに対する対応策を種々検討し、実施したやさきに、御指摘のような住軽アルミの酒田工場の閉鎖という
事態を招いたわけでございます。御承知のように、住軽アルミの酒田工場、これは
わが国のアルミ製錬
企業の中で一番後にできました工場でございまして、特に石油危機の直後に発足したということから、コスト面等からほかのアルミ製錬に比べて相対的に不利な
立場にございました。さらに加うるに、昨年来の
状況から、電力コストの増大と国内の需要停滞、特に昨年の半ばぐらいから世界的にアルミ市況が非常に悪化いたしまして、世界的な過剰在庫が昨年の暮れからことしにかけて非常に累積いたしました。そのために、予想以上に国際市況が低落いたしまして、さらにその中におきまして、日本のアルミ
産業の需要も、住宅建設の不振等から停滞を脱し切れない
状況が続いたわけでございます。そういう
意味におきまして、環境としてはきわめて悪い
状況が続きました。
従来、住軽アルミとしては、中長期の観点から、
一つは、いわゆる石炭火力への転換ということによる電力コストの低減を非常に積極的に進めてまいったわけでございますが、当面こういう
状況でございますので、著しい過剰在庫の
調整を図る必要があるという
事態を招いたわけでございます。その中におきまして、特に先ほど申し上げましたこの
企業、住軽アルミそのものが比較的後発の
企業であるためによるコスト面での不利、財務面での不利性が大きかったために、これを何とかしなければいけないということから、今回住軽グループといたしまして、思い切った財務体質の改善を図る。このための
措置として、当面
会社の操業を停止し、かつ現在の設備を当分休止しておく。あわせて財務体質改善のために、住軽アルミという
会社の解散という
措置にまで至らざるを得なかったわけでございますが、そういう
意味におきまして、単なる環境のほかに、住軽アルミそのものの財務体質の改善ということが急を要する
事態であったということから、今回の
措置に至ったものだと私
ども聞いておりまして、そういう面におきまして、住軽アルミそのものの基盤をさらに
再建する
意味におきまして、今回とりました
措置はやむを得なかったものだと考えておるわけでございます。
ただ、先ほど申し上げましたように、住軽アルミ、住友軽金属グループとしては、現在ある九万九千トンの設備、これは引き続き維持する。あわせて酒田の共同火力の石炭転換、これを予定どおり工事を進捗させるということを私
どもに明言いたしておりまして、そういった客観
情勢、つまり石炭火力への転換及びその暁における
経済的な
見通しをつけた上で、この製錬の再開を行う、こういう考えと私
どもは聞いておるわけでございます。
そういう
意味におきまして、今後のアルミの世界市場の動向というのが非常に重要なポイントになってまいりますが、この点につきましては、特に最近、二百万トン程度が通常であろうかと思いますが、三百二、三十万トンの世界的な在庫の増加がございまして、これに対して、現在、日本はもちろんいま申し上げましたように、住軽アルミ以外の各社とも大幅な減産によって在庫
調整をいたしておりますが、他方、世界的にもそういう在庫
調整の動きは急ピッチに進んでまいりまして、現在アメリカでは操業度七割、社によってはそれを切るという
状況で、需給
調整を急いでおる
情勢でございます。特に日本のアルミの昨年の国際的環境は、一時アメリカあたりからのアルミ地金のスポット輸入が急増した時期がございますが、最近に至りまして、アメリカにおける在庫
調整、減産という
状況から、実は昨年全体として見ますと、アメリカは従来アルミについては、御承知のように輸入国でございましたが、一昨年から昨年の前半にかけまして相当世界市場の中に輸出しておったわけでございます。ところが、そういう
状況のもとで再びアメリカ自身が輸入国に変わりつつございまして、全体としての需給
調整が現在急ピッチに進んでおる
状況でございます。あとは、アメリカの国内における住宅投資及び自動車生産、これが復調いたしますと、かなりまた全体のアルミ市況の需給というのが改善してまいる、こういうふうに予測されておるわけでありますが、率直に申し上げまして、こういうアメリカの需給の改善がやや当初の見込みよりおくれておる。こういうのは事実でございまして、今後アメリカの国内の金利の低下あるいはインフレの収束等に合わせて、アメリカの
経済の回復基調が出てまいりますれば、こういった面でのアルミの需給
状況にも大きな影響が出てまいりまして、全体的な世界需給が再びバランスする、こういうふうに予測されるわけでございまして、そういう
意味におきまして、今後、五十九年の半ばには石炭火力の建設が終わり、操業開始の時期におきましては、かなり現在と違った国際的なアルミの市場が予測されるわけでございまして、そういう
意味での
経済的な
見通し、現在から直ちにこうということを予測することは確実ではございませんけれ
ども、かなり
状況は変わってまいる、こういうふうに私
どもは考えておる次第でございます。