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1982-04-06 第96回国会 衆議院 商工委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十七年四月六日(火曜日)     午前十時五分開議  出席委員    委員長 渡部 恒三君    理事 梶山 静六君 理事 野田  毅君    理事 森   清君 理事 渡辺 秀央君    理事 後藤  茂君 理事 清水  勇君    理事 北側 義一君 理事 宮田 早苗君       天野 公義君   稻村左近四郎君       浦野 烋興君    亀井 静香君       木部 佳昭君    島村 宜伸君       田原  隆君    泰道 三八君       中川 秀直君    中島源太郎君       野中 英二君    橋口  隆君       鳩山 邦夫君    松永  光君       宮下 創平君    粟山  明君       上田  哲君    上坂  昇君       城地 豊司君    中村 重光君       水田  稔君    渡辺 三郎君       石田幸四郎君    長田 武士君       小林 政子君    渡辺  貢君  出席国務大臣         通商産業大臣  安倍晋太郎君  出席政府委員         通商産業大臣官         房審議官    植田 守昭君         通商産業省立地         公害局長    神谷 和男君         資源エネルギー         庁長官     小松 国男君         中小企業庁長官 勝谷  保君         中小企業庁計画         部長      杉山  弘君         中小企業庁小規         模企業部長   篠島 義明君         建設大臣官房会         計課長     梶原  拓君  委員外出席者         大蔵省銀行局中         小金融課長   大須 敏生君         労働省労働基準         局賃金福祉部福         祉課長     石岡慎太郎君         労働省労働基準         局賃金福祉部賃         金課長     逆瀬川 潔君         労働省職業安定         局高齢者対策部         職業対策課長  廣見 和夫君         中小企業信用保         険公庫総裁   谷敷  寛君         参  考  人         (中小企業事業         団理事長)   斎藤 太一君         参  考  人         (中小企業事業         団理事)    倉部 行雄君         商工委員会調査         室長      中西 申一君     ————————————— 委員の異動 四月二日  辞任         補欠選任   城地 豊司君     伊賀 定盛君   水田  稔君     井岡 大治君   石原健太郎君     中馬 弘毅君 同日  辞任         補欠選任   井岡 大治君     水田  稔君   伊賀 定盛君     城地 豊司君   中馬 弘毅君     石原健太郎君     ————————————— 四月一日  旅館業経営安定のため大企業ホテル等につ  いて中小企業分野調整法による規制の適正化等  に関する請願(今井勇紹介)(第一九一〇  号)  同(小沢一郎紹介)(第一九一一号)  同(越智伊平紹介)(第一九一二号)  同(木部佳昭紹介)(第一九一三号)  同(左藤恵紹介)(第一九一四号)  同(佐野嘉吉紹介)(第一九一五号)  同(塩谷一夫紹介)(第一九一六号)  同(田中龍夫紹介)(第一九一七号)  同(田村良平紹介)(第一九一八号)  同(中尾栄一紹介)(第一九一九号)  同(中村弘海紹介)(第一九二〇号)  同(原健三郎紹介)(第一九二一号)  同(原田憲紹介)(第一九二二号)  同(堀内光雄紹介)(第一九二三号)  同(柳沢伯夫君紹介)(第一九二四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  中小企業信用保険法の一部を改正する法律案(  内閣提出第五五号)  小規模企業共済法の一部を改正する法律案(内  閣提出第五六号)  通商産業基本施策に関する件(鹿島石油株式  会社鹿島製油所における爆発事故)      ————◇—————
  2. 渡部恒三

    渡部委員長 これより会議を開きます。  通商産業基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、鹿島石油株式会社鹿島製油所における爆発事故について政府から説明を聴取いたします。神谷立地公害局長
  3. 神谷和男

    神谷政府委員 鹿島石油鹿島製油所事故について御報告申し上げます。  発生日時は、昭和五十七年三月三十一日午後八時二十八分ごろでございます。  発生場所茨城県鹿島郡神栖町、鹿島石油株式会社鹿島製油所でございます。  事故の経緯でございます。午後八時二十八分ごろ第一重油脱硫装置配管付近からガスまたは油が漏れ、何らかの原因で着火し爆発発生しました。事故発生と同時に全装置を緊急停止させるとともに、当該装置の消火に努めた結果、午後十一時二十九分完全に鎮火いたしました。  今回の事故により、発生時に当該装置付近におりました同工場従業員八名のうち二名が死亡、六名が重傷を負っております。  対策といたしましては、通商産業省といたしましては、直ちに同工場高圧ガス製造設備につき茨城県知事名高圧ガス取締法に基づき緊急停止命令を発動させるとともに、事故調査のため現地担当官を派遣いたしました。さらに、学識経験者から成る事故調査委員会を発足させて現地に派遣し、事故原因の究明に全力を挙げでいるところであります。  以上でございます。      ————◇—————
  4. 渡部恒三

    渡部委員長 内閣提出中小企業信用保険法の一部を改正する法律案及び小規模企業共済法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  小規模企業共済法の一部を改正する法律案の審査中、中小企業事業団から随時参考人出席を求め意見を聴取することとし、その人選につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 渡部恒三

    渡部委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  6. 渡部恒三

    渡部委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。浦野烋興君
  7. 浦野烋興

    浦野委員 前回、私は、当委員会におきまして、中小企業倒産防止共済法並びに中小企業信用保険法について質問機会を与えられました。このたびまた中小企業関係法案につきまして質問をさせていただくわけでございますが、まず一言申し上げたいと存じます。  申し上げるまでもございませんけれどもわが国中小企業は、社会的にも経済的にも大きな地位を占めておるわけであります。企業全体の九九・四%ということでありますが、五百八十一万事業所、全就業者の七〇%に相当する三千四百四十万人、また工業製品の五〇%強、商業取引額においては約七〇%を占めている現状から、中小企業日本経済発展の原動力ともいうべき重要な役割りを果たしておるわけであります。したがって、その保護そして育成を図ることは当然でございまして、このため中小企業基本法を制定し、国策の中でも最も重要な分野一つとして中小企業対策を位置づけて、その推進に努めているところであると私は理解しておるわけでありますが、しかし、今日わが国中小企業は不景気の波をまともにかぶっており、売り上げの伸び悩み、倒産の続発、まことに厳しい状況にあるわけであります。  中長期的に見ても、中小企業を取り巻く環境というのは、エネルギー改革の面、発展途上国の追い上げ、こうしたものから先行き決して楽観できないものと思っております。私の地元も数多くの中小企業があるわけでありますが、これとて四苦八苦している分野もあるわけであります。  一方、今回の予算でありますけれども臨調答申を尊重いたしまして、中小企業関係予算を前年同額に抑えた。このことは行政改革、いわゆる国家百年の計に立ってこれを行わんとするためにやむを得ないということも理解できるわけでありますが、予算枠の中で工夫をいたしまして、全国五百八十一万中小企業経営の安定、今後の発展のために万全の措置をとるべく努力すべきことは言うまでもないと思います。  なお、緊急を要する課題については、法改正を行ってでも制度積極的拡充を図るべきであると思っております。したがって、いまわれわれの前にある両法案審議に先立ちまして、私は安倍通商産業大臣中小企業担当大臣としての中小企業施策に対する基本的な考え方をまずもってお伺いしたいと存じます。
  8. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 わが国中小企業は、御承知のように、事業所数におきましては約五百八十万、これはいま御指摘がございましたように全事業所の中で九九・四%を占めております。従業者数におきましては約三千四百万人、全従業者の中で八一%を占めております。同時にまた、民間設備投資の過半を占めるなど、わが国経済社会において非常に重要な基盤を形成しておるわけでございます。こうした中小企業の健全な育成を図ることが、現在われわれに課せられた重要な使命でありますし、中小企業施策の一層の充実に積極的に取り組んでまいらなければならないと決意を新たにいたしておるわけでございます。  具体的には、中小企業環境変化に積極的に対応できるように、人材、技術情報等のソストな経営資源充実エネルギー対策推進等に努めるとともに、金融、下請、官公需倒産防止対策等経営の安定を図るための施策が必要であります。  同時にまた、地域中小企業対策小規模企業対策中小小売商業対策等推進をしなければなりません。  なお、最近の中小企業は、わが国景気が低迷をしておる中で、先行きに対する大変な不安感が出ておるわけでございますが、こうした中小企業者の不安を何とか解消する、そのためにも政府のとり得る景気拡大策の中でも、特に住宅建設の促進とかあるいは公共事業の思い切った前倒し等を行う必要があると考えておりまして、現在政府はそういう方向で煮詰めておる段階でございます。その際に、やはり中小企業の受注の機会の確保についても十分配慮する必要がある、これは特に主張したいと考えております。  中小企業向け官公需につきましては、公共事業前倒し対応いたしまして、可能なものは上半期にできるだけ前倒しをすることが適当と考えておりまして、年度間の方針とは別に、とりあえず上半期について各省庁と協議をして、方針を早急に固める考えでございまして、なかなかむずかしい状況にございます。  いまお話がございましたように、中小企業関係予算も五十七年度では財政再建ということで、五十六年度横並びということでありますけれども、われわれはその予算の中におきましても、中小企業に対して十分これから適切な対策が講じられるような配慮もいたしておりますし、特に財投関係においては、五十六年度に比べまして一層機動的な運営ができるような措置をとっておりますので、これらを今後の中小企業対策のために全力を挙げてひとつ活用してまいりたいと思っております。
  9. 浦野烋興

    浦野委員 いろいろ考え、また手を打っておられるわけでありますが、なお一層中小企業施策につきまして充実をしていただきたいと思います。  さて、具体的に法案質疑に入らせていただきますが、まず、中小企業信用保険法につきまして、この改正の趣旨をひとつ簡単にお願いしたいと思います。
  10. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 現在の非常に厳しい経済環境の中にあって、わが国中小企業が健全な発展を遂げていくためには、まず金融面での十分な対策を講ずることが必要であると考えておるわけです。このため、政府としては、政府系中小企業金融機関貸付制度拡充とともに、貸付資金量の大宗を占めるところの民間金融機関資金の円滑な導入がきわめて重要であるというふうに考えておりまして、今回の改正は、こうした観点から信用補完制度の一層の拡充を図るために行うものであります。  改正内容の第一点は、中小企業が今後健全な発展を遂げるためには、エネルギーコストの低減を図ることが重要である。この省エネルギー施設または石油代替エネルギー施設の設置には、御存じのように多額の資金が必要となるわけです。このために、中小企業信用力を補完するために、従来の保険制度とは別枠の新たな保険制度としてエネルギー対策保険を創設するということが第一点でございます。  第二点としては、冷夏とかあるいは豪雪その他の突発的な事由によりまして、特定地域相当部分中小企業者経営の安定に著しい支障を生じている場合に、通常の付保限度額のほかに別枠利用できるよう、倒産関連特例保険の適用を受けられる中小企業者範囲拡大するものでありまして、これは昨年非常な豪雪等もありまして、中小企業の皆さんがこれまでの制度で非常に苦労されたわけであります。こうした点等も配慮して、このような措置を講ずることといたしたのが重要な改正点内容でございます。
  11. 浦野烋興

    浦野委員 ただいま大臣がおっしゃったように、改正内容エネルギー対策保険の創設と倒産関連中小企業者範囲拡大ということであろうと思うのでありますが、このエネルギー問題については、現在何とか小康を保っていると言えようかと思いますが、将来にわたっては、石油需給逼迫傾向は避けることができないと思っております。とりわけ中小企業にとって第一次と第二次の石油危機を通しまして、エネルギー価格上昇経営に与えた影響はきわめて大きい。合理化省力化対策によってコスト削減の努力を幾ら図っても、なおコスト上昇を吸収できない企業が多く、経営圧迫要因となっておるわけでありますが、この中で今回エネルギー対策保険、これが創設されるということは時宜を得たものと思っております。  この保険条件は、保証協会保証が円滑に行われる内容となっているのか、この辺についてひとつお尋ねをいたしたいと思います。
  12. 杉山弘

    杉山(弘)政府委員 お答えいたします。  先生お尋ねエネルギー対策保険条件でございますが、中小企業方々省エネルギー設備または代替エネルギー設備を導入されます際、その必要な資金金融機関からお借りになる際の保証を容易にするということで、信用保証協会中小企業者の方に対してしました保証を、実際に実行せざるを得なくなった場合、保険公庫から八〇%のてん補率でこれをお払いをする、こういうことになっておりまして、これは現在までございます公害防止保険、新技術企業化保険というような政策的に推進をいたす必要がある保険と同じてん補率になっているわけでございます。  それと同時に、付保限度額でございますが、これも一事業者当たり一億円、組合の場合は二億円ということにいたしておりますが、この限度額につきましても、私ども中小企業金融公庫その他で省エネルギー貸し付けまたは石油代替エネルギー貸し付けというものをいままでやっておりますが、こういった特別な金融制度利用実績等を踏まえまして、一企業一億円、組合の場合二億円という限度額であれば十分中小企業方々の要請にこたえ得るのではないかというふうに考えております。  それから、保険料率でございますが、これは年〇・五五%ということになっておりまして、中小企業方々が一般に普通お使いになりますいわゆる普通保険、これの料率よりは若干お安くしております。その面で中小企業方々利用をまた期待をいたしているわけでございます。
  13. 浦野烋興

    浦野委員 この保険中小企業者に十分利用されるためには、その対象設備ができるだけ多く定められる必要があろうかと思うのであります。その点につきまして、対象設備というものはどのような基準で定められるのか、お伺いいたします。
  14. 杉山弘

    杉山(弘)政府委員 この保険対象になります設備でございますが、通産大臣指定をすることになっておりますが、指定に当たりまして私ども考えております原則は、次のとおりでございます。  まず、従来の同様の設備に対しまして、一定率以上の省エネルギー効果を持つということが、やはり政策的に推進をするために必要であろうかと考えます。  それと同時に、そういった設備がまだ十分普及されてない、したがって、これを金融面からも積極的に普及促進していく必要がある、こういう観点が第二点として必要でございます。  それでは、具体的にどういうものを対象にするかということでございますが、先ほどもこの保険条件の際に御答弁申し上げましたが、現在、私ども中小企業金融公庫等実施をいたしております省エネルギー設備に対する貸し付けないしは石油代替エネルギー設備に対します特別貸し付け、こういったものの対象にいたしている設備がございますが、それを中心といたしまして、できるだけ幅広く中小企業方々の御要望に沿えるようなかっこうで指定をしてまいりたい、かように考えております。
  15. 浦野烋興

    浦野委員 次に、最初に申し上げたのでありますが、最近の中小企業を取り巻く環境というものは大変厳しいわけでありまして、たとえば倒産件数でありますけれども、これは東京商工リサーチの調査でございますけれども、本年一、二月は月千五百件と言われておりますいわゆる危険ラインを下回っておるわけでありますが、昨年のたとえば十月、十一月、十二月に至っては千六百件近いいわゆる危険ラインを突破した倒産件数になっておるわけでありまして、ことしもこの先行きは決して予断を許さぬと思っております。こうした中で、中小企業倒産防止対策、これを積極的に推進することは、言うまでもなくきわめて重要であるわけでありますが、中小企業倒産防止対策現状あるいは今後の対策、これをどのようにお考えになっておられるか、お尋ねします。
  16. 勝谷保

    勝谷政府委員 先生指摘のとおり、中小企業倒産対策というのはきわめて重要な問題だと考えております。現在の景気対策にいたしましても、この倒産防止を未然に防ぐ、さらに倒産が起きたときには的確に他に波及しないようにするということが景気対策を支える一つ手段でもあろうかと私ども考えておりまして、最重点施策一つ考え施策を続けてまいったところでございます。  対策の第一は、金融措置でございまして、政府系中小企業金融機関によります中小企業倒産対策貸付制度、これをフルに活用いたしますとともに、中小企業体質強化資金助成制度におきます経営安定特別貸し付け実施を進めてまいっておるわけでございます。  第二は、信用補完措置でございまして、倒産関連保証特例制度の活用でございまして、付保限度額拡大等を図ってまいったわけでございます。  第三の柱は、中小企業倒産防止共済制度実施でございまして、これを迅速に、的確に発動させますことによって、対応を進めてまいりました。  第四は、最近のように小口の倒産が出てまいりますときに、最も効果があるのではないかと私ども考えておりますが、倒産防止特別相談室を設置いたしまして、相談指導措置をいたしておるところでございます。この相談対応するものといたしましては、先ほどの経営安定特別貸し付けを機動的に併用いたすわけでございます。  従来まではそのような対策を講じてまいりました。幸い現時点では、先生のおっしゃるとおりの状況でございますが、決して楽観を許さない状況であると私どもも認識をいたしております。  今後の対策といたしましては、五十七年度におきましては、現在御審議を賜っております中小企業信用保険法改正によりまして、新たに冷夏豪雪その他突発的事由によって特定地域におきます経営の安定に著しく支障を生ずるような中小企業者に対しまして、倒産関連保証特例を適用できますように、範囲拡大するための措置をとろうといたしているわけでございます。  また、そのほか中小企業事業団倒産防止共済事業出資を増加いたしまして、中小企業倒産防止共済制度充実させますとともに、倒産防止特別相談室の増設も五十七年度の予算によって見ることができたわけでございまして、このような手段を総合的に進めますことによって、きめ細かく、機動的に対応を進めたいと考えておるところでございます。
  17. 浦野烋興

    浦野委員 いろいろ考え、そして手を打っていただいておるようでありますが、ひとつ効率的な運用を図っていただきたいと思います。  さて、今回の中小企業信用保険法倒産関連中小企業者範囲、これを拡大するということとしておるわけでありますが、これは二つに区分されておりまして、地域業種を限った場合、そして地域のみを限った場合と分けられるわけでありますが、この分ける区分の理由というのはどういうところにあるのか、お答えいただきたいと思います。
  18. 杉山弘

    杉山(弘)政府委員 先生お尋ねのございました倒産関連中小企業者範囲拡大で、地域業種を限った指定、それと地域だけの指定の二通りあるが、その理由いかん、こういうお話でございますが、私ども今回の改正の際に念頭に置いておりますのは、従来の例で申しますと、五十五年の東北地方冷夏から昨年の初めの北陸地方豪雪、それから若干古うございますが、昭和五十二年の有田地域コレラ発生、こういった地域的な突発的要因によりまして、特定地域中小企業方々経営の安定を失っている、こういうような場合を想定をして改正考えたわけでございますが、この地域的な突発的な要因影響と申しますのは、過去の例で申しましても、その影響特定業種に限られる場合、たとえば有田市のコレラ騒動のような場合には、地域水産加工関係業種というようなものに限定をされますし、北陸地方豪雪の場合でございますと、業種横断的に影響が生じているというようなケースとがございます。前者のように特定業種に限って影響が生じている場合には、地域指定とあわせて業種指定も行い、市町村長認定を容易にしようという考えでございます。後者の例のように、業種横断的に影響が生じております場合には、特定業種指定するということは実態に合いませんので、この場合には地域だけを指定し、その地域内で事業活動を行っている方々は、市町村長認定を受ければ、この特例対象を受けられる、こういうふうにしたわけでございます。
  19. 浦野烋興

    浦野委員 ただいま御説明をお聞きしたわけでありますけれども大臣もおっしゃったわけでありますが、一昨年の冷夏あるいは昨年の北陸地方を襲ったところの豪雪、これについては地域中小企業に大変大きな影響を与え、当然ながら地域経済にも深刻な打撃を与えたところであるわけでありますが、これに対して金融対策としては、政府系金融機関特例融資制度、これが実施されたわけでございます。  一方、信用補完制度については、このときには特例措置が講ぜられなかった。そしてこの制度の改善が強く望まれていたわけでありますけれども、今回、こうした場合に信用補完面において特例措置がとられることとなった。このことは一つの大きな前進であると思っておりますが、なお災害等突発的事態は予測できない事態ということでありますから、中小企業の受ける影響も大きく、その対応というものもなかなか大変であろうと思います。したがって、この災害等が生じたとき迅速に指定を行っていく必要があろうかと思うのでありますが、その迅速に指定していくという指定基準、これについては、先ほどちょっと御説明もあったかと思いますけれども、ひとつ改めてお伺いしたいと思います。
  20. 杉山弘

    杉山(弘)政府委員 お尋ね地域指定基準でございますが、これは今後法律の施行までの際に、さらに具体的な基準の作成ということで詰めてまいりたいと思いますが、現在私ども頭に置いておりますのは、災害等の突発的な要因によりまして、中小企業対策上看過できないような数の中小企業者の方に影響が生じている、そういうことを救済するのが目的でございますので、実際に影響を受けている中小企業方々がどの地域に存在をしておられるかということをわれわれの目で見、また都道府県等の意見も聞きまして指定をしたいというふうに考えております。
  21. 浦野烋興

    浦野委員 指定を行う場合でありますけれども、法文上に「相当数の中小企業者事業活動に著しい支障を生じており、」このように明記されておるわけでありますが、この「相当数」という言葉ですが、具体的にどのくらいの中小企業者数なのか、お聞きしたいわけであります。
  22. 杉山弘

    杉山(弘)政府委員 お尋ね指定の要件になっております「相当数の中小企業者事業活動に著しい支障を生じており、」という要件でありますが、先ほどの御答弁の中でも申し上げましたように、中小企業対策上看過し得ない程度の規模、抽象的に申し上げるとそういうことでございますが、具体的な数としてどの程度になるかということになりますと、これは先ほど申し上げましたように、過去の地域的な突発的事由中小企業方々影響を生じている具体的なケース、それと現在ございます倒産関連中小企業特例制度、それの運用基準といったものもございますので、こういったものを頭に置きまして、これから法律施行の際までに詰め、また関係各省とも相談をしてやってまいりたいというふうに考えております。
  23. 浦野烋興

    浦野委員 先ほども私は申し上げたわけでありますが、この災害等というこうした突発的事態は、発生地域中小企業、これが大変困るわけでありまして、すなわち大きな影響を与えるわけでありますが、いまの御答弁にございました、現段階ではまだまだこの抽象的な域を出ないわけでありますけれども、できる限り指定できるように希望をいたす次第でございます。  それでは、次に小規模企業共済法の一部を改正する法律案について質問に入りたいと思うのでありますが、小規模企業、これは従業員二十人以下の企業と理解しておるのでありますけれども、これは一般的にでありますが、五百八十一万中小企業の中で四百七十六万事業所がこの小規模企業に相当すると私ちょっと調べたわけでありますけれども、したがって、これら小規模企業わが国経済において大きな地位を占めておるわけでありますが、その零細ゆえに苦しい立場に立たされておるわけであります。特にこの八〇年代に入りまして、資源エネルギーの制約も高まり、日本経済の国際化の進展あるいは国民のニーズの多様化など、小規模企業を取り巻く経済、そして社会的環境は大きく変化してきておるわけでありますが、小規模企業はこれに対する対応がなかなか困難な状況に置かれているとも思っております。短期的に見ましても、現在の不景気による個人消費の冷え込みなどの影響を最も強く受けておりまして、この現状は大変苦しいわけであります。これらの小規模企業が現実として今日の日本経済を支えているということでありますから、その育成と振興を図ってまいることは、わが国経済の長期的、安定的な成長のために必要欠くべからざるものであろうと思っております。  そこでまず、このいわゆる零細小規模企業対策、これについて基本的なお考えを承りたいと思います。
  24. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 わが国経済における小規模企業の重要性と小規模企業対策の必要性につきましては、いま御指摘のとおりでございまして、わが国経済においてきわめて大きな比重を占めている小規模企業の振興を図ることは、単に小規模企業の安定と発展に寄与するだけではなくて、国民経済全体の長期的、安定的な成長に資するためにも重要であると認識をいたしております。  そのために、通産省としても、小規模企業対策中小企業対策の最も重要な柱の一つとして位置づけておりまして、昭和五十七年度予算におきましても、中小企業対策予算がゼロシーリングに抑制された中で、小規模企業対策予算の伸びを確保したわけであります。  このような小規模企業対策につきましては、基本的には、経済活動の主体としての小規模企業を、経済合理性の志向する方向に沿って存続、発展させる経済政策として行うべきではありますが、小規模企業者の実態にかんがみまして、社会問題としての視点に基づく対策を講ずることが必要であると思っております。  すなわち、経済政策としては、小規模企業には経営能力が欠けておるという面も多いわけでございますので、経営改善のための指導が最も重要でありますが、さらにこれを補完するための金融上、財政上あるいは税制上の措置が必要でもあり、また社会問題としての視点に基づく政策としましては、小規模企業の事業主や従業員の生活維持と福祉の向上を図る施策も必要であると考えております。特に、小規模企業の事業主は、所得水準におきましては一般の労働者と余り変わらないにもかかわらず、社会保険制度等の恩典を受けることが少なかったところでございます。小規模企業共済制度は、このような小規模企業の事業主等が廃業、会社等の役員からの退任等に備えるための共済制度でありまして、小規模企業の事業主の福祉の向上等に重要な役割りを果たしておる、こういうふうに考えておるわけでございます。
  25. 浦野烋興

    浦野委員 今回の小規模企業共済法改正点でございますが、これにつきましては、掛金月額の最高限度の引き上げ、共済金の受給のために必要な掛金納付月数の引き下げ、そして共済契約解除の手続の合理化、この三点であるわけでありますけれども、この一番中心になるのは、やはり掛金月額の引き上げではないかと思っております。今回、三万円から五万円という引き上げが行われるわけでございますけれども、なぜこうした引き上げがなされるのか。たとえば五十五年度の加入平均口数を見ますと、二十七口で一万三千五百円ということでありますけれども、引き上げることの必要性、あるいは引き上げるに至った事情なりについてお伺いしたいと思います。
  26. 篠島義明

    ○篠島政府委員 現在の法律によりまして、法二十六条でございますが、五年ごとに掛金等の額については見直すことになっております。その趣旨は、物価の上昇あるいは所得水準の上昇等に応じまして、ある程度の掛金月額の引き上げを講じて対応していくという趣旨によるものでございます。前回、五年前に一万円から三万円に月額を引き上げたわけでございますが、その後、五年間に物価水準の上昇、それから所得水準の向上等がございましたので、そこら辺を勘案して、今回月額の掛金を引き上げたい、こういうことでございます。  なお、もう一つの側面といたしまして、現在の小規模事業者は厚生年金保険ではなくて国民年金保険に加入することになっておりますが、厚生年金保険と国民年金保険との間に格差がございまして、この格差を埋める機能もこの小規模企業共済制度は担っております。ちょうどこの五年間たちました現在の時点での厚生年金保険それから国民年金保険の差を見ますと、ある程度の小規模企業共済の掛金の引き上げが必要だということになっておりまして、以上のような点を総合的に勘案した上で、三万円から五万円に引き上げるということにした次第でございます。
  27. 浦野烋興

    浦野委員 今回の改正によりまして、共済契約者が毎月積み立てる掛金の額を引き上げますと、それに見合って将来受給することのできる共済金の額も引き上げることができるということでありますが、共済給付の改善には、掛金の引き上げのほかに掛金当たりの共済金の引き上げという観点があると考えるわけであります。掛金当たりの共済金額の引き上げを行うことができなかったということでありますが、現在の資産運用上からはこうしたことが無理だったのか。共済金の給付率を引き上げることが、ひいては共済契約者が掛金額を増加したりあるいは加入の促進につながるのではないかと思うのでありますが、この点はいかがですか。
  28. 篠島義明

    ○篠島政府委員 御指摘のように、共済給付金の引き上げ、これも検討の対象に今回したわけでございますが、いろいろデータ等を分析した結果、現在の収支状況、これは赤字にはなっておりませんが、残念ながら共済給付金を引き上げるまでのいい状態になってないということがございまして、今回は見送ることにした次第でございます。
  29. 浦野烋興

    浦野委員 赤字ではないけれども、収支に余裕がないという御説明であったわけでありますが、これについては、共済資産の運用を効率的に行うことによって、共済給付の改善を図るということも可能ではないかと思っております。厳しいそうした収支の内容でございますから、余り無理はお願いできぬかと思うのでありますけれども、これまたできる限り効率的な運用というものを図っていただきたいと思います。  さて、こうした小規模企業共済制度改正によって改善されるということにつきましては、零細な小規模企業者にとって大変好ましいことに違いないわけでありますけれども、こうした制度が幾らよくなったとしても、これが小規模企業者によって利用されなければ、何らの価値がないわけであります。この点について、先ほども申しましたが、五百八十一万中小企業者の中で、その圧倒的な数を占める四百六十七万小規模事業者の人々にどれほどこの制度利用されておるのか、おわかりであればお答えいただきたいと思います。
  30. 篠島義明

    ○篠島政府委員 小規模共済制度の在籍件数でございますが、これは昭和五十六年度末で約百七万件程度となっております。したがいまして、この在籍件数ベースの数字から言いますと、小規模事業者のこの制度利用者数は、おおむね二〇%近くに達しているというふうに考えております。
  31. 浦野烋興

    浦野委員 二〇%ということでございますと、小規模事業者五人に一人の割合で加入しておるということになるわけでありますけれども、これはいただいた資料を見ますと、制度発足の時点からすれば、これはかなり普及していると言えようかと思うのでありますけれども、私は、まだまだこれは、普及率というのは低いと思っております。  そこで、四百六十七万といわれるこの小規模事業者の中で、どの程度がこの共済制度対象となり得ると考えておられるのか、この点についてお伺いしたいと思います。
  32. 篠島義明

    ○篠島政府委員 おっしゃるように、現在の加入者数、これはまだ十分だとは申せない実情にあると思います。現実の問題として、全部の小規模事業者に入っていただくということにもならないかと思いますが、まだまだかなりの方には入っていただけると思っておりまして、今回の中政審の意見具申におきましても、五十七年度を初年度といたしまして、六十一年度までの五年間にさらに六十五万件の加入促進をしようということで意見をいただいています。
  33. 浦野烋興

    浦野委員 いろいろ御苦労されておられると思いますが、もっとパンフレットを作成するとかあるいは下請、いわゆる小規模事業所というのは、私の選挙区でもそうでありますけれども、一次、二次、三次、こういうような下請企業であるわけでありまして、したがって、その親会社の方からも通じてこうしたPRをすべきであろう、こんなことも考えておるわけでありますが、今後もなお種々の方法をとっていただいて、PRする中で加入の促進を図っていただきたいと思います。  それでは、小規模企業共済制度について、締めくくりというようなことになるのでありますけれども、小規模企業を取り巻く環境の厳しさにかんがみまして、この制度というものをさらに充実していく必要があると考えるところであります。今後、小規模企業共済制度の新しい展開について、どのような取り組みをされるおつもりか、この点につきまして、その将来展望というものをお尋ねしたいと思います。
  34. 勝谷保

    勝谷政府委員 小規模企業事業所の中で圧倒的多数を占めておりまして、わが国経済社会の安定の基盤とも言うべき役割りを果たしておることは、先ほど先生指摘のとおりでございまして、この小規模企業に対します政策の基本的考え方は、先ほど大臣から御答弁があったところでございます。  小規模企業は、その大部分が家庭と企業活動が渾然一体となった生業的色彩の強いものでございます。その振興を図りますためには、経営能力の不足を補いますとともに、経営者と家庭生活基盤の安定を図ることが不可欠でございます。したがいまして、小規模企業の活力を維持、育成し、国民経済の健全な発展を図りますためには、小規模企業対策の一環といたしまして、小規模企業者の家庭基盤の安定を図るための方途につきまして、さらに一層の拡充が検討される必要があると考えられます。このような検討に当たりましては、中小企業政策審議会の意見具申もあるわけでございまして、この中で、中小企業者が相互扶助の精神に基づき資金を拠出して行いますこの種小規模企業共済制度拡充強化を重要な柱とうたっておるわけでございます。最近における行財政事情のもとでは、新たな制度を設けまして、このための実施体制の整備を図ることもなかなか困難なところがあるわけでございます。今回の改正におきましては、新しい試みはいずれも見送っております。さきに申し述べましたような観点から幾つかの手直しをさせていただきましたが、基本的な問題につきましては、今後検討を続けてまいるつもりでございます。  先生も御存じのとおりに、今後やるべき問題といたしましては、小規模企業共済制度拡充改善を図りますとともに、さらに高額医療費補てん、財産形成等の面で共済制度を整備することも小規模企業者の家庭基盤の安定の上から有効であるという点が指摘を受けているところでございます。私ども、その点については十分認識をいたしておりますので、財政再建その他の暁には、こういう点についても手を加えてまいる必要があるという認識を持っているところでございます。
  35. 浦野烋興

    浦野委員 まだちょっと時間がございますので、先ほど御質問をしなかった点につきましてお尋ねしたいと思うのでありますが、先ほどお尋ねした中で、これは小規模企業共済制度でございますけれども、毎月の掛金を三万円から五万円に上げたということでありますが、これが今回の改正の目玉であろうかと思うのでありますが、この中で、共済金額の引き上げを行うことができなかった、これについての答弁もあったわけでございますけれども、共済資産の運用を効率的に行うことによって何とかできるのではないかということも私申し上げたわけでありますが、この点について、現在の共済資産の運用というのはどうした考え方のもとに行われておるのか、改めてお伺いしたいと存じます。
  36. 篠島義明

    ○篠島政府委員 現在の共済資産の運用でございますが、これは、基本的にはとにかく効率的に、それから安全な運用をということを第一に考えております。たまたま制度発足以来の運用利回りといたしましては、たしか七・一四%程度の率になっておると思いますが、これは当初の見積もり六・六%に比べればある程度の上回った率になっております。  なお、資産の効率的なあるいは安全な運用ということとあわせまして、資産の利用者に対する還元的な運用という面もございますので、これについては、従来から特別貸付制度という形で一部基金の方へ回しておりますし、それからさらに共済預託金制度の方へも資金を回しています。そういった形で、ある程度の共済契約者に対する還元的な運用ということも考えておりますが、基本的には効率的、安全な運用を今後もできるだけ図っていきたいというふうに考えています。
  37. 浦野烋興

    浦野委員 ただいま御答弁をいただいたわけでありますけれども、小規模企業者に対する還元、これを極力図っていかれるという御答弁であったわけでありますが、共済資産の運用効率、これ以上これを引き上げることができないので、掛金当たりの共済金の額の引き上げを行うことは、現段階では不可能であるということはいささか残念な話であるわけでありますけれども、収支がなかなか改善の見込みがないというお話でもございましたけれども、今後これが変更される見通しというものはあるのかないのか、この点についていかがかお尋ねしたいと思います。
  38. 篠島義明

    ○篠島政府委員 今回の中政審の意見具申の中では、今後も従来程度の資産の効率的な運用を確保して対応しろということになっておりますが、われわれといたしましては、先生指摘のように、何とかこの小規模企業共済制度拡充強化の内容として、給付金の改善ということを将来考えたいということでございます。資産の効率的な運用によってそれが可能かどうか、見通しは非常にむずかしいと思いますが、先ほど長官からも御答弁申し上げましたように、今後の財政再建の行方とも絡む問題でございますが、ある時点では給付金に対する国庫助成というようなことも含めて、この給付改善の問題については考えていきたいというふうに思っております。
  39. 浦野烋興

    浦野委員 将来行われる共済収支の見直しの結果、共済財政に多少なりとも余裕が見出し得ることができるとすれば、ぜひとも共済給付の改善を図るように要望しておきたいと思います。  もう一、二点でありますけれども、また繰り返すようでございますけれども、先ほど共済資産は極力小規模企業者に対する還元を図るよう運用するというお話であったわけでありますが、最も直接的な還元を図るのが共済契約者貸し付け考えるわけであります。そこで、共済契約者貸し付けを今回どのように改善する考えであるのか、この点についていま一度お伺いいたします。
  40. 篠島義明

    ○篠島政府委員 従来の特別貸し付けにつきましては、これは契約者の積立額を限度といたしまして、それよりも低い節囲内で、それからまた条件といたしましては、金利が七・二%、一年間ということで運用してまいりました。今回の特別貸付制度拡充につきましては、新たに疾病、負傷あるいは災害時等の経営安定のために必要な資金につきまして、条件を緩和いたしまして、貸付限度額については、その時点で共済事由発生した場合に受け取るであろう給付金の額の九割、それから金利につきましては七・〇%、貸付期間につきましては三年間ということで運用の道を開きたいというふうに考えております。
  41. 浦野烋興

    浦野委員 今後とも共済契約者貸し付け充実、これにつきましては、さらに一層の努力をしていただきたいと思っております。  最後になりますが、今回当委員会審議に付されておりますところの中小企業関係の二法案、すなわち中小企業信用保険法の一部を改正する法律案につきましては、倒産関連保証に関する制度拡充、そしてエネルギー対策保険の創設、このいずれをとりましても、経営安定あるいはエネルギー情勢への積極的対応という中小企業者にとりまして緊要の課題にこたえようとするものであるわけでありまして、このことはきわめて時宜を得たものと思っておるわけであります。政府としては、その運用に当たって、これらが実効性あるものとなるように、ひとつ最大限の努力をお願いしたいと思っております。  そして小規模企業施策の重要性について、これについては申し上げるまでもないわけでありますけれども、今回の小規模企業共済法の一部を改正する法律案、これは小規模事業者の廃業あるいは老齢化等に備えるために、共済金を大幅にふやすことを可能にするものであるわけでありますが、これまた中小企業施策の大きな前進であると思っております。政府は、この制度が全国の小規模企業者に一層普及するように、先ほどもお願いいたしましたけれども、このための積極的な行動をしていただきたいと思っております。  このように、両法案とも全国の五百八十万と言われる中小企業の大きな期待にこたえるものであるわけでありますが、最後に、両法案にかける政府の決意として、安倍通商産業大臣から伺いまして、私の質問を終わりたいと思っております。
  42. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 今回、提案をいたしました中小企業関係法案につきましては、中小企業の体質を一層強化をするとともに、小規模事業の安定を図っていくということを中心としたものでありまして、これは日本経済を支えておるのが中小企業であり小規模事業であるということを考えれば当然のことであろうと思っております。  私たちは、やはりこれからの日本経済の安定を図っていくためにも、こうした中小企業、小規模事業のより一層の安定を図っていかなきゃならぬわけでございまして、私たちは、今回の法案が成立すれば、これが一層の活用を図るとともに、さらにひとつ中小企業あるいはまた小規模事業に対する金融面あるいはまた税制面、財政面等のこれからの対策を一層強化をしてまいる決意でございます。
  43. 浦野烋興

    浦野委員 質問を終わります。ありがとうございました。
  44. 渡部恒三

    渡部委員長 渡辺三郎君。
  45. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 まず、中小企業信用保険法関係について先に質問をしたいと思います。  第一には、エネルギー関係の中小企業施策内容あるいはその成果、これについて質問したいと思っておりますが、全般について施策内容をお聞きしますと、とうてい時間が足らなくなりますから、ここでひとつ五十六年度から創設されておりますエネルギー巡回技術指導、この問題だけを取り上げてお聞きしたいと思います。  最初に、これは何を目的として具体的にはどういうことをやるのか、この点をお聞きします。
  46. 勝谷保

    勝谷政府委員 エネルギー診断バスにつきましては、五十六年度におきますエネルギー対策の重点事項の一つとして取り上げました。各県に、まず中小企業者のエネルギーに対します考え方、さらにその設備等につきまして現状がどうなっているか、そうしてこれを現実にどのように改善したらいいかというようなことを診断、指導するための中核的な手段といたしまして診断バスを設ける。その診断バスに公設試験研究所の技術者が乗りまして、現場に行きまして、中小企業の皆さんとその場で実態を把握して改善の方向を見出すということにしたいという制度でございまして、五十六年度には二十一都府県でその実施を進めているところでございます。
  47. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 いまの診断によって具体的にはどういうことがわかるのですか。それからわかった結果、これまた具体的にどういう指導をやるのか、その点を少し具体的にお聞きしたいと思います。
  48. 勝谷保

    勝谷政府委員 現地に参りまして、中小企業者が現にエネルギーを多消費しております設備等につきまして、診断バスの簡易な測定機器等々とともに公設試験所のその種専門家が参りまして、エネルギー効率がどういう点でロスがあるか等々を大まかにまず診断をいたすわけでございます。それをいたしましたときに、中小企業者がそういう実態の認識をいたしますと、それをもとにいたしまして、公設試験所と再度打ち合わして本質的な細目についての診断をさらに進めるというための第一回目の概略の診断をするといいますか、そういうことをいたしているようでございます。
  49. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 いま長官の答弁の中で、五十六年度の実績についてちょっと触れられたわけでありますけれども、当初の計画からいきますと、全国で年間約七千事業所、各県ごとにして約百五十事業所、この診断を行うんだ、こういうふうになっておるわけですけれども、しかし、五十六年度は年度の中途からの発足でありますから、必ずしもこの数字は五十六年度には当てはまらないと思いますけれども、いまもお話しございましたが、二十一の都府県に五十六年度はとどまっておるわけですね。  それで、当初の計画に照らして、五十六年度としては実績は一体これで十分だというふうにお考えになっておるのか、あるいはさらに五十七年度はどういう計画でどういう見通しで行われようとしておるのか、この点もちょっと触れていただきたいと思います。
  50. 勝谷保

    勝谷政府委員 五十六年度の予算要求をいたします段階での私ども考え方は、できますれば、これを三十都道府県程度に及ぼしたいという感じを持っておったわけでございます。ところが実際にこれを実行に移しました段階で、その趣旨を非常に了とされて、積極的に取り組まれた県が先ほど申しました二十一の都府県でございます。そのほか、当初予定いたしましたところでまだ準備が十分整わない、さらには細かい話になりますが、結局そういう診断バスをつくりますならば、常時それに乗る運転手の方々等の人件費の補助が十分ないというようなことから、もう少しこの診断バスの他府県における十分な効果を見守りたいという県等も出てまいったわけでございます。したがいまして、現実には、先ほど申し上げました二十一の都府県でこれを実施という実態でございまして、私ども三十県のところをそれ以上の県が申し込まれるものと思っておりましたけれども現状はそういう実態でございます。五十七年度におきましては、この二十一都府県の実行を進めるということでございまして、さらにこれをふやすという方向ではございませんで、政策はむしろ二十一都府県の、現に進めているところで実効を上げていただく、この結果を見守って、他の県でさらにということになりました暁には、再度五十八年度にこの制度拡充する方向で見直したいという実態でございます。
  51. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 そうしますと、念のためにちょっとお聞きしておきたいのですが、五十六年度の予算はたしか五千万円、それから五十七年度の場合には一億六百万というふうに予算計上されておると思うのでありますけれども、いま長官おっしゃったように、二十一都府県に五十七年度は限って、内容を少し充実していくんだ、その他の県への拡充については五十八年度から必要に応じて考えたいというふうなことでありますけれども予算的な措置は、いま私が申し上げたのが間違っておるかどうか、そのとおりなのかどうか。  それから、時間の関係で引き続いて申し上げますが、巡回バスの購入あるいは経費、こういうものは国が半分都道府県が半分、こういうふうにお聞きをしておるわけでありますけれども、こういう面がやはり府県で、国の方も財政が大変ですけれども、府県の方もそれぞれ大変な財政事情を抱えておりますから、そういう経費の面からなかなか実施に踏み切れないという事情があるのではないか。あるいはまた、これも先ほど御答弁ありましたが、公設試験研究機関の指導員といいますかあるいはエネルギー技術の専門家、こういうものを巡回バスに一緒に乗せて指導をなさるというふうなことでありますけれども、この人的な指導体制というものが、各都道府県段階に行くと必ずしも潤沢ではない、なかなか苦労する、こういう点がやはり障害になっておるのではなかろうかというふうに思うわけですが、その点はどのように分析をなさっておりますか。
  52. 勝谷保

    勝谷政府委員 答弁の順序がちょっと逆になって恐縮でございますが、まず地方の百を上回る公設試験研究所でも、最近逐次そのようなエネルギー対策に対します関心が高まっておりますが、私どもといたしましては、エネルギー技術者、指導員の研修ということをあわせて行う必要があるということを考えておりまして、五十七年度におきましては、この種予算を大幅にふやしているわけでございます。したがいまして、先ほどの研修指導のところの予算でございますが、必ずしも正確ではございませんが、昨年の五千万円に比べまして、診断指導関係は約一億五千万になっているわけでございますが一本件につきましては、昨年が四カ月の予算でございましたのを、このたびは十二カ月予算ということで三倍の予算になるわけでございます。くどいようですが、五十六年度は四カ月予算、五十七年度は十二カ月予算でございますので、その点では去年の五千万が約一億五千万になります。そのほかに、私どもとしては、昨年の千七百万に対しまして、五千万という診断指導のためのその種の人材養成等々を含めまして、さらに省エネルギーの診断につきましては、件数を約三倍ふやすようなことによりまして補いたいと思っているわけでございますが、予算面は以上のような状態でございます。  公設試験研究所については、研修をすることによって補いたいというふうに考えております。
  53. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 このたびの改正案にありますエネルギー対策保険でありますけれども、これは先ほど浦野委員質問をしておられましたが、対象となる設備はどういうものですか。     〔委員長退席、野田委員長代理着席〕
  54. 杉山弘

    杉山(弘)政府委員 お答えいたします。  新しく考えておりますエネルギー対策保険対象設備につきましては、先ほど浦野先生の御質問に対してもお答えいたしましたが、現在私ども中小企業金融公庫等省エネルギー設備または代替エネルギー利用設備につきまして特別の融資制度を持っておりますが、その融資制度対象になっている設備を基本にして具体的に指定をしてまいりたいと思っております。先生御存じのことと思いますが、中小企業金融公庫で対象にしております省エネルギー設備につきましては、たとえばボイラー効率向上設備以下十二設備が具体的に掲げられておりまして、それぞれ省エネルギー効果一〇%以上という限定がついております。  ただ、この特定されました設備以外でも、拾い切れていないというものがまだもちろんあり得るわけでございますので、そういうものにつきましては、部内的にエネルギー庁と中小企業庁とで打ち合わせをいたしまして、そういう具体的な対象設備の漏れているものがございましたら、そういうものを逐次追加していく、こういうシステムになっておりますので、私どもも、当初は現在の金融公庫等でやっております対象設備を前提にして指定をいたしてまいりますが、以後また技術開発その他の事情によりまして、追加的な設備が出てまいりましたら、その都度また追加指定をいたしていきたい、かように考えております。
  55. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 いま後段で御答弁ありましたような点を十分に配慮をしながら、必要なものについては弾力的に対象設備として追加をするように強く要望をしておきたいと思います。  それから第三は、倒産関連中小企業者範囲拡大に関してでありますけれども、災害その他突発的な事由の際の一つは、特定地域特定業種影響を受けている場合、これは具体的にどういう場合か。先ほども若干答弁はありましたが、わかりやすいように端的な二、三の例を挙げていただけませんか。
  56. 杉山弘

    杉山(弘)政府委員 倒産関連中小企業者範囲拡大地域業種を重ねて指定する場合の具体的なケースでございますが、従来までわれわれが経験をいたしておりますケースで申し上げますと、たとえば昭和五十二年和歌山県の有田地域で起こりましたコレラ発生、それと東北地方冷夏というようなものを頭に置いて考えております。コレラ発生等の場合には、地域の水産加工関連等の特定分野中小企業方々がこの影響をこうむる、こういうことになりますし、冷夏のような場合には、農家の収入が減少するというようなことで、農機具の販売業者等がこの影響を受ける、また清涼飲料水等の販売業者が冷夏影響を受けるということで、これも特定業種影響が生ずるというふうに考えられますので、こうしましたケースにつきましては、影響を受けております対象地域範囲指定いたしますとともに、その地域内でどういう業種が具体的な影響を受けて経営に不安定を生じている業種かということもあわせて指定することを考えているわけでございます。
  57. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 それからもう一つの場合は、今度は地域全体が影響を受けている場合、こういうふうになっておるわけでありまして、これも同じように一、二の事例を挙げていただきたいと思います。
  58. 杉山弘

    杉山(弘)政府委員 お尋ねの第二番目の指定で、業種指定せず地域だけを指定する具体的なケースとはどういうものが考えられるかということでございますが、これも先ほどお答え申し上げましたように、われわれがいままでに経験をいたしました事例で申し上げますと、たとえば昨年の初めの北陸地方豪雪、若干古くはなりますが、昭和五十三年の宮城沖地震といったようなケースがこれに相当するかと思います。  このようなケースの場合には、先生も十分実情御案内のとおり、特定業種影響が生ずるというわけではございませんで、災害による物的な被害のみならず、原材料の搬入ができない、従業員の通勤がむずかしい、製品の搬出ができないといったようなことで業種横断的に影響が生ずるわけでございまして、こういう場合には、特定業種に限って指定をするというのは実情に即しませんので、地域だけを指定いたしまして、その地域内で事業を行っている中小企業方々については、個別に認定の際、その突発的な事由影響を受けて経営が不安定に陥っているかどうかということを調べまして、それに該当すれば、業種のいかんを問わずこの特例制度対象にすることを考えているわけでございます。
  59. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 いまの御答弁にありますように、第一の場合は、特定地域業種、それから後者の場合には特定地域通産大臣指定をされるわけでありますけれども、先ほどの質疑を承っておりまして、指定基準がどうもいま一つはっきりしない。考え方を抽象的に述べられた範囲内ではわかりますけれども、この点、お考えがまとまっておれば、少し具体的に答弁をいただきたいと思うのです。
  60. 杉山弘

    杉山(弘)政府委員 先生質問の趣旨は、法文上は地域内の相当数の中小企業者経営に不安定が生じている、こういう場合の相当数というのは具体的にどういうことを指すのかという御質問であろうかと思いますが、先ほど来私が個々の従来経験をいたしましたケースについて申し上げました場合では、実際にその影響を受けている中小企業方々の数というものは一千件を超えております。したがいまして、従来のケースは一千件を超えておりますから、少なくともこういうものは絶対にカバーをするように基準考えるわけでございますが、中小企業対策上看過できない影響というものは、具体的に千件以上に限られるのかということになりますと、必ずしもそうとは言い切れない。もう少し数の少ない場合であっても当然対象にすべきケースがあり得るんではないか。従来の例で申しますと、取引先の相手方の事業者が倒産をいたしました場合のケースにつきましては、三十人以上の中小企業の方がその影響を受けている場合には、これを対象にするようにわれわれ運用上やっておりますので、こういった従来までの運用例というものも頭に置きまして、今後、法律施行までにもう少し具体的に詰めていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  61. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 いまの御答弁の、その点もございますけれども、もう一つは、たとえば現在の倒産関連保証特例制度指定の場合には、その特定業種に係る——全国規模における不況の場合ですね。これを例にとりますと、最近三カ月間の売り上げの実績が昨年同月に比較して五%減、それから直近月の場合には一〇%減、こういう一つ基準があるようでありますけれども、今度の場合、この第一の例、第二の例、これはやはりいま言ったような点を基準考える、こういうことですか。
  62. 杉山弘

    杉山(弘)政府委員 指定の第二番目の要件が、先生いま御質問になられましたように、中小企業経営の安定を欠いている場合の具体的な基準でございまして、これにつきましては、いまお示しのように、われわれ従来の倒産関連中小企業特例制度は運用しているわけでございます。  今度考えております突発的な事由影響を受けました場合につきましても、まだ必ずしも成案を得でいるわけではございませんが、私どもとしては、実際の運用は、その点についてはもう少し緩やかに考えてもいいのではないか。と申しますのは、突発的な事由影響をもちろん現に受けているわけでございますが、現在までの被害状況ではなくて、たとえば突発的な事由で操業ができない期間が将来にわたっても当然あり得るわけでございますので、現時点で、前年比で売り上げが幾ら減っているかというだけではなくて、合理的に考えられる、予測できる範囲内において、どういうふうになり得るかという将来の被害の予想みたいなものまで含めまして、認定考えたいと思っております。そういう意味では、従来の倒産関連中小企業経営の不安定の判定の基準とは若干異なる点があろうかと思います。
  63. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 通産大臣指定をされて、その次はそれに基づいて当該の市町村長が個々の企業認定する、こういうふうになるわけですが、いま私が申し上げたこれまでの認定基準でありますと、最近三カ月間の月の平均売上高が前年同期のそれに比較して一〇%以上減少する、これも市町村の認定の場合には一つ基準になっていたと思うのですね。いま部長から御答弁ありましたように、今度創設されるこの二つの場合、これはおっしゃるように、まさに突発的な事由によって、しかもいままでの倒産関連とは違うケースでありますから、その点は十分にカバーできるように、緩やかな一つ基準といいますか、そういうものをぜひともやっていただきたい、この点についても要望を申し上げておきたいと思うのです。  それから、これに関連してもう一つお聞きしますが、業種指定する場合、その関連の業種、そういうものについてはどのようにお考えですか、これは市町村認定の場合にも出てくると思うのですけれども。たとえば第二番目の、特定地域特定業種という場合に、その業種に関連をするその他の業種についての認定はどういうふうに考えておられますか。
  64. 杉山弘

    杉山(弘)政府委員 お答えいたします。  先生お尋ねの点は、突発的な事由影響というものを特定業種に限る場合に、その影響範囲をどの辺まで追求していくのか、こういう御趣旨かと思いますが、影響の連鎖といいますか、たどっていけば、それは非常に果てしがないわけでございますけれども、私どもといたしましては、いわば相当因果関係といいますか、合理的な範囲内で、その影響が生じている部分まではできるだけ拾っていきたいと思いますので、これは具体的なケースに応じて考えてまいりたいと思います。  いま申し上げられますのは、合理的な範囲内で——法文上は、その突発的な事由に起因してというふうになっておりますので、影響の連鎖というものは無限に広がっていくわけでございますけれども、そこはやはりある程度範囲を限らざるを得ない。それは合理的な範囲内、相当因果関係の範囲内ということで考えたいと思っております。
  65. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 次に、特例関係保険のうち、特に転換関連、それから特定不況地域関係、産地関係、つまりここ数年間に新しくできた臨時措置法を根拠法とするこれらの特例関係保険について、その保証状況をお伺いしたいと考えておりましたが、時間の制約がございますから、この点、委員長にお願いをしておきたいと思います。  ここ数年間の状況を数字にまとめて、資料として後刻出していただくようにお願いを申し上げまして、この点の具体的な質問については割愛をしたいと思います。委員長、よろしいでしょうか。  それでは次に、五十五年から実施をされております新技術企業化保険、これについて二、三お聞きしたいと思います。  この実績を見てまいりますと、五十五年度では、たとえば保険引受予定額が百二十億でありますけれども保険利用状況は、件数で八件、金額で五億二千五百万円というふうになっております。五十六年度では、保険引受予定額が百七十億円に対して、これは年度末の確定ではございませんけれども保険の実際の利用状況は、件数、金額でも前年度五十五年度と大差ないという状況になっておるわけでありまして、これは余りにも利用が少ないのではないか、こういうふうに思いますが、その理由はどういうところにあるのでしょうか。
  66. 杉山弘

    杉山(弘)政府委員 先生指摘のように、新技術企業化保険の現在までの利用状況は余り芳しいものとは申せません。  その理由でございますが、この制度は、昭和五十五年の法律改正により創設されたものでございますので、創設後現在までまだ日が浅いということで、この制度の存在そのものが一般の中小企業者の方に必ずしも十分周知されてないという点にあるのではないか。この点、われわれとしても反省をいたしておるわけでございまして、今回も新しくエネルギー対策保険を創設いたしますし、倒産関連中小企業者範囲拡大もいたすわけでございますが、こういう点も含めまして、信用保険制度の詳細につきまして、中小企業方々へのPRをすることによって利用の実績を上げるように今後努力をしていきたい、かように考えております。
  67. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 創設してからまだ日が浅いということが一番大きな理由だ、それは私もわかるのでありますけれども、この新技術企業化保険がそういう性格のものであっても、保証協会から保証してもらう場合には、企業によっては、それぞれの付保限度額の枠内であれば、たとえば保険料率の低い無担保とか特別小口、あるいは公害防止のものであれば公害防止、これはそれぞれ保証料が低いわけでありますから、そういうふうな枠内であればそっちの方に持っていってしまう。ですから本来は、新技術企業化保険というふうに性格的にみなされるものであっても、そっちの方に入っていって、そっちの方で借りているというのが非常に多いのじゃないかと私は考えるわけであります。したがって、新技術企業化保険というふうに区分されている中であらわされている数字が、実際よりは、そちらの方で持っていかれるというとおかしいのですけれども、区分がそういうふうになるから少なくなっているんじゃないか、そういうふうな気もするのですが、その辺はどういうふうに現状をつかんでおられますか。
  68. 杉山弘

    杉山(弘)政府委員 お答えいたします。  いま先生がおっしゃいましたような中小企業の方の利用の実情というものがあるいはあるのではないかというふうにわれわれも考えますが、それがどの程度のものであるかという実情については、必ずしも把握をいたしておりません。それで、先生御存じのように、現在の保険法の中では、一般の特別小口保険、無担保保険普通保険と新技術企業化保険等の特殊保険との関係、先後関係がいろいろ規定はしてございますが、その規定の範囲内で、それぞれ利用可能なものにつきましては、中小企業の方の選択によって利用が可能でございますので、あるいは先生指摘のような点があって、より有利な方を選択して、まず資金調達をされるということが十分あり得ることではあろうと思います。
  69. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 この保険法関係での最後の質問になりますが、いまちょっと質問の中でも、私考えるわけでありますけれども、いろいろな保険の種類がある。これはそれぞれのニーズに基づいて、要望に基づいて創設されたわけでありますから、その選択は借りる側の自由でありますし、そしてまた、より有利な方法を、企業の実情、経営の実態に基づいて借りていくという、この選択の幅があるということは、それ自体は私は非常にいいと思うのです。ただ、実際、中小企業の場合、特に小企業の場合は、これほど長い間続いた制度であるにもかかわらず、まだ利用の仕方について十分に熟知されてないという面が非常に多いように実際考えます。  そこで、やはり内容は非常に複雑になっておりますから、これを保険制度として、いますぐにというわけではありませんけれども、近い将来、もう少し体系的に全体を見直すといいますか、考慮するというふうなこともおいおい必要になってくるんじゃなかろうか。そのことを一つ。  それからもう一つ。そういったいろいろなニーズに基づく制度がありますけれども、これをやはり丁寧に、具体的には都道府県の協会の方から、あるいは商工会議所や商工会を通じて企業家の方に啓蒙するというふうなやり方をやらぬと、借りる側では、何か非常に複雑なような感じを持っている面が現実はございますから、その点は特に配慮をした指導をお願いしたい、このように考えておるわけでありますが、前者の方についてだけ、もし御意見があればお答えいただきたいと思います。
  70. 杉山弘

    杉山(弘)政府委員 先生指摘のように、現在の保険制度中小企業の方から見ますと、なかなかわかりにくくなっているという御批判はあろうかと思いますが、私ども政策を担当する者の立場から申しますと、やはり政策目的との関係で、どこまでの資金対象にするか、その付保限度額をどうするかというものにつきましては、それぞれ差が出るのもやむを得ない。たとえば、いま先生質問のございました新技術企業化保険につきましては、設備資金のみならず運転資金対象にいたしておりますが、今回、改正をお願いしておりますエネルギー対策保険につきましては、その事柄の性格上、運転資金対象にせずに、設備導入のための資金だけに限定するというふうに考えております。そういうことから考えますと、できれば先生指摘のように、より簡潔な制度にすることが望ましいとは思いますけれども、やはりそれには限界があろうかと思います。したがいまして、御指摘のようなかっこうで再編整理をするということは、われわれ実務担当者といたしましては非常にむずかしいとは思いますけれども、なお、御指摘もございますので、考えさしていただきたいと思います。それまでの間は、やはり現行制度をできるだけ中小企業方々に十分おわかりいただいて御利用を願うということが先決だと思いますので、先ほども御答弁申し上げましたように、制度のPRにつきましては十分われわれとしても今後意を用いていきたい、かように考えております。
  71. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 では、次に小規模企業共済関係についてお伺いをしたいと思いますが、第一は、この制度の第二種共済の効用について、どのようにお考えになっておるか、お聞きをします。
  72. 篠島義明

    ○篠島政府委員 第二種共済契約でございますが、これにつきましては、現在のところ加入件数二千七百件ということで、きわめて低率な状況になっております。その理由といたしましては、この第二種共済契約と申しますのは、貯蓄性の強い、たとえば法人への組織がえをするとかいうような任意性のある要件のもとでも共済事由として認めておりますし、それからまた三十年の満期という制度もございます。そういう意味で貯蓄性の強い性格を持っておりまして、これがどちらかといえば、保険的な性格の強い第一種共済契約と違っておる点でございますけれども、貯蓄性が強いということもありまして、税制上掛金あるいは給付金について一般の生命保険並みの扱いになっております。第一種の共済契約につきましては、掛金全額所得控除、それから給付金については退職金扱いというような税制上の扱いがあることもありまして、そういったことで恐らく第二種の共済契約の魅力が薄れたということだろうと思います。ただ、この第二種共済契約についてもなお存続の希望も一部にございますし、将来どうするかという問題はいろいろあろうかと思いますけれども、現在直ちに廃止するというようなことは考えておりません。
  73. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 まさにいま御答弁のとおりだと思うのですね。それにしても、現在の第二種の在籍者が二千七百件というのは余りにも少ない。昭和四十二年でしたか、この第一種が創設される際に、それまでの第二種のものが大部分移行されているというふうな問題もありましょうし、そういう点から、たとえば五十二年の法改正の際の衆議院、参議院の商工委員会の附帯決議の中でも、第一種、第二種とも見直すというふうなことがありましたが、その議論の中で、やはり第二種が問題になっているわけです。ですから、これは何らかの形でやはり第二種の問題については、特に再検討が必要だろう、こういうふうに私は考えております。いまの部長の答弁も、いろいろ少なくなっている、あるいは魅力を失っているといいますか、そういう事由については私の認識と同じような御答弁がありましたから重ねて申し上げませんが、ぜひともこれは、第二種については真剣な御検討をお願いすべき段階に来たように思います。  それから、次の問題は、小規模企業共済預託融資制度、この現状、活用状況についてお伺いをしたいと思います。  時間の残りが少なくなっておりますから内容を申し上げますが、昭和五十六年、去年の三月現在で見ますと、これを実施している県が二十四県、つまり全体の半分であります。こういうふうな状況でありますけれども、全都道府県にこれが利用されておらないという理由ですね。これをどのように考えておられますか。
  74. 篠島義明

    ○篠島政府委員 現在この制度を採用されておりません県の実態を調べてみますと、一、二の例外はございますが、大部分の県におきましては、小規模企業者に対するこの制度類似の県固有の金融制度を持っております。したがって、県といたしましては、あえて錯綜する形でこういった預託融資制度を国と一緒になってやるまでのこともないというふうに考えておるようでございますが、われわれといたしましては、この共済制度の普及、浸透、PRという観点から、この預託融資制度を県に採用していただくことは非常にプラスがあると考えておりますので、そういった観点から、県には機会あるごとにこの制度を採用するようお願いしておるわけでございます。
  75. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 やはりこれは共済事業としては当然だとは思いますけれども、つまり貸し付け対象者が非常に限定されている。ところが都道府県段階から見ると、この法律によって限定されている対象者だけでは不十分でありますから、もっと広い範囲内でこの類似の融資制度といいますか、それを持っているところに大きな原因があるんじゃないかと思いますね。この辺の調整というのは私もなかなかむずかしいとは思います。この制度の事業本部としては、それ以上枠を簡単に広げるわけにはいかないという事情がありましょうし、それから都道府県側から言わせれば、その人たちが対象になるだけでは、他の大部分を救えないじゃないか、こういうふうな点がありますから、この点は競合の面と制度の違いの面、そういう点でなかなかむずかしいと思いますけれども、私どもから言わせれば、せっかくこういう制度を持っておって、そして半分ぐらいの都道府県しか利用されてないということはきわめて残念でありますので、その点は技術的な問題がありましょうけれども、今後検討課題としてさらに研究をしていただきたいものだ、こういうふうに考えております。  それから、今回の改正の中で、現行の掛金の積み立ての範囲内で貸し付ける、そのほかに共済契約者が疾病、負傷または災害などの原因から特に必要となる経営資金、これを今度は共済金の範囲内で貸し付ける、これは非常にいい改正一つの点なんでありますけれども、しかし、この場合の認定は一体どこでやるのか。結局たとえば商工会などの受託団体がそれを認定するというかっこうになっていくんだろう、こういうふうに思うわけですね。その場合に、特に注意しなければならないと思いますのは、たとえばその対象に当然なり得る人が受託団体の会員でない、そのために公正を欠くような認定になったのでは、この趣旨が生かされないという点を心配するわけです。そういう心配はないんだというふうに簡単に言ってしまえばそうですけれども、地方へ参りますとなかなかそうじゃありませんで、ですから、受託団体があなたは私のところの会員になってないじゃないかというふうなかっこうで、この認定から外されるというような結果になると大変なことになります。その点はひとつ厳正に公平な運営が行われるように指導をすべきではないか、こういうふうに思いますが、その点一言簡潔にお答えいただきたい。
  76. 篠島義明

    ○篠島政府委員 おっしゃる御趣旨に従ってわれわれ最善の努力をしたいというふうに考えております。
  77. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 それから、共済掛金の未納者対策について。これはどこにお聞きをすればよろしいか。事業団の方がいいのですか。具体的にどういう手だてをなさっておるか。この未納者対策についてちょっとお聞きをしておきたいと思います。
  78. 斎藤太一

    ○斎藤参考人 未納者が十二カ月以上滞納がございますと、契約を解除するというようなことになりますので、極力未納をなくしたいというように考えておりまして、年間に四回、未納の方には督促をいたします。  それからもう一つは、銀行の口座振りかえ制度を極力お勧めをいたしまして、未納がないようにいたしたいと考えておるわけでございます。と申しますのは、掛ける時期を忘れておったということで未納になったというケースが非常に多うございますので、そういう掛け忘れがないように、極力銀行口座振りかえの仕組みをお願いするということで、従来は一々銀行に持っていっていただくような仕組みをとっておりましたけれども、そういった口座振りかえを現在普及するようにいたしております。
  79. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 たとえば掛け忘れとかそういう点で未納になっている場合には、いまのような措置を年間四回もおとりになっておれば、これは十分かとも思いますけれども、たとえば相手が小規模事業者ですから、そういう点からいえば単に掛け忘れだけではなくて、資金繰りその他の問題から、どうもやめようかあるいは今回どうにも都合つかないという場合だってやはりあり得る。そういうふうな場合に、事業団が一々これについて指導するわけにはまいらないと思いますけれども、受託団体等を通じて経営安定のための指導、そういうふうなものについて、どのような手だてがそこで行われているか。あるいはそれはもう全然行われてない、事務的にただ四回督促だけだ、こういうふうなのでしょうか。その点どうでしょうか。
  80. 斎藤太一

    ○斎藤参考人 私どものアンケート調査によりますと、掛けるのを滞納するというような事情については、掛け忘れのほかに、お話のように、経営不振等でなかなか掛けられないというようなケースも相当ございます。  そういう場合の対策といたしましては、御承知の契約者貸付制度というものを現在行っておりまして、これは申し込みいただきますと、即日、その日のうちに掛金の範囲内でお貸しをすることにいたしておりますし、それからもう一つ、限度が現在三万円でございますけれども、減額という制度もございまして、三万円掛け続けることが困難になりました場合には、それを二万円にするとか一万円に下げるとか、そういった契約の更改も可能でございますので、なるべくそういったことを御活用いただきまして、契約解除にならないように、これは各種の委託団体を通じましてPRをいたしておるところでございます。
  81. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 共済制度の普及対策、これは先ほど浦野委員質問されておりましたから、私は簡潔に申し上げますけれども、四百七十万の対象者と言われている中で、現在の在籍が百二万、つまり二一・二%だと思うのですね。当初の五十二年から五十六年までの五カ年間の計画では二五%まで持っていきたい、こういう目標であったようであります。つまり百十五万件、それがいま申し上げたような現状で終わっている。ほかにそう有効な共済制度を持っていない小規模事業者でありますから、これはやはりこの共済制度というのは非常に役に立っておると思うのです。  私どもの地方にありまして、たとえば倒産防止共済法などともあわせながら、この制度についてはそれぞれ零細な企業家に対して宣伝もしておりますけれども、なかなかこれが思うような成果が上がっていない。今度また五十七年度から六十一年度までかけて六十五万件、先ほど御答弁がありました。これはぜひとも努力を一層強めて普及対策をやっていただかなければならないのではないか、こういうふうに思うわけであります。  中小企業事業団の共済事業本部でも、商工共済ニュースを毎月出されておるようでありますけれども、私も毎月見ておりますが。これは非常にいい宣伝にはなっていると思いますけれども、この流し方ですね、どういうふうな範囲までどういう手だてで流されているのでしょうか。そのことだけ、時間がありませんから簡潔にお答えいただきたいと思います。
  82. 斎藤太一

    ○斎藤参考人 この加入の勧誘等につきましては、中小企業の商工会、商工会議所あるいは協同組合等の中小企業団体、これが現在五千くらいが私どもの委託団体ということで加入促進の窓口となってやっていただいております。そのほか金融機関が約二万店舗、同じく委託団体になりまして窓口になっております。そういった機関等、それから各種の公共団体等々を通じましてこういったニュースをお届けいたしております。
  83. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 時間が参りましたが、最後に一つだけ、これは簡単で結構ですが、長官と大臣にお伺いをして私の質問を終わりたいと思います。  それは、この法案と直接関係ございませんが、中小企業の定義の改定の問題について、昭和四十八年以降の経済規模の拡大あるいは物価の上昇、これから見まして、一般に資本金額が増加をしているということは否定できない事実だと思うのです。そういう状況の中でも、この定義の改定についてはいろいろな御意見があることは私もわかりますが、基本的に長官としてはこの問題にどういうふうに対処をされようとしておられるのか、あるいは通産大臣からもこのことについて締めくくりに御答弁をいただきたい。これはもう少し時間をとって詳しく聞きたいと思ったのですが、後の機会に譲りますけれども、この機会に一言だけ考え方をお述べいただきたいと思います。
  84. 勝谷保

    勝谷政府委員 最初に私から、中小企業政策審議会のもとで目下検討が行われておりますその状況につきまして、これまでの経緯等につきましてお答え申し上げまして、大臣から御見解を賜ることにしたいと思います。  中小企業の定義につきましては、先生いま御指摘いただきましたように、三十八年の基本法制定の後十年たちました四十八年に資本金規模の引き上げ等が行われて以来改定されておりません。その間の物価上昇等の経済情勢の変化があったわけでございまして、一昨年の十月以来、中小企業政策審議会のもとで定義改定問題小委員会というものを設置いたしております。御検討が続いているわけでございまして、昨年の十二月に経過報告、中間報告が取りまとめられたわけでございます。  この経過報告の中で、定義を引き上げることとした場合の問題点が三つばかり指摘されておりまして、第一は施策対象節囲が広がることによりまして、施策効果が薄められるおそれがあるということでございまして、特に規模の小さい方々から、規模が上の方に行くことによって、このような事態予算規模その他も、政策が急激に拡大しないときに対象が広がることは、政策の密度が薄まっていくのではないかという御批判がございました。  第二は、従来の規制、調整の対象となっておりました紛争等がその対象外となるということでございます。実は、調整問題等々で大企業中小企業の節囲が決まっておるわけでございますが、そこらの境界が上に上がってしまって、いままで親企業と思われたものが中小企業になるというような問題等も生ずるのではないかということで、これも下の方からの反対でございます。  最後には、サービス業、特に旅館業等が最近非常に資本が充実いたしておりますので、この業態が著しく変化しているということで、このままではぐあいが悪いという話等があるわけでございます。  具体的には、中小建設業者あたりが持に百人以下にしてくれというような強い要望もございますし、製造業等の中に一括入れないで別建てにしてくれというお話もございます。旅館業等につきましては、現行の一千万円を五千万ないし三千万にしてくれという具体的な御要望もあるわけでございます。  いずれにいたしましても、なかなか問題は、従業員の人の問題はこのままでいいけれども、物価その他のことを考えれば、資本金は上げるべきだという感じを、私ども中小企業の担当事務レベルとしては基本的には考えておるわけでございますが、先ほどのような二つの問題、さらに最近のような低成長時代における特に規模の小さい人たちからの御要望も無理からぬものがあるわけでございますので、慎重に検討する必要がありますが、そのためには、まずデータを十分に整備する必要がございますので、その勉強を、研究機関その他を通じまして目下集めているというのが実情でございます。
  85. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 中小企業の定義改定問題は、中小企業施策の基本に係る問題でございますから、慎重を期さなければならぬと思っておりますが、ただいま中小企業庁長官から御説明いたしましたように、この問題については目下中政審で審議が進められておりまして問題点もだんだん明らかになってきております。私のところにも早く改定をしてほしいという要望等も出ておるわけでございまして、私としましては、そうした問題点を早く整理をして、できるだけ早くこの問題は結論を出すべきじゃないか、こういうふうに考えておりまして、そういう線でこれから取り組んでまいりたいと存じております。
  86. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 終わります。
  87. 野田毅

    ○野田委員長代理 午後一時に再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時七分休憩      ————◇—————     午後一時七分開議
  88. 渡部恒三

    渡部委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。後藤茂君。
  89. 後藤茂

    ○後藤委員 まず、二法案質問に入る前に、昨日緊急通産局長会議が開かれておりますけれども、そこでの報告を新聞紙上等で拝見をいたしますと、景気の停滞感が大変強まっている、そうした中で、特に地場産業を支える中小企業経営不振が目立っている、このように報告をされているようであります。昨日の緊急通産局長会議における報告なり論議をどのように把握され、これからの中小企業政策に対してどう生かしていくかという点につきまして、最初に大臣にお伺いをいたしたいと思います。     〔委員長退席、梶山委員長代理着席〕
  90. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 昨日全国の通産局長会議を開いたわけですが、これは実に十月−十二月の経済指標を見ますと、経済成長が七年ぶりにマイナスに転じてしまった、こういう状況の中で、特に中小企業設備投資等非常に低調でありまして、このままほっておいたら倒産もふえるのじゃないか。またわが国全体の景気の方も、このままの情勢でいきますと、非常に懸念が出てくる、経済の失速が起こるのじゃないかというふうな感じすら持ったものですから、やはりこれは全国的に中小企業状況がどうなっているのか、あるいは雇用の実態がどうであるのか、あるいはまた住宅の着工の状況地域景気全体の問題等ひとつ精細に総点検をする必要がある。そしてその結果を踏まえて政府の中で対策を講じていかなければならない、こういうふうに考えたものですから、各通産局に指示を出しまして、通産局長会議をやるので、それまでの間にひとつ十分な、徹底的な総点検をしてもらいたいということで調査をいたしました。その結論を踏まえて、きのう会合を開いたわけでございますが、各通産局長とも、みずから各界各層の責任者に直接当たりまして話を聞くとか、あるいは通産局を動員して実態の把握に努めるということで大変な努力をいたしまして、その結果をきのう集約いたしたわけでありますが、全体的な意見としては、とにかく企業で生産、出荷が伸び悩んでおる、収益が悪化をしている、こういうことから企業経営者の先行きに対する懸念が大変強まっておる、このことが設備投資の慎重化とかあるいは雇用の手控え等をもたらす結果になりつつある、こういうような全体的な不安感が出ておるというのが集約した意見でございます。  そういう中にあって、やはり依然として経済の跛行性というものが解消されていない。たとえば公共事業を中心としておる北海道などは、非常に公共事業が横ばいでありますから、経済全体が落ち込んでしまっておる。あるいはまた東京とか関西などにおいても、景気のリード役であるところの加工組み立て企業、これが輸出が不振のために伸び悩んでおる。ですから、非常に順調であった加工組み立て産業にもかげりが出ておる。またそれと同時に基礎素材産業、これは地域に非常に結びついておる企業ですが、この基礎素材産業が御案内のように非常に低迷を続けて、在庫は一巡をしているけれども、しかし需要の不振ということから、やはり経営的に大変な問題が出つつある。特に中小企業につきましては、個人消費の伸び悩みとか景気全体のダウンというふうなこともあって大変収益の悪化が続いておる。そういう中で、現在のところは急激に倒産がふえるという姿にはないのですが、このままで行くと先行き相当な倒産が出てくるのではないか、こういう懸念を各通産局長とも表明をいたしております。  また、雇用ですが、いま日本の雇用関係は非常に安定をしておるのですが、新規採用が定年退職者等の自然減の補充程度に限られるということであって、そういう意味で非常に新規採用者が減ってきている。それから所定外労働時間についても横ばいまたは減少ということで、いわば中小企業にも完全に赤ランプがついたというような意見も多かったわけでございます。  そういうことで、全体の意見としては、このままで放置すれば、日本経済が大変な悪い状況に追い込まれるので、ここでひとつ相当思い切った景気対策をとる必要がある。それは手だてとしては公共事業前倒し、こういうことであろうけれども、この公共事業前倒しは、やはり早く思い切ってこの結論を出してもらいたい。同時に、前倒しだけでなくて、やはりそれではこれから下半期をどうするかということに懸念が結びつくので、下半期の見通しをつけた前倒しを思い切ってやってもらいたい。あるいはまた住宅着工等も、住宅政策を進めるということで大変な期待が出ておるので、そうした住宅着工、建設等もひとつアクセルを踏んでもらいたい。そういう情勢の中で中小企業公共事業あるいは官公需、そういうものにおけるシェアの拡大を図ってもらわないと、中小企業は本当に息切れをしてしまうというふうな要請がこもごも出されたわけでございます。もちろん地域によっては、北海道は公共事業に頼っておる、あるいはまた大阪、関西地区は中小企業の問題が非常に厳しく出ておるとか、あるいは北陸、九州等では基礎素材産業、そういうものが大変不振である。地域的にはそれぞれ特色があるわけですが、全体的にはいま申し上げましたように、全体的に一つの不況ムードということで、経営者に先行きに対する期待感といいますか、迫力といいますか、そういうものがなくなってしまった。そこで何とかしてほしいというのが全般的な空気だということを強く、各局長がこもごも要請をしたわけでございます。私も、そうした要請を踏まえて、これからの日本の経済運営におきまして、五十七年度五・二%という見通しを一応持っておるわけですから、その目標に向かってこれから相当な、やはり公共事業を中心とした景気対策というものを積極的にやっていかなければならない、そういうふうな強い感じを持っておるわけでございます。
  91. 後藤茂

    ○後藤委員 いまのと関連をいたしまして、昨日五十七年度の予算が成立をしたわけでありますが、予算委員会等の論議を聞いておりましても、先ほど大臣もお触れになりました五・二%の成長、これはあくまでもその見通しを目指してやっていくということになっておりますが、予算が成立した段階で改めていまの報告を聞かせていただきましても、どうも民間の各研究機関等が立てております三%台あるいは四%を切るのではないかといったような成長率、こういうことに対してもう一度見直しをしていかなければならない段階に追い込まれているのではないだろうか。先ほど大臣は経済の破行性が回復をしていない、全般的に大変不安感が強い、こういうふうに言っているわけです。とりわけ中小企業の場合は、これはもう内需依存型産業でありますから、したがって五・二%の成長率の中で四・一が内需依存というそのことを、すべて外需を仮にゼロといたしましても、それすら切るのではないだろうかということになってまいりますと、私は中小企業の全般的な不安といいますか、先行きに対する懸念というものは、数字を超えた心配があるだろうというように考えるわけです。政府の方は、公共事業前倒しだとかあるいは住宅投資に対する刺激が中心でありますけれども、その程度の状況で済むのかどうか。これは大臣、これは法案審議の方が中心でありますから簡単で結構でありますけれども、私はその程度では済まないだろうと思う。しかも五・二%の成長の中における四・一%の内需依存、その四・一%の成長さえ大変むずかしいと思う中で、中小企業の問題をこれからどういうように見直しをし、対策考えていくかということを再度お伺いをしておきたい。
  92. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 とにかく中小企業景気をよくしていくためにも、やはり日本全体の内需を振興するというか景気を高めていくことがまず先決ではないだろうか、こういうふうに思うのですが、やはり内需の中の民需で将来に対する一つの明るい見通しを持たせるということは、まず政府がその気になって引っ張っていく、こういうことが一番大事じゃないか。政府がリード役になって、この秋に向けて日本の景気を安定成長の方向へ引っ張っていくんだという方針をはっきり打ち出す、そして具体的にその措置を講じていくということが大事じゃないかと私は思うわけです。ただ政府の場合は、御案内のように、財政がこういう状況ですし、それから金融の面におきましても、御承知のように、金利の大幅引き下げ等はできないような情勢でございまして、まさに手足は縛られたわけで、そういう中でやれるのは、公共事業とかあるいは住宅投資以外にないわけですから、公共事業、住宅投資についてできるだけぎりぎりのところまで上半期に集中してやるんだ、こういうことで引っ張っていくんだ、こういう一つの気構えといいますか、そういうものを出すことが中小企業にも一つの刺激を与える、期待感を持たせるということになっていくわけで、まずそれをやらなければならぬ。同時にまたいろいろとその他の知恵を出して、総合的な経済政策等については、予算も成立したことでございますから、この予算案あるいは財投等を駆使して図っていくということが、これから大事なことであろうと思うわけでございます。まず政府がリード役になってやらぬと、一種の不安感というものはなかなか消えないんじゃないか、不安感から期待感に結びつかないのじゃないか、こういうふうに考えておるわけです。
  93. 後藤茂

    ○後藤委員 いずれ私は経済見通しの見直しに入らざるを得ないのではないかということを心配いたしておりますだけに、いま二点ばかりお伺いをしたわけであります。  そこで、中小企業信用保険法の中身について触れてみたいと思うのですが、エネルギー対策保険の創設が今度なされるわけであります。基礎素材産業もそうでありますし、あるいはエネルギー多消費産業と言われるものの概念が明確でないわけでありますけれども、いずれにいたしましても、エネルギー価格上昇していく場合、大企業の方はある程度価格に転嫁するということが可能かと思いますけれども中小企業はそのことがほとんど不可能に近い。それが経営を大きく圧迫していることは御承知のとおりであります。  そこで、中小企業エネルギー対策というものは一体どう考えていったらいいんだろうか。いまのエネルギー対策保険の点だけをということではなしに、もっと全般的に中小企業エネルギー対策、このことに対してどういうように考えておられるのか、最初に大臣にお伺いをしておきたいと思います。
  94. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 製造業における中小企業のエネルギー消費は、全エネルギー消費の三四%と大きなウエートを占めておる一方、石油情勢は今後とも不安定な要素があることから、中小企業経営の安定的発展を図るためには、中小企業エネルギー対策を強力に推進することはお話しのように非常に必要なことであろうと思います。中小企業における省エネルギーの促進及び代替エネルギー関連の設備投資を促進するために、金融、税制上の措置を講ずるとともに診断指導、技術開発等各般の施策を従来から積極的に実施をいたしておるところでございますが、昭和五十七年度におきましては、以上の施策をさらに一層拡充強化する一方、新たに中小企業信用保険法、いま御提案をしておるこの法律改正して、エネルギー対策保険を創設するとともに、石油代替エネルギー設備投資に対する中小企業金融公庫の貸付金利を大幅に引き下げることといたしておるわけであります。  また、中小企業のエネルギー消費の合理化を円滑に促進するために、関連技術開発への補助金を大幅に増額をいたすなど、中小企業に対するエネルギー対策を抜本的に強化拡充をするということで、いま鋭意進めておるわけでございます。
  95. 後藤茂

    ○後藤委員 長官の方にお伺いをいたしますが、いま大臣の御答弁にもありましたけれども、特に中小企業エネルギー対策として切実に希望しているのは、省エネ型生産設備の導入あるいはエネルギー多消費工程の合理化、さらにはまた製法の転換とかあるいは代替エネルギーの活用など従来の生産体制というものを変えていくという非常に大きな希望を持っている。また石油価格等が、いまは需給緩和をいたしておりますけれども、傾向的にはこれからも上がっていくだろう。先ほど大臣にも御指摘をいたしましたが、中小企業の場合には残念ながら努力をしてもなかなか価格にそれを転嫁するわけにいかぬ。合理化も節約も一定の限界がある。これまでの中小企業エネルギー対策を見ておりますと、ほとんど節約ですね。なるべくエネルギーを使わないようにしていこうとする節約が省エネルギーのすべてだと言っていいと思うのです。私が指摘をしましたように、省エネ型の生産設備を導入していかなければならない、そういう抜本的な対策を講じていくために、いまの制度金融なり税制なりあるいは今度新しく保険も出てくるわけですけれども、こういう制度の活用というものが十分になされていくのかどうか、私は若干心もとないように思うわけでありますけれども、この点、長官、いかがでございましょうか。
  96. 勝谷保

    勝谷政府委員 先生指摘の点につきましては、私どもも常にそういう点を深く憂慮しているところでございます。  先ほど大臣も答弁で申されましたが、製造業の三四%を中小企業で消費をいたしておるわけでありますから、国民経済的にも、将来のエネルギーのことを考えますれば、中小企業分野エネルギー対策は、従来にも増した認識が必要であると考えておりますし、さらに中小企業の中でエネルギー依存度の非常に高い産業が幾つかあるわけでございまして、こういうふうな業種につきましては、近き将来のことを考えますれば、この時点に思いを新たにいたしたエネルギー対策をとることが将来のためにも必要であるということでございまして、先生の御認識は私どもも全く同感でございます。したがいまして、私ども五百八十万の中小企業に対します手段としては、必ずしも十分ということを断言はできませんが、四つの柱で対策を進めてまいっております。  第一は、まず技術開発をいたさなければなりません。中小企業向けの技術を開発いたしますために、国の段階での国立試験研究機関、地方の段階での公設試験研究機関、さらに各中小企業団体または中小企業個人としての進め方等々につきまして、国、地方、各企業団体、それに対して中小企業事業団が新たな開発をいたしまして、これを指導するという方向の仕組みを設けております。この方向での充実が望まれておるところでございまして、五十七年度におきましては、こういう意味では、省エネ技術開発で中小企業事業団に新たな予算を計上いたすことができましたし、代エネ技術開発では地方、中小企業事業団中小企業者自体についても、このような予算を新たに創設することができたわけでございます。  さらに、このような技術を開発いたしましてもこれを十分にこなすソフトウエアの充実が必要でございまして、そのための人材の養成、さらには中小企業個々に対します診断指導、さらには組織化、こういう面におきまして従来も対策をとってまいりましたが、五十七年度におきましては、診断指導の面で、石油代替エネルギー設備の導入指導事業として都道府県に新たな制度を導入することができました。さらに組合関係につきましても、組合等の省エネルギー対策事業を新たに導入することができたわけでございます。しかしながら、基本的には個々の中小企業に対する設備投資を具体的に導入することを促進する必要がございまして、このために金融、税制、信用保険の面での十分な対応が必要でございます。  金融面につきましては、先ほど大臣から御説明ありましたような幾つかの制度を導入しておりますが、ことしは代替エネルギー貸し付けを中小公庫に導入いたしまして、金利においても特別の金利を導入することができたわけでございます。  そのほか、液化石油ガスに対しましても、特別の転換促進貸し付けをいたすことにいたしたわけでございます。  信用保険につきましては、ただいま御審議の方向で、抜本的な新制度を創設するわけでございます。  以上の三つの方向で進めてまいるわけでございますが、これらを個々の五百八十万の中小企業に十分啓蒙普及するための施設も、不十分ではございますが、そのための連絡協議会、さらにはリーフレット、テレビ、ラジオ等を通じていたしておるわけでございまして、体制としては一応そろっているのではないかという気がいたしておりますが、ここらを総合的に、しかも一つ一つの政策を深く、さらには充実したものにしていくための努力をする必要があるというふうに考えておるところでございます。
  97. 後藤茂

    ○後藤委員 価値観が多様化している社会ということが最近言われているわけです。価値観が多様化している社会というのは、一つ一つの価値観が持つ市場というものが小さくなってきている、こういうように私は理解をするわけです。多様化した社会での市場が一つ一つが小さくなっていく場合には、大企業の大量生産、いわゆるスケールメリットというもののメリットが必ずしも機能していかないのではないだろうか。これからの産業構造の中で、これまでのように大企業の規格的な大量生産、大量消費という時代が大きく変わり始めてきている。いわゆる有名ブランド志向から、自分のニーズに応じた商品というものを求めていく傾向になっている。こうなってまいりますと、また中小企業役割りというものが、これまでは経済的に弱い立場というように見ておりましたけれども、非常に大きな政策的ウエートを持ってくるだろうと私は思うのです。  その場合に、えてして思いつきの面は中小企業対策としてはありますけれども、どちらかというと、これを産業構造の中核として位置づけていくよりも、非常に弱いものなんだ、零細なんだ、つぶれてしまいそうなんだ、だから金融的、財政的、税制的に、あるいは保険制度もそうですけれども、助成をしてやろう、補助をしてやろうという意識が私は行政の中においても大変強いように思うわけです。ですから、先ほどもエネルギー対策の中で、特に大きく多様なニーズに対応していく。そしてしかも、一つ一つの市場というものが相対的に小さくなる中で、中小企業の方がより創造性を持ってこれに対応し得る力があるだろう。  ただ残念なのは、資金力が足りない、あるいは信用力が弱いとか、さらに省エネルギーなり代替エネルギーの生産設備導入に対しての意欲はあるけれども、どういうようにしていったらいいかということに対してもう一つ情報不足である、こういった問題があるわけでありますから、私がいま御指摘申し上げたような角度から、特に中小企業庁としては、このエネルギー対策なりあるいは中小企業対策というものをお考えになっているかどうか、これは簡単で結構でございますから、お伺いしておきたい。
  98. 勝谷保

    勝谷政府委員 直接のデータでお答えできませんが、設備投資につきましても、現在では、中小企業設備投資は、先ほど大臣御答弁のように非常に冷え切っておりますが、私ども調査によりますと、中小企業方々設備投資をいたしたいという潜在的な意欲は非常に大きいわけでございます。そこらを考え合わせてみますときに、中小企業の皆さんは、いま先生がおっしゃいましたようなニーズの多様化に対応するためには、さらには発展途上国の追い上げ等々を考えますれば、企業合理化、近代設備、特にエレクトロニクス化等々についての意欲が非常に強いわけでございまして、そういう意味では、中小企業の皆様は既存の設備を導入するとともに、自分たちの生産にマッチした近代設備考え、それを自分たちの企業に導入するという意欲は非常に強いものがあると私も考えております。そのためにも、このような対策をきめ細かく進めていくことが必要であると私ども考えております。
  99. 後藤茂

    ○後藤委員 その点から申し上げますと、たとえばエネルギー診断バス、これは五十六年度の中小企業エネルギー対策のいわば目玉として創設をされたわけでありますけれども対応の中身を見まして、やはり十分に政策的な展望を持った配慮というものがどうも足りないんではないだろうかという気が実はしてならないわけです。しかも資料を見ますと、五十六年十二月から三十県の予算が認められているのに、二十一都府県より実施をされていない。これは政策の徹底が足りなかったという面もあるかもわかりませんけれども、魅力が足りないということはなかっただろうかという気がするわけです。もっと積極的にやるとすれば、この補助率等にいたしましても考えていくべきだろうし、それから五十七年度予算では、これは要求がなされていない。つまり考えたときはどうも思いつき的な面があり過ぎるんではないだろうか。こういうことをしておいたらどうだ、ああいうことをしておいたらどうだということで、政策の一貫性なり二十一世紀へ向けての中小企業の位置づけなり展望というものが欠けていはしないだろうかという心配を私はするわけです。  このエネルギー診断バス等のアイデアは非常にいいと私は思いますけれども、そこに積み込まれていく機器なりあるいは技術指導のための要員等については、まだまだ不十分じゃないかと思います。いかがでしょうか。
  100. 勝谷保

    勝谷政府委員 エネルギー診断バスでございますが、これは各県で一台エネルギー診断のための特別のバスをしつらえまして、赤外線熱画像装置等の各種のエネルギー計測機器を積載いたしましたバスをつくるわけでございます。そしてこの積載機器は、地域産業の実情に合わせまして、エネルギー関連の指導の基礎となる各種のデータの収集が行えるようになっているわけでございます。しかも、これには公設試験研究機関の職員、外部のエネルギー専門家、さらには中小企業総合指導所の診断指導員等がこのバスに搭乗いたしまして、中小企業者の現場を巡回いたしまして、対策について具体的に御相談を申し上げるわけでございますが、中小企業の皆様が現に稼働されております設備につきまして、その機械等の欠点がどういうところにあるか、熱効率のどこをどのようにすればさらに改善ができるか等々を一緒になって研究をするものでございます。したがいまして、この制度はアイデアだけいいのではないかということでございますが、予算上三十県でございましたうちの二十一都府県では、この必要性を認められまして、すでに新しいバスをつくって巡回をされておるわけでございます。したがいまして、まさにこのアイデアに合致するようなニーズと対応の整っております都府県におきましては、現実にそれが進められているというのが実情でございます。  しかしながら、つらつら考えますと、先生指摘のような点では、実はそのために必要なバスの運転手の方の予算が計上されていない点があったではないかとか、さらには都道府県では診断バス以外に独自の立場で現に省エネ・代エネ対策を進めていらっしゃるという制度が先行しているとかというようなこと等がありましたので、現時点では二十一都府県で実施を進めておりますし、これが四カ月予算でございましたので、五十七年度にはその予算を倍増いたしまして、この継続を進めているというのが実情でございます。私どもは、この制度が二十一都府県によって着実に効果あるものとして進められることを期待しておりますし、そのための努力を続けてまいります。そしてこの結果を見て、他の県で、そこらの効果の上に、さらに自分の県でもということになれば、そのための予算は今後追加していくという方向で進めてまいりたいと思うわけでございます。  いずれにいたしましても、先生のおっしゃいました、制度をつくることが精いっぱいで、アイデアだけ出て着実な体制になっていないではないかという御指摘は、私ども肝に銘じまして今後の予算、政策その他に当たっては進めてまいるということにいたしたいと思います。
  101. 後藤茂

    ○後藤委員 エネルギー診断バスを診断しなければならぬようなことにならないように、つくりっ放しで、また二、三年たつと新しいアイデアでこれがどこかに消えていくというようなことのないように、これはぜひ要望をしておきたいと思います。  そこで、もう一つ保険法の改正点であります倒産関連中小企業者範囲拡大ですけれども、これは大変結構だと思うのですけれども、私は一点だけお伺いをしておきたいのは、突発的に生じた事由指定特定地域特定業種指定、こういった指定がなされているのは、私は指定基準というものが非常にむずかしいだろうと思うのです。先ほども渡辺委員の御質問に対してお答えがありましたが、やはり影響範囲だとか、あるいは突発事故の度合い等に基づく指定基準というものは、これはある程度もう用意をされておってしかるべきだろうと思うのです。先ほどの質問に対する答弁をお聞きをしておりますと、若干、現在の指定基準よりも少し緩やかにしていきたいというような答弁であったかと思います。また関連業種に対してどうするかという質問に対しましても、影響の連鎖反応というものは果てしがないので、一定のところでくくっていかなければならないが、十分にカバーしていきたい、こういうような御答弁であったかと思いますけれども、私は、こうした突発的な事由、突発的に発生した災害等指定基準、これは相当長期にわたるようじゃ余り効果はないだろうと思うのです。いままでの冷害だとかあるいは豪雪とかの経緯を見ておりますと、大体四カ月ぐらい過ぎているかと思うのですね、実際に発動されていくのは。あらかじめ行政の方にそうした指定基準というものがあれば、突発的に起こったものに対しても機動的に対応できるだろうと考えるわけでありますけれども、この点はいかがでしょうか。
  102. 杉山弘

    杉山(弘)政府委員 お尋ね指定基準でございますが、指定に当たりましては、先生御存じのように、まず要件か二つ必要でございます。一つは、特定地域内で相当数の中小企業者事業活動影響をしているという要件でございまして、二番目が、中小企業者事業活動経営の不安定というものがどの程度か、著しいということが要件でございます。  最初の要件の数の方につきましては、これは従来私どもが経験しておりますような豪雪冷夏というものにつきましては、最低の場合でも一千件以上ということでございますから、こういったものは当然対象にすることを考えておりまして、先ほど御答弁の中で私が要件を緩和をしたいということを申し上げましたのは、中小企業者事業活動に対する影響の程度でございまして、それは先生さっき御指摘のございましたように、従来の倒産関連中小企業者の場合でございますと、前年の同期に対してどの程度売り上げが落ちているか、前三カ月の売り上げに対して現在どの程度落ちているか、こういうことを実績をベースにして判断をいたすわけでございますが、先生指摘のありましたように、突発的な事故が起こりましたときになるべく早く指定をしようということになりますと、三カ月間の実績をとった上で指定をするということは、タイミングを失するおそれがございますので、その辺は、事故の性質等によりまして、中小企業方々の受ける影響が将来にわたってどの程度継続するか、一種の推定になるわけでございますが、そういったものを前提にして、その推定を含めた影響の度合いというものがどの程度かということを判断してまいりたい。そういう意味におきまして、現実にこれまで起こった被害だけを見るわけではなくて、将来起こり得る被害も含めて判断をしたいという意味において、いままでやっております倒産関連企業の場合の指定基準とは若干緩やかにして考えたいということでございますので、そういう方向で早急に具体的な指定基準をまとめまして、突発的な事由が今後生じましたときにはできるだけ迅速に指定をするようなことで考えたい、かように考えております。
  103. 後藤茂

    ○後藤委員 事は迅速に進められることがこの種の対策としては一番大切でありますので、この点はぜひ要望をしておきたいと思います。  そこで、この法案改正とは直接関係がないわけでありますけれども、海外投資保険制度創設が見送られた経緯等についてお伺いをしてみたいと思うわけであります。     〔梶山委員長代理退席、委員長着席〕 信用保険月報でも、これは小規模企業政策課課長補佐の佐藤さんが論文を書いておられる中に、「海外投資保険制度が見送られたことは、八〇年代に向かって、中小企業といえども経済協力の一環として行うべき海外投資への支援が不可能となったことは誠に残念であろう。」というような論文を書いておられます。それからきょう配られてまいりました中小企業信用保険公庫月報を見ますと、これはそういった指摘がほとんどないのですね。総務課長の宇田川さんがお書きになっておりますけれども、「国際化の推進」というところでは、たくさんの対策が並べられておりますけれども、こういった問題の対策等に対して示唆的な文面が見られないわけでありますけれども、この問題につきまして、まず最初にどのようにお考えになっているか、お伺いをしたいと思います。
  104. 勝谷保

    勝谷政府委員 昭和五十五年度の新政策を打ち出しましたときに、中小企業信用保険法の海外投資保険を要求する動きがございました。そのときには、同時に新技術保険をあわせて要望をいたしたわけでございます。そのときに、私ども基本的には中小企業の海外投資は日本の全体の海外投資の件数において約半数を占めているわけでございます。しかも大企業に比べまして不成功といいますか、うまくいかない例というのが多いわけでございます。しかも一方で発展途上国を含めまして中小企業が進出することにつきましては、大企業の進出と違って現地はさほどの恐怖感もありませんし、むしろ歓迎してくれる面もあるわけでございます。さらに中小企業自体のことを考えますと、今後の国際化の実態に対応いたしまして、中小企業は海外に出ていって国際的な面で中小企業の全体の考え方を決めていくということが必要ではないかという認識を持っておりますので、中小企業の海外投資については、今後も大いに進めるべきであるという考え方を持っております。  したがいまして、種々施策を展開していることは先生指摘のとおりでございますが、この五十五年度におきましては、あわせまして海外投資リスクをカバーするための制度を設けようとしたわけでございますけれども、いかんせん本件につきましては、他の諸施策と違いまして、幾つかの問題点が指摘されているわけでございます。  概略を申し上げましても、出ていく中小企業の市場動向等を判断する能力がほとんどない、したがって、これを協会が審査をするわけですが、しかもその協会が世界的規模での審査能力を持っていないというようなこととか、現地調査をする余力がないとか、債権管理をする手段に乏しいとか、さらにはその程度のことなら、若干それには劣るけれども、既存の海外貿易開発協会等の制度あたりでまず実績を稼いだらどうかという幾つかの議論が展開されたわけでございまして、当時におきましては、新技術企業化保険という方を採用するという手段を講じたわけでございます。  一方、本年度におきましては、新政策で少しも議論してないじゃないかというお話でございますが、今年度におきましても、私どもはこの問題に加えまして、先ほどから申しております新しいエネルギー関係の保険を創設するという方向で対処したわけでございまして、今後も私どもの頭の中にはこの問題は残っておるということでございますが、やり方については、先生指摘のようなやり方にするか、もっといろいろな手段を合わせまして、合わせわざで中小企業の海外投資を促進するというようにするか、今後検討を進めてまいりたいと思うわけでございます。
  105. 後藤茂

    ○後藤委員 大臣、今度の改正にはないわけでありますけれども、先ほど私御指摘しました海外投資保険制度、このことについてどうかという質問をしているわけですけれども、昨年も鈴木総理がASEAN等を訪問され、そして各国からいろいろな要望があるわけですね。その場合、いままでの海外投資等を見ておりますと、大型プロジェクトに傾斜をしている。わが国の、たとえば保険にいたしましてもあるいは融資にいたしましても、それからまた借款等にいたしましても、大体大型プロジェクトに傾斜しているように思うのです。しかし、先ほど長官の御答弁にもありましたように、海外投資の件数で、わが国の海外投資全体の約半分を占めていると言われております。ここでも中小企業役割りというものは見直されていかなければならないのじゃないだろうか。とりわけ貿易摩擦等が日米あるいは日欧等で大きな波紋を投げているわけであります。また東南アジア等においては、やはり植民地的な支配というものに対するいろいろな心配を持っている。その場合に、むしろ積極的に中小企業の海外への技術移転なりあるいは投資なりというものに対してもっと努力をしていくべきではないだろうか。とりわけ中小企業が海外に進出をしていく場合に、信用補完面での問題が大変多い、こう聞いておりますだけに、こうした問題の創設というものが大切だろう。ただ、そうやって中小企業が海外に進出をしていきますと、当然ブーメラン現象というものが起こってくる。こうなると、せっかく中小企業が海外に技術移転なりあるいは協力をしていってみても、その肝心かなめの国内の中小企業がこれまた大きな影響を受けるという心配をする向きがある。そこに二の足を踏むということがこれまであったのではないだろうか。そのことを乗り越えて、信用補完のための制度創設なりあるいは今度は中小企業の海外への投資あるいは技術移転、協力というものに対してもっと制度的に積極的な対策を講じていく必要があるのではないかと私は考えるわけでありますが、大臣、いかがでしょうか。
  106. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 海外投資のリスクの回避につきましては、御承知のように、輸出保険法に基づく海外投資保険及び税制面での海外投資等損失準備金制度等があるわけですが、これは大体大企業が中心であります。そこで中小企業の海外投資を容易ならしめる、これは非常に大事なことだろうと思いますが、その場合も信用力の問題の補完をどういうふうに行うかということであろうと思います。そこで中小企業信用保険法による海外投資保険ということが検討はされたことがあるわけです。先ほどから長官の説明いたしますように、審査能力の問題あるいは担保設定の技術の問題等もありまして、検討はいたしておるということですが、なかなか前へ進んでない。しかし、いま御指摘のように、いま貿易摩擦というのが非常に急をきわめておりまして、こうした貿易摩擦を解消する一手段としても、産業協力というものを積極的に進めていく、海外に対する投資を積極的に進めていくということが、国際的に日本が摩擦なしにこれからの発展というものを確保することができる、こういうふうに思います。  そういう中で、特に開発途上国等に対しては大企業よりは中小企業の進出の方が非常に抵抗感なく受け入れられる面があるわけでございますから、今後日本が国際的責任を果たす意味においても、またこれからの中小企業一つのあり方としても、海外投資を進めていく。それに対する国としてのいろいろな配慮、投資できやすいような配慮というものをやはり考えなければならない、そういうような時期に来ておる、こういうふうに考えております。  ただ、財政面とかいろいろな問題があるものですから、なかなか思うようにいかないわけでございますが、そういうものを乗り越えて、今後通産省としても、積極的にこうした中小企業の海外投資、海外進出ができて、そして国際的な一つの協調の中で発展が続けていけるようにいろいろな面から総合的にこれから取り組んでいくべきだ、こういうふうに思いますし、同感でございますので、そうした方向で努力してみたいと考えております。
  107. 後藤茂

    ○後藤委員 時間が参りましたので、小規模企業共済制度の見直しにつきましては、後の同僚委員に譲りたいと思いますが、重ねて一点だけ。  せっかく中小企業事業団の斎藤理事長もお見えになっておるわけですが、先ほど御指摘いたしました点、中小企業庁においては国際室を設けた、こういうように言っておるわけですし、海外投資アドバイザー制度等も創設された、私はまだ大変みみっちいこういった対応策だろうと思うのです。構造的にいま大きく国際経済の中で動いているその動きをもっと的確にとらえて、大臣からは大変積極的な御答弁もちょうだいをしたわけでありますけれども、たとえば国内における信用保証協会のようなものの国際版的なものも考えられるだろうと思いますし、あるいはこれまで事業団の活動をされておりまして、海外投資あるいは海外進出等を考えていく場合に、どんなニーズを持っているかという経験もお持ちだと思いますので、理事長から最後にその点をお伺いしたいと思います。
  108. 斎藤太一

    ○斎藤参考人 ただいま御指摘ございましたように、最近は、件数で見ますと、海外投資の半分くらいは中小企業の投資になっております。ただ、中小企業の場合には、現地の事前調査等が不十分であったとか情報がよくとらえられていなかったというような事情で失敗をするケースもわりあい多いのでございます。したがいまして、これから海外投資をしようという方々になるべく最近の現地の生の実情をお教えするために、海外投資アドバイザー制度を昨年の九月から発足をさせたわけでございまして、この半年間で約六十件の御相談が参りまして、それぞれに一番適切なアドバイザーを御紹介いたしております。  それからもう一つは、海外投資をしたいけれども、自分の会社に現地に派遣するような適当な者が育っていない、こういう御意見が非常に多うございましたので、私ども中小企業大学校におきまして、昨年度から海外派遣中堅管理者の研修制度というものを設けて発足をいたしております。五十六年度はマレーシア向けに派遣を予定しております中小企業の管理者約二十名を約二カ月間私どもの大学校に入っていただきまして、マレーシアの投資に関する各種の実情、問題点等の研修をいたしたわけでございます。  それからもう一つ要望の多うございますのは、海外投資をする場合の適当なパートナー、合弁の相手を探すのになかなか難渋をする、こういう御意見も多うございますので、それぞれの国別にパートナーのリストアップと申しますか、私どもが推薦できるような合弁相手を一応できるだけ調べまして、それを場合によりましては御紹介する、そういった調査も現在実施をいたしておるところでございます。  そういうふうに、主として私どもの方では、各種の情報の提供、それから研修という面から中小企業の海外投資の円滑化に寄与してまいりたいと考えております。
  109. 後藤茂

    ○後藤委員 終わります。
  110. 渡部恒三

    渡部委員長 中村重光君。
  111. 中村重光

    中村(重)委員 両改正法案については同僚委員から問題点、疑問点についてただしておられるようですから、私はこの問題にも触れますけれども、低成長下における中小企業役割り、これに関連する問題に焦点を当てて、主として通産大臣にお答えをいただくことにいたします。若干はみ出る点もあろうかと思います。  五十六年度の経済成長見通しは、下方修正をしたわけですが、なおかつ景気の落ち込みは非常に厳しい。そういうことで修正の四・一%をさらに大幅に下回るということは確実になったようです。通産大臣の見通しとしてはどの程度におさまりそうですか。
  112. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 五十六年度の経済の実質成長については、当初は四・七%ということでしたが、下方修正をしまして四・一%。ところが十−十二月のマイナス成長、こういう実態から見まして、もうすでに一−三月が終わったわけでございますが、一月、二月の動向から見ますと、全体的に見て四・一%はとうてい不可能であることははっきりしているわけであります。私は、三%前後、ひょっとすると三%を切るような状況になるのではないか、こういうふうに心配をいたしております。
  113. 中村重光

    中村(重)委員 若干甘いんじゃないか。三%前後じゃなくて恐らく三%を割るだろう。いろいろな施策に懸命になっているようですから、そこまでなっておればいいのですけれども、もうすでに新年度に入ったということで、恐らく二・七か八くらいになるのじゃないですか。  そこで、内需、外需、これも内需中心であったのを修正をしているわけですね。これがどの程度になっておるという見通しなのか。それから設備投資であるとか工業生産指数。こうした点について簡単で結構ですから、大体の見通しはどういうところにおさまりそうですか。
  114. 勝谷保

    勝谷政府委員 特に中小企業を中心に申し上げますが、景気回復は大幅なおくれを示しております。大臣から御指摘ございましたように、生産につきましては、中小企業の生産指数は、五十六年十月に景気のかげりが始まる前の五十五年四月の水準に復したわけでございますけれども、その後一進一退を続けておりまして、五十七年に入りましても前月比で一月が〇・二%増の後、二月は、速報でございますが、〇・三%の減となっております。さらに出荷は、前月に比べまして五十六年十二月で〇・六%減、五十七年一月〇・四%減、二月は、速報でございますが、また〇・七%減と、三カ月連続して出荷は減少をしております。こうした中で在庫は、一時五十六年四−六月の九六・一から十二月に八五・五と減少しまして身軽になったわけでございますけれども、五十七年一月になりますと、これが八八・五、二月は九二・四と再び上昇いたしまして、ここらが身もたれ感といいますか、中小企業の景況に対する不安になっておるわけでございます。一方、中小企業製品の輸出の動きをドルベースで見ますと、五十六年十二月以降三カ月連続で前年同月比マイナスを示しております。五十六年十二月が五・六%減、五十七年一月が五・九%減、二月が九・二%減ということでございます。倒産につきましては、五十六年の十−十二月期に千五百件台で推移した後に、五十七年に入りましてからは、一月が千二百三十七件、二月が千二百七十五件、季節的要因もありますが減少はいたしておりますが、一、二月の水準としては史上三番目ということで、依然として警戒を要する水準でございます。  こうした状況を反映いたしまして、政府系中小企業金融機関調査によりますと、中小企業経営者の景況感が五十六年末以来後退いたしまして、非常に悪い状態でございます。ここらの理由につきましては、個人消費が一進一退を続けておるということがございますし、これは中小企業で見ますと、全世帯消費支出、実質で前年同月費で五十六年十二月で〇・六%減、一月が〇・九%増などの内需回復の弱さを背景といたしましても、本年に入りましても依然停滞感が強まっているという状況でございまして、中小企業を担当しております私どもとしては、警戒感を強めているというのが実情でございまして、景気は一進一退、若干先行きについては必ずしもぱっとしない状態であることが数字で言える状況でございます。
  115. 中村重光

    中村(重)委員 質問によるとえらい強気の答弁をするのが政府の常習と言ってもいいぐらいだけれども、弱気の答弁をしなければならぬというほど厳しい。  そこで、通産大臣、いまのような状態だと貿易摩擦による輸出の自主規制ということによって輸出が伸びない。しかも、欧米諸国を初め海外の不況ということで構造的な輸出鈍化、これはなかなか簡単には立ち直りそうにない。さらにまた、内需の面においては個人消費が伸び悩み、住宅も冷え込む、これもどうにもならない。いろいろとあなたも何とかやらなきゃということで大分がんばっているようだが、残念ながら手じまいというような感を免れないと私は思うのですね。こういうことでいくと、日本経済というのは私は失速をすると思う。恐らく五十七年度だって五・二%の下方修正というものを案外早くやらないと、どうにもならぬということになっていくのではないかというように思います。  そうした際に、若干開き直った感があるのだけれども、石油化学業界はアメリカの輸出業者をダンピングの疑いで提訴するということが伝えられているのですが、新聞報道によると、通産省との話し合いをやって、そういうことに踏み切ろうとしておるような印象を受けるのですが、これに対してどこまで話し合いをやっているのですか。
  116. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 石化製品につきましては、アメリカ側から、とにかく日本が障害を設けて、日本の石化業界を守るためにアメリカの石化製品の輸出を妨害しているということをしばしば言われておるわけです。これは私も調べてみたわけですが、日本の石化業界は大変不況ですけれども、しかしアメリカに対して壁を設けておるわけではないので、現在は非常な勢いでアメリカの石化製品が日本に入ってきている、大変な勢いで伸びてきている、ますますいまの日本の石化業界は苦しい状況にある。そこで、石化業界の中から、いまのお話のような、むしろアメリカの輸入に対して規制をすべきであるというふうな意見も出てきておるわけでございますが、今日の貿易摩擦という状況でございますから、そうした手段によって新たな壁をつくるということは、自由貿易を推進しているし、あるいはまた市場の開放を進めようというわれわれの立場からは困るわけでございまして、石化業界そのものの構造的な要因によるところの不況の体質というものは改めていかなきゃならぬということで、いま産構審なんかでいろいろと答申を求めておる段階でございますが、いま私の聞いている範囲では、アメリカに対して何らかの措置をとるというふうなことは、業界の中には意見はあるようですが、まだそこまではまとまっていない、決まっていない、こういうふうに承っております。
  117. 中村重光

    中村(重)委員 一般質問の際に、なお掘り下げていろいろとお尋ねをしてみたいと思います。  大蔵省は来年度から赤字企業に対して課税をするという方針のもとに、具体的な検討作業に入ったと伝えられているのですが、これは中小企業にとっては大変な問題ですね。なかなか大企業のように経理面なんというものはうまく技術的にはやれない。それをそのままやって黒字を出そうとすると、擬装経理をやらなければできないというほど中小企業は非常に深刻なんですが、赤字に対して課税をするということになってくると、クロヨンとかトーゴーサンと言うと大分うまくやっているような印象を受けるんだけれども中小企業は必ずしもそうではないと私は思うのです。大蔵省がこの検討作業に入るということについて、通産大臣はどのような見解をお持ちになっていらっしゃるのですか。
  118. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 大蔵省がどういう考えを持っておるか、私はまだ何もそういう問題については聞いておらないわけでありますが、税制の問題は税制調査会等で検討しなければならぬ課題でありますし、そういう中で、いま中小企業税制を強化しようということになれば、これはいまそれでなくても中小企業全体が非常な不振な状況でございますから、これに対してさらに税制を強化しようということについては、われわれとしてはとうてい賛成することはできない。中小企業を守るためにも、もしこういう試みがあったとしても、これに対しては反対をせざるを得ないと思っております。
  119. 中村重光

    中村(重)委員 通産省は、午前中に同僚委員からの質問もあっているようですが、集中的に実態調査を行っているようですね。通産局長会議も何とかひとつ実態をつかんで対策を講じなければということの一つのあらわれだろうと思っておるのですが、金融、財政、個別業種対策といったいわゆる総合的な景気対策ということを呼びかけていこうとしておるようですが、呼びかけるということは、みずからもこういうことが必要だという具体案というものが当然私は構想されているのだろうと思うのですが、どのようなことをお考えになっていらっしゃるのですか。
  120. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 経済指標が示しておりますように、いま日本経済全体が悪い状況にあるわけですね。このまま放置することはできない、何らかの手を打つべきだ、しかし実態がどうなっておるかということをまずつかまなければならぬ、こういうふうに考えまして、実は全国の通産局に指示をいたしまして、全国のいわゆる経済の実態、中小企業の実情とか住宅建設状況であるとか地域経済の実情であるとかいうものを詳細に調査をさせて、それをきのうの会議でまとめたわけでございますが、各通産局長の意見を総合すると、やはり全体的に生産、出荷が伸び悩む、あるいはまた収益の悪化等から企業経営者の先行きに対する懸念が強まっておって、このことが設備投資の慎重化や雇用の手控え等をもたらす結果となっておる、こういう判断でありました。特に中小企業が悪い。このままでいけば倒産がふえるかもしれない、あるいは雇用に悪い影響が出てくるかもしれない。さらに非常によかった加工組み立て産業も、輸出の不振のためにどうもかげりが出てきておる、基礎素材産業は悪いということで、全体的に余り明るい報告というものはなかったわけでございます。  そういう中で、通産局長の全部の判断は、何らかやはりここで経済運営の中で景気対策に手を打ってもらいたい。しかし、財政がこういう状況でありますし、金利政策も思い切ったことはできない。こういうことになれば、残された手段としてのいま政府が言っておる公共事業前倒し上半期前倒しを思い切ってやってもらいたい。同時にまた、ただ前倒しをやるということだけじゃなくて、それでは下半期をどうするかということについて不安が生じてくるわけだから、前倒しの結果、景気が思うようにいかないというときには、下半期に何らかの手を打つ、こういう一つ保証を持った前倒しを思い切ってやってもらわなければ困る、こういうことが総体的な意見として出たわけであります。  これは公共事業前倒しだけじゃなくて、住宅対策推進であるとか、その他予算が通れば、予算あるいは財投を思い切って機動的に活用した措置を弾力的に進める、こういうことも含んだ総合政策、総合対策というものを何らかやってもらいたいという強い要請がありました。この要請を踏まえて、これから政府全体として決めるわけでございますが、これからの経済運営に対して、私もひとつ何らかの総合対策を実行するように強力に主張してまいりたい、こういうふうに考えております。
  121. 中村重光

    中村(重)委員 いろんな手を打っていかなければならぬ。また関係各省にも呼びかけていかなければならぬ。業界にもそのとおりだ。私はいいことは大いにひとつ政府を激励鞭撻をすることにやぶさかではないのです。場当たりでないように、本当にしっかりした考え方の上に立って取り組んでもらうのでなければ−経済見通しの中にも賃金は六・九%見積もっているのですね。そして公務員の給与は一%しか予算計上してない。やることがでたらめなことばかり。そして混乱を巻き起こす。そのことがいかに大きな損害を行政運営の上に及ぼすのかという反省の上に立って対処していくのでなければならぬと私は思いますから、その点は強く通産大臣に、みずからの所管以外の問題ではありますが、やはり鈴木内閣の中における柱、重要閣僚だから、注意を促しておきたいと思います。  そうした通産省の考え方の一つのあらわれだろうと思うのですが、内需拡大景気回復の大きな柱である住宅産業が御承知のとおり冷え込んでしまっているのですね。十四年ぶりの冷え込みというわけなんで、百十五万戸ということが五十六年度は見通されているわけです。百三十万戸をはるかに下回る、こういうことです。そうした本体の住宅の冷え込みということから、関連産業というのか関連部門というのか、インテリア産業であるとか、こういうものを何とか振興していこう、非常に急成長をやっているのだというので、専門家の資格制度を導入する制度化について産構審の住宅都市産業部会ですか、ここへ諮問をして答申を求めよう、こうしておるようですが、相当これは具体化しているのですか。そしてこれは法律事項としてやっていこうというお考え方ですか。どなたがお答えになるのですか、これは。
  122. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 住宅産業、これは建設省を中心として住宅建設をやるわけですが、しかし関連の産業が非常に多いわけですし、またこれは景気の目玉ですから、通産省としても、この住宅産業の発展というものに対しては非常に注目をいたしております。通産省としての立場からの政策を進めていかなければならぬということで、産構審等にも住宅産業についての推進策についての検討をお願いしている、こういうふうに聞いておるわけですが、結論等についてはまだ報告を受けておりません。
  123. 中村重光

    中村(重)委員 資格の制度化という形になってくると、これは建設省その他関係省との問題でまたいろいろとトラブルが起こって、縄張り争いみたいなことになりかねない。そういうことで、せっかくいいのがなかなか先に進まないということにもなりかねないのですが、建設省はこうしたインテリア産業といったような住宅関連の問題については、これは所管としてはどっちだというお考え方ですか。
  124. 梶原拓

    ○梶原政府委員 両省に相またがる部分がございますので、協議して進めておるところでございます。
  125. 中村重光

    中村(重)委員 うまくやってくださいよ、縄張り争いなんということにならないように。  それから通産大臣、個人消費に対する中小企業の依存度というものは非常に高いわけですね。個人消費の依存度が高い中小企業対策という立場から、個人消費を高めるための重要課題というものは、ずばり言って何が一番大切だとお思いですか。何か禅問答みたいになるから私から申し上げるけれども、所得税減税であるとかあるいは春闘の賃上げの動向、こういうものは最も重要な問題として通産大臣も関心をお持ちになって見守っておられるだろう、あるいはいろいろと物を言っておるのだろうと私は思うのですが、いかがですか。
  126. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 もちろん中小企業が安定をしていくためにも、個人消費というものを拡大していくということが非常に大きい要素であることは間違いはないわけでございます。個人消費を高めるためには全体の景気をよくしなければならぬ。同時にまた、いまお話しのように、減税等が行われて可処分所得が拡大をしていくということは大変結構なことでございますが、しかし減税問題は、御承知のように大変大きな政治課題であります。いまこれから国会の中でも、五十六年度の減税問題をめぐって論議がされるということでありますから、これをわれわれとしては見守っていきたい、こういうふうに思っております。  春闘の問題もあります。しかし、春闘のいわゆる賃金については、労使が話し合いで決めるわけですから、政府がいたずらに介入することは避けなければならぬ、こういうふうに考えております。
  127. 中村重光

    中村(重)委員 それは労使の問題として本当に政府が介入しないというようなことをやっておるのならいいのだけれども、水面下においてじゃんじゃん、水面下だけじゃなくて踊り上がって介入をして、牽制これ努めているでしょう。恐らく河本さんも高目のベアなんということを言ってずいぶん袋だたきを閣議なんかで受けたんじゃないかなという感じも受けるのだけれども、河本さんはきょうは来ておらぬから尋ねようもないのだけれども、ともかく財界の指導者が賃金を低く抑えればよろしいというような考え方、そんなでたらめな考え方というのはないと思うのですよ。ただ上げさえすればよろしいということであってはならぬね、コストインフレということにもなりかねないのだから。しかしながら、こんなに個人消費が落ち込み、住宅も建たないというのは、土地政策がないこともそうですけれども、所得と住宅価格の乖離があるから住宅は建たないのですよ。景気対策としては個人消費を高めなければならない。住宅の建設も促進しなければならぬ。そのことはまともなことを言っておるのだ。ところがやっておることは逆なことばかりやっておる。これで手詰まりになるのはあたりまえというふうに私は思うのです。だから通産大臣としても、この財界人の賃金をただ抑えさえすればよろしいというような無責任な態度というものには十分関心を持ち、いろいろなことで物を言うということは、これは機会があるわけだから、あなたがそういうような、こうあるべきだというような考え方を持たなければ、産業の振興、景気の回復もあり得ないと思うのです。ましてや中小企業に活力を与えるという面から考えてもらわなければならないことは、五人以下の零細企業はどういう状態にあると思いますか。最低賃金を守っていない、最低賃金より低い、これはもう相当数に及んでいるのです。これは基準法違反であるといって文句も言いたい、言いたいけれども、言えば首にされる、だから唇をかみしめているのが実態です。大企業中小企業との賃金格差、こういった問題をただ単なる賃金の問題ということで片づけてはいけないと私は思う。日本経済をどうするのか。低成長時代における政府が言うところの外需依存から内需依存に転換をしていかなければならないということは至上命題なんです。そのためにはどうするのかということを、真剣にまじめに考えていくということでなければいけないんだと私は思います。私の主張は偏見でしょうか。いかがです。
  128. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 確かにいまの状況から見ますれば、何としても内需を高めていくことに最大の力点を置かなければならない。そういう中で、減税問題は国会でこれから論議されるわけですが、いま政府がやろうとしておりますのは、何としても景気を高める一つ手段として、公共事業の思い切った前倒しを中心にして景気にてこ入れをしよう、こういうことで七五%以上ということになっておりますが、これをどこまで高めることができるかということについて、これから詰めるわけでございますが、とにかくやはり景気をよくしなければならない、景気がよくならなければ中小企業がよくならないわけですから、個人消費も伸びていかないわけですから、景気をよくしていかなければならぬということについて全く同感であります。そういう中で政府考えており、やろうとしておることは、いま申し上げたようなことに積極的に取り組んでいきたい、こういうことであります。
  129. 中村重光

    中村(重)委員 労働省からもお見えですが、いま通産大臣との間に私が質疑を交わした、問題点を指摘をしたわけですが、実態は、私が申し上げたように、職安法違反であるとかあるいは基準法違反であるとか、そんなことは公々然として行われている。ところが実際は、今日の雇用事情といったようなことから労働者も何にも言えないというのが実情です。これらの問題について労働省はどのような関心を持ち、どういう指導をしていらっしゃるのですか。
  130. 逆瀬川潔

    ○逆瀬川説明員 中小企業の賃金の改善が最近おくれているということについて御指摘のとおりでございますが、労働省としては、多様な中小企業対策実施するということを通じて中小企業の基盤の強化を図っていくということが重要であると考えておりますが、特に最近中小企業の賃金上昇率が低いということにつきましては、ただいま御議論がございましたように、景気の回復がおくれている、特に中小企業経営状況の改善がおくれているというところに大きな原因があると思われるわけでありまして、景気の回復を図るということが、ひいては中小企業の労働者の賃金の改善にもつながる、このように考えております。
  131. 中村重光

    中村(重)委員 厚生省からもお見えですが、日本経済は大きく構造変化をしている。したがって零細企業というものが非常にふえてきているわけなんですが、五人以下の零細企業には、依然として社会保険というものが適用されていない。それで中小企業に魅力を感じないで労働者が集まらない。そして中高年の労働者、そのことが活動の面において、あるいは賃金コストの面において中小企業というものを非常に痛めつけておる、こういう実態なんですが、厚生省は、いまの零細企業に対する指摘をいたしましたような問題、あるいは身体障害者というもの、これは労働省からも関連をしますからお答えをいただきますが、身体障害者は職安を通じて雇用していくのでないと、縁故採用の場合においては、職場環境というものに必要な助成措置というものもなかなか講じられない。それから適用除外ということによって、最低賃金というものを下回るのは当然だというような扱いに実はなっている。ところが身体障害者を雇用するというのは、大企業はお行儀が非常に悪い。納付金制度で金を納めさえすれば雇わなくたっていいのだというようなそういう態度だ。身体障害者を雇用するというような傾向は、サービス業、ほとんど中小企業というものに偏っておるというようなことなんです。したがって、身体障害者雇用に対しては、格段の措置というものを通産省を含めて真剣に考えていかなければいけないのである。問題点をずっと除去していくというようなことでなければならない。私が指摘をいたしましたような点もしかりである。いわゆる賃金の問題、それから縁故採用の問題、それを差別をしてはいけない。身体障害者というのは縁故採用という形でいかなければなかなか働き口というのを見出すことはできないのですよ。職安を通じての採用の場合は、たとえば一人の重度障害者を雇い入れると十万円の助成があるとか、あるいら十五人を採用すると、クリーニング業であれば最高七千五百万の助成があるとか、いろいろ業種によって助成措置が講じられている。そういう助成措置というものに魅力を持って身体障害者を雇用するという形。ところが軽度の身体障害者には、そういうような助成の道が雇用しても講じられていない。だから軽度の身障者の方が雇用機会というものは少ない。そういうことが実態なんですが、これらの点に対してどのような対策を立てていかなければならないとお考えになっていらっしゃるか。
  132. 廣見和夫

    ○廣見説明員 お答え申し上げます。  身体障害者の雇用につきましては、いま先生からお話のございましたように、労働省といたしましては、いろいろの助成金制度を使いまして、その雇用促進に努めておるところでございます。ただ、制度間の横並びの問題もございまして、たとえば雇用していただいた場合に給付金を事業主の方に差し上げる、こういったような制度が幾つかあるわけでございますが、安定所にお見えになる求職者の方々は大変就職のむずかしい方が多いわけでございます。それで、こういう方に対する綿密な職業相談であるとかあるいは職業指導、あるいは雇用された後職場定着指導をするということを一貫して行う必要がございますので、安定所にお見えになって、安定所の紹介によって就職した方について給付金を事業主の方に差し上げる、こういう制度がございます。そういう制度の横並びで身体障害者の給付金につきましても、一部そういうような形をとっているものもございますけれども、それ以外の助成金、たとえば身体障害者を雇用して作業施設を改善するといったような作業施設設置等助成金につきましては、安定所の紹介であるかないかにかかわらず助成金を差し上げる。あるいはまた重度障害者等特別雇用管理助成金というのがございます。これも、重度障害者を雇っていただいて特別の雇用管理をする、たとえば住宅の配慮をする、あるいは通勤のための手当をする、こういったような場合に助成金を支給いたしますが、この場合も特に安定所の紹介ということに限っておりません。  それから、特に中小企業に対する配慮といたしまして、たとえば特定求職者雇用開発助成金というものがございますが、これなども、障害者等を雇っていただいた場合には、通常の場合は賃金の四分の一を助成するということになっておりますが、中小企業の場合は三分の一にするということで、特段その助成率を高めて格段の配慮を行っております。こういうようなことで、私どもといたしましては助成金制度でそれぞれきめ細かに配慮をいたしておるつもりでございますが、こういうものを活用しまして、さらに格段の障害者の方々の雇用の促進を図ってまいりたい、このように考えております。
  133. 逆瀬川潔

    ○逆瀬川説明員 最低賃金の心身障害者に対する適用除外の問題でございますが、最低賃金は、原則として心身障害者でありましても適用されるわけでありますが、ただ心身障害者の能力が著しく低い場合には、画一的に最低賃金を適用いたしますとかえって雇用の機会を狭めるということが考えられますので、最低賃金法の第八条におきまして、都道府県の労働基準局長の許可を条件として適用除外を認めておるところでございます。しかし、この許可に当たりましては、その障害の程度と作業の実態等を個別的に十分調査した上で、心身障害者の保護に欠けることのないように慎重に行っているところでございます。今後ともこういった趣旨を十分配慮して運用してまいりたいと考えております。
  134. 中村重光

    中村(重)委員 それで、あなたの方ではそういうことで一つ制度化してこうなっているんだというお答えなんだから、それが間違いだと私は言わない。それが実態はどうかということを考えないんです。あなた方は、何か書いているものだけでそのとおり行われているというふうに思うから、そういう答弁になる。私どもは実態をつかんでいる。先ほどの縁故採用の問題だって、これは安定所を通ずる場合と縁故採用とは区別はありません。もちろん安定所を通ずる場合は、数人という複数で雇用するという場合が非常に多い。縁故採用の場合は、一人一人が行って縁故採用という形になる。そういう場合、たとえば職場環境、車イスで作業するといったようなそういう環境をよくするための資金というのが出されているのかということになってくると、そうはなかなかいっていない。助成措置もしかり。実態はあたな方が言われるようになっていないから、私は声を犬にしてその点を強調しているわけなんです。国際障害者年というのが、これは昨年であったが、それだけではなくて、あれは元年である。これから先は本当に検討を加えて実りあるものにしていかなければならないという考え方の上に立っておられるであろうことは私は疑わないんだけれども、実態把握に努める、そして適切な措置を講ずるということでなければいけないのだ。実態はそうなっていないのだということを強調しておきたいというように思います。時間の関係がありますから、この点に対する再質問は行いません。  それから労働省に、先ほど触れましたように、若年労働者というのが中小企業に集まらない。それはなぜかということで先ほど触れました。いわゆる退職金の問題等々あります。ありますが、これとても中小企業従業者の退職金共済制度というものがあるんだというお答えになるだろうと思う。あるにはある。あるけれども、なぜこれに対して加入する企業が少ないのか、対象となるところの従業員が少ないのかということになってくると、魅力がないからだ。国の助成措置というものも非常に少ない。そしてまた民間企業年金なんというものが非常に活発に行われている。これに押しやられて影をひそめるというようなことも私はあり得ると思う。これに取り組む者の情熱不足という点もある。それから、もっとこの制度の改善をして、国の助成というものを強めて魅力あるものにしなければならないという点についても欠けているところがあるんだ、こう思っているのですが、これらに対してどのような改善措置を講じていこうとお考えになっていらっしゃるのか。
  135. 石岡慎太郎

    ○石岡説明員 中小企業の退職金共済制度は、中小企業における退職金制度の普及に相当の役割りを果たしていると思っておりますが、本制度の掛金、退職金の額等、制度の改善は、法律上五年ごとに見直すことと相なっております。これまでのこの規定によりまして、全体の民間企業の退職金の制度の動向等を調査把握いたしまして、逐次その改善に努めてきたところでございます。最近では五十五年に制度改善を行いましたけれども、このときにおきましては、最低掛金月額の引き上げとそれに伴う退職金給付に対する国庫補助の増額を行うほか、かねてから強い要望もございました掛金月額増額の場合の掛け捨ての解消あるいは過去勤務期間通算制度の新設、退職金カーブの改善等中小企業退職金共済制度をより魅力あるものに直す措置を講じてきたところでございます。今後とも民間企業におきます退職金制度の動向等にらみながら一層の改善を図ってまいりたいと思っております。  また、御指摘のとおり、中退制度の加入状況を見ますと、特に小規模の中小企業の加入が少ない点が見られますので、私どもといたしましては、五カ年計画を策定いたしまして、具体的に申しますと、たとえが毎年十月の加入促進月間に全国的、集中的な加入促進運動を展開するとか、あるいはまたラジオ、テレビ、新聞その他のPRを行うとか、あるいは業界に直接加入促進を働きかけるとか等々の活動を通じまして、中小企業なかんずく零細企業の加入を今後大いに促進してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  136. 中村重光

    中村(重)委員 建設省からもお見えですが、中小建設業の倒産というのが一番高いのですね。これは中小企業に対しての発注の問題ということでもっと工夫をしてもらわなければいけない。どうして仕事を確保するか。官公需の確保の問題もありますし、いろいろと指名のあり方というものもありましょうし、いま談合問題というのが非常にやかましく言われているんだけれども、私は中小建設業者の場合には必要悪であるという考え方を持っているんです。大手は目に余るものがあります。私は事実を承知をしているわけですからこう申し上げるわけですが、中小建設事業者は無数に多い。順番を待っておってはなかなか来ない。だからして貸しをつくらないと、指名を受けても落札の機会というものは与えられない。だからしてどうしてもそういう談合というものによっていつか最も近い日に仕事をもらわなければならないというような形になって、大手の場合のように、仕事をもらいさえすれば、仕事を確保するためにといったような実に図太い談合というものをやっているのではないということだけは事実問題として申し上げておきたいと思うのです。  その問題はおくといたしまして、触れましたように、関連工事に対する分離発注というものは、大体そういう方向に進んではおるようでありますけれども、もっと思い切ってこの分離発注を確保していくのでなければならない。それからこれは通産省の関係もしかりでありますが、中小企業の受注確保、官公需の受注確保、これにはもっと積極的な取り組みが必要であろうというように考えます。これらの点に対する考え方をひとつそれぞれお聞かせをいただきたい。
  137. 梶原拓

    ○梶原政府委員 まず分割発注でございますが、建設省の直轄工事について申し上げますと、五十年から五十五年度を比較いたしまして、実質の工事ベースで見ますと、五十年度が一件当たりの工事価格が三千百四十万でございました。五十五年度が二千七百四十万でございまして、約四百万円、一件当たりの価格が落ち込んでおります。これはつまり一件当たりの工事価格が減っておるということでございまして、裏返しますと、分割発注の推進によりまして契約件数が実質的に増大しているということでございまして、私ども毎年度機会あるごとに事務次官通達等で分割発注の徹底を図っておりますが、これが実を上げてきているというふうに考えております。  それから、全体の建設省、公団を含めました関係の事業について、実績が出ております五十五年度について申し上げますと、全体の目標が中小企業の受注三四・三%の目標のところ、実績が三五・一%ということでございます。工事について申し上げますと、目標が三〇・五のところ実績が三〇・七%ということでございまして、中小企業の受注の機会の確保につきまして指導の実が上がってきているというふうに考えております。
  138. 中村重光

    中村(重)委員 それでは、時間がもう残り少なくなりましたから、信用補完の問題に入ってまいりたいというふうに思います。  斎藤理事長お待ちいただいておりますが、この高度化資金、特別高度化資金の融資ですが、御承知のとおり高度化資金というのは製造業、流通業、主として団地ですね、そういうものが中心になっているわけですし、生鮮食料品の俗に言う市場、これも対象にはなっている。ところが特別高度化資金というのは、これまたアーケードであるとか駐車場であるとか街路灯であるとかいうものに限っているということですけれども、いずれにしても魅力ある制度なんですね。ところが、いまエネルギーの信用補完の保険制度というものが実はできた。このこと等お考えいただいて、エネルギー関係に対して、たとえば導管供給であるとかいろいろあるわけですが、そうしたものに高度化資金を何か考える。いまの制度も相当長くなりました。日本経済も構造変化を来しているわけです。だからやはりその時代に適応する対象というものを考えなければいけない、そのように思うのです。下手にこれをいらおうとすると、この制度は目くじらを立てて大蔵省から見ると余り歓迎をしていない。しかし政府全体ということから考えてみると、できるだけこうした必要なものには制度を改めて、対象を広げてやっていくということが適当であろう、そのように思います。これは、扱ってきておられる事業団理事長としての考え方はいかがですか。
  139. 斎藤太一

    ○斎藤参考人 省エネルギー問題は、エネルギーコストの高騰に伴いまして、経理面からも中小企業にとりまして大変大きな課題になってまいっております。そこで極力省エネルギー設備中小企業に導入してもらいますために、高度化資金の面におきましても昨年度から新しい制度を設けたところでございます。  先生御承知のように、従来工場団地等の場合に高度化資金の融資の対象になっておりますのは、土地とその上に建てます建屋だけでございまして、中に入れます設備につきましては、一般の金融機関あるいは政府系金融機関等から融資を受ける、こういうような仕組みで運用いたしておりましたけれども、特に省エネルギーに資するような生産設備につきましては、五十六年度から組合を通じまして、設備リースという仕組みにおきまして、個々の企業が実際上導入いたします省エネルギー設備も高度化資金対象になれるように仕組みを改善いたしたところでございます。まだ昨年度から始めたばかりでございますので、昨年度のそれによります融資実績は十億未満でございますけれども、大変に中小企業の関心は高うございまして、五十七年度には、この省エネルギー設備リース制度が相当活発に活用されるのではないかというふうに期待をいたしておるところでございます。
  140. 中村重光

    中村(重)委員 時間がありませんから、またいずれ御出席をいただいてお尋ねすることにいたしましょう。  この信用保険公庫の累積赤字はどのくらいになっているのですか。保証協会の代弁の問題を含めてお聞かせください。
  141. 杉山弘

    杉山(弘)政府委員 お答えいたします。  五十一年度から五十五年度までの五年間をとってみますと、約二千億円弱保険収支面で赤字を生じております。
  142. 中村重光

    中村(重)委員 大蔵省は保険公庫に対して、代弁が非常にふえてきたということもあり、あるいは保険制度充実を期していかなければならないといったような考え方等いろいろ指導しておられると思うのですが、大蔵省として保険公庫であるとかあるいは各保険協会に対する重点施策と申しましょうか、これに対して指導をやっておられることはどういうことですか。
  143. 大須敏生

    ○大須説明員 お答え申し上げます。  ただいまの先生の御質問は、大蔵省が特に信用補完制度の関係者に対して指導しておるかというお尋ねでございますけれども、実はただいま中小企業庁の方からお答えいただきましたような保険収支の赤字問題がございます。その関係で、昨年九月に中小企業庁長官と私どもの局長と共同で、信用保険公庫、それから各保証協会、関係都道府県知事、それと民間金融機関政府関係機関等にお願いをしたわけでございます。これはただいまの保険収支の悪化に対処するために、現在の制度の運用をもう少し改善したいということでございまして、たとえば私どもは直接は民間金融機関に対する指導というところを行ったわけでございますけれども、その内容を申しますと、保険収支が悪化いたしますのは、非常に代位弁済がふえるということでございますが、その代位弁済に至る前に、もう少し保証協会相談をして、たとえば融資条件の変更に合意するとか、代位弁済に至らないような手続をよくしてくださいとか、あるいは実際に債務保証がつくのであるから、融資対象に対する審査が甘くなってはいけないというようなこともございまして、民間金融機関が債務保証つきの融資を行う場合においても、事前審査等に十分力を尽くしてもらいたいとか、そういうような趣旨で信用補完制度に取り組む姿勢をもう少し厳正にやっていただく、そういうことによって代弁が非常に大きくなることを防ごうではないか、こういうような趣旨をお願いしたわけでございます。
  144. 中村重光

    中村(重)委員 あなたの方は適正保証と早期回収、こういうことで保険公庫あるいは保証協会を指導しておられると思う。いまのあなたの答弁の中からも、代弁が非常に多いからということのお答えがあったわけですね。代弁はないにこしたことはない。しかし、代弁があるということは私は避けられないと思うのです。大体保証協会信用補完制度というものを生み出したときは、社会政策ということで発足をしたわけです。赤字は当然予想していた。ところがあなたの方はできるだけ代弁を避けようということで、各保証協会によって違うのだけれども保証枠を五十倍程度で抑えていこう、こうしておられる。適正保証、早期回収ということで代弁を避ける、できるだけ召し上げていこうという形になってくると、いまの制度金融というものは、たとえば倒産関連であるとか特定不況であるとか、こういうものが代弁が非常に多いということです。保証協会は余り大蔵省からやかましく言われると、そっちの方も手かげんをしなければならぬということになる。  それから、特定の団体というのか地域というのか、私は固有名詞を挙げて言いたくはないのだけれども特定の階層と言った方がいいのかな、そういうものに対する保証が非常に多い。大分県なんかを考えてみてごらんなさい、四十億くらいの代弁がなされているでしょう。それらのこと等お考えになってみると、いまお答えになったような、ただ代弁が多いからできるだけ適正保証、早期回収をしようということに重点を置き過ぎると、肝心な保証をしてもらわなければならない零細企業が締め出されて、信用力のあるそういう企業に、銀行というものは、保証してさえもらっておったら一〇〇%危険負担がないわけだから、そういうものに保証を求めていくということになる。資金的には限度がある。そういうことになって、本来の信用補完制度というものがねじ曲げられてくるという形になりかねないと私は思う。これらのことに対してどのようなお考えをお持ちになるのか、お聞かせをいただきたい。
  145. 大須敏生

    ○大須説明員 お答え申し上げます。  ただいま私の答弁の中に若干代弁に関する御説明がありましたものですから、その点、大蔵省が非常に神経質になっておるかというような御印象をあるいはお持ちになったかもしれませんが、そういうことではないつもりなのでございます。ただいま先生の御指摘がございましたように、この信用補完制度というものは、社会政策という面も持っておるのではないかということ、そのとおりの御指摘だろうと存じますが、他方、保険という一つ考え方に基づきまして、全体の借り入れ希望者から保証料を取ったり、それが保険料となって公庫の方に納められる、そういう保険のシステムを使っておるというようなところも他方考え合わせなければならない問題でございまして、ただいま直ちに保険料とか保証料とかいう問題が具体化しているわけでは決してございませんけれども、融資を受ける人たちが保険料、保証料という形で負担をして、その中で全体で相互に救済をしていくというような発想がどうしてもあるのではないかと思うわけでございます。でございますから、ただいま先生から御指摘いただきましたような特定地域の、あるいは特定の人々のグループについて大きな問題が生じておるというその地域の特殊性とかいう問題は、私どもは十分検討し、勘案して、保証協会に対する指導あるいはお願いということをしておるつもりでございますが、他方、ただいま中小企業庁の方から御答弁いただきましたような保険収支の累積赤字という問題、これも国庫財政の重要な一部分というふうに私どもとしても考えざるを得ないところがございますので、先生のおっしゃったような問題にも十分注意を払いながら保険収支の問題に取り組んでいきたい、かように考えている次第でございます。
  146. 中村重光

    中村(重)委員 先ほど申し上げたように、保証対象、これは原資も石油・石特会計から出てはきているものの、対象となるものが非常にふえてきておる。いろいろな制度融資、これは絶対保証協会保証つきでなければならないというものもある。地方の制度金融の場合もしかりである。だけれども、今日、中小企業倒産は、異常というほど倒産が非常に高い。したがって、保証協会の代弁というものも避けられない。ところが代弁に対しては準備基金というものがあるから、今度この準備基金というものをふやしたい、ふやしたのはそのためだというふうなお答えがあるかもしれない。しかし、保証能力を強化をしていくというためには、融資基金というものはふやさなければならない。融資基金は昨年度よりも落ち込んでおる。五十六年度よりも五十七年度は落ち込んでいる。これは、私は現実遊離であるということを指摘したいわけです。  この二点に対する考え方もお聞かせいただきたいし、さらにまた、風俗営業というものは依然として保証協会保証対象になっていない。国民金融公庫は対象になっている。環衛公庫もしかりである。同じ国の金を使うのだから、風俗営業を保証協会だけが保証対象から締め出すということはいかがなものであろうかということを指摘をいたしておきたいと思います。  それから、営業いたしまして一年をしなければ、これは保証というものはしないのだというようなことをたてまえにして保証しない傾向もある。果たしてそれは現実的であろうか。いつまでたっても金のない者は独立もできないという実態もあるということをお考えにならなければいけない。これは大丈夫だということであるならば、もっと弾力的に対応していくということでなければならないというような点等指摘をいたしておきたいと思います。  まだエネルギーの問題をいろいろお尋ねしたいわけでありますし、それから中小企業の承継税制の問題もお尋ねしたいのですが、時間が参りましたから、御出席をいただいて非常に恐縮でございましたが、これはまた他日お尋ねをいたしたいと思います。  以上申し上げた点についてお聞かせをいただきたい。
  147. 杉山弘

    杉山(弘)政府委員 ただいま先生から御指摘のございましたように、五十七年度におきましては、信用保険公庫に対する出資のうち、いわゆる信用保証協会に回ります融資基金が前年度より減額になっておりますが、これは先ほど私御答弁申し上げました、最近の保険収支の状況にかんがみますと、保険公庫に対する出資のうち、準備基金の方を増額いたしませんと、むしろ保証協会に対する保険金の支払い等にも事を欠くというような事態にもなりかねませんので、やむを得ず六百二十五億円の保険公庫に対する出資のうち、まず保険金の支払いに充てられます準備基金を増額し、融資基金については前年度より減額せざるを得なかった、こういう事情がございます。  ただ、先生おっしゃるように、保証つき融資を増額するために融資基金をふやすということはもとより必要なことでございまして、これは先ほど大蔵省かち御答弁ございましたが、保険公庫の収支問題についてできるだけ適正化、改善を、制度改善に至らない段階でやってまいりたいというふうに考えておりますので、その実が逐次上がってくるものと考えられますので、五十八年度以降の予算要求の段階におきましては十分考慮をさせていただきたい、かように考えます。  それから、保険公庫対象になっております業種が、中小企業金融公庫等政府関係金融機関対象業種と一部差異があるのではないかという御指摘でございますが、確かに現状におきましては、一部業種につきましてそのような実態がございます。むしろ私どもは、どちらかと申しますと、信用保証を通じて民間資金の導入を図るという一つの方向と、政府関係金融機関から直接資金をお貸しするという直接金融の方法と二通り中小企業金融はございますが、この二つの面で対象業種が違っているというのはなかなか説明のつきにくい問題だとも思いますので、この点につきましては、来年度以降の問題として十分考慮をさせていただきたいと思います。  それから、最後に御指摘がございました、開業一年後でないと保証をしないというようなことでございますが、これは多分無担保、無保証の、先生御存じの特別小口保険の問題かと思いますが、それ以外の問題については、私どもそういう事実を承知いたしておりませんので、もしそういう事実がございましたら、しかるべく指導をいたしてまいりたい、かように考えます。
  148. 中村重光

    中村(重)委員 恐縮ですが、信用保険公庫総裁もお見えでしょうから……。これは運用の問題にもなるのだろうけれども、開業してもその期間が短いというゆえをもって保証しないという形があることは事実なのです。そういうことであってはいけないと言うのです。やはり弾力的に対処していく。そうしないと、いつまでたっても資金がない者は開業できないという形になりかねないということ。それから国民金融公庫とか商工中金とかそういう政府機関が融資をするのにかかわらず、保証協会がこの風俗営業に保証しないということは、明らかに矛盾じゃありませんか。風俗営業というものは、何もいかがわしいものを風俗営業と言うんじゃないんですよ。こういう現実遊離なことをいつまでほうっておくのです。これは明らかに矛盾です。これは、総裁は現場でみずからやっておられるという経験の中から、こういうこともひとつお答えをいただきたい。中小企業庁としては、やろうというわけだから、検討するということだから、そのことはやる、改めようという考え方だと私は受けとめておきますが、いかがですか。
  149. 谷敷寛

    谷敷説明員 お答え申し上げます。  まず最初の点の、一年間営業していないと保証を受け付けないのじゃないかという点につきましては、全部がそうなっておるわけではございませんで、保証のうちの特別小口保証と申します数年前にできました一口最高三百万円、あの分だけが一年間の実績を必要とするということでやっておりまして、そのほかの分はそういう制限はございません。  それから第二の風俗営業の点につきましては、実情は米飯、食事を提供する場合は対象になっておりますが、酒だけの分は現在のところ対象になっておりません。これは私どもは主務官庁の指示によってそういうふうにやっておるわけでございます。
  150. 杉山弘

    杉山(弘)政府委員 重ねてお答え申し上げます。  対象業種の問題につきましては、今後の課題として十分検討させていただきたいと思います。
  151. 中村重光

    中村(重)委員 終わります。
  152. 渡部恒三

    渡部委員長 北側義一君。
  153. 北側義一

    ○北側委員 中小企業信用保険法の一部を改正する法律案及び小規模企業共済法の一部を改正する法律案、この質問の前に当たりまして安倍通産大臣に二、三点お伺いしてまいりたい、こう考えております。  実は、昨日も西ドイツのラムスドルフ経済大臣委員長のお供をして懇談いたしたわけでありますが、現在の日本の貿易摩擦の立場というのは非常に厳しい状況にあるように思われたわけです。安倍通産大臣もいろいろ御苦労なさっておることはよく承知いたしておりますが、今後は貿易摩擦とも関連いたしまして、いままでと違いまして、輸出につきましても、やはりいままでのような増勢を続けることは非常にむずかしい、むしろこれからは鈍化していくのではないか、そういう考えを私自身が持っておるわけです。  そこで、そうしますと、私たちのこの日本の経済を考えてみますと、当然外需の方が弱くなりますと、内需を強くせざるを得ないわけです。外需の目減り分を内需でカバーしていく。ところが個人消費にいたしましても住宅建設にいたしましても、また設備投資にいたしましても、私の見ておるところでは非常に低迷しておる。ここで先ほど来お話のありましたとおり、公共事業前倒しや、たとえば住宅投資の刺激策、こういうものだけで果たして内需が回復するかどうか、そういう点、先般新聞を見ておりますと、通産大臣予算の成立後に景気浮揚策を考えたい、また昨日は地方の通産局長を集められていろいろ資料を集められたようでありますが、大臣の頭の中にどのような具体策が現在あるのか、まずそれをお伺いしたいものです。
  154. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 輸出問題につきましては、貿易のあり方としては、やはり拡大均衡でなければならないと思っております。ですから、輸出も伸ばすし輸入もふえる、こういうことが基本でなければならないと思いますが、しかし現実の姿は、いま輸出が大きく伸びるということは今日の状況からは非常に困難でございますが、そういう中で、これから政府として集中的に取り組んでいかなければならない課題は、いま御指摘のように、内需の拡大であろうと思うわけでございます。ところが昨年からずっと内需が非常に落ち込んできておる、こういう状況でございまして、どうしてもこれに対しててこ入れをしていかなければならない、こういう時期に来ておると考えております。  そこで、どういうてこ入れの方法があるかということでございますが、いろいろと御指摘がありました、大きな政治問題になりました減税も確かにてこ入れの一つであろうと思うのですが、これは政府としては財源の関係でなかなか困難である。ただ減税問題については、今国会で十分論議をしていただこうということになっておるわけでございますが、その他のてこ入れ策としては、まず第一に政府としてやらなければならないことは、公共事業前倒しを思い切ってやるということでございまして、これは七五%以上ということになっておるわけでございますが、七五%にするのかあるいは七七%にするのか、そういうところはまだ決まってないわけでございます。私は、やはりこの際八〇%に近いぐらいのところで、技術的な問題もあるでしょうが前倒しを行う必要があるのじゃないか。上半期景気政策を集中すべきだというのが私の基本的な考えでございます。というのは、いろいろな見方はありますけれども、アメリカ政府は相当強気で、この秋ぐらいには景気が回復するであろう、アメリカ経済については非常に自信を持って経済運営をしております。私はその可能性も出てくることは十分あり得ると判断いたしておるわけでございますが、そういう状況でもありますので、やはり上半期に集中する。そこで公共事業前倒し、それから住宅対策について、特に公的住宅については税制の措置もとってきたわけですし、あるいは予算措置等も現在の財政事情の中でできる限りのことをしているわけですから、これはやはり前倒しに行って、そして百三十万というこの住宅建設に向かって最大の努力をしていくことであろうと思います。  それから、金融につきましては、御承知のように、アメリカが金利が非常に高いわけですから、現在はむしろ日本経済、財政の状況からいけば、金利を下げることは不可能ではないと思うのです。しかし、アメリカの高金利政策が続いている以上はなかなか下げるわけにはいかない。最近長期金利を〇・二%下げたわけですが、それが大きな成果を生むかどうかについては疑問を持たざるを得ないわけでございます。やれば思い切ってやらなければならないが、これもなかなか困難でございますが、これは今後のアメリカの高金利政策がどういうふうに動くかということによって機動的に判断をすればいいのじゃないかと思うわけです。  それから、予算がここでおかげさまで成立したわけですから、この予算をやはり効率的に機動的に運営していく、予算のみでなくて、財投も効率的に機動的に上半期を中心として運営していく、こういうことを積極的に政府が主導でやっていくことが必要ではないか。民間設備投資は、大企業の一部は非常に堅調ですが、中小企業は非常に落ち込んでおりますから、どうしても政府が引っ張るということでなければならない。しかしその中で、民間で大きな柱になっておる電力なんかにつきましては、私も強く要請をいたしまして、少なくとも電力の設備投資民間設備投資の柱として、電力を取り巻く情勢いろいろと問題はありますけれども、しかし、これからの電力の確保あるいはまた景気対策という意味からも、電力が民間設備投資の柱として五十六年に比べてある程度力を入れて引っ張ってもらいたいということも要請をいたしております。  そういういろいろな方策を講ずることによって下半期に景気の回復に持っていきたい。ただ、それでは下半期何にも見通しがないのかということになるわけですが、その辺のところは、これから政府全体として考える課題じゃないだろうか、こういうふうに考えております。
  155. 北側義一

    ○北側委員 特に大臣にお願いしますが、これは建設省が主体になると思うのですが、たとえば中小建設業の受注額の動向、これを表で見ますと、昨年もたしか前倒しがあったわけです。そうしますと、八月以降、九月を除いて全部が対前年同月比で受注量が減っているのです。ですから、たとえば八〇%の前倒しをやっても、後の手を打っていただかないことには何にもならないことになるのじゃないかと思うのです。いま、たとえば中小建設業は、不況のいろいろな原因がございますが、公共事業前倒しをやって、その余波も現在来ているのじゃないかと思うのです。前倒しをやられるときは、そこらの点もぜひとも考慮に入れてひとつやっていただきたい、このことをお願いしておきます。  それから、これは私自身が考えておるのですが、たとえば個人消費の低迷につきましても、御承知のとおり非常に悪循環が続いていくんじゃないか、こういう感じを持っておるのです。と申しますのは、三百人未満の中小企業では、最終需要の依存度は個人消費が約六〇%、こういう比率になっておるわけです。そうしますと、個人消費の落ち込みが即中小企業の仕事量に影響してくるわけですね。また中小企業の仕事量に影響してまいりますと、そこで働いておられる従業員の賃金に影響してくるわけです。中小企業といいましても、御承知のとおり、雇用面では総従業員数の約八一%近い従業員がおられるわけです。この一番大事な部分の仕事が減って、従業員の給与が大企業ほど伸びない、そうなってきますと、消費が非常に落ち込んでくる。どこかでぱきんと切らぬと、個人消費というのはよくなっていかないと私は思うのです。こういう質問を、たとえばいま大臣にすること自体か非常に——大臣も先ほどの答弁で、そのためにいろいろ考えておるのだ、こういうことであろうと思うのですが、この点をいつ、どこで、どういう形で悪循環を切っていくかということを勇断を持ってやっていただかないと、内需が強くなるような、個人消費が盛り上がっていくような傾向というのはちょっと出てこないのじゃないかと思うのです。その辺はどうでしょう。
  156. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 まず、景気を回復するために政府ができる限りのことをするということですね。公共事業を中心にやっていかなければならぬわけでございますが、中小企業は非常に設備投資も昨年に比べてダウンをしているということですが、きのうも通産局長の会合等でいろいろと意見を聞いてみますと、中小企業でも相当設備が老朽化しておりまして、設備更新の時期に来ておるわけです。ですから、経営者は先行きの見通しがつけば、これは踏み切ると思うわけです。そうなりますと、中小企業全体に活気が出てくるということですが、まだ全く自信がないという状況にあるわけですから、そうした中小企業者設備投資に踏み切らせるためにも、秋には景気が少しよくなるんだという明るい期待感を抱かせなければいかぬ。いまの状況では、大変悪い景況感を持っておるわけですから、どんどん縮んでしまって、それがまた全体を悪くするということになるわけです。その壁を打ち砕くためには、いま思い切った公共事業前倒し等をやり、その他の施策をいろいろ講じて、同時にまた、アメリカ等の諸外国の情勢も変わってくる、そういう状況の中で、秋に期待感が持てるような雰囲気といいますか、情勢を政府が中心になってつくり上げていく、そうして中小企業に活力を持たしていくということが大事なことではないだろうか、こういうふうに考えておるわけで、中小企業に対してはいろいろと予算もつけておりますし、それから財投なんかでも相当資金の用意はしておるわけですから、これが動かなければどうもならぬわけですから、それを動かせるような情勢に持っていきたい、私はこういうふうに考え全力を上げてひとつ取り組んでまいりたいと思います。
  157. 北側義一

    ○北側委員 では、そのほかいろいろ聞きたかったのですが、住宅局、建設局、来ていますか。——もういいです。帰ってもらって結構です。  では、法案に入っていきたいと思うのです。中小企業信用保険法の一部を改正する法律案、これについてまず伺ってまいります。  今回の改正点は、先般提案理由の要旨の説明で明らかなように二点あると思うのです。一つエネルギー対策保険制度の創設、二つ目は倒産関連中小企業者範囲拡大、この二点であろうと思うのです。  そこで、エネルギー対策に関連して伺ってまいりたいのですが、政府は、これまでも中小企業向けのエネルギー対策として税制面、融資面、また技術開発の強化等、これらの各種の施策を今日まで展開してこられたわけです。その中で、中小企業向け省エネルギー政策、石油代替エネルギー政策の効果というものは、現在どのようにあらわれておるのか、それをまずお伺いしたいと思うのです。
  158. 勝谷保

    勝谷政府委員 中小企業に対するエネルギー対策効果についてということでございますが、まず、私ども中小企業に対するエネルギー対策考え方に?いて若干申し述べてから、次に移らしていただきたいと思います。  中小企業のエネルギー消費に占めます比率でございますが、製造業においては三四%と非常に大きいわけでございます。したがいまして、国民経済的にも、中小企業分野のエネルギー消費対策を進めることは必要ではないかという認識を持っておりますとともに、中小企業の中でエネルギー消費が非常に大きなウエートを占めておる産業が数業種ございまして、これらの業種につきましては、現時点では若干需給が緩んでおりますものの、長期的な観点に立ちますならば、現時点において十分その対策を練っておくことが、将来その種中小企業業種の生きていくためにも必要ではないかという認識を持っております。     〔委員長退席、野田委員長代理着席〕  さらに、大企業におきましては、第一次石油ショック以来、エネルギー原単位を引き下げるための努力が進められまして、その効果も大いに上がりました。中小企業につきましては、私どもの方の調査課で調べましたところ、その効果も逐次上がってはおりますものの、大企業に比べますればその効果はまだほど遠いという状況でございます。  以上のようなことを考えまして、私どもの方では、その対策として四本柱で進めているわけでございまして、第一の柱は技術開発でございます。この技術開発も省エネ技術の開発と代エネ技術の開発の面がございまして、国の面、都道府県の面、中小企業組合の面、さらには中小企業個人の面、こういう面で省エネ、代エネ、それぞれの分野で進めております。この間におきまして、中小企業事業団中小企業のために鋭意努力をしておるわけでございまして、このための幾つかの新制度を五十七年度の予算で成立をさせていただいたわけでございます。  次に、このような開発技術を十分に実らすもの、さらに実らす前のアイデアを出すためにも人材の養成が必要でありますが、この人材養成のためには中小企業技術指導員の研修、いわゆるエネルギーコースを事業団の大学校等で進めておりますし、そのほか、都道府県ベースでも、短期の省エネルギー技術者研修を進めておるところでございまして、これも年とともに逐次ふやす方向で助成が行われております。診断指導につきましては、昨年発足いたしました診断バス等を含めての巡回指導のほかに、省エネルギー診断を個別に行っておりますし、そのほか、都道府県ベースでの石油代替エネルギー設備購入指導事業というものも行っております。組合ベースでは、組織化を通じての組合ベースで、組合等の省エネルギー対策事業というものも進めている状況でございまして、いわゆる省エネルギー、代替エネルギーを進めるための中小企業のソフトな面での整備、これを進めておるのが第二の柱でございます。  第三の柱といたしましては、設備投資の促進ということで、現実に中小企業方々が個々に導入をされるわけでございますが、そのための金融面、税制面、さらには信用補完面でこのたびの法律改正をお願いしておりますが、進めているところでございます。  これらの三つの柱を中小企業の皆様に十分知っていただきますために、テレビとかラジオとかリーフレット等をつくりまして、中小企業の皆さんに普及啓蒙をいたしているというのが実情でございます。  いずれにいたしましても、私どもいま中小企業白書をつくりますための昨年末のデータをつくっておりますが、中小企業の面でもこれらの制度一つの刺激とされました中小企業方々の個々の御努力によりまして、エネルギー原単位の引き下げ等々が進められておりますが、まだまだ私ども十分でないと思っておりますので、こういうこととあわせまして対策を浸透させていきたい。  さらに、このたびの法律ができましたならば、これを一つのてこにしまして、さらに進めてまいりたいと思っておるわけでございます。
  159. 北側義一

    ○北側委員 次は、これはエネ庁だと思うのですが、石油需給の緩和を背景に代替エネルギーの開発、導入が停滞する傾向が見え始めた、このように言われておるわけです。そこで、代替エネルギーの開発導入の促進策、これを抜本的に見直そうというお考えがあるようでございますが、それはどうなんでしょうか。
  160. 小松国男

    ○小松政府委員 いま先生からお話がございましたように、現在の石油需給というのは非常に緩和をいたしておりますけれども、こういう状況というのはいつまでも続くわけではございませんし、わが国が石油輸入を依存しております中東情勢は依然として不透明な事態であるわけでございます。また中長期的には恐らく石油需給がタイトになるであろう。こういう観点から私どもは代替エネルギーの開発、導入というのを進めておるわけでございまして、現時点において代替エネルギーの開発、導入について緩和をするとか、そのテンポを緩めるとかいう考えはございません。特に、日本の場合はエネルギー構造が非常に脆弱でございますので、石油代替エネルギーの開発、導入というのは今後とも積極的に進めていこうということにいたしております。そういう観点から原子力、石炭、LNGの開発、導入の促進を積極的にやっておりますし、さらに国産エネルギーでございます水力、地熱の開発の促進、さらに中長期的な観点からは石炭液化とか太陽エネルギー、こういう関連の技術開発を推進するということで、代替エネルギーの政策を着実に展開しているわけでございます。現在、エネルギーの長期需給暫定見通しの改定を行っておりますが、その改定作業が現在総合エネルギー調査会の中に企画専門委員会を設けて、そこで審議が行われておりますが、その審議の過程におきましても、石油代替エネルギーについては最大限これを開発、導入して、その供給構造の中に織り込んでいこうということで現在議論をしているところでございます。
  161. 北側義一

    ○北側委員 次に、倒産関連中小企業者範囲拡大について伺ってまいりたいのですが、中小企業庁説明資料によりますと、  冷夏豪雪等突発的事由により、特定地域における特定業種影響を受けている場合には、当該業種に属する中小企業者に対して、さらに特定地域において、業種横断的に影響を受けている場合には、当該地域事業所を有する中小企業者に対して、それぞれ倒産関連保証特例が適用できるよう、改正する。 このようになっておるわけです。この災害等突発的事由特定地域特定業種については通産大臣指定するようになっておるわけです。  そこで、災害の突発的事由としてどういう事例をどのように想定なさっておるのか、これが一点です。二つ目は、現行法第二条第四項第三号に基づいて指定される不況業種指定基準と今回の改正に基づく指定基準の相違点はあるのかどうか、まずそれを伺いたいと思います。
  162. 杉山弘

    杉山(弘)政府委員 お答えいたします。  御質問の第一点でございますが、突発的な事由としてはどんなものを考えておるかということですが、従来私どもが経験をいたしました事例を例に挙げて御説明いたします。  たとえば、昨年の初めにございました北陸の豪雪でございますとか五十五年の夏にかけての冷夏、それから有珠山の噴火で洞爺湖及び地元の中小企業の方が影響を受けたようなケース、それから五十二年になりますが、和歌山県の有田市でコレラ騒ぎが起こりまして水産加工業者等がその影響を受けたというような、地域的な影響にはとどまっておりますが、相当数の中小企業の方の事業活動影響を及ぼしているような突発的な事由というものを対象に今回の制度考えたわけでございます。  御質問の第二点は、現在の不況業種指定の際の基準と、今回の地域的な突発的事由によって影響を生じている中小企業者の方を救済するための指定基準とはどういうふうに違うのかということですが、現在の不況業種指定に当たって私どもが事務的に考えております指定基準は、前年同期に対して売上高がどの程度減少をしているか、ないしはそれまでの月に比して最近の月の売上高がどういうふうに減少しているか、こういうことを頭に置いて不況業種指定をいたしているわけでございます。いま申し上げました前年同月ないしは最近月との比較といいますのは、いずれも統計に出てまいります実績をもとにして判断をしているわけでございますが、今回改正を予定しております突発的な事由による場合には、たとえば豪雪を例にとってみますと、道路交通の途絶というような事態があって、その事態が完全に解消するのを待って、それによって被害が幾ら生じたかということを判断いたしますと、あるいは指定に時期を失するというようなことにも相なろうかと思いますので——もちろん被害の額が現実にどれだけ起こっているかということは、実情調査の上、ある程度把握をいたしますが、ただそれだけにとどまらず、将来の合理的に予想される範囲内の期間どの程度その被害が増加するおそれがあるかというあたりまで頭に置いて指定をしたいと考えておりますので、現在の不況業種指定基準とは若干異なる。またいま申し上げましたように、将来にわたっての被害の発生の見込み、おそれというものまで考えるということになりますと、実績だけで判断をしている現在のものよりもあるいは幾分緩和をされるということになろうかとも思います。
  163. 北側義一

    ○北側委員 災害の突発的な事由が生じた場合、たとえば有珠山の場合、直接火山灰などの被害を受けた業種と、直接の被害が少なくて済んだけれども地域経済が麻律することによってある程度期間が経てから間接的な影響が出てくるという業種もあろうかと思うのです。そうすると、ある程度のタイムラグを経なければその状況が明確にならないわけです。こういう場合はどのような時点でこれは判断なさるのか。その点はどうでしょうか。
  164. 杉山弘

    杉山(弘)政府委員 先生の御質問は、突発的な事由に起因してと言うけれども影響をどの辺まで見ていくのか、またそれにはある一定の時期が必要ではないかということかと思いますが、有珠山の例をとって御質問がございましたので、その例に即して申し上げますと、噴火によって地元の温泉街等が物的な被害を受けて営業ができなくなったというものだけに限ることは私ども考えておりませんで、その結果といたしまして、観光客が外から来なくなったために、地元のみやげ物屋等の営業が不振になったということも当然考えます。そういう意味ではもちろんある程度の期間が必要ではございます。  ただ、先ほど申し上げましたように、全部の被害が発生するのを待ってということになりますと、これまた指定としては時期を失するようなことにもなりますので、その辺は具体的なケースに即しまして、遺憾のないように措置はしたいというふうに考えております。
  165. 北側義一

    ○北側委員 ここで一番大事な問題というのは、やはり指定基準をどのようにしていくかということが非常に大事ではないかと思うのですね。そこらの問題が間違ってまいりますと、せっかく法律ができても、これは適用がなかなかむずかしい、そのようになっていくんじゃないかと思うのです。  この指定基準は、聞くところによりますと、今後財政当局と相談してある程度決めていかれるようなお話があったのですが、これはどうなんでしょうかね。
  166. 杉山弘

    杉山(弘)政府委員 現在、指定基準につきましては中小企業庁の内部で検討をいたしておるところでございます。もちろん中小企業庁の案ができました段階では、財政当局にも御相談をいたしますが、財政当局もこの改正をするに当たりまして、私どもの基本的な考えは了解をしてくれておると思いますので、その折衝については、そう難航することはなくて、私ども考えております事態が十分救済できるような基準にはすることができるものというふうに考えております。
  167. 北側義一

    ○北側委員 では次に、現在中小企業信用補完制度、これが抱えておる問題に、保険収支の——これは先ほどもここで質問なさっておられたようですが、この保険収支の改善という非常にむずかしい問題が課題になっておるわけです。  十年間の保険収支の状況を見ますと、四十六年——四十九年度までは黒字を継続しておるわけです。ところが五十年に八十六億円の赤字となり、五十一年から五十五年度まで約三百十五億から四百九十五億、この間の赤字を継続して出しておるわけすね。その累積赤字が約一千九百六十五億円、このようになっておるわけです。このような保険収支の悪化した状況、先ほど来いろいろ論議されておるようでありますが、その要因についてはどのように考えておられるのか、これを伺ってまいりたいと思うのです。
  168. 杉山弘

    杉山(弘)政府委員 先生指摘の信用保険公庫の収支の悪化状況は、ただいま数字をお挙げになりましたとおりでございます。  ところで、その原因でございますが、五十一年度以降経済の動き、これが先生御案内のような状況でございますので、どうしても中小企業者の方の銀行に対する債務の履行状況に問題が出てまいります。保険公庫の側から申しますと、これは保険事故ということになりまして、事故発生がそれまでの期間よりはふえてきております。そういう意味で、保険公庫信用保証協会にお支払いをいたします保険金の額が増加をしてきております。  それと同時に、問題は保証協会が代位弁済をいたしました際、中小企業者の方から求償権によりまして回収をいたすわけでございますが、こういう経済情勢下でございますから、担保に取りました不動産の処分等も思うに任せない。また中小企業の方の経営も急速には回復しないということで、回収金の額というものが通常の期間に比べますと予想以上に遅れております。この二つの面で保険公庫の収支が悪化をいたしてきておるわけでございます。  こういうことに対しまして、一部には制度改正によって対処しよう、たとえば保険料率の引き上げをしたらどうか、こういうような議論も決してないわけではございませんけれども、私どもといたしましては、そういった制度の根幹に触れるようなことは避けるべきであって、むしろこの際、現行の制度運用の枠内でできる限りの収支の適正化ということを図り、保険公庫の収支改善をしたいということで種々努力をしているところでございます。
  169. 北側義一

    ○北側委員 いまおっしゃいましたとおり、やはり第一次オイルショック、これ以降長期的な不況、これが中小企業に与えた影響、それがやはりこのような数字で出てきておるんじゃないか、このように私は考えておるわけです。  そこで、中小企業というのは御承知のとおり担保力もありませんし、信用力も非常に弱い、こうなってまいりますと、保険料率を上げて、中小企業者にその負担を考えていくというやり方よりも、むしろ国の助成措置というものをやはりここで考えていかなければならないときが来ておるのではないか、こういう考えを私自身は持っておるわけなんですが、それについては大臣どうでしょうかね。
  170. 杉山弘

    杉山(弘)政府委員 ただいまもお答えいたしましたように、保険公庫の収支改善につきましては、制度改正に至らない段階でできるだけの努力を尽くしたいということで、いま私ども信用保証協会、都道府県、金融機関、各方面にいろいろの協力を求めているところでございますが、それと並びまして、信用保証協会経営基盤を安定させるということも必要かと思いまして、こういう厳しい財政状況のもとでございますけれども信用保証協会に対します基金補助金を前年度より増額する等各種の対策を講じております。  先ほど申し上げました保険公庫の収支改善のための指導結果というものは、これから徐々にあらわれてくるかと思われますので、長期的には保険収支が均衡をするという方向に向かうものというふうに判断をいたしております。
  171. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 保険公庫は赤字が相当累積をしておるわけですが、しかし、財政の立場からすればいろいろと意見はあると思いますけれども、しかし、やはり制度の根幹を変えるわけにはいかない、私はこういうふうに考えております。いま部長が申し上げましたような線で順次経営の健全化を図っていくべきだ、こういうことで努力をいたしておるわけです。
  172. 北側義一

    ○北側委員 では、時間の都合もありますので、次に、小規模企業共済法の一部を改正する法律案、これについて順次伺ってまいりたい、こう考えております。  本改正案におきまして、共済契約解除の手続を簡素化する、このようになっておるわけです。共済金等を請求してから支給されるまで、私の聞いたところでは約二カ月程度かかっておる、このように聞いておるのです。中小企業事業団の事務処理システムを改善をして、できるだけ早くやらなければいけないんじゃないか、こう考えております。たとえば退職金共済制度の場合、大体請求してから二週間程度で支給される、このように聞いておるのですが、小規模企業共済制度の目的からすれば、やはり早くするのが順当ではないかと考えるのですが、その点どうでしょうか。
  173. 篠島義明

    ○篠島政府委員 確かに御指摘のような事情がございますが、残念ながら小規模企業共済につきましては、発足以来電算機システム、これを徐々に改善をしてきておりますが、その過程で必ずしも総合的に非常に効率的にワークする状況になっておりません。現在、今後の共済事業の事務処理の合理化のために、六十年度を目標に電算機の処理システムについてかなり思い切った新しい総合的なシステムを適用するべく取り組んでおりますが、本件につきましては、その間、たとえば概算払いで先にお支払いしておいて、掛金の納付状況等を見た上で、後で適宜精算払いするというようなことで現在もある程度対処しておりますが、そういう方向でやってまいりたいというふうに考えております。
  174. 北側義一

    ○北側委員 中小企業庁の資料によりますと、五十七年一月現在で在籍件数が百三万四千六百三十五件、全国の小規模企業者から見ますと二二・五%が加入しておる、小規模企業者の約四分の三以上がまだ残っておるわけです。  そこで、中小企業政策審議会の意見具申の中で、五十七年度からの第四次長期加入促進計画、この必要性が述べられておるわけですが、これについては具体策はあるのですか。
  175. 篠島義明

    ○篠島政府委員 確かにまだ二割そこそこの数字でございまして、さらにこの制度については利用していただきたいと考えておりまして、これから五年間の間にさらに六十五万件ばかり勧誘をしたいと考えております。  その方法といたしましては、従来から一般的な広報、普及宣伝、さらには全国的な強調月間、あるいは特定の大都市についての特別な普及のための運動、あるいは商工会議所とタイアップいたしました、ピックアップ運動と言っておりますが、特定地域での普及運動、さらにはモデル県を設定してのいろいろな運動、あるいは金融機関を使ってのいろいろな運動等々あらゆる手段を講じてやっておるわけですが、いままでの普及運動についても一応いろいろな関係機関の組織づくりはできておる。したがいまして、今後はその組織をさらにきめ細かく浸透させていく方向でいろいろ努力をしていきたいというふうに考えております。
  176. 北側義一

    ○北側委員 今後さらに五年間で六十五万件の加入の促進を図る、こういうことでございますが、第三次長期計画までの加入促進運動で加入率が業種によって非常に格差がある、こう聞いておるわけです。そういう業種によって格差があるのは一体どういう理由なのか。また加入がおくれておる業種に対して、どのような実効のある具体策を考えておられるのか。また三つ目として、たとえば六十五万件の加入を図りますと、それに対する処理能力が必要になってくるわけです。そうした場合に、中小企業事業団の事務処理体制の拡充強化、このようなことが必要になってくるのではないかと思うのですが、それについてはどのようにお考えか。
  177. 篠島義明

    ○篠島政府委員 まず第一点の、加入について業種別の跛行状況があるという点でございますが、これにつきましては、確かに、たとえば職別工事業、一般機械器具製造業、飲食店業、洗濯業、理容美容業等が比較的加入率が低いという業種になっております。  その理由はいろいろあるかと思いますが、たとえばその団体の組織が必ずしも十分に固まっていない、あるいは浸透していない、あるいはその業種景気あるいは経営状況等とも絡む面もあるかというふうに考えますが、こういった点につきましては、今後関係団体にさらに積極的に普及のために動いてもらうと同時に、一般的なマスメディアといたしまして、テレビだとか新聞を通じまして、あるいは金融機関もすでに窓口が二万一千店舗ぐらいネットワークができております。そういったところを通じて積極的にこの制度の浸透を図っていきたいと考えております。  それから、三点目の六十五万件加入した場合の事業団の事務処理体制でございますが、これにつきましては、先ほど申し上げました電算システムを抜本的に改善しようということで、いま取り上げておりますが、これが一つの柱になるかと思います。現在の財政再建のもとで定員あるいは組織を拡充することはなかなかむずかしい状況でございますので、この電算機システムの改善による生産性の向上あるいは差し支えない事務については、現在も電算機処理との関係で一部外注をしておりますが、今後もそういったような形で何とか事務処理体制を確立していきたい、対応していきたいというふうに考えております。
  178. 北側義一

    ○北側委員 この加入促進の事務については、商工会議所及び商工会、また事業団体等に委託して行われておるわけですが、御承知のとおり商工会の組織が六七%、商工会議所が約二七%、こうなっておりますね。そこで、会員以外のいわゆる加入促進運動、こういう問題が大事になってくるのではないかと思うのです。非会員に対する促進につきまして、いま言われたテレビとかそういうものでやれるのではないか、こう考えるのですが、それについて具体的な対策があるのかどうか、これが一点。  それと、商工会議所また商工会の方の話を聞きますと、各都道府県、中央省庁の出先機関、特に地方通産局、こういうところからいろいろな資料の作成を依頼されるというんですね。その資料の作成には当然協力いたしますが、しかし、各方面から同じような資料が要求されて、本来の業務がどうしてもおろそかになる、これではいけないんだが、そういう傾向が出てきておる、こういうことが言われておるわけです。限られた人数の職員で運営しておるわけでありますので、やはり何らかうまい方法を考えて、本来の業務に精励できるようにしてやるということも必要ではないか、こう私は考えておりますが、その点についてどなたでも結構です、お答えをいただきたいと思うのです。
  179. 篠島義明

    ○篠島政府委員 まず第一点の商工会あるいは商工会議所に入っていない方たちへの勧誘でございますが、これは先ほど申し上げましたように、業種によって加入がおくれている、これは組織が必ずしも当該業種について固まっていないというようなことが一因になっておりますが、そういった業種に対すると同じように、テレビあるいは新聞等を通じて積極的にPRしていきたい。特に、小規模企業共済につきましては、大都市でやや加入率がおくれをとっているということもございまして、五十六年度で東京、各古屋、大阪、福岡で二月に一カ月ばかりテレビでスポットを流して、いろいろ宣伝、PRをしたわけですが、わりあい反響もよかったということもございまして、こういった形で今後さらにPRを推進していきたいというふうに考えております。  それから、商工会議所あるいは商工会を通じての国のあるいは地方公共団体からの調査依頼が多くて、本来の事業が支障を来しておるのではないかという御指摘でございますが、確かに現在私も回ってみまして、各地の経営指導員等の活動状況を伺ってみますと、とにかく大変忙しい状況でございます。これからますます経営改善事業等を中心として商工会議所あるいは商工会等に期待するところが大きいわけでございまして、しかし一方、こういったところで調査をしていただく情報等も、これは非常に貴重でございます。そこら辺については実態を十分検討いたしまして、両方の重要な仕事がうまくかみ合うように図っていきたいというふうに考えております。
  180. 北側義一

    ○北側委員 ぜひともそのようにしてあげていただきたいと思うのです。  それから、前回のこの法改正のとき、採決時に御承知のとおり当委員会におきまして附帯決議が盛り込まれたわけです。その中に「小規模企業共済事業団における共済加入者のための福利厚生施設の設置等について検討すること。」このようになっているわけです。また中小企業政策審議会の意見具申にも、附帯決議とは少し違うのですが、共済契約者へ還元するために、教養施設の設置を検討するよう中小企業事業団に求めている。このようになっておるわけですが、これらの問題についてはどのようになさっておられるのでしょうか。
  181. 篠島義明

    ○篠島政府委員 先般の振興事業団と共済事業団の合併に際しまして、中小企業事業団では教養施設を設けることができるという規定が入っておりますが、教養施設と申しますと、研修、講習あるいは展示、そういった事業内容かと思います。アンケート調査をとりまして、いろいろ共済加入者から希望をとってみますと、必ずしもそういう教養施設に対する要望、需要の声はまだ強くは上がってきておりません。ただ、ある程度そういったものに対する要請も一部には声としてあります。したがって、そういう声が今後どういう方向に向かっていくか、それから教養施設に金を投下するということになりますと、共済資産の効率的な運用という観点からもいろいろ問題も出てまいりますので、そういった要素をいろいろ考えながら、今後対応していきたいというふうに考えております。
  182. 北側義一

    ○北側委員 次に、五十七年度の中小企業の重点政策の中に、小規模事業者等福祉推進事業を創設しているわけです。その中で百カ所の事業の推進をする、このように数字が書いてあるわけです。事業費を見ましたら二千万となっているわけです。そうすると一カ所二十万円、こうなるわけです。一カ所二十万円で果たして小規模事業者の福祉推進事業としてどのようなことをやられるのか、非常に疑問に思ったのですが、これはどうなんでしょうか。
  183. 篠島義明

    ○篠島政府委員 この具体的な内容でございますが、三種類ぐらい当面考えられるようでございます。  まず一つが、各種の定期健診、精密検診、それから集団検診、そういったもののあっせん、二番目が、健康についての相談あるいは指導事業についてのあっせん、三番目が、体力増進のための啓蒙普及事業についてのあっせん、これはいずれも事業そのものを補助金を出してやるということではなくて、事業そのものはそれぞれの商工会等でやっていただくわけですが、会場のあっせんだとか、その他あっせん事業を中心にやるということでございますので、これは、これまですでにモデル的にある程度事業をやりまして、大体この単価でやっていけるというめどをつけた上で来年度予算に織り込んでおるわけでございます。     〔野田委員長代理退席、森(清)委員長代理着席〕
  184. 北側義一

    ○北側委員 要するに、事業の内容じゃなく、あっせんを行って小規模事業者の福祉の促進を図ろう、こういうことですね。  次に、ことしの二月二十六日に中小企業政策審議会が「小規模企業共済制度の見直しについて」という意見具申をなさっておるわけです。それによりますと、今後の検討すべき課題として三つ挙げておられます。一番目は、共済金の分割支給、いわゆる年金化、二番目には、掛金月額の減少があった場合の共済金等の額の算定方法の見直し、三番目が、高額医寮費補てん、財産形成等小規模企業者の家庭基盤の安定を図るための小規模企業共済制度の新しい展開、このように三点挙げておられるわけです。これらについて中小企業庁としてどのように取り組んでいかれるのか。また今後の方針をお聞かせください。
  185. 勝谷保

    勝谷政府委員 中小企業政策審議会がただいま先生が申されたような意見具申をいたしておりますが、小規模企業共済制度中小企業小規模企業対策の中の一つの面でございます生活基盤の確保という面できわめて重要な施策であるという点をすでに申しておりますが、その点に関しまして、具体化ができます幾つかの提言につきましては、すでにこのたびの法律改正ということで御提案を申し上げている点でございます。先生指摘の三つの点はきわめて重要ではありますが、現在の財政事情なり検討の段階では、必ずしも具体案として提案できるまでに成熟していないというところでございまして、今後とも本件につきましては検討を進めてまいりたいと考えております。  若干、個別の問題に触れさせていただきますと、第一の共済金の分割支給についての問題でございますが、共済金の分割支給については、従来から要望があったところでございます。しかし、これを具体的に実施する際におきましては、共済金の受給者を、現時点では一括して渡すわけでございますが、今後この時期が来ますと、長期にわたりまして把握しておく必要があることになるわけでございまして、このために事務処理体制の整備が新たに加わるわけでございます。さらに分割給付に対します税制面の取り扱いについても十分手当てをしておきませんと、そこらの点が必ずしも有利にならないということもあるのではないかということ等もございます。さらに現在の行財政事情のもとでは、ここらのことを具体的に検討するムードにないという点等もございまして、このたびの改正で提案できなかったということでございます。しかし、共済金の分割支給という問題につきましては、今後加入期間が増加することによりまして、多額の共済金を受給する者が逐次生じてくるわけでございます。また老齢給付の支給が本格化することになるということでございますので、こういう御要請は一層強まることが予想されるわけでございます。したがいまして、今後その実施方法と実施体制を含めまして、その具体化の可能性については検討してまいらなければならないという認識は十分持っているわけでございます。  いま一つの点は、掛金月額の減額が行われた場合の共済金等の額のあり方について不利な扱いがされているではないかということでございまして、この問題につきましても、ここらの事情の分析とか共済金等の額の計算方法について何らかのプラスになるような措置をとった場合、共済収支がどうなるかというような影響評価等々を今後十分検討しておかないといけないんじゃないかという点がございます。しかし、現在の事業団の事務処理システムでは、これまでの掛金の減額が行われました場合につきましての分析が必ずしも十分行われる体制にございません。現在、逐次進めております事務システム改善の結果を待ちまして、データの分析等を行いまして、共済収支の動向も見きわめた上で本件についても検討したいということでございます。  さらに、小規模共済制度の新しい展開についてということでございますが、劈頭申し上げましたように、小規模共済制度が小規模事業対策におきます一つの面、合理化追求と違う片方の生活基盤の確保という面におきまして最も重要な柱であるという点の認識のもとに、新しい制度をどのように導入していくかという問題は、一、二の問題よりも質の違う重要な問題として検討を進めなくてはならぬと私ども考えております。  いずれにいたしましても、この三つの点につきましては、相当長期的に考えるという問題ではないかと思っております。
  186. 北側義一

    ○北側委員 中小企業の中に占める小規模企業、これが約八〇%近いわけです。そういう点を考えられて、中小規模企業の皆さん方のために今後も大いに前向きの検討をしていただきたいことをお願いしておきます。  私は、中小企業者の友人、まあこういう人が非常に多いわけです、どなたも議員である以上多いのでしょうが。その人らの話を聞きますと、金はいいと言うのですわ。金はいいから仕事くれと言うのですね。そういう人が非常に多いわけです。どの業種においてもそういうことではないかと思うのです。そこでせめて政府でできる官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律第四条に基づいて行う中小企業者に関する国等の契約方針、これが毎年閣議決定されておるわけです。五十六年度は官公需予算額が、国は約四兆四千百三十億円、公社、公団等が約六兆一千六百九十億円、こうなっておるわけです。合計十兆五千八百二十億円。中小企業向け契約目標額が約三兆八千九百八十億円、比率として三六・八%、こうなっておるわけです。先ほど来述べましたとおり、個人消費の不況、また中小企業の不況、こういう悪循環を断ち切る意味におきましても、その一助として中小企業向け比率をアップしたらどうか、このように私は考えておるのですが、それについてはどのようにお考えでしょうか。
  187. 勝谷保

    勝谷政府委員 五十六年度につきましては、先生指摘のとおり、五十五年度実績三六・三%を上回る三六・八%という高い目標を掲げております。この目標を達成するために、各種の手段を講じておることも御存じのとおりでございますが、ただいまのこの目標をさらに引き上げたらどうかというお話でございます。私どもこの五十六年度の実績を踏まえました上で、五十七年度の目標を立てなければならないというように考えているところでございまして、いまその結果を見ていたしたいと思っておりますが、景気対策との関連では、そこらの結論を待つと同時に、できるだけ早くその目標も立てたいと思っておりますし、さらにできれば前倒しをいたしたいという意欲を持っております。そういう方向で検討いたしますが、いずれにいたしましても、三月末の数字を四月に入りまして各省から集めまして、その実績の上に立って反省と将来の方向を決めるわけでございますので、しばらくお時間をおかしいただきたいと思います。方向としては、いま申しましたように、景気対策上できれば幾らかの前倒しをいたしたい、かように考えております。
  188. 北側義一

    ○北側委員 実は私、ここに持っておる資料なんですが、これは五十五年度までしかないんですが、「省庁等別官公需実績の推移」、こうあるわけです。これを見ますと、国の中小企業向け実績、これが四三・八%、公社公団等の計が三〇・三%、こうなっておるわけです。ところが、いろいろな理由があろうかと思うのですが、たとえば公団公社、こっちの方で五十五年度の比率を見てみますと、日本鉄道建設公団、これが一二・九%、非常に低いわけですね。その次に低いのが首都高速道路公団、これが一九・五%、その次が日本電信電話公社、これが二三・三%それから日本道路公団、これも二三・三%、こうなっておるわけです。先ほど予算額を申し上げましたとおり、国よりもむしろ公団公社等こっちの方が大きいんですね。そういう面から低いところ、一体どういう理由でこう低いのか、それを知りたいんですが、建設省お見えでしょうか。
  189. 梶原拓

    ○梶原政府委員 御指摘のとおり、私ども関係いたします首都高速道路公団でございますが、目標より実績が下回ったことがございます。これはその年度の工事の進捗等の状況によってそういうふうになったというふうに承知いたしております。ちなみに五十六年度でございますが、まだ上期の中間的な実績でございますが、五十五年度の中間実績、いわゆる前年同期と比べますと一・三〇ということで三割方改善を見ております。今後とも努力をしてまいりたいと考えております。
  190. 北側義一

    ○北側委員 首都高速とか日本道路公団、ここは非常に大きい仕事で、中小企業が入る分野が非常に少ないかわかりませんが、実際問題ジョイントベンチャーでやっておられるわけですから、特に公団公社の中でもこういう仕事を期待しておる業者が多いわけです。そういう点、ぜひとも特に中小建設業、これは非常に苦しい状況にあるわけです。そういう点でぜひともこれをひとつちゃんとやってもらいたいと思うのですよ、お願いします。  それから、五十六年度の中小企業者に対する契約方針、これの閣議決定が七月十日に行われているわけです。御承知のとおり、昨年もことしも公共事業前倒しでやっていこう、こういうわけですね。果たして契約方針の決定が七月十日ということは、前倒しという関連、どうなっていくんだろうな。恐らく公共事業前倒しをなさる場合には、一応前年並みぐらいに見ておって中小企業に対しては契約なさるのか、その点どうなんでしょうか。答えられる人で結構ですから……。
  191. 勝谷保

    勝谷政府委員 官公需法に基づきます毎年度の国等の契約の方針は、先ほど申し述べましたが、各省庁との前年度の契約実績を踏まえて、その上で定めるものでございますから、実績の取りまとめと目標の調整期間も含めますと三カ月程度が従来必要でございます。例年七月ごろにならざるを得ないというのが実態でございますので、御了承賜りたいと思いますが、御指摘のように、中小企業向けの官公需につきましても、公共事業前倒し対応いたしまして、可能なものは上半期にできるだけ前倒しするということが私どもは適当と考えておりまして、年度間の方針とは別に、とりあえず上半期につきまして各省庁と協議して方針を早急に固めるという方向でいま作業を進めております。
  192. 北側義一

    ○北側委員 大臣、先ほど私もちょっとお願いしましたが、公共事業、これは前倒しなさる場合に、ぜひとも後半、これは大体八月ごろから去年も息切れしておるのです。その点何らかの対策を、これはぜひとも建設国債——新聞等では建設国債をまた発行しよう、こういうような報道も出ておるようですが、そうしなければ、これは前倒しをやっても何にもならないと思うのです。特に中小建設業、非常にいま苦しい立場に立っております。これは五十六年度の対前年同月比の実態、これを見てもその点がはっきりあらわれておるわけです。その点、大臣、経済閣僚としてぜひともこの問題については推していただきたい、こう考えておるのです。それについて御決意があったらひとつお聞きしたいと思います。
  193. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 この問題は政府全体として決めなければならぬわけでありますが、私は先般から申し上げておりますように、またいま御指摘がございましたように、せっかく前倒しをしても、息切れをしてしまっては効果が減少していくわけでございます。ですから、どうしても思い切った前倒しをする、そしてこれを確実に実行するには、下半期どういう対策を講ずるかということを、やはり明らかにしなければならないのじゃないか、そういうふうに考えておりますが、これからの最大の検討課題として、私も、基本的には何らかの下半期の対策を講ずべきである、そういうことをひとつ打ち出した上で上半期前倒しを実行すべきである、こういう考え方のもとにこれから政府部内でひとつ詰めてまいりたい、こういうふうに存じております。
  194. 北側義一

    ○北側委員 その点ぜひともお願い申し上げます。  それと、官公需適格組合、これがあるわけですが、現在、この適格組合の数はどれくらいあるのですか。
  195. 勝谷保

    勝谷政府委員 五十五年度末で三百六十七組合でございます。
  196. 北側義一

    ○北側委員 この三百六十七ある官公需適格組合、これは実はいろんな方に聞きますと、適格組合の証明を受けても事実上仕事には結びついていかないというのですね。そういう声が非常に多いわけです。そういう点、実態はどのようになっておるのか。また仕事量と結びついていくような施策を——やはり適格組合の証明を与えた以上は、仕事量に結びつかなければいけないと思うのです。その点、どのようなお考えなのか。
  197. 勝谷保

    勝谷政府委員 先生指摘官公需適格組合につきましては、毎年度の閣議決定でございます中小企業者に関する国等の契約の方針の中におきまして、随意契約制度の活用ということがうたわれておりまして、この活用によりまして、適格組合の受注機会の増大を図るよう定めまして、周知徹底に努めているというのが実情でございます。この結果、官公需適格組合の数は、先ほど申しましたが、五十一年度が百十七組合でございましたが、五十五年度の末には三百六十七組合に増加したわけでございます。官公需の受注額も、五十一年度の百三十五億円から五十五年度には四百十二億円へと年々着実にふえているわけでございます。  また、官公需適格組合というのは、共同受注体制が整備されていると認められた組合であることを証明するわけでございますが、御指摘のように、その証明を受けたということが直ちに個別具体的な受注がすぐ受けられるということではないわけでございまして、実際には、官公需を受注するためには、発注機関の理解を得ることがまず第一でございますとともに、当該組合が個別の発注案件に要求される受注能力を有しまして、積極的な営業活動を行うことが必要でございます。そのために、官公需適格組合の受注促進を図りますためには、中小企業庁としては、発注機関の側において適格組合制度についての理解が深まるよう努力をいたしますが、片方、組合の側におきましても、受注能力の一層の向上や積極的な営業活動を行うようにすることが必要でございますので、全国中小企業団体中央会にいささかの予算を計上いたしまして、このための指導をいたしているところでございまして、この研修を受けている組合も相当数に上っているというのが実情でございます。遅々として進まない点は歯がゆい点もありますが、着実にこの努力を進めていきたい、こう思っております。
  198. 北側義一

    ○北側委員 このほかに、下請中小企業対策、また中小企業の承継税制等お聞きしたいのですが、時間もありませんので、これは次回に譲ります。どうもありがとうございました。
  199. 森清

    ○森(清)委員長代理 渡辺貢君。
  200. 渡辺貢

    渡辺(貢)委員 まず最初に、中小企業信用保険法の一部改正に関連して、二点についてお尋ねをいたしたいと思います。  一点は、今回の改正で、法第三条の五の関係では、エネルギー対策保険の創設が改正の中心でございますけれども、このエネルギー対策保険の創設に当たって、その保険対象となる設備は通産省令で定められることになるわけでありますが、特にこの法改正の背景である今日の中小企業をめぐる経済状況、とりわけ消費不況と言われている事態や、またエネルギーコスト上昇など、中小企業の置かれている環境というのは大変悪いわけでありますから、そういう点で、省令で定める設備についても、この法律改正、また今日の経済事情、そういう点を十分に勘案をして、具体的な措置をとっていただきたいというふうに考えるわけであります。同時に、多くのそういう設備、機種の指定とあわせて、これから開発されるでありましょう新しい機種を適時追加をしていく、そういう法の弾力的な運用が必要であるというふうに考えるわけでありますが、まずこの点についてお答えをいただきたいと思います。
  201. 杉山弘

    杉山(弘)政府委員 先生指摘になりました、新しく創設いたしますエネルギー対策保険対象設備でございますが、これは現在、私ども中小企業金融公庫等政府機関におきまして直接財政資金をお貸しするという特別の貸付制度を持っておりまして、その対象設備を一応頭に置きまして指定をいたしたい、かように考えております。  それで、現在、中小企業金融公庫等の特別貸し付け対象設備指定の仕方も、特定設備につきましては、具体的に設備名を挙げて指定いたしておりますが、たとえば省エネルギー設備でございますと、省エネルギー効果が従来の設備より一〇%以上よいものが出てきました場合には、これは中小企業庁資源エネルギー庁が相談をいたしまして、随時対象に追加をしていく、こういうことを考えております。したがいまして、今回のエネルギー対策保険におきましても、それと同様の考え方に立ちまして、技術開発の結果、新しい省エネルギー設備ができてまいりました場合には、逐次通産大臣の追加指定ということで、時期を失しないように対応してまいりたい、かように考えております。
  202. 渡辺貢

    渡辺(貢)委員 第二点目は、法第二条四項の関係でありますけれども、特に突発的な事態が起きる、つまり一昨年の冷夏であるとか豪雪、火山の爆発等でありますが、それによってその地域中小企業経営がきわめて不安定に陥るという場合を想定して、倒産関連中小企業者範囲拡大ということが改正のポイントでありますけれども、この中で、通産大臣が突発的に生じた事由指定して、一つ地域及び業種、二つ目には地域指定するというふうに一定の指定基準がつくられると思うわけであります。そういう点で、一昨年の冷夏あるいは豪雪の際にも、わが党として関係地域の自治体あるいは業者団体等とも具体的な指定等についての要請をしてきたところでありますけれども、そういう指定基準を決めるに当たって、もちろん迅速な指定が必要でありますけれども、そういう場合には、地方自治体あるいは関係する業者団体の意向が十分反映されるように配慮する必要があるというふうに考えるわけでありますが、その点についての御見解を伺いたいと思います。     〔森(清)委員長代理退席、委員長着席〕
  203. 杉山弘

    杉山(弘)政府委員 お答えいたします。  先生指摘のように、今回の突発的な事由によって影響を受けている中小企業者倒産関連中小企業者範囲に含めるための改正につきましては、事由指定地域指定ないしは業種指定というものは、法文上は通産大臣の権限になっておりますが、私ども、地方通産局等を通じて地方の実情は漏れなく把握するつもりではおりますけれども、やはりいろいろと限界もあろうかと思いますので、この制度の実際上の運用につきましては、都道府県ないし地元の市町村、それに関連の業界団体という方からの御要望、御希望というものがありましたら、十分に伺った上でこれは指定をしていきたいというふうに考えておりますので、その点につきましては、今後とも注意をしてまいりたいと思っております。
  204. 渡辺貢

    渡辺(貢)委員 二点、法の改正の中心問題でありますけれども、御答弁のように、ひとつ積極的な運用を図っていっていただきたいというふうに要望しておきたいと思います。  次に、保険の運用の問題でありますけれども保険事故が大変多いというふうに聞いております。全国五十二の信用保証協会全体の合計で、一九八〇年度の保証承諾実績は百四万六千件を超えて、金額でも五兆二千億円、中小業者の五人に一人が利用しているということで、この制度は中小業者の皆さんの大変役に立つ制度であります。しかし、最近さまざまな要因によって事故がふえているというふうに聞いておりますが、どういうふうな要因なのか、売り上げや受注の問題あるいは回収困難等いろいろあると思うのですけれども、主な要因について二、三御説明いただきたいと思います。
  205. 杉山弘

    杉山(弘)政府委員 先生指摘のように、最近保険事故がふえておりまして、信用保証協会の収支も大幅な赤字を続けております。  信用保険公庫の収支が悪くなりますのは二つございまして、一つは、保険事故が生じましたために、保険公庫から信用保証協会に対する保険金の支払いがふえるということでございます。それから二つ目は、信用保証協会中小企業者の方にかわって代位弁済をいたしますときには、保険公庫から保険金の支払いを受けますが、それと同時に、銀行にかわって求償権を中小企業者の方に対して取得するわけでございまして、その求償権を行使いたしましてできるだけ回収に努めるということになるわけでございますが、この回収が最近また不振をきわめております。御案内のような経済情勢でございますので、担保としていただいております物件の処分等もなかなかできませんし、事故を起こしました中小企業の方も経営の立て直しをすることがなかなか容易でない、こういうことで回収がむずかしくなっておるわけでございます。この二つの要因によりまして、信用保険公庫は、保険金の支払いはふえ、いただく回収金がなかなか目標に達しない、こういう二つの面から収支が悪くなっているわけでございます。  保険事故がふえておりますのは、やはり何と申しましても最近の経済情勢の推移がその背景にあろうと思います。保険公庫調査をいたしております段階で、なぜ保険事故が生じたか、その理由は幾つかありますが、そのうちの最大のものは売り上げ、受注の減少ということでございまして、最近では保険事故の約五〇%がこういう売り上げ、受注の減少といういわば経営不振でございます。四十七、八年度、保険収支が黒字でございましたときには、この事故原因の比率が四〇%ぐらいでございましたから、最近までの間にこの売り上げ、受注の減少による事故が一〇%ぐらいふえておるということで、これは一にかかって景気の低迷、経済の不振がその大きな背景になっているというふうに考えております。
  206. 渡辺貢

    渡辺(貢)委員 いま御説明にございましたように、売り上げや受注の減少というのが事故の約五〇%を占めている。全体としては大変比率が高くなってきておるわけです。これはまさに現在の経済状況の反映だと思うのですが、中小業者の皆さんにとっては、ある意味では外的な要因なのですね。業者の皆さんは大変自助努力をされていらっしゃるわけですけれども、幾ら自助努力をやっても、そういう要因を解決することがなかなかできないということで、これは後ほどもまた触れたいと思います。  一方、いただいた資料を見ますと、たとえば企業内の直接的な要因、放漫経営であるとかいうこと、あるいは融手の操作などが若干減少してきているというふうにも聞いております。そういう点では、不況の中で業者自身がかなり自戒されて努力をしていらっしゃるというふうに私たちは考えるわけでありますが、後ほど関連して触れたいと思います。  次に、新技術企業化保険保険利用ですが、この保険昭和五十五年度に新しく創設されたわけでありますけれども、創設されてまだ日が浅いという点で、五十五年度は実績が八件で五億二千五百万円、引受予定額は百二十億と聞いております。また五十六年度は、これは途中でありますけれども、四月から十月までの実績は七件で三億六千万円、引受予定額は百七十億円。せっかく創設された制度でありますけれども、しかも通産省としてはかなり大きな額を予定して予算にも計上されていらっしゃるということでありますけれども、なぜこの制度がまだ十分に生かされていないのか、その点について、簡単で結構ですけれども、御説明を賜りたいと思います。
  207. 杉山弘

    杉山(弘)政府委員 五十五年度に創設をいたしました新技術企業化保険利用実績が上がっていないということにつきましては、先生がいま数字をお挙げになりまして御指摘いただいたとおりでございまして、私どもも、この制度の新設に当たりましては、相当利用が上がるものと期待をいたして創設をいたしましただけに残念でございますが、その理由は何かということを考えてみますと、一つには、まだ保険制度を創設後間もないということで、この特殊保険制度中小企業の皆様方に十分知られていないという面があるのではなかろうかと思いまして、こういう点につきましては、私ども、やはり制度をつくりました以上、できるだけ利用していただくというのが趣旨でございますので、制度の存在、その利用価値というものを中小企業の皆様方に十分承知していただくようにPRに努めなければならないものというふうに自戒をしております。  また、新技術企業化につきましては、こういった信用保証利用して、主として民間資金を調達されるというルートのほかに、中小企業金融公庫等におきましても、直接政府資金を御利用いただくという道も開かれておりますので、あるいはそちらの方を先にお使いになるというようなケースもあるのではなかろうかと思っておりますが、いずれにしましても、まだ当初予定いたしました保険引受額に対しては非常に低い額でございますので、できるだけこの制度を御利用いただくようにわれわれとしては力を入れていきたいと思っております。
  208. 渡辺貢

    渡辺(貢)委員 いま御説明がございましたけれども、同時に先ほど部長さんからお話がございましたように、せっかく制度ができたけれども中小企業者の皆さんが新しい技術を導入して設備投資をということではちゅうちょがあろうかと思います。そういう背景も一つ要因だと思うのですが、せっかくできた制度でもあり、五十五年の創設の際にも商工委員会では附帯決議もございます。八件、七件、まあ十五件すでに利用されていらっしゃるわけでありますが、やはりこういう制度だということだけではなくて、中身としてもどんなものが使われるのか、そうして設備と同時に運転資金保証対象になるんだというきめの細かい措置をひとつこれからも進めていっていただきたいというふうに考えるわけであります。  そこで、少し具体的なんですけれども、実は、ここに埼玉県機械工業団体連合会で出した「埼玉県における中小機械関係企業経営実態」という調査報告書、これは二月十日に発表されているわけでありますが、この中で大変興味のある点が二つありました。一つは、それぞれ直面をしている経営の問題として、売り上げ、受注の減少、それから製品安及び取引先からの値下げ要求を挙げた人が全体の三一・八%あるわけです。これは先ほどの保険事故ともある意味では共通すると思うのですが、これが全体では三一・八%でありますが、二次下請では三六・一%、三次になると六〇%にもなるわけです。  一方、これは私も大変大事だと思ったわけでありますけれども、今後の経営方針の中でこう言われているわけです。堅実な経営に徹していくという方が一六・三%でありますけれども、品質の向上に努めていく、これが一六・七%、省力化に努力をする、これが一六・七%、技術の向上を図る、これが一四・七%、こういうふうになっているわけなんです。  そういう点から見ると、大変厳しい経済環境の中でもどうやったら中小企業者の皆さんが今後の経営の安定、発展を図ることができるか、内向きになるだけではなくてかなりの努力をしていらっしゃるわけであります。今度の改正もある意味ではこういう要求、ニーズにこたえる一面だと思うわけでありますが、やはりこういう業者の皆さん、五百万を超えるわけでありますし、こうした信用補完制度によるカバーあるいは金融によるカバーあるいは技術開発によるカバーなどかなり中小企業庁としてもきめの細かい施策をとっていらっしゃると思うのですけれども、一番大事な景気の回復といいましょうか、そういう点についてももう一歩突っ込んだ積極的な努力が必要だというふうに思います。そういう点で中小企業庁長官と、この法の魂を入れていくという点を含めまして大臣からも御所見を賜りたいと思いと思います。長官からひとつ。
  209. 勝谷保

    勝谷政府委員 お答えいたします。  私ども景気対策につきましては、先ほど来大臣から何度もお答えがございますような方向で打ち出していただきますが、わが国中小企業をめぐる問題は、短期的な景気の変動のほかに八〇年代を迎えた中長期の問題がございます。先生がいまデータに基づいて御指摘いただきましたような方向で、わが国中小企業は戦後一貫して大企業発展に呼応いたしまして体質の強化に努めてまいっておりまして、世界に冠たるわが国の経済発展の礎は、私ども中小企業のバイタリティーにあるという認識を持っております。したがいまして、今日においても、わが国中小企業は新しい時代に対応するための前向きの合理化努力、技術開発等々に鋭意取り組んでいることは御存じのとおりでございます。  私ども、五十七年度の新政策におきましても、第一の柱といたしましては、中小企業のソフトな経営資源充実ということを挙げておりまして、この中には人材、技術開発、国際化の問題、情報化の問題等々新しい時代に対応する中小企業のたくましさをソフトな面で助長するための政策を持っているわけでございます。第二の柱としましては、日々の経済活動をするに必要な金融、税制、さらに金融の面で補完制度を導入するということ等々を考えております。そのほか、劈頭の所信表明で大臣から表明がございましたような小規模対策とか地域の時代への対応とか中小小売商対策とか小規模企業対策等々を用意いたしておりますが、第一の柱は、いずれにいたしましても先ほど申しましたソフトな経営資源充実いたしまして、前向きの新しい時代に生きる中小企業を育てたい、かように考えておるわけでございます。
  210. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 中小企業は現在のわが国経済を支えておりますし、今後とも中小企業発展なくしてわが国経済の発展もあり得ない、こういうふうに存じております。いま中小企業庁長官が申し上げましたような、きめの細かい対策を着実に推進をいたしまして、中小企業の体質を一層強化をしていかなければならない、そういう決意で今後とも臨みたいと存じます。
  211. 渡辺貢

    渡辺(貢)委員 それでは次に進めていきたいと思いますけれども中小企業信用保険法の第一条の目的でも、「中小企業者に対する事業資金の融通を円滑にするため、」というふうに、この制度が確立される目的が述べられているわけでありますが、そういう点から制度の運営を積極的に、しかも実情に即したように進めていく必要があると思います。  幾つかの点についてお尋ねをしたいと思いますが、一つは、昨年の九月十六日付で中小企業庁長官大蔵省銀行局長の連名で「中小企業信用補完制度の健全な運営について」という通達が各都道府県知事、中小企業信用保険公庫総裁、各信用保証協会の会長等に出されておりますが、そのとおりでございますね。
  212. 杉山弘

    杉山(弘)政府委員 御指摘のとおりでございます。
  213. 渡辺貢

    渡辺(貢)委員 その通達を見ますと、各信用保証協会の会長あての文では、今日こういう情勢だから適正に行わなければならないということが書かれて、第一に、「保証の適正化のための審査体制の強化」という点が挙げられているのです。私も地方自治体の担当者、関係者の皆さんの御意見を聞いてみますと、こういう通達が出たので、実際上運営に当たっては相当厳しくなるのじゃないかという考え方あるいは懸念を漏らしていらっしゃるわけであります。そういう点で、法の目的に沿った運営を図る必要があると思いますので、次の三つの点についてお尋ねをいたしたいと思います。  一つは、選別融資という問題が金融機関の中でもいろいろ批判を受けているわけでありますが、選別融資につながるような選別保証というようなことがあってはならないと思うのですが、そういう点について、あくまでもこの通達の運用に当たっては中小企業者に対する自己資金を円滑に融資できるように、その要望にこたえられるようにという立場から、いささかもこうした選別融資につながるような選別保証がないように、これが第一点。  二つ目は、保証承諾の審査期間ですね。中には二カ月くらいかかったという話、私の事務所にも御相談があったわけでありますけれども資金需要というのは、短期にどうしても必要だ、早く手当てをしなければならないという中小企業者の皆さん大変多いわけでありまして、そういうことを厳正に厳密に慎重にということになると、審査期間が大変長くなるということで、迅速かつ適正に措置できるように、こういう点も二点目として申し上げたいと思います。  三点目は、中には保証をつける必要がないのに、一定の担保力あるいは物的な信用力もあるにもかかわらず、安易に保証をつけるようにという金融機関もあるやに聞いております。一%ということで一定の額を借りますと、これも負担になろうかと思いますので、そういうことが起きないように、この三点について御見解を承りたいと思います。
  214. 杉山弘

    杉山(弘)政府委員 ただいま先生から三点御質問があったわけでございますが、まず最初に、私どもは昨年の九月に信用補完制度の運営について関係方面に通達を出さざるを得なくなった背景を御説明させていただきたいと思います。  先ほど先生の御質問の中にもございましたように、保険公庫の収支が事故率の増加、それと回収金の不振ということで、非常に悪化をいたしてきておりまして、五十五年度におきましては、保険収支で四百億円を超える、五十六年では、まだ完全に数字を締め切っておりませんが、四百二、三十億、保険収支面で赤字、五十一年度から五十五年度までの累計で二千億弱の赤字ということになってきております。このために、一部には保険料率の引き上げでございますとかてん補率の引き下げとかといったむしろ保険制度の根幹をこの際見直すべきではないか、こういう意見もあるわけでございますが、そういう意見を私どもは決してとるところではございません。ただ、こういう財政事情のもとでもございますので、往々にしてそういった意見が勢いを得てくるというようなことも考えられますので、私どもは、この際は制度の根幹に触れない範囲内で保険制度の健全な運営が図られるようにということで通達を出したわけでございます。したがいまして、一般的に申しますと、保険公庫保険制度の収支の改善といいますのは、中小企業の方に御迷惑をかけるというようなことになる可能性もございますが、むしろ私どもがここで保険制度の健全な運営のためにということでいろいろお願いしておりますのは、やはり保険制度一つ制度として成り立つ以上は、恒常的に赤字という事態はどうしても避けなければいかぬというようなことでございますが、中には非常に極端な場合でございますと、刑事事件につながりかねないような保証の申し込み、それに対する承諾というようなものも決してないわけではございません。したがいまして、保証協会の審査能力を強化をいたしていただきまして、もちろん必要な方には必要な保証ができると同時に、一方では先生質問の三点にもあるわけでございますが、保証を必要としないような問題についてまで保証を要求される、そういったことも避ける必要もあります。こういうことでいろいろな制度の改善についてお願いをしているわけでございます。  ところで、具体的に御質問のございました三点でございますが、まず選別融資、選別保証にならないようにということにつきましては、いま制度の改善の背景で申し上げましたような趣旨でございますので、私ども決してそういうことをねらってこの通達を出したわけではございません。したがいまして、そういう点がないようには機会あるごとに関係方面にもお願いをしております。今後とも注意をいたしていきたいと思っております。  それから、保証の審査の期間が従来でもかかっておるのに、審査体制の強化ということでますます長くなるのではないか、こういう御質問でございますが、これにつきましては、私ども承知しておりますところでは、現在新規に保証の申し込みをされました方につきましては、平均いたしますと五日から九日くらいの審査期間で応諾の御返事をしているわけでございます。  それから二度目以降、または特別小口保険の申し込み、これは無担保、無保証でございますが、そういった点につきましては審査を簡略化いたしておりまして、大体二日程度で御返事を差し上げている、こういうふうに承知をいたしております。ただ、これは一般論でございまして、個別的にはあるいは先生指摘のようなケースもあり得るかもしれませんが、こういった問題につきましては、むしろ具体的なケースをお示しいただきましたならば、私ども個別に調査をいたしまして、どういう原因でそういうことになったかを究明いたした上、保証に対してできるだけ迅速に処理を進めるということにいたしたいと思っております。  それから、最後の点は、保証の不要なものについてまで一%の保証料を中小企業の負担にしながら金融機関が要求をしておるのではないか、こういうことでございますが、先ほどの審査体制の問題等にも関連いたしまして、こういうことは決してあってはいけないわけでございますし、むしろ私どもといたしましては、保証のついている融資につきましては、金融機関に対してその貸し出しの利率も下げるようにという指導も従来いたしておりますので、今後ともそういう点につきましては、従来にも増して指導を強化いたしていきたい、かように考えております。
  215. 渡辺貢

    渡辺(貢)委員 ちょっと時間がありませんので、そういう点十分に配慮していただきたいと思います。中小企業庁長官の名前でございますから、その点ひとつよろしくお願いしたいと思います。  最後になりますけれども中小企業向けの技術開発、先ほども調査の結果について若干御披露したわけでありますけれども、たとえば省エネの問題でもあるいは自動化の問題などいろいろきめの細ない施策が必要だというふうに思うわけでありますが、特に現在中小企業庁として進めていらっしゃる、補助金が出ている五種類ですね、全部で約三十八億二千八百万円というふうに言われておるわけでありますけれども、その中で中小企業事業団を通じて行われている技術開発の概要について具体的な二、三の例を、簡単で結構ですけれども、長官から御説明いただきたいと思います。
  216. 勝谷保

    勝谷政府委員 中小企業事業団では、中小企業が抱えてます技術課題のうちで都道府県や中小企業自身では解決がなかなかできないというものにつきまして、中小企業庁の補助を受けて技術開発を行っております。成果を広く中小企業に普及する事業といたしまして技術開発事業を実施しておるわけでございまして、昭和五十七年度から新たに時代の要請にこたえるべくエネルギー技術開発事業をあわせて推進することとしているわけでございます。  具体的な例ということでございますが、銑鉄鋳物の製造業を主たる対象としまして、ばり取り作業をロボットにより安全に行うという目的から、鋳物仕上げ作業の安全自動化システム化技術、それからキューポラの廃熱を利用し効率を高める高効率溶解キューポラ、それから鍛工品製造業を主たる対象といたしまして、鍛造温度を引き下げ、歩どまりの向上を図るというようなことで、省エネルギーを達成いたしますために温間閉塞鍛造機等々の開発を進めておりまして、中小企業向けのきめの細かい技術開発を実施または実施を予定しているという状態でございます。
  217. 渡辺貢

    渡辺(貢)委員 一番末端で苦労していらっしゃる中小企業の皆さんにとっては、そういう技術開発されたものがなるべく安いコストで使われるように、企業化されていく場合に、技術開発をされたものが現実に中小企業の皆さんのそう大きな負担でなくて、設備として使用できるように、そういう点についてもぜひ積極的な御指導を賜りたいと思います。  二点目は、昨年から国際障害者年に入っておりますけれども、いろいろの角度から障害者対策が進められているわけでありますが、中小企業庁の補助事業の中で、障害者向けの技術開発があるのかどうか、もしあればどんなものに取り組みがいま進められているか、御紹介をいただきたいと思います。
  218. 勝谷保

    勝谷政府委員 中小企業向けの技術開発に対します補助といたしましては、国が中小企業に直接補助金を交付いたします技術改善費補助金制度というものがございますが、生産の合理化、新製品開発等の研究課題を対象といたしまして交付を行っているわけでございます。  御指摘の身障者向けの技術開発課題といたしましては、昭和五十六年度でございますが、たとえば東京都の中小企業実施します身障者用自動車運転装置(手動ブレーキ、アクセル)の研究というのがございまして、この研究に対しまして補助が行われております。この研究の内容は、普通車が足で操作しておりますブレーキ、アクセル、クラッチを手で容易に操作できる力の軽減装置をどの車種にも応用できるように開発するものでございまして、研究そのものが社会的意義があるものであると同時に、中小企業における多岐にわたる活発な技術開発活動の好例になるということを私どもは認識しております。
  219. 渡辺貢

    渡辺(貢)委員 これは身障者の皆さんにとっては朗報だというふうに思うわけでありますが、せっかく開発されたものも高いのでは困ると思うのですね。トヨタカリーナ一八〇〇セダンで下肢肢体不自由の方用につくられている新車は百三十九万二千円と聞いております。一般用の同タイプのものは百十三万九千円ですから、約二十五万円の差があるわけなんですね。そういうものを取りつけると二十五万円。いま御説明があった身障者用の自動車運転装置は現在使われている車にも取りつけることができるというふうに聞いておりますし、コストは大体十万円ぐらいではないだろうかというようなお話も聞いているわけであります。  そういう点で、現実に取り組まれている二、三の例をお尋ねしたわけでありますけれども一つ一つの開発はどれをとってみても中小企業の皆さんあるいは国民の皆さんにとっても切実で有用なものばかりなんですね。そういう点から、今度新設されるエネルギー対策保険などを実効性のあるものにしていくためにも、こうした新しい技術の開発などを国の積極的な補助、助成によってこれからも拡充する必要があると思います。  そこで、最後に大臣に一言お尋ねをしたいと思うのですけれども、こういう業者にとっても国民にとっても有用な、しかもきめの細かいものはなかなか中小企業でなければできないわけであります。私もかつて予算委員会指摘したわけでありますけれども中小企業の補助金等に比べて三菱重工だけでも倍に近いという現状でありますが、ぜひこうした新しい技術の研究開発等に、いま触れられましたようなそういう積極的な意義もありますので、大臣としても、中小企業の振興の面からも、こうした技術開発に積極的な姿勢をお示しいただきたいというふうに思います。
  220. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 中小企業の今後の発展にとりまして、技術力の向上の果たす役割りがきわめて重要であるというふうに考えております。このため中小企業庁としても、先ほどから説明をいたしましたが、五十七年度予算におきまして、金額的にはほぼ前年度並みでございますが、内容的には、既存の施策に加えまして、石油代替エネルギー特会へのエネルギー技術開発事業の新規計上あるいはその他共同研究、技術移転の推進等の新機軸を打ち出しております。身障者対策としても、先ほど御説明したような措置を講じておるわけでございます。今後ともこうしたきめの細かい中小企業向けの技術開発等につきましては特段の力を注いでまいりたいと考えております。
  221. 渡辺貢

    渡辺(貢)委員 終わります。
  222. 渡部恒三

    渡部委員長 小林政子君。
  223. 小林政子

    ○小林(政)委員 小規模企業共済制度は、小規模業者を対象にして、事実上の営業の廃止あるいは死亡あるいは老齢あるいは退職事由が生じたときに備えて一定の掛金をしておくという制度で、昭和四十年につくられたわけでございますけれども、これに加入できる対象者は約四百五十万から四百七十万人と言われております。現在の加入者は百三万人、約二五%と言われていますけれども制度ができてから今日まで十七年たっております。それにしては加入者の数が非常に少ない、このように思われます。多くの業者の人たちから期待をされているにもかかわらず、どうしてこういう事態になってしまったのか。それからまたさらに、中小企業政策審議会の答申によりますと、今後五年間で六十五万人の加入者を見込んでおります。しかし、それでも四百五十万対象に対しては三分の一程度にしかならない。もっとこれを伸ばしていくという立場に立って積極的な姿勢を示していただきたい、このように思いますけれども、具体的にどのような対策が立てられていらっしゃるのか、お伺いをいたしたいと思います。
  224. 篠島義明

    ○篠島政府委員 この共済制度については、できるだけ多くの小規模企業の方に活用していただきたいとわれわれ考えておりまして、そのPRの方法といたしましては、いろいろな関係機関、関係団体等の協力を得て、できるだけの努力をしておるつもりでございます。たとえば県、それから特別の大都市あるいは商工会議所、商工会、中小企業団体中央会、青色申告会、そういった中小企業関係団体、それからさらには全国銀行、地方銀行、相互銀行、信用金庫、信用組合等の金融機関。ちなみにその数だけでも中小企業団体で五千五百、金融機関で二万一千ばかりの組織あるいは店舗にこの制度の運用上協力していただいております。こういった組織を通じて、あるいはテレビ、新聞、マスコミ等を通じて、あるいはその他それぞれ機関誌への広告等を通じていろいろ努力をしておるわけでございますが、今後もこの制度を広めるためにさらに努力をしていきたいと思います。
  225. 小林政子

    ○小林(政)委員 ただいま加入の申し込み窓口というのは金融機関だとかあるいはまた協同組合、商工会、中央会など合わせると約二万をはるかに超えるというようなお話でございますけれども、今後五年間で六十五万件の加入を見込んでいる。一年間で機械的に割りますと十三万件ですね。これでは一つの窓口に年間五ないし六件の新規加入ということにすぎないのではないか。期待されている制度だけにもっと積極的な具体的な対策というものを考えていかなければならないのではないか、私はこのように思っております。加入する場合に何かメリットがなければ、あるいは加入する人たちに喜ばれるような魅力のある内容にしていくべきだというようにも思います。こうした点を踏まえて、具体的なメリットという点についてはどのようなことがいまやられているのか、お答えをいただきたいと思います。
  226. 篠島義明

    ○篠島政府委員 一つは税制上のメリットがございます。掛金につきましては、第一種、第二種と分かれておりますが、第一種の共済、これはほとんど九九%以上の加入率でございまして、第二種共済はせいぜい二千七百件ぐらいでございますので、第一種共済について申し上げますと、第一種共済では、掛金は全額所得控除、それから給付金につきましては退職所得扱いになっております。これは非常なメリットであろうと思っております。  それからなお、共済契約者に対する還元融資という形で現在貸し付けを行っておりますが、無担保、無保証で一年間、限度が積立金の範囲内ということになっておりますけれども、金利七・二%できわめて容易に借りられる状況でございます。さらに県と協力いたしまして、預託融資制度、これも二十四県ですでに制度がスタートしております。  なお、今回の法律改正を機に、特別貸付制度ということで傷害、疾病、災害等で事業資金が入り用だという方に対しましては、さらに有利な条件で、限度額については給付額の九掛け、それから金利については七・〇、それから期間につきましては三年というような新たな特別貸付制度を設けたいというふうに考えております。
  227. 小林政子

    ○小林(政)委員 ただいまのメリットの一つと言われております、掛金については税制上の所得控除がやられているということでございますが、私は大蔵省の業種別所得者数とあるいは所得税納税人員の推移という資料に基づいて、これを少し分析をしてみました。ところがこの所得控除を受けるだけの所得がない人、つまり課税最低限以下の所得しかいまのところはないというような方が、この人たちが小規模共済加入対象者四百五十万から七十万人のうちの少なく見積もっても三分の一、百五十万人もいるわけです。こういう人たちが本当に制度のメリットを受けようとしても、実際には加入対象にはならないんじゃないだろうか。こういう人まで含めて加入の対象としなければならない保険制度であるだろうと思います。この層の人たちこそいつ廃業に追い込まれるかわからない、こういう不安にさらされてもおります。私は、最も共済制度を必要とされているのではないかと思われるこれらの人たちが、小規模共済の掛金で所得控除が受けられなければ、単なる貯蓄と同じというようなことになってしまいますので、やはりいまひとつぴんと来ないのではないか、このようにも思います。こうした点から見て、共済加入者への還元あるいはまた休業補償制度の創設だとかあるいは共済金の増加などやる必要がいまあるのではないだろうか、このように思います。でなければ、本当の意味で魅力ある制度とは言えないのではないか、このように思いますけれども、いかがでしょう。
  228. 篠島義明

    ○篠島政府委員 小規模企業者に対する社会保障的な意味合いも含めまして、生活基盤の安定ということでスタートした共済制度でございますので、税制以外のメリットもできるだけ高めて、所得控除の対象にならないような方にも入っていただけるようなものにしたいと思っておりますが、ただ、基本的に相互扶助という精神で自己資金で完結的に共済事業を営んでいくといういまの制度の前提でございまして、事務費については全額補助しておりますし、還元融資についてもある程度出資等の補助が国から出ておりますが、給付金そのものに対する国庫助成というのは残念ながらまだ実現しておりません。ただ、こういった点につきましては、中政審の意見具申におきましても、現在の財政事情ではなかなかむずかしいと思われるけれども、将来はそういったことも含めてさらに検討をするようにという御意見をいただいておりますし、われわれといたしましても、いまおっしゃったような長期の療養あるいは休業補償的なものまで含めて、この共済制度をある程度の国庫助成も考えながら将来さらに充実したものにしていきたいというふうに考えております。
  229. 小林政子

    ○小林(政)委員 この制度の中で、先ほどお話が出ませんでしたけれども、共済金が事由があった場合には支給が受けられるということが一つのメリットということが言えると思いますけれども、結局共済金の額が一体利回りの点でどうなっているかという点で、私ちょっといただいた資料に基づいて調べてみたわけです。そうしますと、これはもう明らかに、十年間の場合ということで調べた場合に、共済の廃業という場合の給付は利回りが九・四五、そして老齢給付の場合はB共済ということで五・一%になっています。これに対して、国債は十年もの七・五%、また郵便局の定額預金は八・〇六%となっておりますし、こうした点で考えてみますと、共済の方がはるかによいと言えるような状況には現在ないのではないか、このように思いますし、貯蓄性の範囲を抜け出していない、このようなことが言えるのではないか、このように思いますけれども、これについてはどのような御意見をお持ちでしょうか。
  230. 篠島義明

    ○篠島政府委員 現在の共済制度は基本的に廃業あるいは解散を一番有利になるような形の給付金率の決め方になっております。したがって、おっしゃるように単純に給付金の利回りを比較しますと、これは経過年数によって、それぞれの共済事由によって利率もかなり変わってきておりますが、それほど魅力がないというケースもあると思います。ただ、廃業、解散のときにはかなり有利な共済になっておりますし、それからまた、先ほども申し上げましたように、税制上のメリットを考えますと、それなりのある程度の加入していただけるメリットもあるのではないかというように思っております。
  231. 小林政子

    ○小林(政)委員 多くの方々に加入をしていただく場合には一つにはPRと同時に積極的な魅力ある対策が立てられなければならないだろうというふうに思います。その場合に、やはり社会福祉的な要素を取り入れていくことが必要ではないかというふうに私は思います。先ほどお話がございました共済契約者に対する還元融資について、これもさらに積極的に共済の加入者に対しては広く活用をできるようにしていくことも一つの方法であろうというふうに思いますし、また今回の特別貸し付け、これも先ほどお話が出ておりましたけれども制度の採用については、共済加入者が病気になった、あるいはまたけがをした、あるいは災害時の営業安定のための貸付制度、これもいままでやはり強く求められていたものであろうと思いますけれども、しかし、これは補償体制といいますか、共済金給付制度ではないのですね。非常に条件は有利な貸付制度で、貸付金利が七%だとか、あるいは限度額が共済の三倍もしくは四百万とか、期限も三年とか、従来の貸し付け条件を大きく緩和をしたものでございますけれども、休業補償的なこういう給付制度、こういったものをやはり考えていただくことが必要ではないだろうか、このように思いますけれども、この点についてはどのように思っていらっしゃるのか、お考えをお伺いいたしたいと思います。
  232. 篠島義明

    ○篠島政府委員 いまおっしゃいましたような社会政策的な、社会福祉的な色彩の強い共済にしようということになりますと、やはり給付金に対する国庫補助金といったものを考えないとなかなかむずかしいだろうと思います。先ほど申し上げましたように、現在の財政事情では非常にむずかしいかと思いますが、今後も小規模企業対策というのは非常に重要な中小企業対策の柱であることは当然でございますし、新しいいろいろなほかの社会保障制度、社会保険制度とのバランス等も考えながら、この制度充実していく方向で検討、努力をしていきたい、こういうふうに考えます。
  233. 小林政子

    ○小林(政)委員 そこで、中小企業事業団理事長さんが参考人としてお見えでございますので、お伺いをいたしたいと思います。  共済金支給の原資、これは加入者の掛金とその運用による運用益によって賄われるということになっております。しかし、資産の運用の八〇%以上が金融債で、商工中金の利付債五年もの利回り七・五%が中心ということでございますけれども、共済金の廃業給付の場合には、五年間で一二・六七の利回りがつく。十年の場合には九・四五%、十五年では八・四一%の利回りがつく計算となっています。こうしてみますと、原資の運用の利回りは七・五%、これをどの給付も上回るという結果になっておりますが、現在共済資産の運用状況というのは実際にどうなっているのでしょうか。資産の運用でさまざまな制度が創設できるというようなゆとりとか余裕とかそういうものが現在あるのかないのですか、この点について明確にお答えをいただきたいと思います。
  234. 斎藤太一

    ○斎藤参考人 この小規模企業共済制度の収支は、正確には数十年たたないとその結末はわからないわけでございます。特に老齢給付等がどうなるかが収支に大きな影響を与えますけれども、老齢給付は六十五歳からで十五年以上掛けた方、こういうことになっておりますが、現在の加入者の平均年齢が四十五歳でございますので、老齢給付を受けますまでに二十年の期間が必要でございます。まだこの制度が始まりまして十五、六年でございますので、もう五、六年たちませんと、その老齢給付の動向もよくわからない、こういう状況でございますけれども、一応この制度が始まりましてから現在までのところで中間的に収支を見てみたわけでございます。その結果では、一応均衡した形に現在のところ相なっております。ただ中身は、傾向としては、一番最初にこの制度をつくりましたときに考えました形よりも悪い方向に、つまりコストが高くなると申しますか、支出がふえる方向に動いております。  その理由は、一つは収支の構造、最初に考えましたときには個人が加入者の三割で法人の役員が七割ぐらい加入される、こういう想定ででき上がっておりますけれども、現実には全体の八割が個人が加入されておられまして、法人の加入は二割でございます。そういたしますと、廃業等の特に高い給付が出るいわゆるA共済というものが多くなる可能性がございます。法人の場合には役員の任意退職等は給付率が低いわけでございます。それが一つと、いま申しました平均年齢が四十歳ということで想定をしておりましたところ、現実には四十五歳が加入者の平均年齢でございますので、死亡率が想定よりも高くなる。死亡の場合には給付率が高くなります。そういったことで、総体として当初予想いたしました収支構造よりも支出がかさむ方向に動いております。  ただ、当初は金利が六分六厘でこの総資産が運用されれば収支が相当する、こういうことで予想をいたしましていろいろな給付の額をはじきまして動いておるんですけれども、現実の利回りは七分を超えておりまして、その関係で若干コスト高になる方向には動いておりますけれども、現在のところの収支はちょうどとんとんぐらいで推移しておる、こういう状況でございます。
  235. 小林政子

    ○小林(政)委員 大変な事態を迎えようとしているというふうにいま受けとめましたけれども、ともかく、私は、国の出資をふやしていけば、そういうことは恐らく食いとめられると思うんですね。結局、いま老齢給付の利回りというのは、これは十五年で見ても五・六%、二十年で見ても五・六%なんですね。ですから、国債や商工中金のリッショーの七・五%より低くなっているというのが現状なんです。利回りそのものを見れば低くなっている。ですから、これからの高齢化社会を迎えて必ずどんどんお年寄りがふえていくという傾向が強まっていくことはもう間違いないんですから、この人たちが本当に安心して生活がある程度保障できるようなこういう制度を、老齢給付を廃業給付並みの共済金にする必要があるのではないか。これは絶対にやってもらいたい。あとまだ何年か先の話だということですけれども、しかし、現実にはもうすでに始まっているわけです。ですから、これは大変強い要望でもございますので、ぜひこれは実現をしてほしい、このように思います。  それから、共済制度拡充は、新たな加入者還元、サービスの制度をつくる。こういう中でどうしてもいま壁にぶつかっているのは、国の出資金ですね。これをふやしていかなければもうにっちもさっちもいかなくなってしまうのではないか、このように懸念をいたすところでございますけれども、これは大臣にひとつお答えをいただきたいと思います。
  236. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 事業団の収支が悪くなっている、このままでおったら赤字が累増していくということになるわけですけれども、資産運用等は効果的な運用をやっていかなければならぬと思いますが、財政の問題からすれば、非常に厳しい財政事情ですから、いろいろと問題は出てくるわけですが、しかし、これは中小企業者にとって大事な制度ですから、この根幹を変えるわけにはいかないのじゃないか。根幹を変えないという大前提の中でいろいろといま工夫をいたしておりまして、そういう面で順次健全化を図っていけばいいんじゃないか、こういうふうに思っております。基本を変えないで、根幹を変えないでこの運用等について健全化を図るように努力をしていきたいと考えております。
  237. 小林政子

    ○小林(政)委員 いままで私述べてまいりましたように、大臣がおっしゃるように、いまの原資というのは掛金と運用益だけでもって共済金を支出しているわけですから、この問題を根本的に変えていかないと、国の出資をもっとふやしていかないと、いまの状態を一歩も抜け出さない、こういうような状態になることは明らかでございますので、この点についてはひとつ十分配慮をしていただきたい、このことを強く要望をいたしておきます。  最後にもう一点だけ。先ほど来通産大臣も全国通産局長会議の報告をされました。そして中小企業設備投資の落ち込みだとか、あるいはこのままでいけば倒産件数がもっとふえていくだろう、こういう景気先行きに対して大変不安が広がっているという意味の報告をお伺いをいたしましたし、また新聞報道によれば、通産省はこの会議を受けて四月下旬をめどに実態調査を行い、聞き取り調査など景気対策をまとめていきたいというようなことも報道されております。  私は、こうした中で大臣に二点ばかりお伺いをいたしたいと思いますけれども一つは、中小企業がこの困難に直面しているときに、五十七年度で前年と同じ二千四百九十八億円の予算ですね。これは安倍通産大臣がそれこそ自民党の政調会長のときに編成をされたという経緯もあって、御本人もよく知っているんだろうというふうに思いますけれども中小企業対策費がことしは三十万六千円逆にマイナスになっているんです。さらに三年に一回実施をしていた商業統計調査、この費用が二十八億九千万円、これはこれまでは通産省の商業統計調査ということで組まれていたものでございますけれども、これが今度は中小企業対策費に含まれています。これでは二十八億九千三十万六千円のマイナスとなってしまいますし、こうした姿勢が貫かれていたのでは中小企業を救うというようなことにはならないのではないだろうか。この点が第一点です。  それから、先ほど来すでにお話がございましたように、官公需の問題について、これは率をもっと上げて現在の三六・八%を五〇%にするということになれば、一兆四千億円ものお金をかけなくても、これで予算を組まなくても、実際に仕事が中小企業に回っていくというような結果になるわけです。現在十兆五千八百二十億円ですから、これにいわゆる一三・二%掛ければ一兆三千九百六十八億円にもなりますし、まとめれば一兆四千億円ということになるわけです。先ほどどなたかが官公需の問題についてお触れになりましたけれども、この時期を例年の七月、八月というようなところで押さえるのではなくて、もっと早目にこの対策を立てるべきだという点が一つと、それから一兆四千億円にもなるんだから、それをともかく実現をしてほしいということで、五〇%をおやりになるのかならないのか、こういう点についてお伺いをいたしておきたいと思います。
  238. 勝谷保

    勝谷政府委員 最初、事務的なことをお答え申し上げます。  予算の面で、中小企業予算が前年に比べて実質的には落ちているのではないかというお話でございます。実は先回も先生の方からの御質問のときお答えを申し上げたのでございますが、商業統計の実態が非常に変わりまして、最近御存じのとおりの中小小売商業対策というのが中小企業政策の最重点の一つに取り上げられておりまして、この小売商業の実態がどのようであるかということは、中小企業政策の最も重要な一つでございます。そういう点もございますので、数多くの調査項目を中小企業関係で入れましたので、今後はそういう関係から、商業統計につきましては中小企業予算で取り上げるということを先回もお断り申し上げたわけでございます。二千四百九十八億円でございますが、これは前年とほぼ同額の数字が計上されております。それにエネルギー関係の予算を流用させていただきましたので、二千五百億を上回るということで、実質二千五百億の大台を超えたわけでございます。  なお、中小企業予算は全体の数に比較いたしまして二千五百億というきわめて小さい額でございますけれども、常に申しておりますが、財政投融資関係で、たとえば三機関では五兆四千億の金額を計上させていただきました。これは約六%のアップでございます。さらに中小企業予算の中でもめり張りのきいた予算をつくらせていただきまして、たとえば小規模対策等は七%のアップというようなことでございます。決して十分とは申しませんが、そのように中小企業に重きを置かないということではなくて、めり張りのきいた予算を組ませていただいておるというのが実情でございます。  それから第二の比率の点でございますが、御指摘のとおり五〇%を掛けますればそのような計算が出ます。先ほどから申し上げておりますように、各省庁、各機関の実態を十分把握いたしまして、その上で問題点を一々積み上げまして、意欲的なネゴシエーションの上で、毎年〇・数%ではございますが引き上げを図っているわけでございまして、ひとつそういう方向での努力を続けることをお認めいただいたらと思うわけでございます。先生指摘のとおりに、五〇%掛ければそのとおりでございます。現実はなかなかそういかないという点もお認めいただきたいと思うわけでございます。
  239. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 いま中小企業庁長官から申し上げましたように、中小企業関係の五十七年度予算は確かに横ばいになっておるわけです。これはゼロシーリングという、財政再建という立場からやむを得なかった措置でありますけれども内容的には相当工夫はこらしておりまして、いまお話しをいたしましたような小規模事業に対しては、特に配慮するとか、あるいは技術向上の面のいろいろな新規の対策であるとか、中小企業に活力を与えるための対策は随所に講じておりますし、また財政投融資関係では六%以上の枠の拡大をいたしておるわけでございます。  同時にまた、中小企業の金利についても、今回も長期プライムを引き下げる、こういう中で中小企業向けの政府関係機関の金利は〇・二%の差をもって特別に配慮をいたしております。この予算は、これからの使い方によっては中小企業の安定のためには相当の大きな効果を発揮できるのじゃないか、こういうふうに判断をいたしております。  それから、中小企業向けの官公需については、これは確かに五十六年は三六・八%目標で、まだ統計ができておりませんけれども、これまで毎年毎年少しずつ中小企業官公需の比率を高めてきております。やっと三六・八%に来たわけでございますが、これは今後の政府間の折衝においてさらに中小企業の枠の拡大については努力をしていきたい。さらに公共事業前倒しの中では、中小企業関係には特に前倒しに配慮していくようにこれから努力をいたしたい、こういうふうに考えております。
  240. 渡部恒三

    渡部委員長 次回は、明七日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十五分散会